法務委員会

2002-11-12 参議院 全159発言

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会議録情報#0
平成十四年十一月十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
                本岡 昭次君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   参考人
       東亜大学通信制
       大学院教授    塩野  宏君
       日本民間放送連
       盟報道問題研究
       部会部会長
       日本テレビ放送
       網株式会社報道
       局長       石井 修平君
       弁護士
       全国犯罪被害者
       の会代表幹事   岡村  勲君
       弁護士
       日本弁護士連合
       会国内人権機関
       に関するワーキ
       ンググループ座
       長        藤原 精吾君
       全国自由同和会
       会長       茗荷 完二君
       人権フォーラム
       21事務局長
       新潟大学法学部
       教授       山崎 公士君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○人権擁護法案(第百五十四回国会内閣提出)(
 継続案件)
    ─────────────
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魚住裕一郎#1
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 人権擁護法案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、六名の参考人から御意見を伺います。
 まず、午前中に御出席いただいております参考人は、東亜大学通信制大学院教授塩野宏君、日本民間放送連盟報道問題研究部会部会長・日本テレビ放送網株式会社報道局長石井修平君及び弁護士・全国犯罪被害者の会代表幹事岡村勲君でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず塩野参考人、石井参考人、岡村参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
 なお、参考人の方の意見陳述及び答弁とも、着席のままで結構でございます。
 それでは、塩野参考人からお願いいたします。塩野参考人。
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塩野宏#2
○参考人(塩野宏君) 塩野でございます。本委員会において審議中の人権擁護法案について意見を申し述べる機会を与えられ、大変光栄に存じております。お言葉に甘えまして、着席のまま発言させていただきます。
 私は、人権擁護施策推進法に基づき設置されました人権擁護推進審議会の会長として、同審議会の進行を仰せ付かったものでありますが、人権擁護法案は、審議会の人権救済制度の在り方に関する答申を踏まえたものと理解しております。
 そこで、本日は、審議会答申の取りまとめに当たった立場から、法案についての意見を申し上げることといたしますが、最初に、答申の基本的構想を御紹介いたします。
 すなわち、答申は、公権力によるものであれ、私人間のものであれ、人権の侵害に対する救済は、日本国憲法の下においては裁判所によるのが原則であるが、それのみによっては必ずしも効果的な救済が期待できない場合があるということから、裁判所による救済を補完するため、簡易、迅速、柔軟な行政上の救済が必要であるという基本認識に立っております。
 ただ、人権侵害は多様性に富むことから、すべての侵害事案に同じ手法によるのではなく、相談、あっせん等による簡易な救済と、調停から訴訟援助にまで及ぶ積極的救済の二つに区分し、後者の対象となるのは、自らの人権を自ら守ることが困難な状況に置かれている被害者としたものであります。さらに、私人間における人権侵害については、人権相互の関係に十分配慮すべきものであるということも答申の根底に横たわっている認識であります。
 答申は、このような積極的救済を担う行政機関として、通常の行政から独立し、職権行使の独立性が確保された委員会組織が必要であり、これに加えて、委員会の事務を補佐する事務局体制を整備し、これに専門性を加えた職員等を全国的に適切に配置することができるようにするということが肝要であるとしております。
 さらに、人権擁護委員については、この委員会を中心とする人権擁護制度の重要な一部を成すものであると位置付け、新たな適任者確保の方策等につき提言いたしました。審議会の立場からいたしますと、今回の法案は、基本的にこの審議会答申の趣旨に従って立案されたものと評価しております。
 この点をもう少し具体的に、若干の主要論点に絞って述べたいと存じます。
 まず第一に、簡易な救済と積極的救済の区別及びそれぞれの区分に対応した救済手法を用意するという救済の基本的構想については、法案は、二つの区分に立った上で、救済の手法と調査の手法を答申の趣旨に即して定めたものと認識しております。
 第二に、積極的救済の具体的対象であります。すなわち、さきに述べました自らの人権を自ら守ることが困難な状況に置かれているという場合のその状況とは具体的にどのようなものであるかであります。これについては、審議会の審議の過程において、公権力によるものであれ、私人間のものであれ、差別、虐待の被害者がそれに当たるという点については意見の一致を見ていたところであります。その上に立って、法案は、四十二条一項一号から第三号までに、答申に即して更により厳密に対象を明らかにしたものというふうに考えます。
 なお、差別について審議会で種々議論の対象となりましたのは、差別表現に関するものでありまして、これが特定個人に対する侮辱、名誉毀損に当たる場合は積極的救済の対象となるわけでありますが、外国人入店お断りの看板、今日の新聞でその問題の地裁の判決を私も見ましたけれども、こういったものであるとか、さらに、部落地名総鑑のように社会的身分に係る多数の者の属性に関する情報を公然と摘示するような行為については、調停等の個別具体的な被害者に焦点を当てた手法、これでは有効に対処することができません。
 他方、この問題は表現の自由に関係してくるところがあります。そこで審議会では、このような差別表現について何らかの方策を立てる必要があるということまでは意見の一致を見ましたが、具体的、法技術的提案にまで至らず、答申としては表現の自由の保障に配慮した具体的手法を考慮すべきものとして、政府の検討にゆだねたところであります。
 法案では、四十三条で必要な措置を講ずる必要のある行為を明らかにするとともに、六十四条、六十五条で具体的な手法を用意しておりますが、そのうち、特に六十五条に定める人権委員会による差別助長行為の差止請求訴訟、これは表現の自由に配慮しつつ人権擁護をするための新たな手法として評価に値するものと考えます。なお、いわゆる集団誹謗的表現については、答申では表現の自由に配慮して救済手続の対象としなかったこと、法案もこれについては定めていないことを付け加えておきます。
 人種差別撤廃条約は、人種差別を扇動するような言動については刑罰をもって対処すべきことを条約締結国に求めており、現にそのような罰則を伴った差別表現禁止条項を有する国は先進諸国の中にも見られますが、表現の自由との関係から、これについては留保を加えている我が国の従来の対応にもかんがみ、この点に十分配慮した結果、集団誹謗的表現に対する特別の制度の創設をすることをいたしませんでした。法案もこのような考えに立っていると解されます。
 マスメディアによる人権侵害については、まずメディア側の自主規制による対応に期待するという点では、当初から審議会委員の意見の一致していたところであります。しかし、犯罪被害者とその家族、少年の被疑者等に対するプライバシー侵害や過剰な取材活動については、これらの人々が自らの人権を自ら守っていくことが困難な状況に照らし、自主規制の取組にも配意しながら積極的救済の対象とすべきことを提言しております。
