予算委員会公聴会

2017-02-21 衆議院 全143発言

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会議録情報#0
平成二十九年二月二十一日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 浜田 靖一君
   理事 石田 真敏君 理事 菅原 一秀君
   理事 西村 康稔君 理事 葉梨 康弘君
   理事 宮下 一郎君 理事 武藤 容治君
   理事 大西 健介君 理事 長妻  昭君
   理事 赤羽 一嘉君
      伊藤 達也君    石崎  徹君
      石破  茂君    岩屋  毅君
      江藤  拓君    衛藤征士郎君
      小倉 將信君    大串 正樹君
      奥野 信亮君    加藤 寛治君
      門  博文君    黄川田仁志君
      工藤 彰三君    國場幸之助君
      佐田玄一郎君    鈴木 俊一君
      高橋ひなこ君    辻  清人君
      とかしきなおみ君    根本  匠君
      野田  毅君    野中  厚君
      鳩山 二郎君    原田 義昭君
      平口  洋君    星野 剛士君
      保岡 興治君    山下 貴司君
      渡辺 博道君    青柳陽一郎君
      井坂 信彦君    井出 庸生君
      今井 雅人君    小川 淳也君
      緒方林太郎君    後藤 祐一君
      前原 誠司君    升田世喜男君
      本村賢太郎君    伊藤  渉君
      國重  徹君    富田 茂之君
      真山 祐一君    高橋千鶴子君
      畠山 和也君    藤野 保史君
      宮本  徹君    井上 英孝君
      伊東 信久君    浦野 靖人君
    …………………………………
   公述人
   (株式会社大和総研執行役員調査本部副本部長チーフエコノミスト)      熊谷 亮丸君
   公述人
   (特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター人道支援/平和構築グループマネージャー)     今井 高樹君
   公述人
   (東京大学大学総合教育研究センター教授)     小林 雅之君
   公述人
   (嘉悦大学教授)     高橋 洋一君
   公述人
   (BNPパリバ証券株式会社投資調査本部長)    中空 麻奈君
   公述人
   (日本労働組合総連合会事務局長)         逢見 直人君
   公述人
   (昭和電気鋳鋼株式会社代表取締役社長)      手塚加津子君
   公述人
   (全国労働組合総連合議長)            小田川義和君
   予算委員会専門員     柏  尚志君
    —————————————
委員の異動
二月二十一日
 辞任         補欠選任
  石破  茂君     とかしきなおみ君
  小倉 將信君     辻  清人君
  長坂 康正君     加藤 寛治君
  今井 雅人君     升田世喜男君
  後藤 祐一君     青柳陽一郎君
  福島 伸享君     本村賢太郎君
  真山 祐一君     富田 茂之君
  赤嶺 政賢君     宮本  徹君
  高橋千鶴子君     藤野 保史君
  伊東 信久君     浦野 靖人君
同日
 辞任         補欠選任
  加藤 寛治君     工藤 彰三君
  辻  清人君     小倉 將信君
  とかしきなおみ君   石破  茂君
  青柳陽一郎君     後藤 祐一君
  升田世喜男君     今井 雅人君
  本村賢太郎君     井出 庸生君
  富田 茂之君     真山 祐一君
  藤野 保史君     高橋千鶴子君
  宮本  徹君     畠山 和也君
  浦野 靖人君     伊東 信久君
同日
 辞任         補欠選任
  工藤 彰三君     鳩山 二郎君
  井出 庸生君     福島 伸享君
  畠山 和也君     赤嶺 政賢君
同日
 辞任         補欠選任
  鳩山 二郎君     高橋ひなこ君
同日
 辞任         補欠選任
  高橋ひなこ君     長坂 康正君
    —————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
 平成二十九年度一般会計予算
 平成二十九年度特別会計予算
 平成二十九年度政府関係機関予算
     ————◇—————
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浜田靖一#1
○浜田委員長 これより会議を開きます。
 平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算、平成二十九年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
 この際、公述人各位に一言御挨拶申し上げます。
 公述人各位におかれましては、大変お忙しい中御出席を賜り、まことにありがとうございます。平成二十九年度の総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうぞ忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
 御意見を賜る順序といたしましては、まず熊谷亮丸公述人、次に今井高樹公述人、次に小林雅之公述人、次に高橋洋一公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、熊谷公述人にお願いいたします。
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熊谷亮丸#2
○熊谷公述人 おはようございます。大和総研の熊谷亮丸でございます。
 本日は、お招きいただきまして、心より光栄に存じます。御審議の御参考にさせていただきたく、平成二十九年度の予算案につきまして、賛成の立場から意見を申し述べたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料で、「世界経済の潮流と日本経済の行方」という資料をごらんいただきたいと思いますけれども、まず一ページ目でございます。
 きょう、私からは、大きく三つの点について申し上げたい。
 一点目としては、日本経済の現状と展望ということでございますが、メーンのシナリオとしては、日本経済は着実な景気の回復が見込まれる。先月、私はダボス会議に参加してまいりましたけれども、ここでも、海外の財務当局もしくはIMFのラガルド専務理事を初めとした方々は、基本的には、景気は着実に循環面では回復をしていく、こういう見方でございました。ただ、他方で、海外の下振れのリスクについては引き続き留意が必要である。
 二番目のところに書いてございますけれども、一つは、今後のトランプ政権の政策がどうなるかということ。二点目として、中国経済のいわゆるバブルがこれからはじけるのかどうかということ。そして、アメリカが出口戦略、金利を上げていったときに、新興国からお金が引き揚げられて新興国の経済が動揺する可能性。さらには、地政学的なリスクなどと言われる、世界じゅうでいろいろなトラブルが起きて、これによってリスクオフと言われている円高、株安が進む可能性。そして、ブレグジットの影響等を受けて欧州経済が動揺する。これらの中では、特にやはり一番目のトランプ政権、それから二番目の中国経済、ここをかなり慎重に見きわめていくことが必要であると思います。
 三点目として、アベノミクスでございますけれども、私は、基本的な方向性は、正しい方向での政策が打たれている、こういう考え方でございます。ただ、まだ道半ばということでございますので、例えば、社会保障制度の抜本的な改革、もしくは三本目の矢、成長戦略の強化、これらについては従来以上に加速をしていくことが必要になる。成長戦略の中でいうと、やはり労働市場の改革というのが最大の課題であるというふうに思います。
 きょうは、以上の三点につきまして、残された時間で、具体的なデータ等を使ってお話をさせていただきたいと思います。
 二ページ目をごらんください。
 一番上のところに書いてございますけれども、これから日本経済は、私どもの見通しとしては、一七年度一・三%、一八年度一・一%ということで、世界経済の回復にも支えられて、メーンのシナリオでは緩やかな景気の回復を続けるという見方です。
 三ページ目をごらんください。
 今、日本経済は着実な回復の軌道に入ってきた。
 まず、左のグラフでございますが、赤い線が輸出の動き、そしてブルーの線が生産の動きということですけれども、世界経済が今サイクル的によくなっていることもあって、この輸出と生産が着実に今拡大の方向に向かっているということ。
 さらには、右のグラフがいわゆる在庫循環というものでございます。縦軸が出荷の伸び、横軸が在庫の伸びでございますが、時計回りでぐるぐると回りながら在庫調整というのが進んでいく。そして、左下のところから、今、ぐるりと回り込んで、在庫循環が上の方向に向かっている。徐々に景気が回復をして、これから在庫を積み増していく局面に、循環的に見れば入っているということでございます。
 四ページ目をごらんください。
 その背景としては、冒頭、ダボス会議の話をさせていただきましたけれども、世界経済のサイクルが今着実に改善の方向に向かっている。ブルーの線が世界の景気先行指数、緑の線が日本の生産ということですが、やはり日本経済は、海外経済の動向によってかなり振らされるところがあるわけでございますので、今、世界的にITの在庫なども軽くなって、世界の生産が戻っていく、その中で日本経済も、若干のタイムラグを置いて回復の方向に来ているということがございます。
 五ページ目をごらんください。
 実質賃金が低迷している、こういう議論があったわけでございますが、ここで四種類の賃金をお示ししております。国民経済にとって最も重要なのは、紫の白丸の線で示したもの、つまり、一人当たりの賃金に雇用者数を掛けて、国民の懐に入るお金の総額が、これを物価と比べたときにどうかというものでございますけれども、これは今、直近のデータでは前年比で二%弱ぐらい伸びているということでございますので、今、物価と比べたときの国民全体の懐ぐあいも着実に回復の方向に来ている。
 そして、六ページ目。
 従来から、伸びているのは非正規ばかりである、こういう議論があったわけでございますが、現状は、正規雇用の伸びが非正規雇用を上回っている。二〇一五年に八年ぶりに正規雇用が増加をした、そこから正規雇用は八十万人弱程度増加をしておるわけでございまして、しかも今、非正規雇用の伸びを上回ってきているということがございます。
 七ページ目でございます。
 今後の課題としては、やはりしっかりとベースアップを行っていくということが必要になる。
 ここでお示しをしているのは、一万円賃金が上がったときに、赤で示しているのは、ベースアップなどで一万円上がると、グラフの左端の部分で、消費は八千六百円程度ふえる。ところが、ボーナスで一万円所得がふえたとしても、消費に回るのは千十七円しかない。これは私どもが過去のデータで推計したものでございますけれども、こういう観点からも、今の政労使会議をさらに強化して、企業がベースアップをしっかりと行っていくことが鍵になるということです。
 八ページ目は、原油が下がってきたことも日本経済を下支えするということ。
 図表の左上の部分で、赤で囲んだ部分がございますけれども、原油が百五ドルで高どまりしていたときと現状で比較をすると、私どものマクロモデルを使うと、一七年度の国内総生産、GDPが〇・九%程度、五兆円近く押し上げられるという結果でございます。
 九ページ以降で、本日の二つ目の論点、リスク要因ということで、特にトランプ政権の動向、加えて中国経済について、ポイントを絞ってお話をしたいと思います。
 十ページ目をごらんください。
 トランプ政権については、やはりいい材料と悪い材料が混在している状況です。
 上半分に書いてある好材料、今、マーケットはこちらに注目しているわけでございますけれども、まず、短期的には、大型の減税やインフラ投資によって景気が刺激される。
 二点目として、アメリカが国内への資金還流策をとっている。今、アメリカは、海外に二・五兆ドル、三百兆円近いいわゆる留保利益を持っているわけですから、このお金をアメリカに入れたとき、税制上の優遇を行うと言われておりますので、これがドル高ですとかアメリカの株高などへとつながる。
 三点目として、金融規制の緩和。
 四点目として、金利が上がることによって日米の金利差が拡大して円安・ドル高になり、それが日本にとってもプラスである。
 これらの四点は好材料です。
 他方で、将来的に若干心配な点は、やはりこれだけの政策をとると、双子の赤字、財政赤字、経常赤字が拡大してくる。そうなってくると、アメリカの当局がいずれはドル安カードを切って、円高・ドル安になるリスクも存在する。また、孤立主義によって地政学的なリスクが出る。そして、保護貿易主義の問題等々。
 今のところは、この上半分のところを市場は好感しているわけですけれども、下半分の方に移行しないかどうかということ、これを慎重に見きわめることが必要であると思います。
 十一ページでございますけれども、左下の赤い部分、今アメリカが言っている財政政策を全てとると、五・九兆ドル、十年間で六百兆円以上、アメリカの財政赤字が拡大してくる可能性というのがある。
