財政構造改革に関する特別委員会

1998-12-02 衆議院 全193発言

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会議録情報#0
平成十年十二月二日(水曜日)
    午後三時四十六分開議
 出席委員
   委員長 麻生 太郎君
   理事 衛藤 晟一君 理事 大島 理森君
   理事 小坂 憲次君 理事 茂木 敏充君
   理事 上田 清司君 理事 日野 市朗君
   理事 赤松 正雄君 理事 中井  洽君
      浅野 勝人君    飯島 忠義君
      岩永 峯一君    江渡 聡徳君
      大石 秀政君    奥山 茂彦君
      佐藤  勉君    阪上 善秀君
      桜井 郁三君    下村 博文君
      菅  義偉君    砂田 圭佑君
      園田 修光君    田中 和德君
      田村 憲久君    谷畑  孝君
      西川 公也君    山口 泰明君
      渡辺 博道君    池田 元久君
      石毛 鍈子君    岩國 哲人君
      生方 幸夫君    海江田万里君
      北脇 保之君    中川 正春君
      原口 一博君    石垣 一夫君
      田端 正広君    並木 正芳君
      佐々木洋平君    西川太一郎君
      松浪健四郎君    児玉 健次君
      春名 真章君    伊藤  茂君
      中田  宏君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
        文 部 大 臣 有馬 朗人君
        厚 生 大 臣 宮下 創平君
        自 治 大 臣 西田  司君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      堺屋 太一君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局長      河出 英治君
        経済企画庁総合
        計画局長    中名生 隆君
        経済企画庁調査
        局長      新保 生二君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    武藤 敏郎君
        大蔵省主計局長 涌井 洋治君
        大蔵省主税局長 尾原 榮夫君
        文部省教育助成
        局長      御手洗 康君
        厚生大臣官房総
        務審議官    真野  章君
        厚生省健康政策
        局長      小林 秀資君
        厚生省老人保健
        福祉局長    近藤純五郎君
        厚生省児童家庭
        局長      横田 吉男君
        厚生省保険局長 羽毛田信吾君
        自治大臣官房総
        務審議官    香山 充弘君
        自治省財政局長 二橋 正弘君
        自治省税務局長 成瀬 宣孝君
 委員外の出席者
        衆議院調査局財
        政構造改革に関
        する特別調査室
        長       中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月二日
 辞任         補欠選任
  桜井 郁三君     大石 秀政君
  田中 和德君     渡辺 博道君
  宮腰 光寛君     岩永 峯一君
  目片  信君     奥山 茂彦君
  山口 泰明君     砂田 圭佑君
  池田 元久君     石毛 鍈子君
  松浪健四郎君     佐々木洋平君
同日
 辞任         補欠選任
  岩永 峯一君     宮腰 光寛君
  大石 秀政君     桜井 郁三君
  奥山 茂彦君     目片  信君
  砂田 圭佑君     山口 泰明君
  渡辺 博道君     田中 和德君
  石毛 鍈子君     岩國 哲人君
  佐々木洋平君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  岩國 哲人君     池田 元久君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止
 に関する法律案(内閣提出第一号)
     ――――◇―――――
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麻生太郎#1
○麻生委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
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衛藤晟一#2
○衛藤(晟)委員 衛藤晟一でございます。
 まず、本日、質問に入る前に、今日の不況に至るまでのプロセスについて論じてみたいというふうに思っています。それは、今回の財政構造改革法の凍結法案と緊急経済対策の意義を論ずるに当たって、まず、現在の景気低迷の原因というものが何であるのかということを検証してみる必要があると考えているからであります。
 我が国経済の混迷の始まりは、バブルの崩壊でありました。例えば東京二十三区の地価を見ると、平成二年の十月のピーク時と比較して、三年後の平成五年十月は二分の一、六年後の平成八年は三分の一へと下がり続けています。国民みんながそろって、個人貯蓄や法人利益を将来に結びつくような有効な投資に回せないままに土地や株につぎ込んで、バブルを演出したわけであります。そこで見せかけの富を築き上げました。それが崩壊しまして、急速にその富が目減りをして、資産価格の暴落、いわゆる資産デフレと言われる状況が発生し、みんなが借金を抱えて消費、投資が冷え込んだのであります。これが今回の不況の元凶であるというぐあいに考えます。
