政府開発援助等に関する特別委員会
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会
会議録情報#0
平成十九年二月二十二日(木曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
二月十三日
辞任 補欠選任
小林 正夫君 若林 秀樹君
二月二十一日
辞任 補欠選任
若林 秀樹君 那谷屋正義君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 山崎 正昭君
理 事
阿部 正俊君
小泉 昭男君
山下 英利君
犬塚 直史君
富岡由紀夫君
浮島とも子君
委 員
岩城 光英君
岡田 広君
岸 信夫君
坂本由紀子君
中村 博彦君
野上浩太郎君
朝日 俊弘君
江田 五月君
小川 敏夫君
大久保 勉君
加藤 敏幸君
ツルネン マルテイ君
那谷屋正義君
藤末 健三君
高野 博師君
大門実紀史君
近藤 正道君
亀井 郁夫君
事務局側
常任委員会専門
員 泊 秀行君
常任委員会専門
員 桐山 正敏君
参考人
法政大学人間環
境学部教授 下村 恭民君
日本総合研究所
調査部環太平洋
戦略研究センタ
ー主任研究員 三浦 有史君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府開発援助等に関する調査
(成長と経済統合を続ける東アジアと我が国O
DAの今後の在り方に関する件)
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この発言だけを見る →午後一時開会
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委員の異動
二月十三日
辞任 補欠選任
小林 正夫君 若林 秀樹君
二月二十一日
辞任 補欠選任
若林 秀樹君 那谷屋正義君
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 正昭君
理 事
阿部 正俊君
小泉 昭男君
山下 英利君
犬塚 直史君
富岡由紀夫君
浮島とも子君
委 員
岩城 光英君
岡田 広君
岸 信夫君
坂本由紀子君
中村 博彦君
野上浩太郎君
朝日 俊弘君
江田 五月君
小川 敏夫君
大久保 勉君
加藤 敏幸君
ツルネン マルテイ君
那谷屋正義君
藤末 健三君
高野 博師君
大門実紀史君
近藤 正道君
亀井 郁夫君
事務局側
常任委員会専門
員 泊 秀行君
常任委員会専門
員 桐山 正敏君
参考人
法政大学人間環
境学部教授 下村 恭民君
日本総合研究所
調査部環太平洋
戦略研究センタ
ー主任研究員 三浦 有史君
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本日の会議に付した案件
○政府開発援助等に関する調査
(成長と経済統合を続ける東アジアと我が国O
DAの今後の在り方に関する件)
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山
山崎正昭#1
○委員長(山崎正昭君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十三日、小林正夫君が委員を辞任され、その補欠として若林秀樹君が選任されました。
また、昨二十一日、若林秀樹君が委員を辞任され、その補欠として那谷屋正義君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
去る十三日、小林正夫君が委員を辞任され、その補欠として若林秀樹君が選任されました。
また、昨二十一日、若林秀樹君が委員を辞任され、その補欠として那谷屋正義君が選任されました。
─────────────
山
山崎正昭#2
○委員長(山崎正昭君) 政府開発援助等に関する調査のうち、成長と経済統合を続ける東アジアと我が国ODAの今後の在り方に関する件を議題といたします。
本日は、法政大学人間環境学部教授下村恭民君及び日本総合研究所調査部環太平洋戦略研究センター主任研究員三浦有史君に参考人として御出席いただいております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、議事の進め方について申し上げます。
まず、下村参考人、三浦参考人の順序でお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただくとともに、意見表明をお聞かせいただきたいと存じます。
御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、下村参考人からお願いをいたします。下村参考人。
この発言だけを見る →本日は、法政大学人間環境学部教授下村恭民君及び日本総合研究所調査部環太平洋戦略研究センター主任研究員三浦有史君に参考人として御出席いただいております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、議事の進め方について申し上げます。
まず、下村参考人、三浦参考人の順序でお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただくとともに、意見表明をお聞かせいただきたいと存じます。
御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、下村参考人からお願いをいたします。下村参考人。
下
下村恭民#3
○参考人(下村恭民君) 下村でございます。よろしくお願いいたします。(資料映写)
お手元に資料が二種類配付されていると思いますが、レジュメとパワーポイントの打ち出したものがございますけれども、御説明はパワーポイントを使って進めたいと思います。適宜、レジュメの方に触れながら御説明をしたいと思います。
まず、今回の目的でございますが、日本のODAの経験をレビューしながら、東アジアに対する今後の援助の取組方を考えたいと思います。その際、東アジアと一口に言っても、非常に多様な地域であるということを頭に入れながら進めたいと思います。
日本のODAにとっての東アジアというものはいろんな意味がございます。幾つかの意味についてお話をすることで、これまでの日本の東アジアに対する援助の経験について全体像が浮かび上がることを期待してお話ししたいと思います。
まず、量的な側面ですけれども、これにつきましては改めて申し上げることはございませんけれども、東アジアは日本にとって最大の援助供与先ですし、日本は一貫して東アジアにとって最大のドナーの地位を占めてまいりました。
もう一つ、余り日ごろ考えることが少ないと思いますけれども、日本のODAの源流を考えると、東アジアというのは非常に大きな役割を持っていたというふうに考えられます。日本のODAの、最近の言葉ですとインキュベーターというんでしょうけれども、ふ卵器、生まれ育つ段階で賠償というものが非常に大きな役割を果たしました。もちろん、日本のODAの原点は、一九五四年のコロンボ・プランの加盟による技術協力の開始でございますが、その後のODAの影響という意味では、この賠償、準賠償がより重要な意味を持ったと思います。
これは、日本の侵略の償いの一部として実施されたわけですけれども、この仕組みが非常にその後の日本のODAの仕組みと共通しておりまして、レジュメに二枚だけ別刷りで図が配られておりますけれども、何か稚拙な図で申し訳ございませんが、そのうちの図の一、これが一九五五年以降の日本の賠償の中心であった役務賠償の基本的な仕組みでございますが、これインドネシアのホテル・インドネシア建設の事例ですけれども、日本政府がインドネシア政府にお金を移転して賠償したということではなくて、財とサービスを納入したということで、それを納入した日本企業に日本政府が代金を支払ったという形でございますけれども、これは無償資金協力と基本的に同じ仕組みでございまして、これを通じて日本企業は、画面にもありますように、輸出市場と海外経験の場を提供され、また日本政府はこういうものを通じて資金協力の準備をいたしました。
申し上げるまでもなく、賠償、準賠償のほとんどが中国を除く東アジアに対するものでありました。したがって、日本の経済協力のまだ始まる前の揺籃期にインキュベーターとしての東アジアというのは非常に大きな意味を持ったと思います。
次は、理念の点から考えてみたいと思いますけれども、日本のODAはいろいろ問題ございますけれども、独特の理念を持ったアプローチだということは言えると思います。それは卒業というものがキーワードになっておりますけれども、しかし、その前に日本に援助理念などあるのかという非常に自然な疑問があると思います。
日本には、援助理念がないという主張は内外で広く行われてまいりました。理念なきばらまきとか、日本企業の利益に直結しているだけであるとか、あるいは途上国側から要請されて受け身で援助しているにすぎないというような主張がございました。これらはそれぞれ一定の妥当性を持っていると思います。ただ同時に、これまでの日本の経済協力あるいはその中の援助の営みをつぶさに見ますと、やはりほかの国にない独特の要素があると思います。それがキーワードとしての卒業でございまして、卒業というのはここでは援助に依存しない高度な自立の達成ということを考えておりますけれども、そこまでの長い道程、道のりを支援していくということでございます。
それで、再び別刷りの図の方に戻っていただきまして、図二の卒業へのプロセスというのをごらんいただきたいと思いますけれども、二つの大きな要素がありまして、一つはインフラの整備、もう一つが農村開発を中心とした貧困緩和でございまして、インフラ整備によって投資環境を改善して輸出能力を強化すると。それから、農村開発、貧困緩和によって社会的な安定を回復して、それによって投資環境を改善して輸出能力を強化するということで、輸出能力の強化、輸出振興というのが一つのキーワードになっております。画面でいうと、①、②の到着点が輸出振興ですけれども。輸出が伸びていきますと、それによって生活条件の改善をファイナンスする能力が高まりまして、それによって政治的、経済的自立の度合いが高まって卒業に向かうと、こういうシナリオになっております。
一方でインフラ整備、一方で農村開発と、この二つのものを複線型で実施するというのが卒業へのプロセスですけれども、これを今画面にありますようにオーソドックスな西欧の援助理念と比較いたしますとこういうことになると思いますけれども、西欧の場合、理念の根底には慈善とか富める者あるいは力のある者、恵まれた者の責務であるノーブレスオブリージュというのがあるわけですけれども、この場合、支援する相手が将来どうなるのかと、どういう姿になっていくのかという、その将来の姿は余り明確に見えておりません。
それに対して、卒業への道を支援するという日本型の理念の場合は、途上国が自助努力を通じて最後はドナーと同じレベルになるということを信じて、まあそうならない場合も多いですけれども、それを信じて長い道のりを支援していくということで、非常に大きな違いがあるかと思います。
先ほども図で見ていただきましたように、卒業の考え方、卒業へのプロセス、あるいは日本の援助の仕方、考え方というのは二つの足を持って、二つの車輪を持っておりまして、一つはインフラ建設による輸出振興、輸出能力の強化、もう一つは農村開発あるいは貧困緩和による社会的安定の確保を通じた投資誘致能力の強化、それによって輸出能力の強化ということになりますが、この複線型の開発路線というのは東アジアの多くの国々の意思でもありました。したがって、日本の援助理念を実施するのに非常に良い環境が東アジアにあったということは言えるかと思います。
実際に多くの卒業の例が出ている、あるいは卒業に近づきつつ、例が出ておりまして、OECDでは卒業というものについて具体的な、数量的な基準を設けておりますけれども、それに合致して卒業していった国としてはシンガポールと韓国がございますが、そのほかにまだこの基準には達しておりませんけれども、マレーシアとかタイとか中国はそれぞれの意味で、それぞれの状況で自立、高度の自立あるいは卒業に向かっているということが言えるかと思います。まあそういう、五十年経過してこういうところまで来たということがあります。
一言で言いますと、東アジアは、もちろん国によっていろんな違いはありますけれども、日本のODAをうまく活用してくれたということだと思います。これも申し上げるまでもなく、日本のODAには多くの失敗例もありますし、非効率な面も数多くございます。いろんな社会問題、例えば住民移転のトラブルとか、あるいは環境破壊とかいうものも副作用としてなかったとは言えません。しかし、総体として東アジアにおいては貧困緩和と高度な自立に一定の成果を上げてきたということは言えると思います。これがもちろん日本の援助だけの結果でこういうものが起きたということではないわけですけれども、それに一定の貢献をしたということは言えるかと思います。
最後に、東アジアの意味ということで援助資金の回収について申し上げたいと思いますけれども、二〇〇五年の政府の貸付けのデータを見ますと、貸付け一〇〇に対して返済が六四になっております。つまり、実質ネットで貸付けをするアウトフローは三六でいいということになっております。非常に政府貸付け、円借款の返済の金額が大きくなっておりますけれども、東アジアはこの返済の中で非常に高い比重を占めております。中国だけで元利合わせて一千億円を超える返済を毎年、今行っておりまして、こういう意味で東アジアは非常に、現在日本の援助関係の資金繰りに大きな貢献をしてくれているということが言えるかと思います。
この第一部の、この日本のODAにとっての東アジアの意味ということを総括いたしますと、我々は五十年以上ODAをやってきて非常に東アジアに助けられたと。東アジアといういいパートナーがあったために日本のODAは非常に助けられたということがあるかと思います。
これから今後の問題になりますけれども、今後の在り方、二つの面で御説明をしたいと思います。
一つは、東アジアといっても非常に多様なので、三つの国、グループに分けてそれぞれについて考えてみる必要があるかなと思います。特に、域内に取り残された低所得国と卒業に向かう国々に対してはそれなりのメニューが必要だと思います。取り残された低所得国、まあミャンマーは特殊な状況でございますので、ラオス、カンボジアですけれども、これにつきましては非常に潜在能力が低いので苦労するところですけれども、結局、インドシナ半島ということで面で開発して、物とか金とか人の移動を加速して、それによって雇用機会をつくり出していくという、面で対応するしかないのかなというふうに考えております。
それから卒業ですけれども、卒業につきましては、マレーシアにつきましてもタイにつきましても中国につきましても、これから意識して卒業の戦略、卒業にだんだん近づきつつある相手国にどういうふうに対応したらいいのかということを常に明示的に計画を作っていく必要があると思います。その場合のキーワードは環境と先端技術で、これを合わせて環境保全の先端技術というのが一つの、これだけではありませんけれども、一つの卒業の最後の過程のポイントになると思います。
次に、ちょっと見方を変えまして、東アジアに援助を通じて向かい合う上で、やはり東アジアの共通のリスクに注目する必要があると思います。共通のリスクがありますから、それを軽減するということをお互いみんなで考えれば、それが共通のメリットになって協力が進みやすいかなと思います。
ここで、三浦さんなんかと一緒に研究した研究会の中で、この三つの、A、B、C、三つのリスクを取り上げたわけですけれども、ドル急落のリスク、中国という巨大なリスク、これをどうやって軟着陸させるかと。このAとBにつきましては、援助で、ODAでできることというのは非常に限られていると思いますけれども、三番目の経済の活性化が加速する中で深刻化する環境破壊にどうやって貢献していくかということにつきましては、ODAが貢献できる領域でもありますし、また日本が優位を持つ領域ですので、環境ODAへの取組を集中的に考えて、そこで、これまでは各国あるいは各プロジェクトという、点で考えられていた面が非常に多いわけですけれども、それを面、もっと広げて、地域的に広げて全体的な計画を作り、それをシラミつぶしに実行していくということを考えることが重要かなと思います。これがまた日本らしい形のイニシアチブではないかというふうに思っております。
