国際経済・外交に関する調査会
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会
会議録情報#0
平成三十年四月十一日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
二月二十二日
辞任 補欠選任
徳茂 雅之君 尾辻 秀久君
四月十日
辞任 補欠選任
杉尾 秀哉君 古賀 之士君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 鴻池 祥肇君
理 事
三木 亨君
宮本 周司君
吉川ゆうみ君
大島九州男君
佐々木さやか君
武田 良介君
石井 苗子君
委 員
猪口 邦子君
今井絵理子君
小野田紀美君
尾辻 秀久君
大野 泰正君
酒井 庸行君
藤川 政人君
宮島 喜文君
小林 正夫君
古賀 之士君
鉢呂 吉雄君
熊野 正士君
里見 隆治君
木戸口英司君
江崎 孝君
伊波 洋一君
事務局側
第一特別調査室
長 松井 一彦君
参考人
東京理科大学教
授 大庭 三枝君
千葉大学大学院
社会科学研究院
教授 石戸 光君
政策研究大学院
大学研究科長・
教授 増山 幹高君
─────────────
本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
(「アジア太平洋における平和の実現、地域協
力及び日本外交の在り方」のうち、信頼醸成と
永続的平和の実現に向けた取組と課題(多国間
協力枠組みの在り方等)について)
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この発言だけを見る →午後一時開会
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委員の異動
二月二十二日
辞任 補欠選任
徳茂 雅之君 尾辻 秀久君
四月十日
辞任 補欠選任
杉尾 秀哉君 古賀 之士君
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出席者は左のとおり。
会 長 鴻池 祥肇君
理 事
三木 亨君
宮本 周司君
吉川ゆうみ君
大島九州男君
佐々木さやか君
武田 良介君
石井 苗子君
委 員
猪口 邦子君
今井絵理子君
小野田紀美君
尾辻 秀久君
大野 泰正君
酒井 庸行君
藤川 政人君
宮島 喜文君
小林 正夫君
古賀 之士君
鉢呂 吉雄君
熊野 正士君
里見 隆治君
木戸口英司君
江崎 孝君
伊波 洋一君
事務局側
第一特別調査室
長 松井 一彦君
参考人
東京理科大学教
授 大庭 三枝君
千葉大学大学院
社会科学研究院
教授 石戸 光君
政策研究大学院
大学研究科長・
教授 増山 幹高君
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本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
(「アジア太平洋における平和の実現、地域協
力及び日本外交の在り方」のうち、信頼醸成と
永続的平和の実現に向けた取組と課題(多国間
協力枠組みの在り方等)について)
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鴻
鴻池祥肇#1
○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、徳茂雅之君及び杉尾秀哉君が委員を辞任され、その補欠として尾辻秀久君及び古賀之士君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、徳茂雅之君及び杉尾秀哉君が委員を辞任され、その補欠として尾辻秀久君及び古賀之士君が選任されました。
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鴻
鴻池祥肇#2
○会長(鴻池祥肇君) 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
本日は、「アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方」のうち、「信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題」に関し、「多国間協力枠組みの在り方等」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
本日は、東京理科大学教授大庭三枝参考人、千葉大学大学院社会科学研究院教授石戸光参考人及び政策研究大学院大学研究科長・教授増山幹高参考人に御出席をいただいております。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
先生方には、御多忙のところ本調査会に御出席をいただき、誠にありがとうございました。
先生方から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申します。
本日は、まず、各参考人からお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行います。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず大庭参考人からお願いを申し上げます。大庭参考人。
この発言だけを見る →本日は、「アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方」のうち、「信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題」に関し、「多国間協力枠組みの在り方等」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
本日は、東京理科大学教授大庭三枝参考人、千葉大学大学院社会科学研究院教授石戸光参考人及び政策研究大学院大学研究科長・教授増山幹高参考人に御出席をいただいております。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
先生方には、御多忙のところ本調査会に御出席をいただき、誠にありがとうございました。
先生方から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申します。
本日は、まず、各参考人からお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行います。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず大庭参考人からお願いを申し上げます。大庭参考人。
大
大庭三枝#3
○参考人(大庭三枝君) 本日は、参議院国際経済・外交に関する調査会で意見陳述をする機会を設けていただきまして、このような場にお招きいただき、本当に光栄に存じます。
私は国際関係論を専攻にしておりますが、中でも、アジアの地域主義やアジアの地域制度の形成、それとアジアにおける国際関係、国際政治経済との関係をずっと研究してまいりました。
今日は、その観点から、今日のテーマである信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題、これはこのアジア太平洋地域においてどのように永続的な平和と信頼醸成を実現させるかということだと思いますが、それについての私の意見というものをここでお話しさせていただきたいと思います。少し病み上がりで声が少し通らないときがあるかもしれませんけれども、どうぞ御容赦ください。
アジアにおいて地域制度あるいは地域主義といったものが果たしてあるのかという質問が以前はよく言われました。というのは、ヨーロッパにおけるEUやNATOといったものに比べて、アジアは地域制度が手薄であったということは過去にございました。特に冷戦時代において、今でも存続していて冷戦時代に設立された地域制度というもので代表的なものは、恐らくASEANと、それから、そのちょっと前に設立されたアジア開銀、アジア開発銀行、そして、冷戦が終わる直前というか、冷戦がちょうど終わる過程の、これはまあ偶然なんですけど、一九八九年の十一月に設立されたAPEC、この三つは冷戦時代に設立されて今でもアジアの状況に非常に大きな影響を与えている地域制度なんですが、それ以外は見られなかったわけです。
ところが、今はアジアにおいては実は数としてはわさわさいろんな地域制度がありまして、今日これを説明することが目的ではないんですけれども、どれだけのものがあるかということについて、今日お配りしたこちらの、皆様にはこのような形で資料になっておりますけれども、これはパワーポイントの資料なんですけれども、これをめくっていただいて、そのめくっていただいた次に表があると思うんですけど、ASEANから一番下のアジア協力対話というもの、これは聞いたことがほとんどない方が多いかもしれませんけれども、二〇〇〇年代初めに当時のタイのタクシン首相が主導してつくった枠組みで、今でもまだ閣僚級の会議を繰り返し開いていて、首脳級の会議もたまに開くといった枠組みもございます。
このようにたくさんいろいろ制度ができていまして、これらは主に冷戦が終結した後に積み重なるように様々な形で制度が形成されました。
さらに、めくっていただくと、この主なものについては輪っかのようになっていて、これも今日は詳しく説明するつもりはありません。これだけ今、恐らく多少整理も必要ではないかと思われるぐらいに、アジアにおいては、多国間で共通の地域の問題を協議する、あるいは意見交換する、地域協力を進めるといった枠組みが乱立している状況があるということです。
我が国にとっても、そして地域にとっても、この中でも非常に重要な枠組みであったのが、次にめくっていただいて、その次の次になります、図二というところにありますASEANを中心とする地域アーキテクチャーというものです。これはASEANを中心とする地域制度と言ってもいいんですが、各様々なASEANやASEAN関連の文書の中ではアーキテクチャーという言葉を使っているので、そのままの形、言葉を使わせていただいていますけれども、ASEANを中心とする地域アーキテクチャーというものが地域の中で非常に注目をされて、地域諸国が集まって協力をしたりあるいは意見交換をしたりする場として注目をされてきましたし、そしてこの地域の安定化に一定の寄与をしてきたということです。
ASEANを中心とするといったところで非常に奇異に感じるわけですが、なぜASEANが中心なのかということですね。これに関しまして、ちょっと後でお話ししますが、取りあえずこの図を基にASEANを中心とする地域アーキテクチャーってどういうものかということをちょっと説明しますと、これは私が事前に参考資料として皆様にお配りしている「「ASEAN+」が担う対立緩和のメカニズム」というところにどういう形で形成されてきたのかということは詳しく書いてはあるんですが、取りあえずこの図を基に少し説明します。
まず、ASEANが中心にあります。ASEANは一九六七年に当時の東南アジアの五か国のみで形成された組織です。この五か国は非常にいろいろな意味でばらばらで、しかも六〇年代は紛争が絶えなくて、ある種、彼らの関係自体が非常にもうどうしようもなかった状況でした。
例えば、マレーシアとインドネシアは軍事的な直接対決をしておりますし、シンガポールは、当初マレーシアの一部だったんですが、民族問題その他の対立がもとでマレーシアから一九六五年に分離独立をしているというように、この五か国自身が非常に関係が悪かったんですが、一つだけ大きな共通項があって、それは当時、あのベトナム戦争のさなかにおいて、この五か国は反共、若しくは反共ということを掲げていなくても西側に非常に近い外交的スタンスを取っていたということです。
そういった共通項を一応見出しながらも、そしてそのベトナム戦争のときのいろんな危機というものを念頭に置きながらも、この五か国間の関係の安定化ということを図ることで共産主義の脅威というものから逃れようといった、そういった組織として始まったASEANなんですが、それが結局いろんな形で発展をしていきます。
一つは、ASEANとしてまとまって、ほかの大国との間の交渉力を付けて自分たちの要求を通していくといった制度をつくり始めたことで、これが最初、七〇年代に制度化されたのは対話国制度と言っております。このときの対話国制度の対話国というのは、ASEANと外相級の協議をする、定期的に行うことのできる域外国のことを指しておりまして、当時のASEANの最高意思決定機関は外相でしたので、これはASEANの最高の意思決定をする人々と外相レベルで話合いができる国ということになります。
この対話国制度で、最初は日本やアメリカを中心とした西側諸国のみがこの対話国でした。ところが、冷戦が終わった後は、その対話国に中国やロシアといった国々も入るようになりまして、ASEANを中心として域外国と対話をするといった、そういった枠組みができていったということです。
そして、ASEAN自身も冷戦が終結した後は拡大をしまして、当初ASEANからはもちろん排除されていたベトナムやカンボジア、ラオス、ミャンマーといった諸国が一九九〇年代を通じて全てASEANに加盟して、現在、ASEANは十か国の加盟国になっています。
こういったそのASEANは、現在はASEAN共同体というものを設立したという宣言をしておりまして、このASEAN共同体は、一番注目されるのはやはり経済共同体なんですけれども、ほかに政治・安全保障共同体、そして社会・文化共同体といった三本柱の共同体をもってASEAN共同体の設立を二〇一五年に既にもう宣言済み、設立を宣言済みであるということです。
こういったそのASEANが最もこういったアーキテクチャーの中では制度化されているコアの部分に当たるんですが、それとともにASEANは、特に冷戦が終結した後の一九九〇年代以降は、自らがもっと、広域の地域秩序の安定化に自分たちがイニシアチブを取るという観点から、広域地域秩序の維持を目指す組織にも積極的に関わり、あるいは自分たちが主導するようになりました。
細かい点は省きますけれども、そういったそのASEANの主導力、あるいはASEANの役割というものの自覚から生まれたのがASEANプラス3、そして二〇〇五年の東アジアサミット、そして二〇一〇年から発足しましたASEAN防衛大臣会合プラス、ADMMプラスと言われているものです。そして、言い忘れましたけど、一九九四年には、この地域において常設で正式に政治、安全保障についての協議や協力を行う枠組みとしてASEAN地域フォーラム、ARFというものも設立されています。こういったASEANを中心とする地域制度というものが実際にアジアにおいて大きな影響力を持ってきたということです。
なぜASEANなのかというときに非常に重要だったのが、多国間の枠組みを形成するときに大国のリーダーシップが不在だったということです。つまり、日本はリーダーシップを取りたいと思った本音はあったと思いますが、一九九〇年代の時点ですと、やはりまだ過去の負の遺産ですね、第二次世界大戦中の大東亜共栄圏の再来といった批判はこれは避けなければいけなかったし、なるべく日本が独りだけで表に立たずに、むしろASEANと協力をして、日本はASEAN支援をするという形で、実質的には地域のマルチの形成のリーダーシップ、実質的な貢献をするといった道を取っておりました。
そして、中国は、今現在は非常に大きな影響力を持っていて、後でその話はしたいと思っていますけれども、まだその九〇年代は、中国自身が自分たちのいろんな外交的な選択の幅を狭められたくないということで、この地域制度の参加自体に非常に消極的でした。二〇〇〇年代に入ると、むしろ中国は積極的に地域の、ASEANを中心とするアーキテクチャーにおいても積極的な役割を果たそうとするんですけど、その場合もASEANを立てるということを常に忘れなかったという、そういった非常に引いた態度を取っていました。
そして、アメリカは元々アジアにおけるマルチには全般的には消極的です。少なくとも政府レベルのものはそれほど積極的ではなくて、その観点からすると、オバマ政権のときのアジアのマルチに積極的に参画するというアメリカの姿勢というのは非常に印象的、私からすると印象的でした。それまでとは随分違うものであるなと思っておりました。
こういったそのASEANを中心とするアーキテクチャーにおいて、政治、安全保障、経済、社会、文化などの様々な分野における共通の問題が協議されたり協力の枠組みが形成されたりしたんですが、今日はこの詳細については割愛をいたします。
最近のお話、最近のトレンドについてお話をしたいと思います。ちょっとめくっていただいて、地域制度形成の新たな段階へというところにちょっと入っていきたいと思います。
そもそも、なぜ、冷戦が終わった後の一九九〇年代、二〇〇〇年代に急速に様々な制度がアジアにおいて形成されたのか、そしてその中でASEANがそれなりの大きな影響力を発揮できたのかというのは、ASEANは中小国連合ですから、ほかの大国に比べれば国力の差というのは明らかで、そういう中で中小国連合であるASEANがそれなりのイニシアチブを発揮するという形が取れたのはなぜか、そしてこのような制度が形成されたのはなぜかというと、私は、一つには時代背景があると思っています。
これを私はリベラルの時代というふうに今のところ仮に呼んでいるんですけれども、冷戦が終わった後、明らかに世界は価値の収れんが起こりました。つまり、冷戦時代においては、共産主義とそれから資本主義の陣営、あるいは自由主義とそれから社会主義の陣営に分かれていて二つの価値が併存する社会だったのが、冷戦の終わりというのは、結局、この元々の西側的価値に世界が収れんしていく時期であったということです。
もちろん、一九九〇年代において、特にアフリカでは紛争が絶えませんでしたし、いろんな戦火からこの世界は免れることはできませんでしたけれども、他方で、やはり人権や民主主義ということを保障していく、進めていくということについてのある種の合意といいますか、これが正当なのであるといった認識はこの二十年間は非常に強かったと思いますし、法の支配、グッドガバナンス、そして何よりも市場経済によって経済運営していくということについての価値のある種の収れんが一定程度見られたのがこの時代であると思います。
