予算委員会公聴会

2014-02-25 衆議院 全159発言

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会議録情報#0
平成二十六年二月二十五日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 二階 俊博君
   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君
   理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君
   理事 林  幹雄君 理事 松本  純君
   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君
   理事 石田 祝稔君
      あかま二郎君    秋元  司君
      穴見 陽一君    伊藤 達也君
      池田 佳隆君    今村 雅弘君
      岩屋  毅君   うえの賢一郎君
      衛藤征士郎君    越智 隆雄君
      大島 理森君    加藤 寛治君
      金子 一義君    熊田 裕通君
      小池百合子君    佐田玄一郎君
      斎藤 洋明君    新谷 正義君
      菅原 一秀君    関  芳弘君
      薗浦健太郎君    高木 宏壽君
      津島  淳君    辻  清人君
      中川 郁子君    中山 泰秀君
      野田  毅君    原田 義昭君
      船田  元君    前田 一男君
      宮崎 謙介君    宮澤 博行君
      宮路 和明君    武藤 貴也君
      保岡 興治君    山本 幸三君
      山本 有二君    大串 博志君
      岡田 克也君    篠原  孝君
      古川 元久君    坂本祐之輔君
      重徳 和彦君    杉田 水脈君
      中山 成彬君    西野 弘一君
      伊佐 進一君    浜地 雅一君
      大熊 利昭君    佐藤 正夫君
      柿沢 未途君    林  宙紀君
      宮本 岳志君    青木  愛君
      畑  浩治君
    …………………………………
   公述人
   (株式会社野村総合研究所顧問)
   (東京大学公共政策大学院客員教授)        増田 寛也君
   公述人
   (日本労働組合総連合会事務局長)         神津里季生君
   公述人
   (桜美林大学リベラルアーツ学群教授)       藤田  実君
   公述人
   (一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)           山下 一仁君
   公述人
   (SMBC日興証券金融経済調査部部長)
   (金融財政アナリスト)  末澤 豪謙君
   公述人
   (ソシエテジェネラル証券会社東京支店東京支店長) 島本 幸治君
   公述人
   (パーソナルケア株式会社代表取締役)       木村惠津子君
   公述人
   (日本金融財政研究所所長)            菊池 英博君
   予算委員会専門員     石崎 貴俊君
    —————————————
委員の異動
二月二十五日
 辞任         補欠選任
  秋元  司君     辻  清人君
  うえの賢一郎君    武藤 貴也君
  越智 隆雄君     池田 佳隆君
  大島 理森君     熊田 裕通君
  菅原 一秀君     穴見 陽一君
  関  芳弘君     宮澤 博行君
  西川 公也君     宮崎 謙介君
  船田  元君     新谷 正義君
  宮路 和明君     加藤 寛治君
  佐藤 正夫君     大熊 利昭君
  柿沢 未途君     林  宙紀君
  畑  浩治君     青木  愛君
同日
 辞任         補欠選任
  穴見 陽一君     菅原 一秀君
  池田 佳隆君     越智 隆雄君
  加藤 寛治君     宮路 和明君
  熊田 裕通君     大島 理森君
  新谷 正義君     斎藤 洋明君
  辻  清人君     前田 一男君
  宮崎 謙介君     西川 公也君
  宮澤 博行君     関  芳弘君
  武藤 貴也君     うえの賢一郎君
  大熊 利昭君     佐藤 正夫君
  林  宙紀君     柿沢 未途君
  青木  愛君     畑  浩治君
同日
 辞任         補欠選任
  斎藤 洋明君     船田  元君
  前田 一男君     中川 郁子君
同日
 辞任         補欠選任
  中川 郁子君     高木 宏壽君
同日
 辞任         補欠選任
  高木 宏壽君     津島  淳君
同日
 辞任         補欠選任
  津島  淳君     秋元  司君
    —————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
 平成二十六年度一般会計予算
 平成二十六年度特別会計予算
 平成二十六年度政府関係機関予算
     ————◇—————
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二階俊博#1
○二階委員長 これより会議を開きます。
 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算、平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
 この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜り、まことにありがとうございます。平成二十六年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
 御意見を賜る順序といたしましては、まず増田寛也公述人、次に神津里季生公述人、次に藤田実公述人、次に山下一仁公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、増田公述人にお願い申し上げます。
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増田寛也#2
○増田公述人 おはようございます。この場にお招きをいただきまして、大変光栄でございます。増田寛也でございます。
 現在、野村総合研究所の顧問と、そして東大の大学院の方で教えているところでございますが、きょうは、来年度の予算案につきまして、賛成の立場から陳述をさせていただきたいと思います。
 そして、野村グループで、お手元に資料を用意してございますが、日本経済の現状と今後の見通しを我々の中で議論して、まとめております。その要点を本当にかいつまんで申し上げますと同時に、後半の、ページ数にいたしまして三十二ページ以降に、参考資料として、人口減少問題のテーマ、私が昨年の十二月号の中央公論の方にこの問題の論文を取り上げて書かせていただきました。この点についてお話を申し上げまして、また審議の参考にしていただきたい、このように考えております。
 初めに、我が国の経済の見通しを野村総合研究所の立場でどう見ているかということをかいつまんで申し上げます。
 お手元の資料の一ページから三ページまで、一言で言いますと、お金、資金の先進国回帰ということであります。
 一ページ目の一番左側に実質GDPの成長率が出ておりますが、世界で二〇一三から一四年にかけて、二・九から三・五に加速をいたします。先進国は一・二から二・二、これに対して新興国は、水準は高うございますが、四・七から四・九というふうに見ておりまして、ほとんど加速感が出てこない状況でございます。このように、資金の全体的な先進国回帰という現象が今後出てくるというふうに見ております。
 その上で、四ページに日本経済見通しの要約表が出ておりますが、一番上の実質国内総生産、今年度で二・二%、来年度一・四、そして再来年度一・九、ついこの間まではもう少し高く見ておりましたが、六ページの十—十二月期の実質GDPの成長率、先日発表になりました市場コンセンサスが二・八%ぐらいでございましたが、思いのほか低くて一・〇という、輸出が振るわなかったということでございます。そういったことで、今年度二・二と下方修正をしております。日銀の方での見通しは二・七ということでございます。恐らく二%台の前半ではないかというふうに見ております。
 そして、さらに少し行きますと、八ページに、ことしの四月からの消費税率引き上げの影響が出ております。このことによりまして、実質GDP、マイナス〇・六八%程度の影響が出てくるだろう。日本の潜在成長率が〇・五ないし一%というふうに言われておりますので、それを打ち消すぐらいのものでございます。
 したがって、九ページに、追加対策ということで補正予算五・五兆円を編成されたわけでございますが、的確な対応であったと思いますのと同時に、これを早期に、確実に執行していただくということが必要かというふうに思っております。
 なお、この関係では、十一ページに建設業の実態が出ております。
 特に、十一ページの右側でありますが、右側のグラフの左軸、黒い線が有効求人数であります。今、求人数が十五万人ほどおりますが、御案内のとおり、スペシャリストが特に足りない。型枠工を初めスペシャリストが足りないということでございます。外国人で今働いているのが実数で一万六千人ぐらいというふうに言われておりますが、こういった技能労働者不足は深刻な問題がございますので、これをどのようにするか、的確な御対応をいろいろとお考えいただければというふうに思うわけであります。
 そして、これまでが財政の問題でありますが、十三ページ以下は金融の関係でございます。
 この金融の関係は、足元でインフレ率は当初の予想を上回るペースで上昇しておりますが、一言で言うと、円安でエネルギー価格が上昇しているということでほとんど説明がつくかと思います。ただ、十四ページに書いておりますように、インフレの基調は変わらないと思いますが、今後、エネルギー価格が鈍化する、そして、消費税増税後、どうしても消費が低迷いたしますので、インフレ率が鈍化してくる。一五年中に二%という目標がございますが、その達成は、いろいろなことをしないとなかなか容易でないのであろうというふうに思っております。
 そして、問題は賃金です。十七ページ以下がその分析でございますが、労働需給の逼迫が賃金上昇にきちんとつながっていくかどうかということでありますが、十八ページに書いてございますとおり、マクロ賃金、雇用者報酬全体の伸びが抑制をされておりますが、その背景には、パート化の進展によっていわゆるベースの所定内給与が低下をしているという、十八ページ、左、右ともそれでございます。
 したがって、十九ページに書いてございますとおり、特に非製造業における雇用形態の変化ということがポイントではないかというふうに思っております。
 少し先を急ぎますが、あと、二十四ページ以下、二十三ページに生産が実質GDPの堅調回復を示唆しているというふうに分析をしておりますが、問題は、これだけの円安であるにもかかわらず、なかなか輸出の伸びにつながっていかない、この点でございます。
 なぜそうなのかということですが、二十五ページに少し書いておりますが、前回は、これが二〇〇五年から七年ぐらいはうまくつながっていったんですが、今回、一般機械、輸送機械、いわゆる自動車関係は勝ち組と言われていますが、電気機器が十分でない。ここに大きなイノベーションなどが必要になろうかというふうに考えております。
 そして、これが最後になりますが、二十九ページ、いろいろと、設備投資にこうしたことがつながっていくかどうかということでございますが、ひとえに、輸出がうまくいくかどうかということで、輸出の増が生産増につながって、稼働率が上がって設備投資に向かっていく、こういう好循環を生み出すことができるかどうかでありますが、当面はどうも、三十ページに書いておりますとおり、更新投資が中心のようでございます。この点が今後きちんとした政策によって打破できるかということだと思います。
 三十二ページ以下、きょうは、審議の御参考に、人口減少問題について幾つかポイントを申し上げておきたいというふうに思います。詳しくは、昨年十二月に出ました中央公論の方にいろいろ書いてございます。
 三十三ページに、「日本の人口減少は、簡単には止まらない」ということで、よくこの問題を議論するときに使います図でございますが、出生率が二〇〇五年に一・二六まで低下をし、現在、一・四一まで上がっております。