 我々は当時、この冷え行く民間部門を必死に公的部門で支えました。金融政策は、平成二年以降、公定歩合を六%から何度も引き下げました。平成七年九月からは、何と人類史上初めての公定歩合〇・五%を続けているわけであります。しかしながら、民間投資は上向かず、政府は、平成四年から平成七年までの間に六回、累積で六十七兆円規模の経済対策を打ちました。
 当時、我が国を大恐慌のふち際から救い、平成八年度に三%成長に戻したのは、やはりこの公共投資を中心とした経済対策のおかげであるということは、ここではっきりと認識しておく必要があると思います。
 経済企画庁長官は、平成四年以降これまでの経済対策の経済効果をどう評価しておられますか、お尋ねいたします。
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堺屋太一#3
○堺屋国務大臣 お説のように、まことに、平成に入ってから経済は激動をしております。そして、その大きな原因が、土地の暴落それから株式の暴落、そういった財産価格、資産価格の暴落にあることはお説のとおりだろうと思います。
 その資産価格の暴落を呼んだそれまでの原因、資産価格がどうしてこう急上昇したかということを考えますと、やはり日本の規格大量生産社会というのが成熟いたしまして投資対象が少ない、そういったときに、円高もございまして、貯蓄がどんどんふえた。外資も流入してきたこともございます。そういったことがどっと加わって株式と土地に投資されて、採算に合わないような価格まで上がったわけであります。これを政府は総量規制で急速に抑えたわけでございますが、その過程で大暴落が起こって、実はもうそこで大きな不良資産が発生していたわけです。
 これに対して政府は、お説のように、低金利政策と公共事業を中心とした景気対策でかなりの手当てをいたしました。ところが、一方で信用収縮が物すごい勢いで進んでいたものですから、それはあたかも穴のあいたバケツに水を注いでいるようになりまして、六十七兆円の対策もそれほどの効果を上げなかった。
 ただ、お説のように、平成七年度から八年度にかけて二・八%、三・二%という経済成長をいたしました。これはやはり、そういう公共事業を中心とした財政の下支え効果というのが発揮されたのだろうと思うのです。ただ、全体が大きな下り坂の中で起こったものですから、非常に短期に終わった。これを政府だけではなしに民間のエコノミストもジャーナリストもかなり本格的な立ち直りに続くだろうと誤解した点がございまして、やや早急な引き締め政策に入った。これが現在に響いているところだと思います。
 そういう意味で、六十七兆円の対策というのは日本の経済が非常な勢いで冷え込むのを下支えしたという意味がありましたし、また、平成七年、八年にはこれを引き上げる効果も発揮した。それなりに評価できるのではないかと思いますが、全体としての構造的な問題に取り組まなかったのはやはり失敗だったんじゃないか、そういうふうに思っております。
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衛藤晟一#4
○衛藤(晟)委員 長官のそういう判断ということは、私はある意味では当時のマスコミ等にもいろいろ出てきたと思うのですね。
 それで、もっと厳密に言うならば、今言われることはある意味ではそのとおりかもしれませんけれども、六十七兆円の経済効果は、当時やはり三・二%を回復するというようなことで、実はそのままほっておけば大恐慌になったということから救った。単に下支えしたというだけの評価、それなりの効果であったということのそういう評価の仕方がやはり今まで私はむしろ誤ってきたのではないのかと思うのですね。
 同時に、信用収縮が起こってきたことを過小評価し過ぎていた、あるいは円安を過小評価し過ぎていたということは非常に大きな問題になりましたけれども、今のような表現が全体的に広がることによって、結局財政構造改革法を出すということになったわけですね。ほかの手が打てないまま財政構造改革法を出してもっと支出を抑えたわけですから、当然のこととして景気は非常に落ちていくという結果になったわけでございますから、一般的な風評に惑わされることなく、やはり六十七兆円規模の投資が大恐慌を防いだんだ、そういうところなどを明確にしない限り、私は今回の財政構造改革法の停止の意味はないというぐあいに思うのですね。
 そのことを、実は私は個人的でありますが、もう去年から、早い時期からずっと申し上げてきた。このまま幾ら低金利政策を続けても設備投資はなかなか起こらない、相当な間のデフレギャップがある。
 それに対して政府は、お金が一番あるときに、思い切った、例えば新国土軸だとかあるいは都市周辺の交通体系の整備だとかあるいは情報ネットワークをもっと早くやるとか、いろいろな意味で将来の日本にとって本当に価値ある投資の方に回せなかったことでこういう問題が起こってきたのであって、その中身について問題はありますが、しかし、このころのマスコミの論評を見ますと、とにかく公共投資を減せばいいんだと。大学の先生もそうであります。改めてそこのところについての認識は僕は明確にしていただきたいというように思っているのですね。
 さて、そこで財政構造改革法が出てきたわけでありますが、今も申し上げましたとおり、よく我が国は土建国家なんというようにやゆされますが、実際のGDPの構成を見ますと、民間消費が六〇%、それから民間設備投資が一五%強でその大宗を占めております。政府投資が占める割合は八%にすぎません。だから実際には、バブル前後のように民間部門がこのように大きく振れますと、我が国経済はひとたまりもなくこれに振られるわけであります。