 もう一つ心配なのは、十二ページ以降のいわゆるドル安カードでございます。
 十二ページでお示ししたように、アメリカは非常に利己的な通貨戦略というのを行ってきた。
 具体的には、十三ページでございますけれども、三つのステップがあって、最初にドル高政策をとる。ドル高政策をとると赤字が拡大して、そうなると次に二番目のドル安政策に行く。ドル安をとっていると、インフレの問題、トリプル安の問題、こういうものが出てきて、ドルの安定化策に行って、市場が落ちついてくるとまた一番に戻る。過去数十年間、このサイクルを何度も繰り返してきたという歴史があります。
 十四ページに、このサイクルが何によって決まっているかというのを示しておりますけれども、基本的には三つの要因で決まっている。アメリカの経常赤字の動向、アメリカのインフレの動向、アメリカの金融市場の動向ということでございますが、これから、(1)のドル高から(2)のドル安に行くとすれば、今、三条件の中で、一の経常赤字の拡大は満たしている、三の金融市場の安定も満たしている。残された条件は、二のインフレがある程度抑制されてマネジャブルな状況になれば、アメリカは、過去の経験から見ると、ドル高政策からドル安政策へと転換する可能性というのがあるわけでございますので、これについてもかなり警戒的に見ておくことが必要であると思います。
 十五ページは、中国でございます。
 今、金融面での過剰が一千百兆円弱、設備の過剰が七百四十兆円弱。ただ、やろうと思えば、財政出動は六百から八百兆円ぐらい、まだ出すことが可能でございますので、結論は、少なくとも一、二年はカンフル剤でもたせた後で、中長期、早ければ向こう三年から五年ぐらいのところで、若干、バブル崩壊を警戒的に見ていくことが必要ではないかという考え方でございます。
 十六ページは、三つのシナリオがございますけれども、これから、最悪のシナリオとしては、三のメルトダウンシナリオというのを頭の片隅に置いておくことが必要である。
 十七ページに、今申し上げたメルトダウンシナリオの概要がございますけれども、もし中国が景気刺激策をとらずに自然体で調整したとすれば、実力の成長率が一・六%程度まで将来的に落ちる可能性というのが出てくる。
 ただ、十八ページをごらんいただくと、中国は社会主義の国でございますから、短期的には、景気刺激策によって当面景気は底がたい動きが予想される。緑の線が、景気循環信号指数といって、十個のデータを合成したもの、これによって政策判断の局面を五つに分けることができるわけですが、一番下の低迷が視野に入ると、やはりカンフル剤を打って、一度は真ん中の方向に押し戻していく。ことしは政治のイベント等もございますので、その意味では、少なくとも一、二年程度は中国経済は底がたい動きが予想されるということでございます。
 十九ページをごらんください。
 冒頭申し上げたように、私は、アベノミクスの基本的な方向性は正しいという考え方でございまして、いわゆる追い出し五点セットもしくは七重苦、これらを全て反対の方向に転換して、今、着実に景気は回復軌道に入っている。
 ただ、二十ページの部分で、課題でございますけれども、一つは、社会保障制度の改革等によって財政の規律を維持すること、二点目として、成長戦略を強化すること、三点目として、分配政策を強化するということでございますが、私がきょう強調したいポイントとして、この二と三は一体の課題である。つまり、国民の所得をふやすときに、三の分配政策だけでは所得はふえない。二の成長戦略と三の分配政策、これを同時並行的に行うことこそが、持続的に国民の所得を伸ばすための鍵であるということです。
 なぜそう考えているかというのは、二十一ページでございますけれども、日米独の時間当たりの実質賃金というのを比較してみたものでございます。
 一の生産性、二の企業の競争力、三の労働分配率、この三つに要因分解できるわけでございますが、確かに三の分配率は若干下がっている。ただ、ほかの国も同じぐらいのペースで下がっているわけでございますから、もちろん日本は、対策は打たなくてはいけないけれども、世界の潮流に逆らうということはなかなか難しい部分もある。そうなってくると、一の生産性、それから二の広い意味での企業の競争力、これらは分配政策では上がらないわけで、やはり三本目の矢の成長戦略を強化すること、それから分配政策を行うこと、この成長と分配の二兎を追うことこそが、国民の所得を持続的に伸ばすための鍵だという考え方です。
 二十二ページは、女性の活躍の重要性。これは見てのとおりでございますけれども、女性が活躍している国ほど、国際的に見れば経済状況がいい。
 そして、二十三ページ以降、最大の成長戦略の鍵は労働市場の改革である。
 二十三ページにお示しをしているように、メンバーシップ型の正社員と非正規雇用への二極化、ここから日本のさまざまな問題が起きているわけであって、まず上半分のところでいえば、過重労働の問題、高齢者の活用のおくれ、そして不十分な職業訓練等があって、右上のところにある労働生産性の低迷という問題が起きている。そして、一番下の部分でございますけれども、やはり、将来不安から、少子化それから消費の低迷ということが起きているわけでございますので、具体的には、二十四ページにあるような、同一労働同一賃金を軸としたさまざまな施策を講じて労働市場の改革を行っていく、これがやはりこれからの成長戦略の鍵であるということでございます。
 最後に、財政について一言だけ申し上げますと、二十七ページをごらんください。
 二十七ページの右側に数字、左側にグラフがございますけれども、右の図表を見ていただくと、まず一番上にあるのが現状、今の財政状況がどうであるか。右上のところを見ていただくと、国の借金はGDPの一九〇%まで来ている。
 そして、上半分、ケースの一が経済成長に失敗するケース、そして下半分が経済成長に成功するケースということでございますが、やはり上半分の、成長がうまくいかないと、財政状況は非常に厳しい状態になってしまう。そして、下半分の部分で、成長に成功したとしても、それだけではやはり財政再建は難しいということがあって、下半分で、改革なしですと、右端で、二七八%まで債務は積み上がる。これを一〇〇%まで落としていく改革。
 改革のAというのは、国民負担はふやさずに給付だけを減らす。改革のBは、消費税を二〇%まで上げて、そして給付を抑制するということでございますが、左のグラフで見ていただくと、まず改革のAは、左下にあるブルーの小さな丸、改革のBは、真ん中の上の方にある茶色の大きな丸ということでございますが、これが恐らく二つの両極で、この間の部分で国民がどういう負担、そしてどういう給付を望むか。このあたりを国民的な定量的な議論として行っていくことが必要であると考える次第でございます。
 私の方から御報告は以上でございまして、ポイントとしては、日本経済は着実に回復をしている、ただ、海外にはリスク要因が山積している、アベノミクスは基本的に正しい方向で政策が打たれていますが、積み残した課題、社会保障制度の改革ですとか成長戦略、とりわけ労働市場の改革などの課題について、これからさらに取り組んでいくことが必要であると思います。
 私からは以上でございます。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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浜田靖一#3
○浜田委員長 ありがとうございました。
 次に、今井公述人にお願いいたします。
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今井高樹#4
○今井公述人 皆さん、おはようございます。日本国際ボランティアセンター、JVCの今井高樹と申します。
 本日は、このような場にお招きいただきまして、本当にありがとうございます。
 日本国際ボランティアセンターといいますのは、NGO、非政府組織でありまして、世界、アジアあるいは中東、アフリカの国で人道支援活動あるいは開発援助、平和構築の活動を行っております。私も通常、海外に駐在しておりまして、三日前に日本に戻ってきたところです。
 本日は、この間予算委員会でも議論になっております南スーダンの問題、自衛隊派遣あるいは駆けつけ警護、宿営地防護の新任務といったことについて、現地の状況を知る者として意見を述べたいと思います。よろしくお願いいたします。
 私自身は、二〇〇七年から二〇一〇年の前半まで南スーダンのジュバに住んで、駐在しておりました。そして、そのときは、帰還してきた難民の支援の活動を行っておりました。当時のジュバは、まだ独立前でしたけれども、非常にいい時代で、人々は希望にあふれ、町も落ちついていて、まさに今の南スーダンの状況は当時からは信じられないような感じになります。
 その後、私どもは二〇一一年に南スーダンの難民キャンプで活動を始めまして、年に一回あるいは二回ぐらい私も出張しておりました。さらに、昨年は、御存じのとおり、七月に大きな戦闘がありました。その後、この戦闘で被災された方々、避難された方への支援のために、私自身が九月それから十一月にジュバを訪問いたしまして、緊急人道支援活動、食料援助ですとか医薬品の支援を行っております。
 最初に、今の南スーダンの全般的な状況ですけれども、お手元の資料の方をごらんください。
 こちらは国連、UNOCHAの出しているものですけれども、皆さん御存じかと思いますけれども、国内避難民が百九十万人、それから国外に逃れた難民が百五十万人、合わせて三百四十万人、およそ国民の三人に一人ぐらいが家を追われて避難生活を送っているような状況になっております。あるいは、国民の半分が非常に深刻な食料不足に陥っているということで、一言で申し上げると、昨年の七月以降、情勢は安定しているどころか、ますます悪化しているといったところだと思います。
 昨年の後半、特に特徴的なこととしては、エクアトリア地区と呼ばれる国の南側に暴力が拡散しています。この地図でいいますと、ちょうどこのあたりになります。
 もともと南スーダンの紛争は、御承知のとおり、キール大統領の出身部族であるディンカ族、それと元副大統領マシャールさんの出身部族のヌエルとの戦いであって、主に国の北側の方で戦闘が行われていたんですけれども、昨年後半にはこれが国の南側の方に、エクアトリア人といったような人が住んでいる地域ですけれども、そちらに拡散しています。
 もう一枚のパネルの方で、そういったエクアトリアの地域では、村が武装グループに襲撃をされて焼き討ちをされています。この下の方の写真は私自身が撮ったわけではなくて、これは南スーダンの教会系の団体が撮ったものを私がいただいてきたんですけれども、ロボノクというジュバから八十キロ離れた場所ですけれども、こういったように、武装グループによって村が襲撃をされ、焼かれ、人々は殺されたりレイプをされたり。
 私、実際にジュバで、このロボノクという村から避難してきた人とお会いしました。食料支援を行いましたけれども、その方が言っていたのは、その方はディンカと言っていましたけれども、ディンカの武装したグループが村に来て、無差別的に銃を乱射して、人を殺し、子供たちを殺し、最後は死体を切り刻んで家の中に投げ込んで火をつけたといったような、ちょっと信じられないような話をしていらっしゃいました。
 あるいは別の避難民の方は、こういったエクアトリアの村々では、まさに子供たちが、鶏を殺すように、鶏を絞めるような形で殺されているといったような話を聞きました。
 多くの村が無人化しています。このエクアトリア地域から昨年の後半だけで約四十万人がウガンダの方に避難民になっています。
 やられた村の方、エクアトリアの人たちも、ただ黙っているわけではもちろんありません。自分たちで自警団をつくったり、あるいは新しい武装グループをつくって報復に出ています。ですから、エクアトリアの人たちがディンカを攻撃するといったことが起きています。
 具体的には、このエクアトリアの地域を通る幹線道路でバスを襲撃して、中に乗っているディンカを捜し出して処刑をするといったようなことが行われています。もちろん、ディンカの人もそれに対して報復をしようということで、そういったエクアトリア人は許せないといったキャンペーンが行われまして、非常に民族間の対立、報復の連鎖、憎悪の連鎖ということが広がっています。
 ですから、皆さん、エクアトリアの方も、あるいはディンカの方もそうですけれども、自分たちがいつ標的になるのか、自分たちがいつ殺されるのかということで、一般の住民の方は非常におびえているのが南スーダンの現実です。
 ですから、国連も、皆さん御承知のように、南スーダンに大量虐殺の危険があると警告していますけれども、南スーダンはそういったまさに紛争状態、混乱した状態にあると私は認識しています。ですから、PKO五原則については崩れているというふうに思っております。
 ただ、そうは申しましてもといいますか、私も国会の議論も聞いておりますけれども、稲田防衛大臣は、そうはいってもジュバは安全なんだ、ジュバは落ちついているんだというふうに繰り返しておっしゃっておられます。ただ、本当にそうなのかということで、少しお話をさせていただきます。
 私は、九月と十一月に合わせて約三週間ぐらいジュバにおりましたけれども、確かに表面的にはジュバは落ちついています。そこでは普通の市民生活、子供が学校に行き、女性が買い物したりといったものが一応表面的には見られているわけなんですけれども、ただ、実際には、皆さん非常におびえていらっしゃいます。