 これは、表現の自由、報道の自由の保障の観点に立った上で、審議会の審議の途中にも生じた幾つかの深刻な具体的事例、メディア側の自主規制の当時の状況に照らして導かれた審議会としては、当時においてはぎりぎりの選択でありました。なお、審議会として議論を重ねた結果、この問題については人権機関の強制的調査権限の対象から外したことも付け加えておきます。
 なお、付言いたしますと、私人間の人権侵害に係る場合には、一方の側の人権に配慮する必要があることは審議会の基本的認識に属することであります。この点について、法案は八十二条で法律の運用に当たっての人権相互の配慮義務を定めており、これは適切な処置であると存じます。
 この点に関して、法案では、四十二条第一項第四号で報道機関等のする人権侵害の要件を細かく定めるとともに、第二項で自主規制の尊重を定め、かつ四十四条で特別調査除外規定を定めております。こういった規定は答申の趣旨をわきまえて立案されたものと考えるわけであります。
 第三の点は人権救済機関の組織体制であります。
 答申は、冒頭に述べましたように、独立性を有する委員会の設置と地方における組織体制をも有する事務局の整備を提案しております。明言はしておりませんけれども、答申に述べられているところは、講学上、学問を講ずる、講学上の行政委員会、つまり行政組織法第三条に定める委員会に対応するもの、そのものではありません、対応するものを示唆しております。
 この点について法案は、第五条以下において、新たに設置されるべき人権委員会を国家行政組織法第三条第二項の委員会とした上で、職権行使の独立性や身分保障の定めを置くなど、答申の趣旨に沿ったものとなっております。また、地方事務所等を有する事務局の設置も定めております。
 なお、この事務局の職員の任免権は人権委員会に属するというのが審議会答申に含まれたものであり、法案の定め方もそれに沿っていると解されます。
 行政委員会制度が議院内閣制を取る日本国憲法の下において果たして認められるものかどうか、仮に認められるとしても、合議体による意思決定に伴う問題点はないかといったことが戦後の早い時期から議論の対象となっておりました。しかし、憲法学及び行政法学等の学問分野においては、その合憲性及び合目的性については現在では多数意見の支持するところとなっております。
 そして、この点は、平成九年十二月の行政改革会議最終報告でも確認されたところでありまして、同報告書によりますと、行政委員会については、従来、事務の性質上、その処理に当たって、公正中立や専門技術性等を必要とするため、内閣から独立した地位にある機関に行わせる必要がある場合に設置されてきたが、今後とも、このような趣旨から、行政委員会を活用することとされております。今般提案を見ている人権救済事務は、正に内閣から独立した行政委員会をもって当てることに最もふさわしいものであると考えられ、その実現が是非とも望まれるところであります。
 行政簡素化を旨とする行政改革の流れの中で、地方の事務局まで有する独立の行政委員会の設置が実現するのかどうか、実は私、危ぶんでいたところがございましたけれども、関係者の努力の結果、このような形で実現を見ることに大きな意義があると考えております。
 もっとも、審議会としては、委員の数、地方事務所の設置場所まで具体的な提案をしているわけではありません。この点について、委員が全部で五人、委員長を含む二名が常勤で残りが非常勤という構成につきましては、審議会で議論したとしてもいろいろの意見があったところと推察されます。
 また、十六条第三項から見ますと、現在、法務局が置かれているところには組織的にも委員会の直属の地方事務所が置かれることとなりますが、地方法務局レベルでは、委員会直属の組織ではなく、地方法務局長への事務の委任として処理されております。この点については、地方法務局の改組まで言及していた答申の趣旨はそのままでは生かされておりません。審議会の立場からいたしますと、地方組織の充実強化について、政府全体の、立法当局も含めて政府全体の理解を今後より深めていただきたいと存ずる次第であります。
 以上が第三の点であります。
 申し上げるべき第四の点は人権擁護委員制度であります。
 人権擁護組織体制としては、人権擁護委員制度をどのように改善するかが重要な論点の一つでありました。その際、現在の人権擁護委員制度が不活発ではないかという批判にも十分配慮いたしました。そこで、この際、改めて人権擁護委員制度の存在意義にさかのぼって検討したところであります。
 現在の人権擁護委員制度は、日本国憲法施行後間もない昭和二十四年に制定された人権擁護委員法の下で、基本的人権の擁護、自由人権思想の普及高揚という高い目的を掲げて発足したものであります。当時の文献を読んでみますと、そういった趣旨がひしひしと胸に伝わってくるものがございます。
 審議会は、この制度発足の基本的な理念を再認識するとともに、人権問題が複雑化し、新たな人権課題が生起している今日に適合するよう現行法を改めて、人権擁護委員に外国人を選任することができるようにすることなど、適任者確保の方策、災害補償について国家公務員と同等にすることなどの人権擁護委員の待遇改善方策を提言いたしました。
 この点について法案は、第三章におきまして、人権擁護委員は人権委員会に置くということを定めるとともに、答申の趣旨に沿って所要の規定を置いていると認識しております。
 最後に、第五点として、人権委員会が所掌すべき人権啓発活動、政府への助言活動を取り上げております。
 審議会一貫して、人権啓発と人権救済は車の両輪であるということを基本としてまいりました。そこで、新たに設置される人権委員会においても人権啓発をその所掌事務とすること、さらに、人権委員会が救済、啓発に係る活動の過程で得た経験、成果を政府への助言活動を通じて政策に反映させていくことの重要性を指摘した次第であります。
 この点につきまして、法案は、第六条で人権委員会の所掌事務として救済と並んで啓発を列挙するとともに、第二十条で内閣総理大臣を始めとする関係行政機関の長、更には国会に対する意見提出権を定めております。
 以上のように、本法案において審議会意見に沿った制度的枠組みは整ったと存じますが、要は、現実的にも国民の信頼に十分こたえ得る今後の運用にあるわけで、審議会に参画した者といたしましては、できるであろう人権委員会のこの面における活動に注目してまいりたいと存じます。
 以上でございます。御清聴ありがとうございました。
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魚住裕一郎#3
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。
 次に、石井参考人にお願いいたします。石井参考人。
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石井修平#4
○参考人(石井修平君) 本日は、意見表明の機会をいただきまして、魚住委員長始め当委員会の委員の皆様に御礼を申し上げます。
 報道被害につきましてはいろいろ厳しい御批判、御指摘を受けておりますけれども、その重みを十分受け止めつつ意見の陳述を行いたいと存じます。
 では、座って失礼をさせていただきます。
 私は、本日、民放連の報道問題研究部会の部会長という立場で意見を述べさせていただいております。この報道問題研究部会といいますのは、表現の自由、報道の自由にかかわる様々な問題について機動的に対応するために民放連の報道委員会に設置されているものでございます。在京テレビ局五局の報道局次長クラスをメンバーといたしております。
 本日は、人権擁護法案の中の報道にかかわる部分について意見を申し述べます。この法案のほかの問題点、名古屋刑務所におきます事件を引き合いに出すまでもなく、人権委員会の独立性や実効性等についての議論があることはよく承知しておりますけれども、本日は、民放連を代表する立場で報道にかかわる部分について意見を申し上げます。
 まず第一は、人権救済システムの必要性は理解をしておるということでございます。我々は、この人権擁護法案と、もう一つ個人情報保護法案については、知る権利を抑圧するという観点、おそれから異議を申し立てているわけでございますが、この法案の趣旨については十分理解をしております。
 日本には、人権を侵され、虐げられている人がまだ大勢いることは事実でございます。先住民族のアイヌ、在日韓国・朝鮮人、被差別部落出身者、あるいはHIV感染者、あるいは体が不自由であるということだけで差別を受けているといったような実態があることも十分承知をしております。また、児童養護施設、刑務所、入管施設の中での虐待の問題も明らかになっております。