そして、国際関係のマネージについても、これについても力によって現状変更するということは実際には行われたわけですが、しかし、それはやはりよろしくないと。国連の場、その他の様々な話合い、そういうことを使って、やはり複数の国が国際協調を行うことで国際社会の維持をしていくというようなそういったことが、実際にはいろんな形で裏切られながらも、そういったことであるべきだといった規範がある程度の力を持ったのがこの二十年間、一九九〇年代、二〇〇〇年代だったと私は考えています。
そうしますと、今現在、特に二〇一〇年代からはどうなのかというと、これは私は、今欧米で様々な論者が語っておりますが、リベラルの後退とかリベラルの撤退という議論が相当にされておりますが、やはり、まあポストリベラルというところまで言っていいのかどうかはともかくとして、リベラル優位ということが少なくとも揺らいでいるのが現在だと思います。これの具体的な形として、一つは力による現状変更ということを許すような状況があるということ、それからもう一つが民主主義、人権、法の支配、グッドガバナンス、そして自由市場経済といったものについての疑義が表面化しているということですね。
これは世界の中心であるというふうに考えられてきた欧米の内部からも見られる現象で、しかも、プラスアルファ、そういった欧米を中心とした世界があったとすると、周辺に当たるというふうに考えられるロシアや中国といった国々が外からリベラルの世界というのを揺り動かしている状況が全般として見られるということです。このようなリベラルの後退の時代にあって、アジアの状況も揺れておりますし、アジアの制度の在り方自体も非常に大きく変わってきております。
ここのレジュメには、ASEANの中心性を前提としない様々なイニシアチブの顕在化というふうにあるんですけれども、少しこのレジュメにそのまま沿わない形でちょっとお話をさせていただくと、やはりASEANの流儀という、ここにちょっと突然出てきているんですけれども、ASEANの協力の仕方というのは、やっぱり緩やかに、緩やかに無理のないようにと、これはかなりはしょって言っているんですけれども、そういった形でまとめ上げるといった手法がASEANの流儀であるとすると、実際に地域統合を進めるだとか、本当に国家安全保障に関わるような問題を協議してそれの解決を図るだとか、本当の意味での地域協力を進めるためには、ASEANを中心とする制度というのはある種生ぬるいところもあります。
そういった問題点が、リベラルが揺らいでいる時代に、それまでは何となくそういった緩さも含めてこれでうまくいっているんだと思われてきたことが、本当にASEANが直面している、あるいはASEANが中心として存在しているアーキテクチャーの問題、そしてこの地域秩序をこの地域においてどのように維持していくのかというときに非常に大きくクローズアップされているということです。
そういう中で、例えば経済分野でいきますと、TPP、拡大TPPの交渉が開始されたのがやっぱり二〇一〇年代ですけれども、そうしますと、やはり実質的に地域統合を進めていく枠組みと考えたときに、これはASEANが中心となっていない方がいいと。変な言い方ですけど、ASEANが中心というよりは、むしろ違うイニシアチブを拡大することで地域統合を進めるという動きは非常に顕在化しましたし、何よりも二〇一〇年代に大きく変わったのは、中国から地域ビジョンが明確に示されるようになってきたことです。
これはAIIBしかり、それから一帯一路しかりですが、それまでの中国はASEANを中心とするアーキテクチャーの中で自分たちの役割を拡大するということには非常に熱心でしたけれども、自分たちで独自の地域秩序構想を出すということではなかった。ところが、習近平政権になってからはそれが非常に変わってきていて、そのことが今の地域情勢を大きく変えています。
それと連動している話ですけれども、やはりこの地域において二〇一〇年代に見られるのが、近年特に見られるのが米中パワーバランスの変化ということでありまして、これは必ずしも覇権の交代とは言えませんけれども、やはり相対的にアメリカの力が落ちていて、中国の影響力が拡大しているということは明らかです。
そして、中国の影響力というのは、先ほどの地域ビジョンの提示ということとともに、南シナ海問題に見られるように、いわゆるリベラルを揺さぶっている動きの一つですけれども、力による現状変更ということを辞さない姿勢も一部見せているということですね。
そして、アメリカのアジアへのコミットメントは、もちろん日米同盟は今、日本の外交の根幹でして非常に大事ですし、そのことをアメリカ政府も十分分かっているとは思いますが、しかしながら、アメリカがこれまでのように、アジアに同じような、そして同等のコミットをするかということについては非常に不透明感が漂っています。
そして、今日はもう時間がありませんので質問があればお答えしますが、ASEAN自身の中でもこういった動きの中で分裂の兆しが見えるのではないかという懸念が相当に表から見られるわけです。
ASEANについて一言だけ。ASEAN諸国は一般的に大国に引き裂かれる存在であるというふうに描かれることが非常に多いですが、私はそれほどやわではないというふうに思う反面、日本にとって非常に大事なパートナーだけど、彼らには取扱いは非常に注意をしなければいけないと考えています。
ASEAN諸国は元々、ASEANを用いたり、自分たちの外交政策でも多くの大国とバランスを取って、それで自分たちの実を取るということをやってきました。そういった数ある大国の中の一つが日本です。もちろん中国もその一国です。ですので、今単純に中国に傾斜しているというだけで捉えるのは危険であろうと思いますし、それから、私がブルネイやカンボジアを始めとするいろんな国に行っていろんな聞き取り調査をした結果を聞いていても、やはり彼ら自身にはバランスを取ろうという意識もあるし、中国の経済的支援が政治的な意図を持つ可能性があるという危険性も十分に認識しているということです。
ただ、彼らがバランスを取るつもりでも、実際に中国の影響力が非常に大きくなると、その結果、彼らにとっては日本も中国もそしてアメリカともいい関係を築いてそれぞれから実をもらいたいと思っていても、気が付いたら中国の影響力が非常に大きくなるということは考えられ得るわけで、そういうところで日本が、中国以外のチョイスというものを、オルタナティブとはあえて言いませんけど、チョイスを日本が出せるような、そういった状況に置いておくということが非常に大事なんだろうと思います。
そういう中で、日本の課題としては、今もう既に現在進めているように、ASEANの強化やASEANを中心とする地域制度の強化ということを進めるとともに、TPP11それからRCEPというものの強化も進めていくべきですし、あるいはRCEPの場合はまだ交渉中ですから、これの妥結に向けた試みをするべきですし、今、日本政府が提唱している自由で開かれたインド太平洋ということにおいても、これも日本から発する地域ビジョンという意味では非常に重要なキーになり得る概念なのではないかと思っています。
ただし、こういったことを進めるときに非常に大事なのは、究極の目的は、制度をつくることであるとか連携を進めるというだけではなくて、それはこの地域におけるルールベースの国際的なリベラルオーダーを形成すると、それを維持するということにありますので、その観点からしますと、まず中国を排除せずに、中国をどうやって包摂しながらそのようなことを実現していくかということ、その目的のためにASEAN諸国とどのようなパートナーシップを今後築いていくかということが今後も一層重要になってくるであろうと思います。
少し長くなりまして済みませんでした。
この発言だけを見る →私は国際関係論を専攻にしておりますが、中でも、アジアの地域主義やアジアの地域制度の形成、それとアジアにおける国際関係、国際政治経済との関係をずっと研究してまいりました。
今日は、その観点から、今日のテーマである信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題、これはこのアジア太平洋地域においてどのように永続的な平和と信頼醸成を実現させるかということだと思いますが、それについての私の意見というものをここでお話しさせていただきたいと思います。少し病み上がりで声が少し通らないときがあるかもしれませんけれども、どうぞ御容赦ください。
アジアにおいて地域制度あるいは地域主義といったものが果たしてあるのかという質問が以前はよく言われました。というのは、ヨーロッパにおけるEUやNATOといったものに比べて、アジアは地域制度が手薄であったということは過去にございました。特に冷戦時代において、今でも存続していて冷戦時代に設立された地域制度というもので代表的なものは、恐らくASEANと、それから、そのちょっと前に設立されたアジア開銀、アジア開発銀行、そして、冷戦が終わる直前というか、冷戦がちょうど終わる過程の、これはまあ偶然なんですけど、一九八九年の十一月に設立されたAPEC、この三つは冷戦時代に設立されて今でもアジアの状況に非常に大きな影響を与えている地域制度なんですが、それ以外は見られなかったわけです。
ところが、今はアジアにおいては実は数としてはわさわさいろんな地域制度がありまして、今日これを説明することが目的ではないんですけれども、どれだけのものがあるかということについて、今日お配りしたこちらの、皆様にはこのような形で資料になっておりますけれども、これはパワーポイントの資料なんですけれども、これをめくっていただいて、そのめくっていただいた次に表があると思うんですけど、ASEANから一番下のアジア協力対話というもの、これは聞いたことがほとんどない方が多いかもしれませんけれども、二〇〇〇年代初めに当時のタイのタクシン首相が主導してつくった枠組みで、今でもまだ閣僚級の会議を繰り返し開いていて、首脳級の会議もたまに開くといった枠組みもございます。
このようにたくさんいろいろ制度ができていまして、これらは主に冷戦が終結した後に積み重なるように様々な形で制度が形成されました。
さらに、めくっていただくと、この主なものについては輪っかのようになっていて、これも今日は詳しく説明するつもりはありません。これだけ今、恐らく多少整理も必要ではないかと思われるぐらいに、アジアにおいては、多国間で共通の地域の問題を協議する、あるいは意見交換する、地域協力を進めるといった枠組みが乱立している状況があるということです。
我が国にとっても、そして地域にとっても、この中でも非常に重要な枠組みであったのが、次にめくっていただいて、その次の次になります、図二というところにありますASEANを中心とする地域アーキテクチャーというものです。これはASEANを中心とする地域制度と言ってもいいんですが、各様々なASEANやASEAN関連の文書の中ではアーキテクチャーという言葉を使っているので、そのままの形、言葉を使わせていただいていますけれども、ASEANを中心とする地域アーキテクチャーというものが地域の中で非常に注目をされて、地域諸国が集まって協力をしたりあるいは意見交換をしたりする場として注目をされてきましたし、そしてこの地域の安定化に一定の寄与をしてきたということです。
ASEANを中心とするといったところで非常に奇異に感じるわけですが、なぜASEANが中心なのかということですね。これに関しまして、ちょっと後でお話ししますが、取りあえずこの図を基にASEANを中心とする地域アーキテクチャーってどういうものかということをちょっと説明しますと、これは私が事前に参考資料として皆様にお配りしている「「ASEAN+」が担う対立緩和のメカニズム」というところにどういう形で形成されてきたのかということは詳しく書いてはあるんですが、取りあえずこの図を基に少し説明します。
まず、ASEANが中心にあります。ASEANは一九六七年に当時の東南アジアの五か国のみで形成された組織です。この五か国は非常にいろいろな意味でばらばらで、しかも六〇年代は紛争が絶えなくて、ある種、彼らの関係自体が非常にもうどうしようもなかった状況でした。
例えば、マレーシアとインドネシアは軍事的な直接対決をしておりますし、シンガポールは、当初マレーシアの一部だったんですが、民族問題その他の対立がもとでマレーシアから一九六五年に分離独立をしているというように、この五か国自身が非常に関係が悪かったんですが、一つだけ大きな共通項があって、それは当時、あのベトナム戦争のさなかにおいて、この五か国は反共、若しくは反共ということを掲げていなくても西側に非常に近い外交的スタンスを取っていたということです。
そういった共通項を一応見出しながらも、そしてそのベトナム戦争のときのいろんな危機というものを念頭に置きながらも、この五か国間の関係の安定化ということを図ることで共産主義の脅威というものから逃れようといった、そういった組織として始まったASEANなんですが、それが結局いろんな形で発展をしていきます。
一つは、ASEANとしてまとまって、ほかの大国との間の交渉力を付けて自分たちの要求を通していくといった制度をつくり始めたことで、これが最初、七〇年代に制度化されたのは対話国制度と言っております。このときの対話国制度の対話国というのは、ASEANと外相級の協議をする、定期的に行うことのできる域外国のことを指しておりまして、当時のASEANの最高意思決定機関は外相でしたので、これはASEANの最高の意思決定をする人々と外相レベルで話合いができる国ということになります。
この対話国制度で、最初は日本やアメリカを中心とした西側諸国のみがこの対話国でした。ところが、冷戦が終わった後は、その対話国に中国やロシアといった国々も入るようになりまして、ASEANを中心として域外国と対話をするといった、そういった枠組みができていったということです。
そして、ASEAN自身も冷戦が終結した後は拡大をしまして、当初ASEANからはもちろん排除されていたベトナムやカンボジア、ラオス、ミャンマーといった諸国が一九九〇年代を通じて全てASEANに加盟して、現在、ASEANは十か国の加盟国になっています。
こういったそのASEANは、現在はASEAN共同体というものを設立したという宣言をしておりまして、このASEAN共同体は、一番注目されるのはやはり経済共同体なんですけれども、ほかに政治・安全保障共同体、そして社会・文化共同体といった三本柱の共同体をもってASEAN共同体の設立を二〇一五年に既にもう宣言済み、設立を宣言済みであるということです。
こういったそのASEANが最もこういったアーキテクチャーの中では制度化されているコアの部分に当たるんですが、それとともにASEANは、特に冷戦が終結した後の一九九〇年代以降は、自らがもっと、広域の地域秩序の安定化に自分たちがイニシアチブを取るという観点から、広域地域秩序の維持を目指す組織にも積極的に関わり、あるいは自分たちが主導するようになりました。
細かい点は省きますけれども、そういったそのASEANの主導力、あるいはASEANの役割というものの自覚から生まれたのがASEANプラス3、そして二〇〇五年の東アジアサミット、そして二〇一〇年から発足しましたASEAN防衛大臣会合プラス、ADMMプラスと言われているものです。そして、言い忘れましたけど、一九九四年には、この地域において常設で正式に政治、安全保障についての協議や協力を行う枠組みとしてASEAN地域フォーラム、ARFというものも設立されています。こういったASEANを中心とする地域制度というものが実際にアジアにおいて大きな影響力を持ってきたということです。
なぜASEANなのかというときに非常に重要だったのが、多国間の枠組みを形成するときに大国のリーダーシップが不在だったということです。つまり、日本はリーダーシップを取りたいと思った本音はあったと思いますが、一九九〇年代の時点ですと、やはりまだ過去の負の遺産ですね、第二次世界大戦中の大東亜共栄圏の再来といった批判はこれは避けなければいけなかったし、なるべく日本が独りだけで表に立たずに、むしろASEANと協力をして、日本はASEAN支援をするという形で、実質的には地域のマルチの形成のリーダーシップ、実質的な貢献をするといった道を取っておりました。
そして、中国は、今現在は非常に大きな影響力を持っていて、後でその話はしたいと思っていますけれども、まだその九〇年代は、中国自身が自分たちのいろんな外交的な選択の幅を狭められたくないということで、この地域制度の参加自体に非常に消極的でした。二〇〇〇年代に入ると、むしろ中国は積極的に地域の、ASEANを中心とするアーキテクチャーにおいても積極的な役割を果たそうとするんですけど、その場合もASEANを立てるということを常に忘れなかったという、そういった非常に引いた態度を取っていました。
そして、アメリカは元々アジアにおけるマルチには全般的には消極的です。少なくとも政府レベルのものはそれほど積極的ではなくて、その観点からすると、オバマ政権のときのアジアのマルチに積極的に参画するというアメリカの姿勢というのは非常に印象的、私からすると印象的でした。それまでとは随分違うものであるなと思っておりました。
こういったそのASEANを中心とするアーキテクチャーにおいて、政治、安全保障、経済、社会、文化などの様々な分野における共通の問題が協議されたり協力の枠組みが形成されたりしたんですが、今日はこの詳細については割愛をいたします。
最近のお話、最近のトレンドについてお話をしたいと思います。ちょっとめくっていただいて、地域制度形成の新たな段階へというところにちょっと入っていきたいと思います。
そもそも、なぜ、冷戦が終わった後の一九九〇年代、二〇〇〇年代に急速に様々な制度がアジアにおいて形成されたのか、そしてその中でASEANがそれなりの大きな影響力を発揮できたのかというのは、ASEANは中小国連合ですから、ほかの大国に比べれば国力の差というのは明らかで、そういう中で中小国連合であるASEANがそれなりのイニシアチブを発揮するという形が取れたのはなぜか、そしてこのような制度が形成されたのはなぜかというと、私は、一つには時代背景があると思っています。
これを私はリベラルの時代というふうに今のところ仮に呼んでいるんですけれども、冷戦が終わった後、明らかに世界は価値の収れんが起こりました。つまり、冷戦時代においては、共産主義とそれから資本主義の陣営、あるいは自由主義とそれから社会主義の陣営に分かれていて二つの価値が併存する社会だったのが、冷戦の終わりというのは、結局、この元々の西側的価値に世界が収れんしていく時期であったということです。
もちろん、一九九〇年代において、特にアフリカでは紛争が絶えませんでしたし、いろんな戦火からこの世界は免れることはできませんでしたけれども、他方で、やはり人権や民主主義ということを保障していく、進めていくということについてのある種の合意といいますか、これが正当なのであるといった認識はこの二十年間は非常に強かったと思いますし、法の支配、グッドガバナンス、そして何よりも市場経済によって経済運営していくということについての価値のある種の収れんが一定程度見られたのがこの時代であると思います。