 例えば、昨年の十月にこんなことがジュバでありました。キール大統領が死んだというようなうわさがジュバで流れたんですね。そのときに、多くの、ほとんどの住民がすぐに家に逃げ込みました。町からは人影が消えて、商店街といいますか市場は全てシャッターをおろしてというか閉じられて、誰も、人っ子一人いない状態になったと聞いています。それが三日間続いたというふうに聞いています。
 人々は、これはうわさだけなんですけれども、キール大統領が死んだことによって後継者争いとかで新しい戦闘が起きるのではないか、そうした戦闘が起きたときには自分たちが殺されるのではないかと。特にエクアトリアの方々は、さっき申し上げましたように、ディンカとの対立がありますので、大統領派の軍の主力であるディンカがエクアトリア人を殺しに来るのではないかということで、皆さん恐れて、家の中に閉じこもった、あるいはもうジュバから逃げ出した人もいたというふうに聞いています。
 この混乱をおさめるために、三日たってやっとキール大統領は姿をあらわしたんですけれども、キール大統領は、宣伝カーのような車に乗ってジュバの町中を走り回って、自分は生きているんだということをアピールしたそうなんですが、そのぐらいしないとおさまらないぐらいのパニック状態だったと聞いています。
 そういった形で、今のジュバは、もし何かあったら、これは住民の皆さん自身が、虐殺にしろ、暴動にしろ、戦闘にしろ、一体何が起きるかわからないということで恐れています。
 具体的に、政治的な混乱の要因というのはあります。
 この二週間の間に、新聞等でも報道されていますけれども、大統領派の軍のSPLAの司令官が一人辞任しております。あるいは労働大臣も辞任をしております。こういった方々は、まさに今のキール政権のやり方はおかしい、国民を虐殺している、ディンカ民族を中心にしてほかの民族を排斥するようなことをやっているということで、不満を、抗議の意思を表明して辞任しているわけなんですけれども、そういったことを契機にしまして、いつどこで戦闘が起きてもおかしくないような状況だと思います。
 もう一つは、非常に南スーダンの経済は、内戦、今の紛争によって破綻している状態です。
 通貨である南スーダン・ポンドは大暴落をしておりまして、物価は一年前に対して五倍、六倍に上がっています。あと、物が不足しています。これは、外貨がないので物が輸入できない、あるいは輸入しようとしても、その輸入ルートが非常に危険で、トラックが物資を運べないということで、ガソリンが非常に不足しています。
 私、ジュバの町を走りますと、あちこちで道路渋滞のようなものに遭遇するんですけれども、それは渋滞ではなくて、ガソリンスタンドの前に何百メートルも車が列をつくっています。ガソリンがないとどうなるかといいますと、直撃されるのは水なんですね。ジュバの多くの地域では、もちろん上水道はないです、ナイル川の水を給水車が運んで供給をしているんですけれども、そういった給水車が走ることができません。あるいは、非常に水の値段が高くなっています。私が聞いたある方は、自分の収入のほとんどが水を買って消えてしまうというような話をしていらっしゃいました。
 この写真の上の方ですけれども、これは私たちが訪問した、あるいは支援した避難民キャンプで、このお母さんと子供たちは、近くから野草をとってきて、その草を食べているところなんです。そういった物価高の中で、食料品の価格が非常に高くて、皆さん食料が買えません。ですので、決して避難民キャンプだけではなくて、ジュバの中の、特に郊外なんですけれども、地域では、こうやって草をとってきて食べるようなことも行われています。
 そういったように、こういった経済的な状況が社会不安を起こしている、しかも民族間の敵対がある。非常に不安定なジュバの状況です。
 この避難民の方々は、私どもが支援しましたけれども、実は皆さん、ジュバのある一地域から避難してきた方なんです。昨年の七月の戦闘からもうそろそろ半年たっていますけれども、まだ自宅には戻れません。こういった方の自宅の周辺は非常に治安に不安がある。皆さん、自宅には戻れないと言っていらっしゃいます。
 もう一枚の資料ですけれども、こちらはジュバの地図になります。今お話をした避難民の方は、ジュバの北側に空港がありまして、御承知のように空港の脇に自衛隊の宿営地があるわけですけれども、東側にナイル川がありまして、西側のこのあたり、ちょうど国連の避難民保護施設、UNハウスの近くですけれども、このあたりから避難してきた方々です。
 この場所は、七月以前は副大統領派、リヤク・マシャール派の軍事拠点があったところです。ですので、七月には大変な激戦になりまして、皆さん避難したんですけれども、ただ、その後も、人々の話では、ここには元マシャール派が潜んでいるかもしれない、あるいは、政府軍、大統領派は、このあたりに元マシャール派が帰ってくるかもしれないということで、常に大統領派の軍隊がパトロールを続けている。そこにもし住民が戻ってきたら、おまえはマシャール派の仲間だということで、尋問をされ、あるいは襲撃をされ、女性であればレイプをされるといったようなことを皆さん恐れて、家には戻れない状態になっています。
 さらに、ここにある避難民保護施設の中には、マシャールさんの出身部族であるヌエルの人たちが多くいます。大統領派は、その中にはマシャール派の元兵士といいますか幹部も紛れ込んでいるというふうに考えていまして、避難民保護施設に対して七月には直接の攻撃も加えられていましたけれども、その後もそういった幹部を引き渡せといったような動きもあって、この避難民保護施設の周辺というのはジュバの中でも最も不安定な場所になっていて、市民の方もそちらにはなかなか近づきたがらない場所になっています。
 皆さん御承知のように、自衛隊は、その宿営地、それからまさにこの避難民保護施設で今活動を行っております。自衛隊が活動を行っているところというのは、まさにジュバの中で最も不安定な、何がしかの衝突が起こっても全く不思議ではないような場所で行っているということです。
 私、今ジュバで、確かに昨年の七月のような大規模な戦闘、戦車部隊ですとかヘリコプターが出ての戦闘が行われるということは非常に考えにくいと思います。ただ、今申し上げましたように、さまざまな不安定要因の中で、軍の内部分裂、あるいは住民の暴動ですとか、それに対する虐殺が起きる可能性は決して少なくはない。
 もしそういったときに、自衛隊が巻き込まれる、あるいは駆けつけ警護なり宿営地防護をした場合に、そこで巻き込まれて戦闘当事者になってしまう、もし一発でも自衛隊が撃ってしまえば、それは日本に対する非常に大きな敵対感情を巻き起こします。それは政府軍、大統領派の中に巻き起こすかもしれませんし、あるいはその逆、あるいは住民の中に巻き起こすかもしれませんけれども、そういったことに容易になってしまうのが今の南スーダンの現状です。
 私どもNGOの立場からしますと、もしそういったように日本に対する反感が巻き起これば、私どものような日本のNGOは非常に活動がしづらくなります。住民の方が敵対意識を持ってくれば、もちろん人道支援活動はできません。この自衛隊の駆けつけ警護の問題は、NGOとかで、あるいは国連で働いている邦人を保護する、そういうことも言われていますけれども、実際には、そういった武力をもって、自衛隊が武力行使をすれば、逆に私たちの活動がやりにくくなるといったふうに思っております。
 では、NGOはどうやって自分たちの安全を守るのかということがよくこれもまた質問されるところですけれども、私どもは、NGOの中でNGOフォーラムという、日本だけではなくて各国から来ているNGOが集まって、常に安全対策のミーティングを持ったり、情報交換をしながら活動しております。あるいは、現地のジュバの一般の方からさまざまな情報をもらいながら、危険を回避するような形で活動を行っています。
 あるいは、仮に私どもが例えば拘束されるといったようなことがあった場合に、でも、それは決して武力で解決するのではなくて、現実的にはやはり交渉、話し合いで解決をする方がよほど安全です。これは実際に、今まで南スーダンのPKOも、PKO部隊の一部が反政府勢力に拘束されたこともありましたけれども、やはり交渉によって解決されています。
 この間、予算委員会では、ジュバで昨年の七月にあったものが戦闘なのか、あるいは衝突なのかといったような議論も繰り広げられてきましたけれども、私は、率直に言いまして、こういったことは言葉遊びのようなものではないかというふうに思っております。現地にいる人から見れば、皆さん、自分たちの家族を亡くし、あるいは自分たちの家を追われ、今も避難生活を続けています。多くの方が亡くなりました。ジュバの戦闘でも、二百七十人、三百人という数字は決して実態ではないと思います。多くの方が千人ぐらいは死んでいると言っていますけれども、それが現実なわけです。衝突と呼ぼうが、戦闘と呼ぼうが、起きたことは変わりません。
 そういった南スーダンの方は、私も話を聞きますと、とにかく戦争をやめてほしい、殺し合いをやめてほしい、普通の生活を取り戻したいというふうにおっしゃっています。そのために国際社会に何とかしてほしいというふうに皆さんおっしゃっています。そういったことに対して一体日本に何ができるのかということをもっと考えなければいけないと思います。
 私は、それは決して自衛隊の派遣ではないと思います。自衛隊の方は、ジュバで非常に困難な状況の中活動をされていて、その御苦労に私は敬意を表します。しかし、自衛隊派遣ではなくて、もっと別のやり方で日本は南スーダンの和平に、平和な社会づくりに貢献すべきではないかと思っています。
 それは、自衛隊の活動、先ほど申し上げましたように、PKOの五原則は崩れています。今の状況で自衛隊がいても、もともと計画していた南スーダンの国づくり支援をやることはできません。あるいは、むしろ戦闘に巻き込まれるリスクが高くなっています。
 それよりも、日本がやるべきことは、武力ではない協力。日本は、憲法九条を持つ国として、武力でもって紛争解決はできないというふうに宣言をしております。まさに今、そのことを南スーダンの人たち、特に紛争当事者に伝えていく。残念ながら、南スーダンの紛争当事者は、問題があれば武力で解決できるという考えを強く持っています。それに対して、いや、そうではないんだということで、日本がほかの国と協力して、南スーダンの戦闘当事者が和解をするような、そういった話し合いをぜひ、仲介といいますか、することが日本のすべきことだと思います。
 南スーダン周辺諸国、エチオピア、ケニア、ウガンダ、スーダン、こういった国もこの南スーダンの紛争に大きくかかわっているわけですけれども、日本はその周辺のどの国とも非常に良好な外交関係を持っています。
 特にスーダン、それとウガンダ、この両方が非常に強くかかわっていますけれども、その両国と良好な関係を持っている国というのはそんなに多くはないです。日本は非常に良好です。そういった立場も生かして、周辺国も含めて、しかも、キール大統領だけではなくて、そのほかの反政府勢力、武装した人たちもいます、非武装の人たちもいます、そういった方も含めて話し合いの場を持つ。最初は非公式ででもいいと思いますけれども、そういった和解の手助けをするというのが、まさに日本がやるべきことではないかといったように思います。
 ただ、そうはいっても、自衛隊の問題を言うときに、今さらPKOから撤収できないのではないかといったような意見も聞くことがあります。私は、決してそういうことではないと思います。
 皆さん御存じのように、PKOというのは必ずしも軍だけではありません。軍はもちろんPKF、ピース・キーピング・フォースと呼ばれますけれども、PKO、ピース・キーピング・オペレーションの中には、それ以外の文民部門と呼ばれる部門もあるわけですね。それは文民警察もあります、あるいは警察以外のさまざまな行政機構の整備、あるいは法律の整備といった部門のスタッフもいらっしゃいます。そういったところに派遣することで、日本は大きな貢献ができるのではないかと私は思っております。
 最後になりますけれども、何とかこの殺し合いをとめることがもちろん第一ではありますけれども、現実には、目の前で苦しんでいる人たちへの人道支援ということもまた非常に大きな課題です。こういった面でも日本は積極的に取り組むべきと思いますけれども、一つだけ私の立場から申し上げさせていただきますと、今、日本のNGOは、非常に日本人スタッフが南スーダンに入りにくい状況になっています。
 これは、日本のNGOが日本政府、外務省から助成金をもらって活動していると、南スーダンへの渡航が現状では非常に規制されております。私が南スーダンに行っているのは、私どもは南スーダンについては外務省の助成金を受けずに活動しておりますので入れますけれども、そういった助成金を受けていると入れないといったような状態です。
 もともと、皆さん覚えていらっしゃると思いますけれども、安倍首相が駆けつけ警護の話をしたときに、現地で頑張っているNGOの方がいる、そういう方を見捨てていいのかといったような話をされたかと思いますけれども、現実に今、日本政府がやっていることは、NGOの日本人が南スーダンには入れない、あるいは非常に入りにくいようなことをやっております。これはNGOだけではありません。日本人の研究者の方もなかなか入れません。そのことによって、日本に入ってくる南スーダンの情報は非常に限られています。
 南スーダンに対して日本がどういった外交的な努力ができるのかを考えるときに、現地の情報は非常に重要だと思います。しかも、それは政府の皆さんだけではなくて、民間の、あるいは研究者の方、いろいろな情報を集めて初めて正しい判断ができると思いますけれども、現実にはそれができない状態になっている。ここについてもぜひ皆さんに再考していただきたいというふうな問題提起を最後にいたしまして、私の話を終わらせていただきたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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浜田靖一#5
