法務委員会

1995-03-17 参議院 全197発言

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会議録情報#0
平成七年三月十七日(金曜日)
   午前九時三十一分開会
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         中西 珠子君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                糸久八重子君
                荒木 清寛君
                平野 貞夫君
    委 員
                斎藤 十朗君
                坂野 重信君
                志村 哲良君
                鈴木 省吾君
                北村 哲男君
                深田  肇君
                山崎 順子君
                翫  正敏君
                紀平 悌子君
                三石 久江君
                安恒 良一君
   国務大臣
       法 務 大 臣  前田 勲男君
   政府委員
       法務大臣官房長  原田 明夫君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
       法務省刑事局長  則定  衛君
       法務省矯正局長  松田  昇君
       法務省保護局長  本間 達三君
       法務省人権擁護
       局長       筧  康生君
       法務省入国管理
       局長       塚田 千裕君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   涌井 紀夫君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   仁田 陸郎君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  石垣 君雄君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   高橋 省吾君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   木村  要君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第三課長    竹内  洋君
       大蔵省銀行局中
       小金融課金融会
       社室長      振角 秀行君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○平成七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成七年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成七年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (裁判所所管及び法務省所管)
○更生保護事業法案(内閣提出)
○更生保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律
 の整備等に関する法律案(内閣提出)
○阪神・淡路大震災に伴う法人の破産宣告及び会
 社の最低資本金の制限の特例に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法
 案(内閣提出、衆議院送付)
    —————————————
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中西珠子#1
○委員長(中西珠子君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 去る三月十四日、予算委員会から、本日三月十七日の一日間、平成七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 裁判所及び法務省関係予算につきましては、去る二月九日に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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糸久八重子#2
○糸久八重子君 糸久でございます。
