財政構造改革の推進等に関する特別委員会

1997-10-31 衆議院 全171発言

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会議録情報#0
平成九年十月三十一日(金曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 中川 秀直君
   理事 甘利  明君 理事 佐田玄一郎君
   理事 白川 勝彦君 理事 中山 成彬君
   理事 野田 聖子君 理事 北側 一雄君
   理事 中井  洽君 理事 海江田万里君
   理事 児玉 健次君
      浅野 勝人君    小野 晋也君
      大石 秀政君    大野 松茂君
      奥山 茂彦君    木村 隆秀君
      小林 多門君    佐藤  勉君
      桜田 義孝君    実川 幸夫君
      田中 和徳君    竹本 直一君
      谷畑  孝君    中野 正志君
      西川 公也君    穂積 良行君
      目片  信君    持永 和見君
      渡辺 博道君    渡辺 喜美君
      安倍 基雄君    赤松 正雄君
      一川 保夫君    太田 昭宏君
      岡田 克也君    左藤  恵君
      斉藤 鉄夫君    鈴木 淑夫君
      田端 正広君    谷口 隆義君
      中野  清君    西川 知雄君
      原口 一博君    池田 元久君
      石毛 鍈子君    生方 幸夫君
      五島 正規君    佐々木憲昭君
      矢島 恒夫君    秋葉 忠利君
      濱田 健一君    粟屋 敏信君
      上田 清司君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  橋本龍太郎君
        法 務 大 臣 下稲葉耕吉君
        外 務 大 臣 小渕 恵三君
        大 蔵 大 臣 三塚  博君
        文 部 大 臣 町村 信孝君
        厚 生 大 臣 小泉純一郎君
        農林水産大臣  島村 宜伸君
        通商産業大臣  堀内 光雄君
        運 輸 大 臣 藤井 孝男君
        郵 政 大 臣 自見庄三郎君
        労 働 大 臣 伊吹 文明君
        建 設 大 臣 瓦   力君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     上杉 光弘君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)村岡 兼造君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 小里 貞利君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      鈴木 宗男君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 久間 章生君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      尾身 幸次君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      谷垣 禎一君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 大木  浩君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 亀井 久興君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 大森 政輔君
        内閣法制局第三
        部長      阪田 雅裕君
        人事院総裁   中島 忠能君
        人事院事務総局
        管理局長    尾木  雄君
        人事院事務総局
        職員局長    佐藤  信君
        総務庁長官官房
        審議官     西村 正紀君
        総務庁人事局長 中川 良一君
        経済企画庁調整
        局長      塩谷 隆英君
        経済企画庁総合
        計画局長    中名生 隆君
        経済企画庁調査
        局長      新保 生二君
        科学技術庁長官
        官房審議官   興  直孝君
        外務省アジア局
        長       阿南 惟茂君
        外務省経済局長 大島正太郎君
        外務省条約局長 竹内 行夫君
        大蔵省主計局長 涌井 洋治君
        大蔵省主税局長 薄井 信明君
        大蔵省理財局長 伏屋 和彦君
        大蔵省銀行局長 山口 公生君
        文部大臣官房長 小野 元之君
        文部大臣官房総
        務審議官    富岡 賢治君
        文部省初等中等
        教育局長    辻村 哲夫君
        文部省教育助成
        局長      御手洗 康君
        文部省高等教育
        局長      佐々木正峰君
        厚生大臣官房総
        務審議官    田中 泰弘君
        厚生省年金局長 矢野 朝水君
        社会保険庁運営
        部長      真野  章君
        農林水産大臣官
        房長      堤  英隆君
        農林水産省構造
        改善局長    山本  徹君
        食糧庁長官   高木 勇樹君
        水産庁長官   嶌田 道夫君
        通商産業大臣官
        房商務流通審議
        官       岩田 満泰君
        通商産業省環境
        立地局長    並木  徹君
        特許庁長官   荒井 寿光君
        中小企業庁長官 林  康夫君
        中小企業庁小規
        模企画部長   寺田 範雄君
        郵政大臣官房総
        務審議官    濱田 弘二君
        郵政省貯金局長 安岡 裕幸君
        郵政省簡易保険
        局長      金澤  薫君
        労働大臣官房長 渡邊  信君
        建設大臣官房長 小野 邦久君
        建設大臣官房総
        務審議官    小鷲  茂君
        建設省都市局長 木下 博夫君
        自治大臣官房総
        務審議官    嶋津  昭君
        自治省財政局長 二橋 正弘君
 委員外の出席者
        財政構造改革の
        推進等に関する
        特別委員会調査
        室長      大西  勉君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月三十一日
 辞任         補欠選任
  渡辺 喜美君     奥山 茂彦君
  赤松 正雄君     斉藤 鉄夫君
  谷口 隆義君     鈴木 淑夫君
同日
 辞任         補欠選任
  奥山 茂彦君     渡辺 喜美君
  斉藤 鉄夫君     赤松 正雄君
  鈴木 淑夫君     谷口 隆義君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 財政構造改革の推進に関する特別措置法案(内
 閣提出第一号)
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整
 備計画の一部変更について承認を求めるの件
 (内閣提出、承認第一号)
     ――――◇―――――
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中川良一#1
○中川委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件の両案件を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淑夫君。
