法務委員会

2015-08-06 参議院 全133発言

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会議録情報#0
平成二十七年八月六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 八月四日
    辞任         補欠選任
     山本 博司君     矢倉 克夫君
 八月五日
    辞任         補欠選任
     溝手 顕正君     豊田 俊郎君
     江田 五月君     礒崎 哲史君
 八月六日
    辞任         補欠選任
     豊田 俊郎君     石田 昌宏君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                熊谷  大君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                真山 勇一君
    委 員
                石田 昌宏君
                猪口 邦子君
                鶴保 庸介君
                豊田 俊郎君
                牧野たかお君
                柳本 卓治君
                足立 信也君
                礒崎 哲史君
                小川 敏夫君
                矢倉 克夫君
                仁比 聡平君
                田中  茂君
                谷  亮子君
       発議者      小川 敏夫君
       発議者      有田 芳生君
   委員以外の議員
       発議者      前川 清成君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      塩川実喜夫君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省人権擁護
       局長       岡村 和美君
       外務大臣官房審
       議官       下川眞樹太君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の
 推進に関する法律案(小川敏夫君外六名発議)
    ─────────────
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魚住裕一郎#1
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 議事に先立ち、一言申し上げます。
 本日は、広島原爆の日でございます。
 ここに、犠牲となられた方々に対し、深く哀悼の意を表し、黙祷をささげたいと存じます。
 どうぞ御起立お願いいたします。黙祷。
   〔総員起立、黙祷〕
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魚住裕一郎#2
○委員長(魚住裕一郎君) 黙祷を終わります。御着席ください。
    ─────────────
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魚住裕一郎#3
○委員長(魚住裕一郎君) 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、山本博司君、溝手顕正君及び江田五月君が委員を辞任され、その補欠として矢倉克夫君、豊田俊郎君及び礒崎哲史君が選任されました。
    ─────────────
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魚住裕一郎#4
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省人権擁護局長岡村和美さん外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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魚住裕一郎#5
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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魚住裕一郎#6
○委員長(魚住裕一郎君) 人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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猪口邦子#7
○猪口邦子君 ありがとうございます。自民党、猪口邦子でございます。
 本委員会は、委員長の御指導の下、内閣提出の必要な法案の審査を精力的に行う一方で、現代社会におけます正義や人権など、法務委員会として鋭く認識すべき課題について誠実な議論を行ってまいりました。とりわけヘイトスピーチ問題については、本日議題となりました議員立法の発議者等、多くの議員によります非常に熱心な累次の質疑がありまして、この問題への会派を超えた認識形成に貢献し、政府側もこれを受けて迅速に対応を強化する場面もありました。立法府の質疑が政府による社会的啓発の強化に直結するなど、有意義な委員会プロセスがあったと私は感じております。