そして、国際関係のマネージについても、これについても力によって現状変更するということは実際には行われたわけですが、しかし、それはやはりよろしくないと。国連の場、その他の様々な話合い、そういうことを使って、やはり複数の国が国際協調を行うことで国際社会の維持をしていくというようなそういったことが、実際にはいろんな形で裏切られながらも、そういったことであるべきだといった規範がある程度の力を持ったのがこの二十年間、一九九〇年代、二〇〇〇年代だったと私は考えています。
そうしますと、今現在、特に二〇一〇年代からはどうなのかというと、これは私は、今欧米で様々な論者が語っておりますが、リベラルの後退とかリベラルの撤退という議論が相当にされておりますが、やはり、まあポストリベラルというところまで言っていいのかどうかはともかくとして、リベラル優位ということが少なくとも揺らいでいるのが現在だと思います。これの具体的な形として、一つは力による現状変更ということを許すような状況があるということ、それからもう一つが民主主義、人権、法の支配、グッドガバナンス、そして自由市場経済といったものについての疑義が表面化しているということですね。
これは世界の中心であるというふうに考えられてきた欧米の内部からも見られる現象で、しかも、プラスアルファ、そういった欧米を中心とした世界があったとすると、周辺に当たるというふうに考えられるロシアや中国といった国々が外からリベラルの世界というのを揺り動かしている状況が全般として見られるということです。このようなリベラルの後退の時代にあって、アジアの状況も揺れておりますし、アジアの制度の在り方自体も非常に大きく変わってきております。
ここのレジュメには、ASEANの中心性を前提としない様々なイニシアチブの顕在化というふうにあるんですけれども、少しこのレジュメにそのまま沿わない形でちょっとお話をさせていただくと、やはりASEANの流儀という、ここにちょっと突然出てきているんですけれども、ASEANの協力の仕方というのは、やっぱり緩やかに、緩やかに無理のないようにと、これはかなりはしょって言っているんですけれども、そういった形でまとめ上げるといった手法がASEANの流儀であるとすると、実際に地域統合を進めるだとか、本当に国家安全保障に関わるような問題を協議してそれの解決を図るだとか、本当の意味での地域協力を進めるためには、ASEANを中心とする制度というのはある種生ぬるいところもあります。
そういった問題点が、リベラルが揺らいでいる時代に、それまでは何となくそういった緩さも含めてこれでうまくいっているんだと思われてきたことが、本当にASEANが直面している、あるいはASEANが中心として存在しているアーキテクチャーの問題、そしてこの地域秩序をこの地域においてどのように維持していくのかというときに非常に大きくクローズアップされているということです。
そういう中で、例えば経済分野でいきますと、TPP、拡大TPPの交渉が開始されたのがやっぱり二〇一〇年代ですけれども、そうしますと、やはり実質的に地域統合を進めていく枠組みと考えたときに、これはASEANが中心となっていない方がいいと。変な言い方ですけど、ASEANが中心というよりは、むしろ違うイニシアチブを拡大することで地域統合を進めるという動きは非常に顕在化しましたし、何よりも二〇一〇年代に大きく変わったのは、中国から地域ビジョンが明確に示されるようになってきたことです。
これはAIIBしかり、それから一帯一路しかりですが、それまでの中国はASEANを中心とするアーキテクチャーの中で自分たちの役割を拡大するということには非常に熱心でしたけれども、自分たちで独自の地域秩序構想を出すということではなかった。ところが、習近平政権になってからはそれが非常に変わってきていて、そのことが今の地域情勢を大きく変えています。
それと連動している話ですけれども、やはりこの地域において二〇一〇年代に見られるのが、近年特に見られるのが米中パワーバランスの変化ということでありまして、これは必ずしも覇権の交代とは言えませんけれども、やはり相対的にアメリカの力が落ちていて、中国の影響力が拡大しているということは明らかです。
そして、中国の影響力というのは、先ほどの地域ビジョンの提示ということとともに、南シナ海問題に見られるように、いわゆるリベラルを揺さぶっている動きの一つですけれども、力による現状変更ということを辞さない姿勢も一部見せているということですね。
そして、アメリカのアジアへのコミットメントは、もちろん日米同盟は今、日本の外交の根幹でして非常に大事ですし、そのことをアメリカ政府も十分分かっているとは思いますが、しかしながら、アメリカがこれまでのように、アジアに同じような、そして同等のコミットをするかということについては非常に不透明感が漂っています。
そして、今日はもう時間がありませんので質問があればお答えしますが、ASEAN自身の中でもこういった動きの中で分裂の兆しが見えるのではないかという懸念が相当に表から見られるわけです。
ASEANについて一言だけ。ASEAN諸国は一般的に大国に引き裂かれる存在であるというふうに描かれることが非常に多いですが、私はそれほどやわではないというふうに思う反面、日本にとって非常に大事なパートナーだけど、彼らには取扱いは非常に注意をしなければいけないと考えています。
ASEAN諸国は元々、ASEANを用いたり、自分たちの外交政策でも多くの大国とバランスを取って、それで自分たちの実を取るということをやってきました。そういった数ある大国の中の一つが日本です。もちろん中国もその一国です。ですので、今単純に中国に傾斜しているというだけで捉えるのは危険であろうと思いますし、それから、私がブルネイやカンボジアを始めとするいろんな国に行っていろんな聞き取り調査をした結果を聞いていても、やはり彼ら自身にはバランスを取ろうという意識もあるし、中国の経済的支援が政治的な意図を持つ可能性があるという危険性も十分に認識しているということです。
ただ、彼らがバランスを取るつもりでも、実際に中国の影響力が非常に大きくなると、その結果、彼らにとっては日本も中国もそしてアメリカともいい関係を築いてそれぞれから実をもらいたいと思っていても、気が付いたら中国の影響力が非常に大きくなるということは考えられ得るわけで、そういうところで日本が、中国以外のチョイスというものを、オルタナティブとはあえて言いませんけど、チョイスを日本が出せるような、そういった状況に置いておくということが非常に大事なんだろうと思います。
そういう中で、日本の課題としては、今もう既に現在進めているように、ASEANの強化やASEANを中心とする地域制度の強化ということを進めるとともに、TPP11それからRCEPというものの強化も進めていくべきですし、あるいはRCEPの場合はまだ交渉中ですから、これの妥結に向けた試みをするべきですし、今、日本政府が提唱している自由で開かれたインド太平洋ということにおいても、これも日本から発する地域ビジョンという意味では非常に重要なキーになり得る概念なのではないかと思っています。
ただし、こういったことを進めるときに非常に大事なのは、究極の目的は、制度をつくることであるとか連携を進めるというだけではなくて、それはこの地域におけるルールベースの国際的なリベラルオーダーを形成すると、それを維持するということにありますので、その観点からしますと、まず中国を排除せずに、中国をどうやって包摂しながらそのようなことを実現していくかということ、その目的のためにASEAN諸国とどのようなパートナーシップを今後築いていくかということが今後も一層重要になってくるであろうと思います。
少し長くなりまして済みませんでした。
鴻
石
石戸光#5
○参考人(石戸光君) 千葉大学の石戸でございます。
本日は、お招きくださいましてありがとうございます。
私は、経済の観点から、配付させていただきました資料に基づいて簡潔にお話しさせていただきます。
では、資料の一ページ目の方を御覧いただきます。
多国間協力枠組みの在り方ということでございますけれども、貿易自由化による相互依存の高まりといいますのは、経済的な厚生水準が上昇する、つまり食べたり飲んだりといった、そういったものの消費財の多様化及び廉価化ということと同時に、域内の安全保障の度合いを高めるという効果を持つのではないかと。そして、すなわち、多様性に満ちたアジア太平洋地域の平和と繁栄というものを実現していく上で、貿易面での地域協力は経済的そして安全保障的に非常に大きな意義を持っているということでございます。
ここで、いわゆる貿易戦争という最近見聞きする言葉でございますけれども、こちらの生産、分配、消費、生産、分配、消費と延々続くグローバルな経済循環のうち、自国による生産ということを短期的に確保しようという行動であって、こちらはポピュリズム的で大衆にいっときアピールはいたしますけれども、国家間での競合が必然的に起こってまいりますので、また、比較優位ということを度外視して不得意なものも含めて抱え込もう、生産しようと、そうしますと結果的に生産、分配、消費というものが連鎖的に縮小してしまって長期的には勝者はいないということではないかというふうに拝察いたします。
アジア太平洋地域の経済的な構造や課題、既存の多国間協力枠組みの成果や限界ということでございますけれども、経済的な構造といたしまして、アジア太平洋地域、特にAPECというもので見てまいりますと、域内貿易の規模はEU及びNAFTAを大きく上回っているということでございます。
日本と幾つかのASEAN諸国の貿易、投資には、二国間FTAの存在というものがプラスの影響を与えているという点が指摘できるかと存じます。他の国々の締結しているFTAを考慮いたしました場合にも、同様に、FTAというものが発効している存在というものが貿易量にプラスの効果をもたらしているという点が成果ではないかというふうに思われます。
しかしながら、二国間FTAが複数存在している、乱立しているというような状況がアジア太平洋地域の現状でありますため、貿易ルールが錯綜しかねないということが限界でないかというふうに思われます。そして、物品に係る関税の引下げによるアジア太平洋地域の産業集積ということも一種の頭打ちということになってまいりますでしょうから、二国間FTAでは多国間の部品相互調達といったことにも限界が生じてまいります。
ですので、より実効性のある多国間協力の実現ということが、要は線から面への転換、すなわち二国間FTAの林立ではなく、TPP、RCEPを始めとしました多国間の貿易協定の締結ということが政策的に極めて重要となっておりますということでございます。
そして、日本政府様が進めておられますインド太平洋戦略ということからいたしましても、TPP及びRCEPに参加する諸国間を結ぶ、これはシーレーンの確立、安定確保といったことというふうに思われます。そして、競合しがちな状況をなるべく協調的な形に移行させていくための方策といったものが課題になってまいります。そのためには、非国家間のやはりサブリージョナルな形での協力といったものも必要となってくるように思われます。
我が国が果たすべき役割と具体的取組についての提言でございますけれども、TPPやRCEPなどの貿易、投資の枠組みや関連政策のみならず、より幅広い視点で様々な分野の協力について検討するために、貿易自由化と企業の規模、生産性に関するメリッツ効果といったこと、それから空間経済的効果、そしてサービス経済、この三つから簡単に提言させていただきたいと存じます。
提言一といたしましては、貿易自由化と企業の規模、生産性に関するメリッツ効果。こちらはハーバード大学のマーク・メリッツ教授が提唱しておられる非常に学界的には有力な理論となっておりまして、貿易費用が低下し、そして貿易の自由化といったものが進展いたしますと、メリッツ教授が提起しましたように二つの効果が生じてまいりますと。
一つは、貿易費用の低下のために輸出が容易になる。輸出のための閾値といったものが下がり、これまで輸出できなかった低い生産性の企業の一部も輸出を行えるようになります。もう一つは、国内で活動するために必要な生産性水準、参入閾値といったものが上昇していく。そのことによりまして、生産性の低い企業は、ただ手をこまねいているということですと撤退を余儀なくされるということでございます。
ですので、理論上は、輸出を行えるような生産性の高い企業が雇用者を増やすということで実質賃金の上昇が生じ、十分な賃金を支払えない生産性の低い企業の退出というものが促されていくということでございます。貿易自由化の結果として、相対的に生産性の高い企業のみが生き残るということになってまいります。労働市場といったものに仮に摩擦がないということでしたらば、高い利潤を上げる生産性の高い企業に多くの労働者が集まっていくということになる。それはプラスの効果ということになりますけれども、このため、経済全体としては、生産性が上昇し、そして厚生も上昇すると、そういったことでございます。
ただ、企業の海外進出の規模分布といった現状を見てみましても、やはり大規模な企業が海外進出ということに偏っておるということでして、その点の政策的な是正が課題ではないかというふうに拝察いたします。FTAにおける中小企業に関する章ですとか経済協力に関するチャプターをより具体化するための域内協力措置といったものを官民連携で拡大させていくことが重要と考えられます。
提言二といたしましては、TPP、RCEPなどFTAのもたらします空間経済的効果。こちらは日本の藤田教授ですとかポール・クルーグマン氏らによる研究成果ということでございますけれども、FTAによる貿易費用、広義の輸送費といったものが低下することによりまして、効率的な経済活動は、明治以降ということですと、分散していたものが大都市集積型になりました、これが、更に輸送費といったものが低下いたしますと再び分散型となってくる、これが空間経済学が理論的に予測していることでございます。
アベノミクスで言います地方創生、つまり、地方で暮らす人たちが幸せを実感できる社会へというためには、恐らく経済活動が再び分散化することが重要であり、TPP及びRCEPを通じた国際的な政策においても、この再びの分散効果をもたらすための協力が重要ではないかと考えられます。
あわせまして、旧共産圏といいますか、ミャンマーですとかカンボジア、ラオス及びベトナムのインドシナ半島及び朝鮮半島におきましても、この空間経済的な効果といったものは非常に重要な役割を果たすのではないかというふうに拝察いたしております。
二十世紀の前半に、アジア太平洋においては複数の小さな港と複数の都市が分散的に存在していました。その後、広義の輸送費の低下によりまして、シンガポール、香港など少数の貿易港が隆盛してまいりました。今後は更に分散的なシーレーン、産業集積の開発といったものが効率的となってまいりますので、日本及び中国、ASEAN加盟国が南シナ海でも調和して目指さなければならないものではないかと。アジア太平洋地域の多面的な協力は、協働といったことを通して平和構築の精神を育てるのに役立つのではないか。TPP及びRCEPの規定内容を実効性あるものにするためにも、このような具体的な案件を積み重ねていくべきではないかというふうに思われます。
APECといったものが打ち出しておりますFTAAP、アジア太平洋自由貿易圏、こちらがTPP及びRCEPといったものを経由させながら最終的に実現させていくということも中長期的には念頭に置くべきではないかというふうに思われます。
提言三というところでございますけれども、サービス経済という視点からでございます。サービス産業といったものは、生産性向上及びFTAによるサービス貿易自由化のための施策といった観点で、非常に注目すべき、そして手厚く政策がなされていくべきではないかといったことを提起させていただいております。
中国におきましても、物といった分野から事、つまりサービスによる付加価値上昇といったことが、日本へのインバウンドの観光という面におきましてもシフトが起きているということでございます。
地方の観光資源もサービスとして経済価値へと転化させていくという必要がございますでしょうということであります。中小企業の多くが存在しますサービス分野、その分野での貿易自由化によりましてコンパクトな集積地帯を分散的に立地させていくことが、平和的なアジア太平洋の経済活動にとってもやはり重要ではないかというふうに思われます。
小括とさせていただきますけれども、中国の入っておりますRCEPは、アジア太平洋地域における信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題ということに大きく関連、もちろんいたしております。現在、ASEAN市場における中国の優位性が非常に目立つということでございまして、国際河川であるメコン川流域を総合的に開発するための話合いのメコン・フォーラムといった場でも、南北回廊、中国が中心で雲南省から伸びるそういった回廊を推進するような中国の姿勢が非常に目立っております。
けれども、技術的な面では、中国は依然として日本にある意味依存といいますか、注目をしているのではないかと。例えば、宝鋼集団など中国の国有企業の主導する鉄鋼生産ですとか環境対策技術、それからADBによる開発金融のノウハウなどは中国が主導いたしますAIIB及び一帯一路に大きく関連いたしますけれども、日本の経験から学び取ろうという姿勢が現場感では感じ取れるということでございます。
RCEP交渉は、ASEANセントラリティーといったことを建前としております。そして、ASEANは合意形成といったものがコンセンサスベース、いわゆるASEANウエーでありますために交渉ペースがえてして遅くなりがちではありますけれども、RCEPにおける例えばサービス貿易章は、分野や提供形態をあらかじめ除外せず、WTOサービス貿易に関する一般協定、GATS、それからASEANプラス1のFTAによるサービスの約束、こういったものを基礎として形成されるといったことが現状でございます。
ですので、日本の主導により設立されましたERIA、東アジア・ASEAN経済研究センター、インドネシアのジャカルタに所在しておりますけれども、といった研究機能ですとかの更なる活用によりまして、ASEANを後方支援しながらサービス貿易の自由化を進めるということも重要な課題ではないかというふうに拝察いたします。
