予算委員会公聴会

2015-03-26 参議院 全286発言

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会議録情報#0
平成二十七年三月二十六日(木曜日)
   午前九時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     森本 真治君     小西 洋之君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     長沢 広明君     新妻 秀規君
     東   徹君     清水 貴之君
     吉良よし子君     井上 哲士君
    薬師寺みちよ君     中西 健治君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     新妻 秀規君     長沢 広明君
     清水 貴之君     柴田  巧君
     井上 哲士君     田村 智子君
     松沢 成文君     江口 克彦君
     中西 健治君    薬師寺みちよ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岸  宏一君
    理 事
                石井 準一君
                岡田  広君
                古賀友一郎君
                馬場 成志君
                堀井  巌君
                小川 敏夫君
                那谷屋正義君
                若松 謙維君
                小野 次郎君
    委 員
                石田 昌宏君
                猪口 邦子君
                大野 泰正君
                太田 房江君
                北村 経夫君
                佐藤 正久君
                島村  大君
                高野光二郎君
                高橋 克法君
                堂故  茂君
                二之湯武史君
                三木  亨君
               三原じゅん子君
                三宅 伸吾君
                山下 雄平君
                大久保 勉君
                大塚 耕平君
                小西 洋之君
                田城  郁君
                田中 直紀君
                藤田 幸久君
                水岡 俊一君
                蓮   舫君
                長沢 広明君
                新妻 秀規君
                矢倉 克夫君
                横山 信一君
                清水 貴之君
                柴田  巧君
                井上 哲士君
                田村 智子君
                大門実紀史君
                井上 義行君
                山田 太郎君
                江口 克彦君
                松沢 成文君
                中西 健治君
               薬師寺みちよ君
                福島みずほ君
                平野 達男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   公述人
       一橋大学大学院
       法学研究科教授  秋山 信将君
       国際地政学研究
       所理事長
       元内閣官房副長
       官補       柳澤 協二君
       日本大学経済学
       部准教授     川出 真清君
       東京大学社会科
       学研究所教授   大沢 真理君
       茨城県常陸大宮
       市長       三次真一郎君
       公益財団法人地
       方自治総合研究
       所所長      辻山 幸宣君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成二十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十七年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
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岸宏一#1
○委員長(岸宏一君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。
 本日は、平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算及び平成二十七年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
 この際、公述人の先生方に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 本日は、平成二十七年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で着席のまま御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、外交・安全保障について、公述人一橋大学大学院法学研究科教授秋山信将君及び国際地政学研究所理事長・元内閣官房副長官補柳澤協二君から順次御意見を伺います。
 まず、秋山公述人にお願いいたします。秋山公述人。
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秋山信将#2
○公述人(秋山信将君) 本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私からは、日本を取り巻く国際環境が変化する中で、これからの日本外交、安全保障をどのように考えればよいのか、そしてそのためにはどのように限られた政策資源を投資するべきなのか、将来日本がより住みやすい国際環境づくりに自ら関与すべしとの立場から、お話をさせていただきたいと思います。
 最初に、これまでの日本外交がどのような性格を持ったものであったのかを簡単にお話をしたいと思います。