 このように、出生率が上がったにもかかわらず、棒グラフの縦軸の出生数の方が一貫してその後も減っているということは、要は、第二次ベビーブーム世代、一九七一年から七四年に生まれた方も、もう七四年生まれの方がことし四十歳ということで、若い二十代、三十代の女性の数が今急激に減り始めている。したがって、出生率が上がっても、全体の生まれてくる子供はふえないという大変深刻な状況にもう突入してきているということであります。
 そして、これを私どもは市町村別にきちんと分析してみようということで、昨年三月に公表されました、社会保障・人口問題研究所、いわゆる社人研の数字を、データを使って分析したんですが、マクロで、全国の数字で見ますと、三十四ページ、高齢者の数が二〇四〇年までにふえて、その後、横ばいから減少するということで、当面、この第一段階の様子にあるのが全国の傾向でございます。
 ところが、二〇四〇年あるいは二〇六〇年以降の第二段階、第三段階にもう突入している市町村が、実は全国でかなり存在をしている。大都市はまだ第一段階で、これから高齢者がふえるんです。地方の方は、岩手のところはおおむね第二段階、第三段階でありますが、高齢者も横ばいから減り始め、若い者はもっと減るという、全国の数字を三十年から五十年ぐらい先取りするような形になっております。それが、三十五ページ、三十六ページに出てございます。
 市町村別に分析をすると、このように、特に第二段階、第三段階にもう入ってしまっている市町村がある。これをどうするか。このままではすぐに、間もなく消滅をしてしまう。こういう地域によってのアンバランスがございます。
 この先進国での出生率の低下の問題は、実はこれはヨーロッパでも共通の問題でございまして、移民を実施したり、いろいろ婚姻制度などにもかわるようなことをしたり、それぞれの国の経験があるわけですが、これは我が国としても大いに学ぶべきところもあると思います。
 もう一つ、我が国の人口減少を急激たらしめているのは、三十七ページ以下の、これは日本独特の、特有の現象でございます。大きな人口移動が我が国ではあって、三十七ページに書いてあるように、これまで三回ございました。高度成長期には、地方圏から三大圏の方に移る、これは三十七ページの左側の大きな山であります。真ん中あたりにバブル期の山があります。このときは、地方圏から、関西圏や名古屋には移らず、東京圏に移っている。そして、その後、二〇〇〇年ごろから最近まで、だらだらと、同じように東京圏に若い人が地方圏から出る。これは恐らく、東京がさえていたというよりは、地方でもう生活していけない、端的に言うと、食っていけないということで東京の方に移ったのではないかというふうに思うわけです。
 三十八ページに二〇一一年の地域別の流入人口が書いてありますが、やはり東京都区部が非常に大きくて、特徴は、全国から東京は人を集めている、こういうことであります。
 それでは、特にこれは若い層が中心なんですが、東京に人が集まるというのは、これは首都だから当然どこでも見られるのかということであります。
 三十九ページにごらんいただきますように、実は日本だけの現象でありまして、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、いずれも戦後一貫して人口を集めているわけではありません。むしろ、減らしていたり、ずっと横ばいでそのままでありますが、なぜかしら日本、これは、この間ソウルを調べたら、同じように人口が集中しておりましたが、途上国のようなことなのかもしれませんが、こういう状況であります。
 ところが、若い人が東京に行きますと、四十ページにございますとおり、東京の出生率は極めて低い。東京は一・〇九。一番上が全国平均で、一・四一。沖縄が一・九〇と大変高うございますが、東京は一・〇九。住宅事情もあると思います。保育所がない、教育費が高い、いろいろ子育て環境が悪い、さまざまな問題があると思います。この点は世界共通の問題でありまして、人口稠密な地域では出生率がどこも極めて低い、一を切っている都市もございます。
 したがって、東京で出生率が高くなるように、これは男側の意識もきちんと変えて、ここを改善していくのは必ずやらなければいけないことでありますが、しかし、その効果を期待するのはすぐにはなかなか難しいと思いますので、したがって、とにかく、東京に若い人が中心に人が集まるという状況、さらに言えば、人だけでなく、物、金が集まるというこの形態をどのように考えるかということ、ぜひこれは国全体として考えていかなければならないと思います。
 そして、四十一ページに、今までのことをまとめて少し簡単に図示してありますが、大都市への若者流入ということが、日本特有の大きな現象として、これまで三回ございました。
 今後また起こることになれば、どういうことが起きるかというと、地方部は、やはり若い人たちが東京に出ていくということ、プラス、全体として我が国が低出生率でありますので、それによって、今、人口減少に拍車がかかっている。一方で、三大圏、特に東京に若い人が行きますと、そこは、先ほど言いましたように、超低出生率、一・〇九ということで、そのことによって、さらに人口減少に拍車がかかるということです。
 四十二ページに少し書いてございますが、人口の再生産力ということで、これは人口学者が使う言葉ですが、二十代それから三十代の女性、二十から三十九歳女性人口を見てみますと、実はここで九五%の子供さんが生まれるのでこの年代を取り上げたわけですが、今、出生率が一・四。TFRというのは出生率です。
 左側の、人口流出がないとした場合でも、合計特殊出生率が一・四だと、自然に三、四十年後には女性の人口が七割まで減ります。したがって、人口規模を維持するためには、出生率を二に直ちに回復しないといけない。こんなに急激に回復するのは大変難しくて、二〇三〇年に出生率が二に回復する、これは実際にはなかなかあり得ないと思います。それでも、人口が安定化するのは六十年後の二〇九〇年でございますので、したがって、深刻さがおわかりかと思います。
 一方で、モデル二の、右側の方ですが、今まで起こったとおり人口流出が東京の方に行くということですと、さらに事態は深刻で、人口を維持するためには、TFR、合計特殊出生率を二・八から二・九まで上げなければいけない。先進国いずれも、頑張っても二そこそこまででありますので、これがいかに難しい目標かということはおわかりだと思います。
 したがって、最後に、四十三ページでございますが、今のこの傾向を各県別に、市町村別に全部分析をいたしますと、人口移動が収束をする、東京にもう若い人たちが出ていかないというのが国立社会保障・人口問題研究所の推計の前提になっていますが、それでも、二〇一〇年から二〇四〇年にかけて、若い女性の数が半分以下になる自治体が二〇・七%、三百七十三の自治体。このうち、二〇四〇年に人口一万人以下のものは実は二百四十三ございますが、ここはそのまま存続するのが極めて難しいのではないかというふうに私どもは推測をいたしました。
 さらに、これまでのとおり人口移動が収束しないという仮定を置きますと、この自治体数が四九・八%、何と半分、八百九十六までふえました。二〇四〇年、人口一万人以下のものが五百二十三でございます。消滅の危機に瀕するということでございます。
 私は、東京も、これからいろいろな意味でアジアの諸都市と競争して、もっともっと成長を遂げなければいけないだろうというふうに思うんですが、我が国の地方から若い人を集める形で全部そういうことをやっておりますと、地方も崩れる、そのことによって東京自身もまた困る。実は、東京は、介護が大変厳しい状況になってくるわけで、二〇四〇年、後期高齢者が二倍以上ふえて、若い人たちが四割減っていくわけですから、そういう問題も出てきます。
 したがいまして、やはり一方で、地方で、若い人たちが地域で雇用できるような仕組みづくりを何としてもすると同時に、東京の人材は、例えば国際金融センターになるのであれば、アジアのシンガポールやインドなどの優秀な人材で賄うような形でそれを維持するようなことも今後考えていく必要があるんじゃないか。
 これは、大変大きな議論で、私もまだまだ十分考えがまとまっているわけではありませんが、いずれにしても、この人口問題、これは先の話ではなくて、間もなく起こり得る問題でありますので、これを大きな国家戦略として考えていく必要があるのではないか。そして、そのために、アベノミクスなり、これからの予算を一つ一つ積み上げていく必要があるのではないか。このように考えているところでございます。
 以上で、大変雑駁でございますが、私の意見陳述とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。拍手
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二階俊博#3
○二階委員長 ありがとうございました。
 次に、神津公述人にお願いいたします。
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神津里季生#4
○神津公述人 おはようございます。御指名いただきました、連合事務局長を務めております神津里季生と申します。どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 本日は、このような機会を与えていただいたことにまず感謝を申し上げたいというふうに思います。
 働く者の立場から、取り巻く現状、課題、そういったことについての私たちの問題意識を述べさせていただきたいと思います。
 お手元にレジュメをお配りさせていただいております。四点にわたって発言をさせていただきたいというふうに思います。
 まず一点目でありますが、私たちを取り巻く環境、そしてそのもとで今なすべきことということであります。
 日本経済は、金融緩和による円高是正をきっかけとして、輸出型産業を中心に高収益が相次いでおる、景気は回復局面にあると言われております。しかしながら、日本全体を見れば、地方への波及はまだまばらということでありますし、私たち働く者、生活者にとっては、足元の物価上昇からも家計が圧迫されているのが現実であります。そして、この二十年間に不安定な雇用形態が増大をしたということも相まって、国民の多くは景気回復を実感できる状況にはないと言わざるを得ないと思います。
 このような中、私ども連合は、組織を挙げて、目下、春闘の取り組みに邁進をしております。ことしは、さまざまな形での前宣伝が効いておりまして、マスメディアの臆測報道も頻発をしておりますが、肝心なのはこれからであります。一つ一つの労使の間での真摯な交渉、その一つ一つの真摯な交渉の壮大な積み重ねであります春闘において全体が納得のいく回答を得ていくことは、極めて重要と認識をしております。
 ことしの春闘は、いわば、四十年前の超インフレの抑制に労働側が極めて重たい決断をいたしました、そのことの裏返しであると認識をしております。当時、私ども労働側の先輩方は、かんかんがくがくの議論を経て、労働側として要求を抑制いたしました。今回は、経営側が、合成の誤謬に陥ることなく、全ての働く者への成果還元に向けて月例賃金の引き上げをしていくことがデフレ脱却には不可欠だと認識をしております。
 大半の経営者の方々は、依然として、収益の向上を報酬で還元するという言辞に終始をしておるのかなと思います。税制の恩典につきましても、年収全体の引き上げに呼応したものとなっておるわけであります。
 しかしながら、収益が向上したところが一時金を引き上げるということは、ある意味で当たり前のことであります。結果として、この春闘、大企業正社員の一時金増だけで幕が引かれるとなれば、一体これまでと何が違うのかとなってしまうわけであります。そんなことでは、経済の好循環などは絵に描いた餅にしかなりません。私ども連合は、あくまでも月例賃金の引き上げにこだわり、交渉を展開しておるところであります。
 そして、私どもとして、もう一つのこだわりが底上げであります。全ての働く者、とりわけ二千万人を超える非正規労働者、あるいは働く者の七割を占める中小企業で働く労働者、この方々に対する処遇改善、格差是正を進めなければ、賃金デフレからの脱却は到底できないと思います。非正規労働者、あるいは中小企業で働く労働者、そしていわゆる低所得の方々の層を置き去りにすることは、将来の経済あるいは社会保障の担い手の不足にもつながるわけでありまして、日本社会そのものがさらに疲弊をしていくことになります。これでは、持続可能な経済の好循環は到底実現できないというふうに思います。