 この頭の民間部門の落ち込みをしっぽである公共投資が四年にわたって支え続けた結果、公債残高は膨れ上がりました。一方で、次の世代は、少子・高齢化が進む中で、年金や介護の負担を確実に背負っていかなければなりません。この世代にさらなる負担を負わせていいのか。景気回復の兆しがかなりはっきりしてきたと思われた平成九年当時、学界、経済界、マスコミもこぞって財政構造改革をやるべきだと言っていたのであります。
 例えば日経でもそうでございまして、昨年五月八日の社説では、「公共投資を中心とする歳出削減を思い切って実施する一方、大幅な所得税減税に踏み切ることである。」というぐあいに簡単に書いておりますけれども、当時支配していたこのような空気が、空気というかそういう論調が実は大変私どもの方向を誤らせたのではないかというぐあいに考えております。朝日新聞においても、「公共事業は、」「大胆に切り込むべきなのに、削減の幅、内容ともに、いかにも及び腰だ。」と。
 そこで実際に、先ほど申し上げましたように、本当に公共事業の切り込みをやったわけであります。ところが、支えるものがない状況の中で公共事業の切り込みをやり、それにかてて加えて、信用収縮が、不良債権の問題に決定的な対策を講じないままやったものですから、大変なことになってしまったというのが今の状況であるというぐあいに考えます。
 ところが、実際には景気回復の足取りが当時まだ脆弱でありました。これは、だれが悪いということではなくて、やはり景気が回復し始めたら将来のために財政を立て直すべきだ、民需主導の成長に早く切りかえるべきだという気持ちがみんなにあったのだというぐあいに思います。
 しかし、よく言われますように、法案成立後、さらにインドネシアなどのアジアの経済金融情勢の混乱、国内においては大型金融機関の破綻、いわゆる貸し渋りが発生し、それが、バブル崩壊後失った自信を少し回復しかけていた家計や企業のマインドをさらに徹底的に冷え込ませるようになってしまいました。
 さらに、特に深刻なのは、金融システムの不安であります。これは、長引く資産デフレのせいで担保価値がどんどん下がり、金融セクター全体の体力が弱まる中で、融資先が不良債権化し、相乗的にシステム全体のリスクが高まっていった過程であります。
 議論の中で、よく個別の金融機関の経営姿勢が問題にされ、金融機関はどんどんつぶしても構わないという議論が出ます。しかし、それは金融システム不安が高まる中での対応の仕方に問題があったということで、システム全体のシステムリスクという問題の本質をきちんと把握しなければ政策対応を誤ることになるというぐあいに思います。
 さらに、円安の影響がこの二、三年は大変大きかったようであります。野村総研のリチャード・クー氏がよく言いますように、円安は金融機関の資産内容を悪化させ、BIS規制のためにどうしても貸し渋るという自己防衛行動を加速したという事情があります。その意味で、返済の不安を緩和するためにセーフティーネットワーク、信用保証の充実が必要であると思うわけであります。
 以上が、我が国の経済が今極めて厳しい状況に立った経過ではなかろうかというぐあいに思います。
 後から見れば、公共事業の平成七年、八年補正後比較で、既にこの時点で六・二%減、それから財政構造改革法成立によって、平成十年度の当初は、九年度と比較しましてさらにマイナス七%絞ってしまったことと、金融機関のシステム不安という問題が直接的な原因であったということは否めないというように思います。
 そこで、総理は、今は景気回復に全力を尽くそう、そして必ず来年度プラス成長、再来年以降を民需主導の安定成長に乗せようということで、財政構造改革法を凍結し、第一次補正の十六兆円に続きまして二十四兆円、合計四十兆円という史上最大、いや、恐らく人類史上世界最大の緊急経済対策を決断したところであります。
 財政健全化の必要性は変わっていないということはだれもがわかっています。国民もそれをよく承知しているからこそ将来への不安がぬぐえない。本来、GDPの八%しか構成していない公的部門が経済全体を押し上げようとするような国のあり方はそろそろ変えていかなければなりません。にもかかわらず、再度、公的部門で景気の回復を図ろうとしているわけであります。何度もこのような歴史的な対策を打つことは恐らく許されないと思います。
 私が本日、るる不況までのプロセスを論じてきたのはこのためでありまして、今回の対策は、単に税金を投入するものではなくて、今回の景気低迷の原因が何であって、どこに対処するものであるか、さらには、それが将来の日本の活力につながるものであるかどうかということを真剣に議論し、国民の前に明らかにしなければならないと思うからであります。
 個別に論ずれば、一、金融対策は貸し渋りを生んだ金融システムの不安にこたえるものでなければならないと思います。単に銀行にお金を出すというのではなくて、金融機関の不安、融資先の貸し倒れ等の不安、それから企業の不安、融資打ち切りの不安等を除去いたしまして、民間の資金循環の健全な流れを取り戻すものでなければならないと思います。
 二は、公共投資は単に税金を投じただけの箱や道路ができるということだけではなくて、これが雇用を生み、地域の活力につながり、そして将来の日本の、そしてまた将来の子供たちの財産になるようなものでなければならないというように考えます。
 こうした観点から、経済企画庁長官に、今回の緊急経済対策の考え方をお伺いいたします。
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堺屋太一#5
○堺屋国務大臣 衛藤委員から御指摘いただきましたように、一昨年から昨年にかけて、政府だけではなしに官民挙げて大合唱、経済が回復してきたから財政あるいは年金等を再建しろという大合唱があったことは事実でございまして、これが大変大きな影響を与えました。それは二つあります。
 一つは、将来財政が悪くなる、年金が破綻するというような長期の暗い話をすることによって、日本人の心を非常に長期的に暗いものにしてしまった。これが設備投資にも影響いたしましたし、住宅投資にも影響して悪影響を与えた。もう一つは、それを真に受けてと言ったら語弊がありますが、本当に実行して公共事業等を縮小した。これもまた現実的な悪影響があったと思います。
