農林水産委員会

1999-03-11 参議院 全170発言

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会議録情報#0
平成十一年三月十一日(木曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月八日
    辞任         補欠選任
     阿曽田 清君     月原 茂皓君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     谷本  巍君     山本 正和君
     月原 茂皓君     阿曽田 清君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     山本 正和君     谷本  巍君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野間  赳君
    理 事
                岩永 浩美君
                三浦 一水君
                和田 洋子君
                須藤美也子君
                村沢  牧君
    委 員
                岸  宏一君
                国井 正幸君
                佐藤 昭郎君
                中川 義雄君
                長峯  基君
                森下 博之君
                小川 敏夫君
                久保  亘君
                郡司  彰君
                風間  昶君
                木庭健太郎君
                大沢 辰美君
                谷本  巍君
                阿曽田 清君
                石井 一二君
   国務大臣
       農林水産大臣   中川 昭一君
   政府委員
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省経済局長  大島正太郎君
       厚生省生活衛生
       局長       小野 昭雄君
       農林水産大臣官
       房長       高木  賢君
       農林水産省経済
       局長       竹中 美晴君
       農林水産省構造
       改善局長     渡辺 好明君
       農林水産省農産
       園芸局長     樋口 久俊君
       農林水産省畜産
       局長       本田 浩次君
       農林水産省食品
       流通局長     福島啓史郎君
       農林水産技術会
       議事務局長    三輪睿太郎君
       食糧庁長官    堤  英隆君
       林野庁長官    山本  徹君
       水産庁長官    中須 勇雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 威男君
   説明員
       労働省労働基準
       局労災管理課長  荒  竜夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農林水産に関する調査
 (平成十一年度の農林水産行政の基本施策に関
 する件)

    ─────────────
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野間赳#1
○委員長(野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産に関する調査のうち、平成十一年度の農林水産行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
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中川義雄#2
○中川義雄君 おはようございます。
 今、間もなく二十一世紀という中で、我々のかけがえのない地球、大変大きなたくさんの課題を掲げられて、どうやってこれを乗り切っていくか、大きな課題だと思います。我が国の農政もそういった大きな中で今後の方針をしっかりしていかなければ大変なことになると思うわけであります。特に、地球環境の保全、資源的ないろんな制約、さらには人口の爆発、それに伴う食料危機、これらの行方を視野に入れて二十一世紀に向けての新しい農業の展望を持つことが大切であり、このため農業についての政策を抜本的に見直して、発想を転換して新しい価値観に基づいた農業への挑戦が求められております。
 このたびの食料・農業・農村基本法もそのような観点に立って立案されたと思いますが、その点についての見解を伺いたいと思います。
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中川昭一#3