 しかしながら、こういった問題が迅速かつ簡便に救済されるという仕組みが現在の日本にないことも事実でございます。したがって、時間や費用などの点で難しい面のある司法による救済に加え、こうした人々の迅速な救済を図るための新たなシステムができるのであれば、これは歓迎すべきことであるということでございます。
 次に、取材、報道による人権侵害と報道機関の自主的な取組についてでございます。
 今申し上げたことを基本にこの法案について考える前に、まず我々が日々行っている報道活動が結果として個人の名誉、プライバシーを侵害、また取材活動の過程で取材対象者の平穏な生活を乱すというケースがあることは事実でございます。本日御出席の岡村先生を始め、報道被害に遭われた方からの御批判は謙虚に受け止めたいというふうに痛切に感じております。
 しかしながら、これらの問題については、報道機関は自ら襟を正し、問題の発生を予防し、また起きてしまった場合には自主的に解決をすると。そして、やむを得ない場合には裁判を通して問題の解決を図るということが原則と考えております。
 自主的取組に関しましては、民放連とNHKは、BRO、放送と人権等権利に関する委員会機構を一九九七年に設置をいたしました。そして、放送による権利侵害の救済を行っており、集団的過熱取材、いわゆるメディアスクラムにつきましても去年の十二月に対応策を打ち出して、新聞界とも手を携えまして問題の発生を予防し、発生してしまった場合には速やかに解決するという取組を行っております。
 BROにつきましては、お手元に年次報告書や今年度上半期における活動状況を紹介する資料を配付させていただきました。十八ページだと思います。その資料をごらんに是非なっていただきたいんですけれども、お手元の資料、八ページにもありますように、新聞協会と民放連は昨年十二月に相次いで見解を発表し、今年一月から本格的にメディアスクラムについての対応も行っております。
 民放連が調査したところでは、今年一月から六月にかけて六つの対応事例がございました。資料の十三ページに例示してございます。取材対象者からの要請を受けたり、現場に集まった記者の判断の中で代表取材を行ったり、慎重な取材を申し合わせたりしております。これまで特に問題の多かった通夜や葬儀の際の取材につきましても、例えば三島市の女子短大生殺人事件におきましては葬儀の場の取材を代表取材として混乱を回避いたしました。
 また、最近では、北朝鮮拉致被害者の帰国に際しまして、無用の混乱を避けるために、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会と北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会からの要請を受けまして、民放連と新聞協会で節度ある取材を行うことを申し合わせております。これは資料の十五、十六ページに記載されております。これを受けまして、東京では例えば在京社会部長会、新潟と福井ではそれぞれの報道責任者会議が中心となって、被害者の自宅周辺の取材を代表取材にする、あるいは自宅から離れたところに取材ポイントを置くということで、被害者の方の日常生活をできる限り乱さないようにしながら取材に当たっております。
 被害者や家族の方の気持ちや意見を知り、その上で政府の姿勢や方針を考えるという、国民の関心にこたえることと被害者の方の平穏な生活をできるだけ乱さないという双方の課題にこたえる取材が、あるいは報道ができていると考えております。
 こうした取組のほかにも様々な取組を行っております。各社における報道ガイドラインの整備充実、民放連における記者研修会の開催、この場では報道被害者の方、本日お見えの岡村先生にも二回にわたり報道被害に遭われた経験を語っていただいておりますし、桶川ストーカー事件の被害者の猪野さんにも出席をしていただいております。こういった研修会を開催して記者の意識を高める教育を行っております。
 以上のことを前提に、人権擁護法案の全体的な問題点を是非考えていただきたいと思います。
 人権擁護法案についてですけれども、まず申し上げたいことは、差別、虐待と並んで、報道による人権侵害が特別救済の対象となっている異様さについてでございます。先週の法務委員会における法務省の答弁では、この法案は同和問題の解決という国内的な流れを受けたもので、国連規約人権委員会の見解を直接に受けたものではないが、この勧告を踏まえた内容になっているとのことでした。
 そこで、国連の規約人権委員会の見解の内容を確認してみました。日本の問題点として挙げられているのは次のようなものです。例えば、在日韓国・朝鮮人に対する差別、アイヌに対する差別、同和問題、出入国管理手続中に収容されている者に対する暴力、セクシュアルハラスメント、起訴前勾留の長期化、弁護士の接見交通権の制限、代用監獄制度、自白の強要に対する懸念、刑務所内での不当な取扱い等でございます。その多くが公権力、つまり公の権力による人権侵害の事例であります。もちろん、報道による人権侵害に関する記述は一言もございません。
 ところが、人権擁護法案を見ますと、国又は地方公共団体職員による虐待が特別救済の対象となっているだけで、国連から指摘をされた広範囲な人権侵害の救済については私人間の問題と同列に扱われています。逆に、報道については特別に条項が設けられております。極めてバランスを欠いており、正直に、率直に申し上げて怒りを感ぜざるを得ません。
 次に、法案の具体的な問題点についてでございます。
 法務省のホームページには人権擁護法案におけるQアンドAというのが掲載されております。この中で、我々報道機関の懸念について、ほぼ網羅的に法務省側が反論されておりますので、その幾つかに再反論を試みたいと思います。
 法務省は、報道被害に関する救済の対象を、特に弱い立場にあり、泣き寝入りせざるを得ないことの多い犯罪被害者等に対する報道による著しいプライバシー侵害と過剰で生活の平穏を著しく害する取材の二つに限定したと主張されています。確かに、法案の上では、文言の上では、「私生活に関する事実をみだりに報道し、その者の名誉又は生活の平穏を著しく害する」とか、電話やファクスを「継続的に又は反復して行い、その者の生活の平穏を著しく害すること」などと、様々な形容詞を付け、対象となる行為が限定されているようにも見えますが、著しい、あるいは過剰、みだりといった極めてあいまいな概念でこの問題を取り扱うことの不当性を我々は是非指摘したいと思います。
 森山法務大臣は、四月二十四日の参議院本会議で、その後も法務省側の答弁はこの基調で行われているわけですけれども、民主党の福山議員の質問に答え、電話やファクシミリをどの程度繰り返せば過剰な取材になるのかと、個別事案の判断となるのかという質問したことに関して、森山法務大臣は、個別事案の判断となるということで、結局のところ人権委員会の判断による部分がかなり多いことを認めております。
 また、少年被疑者や性犯罪の被害者の実名を挙げる、それを露骨に表現するといった、基本的にはごく普通のメディアであればあり得ない事例、極めて極端な事例を挙げて報道被害の実例としていることについても納得いきません。
 その人権委員会も、委員が中央に五人しかおらず、事務局の裁量によるところが大きくなることは十分予想されます。
 また、法務省は、政治家や官僚の疑惑に関する取材が制限されるのではないかという批判に対し、犯罪の疑惑を追及されている政治家や官僚に対する報道取材が特別救済の対象になることはないと。一方、政治家や官僚の家族に対する報道取材は特別救済の対象となるが、家族を事件関係者として取材する場合は対象とはならないという説明をされていますが、これは机上の空論と言わざるを得ません。
 疑惑の政治家の取材は容易なものではありません。その家族が事件に関係しているのかしていないのか、そのことがあらかじめ分かっているのではなく、丹念な取材を通して関与が明らかになるというケースもございます。事件関係者としての取材なのか、単なる家族への取材なのか、そういう区別をあらかじめ付けることはできません。取材の実態を全く理解していないと言わざるを得ません。人権委員会の事務局の職員が取材の可否の判断に深くかかわる結果にもなりかねません。これは全く容認できないことであります。
 外務省と鈴木宗男被告の関係を挙げるまでもなく、官僚の方は政治家からの圧力に弱いところがございます。圧力が加わらないという保証はございません。我々報道機関というのは、これまで人権擁護については極めて重要なテーマとして取り組んでおります。この姿勢を、これまでずっと取り組んでいながらこのような法律の対象にされることについては全く納得がいきません。