最後の第三部ですけれども、これまで東アジアに対してどういうことをやっていったらいいのかということを考えてきたわけですけれども、やはり成果を上げるためには前提条件の整備が必要だと思います。
東アジアと我が国のODAという大きなテーマになりますと、どうしても理念とか戦略とか組織の体制とか、そういう大きな問題に関心が集まりますけれども、やはり実施段階でまだ非常にたくさんある制度的な制約条件をどうやって緩和したらいいかということを考える必要があります。それがないと実効性につながらないということが言えると思います。
ここで三つ主要な課題を挙げておりますが、一つは、これが最も重要だと思いますけれども、権限委譲を更に加速する必要があると。官庁から実施機関への権限委譲。実施機関の中で東京から現場への権限委譲。随分改善は進んでおりますけれども、まだ業務面の具体的な意思決定に官庁が関与する、これマイクロマネジメントと言いますけれども、この例がまだかなり残っております。こういう例を詳細に洗い出しをして権限委譲を加速していくということが必要ではないかと思います。
二つ目の問題は人の問題ですけれども、現場は人手不足ですけれども、人材にとっては職場不足という状況がずっと続いております。その結果、多数の期限付の職員、三年限度の職員があちこち転々とするということになっております。これは組織にとっても人材にとっても非常に無駄なことでありますので、何とか、実施機関の定員を増やすことは難しいわけですけれども、この人手をどうやって安定的に使って能力開発を進めていき、知識を蓄積していくかということを考える必要があると思います。
最後に、新JICAは、独立行政法人になるわけですけれども、独立行政法人の運営というのはどうしても縮小型、つまり、交付金、予算、事務の方の予算ですと毎年減らしていくというような縮小型の運営を求められることが多いので、やはりもっと未来志向で、必要なところには必要な資源を配分するという形の運営が求められると。それが制約条件の打破になるのではないかと思っております。
私からのお話はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
この発言だけを見る →お手元に資料が二種類配付されていると思いますが、レジュメとパワーポイントの打ち出したものがございますけれども、御説明はパワーポイントを使って進めたいと思います。適宜、レジュメの方に触れながら御説明をしたいと思います。
まず、今回の目的でございますが、日本のODAの経験をレビューしながら、東アジアに対する今後の援助の取組方を考えたいと思います。その際、東アジアと一口に言っても、非常に多様な地域であるということを頭に入れながら進めたいと思います。
日本のODAにとっての東アジアというものはいろんな意味がございます。幾つかの意味についてお話をすることで、これまでの日本の東アジアに対する援助の経験について全体像が浮かび上がることを期待してお話ししたいと思います。
まず、量的な側面ですけれども、これにつきましては改めて申し上げることはございませんけれども、東アジアは日本にとって最大の援助供与先ですし、日本は一貫して東アジアにとって最大のドナーの地位を占めてまいりました。
もう一つ、余り日ごろ考えることが少ないと思いますけれども、日本のODAの源流を考えると、東アジアというのは非常に大きな役割を持っていたというふうに考えられます。日本のODAの、最近の言葉ですとインキュベーターというんでしょうけれども、ふ卵器、生まれ育つ段階で賠償というものが非常に大きな役割を果たしました。もちろん、日本のODAの原点は、一九五四年のコロンボ・プランの加盟による技術協力の開始でございますが、その後のODAの影響という意味では、この賠償、準賠償がより重要な意味を持ったと思います。
これは、日本の侵略の償いの一部として実施されたわけですけれども、この仕組みが非常にその後の日本のODAの仕組みと共通しておりまして、レジュメに二枚だけ別刷りで図が配られておりますけれども、何か稚拙な図で申し訳ございませんが、そのうちの図の一、これが一九五五年以降の日本の賠償の中心であった役務賠償の基本的な仕組みでございますが、これインドネシアのホテル・インドネシア建設の事例ですけれども、日本政府がインドネシア政府にお金を移転して賠償したということではなくて、財とサービスを納入したということで、それを納入した日本企業に日本政府が代金を支払ったという形でございますけれども、これは無償資金協力と基本的に同じ仕組みでございまして、これを通じて日本企業は、画面にもありますように、輸出市場と海外経験の場を提供され、また日本政府はこういうものを通じて資金協力の準備をいたしました。
申し上げるまでもなく、賠償、準賠償のほとんどが中国を除く東アジアに対するものでありました。したがって、日本の経済協力のまだ始まる前の揺籃期にインキュベーターとしての東アジアというのは非常に大きな意味を持ったと思います。
次は、理念の点から考えてみたいと思いますけれども、日本のODAはいろいろ問題ございますけれども、独特の理念を持ったアプローチだということは言えると思います。それは卒業というものがキーワードになっておりますけれども、しかし、その前に日本に援助理念などあるのかという非常に自然な疑問があると思います。
日本には、援助理念がないという主張は内外で広く行われてまいりました。理念なきばらまきとか、日本企業の利益に直結しているだけであるとか、あるいは途上国側から要請されて受け身で援助しているにすぎないというような主張がございました。これらはそれぞれ一定の妥当性を持っていると思います。ただ同時に、これまでの日本の経済協力あるいはその中の援助の営みをつぶさに見ますと、やはりほかの国にない独特の要素があると思います。それがキーワードとしての卒業でございまして、卒業というのはここでは援助に依存しない高度な自立の達成ということを考えておりますけれども、そこまでの長い道程、道のりを支援していくということでございます。
それで、再び別刷りの図の方に戻っていただきまして、図二の卒業へのプロセスというのをごらんいただきたいと思いますけれども、二つの大きな要素がありまして、一つはインフラの整備、もう一つが農村開発を中心とした貧困緩和でございまして、インフラ整備によって投資環境を改善して輸出能力を強化すると。それから、農村開発、貧困緩和によって社会的な安定を回復して、それによって投資環境を改善して輸出能力を強化するということで、輸出能力の強化、輸出振興というのが一つのキーワードになっております。画面でいうと、①、②の到着点が輸出振興ですけれども。輸出が伸びていきますと、それによって生活条件の改善をファイナンスする能力が高まりまして、それによって政治的、経済的自立の度合いが高まって卒業に向かうと、こういうシナリオになっております。
一方でインフラ整備、一方で農村開発と、この二つのものを複線型で実施するというのが卒業へのプロセスですけれども、これを今画面にありますようにオーソドックスな西欧の援助理念と比較いたしますとこういうことになると思いますけれども、西欧の場合、理念の根底には慈善とか富める者あるいは力のある者、恵まれた者の責務であるノーブレスオブリージュというのがあるわけですけれども、この場合、支援する相手が将来どうなるのかと、どういう姿になっていくのかという、その将来の姿は余り明確に見えておりません。
それに対して、卒業への道を支援するという日本型の理念の場合は、途上国が自助努力を通じて最後はドナーと同じレベルになるということを信じて、まあそうならない場合も多いですけれども、それを信じて長い道のりを支援していくということで、非常に大きな違いがあるかと思います。
先ほども図で見ていただきましたように、卒業の考え方、卒業へのプロセス、あるいは日本の援助の仕方、考え方というのは二つの足を持って、二つの車輪を持っておりまして、一つはインフラ建設による輸出振興、輸出能力の強化、もう一つは農村開発あるいは貧困緩和による社会的安定の確保を通じた投資誘致能力の強化、それによって輸出能力の強化ということになりますが、この複線型の開発路線というのは東アジアの多くの国々の意思でもありました。したがって、日本の援助理念を実施するのに非常に良い環境が東アジアにあったということは言えるかと思います。
実際に多くの卒業の例が出ている、あるいは卒業に近づきつつ、例が出ておりまして、OECDでは卒業というものについて具体的な、数量的な基準を設けておりますけれども、それに合致して卒業していった国としてはシンガポールと韓国がございますが、そのほかにまだこの基準には達しておりませんけれども、マレーシアとかタイとか中国はそれぞれの意味で、それぞれの状況で自立、高度の自立あるいは卒業に向かっているということが言えるかと思います。まあそういう、五十年経過してこういうところまで来たということがあります。
一言で言いますと、東アジアは、もちろん国によっていろんな違いはありますけれども、日本のODAをうまく活用してくれたということだと思います。これも申し上げるまでもなく、日本のODAには多くの失敗例もありますし、非効率な面も数多くございます。いろんな社会問題、例えば住民移転のトラブルとか、あるいは環境破壊とかいうものも副作用としてなかったとは言えません。しかし、総体として東アジアにおいては貧困緩和と高度な自立に一定の成果を上げてきたということは言えると思います。これがもちろん日本の援助だけの結果でこういうものが起きたということではないわけですけれども、それに一定の貢献をしたということは言えるかと思います。
最後に、東アジアの意味ということで援助資金の回収について申し上げたいと思いますけれども、二〇〇五年の政府の貸付けのデータを見ますと、貸付け一〇〇に対して返済が六四になっております。つまり、実質ネットで貸付けをするアウトフローは三六でいいということになっております。非常に政府貸付け、円借款の返済の金額が大きくなっておりますけれども、東アジアはこの返済の中で非常に高い比重を占めております。中国だけで元利合わせて一千億円を超える返済を毎年、今行っておりまして、こういう意味で東アジアは非常に、現在日本の援助関係の資金繰りに大きな貢献をしてくれているということが言えるかと思います。
この第一部の、この日本のODAにとっての東アジアの意味ということを総括いたしますと、我々は五十年以上ODAをやってきて非常に東アジアに助けられたと。東アジアといういいパートナーがあったために日本のODAは非常に助けられたということがあるかと思います。
これから今後の問題になりますけれども、今後の在り方、二つの面で御説明をしたいと思います。
一つは、東アジアといっても非常に多様なので、三つの国、グループに分けてそれぞれについて考えてみる必要があるかなと思います。特に、域内に取り残された低所得国と卒業に向かう国々に対してはそれなりのメニューが必要だと思います。取り残された低所得国、まあミャンマーは特殊な状況でございますので、ラオス、カンボジアですけれども、これにつきましては非常に潜在能力が低いので苦労するところですけれども、結局、インドシナ半島ということで面で開発して、物とか金とか人の移動を加速して、それによって雇用機会をつくり出していくという、面で対応するしかないのかなというふうに考えております。
それから卒業ですけれども、卒業につきましては、マレーシアにつきましてもタイにつきましても中国につきましても、これから意識して卒業の戦略、卒業にだんだん近づきつつある相手国にどういうふうに対応したらいいのかということを常に明示的に計画を作っていく必要があると思います。その場合のキーワードは環境と先端技術で、これを合わせて環境保全の先端技術というのが一つの、これだけではありませんけれども、一つの卒業の最後の過程のポイントになると思います。
次に、ちょっと見方を変えまして、東アジアに援助を通じて向かい合う上で、やはり東アジアの共通のリスクに注目する必要があると思います。共通のリスクがありますから、それを軽減するということをお互いみんなで考えれば、それが共通のメリットになって協力が進みやすいかなと思います。
ここで、三浦さんなんかと一緒に研究した研究会の中で、この三つの、A、B、C、三つのリスクを取り上げたわけですけれども、ドル急落のリスク、中国という巨大なリスク、これをどうやって軟着陸させるかと。このAとBにつきましては、援助で、ODAでできることというのは非常に限られていると思いますけれども、三番目の経済の活性化が加速する中で深刻化する環境破壊にどうやって貢献していくかということにつきましては、ODAが貢献できる領域でもありますし、また日本が優位を持つ領域ですので、環境ODAへの取組を集中的に考えて、そこで、これまでは各国あるいは各プロジェクトという、点で考えられていた面が非常に多いわけですけれども、それを面、もっと広げて、地域的に広げて全体的な計画を作り、それをシラミつぶしに実行していくということを考えることが重要かなと思います。これがまた日本らしい形のイニシアチブではないかというふうに思っております。
最後の第三部ですけれども、これまで東アジアに対してどういうことをやっていったらいいのかということを考えてきたわけですけれども、やはり成果を上げるためには前提条件の整備が必要だと思います。
東アジアと我が国のODAという大きなテーマになりますと、どうしても理念とか戦略とか組織の体制とか、そういう大きな問題に関心が集まりますけれども、やはり実施段階でまだ非常にたくさんある制度的な制約条件をどうやって緩和したらいいかということを考える必要があります。それがないと実効性につながらないということが言えると思います。
ここで三つ主要な課題を挙げておりますが、一つは、これが最も重要だと思いますけれども、権限委譲を更に加速する必要があると。官庁から実施機関への権限委譲。実施機関の中で東京から現場への権限委譲。随分改善は進んでおりますけれども、まだ業務面の具体的な意思決定に官庁が関与する、これマイクロマネジメントと言いますけれども、この例がまだかなり残っております。こういう例を詳細に洗い出しをして権限委譲を加速していくということが必要ではないかと思います。
二つ目の問題は人の問題ですけれども、現場は人手不足ですけれども、人材にとっては職場不足という状況がずっと続いております。その結果、多数の期限付の職員、三年限度の職員があちこち転々とするということになっております。これは組織にとっても人材にとっても非常に無駄なことでありますので、何とか、実施機関の定員を増やすことは難しいわけですけれども、この人手をどうやって安定的に使って能力開発を進めていき、知識を蓄積していくかということを考える必要があると思います。
最後に、新JICAは、独立行政法人になるわけですけれども、独立行政法人の運営というのはどうしても縮小型、つまり、交付金、予算、事務の方の予算ですと毎年減らしていくというような縮小型の運営を求められることが多いので、やはりもっと未来志向で、必要なところには必要な資源を配分するという形の運営が求められると。それが制約条件の打破になるのではないかと思っております。
私からのお話はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
山
三
三浦有史#5
○参考人(三浦有史君) 日本総研の三浦と申します。よろしくお願いします。(資料映写)
今日私がお話ししようと思っているテーマは、そこに書いてあります主に四点であります。最初は、東アジアと日本のODA、これは下村先生もさっきおっしゃいましたので若干重複しますが、簡単なおさらいです。二点目は、東アジアにおける経済統合、これも現状のおさらいでございます。三点目が、そうした経済統合が進む東アジアに我が国日本としてどういう視点を持ってこれに臨むべきかということを、そこに書いてあります四点で整理をしてみました。最後に、この四点を受けて若干の提言を申し上げたいというふうに思います。
最初に、東アジアと日本のODAでございますが、よくこの円借款、経済インフラ、東アジア、これが日本のODAの特徴というふうに言われます。例えば、一番上の円借款中心というところを見てみますと、日本と、このDACと書いてありますが、DACの平均値を意味しますが、九四年から九五年で日本は援助のうちの借款部分が三割、DACが九%でした。これが二〇〇五年に、日本は随分減りましたけれども九%で、DACは返済が多くて新規が出ていないということでマイナスになっている。以下も同じような見方で見ていただけると、日本のODAの特徴というのがお分かりいただけるかと思います。