○国務大臣(中川昭一君) 今、委員御指摘のように、まさにこれから御審議いただきます新しい基本法は、四十年近い時代の経過とともに農業あるいはまた農村あるいは日本の国土全体、国民全体、そして世界的な事情が大きく変化をいたしまして、そういう意味で発想の転換あるいはまたさらなる推進等々、抜本的に法律を新たに制定するものでございます。
 今回の基本法というものは、国民的な視野あるいは国土あるいは地球全体を含めた環境の保全、さらには文化、伝統、さらには次の世代を担う子供たちに対する教育的な側面まで視野に入れた形で法律を御提案申し上げるわけでございます。
 このような国民的なさまざまなニーズにこたえるために、基本理念といたしまして、まず国内農業生産を基本とした安定的な食料の供給、さらには不測の事態に対する対応も視野に入れております。そしてまた、農業・農村が有する多面的なさまざまな機能の十分な発揮を明確に掲げるとともに、その役割を果たすための基盤整備を充実させていきたいと考えております。さらには、我が国農業が将来にわたって維持発展できますようないわゆる持続的な農業というものの育成、さらには農村、農業生産地域でございます農村の振興といった従来になかった視点を取り上げた農業・農村、そしてさらに農業生産のお客さんといいましょうか、利用者は消費者、全国民でございますから、消費者を含めた国民的視野からもこの法案を作成しているところでございます。
 このような理念のもとで、具体的には消費者あるいは農業関係者からも強い要望のございます食料自給率の目標の設定あるいは食料の安全性の確保、品質の改善、表示の適正化等々、消費者ニーズあるいは消費者の視点に立った施策の充実、そして専ら農業を営む者その他意欲のある担い手農業者の確保、育成といった農業経営の展開の促進、そして需給事情、品質評価を適切に反映した価格形成、そして価格形成に一体となって経営安定対策というものも実施していきたいと考えております。
 さらには、農薬、肥料の適正な使用など望ましい農法の推進を通じた農業の自然循環機能の維持増進、そして豊かで住みよい農村とするための総合的な整備、いわゆる農村空間というものを一つの概念として農村の発展の基盤となる振興対策、そして中山間地域等、多面的機能を有する地域の機能の確保を図るために生産条件の不利を補正すると同時に、農業生産活動が適切に行われますような支援の実施といったようなことを施策としてやっていきたい。
 結論的に申し上げますならば、農業者が自信と誇りを持って農業生産活動にいそしみ、そしてまたその地域が発展をし、そして国民全体が豊かさと安心を実感できるための農政の指針、基本法としての位置づけとしていきたいというふうに考えております。
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中川義雄#4
○中川義雄君 以下、具体的な話になりますので、時間がありませんのでなるべく簡潔に答弁していただきたいと思います。
 農業白書によりますと、食料の自給率はカロリーベースで四一%に落ち込み、穀物ベースですと一九七五年から一九九六年の間に四三%から二六%へと大変な落ち込みを示しているわけであります。これは先進国の中で最も低く、他方、地球全体で考えますと、砂漠化や温暖化などによって異常気象が相次ぎ、例えばこれまでの穀倉地帯と言われていた米国中西部やロシアのウクライナ地方、これらの地域の生産力が低下しているとも言われております。
 このことは、この国の将来においてもその食料事情に大変な危機感を持っているわけであります。農業に最も大切なのは食料自給率をいかに確保するかということでありますが、この点についてこの新しい基本法ではどのように取り扱われているのか、示していただきたいと思います。
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高木賢#5
○政府委員(高木賢君) 食料自給率の問題は御指摘のように非常に重要な問題でございます。
 したがいまして、おととい提出をさせていただきました食料・農業・農村基本法案におきましては「食料の安定供給の確保」ということを第二条に置きまして、いわば基本理念ということで第一番目に掲げております。その中におきまして、今御指摘のありました趣旨を条文にも取り入れまして、「食料の安定的な供給については、世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることにかんがみ、国内の農業生産を基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行われなければならない。」と、まず基本的な理念を明記しております。これを受けまして、具体的に第十五条で政府が食料・農業・農村基本計画を定めるということにしておりまして、基本計画におきましては食料・農業・農村に関する施策についての基本的な方針などを定めることにしておりますが、特にその基本計画に定めるべき事項といたしまして、第二号で「食料自給率の目標」ということを特記いたしまして、これを定めるということにいたしております。また、その食料自給率の目標は、国内の農業生産及び食料消費に関する指針として定めるという位置づけにしております。