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鈴木淑夫#2
○鈴木(淑)委員 おはようございます。新進党の鈴木淑夫でございます。
 本日は、財政構造改革の推進に関する特別措置法案に反対する立場から、総括的な質疑を行わせていただきたいというふうに思います。
 初めにはっきりさせたいことでございますが、私ども新進党が、財革法と略させていただきますが、この財革法案に反対しておりますのは、財政構造改革あるいは赤字削減を中期的目標として追求することに反対しているからでは決してありません。私どもが発表した「日本再構築宣言」に明記してございますように、私どもは中期目標として、財政構造改革、財政赤字削減を実施することを非常に大切な政策として政策体系の中にきちっと位置づけているのであります。
 それにもかかわらず、どうしてこの法案に反対かといいますと、この法案を実施に移すと、財政構造改革あるいは財政赤字削減に失敗するだろうと思うからです。むしろ逆行しているからであります。最初にそのことをはっきり申し上げて、質疑に入りたいと思います。
 なぜ私どもは、この法案は財政再建に逆行している、これでは赤字削減に失敗すると考えているかと申しますと、大きく言って、二つ、この法案に問題があるからであります。
 一つは、これは先週二十一日火曜日の当委員会においてるる申し上げましたことでありますが、この法案によりますと毎年毎年赤字を削減していく、その意味で柔軟な景気刺激策を含む景気対策を財政政策でとることを不可能にし、手足を縛ってしまっている。そのことから、経済が長期停滞に陥れば税収が落ち込んで、財政赤字は逆に拡大するぞということであります。
 もう一つは、これは歳出削減についていわゆるキャップをかぶせているわけですが、項目別にキャップをかぶせている、別の言葉で言えば、何のことはない、項目別のシーリングであって、これはプラスシーリング、ゼロシーリング、マイナスシーリング、分かれているだけだと私は思います。しかし、単なる歳出繰り延べを内容とするようなこのキャップでありますから、この経済に対するデフレ効果というのは極めて大きいだろうというふうに思います。
 もし歳出の構造を、規制緩和とかあるいは地方分権、そのことによって要らなくなった行政組織の縮減とか、そういう形で構造を動かしながら歳出を抑えていくならば、実質ベースで見た歳出というのは必ずしもそんなに落ちないし、むしろ経済効率を高める方に動きますので、そのデフレ効果は小さいと思うのでありますが、このように単なる繰り延べであると、大変にデフレ効果が大きい。
 以上の二つの理由で、これを実施に移したら、かえって日本の財政赤字は拡大してしまう、そのことを憂えるがゆえに、こんな法案を成立させてはだめだと言って反対しているわけであります。
 さて、今申し上げましたことをもう少し掘り下げて、質疑の形で展開させていただきたいというふうに思います。
 まず第一点、毎年毎年、財政政策に縛りをかけている、赤字国債、そして法の精神からいえば財政赤字そのものをびた一文ふやしちゃならぬ、この縛りがあるゆえに、経済に対して非常に深刻な、中期停滞的な影響を及ぼすであろうという点から入りたいと思います。
 尾身企画庁長官に確認のために質問をさせていただきたいのでありますが、この財革法案の定義、SNA上の一般政府の貯蓄・投資バランスとして定義してありますが、この財政赤字の対GDP比率が過去において、高度成長が終わった後で結構です、七〇年代後半以降今日まで、三%を上回りた時期というのはいつであり、そのとき民間経済は一体どういう状況であったか。例えば、民間の貯蓄・投資バランスはどうであったか、経常収支はどうであったか、この点について、ごく簡単で結構でございますから、確認の意味を含めてお答えいただけますでしょうか。
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新保生二#3
○新保政府委員 お答えいたします。
 一般政府の財政赤字がGDP比で三%を上回りましたのは、第一次石油ショック直後、七五年から八二年まで三%を上回っております。それから、ごく最近では九五年度に四%ということで三%を上回っております。
 まず、七五年以降の民間の余剰、貯蓄超過幅でありますが、御承知のように、石油ショック後の景気後退も反映しまして、七五年から七七年にかけては貯蓄超過が大きくなっておるわけであります。その後、七九、八〇年と第二次石油ショックが起きまして、貯蓄超過幅がさらに縮小するという形になっております。
 これを受けまして、経常収支の動きも、七五年から七七年ぐらいまでは黒字がふえるという形でしたが、七九、八〇年は石油ショックの影響もあって縮小する、そういうような動きになっております。
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鈴木淑夫#4
○鈴木(淑)委員 ありがとうございました。これは確認の意味で質問したわけでございます。私の手元にも正確なグラフと数字がございます。おおむね、今の政府委員のお返事のとおりであります。
 私がなぜこんな質問をしたかといいますと、財政赤字の対GDP比率が三%を上回っているときは、常に民間の貯蓄超過が拡大しております。民間の貯蓄超過がなぜ拡大しているかといいますと、大体、民間貯蓄の対GDP比率というのは大きくは動きませんから、そういうときというのは、民間投資がすっかり落ちこんで民間投資の対GDP比率が低下しているために民間の資金余剰が拡大をしているときであります。唯一例外的には、七九年から八〇年のところの第二次石油ショックで経常収支が急激に赤字になったときというのがございます。
 これは、また総理に大学の講義みたいだと言われそうですが、もう先生方、百も御承知のように、財政赤字というのは、イコール民間の黒字マイナス経常収支の黒字なんですね。この恒等式の関係は常に保たれております。だから、財政赤字が三%を超えてしまっているときというのは、民間投資が落ち込んで民間の黒字が拡大してしまっているとき、あるいは何かのはずみに石油ショックのようなことで経常収支の赤字が拡大したときなんですね。
 これはもう例外的だからどけますと、財政赤字の対GDP比率を下げたければ何をしたらいいかといえば、民間の黒字を縮小したらいい。民間の黒字を縮小させるためには何をしたらいいかといったら、民間の投資の対GDP比率を引き上げればいいんですよ。いつでも、民間投資の対GDP比率が落ち込むような経済の停滞局面において財政赤字は拡大しているのです。つまり、財政赤字縮小の唯一の道というのは民間投資刺激なんですよ。これを確認するために、今企画庁にお答えいただいたわけであります。
 民間投資が伸びて民間投資が経済の成長を引っ張る民間主導型の経済成長のときはなぜ財政赤字が縮むかといえば、二つの理由で縮む。
 一つは、民間が引っ張ってくれているから、財政面から刺激をしないで済む。歳出の拡大なんかしないで済む。もう一つは、民間が引っ張っていますから、活況を呈して、民間からの税収がどんどんふえます。ですから、両面から財政の赤字が縮んでいくのですね。
 昨年、OECDがこの財革法案の定義にある財政赤字、黒字、これが歳出面と歳入面のどういう動きによって拡大したか縮んだかを詳しく調べて発表したものがございます。
 これも企画庁さんに聞いてもいいのですが、もう御存じでしょうし、時間を節約する意味で私が申し上げますが、九一年、これはバブル景気が終わった平成不況の初年度で、まだ余熱のあるときですね。このとき、実はこの財革法上の財政は黒字であります。その対GDP比率は実に二・九%です。これが最近の数字としてわかっている九六年に、赤字の四・八に落ち込んだのですね。二・九が赤字の四・八に落ち込みましたから、七・七%ポイント悪化したわけです。
 なぜ悪化したかと歳入歳出面を見ますと、歳出が五・八%ポイントふえた。これは、景気刺激を一生懸命やった、あるいは分母のGDPが伸びないということもありますが、歳出の対GDP比率は五・八寄与していますが、それだけではないのですね。何と、歳入の側が曲がりなりにもふらふらしながら成長しているのに、税収が純減をいたしましたから、歳入の対GDP比率で一・九%ポイント赤字がふえている。つまり、そういう形で、歳入と歳出の両側から赤字が拡大しているわけであります。
 これは、さっき私が言ったことの裏返しなんですね。財政赤字が縮小するときは、民間投資が経済を引っ張っているときです。逆に民間投資が沈滞してしまうと、歳入では税収が落ちてしまうし、歳出では景気刺激しなければいけないから、両面から財政赤字が拡大してしまうわけです。