このODAがつぎ込まれた東アジアがどのような経済発展を遂げてきたのかということをODAとの関係も含めまして見ますと、一点目に、世界の開発途上国をアジア、アフリカとか中南米とかそういう形で地域別に特徴を出してみますと、東アジアの特徴の一つとして、ODA依存症からの脱却、先ほどもおっしゃいました卒業ということが言えると思います。
これはどういうことかといいますと、一人当たりGDPの高まるのに伴い、ODAのもらう額、経済と比べたときの相対的な額がどんどん落ちていっていると、成長とともにODAの額は減っている。あるいは、ODAをもらってもそれが政府の消費支出、これは公務員の給料とか借金の返済に充てられるお金ですけれども、そういうのが増えていない。逆に言うと、一部の地域では、ODAをもらうんだけど、そのもらうことによって政府の消費支出が増えるということが起きているわけです。東アジアはそういうことはなかったということです。
ODAと離れて見ますと、開放的な経済体制をつくってきたということです。世界経済に占める東アジアのシェアの拡大というのは改めて言うまでもありません。
この上の二つを可能にしたのは民間資金による開発であると、つまりODAではないというふうに見るべきであろうと思います。やはり雇用、貿易、イノベーションを促進し、経済を活性化させるのは民間資金であります。政府は、この民間資金を活性化させるために、自らがこぎ手となるのではなくて、市場経済をうまく機能させるかじ取りとなっていったというのが東アジアの経済発展のポイントであろうと思います。
これを具体的に見たのが図表の一でございます。青いドットが東アジアでございますが、東アジアの民間投資を中心に投資がなされてきたということがお分かりいただけようかと思います。
それで、ODAの役割ですが、民間投資とODAの関係を見ますと、東アジアではODAは民間投資を触発するあるいは促進する呼び水としての機能があったというふうに評価をできるというふうに思っております。
二点目は、経済統合についての簡単なおさらいです。
経済統合にはいろんな段階がございます。左から右がいわゆる統合の形として深化をしていっているということになりますが、例えば日本が今目指しております、アジアと二国間で結んでおりますEPAというのはFTAにプラス、FTAプラスというふうに位置付けることができるかと思います。つまり、FTAに労働力の移動とか、あるいは制度の協調化を含んでいるという点でプラスであると。ASEANが目指しておりますところはコモンマーケットマイナス、ここから幾つかの要素を取り除いたところが当面の目標であるというようなことをASEANの人は言っております。御承知のように、EUは一番進んだ経済統合というところに行っておるわけでございます。
世界のそのFTAの数と、地域別にそれがどういうふうに動いているかというのを見たのが図表三と四でございます。FTAがどんどん世界的にいろんなところでなされてきておると。それに参加しないことは著しく国益を損なうということになって、FTAが次なるまたFTA、あるいはその参加国の拡大を招くという循環が九〇年代に入って、WTOの交渉の挫折というのもありますが、そういう動きが世界で顕在化してきて、日本もそれに乗り遅れまいということになったということだと思います。
東アジアにおけますFTAの構図は、皆さんよく新聞等でごらんになるものをまたここに転写してきたわけですが、このとおりでございます。
次に、経済統合にいかなる視点で取り組むべきかということを考えるときに、地球上で展開されてます大きな経済統合を目指す組織といいますかエリアとして、東アジアだけではなくて、ヨーロッパにはEUがあって、アメリカ、中南米を含むところではFTAAというのがあります。それを三つを比較して見てみたいと思います。
この最初にEUの図を出してありますが、縦軸は一人当たりのGDPを取って、横軸に経済規模、丸の大きさは人口規模だとお考えください。横に千ドルを超えたところに線が引いてありますが、これは日本のODAにおいて無償援助を卒業するラインだというふうにお考えください。
EUと、次、これがFTAA、米州自由貿易協定、その次、東アジア、今三つを見てまいりました。時間がないのでざっと過ぎて恐縮なんですが、この三つをよくよく見比べて言えることが幾つかあります。
一つは、東アジアにおいて経済統合は一体だれが主導するんだという問題が出てきます。つまり、経済規模が大きいからその地域をリードするのか、あるいは成長率と人口規模を掛け合わせたものが大きければその国を、リードするのかと。まあ大ざっぱに言って二つの考え方が、まあ政治力の話を除外するとあるわけですが、この二つで考えると、東アジアにおいては日本と中国がやっぱり出てきてしまって、ヨーロッパのドイツ、フランス、あるいは米州におけるアメリカというような明確なリーダーシップが存在しないということです。
東アジアのもう一つの特徴は、東アジアの中には既にFTAで先行して共同体を目指しているASEANが存在すると。この東アジアの経済統合はASEANが実際にはキャスチングボートを握るだろうと。これは、ASEANプラス3の枠組みがどうやってできたかということを見てもそういうことが言えようと思います。
ASEANは、キャスチングボートを握ることによって、右手に中国、左手に日本を置いて両てんびんに掛けてより有利な条件を引き出すということができるわけですが、これによって、一方で、東アジアではASEAN、ここで紹介した以外にもASEANは各国独自にいろんな国とFTAを結んでおります。そうやってそのFTAが重層的に重なることによってASEANは相対化をしてしまう危険性があります。この危険性をなくすためにはASEAN自体が東アジアで最も進んだ統合体であるということを示さなければなりませんので、統合のスピードアップを図らなければいけないと、しかしそれが本当にできるんだろうかというASEANの問題が浮上いたします。
日本はASEANのこの全方位外交に揺さぶられることになるわけですが、それよりもより深刻な問題としては、ASEANがスピードアップを図るんだけど、それによって統合の質が逆に低下をしていって、東アジアにおけるASEANの求心力が低下して、ひいては日・ASEAN連携が弱体化していくというシナリオもあり得るのではないかと、そういうことを懸念をしておる次第です。
もう一つは、ASEANは開発途上国が域内に非常に多く、しかも経済格差が大きいので、ODAに対する需要が強いということが言えます。その一方、ASEANは経済協力の枠組みを持っておりませんので、この地域でODAをするということ、ODAが重要だということになりますと、当然日本がその役割を担わざるを得ないわけであります。
日本にとっての課題は、一つの地域でマーケットメカニズムによる競争、FTAは基本的にそういう性格を持つものですが、それとODA、財政資金を通じてその開発を支援するという行為ですが、これをどうやってバランスを保つのかと。両方がうまく補完的に動けばいいのですが、場合によっては、その原加盟国、ASEANのオリジナルのメンバーは競争をASEAN内でどんどん促進するんだけれども支援はできないので、ASEAN内で不協和音が高まると、日本を見てどうぞお願いしますということになりかねない。あるいは、新規加盟国はそうした構造に不信感を高めて、弱い者同士で集まって弱者連合を結成して、日本、ASEANの原加盟国あるいはアメリカ、中国も視野に入れて揺さぶりを掛けようとすると。これは、ASEANにとっても、あるいは日本にとっても好ましくない方向であろうというふうに思っております。
我が国のODAの課題としては、そこに挙げてあります信頼関係の醸成、ASEANの求心力の維持、あるいは各国の自助努力をいかに誘発するかという問題が課せられておりまして、これを要約すれば、ASEANの経済統合の一層の深化を促す、それによって日・ASEAN標準を東アジアのスタンダードにしてそれをその他の地域に広げるということをODAの一つの目標にする必要があろうというふうに思います。
二点目は、開発課題の多様化、視点として、開発課題の多様化の問題であります。これは東アジアに限ったことではありませんが、グローバル化に伴って、社会不安が拡大する現象がいろんなところで起きております。グローバル化というのは資金とかマーケットで対外依存を必然的に高めますので経済発展のチャンスを得ることはできるんですが、それに伴うリスクも高まると。ミクロレベルで見ても、所得格差が拡大して、貧困層はよりそのショックに対して脆弱になるというような傾向が見られます。開放的な経済体制、例えばWTOに加盟すれば無条件で経済発展をするかというと、そういうことでも当然ないわけであります。
ここに、東アジアにおける幾つかの事例ということで紹介をしております。直近のタイのクーデターだけをここで取り上げてお話ししますが、いろんな見方があるとは思いますが、いわゆるタクシン政権下で市場経済にのっとって成長重視だということでいったその揺り戻しが今回のクーデターととらえることはできないだろうかというふうに私は思っております。
そういう東アジアで起きておりますいろんな摩擦、揺り戻しは、いろんな要因があろうかと思いますが、やはり共通点として、グローバル化によってその所得格差が拡大して貧困層の脆弱性が高まり、それによってナショナリズムが高揚するというメカニズムが働いているというふうに私には思えてならないわけです。
一方で、一橋大学の南先生という方が、第二次大戦前の我が国における著しい不平等が軍部の台頭を招いたという著書で指摘をなされておりますが、この指摘は、東アジアにおけるナショナリズムの高揚とか、あるいは、それが市場統合に与える影響を考える上で重要な示唆を与えるというふうに思うわけであります。
これは、図表九は、先ほど申し上げたWTO加盟によって必ずしも所得が伸びるわけでもないし、貿易が伸びるわけでもないということを確認したものであります。
開発課題の多様化として、もう一つ、グローバル化に伴い、標準モデル、つまり、こうすればこの問題は解決できますよという課題が非常に増えてきたということを申し上げたいと思います。
アジア通貨危機の後に、企業統治はどうあるべきかと、あるいは、資本の自由化どうあるべきだという議論は盛んに行われましたが、マニュアルが完成したわけではありません。あるいは、アジアで進む高齢化に今後アジアはどう備えるべきかという問題も正解のない問題であります。
我が国のODAの課題としまして、上の、さっきも述べました問題を受けると、開放経済体制及び社会変動に伴うリスクをいかに最小限にし、その成長の持続性を高めるかと、そのための政策はどうあるべきか、あるいはその政策をつくる能力をどう支援するかという、より高度な課題にODAは取り組まなければいけないのではないかと。
要約しますれば、従来、基本的には相手国の要請に基づいて我が国ができることを選択して援助してきたわけですが、開発国のニーズを見据えてすべきことに迅速に対応すると、そういう体制が我が国のODAに求められているのではなかろうかというふうに思っております。
三点目でございますが、視点の三点目は、国際的な援助潮流の変化にどう対応するかということであります。
国際的と申しますのは、ここに挙げているのは特に北欧諸国を中心とする援助潮流ですが、重視される点は、そこに書いてありますように、社会セクターを中心に無償援助で、地域としてはサブサハラアフリカを中心にして、相手国のガバナンスを見ながら援助ドナーが協調してこれに当たりましょうということであります。
この援助協調というのは、協調という言葉は美しいんですが、実態上は、最も進んでいる地域では、相手国の長期開発計画と援助計画を整合させて各ドナーが協調してこれに開発に取り組むと。その結果として、援助の目的、手続、手法の共通化がどんどん進んでくると、現場で進んでくるということがあります。更に進みますと、相手国の法制度もそうした援助国のワンボイスの下に変わっていくということが起きます。
これはどういうことを意味しますかというと、金額が大きいからといってドナーコミュニティーあるいは受取国における援助国の存在価値が規定されないということです。協調は実質的には競争にもうなっておりまして、競争に敗れるあるいは参加しないということは我が国のプレゼンスの低下を招くということであります。
じゃ、どうするかということですが、日本としての課題としては、受取国及び他のドナーの支援を得られる包括的、効果的な援助戦略を出して、その成果を積極的に示していくということが今まで以上に必要になってくるというふうに思います。
四点目は、民間投資とODAの関係でございます。
ODA大綱には国益ではなく国民益と書いてありますので国民益というふうに言いますが、直接投資を促進することもODAの役割の一つであるというふうに書かれております。実際、ベトナム、インドネシアでは、そこに書いてありますようなイニシアチブ、行動計画が立ち上がって、進出日系企業から投資上の問題点を聞いて、それを二国間政府の首相同士の合意の下で解決を図っていくというような動き、新しい動きがあります。これは、私は今までにないものとして大変評価をしたい。日系企業も高く評価をしているし、現地の政府からも高く評価されているというふうに思います。
しかし、これはどこでも通用するやり方かというと、そういうわけでもありません。企業の要望に基づくものですから、近視眼的で対象範囲も限定されがちですし、相手国政府と企業との対話の枠組みができれば、日本の政府がそこにいつまでもとどまる必要はなくて退出をしていくというシナリオが妥当であろうと思います。
課題の四つ目として、日本の政府がODAをどう活用すればいいんだろうということで、市場経済の主役である民に聞く、企業に聞くということは非常に重要であります。しかし、官の本当の役割はそこにとどまらず、より幅広い国民益を反映してプロジェクトを作ることではなかろうかというふうに思うわけです。
以上の課題を今三点挙げましたが、一点目の課題、ASEANの経済統合の深化、日・ASEAN標準を広げるということについて具体的に何をしたらいいかということですけれども、これは、ODAの議論とは別のところにあります問題を解決しなければならない。つまり、ODA云々を語る前に、ASEANとの質の高いEPAをまず締結すべきだということを申し上げたいと思います。
二点目は、韓国、タイとか、ODAを卒業したあるいは今後卒業する国とどうやって連携を組むかということが重要になってきます。かつ、これらの国と政策対話と相互モニタリング、お互い経済改革をどう進めているのかというモニタリングも機能させながら、小泉首相、前首相がおっしゃった、ともに進み、ともに歩む率直なパートナーであるというふうにASEANを位置付けられたわけですが、これを具現化していくということが必要なのであろうというふうに思います。
課題の二と三で指摘した点につきましては、新生JICAが誕生しますが、その部分、そこの頭脳部分を拡充して、日本はもちろんなんですが、日本以外のリソースも日本の援助戦略に取り込むような頭脳の拡充が必要であると。それに伴って、ODAの関係組織として海外経済協力会議とかODA戦略会議、各省庁いろんな組織がありますが、あるいはその一方で、日本・ASEAN行動計画とか政府内でいろんなイニシアチブ、構想が発表されております。そういうものをきちんと整理して、新JICAをそこにどう位置付けるんだという議論も必要ではないかというふうに思っております。
そして、下村先生もおっしゃいましたけれども、やはり新JICAは巨大な組織になるわけです。そこで生まれたいろんなノウハウをやっぱり蓄積して発信する能力を高めるというのが一番合理的だと思いますので、現地機能を強化するとともに、日本においてそれを支援する。権限を強化させるんだから評価体制もきっちりとつくるというような体制をつくっていくということが必要であろうと思います。
図表十は、先ほど申し上げました援助協調について若干のイメージを持っていただくために作ったものであります。左が援助協調前、右が援助協調後です。