 一九九五年度の予算は、村山内閣にとりまして初の本格的な予算編成でございます。先日、大臣が所信の中でおっしゃいましたように、「「安心して暮らせるやさしい社会」等の目標を実現していくに当たっては、法秩序の維持と国民の権利の保全を使命とする法務行政の役割がますます重要になる」とおっしゃいましたけれども、私もそのように思います。殊に、予算編成後に起きました阪神・淡路大震災につきましては、法務行政におきましても裁判所当局におかれましても機敏、迅速な対応をとられましたことを大いに評価いたしたいと存じます。
 さて、本日は予算の委嘱審査でございますから、一九九五年度予算において措置される事項を中心に若干の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、法務省も裁判所もその予算の八〇%近くが人件費であるだけに、政策的それから事業的な経費の確保には大変な御苦労がおありだろうと思います。法務省の次年度の定員は、財政事情の厳しい中で純増で百七十人が確保されることになっておりますし、また新たに設定されました公共投資重点枠につきましては、本年度補正で予算計上という形で要求の五十億円を超える五十七億八百万が認められ、法務大臣の予算折衝の活躍のほどがうかがえるところでございます。
 そこで、まず、大臣からごらんになりました一九九五年度の法務省予算の編成の御苦労なり査定の評価なりをお伺いさせていただきたいと思います。
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前田勲男#3
○国務大臣(前田勲男君) 予算編成に当たりまして、また予算編成の今日までの折衝の過程を通じて、大変財政事情の厳しいもとでございますけれども、まさに今日、法秩序の維持、国民の権利の保全について財政当局も極めて深い理解を示していただき、安心して暮らせる社会の基盤づくり、基本についての御理解をいただいたと思っております。
 また、特に昨今、国際化の進展というのが大変急激な速さで進んでおりますのと伴いまして、また複雑化にも向かっております。
 こうした中で、法務省が担当しております各種の業務分野、これもひとえに、事務量が増加をし、事案が複雑化し、困難化し、事務処理の一層の迅速・適正化が怠りなく行われなければならないというようなことも御理解をいただき、かつまた何よりも先生方の御理解、御支援をいただきまして、定員につきましても二千数十名減の中、法務関係は百七十名の増員も御理解をいただいてお願いをいたしておるところでございまして、こうした情勢のもとで法務行政に格段の理解を得て、現在、予算の御審議をいただいておるところでございまして、改めて先生方にも御支援を感謝申し上げたいと思っておるところでございます。
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糸久八重子#4
○糸久八重子君 裁判所にお伺いをいたします。
 裁判所定員につきましては、純増で三十六人が認められまして先般の裁判所職員定員法改正案の成立によりまして措置をされたところでございますが、また裁判運営の効率化及び近代化のための経費や裁判費の充実を図るための措置がとられることになっておるわけでございます。さらには、公共投資重点枠経費として身障者用エレベーター等にも六億一千九百万が配分をされております。
 裁判所は、財政法十八条の閣議決定がなされるまでに行政官庁とは異なった予算要求の御苦労もおありかと思いますが、その辺の感想も含めて裁判所当局の所感をお伺いさせていただきたいと思います。
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仁田陸郎#5
○最高裁判所長官代理者(仁田陸郎君) 裁判所につきましては、委員先刻御指摘のとおり、人件費がほとんどを占めます官庁でございまして、新しいまた積極的な事業を展開するという官庁ではございません。
 裁判所には各種の事件が持ち込まれてまいりますけれども、この種事件を適正かつ迅速に処理するということを使命にいたしております。また、この種の事件が民事を問わずあるいは刑事を問わず、このところ質量とも非常に増大をしてきております。
 この間の事情につきまして、私ども概算要求書を内閣に送付いたしまして以来、ずっと財政当局に御説明を尽くしてきております。私どもも財政当局も、双方とも、今御指摘の二重予算権というものがあることを頭の片隅に置きながら十分御説明をし、御理解を得てきているところでございます。
 その結果、今御指摘をいただきましたような定員につきましても相応の予算措置をいただきましたし、あるいはこのところふえております外国人事件の通訳の謝金等についても大幅な増額を認めてもらっております。また、裁判所を利用いたします国民にとって利便を図るという趣旨で、法廷が二階以上にあります庁舎につきまして身障者用のエレベーターを設置するということで御指摘の予算措置を得るなど、十分御理解を得ているというぐあいに考えております。