○浜田委員長 ありがとうございました。
 次に、小林公述人にお願いいたします。
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小林雅之#6
○小林公述人 おはようございます。
 このような場にお招きいただきまして、まことにありがとうございます。
 というのは、教育費というのは国の予算の中でもかなり大きな部分を占めているわけでありますけれども、実は、なかなか教育費の問題ということが語られるということは少ないわけであります。
 教育というのは、時間的にも空間的にも非常に広がりを持った問題です。国家百年の計と言われることもあるように、時間的にも非常に長いスパンのものでありますし、社会、経済にも影響を及ぼしますし、福祉その他の領域にもかかわっている問題であります。しかしながら、教育費の問題が正面を切って取り上げられるということはなかなか少ないのではないかというふうに思っておりまして、このような場で教育費の問題について、きょうは特にその中でも、時間の制限もありますので奨学金の問題だけに絞ってお話ししたいと思いますが、意見を表明する機会を与えていただいたことを改めて感謝を申し上げます。
 私はこの問題を長年研究している者でありますけれども、諸外国も実は同じような問題を抱えております。公財政が逼迫しており教育費の負担が重くなっている、進学率を上げるためには教育費がかかるという問題を抱えているわけでありまして、全ての国が、いわばそれぞれ工夫をしながら、何とか自分たちの教育を質を上げよう、量的にふやそう、そういう努力をしているのが現状だろうというふうに思っております。
 そういう中で、私は、特に奨学金制度の改革について、さまざまな、文部科学省の委員会、あるいは日本学生支援機構の改革にも取り組んでまいりました。そういう観点から、少し今度の新しい給付型奨学金制度を中心として意見を述べたいと思います。
 まず申し上げたいことは、この制度が非常に画期的な制度であるということであります。これは意外かと思われる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、実は給付型奨学金制度というものがないのは日本とアイスランドだけで、つい最近まで韓国もなかったんですけれども、韓国はこれが急速に近年整備されました。ということで、実質的に日本が非常に立ちおくれていたということがあります。あしたから韓国に参ってこの点を議論することになっているんですけれども、そういう意味でも日本は立ちおくれていたということが言えるかと思います。
 もう一つ強調したいのは、この給付型奨学金制度というのは、ただこの制度の改革だけではなくて、新しい所得連動型返還制度というものとセットになっているということであります。この点については比較的見落とされがちなのでありますので、この点についてきょうは少し意見を述べたいと思っております。
 給付型奨学金制度というものは、言うまでもなく、低所得層の方々に進学を促進するという役割を持っているものでありまして、これは明確な目的であります。これに対して所得連動型というものは、低所得層だけではなくて中所得層にとっても、非常に教育費の負担を軽減する、あるいは、ローン回避と呼ばれる現象を防止するという意味で、非常に重要な意味を持っております。量的にも、これは無利子奨学金全員が対象でありますので、非常に大きな制度であります。
 したがいまして、現在、二つの大きな奨学金制度の改革が進行しているということをまず申し述べたいと思います。
 なぜこうした制度の改革が必要だったかということについてでありますけれども、これまで日本は、諸外国に比べますと、やはり教育費負担が家族主義であるという傾向が非常に強かったというふうに考えられます。
 教育というのは親の責任であって、責任である以上、教育の費用も親が負担するんだという考え方でありまして、これは、公的負担主義のヨーロッパ、あるいは、個人主義的な、個人が負担するというアングロサクソン的な考え方、つまりイギリス、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカといった国と非常に対照をなしているわけであります。そういったこともありまして、こういった奨学金制度が十分に整備されてこなかったという背景があります。
 そういう中で、授業料の高騰だけが続いてまいりました。これは御存じの方も非常に多いかと思いますけれども、改めて確認しておきたいわけでありますが、そこに簡単なグラフを、見ていただければわかりますように、一九七二年に三倍に値上げされて以降、国立大学の授業料は急速な勢いで値上げを繰り返してきたわけであります。最近十年ほどは落ちついておりますけれども、これだけ急激に値上げがなされたものというのは少ないかと思います。
 これに対して諸外国の場合には、やはり授業料の高騰ということは見られるんですけれども、それに対して奨学金を整備するという、いわばセットにして改革が進められていたということが特徴なんですけれども、日本の場合は、それに対して遺憾ながら奨学金の制度改革がなされてこなかった、ほとんど七十年間同じ制度が続いてきたということに大きな問題があるというふうに考えております。
 私立大学の方も参考に挙げてあります。
 資料二ページ目にもありますが、これに対しまして日本で起こったのは有利子奨学金の爆発的な量的な拡大でありまして、そのグラフに示しましたように、有利子奨学金が創設されたのは一九八四年でありますけれども、これが一九九八年以降爆発的に拡大しまして、当時の七倍以上の規模に上っているわけであります。
 これがいろいろな問題を引き起こしている背景でありまして、最近は少し減少しておりますけれども、これは、第一種奨学金、無利子奨学金がふえているということもありますし、大学生の数自体がふえていないということ、あるいは、先ほど少し申しました、ローン回避と申しまして、奨学金を借りたくないという人たちがふえているという問題があるかというふうに思います。こういった、奨学金がふえている、制度の改革がなされないまま量的に拡大したということがこの問題の背景、制度改革が必要な大きな背景であるかと思います。
 それは、返還の負担が非常に重くなってきた、そういう中でローン回避傾向が発生しているということで、これは日本だけの現象ではありませんで、アメリカあるいはイギリスのような国でも非常にこのローン回避と言われる問題が起きております。これは、奨学金を借りて進学する、そして卒業後にそれを返すという仕組みで成り立っているわけでありますけれども、奨学金を借りないという選択をする、そのために進学を極端な場合には断念するというようなことが起きているということが問題になってきているわけであります。
 この背景にありますのは、言うまでもなく、大卒労働市場が非常に不安定になっているということ、雇用が不安定になっているということが背景にあります。大卒者の三人に一人が三年で離職するというような状況でありますので、従来のような、終身雇用制で安定した収入が得られ、返済の見込みが立っているという状況ではなくなってきている、そういうことが挙げられるわけであります。とりわけリーマン・ショック以降、社会経済的な格差が拡大しているという中で、教育の格差も拡大しております。
 その点について、きょうは所得階層間の格差だけ御紹介したいのでありますけれども、実は地域間の格差というものも非常に大きな問題でありまして、都道府県別の大学進学率は、最高の東京都と最低の鹿児島県あるいは沖縄県では四〇%の差がありまして、非常に大きな格差があります。この地域間の格差も非常に大きな問題です。
 それから、男女間についても、最近急速に女子の四年制大学進学率は伸びておりますけれども、まだ、二年制の短期大学進学率というものもありますので、その間にも格差があります。
 それから、強調しておきたいのは、こういった格差というものは単独に発生するものではなくて、地域間、男女間、所得階層間の格差というものが複合して格差を拡大しているということであります。
 この中で、奨学金に関連します所得階層別の進路だけ見ておきたいのでありますけれども、左側、図の四は二〇〇六年に行われた東京大学の調査であります。これを見ますと、私立大学進学率について、所得階層別に非常に大きな格差があるということがおわかりだと思います。これは大学進学率という形でよく資料に出されておるわけでありますけれども、ここでは国公立大学と私立大学に分けて表示してあります。
 私がむしろ注目したいのは、二〇〇六年の段階では、国公立大学進学率、図の一〇%程度のところですけれども、見にくくて恐縮でありますけれども、これは大体フラットであります。つまり、二〇〇六年段階では、国公立大学というのはどの所得階層にも比較的平等に開かれていた。これは、国公立大学のミッションが全ての国民に教養の機会を提供することでありますから、そのミッションを十分に果たしていたというふうに考えられるわけであります。
 ところが、二〇一二年にもう一つの調査を行ったところ、私立大学については同じように大きな格差があるんですが、国公立大学についても非常に大きな格差が見られるようになってきたということであります。図で見ますと余り大きな格差というふうに見られないかもしれませんが、低所得層の四百万円以下の層では七%、一千五十万円の高所得層では二一%と、三倍の格差が出ているということになります。
 こうしますと、国公立大学がそのミッションを果たせないということにもなりかねないわけでありまして、この一つの調査だけで結論を申し述べるつもりはありませんけれども、現在も引き続き同じような調査を行っていますが、もしこれが事実だとすると大きな問題であるというふうに考えるわけであります。
 こういった格差の拡大に対して、やはり奨学金制度の改革ということが不可避になってきたというのが制度の改革の背景にある問題だろうというふうに思っております。
 創設される給付型奨学金制度について若干意見を申したいと思いますが、この制度については、新聞報道等でなされておるものを拝見しますと、非常に少な過ぎるという意見が強いかというふうに思います。規模あるいは金額ともに非常に小さいということが多く意見として見られます。
 これに対して私は、規模については、住民税非課税世帯というのは一つの明確な基準でありまして、これは非常に意味があるものだというふうに思っております。したがって、規模については、現在のところは、低所得層の進学を促すという制度の趣旨から見て、もちろん将来的に規模を拡大するということは課題でありますけれども、意味があるのではないかというふうに思っております。
 それに対しまして、給付額が二万円から四万円、月額ですが、これは諸外国に比べても少な過ぎるのではないかというふうに考えております。大体、年額にしますと三十万から八十万円ぐらいが、最高額ですけれども、多いわけでありまして、それに比べると少ない。そして、低所得の人たちというのは、高校を出てすぐ働かなければいけないという条件にあるような方も多いわけでありますので、たとえ授業料が無償であっても、それだけではなかなか進学を促すという効果はありませんので、そういう意味でも金額はもう少しふやした方がよかったのではないかというのが私の意見です。
 それから、新所得連動型返還制度についてでありますが、これについては三ページ目の図をごらんください。
 比較的わかりにくい制度でありますので少し解説したいと思いますが、これは所得に応じて一定の金額を返済するという制度でありまして、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、あるいはアメリカの一部で使われている制度であります。これは、言うまでもなく所得に応じるわけでありますから、低所得の場合には返済の負担感というものが非常に小さいということが大きな特徴でありまして、返済の負担に対する保険の役割を果たすというふうに言われております。そういう意味で、ローン回避を防ぐ有効な方策であるというふうにも言われております。
 この新しくできます制度でありますけれども、大体、これは大卒者本人の所得が非課税の場合には二千円程度、月額です。所得に応じまして課税所得の九%程度を支払うということでありまして、現在、私立自宅生が奨学生では一番多いわけですが、これが月額一万四千四百円でありますけれども、それに達するのが大体年収が四百万円を超えるということでありまして、大体二十代のうちは非常に返済の負担が少なくなっているというのが大きな特徴であります。
 こういった新しい制度をつくったわけでありますけれども、これが、これからもちろん国会で議論していただくことになると思いますが、一つの問題としてありますのは、従来の制度も残したということでありまして、そのために非常に選択が難しくなっているという問題があります。従来の制度、定額返還型と所得連動型を高校生が十八歳のときに選ばなければいけないという問題が生じているわけであります。
 これに対しまして、情報の周知とかガイダンスの必要性ということを強調したいと思っておりまして、この点につきましては、新しくスカラシップアドバイザー制度というものをつくりまして、ファイナンシャルプランナーの方にお願いして、各高校に十分説明をしてもらって、それから高校から高校生に説明するというような制度をつくっていただくということになっておりますが、これをぜひ強力に推進していただきたいというふうに思っております。