コア業務の大きさ、つまり予算を遅滞なく執行するというその基本的な業務は、海外の日本の援助機関においてこの業務が全体業務に占める割合というのは非常に小さくなっております。つまり、それだけ周辺業務が大きくなって、先ほど申し上げた課題にとても対応できる体制になっていないと。ゆえに、その図の部分を拡充をしていくということが重要であるというふうに申し上げたいと思います。
四点目の提言は、幅広い国民益を想定したプロジェクトの創造ということでございますが、既存の取組としてはそこに挙げてあるものがもう既に発表されております。しかし、それ以外にも、そこに書いてありますアジアバロメーター、詳しくは申し上げませんが、そういうものとか、東アジアの少子高齢化にどう向き合うかというようなことについても我が国のODAを活用する範囲があろうと。あるいは環境もそうであります。必要なことは、できること、我が国はこの分野に比較優位があるんだからこれをやりますということではなくて、相手側のニーズに立って知の蓄積と統合を図るということが重要なのであろうというふうに思っております。
時間の関係で補足ははしょらせていただきます。
以上でございます。
この発言だけを見る →今日私がお話ししようと思っているテーマは、そこに書いてあります主に四点であります。最初は、東アジアと日本のODA、これは下村先生もさっきおっしゃいましたので若干重複しますが、簡単なおさらいです。二点目は、東アジアにおける経済統合、これも現状のおさらいでございます。三点目が、そうした経済統合が進む東アジアに我が国日本としてどういう視点を持ってこれに臨むべきかということを、そこに書いてあります四点で整理をしてみました。最後に、この四点を受けて若干の提言を申し上げたいというふうに思います。
最初に、東アジアと日本のODAでございますが、よくこの円借款、経済インフラ、東アジア、これが日本のODAの特徴というふうに言われます。例えば、一番上の円借款中心というところを見てみますと、日本と、このDACと書いてありますが、DACの平均値を意味しますが、九四年から九五年で日本は援助のうちの借款部分が三割、DACが九%でした。これが二〇〇五年に、日本は随分減りましたけれども九%で、DACは返済が多くて新規が出ていないということでマイナスになっている。以下も同じような見方で見ていただけると、日本のODAの特徴というのがお分かりいただけるかと思います。
このODAがつぎ込まれた東アジアがどのような経済発展を遂げてきたのかということをODAとの関係も含めまして見ますと、一点目に、世界の開発途上国をアジア、アフリカとか中南米とかそういう形で地域別に特徴を出してみますと、東アジアの特徴の一つとして、ODA依存症からの脱却、先ほどもおっしゃいました卒業ということが言えると思います。
これはどういうことかといいますと、一人当たりGDPの高まるのに伴い、ODAのもらう額、経済と比べたときの相対的な額がどんどん落ちていっていると、成長とともにODAの額は減っている。あるいは、ODAをもらってもそれが政府の消費支出、これは公務員の給料とか借金の返済に充てられるお金ですけれども、そういうのが増えていない。逆に言うと、一部の地域では、ODAをもらうんだけど、そのもらうことによって政府の消費支出が増えるということが起きているわけです。東アジアはそういうことはなかったということです。
ODAと離れて見ますと、開放的な経済体制をつくってきたということです。世界経済に占める東アジアのシェアの拡大というのは改めて言うまでもありません。
この上の二つを可能にしたのは民間資金による開発であると、つまりODAではないというふうに見るべきであろうと思います。やはり雇用、貿易、イノベーションを促進し、経済を活性化させるのは民間資金であります。政府は、この民間資金を活性化させるために、自らがこぎ手となるのではなくて、市場経済をうまく機能させるかじ取りとなっていったというのが東アジアの経済発展のポイントであろうと思います。
これを具体的に見たのが図表の一でございます。青いドットが東アジアでございますが、東アジアの民間投資を中心に投資がなされてきたということがお分かりいただけようかと思います。
それで、ODAの役割ですが、民間投資とODAの関係を見ますと、東アジアではODAは民間投資を触発するあるいは促進する呼び水としての機能があったというふうに評価をできるというふうに思っております。
二点目は、経済統合についての簡単なおさらいです。
経済統合にはいろんな段階がございます。左から右がいわゆる統合の形として深化をしていっているということになりますが、例えば日本が今目指しております、アジアと二国間で結んでおりますEPAというのはFTAにプラス、FTAプラスというふうに位置付けることができるかと思います。つまり、FTAに労働力の移動とか、あるいは制度の協調化を含んでいるという点でプラスであると。ASEANが目指しておりますところはコモンマーケットマイナス、ここから幾つかの要素を取り除いたところが当面の目標であるというようなことをASEANの人は言っております。御承知のように、EUは一番進んだ経済統合というところに行っておるわけでございます。
世界のそのFTAの数と、地域別にそれがどういうふうに動いているかというのを見たのが図表三と四でございます。FTAがどんどん世界的にいろんなところでなされてきておると。それに参加しないことは著しく国益を損なうということになって、FTAが次なるまたFTA、あるいはその参加国の拡大を招くという循環が九〇年代に入って、WTOの交渉の挫折というのもありますが、そういう動きが世界で顕在化してきて、日本もそれに乗り遅れまいということになったということだと思います。
東アジアにおけますFTAの構図は、皆さんよく新聞等でごらんになるものをまたここに転写してきたわけですが、このとおりでございます。
次に、経済統合にいかなる視点で取り組むべきかということを考えるときに、地球上で展開されてます大きな経済統合を目指す組織といいますかエリアとして、東アジアだけではなくて、ヨーロッパにはEUがあって、アメリカ、中南米を含むところではFTAAというのがあります。それを三つを比較して見てみたいと思います。
この最初にEUの図を出してありますが、縦軸は一人当たりのGDPを取って、横軸に経済規模、丸の大きさは人口規模だとお考えください。横に千ドルを超えたところに線が引いてありますが、これは日本のODAにおいて無償援助を卒業するラインだというふうにお考えください。
EUと、次、これがFTAA、米州自由貿易協定、その次、東アジア、今三つを見てまいりました。時間がないのでざっと過ぎて恐縮なんですが、この三つをよくよく見比べて言えることが幾つかあります。
一つは、東アジアにおいて経済統合は一体だれが主導するんだという問題が出てきます。つまり、経済規模が大きいからその地域をリードするのか、あるいは成長率と人口規模を掛け合わせたものが大きければその国を、リードするのかと。まあ大ざっぱに言って二つの考え方が、まあ政治力の話を除外するとあるわけですが、この二つで考えると、東アジアにおいては日本と中国がやっぱり出てきてしまって、ヨーロッパのドイツ、フランス、あるいは米州におけるアメリカというような明確なリーダーシップが存在しないということです。
東アジアのもう一つの特徴は、東アジアの中には既にFTAで先行して共同体を目指しているASEANが存在すると。この東アジアの経済統合はASEANが実際にはキャスチングボートを握るだろうと。これは、ASEANプラス3の枠組みがどうやってできたかということを見てもそういうことが言えようと思います。
ASEANは、キャスチングボートを握ることによって、右手に中国、左手に日本を置いて両てんびんに掛けてより有利な条件を引き出すということができるわけですが、これによって、一方で、東アジアではASEAN、ここで紹介した以外にもASEANは各国独自にいろんな国とFTAを結んでおります。そうやってそのFTAが重層的に重なることによってASEANは相対化をしてしまう危険性があります。この危険性をなくすためにはASEAN自体が東アジアで最も進んだ統合体であるということを示さなければなりませんので、統合のスピードアップを図らなければいけないと、しかしそれが本当にできるんだろうかというASEANの問題が浮上いたします。
日本はASEANのこの全方位外交に揺さぶられることになるわけですが、それよりもより深刻な問題としては、ASEANがスピードアップを図るんだけど、それによって統合の質が逆に低下をしていって、東アジアにおけるASEANの求心力が低下して、ひいては日・ASEAN連携が弱体化していくというシナリオもあり得るのではないかと、そういうことを懸念をしておる次第です。
もう一つは、ASEANは開発途上国が域内に非常に多く、しかも経済格差が大きいので、ODAに対する需要が強いということが言えます。その一方、ASEANは経済協力の枠組みを持っておりませんので、この地域でODAをするということ、ODAが重要だということになりますと、当然日本がその役割を担わざるを得ないわけであります。
日本にとっての課題は、一つの地域でマーケットメカニズムによる競争、FTAは基本的にそういう性格を持つものですが、それとODA、財政資金を通じてその開発を支援するという行為ですが、これをどうやってバランスを保つのかと。両方がうまく補完的に動けばいいのですが、場合によっては、その原加盟国、ASEANのオリジナルのメンバーは競争をASEAN内でどんどん促進するんだけれども支援はできないので、ASEAN内で不協和音が高まると、日本を見てどうぞお願いしますということになりかねない。あるいは、新規加盟国はそうした構造に不信感を高めて、弱い者同士で集まって弱者連合を結成して、日本、ASEANの原加盟国あるいはアメリカ、中国も視野に入れて揺さぶりを掛けようとすると。これは、ASEANにとっても、あるいは日本にとっても好ましくない方向であろうというふうに思っております。
我が国のODAの課題としては、そこに挙げてあります信頼関係の醸成、ASEANの求心力の維持、あるいは各国の自助努力をいかに誘発するかという問題が課せられておりまして、これを要約すれば、ASEANの経済統合の一層の深化を促す、それによって日・ASEAN標準を東アジアのスタンダードにしてそれをその他の地域に広げるということをODAの一つの目標にする必要があろうというふうに思います。
二点目は、開発課題の多様化、視点として、開発課題の多様化の問題であります。これは東アジアに限ったことではありませんが、グローバル化に伴って、社会不安が拡大する現象がいろんなところで起きております。グローバル化というのは資金とかマーケットで対外依存を必然的に高めますので経済発展のチャンスを得ることはできるんですが、それに伴うリスクも高まると。ミクロレベルで見ても、所得格差が拡大して、貧困層はよりそのショックに対して脆弱になるというような傾向が見られます。開放的な経済体制、例えばWTOに加盟すれば無条件で経済発展をするかというと、そういうことでも当然ないわけであります。
ここに、東アジアにおける幾つかの事例ということで紹介をしております。直近のタイのクーデターだけをここで取り上げてお話ししますが、いろんな見方があるとは思いますが、いわゆるタクシン政権下で市場経済にのっとって成長重視だということでいったその揺り戻しが今回のクーデターととらえることはできないだろうかというふうに私は思っております。
そういう東アジアで起きておりますいろんな摩擦、揺り戻しは、いろんな要因があろうかと思いますが、やはり共通点として、グローバル化によってその所得格差が拡大して貧困層の脆弱性が高まり、それによってナショナリズムが高揚するというメカニズムが働いているというふうに私には思えてならないわけです。
一方で、一橋大学の南先生という方が、第二次大戦前の我が国における著しい不平等が軍部の台頭を招いたという著書で指摘をなされておりますが、この指摘は、東アジアにおけるナショナリズムの高揚とか、あるいは、それが市場統合に与える影響を考える上で重要な示唆を与えるというふうに思うわけであります。
これは、図表九は、先ほど申し上げたWTO加盟によって必ずしも所得が伸びるわけでもないし、貿易が伸びるわけでもないということを確認したものであります。
開発課題の多様化として、もう一つ、グローバル化に伴い、標準モデル、つまり、こうすればこの問題は解決できますよという課題が非常に増えてきたということを申し上げたいと思います。
アジア通貨危機の後に、企業統治はどうあるべきかと、あるいは、資本の自由化どうあるべきだという議論は盛んに行われましたが、マニュアルが完成したわけではありません。あるいは、アジアで進む高齢化に今後アジアはどう備えるべきかという問題も正解のない問題であります。
我が国のODAの課題としまして、上の、さっきも述べました問題を受けると、開放経済体制及び社会変動に伴うリスクをいかに最小限にし、その成長の持続性を高めるかと、そのための政策はどうあるべきか、あるいはその政策をつくる能力をどう支援するかという、より高度な課題にODAは取り組まなければいけないのではないかと。
要約しますれば、従来、基本的には相手国の要請に基づいて我が国ができることを選択して援助してきたわけですが、開発国のニーズを見据えてすべきことに迅速に対応すると、そういう体制が我が国のODAに求められているのではなかろうかというふうに思っております。
三点目でございますが、視点の三点目は、国際的な援助潮流の変化にどう対応するかということであります。
国際的と申しますのは、ここに挙げているのは特に北欧諸国を中心とする援助潮流ですが、重視される点は、そこに書いてありますように、社会セクターを中心に無償援助で、地域としてはサブサハラアフリカを中心にして、相手国のガバナンスを見ながら援助ドナーが協調してこれに当たりましょうということであります。
この援助協調というのは、協調という言葉は美しいんですが、実態上は、最も進んでいる地域では、相手国の長期開発計画と援助計画を整合させて各ドナーが協調してこれに開発に取り組むと。その結果として、援助の目的、手続、手法の共通化がどんどん進んでくると、現場で進んでくるということがあります。更に進みますと、相手国の法制度もそうした援助国のワンボイスの下に変わっていくということが起きます。
これはどういうことを意味しますかというと、金額が大きいからといってドナーコミュニティーあるいは受取国における援助国の存在価値が規定されないということです。協調は実質的には競争にもうなっておりまして、競争に敗れるあるいは参加しないということは我が国のプレゼンスの低下を招くということであります。
じゃ、どうするかということですが、日本としての課題としては、受取国及び他のドナーの支援を得られる包括的、効果的な援助戦略を出して、その成果を積極的に示していくということが今まで以上に必要になってくるというふうに思います。
四点目は、民間投資とODAの関係でございます。
ODA大綱には国益ではなく国民益と書いてありますので国民益というふうに言いますが、直接投資を促進することもODAの役割の一つであるというふうに書かれております。実際、ベトナム、インドネシアでは、そこに書いてありますようなイニシアチブ、行動計画が立ち上がって、進出日系企業から投資上の問題点を聞いて、それを二国間政府の首相同士の合意の下で解決を図っていくというような動き、新しい動きがあります。これは、私は今までにないものとして大変評価をしたい。日系企業も高く評価をしているし、現地の政府からも高く評価されているというふうに思います。
しかし、これはどこでも通用するやり方かというと、そういうわけでもありません。企業の要望に基づくものですから、近視眼的で対象範囲も限定されがちですし、相手国政府と企業との対話の枠組みができれば、日本の政府がそこにいつまでもとどまる必要はなくて退出をしていくというシナリオが妥当であろうと思います。
課題の四つ目として、日本の政府がODAをどう活用すればいいんだろうということで、市場経済の主役である民に聞く、企業に聞くということは非常に重要であります。しかし、官の本当の役割はそこにとどまらず、より幅広い国民益を反映してプロジェクトを作ることではなかろうかというふうに思うわけです。
以上の課題を今三点挙げましたが、一点目の課題、ASEANの経済統合の深化、日・ASEAN標準を広げるということについて具体的に何をしたらいいかということですけれども、これは、ODAの議論とは別のところにあります問題を解決しなければならない。つまり、ODA云々を語る前に、ASEANとの質の高いEPAをまず締結すべきだということを申し上げたいと思います。