 そういう意味で、現下の非常に厳しい財政事情のもとで、全体に裁判所についても目配りの行き届いた予算措置をいただいたのではないかそのように考えているところでございます。
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糸久八重子#6
○糸久八重子君 私ども社会党は、先日、九五宣言案を決定いたしました。法務行政と密接な項目もたくさんありますけれども、二、三の点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 「政策目標」として、「新しい家族と男女の社会的平等」のあり方として、ここでは夫婦別姓案は選択の自由としておるわけでございます。
 現在、法制審において身分法の検討状況についてはどのようになっておりますか、今後の予定も含めて御報告を願いたいと存じます。
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前田勲男#7
○国務大臣(前田勲男君) お尋ねの婚姻制度に関する民法改正の法制審での検討状況でございますが、昨年の七月に民事局におきまして、法制審議会民法部会の審議結果を婚姻制度に関する民法改正要綱試案として取りまとめをして公表いたしました。ことしの一月二十日を期限として関係各界に意見照会をいたしておりまして、現在、お寄せをいただきました御意見の取りまとめの作業を行っておるところでございます。
 また、これとは別に、特にこの問題は国民お一人お一人すべてが極めて重大にかかわる問題でございますので、三月末までに、現在、家族法ホットラインという、直接国民の御意見をじかにお聞きをいただく回線を開設いたしまして、現在その御意見も賜っておるところでございます。
 そこで、今後は法制審議会におきまして、この発表いたしました試案に対する御意見やこの家族法ホットラインに寄せられた国民のじかの御意見、また昨年九月に総理府におきましてこの問題についての世論調査を行っておりまして、この結果を参考にいたしまして最終的な方向性を定めるための検討を続けておるところでございます。
 現在検討中のこれら問題は、申すまでもなく、まさに国民生活というより、もう国民お一人お一人の重大な関係、かかわりを有する問題でございますので、慎重な検討が必要であると考えておりますが、しかし、法務省としてはできる限り早い時期に適切な法改正が行えるように努力をしてまいりたいと思っております。
 具体的には、できれば来年早々の時期に民法改正法案を取りまとめをいたし、来年の二月ごろをめど、来年度じゅうにということになりますが、総会の了承を得まして答申をされることをめどに検討をしていきたい、かように考えております。
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糸久八重子#8
○糸久八重子君 「人権と環境」では、差別をなくす基本法の制定に触れておるわけでございますが、一月二十五日の施政方針演説に対する質疑で、我が党の久保書記長は、部落解放基本法の制定の必要性をただしました。村山総理は、同和問題に関しまして、「与党各党間の話し合いも進められておりますので、その議論の動向にも十分留意しながら、政府保与党一体となって対処してまいりたい」というふうに答弁をなされました。
 人権擁護行政を担当しておられる法務大臣に、部落解放基本法の制定についての所感をお伺いしたいと思います。
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前田勲男#9
○国務大臣(前田勲男君) 基本法についてでございますが、まず部落差別問題、同和問題については、平成三年の暮れでございましたか、地対協からの意見具申がございました。
 あらかた申し上げると、物的事業は進捗をし、あらかた峠をもう越えたと、ただ心理的差別、まさにソフトについてもかなり改善は見られておるけれども、なお問題を残しておるというような意見具申であったかと記憶をいたしております。
 今日も、総務庁から伺う範囲では、物的事業は大変順調と申しますか、残事業については従来の予定を少し早める程度に進んでおるというふうに伺っておりますし、私どもも全国すべて回れてはおりませんが、お見受けするところは大変ハードは進んでまいっております。しかし、心理的差別につきましては、なお差別事象も今日も、減ってはおりますけれども、いまだ残っておるという残念な状況下にあるわけでございます。
 こうした観点も踏まえて、残された現行法の二年間で、我々はこの問題の早期解決に努力をしていくということがまず何よりも大事なことであると思っております。この地対財特法の有効期限のあり方と申しますかこれにつきましては、前法が期限を迎えるに当たりまして、実は当時、与野党の協議会の、私、座長をさせていただいておりまして、その折にも、物的事業は峠を越し、終息、完結に向かうであろうが、まさに心理的差別の解消はなお今後注意を要する、これらの問題については協議会、その当時は機関を設けて、法期限後の対応について審議をする、こういうような趣旨で、実は地対協の中に総括部会を結果としては全会一致をもって置いていただいたということになっております。