 そういう意味では、まことにタイミングが悪かった。ちょうどそこへアジア危機が来まして、日本の金融危機が露呈するというようなことが重なったわけであります。
 今回の緊急経済対策を立てるに当たりまして、私たちはそういった事情を深く反省いたしまして、どういうような経済構造になっているのか、日本の経済の不況の原因というのを非常に注意深く観測いたしました。
 その結果、やはり一番の問題は金融問題である。金融システムの安定がなければならないというので、さきの臨時国会で六十兆円に及ぶ、まさに人類史上初めて、またGDPの一二%というのも、これはフィンランドか何かに例があったようでございますけれども、一番大きな比率、そういったスキームをつくっていただきました。そして、さらに今度の補正予算でも、今度の緊急対策でも五兆九千億円の貸し渋り対策その他をつけました。
 まず金融不安の環を切る。そして、そこから生じている企業のマインドの冷え込みあるいは設備投資の落ち込みをとめまして、そしてその次に需要不足を解決しなければいけない。これは、まさにお説のとおり、消費が六〇%、民間設備投資が一五%でございますから、これが少し冷え込むと公共投資の方を少々やりましてもなかなか持ち上がらない。それを意識しまして、この二十兆円をはるかに超えるような大きな対策費を組みました。十七兆円の事業費と六兆円の減税を含めて非常に大きな対策を組みました。これで需要不足をかなり補う。
 そして、もう一つは、やはり消費が冷え込まないためには人々に安心してもらわなければいけない。それで、公共事業も、単に事業費を積み上げただけではなくして、まず第一に即効性があること、第二番目には波及効果があること、そして第三番目には未来性のある事業を選ぼうということを考えました。
 それで、空間倍増計画であるとか、あるいは産業再生計画であるとか、特に小渕総理のイニシアチブによりまして二十一世紀先導プロジェクトというのを、これは各省をまたがって、所信表明演説の中にはバーチャルエージェンシーなんという言葉も出てまいりましたが、そういうような新しいものをつくって自信を持つ。
 同時に、もう一つはやはり雇用対策でございまして、かつてない一兆円規模の雇用対策。こういう金融と需要不足と雇用不安という三つの点で不況の環を切っていこう、こういうようなシナリオを明確にしました。この点が今までのやり方と違うところじゃないかと考えております。
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衛藤晟一#6
○衛藤(晟)委員 次に、三点目ですが、減税についてお伺いをさせていただきたいと思うのですね。
 減税については、実は、よく調べてみますと、減税の乗数効果はそれほど大きいわけではないという点は、やはりよく踏まえる必要があるのではないかと思います。例えば、政府支出乗数は一年目一・三一、二年目一・六五、三年目一・九七であるのに対しまして、減税は、一年目〇・四一、二年目〇・五七、三年目〇・二二であります。したがって、減税は、乗数効果を通じた景気浮揚ということが目的よりも、むしろ、最高税率を引き下げ、一生懸命働けばそれなりのものは残るという税制にして、意欲と活力を喚起するという点が最も必要ではないのかなというぐあいに思います。ここのところは、私はやはり冷静な議論をしなければいけないのじゃないのかというぐあいに思います。そのことがまさにグローバルスタンダードということであると思います。
 そこで、緊急経済対策にも恒久的な減税が盛り込まれていますけれども、今後の減税についての大蔵大臣のお考えをお伺いいたします。
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宮澤喜一#7
○宮澤国務大臣 波及効果についての減税と公共事業のおのおのの持っている効果というのは、いろいろ議論のあるところでございますけれども、今衛藤委員の言われましたように、確かに、一つは、減税について、その勤労意欲、法人につきましても個人につきましてもそういう問題がございます。同時にまた、我が国のようにかなり充足いたしました高度の経済におきまして、このようないわゆるデフレ現象になりますと、政府というのは公共事業でございますし、企業というのは設備投資でございますが、両方になかなか意欲がないというときに、結局消費だけが残る。そういう場合に、消費の動向を刺激するために減税、そういう物の考え方はあるであろうと思います。
 したがいまして、これからも減税というものはやはり大事な道具として考えていかなければならないと思いますが、ここまで参りますと、しかし、今回減税をお願いいたしておりますが、もうこれは一遍限りの減税でございませんので、一応この状況でしばらくやらせていただきたいと思っておりますが、次の段階はもう次の世紀に、基本的に新しく我が国の税制をどうするかという問題に直面いたさなければならないと思っておりまして、それが次の課題であろうと思っております。
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衛藤晟一#8
○衛藤(晟)委員 私も、まさに大蔵大臣の言われたとおりだというように思っております。消費を引き上げるために減税ということは必要でありますが、しかし、経済乗数効果で見ますと、それほどいきなり大きな影響を出すものではない。そうなりますと、やはり何が必要かといいますと、私どもが一生懸命働けば働いただけのものがちゃんと残るんだ、そういう社会に対する信頼性というか、あるいは意欲と活力が必要だというように思います。
 戦後、私どもの社会は長い間、過去の所得税の累進におきましても、最高税率八八%なんというようなことでありました。所得の再配分を税制で行うというものでありましたし、またすべての保険料も応能割で、とにかくたくさん所得のあるところから取っていけばいいんだという形で来たと思います。しかし、これだけ成熟をした社会の中ではそういうやり方はもう続けるべきではないというのが、今回の大きな税制改革の入り口ではなかろうかというぐあいに思っております。