 今年は、第二次世界大戦が終わって七十周年に当たります。様々な形で戦争を総括する動きが国内外であるかと思います。また、そうした動きの中には、多分に政治的意図を含む動きがあるのも確かです。例えば、五月九日にロシアで開催される欧州における第二次世界大戦終結を祝う行事であるとか、九月三日に中国が主催する抗日戦勝記念の行事です。
 例えば、中国での式典が本当に歴史を過去に追いやり、また新しい歴史のチャプターを開くための真の和解を演出するのであればよいのですが、残念ながら、現在、日本と中国はどちらが歴史の日の当たる側を歩いているかをめぐって争っている状況であります。
 第二次世界大戦あるいは日中戦争をどう評価するかという争点をめぐり、グローバルに展開されているパブリックディプロマシーのゲームにおいては、真っ向勝負をしようとすれば、恐らく残念ながら敗戦国である日本に勝ち目は薄いのではないでしょうか。
 しかし、現代という視点から歴史を眺めた場合、日本の戦後七十年の歴史、すなわち国際社会と日本との関係は世界に誇るべき歴史であると思います。第二次世界大戦中の孤立、独善主義的な姿勢から、戦後は一転して国際協調をより重視する姿勢へと転換し、民主主義と自由貿易を原理とする自由で開かれた国際秩序に対して、以下の二つの面で大きな貢献をしてまいりました。
 すなわち、第一は、戦後の自由で開かれた国際秩序における最大の成功者としての日本です。戦後の自由主義的秩序の優等生として、最大の受益者として、他の途上国にとっても学ぶべきところの多い経済成長のモデルを提供してきました。
 第二に、一九八〇年代以降、政府開発援助その他の経済協力、市場の開放等々を通じて、公共財としての自由主義的な国際秩序の維持に対し、多大な貢献をしてきました。エネルギー資源の八割以上を海外に依存し、カロリーベースでの食料自給率も四割にすぎない、また海外の市場にその経済成長を大きく依存している日本が国際協調主義を基調とした対外政策を発展させてきたのは、ある意味では環境への適合としては当然のことであると思います。
 とりわけ、第二の点はもっと重視されてもよいかと思います。国家間の関係が安定し、平和的な形でそれぞれの国益を追求することを可能にしてきたのが自由主義的な国際秩序ですが、その中で、この秩序というのは自然にそこに存在するというものではなく、だれかの努力と投資によってこの秩序が維持されてきたということは注目すべきであります。
 そして、その役割は、主として従来アメリカが担ってきたわけでございますけれども、日本がこの面において国際社会に対して果たしてきた役割は、もっと歴史をめぐる政治ゲームにおいて重視される、あるいは強調されてもよいものではないかというふうに考えております。
 中国を含む現在の国際社会の経済的繁栄に対しては、中国が言うように、ただ単に第二次世界大戦で世界がファシズムに勝利したから出現したというものではなく、戦後七十年間、敗戦国である日本やドイツを含めた国際協調の積み重ねの結果、この自由で開かれた国際秩序というものができていたというビジョンを提示するべきであると、これがまさに日本の誇るべき歴史であるというふうに考えております。
 このような成功を収めてきた日本ではございますけれども、現在、日本は、大きく変わりつつある国内外の環境の中で、従来の外交のビジネスモデルの変更を迫られていると考えます。
 環境の変化は、以下のような点で顕著であります。
 第一に、中国など新興国の台頭によるパワートランジション、権力の移行が起きているというふうに言われております。アメリカの力が相対化し、中国などが台頭してきております。ここで留意すべきなのは、この権力の移行が起きているのは戦後七十年間で培われてきた自由主義的な国際秩序の枠組みの中で起きている話なのか、それともこのような秩序自体に変革を迫るものなのかという問題であります。
 国際政治は権力闘争がその常態であるというふうに言われております。しかし、そのような権力闘争は全く何もない空間、つまり真空の中で生じているのではなく、権力闘争のゲームを戦うためのフィールドとルールが存在します。
 新興国の台頭は、単にゲームにおける力関係を変えてしまうのか、それともフィールドの形やルールまで変えてしまう、すなわちパワートランジションならぬオーダートランジション、秩序のトランジションになってしまうのかという点について、我々は留意すべきかと思います。これは、中国のAIIBをめぐる懸念というのはまさにそのような点であるというふうに考えております。
 つまり、これまでの国際金融システムにおいて途上国への融資で重視されてきた環境への配慮やグッドガバナンス、財政規律や金融におけるモラルハザードの問題において、もし異なった基準が適用されるということになってしまえば、これまでの従来の国際金融秩序の一端を担ってきた世銀であるとかIMFあるいはアジア開発銀行の力、パワーが減退することになり、その場合、そこには今とは異なる国際金融秩序が出現するかもしれないというリスクであります。
 第二に、サイバー空間など、いわゆるグローバルコモンズという新たな領域において伝統的なパワーという概念が通用しなくなってきているという点であります。
 サイバー空間や宇宙などは、ビジネスのみならず、伝統的な軍事力の展開において次第に不可欠な存在になりつつあります。その一方で、これらの領域においては、国力や戦力の規模に比例したパワープロジェクションが所与のものではなくなってきております。逆に、国家の規模に関係なく、より強大なパワーに対して、小さなパワーでも、あるいは非国家主体でも十分に対抗し得る、若しくは抵抗を試みることが可能なのがこのグローバルコモンズであります。このような非対称的な関係というのは、伝統的な国際秩序の在り方に大きな影響を与えることになります。
 また、グローバル化した経済、すなわち金融のグローバリゼーションであるとか企業の研究開発のグローバルネットワーク化、あるいはサプライチェーンのグローバル化、若しくは感染症、環境問題などの、いわゆるグローバルイシューズと呼ばれる一国での対応が不可能な問題の国際政治における需要の高まりという点も指摘されるべきだと思います。
 こうしたグローバルイシューズの問題の高まりは、国家という主体の地位を相対的に脅かしています。もちろん、国家が引き続き国際政治における中心的なアクターであることに間違いありませんけれども、このようなイシューにおいて、一国単独で考える、物事を考える、政策を考えるというアプローチというのは、もはやこれが有効に機能し得なくなってきているという面も我々は考えるべきであります。
 また、このグローバリゼーションでございますけれども、テロネットワークであるとか武器のブラックマーケットのグローバル化に象徴されますように、単に経済活動の促進という光の面だけではなく、影の面にもひとしく起きているということを我々は留意すべきであります。そして、そうした影のグローバリゼーションが光の面に与えるインパクトもそれに比例して大きくなっております。
 最近、日本人観光客がチュニジアでのテロの犠牲になりました。また、数年前にアルジェリアのガス田が襲撃された事件でも日本企業の従業員が犠牲になりました。これらは、日本政府の政策とはほぼ無関係に、人の往来や企業活動がグローバル化した結果として発生しております。そこでは、日本は国家として正しいことをしていればテロに襲われないという一国平和主義、若しくは一種独善的な論理は全く通用しないのではないかと考えております。テロリストは、誰であろうと、主張が何であろうと、グローバル化が進めば必然的に誰もが直面せざるを得ない脅威であるというふうに考えております。