 そんな関係もございまして、総括部会には現在もう大変精力的に審議を進めていただいておるところでございますし、かつまた与党の中におきましても人権と差別問題に関するプロジェクトチームをつくっていただきまして、大変与党各党間の話し合いも現在進められておりまして、これら同和問題の法律的な期限後の取り扱い等について御検討をいただいておると承知をいたしております。
 なお、同和問題に今日まで取り組んでまいりました一人としては、この問題はまさに国民的な課題でございますので、国会挙げて一致協力して全会一致で取り組んでいただきたいという、私は心からの願いを持っておる一人でございます。今後政府の統一的な方針が、こうした地対協総括部会あるいはこの人権と差別問題に関するプロジェクトチームにおきまして方向をお出しいただいて、それを受けて政府の統一的な方針が決まっていくものと、かように理解をいたしておるところでございます。
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糸久八重子#10
○糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
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平野貞夫#11
○平野貞夫君 平成会の平野でございます。
 去る二月二十二日に最高裁でロッキード事件に関する判決が出まして、十九年ぶりでございますが、その判決で、当時非常に問題となりました嘱託尋問調書の証拠能力が否定されたわけでございます。そのことに関連しまして若干のお尋ねを法務省当局と最高裁にしてみたいと思います。
 なお、誤解のないよう念のため申しておきますが、私はここで裁判の批判をするつもりはございません。あるいは、有罪になった人たちをかばうつもりもございません。大変、日本の司法制度あるいは司法行政の中で議論のあった点でございます。当然それを所管する法務委員会としても、ひとつの問題の整理をここでしておく必要がある、こういう認識に立った上のことでございます。
 そこで、まずお尋ねしたいのは、刑事免責を与えて調書を入手するに至った、簡単でよろしゅうございますので、経緯といいますかその手続、そういったことについてちょっと念のためお伺いしたいと思います。
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則定衛#12
○政府委員(則定衛君) お尋ねの点につきましては、今回、御指摘の最高裁判所の判決にその概要が判示されておりますので、正確性を期するためその該当箇所を、いささか早口になりますけれども、読み上げさせていただきたいと思います。
 東京地方検察庁検察官は、東京地方裁判所裁判官に対し、被告人檜山廣外二名に対する贈賄及び氏名不詳者数名に対する収賄等を被疑事実として、刑訴法二二六条に基づき、当時アメリカ合衆国に在住したコーチャン、クラッターらに対する証人尋問を、国際司法共助として同国の管轄司法機関に嘱託してされたい旨請求した。右請求に際して、検事総長は、本作証人の証言内容等に仮に日本国法規に抵触するものがあるとしても、証言した事項について右証人らを刑訴法二四八条により起訴を猶予するよう東京地方検察庁検事正に指示した旨の宣明書を、また、東京地方検察庁検事正は、右指示内容と同じく証人らを同条により起訴を猶予する旨の宣明書を発しており、東京地方裁判所裁判官は、アメリカ合衆国の管轄司法機関に対し、右宣明の趣旨をコーチャンらに告げて証人尋問されたいとの検察官の要請を付記して、コーチャンらに対する証人尋問を嘱託した。これを受けた同国の管轄司法機関であるカリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所は、本件証人尋問を主宰する執行官(コミッショナー)を任命し、まず、コーチャンに対する証人尋問が開始されたが、その際、コーチャンが日本国において刑事訴追を受けるおそれがあることを理由に証言を拒否し、クラッターらも同様の意向を表明し、前記検事総長及びその指示に基づく東京地方検察庁検事正の各宣明によって日本国の法規上適法に刑事免責が付与されたか否かが争われたところから、右連邦地方裁判所ファーガソン判事が、コーチャンらに対する証人尋問を命じるとともに、日本国において公訴を提起されることがない旨を明確にした最高裁判所のオーダー又はルールが提出されるまで本件嘱託に基づく証人尋問調書の伝達をしてはならない旨裁定した。そこで、検事総長が改めてコーチャンらに対しては将来にわたり公訴を提起しないことを確約する旨の宣明をし、最高裁判所は検事総長の右確約が将来にわたり我が国の検察官によって遵守される旨の宣明をし、これらが右連邦地方裁判所に伝達された。これによって、以後コーチャンらに対する証人尋問が行われ、既に作成されていたものを含め、同人らの証人尋問調書が順次我が国に送付された。