 その展開との関係で、この度、小川理事等から法案が提出発議されています。日本国憲法と人種差別撤廃条約の理念に基づきまして、人種等を理由とする差別の撤廃のための施策を総合的かつ一体的に推進する、これを目的とする法案であると思いますが、まず、発議者によりますこの法案を提出されることにつきましての理由についてお伺いします。
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小川敏夫#8
○小川敏夫君 私が思いますのは、世界の人々、人類、人種とか民族とか、そうした違いを乗り越えて、全ての人が一人一人が尊重される世界でなくてはならないと。そして、尊重された一人一人が力を携えて共生する社会を構成するというのが、私はこの国際社会の普遍原理だと思っております。
 また、そうした原理に基づいて、人種差別撤廃条約が多くの国が参加して成立しておるわけでございまして、我が国も二十年前ですか、この条約に加盟いたしております。しかしながら、条約に加盟したまま、その条約の趣旨を生かす法律というものがいまだ制定されていないという状況にございます。
 一方、この社会におきまして、昨今ではいわゆるヘイトスピーチというもの、これは明らかに人種等の差別を理由としている問題とされるべき行動だと思うんですが、こうしたことが繰り返されて社会問題化していると。
 また、ヘイトスピーチにとどまらず、様々な人種等の差別というものが現在でも引き起こされているということがございます。例えば、サッカー場でジャパニーズオンリーというようなことが行われたり、あるいは外国人お断りといって外国人だけを利用させないというような、そうした施設があったりというようなことがございました。
 そうしたことの状況から、やはりそうしたことにつきまして、そういう人種的な差別行為は許されないんだということを法的にも明らかにする必要があると思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、人種差別撤廃条約を受けたその理念を生かす法律がない、また、そうしたヘイトスピーチやただいま挙げたような例の人種差別的行為を、人種差別を禁止するということを理由にした法的な対応がなされていないという現状に鑑みまして、やはりここは法律をもってしっかりと人種差別的行為は許されないんだというそうした理念を明らかにして、また条約の趣旨も受けたそうした法整備をする必要があるのではないかと、このように考えまして法律を提案させていただいた次第でございます。
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猪口邦子#9
○猪口邦子君 御趣旨、お考えには大いに共感いたします。根本的に啓発がまだまだ不足していて、抜本的な強化が必要であるということ、それに対して小川先生はこの法案を提出されているということと理解いたします。
 それで、この法案ですけれども、これは、いろいろな法律の形がありますが、基本法の形態として理解してよろしいんでしょうか。
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小川敏夫#10
○小川敏夫君 何をもって基本法かという定義のことは別にいたしまして、やはり人種差別撤廃条約というものの趣旨を生かしたそうした基本法というような性格を持った法案、法律であると、このように考えております。
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猪口邦子#11
○猪口邦子君 基本法を成功させるためには、まず、何といいますか、問題意識の主流化といいますか、人種差別はいけないという、こういう考え方の主流化、これをまず啓発等できちっと図っていく。それで、基本法としては、この法律にも示されていますとおり、基本原則とか基本方針、こういうものを定めますが、一般的に施策を推進する、そして特に啓発などを大胆に力強く推進するためにはやはり予算を投入しなければなりませんし、政府においては、基本計画などを策定して計画的に、その啓発活動を含め、進めなければならないと思うんですね。
 この法案を拝見しまして、その基本原則、基本方針の後に、この基本計画を政府においてあるいは地方公共団体において策定する義務及び努力義務、こういうのが普通続くのが基本法を書くときの形となるかと思うんですけれども。そうしますと、今度、特に国の、政府においては、その策定義務、例えば五年ごとにそういうのを策定しなさいと、そしてその項目立てをしていく中で、その項目ごとに実際には予算措置がやりやすくなるというような流れがあって、基本法が実際の現場の施策推進につながると思うんですね。地方公共団体の場合は、そこまで義務とするか努力義務とするか、地域の特殊事情を加味して義務とするか、いろんな書き方がありますけれども、そういう形を取ると思うんですけれども。
 必ずしもこの基本計画策定義務を政府に課していないというところはあるんですが、それについての何か、もちろん第二章のところで基本施策ですかね、が書いてございますけれども、この基本法の中にこういうふうに書いてしまって、今度政府の方の計画の策定というのはどうするのかということがあります。もちろん、六条のところで、施策を総合的に策定しという表現があるんですけれども、ちょっとその辺の構築の説明をいただきたいと思うんです。
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小川敏夫#12