 このようなグローバル化の中にいやが応でも置かれることになった日本でありますけれども、国内の社会経済要因、とりわけ少子高齢化に象徴されるような問題というのが日本の外交資源を縮小させているという事実も見逃すことができません。
 恐らく、現在の経済規模を維持していくためには、様々な制度の改革だけでなく経済構造も変革を迫られることになります。さらに、それに加え、中国やインドだけでなく他のアジア諸国やアフリカなどが経済成長を成し遂げ、マーケットとして、あるいは国際政治のプレーヤーとして台頭してくることになります。となると、今後、外交に我々が投入できる資源というのは、財政面においてより厳しさを増し、また相対的に減少するという現象に直面することになります。
 その中で、先ほども申し上げましたとおり、現在日本がそれなりに利益を享受している既存の国際秩序が維持されていくのか、それとも変革を遂げていくのか、現在大きな転換点に差しかかっていると見るべきではないでしょうか。ある意味では、吉田ドクトリンに象徴される戦後の日本環境適応型の対外政策は国際環境への最適化に最も適したビジネスモデルであったと言ってもよいかと思います。
 しかし、これらの変化を考えると、日本は、これまで、従来の環境適応型外交からの脱却が必要ではないかというふうに思われます。
 よく、経営学の組織論において、適応は適応能力を締め出すということが言われます。つまり、環境への適合に最も成功した組織は、新たな環境変化が起こった際に、新しい環境への適合において困難に直面するという理論です。今の日本は、もしかしたらその成功のジレンマに立たされているかもしれません。
 そこで、今後変化する国際環境の中で日本の外交をどのように考えていったらよいのかということについて少しお話をさせていただきます。
 まず、外交には、短期的に見れば現下の状況に対応するという課題と、中長期的に良好な国際環境を醸成するという目的があります。外交を投資に例えてみますと、次のようなことが言えるのではないでしょうか。すなわち、短期的な外交目的というのは一種デートレードのようなものであり、またあるいは現在のポートフォリオを守るための危機管理であると。他方で、今後、日本が国際社会から信頼を得て平和国家として戦後七十周年を積み重ねてきたこの状況を今後更に享受していくためには何をしたらよいのか、中長期的な戦略も求められています。現在の状況というのは、戦後七十年間の投資の配当を得ている、つまり、戦後七十年間投資をしてきた配当というのが我々の享受している国際環境であるというふうに考えてみるべきでありましょう。
 アジア諸国が日本に対して好意的なのは、ODAや成長モデルとしての日本の成功に負うところが大きいわけですけれども、今後こうした配当を得るためには、現在、今再投資をしなければ得ることができないということを我々は理解すべきであると思います。
 こうした今後のために再投資をする、問題は、限られた資源をどのように、どこに再投資をすべきかという方向性であります。
 今後我々が直面する課題としては、日本の相対的なパワーの低下ということであることを考えた場合には、恐らくファンダメンタルズとしての国際安全保障環境の改善という部分への投資というのはより重点的に行っていく必要があるということであります。とりわけ、日本の投資がより効果的なリターンに結び付くように、すなわちレバレッジを利かすことができるような市場環境、すなわち国際安全保障環境を改善していくという行動が必要であると思います。その点においては、日本の弱みを補う戦略が必要であると考えます。日本の弱みというのは、今申し上げましたけれども、今後、ある意味ではただのパワーポリティクスではなかなか他の国を凌駕することが困難になってきているという状況であります。
 そこで、理念とパワーポリティクス、パワーの最適な組合せを可能にする市場環境を追求する必要が出てきます。
 例えば、既存の秩序に挑戦するアクター、例えば中国に対し、この既存の秩序に対する挑戦のコストを高め、挑戦を抑止する戦略です。一般的には、既存の秩序を変革し、変革した秩序を維持するコストは、既存の秩序で振る舞うよりも高く付くはずですが、こうした挑戦への誘惑に駆られないようにすることが重要であると思います。
 しかし、日本単独で目標を達成することは困難で、そこには一国平和主義の限界があります。しかし、国際協調主義は、日本が強みを持つ分野への資源の重点配分を可能にするものであると思います。同時に、国際協調主義は、八方美人外交ではありません。また、おいしいところだけをつまみ食いするなどという要領の良いことは恐らく困難であろうということも我々は自覚すべきであると思います。
 外交に投入できる資源が限られる一方、新しいプレーヤーが台頭する国際環境の中、将来への繁栄を維持するためには、将来の日本に対してより多くの外交資産を残す必要があります。
 そこで、最後に幾つかの論点を挙げてみたいと思います。
 まず、前提として、日米関係は今後も日本の対外政策の基軸であるべきだというふうに考えております。その理由は二点です。一つは、日米の国際秩序に対する考え方、価値観の共有という点であります。第二点目は、現在、少なくとも現在、世界で最もパワーのある国家であるアメリカと敵対しない、あるいは友好関係にあるということによる資源の節約効果が大きいと思います。
 この二点を重視しながら、日米関係の維持を前提とした上で、日本が強みを発揮できる分野へ日本の外交資源のポートフォリオを振り向けるべきであると思います。それは、国連などの多国間外交、グローバルイシューズなどに対するイニシアチブ、そして唯一の被爆国としての強いアイデンティティーを持つ核軍縮・不拡散外交における取組であると思います。
 多国間外交における問題の設定、アジェンダセッティングというのは、従来、我々は所与のものとして扱ってきましたけれども、我々がイニシアチブを取りながら新しくアジェンダをセットし、ルールメーキングにおいてよりイニシアチブを取る、つまり、我々により有利なフィールドでありルールを作っていくための努力、これが恐らく、今後、少ない投資でより大きなレバレッジを得るということのポイントであると思います。
 最後に一点だけ、核軍縮・不拡散外交について申し上げさせていただきたいと思います。
 これは、まさに短期的投資と長期的投資という視点から非常に有効なポイントであります。すなわち、広島、長崎に象徴されるように、日本では核廃絶が国是となっております。他方でアメリカの拡大核抑止の下にあると。
 この矛盾というのをどのようにすべきかということがしばしば指摘されるわけでありますけれども、これはまさに短期的なリスクとしての、現在我々が直面している中国、北朝鮮の核の脅威に対処する拡大核抑止と、同時に、こうした核のリスクを削減していくための中長期的な投資としての核廃絶に向けた取組、これは単に祈るだけ、あるいは訴えるだけの外交ということではなくて、安全保障の政策の一環として、いかにこの北朝鮮あるいは中国の核のリスクを廃絶していくのか、あるいは核のリスク、中国に対して差しかけられている核のリスクというものをなくしていくことが中国の核廃絶の、中国の核軍縮の前提であるとするならば、地域安全保障への関与というものが必要であると思います。