 最後に、今後の課題でありますが、今回の制度は、残念ながら、私の意見では、完璧な制度というものではありません。さまざまな現実の制約の中で妥協を強いられたものであります。
 まず第一に、今回の制度というものは進学の促進ということでありますので、高校生のときに採用する制度でありまして、大学在学時についての経済的な支援ではございません。
 現在問題になっているのは、家計急変と申しまして、親がリストラになる、病気になる、あるいはお亡くなりになるというような場合に、授業料が未納で退学になってしまうというようなケースが非常にふえているわけでありますけれども、こうした点に対して、遺憾ながら、公的な奨学金制度というのが十分に整備されていない。この点についてはまだ全く未解決であります。
 それから、先ほど申しました給付型奨学金の金額が少な過ぎるという問題ですが、これは、私は段階的な金額設定ということを提案したいと思います。これは諸外国でもよく見られている方式でありまして、例えば一万円から七万円というふうにしますと、最高が七万円ということになりますので、そういう意味で、所得の低い人により手厚い制度になるということであります。
 それから、三番については言うまでもございません。
 四番も、先ほど申しましたが、こういった、現在広がっているのは、情報を持っている人、持たない人の差が非常に拡大しているという問題でありまして、特に最近は、奨学金についても、SNS等を通じて非常に誤った情報が拡散しているというような状況にあります。大学の教員でも、かなり間違った情報をSNS等で発信しております。
 こういった事態に対しまして、こういった情報ギャップというものを是正するためには、金融リテラシーのための教育というものが不可欠であるというふうに考えております。これは、現在、文部科学省によりますと、高校の家庭科が必修でありまして、そこで消費者教育、ローンの教育ということが行われるということでありますけれども、遺憾ながら、奨学金については特に触れられていません。こういったことをどこかで教えるということが非常に重要になってくるというふうに考えております。
 それから五番目に、こういった厳しい公財政の中にありましては、教育のための寄附の増加と教育費負担を再検討するということがどうしても必要になるかというふうに思っております。
 大学が独自に奨学金をつくって学生の支援に乗り出しているということが、最近非常に多く見られるようになりました。これに対しまして、寄附税制等についてもかなり緩和がなされておりますけれども、まだまだアメリカ等に比べると十分ではありませんので、こういった点、一層支援策を求めたいというふうに思っております。
 これで、象徴的なことでありますが、孫への教育資金について相続税の非課税ということが行われておりますが、これが大体現在一兆円規模ございます。非常に大きな市場規模になっているわけで、これは先ほど申しましたように、日本では教育は親の責任、家族の責任でありますから、こういったことには非常にお金を使う、孫のためにはお金を使うわけですけれども、それを公的な形で税金として取られるのは嫌だということでありますので、そういった考え方を少しずつ変えていかなければならないのではないかというふうに思っております。
 そういう意味で教育の家族主義的なものを転換していくということでありまして、これは教育を公的な負担とするということの意味を問い直すということになりまして、税金を使う以上、教育が非常に公的な意味を持っているということを大学の側も発信していかなければならないというふうに考えております。
 最後になりますが、私のセンターで卒業時に東大生の調査というものを行っておりまして、東京大学で税金で教育を受けたという意識があるかということを聞いているんですが、毎年、大体半数です。遺憾ながら半数しかそういう意識を持てないということでありまして、そういうことになりますと、社会に出てから貢献する必要もないというようなことにもなりかねませんので、税金を使っているんだという意識を持たせていくということも必要ではないかというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、新制度、これからスタートするわけでありますが、不断に手直しをしながら、さらによい制度を目指していくということが必要であるというふうに考えております。
 以上です。ありがとうございました。拍手
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浜田靖一#7
○浜田委員長 ありがとうございました。
 次に、高橋公述人、お願いいたします。
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高橋洋一#8
○高橋公述人 おはようございます。嘉悦大学の高橋洋一でございます。
 きょうは、このような意見陳述の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
 二十九年度予算に関連しまして、三つほど話題を述べたいと思っております。
 結論を先に申し上げれば、一つ目は、最近のマクロ経済学から見て、財政事情というのは統合政府、この統合政府というのは政府と中央銀行を会計的に一体と見る考え方でありますけれども、これで見るべきであるということ。二番目は、教育支出、これは未来投資として捉えるべきだ。三番目は、予算の無駄遣い批判というのがありますけれども、これに対しては天下り根絶を徹底的に行うこと。この三つが結論であります。
 それでは最初に、二ページというか、皆さんにお配りしている資料ですと最初の資料の下の方になりますか、これで財政、金融のモデルを三つほど挙げております。
 一つは、伝統的な財政政策と金融政策のモデル。二番目は、今話題になっているFTPL、財政の物価理論、フィスカル・セオリー・オブ・プライス・レベルというものです。三番目は、統合政府という話であります。
 最初に、伝統的なもの、これは多分御承知だと思いますけれども、政府というのはどこを見ていっているかというと、政府のバランスシートの右側のグロスの債務を見て、またはそのグロスの債務の対GDP比でもいいんですけれども、いずれにしてもグロスの債務を見て、増税、歳出カットで財政再建をしようと。金融政策の方は何になっているかというと、物価水準。物価水準と失業というのは、逆相関といって、フィリップス関係というんですけれども、これを前提とすれば、実は、物価とともに雇用を金融政策によって達成するというモデルであります。これは、財政政策と金融政策を分離したモデルでありまして、よく出てくる話です。
 二番目のFTPL、これは最近、シムズさん、アメリカのプリンストン大学の教授ですけれども、それを浜田先生が日本に紹介しまして、最近話題になっているものでありますね。
 このFTPLというのは、説明し出しますと難しい数式がたくさん並んでいて非常に大変だと言われるんですけれども、実は私は数学出身なので、こういう人から見たら物すごく簡単です。
 簡単に言うと、財政の予算式というのがありまして、どういうものかというと、これは予算委員会ですから皆さん御承知でしょうけれども、支出というのは税収と国債で成り立っているという、それだけです。それを言い直すと、国債というのは、実は、支出から税収を引いたものになるということですね。これは今までの話ですけれども、これを将来にわたって足し算していくとどうなるか。当然のことながら、債務残高というのは、将来の財政支出、これは先ほどの支出から税収の逆でして、税収から支出を引いたものの足し算で賄わなければならない、たったこれだけの話です。
 これの解釈の仕方として、一つの財政再建のやり方とすれば、真面目に財政再建をすると言いまして、将来の財政収支をよくする、そのために増税をする、そういう考え方があります。もう一方は、財政再建、これを真面目に言わない。真面目に言わないで、インフレによって実質的な債務残高を減らす。そういうふうな、どちらかの選択になります。シムズさんは後者の方の話をより強調しているということになります。
 ただ、財政再建を真面目にしないという話ですから、これはとてつもなく不謹慎だという議論が実はあります。学説ですから、学説というか物の考え方なので、論理的には先ほどの二つの選択肢は否定できないわけなんですけれども、最も伝統的なモデルから見れば物すごくこれは不謹慎になります。
 大体、そういう不謹慎なんて言っている人は伝統的なモデルにとらわれている人だと思いますけれども、実は、FTPLでも、その理論式をきちんと見ると、これは債務残高と書いたんですが、実は伝統的なモデルのグロスの債務残高ではないですね。グロスの債務残高というのは、皆さん御承知でしょうけれども、一千兆円という話で、GDPの二倍とかいう話になりますけれども、ここではないですね。
 ですから、それは三ページ目にちょっと書いておきましたけれども、この三ページ目、これは政府のバランスシートなんですけれども、日銀が入っていないもの、これは今でも実は財務省のホームページに出ています。でも実は、これをつくったのは、私が二十年前、財務省の役人、大蔵省の役人だったときなので、それはその後、十年間ほどお蔵入りして公表されなかったですが、小泉政権のときから公表されて、今に至っております。ですから、この数字は、そのままとってきて、それをただ丸めただけであります。
 これを見ますと、FTPLのところを忠実に考えると、実は、ネットの債務残高ですから、四百五十兆円というレベルでの話になりまして、シムズの議論もそんなに大げさな話には、極端な話にはならないというふうに思います。
 さらに、このFTPLを拡張、一般化して考えることもできます。これが実は統合政府になるんですけれども、こういうふうに拡張、一般化するというのは、数学者が最も得意だし、好きな考えなんですね。こういうふうに拡張、一般化しますと本質が見えてくる、そういう原理もあるくらいなんですけれども、それで見ます。
 FTPLでは、政府のみを考えまして、実は中央銀行を入れた予算式は考えないことが多いです。これは人によってちょっと違うんですけれども、大体は考えていないです。ただ、これは、実際の経済を考えるときにはちょっと問題が出てきます。
 というのは、これは予算委員会ですから皆さん御承知でしょうけれども、財政収入の中には税収以外もありますね。税外収入です。税外収入の多くのものというのは、実はこれは中央銀行の納付金ですね。たまたま今の制度では、中央銀行の方がいろいろと積立金を立てると納付金が減っちゃいますけれども、それを全部抜きにして考えると、それなりの納付金があります。
 これはどこの国も一緒ですね。つまり、これは通貨発行益というわけでして、実際の予算制度の中では、中央銀行の予算式は組み込まれております。この数字、毎年のはちょっと小さく見えます。例えば、数兆円のオーダーですけれども、小さく見えますけれども、このFTPLのようにずっと将来まで足し算したらどうなるかというと、すごくでっかい金額になります。ストックベースですと、やはり数百兆というオーダーになりますね。
 ですから、そういう意味で、実際の経済を考えるときには、中央銀行は実は考えざるを得ないんですね。今、毎年は少ないけれどもそれを全部足し算すると大きくなると言ったんですけれども、これは、細かい数学のテクニックは省きますけれども、実は、足し算すると通貨を発行した金額になります。それが、ですから通貨発行益というわけでして、もしそれを証明したければ、高校程度の数学の知識があれば証明もできます。
 要するに、中央銀行を含めた予算式でないと実際の分析がなかなかできないというわけになります。経済学ではここで、政府と中央銀行を会計的に合算したものを統合政府と呼びます。この考え方がありまして、もちろん、統合政府といいましても、行動として、中央銀行は政策手段の独立性はあります。普通の意味での独立性ではないんですけれども、政策手段の独立性はあります。ただ、あくまでも、法的には公的、あと会計的には子会社なので、それで合算する、連結するというので統合政府の考え方ができていて、それで分析するのが多くあります。
 この場合、財政の着目点はどこになるかというと、実は統合政府のネット債務という形になります。これは、資料の四ページ目、先ほどの政府のバランスシートの下に書きました。これを書いたのは私なんですけれども、上の政府のバランスシートから、簡単でして、中央銀行のバランスシートを足し算すれば、これはできます。
 ですから、左の方には資産と国債が載っかってきて、右の方には国債と日銀券、銀行券という形が載っかりますね。
 ちょっとここで余計な話も書いちゃったんですけれども、実は徴税権というのがあって、これは私が勝手につけたものでありまして、これはなくても別に議論は問題ないのでちょっと省いて考えますと、まあ、それを除いても、統合政府の資産というのは千三百兆円。それで、負債の方は、国債が千三百五十あって、銀行券というのがあるんですけれども、この銀行券というのは利子なし、償還負担なしですから、普通の意味での債務ではありません。これが意味しているのは、要するに、統合政府のBSを考えると、ネット債務はほぼゼロというのが現状です。このBSを見まして、財政危機と言う人はまずいないと思います。
 もっとも、こういうふうに言いますと、資産で売れないものがあるとか、いろいろな批判があります。ただ、資産で売れないものを見ても、数は、そんなに量的には大きくないんです。資産の大半というのは実は金融資産でありまして、これは後で、最後に述べます天下りに大いに関係しております。はっきり言えば、天下り先への出資金、貸付金が極めて多いというのが現状です。