 大蔵大臣言われましたように、私ども、次の時代に向けて、本当にどのような税制がいいのか、頑張れば頑張っただけそれなりのものが残るよ、そして将来に向かって本当に意欲と活力が喚起できるよというような税制に向かって切りかえる必要があるのではないのかというように考えておりますので、どうぞそこの点もよろしくお願いをいたします。
 さて、ちょっと私も、今までの議論を踏まえながら、昨年の夏過ぎ、秋ぐらいから実は、ちょうど委員長もおられますが、数十名の国会議員と一緒にいろいろなことを勉強しながら、財政構造改革法がつくられる前でありますけれども、九月、十月に、こういうことを申し上げて幹部の方々にもお願いしたところであります。
 財政構造改革法は今つくるべきではないのではないのか、しばらく延ばすべきだ。それから、減税に関しては制度減税として対応すべきである。それから、思い切った補正を早く組まなければデフレが起こってしまう。それから、信用収縮、クレジットクランチが起こっているので、思い切った不良債権処理と貸し渋り対策を講ずるべきであるということを去年の夏から秋にかけて申し上げておりましたけれども、実は、それを申し上げたころ、皆様方にもお願いして、政策転換をすべきじゃないですかというように申し上げたころ、マスコミにも、あるいは学者にも経済界の方にも、なかなか受け入れてもらえなかったような感じがいたします。それだけに、今ちょうどこういうことになりまして、もっと早ければよかったなという感をぬぐい去ることができません。
 しかし、そういう中でこれだけ思い切った措置がとれたということは、これは私は非常に評価されるべきであろうというように思います。まさに人類史上初めてではないかと思われるぐらいの思い切った措置でございますので、この効果について期待をさせていただくところでございます。
 最後に、経済企画庁長官、今回の経済対策、第三次補正によってどのような経路で景気が回復に向かっていくのか、そして必ず回復軌道に乗るのかどうか、ひとつ元気な答弁をお願い申し上げたいと思います。
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堺屋太一#9
○堺屋国務大臣 この対策をこの国会で通していただきますと、かなりの需要効果が出てくると思います。
 まず、金融不安につきましては、先ほども申し上げましたように、今度の金融対策のスキームによりまして民間の銀行も動いておりますし、また保証制度、中小企業に対する借り入れ保証が働いてまいりまして、かなり中小企業の間にもマインドが向上することが見られてまいりました。
 まだこれから経済の指標は、かなり暗いものが、もっと暗いものが出てくるときがあると思います。夜明けの前が最も暗いといいますが、気象学では正しいかどうかわかりませんけれども、経済学では明らかに正しいのでございます。
 というのは、民間企業が設備投資する前には利益が出ないといけない。利益が出るためにはリストラがあるんです。だから、リストラのときに暗くなりまして、それで利益が出て、投資が出るということになりますから、これが公共事業の注入等と重なり合いまして効果を上げてくるだろうと思います。
 その結果、平成十一年度は必ずプラス成長になる。九年、十年と二年続いてマイナスでございましたが、十一年度には必ずプラスになる。そして、十一年度の後半ぐらいからはかなり住宅、消費等が上がって、やがて設備投資にこれが広がってくるだろう。従来の回復は輸出から始まりましたが、今、アジア等の情勢から見ると、やはり内需からやっていかなければいけない。そういう意味で、ちょっと長引くかもしれませんが、十一年度の後半には出てきて、十二年度にははっきり回復軌道に乗ったと言える形になるんではないかと期待しております。
 このためには、政府の揺るぎなき方針を国民に説得することが必要でございまして、国民に信じてもらわなければいけない、これが大事なところだと思っております。そのために、私どもも懸命の努力をする覚悟でおります。
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衛藤晟一#10
○衛藤(晟)委員 ありがとうございました。
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麻生太郎#11
○麻生委員長 これにて衛藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、日野市朗君。
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日野市朗#12
○日野委員 民主党の日野市朗でございます。
 私は、この法案を読ませていただきまして、非常に簡明な法案でございまして、簡明であると同時に、実際はこう思いました。一体何たる醜態であるかというのが私の第一印象であります。
 この法律案、財政構造改革の推進に関する特別措置法、まあ財革法、こう言わせていただきます。これは大蔵省では財構法と言ったりしているようですが、ここでは財革法と言わせていただくことにしますが、この財革法ができたのは、昨年の十二月五日の法律百九号でございますね。そして、これが五月の十一日には改正案が出されまして、六月五日には法律第九十四号として公布、施行されているということでございます。一年たたないうちに、わずか半年でそもそもの財革法が改正をされて、そして今やこの凍結法という形になっております。
 私は、先ほど何たる醜態であるか、こう申し上げました。これについて、どうしてこういう措置をとらざるを得なかったのか、非常にかいつまんでで結構でございますから、大蔵大臣ひとつ、私は、醜態であるというふうに申し上げた。これは、経済の見通し、それから、これからの経済の立て直しのための緊急経済対策も用意しておられた、そういう事情はわかりますが、これはあなたが手をお染めになった法律ではなかったにしても、やはり大蔵省の長として、ひとつ御感想を聞かせてください。何でこうせざるを得なかったのか。