 以上の次第でございます。
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平野貞夫#13
○平野貞夫君 御説明によりますと、日本の検察側と最高裁で刑事免責の宣明が行われ、丈書、宣明書というような形になったと思いますが、以後、捜査の一つの重要な材料となって捜査が展開していくわけでございますが、この宣明書あるいは宣明の日本の国内法的根拠というのはどこに某づいた行為だったんでしょうか、法務省、最高裁、両方から。
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則定衛#14
○政府委員(則定衛君) まず、検察官の宣明につきましては、この東京地検検事正が検事総長の指揮により、刑事訴訟法三百四十八条で認められた検察官の起訴猶予権限を行使したとの見解に立っておりまして、ロッキード事件の公判におきましてもその旨主張しまして、嘱託尋問調書の証拠請求を行ってきたものと承知しております。
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高橋省吾#15
○最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) 最高裁判所による宣明につきましては、これまでも国会において御説明しているところでございますけれども、最高裁としましては、地裁裁判官の行った証人尋問嘱託の目的を達成するため、すなわち東京地裁裁判官の裁判権の行使を円滑に実現するための司法行政作用として行ったものであります。この司法行政作用の根拠としましては、裁判所法の第十二条であります。
 一般に司法行政といいますのは、司法裁判権の行使や裁判制度の運営を適正かつ円滑に行わせるとともに、裁判官その他裁判所に属する職員を監督するために必要な一切の行政作用を請うと、このように理解されておりますけれども、最高裁としましては、このようにして地裁裁判官が行った証人尋問嘱託の目的を達成させることは、裁判権の行使を円滑に行わせるための司法行政作用の一環であると考えて宣明書を発したものでございます。
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平野貞夫#16
○平野貞夫君 専門家の御説明でございますので、それぞれ法的根拠、そのとおりだと、私が批判する立場じゃございませんが、常識論として見た場合、証言拒否してまだその証言の内容がわかる前ですね。初めから、すなわち最初から起訴しないとかするとかという結論を出して対応するということについては、正直、青いまして、常識論としていささかと思いますが、それを余りそれ以上言うと、司法権と国政調査権とのかかわりに入りますのでその程度にとどめておきます。
 当時、私も多少のかかわりがあったんですが、率直に言って、そういったことは本来もう少し法的な明確な、いや、法律の中にそういった措置が本来はあるべきではないかというような感じを、当時、十九年前に持ったのでございますが、そういったことについて何かどうお感じになるかどちらからでも結構ですが。
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則定衛#17
○政府委員(則定衛君) その前提といたしまして、委員冒頭に御指摘になりましたように、今回の最高裁判所の判決におきまして、当時、相当の知恵を出した捜査手法といいましょうか、これで得ました証言の録取調書の証拠能力が否定されてしまったということになるわけでございます。
 私どもといたしましては、いささか戸惑いを覚えたわけではございますけれども、今後同種の事件が起こったときに、じゃどうするのかということの関連もあろうかと思いますし、あるいはその当時、今申されましたように、そういう刑事免責による証言確保の法的な手当てというものがあったならばという御感想もお持ちだと承りました。
 私ども、今回の判決を受けまして、種々考えるわけでございますが、我が国におきまして刑事免責制度というものを仮につくろうということを考えます場合に、いろいろと問題があろうと思います。
 そのメリットといたしましては、特に社会の変化や市民の意識の変化等に伴いまして、率直に申しまして、なかなか関係者からの供述証拠の確保を初めといたします捜査活動が全般に大変困難化してきているという指摘もございますし、そのために御指摘のような刑事免責による供述証拠の確保ということは有効な面があることは否定できないと思います。
