法務委員会

1999-07-06 参議院 全248発言

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会議録情報#0
平成十一年七月六日(火曜日)
   午後一時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月一日
    辞任         補欠選任
     阿南 一成君     有馬 朗人君
 七月五日
    辞任         補欠選任
     有馬 朗人君     日出 英輔君
     海野  徹君     櫻井  充君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                鈴木 正孝君
                服部三男雄君
                円 より子君
                大森 礼子君
                平野 貞夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                井上  裕君
                世耕 弘成君
                竹山  裕君
                仲道 俊哉君
                日出 英輔君
                小川 敏夫君
                櫻井  充君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                中村 敦夫君
   委員以外の議員
       議 員      水野 誠一君
   衆議院議員
       修正案提出者   笹川  堯君
       修正案提出者   山本 有二君
       修正案提出者   上田  勇君
       修正案提出者   漆原 良夫君
       修正案提出者   達増 拓也君
   国務大臣
       法務大臣     陣内 孝雄君
   政府委員
       警察庁生活安全
       局長       小林 奉文君
       警察庁刑事局長  林  則清君
       警察庁警備局長  金重 凱之君
       法務省刑事局長  松尾 邦弘君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   浜野  惺君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関
 する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百
 四十五回国会衆議院送付)
○犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案(第
 百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆
 議院送付)
○刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百四十
 二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送
 付)



    ─────────────
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荒木清寛#1
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る一日、阿南一成君が委員を辞任され、その補欠として有馬朗人君が選任されました。
 また、昨五日、有馬朗人君及び海野徹君が委員を辞任され、その補欠として日出英輔君及び櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
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荒木清寛#2
○委員長(荒木清寛君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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服部三男雄#3
○服部三男雄君 前回に引き続いて尋ねますが、まず警察庁の方に尋ねます。
 今度の通信傍受法案の対象犯罪の関係で尋ねるわけですが、最近の銃器使用犯罪の発生増加の状況、特に銃器使用犯罪の発生件数を平成六年以後過去五年間、それとそれに対する検挙等、その状況についてお尋ねします。
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林則清#4