さらには、日本が主導してハード面、道路、港湾などのインフラ面ですとか、それから、上物のソフト面、いろんな技術を用いた制度的な措置、ソフトの双方で、アジア太平洋地域、インド太平洋域も含めまして、における支援といったものを行っていくべきと。環境面では、例えば初期費用の安さということではなくライフサイクルコストといったことが中長期的には重要だ、こういったソフト面での価値形成といったことも重要ではないかと思われます。
急速に発展する中国が二〇一三年に開始しました一帯一路のイニシアティブは、中国、アジア、ヨーロッパ、アフリカ及び経済移行国を更に結び付け、新たな貿易ルートの確立を目指しております。このイニシアティブは、輸送コストの削減、貿易の拡大と関係する全ての国への新しい市場開拓、ASEAN加盟国の発展を促進するのに役立つとされております。
これらのRCEP関連の取組により中国と連携を実質的な活動を通して目指しながら東アジアの経済的な一体化を高めていくということが、この米国によるTPPへの何らかの回帰といったものをより平和的に促していくことに貢献するのではないかと拝察いたします。
アジア太平洋地域の分散型の経済システムの構築は、これまでその国の地場企業としてのみ操業してきたサービス関連を含みます中小企業のグローバル化を後押しし、日本は多国間協力枠組みとして分散的、後方支援的な地域協力を目指していくということを明確化した上で、その政策姿勢をパブリック外交としてあらゆる機会に発信していくべきではないか、このように拝察しております。
私からは、一旦、以上でございます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、お招きくださいましてありがとうございます。
私は、経済の観点から、配付させていただきました資料に基づいて簡潔にお話しさせていただきます。
では、資料の一ページ目の方を御覧いただきます。
多国間協力枠組みの在り方ということでございますけれども、貿易自由化による相互依存の高まりといいますのは、経済的な厚生水準が上昇する、つまり食べたり飲んだりといった、そういったものの消費財の多様化及び廉価化ということと同時に、域内の安全保障の度合いを高めるという効果を持つのではないかと。そして、すなわち、多様性に満ちたアジア太平洋地域の平和と繁栄というものを実現していく上で、貿易面での地域協力は経済的そして安全保障的に非常に大きな意義を持っているということでございます。
ここで、いわゆる貿易戦争という最近見聞きする言葉でございますけれども、こちらの生産、分配、消費、生産、分配、消費と延々続くグローバルな経済循環のうち、自国による生産ということを短期的に確保しようという行動であって、こちらはポピュリズム的で大衆にいっときアピールはいたしますけれども、国家間での競合が必然的に起こってまいりますので、また、比較優位ということを度外視して不得意なものも含めて抱え込もう、生産しようと、そうしますと結果的に生産、分配、消費というものが連鎖的に縮小してしまって長期的には勝者はいないということではないかというふうに拝察いたします。
アジア太平洋地域の経済的な構造や課題、既存の多国間協力枠組みの成果や限界ということでございますけれども、経済的な構造といたしまして、アジア太平洋地域、特にAPECというもので見てまいりますと、域内貿易の規模はEU及びNAFTAを大きく上回っているということでございます。
日本と幾つかのASEAN諸国の貿易、投資には、二国間FTAの存在というものがプラスの影響を与えているという点が指摘できるかと存じます。他の国々の締結しているFTAを考慮いたしました場合にも、同様に、FTAというものが発効している存在というものが貿易量にプラスの効果をもたらしているという点が成果ではないかというふうに思われます。
しかしながら、二国間FTAが複数存在している、乱立しているというような状況がアジア太平洋地域の現状でありますため、貿易ルールが錯綜しかねないということが限界でないかというふうに思われます。そして、物品に係る関税の引下げによるアジア太平洋地域の産業集積ということも一種の頭打ちということになってまいりますでしょうから、二国間FTAでは多国間の部品相互調達といったことにも限界が生じてまいります。
ですので、より実効性のある多国間協力の実現ということが、要は線から面への転換、すなわち二国間FTAの林立ではなく、TPP、RCEPを始めとしました多国間の貿易協定の締結ということが政策的に極めて重要となっておりますということでございます。
そして、日本政府様が進めておられますインド太平洋戦略ということからいたしましても、TPP及びRCEPに参加する諸国間を結ぶ、これはシーレーンの確立、安定確保といったことというふうに思われます。そして、競合しがちな状況をなるべく協調的な形に移行させていくための方策といったものが課題になってまいります。そのためには、非国家間のやはりサブリージョナルな形での協力といったものも必要となってくるように思われます。
我が国が果たすべき役割と具体的取組についての提言でございますけれども、TPPやRCEPなどの貿易、投資の枠組みや関連政策のみならず、より幅広い視点で様々な分野の協力について検討するために、貿易自由化と企業の規模、生産性に関するメリッツ効果といったこと、それから空間経済的効果、そしてサービス経済、この三つから簡単に提言させていただきたいと存じます。
提言一といたしましては、貿易自由化と企業の規模、生産性に関するメリッツ効果。こちらはハーバード大学のマーク・メリッツ教授が提唱しておられる非常に学界的には有力な理論となっておりまして、貿易費用が低下し、そして貿易の自由化といったものが進展いたしますと、メリッツ教授が提起しましたように二つの効果が生じてまいりますと。
一つは、貿易費用の低下のために輸出が容易になる。輸出のための閾値といったものが下がり、これまで輸出できなかった低い生産性の企業の一部も輸出を行えるようになります。もう一つは、国内で活動するために必要な生産性水準、参入閾値といったものが上昇していく。そのことによりまして、生産性の低い企業は、ただ手をこまねいているということですと撤退を余儀なくされるということでございます。
ですので、理論上は、輸出を行えるような生産性の高い企業が雇用者を増やすということで実質賃金の上昇が生じ、十分な賃金を支払えない生産性の低い企業の退出というものが促されていくということでございます。貿易自由化の結果として、相対的に生産性の高い企業のみが生き残るということになってまいります。労働市場といったものに仮に摩擦がないということでしたらば、高い利潤を上げる生産性の高い企業に多くの労働者が集まっていくということになる。それはプラスの効果ということになりますけれども、このため、経済全体としては、生産性が上昇し、そして厚生も上昇すると、そういったことでございます。
ただ、企業の海外進出の規模分布といった現状を見てみましても、やはり大規模な企業が海外進出ということに偏っておるということでして、その点の政策的な是正が課題ではないかというふうに拝察いたします。FTAにおける中小企業に関する章ですとか経済協力に関するチャプターをより具体化するための域内協力措置といったものを官民連携で拡大させていくことが重要と考えられます。
提言二といたしましては、TPP、RCEPなどFTAのもたらします空間経済的効果。こちらは日本の藤田教授ですとかポール・クルーグマン氏らによる研究成果ということでございますけれども、FTAによる貿易費用、広義の輸送費といったものが低下することによりまして、効率的な経済活動は、明治以降ということですと、分散していたものが大都市集積型になりました、これが、更に輸送費といったものが低下いたしますと再び分散型となってくる、これが空間経済学が理論的に予測していることでございます。
アベノミクスで言います地方創生、つまり、地方で暮らす人たちが幸せを実感できる社会へというためには、恐らく経済活動が再び分散化することが重要であり、TPP及びRCEPを通じた国際的な政策においても、この再びの分散効果をもたらすための協力が重要ではないかと考えられます。
あわせまして、旧共産圏といいますか、ミャンマーですとかカンボジア、ラオス及びベトナムのインドシナ半島及び朝鮮半島におきましても、この空間経済的な効果といったものは非常に重要な役割を果たすのではないかというふうに拝察いたしております。
二十世紀の前半に、アジア太平洋においては複数の小さな港と複数の都市が分散的に存在していました。その後、広義の輸送費の低下によりまして、シンガポール、香港など少数の貿易港が隆盛してまいりました。今後は更に分散的なシーレーン、産業集積の開発といったものが効率的となってまいりますので、日本及び中国、ASEAN加盟国が南シナ海でも調和して目指さなければならないものではないかと。アジア太平洋地域の多面的な協力は、協働といったことを通して平和構築の精神を育てるのに役立つのではないか。TPP及びRCEPの規定内容を実効性あるものにするためにも、このような具体的な案件を積み重ねていくべきではないかというふうに思われます。
APECといったものが打ち出しておりますFTAAP、アジア太平洋自由貿易圏、こちらがTPP及びRCEPといったものを経由させながら最終的に実現させていくということも中長期的には念頭に置くべきではないかというふうに思われます。
提言三というところでございますけれども、サービス経済という視点からでございます。サービス産業といったものは、生産性向上及びFTAによるサービス貿易自由化のための施策といった観点で、非常に注目すべき、そして手厚く政策がなされていくべきではないかといったことを提起させていただいております。
中国におきましても、物といった分野から事、つまりサービスによる付加価値上昇といったことが、日本へのインバウンドの観光という面におきましてもシフトが起きているということでございます。
地方の観光資源もサービスとして経済価値へと転化させていくという必要がございますでしょうということであります。中小企業の多くが存在しますサービス分野、その分野での貿易自由化によりましてコンパクトな集積地帯を分散的に立地させていくことが、平和的なアジア太平洋の経済活動にとってもやはり重要ではないかというふうに思われます。
小括とさせていただきますけれども、中国の入っておりますRCEPは、アジア太平洋地域における信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題ということに大きく関連、もちろんいたしております。現在、ASEAN市場における中国の優位性が非常に目立つということでございまして、国際河川であるメコン川流域を総合的に開発するための話合いのメコン・フォーラムといった場でも、南北回廊、中国が中心で雲南省から伸びるそういった回廊を推進するような中国の姿勢が非常に目立っております。
けれども、技術的な面では、中国は依然として日本にある意味依存といいますか、注目をしているのではないかと。例えば、宝鋼集団など中国の国有企業の主導する鉄鋼生産ですとか環境対策技術、それからADBによる開発金融のノウハウなどは中国が主導いたしますAIIB及び一帯一路に大きく関連いたしますけれども、日本の経験から学び取ろうという姿勢が現場感では感じ取れるということでございます。
RCEP交渉は、ASEANセントラリティーといったことを建前としております。そして、ASEANは合意形成といったものがコンセンサスベース、いわゆるASEANウエーでありますために交渉ペースがえてして遅くなりがちではありますけれども、RCEPにおける例えばサービス貿易章は、分野や提供形態をあらかじめ除外せず、WTOサービス貿易に関する一般協定、GATS、それからASEANプラス1のFTAによるサービスの約束、こういったものを基礎として形成されるといったことが現状でございます。
ですので、日本の主導により設立されましたERIA、東アジア・ASEAN経済研究センター、インドネシアのジャカルタに所在しておりますけれども、といった研究機能ですとかの更なる活用によりまして、ASEANを後方支援しながらサービス貿易の自由化を進めるということも重要な課題ではないかというふうに拝察いたします。
さらには、日本が主導してハード面、道路、港湾などのインフラ面ですとか、それから、上物のソフト面、いろんな技術を用いた制度的な措置、ソフトの双方で、アジア太平洋地域、インド太平洋域も含めまして、における支援といったものを行っていくべきと。環境面では、例えば初期費用の安さということではなくライフサイクルコストといったことが中長期的には重要だ、こういったソフト面での価値形成といったことも重要ではないかと思われます。
急速に発展する中国が二〇一三年に開始しました一帯一路のイニシアティブは、中国、アジア、ヨーロッパ、アフリカ及び経済移行国を更に結び付け、新たな貿易ルートの確立を目指しております。このイニシアティブは、輸送コストの削減、貿易の拡大と関係する全ての国への新しい市場開拓、ASEAN加盟国の発展を促進するのに役立つとされております。
これらのRCEP関連の取組により中国と連携を実質的な活動を通して目指しながら東アジアの経済的な一体化を高めていくということが、この米国によるTPPへの何らかの回帰といったものをより平和的に促していくことに貢献するのではないかと拝察いたします。
アジア太平洋地域の分散型の経済システムの構築は、これまでその国の地場企業としてのみ操業してきたサービス関連を含みます中小企業のグローバル化を後押しし、日本は多国間協力枠組みとして分散的、後方支援的な地域協力を目指していくということを明確化した上で、その政策姿勢をパブリック外交としてあらゆる機会に発信していくべきではないか、このように拝察しております。
私からは、一旦、以上でございます。ありがとうございました。
鴻
増
増山幹高#7
○参考人(増山幹高君) 政策研究大学院大学の増山と申します。今日は意見を述べさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。
こちらの、中身はない分ちょっとカラフルな資料を御用意させていただきましたので、こちらを使ってお話をさせていただきたいと思います。
今までの方と違いまして、私は外交の専門家でも国際関係の専門家でもございませんので、そういった経験に基づいてお話をすることはできません。今回、事務局からこのお話をいただきましたときに、私なんぞで何かお役に立てるんでしょうかとちゅうちょもしたんですが、これまでのヒアリングでも専門家の方々から実践的、実務的な意見を聞いてこられており、今日のお二人にもありましたように、そういった意見も聞いた上で、補足的なものとして、議会の制度的な観点から、理論的な観点から議会の外交とか政党や議員による外交といったものがどのように捉えられるのかということを説明せよということでございましたので、そういうことであるならば私も何がしかお役に立てるのではないかと参った次第です。
私の専門は政治学でございまして、特に議会の制度を研究しております。この数年は、国会の審議映像をいかに活用できるのかとか、会議録では分からないような議会の時空間を映像ですとか音声を利用して理解しようと努めてきております。
一方、政策研究大学院大学、御存じの方は御存じだと思いますが、ミッドキャリアの公務員を対象にした大学院でございまして、主に、三百名ほど修士課程でいいますとおりますが、その三分の二以上は海外からの留学生でありまして、そういった毎年五十か国以上の国々からの公務員が私どもの大学で勉強しておりまして、将来それぞれの母国のリーダーとなるよう励んでいるような大学です。
そういう意味では、私も、外交とは言えないにしても、日本の国際貢献の何がしか一端を担っているのではないかと思いますので、そういった観点から少しお話をさせていただきたいと思っておりますが、大学の政治学概論のようなお話をさせていただくことにもなりますので、少し実務、実践から距離を置いた制度の理論、デザインの問題としてお聞きいただければ幸いです。
お手元の資料を一枚おめくりください。余り小難しい話になってもいけませんので簡単なキーワードで申しますと、余りにも一般的かもしれませんが、議院内閣制と大統領制というのが大きな政治制度を分けるものになります。釈迦に説法ではございますが、その本質的な違いとは、権力をいかに分かち持つかというところに懸かってきまして、究極的には、行政権を握る者がどうやって選ばれるのか、またその行政権が誰に対して責任を持って行使されるのかというところに帰着します。
そういう意味で申しますと、大統領制というのは、行政権をつかさどる大統領が国民に直接選ばれて、大統領が行政権を国民に対して責任を持って行使するという制度と言うことができます。大統領は立法権をつかさどる議会に対しては抑制と均衡の関係にありまして、これを我々は権力の分立と言っておるわけです。一方、議院内閣制というのは、行政権をつかさどる内閣、なかんずく首相が議会の信任に依拠して、議会に対して責任を持って行政権を行使する制度ということになります。
こうした信任関係が成り立つ限りにおいて立法権と行政権というのは一体不可分となり、権力が融合することによって政治は国民に対して責任を持った権力行使が可能になるという制度でございます。
また、政治制度の重要な一部として選挙制度がございまして、我々は小選挙区だとか比例代表制ということをよく用いますけれども、こういった選挙制度も大きく分けますと、有権者が投票するときに何を意識して投票するかということで分かれてきます。大きく分ければ、有権者が投票するときに、政権を意識するか、あるいは有権者自らの意見をより良く代弁する代理を選ぼうとするのかというところに帰着していきます。
そういう意味で申しますと、典型的には、小選挙区というのは、有力候補者二人の競争を促して二大政党制が実現することによって選挙を有権者にとって政権選択の機会とするものです。一方、比例代表制というのは大選挙区における議席配分の方式でして、選択肢が多いほど有権者の意見分布を比例的に反映することが可能となって、それは多党制をもたらし、選挙は有権者にとって代理選択の機会となるものです。
一枚おめくりください。こちらの図は、一つ目のポイントである立法権と行政権の分離というものと立法権の共有、専有というものを一院制か二院制かの問題として両者を組み合わせて図示しております。権力の融合、集中、権力の分立、分散という問題は左上から右下の対角線上の軸として捉えることができます。