 また、大手と中小企業の格差是正のためには、取引関係における不当な買いたたきなどの行為を許さない取り組みも重要であります。そのためには、適正な取引関係の確立、公契約基本法、公契約条例の制定に関する取り組みを強化する必要があります。加えまして、消費税率の引き上げに伴う転嫁拒否など、悪質な取引の抑制を図り、中小企業労働者の生活や労働条件等を確保する必要があります。
 連合といたしましても、ホットラインを開設しております。具体的な取り組みとして展開をしております。政府としての一層の取り組み強化を要請しておきたいというふうに思います。
 二点目の論点でありますが、デフレの元凶は何であったのかということ、これを真摯に振り返る必要があるということであります。
 足元の雇用情勢、直近十二月の完全失業率三・七%ということで、全体の数値は改善をしておると思います。しかしながら、若年層の完全失業率に着目する必要があります。十五歳から二十四歳は五・九%、それから二十五歳から三十四歳の層においても四・七%ということで、相対的に失業率の水準が高い。その中身も含めて、直視をしておく必要があります。
 全雇用者に占める非正規労働者の比率、先ほども触れましたが、依然として増加傾向にあります。雇用労働者全体の三八・二%、二千四十三万人に上る非正規労働者、これは、割合も人数も過去二十年において最大ということであります。産業間で多少のばらつきはあるにいたしましても、民間あるいは公務ともに、非正規労働者が占める割合は増加の一途にあります。
 そしてまた、非正規労働者の処遇に目を向けますと、私ども連合の調査によれば、半数近くの非正規労働者が、実は、内容としては正社員と同じ業務内容であったり、あるいは責任や勤務状況についても正社員と同様である、そういった実態にあるにもかかわらず、賃金あるいは福利厚生といった処遇面においては正社員との格差が存在するところが多く、私ども連合として目指している均等待遇原則とは全くかけ離れた現実があります。
 また、非正規労働者の約二割あるいは派遣労働者の四割が、みずから望まずしてその職についているいわゆる不本意非正規であります。一部の調査では、派遣の方々の六割が正社員として働きたいという回答もあるわけであります。
 厚生労働省が調査をしたことは御存じのとおりであります。若者の使い捨てが疑われるいわゆるブラック企業に対しまして過重労働重点監督を集中的に実施し、対象とした五千百十一事業場の実に八割以上の職場で法令違反が発覚したことは御承知のとおりであります。
 私たち連合といたしましては、二〇〇七年から非正規労働センターを立ち上げております。そして、本日に至るまで、非正規労働の組合員の仲間をふやし続けてきております。現時点でおよそ八十万人程度の組合員数となっておりますが、さらに、私ども連合として、広範にカバーをしていくべく、取り組みを強化しております。
 そしてまた、ここ直近では、新たな取り組みとして、各地方連合会で、古賀会長との直接の非正規労働の皆さん方との対話集会、これを開催してきております。その中ではさまざまな悲鳴が上がっております。
 一端を御紹介したいと思いますが、十年間同じ職場で働いているけれども時給が一円も上がらない、あるいは、低賃金もつらいけれども、それよりも心の安定が欲しい、そして、契約を切られる、いつ切られるかという不安を抱えながら仕事をしている、そういった悲痛な訴えに連日直面をしている状況であります。
 そして、このような中で、御存じのとおり、年収二百万円以下のいわゆるワーキングプアと言われる労働者は増加の一途をたどり、現在約一千九十万人となっております。生活保護の受給者についても、二〇一三年十一月に二百十六万四千八百五十七人、受給世帯数は百五十九万世帯を超えて、ともに過去最多を更新し続けているわけであります。そして、働ける世代の受給者が急増している。そしてまた、将来を考えますと、不登校だとかニート、引きこもりなど、就労につながらない懸念のある若者も、今後、生活保護に至るリスクを抱えておるわけであります。
 こういった働く者一人一人にとって悲鳴の上がる状況であるということとともに、その現象が、同時に、税や社会保険料の担い手を減らし、超高齢社会のもとで増加する社会保障給付費に対応できずに、社会保障制度への不信や将来不安を高め、結果として負の構造をさらに悪化させているわけであります。
 日本の経済社会を縮小均衡の世界に追いやった、このいわば悪魔のスパイラルこそ長引くデフレの元凶であったことを直視しておかなければならないと思います。
 安倍政権は、大企業の賃上げをターゲットにした発言を目立たせる中で経済の好循環の実現を図っておられますが、本当の意味で、この間、長きにわたったデフレの元凶は何だったのか、その点を踏まえた施策の展開がなければ、今後の経済運営は空回りに終わってしまうのではないかという懸念を持ちます。
 まして、伝えられるような雇用労働分野でのルール改悪の方向は、アクセルを踏み込む前にブレーキを踏んでいくようなものでありまして、自己撞着も甚だしいものと言わざるを得ないと思います。
 産業競争力会議や規制改革会議では、総理の就任以来、日本を世界で一番企業が活躍しやすい国にするために、雇用労働分野の規制改革が議論をされています。ほかの経済規制、参入規制などと同じ次元でこれらを岩盤規制と称し、扱うこと自体が私はミスリーディングだと思います。まず政府がなすべきは、デフレの元凶となった雇用の非正規化、不安定化をどのように反転させるかという視点での検討であると思います。ブラック企業の横行をストップさせることがまず先決であると思います。
 現時点では、むしろ、総理主導で労働政策の基本施策を策定、検討する形をさらに強化される方向にあるようですが、ILOの三者構成原則を無視した進め方という問題点はもとより、本当に雇用の現場で何が起きているのか、そしてデフレの元凶は何であったのか、こういったことを深掘りしないままの議論で基本的な物事が決められる、決められようとしていること自体に、私どもとしては重大な危機感を持たざるを得ません。
 三点目でありますが、将来世代への負担先送りをやめていかなければならないという点であります。
 二月の六日に補正予算が成立をいたしましたが、その中身の多くは二〇一四年予算の前倒しといった色合いが濃いと思います。
 低所得者対策あるいは待機児童の解消に向けた子育て支援など、国民生活に直結する緊急な支出と認められるものが相対的にわずかであったというふうに認識をしています。一方で、公共事業については、いまだに執行されていない予算があるにもかかわらず、約一兆円の積み増しとなったわけであります。
 政府は、本補正予算につきまして、持続的な経済成長につなげるとされたわけでありますけれども、公共事業頼みの景気回復は限界があります。むしろ、財政面においては将来世代へ負担を先送りすることとなって、持続的な経済成長につながらないということは明らかではないかと思います。
 さらに、二〇一四年度の予算案においても公共事業費は増額が図られようとしています。一般会計総額は当初予算として過去最大の九十五・九兆円というわけでありますが、消費税率の引き上げにより国民負担を求める一方で、公共事業のさらなる積み増しを盛り込むことは、全体のバランスを欠いており、問題だと思います。
 また、社会保障と税の一体改革が進められていますが、抜本改革の道筋はいまだ示されておりません。貧困、格差の拡大につながる生活扶助基準の引き下げの継続、医療保険制度における患者、被保険者の負担増となる診療報酬のプラス改定、そして安易なリストラを誘発しかねない労働移動支援助成金等の拡充、雇用調整助成金の厳格化、こういった、国民生活の底上げや将来不安の解消とは逆行する内容も多く盛り込まれているのではないかと認識をしております。
 デフレからの脱却、経済の好循環をなし遂げるためにも、質の高い雇用の創出あるいは社会的セーフティーネットの強化、安心して子供を産み育てられる環境整備、信頼の医療・介護・年金制度の再構築などに重点的に予算配分を行う必要があるのではないでしょうか。国会での十分な議論を通じた見直しを求めるものであります。
 私たち連合は、いわば最大の納税者集団であります。そしてまた、源泉徴収制度により、最も明確に納税義務を果たしている集団でもあります。
 私ども働く者一人一人が汗水垂らして働いて得た賃金から払っている税金が一体どのように使われているのでしょうか。オイルショック以降の年々の特例公債による借金がここまで積み上がってしまっていることに対して、私どもは、そういった集団として、重大な問題意識を持たざるを得ません。将来世代の負担を今から目に見えて減らしていかなければならないのではないでしょうか。予算審議のあり方そのものにも改善を図っていただきたい、このようにも思うところであります。
 最後、四点目でありますが、二〇五〇年を見据えてまいりたい、こういうことであります。
 目下、外国人受け入れ環境の整備が産業競争力強化の文脈で提起をされておりますが、私どもにしてみますと、外国人労働者をふやすとなぜ産業競争力が向上するのか、率直に言って理解に苦しむところであります。これが、安価な労働力を確保し、企業の雇用コストを低減させるということを含んでいるのであれば、デフレからの早期脱却の最重要課題とは矛盾する政策と言わざるを得ないと思います。
 東京オリンピックに向けて外国人による建設人材確保が云々されていますが、率直に申し上げまして、安直なにおいを感じざるを得ません。むしろ、若年層を中心とした技能の保持、育成、あるいは安全面、環境面を含めた労働条件の向上など、魅力ある産業としての強化策こそ、まず確立すべきではないでしょうか。
 そもそも、外国人受け入れということにつきましては、労働力確保の観点のみで検討されるべきことではなくて、社会での受け入れといった社会統合の観点からの可否検討が不可欠であります。国民的議論を丁寧に行いつつ検討すべきと考えます。欧米先進国で既に見られますような新たな差別感情を生むとか、あるいは無用な民族感情を助長するようなことがあってはならないと思います。足元の苦し紛れで禍根を残すような施策は、厳に慎むべきと考えます。
 まさに、私どもにとって大事なことは、自分たちの日本をどうするかということだと思います。これまでの間、幸せでない日本人労働者がふえてしまった、このことをこのままにして外国人労働者を受け入れるということは、不幸せな外国人労働者をつくり、ふやしてしまうことになるのではないでしょうか。私たちにはその前にやるべきことがあります。この国で働くことがすなわち幸せにつながるという、まず、その姿を全ての働く者の共通軸にしていかなければならないと思います。
 そのためには、社会的セーフティーネットを強化することが必要であります。世界に類を見ないスピードで進展をする超少子高齢社会にあって、社会保障・税の一体改革関連法により実現を目指す全世代支援型の社会保障制度への転換及び制度の充実、安定化に向けた道筋を明確に示すことで、国民の将来不安を払拭する必要があると思います。
 そして、税と社会保障による所得再分配機能を強化することであります。この間に行われたさまざまな施策により、所得再分配機能は弱められてきたと認識をしております。また、何度も繰り返しますが、非正規労働者の増大は、ワーキングプアを生み出し、これは被用者社会保険の適用とならない人を増大させてまいりました。このことが、先ほど申し上げた、悪魔のスパイラルダウンにつながっておるわけであります。今後、累進性の強化、あるいは人的控除の見直し、給付つき税額控除の導入などによって、基幹税である所得税を再構築し、税の所得再分配機能を強めることが急務だと思います。
 こうした底上げ、底支え、格差是正につながる政策の実行は、今後、将来不安を払拭し、個人消費の回復につながり、デフレ脱却、経済の好循環を実現することにつながるのであると思います。
 そして、今後、さらなる持続的な経済成長を実現するためには、労働参加率と生産性の向上が鍵となります。
 私どもは春季交渉に一斉に臨んでいるということは先ほど申し上げましたが、私どものガイドブック、連合白書でも掲げておるんですが、二〇五〇年段階の日本社会を展望しつつ運動を進めよう、これが一つの私どものキャッチフレーズであります。
 もちろん、この一年、そして足元の、目の前の春闘が決定的に重要であるということも論をまたないと思っております。しかし、一年だけでは到底問題は解決し得ないと思います。将来の日本社会を見据えるという観点からも、働く者が中長期的に不安なく生活をし、生き生きと働き、将来を展望できる、そういった安心社会の構築が重要であります。
 私ども連合としても、その役割発揮に向けて努力を重ねてまいる旨を述べまして、以上、発言とさせていただきます。
 本日はまことにありがとうございます。拍手
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二階俊博#5
○二階委員長 ありがとうございました。
 次に、藤田公述人にお願いいたします。