○政府委員(林則清君) 最近における銃器使用犯罪の発生状況でありますが、平成十年を見ますと約三百五十件足らずでありますが、うち、殺人が五十三件、強盗が百十七件、そして百六十九件がその他もろもろ、こういうことになっております。以上でございます。
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服部三男雄#5
○服部三男雄君 平成六年から十年までの過去五年間の発生件数と、それに対する検挙実績を挙げなさいと言ったんです。
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林則清#6
○政府委員(林則清君) 失礼しました。
 平成十年中の銃器使用犯罪の発生は、今申し上げましたように三百三十九件を把握しておりまして、平成六年の数字と比較してみますと、平成六年中の発生が二百三十四件でありましたので、百五件、約四五%の増加となっております。
 内容を見ますと、最近は一般市民を対象とする銃器使用犯罪が多発しており、具体的な事例としましては、平成六年十一月に発生しました、千葉県松戸市のファミリーレストランでアルバイトをしていた女子短大生が強盗にけん銃で撃たれて死亡した事件、それから平成七年七月に発生した、都内八王子市のスーパーマーケットでアルバイト中の女子高校生二名とパートをしていた主婦の三名が押し入ってきた強盗に縛られた上けん銃で射殺された事件や、平成十年六月に都内の路上で発生いたしました、会社役員が暴力団幹部にけん銃で胸部等を撃たれ死亡した事件が挙げられるわけであります。
 また、暴力団による銃器発砲事件も多発しております。最近では、今月の上旬に東京、神奈川など六都県において、暴力団山口組と国粋会の間の対立抗争に伴う銃器発砲事件が十五件発生いたしました。中でも、六月三日には東京の銀座において白昼、山口組幹部が国粋会系の暴力団事務所に向けてけん銃五発を発砲した事件が発生したところでございます。
 このように銃器使用犯罪の件数が増加傾向にあるとともに、その内容も、一般市民が犠牲となる事件や暴力団の対立抗争事件が多発するなど、銃器情勢は大変厳しい情勢にあるというのが現状でございます。
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服部三男雄#7
○服部三男雄君 前回、私は通信傍受法案関係を主として尋ねました。そしてその後、同法案に賛成する立場の質問、あるいは反対する、廃案を目指す立場の方等からの質問がありました。大体、論点は出尽くしているように思うわけです。
 そのうちで本通信傍受法案の問題点として指摘されたところの二、三点があるわけですが、いずれも警察不信の立場に立って、警察官が当初から違法傍受を企てていた場合について、そういう乱用に対して制度的に担保できていないんじゃないかという非常に偏った、端的に申し上げて警察不信の立場からの意見、所見が見られたわけでございます。それに関連して、裁判官による職権審査が必要であろうという立論につながっていっているように思いますが、一つの制度ですから、偏った見方で、当初から乱用というものを考えて正常な制度をつくるわけにはいかないわけであります。私はそのように思います。
 警察庁に尋ねますけれども、この通信傍受の作業を実際やろうとしますと、例えば最大限三十日傍受するとなった場合、どのぐらいの担当職員が関与するかということをひとつ尋ねたいと思います。
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林則清#8
○政府委員(林則清君) まだ法案が成立していない段階で、実際の実施にどういう形になるものかというのは詳細に検討しておるところではございませんけれども、今先生から御指摘がありましたように、毎回交代制をとらなければならないことと、もう一つは、要件の中に補充性の条件がありまして、十分の捜査を尽くして捜査をわかっておる者でありませんとスポットモニタリングも適切に行うことができないわけでありますから、恐らく何十人かの体制で捜査しておる者を交代で充てるということになろうかと思います。そうすると、一回何人、それで三十日ということになりますと、数十人というところが従事する形になるのではないかと一般的には予想されます。
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服部三男雄#9
○服部三男雄君 まだこの法案が通っていないから、実施部隊の編成とか、それから原テープの保管、警察署へ持って帰った後の保管をどういうふうにするかとかいう規則のようなものはまだできていないかもしれないけれども、例えば押収・捜索をやった場合の持ってきた押収品は、検察庁であれば証拠品係、警察署でもそういうところがあります。そういうふうに、捜査とそういう押収品とは分離するようなシステムになっています。今回も、傍受記録の方も同じような扱いをする予定ですか。
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林則清#10