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中川義雄#6
○中川義雄君 御承知のように、東西の冷戦構造が終結しまして、これまでのイデオロギーの対立から、一方では南北問題といいますか、人口が爆発を続けているそういったところでの食料危機、まさに飢餓が広がり、困窮した人々が食料を求めて史上類例を見ないほどの難民に化しているとも言われております。そのことが今大変な国際問題になっております。
 一方では、我が国は大変な発展の中で、お金に物を言わせてと言ったらなんですが、安易に海外に食料を依存して、それがそういった困っている人たちからのいろんな批判というような形で今後大きな問題にもなるのではないかというようなことさえ危惧されているわけですから、食料を安易に海外に依存するこれまでのこういった政策から、まさに国内生産を中心とした、または備蓄その他のいろんな政策をもって食料の自給、これをしっかりしなければならないんですが、そういった観点から、新しい基本法の中で、こういった安易に海外に依存するというようなことの発想を転換すべきだ、そういうことがどのような形であらわれているのか、お示しいただきたいと思います。
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高木賢#7
○政府委員(高木賢君) ただいまの御指摘でございますが、まさに先ほど来申し上げましたが、食料の安定供給の確保ということを改めて基本理念に明記をしたということ、さらにはいわゆる食料安全保障の考え方もその中ではっきりさせたということがまず第一点で挙げられるかと思います。
 そしてまた、具体的な対応方策といたしましては、食料自給率の目標を定めるということは先ほど申し上げたとおりでございますが、さらにまた一歩進めまして、開発途上国などの需給の安定ということも考えまして国際協力の推進をしていく、開発途上国に食料供給の力をつけるということも明記をさせていただいております。
 それから、当然のことですが、それを支える我が国の農業につきましては、この持続的発展を期するということで、新しい基本法案におきましては第二十一条以下十三条の規定を設けまして、農地なり担い手なり経営なり、あるいは技術、生産基盤、こういったものにつきましての総合的な規定を置きまして、この推進を図りたいと考えております。
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中川義雄#8
○中川義雄君 御承知のように、レスター・ブラウンが「飢餓の世紀」という名著の中で、まさにこのことが今後のそれぞれの国家の盛衰といいますか死活の問題になるだろう、ですから食料の問題こそは各国の政府だけが解決できる他国に依存できない最もとうとい使命であろうと。まさに私は大切なことだと思います。
 そういう中から考えてみますと、この国の現実というのは、ここに一億二千万以上の人が住んでおります。しかし、国土が非常に狭いですから、その地理的条件からいってすべてを国内で生産するということはできないんです。しかし、食料安保的な発想に立つと、例えば飼料などはアメリカにほとんど一〇〇%依存している。これは大変大きな問題で、これは政策的になるべく分散して食料の安全保障というものを確保しなければならないと思いますが、この点について今後の方針などをお聞かせいただきたいと思っております。
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本田浩次#9
○政府委員(本田浩次君) 我が国は、トウモロコシ、コウリャンなどの飼料穀物の大部分、千六百万トン余りでございますけれども、これを海外からの輸入に依存しておりまして、その輸入先国は、平成十年の実績で見ますと、米国が七一%、アルゼンチンが一四%、オーストラリアが九%などとなっております。
 御指摘のとおり、飼料穀物の安定供給を図っていく上で輸入先国の多元化は重要であると考えているところでございます。ただ、トウモロコシなどの飼料穀物の輸入は現在自由化されておりまして、民間業者の判断で価格の安い国から輸入されている状況にございます。したがいまして、輸入先国も各国の供給価格に応じて変動している実態にございます。例えば、平成十年には豊作になりましたアルゼンチンからの輸入量が増加しております。シェアでいいますと、前年の五%から一四%にふえるというようなことになっておりまして、この結果、我が国の飼料穀物の輸入に占めますアメリカのシェアは前年の八二%から七一%に低下しているという状況でございます。
 このように、飼料穀物の輸入につきましては、輸入先国の豊凶などに左右されますことから、その安定供給を図るためには配合飼料の主原料でございますトウモロコシ、コウリャンの需要量の一カ月分の公的な備蓄を行いますとともに、配合飼料メーカーにおきましてもおおむね一カ月分の通常在庫の確保を図っているところでございます。
 今後におきましても、こうした飼料穀物備蓄の適切かつ効率的な運用もあわせまして、その安定供給に努めてまいりたいと考えているところでございます。
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中川義雄#10