 ですから、間違いのない財政赤字の縮小策というのは、さっきから言っているように、民間投資を刺激することなんですよ。民間投資主導型の持続的経済発展に早く持っていくことなんですね。これがこの法案の中に全く欠けている。それどころか、逆です。そういう経済政策を縛っているのがこの法案であります。
 ここにもう一つこんなグラフがあるのですが、これはことしの七月三日の日経新聞に出たグラフであります。何かといいますと、米国政府の資料からつくったものでありまして、米国政府の赤字がどういう理由で最近縮んできたかということをグラフ化したものであります。
 御承知のように、九二会計年度には、米国政府の赤字というのは何と三千億ドルぐらいあった。それが最近は、とうとう一千億ドルを切ってきたわけであります。当時、九二、三年ごろに何と言われていたかというと、このままほうり出してお、けば三千億ドルの赤字は、九七、八年になると、最近になると四千億ドルに膨らんでしまうだろうというふうに言われていた。このグラフの一番上が、ほっぽり出しておけばここまで行くだろうというグラフなんですね。ところが実際は、ここまで下がったわけです。そして、現在ただいま一千億ドルを切るところまで下がっている。これだけ、ほっておいたケースに比べて三千億ドルも赤字が縮んだのですね。
 なぜ縮んだか。三千億ドルの縮小のうちの一千億ドルは、確かに政策努力による歳出削減です。ところが、二千億ドルは、三分の二は景気拡大に伴う税収増なんですよ。だから、赤字を本気で縮小させようとしたら、いかに民間支出主導型の持続的な成長軌道に乗せることが大事かということを米国の例も端的に示しているのであります。
 では、現在どうやって民間支出主導型の景気回復に持っていけるでしょうか。政府は、それは規制緩和だ、構造改革だとおっしゃる。それは、確かに中期的に見れば規制緩和でビジネスチャンスが広がる、そうすれば投資も出てくるでしょう。しかし、これはあくまで中期であります。
 短期的には、閣僚の先生方も委員の先生方もよく御存じのように、改革というのは短期的にはデフレ的でさえあります。それはそうですよね。規制緩和というのは、規制に守られていた、既得権益に保護されていたセクターが追い込まれていって、かわりに規制緩和で出てきた新しいビジネスチャンスを生かすセクターが伸びてくるんですから、優勝劣敗の世界が展開されますから、これは短期的にはデフレ的な効果を持つのですね。
 だから、規制緩和を初めとする構造改革だけで民間支出主導型の成長軌道に戻すことは不可能であります。むしろ、一時的には景気が悪くなることさえ考えておかなければいけないですね。それを国民に向かって、じっと我慢、じっと我慢、改革には苦痛を伴う、じっと我慢と言っているうちに、ずるずるずるずる景気の方が悪くなっているというのが私は現状だと思います。
 これはもう経済学が教えているように、経済学も、これはいいかげんな常識ではなくて一応社会科学なんですから、大勢の人が合理的に考えて考えてできている学問なんですから、経済学が教えているように、やはりマクロ的な景気刺激策が必要なんですよ、短期的に。そして、構造改革に伴う苦痛をそれで消して初めて民間支出主導型の成長に戻るんだと私は思うのですね。
 では、マクロ政策は何か。常識的には財政政策と金融政策です。ところが、金融政策、御承知のように、公定歩合〇・五%、長期金利に至っては、この前申し上げましたが、今世紀最低の水準が一・七%台だった、とうとうそれが一・六%台に下がり、瞬間風速で一・六を切ったりしている。こんな超低金利では金融政策は動けない。動けないというよりか、これはケインズの言うリクイディティートラップで、幾ら金融緩和しても投資が反応してくれない状態です。そうしたら、残りは財政政策しかないじゃありませんか。
 財政政策というのは、言うまでもなく歳出面と減税面、歳出増加か減税かという問題があります。しかし、歳出面については、私どもも、今の歳出というのは相当むだを含んでいると思います。むだを含んだままの歳出をふやしていくというのは問題であって、やはりこの法案の精神として出ているように、歳出は、さっき言いました規制緩和とか地方分権とか、あるいはそれに伴って要らなくなった行政組織の縮減とか、さまざまな方法でむだを排除する形で削減をしていかなければいけない。とすれば、残る対策は減税ということになります。大きな方向として直間比率是正なんですから、減税といった場合に浮かび上がってくるのは直接税の減税になってくる。
 そこで、先般来、法人課税の減税、所得課税の減税ということを言っております。これに対して、この前、私、尾身長官に質問いたしました。同じ質問は繰り返しませんが、片一方で歳出を削減しながら他方で減税をしたら、乗数効果として景気刺激になるかねという話ですね。
 これはまた先般と同じ東大の財政学の正教授の井堀さんの議論を引用させていただきますが、そしてそれは同時に今の経済学では常識になっておりますが、これは刺激効果を持つのであります。この前、尾身長官は、公共投資あるいは歳出削減のマイナスの乗数効果の方が減税のプラスの乗数効果より大きいのは常識だ、だから歳出削減をしながら減税したってだめだ、むしろ乗数効果はプラス、マイナスでマイナスだとおっしゃった。それで、それが経済学の常識だとおっしゃったのに対して、私は、それは古いケインズ経済学の常識ですよ、現代経済学の常識ではないと申し上げたんですね。
 なぜそういうふうに申し上げたかといいますと……ヤジ質問、質問はそのうちしますよ。尾身長官が余りお困りになったら悪いだろうと思って、私、答えまでしゃべってしまっているんですが、そんなにお答えになりたいなら質問いたしますがね。
 今言っているのは、先週の火曜日の質疑の確認をさせてもらっているんですね。非常に大事なことは、減税をするときに、将来また増税ですよと言ったら、国民は減税で豊かになったものを貯蓄に回してしまう。ところが、この減税は恒久減税です、将来増税しません、なぜなら他方で歳出をカットしているから、このとき一番減税の効果は大きくなるんですね。これが現代経済学のポイントです。
 要するに、減税の乗数効果というのは、人々が将来増税されると思っているか、恒久減税だと思っているかにかかっているんですよ。これは、さっきから言っているように、現代経済学の常識だし、東大の井堀教授、財政学の正教授もそう言っているんです。
 長官、この前長官は現代経済学の常識ではそういうことは起きないようなことをおっしゃいましたが、長官は同時に、口を開くと、期待が大切だ、人々は将来どうなるかと予想している、その予想が非常に大事だと言っている。僕は、長官はいいことを言っていると思いますよ。もしそうならば、将来増税するかしないか、増税予告つきの減税なんというのは全然乗数効果はない。だけれども、これは恒久減税だと言ったときには非常に乗数効果は大きくなってくる。その点、長官はどうお考えですか。
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中川良一#5
○中川委員長 鈴木君にちょっと申し上げますが、これは質疑でございますので、そんなにお答えになりたければお答えさせてあげるという発言は御注意ください。
 尾身経企庁長官。
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尾身幸次#6
○尾身国務大臣 まず、政府の財政支出を、もちろんむだを省いていくことは大変大事なことでございます。同時に、政府の財政支出はいわゆる政府の財貨・サービス購入ということになっておりまして、一回物を買う、あるいは一回支払いをするということになりますので、それ自体景気効果がございます。そしてまた、その波及効果、いわゆる乗数効果がその後に続いてくるわけでございます。
 減税の場合には、一遍懐にそのまま入りますが、貯蓄に回る分もございまして、そこから先の乗数効果でございまして、経済に対する効果という点から見たら、私は財政支出、つまり政府の財貨・サービスの購入の方が、他の条件が同じであれば、国民経済に対する影響はそちらの方が減税よりもプラスになるというふうに考えておりまして、一人や二人の学者はどうおっしゃっておられるか知りませんが、全体の学界としては、これが常識だと思っております。
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鈴木淑夫#7