 資産で売れないと言っているんですが、天下り先の政府子会社を処分しては困るという程度の話でありまして、これは官僚の泣き言という側面が大きいです。
 もし本当に政府が大変になればどうなるか。関係子会社だって売るに決まっていますし、民営化するに決まっています。これは民間会社でも同じでありまして、政府でも、例えば、本当に財政危機に陥ったギリシャなんかは猛烈な勢いで売りました。これが普通です。道路なんかは売れないというのは確かにそのとおりなんですけれども、これはどこでも一緒で、少額ですし、数字的に大きなものは天下り先への資金提供の金融資産であります。
 海外から見れば、日本政府がたっぷりと金融資産を持っていて、民営化もほとんどしないという状況を見たり、売却をしないという状況を見れば、財政破綻のはずがないと思うのが普通であります。そういう形で、もう見透かされております。
 この統合政府から見ますと、アベノミクスによる量的緩和で、実は財政再建がほぼできてしまったというのがあります。かつて、私のプリンストン大学での先生はベン・バーナンキです。バーナンキが前に言っておりましたけれども、量的緩和すればデフレから脱却できるだろう、そうでなくても財政再建はできるよというふうに言いましたけれども、まさにそのとおりになっております。消費増税しないと財政破綻して国債が暴落するなんというのは、こういうふうなバランスシートを見ている人から見れば、最も考えられない話であります。
 財政再建ができたということを、ちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、これを統合政府のBSに即して具体的に言ってみたいと思います。
 資産は九百兆あります。これは、先ほど述べたように、金融資産が大半であります。その収益というのは、ほぼ国債金利と同じです。ですが、これに相当する実は税外収入というのがあります。
 また、日銀の保有している国債、これは四百兆円ですけれども、ここは財政負担がありません。この分は、実は日銀に対して利払いはします。利払いはしますけれども、それは納付金で返ってきます。だから、その意味では財政負担がないということです。
 つまり、負債の千三百五十兆円というのがあるんですけれども、この利払い負担というのは資産側の税外収入でほぼ賄われるという形になっておりまして、この意味で、財政再建がほぼできているということになります。
 これを言いますと、これはストックの話でしょう、フローもあるでしょうという話も必ずあります。そこで、フローの話もちょっとつけ加えて、次の資料の五ページというのに書いておきました。
 フローという懸念は確かにあります。これからの話です。ただし、フローのプライマリーバランスというのは結構簡単な原理でできておりまして、一年前の名目経済成長率にほぼリンクしています。これは、日本に限らず、先進国どこでも一緒です。要するに、一年前の名目成長率を高めればおのずと回復するというレベルの話でありますから、そうしますと、これは、名目成長率を高く、つまりデフレ脱却というのを進めればいいという形になります。
 ここまで来ますと、シムズ氏のように、財政再建を無責任にしないで財政支出せよという言い方ではなくて、実は、そもそも財政再建問題がないのですから、デフレ脱却に向けて財政政策、金融政策もフル活動すればいいというふうな非常に単純な結論になります。
 シムズ氏は、実はゼロ金利では金融政策では制約もあるという言い方もするんですけれども、これも統合政府の観点から簡単に導き出されます。
 今のようなゼロ金利の世界では、中央銀行によって得られる毎年の通貨益はわずかしかない。このために、実は物価上昇の、上げる効果が弱くなります。ですから、こういうときには、公共投資及び国債を増発して財政政策で有効需要をつくるということになります。要するに、財政、金融の併用という形になりますね。
 こういうふうな話をしますと、確かにケインズの話を持ち出す人もいるんですね。ケインズの一般理論の中に、財政出動、公共投資について、穴を掘って埋めるといって、これが無駄な事業の代名詞のように実は説明されますけれども、その原文をきちんと読むとどういうふうに書いてあるかというと、貨幣を詰めた瓶を埋めて掘り返すと書いてあります。これは何を言っているか。貨幣を詰めた瓶ですから、掘り出せば金融緩和になるわけで、実は、財政、金融の一体という話をしているだけです。ですから、そういう意味で、この財政、金融の一体発動は全く古くからの話であります。
 今の金融政策、これは実は、六ページに書いてありますけれども、詳細は除きますけれども、金利管理というやり方なんですけれども、国債をある程度発行しないと、実は金融引き締めに陥ってしまうという弊害もあるということを指摘しておきたいと思います。
 次に、国債にふさわしい政策課題といえば、実は、これは次の七ページ目の話ですけれども、教育という形になろうかと思います。これは未来投資ですね。
 要するに、基礎教育とか基礎研究、教育なんかは、成果が出るまでの期間が長くて、大規模で広範囲に行う必要がありますので、そういう投資というのは公共事業が主導するべきであって、その財源は、実は税金ではなくて国債がふさわしいと思います。
 高等教育を実施すれば、実は、所得増、失業減があるので、結果として、かけた費用に対する便益が二倍以上になるという試算もあります。これは、はっきり言えば、今の公共事業選択基準を軽くクリアする話でありまして、教育とか研究開発というのは、いわば優良事業という見方もできます。ひとまず国債発行で賄って、効果の出る次の世代で返してもらうという形になります。
 そもそも、物に対する公共投資というのがあるのに、人への投資が税財源というのは、ちょっとつじつまが合わないと思います。
 実は、この話というのは、「予算と財政法」という、これは財務省の言ってみるとコンメンタールなんですけれども、そこの中にもちょっと記述があります。
 読みますと、「技術の進歩等を通じて後世代がその利益を享受でき、その意味で無形の資産と観念し得るものについては、後世代に相応の負担を求めるという観点から公債対象経費とすることについて妥当性があるものと考えられる。」と。まあ、ぐちゃぐちゃ言っていますけれども、はっきり言うと、出資金処理すれば、こういう形でやっても構わないと。過去にも、出資金処理でこういうような経費を公債対象経費としたことがあります。
 ちなみに、その下に財政法四条がありまして、ここには、公共事業と出資金、貸付金は、実は公債、建設公債から出せるという規定がありますから、今の法令のもとでやりますと、出資金にするのが一番簡単なので、そこでこういうような支出をやったこともあります。はっきり言うと、ここをちょっと改正して、教育関係にして、予算総則で教育関係費を書くのがすっきりしているのかもしれません。
 いずれにしましても、こういうのでやるという形になると、教育の無償化というのが今憲法改正でやるという議論が出てきたのは、非常に実はこの議論を加速する面で望ましいと思います。憲法で言うことになれば、時の政権や法律改正という話ではなくて、国の基本になりますので、その方が確実だと思います。
 最後に、天下りの話。ここはよく触れておきたいと思います。九ページであります。
 先ほど政府BSで述べましたように、資産の大半というのは天下り先への出資金、貸付金で、それだけ多くのストックがあるということは、毎年の予算でも財政支出があるということであります。
 私は、かつて第一次安倍政権のときの内閣参事官で、この天下り規制を企画した担当者です。そのときに、天下り規制というか再就職規制をつくったのは、余りに予算とかがひどく扱われているんじゃないのという話と、役所の人事の方がかかわってこういうふうなものが横行していたからであります。
 天下りというと、不適切な再就職というふうに定義しておきます。適切な再就職もあるわけでありまして、ちなみに私は適切な再就職をしたつもりです。ポイントは、役所があっせんを尽力することです。要するに、役所の力をかりて就職せずに独力で一人でやれば、これは適切な再就職になっております。
 こういうふうな役所人事、退職人事は、一定の管理職であれば経験をしております。私も、公務員だったときに管理職だったので、退職時には経験しました。結構きついですね。ただし、そこまでいかない人でも、天下り先の予算、手心を加えた予算をつける作業とか、それから監督権限で、多少手かげんした処分をした経験のある人はいるでしょう。こういうのが、ちょっとゆがめていると思います。
 再就職のポイントというのは、要するに、自分の関係先への求職はだめ、それと、あと、役所の人事のあっせんはだめというその二つになります。要するに独力でやれということであります。
 先日、全府省の調査というのが私のところに来ました。そこでは、再就職の経緯について細かく書くということですけれども、こういうふうな全数調査を行うのであれば、恒常的に調査機関をつくった方が簡単ですね。はっきり言えば、ちょっと人事をやっている人から見たら、この再就職に役所の関与があったかどうかなんというのは、かなり簡単にわかります。
 ちなみに、後発で再就職規制を実施した大阪府市では、第三者の手もかりながら、このような全数調査をしておりまして、それがかなりの牽制効果があっていると私は聞いております。
 また、役所の関連団体が人材を募集するとき、いきなり役所の人事課に話しにすぐ来るんじゃなくて、ハローワークを使ってやるというのがはるかにいいですね。要するに、ハローワークを使います、そうしますと、民間から求人がたくさん来ますよ、あんないいポストですからというので。そうしますと、少なくとも選考するときに民間と全く同一になりますから、手続がかなり透明化されると思います。
 さらに、制度的な改正というのもあります。
 今の再就職規制の抜け穴というと、官僚OBのあっせんというのは実は網がかかっていないです。官僚OBについては、何かの行為をしたらいけないというのは書いてあるんですけれども、人事課にかわってあっせんするのはかからないんですね。実際、そういうふうな事例を私も見聞きしました。
 あと、今の再就職規制違反というのは刑事罰はかかっていません。このようなのは実は検討した方がいいと思いますね。
 以上、三点でありまして、統合政府で財政は見るべきということ、教育というのは未来投資として考えるべきということ、それとあと、天下り根絶の実効性をさらに上げて、予算に対する批判がなくなってもらいたいと思っております。
 この三点を強調して、終わります。
 どうも御清聴ありがとうございました。拍手
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浜田靖一#9
○浜田委員長 ありがとうございました。
    —————————————
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浜田靖一#10
○浜田委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。門博文君。
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門博文#11
○門委員 自由民主党の門博文でございます。
 きょうは、朝から公述人の皆様、公聴会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 私も、今、それぞれ四名の方々からお話を聞かせていただいて、それぞれの分野でそれぞれの御見識を聞かせていただきまして、大変勉強になりました。
 まず最初に、経済の問題について、熊谷公述人と高橋公述人にお話を伺えたらと思うんですけれども、まず、熊谷先生の方のお話にありましたように、アメリカの新政権のお話がありました。
 アメリカという国は、誰もが御存じのとおり、自由を謳歌して、自由の国ということでもありましたし、そして経済的にも、自由主義、自由貿易というものを標榜して、今まで世界の経済の先頭を走ってきました。私たち日本も、日米同盟を基軸にして、安全保障であり経済政策についても、アメリカに追随をして今まで進んできたところが多かったと思います。
 また、これは日本にはまだそういう観点は出ていないのかもわかりませんけれども、トランプ新政権の中で私が一つ注目したいのは、移民に対するさまざまな考え方。
 そもそも、アメリカは移民によって成立した国でありますし、過去、ここまで来るところの成長の過程の中で、移民の力に頼って成長を維持してきた、そんな背景もあったかと思います。しかし、その国が、新しいリーダーの誕生のもとに、また移民政策についても大きな転換を図ろうということを今考えておるところであります。
 そういった中で、自由貿易、自由主義から保護貿易、保護主義へ移ろうとしている新政権。そしてまた、移民の問題も今申し上げたとおりですけれども、日本は今まで、そういうアメリカの行き方を参考にして、日本の行き方もそれになぞらえてやってきた部分が多かったと思います。
 ただ、別の見方を私はいつもするんですけれども、今、日本にも海外から二千万人を超える観光客が訪れる、かつて今までの日本になかったような状態が起こったり、それから労働市場も、先般、厚労省からの発表にありましたように、いよいよ、日本で働いている外国人の方々は、いろいろな種別も含めて百万人も超えた。