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藤田実#6
○藤田公述人 おはようございます。桜美林大学の藤田と申します。
 こういう機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、産業と労働に関する経済学を研究してきた、そういう立場から、日本経済の現状と成長戦略の問題点について意見を述べたいと思います。
 まず初めに、この一年間の日本経済の現状について、主としてGDP統計に基づきまして意見を述べたいというふうに思っています。お手元の資料をもとにして、図表も若干つけてありますので、参考にしながら説明したいと思います。
 まず、経済循環構造から見て日本経済は今どういう問題点を抱えているのかという話をしますと、家計最終消費支出の問題からいきますと、これが、まあ堅実によくなってきているというのは事実でしょうけれども、私の見方では、やはり弱々しいのじゃないか。
 といいますのは、この間、成長率で見ると、実質で〇・七、〇・二、〇・五という数字でありまして、特に、この十月から十二月期というのは、消費増税前の駆け込み需要があるんじゃないかと言われておりましたし、それから株高ということで、高額消費が続いているという話がありましたので、そういう意味では、消費マインドは少し前向きになっている、そういうマスコミ報道が結構あったと思うんですね。しかし、実態的には、国民の広範な消費にはまだ結びついていないというふうに感じています。
 それは一体なぜかというと、株高といっても、日銀の資金循環表に基づけば、株式の割合というのは八・五%程度なんですよね。投資信託を合わせても一三%程度ですから、株高の直接的な恩恵にあずかれる国民といいますか家計というのは、それほど私は、直接的な恩恵ですよ、多くはないんじゃないかと考えています。
 それに対して、やはり駆け込み需要的な住宅投資がふえているということがありますので、これが全体的な景気を支えている、そういう感じがいたしております。
 もう一つは、この間、政府は、補正予算と合わせると約十兆円近い公共事業に予算をつぎ込んできたというふうに思います。それで、この十兆円規模というのは、恐らくはバブル崩壊後の数年間、それから九七年からのいわゆる金融危機以後の数年間で行われた規模に匹敵するということですから、二〇〇〇年以後ではかなりまれなケースといいますか、そういうことだと思うんです。
 そういうことで、一定程度、公的需要の部分では伸びてきてはいたんだけれども、それが民間需要にどう展開するかということが自律的な経済循環を考えるときには絶対必要なことなんだけれども、この動きは、民間需要が私はそれほど強くないと思っています。この直近の期でいうと、公的需要が〇・九で民間需要が〇・八ですから、逆転をしているということで、構造的な違いがあるんだというふうに政府は述べていますけれども、これだけで状況を見ることはまだできないんじゃないか、民間需要がどれだけ今後伸びていくかということを考えなければいけないだろうというふうに思っております。
 それから、それ以上に私は問題だと思うのは、輸出の問題でございます。
 これに関しましては、幾つか報道されていますように、輸出が伸びない。輸出金額を二図表という形で入れておきましたけれども、一進一退という状態ですよね。それで、レジュメに書いておきましたけれども、二〇一三年三月に六兆二千七百九億円がいわば直近のピークで、これをいまだ超えていない、こういう現状でございます。
 それから、金額以上に私は問題だと思うのは、輸出数量が依然として伸びていない。これも二ページ目の三図表に書いてありますけれども、二〇一〇年を一〇〇とすると、ほとんど二〇一〇年を超えていないという現状がございます。
 というと、どういう問題が起きてくるかというと、輸出数量が増大しないと、当然ながら生産が増大しない、雇用が増大しない、賃金が増大しない、こういうことになってくる。結局は、一体どういうことを意味していくのかということを考えますと、輸出金額が一定程度伸びても数量が伸びないということを考えると、恐らく、輸出品目が変わってきている。つまり、付加価値の高いものに変わってきている可能性は十分ある。
 そう考えると、つまり、普及品等は海外に行くという状態、海外生産が続いて、付加価値の高いいわゆる高級品が国内生産で輸出に回っていく、こういう状態を考えていくと、今後とも輸出が大きく伸びるという可能性は僕は少ないんじゃないかなというふうには考えています。もちろん、海外の経済状況、新興国の経済がどうなるかに大きく左右される側面はあると思いますけれども、今のところ、そういうふうに感じている。
 そうしますと、いわゆる内需が停滞していたのを輸出が補って、輸出主導で景気が回復していった、これがいわゆるあの二〇〇二年から二〇〇八年までのイザナミ景気のいわば実態だったんじゃないかなと思うんですけれども、こういうイザナミ型の景気回復の道というのはたどれるのかどうかということは、私は疑問には感じております。
 それからもう一点は、設備投資における変化です。
 設備投資、若干伸びてはいるということにはなっておりますが、確かに、今期では一・三%という形で、一定程度、公共事業もやりましたし、それから民間の住宅需要もあるという点で、伸びているということはあると思うんですけれども、先ほども話がありましたけれども、その中身、私は中身が問題じゃないかなと思います。
 三ページの四図表に、日本政策投資銀行の設備投資計画調査から、投資動機のウエートの推移というのを引いてきました。二〇一三年度はまだ計画段階ですけれども、これを見て一目瞭然だと思うんですけれども、基本的に、以前は能力増強投資が最大であった、設備投資の中で能力増強投資が多かった。ところが、これが徐々に下がってきていて、現在は、二〇一三年度の計画段階の数値ですけれども、維持補修の部分が上回ってくるということになっております。
 この維持補修という設備投資そのものというのは、日本の平均機械年齢が、たしかもう十年を超えていると数値的には言えると思うんですね。だから、そういう意味では、機械装置が古くなっていますから、維持更新するというのは、それはそれで重要なことである、日本の生産力を維持していくためには、これは絶対必要なことだというふうに思うんです。
 しかし、問題は、やはり能力増強投資が大きく伸びていくという状況をつくらないと、つまり、能力増強投資ですから、生産能力を高めていく。つまり、生産がふえてくる。そうすれば、当然それを通じて雇用もふえてくる。雇用がふえれば、マクロ的に賃金もふえてくる。こういう形の好循環が成立するはずだけれども、こういう好循環がどこまで成立していくのかという点については、これは今年度の計画段階ですから、これが今後も続くかどうかという点は、ちょっと時間を追って見ないといけないところはあるけれども、私は危惧の念を感じているということでございます。
 それからもう一つは、海外設備投資がこの間、増加しております。これは、同じく五図表で、海外設備投資比率を出しておきました。自動車等に関して見れば、単体と連結の比較ということではございますけれども、一・八倍から二倍近く、海外に設備投資が流れていく、こういう状態になっている。
 そうなりますと、結局、私は、円安転換しても、以前のように輸出が増大して、それによって生産が増大して、それがまた設備投資を拡大していく、雇用増と賃金増をもたらしていく、そういういわば循環が弱いんじゃないか、弱い状態のまま推移していく危険性があるんじゃないか。つまり、日本の経済構造あるいは産業構造がこの間大きく転換してきている、そういうことを前提に考えなければいけないのではないか、こういうふうに考えてはいます。
 こういうことを考えますと、結局、金融財政政策ということで、第一の矢、第二の矢ということでアベノミクスがやってきましたけれども、これの限界というものが出てきているのじゃないかなという感じがしております。
 といいますのは、やはり、無制限の金融緩和をして、いわばインフレ期待を高めて国民の消費マインドに火をつけていくというのが、まあ物価は一定程度上昇はしていて一定程度最終消費支出も伸びてはいるけれども、これが大きく伸びるという現状にはなっていないということがございますし、それから、先ほど言いましたように、円安転換しても輸出が伸びてこない、輸出数量が伸びないという状態を考えると、それから、設備投資に関しても能力増強投資の割合が少ない、こういう状態を考えると、好循環にはほど遠い状態になっているというふうに考えています。
 そう考えますと、やはり成長戦略が重要だという点は私も同意見です。やはり成長戦略をしておくことが必要だ、きちんと考える必要があるというふうに考えております。
 ただし、私は、現在の成長戦略というのは、企業部門中心の成長戦略であるということで、極めて問題が大きいんじゃないかと思っています。
 五ページのところに、日本再興戦略の概要ということで、閣議決定と当面の方針を私なりにまとめたものがございます。民間企業の活力というところから具体的な成長産業と考えているというところまで含めて、どういう目標を決めているのか、どういう内容を持っているのかというのをまとめてみました。
 これを見ますとわかると思うんですけれども、基本的には、グローバル競争力をいかに強化するかという観点に貫かれている。例えばビジネス環境の整備だと、ビジネス環境ランキングで先進国十五位から三位以内を目指すとか、アジアナンバーワンの市場を構築するんだとか、インフラ受注額を伸ばしていくんだというような、基本的には、グローバル競争の中でいかに勝ち抜くかという観点になっている。
 それからもう一つは、産業政策では、ターゲティング政策を重視している。エネルギー産業とか健康医療産業とか農林水産業。
 ただ、これは、もうここ十年近くさまざまな政府の成長政策みたいな中で出てきたものであって、私自身は、ほとんどかわりばえしないという印象は持っています。もともと経済学的には、ターゲットを決めてそのとおりいくというのは、市場経済を前提にする限りはそういうことはあり得ないという意見がやはり強いという中で、産業政策だけをやっても、恐らく成長戦略にはなかなかなり切れないというふうに考えております。
 その上で、企業部門中心の成長戦略の問題点でございますけれども、グローバル化にいかに勝ち抜くかということを考えたとしても、グローバル化で日本の所得収支は、この間、特にイザナミ景気のときに日本の所得収支は増加したんだけれども、実は賃金増加には結びついていないということがございます。これは六図表です。
 六図表の中で、日本の所得収支と賃金・財産所得の推移という形で調べたのを入れておきましたけれども、明らかに、日本のグローバル化、海外展開の進行に伴って所得収支はかなり大きくなっているということがございますけれども、その所得収支が国内には還元されてこなかったというのが現実だったのではないかと。つまり、グローバル化と国民経済あるいは国民生活は矛盾する側面が出てきているというのは、日本だけではなくて、欧米においても同じような状態なのではないかというふうに思っております。
 同じように、この間の、下の七図表でございますけれども、賃金と利益の関係を見ましても、営業純益は増加したけれども、結局は従業員給与には反映されていない、こういう状態が続いてきているということがございます。
 この原因については、一般的には、もちろん、非正規雇用労働者の増加で雇用者報酬金額自体が低下したということがあるのは事実であって、先ほども連合の事務局長さんの方からも非正規労働者がふえているというのがありましたけれども、もう三六・七%以上に達している、三分の一以上だし、いわば賃金の低い二百万円以下の労働者も、私も八図表で示しておきましたけれども、一千万人を超えるレベルになってきているということがございます。
 こういう現状はあるんだけれども、こうした形で、日本の場合は、低い非正規雇用をたくさん使ったということが賃金を下げていって、いわば名目賃金を下げていく、そのことがデフレを招いていったというのははっきりしているんではないかなと考えています。
 それからもう一点、政府の成長戦略の中で、雇用制度改革ということに強く力を入れている。限定正社員制度とか裁量労働制を拡大するという方向が出されています。これについては、日本経済にどういう影響を与えるか、賃金にどういう影響を与えるかという観点からは、九図表で、労働運動総合研究所の雇用制度改革の賃金への影響という、総括表という形で出しておきました。
 八ページからは、その総括表のもとになった試算を提示しておりますので、御参考にしてください。