 ただ反面、これまた御指摘のように、免責を付与されなかった者と免責された者、これが最終的にはそれぞれの犯罪に関するかかわりぐあいということになるわけでございますけれども、いずれにしましても比較的捜査の早い段階でどちらかに免責を与えるということでございますから、この見通しは非常に困難な状況下での決断を迫られると。それが的確に行われるということが期待されるわけですけれども、場合によりますと、いわば本ボシといいましょうか、本来きつい責任を追及されるべき者が、その時点では免責してそこから供述を得ようという判断になる可能性もあるわけでございまして、その辺の判断というのは大変難しいものがあるだろうというのが一つございます。
 両者のそういう判断と取り扱い上の差異、それからまたせっかく免責をした場合に、果たして信用性のある供述が出るであろうかどうか、また供述が出ないときにどういうふうな制裁が考えられるのであろうか、そういったことを我が国の法制度全体と調和させた運営が迫られるわけでございますけれども、その場合に、国民の法意識、受けとめ方ということもいろいろと慎重に検討してみる必要があろうかこんな感じでございます。
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平野貞夫#18
○平野貞夫君 わかりました。
 私は、日本の司法権は、立法府とか行政府に比べて、立法府におる人間がそんなこと言っちゃいけませんが、はるかに国民の信頼は高いと思います。したがいまして、こういったことについてもいわゆる法治国としてのきちっとした、さらに権威を高めるための整備は必要だと思います。
 最高裁にお聞きしますが、証拠能力を否定した理由、それから一審、二審ではこれは証拠として採用されているかどうか、一言で結構ですから。
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高橋省吾#19
○最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) 嘱託尋問調書の証拠能力を否定した理由につきましては、最高裁判決によりますと、我が国の刑事訴訟法はいわゆる刑事免責の制度を採用しておらず、刑事免責を付与して得られた供述を事実認定の証拠とすることを許容していないと言うべきであるから、嘱託証人尋問調書の証拠能力は否定される、簡単に言いますと、こういうことでございます。
 一、二審の方につきましては、嘱託証人尋問調書の証拠能力を肯定しております。
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平野貞夫#20
○平野貞夫君 わかりました。
 私は法学部の出身ですけれども、大学の授業には、刑事訴訟法には一時間しか 一回しか出席しなかったものですから専門的なことは余り、それ以上お尋ねしません。
 大臣、刑事局長が衆議院で刑事免責制度の法的整備についての発言もされております。私も、犯罪の国際化、組織化、一国の制度ではカバーできない、非常に深刻な状態になっていると思いますので、国会としてもこの問題は本格的に取り組む必要があると思っております。
 それから、最高裁の判決は絶対でございますので、なぜ調書の証拠能力を否定したかということについては、最高裁は説明しろと言ったってしないと思いますが、察しまずに、やはりこういったことは国会で法律つくってやれということを言いたかったんじゃないかと思うんです。
 そこで、法務大臣、御記憶だと思いますが、ロッキード事件が起こった十九年前に、お父さんは参議院の副議長をやられていました。たしか大臣は秘書をやられていました。それで、私は衆議院の議長の秘書をやっていまして、両院議長裁定とかいろいろ大きな政治問題が出てきて、今日の政治改革のもとになった一つの事件なんです。
 ですから、当時の活躍された河野謙三議長も亡くなり、前尾議長も亡くなり、一番の当事者の田中先生も亡くなり、かかわった人というのはやっぱりこの裁判の最終行方については、それぞれの思いというものがそれぞれの立場であると思います。また、日本の司法制度そのもの、司法行政そのものの根幹にもかかわる問題であったと思います。
 そういった点から、大臣の今後のこういった問題に対する対応の姿勢、方針のようなものをお聞かせいただきたい。
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前田勲男#21
○国務大臣(前田勲男君) 実は私も法学部でございますが刑法をとっておりませんで、この立場でお答えするのはいささか。
 ただ、あの当時、私も参議院の副議長秘書をしておりまして、ロッキードの灰色高官の発表の秘密会の扱いでございますとか大変思い出もあることでございます。
 今回の判決の内容につきましては、当然尊重する立場にあり、コメントは差し控えるということでございますが、刑事免責の導入云々等についての法務省の考え方はどうかということを改めてもう一度お答えを申し上げますと、先生おっしゃるとおり、まさに国際化を初めとして捜査活動が大変難しくなってきておるというのはもう全く事実でございまして、特に供述と引きかえに刑事責任を免責する捜査方法、これは諸外国、アメリカ等でもそれなりの証拠収集上有効な面を有しておるということも理解をいたしておるところでございます。