一枚おめくりください。こちらの図は二つ目のポイントをやはり図示しておるものなんですが、選挙制度と議会制度の分権度というものを組み合わせております。選挙を通じた代表と議会を通じた立法とにおけるそれぞれの権力の融合と分立というものを表現しているものでございまして、左上の政権選択受動議会というのは、選挙制度としましては小選挙区制を採用し、選挙が政権選択の機会となると。内閣に権限を集約させて、議会は集権的な制度を採用すると。この場合、議会の役割というのは、極端に申せば内閣を誕生させる瞬間で役割は果たされるわけです。したがって、議会ですべきことというのは内閣が主導する立法を実現させることでして、それを通じて与党は現政権の存続を有権者にアピールする、野党は代替的な政権構想を有権者にアピールするということになります。
一方、右下の代理選択能動議会というのは、選挙制度としては比例代表制を採用し、選挙が代理選択の機会となるとともに、議会制度は比較的に自立的な委員会制度といった分権的な制度を採用しまして、議会で繰り広げられる政党間の交渉というのは、議院内閣制といえども、与野党にかかわりなく、立法のあらゆる段階において可能な限りの権限を行使し、政策的な実利を勝ち取っていくというゲームになります。
これらの二つのポイントを更に組み合わせますと、原点に権力が一元化された小選挙区制による一院制の議院内閣制がありまして、そこから権力の多元化によって立体的な空間が広がって、その一方の極に比例代表による二院制という分権的な議会制度が採用されて、また別に行政権をつかさどる大統領が国民から直接選ばれるといった政治制度が位置付けられることになります。
こうした権力の融合、分立度に応じて、政治家の皆様の当選、再選というものも、政権の命運とともにあるべきなのか、あるいは政治家個人の資質、能力、活動といったものが重視されるのかということに関わってまいりまして、それに応じて政党の凝集性というものもおのずと異なってきます。権力の多元化が進めば、議員の皆様のその黒子としての舞台回しの能力だけではなくて、舞台に上がって見せる部分の役割も重要になってきます。有権者の方もそうした政治的環境の下に順応して議員や政党を評価するようになってくる、こういうのが政治制度の在り方だということでございます。
一枚おめくりください。では、こうした政治制度の権力融合、分立という観点において日本はどこに位置するのかということです。御案内のように、現行の選挙制度で申しますと、小選挙区制というのは衆参の議席でいいますと約半分ぐらいになりますので、先ほどの政権選択か代理選択かというと中間的な位置付けになるわけです。
一枚おめくりください。もちろん、言うまでもなく憲法は衆議院と内閣においてのみ信任関係を求めておりますので、日本の議院内閣制における権力の融合というのは衆議院においてのみ作用すると言えます。
したがって、政治制度の比較という観点でいいますと、まさしくこの参議院が日本の議院内閣制を位置付けて特徴付けているのでありまして、首相指名、予算、条約、会期といったことを除けば衆参は対等に位置付けられておりまして、憲法は、釈迦に説法ではございますが、立法における両院の一致というものを求めております。
内閣との関係におきましては、例えばイタリアの上院などとは異なりまして、日本の参議院は解散もなく半数改選で、継続の院としての特徴付けがなされております。内閣とは信任関係もなく、むしろ大統領制のような権力分立の関係にあるというのが参議院の制度的な位置付けです。
さらに、衆参両院とも比較的に分権的な委員会制度というのを採用しておりますので、議会制度という観点でいいましても日本は中間的な位置付けになってまいります。
そこで、三ページの図の方に戻っていただきますと、じゃ、日本の議院内閣制はどこに位置付けられるかということでありますが、縦軸においては、二院制ですので相対的に言えば下側にありまして、横軸で、立法権と行政権の分立の問題でいいますと、参議院がありますのでかなり中央寄りということになります。
さらに、四ページの図で申しますと、選挙制度的にも議会制度的にも中間的なものと捉えられますので、この両者のポイントを重ね合わせますと、この権力融合、分立の政治制度的な空間において日本はほぼ真ん中にあるというのが日本の政治制度的な特徴です。
このような政治制度的な環境において繰り広げられてきたのが日本の政党政治でありまして、比較的に代理選択的要素の強い選挙制度を通じて、緩やかな連合体としての与党が長く政権の座にあり、立法に関しましてはそうした与党の了承を得るということが政府・与党関係の焦点となってまいります。国会では、与党は内閣主導の立法の実現を目指そうとし、野党の先生方がいる前でなんですけれども、野党としては政権の受皿としてまとまることは少なく、また一方で政策的な交渉を制度化するにも至っていないというのが日本の政党政治の現状だろうと思われます。
一枚おめくりください。こういった政党政治の状況を視覚的に表現するものとして御用意しましたのがこのグラフでありまして、これは、衆議院の総選挙における自民党と自民党でない最大の政党の全国総得票数を時系列で示しております。破線は並立制が導入されてからの比例代表部分を示すものでして、青の実線が自民党の総得票数、赤の実線が自民党でない最大政党の全国総得票数ということになります。
したがって、この図から明瞭だと思いますけれども、両勢力が拮抗するのは二〇〇〇年代に入ってからということで、せいぜい、目で見ていただければ分かるんですけど、二〇〇五年か二〇〇九年ぐらいしかないわけです。二〇〇九年に政権交代が起こったというのも、その非自民党勢力が初めて、それも日本においては一回だけになってしまうんですけれども、政権の受皿としてまとまったということが唯一の要因なわけです。それ以外の時期におきまして、日本の有権者は政権選択の機会を提供されたことがないというのが日本の政党政治であります。
一枚おめくりください。同様のものを参議院について見ましたのがこのグラフでして、二大勢力の参議院通常選挙における全国総得票数の推移というものを示しております。
参議院におきましては、この二大勢力の拮抗というのは、衆議院に先立ち、一九八九年の選挙で起きております。一九八九年の選挙というのは、御案内のように、消費税、リクルート、総理の女性問題という、日本では珍しいことなんですけれども、が起きまして、自民党が初めて参議院の過半数を失うということになった選挙です。これ以降、単独で参議院の過半数を占めるという政党がいないという状況が長く続きまして、これが連立政権時代の端緒になったとも言えます。
ですから、政治制度的な観点から申しますと、参議院というのは、本来は内閣と信任、不信任の関係にあるわけではないんですけれども、制度的に、憲法の求めるところによって立法権を衆議院と共有し、立法においてほぼ対等な関係にあるがゆえに、内閣としては議会の基盤を盤石とするために衆議院と同様の政党化を参議院にも求めてこざるを得ないわけです。
ですから、逆説的ではありますけれども、参議院の権限が強いがために政党化の圧力にさらされるということで、それによって政党政治というのは、政権選択のアピールをすることもなく、分権的な議会制度や権力分立的な政治制度で起こり得るであろう政策的な実利交渉も定着しないまま、参議院の皆様は直接政権の批判と関係のないようなもので選挙で御苦労されているというところが参議院の制度的ジレンマとも言えます。
少し時間も押しておりますので次のグラフははしょらせていただいて、質問のときなどで時間があればお話ししたいと思いますけれども、るる制度論をお付き合いいただきましたけれども、最後に少し国際的なことに触れさせていただいて終わろうと思います。
政治学者として近年個人的に驚いたというか興味深いと思いましたのは、二〇一六年のイタリアにおける憲法改革の失敗という事例です。この憲法改革というのは、参議院の皆様は特に関心がおありかもしれませんが、改革案としては上院の権限、議員数を大幅に削減するというものでして、御案内のように憲法改正案は国民投票で否決されて、実現しておりません。
私にとって興味深かったのは、そういった上院にとっては自滅的な法案というのがなぜ上院自身が支持したのかということです。国民投票というので否決された理由は、アンチ既成とかアンチエスタブリッシュメントを標榜するいわゆる五つ星運動というものの影響が指摘されておりますけれども、こういった潮流には政府や政治に対する全般的な不満、不信というものが背景にあったのだと考えられます。
このイタリアの憲法改革につきまして、私が編集に関わっている専門誌で、実はこちらにいらっしゃいます猪口先生が名付け親でもある専門誌なんですけれども、それにイタリア人の友人に小論を寄稿してもらっておりまして、そこでは彼はコンスティチューショナルデマゴギーとコンスティチューショナルペダゴギーということを申しておりまして、私はそれをそれぞれ憲法の大衆扇動、憲法の市民教育と訳しております。昨今憲法論議が盛んになっておりますところ、私はこの指摘はとても重要だと思っておりまして、特に日本の政治制度とか参議院の在り方を考えるに当たっては重要だと思っております。
日本の有権者が長く置かれてきた政権選択でも代理選択でもないというフラストレーションはかなりたまっていると思っておりまして、何かをきっかけにそれが一挙に反理性主義的な傾向を強める可能性はなくはないと思っております。その中で、政治制度について冷静な議論、理解がないままに、勢いや単なる批判だけで我が国の行方が左右されるのではないかということを非常に懸念しております。
外交につきまして私は専門的なことは何も申せませんが、こういったこれまでの調査でも諸外国における議会内外の取組を検討されてきたと伺っておりますが、そういった取組も、それぞれの国の制度、社会経済、歴史、文化的な環境の上に成り立って機能しているものだと思います。諸外国の取組を学ぶこと自体は大変結構なことだと思うんですけれども、その部分的にいいところだけを異なる環境に接ぎ木しても、機能すべきものも機能しないというのが私の見解です。
例えば、アメリカ的な権力分立の環境で二大政党が対峙する中において、例えばシンクタンクといったものも、それが政策的なアイデアの源泉となり、資金的にも競合するがゆえに成り立っていくのがシンクタンクの在り方であり、これはシンクタンクにとどまらず、ほかの準公的な組織的な取組にも当てはまろうかと思います。
また、ヨーロッパであればEUの枠組みを度外視するわけにもいきませんし、先ほどASEANといった指摘がございましたように、そういう環境の中でどういった取組ができるのかを考えるべきだと思います。
また、例えばドイツにつきましては、例えばですけれども、議会、政党、行政というのが非常に密な社会でありまして、例えば公務員の立場を維持したまま議会職員になったり政党職員になったりという雇用関係が成り立っておるわけですね。そういう環境において機能する組織というものは、そういう環境にないところに移植しても機能しないのではないかと思っております。
今朝のニュースでもございましたけれども、例えば韓国の議員が竹島の問題で何かをするというのも、これももちろん文化や彼らの主義主張にも関わっておりますが、韓国の大統領制ということを考えれば分からなくもない行動というふうに理解できるのかもしれません。
こういった外交の外縁ということを拡充していくこと自体は大変結構なことだと思いますけれども、それは単に交流レベルのものなのか、何がしか政府間の関係であるのかといったこと、また、それを通じて何を目指すのかといったことの議論があって、その上で人道支援や経済支援といったものが成り立ち得て、それぞれに応じた組織形態といったものも考えていけるんだろうと思います。制度環境によっては機能する場合もしない場合もあろうかと思います。
政治制度についてるる申してまいりましたのも、この日本の政治が政権選択を志向していくのか、代理選択をして志向していくのかがまさしく参議院の皆様に懸かっておりまして、この世の中で文書の書換えだとか首相案件だとか騒いでいるときにこういう調査会をやられるというのも参議院の見識だと思うのですが、そういった環境にあるということが参議院が参議院たるゆえんであって、その中でどちらの方向性を示していくのかが、日本の有権者に対してどういう政治を提示していけるかの参議院の皆様の見識の在り方かと思います。
議会独自の活動ですとか議会の外交といったものも、そういった権力の多元化の志向の中においては機能するものでありますでしょうし、そういう中においては参議院の独自性、組織的な活動というのは奨励されるべきものだと思います。しかし、もし日本の政治制度が政権選択といったものを目指すべきなのであれば、むしろそういった多元的な取組というのは責任所在の不明確化につながるかもしれません。
最後に、言わば交通ルールと同じですけれども、何らかの規制、制約を受け入れるがために我々は公共的な利益としての交通の安全ですとか安心を得るわけです。それと同様に、参議院も立法権の共有という権限に固執すればするほど政党化の圧力にさらされることは変わりません。ですから、参議院の永遠のテーマかもしれませんけれども、参議院独自の活動、議員独自の活動というものが評価されるには、何らかの権限の放棄なり制約というものを同時に考えていただくのが必要かと思います。
長々となりましたが、どうも御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →こちらの、中身はない分ちょっとカラフルな資料を御用意させていただきましたので、こちらを使ってお話をさせていただきたいと思います。
今までの方と違いまして、私は外交の専門家でも国際関係の専門家でもございませんので、そういった経験に基づいてお話をすることはできません。今回、事務局からこのお話をいただきましたときに、私なんぞで何かお役に立てるんでしょうかとちゅうちょもしたんですが、これまでのヒアリングでも専門家の方々から実践的、実務的な意見を聞いてこられており、今日のお二人にもありましたように、そういった意見も聞いた上で、補足的なものとして、議会の制度的な観点から、理論的な観点から議会の外交とか政党や議員による外交といったものがどのように捉えられるのかということを説明せよということでございましたので、そういうことであるならば私も何がしかお役に立てるのではないかと参った次第です。
私の専門は政治学でございまして、特に議会の制度を研究しております。この数年は、国会の審議映像をいかに活用できるのかとか、会議録では分からないような議会の時空間を映像ですとか音声を利用して理解しようと努めてきております。
一方、政策研究大学院大学、御存じの方は御存じだと思いますが、ミッドキャリアの公務員を対象にした大学院でございまして、主に、三百名ほど修士課程でいいますとおりますが、その三分の二以上は海外からの留学生でありまして、そういった毎年五十か国以上の国々からの公務員が私どもの大学で勉強しておりまして、将来それぞれの母国のリーダーとなるよう励んでいるような大学です。
そういう意味では、私も、外交とは言えないにしても、日本の国際貢献の何がしか一端を担っているのではないかと思いますので、そういった観点から少しお話をさせていただきたいと思っておりますが、大学の政治学概論のようなお話をさせていただくことにもなりますので、少し実務、実践から距離を置いた制度の理論、デザインの問題としてお聞きいただければ幸いです。
お手元の資料を一枚おめくりください。余り小難しい話になってもいけませんので簡単なキーワードで申しますと、余りにも一般的かもしれませんが、議院内閣制と大統領制というのが大きな政治制度を分けるものになります。釈迦に説法ではございますが、その本質的な違いとは、権力をいかに分かち持つかというところに懸かってきまして、究極的には、行政権を握る者がどうやって選ばれるのか、またその行政権が誰に対して責任を持って行使されるのかというところに帰着します。
そういう意味で申しますと、大統領制というのは、行政権をつかさどる大統領が国民に直接選ばれて、大統領が行政権を国民に対して責任を持って行使するという制度と言うことができます。大統領は立法権をつかさどる議会に対しては抑制と均衡の関係にありまして、これを我々は権力の分立と言っておるわけです。一方、議院内閣制というのは、行政権をつかさどる内閣、なかんずく首相が議会の信任に依拠して、議会に対して責任を持って行政権を行使する制度ということになります。
こうした信任関係が成り立つ限りにおいて立法権と行政権というのは一体不可分となり、権力が融合することによって政治は国民に対して責任を持った権力行使が可能になるという制度でございます。
また、政治制度の重要な一部として選挙制度がございまして、我々は小選挙区だとか比例代表制ということをよく用いますけれども、こういった選挙制度も大きく分けますと、有権者が投票するときに何を意識して投票するかということで分かれてきます。大きく分ければ、有権者が投票するときに、政権を意識するか、あるいは有権者自らの意見をより良く代弁する代理を選ぼうとするのかというところに帰着していきます。
そういう意味で申しますと、典型的には、小選挙区というのは、有力候補者二人の競争を促して二大政党制が実現することによって選挙を有権者にとって政権選択の機会とするものです。一方、比例代表制というのは大選挙区における議席配分の方式でして、選択肢が多いほど有権者の意見分布を比例的に反映することが可能となって、それは多党制をもたらし、選挙は有権者にとって代理選択の機会となるものです。
一枚おめくりください。こちらの図は、一つ目のポイントである立法権と行政権の分離というものと立法権の共有、専有というものを一院制か二院制かの問題として両者を組み合わせて図示しております。権力の融合、集中、権力の分立、分散という問題は左上から右下の対角線上の軸として捉えることができます。
一枚おめくりください。こちらの図は二つ目のポイントをやはり図示しておるものなんですが、選挙制度と議会制度の分権度というものを組み合わせております。選挙を通じた代表と議会を通じた立法とにおけるそれぞれの権力の融合と分立というものを表現しているものでございまして、左上の政権選択受動議会というのは、選挙制度としましては小選挙区制を採用し、選挙が政権選択の機会となると。内閣に権限を集約させて、議会は集権的な制度を採用すると。この場合、議会の役割というのは、極端に申せば内閣を誕生させる瞬間で役割は果たされるわけです。したがって、議会ですべきことというのは内閣が主導する立法を実現させることでして、それを通じて与党は現政権の存続を有権者にアピールする、野党は代替的な政権構想を有権者にアピールするということになります。
一方、右下の代理選択能動議会というのは、選挙制度としては比例代表制を採用し、選挙が代理選択の機会となるとともに、議会制度は比較的に自立的な委員会制度といった分権的な制度を採用しまして、議会で繰り広げられる政党間の交渉というのは、議院内閣制といえども、与野党にかかわりなく、立法のあらゆる段階において可能な限りの権限を行使し、政策的な実利を勝ち取っていくというゲームになります。