 また、この中で……
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岸宏一#3
○委員長(岸宏一君) 公述人に申し上げます。時間が過ぎておりますので、おまとめいただきたいと思います。
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秋山信将#4
○公述人(秋山信将君) はい、失礼いたしました。あと一分でまとめさせていただきたいと思います。
 この中で、日本の外交予算を見てみた場合に、国連軍縮会議、日本が主催しているものですけれども、過去五年で約三分の一に削減され、また、軍縮・不拡散調査研究等においても過去五年間で四百五十万削減され、八百万円弱となっております。こうした予算の削減というのは、日本が勧進元としてこうした軍縮外交を進めていく上での大きな足かせになっているというふうに考えております。
 これは一つの例にすぎませんけれども、日本が今後どのように限られた資産を効率的に配分し、また、限られた資源をよりレバレッジ利かせて将来にリターンを得るためにはどのような国際環境を整えるべきなのか、戦略的に考えることを先生方にはお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
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岸宏一#5
○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。
 次に、柳澤公述人にお願いいたします。柳澤公述人。
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柳澤協二#6
○公述人(柳澤協二君) おはようございます。柳澤でございます。
 私は、先般与党協議会で合意されました安全保障法整備の具体的な方向性というものを題材に、今後具体的な法案の作成、審議に入っていくわけでありますので、そこで当然議論されなければならないであろう幾つかの問題提起に絞って今日はお話をさせていただきたいと思います。
 お手元に安全保障法制についてと書かれた資料を用意してございます。これは、与党協議会の表現とは多少、私流に簡略化した表現の違いがございますが、おおむねその内容に沿った形で整理をさせていただいております。
 まず、原則的な、全般というところに相当する原則事項として三つのことがうたわれていると思います。一つは国際法上の正当性、国会関与等の民主的統制が必要だということ、そして自衛隊員の安全確保という三つの原則的な考え方が示されたわけでありますが、実はこれ、それぞれ実際にこれ実現していくということはなかなか難しい問題を含んでいるというふうに私は認識しております。
 まず、国際法上の正当性というときに、今国際法上正当である、これは他国軍隊を支援する際の他国軍隊の行動についてでありますが、その武力行使が国際法上正当であるために必要な要件は、国連安保理決議のマンデートがあること又は自衛権行使であるということだと思いますね。安保理決議がない場合でもこれを何とかやっていこうというお考えのようでありますから、そうすると、特定の国の自衛権行使が正当であるということを日本国として認定するためにどういう条件が必要なのかといったところ、あるいは自衛権行使ではない、例えば人道介入と書かせていただきましたけれども、もう目の前にある人道的な危機に対して果たしてどこまで強制力の行使が許されるんだろうかというところは、まだ国際的にも決着が付いていない論点であります。この辺をどういう基準で日本が判断していくのかというところが問われてくるのかなと思います。
 それから、国会の関与等の民主的統制。これはもういずれにしても是非とも必要なところなんでありますけれども、現実問題として考えますと、国会の事前承認を基本とするという考え方を取った場合に、国会に事前の承認を求めるためには国会に事前に状況に関する説明をしなければ当然いけないということになると思いますが、これは、相手、他国軍隊の、もうありていに言えば作戦についてどこまで国会で説明することができるんだろうか。
 私の実感としては、特定秘密保護法があろうがなかろうが、他国の軍隊の作戦あるいは位置といったようなことは、実は最高度の守るべき情報ということになると思います。それがオープンになったら、作戦目的が達成されないし、攻撃の対象になるという危険性があるわけでありますから、この辺の必要性をどうバランスを取って国会の審議に堪えられる説明ができるのかという大きな課題があるんだろうと思います。
 それから、自衛隊員の安全確保でありますが、私も官僚の頃は、イラクのサマーワでの自衛隊の派遣を、官邸にいていろいろ毎日情勢の会議をやらせていただいて、見させていただく仕事をしておりました。ありていに言いまして、結果として一人の犠牲者も出さなかったわけでありますが、それはいろいろ現地の部隊がもう大変な努力をしたわけですね。
 少なくとも地元の住民に銃を向けることもないわけだし、結果、こちらが銃、武器を使わなかったということが、もちろんそれだけでは済まない、それでもロケット弾は飛んでくるし、当たりどころが悪ければ犠牲者は出たのかもしれません。しかし、やはり犠牲者がなかった背景には、自衛隊が果たすべき任務が直接武器の使用を前提とした任務ではなかったという点が大きい。武器を使わない、道路を直したり、学校を直したり、医療の指導をしたりということ、そのこと自体は武器使用を必然的に伴うものではない、ただ、万々が一の身の安全のために自己保存型のいわゆる武器使用権限を与えていたという、そういう条件で犠牲者が出なかったという側面があるというふうに私は今感じております。
 そうすると、新しい法制の中でいろいろ武器の使用が拡大する、それはなぜかといえば、そういう任務を与えるからなんですね。治安維持でありますとか、駆け付け警護でありますとか、そういう任務を与えるということは、やはりそれでどうやって安全を確保するんだろうかということ、これは実は非常に大きな二律背反になってくるんだろうというふうに思います。そういったところを是非しっかり法案審議の中でお考えいただきたいと思っております。
 以下、個別のテーマごとに少し敷衍して申し上げたいと思いますが、二枚目は、この表現、武力攻撃に至らない事態ということですが、グレーゾーン事態と書かせていただいていますけれども、ここで法律の手当てが必要だとされているのは、米軍等の武器等防護ということであったと思います。
 これは今の自衛隊法九十五条の考え方を踏まえて、他国軍の武器等も防護の対象にするというお考えでありますけれども、この規定の一番のポイントは、武器等防護の任務を与えられた、海上自衛隊でいえば艦長の判断で武器等の防護をするということなんですね。したがって、これは、もちろん総理大臣の承認といったような手続は入ってくるだろうと思いますけれども、現場の判断でありますから、そこに事態拡大のおそれというものを絶えず認識しながら運用していかなければいけないという問題があると思います。そこをどう防ぎながら武器等防護をしていくのかというところが非常に大きなテーマになるんだろうと思います。