 以上申し述べましたように、非常に多くの問題があり、報道に携わるあらゆる人間が反対をしております。
 最後に、是非、皆様におかれましては、私の意見でメディアの意見を聞いたということではなくて、更に幅広い報道機関の声を聞いていただきたいというふうに思います。民放連は、原点に戻って一から出直すべきだと、それは公権力が表現の自由、報道の自由を侵す危険性を取り除くことから始まると声明を出しております。この点を是非受け止めていただきたいと思います。
 最後に、報道被害で御迷惑を掛けた方々に改めておわびを申し上げるとともに、その防止につきましては、新聞協会とも協力し、全力を挙げる所存、決意でございます。
 もう後戻りはあり得ません。どうか我々の主張にも御理解をいただきたいと存じます。
 本日は意見陳述の機会を与えていただき、ありがとうございました。
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魚住裕一郎#5
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。
 次に、岡村参考人にお願いいたします。岡村参考人。
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岡村勲#6
○参考人(岡村勲君) 岡村でございます。本日はわざわざお呼びいただきまして、誠にありがとうございました。
 それでは、着席したまま発言させていただきます。
 犯罪被害者は様々な被害を受けるのでありますけれども、その中でも報道被害というのは実に立ち上がれないような痛みを与えるものでございます。
 私の例で申しますと、私は、仕事の上で私を逆恨みした男によって私の身代わりに家内が殺害されたのでありますけれども、私が夜中に帰ってみますと、玄関のところに家内が倒れて、もう冷たくなっておりました。それで、すぐ一一〇番をしたわけでありますけれども、警察が来るのが早いのかマスコミが来るのが早いのか、あっという間に私は取り囲まれてしまいました。警察が玄関の前には綱を張ってくれたので、その中におればまだ安全でしたけれども、もうパチパチパチパチ、フラッシュの音ばかりすると。まるでイナゴが天から降ってきたような感じがいたしました。そして、買物にも行けません。家族の者が、あるいは親戚の者が買物に行こうとすると、マスコミが付いてきていろいろと取材をする、フラッシュをたく。そういうことで、食べ物はセブン—イレブンから運んでもらって生活をしたりいたしておりました。また、お通夜のときも、本来なら表を開けて通夜をすれば短時間で片付くのですけれども、マスコミの方々がカメラを持ってやぐらを組んだように待ち構えているものですから、表の雨戸を全部閉めて、勝手口から入って勝手口からお帰りいただきました。三日間ほとんど寝ていない上にそういうお通夜をしたものですから、もう心身ともに疲れ果ててしまったわけでございます。
 また、先ほどお話が出ました桶川の猪野さんのケースはもっとひどいものでした。ストーカーということで、報道機関に取り囲まれ、お葬式に行くにも、その前を黒塗りの車で待ち構えられて、遠回りして斎場に行ったために決まった時間から随分遅れたということでございます。そしてまた、斎場には親戚の人が来るための駐車場を用意していたんですけれども、これも報道機関が全部占領して、親戚の方々、知人の方々ははるか遠い路上に止めて、歩いて参加したということでした。そして、それから帰ってこられると、だびに付して帰ってこられると、もう報道機関に取り囲まれて、なかなか家にも入れないような状況だったということでございます。そして、しばらくたって、学校へも子供が行かなければいけないということで学校へ行こうとすると、玄関口でぱっとフラッシュをたかれる、おびえてお子さんも学校へも行けなくなってしまったということであります。そして、ワイドショーで実名入り、地名入り、写真入りで半年くらいも報道されたものですから、家の前は観光地のようになってしまったということで、大変な深い痛手を負われております。
 また、池袋の通り魔事件でお嬢さんを失った御家族の方、この方も、報道機関に取り囲まれて家に入ることもできず、登山のときに使う殺虫用のスプレーを持って歩かれた、これ以上近づくとスプレーを掛けるぞと言って家の前を歩いたということでございました。そしてまた、斎場から帰った夜は、あるテレビ局からルポライターかディレクターが見えて、犯人を捕まえた、犯人が捕まったから、その捕まえてくれた人と対談をしろということを強要されました。いつまでたっても帰らないものですから、帰ってくれと押し出そうとすると、暴行罪だと言われる。それで一一〇番を呼んで警察へ電話をしたというようなことであります。それをテレビ局に抗議をしても取り合ってもらえない。たまりかねて乗り込んでみると、責任者は会わないし、報道しない取材についての問題は取り上げないと言って断られたと、こういうようなこともございました。
 私どもの会は、平成十二年一月に発足いたしましたが、発足以来、事あるごとに私どもはその報道機関による人権侵害について是正を訴えてまいりました。どうか報道機関の方々は、自分の家族が被害に遭ったならばどこまで取材を許容しますか、そこを基準に判断をして取材をしてください、こういうことを何回も何回もお願いをしたわけですけれども、なかなか良くなってまいりません。報道機関の方々もいろいろ工夫はされているようですけれども、いまだ十分な手当てはできていないようであります。
 また、内容については、護国寺の幼稚園の殺害事件については、お受験という誤った形で報道され、被害者は著しく名誉を毀損されました。後で訂正されても、最初にそういう報道がされますと視聴者にはその報道がインプットされてしまって、後で訂正してもらってもなかなか名誉を回復することは難しいのであります。
 BRO、BRAというのもありますけれども、しかし、これは報道された内容についてだけであって、しかも、まずテレビ局と話し合って、それで話が付かない場合に来なさいということであります。内容についてしか審議しませんし、日本でも一か所しかない。地方にある人たちがその機関へ申し出るということはおよそ不可能なことであります。また、そのBROやBRAの存在すら皆知ってはおりません。
 このような中で、更に私が大変驚いたことがあります。それは、今年の九月二十三日に、北朝鮮で拉致をされた疑いがあるということを言われた甲府の女性の御家族のところに報道機関が殺到したということであります。夜も昼も報道機関が押し掛ける。たまりかねて地元の報道機関に訴えたところ、地元の報道機関は協議をして、地元の者にはそういうふうな者はいないけれども県外の報道機関がそういうふうなことをしているということで、民間放送連盟、新聞協会その他に警告をしてくださったということでありますが、その申入れの内容は、通常時には深夜、早朝の取材はしないことと、勝手に自宅に侵入取材はしないことと、こういう申入れをしたということで私は大変驚いたんです。
 深夜、早朝の取材はしない、これは当たり前のことであって取り立てて言うべきことではありません。常識の問題です。深夜、早朝でなければ幾ら押し掛けてもいいのかということであります。また、勝手に自宅に侵入して取材してはならないとは何事でしょう。これも当たり前。この当たり前のことをわざわざ放送連盟や新聞協会に地元の新聞社が、報道機関が申し入れた。これは九月二十三日のことであって、私は十月の新聞でそれを知りました。今、この人権擁護法案が問題になっているこの時期にまだこの程度の申入れ、申合せしか行われていないということに私は驚愕した次第でございます。
 それやこれや考えますと、私は、人権擁護法案四十二条一項四号に掲げられていること、これは是非とも法律化していただきたいと思うのであります。生活に関する事実をみだりに報道し、その者の名誉又は生活の平穏を著しく害すること、それから、取材を拒んでいるにもかかわらず、継続、反復して生活の平穏を害すること、こういう行為は、これは普通の人間であってもやられては困ることであって、立ち上がれないような痛手を受けている弱者である被害者に対してはなおさらのこと、これは慎んでもらわなければならないことであります。先ほど著しいとか過剰なとかいうあいまいな言葉があると言いましたけれども、これは、こういう表現はどの法律にも書かれておって、この法案だけではございません。至る所の法律にある用語でございます。