○鈴木(淑)委員 条件が同じならばとおっしゃいましたが、それこそが間違いなんですね。条件は変わるのであります、将来の予測で。今のお答えは、限界貯蓄性向、限界消費性向一定という条件が変わらなければという前提でお話しになっている。そうじゃないんですよ。限界貯蓄性向、限界消費性向は、将来の予測によって変わるんです。その予測を入れてこないような経済学というのは、本当に古臭いケインズ経済学なんですね。
 それから、歳出をすればまず懐へ入るとおっしゃるが、歳出の中にはむだもたくさんあるし、土地買収費もあるし、全部が支出に回るなんということは絶対にあり得ないということも申し上げておきましょう。
 そういうわけで、総理、私が今申し上げていることは、財政赤字を本気になって減らすためには、どうしたって民間支出主導型の成長へ持っていかなければだめですよ。民間支出主導型の成長へ持っていくのに、今おやりになっているように構造対策だけでは、既に沈滞している経済に対してむしろデフレ効果の方がいって、大変なことになりますぞ。やはりマクロ的な景気対策しかないでしょう。その場合に、さっき言ったように金融政策は動けない、財政支出はむしろむだを排除するのだという話になったら、減税、それも直接税減税でしょう、その効果はありますよということを申し上げたわけです。
 もう一つ、この法案は実は財政赤字削減に成功しないのじゃないかと言っているのは、先ほども申し上げましたように、歳出のむだを排除して、規制緩和や行政改革と表裏の関係で歳出を削減していこうという発想が法案には入っていない。法案の中に書いてありますことは、いわゆるキャップで、プラスシーリング、ゼロシーリング、マイナスシーリングと並べてあるだけで、構造をいじるのだ、そしてその結果として歳出を切るのだということを明記しておられないですね。これが私は問題だというふうに思います。
 公共投資を例に挙げて申し上げたいのでございますが、私ども新進党は「日本再構築宣言」の中に明記しておりますように、公共投資については二つの方法でむだを排除していきたいというふうに思っております。
 一つは、単価の引き下げです。バブルのときに民間も公共投資も単価が非常に上がりました。その後、民間は必死のリストラをやって、価格破壊でありますから、相当下がった。公共投資の単価はほとんど下がっていない。そのために、これは建設省の統計でありますが、三、四割建設単価に違いが出ているという統計もございます。ですから、今の指名入札制度を廃止して、もっと競争を促進して単価を下げていくことはお考えにならないのですか。それをいたしますと、公共事業費は、予算額としては、名目額としては抑えていても、実質ベースでは公共投資は伸びることが可能になりますので、景気に対する悪影響は極小化できるわけですね。
 私ども、再構築宣言にもう一本非常に大事なことを言っております。それは、今のように中央省庁が五カ年計画なら五カ年計画をつくって、それに沿ったプロジェクトを持ってきた地方公共団体に補助金をつけるという制度は、むだが多過ぎますよ。これはまず交渉事で、官官接待とか交通通信費だとか書類作成、大変な手間がかかる。このむだを省くため、そして地方のどこにインフラが不足しているかなんということは地方の方がよく知っているのですから、一括して資金を交付して地方公共団体に公共投資を考えさせれば、同じ予算額でも大変効率が高まるじゃないかということを言っております。
 この二本の柱で公共投資の効率を高め、単価を下げるならば、予算額として抑えていっても実質の公共投資がふえますから、デフレ効果は非常に小さくなってくるのですよ。
 建設大臣、恐縮でございますが、恐らく私が今言っているような、新進党が言っているようなことはそちらでも御検討だと思うのですね。ここの法案には出ていないのですが、それをおやりになるお気持ちがございましょうか、お伺いいたします。
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瓦力#8
○瓦国務大臣 鈴木委員にお答えいたします。
 むだはないかと、限られた財政状況の中にあるわけですし、貴重な資源を有効に公共投資に回しながら住宅・社会資本整備に取り組んでいく、このことは私どもに与えられた最大の課題でございますから、さような努力を怠りなくやっておるわけでございます。
 今御指摘のように、これは本年四月になりますが、公共工事コスト縮減対策に関する行動指針、いわゆる行動指針というものを定めて、今各省庁協力をしながらコスト縮減、このことに努力をし推進しておるところでありまして、それの果実効果も出てきておるわけであります。こうしたことは常々やっておるわけでありますが、これからもさらに日々そういう努力をしなければならぬ課題だ、こう心得ております。
 それで、具体的取り組みの中では、物流の効率化、技術開発促進、こういったことを通じまして、資材コストの縮減、それから委員が今御指摘の民間コスト縮減技術、こういったことを意欲的に取り入れて検討を加えながら実施をしておるわけでありまして、入札・契約方式の点にもお触れでございますが、このことにつきましても、試行をしながら推進をいたしておるわけであります。
 なお、委員からは補助金の問題等につきまして御指摘もございますが、これは国と地方の適切な役割というものがあるわけでありますので、これらにつきましても、広域的な観点から施設の整備を行うとか、住宅・社会資本整備につきましては、やはりこれは全国的にバランスのとれた施策を講じていかなきゃならぬ。いわゆるシビルミニマム、ナショナルミニマムと申しますか、こういったことを確保してまいるということは大切なことでございます。
 加えて言いますと、国家プロジェクト、これらもあるわけでありますから、有効な方法を講じまして、こういう景気状況の中でありますから、一層、官だけではなしに民間の力も巻き込みながら、財政運営も知恵を出し合いまして推進をしたいという取り組みをいたしておるところであります。
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鈴木淑夫#9
○鈴木(淑)委員 どうも瓦大臣ありがとうございました。
 公共投資の単価引き下げ、そのための入札制度の検討等をなさるということでございますが、これはもうぜひとも早急にお願いをしたいところであります。
 それから、補助金に関連しておっしゃいました。
 私ども新進党も、再構築宣言の中に明記しておりますように、国家的なプロジェクト、中央で決めなきゃいけないようなプロジェクト、ハブ空港とかハブ港とかその他基幹的な交通通信とか、そういうものは国でやるべきなんだよということをはっきり言っております。
 しかし、今、余りにも細かいことまで、国が五カ年計画を決めて、これに合ったプロジェクトを持ってきたものにしか補助金をつけないぞということをやっていると私どもは思うのですね。これを全部洗い直して、規制緩和、行政の過剰介入をやめる、中央の地方に対する過剰介入をやめるという観点からぜひとも洗い直していただきたい、洗い直すべきだというのが私どもの主張です。
 その上で、こんな細かいことは地方地方の事情によるんだから、地方公共団体に任せた方が投資効率はいいという部門を中央で決めるのはやめなさい、補助金やめなさい、一括交付しなさい、こう言っているわけでありますから、根本的な考え方において食い違いがあるのではない。違うのは、もっと切り込むところがあるじゃないですか、規制緩和の余地があるでしょう、それがうまくいけば行政組織が縮減できるじゃないですか、こういうことを言っているわけであります。
 さて、以上、私は、二つの点で、この財革法案というのはその意図に反して、かえって経済を停滞に追い込み、それからデフレ的なむだを含んだ形のままの歳出削減をすることになって、結果、財政赤字は逆に拡大さえするぞということを言っているわけでありますが一総理、政府におかれては、この財革法案を本当にこのとおり実施した場合に、本年度の九兆円増税に続いて、来年度以降六年間これを実施した場合に、日本のマクロ経済がどうなるかというシミュレーションをおやりになりましたか。そういうチェックをおやりになりましたのでしょうか。いかがでしょう。
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尾身幸次#10
○尾身国務大臣 私ども、先ほど来委員のお話をお伺いをしておりまして、投資を拡大すべきである、経済を活性化すべきであるという意見につきましては、同意見であります。
 ただ、その手法が違っておりまして、財政構造改革を進める中で、今までの公共事業を建設国債で増大させるとか、あるいは赤字国債を出して消費を促進するために減税をするとか、いわゆるそういう意味の財政出動の手法は、現在の経済の状況、財政状況から見て不適切であるし限界がある。したがって、今までの古いそういう発想を転換して、新しい発想に立った運営をしていきたいということであります。
