法務委員会
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会
会議録情報#0
平成十一年四月十三日(火曜日)
午前九時三十二分開議
出席委員
委員長 杉浦 正健君
理事 橘 康太郎君 理事 八代 英太君
理事 山本 幸三君 理事 山本 有二君
理事 日野 市朗君 理事 上田 勇君
理事 達増 拓也君
奥野 誠亮君 加藤 卓二君
河村 建夫君 小杉 隆君
小林 多門君 左藤 恵君
笹川 堯君 菅 義偉君
西田 司君 保岡 興治君
渡辺 喜美君 枝野 幸男君
北村 哲男君 佐々木秀典君
福岡 宗也君 漆原 良夫君
安倍 基雄君 木島日出夫君
保坂 展人君 鯨岡 兵輔君
委員外の出席者
参考人
(日本労働組合
総連合会政策委
員) 逢見 直人君
参考人
(弁理士会会長
) 幸田 全弘君
参考人
(弁護士) 高橋 融君
参考人
(ノンフィクシ
ョン作家) 松永 憲生君
参考人
(元東京地方裁
判所所長) 菊池 信男君
参考人
(元福岡高等検
察庁検事長) 高橋 武生君
参考人
(日本弁護士連
合会理事) 久保井一匡君
法務委員会専門
員 海老原良宗君
四月七日
辞任 補欠選任
古賀 誠君 鯨岡 兵輔君
同月十三日
辞任 補欠選任
加藤 紘一君 小林 多門君
枝野 幸男君 北村 哲男君
同日
辞任 補欠選任
小林 多門君 加藤 紘一君
北村 哲男君 枝野 幸男君
四月一日
子供の視点からの少年法論議に関する請願(家西悟君紹介)(第一六九九号)
同(石毛えい子君紹介)(第一七〇〇号)
同(肥田美代子君紹介)(第一七〇一号)
同(保坂展人君紹介)(第一七〇二号)
同(家西悟君紹介)(第一七一三号)
同(北村哲男君紹介)(第一七一四号)
同(保坂展人君紹介)(第一七一五号)
同(家西悟君紹介)(第一七四一号)
同(上田勇君紹介)(第一七四二号)
同(北村哲男君紹介)(第一七四三号)
同(中川智子君紹介)(第一七四四号)
同(家西悟君紹介)(第一八五一号)
同(瀬古由起子君紹介)(第一八五二号)
同(中川智子君紹介)(第一八五三号)
同(保坂展人君紹介)(第一八五四号)
外国人登録法の抜本改正に関する請願(佐藤茂樹君紹介)(第一七〇三号)
同(土井たか子君紹介)(第一七〇四号)
同(中桐伸五君紹介)(第一七〇五号)
同(山本孝史君紹介)(第一七一六号)
同(日野市朗君紹介)(第一八五五号)
定期借家権制度を創設する借地借家法の改正反対に関する請願(北村哲男君紹介)(第一七一二号)
同(北村哲男君紹介)(第一七三九号)
同(藤木洋子君紹介)(第一七四〇号)
同月七日
定期借家権制度を創設する借地借家法の改正反対に関する請願(坂上富男君紹介)(第一八八〇号)
同(保坂展人君紹介)(第一八九七号)
同(木島日出夫君紹介)(第一九七二号)
子供の視点からの少年法論議に関する請願(家西悟君紹介)(第一八八一号)
同(中川智子君紹介)(第一八八二号)
同(肥田美代子君紹介)(第一八八三号)
同(家西悟君紹介)(第一八九八号)
同(中川智子君紹介)(第一八九九号)
同(肥田美代子君紹介)(第一九〇〇号)
同(辻元清美君紹介)(第一九二八号)
同(藤木洋子君紹介)(第一九七三号)
同(古堅実吉君紹介)(第一九七四号)
同(松本善明君紹介)(第一九七五号)
外国人登録法の抜本改正に関する請願(肥田美代子君紹介)(第一八八四号)
組織的犯罪対策法制定反対に関する請願(児玉健司君紹介)(第一九七一号)
同月九日
児童買春等禁止法案の早期成立に関する請願(森山眞弓君紹介)(第二一八七号)
子供の視点からの少年法論議に関する請願(佐々木秀典君紹介)(第二一八八号)
同(坂上富男君紹介)(第二一八九号)
同(山元勉君紹介)(第二一九〇号)
同(佐々木秀典君紹介)(第二三〇一号)
同(山元勉君紹介)(第二三〇二号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
司法制度改革審議会設置法案(内閣提出第二五号)
午前九時三十二分開議
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時三十二分開議
出席委員
委員長 杉浦 正健君
理事 橘 康太郎君 理事 八代 英太君
理事 山本 幸三君 理事 山本 有二君
理事 日野 市朗君 理事 上田 勇君
理事 達増 拓也君
奥野 誠亮君 加藤 卓二君
河村 建夫君 小杉 隆君
小林 多門君 左藤 恵君
笹川 堯君 菅 義偉君
西田 司君 保岡 興治君
渡辺 喜美君 枝野 幸男君
北村 哲男君 佐々木秀典君
福岡 宗也君 漆原 良夫君
安倍 基雄君 木島日出夫君
保坂 展人君 鯨岡 兵輔君
委員外の出席者
参考人
(日本労働組合
総連合会政策委
員) 逢見 直人君
参考人
(弁理士会会長
) 幸田 全弘君
参考人
(弁護士) 高橋 融君
参考人
(ノンフィクシ
ョン作家) 松永 憲生君
参考人
(元東京地方裁
判所所長) 菊池 信男君
参考人
(元福岡高等検
察庁検事長) 高橋 武生君
参考人
(日本弁護士連
合会理事) 久保井一匡君
法務委員会専門
員 海老原良宗君
四月七日
辞任 補欠選任
古賀 誠君 鯨岡 兵輔君
同月十三日
辞任 補欠選任
加藤 紘一君 小林 多門君
枝野 幸男君 北村 哲男君
同日
辞任 補欠選任
小林 多門君 加藤 紘一君
北村 哲男君 枝野 幸男君
四月一日
子供の視点からの少年法論議に関する請願(家西悟君紹介)(第一六九九号)
同(石毛えい子君紹介)(第一七〇〇号)
同(肥田美代子君紹介)(第一七〇一号)
同(保坂展人君紹介)(第一七〇二号)
同(家西悟君紹介)(第一七一三号)
同(北村哲男君紹介)(第一七一四号)
同(保坂展人君紹介)(第一七一五号)
同(家西悟君紹介)(第一七四一号)
同(上田勇君紹介)(第一七四二号)
同(北村哲男君紹介)(第一七四三号)
同(中川智子君紹介)(第一七四四号)
同(家西悟君紹介)(第一八五一号)
同(瀬古由起子君紹介)(第一八五二号)
同(中川智子君紹介)(第一八五三号)
同(保坂展人君紹介)(第一八五四号)
外国人登録法の抜本改正に関する請願(佐藤茂樹君紹介)(第一七〇三号)
同(土井たか子君紹介)(第一七〇四号)
同(中桐伸五君紹介)(第一七〇五号)
同(山本孝史君紹介)(第一七一六号)
同(日野市朗君紹介)(第一八五五号)
定期借家権制度を創設する借地借家法の改正反対に関する請願(北村哲男君紹介)(第一七一二号)
同(北村哲男君紹介)(第一七三九号)
同(藤木洋子君紹介)(第一七四〇号)
同月七日
定期借家権制度を創設する借地借家法の改正反対に関する請願(坂上富男君紹介)(第一八八〇号)
同(保坂展人君紹介)(第一八九七号)
同(木島日出夫君紹介)(第一九七二号)
子供の視点からの少年法論議に関する請願(家西悟君紹介)(第一八八一号)
同(中川智子君紹介)(第一八八二号)
同(肥田美代子君紹介)(第一八八三号)
同(家西悟君紹介)(第一八九八号)
同(中川智子君紹介)(第一八九九号)
同(肥田美代子君紹介)(第一九〇〇号)
同(辻元清美君紹介)(第一九二八号)
同(藤木洋子君紹介)(第一九七三号)
同(古堅実吉君紹介)(第一九七四号)
同(松本善明君紹介)(第一九七五号)
外国人登録法の抜本改正に関する請願(肥田美代子君紹介)(第一八八四号)
組織的犯罪対策法制定反対に関する請願(児玉健司君紹介)(第一九七一号)
同月九日
児童買春等禁止法案の早期成立に関する請願(森山眞弓君紹介)(第二一八七号)
子供の視点からの少年法論議に関する請願(佐々木秀典君紹介)(第二一八八号)
同(坂上富男君紹介)(第二一八九号)
同(山元勉君紹介)(第二一九〇号)
同(佐々木秀典君紹介)(第二三〇一号)
同(山元勉君紹介)(第二三〇二号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
司法制度改革審議会設置法案(内閣提出第二五号)
午前九時三十二分開議
————◇—————
杉
杉浦正健#1
○杉浦委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、司法制度改革審議会設置法案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、まず午前の参考人として日本労働組合総連合会政策委員逢見直人君、弁理士会会長幸田全弘君、弁護士高橋融君、ノンフィクション作家松永憲生君、以上四名の方々に御出席いただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
参考人各位におかれましては、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
逢見参考人、幸田参考人、高橋参考人、松永参考人の順に、各十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
それでは、逢見参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、司法制度改革審議会設置法案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、まず午前の参考人として日本労働組合総連合会政策委員逢見直人君、弁理士会会長幸田全弘君、弁護士高橋融君、ノンフィクション作家松永憲生君、以上四名の方々に御出席いただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
参考人各位におかれましては、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
逢見参考人、幸田参考人、高橋参考人、松永参考人の順に、各十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
それでは、逢見参考人にお願いいたします。
逢
逢見直人#2
○逢見参考人 おはようございます。連合で政策委員をしております逢見でございます。
司法制度改革審議会設置法案並びに本法案が目的とする司法制度改革について意見を申し述べます。お手元に資料を配付してございますので、それを参照しながら聞いていただきたいと思います。
まず、司法制度改革についての基本的な考え方でありますが、連合も、二十一世紀の日本を公正で活力のある社会とするためには、司法制度の拡充強化が必要であると考えております。
現在の司法制度は、残念ながら、国民の期待に十分にこたえているとは言えません。司法は社会の紛争を解決する機能を本来持っているはずですが、裁判が余りに長くかかり過ぎたり、費用が幾らかかるかわからないとか、行政機関が決めたことを不服だとして裁判に訴えても、裁判所はしょせん行政に甘いので、泣き寝入りするしかないのではないかといった問題を抱えており、制度改革は急務であると思います。
その意味で、今回の法律案は目的においては賛同すべきものであり、司法制度全般について、国民各層の参加を得て抜本改革を推進すべきであると考えます。
私は労働組合の役員として労働問題に携わっておりますが、ここで私は、セーフティーネットとしての司法の役割を強調したいと思います。
近年、経済のグローバル化、規制緩和の進展に伴い、企業や個人は、自己責任を原則として、透明なルールに従って行動することが求められるようになっております。この流れは否定できませんが、自己責任の徹底を叫ぶだけで、セーフティーネット、すなわち安全網の張りかえがなければ、個人や企業の不安が募るだけの社会になりかねません。
幾つかの例を申し上げます。
お手元に資料を配付してございますが、図一は、企業倒産件数、負債、倒産率の推移を見たものであります。
このグラフを見ていただきますとわかりますように、バブル崩壊後、企業倒産件数は増加の一途をたどっております。企業倒産には、任意整理など裁判所を通さないものもありますが、破産、和議、会社更生など裁判所の手続を通すものもふえております。企業倒産事件は、債権者の利害調整など複雑な問題もありますが、一方で、そこで働く従業員の立場からは、未払い賃金など労働債権の処理は早く進めてほしいのであります。
しかし、これは企業倒産法制の問題もあり、これにつきましては別途法制審議会で見直しの作業が進められておりますが、法曹人口の不足もまた大きな問題でございます。弁護士などが一部大都市に偏在しており、地方の中小企業の倒産事件などは、依頼する弁護士が非常に不足しているということから、スピーディーな解決が図れないという問題も生じております。
司法試験合格者の増加による法曹人口の増大を図る必要がありますが、それだけではなく、裁判官の任用についても、今日の経済社会問題を理解できる人を幅広く検討すべきでありますし、また、弁護士と公認会計士、税理士、弁理士、司法書士など、法律サービスと関連サービスを一体として提供できる総合的法律経済事務所を早期に認めるべきであります。
また、労働債権の先取特権を行使するための裁判所に対する差し押さえ手続の申立代理人などは、事態によっては大変急を要するものであり、弁護士以外に、例えば社会保険労務士でありますとか労働組合の専従役員を十年以上経験した者などにも認めるべきであります。
次に、個別的労使紛争の増加という問題に触れたいと思います。
近年、労使関係の安定により、労働争議や集団的労使紛争は減少傾向にありますが、個別的な雇用関係から生じる賃金、退職金、解雇、雇いどめ、配転、出向、労働条件の不利益変更などをめぐる事件や労働相談は増加傾向にあります。
お手元の資料の図二、これは裁判所で受理した労働関係事件の推移を見たものでありますが、これもまたバブル崩壊後の平成四年から急増傾向にあります。その多くは雇用関係の存否にかかわるもので、バブル破綻後の経済環境や雇用環境の悪化がこうした個別紛争の増加をもたらしたものと推察できます。雇用関係の存否などは労働者個人の生活にかかわるものであり、事件処理の長期化は避けるべきであります。