○小川敏夫君 法案の御趣旨に御理解いただきまして、大変ありがとうございます。
 人種差別をなくすという分野の国の施策と考えますと、非常に幅広い分野に及んでおります。法務の分野が多いかと思いますが、教育であれば文科、あるいは雇用等であれば厚生労働省と様々な分野に及んでおりますので、この法案におきましては、国がそういう施策を行う面においてこの人種差別の趣旨を生かしたそうした施策を取りなさいということをうたいましたが、それより更にそれを具体化した計画というものが、この法案でというよりも、担当するそれぞれの省庁において、この法案の趣旨を生かした施策を具体的に計画立案して施行していただきたいと、このような趣旨で、委員が御指摘されたような明確な具体的な計画までは盛り込んでおらないところでございます。
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猪口邦子#13
○猪口邦子君 そのような質問をいたしました理由は、私、男女共同参画基本計画を一人の有識者として執筆に関わったことがあるんですけれども、これもやはり女性差別撤廃の考えを受けてなんですけれども、そのときの基本法の構築がまさに基本計画を政府に策定義務を課したというところがありまして、そうすると、基本法が通って翌年から策定義務が発生して、男女共同参画の場合は二〇〇〇年からの基本計画ですので今回で第四次の基本計画が策定されていくという、こういう流れがありますので、ちょっとそのことを覚えておりましたのでお伺いしたんです。
 趣旨は分かりました。今後、政府も、この第二章のところの特に項目を挙げていらっしゃいますので、そういうことを踏まえてという趣旨でよろしいんですよね。
 それで、もう一つ、この六条の書き方がちょっと私、おやっと思ったんですが、六条は、ですからまさに基本計画を政府に課すという、それの代替する一項が重要なところなんですね。人種等を理由とする差別の防止に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有するということが書いてあるんですよ。ですから非常に重要な二行だと思うんですね。
 それで、今度二項に、ここに今度は、民間の団体その他の関係者相互の連携協力体制の整備に努めるものとするということが書いてあって、ここも重要なことなんですが、一般的にはこれは、ですから基本法の形だと基本計画の中に入れさせるか、あるいは先生のこの法案ですと第二章の方に入るべき内容と思うんですね。つまり、六条というのは、まず基本方針の前に六条が来ているんですよね。だから、そこはもうちょっと本当に責務について何か書く方がいいんじゃないかなと思うんですね。
 それで、二章を見ますと、十七条だったかな、同じようなことが書いてありまして、ここに民間団体の支援等が書いてあるので、六条二項と十七条は重複している感がちょっとあるんですけれども、また十七条の方に書くことが実は適切で、この六条のところは、例えば私だったら、国及び公共団体というか、まず国の責務を書いて、それで公共団体の責務を書いてというような構築にし、かつ基本法を受けての、先ほど申し上げたような基本計画策定義務を課すとか、六条というのはそういうふうに重くして、かつ基本方針の次に来るようにすると思うんですね。
 基本原則があって、基本方針があって、それで基本計画の策定義務を課すんだったら課す、そこで国と地方公共団体の責務がきちっと述べられるというふうに思うんですけれども、ちょっとお考えをお伺いしたいと思います。
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小川敏夫#14
○小川敏夫君 委員御指摘のところは全くごもっともでございますが、この法案におきましても、その形の上で御指摘いただきましたところ、誠に私どもそのとおりと思うところでございますが、法律の内容におきましては違いがないのではないかということで御理解いただければというふうに思います。
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猪口邦子#15
○猪口邦子君 法案としての書き方について私の考えもお認めいただけましたということと理解をさせていただきますが。
 それから次ですが、時間が限られていますので急ぎますけれども、この審議会の内閣府設置ということなんですよ。これ第三章のところでございまして、一般的にそういうことは思い付くんですけれども、御存じのとおり、内閣府は今審議会を整理する方向にも行っていて、ただし、非常に重要な課題で、かつ、小川先生おっしゃいましたような、文科にも係る、厚労にも係る、こういう省庁横断的なそういう内容を取り扱うのは内閣府が、あるいは内閣官房が非常に優れているというふうに思います。ですから、本当に重要なテーマとしてこれを扱い、内閣府に設置するという考えでいらっしゃるんでしょうけれども、一般的にこの審議会を内閣府に更に設置するということと、今そこをできるだけ整理して各省に下ろしていき、下ろしたからといって省庁横断的な協議ができないということではなく、共管を取ったりしながらやるそういう行政文化が、実は一府十二省体制が組まれて以来もう相当な時間がたちますので、そういう文化が醸成されたという信頼の下でいろいろな内閣府の審議会の機能が各省に下ろされているんですね。
 それについて、どうしても内閣府ということに、重点化したのかどうか、ちょっとこのお考えとの関係をお伺いします。