○中川義雄君 御承知のように、石油の大宗を海外に依存する我が国がそのほとんどを中東に依存していた、それがあの石油危機をもたらして大変な状況になり、その反省に基づいて、供給地を分散化すること、備蓄問題については真剣に考えること、省エネルギーに真剣に取り組むことといったことが功を奏して、その後は安定的な供給が図られておるわけですから、しっかりやっていただきたい、こう思うわけであります。
 この国の農業の限界というものは、地理的条件がありますから、自給率を向上するというのは国内生産だけに依存するわけにいきませんが、国内でやれる手としてあるのは、需要と供給の関係ですから、むだな需要量をどれだけ縮減するか、それが一つでありますし、国内での備蓄といったものをどうするかということが一つであります。
 一方で、この国はほとんどが栄養過多で、私もそうなんですが、医者からもうちょっとやせろやせろと言われておりますが、本当にむだな食事によって健康まで害している。やはり、食料自給率を向上させる一つのキーワードとして、厚生省などとも十分協議しながら、国民の健康な食料のあり方、それにあわせて国内生産、または備蓄、海外からの輸入のあり方といったものをきちっと組み合わせてやることが大事だと思いますが、その点の考え方についてお示しいただきたいと思います。
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高木賢#11
○政府委員(高木賢君) 御指摘のとおり、自給率の向上のためには、農地面積に制約がある我が国といたしましては、生産面では単収の増加なり、それを高いレベルで安定させることとか、耕作放棄地の解消とか、あるいは耕地利用率の向上、こういったことが必要であろうと思います。
 それから、消費の面では、ただいま御指摘になりましたように、大量の食品残渣が出るという実態にございます。そういったむだが無視し得ない状況になっておりますので、その点についての対応。それから、いわゆる脂分、脂質のとり過ぎという傾向が出ておりまして、いわゆる栄養バランスの崩れ、生活習慣病の増加などの懸念が出ているわけでございます。したがいまして、食べ残し、廃棄の削減あるいは日本型食生活の普及など、食生活の見直しに向けた運動の展開を図ることが必要になってきていると思います。
 そこで、新しい基本法案におきましても、食料自給率の目標を策定する際には、国内の農業生産だけでなくて、食料消費に関する指針としても定めるという位置づけにしております。具体的には、それを受けまして、健全な食生活に関する指針の策定、これは厚生省と協力してやっていかなければいけないというふうに思っておりますが、この点が一つ。あるいは食料消費に関する知識の普及とか情報の提供、こういったことで国民の判断に訴えていきたいというふうに考えております。
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中川義雄#12
○中川義雄君 先日の大臣の所信表明によりますと、農業の持続的発展という言葉が使われておりますが、御承知のように、二十一世紀、地球環境上のいろんな諸制限から、果たして人類がこのまま持続的にこの社会を形成していけるかというのが一つの大きな課題になっております。
 私は、農業ほど持続的に可能性のある産業はない、そのことは御承知のように数千年の歴史を持っております、数万年とも言われておりますが。農業だけは、投下したエネルギーに対して産出されるエネルギーが大きいという唯一の産業であります。ほかの産業は、工業すべて、この地球が数百億年をかけてためた資源を消費し続けていていろんな問題を起こしているという中にあって、私はやはりそういった観点からも農業に対するしっかりした心構えを持つことは大事だと思うんですが、その農業が今危機に瀕しているというわけであります。
 その大きな問題は、何といっても農業のいろんな環境が厳しくなっている。特に、経済的な側面から見ますと、他産業と比較すると生産性の向上その他ではどうしても劣勢である。農業をやっていると食べていけない。そんなことで離農し、担い手がなくなっているというのが一番大きな問題であります。そして、そのことは土地が放棄されて荒野と化していくというような問題にも発展しておりますが、まずその点について、基本法や今後の方策でどのように取り扱おうとしているのか、お伺いしたいと思います。
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渡辺好明#13
○政府委員(渡辺好明君) 新しい基本法案の中で、第三節第二十一条に「望ましい農業構造の確立」という条文を置いております。それに引き続きまして、第二十二条では「専ら農業を営む者その他経営意欲のある農業者が創意工夫を生かした農業経営を展開できるようにすることが重要である」というふうに位置づけをいたしております。私どもも、こういう農業者の方々、専業的と言ってよろしいと思いますが、専業的経営の方々に農業生産の大宗を担っていただくような構造をつくり上げることが大事だろうと思っております。
 こういう観点に立ちまして、経営施策を体系化いたしまして、こういった認定農業者などを中心とする意欲ある担い手の方々に施策を集中する。それから、日本農業は東西南北、営農の状況がかなり多様でございますので、集落営農の活用とか市町村あるいは農協等の公的な主体が農業生産に参画をするような方向につきましても、多様な農業展開という観点に立ちましてこれを支援する。さらには、法人に新規就農の方々が就職をしていくというふうなことを支援したいと考えております。