○政府委員(林則清君) 御指摘のように、通信傍受法案の二十二条第四項の前段は、
  検察官又は司法警察員は、傍受記録を作成した場合において、他に第二十条第三項の規定により裁判官に提出した記録媒体(以下「傍受の原記録」という。)以外の傍受をした通信の記録をした記録媒体又はその複製等があるときは、その記録の全部を消去しなければならない。
という規定があるのは御指摘のとおりであります。
 このため、警察といたしましては、傍受記録以外の記録の完全な消去を担保するために、傍受した通信を記録した記録媒体、傍受の原記録以外を指定した捜査幹部の厳重な管理下に置かなければならないということを決めたいと思っておりますし、傍受した通信を記録した後における傍受記録以外の記録の消去等、この一連の手順を規則等で明確にした上、この手順を行うべき者を最小限に限定して、それ以外の者には犯罪関連通信以外の通信というものは知り得ないように、そっちの方の配慮も規則等で定めておきたい、かように思っております。
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服部三男雄#11
○服部三男雄君 そうしますと、当然セクションが分かれます。今の役割、いろんなセクションが分かれます。そうすると、それぞれのところで手続書類が要ります、役所ですから。保管記録、確認記録、手続記録が要ります。それは各課にまたがっていきます。一人の捜査官、例えば刑事課の中でそれがなされるということはちょっと考えられません。今の局長の説明だと、どうやらセクションが分かれていくような印象を受けますが、規則でそういうふうに定められる予定ですか。
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林則清#12
○政府委員(林則清君) まだ成立後の具体的な規則をどうするのかということは定かにしておりませんけれども、捜査主体が幾つかにまたがっても、捜査の単位として行った単位の中で厳重に保管責任者というものを置くという形で定めようと。したがいまして、セクションという意味がいわゆる部や課の単位をおっしゃるのであれば、それが別の特別のものを設けるというようなところは、まだ今のところ考えてはおりません。
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服部三男雄#13
○服部三男雄君 そうでなくても、管理のための受付原簿とか、例えば貸し出しする場合の貸出名簿とか、そういうものをつくることは当然考えますね。
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林則清#14
○政府委員(林則清君) そういったものはきちっと管理、運用されるように、今御指摘のようなことは規則で定めたいと思っております。
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服部三男雄#15
○服部三男雄君 そうしますと、先日の対政府質疑の中で、違法傍受をやろうとする不心得な警察官がいた場合は通知がないんだから、消去した部分だから通知しないんだから、不服申し立ての機会がないではないかと。だから、違法傍受されたことは全部やみになってしまうではないかという立論がございました。
 そういう万々が一にも不心得な捜査官がいたとしても、今、局長が答弁したように数十名の捜査官がこの傍受作戦に当たり、しかもそれは、各セクションというんでしょうか、管理簿があり受け払い簿がありいろんな書類のチェックがかかっているから、一、二名の不心得な者がいても、そういう違法なことをすることは実際上、現場では全部チェックがかかっていてできない。もし、数十名全部が傍受しようという共通の意識を持てばできます。できますけれども、数十名の現に傍受作戦にかかわった者のうちの一、二名の不心得者がいても、実際は組織がきちっと管理しているから、質問者がしたような違法傍受はできないということは言えると思うんですが、局長、その点の管理は大丈夫ですか。
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林則清#16
○政府委員(林則清君) おっしゃるとおりでありまして、事案によって数十名ということはありますけれども、低いうちの数十名かもわかりません。
 いずれにいたしましても、実際に傍受に当たった者のほかに、今申し上げましたように、きちっとそれぞれの手順において責任を持って管理する者を置くわけでありますので、先生が御指摘のように、不心得者はいないと思いますけれども、そういう不心得者があった場合には、外部からの指摘はもとよりでありますけれども、それ以前の問題として、内部においてきちっとそのようなものは、法に従わない、規則に従わない者についてはそのような措置あるいはサンクションを加えるということになろうかと思いますので、いろいろと御質問中ありました乱用に対する懸念は、そういう意味でも絶無を期すように内部規則等あるいは内部の仕組み等を組み立ててまいりたい、かように思っております。