二点目は、韓国、タイとか、ODAを卒業したあるいは今後卒業する国とどうやって連携を組むかということが重要になってきます。かつ、これらの国と政策対話と相互モニタリング、お互い経済改革をどう進めているのかというモニタリングも機能させながら、小泉首相、前首相がおっしゃった、ともに進み、ともに歩む率直なパートナーであるというふうにASEANを位置付けられたわけですが、これを具現化していくということが必要なのであろうというふうに思います。
課題の二と三で指摘した点につきましては、新生JICAが誕生しますが、その部分、そこの頭脳部分を拡充して、日本はもちろんなんですが、日本以外のリソースも日本の援助戦略に取り込むような頭脳の拡充が必要であると。それに伴って、ODAの関係組織として海外経済協力会議とかODA戦略会議、各省庁いろんな組織がありますが、あるいはその一方で、日本・ASEAN行動計画とか政府内でいろんなイニシアチブ、構想が発表されております。そういうものをきちんと整理して、新JICAをそこにどう位置付けるんだという議論も必要ではないかというふうに思っております。
そして、下村先生もおっしゃいましたけれども、やはり新JICAは巨大な組織になるわけです。そこで生まれたいろんなノウハウをやっぱり蓄積して発信する能力を高めるというのが一番合理的だと思いますので、現地機能を強化するとともに、日本においてそれを支援する。権限を強化させるんだから評価体制もきっちりとつくるというような体制をつくっていくということが必要であろうと思います。
図表十は、先ほど申し上げました援助協調について若干のイメージを持っていただくために作ったものであります。左が援助協調前、右が援助協調後です。
コア業務の大きさ、つまり予算を遅滞なく執行するというその基本的な業務は、海外の日本の援助機関においてこの業務が全体業務に占める割合というのは非常に小さくなっております。つまり、それだけ周辺業務が大きくなって、先ほど申し上げた課題にとても対応できる体制になっていないと。ゆえに、その図の部分を拡充をしていくということが重要であるというふうに申し上げたいと思います。
四点目の提言は、幅広い国民益を想定したプロジェクトの創造ということでございますが、既存の取組としてはそこに挙げてあるものがもう既に発表されております。しかし、それ以外にも、そこに書いてありますアジアバロメーター、詳しくは申し上げませんが、そういうものとか、東アジアの少子高齢化にどう向き合うかというようなことについても我が国のODAを活用する範囲があろうと。あるいは環境もそうであります。必要なことは、できること、我が国はこの分野に比較優位があるんだからこれをやりますということではなくて、相手側のニーズに立って知の蓄積と統合を図るということが重要なのであろうというふうに思っております。
時間の関係で補足ははしょらせていただきます。
以上でございます。
山
山崎正昭#6
○委員長(山崎正昭君) どうもありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑及び意見表明を行います。
参考人に対する質疑及び意見表明を行う際は、御起立の上、御発言ください。
参考人の方々の御答弁につきましては、各委員の発言時間が限られておりますので、簡潔にお願いをいたします。
なお、御答弁は着席のままで結構でございます。
それでは、順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑及び意見表明を行います。
参考人に対する質疑及び意見表明を行う際は、御起立の上、御発言ください。
参考人の方々の御答弁につきましては、各委員の発言時間が限られておりますので、簡潔にお願いをいたします。
なお、御答弁は着席のままで結構でございます。
それでは、順次御発言願います。
岡
岡田広#7
○岡田広君 自由民主党の岡田広です。
今日は、下村、三浦参考人、本当にありがとうございました。
このODAにつきましては、過日、新聞でこんな記事が載っていました。「ODAで揺れる政府 国際公約守り倍増か 骨太方針通り削減か」という見出しで記事が載っていたわけでありますけれども、これについては、二〇〇五年のサミットやアジア・アフリカ首脳会議の中で、日本のODAを増額するという小泉総理がスピーチをなされました。この国際公約と歳出削減を目指す基本方針の間で政府が揺れているという、こういうことがマスコミに書かれていたわけでありますが、私は、ODAにつきましては、昨年、ASEANプラス3の労働大臣会議に大臣の代理で出席をさせていただきました。そしてまた、エクアドルのODAで病院建設の現場も視察をさせていただきまして、私は小泉総理の考え方に共鳴するものであります。
このODAにつきましては、両参考人の御説明の中にもありましたように、昨年、官邸に海外経済協力会議、そして外務省に国際協力企画立案本部が設置されまして、国際協力機構はJICA、ODA業務の一元的実施機関とする法改正も行われました。新JICA発足は来年の十月の予定と伺っております。ODAをより戦略的、効率的に実施するための改革が進められた年が昨年であったんではないかなと思っています。
そしてまた、来年も大変我が国のODA政策にとっては重要な年であると、そう思っています。途上国支援の在り方も主要テーマの一つになるであろうと思われます先進国首脳会議が我が国で開催をされるということです。議長国としてのリーダーシップが求められることとなり、さらに、我が国が主導して五年に一度開催をしてきたアフリカ開発会議がちょうど開催される年でもあり、冒頭述べました新JICAの発足に当たる年でもあるということで、そういう環境の中でこの参議院において両参考人をお招きしてODAの在り方を聞き議論をするということは、大変時宜を得たものであると私は冒頭申し上げたいと、そう思っております。
限られた時間の中でありますから、何点か下村、三浦両参考人にお尋ねをしたいと思います。
第一点は、日中韓の援助戦略対話の必要性ということです。
これは、三浦参考人の連携型援助というこの研究会報告書も読ませていただきまして、大変すばらしいものがあるというふうに感動をしたわけであります。今日の我が国の厳しい財政状況を考えるときに、先ほど申し上げましたように、骨太方針どおり削減かという、こういう考え方もあるわけであります。そういう中で私は、これから単独で援助を行うんではなくして、関係国と連携をしながら効果的な支援を行っていくべきとの考え方に賛同をするものであります。ASEAN諸国間の格差を縮小させ統合を深化させる方向への支援として、ASEAN原加盟国のシンガポールあるいはタイ、マレーシアなど、ASEAN統合で利益を得る韓国とか台湾と連携して、ベトナム、ラオス等のASEAN新規加盟国への援助を行うという考え方は大変興味深いものがあります。
更に言えば、私は中国との連携をしっかりと考えるべきではないかと思うわけであります。我が国と中国がASEAN諸国に影響力を行使しようとして競合する形で援助を行うということは、ASEAN諸国にとっても不幸なことであるというふうに考えております。韓国も含めて、日中韓で東アジアにおける包括的な地域援助の在り方について戦略対話のようなものを行ってはどうかと、そういうことを考えているわけであります。
冒頭申し上げましたように、昨年、ASEANプラス3の労働大臣会議に出席をさしていただいてASEANのそれぞれの国の大臣や労働大臣と話したときに、これからはASEANの一つ一つの国ではなくしてASEAN全体で、世界の中のアジアという中で生きていかなきゃならないと、そのためには日本と中国が仲よくしてもらいたい、そして日本と中国と韓国と共同してASEANを引っ張ってもらいたいという意見がどの国の大臣、副大臣からもあったことが、私のASEANプラス3の労働大臣会議に出席した最大の感想であったわけでありますけれども、この考え方につきまして是非両参考人から御意見を賜りたいと思います。
この発言だけを見る →今日は、下村、三浦参考人、本当にありがとうございました。
このODAにつきましては、過日、新聞でこんな記事が載っていました。「ODAで揺れる政府 国際公約守り倍増か 骨太方針通り削減か」という見出しで記事が載っていたわけでありますけれども、これについては、二〇〇五年のサミットやアジア・アフリカ首脳会議の中で、日本のODAを増額するという小泉総理がスピーチをなされました。この国際公約と歳出削減を目指す基本方針の間で政府が揺れているという、こういうことがマスコミに書かれていたわけでありますが、私は、ODAにつきましては、昨年、ASEANプラス3の労働大臣会議に大臣の代理で出席をさせていただきました。そしてまた、エクアドルのODAで病院建設の現場も視察をさせていただきまして、私は小泉総理の考え方に共鳴するものであります。
このODAにつきましては、両参考人の御説明の中にもありましたように、昨年、官邸に海外経済協力会議、そして外務省に国際協力企画立案本部が設置されまして、国際協力機構はJICA、ODA業務の一元的実施機関とする法改正も行われました。新JICA発足は来年の十月の予定と伺っております。ODAをより戦略的、効率的に実施するための改革が進められた年が昨年であったんではないかなと思っています。
そしてまた、来年も大変我が国のODA政策にとっては重要な年であると、そう思っています。途上国支援の在り方も主要テーマの一つになるであろうと思われます先進国首脳会議が我が国で開催をされるということです。議長国としてのリーダーシップが求められることとなり、さらに、我が国が主導して五年に一度開催をしてきたアフリカ開発会議がちょうど開催される年でもあり、冒頭述べました新JICAの発足に当たる年でもあるということで、そういう環境の中でこの参議院において両参考人をお招きしてODAの在り方を聞き議論をするということは、大変時宜を得たものであると私は冒頭申し上げたいと、そう思っております。
限られた時間の中でありますから、何点か下村、三浦両参考人にお尋ねをしたいと思います。
第一点は、日中韓の援助戦略対話の必要性ということです。
これは、三浦参考人の連携型援助というこの研究会報告書も読ませていただきまして、大変すばらしいものがあるというふうに感動をしたわけであります。今日の我が国の厳しい財政状況を考えるときに、先ほど申し上げましたように、骨太方針どおり削減かという、こういう考え方もあるわけであります。そういう中で私は、これから単独で援助を行うんではなくして、関係国と連携をしながら効果的な支援を行っていくべきとの考え方に賛同をするものであります。ASEAN諸国間の格差を縮小させ統合を深化させる方向への支援として、ASEAN原加盟国のシンガポールあるいはタイ、マレーシアなど、ASEAN統合で利益を得る韓国とか台湾と連携して、ベトナム、ラオス等のASEAN新規加盟国への援助を行うという考え方は大変興味深いものがあります。
更に言えば、私は中国との連携をしっかりと考えるべきではないかと思うわけであります。我が国と中国がASEAN諸国に影響力を行使しようとして競合する形で援助を行うということは、ASEAN諸国にとっても不幸なことであるというふうに考えております。韓国も含めて、日中韓で東アジアにおける包括的な地域援助の在り方について戦略対話のようなものを行ってはどうかと、そういうことを考えているわけであります。
冒頭申し上げましたように、昨年、ASEANプラス3の労働大臣会議に出席をさしていただいてASEANのそれぞれの国の大臣や労働大臣と話したときに、これからはASEANの一つ一つの国ではなくしてASEAN全体で、世界の中のアジアという中で生きていかなきゃならないと、そのためには日本と中国が仲よくしてもらいたい、そして日本と中国と韓国と共同してASEANを引っ張ってもらいたいという意見がどの国の大臣、副大臣からもあったことが、私のASEANプラス3の労働大臣会議に出席した最大の感想であったわけでありますけれども、この考え方につきまして是非両参考人から御意見を賜りたいと思います。
下
下村恭民#8
○参考人(下村恭民君) 今言われました中国との援助連携、非常に重要な視点で、私もアイデアそのものについては賛成いたします。これが実現できれば、いろんな意味でいい成果が出ると思っております。
同時に、援助について、これ中国だけではございませんけれども、複数のドナーが連携するというのは非常に実務的には難しい問題を生みますし、事務量も非常に高まるということがございます。特に、中国の場合はOECDの開発援助委員会、DACのメンバーでなくて、いろいろな意味でゲームのルールの違うところで援助しているわけですから、なかなか二つの、日本と中国の、あるいは韓国も入るかもしれませんけど、ルールが調整される過程では大変な時間と労力が掛かるかと思います。ということは、それだけの人間のマンパワーを確保するということが、措置が併せて行われる必要があるということだと思いますけれども。
同時に、中国に限らずニュードナーと言われる、まあ中国は必ずしもニュードナーではありませんけれども、非常に新出のドナーではありますが、タイのようなニュードナーとの連携を通じて技術移転をしていくということは、日本のこれからの非常に重要な仕事になるというふうにも思っております。
この発言だけを見る →同時に、援助について、これ中国だけではございませんけれども、複数のドナーが連携するというのは非常に実務的には難しい問題を生みますし、事務量も非常に高まるということがございます。特に、中国の場合はOECDの開発援助委員会、DACのメンバーでなくて、いろいろな意味でゲームのルールの違うところで援助しているわけですから、なかなか二つの、日本と中国の、あるいは韓国も入るかもしれませんけど、ルールが調整される過程では大変な時間と労力が掛かるかと思います。ということは、それだけの人間のマンパワーを確保するということが、措置が併せて行われる必要があるということだと思いますけれども。
同時に、中国に限らずニュードナーと言われる、まあ中国は必ずしもニュードナーではありませんけれども、非常に新出のドナーではありますが、タイのようなニュードナーとの連携を通じて技術移転をしていくということは、日本のこれからの非常に重要な仕事になるというふうにも思っております。
三
三浦有史#9
○参考人(三浦有史君) 私も、おっしゃった考えがもし実現すればそれは大変望ましいことだというふうに思います。
一方で、現実、中国がどういう考えでどういう地域に援助しているのかという現実の問題を見ますと、かなり悲観的にならざるを得ないのかなという印象を持っております。連携はコアの部分をつくって、それを徐々に広げていって、例えば中国がそこに入ってくるように、将来的により長い戦略を持って入ってくるようにしむけるという考え方もできると思いますので、最初みんな集まらないとスタートしませんではなくて、やれるところからやっていくと。そういう意味では、韓国、タイなどでは日本のかつて援助をしていた相手側が今援助をする側となって、その援助をする側の事務方をしているということで、非常に共有できる部分が多いわけですね。そういうところをコアにしてまずは始めてみるというのが重要ではないかなというふうに思います。
この発言だけを見る →一方で、現実、中国がどういう考えでどういう地域に援助しているのかという現実の問題を見ますと、かなり悲観的にならざるを得ないのかなという印象を持っております。連携はコアの部分をつくって、それを徐々に広げていって、例えば中国がそこに入ってくるように、将来的により長い戦略を持って入ってくるようにしむけるという考え方もできると思いますので、最初みんな集まらないとスタートしませんではなくて、やれるところからやっていくと。そういう意味では、韓国、タイなどでは日本のかつて援助をしていた相手側が今援助をする側となって、その援助をする側の事務方をしているということで、非常に共有できる部分が多いわけですね。そういうところをコアにしてまずは始めてみるというのが重要ではないかなというふうに思います。
岡
岡田広#10
○岡田広君 なかなかこれは難しい問題だと思っておりますが、やっぱり日中韓のこの援助、そしてASEAN諸国の底上げをするということはとても大事なことではないかなと思っております。