 また、私は、裁判をすればいいと、裁判所でそういうような被害、報道被害は訴えればよいとか言われますけれども、裁判所に行くということは大変なエネルギーが要るのです。私自身が民事の損害賠償の裁判は起こせませんでした。この勝手なことを言う加害者を相手にまた民事で付き合うのかというと私は気力がなくて、時効中断の内容証明までは出しましたけれども、ようやらなかったと。一般の人は裁判をするということはなかなかやれるものではない。遺族の中でも裁判を起こす方はかなり時間がたってからやっとの思いで起こしているのであります。そういう面で、簡易に我々の被害を調査して、行き過ぎがあれば勧告、公表するというこういう制度は是非作っていただきたいと思います。
 私は、報道機関の役割は高く評価しております。報道機関によって悪が摘発され人権が守られたというケースも数多くあります。報道機関はそういう使命を持っておられます。この法律が成立した後も、報道機関に従事する方々が、自分が被害者になったならば、どこまで取材や報道内容を許すのかという見地に立って、立派なルールをどうか作っていただきたい。そうなればこの法律が発動されなくて済むことにもなるでしょう。私はそういう良識を報道機関の方に期待をいたしております。
 表現の自由とか報道の自由といいますけれども、弱い者をいじめる自由はないはずです。何よりも、理不尽な犯罪に遭って嘆き苦しんでいる被害者に対して、どうか襲い掛かることはおやめいただきたいのです。
 そして、被害者も訴えたいことがあります。私は事件犯罪の、必要性を疑いません、これはやはり、なぜこの犯罪が起こり、その背景は何か、それを除去するにはどうすればいいかということで、犯罪の報道の必要性を思いますけれども、これはしばらくたって被害者が元気になったときにどうぞ聞いてください。被害者だって訴えたいことは山ほどあります。しかし、その訴える気力を持つためにはある程度の時間が必要なんです。それを是非報道機関の方も御理解をいただきたいと私は思います。
 そういう面で、この法律は是非とも成立させていただきたいということをお願い申し上げます。
 どうもありがとうございました。
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魚住裕一郎#7
○委員長(魚住裕一郎君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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佐々木知子#8
○佐々木知子君 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。
 今日は三人の参考人の先生方、お忙しいところ、どうもありがとうございました。
 マスコミで本法案の問題とされている論点、大まかに言って三点になろうかと思います。一点は、人権委員会の独立性に関して、その置き場所、具体的には法務省に置くか内閣府に置くか。二点目は地方組織の在り方。三点目は報道被害の取扱いについてということです。ここでは三点目について専らお尋ねしたいと思います。
 まず、塩野参考人にお伺いしたいんですけれども、本法案が一定の報道被害を特別救済の対象としていることにつきまして、一部報道では、自民党と政府が結託して犯罪被害者保護を名目にして、その実メディア規制をたくらんでいるかのように言われております。確かに、自民党におきましては過熱取材による犯罪被害者等の人権が著しく侵害されている状況を重く見て、何らかの対処措置が必要との認識の下、政務調査会の下に報道と人権等のあり方に関する検討会を設置し、平成十一年三月以降十回にわたって検討を重ねました。私もそのメンバーでありまして、同年八月に出した報告書の作成にもかかわっております。
 ですが、人権擁護推進審議会の中間取りまとめや答申につきましては何らかのかかわりも持っておりませんし、検討段階におきまして同審議会の審議を念頭に置いたこともなく、いかなる働き掛けもしていないということを強くここで言っておきたいですし、そこの点について是非確認をしておきたいと思います。
 同審議会が報道被害の問題を取り上げた経緯と、そしてその際に自民党や政府から働き掛けがあったのか否か、お答え願いたいと思います。
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塩野宏#9
○参考人(塩野宏君) まず、経緯について申します。
 審議会が発足しましたのは平成九年五月でございました。審議会としては、当初、我が国の人権状況について把握しなければいけないということで、各種人権課題に対する関係団体からのヒアリングをしておりました。ところが、その間におきまして、いわゆる東電OL事件であるとか、それから神戸連続児童殺傷事件であるとか、あるいは、ここで申し上げるのはいささか申し訳ないんですけれども、弁護士夫人殺害事件などの刑事事件が発生いたしました。これらをめぐる報道あるいは報道体制が著しい人権侵害に当たるのではないかという強い印象を審議会委員が持たれたというふうに思います。それが事の発端ではないかと記憶しております。
 ただ、当時は、平成九年、最初の二年間は教育啓発についての諮問が先行しておりましたので、それを中心に検討しておりましたので、救済の在り方については後に改めて取り上げることといたした次第でございます。
 そして、平成十一年以降、救済制度の検討に入った段階で、本日この席にも来ておられます岡村さんを犯罪被害者会の代表ということでお招きし、報道被害の実情をお聞きするなどして、メディアによる人権侵害の問題を検討した次第でございます。これが委員会における審議の経緯でございます。
 なお、私、審議会の会長として、審議をするときに一番常に注意しておりますのは、審議会で表明された記録、あるいは事実に基づいて審議を重ね、それに基づいて最終的な結論に至るというのを、年寄りなものですから、会長あるいは司会役を仰せ付かることがたまたまございますけれども、それを旨としております。
 そして今、委員からのお尋ねにつきまして申しますと、その過程において自民党又は政府からの働き掛けは、審議会に対してはもとより、私、会長あるいは塩野個人に対して一切ございませんでした。
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佐々木知子#10
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 本法案をメディア規制法だとして批判する人たちの中には、そもそもこのような救済を図るだけの立法事実、つまり報道被害の実情がないということを言われる方もおられます。しかし、岡村参考人がるる述べられておりますように、すさまじい報道被害の実情ございますし、石井参考人もその事実自体は認めておられるようでございます。ですから、自主的に取り組むべきだという意見表明をなされたというふうに理解されています。もちろん、私も報道機関が自主的に規制できればそれにこしたことはないのでありまして、何もこのような法律を作る必要はないというふうに考えております。
 ただ、残念ながら、そういうふうな自主的規制を待っていたのでは過熱取材を止められないということで、こういう法律を作るということになったのだというふうに理解しておるわけですが、今、岡村参考人が述べられましたように、このたび甲府市の拉致の疑いが報道されると自宅周辺に約四十人の取材陣が殺到して苦情が来たと。このため、地元の新聞やテレビ、通信など十三社の責任者で作る山梨編集者会は、まず一点が通常時に深夜、早朝の取材はしない、二点目が勝手に自宅に侵入する取材はしないとする県外のメディアに求める対策内容をまとめたということは、これ毎日新聞十月五日付けの朝刊で報道されております。
 こういうような実態なのですが、これでも自主的規制が可能であるというふうに石井参考人はお考えでしょうか。お答え願いたいと思います。
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石井修平#11
○参考人(石井修平君) 私は、それこそが正に自主的な対応というふうに考えております。
 もちろん、北朝鮮に拉致されたという問題について、極めて重要な問題について、拉致されたと疑われるケースがあるという状況が起きたときに、逆にお尋ねしますが、メディアが一体その事実について取材しないということがあり得るでしょうか。これはございません。