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服部三男雄#17
○服部三男雄君 前回、林刑事局長が、令状関係、押収、捜索、逮捕、鑑定、検証、全部入れて十数万のうち、最もまれに年に一件ぐらい、いわゆる虚偽の供述調書をつくったりして捜索令状を裁判官からだまし取ったような例があったと。本当に遺憾な事態ですけれども、十数万のうちのわずか一件あったことは間違いない。だけれども、それについては警察の内部で、後で発覚した場合に、まず刑事処分に付しているし、そして懲戒処分、身分上の処分もきちっとやっていると。
 私も経験がありますが、押収・捜索令状は、一捜査官がごまかそうと思ったらできぬことはない。令状をとりやすい。しかし、前回質問のあったように、最初から違法盗聴しようとしても、あるいは消去しないで隠すとかというような論説がありましたが、これは今言いましたように、数十名の中でやらなきゃいかぬ、チームの中でやらなきゃいかぬとなりますと、押収の場合のような非違、十数万件のうちたった一件の非違があったのと同じような例で傍受のときにもできるというふうには、私は今の局長の答弁からできないと思うんですけれども、局長はどのように思いますか。
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林則清#18
○政府委員(林則清君) まさに御指摘のとおりでありまして、特に御注目いただきたいのは、たびたび御答弁させていただいておりますけれども、このたびもし成立した場合には、国家公安委員会規則で、これの令状請求に当たっては警察本部長の決裁を得るというところまでしておりますので、これにかかわるそういった乱用あるいは不適法な行為が行われた場合には、当該行為を行った捜査員に対して行政上、刑事上その他の責任が問われるだけではなくて、組織として本部長以下の責任をも問われるという仕組みになっておりますので、先ほど御指摘がありましたように、捜索・押収令状の請求に当たって、例外中の例外として非常に残念なケースがあったわけでありますけれども、それに比しても大変強い縛りが、縛りといいますか、そういうことのないための保障措置といいますか、担保措置がとられておるだけに、まさに御指摘のように、今回の法案が成立しても、その実施に当たって不適正な行為が行われるということは万考えられないことでございます。
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服部三男雄#19
○服部三男雄君 法務省に尋ねますが、同じ質問なんですけれども、検察庁の検事が生の事件で傍受をやるということはちょっと考えにくい。主として実施するのは警察庁でしょうが、まれにあるかもしれない、捜査のことですから。法務省も同じように、組織の中の権限、分掌に関する処理の決裁等々の手続で、数十名の傍受作戦担当者の中の万が一にも一、二名でも、過剰な正義感、過剰な捜査意欲によって違法傍受をしようとする者が万が一にも出ても、それは制度として、犯罪捜査機関の中における権限、分掌、管理によって完全に防止できるというふうに法務省刑事局長も思いますか。
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松尾邦弘#20
○政府委員(松尾邦弘君) 御指摘のとおりだと思います。
 今、非常に具体的な状況をほうふつさせるような設定でいろいろ御質問をいただきました。確かに、この傍受自体、検察庁で仮にやるにしましても、検事も含めて少なくとも数十人というスケールの者が傍受に従事するということになりますし、またその従事後の管理体制も、警察の刑事局長からお答えしたとおり、検察庁もきちっと定めるつもりでおります。
 また、傍受自体は、警察では県警本部長の責任のもとに、決裁のもとに請求する話でございますし、検察庁でいえば検事正決裁ということですから、一つの県の一番トップの検察官がこれに責任を持つ体制で行います。したがって、そういうような状況下で行います傍受でございますので、二重三重にも制度的に乱用がなされないような工夫というのは、そういうところにもあらわれておると思います。
 それからもう一点だけつけ加えさせていただきますと、仮に捜査官が例えばスポットモニタリングを行わずにずっと聞いてしまう、しかしそれを傍受記録にあえて残さないというようなやり方をしたら、チェックする方法がないのではないかというのが前回の質問にあったわけでございますが、そのような行為自体は、立会人から見ましても違法であることは明らかでございますので、立会人の外形的なチェックでも十分チェックできる事項でございます。その場合には、立会人としては通信事業者の立場で裁判所に準抗告できる、つまり法律案では二十六条第二項でございますが、こういう制度もつくられております。