もう一つ関連でありますが、現在の我が国のODA政策の基本的な枠組み、ODA大綱、そしてODA中期政策、国別援助計画、個別案件という流れになっているわけでありますけれども、ASEAN地域全体をどのような戦略で支援していくのかといった視点の枠組みが欠けているように私は感じられます。
そこで、この中期政策と国別援助計画の間に地域戦略というようなものを策定すべきではないかなというふうに考えるわけでありますけれども、この点につきましても両参考人の御意見をお尋ねしたいと思います。
この発言だけを見る →もう一つ関連でありますが、現在の我が国のODA政策の基本的な枠組み、ODA大綱、そしてODA中期政策、国別援助計画、個別案件という流れになっているわけでありますけれども、ASEAN地域全体をどのような戦略で支援していくのかといった視点の枠組みが欠けているように私は感じられます。
そこで、この中期政策と国別援助計画の間に地域戦略というようなものを策定すべきではないかなというふうに考えるわけでありますけれども、この点につきましても両参考人の御意見をお尋ねしたいと思います。
下
下村恭民#11
○参考人(下村恭民君) 中期政策の下に国別援助計画があるわけですけれども、その間に地域戦略を入れるというお考えは非常に適切なお考えだと思います。ASEANに限らず、いろいろな地域でそういうものが必要になると思います。
このASEANにつきましては、しかしながら卒業に非常に近づきつつある国と低所得で取り残されている国がまずありまして、しかもタイとか、あるいは非常にまだよちよち歩きではございますが、ベトナムとかがカンボジアやラオスに支援をしているという関係がありまして、いわゆる南南協力も進んでいるということで、これは援助戦略というよりも、むしろ、今先生が言われた精神でいうと、ドナーと援助受入れ側のレシピエントが一体となって面的な、その地域という面の意味でどうやっていったら貧困緩和できるかということをお互いに考える。そこで、例えば日本ですとドナーだけですけれども、タイだったらドナーの面と援助受入れの面とある。ベトナムも圧倒的に援助受入れの方が多いと思いますけれども、それなりに技術、資金の供与を周辺のところにやる機能が少しずつ大きくなっていくというふうな形で、重層的に連携をしていくということになるのかなと思いますけれども。
この発言だけを見る →このASEANにつきましては、しかしながら卒業に非常に近づきつつある国と低所得で取り残されている国がまずありまして、しかもタイとか、あるいは非常にまだよちよち歩きではございますが、ベトナムとかがカンボジアやラオスに支援をしているという関係がありまして、いわゆる南南協力も進んでいるということで、これは援助戦略というよりも、むしろ、今先生が言われた精神でいうと、ドナーと援助受入れ側のレシピエントが一体となって面的な、その地域という面の意味でどうやっていったら貧困緩和できるかということをお互いに考える。そこで、例えば日本ですとドナーだけですけれども、タイだったらドナーの面と援助受入れの面とある。ベトナムも圧倒的に援助受入れの方が多いと思いますけれども、それなりに技術、資金の供与を周辺のところにやる機能が少しずつ大きくなっていくというふうな形で、重層的に連携をしていくということになるのかなと思いますけれども。
三
三浦有史#12
○参考人(三浦有史君) お話をいただいて、地域戦略というのは非常に重要であるというふうに私も思います。ないよりはあった方がもちろん望ましいというふうに考えます。がしかし、それをだれが作って、その文書がどういう位置付けになるのかと、ODA大綱、中期政策、国別、その中間というふうにおっしゃいましたが。ということについては慎重に考えた方がいいのかなというふうに、つまり、いろんな援助の関係組織があって、一方でいろんな構想、イニシアチブがあって、文書だけがこうたくさん並んでいるような印象を受けなくもないので。
それが一点と、もう一つは、地域戦略でアジア、ASEANについて書こうとすると、どうしても対中安全保障という観点が必要になってこようと思うんですが、それを文書にしてODA大綱や中期戦略のようにオープンにするということがどこまでなじむのかなと。
そういう観点から、だれが作ってその位置付けをどうするということは慎重であるべきかなというふうには思います。
この発言だけを見る →それが一点と、もう一つは、地域戦略でアジア、ASEANについて書こうとすると、どうしても対中安全保障という観点が必要になってこようと思うんですが、それを文書にしてODA大綱や中期戦略のようにオープンにするということがどこまでなじむのかなと。
そういう観点から、だれが作ってその位置付けをどうするということは慎重であるべきかなというふうには思います。
岡
岡田広#13
○岡田広君 ありがとうございました。
それでは、教育分野の支援についてお尋ねをしたいと思います。
二〇一五年に向けて国際社会が目指すべき目標を示したミレニアム開発目標の八つの目標の中に、初等教育の完全普及の達成というのが掲げられています。食事にも困っているような国、低所得国は貧困削減が第一という考え方もあると思いますが、しかし、その国が自立して発展していくためにはやはり、米百俵の精神ではありませんけれども、教育、取りも直さず初等教育を充実させることが大変重要であると思っています。教育援助額一つ取りましても、G8の中でも日本は〇・九%、ほかのG7の国々は約一・七%ということで、G7のほかの国々に比べても約半分ぐらいということで、小学校に行かない子供も、一九九〇年代という資料を見ますと、この九九年に比べてみると約二千万人減ったということはありますが、また、約七千七百万の人たちが小学校に行けないでいると。
こういうことを考えますと、来年、冒頭申し上げましたように、サミットの議長国として途上国支援の問題でもリーダーシップを発揮する必要性があると思っています。アジアということであれば、カンボジアやラオスなどASEAN新規加盟国に対する初等教育分野への支援を行っていますけれども、ASEAN内の格差縮小を図る上で底上げ的なこれは効果を持つということだろうと思いますけれども、今までの支援も踏まえて、支援の経過も踏まえまして、今後は、初等教育の完全普及に向けて、アフリカ諸国等も含めて支援の一層の拡充を行うということ、大変大事だと思いますし、ほかの支援国にも働き掛けをしていくべきではないかと私は思うわけでありますが、この教育分野への支援の拡充、特にこの初等教育、これについての、完全普及の達成という目標に向かってのお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。両参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →それでは、教育分野の支援についてお尋ねをしたいと思います。
二〇一五年に向けて国際社会が目指すべき目標を示したミレニアム開発目標の八つの目標の中に、初等教育の完全普及の達成というのが掲げられています。食事にも困っているような国、低所得国は貧困削減が第一という考え方もあると思いますが、しかし、その国が自立して発展していくためにはやはり、米百俵の精神ではありませんけれども、教育、取りも直さず初等教育を充実させることが大変重要であると思っています。教育援助額一つ取りましても、G8の中でも日本は〇・九%、ほかのG7の国々は約一・七%ということで、G7のほかの国々に比べても約半分ぐらいということで、小学校に行かない子供も、一九九〇年代という資料を見ますと、この九九年に比べてみると約二千万人減ったということはありますが、また、約七千七百万の人たちが小学校に行けないでいると。
こういうことを考えますと、来年、冒頭申し上げましたように、サミットの議長国として途上国支援の問題でもリーダーシップを発揮する必要性があると思っています。アジアということであれば、カンボジアやラオスなどASEAN新規加盟国に対する初等教育分野への支援を行っていますけれども、ASEAN内の格差縮小を図る上で底上げ的なこれは効果を持つということだろうと思いますけれども、今までの支援も踏まえて、支援の経過も踏まえまして、今後は、初等教育の完全普及に向けて、アフリカ諸国等も含めて支援の一層の拡充を行うということ、大変大事だと思いますし、ほかの支援国にも働き掛けをしていくべきではないかと私は思うわけでありますが、この教育分野への支援の拡充、特にこの初等教育、これについての、完全普及の達成という目標に向かってのお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。両参考人にお願いいたします。
下
下村恭民#14
○参考人(下村恭民君) 今日の対象地域は東アジアでございますけれども、例えばラオスの田舎の村の小学校に行った場合、それからアフリカの例えば砂漠の周辺の村に行って学校に行った場合、全く様子が違います。東アジアはどんな貧困なところでも、とにかく小学校に子供たちがたくさん来て群がっていて非常に目を輝かしているというのが、これが今先生も言われた、今後、貧困緩和、格差縮小する上での一つの大きな資産だと思いますけれども、初等教育を考えるときに非常に重要なのは、就学率を高めることよりも、途中のドロップアウト、脱落する率を下げるということだと思いますけれども、この脱落がなぜ起きるかというと、結局、親が学校に通わせることができなくなるという、貧困と非常に密接に関係しているので、教育だけでは一本立ちできなくて、初等教育をしっかり根付かせるためには、その一定の範囲で生活が成り立つようなための貧困緩和の支援を組み合わせて同じ地域でやらないと持続しないかなというふうに思っております。
この発言だけを見る →三
三浦有史#15
○参考人(三浦有史君) 下村先生の意見に基本的に賛成であります。
例えば、東アジアに限ってみれば、ベトナム、ラオス、カンボジアは大変貧しい国ですけれども、ベトナムはもう自力でその整備が可能な水準にあると思います。ラオス、カンボジアはなかなかそういう状況にないのかもしれません。
日本の資金をもってこれを学校というハードをつくるということは不可能ではないわけですけれども、そこにちゃんとトレーニングされた先生を置いて、その先生の給料をずっと払い続けるということは当然ODAではできませんので、そういうことを考えていきますと、初等教育の普及というのは、目標として世界が掲げている、それは誠に正しいんですが、それをいかに達成するかということを考えていきますと、ODAでする部分と、一方でその貧困をなくす、それはつまり親に雇用の機会を与えてその就業所得を得るという、やっぱり民間セクターなりの投資が起こってそういうことが可能になると、そのバランスを常に考えないといけないのではないかなというふうに思います。
この発言だけを見る →例えば、東アジアに限ってみれば、ベトナム、ラオス、カンボジアは大変貧しい国ですけれども、ベトナムはもう自力でその整備が可能な水準にあると思います。ラオス、カンボジアはなかなかそういう状況にないのかもしれません。
日本の資金をもってこれを学校というハードをつくるということは不可能ではないわけですけれども、そこにちゃんとトレーニングされた先生を置いて、その先生の給料をずっと払い続けるということは当然ODAではできませんので、そういうことを考えていきますと、初等教育の普及というのは、目標として世界が掲げている、それは誠に正しいんですが、それをいかに達成するかということを考えていきますと、ODAでする部分と、一方でその貧困をなくす、それはつまり親に雇用の機会を与えてその就業所得を得るという、やっぱり民間セクターなりの投資が起こってそういうことが可能になると、そのバランスを常に考えないといけないのではないかなというふうに思います。
岡
藤
藤末健三#17
○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。本日は、下村先生、三浦先生、貴重な話をありがとうございます。
まず私は、下村先生に御質問したいことがございます。
昨年、内閣府が、外交に関する世論調査というのを行っておりまして、その中で、今後の日本の経済協力の在り方という調査の結果を見ますと、四五・二%が現在程度でよい、二三・一%が積極的に進めるべきであると、そして二二・一%がなるべく少なく減らしていくべきだという回答がございます。
一つ御質問がございますのは、ODAに否定的な立場を取る理由としまして一つございますのは、どのようなODA、経済協力が行われているかが非常に見えないと、不透明であるというのが四九・一%ございます。そしてまた、我が国の財政状態が良くない中でODA、途上国の支援をやるのかという意見が五七・〇%とございまして、私が思いますのは、下村先生も資料の中でおっしゃっていましたように、独法化されたJICAの予算が、これ減らされるのではないかという議論はあると思います。ただ、私が思いますのは、やはり今のこの財政状況の中において、やはり明確なそのODAの効果、国益の観点からのその費用対効果みたいなものをきちんとこの国民に、有権者に、そして納税者に示すことが非常に重要だと思うんですが、その点について何かお考えをお聞きしたいと思います。それが一つでございます。
そして、二点目にございますのは、ODAに肯定的な意見としまして、途上国の安定に貢献し、世界平和に役立つというのが何と六七・二%ございます、約七割。で、下村先生が日経の記事で、我が国は兵器の輸出をしていない国であるから、そういう兵器を輸出していない国としてのODAを打ち出すべきじゃないかというふうに書かれておられました。私も同様に、日本国憲法の前文にございますように、全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れて平和に生存できるようにするという、これを達成しますということが憲法前文に書かれているわけでございますんで、私は、その日本のODAの理念、今いろんなことがODA大綱にも書かれてございますけれども、憲法前文にあるようなこの平和というものを打ち出してはどうかと思うんですが、その点につきまして御意見を伺えればと思います。よろしくお願いします。
この発言だけを見る →まず私は、下村先生に御質問したいことがございます。
昨年、内閣府が、外交に関する世論調査というのを行っておりまして、その中で、今後の日本の経済協力の在り方という調査の結果を見ますと、四五・二%が現在程度でよい、二三・一%が積極的に進めるべきであると、そして二二・一%がなるべく少なく減らしていくべきだという回答がございます。
一つ御質問がございますのは、ODAに否定的な立場を取る理由としまして一つございますのは、どのようなODA、経済協力が行われているかが非常に見えないと、不透明であるというのが四九・一%ございます。そしてまた、我が国の財政状態が良くない中でODA、途上国の支援をやるのかという意見が五七・〇%とございまして、私が思いますのは、下村先生も資料の中でおっしゃっていましたように、独法化されたJICAの予算が、これ減らされるのではないかという議論はあると思います。ただ、私が思いますのは、やはり今のこの財政状況の中において、やはり明確なそのODAの効果、国益の観点からのその費用対効果みたいなものをきちんとこの国民に、有権者に、そして納税者に示すことが非常に重要だと思うんですが、その点について何かお考えをお聞きしたいと思います。それが一つでございます。
そして、二点目にございますのは、ODAに肯定的な意見としまして、途上国の安定に貢献し、世界平和に役立つというのが何と六七・二%ございます、約七割。で、下村先生が日経の記事で、我が国は兵器の輸出をしていない国であるから、そういう兵器を輸出していない国としてのODAを打ち出すべきじゃないかというふうに書かれておられました。私も同様に、日本国憲法の前文にございますように、全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れて平和に生存できるようにするという、これを達成しますということが憲法前文に書かれているわけでございますんで、私は、その日本のODAの理念、今いろんなことがODA大綱にも書かれてございますけれども、憲法前文にあるようなこの平和というものを打ち出してはどうかと思うんですが、その点につきまして御意見を伺えればと思います。よろしくお願いします。
下
下村恭民#18
○参考人(下村恭民君) ありがとうございました。