 その意味は、先ほど来のお話のとおりの、規制緩和を進めるとか、あるいは土地の流動化をして、バブルの後遺症になっていて景気上昇の大きな妨げ、しこりになっている不良債権の処理を実質的に進めるとか、あるいは企業活動のグローバルな展開の中で、日本という国が、日本の企業も含め、世界の企業も含め、経済活動、事業活動の拠点としてそういう企業に選ばれるような対策をするとか、そういういわゆる構造改革をすることによりまして民間の活力を十二分に発揮させて新しい日本経済の体制をつくり上げていく。そして、それによって投資もふやし、そして貯蓄の裏返しである消費もふやして、全体として経済構造を活性化していき、その中で財政構造改革と経済構造改革をまさに両立をさせていきたいという考え方でございます。
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鈴木淑夫#11
○鈴木(淑)委員 私、さっき言いましたでしょう、そういう構造改革は結構だ、大いにやろうと。しかし、これは中期的に効果が出てくる話で、目先はデフレ的効果を持っているものですから、これだけでやろうとしたら経済はますます沈滞するぞと言っているわけですね。そこで、なぜ財政の刺激を一時的に赤字を拡大してでもやろうとしないのか。その方がかえって経済に元気が出る。
 特に、私最初に申し上げたように、過去の統計を見れば、民間投資が上がってきたときに財政赤字が減るというのはもう明々白々です。民間投資を上げるための対策をなぜ打たないかと言っているのに対して、政府は、いやいや、構造的な対策で大丈夫だ大丈夫だと言っておりますが、じゃ大丈夫な証拠を見せなさい、シミュレーション結果を見せなさいと言ったら、やっていないと言うじゃないですか。こんな無責任きわまりない経済運営ないですよ。口で言っているだけで、全然チェックしていないじゃないですか。計画があるならちゃんと出してごらんなさい、シミュレーションがあるなら出してごらんなさい。
 どういう理屈で、どういう数字で、今のこの沈滞し切った、株価もどんどん暴落して、アメリカが先週末戻ったから戻るかと思ったら日本だけがおっこちてしまような、こういう状況から立ち直れるんですか。ちゃんとしたチェックしていないじゃないですか。計画局は何のためにあるんですか、経済審議会は何のためにあるんですか。何にもしていないじゃないですか。
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新保生二#12
○新保政府委員 お答えいたします。
 先生が御指摘のように、短期の局面では財政赤字削減がデフレ効果を持つというのはそのとおりであります。OECDの経験でもそういう関係が出てきております。ただし、より長い中期、三年とか五年とかいう局面でやりますと、デフレ効果を相殺するようなメカニズムが働き始めるわけですね、金利の低下であるとか、外需がふえて景気を刺激するという形で出てきますので。
 OECD諸国の経験を見ますと、実は、二十カ国のうち、この九一年から九六年にかけて財政赤字削減を大幅にやった国が十三カ国、財政赤字を拡大して景気を刺激した国が七カ国あります。この国を見ますと、財政赤字を拡大した国が成長率が高くなって、財政赤字削減を大幅にやった国が成長率がダウンしたかというと、そうはなっていないんですね。中期的にはこの関係はゼロであります。これを三年にしてもゼロであります。
 つまり、短期ではデフレ効果はありますけれども、三年もたてばそのデフレ効果は消滅するたぐいのものであるということだと考えております。
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鈴木淑夫#13
○鈴木(淑)委員 私はそんなよその国のことを聞いているのじゃないんですよ。日本についてちゃんとチェックしているのかと、経済企画庁は、あるいは政府は。
 それは、今言ったことはそのとおりです。海外の例を引けば、歳出削減に重点を置いた国の方が増税に重点を置いた国よりは成功しているというのはありますよ。でも、そんなことは百も承知です、それを聞いているのじゃない。日本についてちゃんとしたシミュレーションがあるのかと聞いている。
 それがないとおっしゃるから、じゃ私、民間のシミュレーションをここで御紹介しますよ。大和総合研究所、大和総研のシミュレーションであります。そして、これは四―六月期のGDPを入れた上でのシミュレーションであります。
 この結果、どういうことになると彼らは予測しているかといいますと、まず成長率、最初の九八年度から二〇〇〇年度までの集中改革期間、平均たったの一・六%であります。その後、それは規制緩和や何かの影響がようやく三年、四年たって出てくるということもあって少し上がってきますが、それでも二〇〇一年から二〇〇三年までの成長率はたったの二・二%であります。ですから、この六年間の平均は一・九%成長。
 日本で一・九%成長でありますと、これは労働力が余ります。したがって、失業率は、このシミュレーションによりますと、現在の三・四%から四・五%へ向かって上がってくるんです。これは、平均が四・五に参りますと、学校を出たばかりの十五歳から二十四歳の人たち、今でさえも失業率七%ぐらいなんですね、これも二けたになってきますよ。そして、定年を過ぎてまだ働きたい、五十五歳から六十四歳、十分働ける人たち、この人たちは今でも失業率四%ぐらい、これが恐らく六%前後に上がるんじゃないですか。そうすると、これは社会的な大問題になってくるというふうに思います。
 そして、こういうふうに失業率が上がってくるということは、もちろん企業経営がうまくいかないということですから、このシミュレーションには出ていないけれども、倒産多発ということを当然考えておかなきゃいけないでしょう。
 それから、このシミュレーションには出ていないが、資産価格、地価がまた下がるかもしらぬ、株価はもっと下がるかもしらぬ。そうしたら、いわゆる資産デフレがここからもう一つ強まっていく可能性があるのですね。その場合に、ただでさえ不良債権を持ってひいひい言っている金融機関がもつだろうかということであります。これは単なる預金取扱金融機関だけではない、問題の、国民生活と密着な関係にある生保だって、かなりの生保がえらいことになるでしょうね。まず、金融危機勃発は間違いないと思います。
 さらに、アメリカとの関係で何が起きるか。経常収支黒字の対GDP比率、この四―六月期にぽんと二・六に上がりましたね。この大和総研のシミュレーションでは、何と来年度早くも三・四に上がるというんですよ。その上、二〇〇〇年以降になると四%台になってくる。御承知のように、二%台の黒字の対GDP比率で摩擦は起きてくる。三%を超えると危機的になりますよ。この数字によれば四%台に上がってくるんですね。
 どうですか。政府で全然シミュレーションしていないとおっしゃるから、今ちゃんと詳しくお教え申し上げた。こういうシミュレーションが出ているのです。総理、これは非常に危険な状態だと思いませんか。いかがでございますか。
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中川良一#14
○中川委員長 経企庁新保調査局長。
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鈴木淑夫#15
○鈴木(淑)委員 私、総理に伺っているんです。経企庁の役人なんかに聞いていません。総理が今お答えくださろうと動いておられるのに、何ですか、委員長は。委員長は無責任です。総理が今お答えくださる。
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新保生二#16
○新保政府委員 お答えします。
 鈴木委員の挙げられた民間のシミュレーションというのは、日本のモデルの特徴を備えていまして、財政政策の効果が短期的に非常に大きい、乗数が大きいという想定なんですね。しかし、世界的な学界の動向は、先ほど先生もおっしゃったとおり、財政政策は短期ではデフレ効果はあるけれども、その乗数は言われるほど大きくないというのが最近の学界のコンセンサスであります。ウォールストリート・ジャーナルは、それを踏まえて、近年の日本の経済運営に対する批判を行っていまして、要するに、大規模な歳出追加策が期待されたほどの効果を持たないという事実を無視した、その結果、財政赤字が拡大し増税を迫られているのだと。
