外務委員会

1976-05-20 参議院 全381発言

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会議録情報#0
昭和五十一年五月二十日(木曜日)
   午前十時十一分開会
    —————————————
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     源田  実君     宮崎 正雄君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     宮崎 正雄君     稲嶺 一郎君
     中村 利次君     向井 長年君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         高橋雄之助君
    理 事
                亀井 久興君
                秦野  章君
                増原 恵吉君
                戸叶  武君
    委 員
                伊藤 五郎君
                糸山英太郎君
                大鷹 淑子君
                木内 四郎君
                宮崎 正雄君
                亘  四郎君
                田中寿美子君
                竹田 四郎君
                田  英夫君
                羽生 三七君
                黒柳  明君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                野坂 参三君
                向井 長年君
   国務大臣
       外 務 大 臣  宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  坂田 道太君
   政府委員
       防衛庁防衛局長  丸山  昂君
       防衛施設庁施設
       部長       銅崎 富司君
       科学技術政務次
       官        小沢 一郎君
       科学審議官    半澤 治雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    伊原 義徳君
       外務大臣官房長  松永 信雄君
       外務省アメリカ
       局長       山崎 敏夫君
       外務省欧亜局長  橘  正忠君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    加賀美秀夫君
       外務省経済局次
       長        賀陽 治憲君
       外務省経済協力
       局長       菊地 清明君
       外務省条約局長  中島敏次郎君
       外務省条約局外
       務参事官     伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       大川 美雄君
       大蔵省国際金融
       局長       藤岡眞佐夫君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        井上  力君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       科学技術庁原子
       力安全局原子炉
       規制課長     松田  泰君
       外務大臣官房外
       務参事官     谷田 正躬君
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  本日の会議に付した案件
○日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航
 海条約の締結について承認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
○経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○米州開発銀行を設立する協定の締結について承
 認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国際通貨基金協定の第二次改正の受諾について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際連合大学本部に関する国際連合と日本国と
 の間の協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○核兵器の不拡散に関する条約の締結について承
 認を求めるの件(第七十五回国会内閣提出、第
 七十七回国会衆議院送付)
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高橋雄之助#1