世論調査については先生おっしゃったとおりの趨勢がずっと続いているわけですけれども、私はこの世論調査について少しちょっと視点を変えて工夫してみる必要があるんじゃないかなと思っておりまして、今あるちょっと調査をしておりますけれども、経済協力についてどう思いますか、あるいはODAについてどう思いますかという質問をする場合と、国際貢献、国際協力という言葉を使って同じ質問をする場合では、恐らく反応が全く違うんだろうと思いますね。
それで、やはり、今も言われましたように、経済協力、特にODA、援助という言葉は、相当ダーティーイメージというか負のイメージで受け取られていると。それが国際貢献という言葉になると、あるいは国際協力でも恐らく相当違った反応があるだろうと思って、そういう今調査を別途しております。
同時に、そういう負のイメージがどういう媒体、どういう情報源から出ているのかという調査も併せてやっておりますけれども、これは費用対効果を明示的に示すということはそのとおりですけれども、それを政府の広報でやっても私は説得力は非常に薄いんではないかと。やはり一番反応がいいのは、どうもモニターのような形で現地に行って見ていただくというのが、そういう方は一番どうも反応がいいようで、後のですね。
やはり、広報の在り方も含めて、皆さんがどういう媒体に触れていて、そこからどういうイメージを得ているのかということが、結局みんなに費用対効果の正しい姿あるいは実態を示す上で重要な、そういう調査をする、把握をすることが重要だと思っております。
私の感じでは、マスメディアは否定的なネガティブな報道が比較的多いように思いますけれども、一般の人たちが更に否定的なイメージを受けるのがどうもNGOのウエブサイトであるという調査の感じも非常にいたしますので、その辺の情報源への適切な、あるいはバランスの取れた情報の提示ということも地道にやっていく必要があるんではないかなと思います。
それから、平和につきましては、平和構築という言葉は非常に今、旬の用語になっておりますけれども、しかし平和構築を熱心にやりながら途上国に兵器を売っている国が大きなドナーの中に今たくさんあると。そこをやはりもう少し、平和を乱すもとになる兵器、特に小型武器の、これは売る人がいるから買う人がいるわけであって、途上国が軍事予算が多いとかいうことを批判するだけでなくて、やはり何らかの形で売る方に網がかぶせられないかと、それが本当の今見逃されている平和構築のポイントじゃないかというふうに思っております。
この発言だけを見る →世論調査については先生おっしゃったとおりの趨勢がずっと続いているわけですけれども、私はこの世論調査について少しちょっと視点を変えて工夫してみる必要があるんじゃないかなと思っておりまして、今あるちょっと調査をしておりますけれども、経済協力についてどう思いますか、あるいはODAについてどう思いますかという質問をする場合と、国際貢献、国際協力という言葉を使って同じ質問をする場合では、恐らく反応が全く違うんだろうと思いますね。
それで、やはり、今も言われましたように、経済協力、特にODA、援助という言葉は、相当ダーティーイメージというか負のイメージで受け取られていると。それが国際貢献という言葉になると、あるいは国際協力でも恐らく相当違った反応があるだろうと思って、そういう今調査を別途しております。
同時に、そういう負のイメージがどういう媒体、どういう情報源から出ているのかという調査も併せてやっておりますけれども、これは費用対効果を明示的に示すということはそのとおりですけれども、それを政府の広報でやっても私は説得力は非常に薄いんではないかと。やはり一番反応がいいのは、どうもモニターのような形で現地に行って見ていただくというのが、そういう方は一番どうも反応がいいようで、後のですね。
やはり、広報の在り方も含めて、皆さんがどういう媒体に触れていて、そこからどういうイメージを得ているのかということが、結局みんなに費用対効果の正しい姿あるいは実態を示す上で重要な、そういう調査をする、把握をすることが重要だと思っております。
私の感じでは、マスメディアは否定的なネガティブな報道が比較的多いように思いますけれども、一般の人たちが更に否定的なイメージを受けるのがどうもNGOのウエブサイトであるという調査の感じも非常にいたしますので、その辺の情報源への適切な、あるいはバランスの取れた情報の提示ということも地道にやっていく必要があるんではないかなと思います。
それから、平和につきましては、平和構築という言葉は非常に今、旬の用語になっておりますけれども、しかし平和構築を熱心にやりながら途上国に兵器を売っている国が大きなドナーの中に今たくさんあると。そこをやはりもう少し、平和を乱すもとになる兵器、特に小型武器の、これは売る人がいるから買う人がいるわけであって、途上国が軍事予算が多いとかいうことを批判するだけでなくて、やはり何らかの形で売る方に網がかぶせられないかと、それが本当の今見逃されている平和構築のポイントじゃないかというふうに思っております。
藤
藤末健三#19
○藤末健三君 下村先生、本当にありがとうございました。
確かに、モニターって僕も何かアイデアとしてはすごくいいと思いますし、あと、またカンボジアで今我が国が小型武器の回収プロジェクトをやっているじゃないですか。僕はああいうのも進めるべきだと思っておりますので、国会の方からいろいろ頑張ってやっていきたいと思います。
続きまして、三浦先生にお聞きしたいことがございます。
それは、先生が今東アジアにおいてODAをうまく戦略的に使い、そしてFTAの関係とかを述べられておられますけど、私もやはりこのFTA、まあ日本ではEPAと、経済連携協定と言っておりますが、そのODAとの連携がやはり必要になってくるんではないかと思っています。
ただ、先ほど岡田委員からも御指摘がありましたように、今ODAの仕組みがどんどん変わっていまして、一つ海外経済協力会議というのが総理大臣そして四大臣含めて動き出すということでございますが、そこでの議論を見ていると、余りこの経済連携協定というものとODAの関係、そしてまたエネルギー安全保障、先生がおっしゃっているようなエネルギーの共同備蓄、食料安全保障、食料の共同備蓄といったような議論がほとんどされてないような状況でございまして、それをどうすれば進めることができるかと、総合的なODAのみならず、もっと広い視野での外交戦略をつくるにはどうすればいいかということについて、アイデアをいただければと思います。
私は、一つ期待していますのが、来年度の予算要求の中で、アジア版OECDといいまして、東アジアの国が集まりOECD的な研究機関をつくろうではないかということで、日本が三十億ぐらい出すという話がございますので、そういうものが機能していけば動くんではないかとは思うんですが、その点につきまして三浦先生の御意見をいただければと思います。お願いいたします。
この発言だけを見る →確かに、モニターって僕も何かアイデアとしてはすごくいいと思いますし、あと、またカンボジアで今我が国が小型武器の回収プロジェクトをやっているじゃないですか。僕はああいうのも進めるべきだと思っておりますので、国会の方からいろいろ頑張ってやっていきたいと思います。
続きまして、三浦先生にお聞きしたいことがございます。
それは、先生が今東アジアにおいてODAをうまく戦略的に使い、そしてFTAの関係とかを述べられておられますけど、私もやはりこのFTA、まあ日本ではEPAと、経済連携協定と言っておりますが、そのODAとの連携がやはり必要になってくるんではないかと思っています。
ただ、先ほど岡田委員からも御指摘がありましたように、今ODAの仕組みがどんどん変わっていまして、一つ海外経済協力会議というのが総理大臣そして四大臣含めて動き出すということでございますが、そこでの議論を見ていると、余りこの経済連携協定というものとODAの関係、そしてまたエネルギー安全保障、先生がおっしゃっているようなエネルギーの共同備蓄、食料安全保障、食料の共同備蓄といったような議論がほとんどされてないような状況でございまして、それをどうすれば進めることができるかと、総合的なODAのみならず、もっと広い視野での外交戦略をつくるにはどうすればいいかということについて、アイデアをいただければと思います。
私は、一つ期待していますのが、来年度の予算要求の中で、アジア版OECDといいまして、東アジアの国が集まりOECD的な研究機関をつくろうではないかということで、日本が三十億ぐらい出すという話がございますので、そういうものが機能していけば動くんではないかとは思うんですが、その点につきまして三浦先生の御意見をいただければと思います。お願いいたします。
三
三浦有史#20
○参考人(三浦有史君) 非常に難しい問題をいただきました。
アジア版OECDは私も目にしておりますが、それがうまく立ち上がって機能すれば問題がもちろんないわけですが、ただ考えてみますと、アジア開発銀行の研究所も日本にあるわけです。そういういろんなところ、政府系のJICA、JBICにも研究所があり、外務省にも研究所があって、少なからずそういう考え、発想をお持ちの方がそれぞれ勤務をしておられると。
アジア版OECDの紙を政府のウエブサイトで見ましたときの私の印象は、この交通整理は一体どうなるんだろうと。もちろん、別の考え方として、それぞれが切磋琢磨してよりいいものを出すように競争すればいいという考え方も一方ではあります。ただ、そういうふうにうまくいけばいいんですが、そうではなくて屋上屋を重ねるようなことになりはしないかという懸念をむしろ私は深めております。
したがって、少なくとも予算を運営の資金とするような団体については、交通整理をしてから、それぞれの業務で何を目指すべきかということをもう一回整理をした方がいいのではないかという印象も持っております。
この発言だけを見る →アジア版OECDは私も目にしておりますが、それがうまく立ち上がって機能すれば問題がもちろんないわけですが、ただ考えてみますと、アジア開発銀行の研究所も日本にあるわけです。そういういろんなところ、政府系のJICA、JBICにも研究所があり、外務省にも研究所があって、少なからずそういう考え、発想をお持ちの方がそれぞれ勤務をしておられると。
アジア版OECDの紙を政府のウエブサイトで見ましたときの私の印象は、この交通整理は一体どうなるんだろうと。もちろん、別の考え方として、それぞれが切磋琢磨してよりいいものを出すように競争すればいいという考え方も一方ではあります。ただ、そういうふうにうまくいけばいいんですが、そうではなくて屋上屋を重ねるようなことになりはしないかという懸念をむしろ私は深めております。
したがって、少なくとも予算を運営の資金とするような団体については、交通整理をしてから、それぞれの業務で何を目指すべきかということをもう一回整理をした方がいいのではないかという印象も持っております。
藤
藤末健三#21
○藤末健三君 確かに、御指摘のとおりかもしれません。私ちょっと個人的に思っていますのは、日本には今独立した外交の研究機関がないじゃないですか、正直申し上げて。ですから、それをまずつくるということもあるのかなということをちょっと思っておりますが、これはちょっと質問するとまた時間が掛かるので、次の質問に移らさせていただきたいと思います。
これは両先生にお聞きしたいんですが、やはりお二人、先生の御議論を見ていますと、私一つ感じていますのは、我々はやはり国会議員のこのODAに対する影響というのが非常に重要じゃないかなという気がしております。政治の主導によるODAの運用ということが非常に重要だと私は感じておりまして、また、御説明をお聞きしても思いました。
我々今このODA委員会ということでいろいろな議論をさしていただいているんですが、私は、ちょっと調べてみますとアメリカの開発援助庁、USAIDという組織がございますけれども、そのUSAIDの活動をだれが規定しているかということを見ますと、何と対外援助法という法律がございまして、そのODAのいろんな大きな枠組み、方針を議会が議論しているということ。まだちょっと条文まだ手に入れていませんので、細かい運営は分からないんですけれども、ということが、情報がございます。
そのようにODAと、そして議会との関係ということにつきまして、両先生のお考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →これは両先生にお聞きしたいんですが、やはりお二人、先生の御議論を見ていますと、私一つ感じていますのは、我々はやはり国会議員のこのODAに対する影響というのが非常に重要じゃないかなという気がしております。政治の主導によるODAの運用ということが非常に重要だと私は感じておりまして、また、御説明をお聞きしても思いました。
我々今このODA委員会ということでいろいろな議論をさしていただいているんですが、私は、ちょっと調べてみますとアメリカの開発援助庁、USAIDという組織がございますけれども、そのUSAIDの活動をだれが規定しているかということを見ますと、何と対外援助法という法律がございまして、そのODAのいろんな大きな枠組み、方針を議会が議論しているということ。まだちょっと条文まだ手に入れていませんので、細かい運営は分からないんですけれども、ということが、情報がございます。
そのようにODAと、そして議会との関係ということにつきまして、両先生のお考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
下
下村恭民#22
○参考人(下村恭民君) 議会の役割は大変重要で大きいという点は全く同感でございます。
ちょっと二点申し上げたいと思いますけれども、いわゆる基本法的なものを持っている重要なドナーと持っていない重要なドナーの二つありまして、アメリカは、今おっしゃったアメリカは持っている方ですけれども、持っていないドイツのようなあるいはフランスのような国もございます。どちらがいいかというよりも、議会がどういうふうに機能をしているかということがかぎになるんだろうと思います。
企業としてはやはりどれだけ、特にパフォーマンスについて中途の段階のモニタリングと、パフォーマンスの事後評価について正確な情報を得て、どれだけチェックして今後改善に結び付けていくかというところに特に力を入れていただくと、そこのところが、事後評価も非常に外部の人も入れてたくさん行われておりまして、その情報を議会の方で、国会の方で包括的に把握していただいて、それについて問題提起を次々に出していただくということが一番重要なお願いしたい点じゃないかというふうに思っております。
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企業としてはやはりどれだけ、特にパフォーマンスについて中途の段階のモニタリングと、パフォーマンスの事後評価について正確な情報を得て、どれだけチェックして今後改善に結び付けていくかというところに特に力を入れていただくと、そこのところが、事後評価も非常に外部の人も入れてたくさん行われておりまして、その情報を議会の方で、国会の方で包括的に把握していただいて、それについて問題提起を次々に出していただくということが一番重要なお願いしたい点じゃないかというふうに思っております。
三
三浦有史#23
○参考人(三浦有史君) 御指摘いただいた点は、ODAをめぐる日本の関係者の間では少なからず前から問題意識がある問題でございまして、アメリカ型にすべきだという人が日本の中にもいるわけですが、それが果たして日本の外交なりあるいはその中でODAが担う役割と果たしてマッチしているのかと。つまり、そういうことを考えると、私は個人的にはアメリカの議会がチェックしていくやり方は日本にはなじみにくいのかなという印象を持っております。
議会の役割については下村先生のおっしゃった意見に全く賛成でございまして、その前段の投入部分はやはり外務省なりあるいは新生JICAの頭脳部分を私は大きくすべきだというふうに申し上げましたが、やはりそこにかなり権限を与えて、あるいはもっと現場に権限を与えて自由にやらせたらいいのではないかと。その代わり、その権限を与えた分、しっかり評価をしますよ、そこを国民の前にきちんと出していきますよと。