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前川清成#16
○委員以外の議員(前川清成君) おはようございます。
 まず、お答えをさせていただく前に、今日、本法案が委員長、そして与野党理事の賢明な御判断で審議入りできましたことを私からも感謝申し上げさせていただきたいと思います。猪口先生の先ほど問題意識の主流化というお言葉がございました。まさにそのためにも、今日活発な御議論ができればというふうに思っております。
 それで、内閣府に関するお答えをさせていただく前に、先ほどの六条二項と十七条との関係に関して補足の説明をさせていただいてもよろしいでしょうか。
 六条二項は、この文言を御覧いただきましたらお分かりのとおり、国、地方公共団体だけではなく、人種等の理由の差別の防止に関する活動を行う民間団体、国、地方公共団体、民間団体の連携協力体制の整備、これを国、地方公共団体の責務として定めておるものでございます。これに対して十七条は、それら民間団体に対する支援、これを行うようにと書いておりまして、ある意味中身は少し異なっておりますので、条文としては別にさせていただいたところでございます。
 それと、今、内閣府にというお尋ねでございます。
 猪口先生、内閣府の特命担当大臣もお務めいただきましたのでよく御案内のとおりかと思いますが、内閣府設置法に基づきまして、内閣府は長を内閣総理大臣といたしまして、内閣府設置法の三条二項で、政府全体の見地から管理することがふさわしい行政事務の円滑な遂行ということを任務といたしております。
 先ほど小川委員からもお話がございましたけれども、この人種差別等の問題につきましては、法務省だけではなく、厚生労働省であったりあるいは文部科学省であったり、様々な分野が関わってまいりますので、その意味で省庁横断的に内閣府に設置することが好ましいだろう、望ましいだろうと、このような判断をさせていただきました。
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猪口邦子#17
○猪口邦子君 ありがとうございます。
 そのことにつきまして、形態につきまして、私もちょっと考えがありますので、後で述べさせていただきたいんですけれども。
 もう一つ、じゃ審議会につきましては、審議会は諮問を受けて勧告を出すということが書いてございますが、一般的には審議会は諮問を受けて答申を出すというのが普通です。もちろん、勧告ということもなくはないんですけれども、非常に数は少ないと理解しております。あえて勧告という書きぶりにしたのは、事の重大性ということであるかとは思いますけれども、一般的な法の形態とはちょっと違うかしらというふうに思います、男女共同参画のときもそうなので。それについてお伺いします。
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小川敏夫#18
○小川敏夫君 まず、一般的に諮問と答申という構造であるという御指摘いただきました。この審議会も、第二十条の二項の二号ですか、諮問に応じてということがございますので、諮問を受けて答申するということも行うわけでございますが、ただ、諮問を受けた場合だけ意見を述べる答申をするということではなくて、諮問がなくても自主的に意見を述べるということの構造になっております。そして、意見を述べても、それが十分に、あるいは全くか、いずれにしても、政策の中で生かされない、意見が反映されないということがあった場合には、意見よりも、意見をしっかり実行するようにという勧告という表現を使わせていただきました。
 ただ、勧告をしましても、その勧告に特段強制力があるという内容にはなっておりませんので、言わば意見を聞いてくれないので更に強い意見として申し述べるという、その強い意見を勧告と表現したというような内容の置き方になっております。
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猪口邦子#19
○猪口邦子君 お考えは分かりました。ただ、勧告という表現は行政的には非常に強い内容を持つと思いますので、ちょっとどういう趣旨であえてということをお伺いいたしました。
 それから、禁止事項の曖昧さということがよく指摘されるんですね。差別的取扱い等の表現、これは解釈の幅があるので、そういう懸念、これは罰則規定がないとしても、場合によっては言論を萎縮させる危険性があるのではないかという指摘はよくされています。
 また、いろいろな要件が場面で並立してしまうこともあると思うんですね。ですから、政治的な主張を述べるときに、同時にそういう人種的な内容が併存してしまうというようなときに、その政治的な主張までもそれを抑制することになってしまうと、言論の自由との関係の懸念の意見というのもありますけれども、そういう言論等を萎縮させる可能性にどう対処をするべきかということも含めてお考えをお伺いしたいと思います。
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小川敏夫#20
○小川敏夫君 委員御指摘のとおり、表現の自由、言論の自由というものは、我が国の民主社会にとって欠かすことができない権利でございまして、まさに人権の基本中の基本であると思いますので、これを必要以上に制限する、制約することがあってはならないことだというふうに考えております。一方で、人種差別等というものも、やはり憲法で保障されました個人の尊厳あるいは法の下の平等の趣旨、そうした趣旨からしまして、やはり十分に尊重されなければならない権利の保障であるというふうに思っております。