 また、やむを得ず離農される方々につきましては、離農跡地あるいは離農後の諸施設が担い手に集約をされていく、あるいはリースをされていくというふうな施策を現在やっておりますし、これをまた今後も充実させていきたいというふうに思っております。
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中川義雄#14
○中川義雄君 御承知のように、農業は人づくり、そして土づくりだと、こう言われておりますが、一方の土が今瀕死の重症になっております。生産性を向上したいという願いからたくさんの化学肥料や殺虫剤などの化学薬品が大量に使われ、大きな機械がそれを上から押しつけていくというようなことで、まさに土が瀕死の重症になっていると、こう言われております。この対策も非常に大切だと思いますが、いかがでしょうか。
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樋口久俊#15
○政府委員(樋口久俊君) 御指摘ございましたように、近年、土づくりの取り組みが減退をいたしておりまして農地の生産力が低下をしておりますし、化学肥料や化学農薬への過度の依存によりまして営農環境が悪化しているという状況が見られているところでございます。
 このような状況に対応しまして、農地の生産力の維持増進のための土づくりを十分に行うこと、それから化学肥料や化学農薬の使用の低減を促進して自然循環機能を維持増進するということが農政の緊急の課題になっております。
 このため、御提案をいたしております基本法案におきましては、基本理念のところで、「農業の自然循環機能が維持増進されること」という規定を置いておりますとともに、具体的な施策の一つで三十二条という規定で、内容は省略いたしますが、明確な規定がございます。
 これまでも地力増進法という法律がございまして、従来からいろいろ施策を講じておりますが、本国会に別途、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案等々を御提案させていただいておりますので、これらに基づきまして各般の施策を展開するということで、従来にも増して地力増進対策を積極的に推進したいと考えているところでございます。
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中川義雄#16
○中川義雄君 今後の地球的な課題として、サステーナブルな、持続可能なということと、もう一つはゼロ・エミッション、なるべく循環させて資源と産出されたものが上手にめぐり合う、そのゼロ・エミッションという意味でも、これも農政の一つの大きな課題になります。
 最近、そういった点で、自然農法といったような発想が、消費者からもそれに対する需要が非常に大きくなってきている。そんな観点から、農林省の考え方を示していただきたいと思っております。
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樋口久俊#17
○政府委員(樋口久俊君) 一般的な農法に比較しまして化学肥料とか農薬の使用を低減する農業生産方式といいますか、そういうもの、自然農法あるいは有機農法等々さまざまな呼び方がされておりますが、これらは、背景には消費者の健康志向とか生産者が地域の生産条件をできるだけ生かしたいというような意向とかが相まちまして、いろんな工夫をして取り組みが拡大されてきているというふうに私どもは承知をしているところでございます。
 農林水産省といたしましては、いろんな条件がございますが、条件を満たすものにつきましては、例えば補助事業を実施しますとか、それから金融措置を講ずる、あるいは一定のルールをつくりまして表示をしてそこの普及推進をしていくというようなことをやっておりまして、例えば具体的には堆肥の供給施設とか土壌の診断施設でございますとかそういう補助事業、それから農業改良資金の貸し付けを行うとか、あるいは有機農産物等の表示ガイドラインをつくりまして、適正な表示、生産管理を指導するというようなことをやっておるところでございます。
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中川義雄#18
○中川義雄君 自然循環型の農業の確立、これは非常に大事なんですが、今問題になっているのはその中で畜産の排せつ物、しかしこれはすべてありがたいことに有機質でありまして、すべてが土に返ることが可能なものであります。ですから、農業の中ですべてが解決でき得る問題でありまして、これを安易に産業廃棄物というような発想でこの問題を乗り越えるのではなくて、自然循環型農業の確立のために貴重な資源としてそれを考えていく、そういう発想の転換も大事だと思いますが、これは私は意見として述べさせていただきたいと思っています。