○委員長(高橋雄之助君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
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戸叶武#2
○戸叶武君 議事進行。
 議事進行に関して、名をかりて一言委員長に申し入れを行います。
 この核拡散防止条約の批准の問題は、今国会において重要法案の一つであります。しかし、この問題はもう数年間にわたって論議され尽くし、特に、去年からことしにかけては活発な論議が各党においてもなされておるのでありまして、この核拡散防止条約に対する賛否の立場はありまするけれども、これが万が一にも通らないようなことになると、国際的な信義にも私は関係があり、日本の軍国主義の復活ということに対して警戒の眼を張っているところの近接諸国においても重要な私は反応が生まれてくると思うのであります。そういう意味において、この参議院において重要法案であるから審議は十分に尽くすべきと思いますが、最近における動きを見ると、慎重審議に名をかりて、政界の不安定な状態を背景として、ただいたずらに引き延ばしのための言動があらわれておるのでありまして、これは容易ならぬ事態でありますが、自民党並びに政府においてもこの責任は十分感じておると思いますけれども、私たちは、事日本の国内だけじゃなく、列国にも関係のある問題ですから、この問題を論議をし尽くした最終段階において、総理大臣もここに出席するでしょうが、そういう意味において一日も早くこれを上げてもらいたい、こう思っております。
 そういう意味において、私はいままで理事会においてきょうの質疑の問題も、社会党は質疑をしないで促進をしようとしたのは、質疑を無視するわけじゃありません。もう質疑の段階ではなくて採決の段階にまできている、最終的な私は締めの段階にきていると思うんですが、自民党側の党内対策のために、いわゆるタカ派の人たちの無責任と思われるようなあの速記録が外国に行ったならば、日本は一体何を考えているのかということの誤解を必ず生ずるような、日本の国会の威信にも関するような言動が放たれているんでありまして、このことは、言論の自由と言いながらも、政府並びに自民党が大きな責任を後でしょわされることになります。言論の自由のあるところですから参考になるにはいい見本でありますけれども、そういう意味のことを踏まえて、もう少し委員長は参議院の外務委員会の権威のために、責任ある態度をもってこの問題と取り組んでいってもらいたい、私たちはそういう意味において、審議を放棄したのではないんです。やはり最終段階における総理大臣の出席のもとにおいて問題点を集約して質問なり質疑なりを行って、そして一日も早く、できるなら二十一日でも二十二日でもこれは採決して上げるべきだと思うんです。この態度がはっきり政府側に並びに委員長において表明せられない限り、私たちはこの委員会において協力することが困難になってきておりますので、そういう意味における警告の意味を含めて、私たちは本日は質疑は引き下がるという形で、自民党の態度を見守ることにいたします。
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高橋雄之助#3
○委員長(高橋雄之助君) ただいま戸叶委員の発言でございましたが、その発言をそんたくして事を進めてまいりたい、かように委員長は考えておりますので御了承いただきたいと思います。
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高橋雄之助#4
○委員長(高橋雄之助君) まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十九日、源田実君が委員を辞任され、その補欠として宮崎正雄君が選任されました。また本日、中村利次君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。
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高橋雄之助#5
○委員長(高橋雄之助君) 日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件
 経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件
 米州開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件
 及び、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(いずれも衆議院送付)
 以上四件を便宜一括して議題といたします。
 これより四件の質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
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竹田四郎#6
○竹田四郎君 私に与えられた時間がこの四つの案件で五十分ということでございますので、ひとつ答弁側の皆さんに簡略に要を得て御答弁をいただかないと、時間がすぐ過ぎ去ってしまいますので、お願いをしておきたいと思います。
 まず、米州開発銀行に関する件について若干質問をいたしたいと思います。今度、域外国から金を集めるということになるわけでありますが、米州だけで資金が調達できないという理由は一体何なのか、その辺をお伺いしたいと思います。