 ただし、深夜、早朝の取材、あるいは勝手に人のうちに上がり込む、これは許されないことは事実でございます。私どもは、その辺との微妙なバランス、ぎりぎりの調整をしながら取材活動に当たる、ただし、問題が生じたときはこれに対する対応を自主的に行うということが基本だというふうに考えております。
 私たちは、この問題について当然だと言うつもりは全くございません。結果として生じてしまったことについてはきちっと対応するということも一つの自主的な対応の表れだというふうに考えておりますし、これからもそれをやりたいというふうに思っております。
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佐々木知子#12
○佐々木知子君 甚だしく認識が異なっているというふうに考えざるを得ないわけですが、犯罪被害者はもちろん、たとえ犯罪者であれ取材に応じなければいけないという義務はないわけです。そこの点を私はメディアの方々は履き違えておられるのではないかというふうに思うわけですが、この点、岡村参考人、いかがお考えでしょうか。
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岡村勲#13
○参考人(岡村勲君) 私も同様でございます。
 何ら答える義務はないわけであります。公的な問題ではないし、プライベートな問題について朝から晩まで責め立てられる義務は全くないと私は思っております。
 なお、付言させていただきたいんですが、この法案では、私は保護対象が不十分だと思っております。近隣の人も、被害者の近隣の人も是非保護対象に加えていただきたい。私の例で言いますと、近所の人たちも、ピンポン、ピンポンやられ、もう一週間どうしようもなかった、上がり込んでこられたと、こういう話を聞いたために、私は一軒一軒おわびして回りました。何も私がおわびする必要はないのですけれども、しかし、岡村のためにひどい目に遭ったというようなうわさを聞きますので、人間関係を円滑にするためにおわびして回ったと。同様に、お菓子を持って回ったという被害者もおられます。そういうように義務の、ちょっと脱線いたしましたけれども、追加して言わせていただきました。
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佐々木知子#14
○佐々木知子君 ありがとうございます。一般の方々はそのように私は考えておられると思います。
 メディア規制法だと批判される理由は他にもいろいろございます。これもまた塩野参考人にお伺いしたいんですけれども、一つは、メディアが萎縮してしまうおそれと言われております。一つには、人権委員会が恣意的に過剰取材だと判断するおそれも言われております。また一つには、公人に対する報道が阻害されるおそれ、また一つには、他国にはこのような法的制度がないというようなことでございますが、これらの批判についてはどのようにお考えでしょうか。
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塩野宏#15
○参考人(塩野宏君) まず、萎縮効果ということの意味ですが、なかなか厳密に考えると難しいことですが、私なりに理解をいたしますと、制度ができたときに、その運用の結果、その制度の相手方の活動を不当に抑制させるあるいは不当に抑止するという、そういうものと理解をいたします。
 この場合のメディアに対する関係でございますけれども、これは四十二条の四号に掲げられているものでございまして、そのうちの四十二条四号のイは、これは言わば事後の、報道された事後のことに関するものでございまして、そうしますと、ここで萎縮するというのは、報道について何事かが勧告があり、更には裁判で審理されるということになると、同種の事案についてはこれを差し控えるというようなことになったときに効果があるという、そういうふうな話になります。それから、ロの方は、当該活動自体についてそれをやめなさいというような勧告がありますというようなことでありますが、この事案が重なりますと、同種の事案のようなことについては一種差し控えると、あるいは遠慮するというように、それこそ自粛するというような意味での効果はあります。
 ただ、それらがいずれも今申し上げたような萎縮効果、不当に本来自由な活動を抑止するということになるかどうかと申しますと、委員御案内のように、不法行為、当然これは不法行為の対象となります。私の知識でも、いわゆるプライバシーの侵害と、そして損害賠償責任の対象となるものはこれよりももっともっと広いものでございますけれども、特別救済の対象ということで、これだけ絞り込んだということでございまして、当然、不法行為の対象となるというものでございます。そして、今申し上げたことと関連いたしますが、被害の対象者が限定されているということでございます。
 それから、要件が絞られているということでございます。この要件の縛り方につきましては、この答申の段階では過剰な取材、プライバシー侵害や過剰な取材というようなことを言っていたわけですけれども、これについてはいろいろ考えた末、こういった規定ぶりにしたということで、この規定の文言等についてはいろいろな見解があろうかとも思いますけれども、私の理解では審議会答申を更に絞り込んだという、それはもちろん報道の自由についての配慮あるいは取材の自由活動についての配慮ということに由来するものであろうというふうに思います。
 それからまた、勧告にとどまるということにおいて、どうもこれが萎縮効果を招くということにはならないのではないかというふうに思うわけでございます。
 ただ、制度には常に濫用というものがあります。これは、科学技術について安全性がもう完全に一〇〇%安全なものであるということが言い切れないと同様に、恐らくすべての制度についてこれは絶対濫用が起こり得ませんなどということは言えないものでございます。しかし、これはかなり要件が絞られているということと同時に、後に裁判が控えているということと、常に裁判的な批判の対象にさらされるということがございます。
 それからもう一つは、独立の行政委員会がこれを所管するということでございまして、先ほど官僚は政治家の圧力に弱いという御発言もございましたけれども、行政委員会を独立の、職権行使の独立性を保障されているものでありまして、これを通常の官僚も政治に弱いというのはまたもう少し別の問題があろうかと思いますけれども、圧力に弱いという批判は当たらないと。そして、私も現に国地方係争処理委員会の会長職を仰せ付かっており横浜市の事件等もいろいろ担当したことがございますけれども、そういったことについて、あるいは元政治家の介入なんということはあり得ないとは思いますけれども、私どもはプロフェッショナルとして職権行使の独立性を堅持しております。それが揺らいだらば、日本における独立行政委員会の存在、あるいは係争処理委員会のようなものは存在意義を失います。そういう意味において、これは私は制度に対してある意味での冒涜ではないかというふうに考える次第であります。
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石井修平#16
○参考人(石井修平君) 委員長。
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佐々木知子#17
○佐々木知子君 聞いていない。
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魚住裕一郎#18
○委員長(魚住裕一郎君) 指名で発言を許しますので。
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石井修平#19
○参考人(石井修平君) そうですか。是非、指名をしていただきたいと思います。
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佐々木知子#20
○佐々木知子君 ごめんなさい、時間が限られておりますので。もう一点、私ございますので。