 一方、どうしても人の問題として、今回の農業基本法で、価格は市場の原理をなるべく導入してやっていきたい、そして消費者に喜ばれるような商品を提供していきたい。しかし、そうなると、御承知のように、どうしても農業というのは生産性の低いものですから、意欲のある担い手、北海道のように農業だけでないと生きていけない地域、また根釧のように酪農しかできないというような厳しい地域、そういったところで将来に夢を見ながら営々と経営している農家に対する、それこそある程度の所得補償的な政策、これがなければ農業はもっていかないと思いますが、その点についての考え方を示していただきたいと思います。
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高木賢#19
○政府委員(高木賢君) 農産物の価格につきまして、需要者の動向といいますか需給事情といいますか、あるいは品質評価、こういうものが適切に生産者に伝わるということは大事なことであろうと思います。それを端的にあらわすものが価格等の評価ということでございますから、そういった農産物の価格が需給事情や品質評価を適切に反映して形成されるようにするということが一方において必要であろうと思います。
 しかしながら、それは半面でありまして、その場合に意欲ある担い手に対して価格変動の影響が及んで経営安定が阻害される、こういうことではいけませんので、育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するということで、新しい基本法案におきましても、前段申し上げました価格形成という問題の条文の二項目に、「国は、農産物の価格の著しい変動が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講ずる」という幅広い規定ぶりで書いてございます。
 これによりまして、具体的には、例えば麦につきましては民間流通への移行を図るとともに麦作経営安定資金を導入するということにいたしておりますし、お話のありました牛乳・乳製品につきましても、実際の取引価格が市場実勢を反映して形成される制度に移行すると同時に、現行の生産者補給金制度を加工原料乳の生産者に対する新たな経営安定措置に移行するという方向で検討をいたしているところでございます。大豆につきましても、本年秋の価格決定までにこうした方向での方向づけをしておるという状況でございます。
 このように、逐次、価格政策の見直しと同時に、これに伴う意欲ある担い手の経営安定対策の具体化を図っていく、こういう考えでおります。
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中川義雄#20
○中川義雄君 時間がないですから、少し簡潔に答弁していただきたいと思います。
 問題はもう一つは、この農業基本法の特筆すべきものは、農村の持っている多面的機能を発揮していくんだ、これは非常に大事なことだと思うんですが、その中で一つは、上流部で大変な苦労をする中で役割を果たしている中山間、これには特にそれを掲げて施策として展開していくと、こう言っておりますが、具体的に内容を示していただきたいと思います。
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渡辺好明#21
○政府委員(渡辺好明君) 「中山間地域等の振興」という条文の第二項におきまして、「国は、中山間地域等においては、適切な農業生産活動が継続的に行われるよう農業の生産条件に関する不利を補正するための支援を行うこと等により、多面的機能の確保を特に図るための施策を講ずる」と書いてあります。私どもはこの条文をよりどころといたしまして、今回、中山間地域等におきまして直接支払いを位置づけし、実施したいと考えております。
 今、先生から御指摘がありましたように、耕作放棄を防止し、多面的機能を確保するという観点から、基本的な枠組みをおおむね決めさせていただきましたので、現在、検討会を設置いたしまして、対象地域をどうするか、対象行為をどうするか、対象者をどうするか、そして地方公共団体の役割をどう位置づけるかといったことについて検討を行っているところでございます。予算に関連をすることでもございますので、十二年度の概算要求時、つまりことしの夏までに結論を得たいと考えております。
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中川義雄#22
○中川義雄君 農村の持つ多面的機能の中で誇り得るものは、ずっと日本の伝統、いろんな工芸品、民芸、民話、合掌づくりといったような、そして織物、加賀友禅その他たくさんの織物は、それぞれ農村の厳しい生活の中から少しでも豊かな、そういう願いを込めてでき上がったものであります。私は、その農村の持つ心の優しさ、創造性というものを発展させることも大事なことだと思うんです。
 ですから、伝統的な文化をどう伝承しそれを発展させるか、これも多面的機能を維持し、ぎすぎすしがちなこの国の中で潤いのある地域として農村を、それは国民の大半が求めておりますが、その点をどうとらえているか、お伺いしたいと思います。
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渡辺好明#23
○政府委員(渡辺好明君) このたびの基本法第三条におきまして、「多面的機能の発揮」という条を設けまして、その中でとりわけ文化の伝承等ということを多面的機能の重要なものの一つとして取り上げております。