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菊地清明#7
○政府委員(菊地清明君) お答えいたします。
 米州開発銀行は、従来域内の二十二カ国プラス米国、カナダ、この二十四カ国が加入国になっておりました。それで中南米の発展途上国の経済社会開発に寄与してきたわけでございますが、御承知のように、中南米諸国の域内の経済開発のための資金需要というのは大変膨大でございまして、米州開発銀行だけに関してみましても、その融資状況を見ますと毎年二六%ぐらいずつ増加しております。このように、大変資金需要が大きいものですから、従来の域内だけの加盟国の出資ないし拠出金だけでは原資に事欠くということになりまして、域外の国からも出資及び拠出を求めようということになったわけでございます。同時に、域外の加盟国十二カ国でございますが、従来中南米の諸国に関していわゆるバイラテラルにすでに経済協力、資金協力をやってきておったわけでございますが、この際、そういった米州開発銀行の資金需要の増大にもかんがみまして、こういった地域銀行を通ずる経済協力という方法もとっていきたいといった願望が一致いたしまして、域外国の新規加盟ということになった次第でございます。
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竹田四郎#8
○竹田四郎君 アメリカはこれに対していままでどういう努力をしてきたんですか。少なくともいままでの形では、米州のことは米州でという形でのモンロー的な考え方というものが私はかなり強くあったと思うわけでありますけれども、そういう意味では、何といっても最大の資金供与国であるアメリカ、そして米州全体におけるところの主導権を持っているというのはやっぱりアメリカだろうと思うのですけれども、そういう意味では第一次的なこれに対する責任というのはアメリカが負うべきであるというふうに思うんですが、アメリカは一体どういう努力をいままでこのためにしてきたのか。
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菊地清明#9
○政府委員(菊地清明君) 仰せのとおり、この米州開発銀行というのはきわめて地域性が強いといいますか、域内の独立性といいますか、リージョナリズムの性格が非常に強いわけでございます。それに加えまして、米州大陸の経済大国であります米国が参加してきおったわけですが、従来、米国はこの米州開発銀行の協定上は投票権の三四・五%以上のものを持っておりまして、つまりこれだけの投票権を持っているということは、それだけの資金供給を行っているということでございます。
 この米州開発銀行には通常業務基金というのと特別業務基金というのがございますが、前の方の通常基金の方では米国のシェアが四〇%を超えておりますし、特別業務基金の方は七一・二%ということになっております。したがいまして、米国の発言権が大きいと同時に、資金協力の範囲も非常に大きかったというふうに見るわけでございます。今回も、米国は自国だけではラ米内の資金需要というのは賄わないということでございまして、域外国の加盟を積極的に歓迎するということをやっております。ですから、米国としても資金の確保といいますか、米州開発銀行が適切に運営されるということに関しては、発言権もございますが、同時に義務も履行しているというふうに見るべきではないかと思います。
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竹田四郎#10
○竹田四郎君 いまの質問と関連して外務大臣にお伺いしたいと思うのですが、アメリカはこの協定の、域外国の加盟というこの協定の成立、このことに関連しまして、やはりいままでわれわれが受けているモンロー的な考え方、米州のことはとにかくアメリカがやるからおまえら口出すな、こういう考え方について、やはりアメリカ自体が大きな変更を迫られている、あるいは大きく変更をしていくのだというふうな態度とかあるいは何らかのそういう表明とか、そういうようなものは期待されるんですか、どうなんですか。それとも、いままでと同じように、金は出せ、しかし米州のことはおれがやるからおまえたち余り入って来ちゃ困る、口を出すな、金は出しても口を出すな、こういうふうな態度なのかどうなのか。これはどうなんですか。
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宮澤喜一#11
○国務大臣(宮澤喜一君) かつてアメリカは米州、ことにラテンアメリカに対しましてかなりはっきりした影響力を確立しておった時代が御承知のようにございましたけれども、いろいろボゴタで事件がありましたりいたしましたころから、そのような関係に変化が見られるようになり、そうしてやはり一般的ないわゆる南北問題の帰趨とも無関係ではなかったと思いますが、かつてのラテンアメリカに対するアメリカの態度というものは実際問題として修正を迫られるに至っておったと思います。そうしてそれにもかかわらず、しかし幾つかの国はかなり、いわゆる自由主義経済あるいは民主主義体制ということから見れば違った方向へまいりました。その間、アメリカの権益が接収されるというような事態も起こりまして、基本的に非常に大きな変化がその間に、この十数年の間に生まれたと考えます。