 こういうことが必要なのは、やはり情勢緊迫時なんですね。平時の全く平穏にやっている共同訓練をいきなり襲ってくるようなことはあり得ませんので、つまり、防衛大綱に書かれているような情勢緊迫時に抑止を目的とした演習を日米で行うようなケースで、それが一種の相手から見て挑発になるようなケースで相手が襲いかかってくるかもしれないという心配はあるんだろうと思うんですね。だとすれば、そういうこと自体がどうなのかという、それを国会承認の対象にするかとか、そういうことも含めて是非幅広い議論をしていただきたいと思います。
 それから、次の紙でありますが、他国軍隊への後方支援の枠組みについてであります。
 これは、周辺事態という、周辺事態が地理的概念ではないという考え方ではあるんですが、さはさりながら、やはり日本が米軍を支援するというのは、日本の能力が及ぶ範囲という意味では日本の周辺にならざるを得ないと私は思っておりましたが、周辺事態法でどう定義されているかというと、周辺事態というのは、そのまま放置すれば我が国に対する武力攻撃に至るなど我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態ということなんであります。それを今度は重要影響事態、言葉がどうなるか分かりませんが、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態ということに変更されるようであります。
 そうすると、これは武力攻撃予測事態との関係を一体どう整理するんだろうかと。武力攻撃予測事態であれば、むしろ日本防衛にもっと資源を集中しなければいけないんだろうかというような状況設定の問題はありますが、地理的にこれは拡大していくという前提になると思います。
 その場合に、その重要影響事態って一体どういうことなんだろう。中東とかインド洋のシーレーンが危ういときとか、いろんなケースはあり得ると思うんですが、それは具体的にイメージできるような議論を是非していただく必要があるんだろうと。そして、そういうケース、仮に相手が相当な軍事力を持った国であるとすれば、その他国の軍隊を支援するということは、日本も戦争当事国とみなされて、日本に対する反撃ということも当然考えておかなければいけない。そういうリスクをどう最小化していくかという枠組みを同時に考えていく必要があるということだろうと思っております。
 それから、次でありますが、いわゆる恒久法の問題であります。
 これは、日本の平和と安全に影響という観点というか、日本防衛とのつながりの観点ではなくて、より広い国際協力の観点からの他国軍の支援ということだと思うんですが、この中でも、従来この種の法律では、私どもは、非戦闘地域ということで活動の地域を整理しておりましたが、今回は戦闘現場以外ではやれるというふうになると聞いております。
 これをありていに言いますと、法律ですから、そういうことは、やるかやらないかということは別にして、この法律を適用したときに一番ぎりぎりの外縁に当たる一番ハードな任務を考える、それが法律の授権でありますから、それが一体何をもたらすかという議論をしっかりしておかなければいけないんだと思うんですね。
 そうすると、この場合は、言わば前線部隊に弾薬輸送ができるということになってくるんだろうと思います。今まで自衛隊がやっていましたのは、イラクの場合でもC130がバグダッド空港に物資を運ぶ、これは拠点輸送なんですね。そこから先の前線部隊への輸送は、それぞれの前線部隊あるいは前線部隊に組み込まれた輸送部隊がやるということであったわけで、それ以上のニーズは、私は実はそんなにないんじゃないかと思っているんですけれども。
 ただ、そういう輸送までやっていくようにした場合に、相手は弾切れで困っている前線部隊ということになりますと、戦闘が始まったからといって中断しますというわけにはいかない。これはもう信義にもとることになってしまうので、なかなかその中断の枠組みを本当にこういうシビアなケースでどう確保できるんだろうかという問題。
 あるいは、そういう前線部隊がいる地域というのは、そこに指揮系統のはっきりしない他国の部隊がのこのこ入っていくというのはそれ自体非常に危険なことでありますから、その際の指揮系統なりをどのように考えていったらいいのか。非常に現場に即した問題意識でそこは議論をしなければいけないんだろうと。
 それからもう一つ、国連決議、ずばりの武力行使容認決議がなくとも、なくて活動している他国軍隊への支援もできるということであります。
 それは、例えばイラク戦争とかISIL有志連合への支援はしないと政府は答弁しておられますけれども、それは政府の政策の、今の政策の問題であって、法律から出てくる論理ではないはずなんで、じゃ、それは法律の中に仕組めないのか。少なくとも、それは今の内閣だけではなくて後の政権も拘束するような形で、何らかのいわゆる歯止めがなくてもいいんだろうか。こういったことを是非お考えいただきたいというふうに思います。
 それから、さっきも申し上げました、安全確保ができないと部隊長が判断した場合に、それはまずいからやりませんと、その多国籍軍の司令部でそういう主張が果たしてできるんだろうか、これは誰がお断りするんだろうかということも、非常に技術的な問題ではありますが、こういう手当てをきちんとしないと、現場の自衛隊は安心して行かれないということにもなりますので、是非具体的に、やはり部隊も非常に悩ましい任務になると思いますので、是非、政治の場でもここのところはもうお悩みいただく必要があるだろうと私は思っております。
 それから次に、五枚目は、いわゆるPKO等であります。
 PKO等という中に、国連統括外の活動も入ってくるというのが今度のお考えのようでありますので、その際も、五原則に相当するような厳格な参加原則を打ち立てるということを言っておられますが、一番の問題は、中立維持ができるかということだと思うんですね。
 今のPKO、非常に、何というんでしょうか、停戦に従わない連中をどう押さえ込むかということが非常に大きな課題になってきているんですね。そういうところにそういうミッションも含めて入っていくということになると、大変これも難しい話になっていかざるを得ないんだろうと思います。
 特に、従来の国又は国準でないという認定をしていけば、武器の使用が憲法に触れることはないという、それは今までの考えの延長線上でそう言えると思うんですが、憲法に適合するかどうかということと、では、そういう組織と本当に、そういう組織に強制力を働かせていくということが本当に日本にとって得意な分野なのかどうか、あるいはそこで隊員の安全が守られるのか、そういったようなことを考えていただく必要があるんだろうと。
 特に、治安任務なんかは非常にリスクの高い任務でありますから、今までPKO任務で、PKOの治安任務で各国で犠牲者も出ていると思います。その辺の状況も是非検証していただいて、政治家の皆さんが、うん、これなら大丈夫だという確信を持っていただきたいと思うのであります。