これは最近、新聞記事になった事件ですが、大手タイヤメーカーのブリヂストンの社長室で、リストラがきつ過ぎると、元社員が包丁で自殺するという事件がありました。自殺に至る前に、この訴えを聞いてあげる仕組みができなかったのかという思いを強くいたします。これなども、セーフティーネットが不十分であったために起こった不幸な事件と言えます。自己責任では片づけられない問題だと思います。
ところが、昨年の国会で司法試験法の改正が行われ、ここで法律選択科目が廃止され、労働法が司法試験からなくなってしまうということになりました。平成十二年の司法試験合格者からは、労働法を全く知らない弁護士や裁判官が生まれてくることになります。
労働法は、雇用労働者の働き方や生活を規律する重要な法律であるとともに、企業経営のあり方も規制する法律であります。実際、労働法は、採用から配置、賃金等の処遇、労働時間、人事異動、教育訓練、退職などのすべての働き方にかかわる法律であり、さらに、派遣、パートといった多様化する就業形態にも法的な整備がなされてきました。
労使紛争は、当事者で解決がつかない場合には、労働委員会や裁判所など第三者機関に解決をゆだねることになりますが、労働法を学んでいない法曹関係者が今後こうした問題の処理に当たることにつきまして一抹の不安を感じざるを得ません。
労働法については、司法試験の選択科目とすべきであります。しかし、平成十二年の司法試験には当座間に合いませんので、当面は司法研修の中で労働法のウエートを高めることを求めたいと思います。
お手元の表二は、諸外国の個別労使紛争処理システムを見たものですが、欧州では労働審判所ないし労働裁判所など、労働契約や労働協約などの紛争を処理するシステムが整備されていることがわかります。
日本においても個別労使紛争が増加したことは前述のとおりでございます。その内容を東京都の労政事務所に相談された項目で見ますと、これは前のページの表の一になりますが、解雇をめぐるトラブルが最も多いということがわかります。
個別的労使紛争については、裁判所において権利義務の判定や和解を行うほか、行政機関である労政事務所あるいは労働基準監督署、都道府県の女性少年室、さらに弁護士団体や私ども連合など労働団体が行う相談活動なども行っております。
しかし、総合的に見て、今後増加して複雑化していくと予想される個別的労使紛争処理システムが我が国において整備されているとは言えません。とりわけ司法分野での整備がおくれております。労働事件は権利紛争と利益紛争の両面を持ったものが多く、民事調停ではその機能が制限されております。しかし、これを裁判に持ち込むとなると、損害賠償請求額が少額であったり、裁判が長期化すると、事実上権利の回復がなされないなど、泣き寝入りせざるを得ないというのが実態であります。
市民が普通の言葉で相談し、紛争を即時に解決してもらえるシステムを、我が国においても欧州の労働裁判所などの例を参考にして整備すべきであります。
最後に、司法のあり方について一言申し述べたいと思います。
司法が果たす役割には法秩序の維持があります。これは法を犯した者に対して刑罰を科すということで、もちろんこうした法秩序の維持は重要なことでありますが、もう一つは、市民が法で保障されている権利を擁護して、何か問題があったときにその権利がいつでも行使できる、それを保障するのが司法の役割であると思います。
この後者の役割について、裁判所は今まではっきりした姿勢を示してこなかったのではないかと思います。裁判所は、一般市民にとって近寄りがたい、怖いところといったイメージになっているのではないでしょうか。裁判所のこうしたイメージの払拭が必要であります。裁判所は、市民が安心して暮らせるための法の番人であり、たとえ相手が行政であっても、市民が法によって保障されている権利を不当に侵している場合には、裁判所がきちんと判断を示すことが期待されていると思うのであります。
繰り返しになりますが、自己責任の社会、公正、透明なルールで運営する社会には、セーフティーネットとしての紛争処理システムが不可欠であり、相対的弱者である市民が泣き寝入りするということを放置しておくべきではありません。
司法制度改革審議会におきましては、国民各層の参加によって、二十一世紀のあるべき司法の姿、すなわち、基本理念がきちんと示されて、その合意の上に改革の設計図が描かれることを期待して、私の意見といたします。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →司法制度改革審議会設置法案並びに本法案が目的とする司法制度改革について意見を申し述べます。お手元に資料を配付してございますので、それを参照しながら聞いていただきたいと思います。
まず、司法制度改革についての基本的な考え方でありますが、連合も、二十一世紀の日本を公正で活力のある社会とするためには、司法制度の拡充強化が必要であると考えております。
現在の司法制度は、残念ながら、国民の期待に十分にこたえているとは言えません。司法は社会の紛争を解決する機能を本来持っているはずですが、裁判が余りに長くかかり過ぎたり、費用が幾らかかるかわからないとか、行政機関が決めたことを不服だとして裁判に訴えても、裁判所はしょせん行政に甘いので、泣き寝入りするしかないのではないかといった問題を抱えており、制度改革は急務であると思います。
その意味で、今回の法律案は目的においては賛同すべきものであり、司法制度全般について、国民各層の参加を得て抜本改革を推進すべきであると考えます。
私は労働組合の役員として労働問題に携わっておりますが、ここで私は、セーフティーネットとしての司法の役割を強調したいと思います。
近年、経済のグローバル化、規制緩和の進展に伴い、企業や個人は、自己責任を原則として、透明なルールに従って行動することが求められるようになっております。この流れは否定できませんが、自己責任の徹底を叫ぶだけで、セーフティーネット、すなわち安全網の張りかえがなければ、個人や企業の不安が募るだけの社会になりかねません。
幾つかの例を申し上げます。
お手元に資料を配付してございますが、図一は、企業倒産件数、負債、倒産率の推移を見たものであります。
このグラフを見ていただきますとわかりますように、バブル崩壊後、企業倒産件数は増加の一途をたどっております。企業倒産には、任意整理など裁判所を通さないものもありますが、破産、和議、会社更生など裁判所の手続を通すものもふえております。企業倒産事件は、債権者の利害調整など複雑な問題もありますが、一方で、そこで働く従業員の立場からは、未払い賃金など労働債権の処理は早く進めてほしいのであります。
しかし、これは企業倒産法制の問題もあり、これにつきましては別途法制審議会で見直しの作業が進められておりますが、法曹人口の不足もまた大きな問題でございます。弁護士などが一部大都市に偏在しており、地方の中小企業の倒産事件などは、依頼する弁護士が非常に不足しているということから、スピーディーな解決が図れないという問題も生じております。
司法試験合格者の増加による法曹人口の増大を図る必要がありますが、それだけではなく、裁判官の任用についても、今日の経済社会問題を理解できる人を幅広く検討すべきでありますし、また、弁護士と公認会計士、税理士、弁理士、司法書士など、法律サービスと関連サービスを一体として提供できる総合的法律経済事務所を早期に認めるべきであります。
また、労働債権の先取特権を行使するための裁判所に対する差し押さえ手続の申立代理人などは、事態によっては大変急を要するものであり、弁護士以外に、例えば社会保険労務士でありますとか労働組合の専従役員を十年以上経験した者などにも認めるべきであります。
次に、個別的労使紛争の増加という問題に触れたいと思います。
近年、労使関係の安定により、労働争議や集団的労使紛争は減少傾向にありますが、個別的な雇用関係から生じる賃金、退職金、解雇、雇いどめ、配転、出向、労働条件の不利益変更などをめぐる事件や労働相談は増加傾向にあります。
お手元の資料の図二、これは裁判所で受理した労働関係事件の推移を見たものでありますが、これもまたバブル崩壊後の平成四年から急増傾向にあります。その多くは雇用関係の存否にかかわるもので、バブル破綻後の経済環境や雇用環境の悪化がこうした個別紛争の増加をもたらしたものと推察できます。雇用関係の存否などは労働者個人の生活にかかわるものであり、事件処理の長期化は避けるべきであります。
これは最近、新聞記事になった事件ですが、大手タイヤメーカーのブリヂストンの社長室で、リストラがきつ過ぎると、元社員が包丁で自殺するという事件がありました。自殺に至る前に、この訴えを聞いてあげる仕組みができなかったのかという思いを強くいたします。これなども、セーフティーネットが不十分であったために起こった不幸な事件と言えます。自己責任では片づけられない問題だと思います。
ところが、昨年の国会で司法試験法の改正が行われ、ここで法律選択科目が廃止され、労働法が司法試験からなくなってしまうということになりました。平成十二年の司法試験合格者からは、労働法を全く知らない弁護士や裁判官が生まれてくることになります。
労働法は、雇用労働者の働き方や生活を規律する重要な法律であるとともに、企業経営のあり方も規制する法律であります。実際、労働法は、採用から配置、賃金等の処遇、労働時間、人事異動、教育訓練、退職などのすべての働き方にかかわる法律であり、さらに、派遣、パートといった多様化する就業形態にも法的な整備がなされてきました。
労使紛争は、当事者で解決がつかない場合には、労働委員会や裁判所など第三者機関に解決をゆだねることになりますが、労働法を学んでいない法曹関係者が今後こうした問題の処理に当たることにつきまして一抹の不安を感じざるを得ません。
労働法については、司法試験の選択科目とすべきであります。しかし、平成十二年の司法試験には当座間に合いませんので、当面は司法研修の中で労働法のウエートを高めることを求めたいと思います。
お手元の表二は、諸外国の個別労使紛争処理システムを見たものですが、欧州では労働審判所ないし労働裁判所など、労働契約や労働協約などの紛争を処理するシステムが整備されていることがわかります。
日本においても個別労使紛争が増加したことは前述のとおりでございます。その内容を東京都の労政事務所に相談された項目で見ますと、これは前のページの表の一になりますが、解雇をめぐるトラブルが最も多いということがわかります。
個別的労使紛争については、裁判所において権利義務の判定や和解を行うほか、行政機関である労政事務所あるいは労働基準監督署、都道府県の女性少年室、さらに弁護士団体や私ども連合など労働団体が行う相談活動なども行っております。
しかし、総合的に見て、今後増加して複雑化していくと予想される個別的労使紛争処理システムが我が国において整備されているとは言えません。とりわけ司法分野での整備がおくれております。労働事件は権利紛争と利益紛争の両面を持ったものが多く、民事調停ではその機能が制限されております。しかし、これを裁判に持ち込むとなると、損害賠償請求額が少額であったり、裁判が長期化すると、事実上権利の回復がなされないなど、泣き寝入りせざるを得ないというのが実態であります。
市民が普通の言葉で相談し、紛争を即時に解決してもらえるシステムを、我が国においても欧州の労働裁判所などの例を参考にして整備すべきであります。
最後に、司法のあり方について一言申し述べたいと思います。
司法が果たす役割には法秩序の維持があります。これは法を犯した者に対して刑罰を科すということで、もちろんこうした法秩序の維持は重要なことでありますが、もう一つは、市民が法で保障されている権利を擁護して、何か問題があったときにその権利がいつでも行使できる、それを保障するのが司法の役割であると思います。
この後者の役割について、裁判所は今まではっきりした姿勢を示してこなかったのではないかと思います。裁判所は、一般市民にとって近寄りがたい、怖いところといったイメージになっているのではないでしょうか。裁判所のこうしたイメージの払拭が必要であります。裁判所は、市民が安心して暮らせるための法の番人であり、たとえ相手が行政であっても、市民が法によって保障されている権利を不当に侵している場合には、裁判所がきちんと判断を示すことが期待されていると思うのであります。
繰り返しになりますが、自己責任の社会、公正、透明なルールで運営する社会には、セーフティーネットとしての紛争処理システムが不可欠であり、相対的弱者である市民が泣き寝入りするということを放置しておくべきではありません。
司法制度改革審議会におきましては、国民各層の参加によって、二十一世紀のあるべき司法の姿、すなわち、基本理念がきちんと示されて、その合意の上に改革の設計図が描かれることを期待して、私の意見といたします。ありがとうございました。拍手
杉
幸
幸田全弘#4
○幸田参考人 おはようございます。弁理士会会長の幸田でございます。
本日は、このような機会を弁理士会に与えていただきましたことに対しまして、心から御礼を申し上げます。
なお、私、こういう場所がふなれでございますので、原稿に沿って意見を述べさせていただきたいと思います。その際、既にお手元にビニールのファイルでとじた資料を配付させていただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。
まず初めに、私ども弁理士会は、司法制度改革審議会が早期に設置され、司法制度について抜本的な見直しがされますことを強く要望するものでございます。以下、その理由を御説明申し上げますが、その前に簡単に弁理士会についてお話しさせていただきたいと思います。
弁理士会とは、我が国において、工業所有権に関します特許庁に対する手続代理、特許庁長官を当事者といたしました審決取り消し訴訟の訴訟代理人、工業所有権に関します権利侵害訴訟の補佐人の資格を有する唯一の国家資格者、弁理士で組織されました公法人で、明治三十二年に弁理士制度が創設されて以来、本年でちょうど百年目を迎える団体でございます。
さて、我が国におきましては、各分野におきまして規制緩和政策が積極的に推進され、産業育成の妨げとなるような規制については緩和もしくは撤廃する努力が行われております。この規制緩和政策は、従来の事前の規制を緩和もしくは撤廃するものでありますから、当然のことながらさまざまな産業、経済活動を行った際の事後のチェックシステムが大きな役割を負うこととなります。