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宮澤喜一#13
○宮澤国務大臣 私も、過去二年ぐらいのことを顧みますと、我が国の経済の運営の方針と実際に起こりました実情とは非常に多くの食い違いを生んでおって、それをどういうふうに表現をいたしましょうと、決して経済運営が適切であったとは申せない、そのことは認めなければならないと思います。そして、この財革法もまたその一つの要素であったということも、これも事実であったように思います。
 現実に財革法、財政改革というものが国民の意識に上りましたのは、実は平成八年のあの総選挙のときでございまして、自民党自身が財政再建を掲げておりますし、また、消費税率を引き上げるということにつきましても、何と申しますか、いろいろ議論はございましたけれども、何となくそれもやむを得ないのかなというような底流があったことも事実でございますから、このままでは二十一世紀に向かって非常に財政は大変になるという意識があったことは事実であろうと思います。
 しかし、そのときは、実は外の経済状況で申しますと、平成八年度はGDPは三・二%というプラスの成長をしておるものでございますから、何となくこれでやれるんだという意識がまたその根底にあったように考えます。しかるところ、そのGDPの成長は、実はその後に誤りであるということがわかるわけでございますけれども、そういう中で、政府は第一回の財政構造改革会議を平成九年の一月にやっておりまして、そして、平成九年を通じまして財政構造改革の方針を決定いたしております。
 これは、あえて大蔵省ということを日野委員が御指摘になられましたけれども、大蔵省と申しますよりは、何となく、我が国経済が二十一世紀を迎えるに当たってこの際財政改革をしておかないと、少子・高齢化もあるし、いろいろなことから問題が多い、殊に長期計画に問題が多い、キャップをかける必要があるという意識があり、他方で、それをやっていっても何となく経済はもつのではないか、そういう楽観がその根底にあったのではないかと思います。
 私自身、実はこの第一回の財政改革会議に、当時橋本総理大臣が総理大臣経験者をこの会議に招かれましたので、私自身ずっと参画をいたしましたから、その責任を持っておるものでございますけれども、やはり財政改革が大事なのではないかという意識を持っておりましたし、それをやっていても大丈夫だろうというような多少楽観を持っておったことは、正直、告白をしなければならないと思います。
 しかるところ、そしてその財政改革の考え方は大体秋ごろにはできてくるわけでございますけれども、十一月に我が国の金融異変が起こっております。三洋証券、北拓は十一月でございますが、その前に、タイに金融異変が起こりましたのは八月でございます。タイ、インドネシア、それが動いております。それらのことが片っ方で起こりながら、我が国は財政改革の方の道を進んでいった。そういう、どう表現したらよろしいのでしょうか、我が国が独自に考えていたことと実際に起こっていた経済の体質の内外の悪化というものが全く違った方向を歩いたということは、どうも私は事実であると申し上げざるを得ないと思います。
 そういう中で平成十年度予算は十年度予算として組むわけでございますが、これは歳出削減をいたしております。また、公債発行額を減額いたしております。そういう中で、しかし経済状況は実は非常に悪くなってきておった、こういうことであると思います。
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日野市朗#14
○日野委員 今、宮澤大蔵大臣にずっとおさらいをしてもらったような感じがいたしますが、そのとおり、そこらの認識は私もよくわかるんですよ。ですから、もう少し手短にひとつお話をいただければ、こう思うんですね。
 それで、私、財革法ができたころの状況が今大臣がおっしゃったとおりなのはよくわかります。ちょうどそのころは、我が国のいろいろな改革を進めなくちゃいかぬという、学者、評論家の皆さん、それからマスコミの論調もそうでございましたね。これは、財政構造改革だけではなくて、行政改革もやらぬといかぬ、それから経済構造の改革もやらぬといかぬ、それからあとは教育。それで橋本総理も、大改革を一挙にやるべし、そういった論調がありまして、私はそれに橋本さんお乗りになったと思うんですよ。私は、それはそれなりに一つの理由のないことではなかったろう、こんなふうに考えております。
 それで、一挙にそれをやろうという議論が学者からも大いに主張をされて、私は、まあそんなにうまくいくものではあるまいよという感じを実は持っておった。しかし、橋本さん、断固として踏み切られたわけですね。それで財革法を出されて、しかし、すぐにこの方向が転換されてしまうわけですね。
 私は、こういう財政構造改革に踏み切ったならば、その前提として必要なものは断固たる意思だったろうと思うんです。断固たる志を持って財政構造改革に突き進むべしと私は思っていたのですが、恐らく橋本さんもそうやられるだろうと思った。しかし、これはすぐにその基本的な構想というものがどんどん崩れてまいります。景気対策をどうするんだというようなことから橋本総理の構想というものは崩れていったと私は思うんですね。
 特に、土建業を中心とする公共事業に対する要求が吹き上げてくる。そうすると、これは族議員の人たちも随分動いたのでありましょうが、どんどん国債を発行して景気を救うべきだという議論が横溢をして、そしてここで橋本さんは事志と違った方向に行ってしまったのではないか、こんなふうに実は私は今考えております。もっと橋本さん、断固として執着してよかったのではないかな、こういう感じを持っています。ほかの改革でも同じです。