 そうした観点から、表現の自由を必要以上に制約することがあってはならないとは思いますが、しかし一方、表現の自由があるから人種差別等にわたる表現が全て許されるというものではなくて、やはりそこはそれぞれの尊重されるべき権利の趣旨に適合した合理的な制約が表現の自由の中にもあるものというふうに思います。
 そうした点で表現の自由を侵害することがないようにということは十分に配慮したというつもりではございますが、委員の御指摘のとおり、差別的取扱い等の表現が解釈の幅が広いという御指摘をいただきました。この差別的行為、この規定の仕方がなかなか難しいところがございまして、差別の態様というものも具体的にはいろいろな形のケースがございます。これをそれぞれ列記しても列記し得ないものもございますので、そうした差別の類型というもの、あるいは差別的取扱いの表現につきましては、やはり具体性を少し欠いた中で、しかし社会的には十分に評価できるという抽象的な書き方の範囲で許されるのではないか、あるいはそういう工夫の中で表現したわけでございます。
 ただ、差別的取扱いの表現として、この法律におきましては三条の中で例示したわけでございますが、抽象的という御指摘もいただく点もあると思いますが、しかし、抽象的な言葉の中でもかなり差別という範囲の中で十分に合理性を有した表現ではないかというふうに思っておりますが、個々具体的な対応におきまして、表現の自由が衝突する場面、人種差別を理由とする差別を禁止する必要性の概念が衝突する場合もあると思いますが、これはやはり個々具体的な範囲で対応していくしかないのかなというふうに思っております。
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猪口邦子#21
○猪口邦子君 お考えを聞かせていただきましてありがとうございます。
 私は、やっぱりこの社会で人種差別は絶対にいけないという啓発のレベルがまだ足らないと思っております。
 私の専門は国際政治なんですけれども、例えば戦争につきまして、ユネスコ憲章の冒頭に、戦争は人の心に始まるものであるから、人の心に平和のとりでを築かなければならないという有名な言葉がございます。それと同じように、差別は人の心に始まるものであるから、人の心にこそ、差別をしない、それを克服するというとりでを築かなければならない。そのとりでを築くにはやっぱり啓発を抜本的に強化する必要もあると思って幾つかの提案をしたいと思いますが。
 その前に、差別的取扱い等、あるいは言論の自由等の曖昧さとの関係でも、ちょっと対政府質問として一つ、人種差別撤廃条約第四条(a)、(b)、日本も留保していますが、アメリカとスイスが留保していると承知していまして、それについて、どういう理由で留保しているかは分かっているんですけれども、政府としての何らかの分析、説明があれば手短にお伺いしたいと思います。
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下川眞樹太#22
○政府参考人(下川眞樹太君) お答え申し上げます。
 各国は、それぞれ固有の歴史的な体験を背景にして憲法を始めとする法制度、法体系などを有しておりまして、各々の社会的状況を踏まえてこの条約を実施するために必要な措置をとって対応しているものと承知しております。
 そういう前提の下で、米国について申し上げれば、同国の憲法及び法律は、言論、表現、結社についての個人の自由に関して広範な保護を含んでおり、したがって、米国はこれらの権利が米国の憲法及び法律によって保護される限度において、立法その他の措置によってこれらの権利を制限するこの条約に基づく義務、特に第四条及び第七条に基づく義務を受け入れないとの留保を付しているというふうに承知しております。
 また、スイスにつきましては、特に世界人権宣言で保障されている意見の自由及び結社の自由にしかるべき配慮を払い、第四条の実行のために必要な立法上の措置を講ずる権利を留保するというふうにしているというふうに理解しております。
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猪口邦子#23
○猪口邦子君 ありがとうございました。
 そこで、もう時間もなくなりますので、どうやってその啓発、これを主流化することができるか。これについての私の提案は、まず、内閣府の行政審議会というのも御提案いただいているんですが、私はかつて少子化大臣を十年前務めましたときに、それは非常に周辺的なテーマでありました。それを主流化するときに、省庁横断的な審議官及び局長級の内閣府特命大臣が招集するそのような会議体を設置してもらいました。それで、それをしかも内閣府で行うのではなく、例えば官房副長官などの配慮を得て官邸でそういう会議を行うという場面もありました。そうすると、やはり社会的認識が一気に、少子化のテーマというのは何だ何だという形で強まってまいります。また、メディアのアテンションも非常に高くなります。しかし、啓発というのは随分長く掛かりまして、少子化対策、男女共同参画、十年掛かってようやく今本当に主流化を遂げたと思っております。
 東京オリンピック・パラリンピックを考えれば、私たちにも本当に時間がないので、どうやって加速した主流化ということを人の認識の中でできるかということを先生方も本当に熱心に小川先生始め考えてくださり、私も今自分の経験から一つの提案をいたしまして、いずれにしても、政治的な指導力を持ってヘイトスピーチを含む人種差別の完全禁止の啓発活動、これを総合的に強化する必要があると、私、改めて今日の質疑を通じて確信いたしましたので、そのような立場でこれからも活動してまいりたいと思います。