 これは、法学セミナー二〇〇二年の五月号に広島市立大学国際学部助教授の井上泰浩さんという方が書いておられることですけれども、「人権侵害の境界線を越える取材」というタイトルでございます。副題が「ジャーナリスト教育の欠如とマスコミ体質」ということで、アメリカにはスクール・オブ・ジャーナリズム、ジャーナリズム学部というものがございまして、記者の多くは養成の過程でマスコミュニケーション法や倫理、人権と取材について教育を受けている、そしてまた、被害者、関係者を取材するときの配慮ということで、法と人権問題ばかりではなく精神医学面の理解も得ていると、こういうことが書かれております。そしてまた、記者自身の人権もございまして、記者自身もやはりこういう取材はできたらしたくないと考えている記者も多いことかと思いますけれども、ただそれが拒めない、それが企業体質だから。こういうことをやはり見直さなければ根源的な解決にはならないのではないかということを提言されておられまして、私もそのとおりではないかというふうに思います。
 その件に関しまして、石井参考人、どうぞお答えくださいませ。
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石井修平#21
○参考人(石井修平君) どのポイントでお答えしたらいいかちょっと迷いますけれども、私は、マスコミ倫理、取材する人間としてやはり取材される側の気持ちを十分考えながら取材するということについての基本的な教育が是非必要であるし、私はそういう教育について、我が社だけではなくて我々メディア業界全体がやっぱり心すべきだろうと、更に強化し更に発展させていく必要があるというふうに考えております。
 正に、報道被害を受けた方からの、何度も申し上げておりますけれども、厳しい御指摘については、やはりこれは痛切に受け止めるし、その点については一つ一つの事例、数が多いからとか、件数が多い少ないではございません、たとえ一件でもやっぱりそれは重く受け止めるということと、取材をする私たちの責務、これとの常にぎりぎりの調整を考えながら知る権利にこたえるという態度でやっぱり今後とも進めていきたいというふうに思っております。
 更に付け加えますと、やはりこの人権擁護法案の関心が、例えば公権力による虐待という、例えば名古屋刑務所の事件等よりは、やはりこうしてメディアの在り方についての御関心がどうもやっぱりあるようだということで、この人権擁護法案についての関心の在り方についても非常に勉強になりました。今後とも、一生懸命考えていきたいと思います。
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佐々木知子#22
○佐々木知子君 ちょうど時間が参りましたので、私は終わります。
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千葉景子#23
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 今日は、お三人の参考人の皆様、本当にありがとうございます。先ほど、冒頭それぞれから貴重な意見表明をいただきまして、私も大変参考にさせていただきました。そんな冒頭の御発言を踏まえながら、何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 実は民主党は、この人権擁護機関、独立性の高い人権擁護機関の必要性をいち早く感じておりまして、自ら、どのような機関が必要なのか、それについての論議を進めてまいりました。今日も出席をいたしております江田五月議員を座長にいたしまして、独立性のある人権擁護機関ということで民主党の取りまとめたものは、大きく言えば、独立性を確保するという意味では、法務省というより、全体を網羅することのできる、そして強制拘禁機関などを持たない内閣府に人権委員会の事務方を置いたらどうだろうかと。また、実効性を担保するという意味では、やはり人権侵害というのは国の真ん中で起きるというよりは毎日の日常の生活の中で様々生じている問題でございますので、それを救済をするということになりますと、地方にもしっかりした人権委員会を設置をすることが必要なのではないかと。
 また、メディア規制については、やはり表現の自由ということとの整合性を考えたときに、私も決して一〇〇%メディアの側が自主的な抑制的な報道の態度をこれまで持ってきたかというといささか疑問なところはございますけれども、やはり自主的な規制、取組、こういうものを基本にして、それをより一層進めていただくと、こういう方向にすべきではないか、決して公権力で規制をするという態度は取るべきではないと、こういう考え方を取らせていただきました。
 また、今日は岡村先生にもおいでをいただいております。犯罪被害者の皆さんの置かれている立場というのは、私もその痛みが本当に言葉で言い表せないものを感じております。民主党では、犯罪被害者の皆さんの救済に向けてもできる限りの法整備をしていくべきだと、こんなことも指摘をさせていただきまして、救済に向けての幾つかの法案も提起をさせていただいてきたと、こんな経過もございました。今日は、そんな本当にお話も伺いまして、ありがとうございます。
 さて、私どもの基本的な考え方はこういうところにあるということを御理解をいただいた上で、まず、塩野先生にお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。
 最初の御発言の中でもございました、そして塩野先生が会長の談話として、推進審議会での取りまとめをなさったときに出された談話の中でも、やはり人権のこれからの総合的な施策ということになりますと、国、地方公共団体、そしてさらに民間の関係諸機関、諸団体との密接な連携協力体制によって総合的な救済を図る必要があるのだと、こういう御指摘をなさっておられます。私もそのとおりだというふうに思っております。そういう意味で、先ほど、今回は地方事務所も置かれているけれども、地方組織の充実強化というのも今後の更なる必要性があるという御指摘もございました。
 そういう意味で、一つはこの地方の組織の在り方、それから、例えば地方公共団体の責任、それから、やはり民間の関係諸機関の人権問題に対するかかわり方、そういう民間が公的な部分とともにやっぱり人権の総合的な推進にかかわると、こういうことが大切だというふうに思いますけれども、そういう意味で、地方組織の在り方、今後の更なる発展の先の展望でもよろしゅうございますし、それから民間がやっぱり十分な担い手となる、こういう点についていかがお考えでいらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
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塩野宏#24
○参考人(塩野宏君) 私がこの人権救済のために四か国に、そう多くはございませんけれども、幾つかの国に回ってまいりましたときに、やはり人権侵害というのは地方に起こるのだから地方において情報をいかに集めるかということが大変重要であるということを聞いてきたことがございます。また、日本でも正にそのとおりという状況でございまして、今申しましたように、人権侵害は各地域において生ずることでございますから、人権救済機関の地方における組織の充実強化という点は大変重要なことと理解をしております。
 審議会でもその点についていろいろ議論を重ねまして、地方にも合議制の救済機関を設けるべきであるという意見もございました。そして、ただ、地方における合議制機関を、委員会なるものを国の機関とするのか、地方公共団体の機関とするのか、その点についていろいろな御意見があったわけでございますが、審議会としては、種々議論の結果、まず国の人権救済の充実を図るということで、独立の行政委員会と国の地方組織の充実を図ることといたした次第でございます。
 ただ、この法案のできる過程におきまして、いろいろな各省庁、特に予算の関係もございましょうし定員の関係もあるのでしょうか、地方の組織については、審議会の委員の恐らく多くの方、そして私もそうなのですけれども、これで十分とはなかなか言えないだろう、立ち上がりはやむを得ないとしても今後はもっと地方組織を充実する必要があるのではないかということを実感をしておりまして、これは冒頭のときにも申し上げたとおりでございます。
 なお、今のお尋ねの中に、地方の公共団体に人権委員会的なものを、あるいは人権委員会そのものを作ってはどうかという御提案も含まれているというふうに思います。この場合に、なかなかこれはいろいろなバリエーションがありまして難しいものでございますけれども、人権委員会が全く、言わば民と民との人権侵害も取り扱うというようなこともございますし、更に訴訟援助、訴訟提起にまで至りますと、これは我が国で最初の試みでありますので、まずどういう形でこれを動かしていくかということにつきましては、つまり慎重かつ全国統一性を持ってスタートしなければいけないということがございます。