費用対効果というふうに前にお話が出ましたけど、ODAはどうしてもその部分があいまいになりがちなんで、数字できれいにその企業の売上げが費用対効果に出てこない部分が相当あるわけですが、そこら辺を議会の判断を含めて国民の前にきちんと出していくという役割は、議会として私などはむしろ積極的にやっていただきたいというふうに思う次第であります。
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費用対効果というふうに前にお話が出ましたけど、ODAはどうしてもその部分があいまいになりがちなんで、数字できれいにその企業の売上げが費用対効果に出てこない部分が相当あるわけですが、そこら辺を議会の判断を含めて国民の前にきちんと出していくという役割は、議会として私などはむしろ積極的にやっていただきたいというふうに思う次第であります。
藤
藤末健三#24
○藤末健三君 もうあと時間が余りないので簡単にちょっとお答えいただきたいんですけれども、私は、今こうやって国会議員が、参議院議員が集まりましてODAの議論をしているわけでございますけれども、この議論した内容を何か報告書かレポートかにまとめて政府にぶつけるようなことを僕はすべきじゃないかなと思っております、正直申し上げて。
そういうことにつきましては、先生方お二人はどうお考えでしょうか。もう個人的な御意見で結構ですので、お願いします。
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下
下村恭民#25
○参考人(下村恭民君) それは大変結構なことだと思いますけれども、できれば非常に大きな、大所高所の総論と合わせてそのときそのとき少なくとも一つの具体的な、極めて実質的なポイントを具体的に入れていただくということが有り難いかなと思いますけれども。
この発言だけを見る →三
藤
藤末健三#27
○藤末健三君 最後に。
下村先生や三浦先生、本当に貴重な御意見ありがとうございました。また最後に、今回の私の質疑を手伝っていただきましたうちの事務所のインターンでございます秦祐一郎君にお礼を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。失礼します。
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どうもありがとうございました。失礼します。
高
高野博師#28
○高野博師君 下村参考人、三浦参考人に、貴重な御意見をありがとうございます。
私が質問したかったことはほぼ先生方の意見の陳述の中にありましたのですが、何点かちょっと確認をする意味で質問させていただきたいと思います。
ODAが日本の外交の唯一の手段だということはもう議論の余地はないと思うんですが、ODAという言葉はかなり手あかが付いている、マイナスのイメージがあるということも事実だろうと思いますが、これ以上ODAを減らすということは、我が国の国際社会におけるプレゼンスを低下を招くという意味でも、もう限界に来ているのではないかなと思います。
外交力の強化ということも我が党としても一生懸命力を入れてまいりました。したがって、ODAを量と質という点から充実させるということは非常に重要であろうと思っておりますが、人間の安全保障等のきちんとした理念に基づいてやるということも重要でありますし、最近は国益とか戦略というような点にかなり重点が置かれておりますが、国益ばかりではなくて、地球益、人類益という意味での例えば温暖化対策ということも視点として入れる必要があるんではないかなと思います。今日のテーマであります東アジアの発展と日本のODAということでありますが、正に戦略と国益ということを考えると、東アジアに重点的にODAを供与していくということは重要であろうと思います。
そこで、東アジア共同体、これを形成する方向にありますが、その過程で日本はどんな役割を果たすのか、あるいは、中国との主導権争い等の政治的な側面もありますけれども、その中で、FTAあるいはEPAとODAとの関係、連携、これをどうしたらうまくやれるのかということが質問であります。経済のグローバル化、市場経済化の中で、格差という問題も起きている、あるいはテロというような問題も起きている、そういう中で、東アジアも国の間の格差が大きくなっている、あるいは国内的にも格差というのが大きくなっているという事実があるんだろうと思いますが。
ちょっとこれは余談になりますが、中国も格差問題を抱えていると、都市部と農村で十倍と言われているんですが、私が最近一番注目しているというか驚いたのは、中国は農民税を廃止したと。これはもう二千六百年前にできた、春秋時代にできた農民税を廃止した、そして農民の子弟の教育費を無償にしたと。これはすごいことをやるなと思ったんですね。これは、歴代の政権の末期には必ず農民の反乱が起きていたというような歴史的な事実も含めますと、農民税に頼らなくても中国はやっていけるだけの経済発展があったということと、もう一方では、胡錦濤国家主席の主導権は、もう完全に権力は掌握したのかなと。そういうことかと思いますが、日中関係も改善された中で、戦略的互恵関係というのが日中関係の今キーワードになっていると思いますが、具体的にそれをどうするのかという中で、環境問題、エネルギー問題、こういうところがこの戦略的互恵の具体化の中身になってくると思いますが、中国に対しては、もうODAではない枠組みで環境協力をやっていこうということになるんだと思います。
それから、先ほどのEPAとODAの有機的な効果的な連携、活用という点で、じゃ具体的にプロジェクト、案件を発掘するのはどうするのかということでありますが、私も東南アジアの国々へ行きますと、日本のODAに対しては中国カードを結構切ってくるんですね。中国はこういう分野をやってくれているけれども日本はやってくれないのかとか、中国はこういうかなりの量をやるけれども日本はというような比較をしたり、これに対しては、日本と中国は違うんですよと、そもそも先進国と途上国という関係の中でODAの供与できる分野というのは全然違うんですよと、そういう説明をするんですが、なかなかそこは理解されてない。
そこで、現場のODAが、いろんなODAの理念とかいろいろ議論の中で、実際に現地に行くと、ODAの案件というのは意外と単純なものしか出てこない。そこに戦略性があるかというと、必ずしもそうでもないと私は感じておりまして、それはやるかやらないのかというような感じでありますので、そのプロジェクトの形成、あるいはプロジェクトの創造、発掘、そこはかなり専門性というか、そういう専門的な人材がいないとなかなかいい発掘ができないんではないかなと思うんですね。そういう中での、さっき言いましたようなEPAとかFTAというこの連携の中で、どういう案件を発掘するかということは非常に重要だと思うんですが、そういう分野でかなり限界があるのかなと私は思っております。
そこで、お二人の先生にその東アジア共同体をつくっていく中でのEPAと、そしてそのODAとの連携、例えば農業協力をある国でやりましたと、相当そこの農業が発展しましたと、しかし、今度はEPAを結ぶ段階になって、今度は農産物が自由に入ってくると日本の農業が影響を受けますということになっているところもあるわけですね。すると、これは全然全く連携が取れていないということになると思うんです。こういう点についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →私が質問したかったことはほぼ先生方の意見の陳述の中にありましたのですが、何点かちょっと確認をする意味で質問させていただきたいと思います。
ODAが日本の外交の唯一の手段だということはもう議論の余地はないと思うんですが、ODAという言葉はかなり手あかが付いている、マイナスのイメージがあるということも事実だろうと思いますが、これ以上ODAを減らすということは、我が国の国際社会におけるプレゼンスを低下を招くという意味でも、もう限界に来ているのではないかなと思います。
外交力の強化ということも我が党としても一生懸命力を入れてまいりました。したがって、ODAを量と質という点から充実させるということは非常に重要であろうと思っておりますが、人間の安全保障等のきちんとした理念に基づいてやるということも重要でありますし、最近は国益とか戦略というような点にかなり重点が置かれておりますが、国益ばかりではなくて、地球益、人類益という意味での例えば温暖化対策ということも視点として入れる必要があるんではないかなと思います。今日のテーマであります東アジアの発展と日本のODAということでありますが、正に戦略と国益ということを考えると、東アジアに重点的にODAを供与していくということは重要であろうと思います。
そこで、東アジア共同体、これを形成する方向にありますが、その過程で日本はどんな役割を果たすのか、あるいは、中国との主導権争い等の政治的な側面もありますけれども、その中で、FTAあるいはEPAとODAとの関係、連携、これをどうしたらうまくやれるのかということが質問であります。経済のグローバル化、市場経済化の中で、格差という問題も起きている、あるいはテロというような問題も起きている、そういう中で、東アジアも国の間の格差が大きくなっている、あるいは国内的にも格差というのが大きくなっているという事実があるんだろうと思いますが。
ちょっとこれは余談になりますが、中国も格差問題を抱えていると、都市部と農村で十倍と言われているんですが、私が最近一番注目しているというか驚いたのは、中国は農民税を廃止したと。これはもう二千六百年前にできた、春秋時代にできた農民税を廃止した、そして農民の子弟の教育費を無償にしたと。これはすごいことをやるなと思ったんですね。これは、歴代の政権の末期には必ず農民の反乱が起きていたというような歴史的な事実も含めますと、農民税に頼らなくても中国はやっていけるだけの経済発展があったということと、もう一方では、胡錦濤国家主席の主導権は、もう完全に権力は掌握したのかなと。そういうことかと思いますが、日中関係も改善された中で、戦略的互恵関係というのが日中関係の今キーワードになっていると思いますが、具体的にそれをどうするのかという中で、環境問題、エネルギー問題、こういうところがこの戦略的互恵の具体化の中身になってくると思いますが、中国に対しては、もうODAではない枠組みで環境協力をやっていこうということになるんだと思います。
それから、先ほどのEPAとODAの有機的な効果的な連携、活用という点で、じゃ具体的にプロジェクト、案件を発掘するのはどうするのかということでありますが、私も東南アジアの国々へ行きますと、日本のODAに対しては中国カードを結構切ってくるんですね。中国はこういう分野をやってくれているけれども日本はやってくれないのかとか、中国はこういうかなりの量をやるけれども日本はというような比較をしたり、これに対しては、日本と中国は違うんですよと、そもそも先進国と途上国という関係の中でODAの供与できる分野というのは全然違うんですよと、そういう説明をするんですが、なかなかそこは理解されてない。
そこで、現場のODAが、いろんなODAの理念とかいろいろ議論の中で、実際に現地に行くと、ODAの案件というのは意外と単純なものしか出てこない。そこに戦略性があるかというと、必ずしもそうでもないと私は感じておりまして、それはやるかやらないのかというような感じでありますので、そのプロジェクトの形成、あるいはプロジェクトの創造、発掘、そこはかなり専門性というか、そういう専門的な人材がいないとなかなかいい発掘ができないんではないかなと思うんですね。そういう中での、さっき言いましたようなEPAとかFTAというこの連携の中で、どういう案件を発掘するかということは非常に重要だと思うんですが、そういう分野でかなり限界があるのかなと私は思っております。
そこで、お二人の先生にその東アジア共同体をつくっていく中でのEPAと、そしてそのODAとの連携、例えば農業協力をある国でやりましたと、相当そこの農業が発展しましたと、しかし、今度はEPAを結ぶ段階になって、今度は農産物が自由に入ってくると日本の農業が影響を受けますということになっているところもあるわけですね。すると、これは全然全く連携が取れていないということになると思うんです。こういう点についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
下
下村恭民#29
○参考人(下村恭民君) いろいろ重要な問題を数多く指摘されましたので三点に絞ってちょっとお話ししたいと思いますけれども、一つは戦略ということですけれども、我々どうしてもODAの話をしていると、戦略とか国益とか援助を出す側の視点が非常に濃厚になってしまうわけですけれども、この援助の受け手と出し手というのはあくまでもパートナーなわけですから、やはり両方の視点が同じぐらいのウエートを持って考えられる必要があると。
そういう意味で、最近西欧型のドナーの発想に非常に近づいて、援助を出す側の戦略ということが非常に重視されるようになったのはやや危ないなという感じを持っておりまして、やはり援助を受け入れる側の立場に立って、できるだけその強みを生かすという、あるいは彼らの主体性を生かすということもバランスを取って行われる必要があるかなというふうに思っております。
それから二番目に、格差について触れられたわけですけれども、ASEANの国々ですね、特にタイとかインドネシアとかマレーシアが一九七〇年代、八〇年代に経済発展したころは非常に所得格差、地域格差について気配りをしておりました、指導者が。しかし、中国とインドはそれと全く違うと。まず成長して、それから分配するという感じに非常に近くなっていて、これはさっき三浦さん触れられましたけれども、かなりこれも危ういものを含んでいると思います。これはもう時代の流れではございますが、それだけに今先生が言われたその格差についての補正ということが援助する上での非常に重要なテーマになってくると思います。
それから最後に、地域協力とODAの関係。これは三浦さんが先ほどかなり触れられまして、またそこについて御説明されると思いますので、私一点だけ申し上げますと、やはり国同士のバイの、二国間のFTAのようなものが非常に広がっていくと、そこではじき出されるのが結局、東アジアでいうとラオスとかカンボジアのような国々であって、結局それは魅力がないから二国間の枠内に入ってこないわけですけれども、そういうところにやはり参加資格を与えられるようにするためには結局援助しかないと。そのFTAとかEPAとかいうものについては、ODAよりもむしろ民間の役割の方が圧倒的に大きいわけですけれども、それに参加できるようにすることがODAの役目になるのかなというふうに思っております。
この発言だけを見る →そういう意味で、最近西欧型のドナーの発想に非常に近づいて、援助を出す側の戦略ということが非常に重視されるようになったのはやや危ないなという感じを持っておりまして、やはり援助を受け入れる側の立場に立って、できるだけその強みを生かすという、あるいは彼らの主体性を生かすということもバランスを取って行われる必要があるかなというふうに思っております。
それから二番目に、格差について触れられたわけですけれども、ASEANの国々ですね、特にタイとかインドネシアとかマレーシアが一九七〇年代、八〇年代に経済発展したころは非常に所得格差、地域格差について気配りをしておりました、指導者が。しかし、中国とインドはそれと全く違うと。まず成長して、それから分配するという感じに非常に近くなっていて、これはさっき三浦さん触れられましたけれども、かなりこれも危ういものを含んでいると思います。これはもう時代の流れではございますが、それだけに今先生が言われたその格差についての補正ということが援助する上での非常に重要なテーマになってくると思います。
それから最後に、地域協力とODAの関係。これは三浦さんが先ほどかなり触れられまして、またそこについて御説明されると思いますので、私一点だけ申し上げますと、やはり国同士のバイの、二国間のFTAのようなものが非常に広がっていくと、そこではじき出されるのが結局、東アジアでいうとラオスとかカンボジアのような国々であって、結局それは魅力がないから二国間の枠内に入ってこないわけですけれども、そういうところにやはり参加資格を与えられるようにするためには結局援助しかないと。そのFTAとかEPAとかいうものについては、ODAよりもむしろ民間の役割の方が圧倒的に大きいわけですけれども、それに参加できるようにすることがODAの役目になるのかなというふうに思っております。