これらの二つのポイントを更に組み合わせますと、原点に権力が一元化された小選挙区制による一院制の議院内閣制がありまして、そこから権力の多元化によって立体的な空間が広がって、その一方の極に比例代表による二院制という分権的な議会制度が採用されて、また別に行政権をつかさどる大統領が国民から直接選ばれるといった政治制度が位置付けられることになります。
こうした権力の融合、分立度に応じて、政治家の皆様の当選、再選というものも、政権の命運とともにあるべきなのか、あるいは政治家個人の資質、能力、活動といったものが重視されるのかということに関わってまいりまして、それに応じて政党の凝集性というものもおのずと異なってきます。権力の多元化が進めば、議員の皆様のその黒子としての舞台回しの能力だけではなくて、舞台に上がって見せる部分の役割も重要になってきます。有権者の方もそうした政治的環境の下に順応して議員や政党を評価するようになってくる、こういうのが政治制度の在り方だということでございます。
一枚おめくりください。では、こうした政治制度の権力融合、分立という観点において日本はどこに位置するのかということです。御案内のように、現行の選挙制度で申しますと、小選挙区制というのは衆参の議席でいいますと約半分ぐらいになりますので、先ほどの政権選択か代理選択かというと中間的な位置付けになるわけです。
一枚おめくりください。もちろん、言うまでもなく憲法は衆議院と内閣においてのみ信任関係を求めておりますので、日本の議院内閣制における権力の融合というのは衆議院においてのみ作用すると言えます。
したがって、政治制度の比較という観点でいいますと、まさしくこの参議院が日本の議院内閣制を位置付けて特徴付けているのでありまして、首相指名、予算、条約、会期といったことを除けば衆参は対等に位置付けられておりまして、憲法は、釈迦に説法ではございますが、立法における両院の一致というものを求めております。
内閣との関係におきましては、例えばイタリアの上院などとは異なりまして、日本の参議院は解散もなく半数改選で、継続の院としての特徴付けがなされております。内閣とは信任関係もなく、むしろ大統領制のような権力分立の関係にあるというのが参議院の制度的な位置付けです。
さらに、衆参両院とも比較的に分権的な委員会制度というのを採用しておりますので、議会制度という観点でいいましても日本は中間的な位置付けになってまいります。
そこで、三ページの図の方に戻っていただきますと、じゃ、日本の議院内閣制はどこに位置付けられるかということでありますが、縦軸においては、二院制ですので相対的に言えば下側にありまして、横軸で、立法権と行政権の分立の問題でいいますと、参議院がありますのでかなり中央寄りということになります。
さらに、四ページの図で申しますと、選挙制度的にも議会制度的にも中間的なものと捉えられますので、この両者のポイントを重ね合わせますと、この権力融合、分立の政治制度的な空間において日本はほぼ真ん中にあるというのが日本の政治制度的な特徴です。
このような政治制度的な環境において繰り広げられてきたのが日本の政党政治でありまして、比較的に代理選択的要素の強い選挙制度を通じて、緩やかな連合体としての与党が長く政権の座にあり、立法に関しましてはそうした与党の了承を得るということが政府・与党関係の焦点となってまいります。国会では、与党は内閣主導の立法の実現を目指そうとし、野党の先生方がいる前でなんですけれども、野党としては政権の受皿としてまとまることは少なく、また一方で政策的な交渉を制度化するにも至っていないというのが日本の政党政治の現状だろうと思われます。
一枚おめくりください。こういった政党政治の状況を視覚的に表現するものとして御用意しましたのがこのグラフでありまして、これは、衆議院の総選挙における自民党と自民党でない最大の政党の全国総得票数を時系列で示しております。破線は並立制が導入されてからの比例代表部分を示すものでして、青の実線が自民党の総得票数、赤の実線が自民党でない最大政党の全国総得票数ということになります。
したがって、この図から明瞭だと思いますけれども、両勢力が拮抗するのは二〇〇〇年代に入ってからということで、せいぜい、目で見ていただければ分かるんですけど、二〇〇五年か二〇〇九年ぐらいしかないわけです。二〇〇九年に政権交代が起こったというのも、その非自民党勢力が初めて、それも日本においては一回だけになってしまうんですけれども、政権の受皿としてまとまったということが唯一の要因なわけです。それ以外の時期におきまして、日本の有権者は政権選択の機会を提供されたことがないというのが日本の政党政治であります。
一枚おめくりください。同様のものを参議院について見ましたのがこのグラフでして、二大勢力の参議院通常選挙における全国総得票数の推移というものを示しております。
参議院におきましては、この二大勢力の拮抗というのは、衆議院に先立ち、一九八九年の選挙で起きております。一九八九年の選挙というのは、御案内のように、消費税、リクルート、総理の女性問題という、日本では珍しいことなんですけれども、が起きまして、自民党が初めて参議院の過半数を失うということになった選挙です。これ以降、単独で参議院の過半数を占めるという政党がいないという状況が長く続きまして、これが連立政権時代の端緒になったとも言えます。
ですから、政治制度的な観点から申しますと、参議院というのは、本来は内閣と信任、不信任の関係にあるわけではないんですけれども、制度的に、憲法の求めるところによって立法権を衆議院と共有し、立法においてほぼ対等な関係にあるがゆえに、内閣としては議会の基盤を盤石とするために衆議院と同様の政党化を参議院にも求めてこざるを得ないわけです。
ですから、逆説的ではありますけれども、参議院の権限が強いがために政党化の圧力にさらされるということで、それによって政党政治というのは、政権選択のアピールをすることもなく、分権的な議会制度や権力分立的な政治制度で起こり得るであろう政策的な実利交渉も定着しないまま、参議院の皆様は直接政権の批判と関係のないようなもので選挙で御苦労されているというところが参議院の制度的ジレンマとも言えます。
少し時間も押しておりますので次のグラフははしょらせていただいて、質問のときなどで時間があればお話ししたいと思いますけれども、るる制度論をお付き合いいただきましたけれども、最後に少し国際的なことに触れさせていただいて終わろうと思います。
政治学者として近年個人的に驚いたというか興味深いと思いましたのは、二〇一六年のイタリアにおける憲法改革の失敗という事例です。この憲法改革というのは、参議院の皆様は特に関心がおありかもしれませんが、改革案としては上院の権限、議員数を大幅に削減するというものでして、御案内のように憲法改正案は国民投票で否決されて、実現しておりません。
私にとって興味深かったのは、そういった上院にとっては自滅的な法案というのがなぜ上院自身が支持したのかということです。国民投票というので否決された理由は、アンチ既成とかアンチエスタブリッシュメントを標榜するいわゆる五つ星運動というものの影響が指摘されておりますけれども、こういった潮流には政府や政治に対する全般的な不満、不信というものが背景にあったのだと考えられます。
このイタリアの憲法改革につきまして、私が編集に関わっている専門誌で、実はこちらにいらっしゃいます猪口先生が名付け親でもある専門誌なんですけれども、それにイタリア人の友人に小論を寄稿してもらっておりまして、そこでは彼はコンスティチューショナルデマゴギーとコンスティチューショナルペダゴギーということを申しておりまして、私はそれをそれぞれ憲法の大衆扇動、憲法の市民教育と訳しております。昨今憲法論議が盛んになっておりますところ、私はこの指摘はとても重要だと思っておりまして、特に日本の政治制度とか参議院の在り方を考えるに当たっては重要だと思っております。
日本の有権者が長く置かれてきた政権選択でも代理選択でもないというフラストレーションはかなりたまっていると思っておりまして、何かをきっかけにそれが一挙に反理性主義的な傾向を強める可能性はなくはないと思っております。その中で、政治制度について冷静な議論、理解がないままに、勢いや単なる批判だけで我が国の行方が左右されるのではないかということを非常に懸念しております。
外交につきまして私は専門的なことは何も申せませんが、こういったこれまでの調査でも諸外国における議会内外の取組を検討されてきたと伺っておりますが、そういった取組も、それぞれの国の制度、社会経済、歴史、文化的な環境の上に成り立って機能しているものだと思います。諸外国の取組を学ぶこと自体は大変結構なことだと思うんですけれども、その部分的にいいところだけを異なる環境に接ぎ木しても、機能すべきものも機能しないというのが私の見解です。
例えば、アメリカ的な権力分立の環境で二大政党が対峙する中において、例えばシンクタンクといったものも、それが政策的なアイデアの源泉となり、資金的にも競合するがゆえに成り立っていくのがシンクタンクの在り方であり、これはシンクタンクにとどまらず、ほかの準公的な組織的な取組にも当てはまろうかと思います。
また、ヨーロッパであればEUの枠組みを度外視するわけにもいきませんし、先ほどASEANといった指摘がございましたように、そういう環境の中でどういった取組ができるのかを考えるべきだと思います。
また、例えばドイツにつきましては、例えばですけれども、議会、政党、行政というのが非常に密な社会でありまして、例えば公務員の立場を維持したまま議会職員になったり政党職員になったりという雇用関係が成り立っておるわけですね。そういう環境において機能する組織というものは、そういう環境にないところに移植しても機能しないのではないかと思っております。
今朝のニュースでもございましたけれども、例えば韓国の議員が竹島の問題で何かをするというのも、これももちろん文化や彼らの主義主張にも関わっておりますが、韓国の大統領制ということを考えれば分からなくもない行動というふうに理解できるのかもしれません。
こういった外交の外縁ということを拡充していくこと自体は大変結構なことだと思いますけれども、それは単に交流レベルのものなのか、何がしか政府間の関係であるのかといったこと、また、それを通じて何を目指すのかといったことの議論があって、その上で人道支援や経済支援といったものが成り立ち得て、それぞれに応じた組織形態といったものも考えていけるんだろうと思います。制度環境によっては機能する場合もしない場合もあろうかと思います。
政治制度についてるる申してまいりましたのも、この日本の政治が政権選択を志向していくのか、代理選択をして志向していくのかがまさしく参議院の皆様に懸かっておりまして、この世の中で文書の書換えだとか首相案件だとか騒いでいるときにこういう調査会をやられるというのも参議院の見識だと思うのですが、そういった環境にあるということが参議院が参議院たるゆえんであって、その中でどちらの方向性を示していくのかが、日本の有権者に対してどういう政治を提示していけるかの参議院の皆様の見識の在り方かと思います。
議会独自の活動ですとか議会の外交といったものも、そういった権力の多元化の志向の中においては機能するものでありますでしょうし、そういう中においては参議院の独自性、組織的な活動というのは奨励されるべきものだと思います。しかし、もし日本の政治制度が政権選択といったものを目指すべきなのであれば、むしろそういった多元的な取組というのは責任所在の不明確化につながるかもしれません。
最後に、言わば交通ルールと同じですけれども、何らかの規制、制約を受け入れるがために我々は公共的な利益としての交通の安全ですとか安心を得るわけです。それと同様に、参議院も立法権の共有という権限に固執すればするほど政党化の圧力にさらされることは変わりません。ですから、参議院の永遠のテーマかもしれませんけれども、参議院独自の活動、議員独自の活動というものが評価されるには、何らかの権限の放棄なり制約というものを同時に考えていただくのが必要かと思います。
長々となりましたが、どうも御清聴ありがとうございました。
鴻
鴻池祥肇#8
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
これより質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言くださいますようお願いをいたします。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言をいただきたいと存じます。
委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示をしていただきますよう御協力のほどお願いをいたします。
それでは、質疑のある方、挙手を願います。
猪口邦子君。
この発言だけを見る →以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
これより質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言くださいますようお願いをいたします。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言をいただきたいと存じます。
委員の一回の発言時間は答弁を含め十分以内となるよう、また、その都度答弁者を明示をしていただきますよう御協力のほどお願いをいたします。
それでは、質疑のある方、挙手を願います。
猪口邦子君。
猪
猪口邦子#9
○猪口邦子君 ありがとうございます。
本日は、アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方のうち、信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題、多国間協力枠組みの在り方等について、三人の参考人から、大変有意義で、また参考になる御意見、分析をいただきまして、まず感謝申し上げたいと思います。
先回、会長、私はここでやはり申し上げましたけれども、この信頼醸成ということは、基本的に国家間、主権平等で、お互いの予測可能性をできるだけ高めていきたい。主権平等でありますから、それぞれ非常に大きな権限を持って国際場裏で行動しますので、予測可能性を高めていく。そして、そのようなことを担うのは人ですから、そういう人材育成、キャパシティービルディングなどについても非常に熱心にやっていく。これが信頼醸成の基本ではないかと思います。
元々、軍縮外交から来ている言葉で、ホットラインを開設するとか、そういうことからの流れで、今日、広い意味で経済連携あるいは地域統合の動きなどもこのような信頼醸成の枠と考えられるようになっています。
そこで、三人の参考人の皆様に、共通するところもありますので、お伺いしてまいりたいと思いますけれども。
まず、経済連携につきましては、元々EUは、大庭参考人そうおっしゃったんですけれども、EUとASEAN、似ているようで、ASEAN流という非常に緩やかな、がちっとした制度化ではなく、よってブレグジットのような激しい退出もまだ予定今のところされていないということでもあると思うんですが、元々そのような経済連携は安全保障上の理由から発生したと思われます。
EUは、史上最大の戦争の結果、戦争が起こることを防ぐには戦争資源である石炭と鉄鋼をその中心のメンバーが共同管理すればいいのではないかということから始まっており、ASEANは、大庭先生がおっしゃったとおり、ベトナム戦争の脅威から発生しているかもしれません。今日、ASEANが軍事的に脅威を感じているとすれば、どういう点に今あるのか。
そして、むしろ非常に懸念していた日本が全く逆の、非常に生まれ変わった心優しい能力の高い国として、また、後方支援という言葉を石戸先生おっしゃいましたけれども、非常に適切な感じのポジショニングをしていくという、そういうことについて、今後ASEANが、安全保障認識、脅威認識と、それから石戸先生のおっしゃった空間経済的なスケールメリットと、あとある程度集積効果で効率がいいということと、そういうことの合わせ技が元々安全保障のことからのみ多分発生したと思われる二十世紀型の地域統合とは違う二十一世紀型の発展をする、こういう可能性について、それぞれ石戸先生、大庭先生、どう考えるかちょっと伺いたいと思います。
それから、大庭先生が説明の中で経済と政治とカルチャーの交流でとおっしゃった。ここが非常にちょっと微妙で、人間社会の発展には私は三つあると思うんですね。まず政治発展、経済発展、そして社会発展なんですね。社会発展ではなくてカルチャーのこと、文化の交流になったということは、じゃ、社会発展とは人権、人道、平等、社会的公正、そういうことの発展の時期というのをASEANという共同体はどのぐらい今後重視したり共通項として持っていくのか。それを余り話さないことによって統合性を維持していくという、そういうちょっとアンビバレントな、しかし非常に課題としては彼らが直面しなきゃならない、そういうことがあるだろうということをちょっと指摘しておきたいと思います。
あと、マルチのこのような枠組み、アメリカはマルチ疲れが出ているわけですね。それは、公共財を提供するとき自分ばかりが負担を負っていると。そういうトラップにASEANが陥らないためにどうしたらいいのかということをそれぞれお伺いしたいと思います。
それから、増山先生には、こういう信頼醸成、そして予測可能性を国家間が高めていくというとき、私が思うのは、重層的な交流及び会議形態が国家間、諸国家間及びマルチの枠にあることが大事で、知識人は知識人、学者は学者、文化人は文化人でいろいろ交流される、そして、経済人はもちろん、大企業だけでもなくというのが石戸先生の話に出てきているわけですね。生産性だから別にベンチャー企業だって輸出のしやすい社会になるというお話でした。ですから、そういうふうになる。
議会人はどうなのかというと、この民主主義の非常に大事な枠組みの中で機能している我々として、なかなかやはり国際交流や国家間の議員団会議などに参加できる機会が制約もされるんですね。そういうのをどう乗り越えて、もちろんお互いに協議すれば、このテーブルのこちらと向こうで協議すればいいことではありますけれども、見識をお伺いしたいと思います。
それで、最近私が思いますのは、年齢も非常に、昔はやっぱり若者交流とか、あるいは生産年齢、でも、これから高齢化する社会の中で、高齢者も国際交流や、そういうですから非常に多層的な交流の中で信頼醸成というのを、じゃ、既に枠のあるASEANとかASEANプラスであるとか、そういうものがあるかなと思います。