 そこで、先ほど刑事局長からもお答え申し上げましたが、この制度そのものはやはり非常に難しいと申しますか免責を付与された者とされなかった者の処分上の差が生じてくるというような、今までの日本の伝統的な考え方には全くないことでございます。免責をそれじゃ与えるのはどのような対象になるのかそのような基準をいかなる手続でどのように選択するか、またその供述の信用性をいかに確保すべきか、これは我が国の法制度全体の極めて根幹にかかわる大きな問題でございますが、刑事免責そのものの制度の果たす役割でございますとか有効な面も踏まえながら、法務省といたしましても、国民の意識等も十二分に配慮しながら検討、勉強をしなければならないということで取り組んでまいりたい、かように思っております。
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平野貞夫#22
○平野貞夫君 結構でございます。
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山崎順子#23
○山崎順子君 平成会の山崎です。
 昨日、ちょっと更生保護施設についての御質問をさせていただきましたが、きょうは、民間と国立という違いはございますけれども、やはり罪を犯した方々の更生のためにある婦人補導院について少し御質問させていただきたいんですけれども。
 かつては大阪、福岡、東京と三カ所あったと聞いておりますが、今は東京八王子にある東京婦人補導院だけですが、こちらは今定員二十名で、約六カ月間入所できるということなんですが、現在何人ぐらいの入所者がいらっしゃるのか、ちょっとお聞かせください。
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松田昇#24
○政府委員(松田昇君) 現在のところは収容人員はゼロでございます。平成三年の五月から収容した者はおりません。
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山崎順子#25
○山崎順子君 平成三年から収容人員がゼロということなんですが、こちらにいただいたパンフレットなどを見せていただきますと、体育館があり、調理室があり、グラウンドも広くて、救護の診察室もあり、レクリエーション室があり、園芸作業ができるような状況があり、大変整った、カウンセリングもできるような、いい施設なんですけれども、これはなぜ収容人員がないのかをちょっとお聞かせいただけますか。
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松田昇#26
○政府委員(松田昇君) お答えいたします。
 最初、三十三年に売春防止法ができました後に、三十五年では四百八人の収容があったんでございますけれども、それがだんだん減少いたしまして、先ほど私、ちょっと一年間違えて申し上げましたけれども、平成四年の五月から収容人員がゼロになって現在に至っております。
 悪質な売春行為をする女性の場合には実刑になりまして女子刑務所に参っておりますことが一つと、もう一つは売春の形態自体が非常に潜在化して、売春防止法の五条で、路上で人の目を引くような形で、いわゆるそでを引くというような形の行為をする女性が少なくなってきたということ自体にもあろうかと思います。
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山崎順子#27
○山崎順子君 おっしゃるとおりだと思うんですけれども、潜在化しているということで、決して売買春がなくなっているわけではないと思うんですね。そういう意味からは、この施設が十分本来だったら活用できるのではないかと思うのですけれども。
 売買春に限らず、例えば私などはずっと随分家族の、夫婦関係の相談を受けておりますけれども、随分夫の暴力を受けて逃げてくる方ですとかそれから娘と父親、といっても実の父親もありますし、継父という形のケースもあるんですが、外には出ていない近親姦なども多くて、娘と一緒にどこかへ避難したいという方が大変多いんですけれども、そういった売春防止法第五条違反の罪だけのそういった設置目的というのはもういかにも古くなっているかもしれませんので、この設置目的のこの第五条にもし縛られていて入所者が少ないというのであれば、これを変えて範囲を広げることができないのかなというふうに思うんですね。
 今現在、四年からずっとゼロという状況ですが、現実にはそういった立派な施設があり、そして年間六千二百万ですか、それだけの補助も出ているということですから、そんなもったいないことはないんで、私はそれを、こんなもったいないから予算を削れということを言いたいわけではありませんで、逆に、せっかくの施設とそれだけの国の予算があるのであればもっと活用できないかという形で、何かお考えがございましたら教えていただきたいんですが。