言いかえますと、産業または経済の分野におきまして、適切な権利の保護や救済を求めるに際しましては、これからの司法が果たす役割はますます大きくなるものと考えております。
一九九五年に制定されました科学技術基本法に基づき、科学技術創造立国を標榜する我が国が、力強い経済の再建を目指し、産官学の連携によります研究開発とその成果の活用、適切かつ迅速な知的財産権の保護によります新規産業の創出を図るとともに、競争力の源泉である物づくりを支えます技術と技能の育成、それに中小企業の人材育成を進めることは極めて重要な課題であると考えております。
このことは、さきに発表されました内閣総理大臣の諮問機関であります経済戦略会議の答申が、戦略的な技術開発の推進における企業や個人が果たす役割に注目し、これらの技術開発に対して、より一層実効を上げるためには、適切な知的財産の保護の強化が必要であると指摘しておられることからも十分御理解いただけるものと存じます。
この目的を達成するため、行政サイドにおかれましては、例えば特許庁を中心に、申請から権利化に至るまで、権利の取得を早く、保護の対象並びに権利の解釈を広く、他に対抗できる強い知的財産権の実現に向けたび重なる法律改正を行いながら、国内はもとより国際的にも十分対応できる体制の整備にたゆまぬ努力がなされております。
知的財産とは、多くの資本と時間と労力を投資して得ることのできます精神的な労作の成果物でありますが、その反面極めて模倣しやすい性質を有しておりますので、知的財産に関します紛争は国境を越えて生じております。
かかる知的財産の保護強化を図りますには、行政による迅速な権利の設定のみでは十分ではなく、紛争が生じました場合の司法による速やかなる解決が非常に重要であると考えております。
しかしながら、知的財産分野におきます我が国の訴訟は、アメリカなどの諸外国に比しまして、訴訟期間が長く、訴訟費用の負担が大きく、損害賠償額が十分と言えないというのが現状でございます。
お手元の資料の六ページ三をごらんいただきたいと思います。これは、我が国とアメリカにおきます知的財産権に関する訴訟での損害賠償額の推移を表示しておりますが、アメリカにおける訴訟の損害賠償額は我が国の約二百四十倍と極めて高額なものとなっております。
続きまして、七ページの資料四をごらんいただきたいと思います。この資料は、知的財産分野における訴訟の当事者が、我が国の法廷ではなく、紛争解決の場をアメリカの法廷に求めるという、いわゆる裁判の空洞化現象とも言える事態が生じていることを示しておるものでございます。
二十一世紀をリードする技術である半導体、通信、バイオテクノロジーなどの最先端技術分野では日常的に国際的な紛争が生じております。我が国においても、これらライフサイクルの短いハイテク分野における国際紛争についても、迅速に対応できる紛争解決システムの再構築について真剣に取り組む必要があるものと考えております。
私ども弁理士は、技術と法律の両方にわたる高度の専門性を持った国家資格者として、行政と国民のかけ橋となってきました。弁理士は、この知的財産の保護、育成に積極的に携わりますとともに、国内のみならず、海外における権利の取得や紛争解決に直接または間接的にかかわりますことによって、知的財産制度の擁護者としても活躍しております。
昨年四月には、日本弁護士連合会と共同いたしまして、工業所有権仲裁センターを設立し、裁判によらない迅速な紛争解決の場を提供いたしました。
添付の資料十をちょっとごらんいただければと思います。この資料は、工業所有権仲裁センターの概要を示すものですが、この一年間に五百件に近い調停、仲裁に関する照会がございました。かかる事情からも、このような迅速な紛争解決に非常に大きな期待が寄せられているものと考えております。
さらに、私どもは、裁判所の要請によって、知的財産紛争に関しまして調停委員を派遣させていただいております。
しかしながら、知的財産を経営資源とする科学技術創造立国におきましては、知的財産をめぐる紛争が今後ますます増加することを考えますと、かかる対応のみでは、知的財産の適切な保護と知的財産紛争の迅速な解決に対しては、司法の十分な裏づけがあるとは言えないと考えております。
我が国産業の競争力を強化しますには、技術等の知的創作の保護が競争力強化のための重要な柱であって、技術等の知的創作は、商品の付加価値、差別化、生産効率の向上を通じまして、新規産業を興し、成熟産業を活性化させるかぎであると考えております。
したがいまして、知的財産の活用による産業、経済の活動が活発化すればするほど、知的財産をめぐる紛争は多発いたします。しかしながら、この知的財産紛争の解決が長期化いたしますと、国内のみならず、国際的にも活発な経済活動が阻害され、景気の停滞を招きます。
知的財産の中でも代表的な特許は、技術思想である発明を保護するものであります。その際、取得した権利が有効なのかどうか、または第三者の実施が侵害に当たるのか否かなどの判断は、技術上、法律上の高度な専門知識が必要かつ不可欠なものでございます。
二十一世紀を迎えるに当たりまして、技術の高度化、ソフト化が進む今日、この専門性の要求はより一層強まる傾向にあり、バイオテクノロジーやコンピューター関連技術などに代表されるような最先端技術におきましては、侵害事件や審決取り消し訴訟が多くなっております。
こうした訴訟が今後さらに増加することを念頭に置きますと、裁判における技術上、法律上の専門性の確保は極めて重要な課題であると考えております。このことは、訴訟事件に関与されます裁判官の方々のみならず、訴訟代理人として知的財産の紛争事件に関与される方々にも、高度な技術上、法律上の専門知識が求められることになります。
もとより、裁判所におかれましては、例えば東京地方裁判所では、工業所有権の専門部を新たに二部増設されるなど、組織の拡充に努められております。司法に携わる皆様の御努力には心から敬意を払うものでございます。
しかしながら、迅速な知的財産紛争の処理を今後より一層充実し、その強化を図りますためには、例えばアメリカ、イギリス、さらにはドイツ、韓国のように、特許に関します訴訟事件を専門に取り扱います特許裁判所のような専門裁判所の設置も視野に入れた検討が広い範囲でなされることが非常に大切であると考えております。
他方、国家的レベルでの知的財産の紛争処理専門家といたしましての人材の育成と積極的な登用もまた極めて重要なことであると思われます。
以上申し上げました認識のもとに、今般御審議されております司法制度改革審議会が早急に設置され、知的財産分野における司法のあり方を広い視野から御検討されますことを切に願うものでございます。
司法制度改革審議会が発足しました際には、知的財産の適切な保護や迅速な紛争解決について十分に御審議をいただき、できますれば、私ども弁理士会にもまた意見を述べる機会を賜りたく、お願い申し上げます。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、このような機会を弁理士会に与えていただきましたことに対しまして、心から御礼を申し上げます。
なお、私、こういう場所がふなれでございますので、原稿に沿って意見を述べさせていただきたいと思います。その際、既にお手元にビニールのファイルでとじた資料を配付させていただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。
まず初めに、私ども弁理士会は、司法制度改革審議会が早期に設置され、司法制度について抜本的な見直しがされますことを強く要望するものでございます。以下、その理由を御説明申し上げますが、その前に簡単に弁理士会についてお話しさせていただきたいと思います。
弁理士会とは、我が国において、工業所有権に関します特許庁に対する手続代理、特許庁長官を当事者といたしました審決取り消し訴訟の訴訟代理人、工業所有権に関します権利侵害訴訟の補佐人の資格を有する唯一の国家資格者、弁理士で組織されました公法人で、明治三十二年に弁理士制度が創設されて以来、本年でちょうど百年目を迎える団体でございます。
さて、我が国におきましては、各分野におきまして規制緩和政策が積極的に推進され、産業育成の妨げとなるような規制については緩和もしくは撤廃する努力が行われております。この規制緩和政策は、従来の事前の規制を緩和もしくは撤廃するものでありますから、当然のことながらさまざまな産業、経済活動を行った際の事後のチェックシステムが大きな役割を負うこととなります。
言いかえますと、産業または経済の分野におきまして、適切な権利の保護や救済を求めるに際しましては、これからの司法が果たす役割はますます大きくなるものと考えております。
一九九五年に制定されました科学技術基本法に基づき、科学技術創造立国を標榜する我が国が、力強い経済の再建を目指し、産官学の連携によります研究開発とその成果の活用、適切かつ迅速な知的財産権の保護によります新規産業の創出を図るとともに、競争力の源泉である物づくりを支えます技術と技能の育成、それに中小企業の人材育成を進めることは極めて重要な課題であると考えております。
このことは、さきに発表されました内閣総理大臣の諮問機関であります経済戦略会議の答申が、戦略的な技術開発の推進における企業や個人が果たす役割に注目し、これらの技術開発に対して、より一層実効を上げるためには、適切な知的財産の保護の強化が必要であると指摘しておられることからも十分御理解いただけるものと存じます。
この目的を達成するため、行政サイドにおかれましては、例えば特許庁を中心に、申請から権利化に至るまで、権利の取得を早く、保護の対象並びに権利の解釈を広く、他に対抗できる強い知的財産権の実現に向けたび重なる法律改正を行いながら、国内はもとより国際的にも十分対応できる体制の整備にたゆまぬ努力がなされております。
知的財産とは、多くの資本と時間と労力を投資して得ることのできます精神的な労作の成果物でありますが、その反面極めて模倣しやすい性質を有しておりますので、知的財産に関します紛争は国境を越えて生じております。
かかる知的財産の保護強化を図りますには、行政による迅速な権利の設定のみでは十分ではなく、紛争が生じました場合の司法による速やかなる解決が非常に重要であると考えております。
しかしながら、知的財産分野におきます我が国の訴訟は、アメリカなどの諸外国に比しまして、訴訟期間が長く、訴訟費用の負担が大きく、損害賠償額が十分と言えないというのが現状でございます。
お手元の資料の六ページ三をごらんいただきたいと思います。これは、我が国とアメリカにおきます知的財産権に関する訴訟での損害賠償額の推移を表示しておりますが、アメリカにおける訴訟の損害賠償額は我が国の約二百四十倍と極めて高額なものとなっております。
続きまして、七ページの資料四をごらんいただきたいと思います。この資料は、知的財産分野における訴訟の当事者が、我が国の法廷ではなく、紛争解決の場をアメリカの法廷に求めるという、いわゆる裁判の空洞化現象とも言える事態が生じていることを示しておるものでございます。
二十一世紀をリードする技術である半導体、通信、バイオテクノロジーなどの最先端技術分野では日常的に国際的な紛争が生じております。我が国においても、これらライフサイクルの短いハイテク分野における国際紛争についても、迅速に対応できる紛争解決システムの再構築について真剣に取り組む必要があるものと考えております。
私ども弁理士は、技術と法律の両方にわたる高度の専門性を持った国家資格者として、行政と国民のかけ橋となってきました。弁理士は、この知的財産の保護、育成に積極的に携わりますとともに、国内のみならず、海外における権利の取得や紛争解決に直接または間接的にかかわりますことによって、知的財産制度の擁護者としても活躍しております。
昨年四月には、日本弁護士連合会と共同いたしまして、工業所有権仲裁センターを設立し、裁判によらない迅速な紛争解決の場を提供いたしました。
添付の資料十をちょっとごらんいただければと思います。この資料は、工業所有権仲裁センターの概要を示すものですが、この一年間に五百件に近い調停、仲裁に関する照会がございました。かかる事情からも、このような迅速な紛争解決に非常に大きな期待が寄せられているものと考えております。
さらに、私どもは、裁判所の要請によって、知的財産紛争に関しまして調停委員を派遣させていただいております。
しかしながら、知的財産を経営資源とする科学技術創造立国におきましては、知的財産をめぐる紛争が今後ますます増加することを考えますと、かかる対応のみでは、知的財産の適切な保護と知的財産紛争の迅速な解決に対しては、司法の十分な裏づけがあるとは言えないと考えております。
我が国産業の競争力を強化しますには、技術等の知的創作の保護が競争力強化のための重要な柱であって、技術等の知的創作は、商品の付加価値、差別化、生産効率の向上を通じまして、新規産業を興し、成熟産業を活性化させるかぎであると考えております。
したがいまして、知的財産の活用による産業、経済の活動が活発化すればするほど、知的財産をめぐる紛争は多発いたします。しかしながら、この知的財産紛争の解決が長期化いたしますと、国内のみならず、国際的にも活発な経済活動が阻害され、景気の停滞を招きます。
知的財産の中でも代表的な特許は、技術思想である発明を保護するものであります。その際、取得した権利が有効なのかどうか、または第三者の実施が侵害に当たるのか否かなどの判断は、技術上、法律上の高度な専門知識が必要かつ不可欠なものでございます。
二十一世紀を迎えるに当たりまして、技術の高度化、ソフト化が進む今日、この専門性の要求はより一層強まる傾向にあり、バイオテクノロジーやコンピューター関連技術などに代表されるような最先端技術におきましては、侵害事件や審決取り消し訴訟が多くなっております。