 そういうことですから、九一年から九五年にかけて、先生の言われたような歳出追加を中心とする財政政策は非常に強力にとった、それでも効果は小さかったというのが現実であります。
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橋本龍太郎#17
○橋本内閣総理大臣 先ほどからの中井理事の言葉を借用いたしますならば、鈴木教授の講義を非常に真剣に拝聴しておりました。そして、その講義に対してはお礼を申し上げます。その上で私は、ちょっと議員と意見を異にする部分があるな、これは率直にそう感じました。
 例えば、このような状況下、議員が論議を展開されましたように、一時的に財政赤字を拡大をする、そして減税あるいは公共投資の追加、これは当然ながら議員はその公共投資のコストの削減もあわせて御主張になりましたことを私はあわせて伺っておりました。しかし、そういう形で仮に景気を拡大させる、しかしそれは、その増収額でそのために必要とする公債の増発発行額を消し切れるかというと、私は必ずしもそうは思えません。
 ある意味では、我が国はまさに今日までの間、バブル経済の崩壊後、景気対策として大型の補正予算を累次に組んできました。また、税制においても議員御指摘のような方向を見た時期がございます。しかし、その結果として、私はそれはそれなりの底支え効果があったと思いますけれども、公債残高は急激に累憎いたしました。そして、現在の財政状況というのは危機的な状況にあること、これも議員もお認めいただいているところであります。この上、少子・高齢化の進展というものを考えますと、要するに、国民生活のセーフティーネットとしての社会保障支出というものがある、当然ながら制度のより合理的な安定した姿を模索していくにいたしましても、一定の自然増は必ず出てまいります。
 こうした財政構造をこのまま放置しておくことができるかといえば、私はもう限界に来ている。むしろ、経済の活力の低下を食いとめるためにも、あるいは将来に背負い切れないような負担を残さないという点に対しても、財政構造改革というのは一瞬のちゅうちょも許されない状況にあると私は考えております。
 その上で、既によく御承知のとおり、この法律案に書き込む、書き込まないではなく、規制緩和にいたしましても、分権の推進にいたしましても、他方で加速させております。また、今後において、その進展を受けた形で行政改革というものも当然ながら進めていくわけであります。
 私どもは、これは政策選択の問題として、私は議員が引用されましたような東大の偉い先生の学説を批判するほどの力はありません。しかし、もしそういうことをあえて申し上げることを許していただけますならば、先ほどお触れになりました現在の証券市場の状況におきましても、数年前の証券不祥事によりまして、特定の人間への補てんが行われていたことから、一般投資家の心理は完全に冷えました。これがようやくある程度戻り始めた時期に、現在大変な混乱が起きております。こうした状況の中で、市場が信頼を取り戻して、一般の投資家が戻っていただける状況をどうつくるか、むしろそうした問題も私の頭の中にはあることは申し上げておきたいと存じます。
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鈴木淑夫#18
○鈴木(淑)委員 総理と同じように、私も、この財政赤字を削減しなければいけない、そうしなければまた二十一世紀、高齢化してさまざまの財政ニーズが出てくることは見えているのに大変だぞ、もう全く同意見です。それは、私が同意見なだけじゃない、新進党の再構築宣言の中にだってそういう言葉はあるのです。
 ただ、総理が今おっしゃったことで、私、一つだけ違うと思うのは、これは先週火曜日にも申し上げた、一瞬たりともという言葉、要するに財政赤字はもうびた一文ふやせない危機的なところへ来ているんだとおっしゃることですね。僕はそこが違うと思います。相当財政赤字は大きい。だけれども、びた一文ふやせないなんという理屈はないんですね。それは経済を刺激して、一回ふえるかもしれないけれども、それからぐっと縮んでいくということであれば、一時的な財政赤字、若干ふやすくらいのことができないはずはないんですね。そこのところが違うのです。
 さらに、この大和総研のシミュレーションで、最後に一番大事なところを私まだ申し上げていないんです。大和総研のシミュレーションによると、最終年、二〇〇三年の財政赤字の対GDP比率は何%になると思いますか。三%なんか切りません。これは二〇〇三年になっても三・四%です。ということは、このやり方じゃ目標にしている財政再建はできないということですよ。それを私どもは申し上げているのです。
 最初に言いましたように、この財革法、ねらいとするところはいい、我々も同じだ、財政赤字削減をしたい。しかし、財政赤字削減したいがゆえに、この法案じゃだめだと言っているんです。この法案じゃ財政赤字削減はできない、そのことを言っているんです。
 きょうは総括質疑ですから、一番大事なその点を強調したいと思います。私どもは、赤字削減はどうでもいいなんて言っているんじゃない。赤字削減は物すごく大事だ。だけれども、この法案じゃ逆になるぞ、逆行するぞ、赤字は削減できないぞと言っているんですよ。それが最大の理由で、この法案は断固つぶしたいというふうに思っているわけでございます。
 これを申し上げまして、残りの時間は、同じ新進党の北側委員に譲りたいと思います。
 どうもありがとうございました。
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中川良一#19
○中川委員長 この際、北側一雄君から関連質疑の申し出があります。鈴木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北側一雄君。
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北側一雄#20
○北側委員 新進党の北側一雄でございます。
 総理、あしたからロシアにいらっしゃるんですね。お疲れとは思いますが、よろしくお願いいたします。大蔵大臣とはきのうまで再三やってまいりましたので、きょうはぜひ総理と討論をさせていただきたいと思っております。
 今、鈴木委員からもございましたが、総理、財政改革の必要性、将来の世代に重い荷物、負担を残してはいけない、これはもう、ここにいる我々、同僚議員の共通の認識だと思います。そこが違うという話はないと思うのです。
 問題は、その財政改革をしていくための手法、手段、そこの違いなんだろうというふうに思うわけでございますが、この法案、二〇〇三年度に財政赤字三%以下にするんだという当面の目標設定をされておられます。この財政赤字三%以下という当面の目標設定は、これは理解できるのです、平成十五年度、二〇〇三年度がいいのかどうかは別にして。また、この財政赤字の定義が、貯蓄投資差額なんというふうな極めてわかりにくい定義を使っておるということ、本当はもっと単純に、その年度の国、地方の公債発行高とその他の借入金、要するに借金の対GDP比率とすれば非常にわかりやすいのになと思うのですけれども、そういう問題もちょっと置いておきまして、財政赤字三%以下という当面の目標設定自体はよく理解できるんです。
 もちろん、この法案にはほかにも幾つか問題点はございますよ。あるんですけれども、今日までの当委員会の議論で一番集中しているのは、この時期にこの法案を通してしまっていいのかという議論が一番多いわけなんですよ。今のこの経済情勢、景気情勢の中で、ある意味じゃ財政の手足を縛ってしまうわけですね。財政出動の機動性を奪ってしまう。そういう法案をこのタイミングで通すことが一体どうなんだろうかということが、やはりこれまでの議論、幾つかの問題点の議論はありますが、最大の議論はここです、ポイントは。
 これは私の意見でございますけれども、現在の先行き不透明な経済情勢、こういうことを考えますと、少なくとも政府が、総理が予見をされておった様相と少し違ってきているのではないかと思うのです。
 六月三日の閣議決定に基づいてこの法案はつくられているわけですが、その六月三日の時点とは、政府の予想した経済状況とは相当様相が違ってきているのではないか。恐らく政府は、四、五、六ぐらいで消費税引き上げの消費の低迷もおさまるだろう、七月、夏場からはもとに戻るだろう、こういう前提でこの法案を臨時国会に出そうというふうに考えられたと思うのですけれども、でも、現在の経済状況はそうなっておらない。景気の状況は、私どもから見れば極めて悪い、これは実感です。