お願いします。
この発言だけを見る →本日は、アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方のうち、信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題、多国間協力枠組みの在り方等について、三人の参考人から、大変有意義で、また参考になる御意見、分析をいただきまして、まず感謝申し上げたいと思います。
先回、会長、私はここでやはり申し上げましたけれども、この信頼醸成ということは、基本的に国家間、主権平等で、お互いの予測可能性をできるだけ高めていきたい。主権平等でありますから、それぞれ非常に大きな権限を持って国際場裏で行動しますので、予測可能性を高めていく。そして、そのようなことを担うのは人ですから、そういう人材育成、キャパシティービルディングなどについても非常に熱心にやっていく。これが信頼醸成の基本ではないかと思います。
元々、軍縮外交から来ている言葉で、ホットラインを開設するとか、そういうことからの流れで、今日、広い意味で経済連携あるいは地域統合の動きなどもこのような信頼醸成の枠と考えられるようになっています。
そこで、三人の参考人の皆様に、共通するところもありますので、お伺いしてまいりたいと思いますけれども。
まず、経済連携につきましては、元々EUは、大庭参考人そうおっしゃったんですけれども、EUとASEAN、似ているようで、ASEAN流という非常に緩やかな、がちっとした制度化ではなく、よってブレグジットのような激しい退出もまだ予定今のところされていないということでもあると思うんですが、元々そのような経済連携は安全保障上の理由から発生したと思われます。
EUは、史上最大の戦争の結果、戦争が起こることを防ぐには戦争資源である石炭と鉄鋼をその中心のメンバーが共同管理すればいいのではないかということから始まっており、ASEANは、大庭先生がおっしゃったとおり、ベトナム戦争の脅威から発生しているかもしれません。今日、ASEANが軍事的に脅威を感じているとすれば、どういう点に今あるのか。
そして、むしろ非常に懸念していた日本が全く逆の、非常に生まれ変わった心優しい能力の高い国として、また、後方支援という言葉を石戸先生おっしゃいましたけれども、非常に適切な感じのポジショニングをしていくという、そういうことについて、今後ASEANが、安全保障認識、脅威認識と、それから石戸先生のおっしゃった空間経済的なスケールメリットと、あとある程度集積効果で効率がいいということと、そういうことの合わせ技が元々安全保障のことからのみ多分発生したと思われる二十世紀型の地域統合とは違う二十一世紀型の発展をする、こういう可能性について、それぞれ石戸先生、大庭先生、どう考えるかちょっと伺いたいと思います。
それから、大庭先生が説明の中で経済と政治とカルチャーの交流でとおっしゃった。ここが非常にちょっと微妙で、人間社会の発展には私は三つあると思うんですね。まず政治発展、経済発展、そして社会発展なんですね。社会発展ではなくてカルチャーのこと、文化の交流になったということは、じゃ、社会発展とは人権、人道、平等、社会的公正、そういうことの発展の時期というのをASEANという共同体はどのぐらい今後重視したり共通項として持っていくのか。それを余り話さないことによって統合性を維持していくという、そういうちょっとアンビバレントな、しかし非常に課題としては彼らが直面しなきゃならない、そういうことがあるだろうということをちょっと指摘しておきたいと思います。
あと、マルチのこのような枠組み、アメリカはマルチ疲れが出ているわけですね。それは、公共財を提供するとき自分ばかりが負担を負っていると。そういうトラップにASEANが陥らないためにどうしたらいいのかということをそれぞれお伺いしたいと思います。
それから、増山先生には、こういう信頼醸成、そして予測可能性を国家間が高めていくというとき、私が思うのは、重層的な交流及び会議形態が国家間、諸国家間及びマルチの枠にあることが大事で、知識人は知識人、学者は学者、文化人は文化人でいろいろ交流される、そして、経済人はもちろん、大企業だけでもなくというのが石戸先生の話に出てきているわけですね。生産性だから別にベンチャー企業だって輸出のしやすい社会になるというお話でした。ですから、そういうふうになる。
議会人はどうなのかというと、この民主主義の非常に大事な枠組みの中で機能している我々として、なかなかやはり国際交流や国家間の議員団会議などに参加できる機会が制約もされるんですね。そういうのをどう乗り越えて、もちろんお互いに協議すれば、このテーブルのこちらと向こうで協議すればいいことではありますけれども、見識をお伺いしたいと思います。
それで、最近私が思いますのは、年齢も非常に、昔はやっぱり若者交流とか、あるいは生産年齢、でも、これから高齢化する社会の中で、高齢者も国際交流や、そういうですから非常に多層的な交流の中で信頼醸成というのを、じゃ、既に枠のあるASEANとかASEANプラスであるとか、そういうものがあるかなと思います。
お願いします。
鴻
大
大庭三枝#11
○参考人(大庭三枝君) 努力いたします。
まず、ASEANが感じている今の安全保障の脅威ですが、南シナ海問題の現状変更についてはもちろんです。でも、それは中国だけではなくて、ASEAN諸国それぞれが軍事的な拡大をしておりますので、軍拡をしておりますので、それぞれの相互の問題もあります。
それからもう一つ、テロの問題があります。今、テロが非常に南、東南アジアは増えておりますので、そういった問題がありまして、いずれにしても、中国だけが脅威ということではなくて、近隣諸国間の関係が非常にざわつく状況があると。ただ、それが直接の軍事的脅威とつながるかというのはちょっと疑問です。
それから、猪口先生がおっしゃられた社会的公正の話なんですが、既にASEANは、ASEAN憲章の中で、民主主義、人権その他についてはASEANの目的としておりますので、それなりにそのコンセンサスはあるんですけど、各国の様々な実情というものがここに追い付いていないことがあるということです。
以上です。
この発言だけを見る →まず、ASEANが感じている今の安全保障の脅威ですが、南シナ海問題の現状変更についてはもちろんです。でも、それは中国だけではなくて、ASEAN諸国それぞれが軍事的な拡大をしておりますので、軍拡をしておりますので、それぞれの相互の問題もあります。
それからもう一つ、テロの問題があります。今、テロが非常に南、東南アジアは増えておりますので、そういった問題がありまして、いずれにしても、中国だけが脅威ということではなくて、近隣諸国間の関係が非常にざわつく状況があると。ただ、それが直接の軍事的脅威とつながるかというのはちょっと疑問です。
それから、猪口先生がおっしゃられた社会的公正の話なんですが、既にASEANは、ASEAN憲章の中で、民主主義、人権その他についてはASEANの目的としておりますので、それなりにそのコンセンサスはあるんですけど、各国の様々な実情というものがここに追い付いていないことがあるということです。
以上です。
石
石戸光#12
○参考人(石戸光君) 経済の面ですと、やはり人材育成、キャパビルといったものは大変重要というふうに存じておりまして、私もASEANの方に赴かせていただいたり、いろいろ人材育成に登壇させていただくこともございますが、本当にオープンに会話がはかどりまして、そのオープンなといいますのは、ロビーであったりですとか割とオフレコ的なそういったところでの信頼育成といったものがまさにパブリック外交的で大事なことではないかというふうに思っておりまして、そして、そこにはもちろん中小の企業の皆さん、そして大企業、いろんな方々が付加価値貿易的な観点から関わっていけるようなといったことが、恐らく援助疲れ、マルチ疲れということもなく、つまりお互い貿易を拡大するということは、これは日本にとりましても、それからASEANにとりましても重要なことですと。そういった意味で、ウイン・ウインの関係というのを探っていくということがやはり重要だなというふうに拝察しております。
この発言だけを見る →増
増山幹高#13
○参考人(増山幹高君) 交流ということでいいますと、それは活発にするべきであることには間違いないと思います。
事前の資料にもございましたように、日韓議員連盟というのが先細ってきたのでコミュニケーションが足りないといったこともありますし、そういったことは議員レベルで活動していっていただければ結構かと思います。私どもの大学でも日韓会議というものを隔年でやっておったりしますので、そういったレベルでの活動は必要だと思います。
議員の活動につきまして、全般的なことですが、日本の議員の皆様、あるいは事務局の人たちもそうですけれども、とても忙しいと思います。総理が国会に張り付けられるということについて非常に不満を持たれていますけれども、それは逆に言うと、ほかに議員の方々も一緒にくっついているわけですから、むしろそういうところで日本の日常的な業務の処理に関わらない議員の在り方というのを参議院は参議院で考えていただければ、もう少し議会関係者のそれこそ働き方改革にもつながって、より自由な活動をしていただけるのではないかと思います。
以上です。
この発言だけを見る →事前の資料にもございましたように、日韓議員連盟というのが先細ってきたのでコミュニケーションが足りないといったこともありますし、そういったことは議員レベルで活動していっていただければ結構かと思います。私どもの大学でも日韓会議というものを隔年でやっておったりしますので、そういったレベルでの活動は必要だと思います。
議員の活動につきまして、全般的なことですが、日本の議員の皆様、あるいは事務局の人たちもそうですけれども、とても忙しいと思います。総理が国会に張り付けられるということについて非常に不満を持たれていますけれども、それは逆に言うと、ほかに議員の方々も一緒にくっついているわけですから、むしろそういうところで日本の日常的な業務の処理に関わらない議員の在り方というのを参議院は参議院で考えていただければ、もう少し議会関係者のそれこそ働き方改革にもつながって、より自由な活動をしていただけるのではないかと思います。
以上です。
鴻
小
小林正夫#15
○小林正夫君 民進党・新緑風会の小林正夫です。
今日は、お三人の参考人の方、本当にありがとうございました。大変勉強になりました。
私の方からは、三人の先生に具体的な課題についてお聞きをしたいと思います。
増山先生の方のお話で、参議院に期待する、こういうところもお話を今日いただきました。今ちょうど参議院では選挙制度改革の論議をしているところなんですが、合区をしたり一票の格差をなくすという努力はしてまいりましたけれども、今後の参議院選挙制度の在り方について御所見があればお伺いをしたいと思います。
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私の方からは、三人の先生に具体的な課題についてお聞きをしたいと思います。
増山先生の方のお話で、参議院に期待する、こういうところもお話を今日いただきました。今ちょうど参議院では選挙制度改革の論議をしているところなんですが、合区をしたり一票の格差をなくすという努力はしてまいりましたけれども、今後の参議院選挙制度の在り方について御所見があればお伺いをしたいと思います。
増
増山幹高#16
○参考人(増山幹高君) 参議院選挙の在り方でございますが、今日お話しさせていただきました政権選択か代理選択かという意味でいきますと、参議院の選挙制度というのは代理選択の要素を色濃く持つ制度でございまして、そういった形を望ましいという合意がある場合ですと、今のような比例代表について、非拘束名簿方式で、より個人の資質や特性、活動がアピールできるような制度をより一層推進していけばよろしいかと思いますし、いや、そうではないんだと、野党もまとまって政権を狙うんだという政治体制にしていくというのであれば、むしろそういった個人的要素が入り込む選挙制度というのは望ましくないのかもしれません。
そういう場合は比例代表制度ではなく、まあちょっと極端な話かもしれませんけれども、全国区というのもやめてしまうとか都道府県ごとの代表というものに変えるとか、そういったものも考えてもいいんじゃないかと思いますし、私個人としては、一票の平等という問題は必ずしも全てに優先されるべき問題ではないのかと思います。
ですから、例えば参議院の院というのが地域代表をすべきなのだというのであれば、各県に一人ずつ同じ数の議員を選出するという政治制度でも可能だと思いますし、それはひっきょう、どういう政治制度を目指してどういうことを政治として実現していくかという議員の皆様、国民の合意に基づくものだと思います。
以上です。
この発言だけを見る →そういう場合は比例代表制度ではなく、まあちょっと極端な話かもしれませんけれども、全国区というのもやめてしまうとか都道府県ごとの代表というものに変えるとか、そういったものも考えてもいいんじゃないかと思いますし、私個人としては、一票の平等という問題は必ずしも全てに優先されるべき問題ではないのかと思います。
ですから、例えば参議院の院というのが地域代表をすべきなのだというのであれば、各県に一人ずつ同じ数の議員を選出するという政治制度でも可能だと思いますし、それはひっきょう、どういう政治制度を目指してどういうことを政治として実現していくかという議員の皆様、国民の合意に基づくものだと思います。
以上です。
小
小林正夫#17
○小林正夫君 ありがとうございました。
大庭先生にお聞きをいたします。
先生の御著書の中で、経済についてはインフラ整備に注目をしている、特に地域の連結性にいかに貢献するかという視点を大切にしたいと、このように述べられている御本がありました。
アジア地域において、電力、鉄道、通信、水などのインフラ輸出がこれからもアジアで進められていくと思いますけれども、文化だとか政治体制の違いがある中で何に気を付けていく必要があるのかということと、具体的に原子力発電の建設だとか廃炉事業、これは国外の展開の今後の見通し、特にアジア地域での見通し、どのような見通しをお持ちか。
さらには、インドに高速鉄道を造るということで日印で調印をしています。昨年、新幹線の台車の亀裂が発生をして少し社会的問題になっておりますけれども、これらの問題があるんだけれども、インドの高速鉄道の建設については順調にいくというふうに考えていいのかどうか、この辺についてお聞きをいたします。
この発言だけを見る →大庭先生にお聞きをいたします。
先生の御著書の中で、経済についてはインフラ整備に注目をしている、特に地域の連結性にいかに貢献するかという視点を大切にしたいと、このように述べられている御本がありました。
アジア地域において、電力、鉄道、通信、水などのインフラ輸出がこれからもアジアで進められていくと思いますけれども、文化だとか政治体制の違いがある中で何に気を付けていく必要があるのかということと、具体的に原子力発電の建設だとか廃炉事業、これは国外の展開の今後の見通し、特にアジア地域での見通し、どのような見通しをお持ちか。
さらには、インドに高速鉄道を造るということで日印で調印をしています。昨年、新幹線の台車の亀裂が発生をして少し社会的問題になっておりますけれども、これらの問題があるんだけれども、インドの高速鉄道の建設については順調にいくというふうに考えていいのかどうか、この辺についてお聞きをいたします。
大
大庭三枝#18
○参考人(大庭三枝君) 御質問ありがとうございました。
今、アジアにおいてその連結性の評価というのは、ASEAN単位でも、それから東アジア、そしてもっと広く、もっと拡大したインドも含めた範囲でも非常に重要なテーマでして、ここに日本が関わっていくというのは非常に重要な点だと思います。
ここは正直なところ、しかしながらある種の競争の側面も含んでおりまして、ほかの国々もインフラ整備にかなり、特に中国ですけれども、注力する中で、日本がどのような独自性を出していくかということだと思います。
私は、日本が進めている高度なインフラ整備というのは大事なんですけど、ここを非常に重視しなければいけないのは、中国その他の国々のインフラ整備も今は質は上がってきているということです。中国で何度も高速鉄道乗りましたけど、全然支障、問題ありません。日本では事故の話がクローズアップされますけどそれほど問題はありませんので、もちろん日本の売りとして高度なインフラ整備というのを売りにするのはいいんですけれども、それはかなりライバルの方も相当なレベルで力を付けてきていて、それで先ほどおっしゃられたような政治体制や政治的な価値の問題が絡むと、日本はやはりそのところは譲ってはいけないので、かなり苦しい戦いを強いられるんではないかというのが私の予想です。
それで、原子力はまだ導入しておりませんので、今のところは、それを廃炉も含めてどうだという問題は一部の国を除いてありません。フィリピンは元々あったのをどうするかという話はありますけれども、一般的にはやはり東南アジア全般で原子力については否定的な空気というのが、特に福島原発の後は強まっているというふうに考えております。
インドの高速鉄道ですが、インドの鉄道の歴史はとても古いので、これを新しくするというのは非常に大事なんですけど、インドでいわゆる事業をやること自体の難しさというのが相当あるので、これもスムーズにはいかないけれども、もし日本が貢献できるのであれば、非常にこれは大きな、日本にとってもインドにとっても大きな機会になるのではと考えています。
以上です。
この発言だけを見る →今、アジアにおいてその連結性の評価というのは、ASEAN単位でも、それから東アジア、そしてもっと広く、もっと拡大したインドも含めた範囲でも非常に重要なテーマでして、ここに日本が関わっていくというのは非常に重要な点だと思います。
ここは正直なところ、しかしながらある種の競争の側面も含んでおりまして、ほかの国々もインフラ整備にかなり、特に中国ですけれども、注力する中で、日本がどのような独自性を出していくかということだと思います。
私は、日本が進めている高度なインフラ整備というのは大事なんですけど、ここを非常に重視しなければいけないのは、中国その他の国々のインフラ整備も今は質は上がってきているということです。中国で何度も高速鉄道乗りましたけど、全然支障、問題ありません。日本では事故の話がクローズアップされますけどそれほど問題はありませんので、もちろん日本の売りとして高度なインフラ整備というのを売りにするのはいいんですけれども、それはかなりライバルの方も相当なレベルで力を付けてきていて、それで先ほどおっしゃられたような政治体制や政治的な価値の問題が絡むと、日本はやはりそのところは譲ってはいけないので、かなり苦しい戦いを強いられるんではないかというのが私の予想です。