 これによりますと、これは最大見積もってということになるので、こういうふうになるかどうかというのはまだよくわかりませんけれども、最大だと四十一・九兆円の賃金減少が起きてくる。つまり、そうすると、労働者の賃金の七割が消費支出に回ると考えると、三十兆円近く消費支出が減少するじゃないか。そうすると、国内生産は消費支出のほぼ一・八倍の影響を受けることになるから、国内生産は五十四兆円も減少してくる。国内生産額のほぼ半分は付加価値と考えることができるから、そうすると付加価値も二十七兆円減少する。二〇一二年度のGDPは四百七十二・六兆円だから、GDPは五・七%減る。数字上はこういう計算ができてくるというふうになるんではないかと思います。
 それからもう一つは、新規成長産業という形で、医療、福祉産業とか観光産業ということを考えておられますよね。政府の目標だと、二〇三〇年には三千万人まで訪日外国人をふやしていくということですから、観光産業が一つの成長産業という位置づけが出てくる。
 しかし、問題は、福祉とか観光の賃金が低い、そういう問題だと思うんですね。
 福祉に関しては、七ページの十図表で、福祉職の所定内賃金の推移を、九七年を一〇〇とした数字で示しておきました。これで見ますと、二〇〇〇年前後から産業計を下回っていく、こういう状態になってきているということがございます。
 宿泊業の数字で見ると、二〇一〇年は八九・二です、産業平均を一〇〇とした場合ですね。それから、旅行業を含むその他生活関連サービス業が九四・三です。いずれも産業平均よりも少ない。
 こうなると、例えば、成長産業はもちろんこれだけではないわけですけれども、ここが一つのターゲットになっているというふうに考えると、まさにプアな成長産業ではないかというふうに私は考えざるを得ない。したがいまして、新規成長産業における労働条件の向上が必要なんじゃないか、このように考えております。
 そう考えますと、私は、最後、もう時間がないですけれども、国民生活重視の成長戦略に転換すべきだと。
 需要創出策は絶対必要なんだけれども、それは、健康とか教育、医療、介護、福祉、観光といったところの労働条件をまず改善する、そういう環境をどうつくっていくかというようなことがまず重要なんじゃないか。こういうところできちんと労働条件の改善ができるということは、結局、国民全体に豊かさと安心感を与えて、安定的な内需基盤をつくり出すだろうというふうに思っております。
 それからもう一つは、やはり、地方においてはアベノミクスの影響はほとんど出ていないという話をよく聞きますので、そういう意味では、中小企業を中心とした形で地域の経済循環をいかにつくっていくか、そういうところに成長政策の柱をつくっていくべきだろう。
 農業の六次産業化というのを掲げておりますけれども、それは一つの方向ではあるけれども、そういう方向に地域経済の循環をうまくどうつくっていくかという、単なる農業の六次産業化という話だけではなくて、そういう方向が求められているんじゃないか、こういうふうに考えております。
 ということで、ほぼ時間になりましたので、これで私の意見陳述を終わりにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。拍手
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二階俊博#7
○二階委員長 ありがとうございました。
 次に、山下公述人にお願いいたします。
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山下一仁#8
○山下公述人 おはようございます。よろしくお願いします。
 実は私、五年ぐらい前に農林水産省をやめまして、その後、この研究所で研究させてもらっております。
 きょうは、三つ、最初に、農業の現状はどうなっているのか、それから、農業政策の特徴はどうなのか、それから、アベノミクスについての評価と、あるべき農業政策はどういうものなのか、こういうふうな話をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、資料なんですけれども、最初に、農業生産額の構成別の推移を掲げております。
 これで見ておわかりのように、最初は、一九五五年ぐらいは、米は大体、半分以上のシェアを占めていたんですね。ところが、今は、野菜と畜産に追い抜かれて、今の米のシェアは二〇%を切っている、こういうふうな状況になっています。
 ただし、数的には物すごくたくさんの人がやっていまして、日本の農家の戸数のうちの七割は米農家で、しかし、七割の農家が二割の生産しかやっていない、これが現状でございます。
 次のページ、三ページでございます。
 実は、機械化が進みましたので、米は、今は一番簡単につくれる農業になってしまっているということでございます。
 それから、次の四ページですけれども、「歪んだ米農業」というふうに書いてしまったんですけれども、お叱りを受けるかもしれませんけれども、実は、農業については、農業生産額、農業所得の部分は物すごく低いウエートになってきているということです。つまり、兼業所得、農外所得、それから、高齢化が進んでいますので、その年金収入、これが農家所得のうちの大きな部分を占めるようになってきている。これが、ブロイラーとか酪農とか、そういうふうな産業とは極めて特異な特徴を持っているということでございます。
 それから、次の五ページなんですけれども、この折れ線グラフは、農家所得を勤労者世帯の所得で割ったものです。これを見てもらうとわかるんですけれども、右の方の一〇〇%の部分のところが、これを超えると、農家所得の方が勤労者世帯の収入を上回っているというふうになります。
 そうすると、どこで上回っているかというと、一九六五年に既に農家所得の方が勤労者世帯の収入をもう上回っている、こういう状況になっているということでございます。しかも、その農家所得の内訳を見ると、農業所得のウエートはどんどんどんどん下がってきているということでございます。つまり、今、農家は豊かになったということでございます。
 もう一つの不思議がありまして、六ページなんですけれども、六月に農業改革についての議論がなされるということでございますが、JAの正組合員数、基本的には農家だというふうなことになっています。ところが、正組合員数の方が今は農家戸数をはるかに上回っている、こういう状況になっているということでございます。
 実際には、一つの農家で二人組合員になっている人もいらっしゃいますので、農家戸数でいうと、正組合員の農家は四百万戸ぐらいです。ところが、農家戸数が二百五十万戸に対して四百万戸、組織率何と一六〇%の協同組合だということでございます。労働組合に比べると格段の組織率を誇っているということでございます。
 それから、准組合員というのがございまして、これは、その地域の人であれば誰でも農協を利用できる、だけれども農協の意思決定には参加できない、こういう制度でございます。実は、これは歴史的な経緯で認められたものでございます。
 戦後、農協法をつくるときに、GHQは、農協の組合員資格を農民に限れと言ったわけですね。つまり、地主的な支配を排除しよう。戦前の産業組合については、地主も組合員になれたわけですね。ところが、それはけしからぬのだと。だから農民に限ったわけですね。そうすると、地主の人たちは利用できなくなるということで、アメリカが、GHQが助け船を出してつくったのが、この准組合員ということでございます。
 ところが、今は、准組合員の数がどんどんどんどん上回っておりまして、何と正組合員数を上回るような、つまり、本当は利用者が組合をコントロールするというのが協同組合の大きな原則なんですけれども、利用者が、組合をコントロールできない准組合員数の方が上回っている、これが今の農協の現状でございます。
 それから、次の七ページなんでございますが、実は、農外所得がふえてきているということですね。これを、農協、JAの口座に納めてくれる。したがって、農業は衰退してきているんですけれども、農家、特に米農業について兼業農家が進んでいる、その兼業農家の人たちはその所得を農協の口座に預けてくれる、したがって農協が日本第二位のメガバンクになっている、こういう状況が生まれているということでございます。
 八ページ、下のところですが、農協というのは、実は、日本でも極めて特殊な性格を持った法人だということでございます。銀行につきましては、ほかの業務を兼業することができないわけですね。ところが、農協の場合には、銀行だけじゃなくて、生保も損保も、ありとあらゆることをできる協同組合になっているということでございます。
 したがって、米価を高く維持したので兼業農家が滞留してくれた、その兼業農家が兼業所得をJAバンクに預けてくれてJAバンクが発展した、こういう構図になってきたということでございます。
 九ページなんですけれども、これはよく言われる指摘なんですけれども、日本は規模が小さいので競争できないんだという御指摘があります。ただし、規模は重要なんですけれども、確かに、これを見ると、オーストラリア、アメリカに比べて小さいわけです。だけれども、もし規模だけが重要なら、アメリカは、オーストラリアの十八分の一しかないので競争できないということになってしまいます。何かこの議論はおかしいということですね。
 つまり、同じ土地でも土地の生産性が全然違うということなんです。オーストラリアの農地はほとんど牧草地です。つまり、穀物を生産できないような土地がオーストラリアの農地のほとんどだということでございます。そういうふうな農地をアメリカの農地あるいは日本の水田と比べるというのは、比較の対象がおかしいということでございます。
 重要なのは品質の違いでございます。競争力といった場合に、品質が重要だということです。香港での米の評価は、同じコシヒカリでも、これだけの品質の違いがあるということです。日本の米は世界一おいしいということですね。
 十一ページを開いていただきたいんですけれども、実は、今の議論は、百年前も同じような議論を農業界がやってきたわけですね、規模が小さいから競争できないんだと。当時、農商務省という役所に入った柳田国男という人物がいます。彼が言っているのは、まさに同じことだ。
 つまり、規模が小さいからアメリカと競争できない、だから関税が必要だというわけですね。だけれども、これに対して、関税の保護のほか何も対策はないのか、そういうふうに考えるのは誤りだというわけですね。じゃ、何が必要なのか、それは生産性の向上だ、そのときにわずか〇・三ヘクタール、〇・四ヘクタールの細農ではアメリカと競争することができないだろう、何が重要なんだ、規模を拡大して、農事の改良、生産性の向上を図るべきだ、これが柳田国男の主張でございます。
 次に、今後の状況なんですけれども、先ほど人口減少の話がありました。これまで、二十年前の米生産から比べると、今の米生産は、一千二百万トンが八百万トンに縮小してきているわけですね。将来どうなるのか。高齢化が進む、人口減少が進む、ますます国内のマーケットが小さくなってくるわけですね。だから、相手国の関税を撤廃して相手国に輸出する、こうしたTPPなどの自由貿易の交渉が必要になってくる。これは、日本農業が生き残るためにもこういうことが必要だということでございます。
 TPP交渉の行方なんですけれども、これは皆さん御案内のとおりなんですけれども、多分、落ちとしては、米だけ守ると。私はガット・ウルグアイ・ラウンド交渉を経験したわけですけれども、そのときの結論からいっても、やはり米以外の品目は関税を撤廃して、米だけは関税を維持する。ただし、その場合には代償を払わなければならない。代償は何かということでございます。新たにTPP枠という無税の枠をつくる、こういうふうなことで決着するんじゃないかなというふうに思っております。
 ただし、それが日本の米産業にとっていいのかということでございます。無税の枠をつくるということは、ますます米の生産を縮小せざるを得ない、そういうふうなことになりかねないということでございます。
 次に、農政の大きな流れなんですけれども、三つあります。
 一つは、米価政策ですね。今は、食管制度がなくなっていますけれども、減反をすることによって供給を減らして、米価を高くして農家の所得を確保しよう、こういうふうな政策をずっと続けているということでございます。
 それから農協制度、それからもう一つは農地制度でございます。
 今の農地法のエッセンスは何かというと、戦後、農地解放をやりました。つまり、小作人に所有権を与えたわけですね。つまり、耕作者イコール所有者だ、これが農地法の大原則なわけですね。株式会社の場合には、所有者は株主になってしまう、耕作者は従業員になってしまう、この等号関係が成立しない、したがって株式会社は農地制度上認められない、こういうふうな整理になっているということでございます。