こうした訴訟が今後さらに増加することを念頭に置きますと、裁判における技術上、法律上の専門性の確保は極めて重要な課題であると考えております。このことは、訴訟事件に関与されます裁判官の方々のみならず、訴訟代理人として知的財産の紛争事件に関与される方々にも、高度な技術上、法律上の専門知識が求められることになります。
もとより、裁判所におかれましては、例えば東京地方裁判所では、工業所有権の専門部を新たに二部増設されるなど、組織の拡充に努められております。司法に携わる皆様の御努力には心から敬意を払うものでございます。
しかしながら、迅速な知的財産紛争の処理を今後より一層充実し、その強化を図りますためには、例えばアメリカ、イギリス、さらにはドイツ、韓国のように、特許に関します訴訟事件を専門に取り扱います特許裁判所のような専門裁判所の設置も視野に入れた検討が広い範囲でなされることが非常に大切であると考えております。
他方、国家的レベルでの知的財産の紛争処理専門家といたしましての人材の育成と積極的な登用もまた極めて重要なことであると思われます。
以上申し上げました認識のもとに、今般御審議されております司法制度改革審議会が早急に設置され、知的財産分野における司法のあり方を広い視野から御検討されますことを切に願うものでございます。
司法制度改革審議会が発足しました際には、知的財産の適切な保護や迅速な紛争解決について十分に御審議をいただき、できますれば、私ども弁理士会にもまた意見を述べる機会を賜りたく、お願い申し上げます。どうもありがとうございました。拍手
杉
高
高橋融#6
○高橋(融)参考人 弁護士の高橋融であります。
ただいま自由法曹団の司法制度を民主化する委員会の責任者をしております。自由法曹団というのは、一九二一年に創立され、全国で約千五百人を擁する法律家団体であります。
私どもの意見でございますが、限られた時間の中で申し上げなければなりませんので、本日、二つの資料を配付しております。一つは、「二十一世紀の司法の民主化のための提言案」、それから「司法制度審議会設置についての見解と要請」というものでございます。弁護士あるいは法律家というのはとかく長いものを書くもので、なかなか読みにくいかと思いますので、目次などをごらんになりながらお聞きいただければと思います。
さて冒頭に、国会が、間もなく訪れる二十一世紀のために、我が国の司法制度の改革について議論されていることについては、深く敬意を表したいと思います。
ただ、現在出されている法案につきましては、司法制度改革のための審議会を設置するのであるからということでもろ手を挙げて賛成をしたいところでございますが、これまでの経過を見ますと、政府・自民党の目指す司法改革の線で出されていると思いますので、どうもそうはまいりません。厳しく御批判申し上げなければならなくなると思います。
政府・自民党の考えておられるのは、日本の司法を、現在の人権擁護面での立ちおくれをそのままにしておいて、経済に奉仕する仕組みにつくり上げようとしているとしか見られない。この目的で本法案が提出されている以上、私たちはこれを厳しく批判するというのが立場でございます。
本日、この問題について与えられた機会に、法案中の審議会の任務、運営、人的構成、人選について、私の意見を申し上げたいと思います。
第一に、審議会の任務についてでございますけれども、まず初めに、政府・自民党の提起を批判し、次に私どもの提起を若干説明させていただくというふうにさせていただきます。
政府・自民党の提起は、十年の六月十六日付の司法制度調査会報告によっております。司法についての、特に、民事、行政、刑事の各分野の裁判についての現状分析が私は不十分だと思います。司法制度改革という以上、この分析がなければ司法制度改革はあり得ないというふうに思うからです。
もう一つは、司法制度改革という以上、その中核になっている裁判所の改革は当然でありますけれども、それだけでなく、これを支える部門の改革を行わなければなりません。自民党も弁護士をこの問題の対象にしておられるというのはそういう趣旨だと思いますが、その他の問題は余り論じられていないようです。
まず、民事司法の問題から問題にいたしたいと思いますが、時間がかかり過ぎる、いろいろな問題が論じられております。しかし、どこにどのような問題があるからそういうふうになっているのだということの分析はされていない。これを制度改革審議会でおやりになろうということなのだと思いますけれども、私は、さて、それではテーマも立つのだろうかというふうに心配しております。
一方で、人権にかかわりの強い刑事司法については、治安維持面からの検察の体制強化と被疑者弁護を含む刑事弁護が取り上げられているのみであります。刑事司法を支える警察、検察の問題が取り上げられていない点は、司法改革の問題提起としては大きな欠陥であると思います。司法の人権擁護機能を軽視するというふうに私どもが考えるのはそのためです。これは私たちだけが批判を行っているのではなくて、学界では平野龍一氏がこれらに関連して、我が国の刑事裁判はかなり絶望的であると書かれたのは、もうかなり古いことです。
また、グローバルスタンダードが言われておりますけれども、国連の規約人権委員会は、政府が提出した報告に基づいて昨年審議を行いまして、代用監獄における起訴前の勾留と起訴前保釈制度がないこと、有罪判決において自白偏重であること、弁護側に証拠開示を求める一般的権利がないことなどについて厳しく勧告をし、前にも勧告したのにこれが全く措置されていないことについて不満を述べています。また、人権規約上の人権について、司法官、行政官に対する教育システムがないということを指摘しております。
さて、私の提起でありますが、現在司法がどのように機能不全に陥っているかにつきましては、本日配付いたしました資料の中でかなり事細かに分析しておりますので、四ページ以下をごらんいただきたいと思います。
時間の関係で論証を抜きにさせていただきますが、これらの現在の司法の問題点は、憲法上の原則である国民主権の軽視があるから発生していると私は考えております。基本が曲がっているということであります。司法は、民主主義のもとでは、人民による人民のための人民の政治の一部門でありますから、政治性があるのは当然であります。
我が国では、国会議員の皆さんと違って、裁判官はもちろん、検察官も選挙制ではありません。また、議院内閣制の監督下にも十分に置かれているとは考えられません。公務員でありながら、原則的には憲法上任免権がある国民によるコントロールをできるだけ受けないようにつくられていると考えます。国民によるコントロールは、任命人事のところで行うのが最も効果的であります。弾劾や、最高裁裁判官の国民審査のようなリコールのようなものでは二次的な効果しかありません。極めて政治的に重要な役割を果たす最高裁の裁判官の任命も、事実上最高裁内部で、国民の目の全く届かないところで、あたかも政治が関与しない方がよいものかのように行われております。任免権を持つ首相もそのことにより政治的批判を受けず、国民の批判のチャンネルは閉ざされております。
アメリカを見ましょう。連邦最高裁裁判官の場合、任命手続がテレビに公開され、厳しい議論が行われて任命されるのであります。余りにも違い過ぎると考えます。我が国では、こうすることによって司法に見せかけの非政治性のベールがかけられている。これは、司法という公務を国民のために守るという目的からではなく、司法官僚制の職権をかさにし、人権尊重よりも仕事の能率を求めるお役人天国のために使われていると私には見えてしまいます。
このように、国民から徹底的に隔離され、国民からの独立ができ上がっている司法の分野に国民主権を発揮させ、国民によるコントロールを回復させることが求められている。その手段が、私どもが提唱している法曹一元であり、陪審制であります。
法曹一元は、これまで多くの場合、裁判官以外の経験を積んだ法律家の中から裁判官を任命する裁判官の供給源の問題だというふうに論じられてきました。これは、キャリアシステムによる司法官僚制をこれでもって置きかえるということであります。それはそれで正しいのであるというふうに考えますけれども、さらに、国民主権の実現に近づけることが必要だと考えます。
我が国では、憲法上、下級裁判所の裁判官は最高裁が作成する名簿によって内閣が任命するということになっております。したがって、選挙をせよとは言えません。しかし、アメリカの幾つかの州で行われているように、最高裁の名簿作成の過程にその地域の住民代表と法律家代表が参加する裁判官選考委員会をつくり、主権者の意思を反映させる、そして、この結論に従って最高裁が名簿を作成するシステムは、現憲法上も可能であると考えます。
法曹一元をこのように行うことによって、裁判官は単なる法律家としての経験年数という形式的な資格からではなく、当初から住民の選考を経て評価の定まった高い水準の法律家を選び出すことができると考えます。
陪審は、言うまでもなく、国民の司法への直接参加であります。これと法曹一元の裁判官が相まって、裁判はわかりにくいと言われているものがわかりやすくなり、書面中心から口頭での弁論が闘わされる本当に裁判らしい裁判になっていくというふうに考えます。
また、陪審参加を通じて、市民は法と権利だけでなく、多くのものを学んでいく、そして成長していくということははっきりしています。また、市民である陪審員の参加を得るために裁判の長期化はどうしても避けなければならなくなります。職業的裁判官が書面を密室で読むことによって行われている現在の裁判は、国民の目という太陽のもとに引き出さなければなりません。生き生きとしたものにしなければなりません。陪審制度がそのために欠かせないゆえんであります。先進国で国民参加が図られていないのは日本だけと言ってもいいのが現状であります。
これら二つを実現するならば、司法の基本構造が変わると思います。国民の裁判を見る目や司法を見る目は変わってきます。弁護士の仕事も大変革をしなければならないと考えます。しかし、これらを実現するためであれば、大方の弁護士は喜んで変化を受け入れると思います。司法の持っているその他の問題が順次解決していくであろうという展望を持てるからであります。
現在、多方面から法曹人口の不足の問題が叫ばれています。私もまた同感であります。国民各層からのニーズに応ずる上でも、また今まで述べた法曹一元の裁判官と陪審制を実現するためにも、どうしても法曹人口の増大は必要であり、法律扶助の底上げ、被疑者国選を実現するとすれば、なお一層必要であります。大幅増員は欠かせないというふうに考えております。
しかし、これらのどれ一つをとっても大改革の実行であり、これを実現するには金と力が要ります。それだけに、政府・自民党にやる気がなければ、これまでどおり現在の国の財政危機から予算と財源がない、これを言いわけにして、法曹人員増、中でも弁護士増員を先行させるもっともらしい理屈立ては幾らでもできます。
今私の周りには、政府・自民党の意図するところが、最後にはこのような理屈立てをして、改革の課題について何ら実行をしない、人員増のみを先行させるのではないかと危ぶむ弁護士や学者が多いことも端的に申し上げておきたいと思います。
このように述べた状況と批判を考え合わせていただければ、そのように人が考えるのも無理からぬところがあります。しかし、法律扶助、被疑者国選を初めとするいろいろなことをやっていけば、大幅な予算の増大といいましても、今回の金融対策や公共工事などと比べてみますとわずかなものです。そういう司法予算の増大をきちっとしていただければ、さらに法曹一元の裁判官と陪審の導入を明らかにすれば、事の成り行きは全く変わったものになってくると思います。
このたびの司法改革の問題について見る限り、もちろん立場の違いから来る方向性の差はあります。率直に言って、二十一世紀に向けて司法の改革が必要であるという認識を初め、共感を持てる点も多いのです。この改革は、積み重ねられた、もうでき上がった現実を、その重みをはねのけて、よりよい結果を求めての厳しい議論を重ねつつ、一歩一歩高みに向けて上っていく、その中で実現の条件を切り開いていく長い行程であると思います。このために、焦らずたゆまず努力していくことをみずからに言い聞かしているところであります。
審議会の運営、構成と人選についての意見もございますが、時間でございますので、これで中止させていただきますが、よろしくお願いいたします。拍手
この発言だけを見る →ただいま自由法曹団の司法制度を民主化する委員会の責任者をしております。自由法曹団というのは、一九二一年に創立され、全国で約千五百人を擁する法律家団体であります。
私どもの意見でございますが、限られた時間の中で申し上げなければなりませんので、本日、二つの資料を配付しております。一つは、「二十一世紀の司法の民主化のための提言案」、それから「司法制度審議会設置についての見解と要請」というものでございます。弁護士あるいは法律家というのはとかく長いものを書くもので、なかなか読みにくいかと思いますので、目次などをごらんになりながらお聞きいただければと思います。
さて冒頭に、国会が、間もなく訪れる二十一世紀のために、我が国の司法制度の改革について議論されていることについては、深く敬意を表したいと思います。
ただ、現在出されている法案につきましては、司法制度改革のための審議会を設置するのであるからということでもろ手を挙げて賛成をしたいところでございますが、これまでの経過を見ますと、政府・自民党の目指す司法改革の線で出されていると思いますので、どうもそうはまいりません。厳しく御批判申し上げなければならなくなると思います。
政府・自民党の考えておられるのは、日本の司法を、現在の人権擁護面での立ちおくれをそのままにしておいて、経済に奉仕する仕組みにつくり上げようとしているとしか見られない。この目的で本法案が提出されている以上、私たちはこれを厳しく批判するというのが立場でございます。
本日、この問題について与えられた機会に、法案中の審議会の任務、運営、人的構成、人選について、私の意見を申し上げたいと思います。
第一に、審議会の任務についてでございますけれども、まず初めに、政府・自民党の提起を批判し、次に私どもの提起を若干説明させていただくというふうにさせていただきます。