 それから、六ページ目でありますが、いわゆる集団的自衛権の限定行使のときについては新三要件がそのまま、七月一日、昨年の、閣議決定にうたわれた新三要件がそのままにされておりますけれども、やはりこれはより具体化した基準を書いていただかなければ政府の自由裁量ということになってしまう。それを極力、どうその基準を設けていくかということが非常に大きなテーマになるだろうと。そして、新事態というようなことも言われていますが、是非、我々は今まで考えていたのは、武力攻撃事態か予測事態かなんですね。そうすると、武力攻撃事態ではないが予測事態よりも厳しいという、そういう新事態というのがどういうふうに考えられるのか。これをすっきりさせていただく必要があるだろうと思います。
 それから、国会の事前承認についても、冒頭申し上げたのと同じような問題があると。
 最後に、船舶検査等については、邦人救出のことだけ問題提起させていただきますが、領域国の同意あるいは総理大臣の承認があれば自衛隊が武器使用を前提にした邦人救出ができるようにするというお考えのようでありますけれども、これは事前に公表されるようなことになりますと、邦人が非常に危険な状態になることはもう常識で分かることだと思うんですが、あるいは、イナメナスのような内陸千キロに入ったところに部隊を展開するためには一体どれぐらいのものを持っていかなきゃいけないのかというような、ここはもう非常に現実的にイメージできることでありますから、そういうイメージに基づいてしっかり議論をしていただき、国民あるいは自衛隊に不安を残すことがないような法律を是非目指していっていただきたいと思います。
 私の発言は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
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岸宏一#7
○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。
 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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山下雄平#8
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 今日は、お二人の先生に貴重なお話をいただき、本当にありがとうございます。
 ただ、時間の関係もありまして、早速質問に入らせていただきたいと思いますし、まとめてお二人に質問をさせていただければと思います。
 まず、秋山教授ですけれども、秋山教授が言われた、日本がこれまで国際秩序維持に貢献してきたという点をもっと強調していけばいいという話は、なるほどなというふうにも思いました。
 そして、今後の状況の変化にどう対応していくかという点についてですけれども、秋山教授の御専門の核軍縮に絡めてちょっとお聞かせいただければと思うんですけれども、ロシアが、クリミア紛争での核兵器の使用が選択肢にあったというようなことをプーチン大統領が言及されています。これに対して、秋山教授は新聞のインタビューで、政治的な威嚇を目的としたもので本気で核兵器を使うつもりはなかったと思うと、ただ、核保有国は自国の安全保障のために最終的に核を使うかもしれないとの疑念を抱かせたというふうにおっしゃっていらっしゃいます。
 ロシアは、クリミアだけにとどまらず、デンマークについても、アメリカのミサイルディフェンスの計画に入るのであれば、ロシアの核攻撃の対象になるというような言い方もしております。ちまたでは、ロシアに限らず、限定的な核戦争の危険性というのは現在高まっているんじゃないかというような報道もたくさんあります。
 日本の周りにロシアに限らず核保有国というのがある中で、そういった国を隣国に抱えながら現実の日本の国家の存立を保ちながらどうやって核軍縮を進めていけばいいのかということを、日本としてどう対応していけばいいかという点について具体的にお話をお聞かせいただければと思います。
 そして、柳澤理事長に関してですけれども、現職時代の貴重なお話をいただき、本当にありがとうございます。また、柳澤さんを始め多くの皆さんが努力していただいたおかげで自衛隊の方が誰も亡くなることがなかったということだと思います。本当にすばらしいことだと思うんですけれども、現状の自己保存型の武器使用であったとしても、自衛隊を海外に出す場合というのは、その自衛隊の方がどのような危険があるのか、またその自衛隊員の命が懸かっているという自覚を政治の側、政府の側は持たなければならないというふうに痛感しております。
 それを踏まえた上で、今回、安全保障の法制の見直しの中で、治安維持だったり駆け付け警護だったり任務を拡大させようというふうに政府としても与党としても考えているわけですけれども、柳澤さんがおっしゃっていらっしゃった趣旨というのは、そういったことで任務が拡大することによって少しでも自衛隊の方の危険が高まるのであればその見直しはすべきではないということなのか、若しくは、そうした自衛隊の皆さんの今後想定され得るリスクについて、政治、政府は率直に語って、そのことについて国民に問うていくべきだというふうに考えていらっしゃるのか、どちらの方なのかということをお聞かせいただければと思います。
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岸宏一#9
○委員長(岸宏一君) まず、じゃ、秋山公述人からお願いします。
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秋山信将#10
○公述人(秋山信将君) 山下先生、御質問ありがとうございます。簡単にお答えしたいと思います。
 一つは、ロシアの核の使用の威嚇の発言でございますけれども、これは恐らく、実際に実戦で核兵器を使用した場合にどこで使用するのかということを考えていくと蓋然性は低いであろうということでありますが、他方で、核の力を背景として自らの政治的な主張あるいは意思を押し通そうとするということが今後常態化するリスクというものを高めるということであります。
 これは、恐らくアジアにおいても適応するロジックであるというふうに考えております。特に、東南アジアの友人が懸念を示しているのが南シナ海での問題であります。東シナ海においては日本はアメリカとの同盟の下にありますけれども、南シナ海においては東南アジア諸国は正式な同盟を結んでおりません。したがって、こうした核の力を背景にして大国が自らの意思を押し通そうとする場合にどのように対抗し得るのかということが非常に大きな懸念として持ち上がってきております。
 したがいまして、こうした問題に対処するためにも、核兵器を使われないような国際的な安全保障のアーキテクチャー、あるいはこうした威嚇というものが信憑性を帯びて伝わらないような環境づくり、つまりアーキテクチャー、安全保障の仕組みというものをつくっていくということが、一つその核兵器のリスクを、あるいは核の脅威を低めていく方法であると思います。
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岸宏一#11