 あるいは、最初からどうも適正手続で行う意図がないような傍受であれば、まさに通信の秘密を侵す罪でございますので、三年以下の懲役に当たります。事業者として、立会人としてはこれを告発できるということも考えられるわけでございまして、そういう意味での担保もまたつけ加わっているという点を御理解いただきたいと思っております。
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服部三男雄#21
○服部三男雄君 それでは、本日はマネーロンダリングの方に移りたいと思います。犯罪収益規制でございます。
 私たち法務委員会にいる者は、犯罪収益規制とかマネーロンダリングというのはわかるんですけれども、日本ではまだマネーロンダリングという言葉は熟した言葉ではありません。
 法務省刑事局長から具体的に、金融機関を使うとか証券会社を使うとかいろいろ言いますけれども、どういうことをマネーロンダリングと言うのか、それの説明から入りたいと思います。
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松尾邦弘#22
○政府委員(松尾邦弘君) マネーロンダリングの細かい行為そのものはこの法律案の条文にいろいろな形で記載されているわけでございますが、抽象的にまず申し上げますと、組織犯罪が中心になりますが、犯罪によって得た収益がございます。これがいろいろな形をとりまして、姿形を変えていくということでございます。
 例えば、単純な行為といたしましては、犯罪収益を隠すという行為がございます。これ自体も今回のマネーロンダリングの一つの形態でございます。そのほか、犯罪収益を他人間で転々とさせる行為、収受ということがこれに入ってきますが、違法な収益を収受する行為というのが次に当然考えられます。そのほかに、違法収益を、例えば土地を買うとか、ほかの不動産、動産を買うとかいう形でほかの財産に転化させる行為もございます。
 そういった行為があるわけでございますが、これは犯罪収益を把握させにくくする行為ということでございまして、今三つの例を挙げましたが、それに限定されるわけではございません。
 抽象的に言いますと、犯罪によって得た収益をほかの姿に変える、そういう行為をつかまえまして、これを新たな犯罪行為とすることによりまして不法収益を、あるいはその犯罪者に対する追跡ということでございますが、犯罪の検挙ということを財産的な側面から追及することを可能にするような実体法の整備ということでございまして、そういった行為を含めましてマネーロンダリング行為ということを言っておるわけでございます。
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服部三男雄#23
○服部三男雄君 法務大臣にお尋ねしたいと思います。
 当委員会で審議しております組織的な犯罪というのは、先日も言いましたように、薬物、そして先ほど警察庁から報告がありました五年間で五割アップの銃器使用犯罪等々、あるいは集団密航等、問題は極めて深刻でございます。これにいかに対処するかというのが重要かつ緊急の課題でありまして、そのために今、当委員会で審議をしているわけであります。
 その一つとして、国民の平穏な生活を守るための新しい捜査手法としての通信傍受でありますが、さらにもう一つの側面として、悪いやつを太らせない、すなわち犯罪収益を規制することも絶対必要な条件だろうと思います。
 捜査手続と、犯罪に再投資されないように収益を収奪する、この二つの側面が必要だと私は思うわけですが、この趣旨及びこれが組織的犯罪対策になることの根拠について、法務大臣からまず基本的な所見を伺いたいと思います。
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陣内孝雄#24
○国務大臣(陣内孝雄君) 犯罪収益の規制は、組織的な犯罪においては、不正の利益を得ることを目的として種々の犯罪行為が行われ、これによりまして得られた犯罪収益が犯罪組織の維持拡大に利用されたり、あるいは将来の犯罪活動に再投資され、あるいは正常な経済活動に悪影響を及ぼすことにかんがみまして、これらを防止するために犯罪収益の保持、運用等を規制するというものでございます。これは、経済的な側面から組織的な犯罪に対処する措置として必要不可欠であると考えております。
 組織的犯罪処罰法案は、このような観点から犯罪収益規制のための法整備を図るものでありまして、これが実現した場合には、犯罪収益の保持、運用等の規制を通じて組織的犯罪を抑制することが可能になり、大きな効果が上がるものと考えております。そして、このためには通信傍受という手段が極めて有効であり、必要である、このように認識しております。
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服部三男雄#25
○服部三男雄君 法務省の刑事局長にお尋ねします。