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前田勲男#28
○国務大臣(前田勲男君) この婦人補導院につきましては、先ほど矯正局長からも、また先生御承知のとおり、五条に触れ、そのもとで婦人補導院に収容すべき女子と、こういうことになるわけでございますが、先ほど最近の売春の傾向等も話がございましたが、それじゃこれからは絶無となるかどうかというのは、これはまあ先のことでございますし不透明でございます。
 それからまた、婦人補導院に対する補導処分を言い渡す裁判が今後それじゃ全くなくなるかということも、これまた確定しがたい事実、状況でございまして、法律的にかたく申し上げれば、今、予測しがたい状況にあると、こういうことであろうと思っております。
 それともう一つは、今までのこうした目的で設立されたまさに施設でございまして、大変立派な施設でございますけれども、これが売春防止法違反の女子の中で特別な要件に該当した、まさに婦人補導院行きの女子ということで今日まで取り組んでまいりました観点から、例えば考えられますのは、一般の罪を犯した婦人、この人に広げるということもなかなか法律的にも難しいし、今日までのイメージもある意味ではあるわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、私も大臣に就任して、ここ三年、その前からもう一けたも三人とか四人とかですね、行政改革上もうやめちまったらどうだという意見も実は現場に申し上げたこともあるんですが、ただ、やめるばかりが行政改革ではございませんし、立派な施設もあるし、私もあのパンフレットで見る限り、こんなすばらしいものがあったかと改めて気づいたわけでございますので、特に委員の貴重な御指摘もいただきましたので、それらを踏まえまして、適正な運営を図るべくいろいろな角度から一度検討してまいりたい、かつまた、これもなかなか難しゅうございますので慎重に考えてまいりたいと、かように思います。
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山崎順子#29
○山崎順子君 実は、東京都女性相談センターというのがあるのを御存じかと思いますけれども、ここも昭和三十二年の四月に売春防止法に基づく東京都婦人相談所として設立されたんですね。それが、我が国は御存じのように高度経済成長からバブルの崩壊等、社会経済状況が大きく変化しまして、女性の生き方とか家族のあり方等も変わってまいりました。このような状況に対応するために、昭和五十二年に条例改正で、従来からの婦人相談所の業務に加えて、緊急の保護または自立のための援助を必要とする女性を対象に相談、保護を行う機関として女性相談センターという形、名前も改められたんですけれども。
 私どものところに、十カ月の身重で夫の暴力やそれから嫁しゅうとめ問題、いろんなものが重なって別れたいと御相談に来た方がいらっしゃるんです。そういった方が結構子供連れでいらっしゃるんですが、うちも民間で私の原稿料だけで支えているようなとてもスペースも何もないところで、泊めてあげたい人がしょっちゅういるんですね。だけど、どうしようもありませんので、この東京都の女性相談センターは一時緊急保護もやっておりますから、お電話して、ぜひきょう夜、泊めていただきたい、そしてあした福祉事務所の方で何か相談に乗ってもらえるような形にできないかと電話いたしましたら、ここもせっかく間口を広げましたのに、東京都の運営なので東京都の住民しかだめだと言う。
 その十カ月の身重の女性は、そのとき、茨城だったか千葉だったかの方だったんですが、その人はだめだと言われたんですが、彼女は、いや、それでもまさか行けば泊めてもらえないことはないだろうというので夕方行ったんですね。そうしたら、やっぱりだめだったと言って、自分の地元の母子寮の方の緊急保護に行きなさいと。それを聞いたタクシーの運転手さんが、何て気の毒など言って、タクシー代要らないと言って送ってくれたというので、彼女が電話をしてきまして、行政よりもずっと民間の人の方が親切だというような、そういった話がたくさんございます。
 東京都のこの女性相談センターを、私たちは女性たちで運動して、ぜひ国立のような形で全国のそういった緊急保護を必要とする女性たちのために活用できないかという運動もしたんですけれども、今のところだめで、そうしますと、この婦人補導院は国立ですから、もしそういった形に何とか改められれば女性のための緊急保護という形ができるんじゃないかなと思うんですね。ぜひ前向きに御検討いただければと思います。
 二一日お願いします。
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