それで、原子力はまだ導入しておりませんので、今のところは、それを廃炉も含めてどうだという問題は一部の国を除いてありません。フィリピンは元々あったのをどうするかという話はありますけれども、一般的にはやはり東南アジア全般で原子力については否定的な空気というのが、特に福島原発の後は強まっているというふうに考えております。
インドの高速鉄道ですが、インドの鉄道の歴史はとても古いので、これを新しくするというのは非常に大事なんですけど、インドでいわゆる事業をやること自体の難しさというのが相当あるので、これもスムーズにはいかないけれども、もし日本が貢献できるのであれば、非常にこれは大きな、日本にとってもインドにとっても大きな機会になるのではと考えています。
以上です。
小
小林正夫#19
○小林正夫君 石戸参考人にお聞きをいたします。
先ほどのお話の中で、多国間協力枠組みの在り方について述べられました。
新しい枠組みの環太平洋経済連携協定、十一か国で結ばれました。これは、アメリカはTPP交渉、当初入っていましたけれども、十二か国の署名が、残念ながら、トランプさんが大統領になって、米国の雇用を失うと、こういう理由も述べられた上で離脱をされた。
今回の十一か国の枠組みの協定は日本の経済とか雇用にどのように影響を及ぼしてくるのか、また、雇用が増えるとしたらどこの分野の雇用に期待できるのか、この辺についてお聞きをいたします。
この発言だけを見る →先ほどのお話の中で、多国間協力枠組みの在り方について述べられました。
新しい枠組みの環太平洋経済連携協定、十一か国で結ばれました。これは、アメリカはTPP交渉、当初入っていましたけれども、十二か国の署名が、残念ながら、トランプさんが大統領になって、米国の雇用を失うと、こういう理由も述べられた上で離脱をされた。
今回の十一か国の枠組みの協定は日本の経済とか雇用にどのように影響を及ぼしてくるのか、また、雇用が増えるとしたらどこの分野の雇用に期待できるのか、この辺についてお聞きをいたします。
石
石戸光#20
○参考人(石戸光君) TPP11につきまして、やはり米国が抜けてしまったということは、政治的な意味、それからアナウンスメント的には大きなインパクトというふうにはなりますけれども、ただ、その凍結項目といったものを詳しく少し見てみますと、そこまで大きな痛手になるようなものはないように感じておりまして、要は、アメリカが御主張していましたIPR、知的財産権の保護期間ですとか、そういったことを凍結しようというふうなことがTPP11ではないかなと。
ですので、実利としましてはやはりサービス分野、これはGDPで八割、日本でも、それからアメリカでもですね。ですので、ここが雇用を失うといいますのは、再トレーニングといったことがもしなく座しているということですと、先ほどメリッツ効果と申し上げましたけれども、そういったことから競争条件が上がってしまって、結局、座していてはいけないと。ですから、勉強し続けるということがありますと、低生産のサービス部門から高生産のサービス部門の方に雇用が移っていくと。そうしますと、賃金上昇ということにもつながってまいります。それが分散的にもたらされるというようなことが一番大きな起爆剤ではないかなというふうに私は拝察しております。
この発言だけを見る →ですので、実利としましてはやはりサービス分野、これはGDPで八割、日本でも、それからアメリカでもですね。ですので、ここが雇用を失うといいますのは、再トレーニングといったことがもしなく座しているということですと、先ほどメリッツ効果と申し上げましたけれども、そういったことから競争条件が上がってしまって、結局、座していてはいけないと。ですから、勉強し続けるということがありますと、低生産のサービス部門から高生産のサービス部門の方に雇用が移っていくと。そうしますと、賃金上昇ということにもつながってまいります。それが分散的にもたらされるというようなことが一番大きな起爆剤ではないかなというふうに私は拝察しております。
小
鴻
里
里見隆治#23
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
本日は、三人の参考人の先生方、ありがとうございます。
私は、まず、国際関係の話題に入る前に、一番最後に増山先生が御指摘をされていたイタリアの憲法改正の経緯について。
これ、私自身も、その捉え方としては、何かその施策メニューそのものの判定ではなくて、政権そのものに対する賛成反対がそのまま投票結果に出てしまったという、そういう反省があったというような受け止めをしておりますけれども、これを、日本も全く同じ環境でということではないので、そのままうのみにはできないでしょうけれども、この日本に与える示唆といいますか、これについてどう学んでいくべきかという点についてもう少し詳しく教えていただければと思います。
この発言だけを見る →本日は、三人の参考人の先生方、ありがとうございます。
私は、まず、国際関係の話題に入る前に、一番最後に増山先生が御指摘をされていたイタリアの憲法改正の経緯について。
これ、私自身も、その捉え方としては、何かその施策メニューそのものの判定ではなくて、政権そのものに対する賛成反対がそのまま投票結果に出てしまったという、そういう反省があったというような受け止めをしておりますけれども、これを、日本も全く同じ環境でということではないので、そのままうのみにはできないでしょうけれども、この日本に与える示唆といいますか、これについてどう学んでいくべきかという点についてもう少し詳しく教えていただければと思います。
増
増山幹高#24
○参考人(増山幹高君) ありがとうございます。
イタリアの憲法改革の経過ですけれども、既に皆様は御存じだと思いますが、レンツィ政権というものが、上院、それまでイタリアが完全な二院制と言われるような典型の国として、それが政治的な膠着状態の元凶とみなされるに至って、そこで、それを打開するために上院改革というのを起草しまして、先ほど触れましたように、権限を大幅に削減する、議員数を大幅に削減し、議員も直接選挙ではなくて地方自治体からの間接選挙にするというような形に大きく変えるものでありました。
そのこと自体が上院で支持されたこと自体に私は驚いたんですが、今御質問いただきましたように、国民投票の方では、むしろ制度改革の中身というよりは、そこにレンツィ首相の戦略的なミスもあったと思いますが、御自身の政権の命運をその投票に懸けるといったことになってしまいまして、それはその劣勢を盛り返すための戦略だったのかもしれませんが、結果的にはうまくいきませんでした。
そこでの劣勢に至った経過というのが、先ほどちょっと触れました五つ星運動というような欧米各地で台頭してきたある種のアンチエスタブリッシュメント、アンチ既成政党というような大きな流れでして、そこの背景には、さらにヨーロッパにおける移民問題ですとか、それに対する排外主義だとか、保守化、ナショナリズム、右傾化といったものの流れと軌を一にして、政権批判というところにだけ執着してしまって国民投票では合意を得ることにできなかったということでございます。
そこで、私が先ほど触れましたのは、私の友人の議論でいきますと、そういったポピュリスティックな大衆扇動的な状況において、憲法改革というような本当に冷静に議論しなければいけない問題を国民投票にかけてもうまくいくわけはないだろうと。ですから、そこに至るまでに必要な、コンスティテューショナルペダゴギーと彼が言う、まあ私は憲法の市民教育と訳しておりますけれども、そういった土壌を培っていくことが重要であろうし、日本で憲法改革の議論をする際には、特に参議院の位置付けというものを議論して、そこでどういった、参議院としての政権選択を目指す政治に向かうのか、あるいはより個々の議員や政党の活動を重視する政治体制を目指すのかという議論があって、その上で憲法の制度ですとか政治体制の議論をしていくべきなんだろうというのが私の理解です。
以上です。
この発言だけを見る →イタリアの憲法改革の経過ですけれども、既に皆様は御存じだと思いますが、レンツィ政権というものが、上院、それまでイタリアが完全な二院制と言われるような典型の国として、それが政治的な膠着状態の元凶とみなされるに至って、そこで、それを打開するために上院改革というのを起草しまして、先ほど触れましたように、権限を大幅に削減する、議員数を大幅に削減し、議員も直接選挙ではなくて地方自治体からの間接選挙にするというような形に大きく変えるものでありました。
そのこと自体が上院で支持されたこと自体に私は驚いたんですが、今御質問いただきましたように、国民投票の方では、むしろ制度改革の中身というよりは、そこにレンツィ首相の戦略的なミスもあったと思いますが、御自身の政権の命運をその投票に懸けるといったことになってしまいまして、それはその劣勢を盛り返すための戦略だったのかもしれませんが、結果的にはうまくいきませんでした。
そこでの劣勢に至った経過というのが、先ほどちょっと触れました五つ星運動というような欧米各地で台頭してきたある種のアンチエスタブリッシュメント、アンチ既成政党というような大きな流れでして、そこの背景には、さらにヨーロッパにおける移民問題ですとか、それに対する排外主義だとか、保守化、ナショナリズム、右傾化といったものの流れと軌を一にして、政権批判というところにだけ執着してしまって国民投票では合意を得ることにできなかったということでございます。
そこで、私が先ほど触れましたのは、私の友人の議論でいきますと、そういったポピュリスティックな大衆扇動的な状況において、憲法改革というような本当に冷静に議論しなければいけない問題を国民投票にかけてもうまくいくわけはないだろうと。ですから、そこに至るまでに必要な、コンスティテューショナルペダゴギーと彼が言う、まあ私は憲法の市民教育と訳しておりますけれども、そういった土壌を培っていくことが重要であろうし、日本で憲法改革の議論をする際には、特に参議院の位置付けというものを議論して、そこでどういった、参議院としての政権選択を目指す政治に向かうのか、あるいはより個々の議員や政党の活動を重視する政治体制を目指すのかという議論があって、その上で憲法の制度ですとか政治体制の議論をしていくべきなんだろうというのが私の理解です。
以上です。
里
里見隆治#25
○里見隆治君 ありがとうございました。
次に、石戸参考人にお伺いをいたします。
石戸参考人から二国間FTAについて、その功罪をお話しいただきました。プラスの面、それから複数あることについてその貿易ルールが錯綜しかけているという限界について。
私自身も過去にフィリピン、インドネシア、ベトナム等のEPAに関わったことがありますけれども、どうも二国間でやりますと、何かお互いのいいものと悪いものを交換し合ってとんとんにして、何とか交換しましょうと。そうすると、工業分野、農業分野あるいは人の移動でどうしても貸し借りができて、まあ何とか帳尻合わせはするけれども、各分野でそれなりのギャップが生じるという、そういった不満が出てきてしまうのかなと。そこへいくと、やはり今回のTPP11のように地域内でのルール作りをしていくというのは、より高次元の、そういう国際経済活動をしていくという意味ではより高次元のものになるのかなと。
それぞれメリット、デメリットありますけれども、そういう中で、より経済が広域化していく中で今後二国間FTAがどのようになっていくのか。これは消えていくのか、あるいは違う形で残っていくのか、その辺の見通しについてお伺いできればと思います。
この発言だけを見る →次に、石戸参考人にお伺いをいたします。
石戸参考人から二国間FTAについて、その功罪をお話しいただきました。プラスの面、それから複数あることについてその貿易ルールが錯綜しかけているという限界について。
私自身も過去にフィリピン、インドネシア、ベトナム等のEPAに関わったことがありますけれども、どうも二国間でやりますと、何かお互いのいいものと悪いものを交換し合ってとんとんにして、何とか交換しましょうと。そうすると、工業分野、農業分野あるいは人の移動でどうしても貸し借りができて、まあ何とか帳尻合わせはするけれども、各分野でそれなりのギャップが生じるという、そういった不満が出てきてしまうのかなと。そこへいくと、やはり今回のTPP11のように地域内でのルール作りをしていくというのは、より高次元の、そういう国際経済活動をしていくという意味ではより高次元のものになるのかなと。
それぞれメリット、デメリットありますけれども、そういう中で、より経済が広域化していく中で今後二国間FTAがどのようになっていくのか。これは消えていくのか、あるいは違う形で残っていくのか、その辺の見通しについてお伺いできればと思います。
石
石戸光#26
○参考人(石戸光君) 御質問ありがとうございます。
やはり当面は二国間FTAといったものがもちろん存続して、その中でFTAの関税が低いというメリットが享受されていくのかと思いますけれども、やはり長期的にはTPP11といったものが、ひいてはTPP12になりますか、あるいはそれがFTAAP、アジア太平洋全域をカバーする、そういった面の方向になってまいりますと、それではどこにその個別の付加価値があるのかと。
例えば、原産地規則ということでも累積制度といいますものが、御存じのとおり、面のFTAですと地域的な原産ということが認められてまいりますので、そこに二国間ならではの更に深掘りのメリットといった、そんな競争的な効果がありましたら二国間でもメリットはございますでしょうけれども、そういったことでもない限りは、やはり将来的には面的なFTAといったものに収れんしていくのではないかなというふうに拝察しております。
この発言だけを見る →やはり当面は二国間FTAといったものがもちろん存続して、その中でFTAの関税が低いというメリットが享受されていくのかと思いますけれども、やはり長期的にはTPP11といったものが、ひいてはTPP12になりますか、あるいはそれがFTAAP、アジア太平洋全域をカバーする、そういった面の方向になってまいりますと、それではどこにその個別の付加価値があるのかと。
例えば、原産地規則ということでも累積制度といいますものが、御存じのとおり、面のFTAですと地域的な原産ということが認められてまいりますので、そこに二国間ならではの更に深掘りのメリットといった、そんな競争的な効果がありましたら二国間でもメリットはございますでしょうけれども、そういったことでもない限りは、やはり将来的には面的なFTAといったものに収れんしていくのではないかなというふうに拝察しております。
里
里見隆治#27
○里見隆治君 最後に、大庭参考人に教えていただきたいと思います。
最後の方ではしょられていた点で私が聞きたかったのがインドの存在ですね。先ほども若干触れられましたけれども、やはり今後、人口の面では中国を抜いていくと見込まれる大国インドとどのようにその位置付けを持っていくか。ASEANも相当いろいろとお考えだろうと思います。そういう中で、私ども日本としては安倍総理が自由で開かれたインド太平洋戦略というものも掲げているという中で、このインドの存在をASEANはどう見ているか、またどう取り組んでいくか、それに当たって日本はどうそれに関与していくべきか。その辺りを、まとめて済みません、短時間で教えていただければと思います。
この発言だけを見る →最後の方ではしょられていた点で私が聞きたかったのがインドの存在ですね。先ほども若干触れられましたけれども、やはり今後、人口の面では中国を抜いていくと見込まれる大国インドとどのようにその位置付けを持っていくか。ASEANも相当いろいろとお考えだろうと思います。そういう中で、私ども日本としては安倍総理が自由で開かれたインド太平洋戦略というものも掲げているという中で、このインドの存在をASEANはどう見ているか、またどう取り組んでいくか、それに当たって日本はどうそれに関与していくべきか。その辺りを、まとめて済みません、短時間で教えていただければと思います。
大
大庭三枝#28
○参考人(大庭三枝君) ありがとうございます。
インドに関しては、ASEANからの見方としては、明らかに中国の影響力を相対化する存在としてインドの重視ということは行って、今そういう見方をしていると思います。そういう意味では、インドを入れて協力をするということにはそれなりの合理性があるのですが、一方、やっぱりインドというのは非常に地域大国でプライドも高く、それぞれ独自の世界観を持っておりますので、簡単に日本のパートナーになれるような国ではないというふうに私は思っています。
それはASEAN諸国も同様なんですが、それでも、先ほどおっしゃられたような人口の拡大、それから経済発展、政治的な潜在性という観点からもインドは無視できない存在になって、ASEANは明らかに重視の方向ですが、インドとの付き合いにくさというのは十分に分かった上でのことであろうと思いますし、日本もその辺りは、今インドとの連携を非常に深めていますけれども、日本の思いどおりの動きをするというふうに思わずに、その辺りはある程度さめた目で、しかしながら協力を様々な形で、安全保障面においても経済面においても進めていくのがよろしいかというふうに考えています。インドは大変な国だと思っております。
この発言だけを見る →インドに関しては、ASEANからの見方としては、明らかに中国の影響力を相対化する存在としてインドの重視ということは行って、今そういう見方をしていると思います。そういう意味では、インドを入れて協力をするということにはそれなりの合理性があるのですが、一方、やっぱりインドというのは非常に地域大国でプライドも高く、それぞれ独自の世界観を持っておりますので、簡単に日本のパートナーになれるような国ではないというふうに私は思っています。
それはASEAN諸国も同様なんですが、それでも、先ほどおっしゃられたような人口の拡大、それから経済発展、政治的な潜在性という観点からもインドは無視できない存在になって、ASEANは明らかに重視の方向ですが、インドとの付き合いにくさというのは十分に分かった上でのことであろうと思いますし、日本もその辺りは、今インドとの連携を非常に深めていますけれども、日本の思いどおりの動きをするというふうに思わずに、その辺りはある程度さめた目で、しかしながら協力を様々な形で、安全保障面においても経済面においても進めていくのがよろしいかというふうに考えています。インドは大変な国だと思っております。
里