 そういう財革法の置かれた状況というものを見て、今ここで財革法の凍結という事態を迎えて、私は、この財政構造改革の志、これは既に失われたのではないか。
 この法文を見ますと、これは非常に簡単に、とにかく、法律で定める日までの間その施行を停止するんですね。そして、またこれが息を吹き返しますときにはしかるべき方法を講じますよ、こういう内容にすぎません。
 私は、ここでこの法律を見、今までの経緯を見て、もはや既に財政構造改革の志は失われたのではないか、こう思うんですが、いかがでしよう。
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宮澤喜一#15
○宮澤国務大臣 橋本総理大臣の時代に事志とたがったとおっしゃったところまでは私もそういうふうに思っておりますけれども、それは具体的には公共事業が出なくて地方の土建屋さんが困った、そういうふうには私は思っておりませんで、現実に、先ほど申し上げましたような内外の経済情勢の変化の中で、例えば、財政の目標年次平成十五年度というのを、GDPの何%というようなものを変えなければならなかったとか、あるいは毎年度の赤字公債を減らすことができなくなったとかいう、そういう状況であったのだと思います。
 したがいまして、委員へのお答えとしては、私自身はやはり、構造改革はなりませんでしたが、しかしある時点において国の債務をGDPの一定のパーセンテージにとどめなければならぬ、あるいは歳入補てん公債のとめどもない増加はとめなければならないといったような点においての志は、なお将来に向かって、私はそうしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
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日野市朗#16
○日野委員 いや、現実に志が存在しなければならない、これについてはどなたも異論はないと思うのですね。問題は、財政を現実につかさどる省の、国のつかさとしては、現実にこのような法律をお出しになって、現在審議している財革法の凍結法案でございますよ、このような法律をお出しになって、もう既に財革法では、改正法で、例えば平成十七年までに、一つの目標を決めて、そしてこうやりますよという方針を出しておられるわけですよ。しかし、今こうなってみて、十七年なんという一つの目標が、これは私はクリアできるとは到底思えない。もうそこで既に今まで財革法に託した志は失われたのではないか、このことを私は指摘しているのです。
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宮澤喜一#17
○宮澤国務大臣 あえて逆らって申し上げるつもりはございませんけれども、十七年度ということは難しいかもしれない、しかし国の債務というものがGDPの一定の中になければならない、理想としてはやはりそういう目標は持つべきだということは、最近のヨーロッパの状況などからも言えることでございますけれども、そういう目標そのものがやはり可能な時代になれば持っておくべきだろうというふうに思う、その点はいかがでございましょうかと思います。
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日野市朗#18
○日野委員 今大臣は、十七年は難しいかもしれないと。私は、決して言葉じりをとらえるつもりではありません。現実に皆さんそう思われるのではないかと思うのですね。
 そうすると、私は、もう一度、財政構造改革、これは高い志を持って最初からやり直してごらんになったらいかがか、こう思うのでございますよ。むしろ、これは凍結ということで古いそもそもの財革法に恋々とするよりは、ここで一たんこれを廃止して、そしてもう一度きちんと日本の財政構造改革、どのような姿であるべきかということを、私はその作業をやり直すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 これはもう既に効力の停止だ、この法律の停止だと条文上は書いてある。しかし、もうこれだけ痛めつけられて、この法律が十分に機能していくとは到底私には思えない。いかがですか、これ、思い切って廃止をされて、もう一度最初から議論をし直してごらんになる、この方がよろしいんじゃありませんか。
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宮澤喜一#19
○宮澤国務大臣 そこはかつて政府部内にもいろいろ議論のあったところでございまして、委員のおっしゃるような考え方もございました。
 しかし、例えば、政府の長期計画の中で少子・高齢化に伴うもの等々は現実に従来の計画を改めなければならないという事態は回避ができないということも事実でございますし、そういうものは現実にございますし、また他方で、今のような財政状態、今としてはやむを得ないとしても、やがて国の債務の累増というものはどこかで見直さなければならぬというような、その思想そのものは誤っているとは思えないといったようなことから、廃止でなく凍結ということにいたした次第でございました。委員の言われるような考え方も政府部内にも一部ございました。
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日野市朗#20
○日野委員 私は、だれも財政構造改革を忘れろなどと言っているんじゃありませんよ。私は、こうやってこの法律がこういう醜態をさらしている姿を見てつくづく思います。もはやこの法律で、現在の経済状態を――いろいろな経済政策を打つ、緊急経済対策を打っていく、その政策の必要を私は認めないわけではないんです。その当時から日本の財政状況はぐっとさらに悪い方に今移っているわけでございましょう。