 十五ページなんですけれども、アメリカとEUは、直接支払いという制度に、政府からの支払いによって農業を保護するんだ、こういう制度に、既に何十年前から移っております。ところが、相変わらず日本だけは、高い価格、高い関税で農業を守る、こういう政策をとってきているということですね。
 次の十六ページなんですけれども、これは小麦の例です。消費量のうち、国内生産は一四%しかありません。外麦は八六%ぐらいあります。つまり、国内生産の、国内麦の高い価格を維持するために、外麦についても高い関税を張って、消費者に多大の負担をさせているということでございます。つまり、日本の農政の特徴というのは、消費者負担型農政、つまり、逆進的な行政だ、逆進性の塊が日本の農政だというふうに言えるんだと思います。
 その典型が、十七ページの米農政でございます。
 今は若干制度変更がありますけれども、減反の補助金と戸別所得補償制度、トータルとして、減反に関連する補助金としては五千億円。補助金を、財政負担をするならば、消費者に安い価格で供給するというのが普通の政策だと思いますけれども、この場合には、高い財政負担をして、農家に米を減産させて、米価を上げて、消費者負担を高める、こういうふうな政策を四十年間続けているということでございます。
 その結果、どうなったかというと、米価が高いので、コストの高い零細な兼業農家の人が滞留してしまって、主業農家の人たちに農地は集まらない、したがってコストが下がらない、こういう構図になってきたということでございます。
 その例が、ちょっとめくっていただきまして、二十ページでございます。規模が大きくなるにつれてコストは下がります。したがって、所得は上がります。こういう構図になるということでございます。
 今、都府県の農村は、大体、左の一ヘクタール以下のところで生産しているということですね。つまり、ほとんどの農家は、農業所得はゼロかマイナスだということなんです。ところが、二十ヘクタール以上になると、所得が一千四百万円を超えます。つまり、秋田県の大潟村の農家は、大体、平均規模が二十ヘクタールですから、みんな一千四百五十万円ぐらいの所得を稼いでいます。したがって、親が所得がいいものですから、東京の大学に行っても、みんな大潟村に帰ります。大潟村の農家は全て後継者を持っているということです。つまり、農業収益を上げれば後継者は育つんです。農業収益が悪いから、今いる人たちが一生懸命頑張って農業を継続せざるを得ない、したがって高齢化が進む、こういう状況になっているということでございます。
 それから、二十一ページでございます。
 財務省の出身の方もいらっしゃるので、余り財務省の悪口を言いたくないんですけれども、減反をやってきたわけですね。したがって、十アール当たり幾らという減反の補助金を出してきたわけです。
 単位面積当たりの収量が上がれば、これは生産性が向上するということですから、コストは下がるわけです。ところが、収量を上げると、必要な米の生産面積がどんどんどんどん縮小していくということになるんです。つまり、減反面積を拡大するということになります。そうすると、十アール当たり幾らという減反の補助金を出しているので、減反の補助金総額が上がってしまう。
 したがって、財務省は農林省の技術系の人を呼びつけて何と言ったかというと、間違っても収量の上がるような品種改良はするなと言ったわけです。収量を下げるような品種改良をやれと。農林省は真面目ですから、お金を持っているところに言われると、もう言うことを聞かざるを得ないものですから、一生懸命やったわけですね。
 その結果がこのグラフでございます。一九七〇年ぐらいまでは、カリフォルニアの米の収量と日本の米の収量はほとんど変わらなかったわけですね。今は、何と、空から飛行機で種をまいているカリフォルニアの米の収量の方が日本の米の収量よりも四割も高い、こういう状況になっているということでございます。
 何をやればいいのかということでございます。それは二十二ページでございます。
 減反をやめれば、米価は下がります。そうすると、零細な兼業農家の人たちが農地を出してきます。それに対して、主業農家と言われる、農家らしい農家の人たちに所得を補償するための直接支払いを払えば、主業農家の人たちの地代負担能力が上がりまして、農地は兼業農家から主業農家の方に移って、コストが下がります。コストが下がると収益が上がるということですから、主業農家の人たちが兼業農家の人たちに払う地代も上がっていくということでございます。
 つまり、税の転嫁の問題と同じで、誰に税を課すかということと、誰がそれを負担するのかということは、別の問題なんですね。補助金を誰に交付するかということと、誰にそのメリットが及ぶかということは、全く別の問題だということでございます。
 EUは、直接支払い制度を一九九三年から導入しました。OECDの分析があるんですけれども、耕作者に払っているんですけれども、その効果はどこに帰属したのか。九〇%が農地を出してきた人、それに帰属しているというのがOECDの分析結果でございます。
 二十三ページを見ていただくと、日本と中国、カリフォルニアでも同じなんですけれども、米価は接近しています。一番上が、赤いグラフが日本の国内の米価の推移です。下が、中国から日本がミニマムアクセスとして輸入している米の値段の推移です。真ん中の黄緑のグラフは、日本が中国から輸入しているものを日本の市場で売ったときの値段ですね。
 上の二つのグラフの差は、品質格差をあらわしています。大体二割から三割ぐらいの品質格差があるということです。だから、実際に品質格差を除外した内外価格差は、黄緑の線と青の線の差なんですね。これは今では三〇%を切っているという状況になっています。
 つまり、減反をやめて価格を下げれば、実は関税はゼロでもやっていける、こういう水準まで国際的な価格は来ているということでございます。
 さらに、今の価格でも、価格のトレンドで流していくと、十年かけて関税をゼロにする、そういう場合でも、ほとんどというか、全く影響ないという状況になっているのが二十四ページでございます。
 二十五ページは、簡単に言いますと、米については減反の廃止と直接支払いで十分やっていけるという話と、畜産についても、実は、トウモロコシを無税で輸入しているんですけれども、それに、でん粉用のトウモロコシに転用を禁止するために特別な処理をさせています。それが、トウモロコシコストの二割増しになっているということですね。もしTPPで全ての関税が撤廃されれば、その横流れ防止策も必要なくなるということです。とすると、畜産物についても相当なコストダウンが図られるということでございます。
 アベノミクスなんですけれども、確かに、価格に生産量を掛けてコストを引いた、これが所得なので、アベノミクスもP掛けるQマイナスCをやれば所得は上がるんですけれども、残念なことに、これは全て今までやった政策のリメークだということでございます。
 特に、中間保有機構ということで農地を集積しようとしているんですけれども、米価を、減反政策を維持した上では農地が出てこないわけですから、こうした政策はやっても効果はない。農地が出てこないものを、どうやって集約して貸し付けるんだということになります。
 それで、時間がないので、二十七ページを御説明したいと思います。
 減反の見直しの問題なんですけれども、減反を廃止するという報道がなされていましたけれども、安倍総理が発言を修正されたように、この報道は間違っていたわけですね。何をやるかというと、戸別所得補償はやめますけれども、これまでやってきた減反の補助金を、餌用の米あるいは米粉用の米をつくるために出した補助金を大変な増額をする、こういうのが減反の見直しの内容でございます。
 そうすると何が起こるかというと、大変膨大な財政負担が必要になります。それと同時に、国内の米、餌用の生産、米粉用の生産をふやすということは、アメリカからの小麦の輸入を抑制する、あるいはアメリカからのトウモロコシの輸入を抑制するということになります。そうすると、アメリカはこれをWTOに提訴すれば、アメリカは自動車に対して報復的な関税を課すことができる。そういうふうな関係にもなるということでございます。
 時間が来まして、農地制度、農協制度を申し上げることはできなかったんですけれども、最後に、三十一ページを見ていただきたいんです。
 国内のマーケットが高齢化と人口減少時代で縮小する。その中で日本農業を維持、振興しようとすれば、海外に打っていかざるを得ないわけですね。そのときに、従来どおり高い関税で、高い価格で日本の農業を守って輸出ができないようにするのか、あるいは、直接支払いをやって海外のマーケットに打って出るのか、これが今回のTPP問題で問われているところだというふうに思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。拍手
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二階俊博#9
○二階委員長 ありがとうございました。
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二階俊博#10
○二階委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。薗浦健太郎君。
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薗浦健太郎#11
○薗浦委員 自由民主党の薗浦健太郎でございます。
 質疑を行わせていただきます。
 その前に、四氏の公述人の皆様におかれましては、大変お忙しい中お越しをいただきまして、また、それぞれのお立場で大変貴重な御意見をお伺いできたことに、まずは心から感謝を申し上げたいと思います。
 その上で、幾つか、お話をお伺いしていてこれを聞きたいなということを、ちょっと質疑をさせていただきたいと思います。
 まずは、増田公述人にお伺いをいたします。
 いわゆるアベノミクス、我々が行っておる経済政策でございますけれども、今はもちろん野村総研、東京大学というところで御研究をなさっておられるんでしょうけれども、知事という立場もございました。総理が常々、これから全国津々浦々にこの効果を波及しなければならないということをおっしゃっておられるんですが、この全国津々浦々に波及させるためにこれから何が必要なのかということを、御経験の立場から、まずはお伺いをできればと思います。よろしくお願いします。
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増田寛也#12
○増田公述人 ありがとうございます。お答え申し上げます。
 今、地域の数値を見ておりますと、全地域で消費などが拡大をしてきている。したがいまして、この一年間のアベノミクスの効果がこれから地方の方にちょうど及んでいくかどうか。少しずつそれが浸透することは期待をしておりますが、中小がほとんどであります、中小が九九%の中で、これからどうやってそこを活性化させていくか。
 実は、私は、マーケットも人口減少で大変縮小していきますので、今までと同じことであれば、いずれの中小も大変厳しいと。個別に、先ほど議論がありました農業ですとか、それから観光などといった、地域によって非常にこれからも期待できるものもあると思いますが、やはり地域にある知的な資源、それは大学であり、例えば県の試験研究機関等のようなものでございます、そうしたところで、地域の産業界と一体となって、他にない、いかに特徴のあるものを生み出すことができるのか。
 よくイノベーションということが言われます。イノベーションというのは、本当に国全体として他国とかち得るだけの革新的なものを出すということなんだと思いますが、私は、地域でもこうしたイノベーションのようなものを、やはり地域地域の、必ずある大学ですとか試験研究機関などを通じて、よく地域の産業界の特色を生かしたものを出す。
 それを全体としてどこまで応援できるのか。国としても、そういうことにできるだけ目配りをし、あと、知的財産権などでの保護をきちんとしていくといったような仕組みをつくっていくことが、これから必要ではないかというふうに思います。
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薗浦健太郎#13
○薗浦委員 ありがとうございました。
 それぞれの特色、特にイノベーションという言葉がありましたけれども、やはりそこを生み出すというのが我が国の強みにもつながりますし、それがそれぞれの地域であればもっといいなと思うんですが、先ほどおっしゃった、輸出が振るわないという話がございました。今の円安要因の中でもなかなか振るわない。
 これはもちろんイノベーションも関係あると思うんですけれども、その要因をどう分析されているかということと、それから、これはもちろんふえた方がいい話だとは思うんですけれども、何をすればこれから輸出がふえていくのかということを、次にお伺いできればと思います。