 私は、ぜひ総理に、これは率直に提案申し上げたいのですけれども、日本の経済、先行き不透明です。いろいろな不安定な要素がございます。この法案につきまして、今国会で成立させるというのではなくて、少し先に延ばしたらどうですか。総理、いかがですか。
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橋本龍太郎#21
○橋本内閣総理大臣 私は、議員の御議論を頭から否定するのではありません。ただ、先ほど鈴木議員と議論をいたしましても、私どもと御党の間に考え方の差異があること、これは事実でございました。そして、その上で、政府として今国会にこれを提案し成立をさせていただきたいと願っている気持ちは、一層むしろ強いものがあります。
 なぜなら、この法律案が通過、成立をすることを受けまして、当然ながら、次年度以降の一定期間における財政の範囲というものは見えてくるわけであります。少なくとも、その赤字削減の目標というものは確定をいたします。
 その中で、それぞれの政策における重点配分あるいは優先順位等は、毎年の予算編成の中で整理をしていくべき問題でありますけれども、私は、それと同時に、これだけが今考えられているものではないということを繰り返すことをお許しいただきたい。それは、規制緩和も当然、緩和だけではない、撤廃もそうですし、分権を進めていくこともそうですし、そうした意味での構造改革をより加速させなければならないということは、言外に議員が指摘された点として、私はそのような思いで今の御意見を承っておりました。
 その上で、今国会成立をぜひお願いを申し上げたいという気持ちは全く変わりません。
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北側一雄#22
○北側委員 物にはやはり順序というか、その順序が非常に大事なような気がするのですね。
 構造改革、規制緩和、これをどんどん先行させる。私はこれはもう大賛成です。しかし一方で、本法案のような、今の経済情勢で財政出動の手足を縛ってしまうような法案をこの時期、このタイミングで出してしまうのがどうかということを心配しておるのです。
 九兆円の負担増、我々から言いますと九兆円の負担増がことしございました。消費が低迷しております。この消費の低迷は、恐らく政府からすれば予想外に長く低迷をしておる。これは、経企庁長官もそういうお話をされておられます。
 超低金利、公定歩合〇・五%、もう異常です。これは二年以上続いている。異常な状況ですよ。年金生活者は大変です。この公定歩合の引き上げが、なかなかしたいけれどもできない、いまだにそういう経済環境、経済条件になっているんですね。株価は、御存じのように低迷しています。ここのところはもう大変な急降下ですね、総理も御存じのように。
 また、金融不安もささやかれております。また、金融の本来の機能が今果たされていない。貸し渋り、来年の自己資本比率を維持するために何とか資産の内容を健全化しないとということで、今、金融機関はもうきゅうきゅうとしています。不良債権の処理、貸出資産の圧縮に一生懸命、だから貸し渋りであり、厳しい取り立てが進む。だから、中小企業の倒産が今史上最高です。そういうような状況。
 一方では、アジア経済が低迷している。アジアの通貨の価値が低下する。これは日本の外需に、輸出に大きな影響を与えることは必至です。日本の外需の四割を占めています。
 こういうふうな環境下で、財政の出動を縛ってしまう、機動性を縛ってしまうこの法案をこのタイミングで通してしまったら、私は、後で困ってしまうんじゃないかと思うのです。
 現実問題、自民党の景気対策が出てきました。この間もありましたが、税制改正の内容だけ見たら、努めるとか書いていますよ。書いていますけれども、その項目だけ積み上げていったら一兆円ぐらいの税制改正の内容ですよ。それぐらい、本当は自民党の議員の方々も、今景気は厳しいぞという認識を持っていらっしゃっているわけでございまして、財政の出動を縛ってしまうような法案をこのタイミングで、もう少し時期をずらしたらどうなんですかということを私は申し上げているんです。
 現実問題、では、この法案をこの国会で通さないで、例えば、例えばですよ、来年度の、十年度の予算の成立までに通せばいいわけですよ。今もう既にこれは、この内容で閣議決定があるわけですから、この閣議決定に基づいて概算要求されているわけです。それに従って予算編成されるわけですから、この閣議決定自体があるわけですから、別にこの法案をまた、まあ廃案にしろとは言いません、継続にしたっていいわけじゃないですか、今先行き非常に不透明で不安定な要素が強いわけですから。私はそういうことを申し上げているんです。
 どうですか、総理、来年の通常国会までこの法案、先がどうなるかわからないわけですから、不安定なわけですから、もう少し継続にして様子を見ませんか。
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橋本龍太郎#23
○橋本内閣総理大臣 繰り返しになりまして恐縮でありますけれども、私どもは、あくまでもこの国会でこれを成立させていただきたい、そして、国の財政運営、その方向を明示いたしたい、そういう気持ちを強く持っております。
 その上で、議員がいろいろと、こういう点で心配ということを触れられました。確かに今、アジアの通貨市場、非常に複雑な動きをいたしております。その中で、国際的な支援スキームを最初に進めてまいりましたのが、御承知のとおり、タイのバーツでありました。
 そして、たしか一昨日であったと思いますけれども、私自身がスハルト大統領との電話で、IMFとの構造調整プログラムの策定をインドネシアも急いでもらいたい。そのプログラムが設定されることを前提に、第二線準備について我々も協力の用意がある。インドネシアのファンダメンタルズはそんなに悪いわけじゃないんですから、むしろその金融の安定というもののためにも、構造調整プログラムをIMFと早くセッティングしてもらいたい。同時に、そういう構造調整を行うということになれば、我々もまた、世銀やアジ銀と相談をしながら、その構造調整の工夫というものも一緒に考えるよという話を一昨日いたしたところです。
 IMFとの構造調整プログラムの論議は相当進んでおると思いますけれども、あと何日かかるのか、これは私はわかりません。そういう意味では、国際的な中での我々の役割というものをも日本が果たしつつあること、これはぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。
 それからまた、先ほど鈴木議員に対して、私は、あるいはおしかりを受けるかもしれませんけれどもという断りを申し上げた上で、現況の日本の証券市場の混乱について触れました。
 ようやく一般投資家が戻り始めたやさきにこうした混乱が生じておること、これは確かに、それは六月時点に想定していたかと言われれば、こういう事態を想定しておったわけではありません。総会屋への資金提供なんというものを想定するなんということは全く考えておりませんでした。しかし、これが一般投資家の心理を冷やしたことも、私は無視できないと思っています。どうすれば市場に戻ってもらえるかという工夫は、別途我々は考えていかなきやなりません。これは本来、市場としての信頼を回復するための自己努力が前提でありますけれども、こういうものも我々は考えていかなきゃならないでしょう。
 あるいは今、金融機関の貸し渋り、債権回収の強化というお話がございました。先日、通産、大蔵両大臣に指示をし、こういうときが政府系金融機関が役割を果たすとき、要するに、資金繰りで困らないだけの対応策を工夫しろ、準備をしろ、それに応じられる用意をしろ、これにはそれだけではなく信用保証の問題とかいろいろな問題がつきますけれども、既にそういう態勢も動かしております。
 もし、お許しをいただけますならば、その辺は通産大臣から補足答弁をお許しいただきたいと存じます。
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北側一雄#24
○北側委員 それでは、私のこの質問を、少し観点を変えて質問させていただきたいと思います。
 この委員会の前半の総括質疑で、我が党の西川委員が総理と議論をさせていただいたわけでございますが、このときの総理の御答弁の中に、こういうくだりがあります。
 これは、政治責任の問題と絡めまして、総理の答弁をそのまま言いますと、この法律の「目的とする条件を政府として全うできなかった場合、政治責任というのは私は大変重い言葉だと思いますけれども、と同時に、客観的にそういう状況を維持することのできないような情勢が生まれる場合、全く現時点において予想し得ない、」総理はここで湾岸危機とか湾岸戦争の例をお引きになりまして、そういう予見しがたい事態が発生いたしましてこの法律の目的が守れないといった場合、政府はこの法律の改正案を国会に提出する責任があります、こういう御答弁をされておられるのですね。