 しかし、そのようないきさつがありました結果として、従来の、かつてのラ米に対するアメリカの態度というのは現在になりますと非常に変化をしてきた、いわば柔軟に対処をすることの方が賢いというふうに変わってまいっておるように考えておりまして、かたがた、これらのかなりの国が自立能力を十分に本来ならば持っておる国でございますこともありまして、アメリカの現在のラ米に対する態度というものは、かつてのそれとは著しく異なったものになっておる。いわゆる余り体制というものに神経質にならずに協調路線を歩こうというのが基本になっておるのではないかと見ております。
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竹田四郎#12
○竹田四郎君 それにもかかわらず、恐らく具体的にはこういう国々の経済的な支配というのはアメリカ資本によって実際支配されていると思うんです。しかも、それらの資本というのはかなり巨大な資本によって支配をされているというのが恐らく、私行って見たわけではないですけれども、現状であろう、こういうふうに思うわけです。だから、幾らそういうことでアメリカが柔軟に対処しよう、いままでの戦略を変えよう、こう考えても、資本の論理からいきますと、やはりいままでの自分たちの権益なりあるいは領域なり、そういうものは当然守ろうとするのは、私は資本の論理として当然であろうと思うわけですけれども、口ではそういう形、あるいは態度ではそういう形をとっていても、やはり入っていくのに大きな障壁がある、これでは実は困ると思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
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宮澤喜一#13
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、アメリカのラテンアメリカに対する投資は非常に長い歴史を持っておりますから、それが一朝にしてどうなるというふうに私は別に考えませんけれども、しかし、幾つかの国において見られますように、それらの資本が接収をされるというような事態に対して、かつてのアメリカでありましたら、これはあるいは武力にでも訴えたであろうかもしれないような事態でありましたけれども、世界の情勢はそういうことをもはや認めないという情勢に現実になっておりましたし、アメリカ自身もまたそのようなことはあえていたさなかったということから見ますように、今後アメリカとしては、もとよりラ米に非常に大きな関心を持つことは当然といたしまして、かつてのような一種の力による、これは力というのは武力による場合もありましょうし、金力による場合もあろうと思いますが、そういう一本調子の関係というものは続けられなくなっておる、そういう事態として考えなければならないというのがアメリカ側の基本的な認識ではないかというふうに考えております。
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竹田四郎#14
○竹田四郎君 この米州開発銀行によりますと、公私の投資を促進するということがその目的の第一に挙げられているという事態でありますけれども、現実に、いままでの米州銀行の融資で公私の、公的資本と私的資本との割合というものは具体的にどんなふうになっているわけですか。
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菊地清明#15
○政府委員(菊地清明君) 仰せのとおり、協定第一条第二項によりますと、「公私の資本の投資で開発を目的とするものを促進する」ために米州開発銀行が融資するということになっておりますけれども、現実には、圧倒的に貸し付けの相手は開発途上国政府ないしはその政府機関、行政機関でございまして、加盟国の領域内にある企業に対しても行われておりますが、きわめて少ないわけでございます。例外的にブラジルとかアルゼンチンのように比較的中進国的な国に対しては企業に貸し付けたことはございますが、歴史的に申しますと、最初は企業に貸し付けておったんですが、その後は、企業に貸し付ける場合でも政府ないし政府機関の保証をとるという制度に変わってきておりますので、事実上はもう相手は政府というふうに見た方がよろしいんではないかと思います。
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竹田四郎#16
○竹田四郎君 貸し付け融資額を見ていきますと、ブラジルとかアルゼンチンとかメキシコとか、こういうところがかなり圧倒的に高いというふうに見てもいいわけですが、一人当たりの国民所得を見てみましても、これらの国々というのはかなり高いように私は思うんです。最大だとは言えませんけれども、かなり高い国々がその資金を多く使っている。むしろ、民度を上げていく、そういう立場でこういうものは私は原則的には利用されなければならない、こういうふうに思うわけでありますけれども、たとえば、多いところでアルゼンチンというのは七三年に国民所得が一人当たり千六百四十USドルですか、こういうふうになっておりますし、ブラジルにいたしましても七百六十ですから平均より高いところにある。あるいはメキシコにいたしましても八百九十USドルという形で高いところに集中している。