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増田寛也#14
○増田公述人 この輸出は、特に地域の方からも、私も大変痛感したわけでありますが、生産拠点をせっかく工場誘致しても海外の方に出ていくということがありました。さまざまな要因がありましたが、労働力の単価の問題等ございました。
 これから、我が国がこれだけの円安環境の中で輸出をふやしていくことをしていくためには、やはり、今、産業のそれぞれの業態の中でも、いわゆる勝ち組と負け組に分かれているような感じがします。輸送、そして一般自動車、こういったものについては高い輸出競争力をまだ持っておりますし、それから電気、このあたりは大変厳しい。その持っている商品、製品、これがどれだけのものなのか、世界的に太刀打ちできるか、やはり根本はそこのところになるのではないかというふうに思います。
 もちろん、自動車も、これからさまざまな、燃料電池ですとかハイブリッドですとか、どんどん形態を変えておりますが、やはり、そういった一つ一つのお持ちになっている商品をどれだけ競争力のあるものにしていくかとなれば、国内でそうした製品を企画開発する部門に我が国として最大限の英知を注ぎ込むということが、基本的に輸出を、環境をよくしていくことにつながるんだろうというふうに思っております。
 そのほか、エネルギーの問題、さまざま要因はあると思いますが、私は、一言で委員の御質問にお答えするとすれば、やはり、日本の原点に立ち返って、そうした今まで我が国が立国の中で非常に高い製品をつくり出してきた、そこの原点にもう一度立ち返るべきではないかというふうに考えております。
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薗浦健太郎#15
○薗浦委員 ありがとうございました。
 非常に含蓄のある御示唆をいただいたと思います。
 もう一点、先ほど、一五年に二%を達成するためにはいろいろなことをしなければというお話をいただきました。
 そのいろいろなことの中身を実は知りたいと思いまして、話せばすごいいろいろな、長くなってしまう話でしょうけれども、主要なポイントを幾つか、そのいろいろなことの中身を我々に御示唆をいただけませんでしょうか。
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増田寛也#16
○増田公述人 インフレ率、日銀、さまざまそれぞれ言っておりますけれども、やはり、こういった達成をしていくためには、要は、なかなか難しいなと思いますのは、エネルギー価格が今後、将来予測として下がっていくであろう。これが、今までは、エネルギー価格の上昇が耐久消費財ですとかそれから食料にすぐきいてきますので、そのあたりでプラスの方に働いてきた。確実にインフレ率が当初の予想を超えるペースで上昇してきたと思うんですね。
 実は、こういった将来の、エネルギーが今まで一番きいていたんですが、そういったことが今後なかなか期待できないとなると、私も、需給ギャップ、失業率を見ておりますと、我々の野村グループで予想しております予想ですと、一五年末に大体三・五%まで失業率が低下をすれば、今三・七ぐらいだと思いますけれども、三・五%まで低下すれば、コアコアのCPI上昇率が前年比でプラス一・〇%まで上昇する可能性があるというふうになっております。
 したがって、実は非常に多様なことということで、これ一つということではないんですが、やはり、そうしたインフレ率の鈍化に対してしっかりとした、雇用政策ですとか、それは賃金も含めて、きちんとした、上昇をどこまで及ぼすことができるのか。とすれば、パートですとか非製造業の部分で顕著化しておりますけれども、そういうところの構造にもやはり手をつけざるを得ないということでありますので、実は、雇用形態ですとかそういったことも含めて総合的な対策ということで先ほど申し上げたつもりでございます。
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薗浦健太郎#17
○薗浦委員 ありがとうございました。
 雇用政策が非常に大事だというお話をいただきました。
 そこで、神津公述人にお伺いをしたいと思うんですが、連合の事務局長さんという立場と、それから、基幹労連御出身だったと記憶をしておりますけれども、鉄鋼というような非常に景気の動向に左右されるところの御出身ということで、非常に敏感なお立場でいらっしゃると思います。
 きょう、実は神津さんに質問できるときのうわかった段階で、これを最初にどうしても聞きたかったというのがありまして、お立場はあるでしょうけれども、ずばり、アベノミクスをどう評価されますかということをまずお伺いしたいと思います。
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神津里季生#18
○神津公述人 ありがとうございます。
 踏み込んで、私の出身元とのかかわりなども含めて御質問いただきましたので、私もそこにはきちっと答えながらというふうに思っています。
 私ども、そういう意味では、産業構造が変化をしているとはいえ、稼ぎ頭としての製造業において、やはり一般的に為替の水準というのは非常に、このままで本当に日本は大丈夫なのか、こういう問題意識を長いこと持っておりましたから、これはいろいろ合わせわざがあってのことだというふうに私はあえて申し上げますけれども、為替水準が是正をされたということは、これは歓迎すべきことだというふうに思っております。
 合わせわざというのは、そういう意味でいいますと、これは、安倍総理が野党の時代の最後のところでかなり思い切った発言をすることができたという、今のお立場であればなかなかおっしゃることができないようなこともあっただろうということなり、それと、前政権、野田政権のときに社会保障と税の一体改革ということで、日本も、ずっと消費税についてほったらかしにしてきたけれども、やはりやろうと思えばやることはできるんだなという意味で、国債の信認ということについて最低限の歯どめをかけたということがあってだということはあえて申し上げておきたいと思いますが、ただ、そういう合わせわざのもとに為替が是正されたということは非常に大事なことだと思っています。
 ですから、それをスタート台にして、どうやって地方に波及をさせるか、中小企業で働く方々の処遇水準を底上げできるか、そして、非正規ということ、これはやはり不安定な雇用形態に働く方々の問題、これをどう是正を図っていくかということ、そこが、その意味でも第二の矢、第三の矢がないと、せっかくこういう環境、好条件を迎えたことがふいになってしまう、こういうことではないのかなというふうに思っております。
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薗浦健太郎#19
○薗浦委員 ありがとうございます。
 雇用の安定と賃金の上昇というのが、先ほど増田先生とのやりとりの中でも、非常に重要だという話になりました。
 その中で、先ほど、若年失業率のお話をいただきました。やはり、きちっと就職できて、働くことができて、手に職をつけられて、技術も身につけて、社会の支え手になっていくというそのサイクルは僕も非常に大事だと思っているんですね。その若年者の、いわゆる不本意非正規含めた、自分の望む働き方ができない人への対策というのは、これは政府と、政労使一体となって進めていかなきゃならないと思うんです。
 その中で、ブラック企業の話も先ほどいただきました。いわゆるブラック企業、いわゆる僕らで言うところの日本の資源を食い潰すただ乗り、経済学用語で言えばフリーライダーというところなんですが、政府も去年の九月ぐらいから、ブラック企業だといって労基署にいきなり若い人が駆け込むのはなかなか難しいだろうということで、電話相談窓口をつくったり、それから監督署に監督を強化したりということをやっておるんですけれども、連合さんでもそういうことをやっていらっしゃると先ほどお話がありました。
 具体的にどうやってやっていらっしゃるのかというところと、あと、これは政府がやっているとか組合がやっているという話じゃなくて、みんなでやっているんだよという形にしないと、なかなかこれは撲滅につながらないと思うんですが、それは政府と、政労使一体となって取り組める課題の一つだと思うんですが、そこの御認識ももう少しいただけますか。
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神津里季生#20
○神津公述人 ありがとうございます。
 端的に申し上げますと、私どもとして、一つは、取り組みとして労働相談ダイヤルということをやっていまして、大体一月当たり千二百件ぐらい、常時、これは全国で、地方連合会とあわせて展開をしておりますけれども、そういう労働相談を受けて、アドバイスをして、必要なところにおいては、みずから進んで刺さり込んで解決を図っている、こういった実態にあります。
 まさに、これは政労使挙げて取り組むべき課題だと思います。先日の政労使会議の中でも、やはり、キャリアアップをどう図っていくのかということにおいて、経営者にそこのところを最大限求めていく、こういったことの認識合わせもあったところであります。
 まさに、そういう意味では、人手なりお金の問題も含めて、ブラック企業の撲滅ということについては、政府としてもっと力を入れていただきたいなというふうに思います。
 以上です。
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薗浦健太郎#21
○薗浦委員 ありがとうございました。
 もうちょっとやりたかったんですけれども、時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
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二階俊博#22
○二階委員長 次に、伊佐進一君。
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伊佐進一#23
○伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。
 質問させていただきますが、その前に、四人の公述人の皆様には、本当に御多用の中お越しいただきまして、また、御貴重なお話をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。
 まず最初に、私、質問させていただきたいのは、増田公述人に、人口減少の話がございました。人口減少と国と地方の関係について少し質問させていただきたいと思います。
 今お話しいただいたのは、大都市に対しての人口流入がとまらない。しかも、これは単なる人口じゃなくて、この人口というのは若年層で、先生が使われていたのは人口再生産力という、子供を産む世代がどんどん入っていっている。ところが、流入していく先の大都市は非常に出生率が低いという中で、東京だと一・〇九ですので、そういうような状況の中で、結局、論文の中で増田公述人が書かれていたのは、ブラックホール化している、若い世代がどんどん都市に集まって、しかもそこで子供が産めなくなる、これが人口減少にどんどん拍車をかけているんだというようなお話だったかと思います。
 では、これをどうするか、この今の状況をどうやって食いとめて、反転攻勢していくかということです。
 中長期的にどういう持続可能性のある発展を目指していくかということになると思いますが、これは、今中央にある権限を地方にどんどん移譲したらいいんだという、単にそういう話でもないと思います。例えば、各地域の行政ブロックの中にどういう経済社会活動の拠点になるようなものを具体的につくっていくのかということが大事じゃないかと思います。
 そこで、私、注目してきょう質問させていただきたいのは、地方部局のあり方です。
 最近の流れの中で一つ大きな話がありまして、PMDA—WESTという話がありました。これは何かといいますと、医薬品とかあるいは医療機器とか、そういうものの審査をする機関、PMDA、これは東京にありますが、これを関西にも持ってこようということで、PMDA—WESTというものを昨年の十月にオープンいたしました。関西というのは医療機器とかあるいは医薬品産業の集積地ですので、そういう場所でしっかりと審査あるいは相談できるようなものをつくっていこうということで、PMDA—WESTをつくった。