 ちょっと資料を見ますと、ことしの国税と印紙税の収入見込み、大体五十兆でございますね。それから、国家の公債を初めとする赤字、これも大体四十九兆ぐらい、ほぼこれはもう並んじゃったんですな。平成十年度ですよ。こういう状況を見て、私は、あの当時の認識で出された財革法、これはもはや変えなければどうにもしようがない、こう思っているんですね。
 ちなみに、地方も現在大変財政状況の悪化に苦悩しておられますね。今、地方の財政状況、どうなっていますか。簡便にひとつ、簡単に述べていただけますか。数字を挙げていただくだけで結構です。
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二橋正弘#21
○二橋政府委員 地方財政、大変厳しい状況でございますが、端的に、地方債の残高が大変多額になっておりまして、十年度末の見込みでございますが、今回の緊急経済対策等も含めて申し上げますと、全体として、地方債の借入残高と交付税特別会計の借入残高等全部ひっくるめまして、地方の借入残高の平成十年度末見込みは、百六十六兆円になる見込みでございます。
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日野市朗#22
○日野委員 まあ、こういう惨たんたる状況でありますね。
 今、この財革法を凍結されて、経済対策を打っておられる。これは結構でしよう、経済対策打つのは。こういう経済対策を行うにしても、ではこの財政をどうするかということについて、財政の政策がなければなりません。それはどういうものですか。どういうふうに財政を立て直していこうとなさっているんですか。この法律には何にも書いてありませんですね。要するに財革法の凍結である、これは私にとってみれば非常に無責任に見えます。
 こうやって凍結をする、しかし、もう歳入と公債発行高、これがほぼ並ぶような財政状況の中で、どうやってこれを立て直していこうとされるのか。それは、経済立て直しが優先だとはいいながら、その政策を打ちながらも、やはり財政政策というのは考えていただかなければならないのです。どのような財政政策をお持ちなんですか。
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宮澤喜一#23
○宮澤国務大臣 むしろ、そういうお尋ねがございますがゆえに、廃止をせずに凍結をしたというふうに御説明をいたすべきだと思いますのは、確かに、平成十七年までにGDPのあるパーセンテージを達することはできないとしても、しかしいずれの日かはそういう目標を持たねばならない、またそれが可能な経済財政運営をしなければならない、そういうふうに考えておりますために廃止をせずに凍結をいたしておるわけであります。
 確かに今、日野委員の言われますように、それなら具体的に何年にGDPの仮に三%に債務をとどめるのかといえば、正直を申しまして、今それを申し上げることができない状況でございますから申し上げておらないのであって、そういう意味では、今具体的な目標を持てないではないかとおっしゃれば、まことに申しわけないが、そのとおりであります。しかし、持てなくてもいいというふうには考えておりません。いつの日か日本の経済を正常化して、そういう目標を我々は持たなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
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日野市朗#24
○日野委員 財政の立て直しというのは決して容易なことではないと私は思っているのですね。これは、ややもすると皆さん簡単におっしゃるのです。景気がよくなってくれば税収が上がる、それで赤字公債は償還できる、こう安易におっしゃる。しかし、私はそんな安易なものではないと思うんですよ。
 景気だってこれはいろいろな波があるものでございまして、今度景気が回復したらゴボウ抜きにぐっとよくなる、そんなことはあり得ない。バブル時代のような好景気などということを想定してはいけないのでありましょう。こういう状況下で財政を立て直していく、赤字を消していく、これについては、一方では経済政策をやりながらも、ちゃんとした見識を持って財政の立て直しに臨まなければいけないのだというふうに思います。
 ちなみに伺ってみましょう。では、あのバブルの時代、あんなに税収が上がった、驚くほど上がった、しかしそこで、それまで発行していた赤字公債のどれだけを消却したか。いかがですか。
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宮澤喜一#25
○宮澤国務大臣 その時代に一番税収が入りましたときには弾性値が三を超えましたので、したがいまして、名目成長率三とか四とかいうときに税収は十数%ふえたときがございます。したがいまして、その間に、毎年発行しておりましたいわゆる歳入補てん公債をゼロにすることができました。そういう段階がしばらくあったわけでございます。
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日野市朗#26
○日野委員 大臣はゼロにすることができたと今おっしゃったが、私は、ゼロにするのが精いっぱいだった、むしろそういう表現であるべきだと思うのですが、いかがですか。
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宮澤喜一#27
○宮澤国務大臣 その新規発行をゼロにしたのは、そのとおりでございます。
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日野市朗#28
○日野委員 従来の発行済みの公債、これを消却はしていないんだ。
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宮澤喜一#29
○宮澤国務大臣 期限前消却はいたしておりませんけれども、償還期に参りましたものは償還いたしておりました。
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