本来ならもう少し低いところ、低い国がまだまだあるわけですよ、三百三十とかあるいは五百台のところもかなりある。あるいはハイチなどは百三十、こういう低いところがあるわけですが、むしろそういうところの産業を開発していくというふうに私は使わるべきじゃないか。そういう意味では米州開発銀行のいままでのやり方というのが、最近における南北問題とか、そういう立場から見ますと大変奇異な感じを受けるわけでありまして、いままでのアメリカの植民地経営の一種としての融資というふうな感じすらするわけです。しかも、ブラジル、アルゼンチン、あるいはチリのことは有名でありますけれども、こういう国々というのは、いずれも軍事独裁国家の様相を現実には示しているわけです。そして、その後ろには、どうもブラジルの政変、こういうことを見ましても、後ろにはアメリカの石油の多国籍企業というようなものが介在しているんではないだろうか。あるいはチリの政変についても、チリは余りいま関係がないようでありますけれども、チリの政変にいたしましても、これはアメリカの上院の調査で明らかなように、ITTやあるいはCIAというものがかんでいた、こういうことが明らかであるわけであります。そういう意味では、確かに米州開発銀行の方針というのはそういう政治的なものにかかずらわってはいけないということが明確に規定されておるにもかかわらず、われわれとしてはそうした多国籍企業というものの介入といいますか、そういうものが現にあることは、これは私は事実であろうと思うんです。しかも、そういう国々にたくさんの金がいっている。今度はわれわれの国民の税金もそれに入っていくということになりますと、日本国憲法の条章に関連してもこれはちょっと何か奇異な感じを抱かざるを得ないということなんですよ。いままでの長い米州銀行の歴史があったと言えばそれまででありますけれども、その辺には何か大きな変化といいますか、そういうものを国民に明らかにしていただかないと、せっかく、われわれの金がそうしたところの非民主的な国のために使われる、そういう政府のために使われるということになりますと、何かトラブルメーカー的に金を出してやっている、こういう印象を私は免れないと思うんですよ。その点は加盟とともにどう改善していかれるのか、その辺をはっきりしていただきたいということだと思いますね。だから、見まして、どうも本当に民度を上げていくという開発ではなしに、こうした国々の原材料をより多く各国に売って、米州の一次産品、その後ろには、さっき申し上げましたようにアメリカ合衆国の圧倒的優位のもとに、具体的には中進国といいますか、あるいは後進国といいますか、途上国の名前によって強力な輸出推進が行われていく、そして、一層植民地経済の様相というものが深まっていく可能性というものも全然ネグレクトするわけにはいかないんじゃないかという気がするんですが、その辺は、やはり政府として加盟をするということであるならば明確にしてもらわないと、私はどうも国民として納得できないんじゃないかと思うわけですが、いかがですか。
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菊地清明#17
○政府委員(菊地清明君) ただいまの御質問でございますけれども、まず、事実関係から申し上げますと、確かに御指摘のとおり、金額的に見ますとブラジル、アルゼンチン、メキシコ、ペルーその他に対する融資が通常業務基金の方も、それからいわゆるソフトローンを出すために設けられました特別業務基金の方からも、これらの国は一番融資を受けているわけでございます。ですけれども、これをもっとしさいに検討してみますと、特別業務基金の方がブラジル、アルゼンチンとか中進的なところに向けられた場合には、多くの場合、その国のインフラ的な部門に対する融資の場合に特別業務基金の方から使われているということが一つ。第二番目といたしましては、確かに絶対額ではブラジル、アルゼンチンにいっている金額は多うございますけれども、これを頭割りで見たというような場合には、必ずしもこのブラジル、アルゼンチンに多くいってないで、むしろ、よりおくれた、開発のおくれた国の方にいっているという事実がございます。それから第三点といたしましては、同じ特別業務基金から融資する場合でも、より開発のおくれた国に対する場合の融資の条件が最も寛大な条件になっております。つまり、特別業務基金というのは一%ないし四%の金利でございますが、その下限の方で後発の途上国に対しては融資をしておるという状況でございます。
 それからその次の御指摘の点でございますが、米州開発銀行はその協定によりまして、非政治的に運営されるべきことが決められておりまして、あくまでも目的は米州地域内の特に発展途上国の社会経済開発に寄与するということが最大の眼目でございます。それからしかも、その運営に当たりましては域内の途上国、つまり融資を受ける側の国の意思を最も尊重すべきである。そういった国々のニーズといいますか、それを最優先すべきであるということがこの米州開発銀行の協定を貫いている思想でございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、域内の発展途上国、借り入れ国側に五三・五%以上という発言権が、投票権が確保されているわけでございます。したがいまして、域内の発展途上国の希望というものが最優先されて運営されているということによりまして、いわば民主的に運営されているということが言えるのではないかと思います。