○委員長(岸宏一君) ありがとうございます。
 じゃ、柳澤公述人。
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柳澤協二#12
○公述人(柳澤協二君) ありがとうございます。
 御指摘のとおり、従来の任務でもやはりリスクは当然あったわけでありますね。そして、私も現職の頃、何とかNGOとか避難民とかそういった方々を守れる範囲はもうちょっと広げてもいいんじゃないかという問題意識はずっと持っておったんですけれども、今、私、それは、イラクまでとそれから今日と非常に状況は変わってきているという認識です。それは、例えばISILのような暴力と殺りくそのものを目的にするような集団が出てきている、その中で、もうこれは残念ながら、私は、今自衛隊がどんな任務にせよそういう集団がばっこしているような地域に入っていくことはやはりやめた方がいいと、今私は考えております。
 それは、そういう、当分その状況は改善されないと思いますが、やはり、そこで日本が出ていけるようなチャンスが来たら、それはそれでまた独自性を持った活動をしていけばいいんだろうと思うんですけれども。ただ、お考え、御判断はいろいろあろうと思います。それでもやっていくというのであれば、私は、同時に、それはどういうリスクがあるんだということをしっかり国民の前にお示しした上で議論していただく必要があるというふうに考えております。
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山下雄平#13
○山下雄平君 またお二人に別々の質問をさせていただければと思うんですけれども、秋山教授がお話しになった一国平和主義から国際協調へという話についてですけれども、現在の安全保障法制の見直しの方向性というのはそれに寄与するものというふうに考えていらっしゃるかどうかという点をお聞かせいただければと思いますし……ヤジあっ、一つ、じゃ、それで。
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岸宏一#14
○委員長(岸宏一君) では、秋山公述人、どうぞ。
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秋山信将#15
○公述人(秋山信将君) 私は、この国際協調主義の中ではつまみ食いは許されないという立場でございますので、今後の安保法制の見直しにおいて、より大きな役割を日本が安全保障においても果たすようになれば、これは国際協調に寄与するものであるというふうに考えております。
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山下雄平#16
○山下雄平君 最後に柳澤先生にお聞かせいただければと思うんですけれども、国会の民主的な関与についてですけれども、他国の作戦についてどれだけ情報が開示されるのかという話がありましたけれども、これは、日本に限らず、ほかの多くの国でも国会の関与というのは必要だと思うんですけれども、それに当たって、他国ではどういった形で、集団的自衛権も含め、国際協力をするときに情報が開示されているんでしょうか。他国の事例をお聞かせいただければと思います。
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柳澤協二#17
○公述人(柳澤協二君) 恐らくどこの国でも、なかなか軍隊の行動の作戦の中身そのものを大っぴらに議会で議論するようなことはできていないと思います。
 ただ、特に我が国の場合、こういう法制をつくって今拡大していくという、そういう局面にあるわけですから、そこのところで法律上明確な具体的な基準を細かく書けるならば、それはまた別なんだろうと思うんですね。
 しかし、やはり具体的な事例にこれから一つ一つ我々が、日本国が経験していかなきゃいかぬことですから、そこはしっかり議論をし、それから、事前がなかなか難しいとしても、事後の検証をしっかりやるということも必要なんだろうというふうに思います。
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山下雄平#18
○山下雄平君 以上、終わります。ありがとうございました。
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岸宏一#19
○委員長(岸宏一君) ちょっと皆さんにお諮りいたしますが、ただいま両筆頭からは了解をいただいたんですが、質問される方々はお立ちでやるわけですが、公述人の方々はもう大変な人数の方々にお答えするということになりますので、着席のままお答えするということでお許しいただくような形でよろしいですか。
 それでは、公述人の先生方、着席のままで結構でございますから、よろしくお願いします。
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藤田幸久#20
○藤田幸久君 ありがとうございます。民主党の藤田幸久でございます。
 お二人、どうもありがとうございます。
 時間の関係で、申し訳ございませんが、主に柳澤公述人に質問させていただきます。
 与党の協議会の文書で私が一番気になっておりますのは、日米安保条約の効果的な運用に寄与しと書いてあります。ということは、先ほど柳澤さんがおっしゃっていただいた中で、全てにこれが出てきてしまう。だから、一番危険なところにどこまで行くのか。あるいは、法律論でどこまでという場合に、これが全部オーバールールになってしまう。
 この日米安保条約の効果的な運用に寄与しということがどういう影響を持っているのかということについてお聞きしたいと思います。
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柳澤協二#21
○公述人(柳澤協二君) そこは、例えば、私どもも現役の頃、あれは昭和五十三年ですから一九七八年の日米ガイドラインを作り、そして九七年にその改定をやっておりますけど、最初のガイドラインはいわゆる日本有事をテーマにしたものでありました。これは、安保条約第五条のアメリカ軍の来援をどうプランしていくかということにつながっていったと思うんですね。
 そして、九七年のガイドラインでは、まあありていに言えば、韓半島、朝鮮半島有事を前提にして、来援に来る米軍をどのように日本が支援できるかという、一種それは地理的概念ではないと言い条、安保六条に根っこがある、そういう作業だったというふうに私は認識しているんですけれども、そうすると、今度、グローバルな局面で日米協力を展開していくというのは、実は安保条約に直接の明文があるわけではないので、そこのところはぎりぎり言っていけば、安保条約そのものをちゃんと書き直すのが本来の筋でしょうということになるんだろうとは思うんですけれどもね。
 そこで、昨年十月のガイドラインの中間報告を見ますと、日米同盟のグローバルな性格に着目しというようなことが書かれていますが、これはしかし、グローバルな性格というのは非常に定義のはっきりしない言葉ですね。では、グローバルな範囲でやはり安保条約に根っこがあるところ、ないところで、そこはおのずと差が出てくるんじゃないかという議論もあり得るところだと思います。