政府・自民党の提起は、十年の六月十六日付の司法制度調査会報告によっております。司法についての、特に、民事、行政、刑事の各分野の裁判についての現状分析が私は不十分だと思います。司法制度改革という以上、この分析がなければ司法制度改革はあり得ないというふうに思うからです。
もう一つは、司法制度改革という以上、その中核になっている裁判所の改革は当然でありますけれども、それだけでなく、これを支える部門の改革を行わなければなりません。自民党も弁護士をこの問題の対象にしておられるというのはそういう趣旨だと思いますが、その他の問題は余り論じられていないようです。
まず、民事司法の問題から問題にいたしたいと思いますが、時間がかかり過ぎる、いろいろな問題が論じられております。しかし、どこにどのような問題があるからそういうふうになっているのだということの分析はされていない。これを制度改革審議会でおやりになろうということなのだと思いますけれども、私は、さて、それではテーマも立つのだろうかというふうに心配しております。
一方で、人権にかかわりの強い刑事司法については、治安維持面からの検察の体制強化と被疑者弁護を含む刑事弁護が取り上げられているのみであります。刑事司法を支える警察、検察の問題が取り上げられていない点は、司法改革の問題提起としては大きな欠陥であると思います。司法の人権擁護機能を軽視するというふうに私どもが考えるのはそのためです。これは私たちだけが批判を行っているのではなくて、学界では平野龍一氏がこれらに関連して、我が国の刑事裁判はかなり絶望的であると書かれたのは、もうかなり古いことです。
また、グローバルスタンダードが言われておりますけれども、国連の規約人権委員会は、政府が提出した報告に基づいて昨年審議を行いまして、代用監獄における起訴前の勾留と起訴前保釈制度がないこと、有罪判決において自白偏重であること、弁護側に証拠開示を求める一般的権利がないことなどについて厳しく勧告をし、前にも勧告したのにこれが全く措置されていないことについて不満を述べています。また、人権規約上の人権について、司法官、行政官に対する教育システムがないということを指摘しております。
さて、私の提起でありますが、現在司法がどのように機能不全に陥っているかにつきましては、本日配付いたしました資料の中でかなり事細かに分析しておりますので、四ページ以下をごらんいただきたいと思います。
時間の関係で論証を抜きにさせていただきますが、これらの現在の司法の問題点は、憲法上の原則である国民主権の軽視があるから発生していると私は考えております。基本が曲がっているということであります。司法は、民主主義のもとでは、人民による人民のための人民の政治の一部門でありますから、政治性があるのは当然であります。
我が国では、国会議員の皆さんと違って、裁判官はもちろん、検察官も選挙制ではありません。また、議院内閣制の監督下にも十分に置かれているとは考えられません。公務員でありながら、原則的には憲法上任免権がある国民によるコントロールをできるだけ受けないようにつくられていると考えます。国民によるコントロールは、任命人事のところで行うのが最も効果的であります。弾劾や、最高裁裁判官の国民審査のようなリコールのようなものでは二次的な効果しかありません。極めて政治的に重要な役割を果たす最高裁の裁判官の任命も、事実上最高裁内部で、国民の目の全く届かないところで、あたかも政治が関与しない方がよいものかのように行われております。任免権を持つ首相もそのことにより政治的批判を受けず、国民の批判のチャンネルは閉ざされております。
アメリカを見ましょう。連邦最高裁裁判官の場合、任命手続がテレビに公開され、厳しい議論が行われて任命されるのであります。余りにも違い過ぎると考えます。我が国では、こうすることによって司法に見せかけの非政治性のベールがかけられている。これは、司法という公務を国民のために守るという目的からではなく、司法官僚制の職権をかさにし、人権尊重よりも仕事の能率を求めるお役人天国のために使われていると私には見えてしまいます。
このように、国民から徹底的に隔離され、国民からの独立ができ上がっている司法の分野に国民主権を発揮させ、国民によるコントロールを回復させることが求められている。その手段が、私どもが提唱している法曹一元であり、陪審制であります。
法曹一元は、これまで多くの場合、裁判官以外の経験を積んだ法律家の中から裁判官を任命する裁判官の供給源の問題だというふうに論じられてきました。これは、キャリアシステムによる司法官僚制をこれでもって置きかえるということであります。それはそれで正しいのであるというふうに考えますけれども、さらに、国民主権の実現に近づけることが必要だと考えます。
我が国では、憲法上、下級裁判所の裁判官は最高裁が作成する名簿によって内閣が任命するということになっております。したがって、選挙をせよとは言えません。しかし、アメリカの幾つかの州で行われているように、最高裁の名簿作成の過程にその地域の住民代表と法律家代表が参加する裁判官選考委員会をつくり、主権者の意思を反映させる、そして、この結論に従って最高裁が名簿を作成するシステムは、現憲法上も可能であると考えます。
法曹一元をこのように行うことによって、裁判官は単なる法律家としての経験年数という形式的な資格からではなく、当初から住民の選考を経て評価の定まった高い水準の法律家を選び出すことができると考えます。
陪審は、言うまでもなく、国民の司法への直接参加であります。これと法曹一元の裁判官が相まって、裁判はわかりにくいと言われているものがわかりやすくなり、書面中心から口頭での弁論が闘わされる本当に裁判らしい裁判になっていくというふうに考えます。
また、陪審参加を通じて、市民は法と権利だけでなく、多くのものを学んでいく、そして成長していくということははっきりしています。また、市民である陪審員の参加を得るために裁判の長期化はどうしても避けなければならなくなります。職業的裁判官が書面を密室で読むことによって行われている現在の裁判は、国民の目という太陽のもとに引き出さなければなりません。生き生きとしたものにしなければなりません。陪審制度がそのために欠かせないゆえんであります。先進国で国民参加が図られていないのは日本だけと言ってもいいのが現状であります。
これら二つを実現するならば、司法の基本構造が変わると思います。国民の裁判を見る目や司法を見る目は変わってきます。弁護士の仕事も大変革をしなければならないと考えます。しかし、これらを実現するためであれば、大方の弁護士は喜んで変化を受け入れると思います。司法の持っているその他の問題が順次解決していくであろうという展望を持てるからであります。
現在、多方面から法曹人口の不足の問題が叫ばれています。私もまた同感であります。国民各層からのニーズに応ずる上でも、また今まで述べた法曹一元の裁判官と陪審制を実現するためにも、どうしても法曹人口の増大は必要であり、法律扶助の底上げ、被疑者国選を実現するとすれば、なお一層必要であります。大幅増員は欠かせないというふうに考えております。
しかし、これらのどれ一つをとっても大改革の実行であり、これを実現するには金と力が要ります。それだけに、政府・自民党にやる気がなければ、これまでどおり現在の国の財政危機から予算と財源がない、これを言いわけにして、法曹人員増、中でも弁護士増員を先行させるもっともらしい理屈立ては幾らでもできます。
今私の周りには、政府・自民党の意図するところが、最後にはこのような理屈立てをして、改革の課題について何ら実行をしない、人員増のみを先行させるのではないかと危ぶむ弁護士や学者が多いことも端的に申し上げておきたいと思います。
このように述べた状況と批判を考え合わせていただければ、そのように人が考えるのも無理からぬところがあります。しかし、法律扶助、被疑者国選を初めとするいろいろなことをやっていけば、大幅な予算の増大といいましても、今回の金融対策や公共工事などと比べてみますとわずかなものです。そういう司法予算の増大をきちっとしていただければ、さらに法曹一元の裁判官と陪審の導入を明らかにすれば、事の成り行きは全く変わったものになってくると思います。
このたびの司法改革の問題について見る限り、もちろん立場の違いから来る方向性の差はあります。率直に言って、二十一世紀に向けて司法の改革が必要であるという認識を初め、共感を持てる点も多いのです。この改革は、積み重ねられた、もうでき上がった現実を、その重みをはねのけて、よりよい結果を求めての厳しい議論を重ねつつ、一歩一歩高みに向けて上っていく、その中で実現の条件を切り開いていく長い行程であると思います。このために、焦らずたゆまず努力していくことをみずからに言い聞かしているところであります。
審議会の運営、構成と人選についての意見もございますが、時間でございますので、これで中止させていただきますが、よろしくお願いいたします。拍手
杉
松
松永憲生#8
○松永参考人 ノンフィクション作家をしています松永です。
この委員会は司法改革をテーマに審議しておられますが、僕は司法分野の取材、事件取材等をこれまで続けてまいりました。その関係で、特に裁判官取材、冤罪事件の取材等を通じて、司法改革はぜひ必要であると十数年前から痛感してまいりましたので、取材体験も交えて、きょうはお話しさせていただきたいと思います。
直接、裁判官に初めて取材したのはもう二十年くらい前なんですが、裁判官世界に興味を持った動機は冤罪事件の取材でした。裁判官も自由心証主義ですから、やはり自由に心証を形成する場合に、証拠をにらんで判断する、有罪か無罪か悩むことも人間ですからあると思うわけですね。有罪か無罪か悩んだときに、どういう悩み方をするのか。時には死刑の判決も下すわけですから、そういうときにどういうためらいがあるのか。そういうところに、人間としての裁判官の素顔に大変興味を持ちました。
有罪、無罪かを迷ったときに、どちらか必ず判決を出さなければいけない、中間はないわけですね、刑事裁判に和解はありませんから。そういう意味で、裁判官の仕事というのは大変な仕事なわけです。大変な仕事であろうと思って当然取材に入りましたけれども、結果としてはやはり大変な仕事だなと思いました。
しかし、その大変さの中身ががらりと違いました。僕は当初、苦悩し、真実を求めて格闘する裁判官の人間らしい姿を想像していましたけれども、現実の裁判官の大変だなと思う実態は、言うならば、営業成績をめぐって格闘するサラリーマンのそれと似たような顔、こういう顔にめぐり会って、しかし、それも同じ人間ですから一概におかしいとは言えませんけれども。
その中で、裁判官の生の人間性、あるいは私生活における子供の親の顔、夫としての顔、そんな顔に接しながら、裁判官というのは公務員の中で最も勤勉でまじめに働いている人々である、そんなふうな印象を持ちました。これは取材に応じてくれた裁判官の多数の方々が気負いなく語っていましたし、また僕もそれはそうであろうなというふうに実感できたところです。
問題とする裁判官としての顔で大変だなと僕が感じたその実態についてですが、これは「裁判官の内幕 裁きの神の顔」というタイトルで最初に出した本なんですが、この中に書きつづったものです。時間の関係上詳しくは御紹介できませんけれども、かいつまんで少しお話ししたいと思います。
例えば、裁判所というのは裁判官会議によって運営されているんです。多くの裁判官の会議で重要事項を決定する。ところが、一九五五年ですから、昭和三十年に裁判所の事務処理規則を改正することによって、この裁判官会議が形骸化していってしまうことになります。どういうことかというと、長官と所長の権限が強くなっていくのですね。ですから、事務処理規則の中で当該裁判所と書いてあった部分を自動的に、簡略に言うと長官または所長、このように変えたために、裁判官会議の形骸化が起こってくる。
その結果、どういう実態になっているかというと、ごく簡単に説明しますと、ある裁判官が漏らしていました。我々裁判官にとって、楽しみは、裁判官会議が不活発、低調なので、それも裁判官会議は開かれることは開かれるのだけれども、その中で興味あるのは選挙であると言うのですね。今選挙たけなわですが、裁判官もやはり選挙が楽しいそうです。
どういう楽しみかというと、例えば、裁判所の所長の代理を決める、その代理をだれにするかというのは大体あらかじめ決まってしまうそうなんですが、大きいところだと第一代理と第二代理、二人選出するらしいのですね。第一代理の方は大体最高裁の意向によって決まってしまっている。年配の人の数はだんだん減っていきますから、年功序列で決まっていきますので、大体この人というふうに決まってくるそうですが、人数が多いと、最高裁の意向に沿わない人が決まってしまうと危険なので、事前に人事異動をするそうです。中堅以下の裁判官がおもしろいと言うのは、第二代理を決める選挙。この中に批判票がどのくらい集まるかとか、そんなことをみみっちく楽しみながら裁判官会議に出る、こういう実態を漏らしてくれました。
それから、五五年のその事務処理規則の改正以降、裁判官には勤務評定が行われています。考課調書という勤務評定。それから、勤務評定の中身も問題ですけれども、それをされていること自体、裁判官は独立してその職権を行使するというふうに憲法で保障されていますが、その独立性をまず最初に危うくさせたのがこれだったと思います。
それから、統計表というのがありまして、裁判官は非常に激務で、たくさんの、二百五十件から三百件、三百五十件というような、常時それほどの事件を抱えて大変激務ですから、事件の処理を急ぐわけですね。国民のための迅速な裁判ではなくて、裁判官のための迅速な裁判に走りがちであります。
そこで、新受事件数と、毎月毎月判決を下す判決済みの処理した件数とのバランスが問題になります。それが個人別にあらわれるのが統計表です。名前は出ていませんけれども、東京地裁刑事一部一係というふうに出ていますから、自動的にだれが今月は処理件数が多かったか少なかったかはすぐわかります。営業成績をめぐって苦悩するサラリーマンの顔と言ったのは、それに関係します。