 この客観的にこの法律の目的を維持することができないような情勢が生まれる場合、湾岸危機、湾岸戦争の場合であれば九十億ドル支援という問題がございました。そんな金どうするんだ、財政出動しなきゃいけない、公債発行だ。そうするとこの法律は守れないということでございますね、だから法律を改正する。だから、そういう予見しがたい情勢が生まれる場合もあり得るんだという御答弁を総理はされておられます。
 そこでお聞きをしたいことは、例えば経済状況が、湾岸戦争とか湾岸危機というお話をされていますけれども、日本のこれまでの経済の歴史を見ても、第一次オイルショックまた第二次オイルショック、また円高不況等々、過去歴史がございました。そういう外の要因によって日本の経済が厳しくなる、景気が悪くなる、そういう事態がございました。経済が何らかの原因によって著しく悪化するような場合、こういう場合も、総理がおっしゃっているこの予想し得ない事情の中に入ってくるのでしょうか。
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橋本龍太郎#25
○橋本内閣総理大臣 西川議員との論議を引用されましたが、確かに私そういう例を引いてお答えしたことを覚えておりますけれども、御質問がどういう形であったかを正確に記憶をいたしておりません。大変恐縮でありますが、御質問の方も御紹介をもう一度いただきまして、その上でお答えを申し上げたいと存じます。
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北側一雄#26
○北側委員 西川さんがいらっしゃいますけれども、質問の部分はちょっと長いのですが、「この法律というものに違反した場合、」「政治責任だけが発生するのでしょうか。そして、もしそうだとするならば、その発生した政治責任というのはどういうことなのでしょうか。」という質問に対するお答えなんです。
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橋本龍太郎#27
○橋本内閣総理大臣 確かに、私は湾岸危機から湾岸戦争を例示にとってお答えをしたわけでありますが、これは、当時全くだれもが予見していなかった、ある日突然のイラクのクウェートに対する侵入から始まった行動でございました。
 そして、最初、国際貢献として用意をいたしました十億ドル、これは予備費の範囲内で対応ができたとたしか記憶をいたしております。しかし、すぐ、もう十億ドルの負担が必要になりましたとき、これは予備費だけでは対応できず、相当な節減を各省に求めたと記憶をいたしております。
 そして、湾岸戦争が勃発した直後、多国籍軍に対する貢献として求められました金額は、到底そうした対応の中で吸収できるものではございませんでした。
 結果として、一方で、政府の提案しておりました当初予算案の中、一部をみずから修正し、それによって財源を捻出し、なお足らざる部分を短期的な時限を決めての国民への御負担をお願いし、その税収というものを担保として短期のつなぎの国債を発行し償還した。確かに西川議員から御質問がありましたときに、そうした予見できない事態、しかも、国内における課題ではなく、海外における要因が日本を直撃するようなケースにおいて、これはおのずから政府自身が努力をしてこの法案が守れないというのとは違った要因、そうしたことからそのような御答弁を申し上げました。
 議員の御指摘の中に、どのような事態を想定されるかわかりませんが、大変不幸な記憶でありますけれども、例えば阪神・淡路大震災のような巨大災害が発生をし、短期に非常な資金を必要とするようなケースが全く起こり得ないかと言われれば、残念ながら、我々はそうした災害に現に遭遇した記憶を持っております。
 となれば、その時点においては、予備費対応なり国会で御論議をいただきました予算の一部流用をお認めいただくなりということで当面の対応はするにいたしましても、その復旧、復興等に想像以上の、予測できませんけれども、非常に大きな資金を必要とするということが国民的にも明らかなような場合というものも、これはあり得るだろうと思います。
 しかし、そういう不幸な事態を前提にエクスキューズをつくるということは、私は、なるべくならそういう事態が起こらないことを願うということでありますし、むしろ災害防止といった方からの努力をしていきたいと思いますけれども、今議員の仮定されましたようなケースが全く起こり得ないという保証はないわけでありまして、その場合には、むしろその事態そのものへの瞬間の対応というものは予備費であり、あるいは予算費目の変更、流用といった手法で対応するにいたしましても、国民的な合意が得られるような事由であるなら、これは変更を法律案の改正案という形でお願いを申し上げるケースも皆無だとは私は断定できないと思います。
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北側一雄#28
○北側委員 今の総理の御答弁は、非常に大事な御答弁だと私は思います。
 今の経済というのは本当にグローバル化されておりまして、この間の株価の連鎖反応じゃございませんけれども、すべて日本だけの要因じゃなくて、プラスアルファで、国外による要因によって日本の経済というのは大きく変動するような構造にもうなってしまったわけです。好きとか嫌い関係なしに、我々はそういう方向を選んでしまったわけです。地球の裏側で起こった事変が日本の経済にまともに影響を与える時代です。
 という意味で、そういう国外における要因も相重なって日本の経済が著しく悪化し得る、もちろん我々はそういうことがないように努力しなきゃいけないわけでございますが、そういうことは予想されるわけでございます。あり得るわけです。
 そういう場合に、今の総理の御発言は、そのために必要な経済対策を打たないといけないというふうな場合に、予備費でまずはやりましょう、そして予備費で足りなかったら、国民的合意があるならば、場合によってはこの法律の改正をすることもあり得ますよという御答弁であったというふうに理解いたしますが、総理、いかがですか。
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橋本龍太郎#29
○橋本内閣総理大臣 今、西川議員との速記を手にいたしました。そして、西川議員からの御質問は、私は、仮定を置いてお答えすることをお許しいただきたいと思うというところから始めております。議員はこの点を御引用になりませんでしたけれども、要するに、先刻来、西川議員は御自分の論議の中で、これが成立することは絶対認められない、絶対反対だ、自分は反対だということを言い切ってこられた上で、成立を前提とした御質問をされた。それに対して、あくまでも仮定という形の中で私はお答えを申し上げたわけであります。
 そして、先ほど来いろいろな角度から御論議がありますけれども、私は、本当に議員に誠実にお答えをしようと思って、今、例を、こうしたケースは絶対に否定できないということを申し上げました。
 しかし、その上で、我が国の経済運営あるいは財政運営ということから議論をいたしました場合に、過去本当に財政対策、何回も経済状況が悪化したということで我々やってきました。そして、その結果として発生したものが巨大な財政赤字であります。そして、その反省の上に立って、我々は、こうした手法をとることがいいことではないと真剣に考え、その反省の上に立ってこの法律案というものを提案させていただいております。
 ですから、私は、本当に極端なケースを例示で絶対ないかと言われれば、そういうことはあり得ないことではないということを申し上げましたけれども、これを余り拡大して御論議をいただくことになりますと、原則にまた戻ったお答えを申し上げなければならなくなります。
 そして、私は、この法律案というものは、累次の財政対策、経済対策というものを行ってきて、巨額の累積赤字をつくってしまった、これを次の世代にまで引き継がずに何とか解決のめどをつけていきたい、その反省からこれを提案しているということだけはぜひ御理解をいただきたいと思いますし、その意味におきましても、次の国会に先送りという御提案をいただきましたが、私はあくまでもこの国会で一日も早く成立をさせていただきたい、繰り返しお願いを申し上げる次第であります。
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