 それからさらに、今後の発展の過程を見ましても、こういった人権の扱いが各地方団体であるいは地方の委員会でばらばらでいいのかどうかという点は私疑問がございまして、ここは全国統一で国の責任を、人権の特別救済あるいは一般救済、後から申しますが、特別救済については国が全責任を持って取り扱う、そしてそれのために地方組織を充実するということが重要ではないかというふうに思います。
 地方人権委員会をダブルに置くということは、労働委員会の例もございましたけれども、必ずしも迅速な救済に役立たないということもございます。
 さらに、それでは地方とそれから国とを全く管轄を分けたらどうかというと、今申しましたようなことが起こると同時に、これは必置規制になります。いわゆる必置機関でございますね。各都道府県なり政令市なりあるいは中核都市ぐらいに人権委員会をすべて置くということになりますと、これは今分権のところで問題とされております必置規制になりますので、これは分権の時代においていささか問題があるのではないかというふうにも思っているわけでございます。
 なお、それでは、じゃ地方団体は何もしなくていいかというと、それはそうではございません。それはそれぞれに工夫をなさることも可能だと思います。法律論として申しますと、今回の法案によって、人権救済事務というのが全体として国の法律が先占するということにはならないと思います。分権の時代でございますので、これがすべて国の事務で先取りしたと、地方団体は一切入ってはならないということにはならないというふうにも思いますが、ただ、訴訟参加とかあるいは差止め請求といったようなものは、これは司法の領域と密接に結び付いておりますので、これは法律マターかなというふうに思っております。
 それからさらに、今後の具体的な人権委員会の在り方としては、私は事務局が非常に重要な意味を占めると思います。ここにどういう専門的な方あるいは人権感覚に優れた方をどういうふうにして取り組んでいくかということが重要な課題となりますが、ちょうど今、公務員制度の改革の動きが進んでおりまして、従来のような固い公務員システムではなくて、より柔軟に、任期付きといいますか、そういった、あるいは専門的な方を、かなり出入りが柔軟になるように仕組みができ上がるということを私聞いております。そうなりますと、例えば民間の団体の方についてこういったところの職員としてお入りになること、あるいは地方公務員の方々で非常にこういった人権救済に経験と識見のおありの方はお入りいただくというようなことも可能となるように思います。これは今後の工夫あるいは知恵の出しどころではないかというふうに私は思っております。
 以上でございますが。
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千葉景子#25
○千葉景子君 ありがとうございます。
 それでは、石井参考人にお話を伺わせていただきます。
 先ほどBRO等の取組について概略をお聞かせをいただきました。もう少しその自主的な取組の状況、それから、これは審議会の中で議論が若干あったという塩野参考人のお話が先ほどありましたけれども、差別表現等に関するやはり取組状況等、先ほどの御発言にプラスして少しお話しをいただければというふうに思います。
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石井修平#26
○参考人(石井修平君) BRO、放送と人権等権利に関する委員会機構についてでございますけれども、これは御承知のとおり、多分パンフと年次報告の資料がお配りしてあると思います。これは、NHKと民放が共同して設立した機構でございます。審理結果はもとより、放送局との、視聴者の方、何らかの人権侵害を受けたとされる視聴者の方との話合いの仲介、あっせんも含めて、私どもは有効に機能をしているというふうに判断しております。
 本年度上半期の苦情件数は千五百八十四件ございました。人権侵害に関連する対応は五十五件でございます。二〇〇〇年度までは、放送局と話合いになっていないか、あるいは話合い中のものは受理しないと。局との話合いが相入れず、委員会で審理することになった案件について受理していたわけですけれども、二〇〇一年度から、BROで受けた苦情のうち、人権に関する問題であって申立てがあったものは受理するということにいたしております。この結果、二〇〇一年度の受理件数は三十三件ということで、このうち委員会決定まで至ったのは二件でございますけれども、十六件が仲介、あっせんで解決をしております。
 この仲介、あっせんの機能は大変有効に働いていると同時に、BROの存在自体が逆に放送局に対する抑止力として働くということで、数字に表れない抑止効果、自主的な抑止効果、ちょっと言葉があれですが、自主的な対応を促す一つの大きな存在になっているというふうに考えております。
 もう一つ、BRCの委員は、外部の有識者で構成する評議会が選任しておりますけれども、非常に第三者性が高くて、当初、放送局寄りではないかという批判も承りましたけれども、むしろ放送局に厳しい決定が続くなど、実績を重ねてきております。
 BROの存在の認知度の問題、いつも御指摘いただきますので、これについてはBRO年次報告の百五ページにありますように、昨年度は一年間に十万回のPRスポットを行って、またあるいは十二月の人権週間に合わせて新聞広告の掲載も予定をしているという状況になっております。
 それから、時間もあれなんですけれども、差別表現につきましては、もちろん我々はあらゆる差別表現について放送禁止という措置を取るだけではなくて、新人教育、あるいは時に問題が過去生じたケースもございますので、その際には当該の例えば当事者の方をお呼びしての研修等で、まず差別そのものの本質的な問題を学ぶと。言葉を使わなければいいんだという事なかれ主義ではなくて、差別そのものの持つ歴史的、社会的構造をちゃんと学んだ上で、まず内なる差別感をもちろん解消した上で差別禁止用語を考えるという教育をいたしております。
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千葉景子#27
○千葉景子君 ありがとうございます。
 今、BROのお話などで、かなり報道の自らの対応、正していくというお取組が成熟しつつあるというふうに思いますけれども、国際的なメディア機関等でのこういう取組というのはやはり日本のメディアも参考にされているものというふうに思いますけれども、そういう国際的な取組と日本とを比較いたしまして何か感ずるところがございますか。違いとか、あるいはほぼ共通に国際社会もなっているという状況でしょうか。
 その辺、石井参考人でお分かりのところがございましたら、お話しください。
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石井修平#28
○参考人(石井修平君) 我々が一番身近に接するのはアメリカのメディアでございます。これは日常的に友好関係もございまして、それぞれのメディアとの関係の中において個別のやはり放送倫理マニュアルがございます。これについては、厳しい面もある一方で、アメリカは特に憲法修正一条という存在もございまして、基本的に報道、表現の自由が認められている状況の中では、我が国の方が自主的な対応も含めて適切に対応しているという面もございます。あるいは、メディア先進国のイギリス等については、BBCが中心となった個別的な報道倫理のマニュアルもございます。かなり分厚いものでございます。
 これらについては非常に参考になるというふうに考えておりますが、このBRO、BRCのような放送メディアを民間放送、公共放送通じて統一的に報道倫理の問題に対応する組織というのは、やはり現状では我が国のこのBRO、BRCが最も進んでいるんではないかと私自身は判断をしております。さらに、この面で機能の強化を図ることが我々の将来的な責務かなというふうにも併せて考えております。
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千葉景子#29
○千葉景子君 ありがとうございます。
 まだお尋ねをしたいこともございますし、岡村先生にお話を伺う時間がなくて大変恐縮をいたしておりますが、ちょっと時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。
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