 そしてまた、今度は、TPPはちょっと今いろいろなことがあれですけれども、その議論の中であったように、例えば、農作物を海外にどんどん輸出していこうという考え方があって、今まで日本というのは、鎖国が解けていた、開国されていたと思っていた部分の中で、まだまだ日本だけで抱え込んでいたようなことがあったと思うんですけれども、それがどんどんどんどん開けていこうとしたところで、さっき申し上げたように、トランプ政権が突然誕生して、何でも自由、何でも競争、何でもオープンにとやっていたのが、追いかけていた向こうがくるっとこっちを回って、保護主義、守りに転換したような気がするんです。
 こういう背景の中で、これから日本がとっていく政策として、短期的に、そして長期的に見て、何か熊谷公述人からヒントというかお考えを聞かせていただけたらと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
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熊谷亮丸#12
○熊谷公述人 御質問ありがとうございます。
 日本がどういう方向に行くかということでいえば、もともと資源もない国であるし、それからやはり少子高齢化などが進展しているということもあるわけですから、やはり海外の成長の果実を日本に取り込んでいく、とりわけやはりこれから伸びていくのはアジアということですから、ここをしっかりと日本の成長の糧にしていくということ、これが非常に重要なポイントなんじゃないかと考えます。
 ちょっと一つデータを御説明させていただきたいのが、私の資料の四十九ページでございますけれども、例えば、これは、アメリカで二百万人から三百万人の移民の強制送還を行う、こういう話がありますが、ここで移民の強制送還などをやるとどれぐらいアメリカの潜在成長率、実力の成長率が下がるか、そういうシミュレーションでございます。
 横軸の方で、左にマイナス二百、これは二百万人、不法移民を強制送還すると、そのずっと下のところを見ていただいて、縦軸が、設備がどれぐらいふえるかですが、ゼロというところでいうと、アメリカの潜在成長率は〇・七%ぐらい落ちる。もしくは、三百万人強制送還するのであれば一・一%ぐらい落ちるということですから、やはり、今、アメリカは移民で成り立っている。人口のうち一四%程度が移民であって、人口がふえているうち四割以上が移民だということでございますので、これを閉ざしたときの悪影響。
 もしくは、保護貿易主義をとれば、アメリカは年間で二・二兆ドルの輸入をしている。二百五十兆円程度、世界の物を買って、そのことで世界が成り立っているわけですから、やはり、アメリカの方向性とは逆で、国を開き、とりわけ自由貿易などを推進していくということが日本にとっては非常に重要なんじゃないかと思います。
 ありがとうございます。
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門博文#13
○門委員 ありがとうございました。
 続いて、高橋公述人にお願いしたいんですけれども、さっき資料で統合政府のバランスシートを拝見しまして、なるほど、こういうふうにちゃんと見立てをすれば日本もそんなに心配じゃないんだなということがよくわかりました。
 その上で、やはり金融政策と財政政策一体になってやっていかなきゃいけないということで、今のお話の中では、我々、財政政策とか財政出動というと、とかく公共事業とかというところにまず目が行きがちなんですけれども、それはそれとして、今御指摘いただいたように、教育とか研究とかいうところにも、その投資先ということで御提案をいただいたというふうに思います。
 確かに、私たちも地域でいろいろな方々からお話を聞いていますと、要するにアベノミクスがまだ地域の隅々まで届いていないというようなお話をされて、確かにそう感じる部分もなきにしもあらずなんですけれども、そのとき本当によく思うのは、金融政策は積極的に今までやってきたんだと思います。ところが、やはり財政政策については、財政規律の問題があったり、いろいろな手かせ足かせがあって、まだまだ、せっかく水を沸騰させてお湯にしようとしているんですけれども、六十度とか七十度ぐらいのところでちまちまちまちまやっているような気がするんです。
 私もやはり財政政策を積極的にこれからやっていかなきゃいけないというふうに思っておりまして、そのあたり、今お話しをいただいた時間も足りなかったのかもわからないので、もうちょっと補足でお話を聞かせていただけたらと思います。
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高橋洋一#14
○高橋公述人 時間でしゃべったんですけれども、いろいろな支出というときに、消費性のものと投資的なものがあるんですね。
 投資的なものというのはどこでも別に、ちゃんと投資の効率というか、BバイCとか、そういうようないろいろな採択基準を持って、それでクリアすれば、実は幾らやっても構わないというのが原則です。ですから、全く無駄な話ということになりますと、その採択基準が要するにひどいということですね。投資しても全然効果がないというのはだめなわけです。
 それで、物への投資ですと、物的な投資なのでかなりわかりやすく、BバイCとか、そういうのがあるわけですけれども、実はそれは無形固定資産で全く同じにできるんですよね。だから、無形固定資産でも同じような基準でちゃんと投資効率のあるものがいい。
 それで、これを経理するとどうなるかというと、無形資産ですから、今までの会計はちょっと変えないといけないんですけれども、ただ、物的なものについては公債対象経費になっていて無形はならないというのは全くロジカルじゃないと私は思っているんですよね。ですから、無形資産の形成になるような投資であって、かつ、今の物的投資と同じレベルの投資採択基準があれば、私は可能だと思います。
 そういうものというのはすごく多いと思うんですけれども、今までは、それは形式的に、無形固定資産ですから公債対象経費じゃないですよというんですね。そういう形でいいますと、ほかの税財源からこの支出をカットしなさいとか振りかえなさい、そういう話になるんですね。もちろんそれも無駄カットの中でできる範囲はありますけれども、そういう範囲で考えるのか、無形固定資産として投資採択基準を満たせばそれを全ていいと思うかで大分違うと思うんですよね。
 これからは無形固定資産にやはり投資すべきだと思うし、GDPなんかも、最近、無形固定資産の研究開発とか、そういうのをカウントするという話になっていますよね。そうしますと、それに資するような話というのは、以前よりかは実はかなり計測可能だと思うんですよね。ですから、そういう形で、無形固定資産に対する投資というのをちゃんとした採択基準のもとでやるということでぜひ政策をやっていただいたらいいのかなと思っております。
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門博文#15
○門委員 ありがとうございました。
 本当に、おっしゃるように未来への投資ということで、全部が全部成功することではない部分もあると思いますけれども、やはりそこに積極的に投資をしていくべきだと私も感じます。
 次に、そうしたら小林公述人にお話を聞かせていただきたいんです。
 きょうお話しいただいた御専門の部分とちょっと外れるかもわからないんですけれども、きょうのお話は大学進学のときの奨学金制度についてでしたけれども、私たちも地元でいろいろお話を聞いている中で、大学へ行くまでのところ、ここでもう家庭の所得の格差があって、結局、大学受験にさえたどり着けていない、そういう学力の格差というのが広がっている。
 大学受験するときの一つの仕組みとして今回の奨学金制度というのがこれから有効に活用されると思うんですけれども、そこへ行く手前のところの今の教育の経済的な格差の部分で、何かちょっと御意見を賜れたらと思うんです。
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小林雅之#16
○小林公述人 御質問ありがとうございました。
 確かに進学の問題で一番大きいのは学力問題でありまして、次に教育費の負担というのが順番であります。
 ただ、学力の格差というものは非常に簡単に解決するのが難しい、そこに行くまでに、就学前あるいは初等中等教育という形でさまざまな格差が拡大しているというのが現状でありまして、それを直すのは非常に難しい。
 ただ、そういう中で、一定の学力がありながら経済的な理由だけで進学できない方がいるということも事実でありまして、政策の順序といたしまして、まずそちらの方を優先して、とにかく経済的な理由だけで進学できない方を救うというのが今回の給付型奨学金の制度だというふうに考えております。
 政策の優先順位の問題というふうに考えております。
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門博文#17
○門委員 ありがとうございました。
 そういう優先順位ということなので、続けて我々もまた、今こちらから発言したようなテーマについても取り組んでいきたいと思います。
 そうしたら、最後に今井公述人にお伺いしたいんです。
 最後の方のお話にありましたように、PKO以外にも日本がやれることがあるということで、もちろん我々も、国際貢献、そして国際社会の中で日本がどうあるべきかという一環の中で、今回このPKO活動、自衛隊の方々に行っていただいているんですけれども。
 今現地がどういう状況かというのは先ほどのお話でよくわかった部分もあるんですけれども、改めて、そうしたら、PKO五原則が満たされていない、これは公述人が判断されるんじゃなくて政府が今度判断するわけですけれども、そういうときに、もし万が一撤退ということが仮に起こったとしたら、最後の方でおっしゃっていたように、では日本は何をしたらいいのか。もちろん、近隣諸国との間に入っていろいろな和平交渉というお話もありましたけれども、それはある面、現実的である面もあると思いますし、現実的にならない部分もあって、私でもきょう何かできるかと聞いたときに、何ができるか、最後に教えていただけたらありがたいんですけれども、国際貢献という意味でスーダンに。
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今井高樹#18
○今井公述人 御質問ありがとうございます。
 具体的にできること、確かに、外交面でのかかわりというのは非常に難しいというのは理解できますけれども、私は、一つは余りにも日本はそういったことに関しては及び腰かなと思います。率直に申し上げまして、私も海外に駐在しておりまして、大使館の方ですとかと話す機会は多いんですけれども、ちょっと日本は余りそういうことにはかかわらないといったような立場も見受けられますので。
 日本に対する期待といいますか印象、さっき、周辺諸国どこも良好な関係と申し上げましたけれども、あるいは、キール政権側もあるいは反政府の人たちも、日本に対しては欧米とはまた違った、あるいは中国とかロシアとは違った意味で、より中立的であるといったようないい意味での印象を持っていますので、そういったところを利用していろいろなことができる、さっき非公式な折衝とか言いましたけれども。
 そういう意味では、国会議員の皆さんは、ぜひそういった意味で、皆さん、議員さんとして議員外交というのもあるのかもしれませんし、今の政府に対してそういった提案をしていただきたいというふうに思っております。
 PKOについては、さっきも申し上げましたとおり、自衛隊ではなくてPKOの文民部門というのがありますので、これも皆さんもうよくわかっていらっしゃるとおり、今、いわゆる先進国の多くの国は、PKF、軍ではなくて文民部門に要員を派遣したりしていますので、そういったところにはもっともっとできるのではないかと思っております。
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門博文#19
○門委員 私の方からの質問は終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
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浜田靖一#20
○浜田委員長 次に、富田茂之君。
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富田茂之#21
○富田委員 公明党の富田茂之でございます。
 四人の公述人の先生方、大変貴重な御意見、ありがとうございました。六年ぶりに予算委員会の席に座って、本当に勉強になりました。ありがとうございます。
 私の方からは、特に小林先生に、給付型奨学金の制度設計について、教育再生実行会議の専門家会議とか、私ども公明党の給付型奨学金推進プロジェクトチームにも来ていただきまして御講演をいただきまして、大変参考になりましたので、その点も含めて、きょうの御意見を踏まえた上で、何点か確認をさせていただきたいというふうに思います。
 先生は、制度設計に当たって、公明新聞の方でインタビューをさせていただいたときに、こんなふうに言われておりました。
 経済的理由で進学が難しい子供の背中を押せる制度かどうか、これが一番ポイントだ、進学先の少ない地方に住む低所得世帯の子供をどう支援するかが議論の一つの出発点になる、そうした子供たちは、自宅から通えず進学費用がかさむ上に、学習環境が不十分で、学力が低いことも多い、成績要件を高くしてしまうと進学が難しい、一方、大学側が単位認定を厳格化している中で、卒業できることも必要である、無条件で成績要件を外すことは疑問だというふうに御提言をしてくださいました。
 先生のこの提言を踏まえて、私ども公明党も、また自民党の皆さんと一緒に何度も協議を重ねて今回の制度設計をした上で、二十九年度予算案、また独立行政法人日本学生支援機構法の一部を改正する法律案という形でこの国会に提出をさせていただきました。