実は、公然と裁判所では、これは裁判官が実際に話してくれましたけれども、処理件数が多く、つまり新しく受ける事件数よりも多かった場合には、今月私は黒字になりました、処理件数が少なくて、そして新しく今月受けた事件数が多いと、これは赤字ということになるわけですね。だから、赤字、黒字という言葉を実際に使っているそうです。
それからさらに、長期未済事件報告制度というのがありまして、そのような形で処理を急いでもなお、民事事件では五年を超えると最高裁に報告しなければならない。刑事事件だと三年を超えると報告をしなければならない。少年、家裁事件だと一年を超える。そういう長期未済事件として報告せざるを得ない事件数がだんだん多くなってくると、やはりこれも勤評としてはよくないわけですね。
だから、裁判官の仕事というのは、じっくり慎重に審理するというのと、国民のための迅速な裁判、拙速を防ぎながらそれを慎重にやらなければいけないという意味で、非常に大変なんですが、官僚的な締めつけはかなり強いものを感じました。
〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
この本で述べたそのような実態は、さらに今日深化しています。そして、現在、ではどうなのかというと、僕がこのとき指摘した問題点はさらに深化し、かつ変わった部分もあります。その深化し、かつ変わった部分がどういう実態であるかという点についての資料をお手元に配付させていただきました。
「知られざる裁判官の内幕」という、これは別冊宝島の取材記事ですが、生田暉雄さんという弁護士さんは、裁判官に二十二年間在職した方です。七〇年から九二年三月まで裁判官をやっていましたので、言うならば、これが現在の裁判官の実態の核心部分についての最新情報であるというふうに受け取っていただいて結構です。
それでは、この点について結論的に申し上げたいことは、司法権の独立のための裁判官の独立、職権の独立保障ですね、これが一番司法権にとっては大事なことであり、司法制度の核心的な部分だと思います。これが危ういとなると、いかなる部分に手を加えても無理だと思います。裁判官の独立をいかに実体を伴ったものにするのかという点については、ただ単に裁判官の数をふやせばいいということではないと思います。これは特に強調しておきたいと思います。
それから、そのような形で裁判官会議を活発化するということですね。
そして、簡単に申し上げますけれども、裁判官の独立を支える重要な役割を演じているのが弁護士自治だと思います。
弁護士自治について、いろいろ問題にされているようですけれども、これまで冤罪事件を取材した関係上実感するところですが、弁護士が自治に支えられてこそ人権擁護の活動をできる、その点は特に強調しておきたいと思います。
それから、この審議会についてですけれども、時間の関係で簡単に申し上げざるを得ないのですが、つまり、現在の司法改革についてこの審議会をつくる、この審議会を設置する法案をめぐって議論が行われていると思うのですけれども、最初に結論を申し上げますと、この審議会については疑問に思います。
一つは、内閣法十二条四項に基づく審議会であるという点。内閣の事務を助けることが使命であるとすると、やはり政府・自民党の方針になっていくだろう。賛成でしたらそれでもいいんですけれども、先ほど高橋先生も御指摘のとおり、僕も、人権擁護のための司法改革という視点の欠落性からいって少し危惧を感じます。
それから、情報公開が期待できない。審議事項等、審議内容を白紙委任するような立法であるというような点を主な理由として、疑問に思います。
有意義な司法改革を行っていただきたいことを念じて、以上です。拍手
この発言だけを見る →この委員会は司法改革をテーマに審議しておられますが、僕は司法分野の取材、事件取材等をこれまで続けてまいりました。その関係で、特に裁判官取材、冤罪事件の取材等を通じて、司法改革はぜひ必要であると十数年前から痛感してまいりましたので、取材体験も交えて、きょうはお話しさせていただきたいと思います。
直接、裁判官に初めて取材したのはもう二十年くらい前なんですが、裁判官世界に興味を持った動機は冤罪事件の取材でした。裁判官も自由心証主義ですから、やはり自由に心証を形成する場合に、証拠をにらんで判断する、有罪か無罪か悩むことも人間ですからあると思うわけですね。有罪か無罪か悩んだときに、どういう悩み方をするのか。時には死刑の判決も下すわけですから、そういうときにどういうためらいがあるのか。そういうところに、人間としての裁判官の素顔に大変興味を持ちました。
有罪、無罪かを迷ったときに、どちらか必ず判決を出さなければいけない、中間はないわけですね、刑事裁判に和解はありませんから。そういう意味で、裁判官の仕事というのは大変な仕事なわけです。大変な仕事であろうと思って当然取材に入りましたけれども、結果としてはやはり大変な仕事だなと思いました。
しかし、その大変さの中身ががらりと違いました。僕は当初、苦悩し、真実を求めて格闘する裁判官の人間らしい姿を想像していましたけれども、現実の裁判官の大変だなと思う実態は、言うならば、営業成績をめぐって格闘するサラリーマンのそれと似たような顔、こういう顔にめぐり会って、しかし、それも同じ人間ですから一概におかしいとは言えませんけれども。
その中で、裁判官の生の人間性、あるいは私生活における子供の親の顔、夫としての顔、そんな顔に接しながら、裁判官というのは公務員の中で最も勤勉でまじめに働いている人々である、そんなふうな印象を持ちました。これは取材に応じてくれた裁判官の多数の方々が気負いなく語っていましたし、また僕もそれはそうであろうなというふうに実感できたところです。
問題とする裁判官としての顔で大変だなと僕が感じたその実態についてですが、これは「裁判官の内幕 裁きの神の顔」というタイトルで最初に出した本なんですが、この中に書きつづったものです。時間の関係上詳しくは御紹介できませんけれども、かいつまんで少しお話ししたいと思います。
例えば、裁判所というのは裁判官会議によって運営されているんです。多くの裁判官の会議で重要事項を決定する。ところが、一九五五年ですから、昭和三十年に裁判所の事務処理規則を改正することによって、この裁判官会議が形骸化していってしまうことになります。どういうことかというと、長官と所長の権限が強くなっていくのですね。ですから、事務処理規則の中で当該裁判所と書いてあった部分を自動的に、簡略に言うと長官または所長、このように変えたために、裁判官会議の形骸化が起こってくる。
その結果、どういう実態になっているかというと、ごく簡単に説明しますと、ある裁判官が漏らしていました。我々裁判官にとって、楽しみは、裁判官会議が不活発、低調なので、それも裁判官会議は開かれることは開かれるのだけれども、その中で興味あるのは選挙であると言うのですね。今選挙たけなわですが、裁判官もやはり選挙が楽しいそうです。
どういう楽しみかというと、例えば、裁判所の所長の代理を決める、その代理をだれにするかというのは大体あらかじめ決まってしまうそうなんですが、大きいところだと第一代理と第二代理、二人選出するらしいのですね。第一代理の方は大体最高裁の意向によって決まってしまっている。年配の人の数はだんだん減っていきますから、年功序列で決まっていきますので、大体この人というふうに決まってくるそうですが、人数が多いと、最高裁の意向に沿わない人が決まってしまうと危険なので、事前に人事異動をするそうです。中堅以下の裁判官がおもしろいと言うのは、第二代理を決める選挙。この中に批判票がどのくらい集まるかとか、そんなことをみみっちく楽しみながら裁判官会議に出る、こういう実態を漏らしてくれました。
それから、五五年のその事務処理規則の改正以降、裁判官には勤務評定が行われています。考課調書という勤務評定。それから、勤務評定の中身も問題ですけれども、それをされていること自体、裁判官は独立してその職権を行使するというふうに憲法で保障されていますが、その独立性をまず最初に危うくさせたのがこれだったと思います。
それから、統計表というのがありまして、裁判官は非常に激務で、たくさんの、二百五十件から三百件、三百五十件というような、常時それほどの事件を抱えて大変激務ですから、事件の処理を急ぐわけですね。国民のための迅速な裁判ではなくて、裁判官のための迅速な裁判に走りがちであります。
そこで、新受事件数と、毎月毎月判決を下す判決済みの処理した件数とのバランスが問題になります。それが個人別にあらわれるのが統計表です。名前は出ていませんけれども、東京地裁刑事一部一係というふうに出ていますから、自動的にだれが今月は処理件数が多かったか少なかったかはすぐわかります。営業成績をめぐって苦悩するサラリーマンの顔と言ったのは、それに関係します。
実は、公然と裁判所では、これは裁判官が実際に話してくれましたけれども、処理件数が多く、つまり新しく受ける事件数よりも多かった場合には、今月私は黒字になりました、処理件数が少なくて、そして新しく今月受けた事件数が多いと、これは赤字ということになるわけですね。だから、赤字、黒字という言葉を実際に使っているそうです。
それからさらに、長期未済事件報告制度というのがありまして、そのような形で処理を急いでもなお、民事事件では五年を超えると最高裁に報告しなければならない。刑事事件だと三年を超えると報告をしなければならない。少年、家裁事件だと一年を超える。そういう長期未済事件として報告せざるを得ない事件数がだんだん多くなってくると、やはりこれも勤評としてはよくないわけですね。
だから、裁判官の仕事というのは、じっくり慎重に審理するというのと、国民のための迅速な裁判、拙速を防ぎながらそれを慎重にやらなければいけないという意味で、非常に大変なんですが、官僚的な締めつけはかなり強いものを感じました。
〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
この本で述べたそのような実態は、さらに今日深化しています。そして、現在、ではどうなのかというと、僕がこのとき指摘した問題点はさらに深化し、かつ変わった部分もあります。その深化し、かつ変わった部分がどういう実態であるかという点についての資料をお手元に配付させていただきました。
「知られざる裁判官の内幕」という、これは別冊宝島の取材記事ですが、生田暉雄さんという弁護士さんは、裁判官に二十二年間在職した方です。七〇年から九二年三月まで裁判官をやっていましたので、言うならば、これが現在の裁判官の実態の核心部分についての最新情報であるというふうに受け取っていただいて結構です。
それでは、この点について結論的に申し上げたいことは、司法権の独立のための裁判官の独立、職権の独立保障ですね、これが一番司法権にとっては大事なことであり、司法制度の核心的な部分だと思います。これが危ういとなると、いかなる部分に手を加えても無理だと思います。裁判官の独立をいかに実体を伴ったものにするのかという点については、ただ単に裁判官の数をふやせばいいということではないと思います。これは特に強調しておきたいと思います。
それから、そのような形で裁判官会議を活発化するということですね。
そして、簡単に申し上げますけれども、裁判官の独立を支える重要な役割を演じているのが弁護士自治だと思います。
弁護士自治について、いろいろ問題にされているようですけれども、これまで冤罪事件を取材した関係上実感するところですが、弁護士が自治に支えられてこそ人権擁護の活動をできる、その点は特に強調しておきたいと思います。
それから、この審議会についてですけれども、時間の関係で簡単に申し上げざるを得ないのですが、つまり、現在の司法改革についてこの審議会をつくる、この審議会を設置する法案をめぐって議論が行われていると思うのですけれども、最初に結論を申し上げますと、この審議会については疑問に思います。
一つは、内閣法十二条四項に基づく審議会であるという点。内閣の事務を助けることが使命であるとすると、やはり政府・自民党の方針になっていくだろう。賛成でしたらそれでもいいんですけれども、先ほど高橋先生も御指摘のとおり、僕も、人権擁護のための司法改革という視点の欠落性からいって少し危惧を感じます。
それから、情報公開が期待できない。審議事項等、審議内容を白紙委任するような立法であるというような点を主な理由として、疑問に思います。
有意義な司法改革を行っていただきたいことを念じて、以上です。拍手
橘
橘
山
山本幸三#11
○山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三です。きょうは、参考人の皆さん方、本当に貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
私は、経済学は多少は知っているつもりでありますが、司法制度というのは全く素人でありまして、一体何を聞いたらいいのかわからないぐらいのレベルなんですけれども、非常にプリミティブな質問をちょっとしたいなと思っているんです。
裁判というのが機能しないと、機能不全を起こすとどういうことになるんだろうかなということなんですが、私はかつて、ヘンリー・デンカーという人の「復讐法廷」という小説を読んでそのことを思ったんです。それは実話だったらしいんですけれども、アメリカで、自分のお嬢さんが強姦されまして、殺されちゃった。裁判に行ったんだけれども、その捜査等の手続が不備であると言うらつ腕の弁護士が出てきまして、それで結局、ほぼ犯人であることは間違いないけれども、そういう手続上のことが不備というようなことで無罪になっちゃった。おやじさんは、とてもそんなことじゃ納得できないというので、どうしたかといったら、自分でその犯人を殺しに行っちゃったんですね。
つまり、裁判というのはやはり大変重要で、それが機能しなくなるとリンチの世界に戻っちゃうんですね。裁判というのは非常に重要で、社会的あるいは経済的にもいろいろな意味での機能を果たさないと、結局、裁判所に行って何もできないんだったらもうマフィアの親分に頼むかという話になっちゃうんですね。だから、そこのところを私は、裁判というのはなるほど大事かなというふうに思っているんです。