 私はかねてから実はずっと申し上げていることがありまして、それは何かといいますと、関西特許庁というものなんです。つまり、特許の申請あるいは相談をするときに、わざわざ東京に行くんじゃなくて、それぞれの地域の行政ブロックでできないかな、知財戦略の一環にもなるんじゃないかな、そう思っております。
 これを特許庁の方々に相談すると何と言われるかといいますと、いや、今はもう全部ITなんです、電子申請で全部できるんですと言われます。あるいは、この審査のプロセスの中で面接というのがあるんです。この面接も、今やもうテレビ面接できるんですよと特許庁の方は言われる。
 でも、実際、地元を回って中小企業の物づくりの皆さんに話を聞くと何と言われるかというと、いや、そんなの全然だめです、やはり会って、例えば、部品を持っていって、審査官の前で、ここのところを実はもうちょっと削らないといけないんですよとか、あるいは、ここのこのカーブがこういう機能があるんですよ、こういうのを目の前で話をして、顔を見て話をすることによって、やっと物事が前に進むんだというのが中小企業の皆さんの声だと私は思っております。結局は、そういう意味で、中小企業の皆さんも、わざわざ一極集中している東京に足を運んで、そこで特許庁に相談するというのが今の現状です。
 ちなみに、海外はどうなっているかといいますと、例えばアメリカの場合、特許商標庁というのがあります。本部はワシントンDCの郊外にあるんですが、例えば支部はダラスにあったりとか、あるいはシリコンバレーにあったりとか、いろいろなところにある。欧州も一緒で、欧州特許庁というのはミュンヘンにあるんですが、ところが、支社がハーグにあったりとかウィーンにあったりとか、さまざまなところに、ベルリンにもあります。中国も、北京に本部があるんですが、広州とかあるいは蘇州とかにある。
 そこで、私の質問は、こういう地方部局のあり方について、今、行革の流れの中で、行革というと、とにかく地方部局を全部潰していけば、なくしていけば行革なんだというような発想で物事が進みかねないような状況にあると思います。やはりこういう地方部局については、しっかりと戦略的に、どういうところを残して、どういうところをつくって、あるいは拡大させていくのかという議論が必要だと思いますが、この地方部局の考え方について、増田公述人に質問したいと思います。
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増田寛也#24
○増田公述人 お答えを申し上げます。
 人口減少全体の問題は、出生率の低下の問題、これは地方でもいろいろ努力できる。しかし、もう一つ大きな我が国の特徴は、東京に全部集まってしまうという、こちらの問題で、これは世界的にも例がなく、日本特有の問題で、地方で幾らやっても限界があって、地方も努力するんですが、やはり大きな国策として、そういうことをどう考えるかという問題だと思います。
 その大きな枠組みの中で、今お話がございました地方支分部局のあり方も考える項目の一つであろうとお話を聞いておりました。
 さらに言いますと、それぞれの地域でいろいろなことを完結してやれるような仕組みづくりをしていくということが、恐らく地域の雇用にもつながると思います。
 確かに、特許などは、ITを使って中枢でいろいろな審査自体はできるかもしれませんが、正式な審査の過程と同時に、今お話ございましたような、実際にはその間にさまざまなやりとりが行われることが多いであろう。そうしたやりとりを通じて、その地域地域のいわば知的リソースがどんどん拡大していくような効果などもやはり期待できると思います。
 私は、どういう手続が中央で、どういう手続を地方に残すかというのは、個別に見ないとわからないので今この場でなかなか即答はできかねますが、やはり全体として、地域でさまざまな審査体制をしたり、さまざまな手続を行うのがふさわしいものは、きちんとやはり地域に置いてそうしたものを行うということが、表面的な審査の過程のみならず、全体としての地域の循環経済をつくっていく上で資するのではないかというふうに思います。
 ありがとうございます。
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伊佐進一#25
○伊佐委員 非常に有益な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 もう一つ、ちょっと全く角度を変えまして、国と地方の関係で、あるいは大都市と周辺地域、地方との関係で一つ大きなテーマになりますのが、原発のごみの話、高レベル放射性廃棄物、この処分地をどうしていくかという話なんです。
 日本は、これまで長い間手挙げ方式で、地方のどなたか引き取ってくれますか、ところが、住民投票をすると全部ひっくり返るというような状況になっていました。今我々が進めようとしているのは、国が一歩前に進みまして、そこで客観的に、科学的な見地から候補地を探していく、その上で、地方の皆さん、自治体の皆さん、あるいは周辺住民の皆さんと議論を進めていこうというようなやり方を進めていこう。
 当然、ごみの問題、もう世界じゅうが悩んでいますので、人類史的な課題だと言われています。フィンランドのオンカロというのが有名になりましたけれども、あれも結局原発二基分しかごみが捨てられませんので。脱原発ということでドイツもかじを切りましたけれども、ドイツでも二〇二二年までに原発ゼロにすると言っておりますが、結局、彼らも悩んでいるのは、高レベル放射性廃棄物、これをどうするか。
 私、ドイツに昨年行ってきたときに、もともとゴアレーベンという場所に捨てようと決めていた、この方向で話が進んでいた。ところが、やはり最後、決め切れなくて、昨年の四月、全部ひっくり返して、白紙撤回しました。
 では、今、ドイツは何をしようとしているかというと、国だけじゃなくて、地方自治体も全部入れて、予断なく、ゼロベースでもう一回議論し始めましょうと。すばらしいのは、そこに科学者も入れて、実は、さらに広く、例えば哲学者を入れて、宗教者も入れて、芸術家も入れて、国民各層からいろいろな参加を得てここで議論していきましょう、そういう取り組みを行っている。二十年かけて結論を出そうというようなことを行っているそうです。
 では、翻って、日本はどうするかということですが、国が一歩前に出ますということで進めようとしています。でも、最終的には、当然、受け入れてくださる自治体とか、あるいは周辺自治体とか、周辺住民の皆さん、意見調整しなきゃいけない、御理解を得なきゃいけないというような状況で、たとえ受け入れてくださるところがあったとしても、恐らく周辺地域の反発というのは相当あるでしょう。そうなったときに、その自治体と周りの自治体との調整をどうするかとなると、当然、広域行政自治体といいますか、今でいえば都道府県が大事な役割を担っていくということになると思います。
 そこで、お伺いしたいのは、原発の高レベル放射性廃棄物もそうですが、こうした課題について、国と地方がどういうような役割分担、どういうような連携をして進めていくべきかという御所見をお伺いしたいと思います。
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増田寛也#26
○増田公述人 お答え申し上げます。
 私も、今、経産省の高レベル放射性廃棄物処分問題のワーキンググループの委員長をやっております。
 その中での議論も大分積み重ねてきておりますけれども、私、きょうの公述人の立場で考えを申し上げますと、やはりこういった高レベル放射性廃棄物の問題というのは、いわゆる行政学上も、NIMBY問題、ノット・イン・マイ・バック・ヤード、うちの裏庭にだけは置いてほしくないんですが国全体としては必要な問題という、大変難しい問題で、この問題の解決の鍵は、やはり当事者間できちんとした信頼感あるいは安心感といったものが醸成されること、それが必要だ。したがって、各国とも、長い年月をかけて、そうした信頼感がお互いにでき上がることを醸成するような仕組みをつくってきているというふうに思います。
 個々に選定のプロセスを変えることも必要だと思いますが、やはりそういう大きな信頼感をつくる枠組みとして、これはフィンランドも決めましたが、あとスウェーデンも場所を決めております。スウェーデンを調査しましたところ、それぞれの地域にLKOという、知的向上委員会と訳すようですが、関係者みんなが入って、長く議論できるような場づくりをきちんと原発ごとにしている。
 あるいは、フランスも間もなく、ビュールというところが候補地に挙がっているようですが、いろいろ選定が大詰めに来ていると言っていますが、CLISと呼んでいる、そういう地域での議論ができる、関係者みんなが入った場がありまして、そこに国も自治体も、関係者、事業者はもちろんですが、入って、原子力発電の問題を当初から忌憚なくいろいろ議論していく、そういう積み重ねが長くあるようでございます。
 したがって、今までは、とかく事業者と自治体が話し合う場はございましたが、まだまだそういった場への関係者の参加が十分でなかったのではないかというふうにも思っておりますので、こうした、今委員がお話ありましたような国と自治体、それから多くの関係者、県と市町村もまた立場が違いますし、それから事業者、そしてさまざまな地域の団体がございますが、そういった人たちがこの問題を議論できるような場づくりをどう設定していくのかというのが、これから大変大事なポイントになるのではないかというふうに思っております。
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伊佐進一#27
○伊佐委員 ありがとうございました。
 もう一つ伺いたいことは、実は、社会保障のあり方、ちょっと時間が恐らくないでしょう、言いっ放しで終わらせていただきたいと思います。
 社会保障のあり方として、これから、今、地域包括ケアシステムというものをどうやって進めていくかという議論を行っているわけですが、その中で、当然、その意味というのは、地域地域の特色に合わせて、あるいはニーズに合わせて、どういったそれぞれに合ったモデルをつくっていけるかというのが大きな議論になっているわけですが、その中で、どうしても避けて通ることのできない、議論が必要だと思うことが、診療報酬のあり方だと思います。
 今、診療報酬というのは全国一律で決められてしまっております。ところが実際は、当然、都市部もあれば、過疎地もあれば、山間部もあれば、それぞれによっていろいろな医療の状況が違う、あるいは、どういう病気になっていくか、疾病の状況も違うという中で、増田公述人もどこかで診療報酬について少し触れられていたことがあったんじゃないかと思いますが、地方と都市という関係性を考えるときに、こうした社会保障の分野においてもまたさまざまな形を変えていくことが必要なんじゃないか、診療報酬のウエートについても考え直していく必要があるんじゃないかなということを、増田公述人もおっしゃっておりましたので、一言述べさせていただきます。
 本当は、もう一つ、実質賃金について神津公述人にお伺いしたかったところなんですが、今、政労使の会議もやっていただきまして、実質賃金について、しっかり政府・与党としても、これを上げていくんだという決意だけ申し述べさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
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二階俊博#28
○二階委員長 次に、篠原孝君。
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篠原孝#29
○篠原委員 増田さんと神津さんと藤田さんの今の日本経済についての考え方は、大体似ていたんじゃないかと思います。円安になったけれども輸出はそれほどふえない、設備投資もふえないと。
 増田さんに質問が集中しているようですので、逆の方からで、藤田さんの方にちょっとお伺いしたいんです。
 わかるんですね、非常にきちんとまとめていただいて、我々の認識と大体一致しているんじゃないかと思います。新しい産業について、賃金が低いんだ、これが問題だ、日本の経済成長というのは消費、内需型なんだ、だから、そっちの方をきちんとしなきゃだめじゃないかと。
 新しい産業のところ、観光だとか福祉だとかは賃金が低い。これは全体もそうなんですが、今の政権は賃金を上げてほしいということを盛んに経団連や何かに言っている。では、こういう新しい産業の方の労働条件の向上が必要というのは、結局は賃金を上げろということですけれども、どんなふうにやって、こういうところは上げるようにしていったらいいんでしょうか。そこのところがちょっとよくわからないんですが、藤田さんはどのようにお考えでしょうか。
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