 それから、域外国の加盟と同時にどういう点が改善されるかという御質問でございますけれども、域外国はあくまでも資金供給といいますか、開発資金の需要にこたえていくということでございます。しかしながら、同時に、域外国も各国一人ずつ総務会に対する総務を出せますし、それから域外国十二カ国で二人の理事を出せることになっておりますので、そういった総務ないし理事を通じて域外国の発言権といいますか、考え方の表明というものは確保されていくのではないかと思います。
 それから最後に、多国籍企業のことを申されましたが、米州開発銀行自体に関する限りは、米州地域にある多国籍企業、たとえばアメリカ資本一〇〇%の企業に対しては融資はできないことになっております。これは事実関係として御参考までに申し上げます。
  〔委員長退席、理事秦野章君着席〕
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竹田四郎#18
○竹田四郎君 局長の説明は私ちょっと事務的だと思うんです。経済というものは生きているものであって、金というのは一回渡れば、この金は何のために使われるといって色がついているわけではないと思うんですね。一つのからくりの中で金というのは役割りを果たしていくと思うんです。日本だってそうでしょう。銀行が中立的だ、中立的だと、こういうふうに言われているんだけれども、じゃ銀行が本当に中立的だと、国民はそれをそのとおり思っているかというと、そうじゃないでしょう。現実に為替相場の変動のときにはうまいことして金もうけたということは、これは有名でありますしね、決して中立的にはやってないわけです。ですから、一体こうして米州開発銀行から出ていった金が、それは第一次は中立的でしょう。具体的にそれがどういうふうに使われているかというところが私は最大の問題だと思うんですよ。いまの局長の話ではそういう点が全く触れられていない。それじゃ国民に対する私は答弁になってないと思うんですよ。そういうことを調べたことがあるんですか。おそらくそういうことを調べもしないで、域外加盟国になるということだけじゃないですか。私はそういうことでやっていくとすれば、この金というのはプラスになるんじゃなくて、むしろマイナスになっていく可能性すらあると思うんですよ。どうもいまの答弁じゃ納得しないのですが、そういうことを調べたことがあるのですか、どうですか。もしあるとしたら、ひとつあとからでも結構でございますけれども、この二十四カ国に対するアメリカの多国籍企業の影響というものは具体的にどのくらいどういうふうにあるのか、資金的に、あるいは企業的に。こういうものを明らかにして出してみてください。それがきょうじゅうに出せるというのなら私はあなたの言うことを信じます。出せないというならあなたのいまの答弁では私は満足しませんよ。
 もう一つ言いますと、たとえばキューバという国一つをとってみても、キューバは社会主義国だから、社会党が言うと、何かおまえその方にばかり肩を持つと、こう思われるかもしれませんが、出資の方じゃ相当大口の出資者でしょう、キューバは。しかし、現実には表にも載らない、ほとんど貸していないというような事態でしょう。そういうことを見ますと、やはり政治的にかかわってはいけないとは言いながら、現実にはそういう形でかかわっているじゃないか、こういうふうに思わざるを得ませんね。そういうものはかかわっていないというならその反証を挙げてください。どうですか。そういう資料を出してくれるなら私はあなたの言うことを信じますよ。そういう資料も出さないで、あるいはすぐ出せないという事態の中で、あなたのようなことを言ってみてもこれはいけないし、あなたの答弁というのは、頭割りにしてみればそう差がないなんていうのは、これは一体経済が生きているのか死んでいるのか、まるで何か配るような言い方というのは、これはまさにあなた外務省の経済局長として私はどうも不適切な発言だと思うのですよ。
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菊地清明#19
○政府委員(菊地清明君) 先ほど申しました頭割りの話は、ほんの御参考までに申し上げたわけでございまして、まあそれで正当化されるといいますか、そういう主たる理由として申し上げたわけじゃないので……と申しておきます。
 それから米州開発銀行に限りまして申し上げますと、どういった分野に投資が行われたかということに関しましては、後ほど、これは主として分野別の大まかなものにならざるを得ないと思いますが、これは提出をいたしたいと思います。
 それから米国の対ラ米投資というのは、先ほど大臣が申されましたように、膨大なものでありまして、非常に大まかに申しまして、米国の対外投資が一千億ドルぐらいあるとすれば、その六割方がラ米にいっているというのが普通の常識でございますが、その点に関する詳細な資料というのは、ちょっと私の方では困難ではないかと思いますが、検討さしていただきます。
 それからキューバにつきましては、キューバは米州開発銀行の設立の動きのありました一九五九年当時は設立交渉に参加しておりましたけれども、終局的には加盟しなかったわけでございますので、その点は御了承いただきたいと思います。
  〔理事秦野章君退席、委員長着席〕
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竹田四郎#20