 ここで重要なことは、こうした文化の伝承等の多面的機能の発揮は、農業生産活動が適切に行われていなければ確保されないということでもございますし、そしてもう一つ、こういった多面的機能につきましては、将来にわたって適切かつ十分に発揮をされなければいけないという規定ぶりをしたわけでございます。
 御案内のとおり、文化というのは地域や民族にとって固有のものでございます。周りの方々から理解をされ、そして尊敬をされるべきものでございます。農村はその誕生以来、この文化をはぐくんできたところでございますので、こうした機能が今後、より一層発揮をされますように施策を強化していきたいと思っておりますが、大臣からも御説明しましたように、地域の歴史を語る農業用水とか農業景観の保全に関するそういった基盤整備を行うといった田園空間の整備事業あるいは特定農山村の相互支援事業、さらには都市との交流施設等を整備する新しい山村振興事業、棚田の保全事業、こういったものを通じて文化の伝承、こういう面でも施策を強化したいと考えております。
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中川義雄#24
○中川義雄君 一方、林業においてもすばらしい景観や水資源の涵養、そしてまたこれも持続的に可能な木材の生産といった非常にすばらしい機能を持っています。
 そしてまた、水産業においても本当に食料の生産という大事な大事な二百海里時代ですから、経済水域が大きくなったんだ、そのためには前浜を大事にする、根魚を大事にするというような水産業の基本方針の展開といったことが必要だと思うんです。
 ですから、林業基本法だとか水産基本法といったものを制定して、誤りのない総合的な施策の展開が必要だと思いますが、それに対する考え方を示していただきたいと思います。
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中川昭一#25
○国務大臣(中川昭一君) 山と海とは一体といいましょうか、山は海の恋人とかいろんな表現方法が最近特に使われておりますが、御指摘のように、山そして川等を通じて海につながる、これはまさに自然の一つの大きな体系の中のそれぞれの重要なパートが連携した形で構成されておると委員御指摘のように私も全く同感でございます。
 そういう中で、山を守り発展させていくということは、林業という産業だけではなくて、環境面あるいは国土保全機能、さらには現状の厳しい山の状況を考えますと、委員しばしば御指摘のように、保水力というものの低下ということも大きな問題になっておるわけでございますから、山の整備をしていくということは、山だけの問題ではなく、極めて大事なポイントだろうと思います。そういう意味で、林業基本法の新しい観点からの制定も踏まえ、検討しなければならないと考えております。
 また、海におきましても、厳しい現状、さらには新しい漁業秩序の国際体制の中で、我が国の周辺の漁場あるいは漁業資源をどうやって安定的に確保していくか、これもいろんな多面的な機能も含めて新たな時代に対応できるように水産基本法の制定も含め検討していきたい。
 委員御指摘のことを総括させていただくならば、山もあるいは農村も海も一体として、国土そして国民の生活あるいは将来に対する発展の一つの大きな基盤であろうというふうに認識をしております。
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和田洋子#26
○和田洋子君 民主党・新緑風会の和田洋子です。
 現行基本法と農政ということでお伺いをいたします。
 私がまず最初に伺いたいのは、現行の農業基本法のもとで農政がどのように展開されてきたかという問題です。
 農業基本法が制定されましたのは昭和三十六年、これまで三十七年間が経過したことになります。「新農基法への視座」という本の中で、大内先生を初め学会の方々と農林水産事務次官を務められた澤邊さんの座談会が掲載されております。その中で澤邊さんは、実は私は農業基本法の制定には加わらなかったけれども、「農業基本法が十年くらい経って空洞化し、政策誘導の機能を早々と失ってしまった。」というふうに述べられております。
 制定後十年といいますと、農政の歩みの中では米の生産過剰が顕在化する中で生産調整が開始され、農産物の自由化の圧力が強まってきて、また農山村では過疎問題が深刻化するといった農業をめぐる情勢の変化に対応すべく総合農政が展開された時期であります。
 私も、農業基本法が今日まで政策誘導の指針として機能してきたかということに対しては大きな疑問を持っています。現実の農政は総合農政に引き続いて「八〇年代の農政の基本方向」に沿って推進され、国際農政という時期を経て、また平成四年の新しい食料・農業・農村政策の方向、いわゆる新農政に引き継がれました。この間、農業基本法と現実の農政との溝はますます深まっていったと思います。新農政はそのきわめつけであります。新農政の理念は今国会に提出された食料・農業・農村基本法の原型となっているものであり、明らかに現行基本法と理念が違っていることは事実であります。