 一七年度は約二千八百人の枠で、本格実施となる一八年度からは約二万人規模で実施をされます。先ほど先生からもありましたけれども、住民税非課税世帯から大学や専門学校などへの進学者のうち、高校など学校の推薦を受けた人に毎月二万から四万円が支給されます。また、公明党の提案で、児童養護施設出身者などには入学時に二十四万円が追加支給されることとなりました。
 また、一七年度からは、無利子奨学金の貸与人数が拡大します。住民税非課税世帯を対象に成績要件が実質的に撤廃され、要件を満たしていても予算の関係で借りられないいわゆる残存適格者、二・四万人いらっしゃいますが、この方たちも解消されます。
 先ほど先生から詳しく説明していただきました、卒業後の所得に応じて奨学金の返還額を変える新所得連動返還型奨学金も、一七年度から導入されることになります。
 この給付型奨学金の導入、無利子奨学金における低所得世帯の成績要件の事実上撤廃、そして新所得連動返還型の導入、私はこの三点がセットになっていると思うんです。先生は二つが画期的な制度だというふうに先ほど御紹介していただきましたけれども、この三点のセットの評価。
 そしてまた、先ほど先生の方からもお話がありましたが、規模が小さいという批判が結構あります。ただ、二〇一二年度の学校基本調査等によれば、経済的理由で四年制大学へ進学できなかった者は一・九万人という数字が出ています。先生の大学の方でもこういう調査をされたというふうに伺っております。
 今回の制度設計は、私どもは十分進学の後押しになるというふうに考えているんですが、この点、先生の御意見はいかがでしょうか。
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小林雅之#22
○小林公述人 御質問ありがとうございます。
 まず、最初の学力要件の問題です。
 十分に御質問を理解できているかどうかわかりませんけれども、これは学力要件を片方で残すということについてなんです。これは私個人的な意見に近いんですけれども、一つは、学力要件を残すということによって、単なる福祉政策ではなくて、奨学金をもらうことが誇りになる、そういうような性格を持たせたいと思っております。
 先ほども申し上げましたが、十分説明できなかったかと思いますけれども、将来の社会貢献をそれによってしていただく。そういった奨学金をもらうことが誇りになって、将来の社会貢献をしていただくということのためにも、学力要件を給付型奨学金については残したいというふうに考えております。ただ、現実の問題といたしましては、一律の数値だけを当てはめるということは非常に危険なことでありますので、高校長の推薦という形にまとめさせていただいたというのが文部科学省のPTの結論であります。
 片方で、それと矛盾するようなことで、成績要件を外すということがあるわけであります。これは無利子奨学金のことでありますけれども、これにつきましては、逆に、全ての者に教育の機会を与える、そういう目的からしますと、とにかくチャンスを与えるということが重要でありますから、進学できるということによってある程度の学力要件は担保できているというふうに考えますので、そのことによって十分な、特に所得の低い、経済的な要件だけで進学できない子供たちにチャンスを与えるということで、そういった要件を外すということは非常に意味があるというふうに思っております。
 ですから、矛盾するようですけれども、この二つは目的が異なるので、両立するのではないかというふうに私は考えております。
 以上です。
    〔委員長退席、武藤(容)委員長代理着席〕
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富田茂之#23
○富田委員 小林先生にもう何点か質問したいんです。
 先ほど、二万円から四万円は欧米に比べて額が少ないというお話がありました。私どもも、大学や学生へ直接いろいろヒアリングいたしまして、私立の大学生は年間百二十万ぐらいかかる、その半分ぐらいの額が給付型で支給されない限り、給付型を借りようというインセンティブにはならないというようなお話が大分ありました。
 そういったことで、できれば月額五万円ということで自民党の皆さんと調整させていただいたんですが、なかなか財源の制限もございますので、できませんでした。
 そこで、社会的養護を必要とする学生には増額すべきではないかということを、公明党から自民党に提案させていただきまして、自民党の皆さんと一緒に総理にも申し入れをさせていただきました。
 社会的養護を必要とする児童養護施設の出身者の学生さんは、大学入学とともに自立する必要があります。生活の基盤をすぐそこでつくらなきゃならない。そして、ほかの学生さんと違って、なかなか御家族からの援助は困難な状況にあります。児童養護施設出身のお子さんの進学率が、二十六年四月の厚生労働省の調査で二二・六%、全世帯の大学の現役進学率は、平成二十七年度の学校基本調査によると七三・二%と、はるかに、先ほど先生言われたように、格差が生じているのは明らかであります。
 そういった意味で、何とかこの子たちに援助ができないかということで協議をさせていただいて、文科省の方でもいろいろ調べていただきました。児童養護施設出身者の方の進学先が短期大学や専門学校にかなり偏っているということで、ここは二年間ですので、一般の学生さんに月一万円プラスしたとすると二十四万円になる、この二十四万円を入学時に渡すことによって進学の後押しができないかということで、自民党の皆さんの了解もいただいて、文科省と協議して、社会的養護を必要とする学生への追加給付ということが決まりました。こういったことについての評価をまずお聞きしたい。
 もう一点、財源をどうするかというのが大変問題でした。財源なしに、できるだけ多くの方に給付できればいいんですけれども、そうもいきませんので、私どもは、平成十六年度採用者から廃止になっている教員・研究職特別返還免除制度に目をつけまして、これが平成三十二年度以降毎年必要額が減少していって、百五十億とか百七十億ぐらい枠が余ってくるんですね。ここを何とか使えないかということで財務省とも調整しまして、最終的に、この枠に加えて、奨学金事業の見直し、そして全予算の中で既定経費を見直して、平年度ベースで二百二十億円を何とか確保することができて今回の給付型が始まるんですが、先ほど先生言われていた、やはりそれだけでは足りない。
 今回の仕組みの中で、日本学生支援機構法の改正案の第二十三条の二第一項に学資支給基金という新たな基金を設けて、この基金に充てることを条件として政府以外の者から出捐することが可能な仕組みをつくらせていただきました。これは公明党から、やはり安定した資金が必要なんじゃないかということで提案させていただいて、こういう仕組みをつくったんですが、この基金のあり方というか、今後どういうふうに活用していったらいいか、この二点について御意見を伺えればと思います。
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小林雅之#24
○小林公述人 御質問ありがとうございます。
 初めに、社会的弱者、とりわけ養護施設退所者についてでありますが、これは今、富田先生御指摘のように、非常に厳しい状況に置かれておりますので、なかなか進学がおぼつかない。ただし、私たちもいろいろな調査をしておりまして、その中で、こういった方の中で、非常に立派な成績を上げて大学に進学されているという方もいらっしゃるということも十分存じ上げておりますので、こういった方のまさしく背中を押したいというふうに考えております。
 その方にとっては、入学金というのは非常に大きな制約になっているということも事実でありまして、これはなかなか知られていないことなんですけれども、日本では、大学のときに入学金というのを三十万円程度払わなければいけないわけで、これが実は進学の大きな制約になっております。これは世界的に見ても珍しい制度でありまして、これだけ高い入学金を取っている国はほかにないわけであります。ですから、この障害を除くということで、非常に意味がある制度であるというふうに考えております。
 もう一つ、その財源論についての御質問なんですけれども、これは先ほど少し申し上げましたけれども、私は、自分の子供や孫の教育のためにお金を出すというだけではなくて、やはり社会全体で少しお金を出していくような仕組みをつくることが重要ではないかというふうに思っておりまして、そういう意味では、基金という形で寄附を募っていくというのは非常に一つのやり方として有効であるというふうに考えておりますけれども、より本質的には、やはり相続税なりをもう少しきちんとしていくということも必要ではないかというふうに考えております。
 以上です。
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富田茂之#25
○富田委員 高橋公述人にお伺いしたいんですが、先ほど、教育は未来への投資だということでお話をされていました。固定資産についてBバイCのような基準がきちんとあるのであれば、無形資産についても同じように考えられるのではないか。そのとおりだと思うんですが、やはり財政法四条をどう乗り越えるかだと思うんですね、先ほど門先生の質問に答えられていましたけれども。
 実は、この予算委員会でも、麻生財務大臣は、それは子供に借金を残すことになるじゃないかということで、教育国債については余り肯定的な御意見ではありませんでした。高橋公述人は財務省出身ですので、そこらあたりは御意見が違うんだと思うんですが、未来への投資ということで、この財政法四条の規定をどう乗り越えたらいいのか。先ほど、出資金というお話もありました。公債の中に入ってもいいんじゃないかという御意見もありました。何か具体的に、財政法四条の壁を乗り越えるような案がありますでしょうか。
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高橋洋一#26
○高橋公述人 案はたくさんあるんですけれども、一番単刀直入に言えば、財政法四条を改正すれば簡単ですね。公共事業関係費の次に教育関係費として、その細目については予算総則に書けば一番簡単でありますね。それでなければ、さっき言ったように出資金処理をして、それでやるというのが一つのパターンですね。
 もう一個、財源を探せと言われたら、結構簡単な話なんですけれども、私、先ほど、統合政府で通貨発行益を利用すると言いましたよね。これは結構簡単に利用できるのがあって、例えば、通貨発行益を妨げているというのは、日本銀行の方で先に使っちゃって政府への税外収入が少なくなっている要因で、一番簡単なのは、実は日銀当座預金への付利、利子をつけていることですが、〇・一%つけているんですけれども、大体、当座預金に利子がつくというのは民間でありますかという議論ですね。
 民間金融機関は、そもそも、普通の企業から当座預金を受けていますけれども、これは無利子ですよね。その無利子のお金をそのまま日銀に持っていって〇・一%さやがとれるというのはとんでもない話でして、これが日銀当座預金の中で二百兆円ほどあるんですけれども、そこに〇・一%くっついていますから、これだけで二千億円ほど実は税外収入が減っています。だから、この〇・一%を〇・〇五%にすれば、一千億円ほどの財源は簡単に出てきますね。
 ですから、こういうふうな話というのは、もうちょっと、本来であれば予算委員会で議論すべきだと思いますけれども、この話というのは結構簡単に、通貨発行益という税外収入を何に使うかという話を議論すれば、全く正当化できる理論でありますね。
 ですから、こんな財源がごろごろしているのにと私なんかは思いますけれども、そういう中で、百億円が大変だとかいう話を聞くと、皆さん大変なんだろうなと思って、思わず、ううんとうなってしまったんですけれども、もし簡単に財源をひねり出せと言ったら、この程度のことは実はあっという間にできると思います。
    〔武藤(容)委員長代理退席、委員長着席〕
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富田茂之#27
○富田委員 最後に熊谷公述人に。
 資料をずっと見ていましたら、二十四ページのポンチ絵の一番最後に、教育費等の支援としっかり書かれていました。今の小林先生、そして高橋先生のお話を聞かれた上で、熊谷公述人が考える教育への投資というのはどんなところを考えていらっしゃるのか、最後にお聞かせ願えればと思います。
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浜田靖一#28
○浜田委員長 熊谷公述人、時間が来ておりますので、よろしくお願いいたします。済みません。
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熊谷亮丸#29
○熊谷公述人 はい。
 やはり今、先ほど来議論が出ているように、教育については機会の平等というのが非常に重要なことだと思いますから、そこの部分がまず一番重要なことになってくる。実際、教育によってかなり労働生産性が上がるということもあるわけですし、諸外国と比べると、日本は、例えば社内の教育投資などが大分減って、そのことが労働生産性を下げているわけですから、そのあたりを含めて、学校教育、さらには現場での教育などをしっかりとやることが必要じゃないかと思います。
 ありがとうございます。
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