 基本法としての構築等、技術的なことも含め、ちょっと整理するところは必要と感じておりますが、趣旨について、この質疑を通じて、また是非政治的な指導力も含め、ヘイトスピーチ含む人種差別禁止の啓発活動を我が国として強化すべきであると考えます。
 以上でございます。
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有田芳生#24
○有田芳生君 おはようございます。民主党・新緑風会の有田芳生です。
 まず、本法案についてお聞きをする前に、法務大臣に、今起きている就職差別にもつながりかねない重大な問題について一問お答えいただきたいというふうに思います。
 今、安保法案をめぐって全国各地で様々な賛否両論の声が沸き起こっております。この国会正門前にも、毎週金曜日、夜七時半から九時半ぐらいまで、SEALDs、自由と民主主義のための学生緊急行動という、今非常に注目されている学生たちが安保法案反対の声を上げております。
 その彼らに対して、非常にゆゆしき問題が今特にネット上で広がっております。どういうことかといいますと、彼らの名前、年齢そして大学名、顔写真などがネットでずっとさらされており、ほとんど匿名ですけれども、同時に、経済評論家などがそれを拡大をしているという事実があります。これは、この一連の動きの中で、高校生も含め大学生たちが安保法案に反対した行動をしたときに、そんなことをやっていたら就職差別されるよというような、ずっと匿名の誹謗中傷、攻撃に近いものがあった。その延長上で、SEALDsの学生たちの名前から全てと言っていいぐらい暴露されている。
 これは、私の感覚では、今でも問題ですけれども、部落地名総鑑、被差別部落の人たちが住んでいるその住所などが表沙汰になって、結果的に就職差別、結婚差別というものが起きてまいりました。そういうものに通じるような事態というものが、今現在、この時間にもネット上を通じて行われているという非常にゆゆしき問題だと思いますけれども、まず、法務大臣、どのように思われますか。
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上川陽子#25
○国務大臣(上川陽子君) 今委員の方から御指摘をいただきましたSEALDsという団体についての御言及でございますけれども、事実関係につきまして正確に私把握をしているところではございませんで、その意味ではお答えをするのがなかなか難しいということではございますが、しかし、一般論として申し上げますと、デモ行進等の集団行動の自由ということにつきましては、表現の自由ということでこれは憲法上保障されているものでございます。それのみを理由として就職等の差別がされるというようなことがあるとすれば、それはあってはならないことだというふうに考えております。
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有田芳生#26
○有田芳生君 就職差別があってはいけないということは当然なんですが、それを唆すような言論がネット上を通じて今でも行われている、それについてどう思うかとお尋ねしております。
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上川陽子#27
○国務大臣(上川陽子君) 今委員から御指摘がございましたそうした事態ということでございますが、私自身、詳細に把握をしているところではございませんので正確にお答えするというのはなかなか難しいと、先ほど申し上げたとおりでございます。
 しかし、いろんなことが、今の憲法上保障されている行動の中からそうした様々な事態が起こるとするならば、それはあってはならないことだというふうに思っております。
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有田芳生#28
○有田芳生君 今からお尋ねするヘイトスピーチを始めとした差別の問題についても、匿名で卑劣にもインターネット上で今でも毎日繰り返し行われているということは、この委員会でも何度もお聞きをしたとおりです。そのときは法務大臣、もっとすっきりした答弁をしてくださっていたんですけれども、それはまた改めてお聞きをする機会があるかと思いますので、本法案についてお話を伺いたいというふうに思います。
 まず、外務省にお尋ねします。
 人種差別撤廃条約は、一九六五年、国連で採択されました。東京オリンピックの次の年です。そして、日本が加入したのはそれから何と三十年後の一九九五年、阪神・淡路大震災が起こり、オウム真理教事件が起きた年でした。何で三十年もこの条約に加入するのに掛かったんでしょうか。その理由をまずお答えください。
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下川眞樹太#29
○政府参考人(下川眞樹太君) お答え申し上げます。
 政府といたしましては、本条約が定めますあらゆる形態の人種差別を撤廃するとの本条約の趣旨に鑑みて、できるだけ早期に本条約を締結することが重要であると考え、検討を行っていたわけでありますが、本条約第四条の(a)及び(b)に規定する処罰義務と表現の自由等憲法の保障する基本的人権との関係をいかに調整するかなどの困難な問題があったことから、長期にわたる検討を要したところでございます。
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