 その辺がどうも、地理的に無限定になっていくのではないか、内容的にも無限定になっていくのではないかという心配が拭い切れない一つの原因はそこにあるのかなという感じはしております。
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藤田幸久#22
○藤田幸久君 その部分を、法律論的に今の表現の部分をある程度規定していくことが可能なのかどうかということと、それから、いわゆる段階的に、地理的に、結果的に広がっていったことと同時に、先ほど心配しておられました一番ぎりぎりの局面、あるいは国連決議、いろいろございますけれども、決議の内容が曖昧な場合とか判断が危うい、あるいはいろんな解釈がある場合に、この日米安保条約の効果的な運用に寄与しということがオーバーライドしてくる可能性、その二つについてお聞きしたいと思います。
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柳澤協二#23
○公述人(柳澤協二君) これは、ずっと非常に私どもにとっても悩ましい話だったと思うんですね。そして、私も今記憶に残っておりますのは、九九年のあの周辺事態法の審議の中で、ちょうどNATOのユーゴ空爆の真っ最中の審議であったということでいろんな議論がありました。
 それで、例えば、アメリカが国際法上違法な戦闘をする場合に、それをガイドラインでサポートすることはどうなんだという議論もあったと思います。そのときの、今でも私は覚えているんですが、政府の答弁の趣旨は、日米安保条約には国際法を遵守すると書いてある、したがって、アメリカが国際法に反することをすることはないんだという答弁だったと思います。
 しかし、これはトートロジーなので、そこのところを、それはもう、今後はある意味グローバルに軍事的な後方支援をしていくということなんですから、そのアメリカ軍の武力行使、まさに評価をもっときっちりやっていかなければいけない。以前は人ごとだったかもしれないけど、今度は我が事としてアメリカ軍の武力行使をしっかり判断していかなければいけないという立場に理論的にはなるはずでありますから、その辺を本来であれば法律にしっかり書き込むというのが筋ではないかなと思います。
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藤田幸久#24
○藤田幸久君 アメリカは、現場における様々な作戦等において、確かに法律的にも不備な面があるので、こういう点を整えてもらえば有り難いというアメリカの軍部の現場からの要請は一方であると思うんですが、政策論的に、例えば日本が尖閣等があるので、いろいろ中国あるいはいろんな国に対して軍事的な活動を政策的に踏み越えていくということについては、むしろ抑制的といいますか、消極的に見ているんではないかと。つまり、現場はいろいろ体制を整備してほしい、ただ、日本がいろいろな意味で政策的に拡大していくことについてはむしろ慎重論があるんではないかと思うんですけれども、その点についての見通しと、時間がないので、ということは、一番心配しておられた点については、むしろネガティブリストを作った方が現場としては、あるいは法律的に安定するためにはいいんではないかと、その二つ、関係しているんじゃないかと思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
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柳澤協二#25
○公述人(柳澤協二君) アメリカの評価は、それは、現場の軍とそれから政治の間で当然見ているところが違いますから、一般論として、日本がもっとたくさんやってくれるということは、それはいいことだということになると思います。
 ただ、それが、アメリカのスタンスは、さっきの秋山先生の言葉で言えば、今の中国等のチャレンジがオーダーに対する挑戦にならないようにするための一種のヘッジなんですね。ですから、それが最初から前面に出るということが、政策的なスタンスとしてはアメリカと必ずしも一致しない部分が出てくる。むしろ、緊張を高めることをアメリカの政治は必ずしも賛成しないんだろうと思います。
 あとは、済みません。
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藤田幸久#26
○藤田幸久君 ネガティブリスト。
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柳澤協二#27
○公述人(柳澤協二君) そういう意味で、ネガティブリストというのは、ネガティブリスト以外は何でもできるという形になっていって、どうも今の方向性がそれに近い、与党が御協議になったのはそれに方向性としては近いようですが、ただ、依然として、日本防衛の文脈でいうとポジリストなんですね、九十五条の話にしろ。だから、そこら辺が、まあどちらがいいかということはありませんが、ネガリストにしていけばいくほど、現場の判断で事態拡大のリスクは高まるということを政治は認識しておく必要があるということだと思います。
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藤田幸久#28
○藤田幸久君 秋山先生に一つ、戦後のことをおっしゃいましたが、例えばサンフランシスコ講和条約というのは、中国、台湾、北朝鮮、韓国、ロシアが参加していない。したがって、それまで日本は戦後の秩序についての実は活動を余りしていない。やっぱり朝鮮戦争があったことによって、吉田総理の判断もあったけれども、経済優先で来たということの方がかなり大きいんではないかと。先生の説明の部分は、むしろその一九五一年以降、あるいは日韓、日中の国交回復以降の部分が強いんではないかという印象を持ったんですが、それについてコメントをいただけたらと思います。
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秋山信将#29
○公述人(秋山信将君) ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、まさにその戦後の秩序というものが五〇年代半ばを境にして、あるいは中国が国連加盟というか、中国と台湾の代表権が入れ替わった七〇年代、幾つかの転換点はあると思いますが、基調としてはやはりサンフランシスコ平和条約に基づいたものであって、日米の関係という、すなわちアメリカが提供してきた公共財というものに我々の繁栄というのは立脚しているという意味でいうと、我々が既存の秩序の受益者であるという話であります。
 恐らく、今後北朝鮮がもし何らかの形で国際社会に復帰するようなことがあれば、彼らもこの国際秩序の受益者になっていくという意味でいうと、今の既存の体系というものが、どの価値観であったりとか、秩序の、ルールの体系に基づいているかということを考えたときに、この七十年間を通して考えるということが重要であるというふうに考えております。
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