例えば、機能不全を起こすという意味で、いろいろありますね。私はきょうお伺いして、私の思っていることもそうだなと思ったんですが、裁判というのは、余り長期化しちゃったら意味がない。裁判所に持っていって、二十年、三十年以上かかるというようなことになれば、そんなところへ行ったってしようがないという気にだれだってなるんですね。
それから、経済学の立場からいいますと、私は経済学の立場からしか物を見られないんですけれども、お金をどんどんかければいいというものじゃない。あるいは、さっき言ったみたいに、時間を幾らかけてもいいというものじゃない。経済学の世界では、お金を幾らでもかけていいんなら何でもできる、時間を幾らかけてもいいんだったら何でもできるんですね。そんなものは対象にならない。問題の解決、処理というのは、やはりどれだけお金をかけないで、どれだけ時間をかけないでうまい処理ができるかということに努力しなければ、それは知恵を出したことにならないと私は思うんですね。そういう問題意識ぐらいしか持っていないんですけれども。
そこでまず、余り時間もないので一つ二つしか聞けないと思いますが、やはり裁判というのは余り長くし過ぎちゃいけないんだろうと思うんです。どうしたら裁判は短くできるのか。しかし、これは委員の皆さん方の中でも御指摘があったように、急ぐようにやれば中身は何でもいいというわけにもいかないんですね。実に難しい。中身を満足できるレベルにしないといかぬ。最低限のレベルというのはあるでしょうね。それ以上で、しかし最短の期間でやらなきゃいかぬ。私は今、この裁判制度の改革というのは、経済学で言うとミニマックス理論の課題かなと思うんです。
そこで、逢見先生、幸田先生と高橋先生、松永先生のお二方ずつで立場がちょっと違うような感じがしたんですが、逢見先生と幸田先生はまさに法曹界の外から物を見ておられて、そして高橋先生、松永先生はどっちかというと法曹界の立場から開陳されたように思うんです。
逢見先生、幸田先生は、例えば裁判が長期化しないためには、むしろ裁判外の役割を大きくすべきだというような御指摘をされたように思いますし、高橋先生は、それは陪審制度をやれば、市民も参加するんだから長くできないよと、そんなものかなと私もちょっとさっき思ったんです。松永先生の場合には、裁判官は短くしろと大変なプレッシャーに遭っていて、なかなか実体がないということですが、大変恐縮ですけれども、どうしたらレベルを余り下げないで短くできるかということについての御意見をお一人ずつ、一言ずつで大変難しい注文ですが、伺えればと思います。
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裁判というのが機能しないと、機能不全を起こすとどういうことになるんだろうかなということなんですが、私はかつて、ヘンリー・デンカーという人の「復讐法廷」という小説を読んでそのことを思ったんです。それは実話だったらしいんですけれども、アメリカで、自分のお嬢さんが強姦されまして、殺されちゃった。裁判に行ったんだけれども、その捜査等の手続が不備であると言うらつ腕の弁護士が出てきまして、それで結局、ほぼ犯人であることは間違いないけれども、そういう手続上のことが不備というようなことで無罪になっちゃった。おやじさんは、とてもそんなことじゃ納得できないというので、どうしたかといったら、自分でその犯人を殺しに行っちゃったんですね。
つまり、裁判というのはやはり大変重要で、それが機能しなくなるとリンチの世界に戻っちゃうんですね。裁判というのは非常に重要で、社会的あるいは経済的にもいろいろな意味での機能を果たさないと、結局、裁判所に行って何もできないんだったらもうマフィアの親分に頼むかという話になっちゃうんですね。だから、そこのところを私は、裁判というのはなるほど大事かなというふうに思っているんです。
例えば、機能不全を起こすという意味で、いろいろありますね。私はきょうお伺いして、私の思っていることもそうだなと思ったんですが、裁判というのは、余り長期化しちゃったら意味がない。裁判所に持っていって、二十年、三十年以上かかるというようなことになれば、そんなところへ行ったってしようがないという気にだれだってなるんですね。
それから、経済学の立場からいいますと、私は経済学の立場からしか物を見られないんですけれども、お金をどんどんかければいいというものじゃない。あるいは、さっき言ったみたいに、時間を幾らかけてもいいというものじゃない。経済学の世界では、お金を幾らでもかけていいんなら何でもできる、時間を幾らかけてもいいんだったら何でもできるんですね。そんなものは対象にならない。問題の解決、処理というのは、やはりどれだけお金をかけないで、どれだけ時間をかけないでうまい処理ができるかということに努力しなければ、それは知恵を出したことにならないと私は思うんですね。そういう問題意識ぐらいしか持っていないんですけれども。
そこでまず、余り時間もないので一つ二つしか聞けないと思いますが、やはり裁判というのは余り長くし過ぎちゃいけないんだろうと思うんです。どうしたら裁判は短くできるのか。しかし、これは委員の皆さん方の中でも御指摘があったように、急ぐようにやれば中身は何でもいいというわけにもいかないんですね。実に難しい。中身を満足できるレベルにしないといかぬ。最低限のレベルというのはあるでしょうね。それ以上で、しかし最短の期間でやらなきゃいかぬ。私は今、この裁判制度の改革というのは、経済学で言うとミニマックス理論の課題かなと思うんです。
そこで、逢見先生、幸田先生と高橋先生、松永先生のお二方ずつで立場がちょっと違うような感じがしたんですが、逢見先生と幸田先生はまさに法曹界の外から物を見ておられて、そして高橋先生、松永先生はどっちかというと法曹界の立場から開陳されたように思うんです。
逢見先生、幸田先生は、例えば裁判が長期化しないためには、むしろ裁判外の役割を大きくすべきだというような御指摘をされたように思いますし、高橋先生は、それは陪審制度をやれば、市民も参加するんだから長くできないよと、そんなものかなと私もちょっとさっき思ったんです。松永先生の場合には、裁判官は短くしろと大変なプレッシャーに遭っていて、なかなか実体がないということですが、大変恐縮ですけれども、どうしたらレベルを余り下げないで短くできるかということについての御意見をお一人ずつ、一言ずつで大変難しい注文ですが、伺えればと思います。
逢
逢見直人#12
○逢見参考人 一言ずつということでございますので簡単に申し上げますが、私がここで申し上げたかったことは、一般の裁判では、当然慎重に判断しなきゃいけない事件も多いと思います。しかし、労働事件に関して言えば、例えば解雇をめぐる争いが起きたときに、それが長期化して十年もかかってしまって、後でその労働者が勝訴しても、そのときにはもう定年になっているということでは事件の解決にならないわけですね。そういう問題については迅速に、スピーディーに解決する仕組みを、欧州の労働裁判所のようなものを参考にしてぜひつくってほしいということで、長期化になじまない事件については、ぜひそれをスピーディーに審理する仕組みをつくってほしいということでございます。
この発言だけを見る →幸
幸田全弘#13
○幸田参考人 端的に申し上げまして、システム的には、例えばアメリカ、イギリス等のような知的財産に関します専門裁判所の設置が望まれるのではないかということが一点。
それから、人的には、知的財産権に関しましては技術的な判断を伴いますので、技術に習熟した専門裁判官、あるいは訴訟に関与する代理人等にはそういう知識が求められるというふうに考えております。
この発言だけを見る →それから、人的には、知的財産権に関しましては技術的な判断を伴いますので、技術に習熟した専門裁判官、あるいは訴訟に関与する代理人等にはそういう知識が求められるというふうに考えております。
高
高橋融#14
○高橋(融)参考人 長い裁判は裁判じゃないというぐらいでありますから、私どももそれを常に考えているわけでありますけれども、一つの解が陪審であることは事実であります。しかし、それでも証拠整理や何かがありますから、実際には長くかかることがあるようであります。
私どもが見ていて、証拠の問題が一番裁判が長くかかる原因ですね。証拠を十分に持っていない、相手がそれを持っている、あるいはどこかにあるのはわかっているんだけれども、それを出してもらえない、私は実務家として見て、ここのところが裁判が長引いている一つの要素だと思います。これをどうするか。ディスカバリーというようなアメリカの制度がありますけれども、これにもこれで問題がありますが、検討すべき問題だと思います。
この発言だけを見る →私どもが見ていて、証拠の問題が一番裁判が長くかかる原因ですね。証拠を十分に持っていない、相手がそれを持っている、あるいはどこかにあるのはわかっているんだけれども、それを出してもらえない、私は実務家として見て、ここのところが裁判が長引いている一つの要素だと思います。これをどうするか。ディスカバリーというようなアメリカの制度がありますけれども、これにもこれで問題がありますが、検討すべき問題だと思います。
松
松永憲生#15
○松永参考人 僕は外から取材するという立場で接してきましたので、基本的には外からですが、素人なんですが、素人の乱暴な意見として申し上げさせていただくと、ある意味、迅速な裁判は簡単です。それは、先ほど出た陪審制ですね。ところが、自民党案でも陪審制は検討に値すると言っていますけれども、実は、今の日本の刑事裁判の中にそれをすんなり持ってくるわけにはいかない理由の一つは、当事者主義が崩壊しているからなんです。
例えば、検察は、捜査機関は大量の人員と経費を使って証拠を段ボールにいっぱい詰めて持ってくる。独占し、起訴しますね。ところが、弁護側は起訴状を読んでから弁護が始まる。ですから、一方はゴール、一方はスタート。ゴールとスタートの鐘を同時に打ち鳴らす法廷で裁判が始まるのが日本の裁判の実態なんです。
では、それをどうしたらいいのかということになると、一部高橋先生から意見が出ていますけれども、起訴前保釈制度、起訴前証拠開示制度、それから取り調べに弁護人の立ち会い権を認める、それから取り調べをビデオに記録する、それから検察官の上訴権を制限する、それから国際人権規約や拷問禁止条約を批准、承認して国内法としての効力を持たせて、それに沿って裁判制度の法を整備して裁判を行うようにすれば、つまり、証拠をどう評価するか。証拠が不十分であれば素直に無罪でいいわけですから、素直な目で証拠がどうなのかということを素人の国民に見てもらって判断する。
そういう意味で、陪審制というものと人権擁護の法整備をきちんとするというふうなことを前提に考えれば、それほど困難なことではないと思います。
この発言だけを見る →例えば、検察は、捜査機関は大量の人員と経費を使って証拠を段ボールにいっぱい詰めて持ってくる。独占し、起訴しますね。ところが、弁護側は起訴状を読んでから弁護が始まる。ですから、一方はゴール、一方はスタート。ゴールとスタートの鐘を同時に打ち鳴らす法廷で裁判が始まるのが日本の裁判の実態なんです。
では、それをどうしたらいいのかということになると、一部高橋先生から意見が出ていますけれども、起訴前保釈制度、起訴前証拠開示制度、それから取り調べに弁護人の立ち会い権を認める、それから取り調べをビデオに記録する、それから検察官の上訴権を制限する、それから国際人権規約や拷問禁止条約を批准、承認して国内法としての効力を持たせて、それに沿って裁判制度の法を整備して裁判を行うようにすれば、つまり、証拠をどう評価するか。証拠が不十分であれば素直に無罪でいいわけですから、素直な目で証拠がどうなのかということを素人の国民に見てもらって判断する。
そういう意味で、陪審制というものと人権擁護の法整備をきちんとするというふうなことを前提に考えれば、それほど困難なことではないと思います。
山
橘
北
北村哲男#18
○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。
本日は、各参考人の方々、どうも御苦労さまでした。きょうは、専門家はお一人ということで、あとは周辺の方々ということでございますけれども、順次お聞きしていきたいと思いますが、まず最初に逢見参考人に対して御質問を幾つかしたいと思います。
まず、逢見参考人は日本労働組合総連合会政策委員ということでお見えになっておりますけれども、この日本労働組合総連合会という団体はどういう団体なんでしょうか。設立目的、組織人員、組織の性格あるいは他のナショナルセンターとの違い。例えば、高橋先生のところから出された資料で、人選について、たしか、連合だけではなく全労連のように云々という、それも入れていただきたいという御意見もあるようですけれども、そういうこととの違いを簡単に述べて、どういう立場を代表してお見えになったかを御説明願いたいと思います。
この発言だけを見る →本日は、各参考人の方々、どうも御苦労さまでした。きょうは、専門家はお一人ということで、あとは周辺の方々ということでございますけれども、順次お聞きしていきたいと思いますが、まず最初に逢見参考人に対して御質問を幾つかしたいと思います。
まず、逢見参考人は日本労働組合総連合会政策委員ということでお見えになっておりますけれども、この日本労働組合総連合会という団体はどういう団体なんでしょうか。設立目的、組織人員、組織の性格あるいは他のナショナルセンターとの違い。例えば、高橋先生のところから出された資料で、人選について、たしか、連合だけではなく全労連のように云々という、それも入れていただきたいという御意見もあるようですけれども、そういうこととの違いを簡単に述べて、どういう立場を代表してお見えになったかを御説明願いたいと思います。
逢
逢見直人#19
○逢見参考人 連合が設立されましたのは一九八九年でございますが、その前に総評、同盟、中立労連、新産別という労働四団体がございましたけれども、この四団体を統一する形で一九八七年にまず民間連合が発足し、その後官公労部門が加わって、八九年に結成されました。
連合は労働組合主義を基調としておりまして、よそからの支配、介入を受けない独立した労働団体として、労働条件の維持向上を主たる目的にして設立しております。一九九八年時点で、約七百五十万人の組合員を擁しております。