○竹田四郎君 これらの二十四カ国に対する日本の資金協力というようなものは、民間あるいは公的なもの、それを含めてどんなふうになっているのですか。
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藤岡眞佐夫#21
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 日本がいままで米州開銀に供与いたしました資金は輸銀ローンが中心でございますが、これは八回にわたって四百十億円なされております。そのほか日本の商業銀行のローン及び米州開銀が日本で募集いたしました円建て私募債がございまして、合計でいままでに五百八十七億円供与いたしております。
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竹田四郎#22
○竹田四郎君 国別にはどうですか。
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藤岡眞佐夫#23
○政府委員(藤岡眞佐夫君) いまのは米州開銀に日本から出した金額でございますので、それが米州開銀からどの国に出たかというその分ではございません。
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菊地清明#24
○政府委員(菊地清明君) お答え申し上げます。
 まず、政府レベルの円借款について申し上げますと、国名と金額だけで申し上げますとペルー……。
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竹田四郎#25
○竹田四郎君 局長さん、ちょっと恐縮なんですが、時間があんまりありませんので、それを表にして、後で出していただければいいですから、表にして出してください。
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菊地清明#26
○政府委員(菊地清明君) 承知いたしました。
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竹田四郎#27
○竹田四郎君 それから、加盟国によってこれらの国々と日本の関係が一体どうなるのか。中南米、もちろんこういうことによっていままでもやってきたと思うのですが、いろんな開発計画なり、開発政策というものをつくっていくだろうと思います。これは、恐らく全体として、あるいは各国ごとにこれらに関連してそうした開発政策がつくられると思うのですけれども、そういう開発政策に対して日本のかかわり方というようなものは一体どうなっていくのだろうか。
 それからもう一つは、日本の希望といいますか、こういう中南米の開発に対する日本の希望、あるいは関心、興味といいますか、こういうものは一体どういうところにあるのか、その辺を伺っておきたいと思います。
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菊地清明#28
○政府委員(菊地清明君) 今後、日本の加盟によりまして、米州の発展途上国の開発政策に対してどういうふうにかかわり合っていくかという御質問でございますが、先ほど国金局長から申されましたように、従来は主としてバイラテラルに、しかも政府、民間両方から資金協力を行ってきたわけでございますが、今後はそれに加えまして、決してバイラテラルの援助を今後減らすというわけではございませんけれども、それに加わりましてマルチラテラルの地域銀行を通じた協力を行っていきたい。今回の日本の域外加盟の方法といいますのは、日本は域外加盟十二カ国のうち最大の出資及び拠出を行うわけでございまして、したがって、それに対して恐らく日本側から理事を出すことも可能と思いますので、こういったバイラテラル、マルチラテラル両方の方法を通じまして、米州の域内の開発途上国に対する開発を援助していきたいというふうに考えております。
 それから、第二の日本の希望、関心という御質問でございますが、これは米州開発銀行に加盟します以上、米州開発銀行の基本的な目的に沿って、それから基本的な運営の仕方に応じた協力の仕方を行っていきたい。ただ、これは一般的な言い方でございますが、わが国の場合はラ米、特にブラジル、ペルー等に約八十万の在留同胞がおります。そういった事実にも着目しながら、米州諸国との経済関係はもとより、友好関係、外交関係も緊密化さしていきたいというのが日本の願望でございます。
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竹田四郎#29
○竹田四郎君 どうも局長の答弁というのは大変事務的な答弁なんですが、やはり経済的、政治的に、こういう金を出していく、これが一体中南米諸国の経済と日本の経済とがこれによってどうなっていくのか、この辺は私ども非常に関心がありますし、現実にはいろいろな企業が南アメリカに進出しているという記事はいろいろ新聞等で非常に拝見するわけでありますけれども、ただ、ここに金を出したというそれだけの問題というふうに限定しないで、全体的に経済的に南米諸国と日本とのこれからの経済のかかわり方、あるいはどういう立場でいくのか、この辺の基本的な考え方というものをお示しいただきたいと思うのです。
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