 今、大臣がおっしゃったことはもっともなことなんですが、私は別の見方をしますと、特に組織犯罪集団が、ある犯罪行為によって収益を得たと。それを、ロンダリングを兼ねて、いわゆる一般私人がやるような営業活動の方面に、例えば会社をつくろうと乗り出すとしますね。これと正常活動をしている、いわゆる組織犯罪集団と関係ない正常な企業とを比較しますと、大変なハンディキャップがあると思うんです。
 どういうことかといいますと、組織犯罪集団が企業を仮装して営業活動をやる場合は、ノータックスの、税金のかからない資金でやるわけです。一方は、正常な活動をやっている以上は、税申告をやって税金がかかった、コストのかかった営業資金で動くわけです。
 こういうふうに大変なハンディキャップがあると思うんですが、こういう観点も今度の立法趣旨に入っているんでしょうか。
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松尾邦弘#26
○政府委員(松尾邦弘君) 先ほどマネーロンダリングのところで申し上げました、不法収益を転々とさせる行為を全体として捕まえて、要するに不法収益を動かさなくするというのがその一つでございます。
 もう一つの立法の趣旨として、まさに先生今御指摘のとおりでございまして、最近における国際会議等で強く指摘されていることでございますが、そういう不法収益が、例えば株を買うことによって、あるいはある企業を乗っ取るという形で通常の経済活動の中に参入してくるということについては、通常の正常な経済活動を大きく阻害する要因である、そういう観点からこれを規制していくということも立法の目的の大きな柱の一つでございます。その理由は、まさに先生のおっしゃったこと、つまりいろんな意味での負担を免れているイリーガルな金でございますから、大変有利な立場に立つということが一つ。
 それともう一つは、あえてつけ加えさせていただきますと、そういう組織犯罪、あるいはそれを背景としたような組織がそういう企業活動をすることは、その裏に裸の暴力というものがあるわけでございますので、通常の営業活動が仮に何かトラブルを起こしますと、それはその暴力が潜在的にあるいは現実的に出てくる話にもなりまして、なかなか通常の経済活動の範囲内の弁解あるいは対抗では対抗し切れないという点でも、そうした違法な集団が経営権を持っているような企業の活動というのは、いろんな意味で抑止をしにくくなるということだろうと思います。
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服部三男雄#27
○服部三男雄君 同じく法務省刑事局長に尋ねますが、前回の私の質問で、アメリカのある刑法学者の、二十一世紀は自由民主主義と健全な資本主義、グローバル資本主義対アングラ集団との闘争になるだろう、犯罪と健全な社会との闘争になるだろうという論説があるということを私は紹介しました。
 今の刑事局長の話を敷衍していくと当然、健全な自由民主主義体制における資本主義を守ろうというところにつながってくると思うんです。なぜなら、コストのかかっていない、税負担のかかっていない有利な条件で企業を乗っ取ってくるのと、税金コストからすべての社会生活の負担を負っている企業は最初からハンディキャップがあるわけです。
 だから、ハンディキャップのないのをハンディキャップのあるように犯罪収益を収奪しようということは、要するに健全な資本主義体制を守ろうというところに法の価値を置いているのかというお尋ねをしたいわけです。
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松尾邦弘#28
○政府委員(松尾邦弘君) 今、委員の御指摘は全くそのとおりだと思います。その御指摘の状況が、まさに国内だけにとどまらず、国境の壁を越えまして、非常に世界的な問題になっているというところが現代の一つの特徴であろうかと思っております。
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服部三男雄#29
○服部三男雄君 日本は、戦後一貫して自由民主主義、資本主義体制をとってきて世界史上まれなる経済繁栄をし、ちょっとここ十年ぐらいはバブル崩壊でがたがたしましたが、世界の資本主義の優等生であるくせに、このマネーロンダリングについては余り議論にもならなかった。事実、弱い規制はありますけれどもおくれてきた。世界的な資本主義を守るためにもこれはぜひともやらなきゃいかぬということで、FATFとか国連サミット等で日本に対して非常に要望があった。
 そこでまず、日本における現行のマネーロンダリング規制とはどんなものがあって、その実例はどうであって、それだけではだめなのかどうか、制度的欠陥があるのかどうか。今回、一般的にマネーロンダリング規制を拡大する理由について法務省から説明を求めたいと思います。
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