私どもは、他のナショナルセンターと違うところは、いわゆる階級闘争主義に立つのではなくて、市場経済を前提として、しかし全くのマーケット原理あるいは弱肉強食でいくのではなくて、その中に社会の連帯とかあるいは社会の公正を保つ、そういうことを求めていくことを主たる任務としております。
なお、七百五十八万という数字ですが、これはそのほかの団体に比べまして圧倒的な多数を持っておりますので、いわば我が国の労働界において主たるものと考えてよろしいと思います。
この発言だけを見る →連合は労働組合主義を基調としておりまして、よそからの支配、介入を受けない独立した労働団体として、労働条件の維持向上を主たる目的にして設立しております。一九九八年時点で、約七百五十万人の組合員を擁しております。
私どもは、他のナショナルセンターと違うところは、いわゆる階級闘争主義に立つのではなくて、市場経済を前提として、しかし全くのマーケット原理あるいは弱肉強食でいくのではなくて、その中に社会の連帯とかあるいは社会の公正を保つ、そういうことを求めていくことを主たる任務としております。
なお、七百五十八万という数字ですが、これはそのほかの団体に比べまして圧倒的な多数を持っておりますので、いわば我が国の労働界において主たるものと考えてよろしいと思います。
北
北村哲男#20
○北村(哲)委員 続けて逢見参考人にお伺いしますが、逢見参考人は先ほどの御意見の中で、冒頭、基本的な考え方という中で、司法制度全般について国民各層の参加を得て司法改革を行っていただきたいというふうに言われました。
現在、この審議会設置については審議中でございますけれども、おおよそ十三人ぐらいがメンバーとして予定をされておるのですけれども、参考人のおっしゃる各層とはどういう層をいい、どういう層からの代表が望ましいというふうにお考えになっているんでしょうか。
と申しますのも、私どもが旧来考えている層といってもいろいろと、確かに労働界あるいは消費者団体とかいろいろあるんですけれども、今の時代は当時と違っていろいろと、例えば働く者でもフリーターという方がたくさんおられたり、あるいは消費者といっても、考えたら経営者から子供まで全部消費者であったり、どういうふうな分け方で考えればいいかという、大まかでもいいですけれども、一応どういうふうに各層というのは考えておられるんだろうか、それをまず聞きたいと思います。
この発言だけを見る →現在、この審議会設置については審議中でございますけれども、おおよそ十三人ぐらいがメンバーとして予定をされておるのですけれども、参考人のおっしゃる各層とはどういう層をいい、どういう層からの代表が望ましいというふうにお考えになっているんでしょうか。
と申しますのも、私どもが旧来考えている層といってもいろいろと、確かに労働界あるいは消費者団体とかいろいろあるんですけれども、今の時代は当時と違っていろいろと、例えば働く者でもフリーターという方がたくさんおられたり、あるいは消費者といっても、考えたら経営者から子供まで全部消費者であったり、どういうふうな分け方で考えればいいかという、大まかでもいいですけれども、一応どういうふうに各層というのは考えておられるんだろうか、それをまず聞きたいと思います。
逢
逢見直人#21
○逢見参考人 十三人という委員の数が本当に適当なのかどうか私にはわかりませんが、既に十三人ということが出ておりますので、それを前提にして申し上げれば、まずそこからは法曹関係三者は除くべきだというふうに思っております。
今回の司法制度改革は、いわば法曹関係者はまないたのコイになるべきであって、そのコイがみずから包丁の研ぎ方を指揮するということがあってはならないと思います。あくまでも、司法の影響を受ける側、いわば一般市民の側がこの審議会に加わって、あるべき司法の姿はどうなのかということを検討すべきだ。
その中には、確かに今、国民にはいろいろな層がございます。それをどのように分けるかということには大変知恵を絞らなければいけないと思いますが、国民の中の八割は勤労サラリーマンなんですね。ですから、国民の中の圧倒的多数である勤労者市民ということを当然その十三人の枠の中に重視していただきたいというふうに私は思っております。
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その中には、確かに今、国民にはいろいろな層がございます。それをどのように分けるかということには大変知恵を絞らなければいけないと思いますが、国民の中の八割は勤労サラリーマンなんですね。ですから、国民の中の圧倒的多数である勤労者市民ということを当然その十三人の枠の中に重視していただきたいというふうに私は思っております。
北
北村哲男#22
○北村(哲)委員 ただいまの中で、法曹三者を除くべきというお話がありました。これは、私はほかの参考人の方々にそれぞれお聞きしたいかなり重要な論点でもあるわけですから、それはそれとしてお聞きしておきます。
ただいまおっしゃった、八割が勤労者である、これは当然のことなんですが、その中の勤労者を代表する者として、参考人は連合を位置づけておられるかどうか。それはどういう立場、どういう位置づけあるいは理由、今ほとんど言われたと思うのですけれども、きょうは連合代表としてお見えになっていますけれども、連合という組織としてこの十三人の中には当然入るべきとお考えなのかどうか、その点について御質問したいと思います。
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逢
逢見直人#23
○逢見参考人 連合は、単に組織されている連合のメンバーだけのことを考えて代表しているわけではなくて、未組織におられる、労働組合の組織されていない労働者のことについても、政策、制度面や最低賃金制度あるいはさまざまな労働相談などを通じまして、そうした人たちの声も取り上げるようにしております。そういう意味では、勤労者の代表として、ぜひ連合もこの審議会の一員として加われるように私は要望しておきたいと思います。
この発言だけを見る →北
北村哲男#24
○北村(哲)委員 ただいまこの場では司法制度改革審議会の設置法が審議されているわけです。確かに、現在の社会が規制緩和と自己責任社会という方向に向かっておることはだれもが認めるところでありますが、その競争社会に適合できない社会的弱者がそれによって生み出される、そういう社会的弱者に対するセーフティーネットの整備という観点からの御指摘、これは私はごもっともと考えます。
参考人が多く扱われる企業倒産あるいは解雇ということは、いわば自己責任の範疇を超えた問題でもあると思います。解雇制限あるいは賃金、退職金の確保など労働者の生活の最低限の保障という意味において、現在の司法は有効に機能しているとお考えかどうか、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
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逢
逢見直人#25
○逢見参考人 セーフティーネットとしての整備というのは、例えば労働基準法などの労働法制を整備していくとか、いろいろな形のものが考えられます。それから、企業倒産法制についても、今抜本的な見直しが行われております。
それはそれで、私はそういう場での意見は申し上げたいと思うのですが、この司法制度ということに関して言えば、せっかくそういうものがあっても、例えば企業倒産においては労働債権が先取特権として認められている。しかし、それをいざ行使しようとすると、例えば地方で、中小企業で、経営者が夜逃げをしてしまったというときに、何とかそこに残された者だけで自分たちの賃金を取りたいといっても、それを差し押さえしようと思っても頼むべき弁護士が地方の郡部にはいないということがあって、せっかくそれを行使しようとしても、そのインフラが整備されていないという問題があります。
こうした点について、せっかく権利として持っているものが正当に行使できる体制を司法のインフラとしてつくっていただきたいということをぜひ求めたいと思います。
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こうした点について、せっかく権利として持っているものが正当に行使できる体制を司法のインフラとしてつくっていただきたいということをぜひ求めたいと思います。
北
北村哲男#26
○北村(哲)委員 ただいまのインフラ整備は当然のこと、これは私ども国会の責任でもあると思うのですけれども、今考えられる司法の改革という点ですが、問題はどういう方向で改革するかという点が重要だと私は考えるわけです。
使い勝手のよい司法、迅速な紛争処理、いわゆる紛争解決機能の充実ということはもちろん必要なんです。しかし、先ほど述べましたように、自由経済あるいは規制緩和、自己責任のルール等の外にある社会的弱者とか、それから不幸にして落ちこぼれた敗者、あるいはもともとそういう社会には無関係な経済的、社会的劣位に置かれている人たちの権利救済とか、最終的には個人の尊厳とか人権の保障が的確、公正かつ迅速に行われるためにはどういうふうにすればいいんだという視点がどうしてもこの司法改革には必要だというふうに私は考えるのです。
もちろん、連合の目的にも、個々の参加する労働者の人権の保障機能ということはとても大事にしておられると思うのですけれども、この司法の最大目的というのをいかに実現されるかという視点、こういう方向での司法改革というふうに私自身は考えておるのですが、逢見参考人はそのあたりについてはどういうふうにお考えでしょうか。
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もちろん、連合の目的にも、個々の参加する労働者の人権の保障機能ということはとても大事にしておられると思うのですけれども、この司法の最大目的というのをいかに実現されるかという視点、こういう方向での司法改革というふうに私自身は考えておるのですが、逢見参考人はそのあたりについてはどういうふうにお考えでしょうか。
逢
逢見直人#27
○逢見参考人 私も、ある相談を受けて、これは職場で差別を受けたということで女性の方が相談に見えて、弁護士に一緒についていって、その弁護士さんにこのことで裁判ができるでしょうかということを申し上げたんですが、司法の世界というのは、まず弁護士さんが、それは損害賠償金額にしてどのくらいになるのかということを聞くわけですね。その金額が三十万以下だと、これは裁判をやってもむだですよということを言われてしまう。
しかし、その人にとっては金額の多寡が問題なのではなくて、自分が職場で不当に差別されていることを何とかしてちゃんと直してほしいということを切実に訴えているわけです。ところが、そういうものが、今の司法の中で、それを受け入れてそして紛争を解決するという仕組みになっていない。
やはり司法というのは、金額の多寡だけじゃなくて、その人が持っている権利あるいは自分が訴えたいということを普通の言葉で相談に行って、そしてそのことを第三者的に判断して、間違っているのであれば、このことをちゃんと相手方に直させるということが必要なんだろうと思います。それが私が言いたい社会的なセーフティーネットということでありまして、これを泣き寝入りさせてしまって問題を表面化させないということでは、社会のフラストといいますか、そういうところがどんどんたまっていってしまうのではないか。そういうものが解決できる仕組みをこの司法制度改革の中で求めていきたいと思います。
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やはり司法というのは、金額の多寡だけじゃなくて、その人が持っている権利あるいは自分が訴えたいということを普通の言葉で相談に行って、そしてそのことを第三者的に判断して、間違っているのであれば、このことをちゃんと相手方に直させるということが必要なんだろうと思います。それが私が言いたい社会的なセーフティーネットということでありまして、これを泣き寝入りさせてしまって問題を表面化させないということでは、社会のフラストといいますか、そういうところがどんどんたまっていってしまうのではないか。そういうものが解決できる仕組みをこの司法制度改革の中で求めていきたいと思います。
北
北村哲男#28
○北村(哲)委員 最後にもう一点だけ、逢見参考人がお述べになった中で、労働事件は権利紛争と利益紛争の両面を持ったものが多く、民事調停などではその機能が制限されておりますというお言葉、覚えておられますか。民事調停などでは機能が制限されておりますというふうにおっしゃったのは、どういうところでお感じになっているのか、一点お聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →逢
逢見直人#29
○逢見参考人 紛争処理の仕組みとして民事調停制度もあるということで、我々も民事調停制度を労働紛争処理として使えないものだろうかということを検討してみたわけです。労働事件というのは、例えば、解雇された、これが不当だ、そのことをもとに戻してほしいというようなものもあれば、賃金の評価システムの中で、自分はちゃんと正当に評価されるはずなのに、しかし会社の方はちゃんと評価してくれないという問題、これは利益紛争に当たるわけですけれども、民事調停の調停委員というのは、そもそも労働問題に余り精通している人がいない。ですから、そういう事件を持ち込んでもきちんと解決してもらえるということになっていないということ。
それから、権利紛争について、民事調停制度できちんとした判断を下して相手側に是正を求めるということができないというのがあります。そういう意味では、やはり民事調停制度では限界があるというふうに思っております。
この発言だけを見る →それから、権利紛争について、民事調停制度できちんとした判断を下して相手側に是正を求めるということができないというのがあります。そういう意味では、やはり民事調停制度では限界があるというふうに思っております。