 このように基本法と全く異なる理念で農政が推進されたということは極めて異常な事態であるというふうに思いますが、農林大臣はこのことに対してどういう印象、評価を持っておられるか、お尋ねをいたします。
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中川昭一#27
○国務大臣(中川昭一君) 昭和三十六年に制定されました農業基本法についての現実との認識についてのお尋ねだと思いますが、当時の日本の経済状況、あるいはまた農業・農村状況というものを考えたときに、やはり当時は米はあの時点ではどんどん増産されておりますけれども、まだ完全に一〇〇%自給ではない状況でありましたし、またそれ以外の農作物についてももっともっと国内生産をしていかなければならないというような状況でありました。
 そういう観点から、農業の生産性をどうやって上げていくか。一方、都市部におきましては高度経済成長の中でいわゆる二次産業を中心に非常に生産性が上がっていっておるわけでございまして、それとの生産性の格差をどうやって埋めていったらいいかということが一つの大きな柱にあったわけであります。もう一つは、そういう農村地域に住む人々の生活面での所得の問題、あるいはまたインフラ整備の問題等で都市部と大きな格差があって、その生活面での格差をどうやって埋めていったらいいかというのが一言というか、二言ですけれども、二言で言えば農業基本法の大きな基本理念だったと思います。そういう意味では、私はその基本理念というものは、それ以降の時代においてもその目的を達成するということの正当性というものは十分根拠のあるものだと思います。
 もちろん、個々の条文一つ一つが実態と乖離しているとか、また時代の状況の変化とともに少し意味が変わってきた、あるいは意味をなさなくなったというものも個別には一部あるとは思いますけれども、全体としての理念というものはやはり当時から現在に至るまで私は間違ったものではない、あるいは意味をなしていないとは認識をしておりません。ただ、時代の変化とともに新たなニーズ、またその手法においての変化等々という、そういう状況の変化も出てきたということもあるわけでございまして、そういう観点から今回、農業基本法から新しい食料・農業・農村基本法という基本法に変えていくわけでございます。
 現行基本法におきましては、あくまでも基本法でありますから、実定法といいましょうか、現実対策にかかわる法律との間の直接の、基本法と実定法という関係が余り明確でなかったということもその原因の一つとして結果的に言えるのではないかと思いますが、今回は基本法というものを根っこに置いて、これはあくまでも理念法でございますから、それを基本計画というものに位置づけて、その基本計画からまたいろんな法律を改革したり新たにつくったりしていくということで、基本法と実定法との間にきちっとした結びつきをつけていくという条件のもとで、これからの諸施策を推進していきたいと思っております。
 そういうことで、基本法の評価につきましては、一部その実現がまだまだできていないものもありますけれども、例えば規模拡大なんかについて申しますならば、地元のことで恐縮ですけれども、北海道等では非常に規模拡大が進んでおるとか、あるいはまた米、麦中心から畜産物、野菜等の生産が増大をしていったとか、またそういう目標に向かっての実現もある一方、現実に高齢化の問題とか輸入の増大とかいった現実の問題点もあるわけでございまして、基本法の基本理念というものが四十年近く経過して新たな基本法を必要とする時代に変わってきたということで、これから御審議をいただきたいというふうに考えております。
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和田洋子#28
○和田洋子君 大臣からお答えをいただきましたけれども、長年にわたって農林水産行政に携わってこられた政府委員の皆さんお一人お一人から本当はこの問題についてお聞きをしたいんですが、官房長、代表して、どういう御感想をお持ちですか。
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高木賢#29
○政府委員(高木賢君) 基本的には大臣から御答弁のあったとおりというふうに考えております。
 私も、大体基本法制定直後ぐらいに役所に入りまして、大体個人の私の意識としては、基本法というものを意識して仕事を進めてきたという気がしております。ただ、年々といいますか、ある程度進みますと、多少時間の経過につれて定着した面がはっきり言って相当あると思うんです。いわゆる選択的拡大という点について言えば、需要も減少する、米から他作物への転換というのは既に現行農業基本法の二条一号に明記してございますけれども、そういったことがあるとかいうことでやりますが、先ほど先生から御指摘がありましたように、新しい食料・農業・農村政策の方向、いわゆる新政策というものが出されたころから、やはり単に農業だけでなくて食料問題も非常に重要だ、それから農業を支える農村というものも重要だということで、単に農業だけじゃない食料、農村、さらには多面的機能といったものの重視といった事態が出てまいりまして、今日の基本法の制定ということにつながったと思います。
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