環境委員会

2001-04-03 衆議院 全255発言

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会議録情報#0
平成十三年四月三日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 五島 正規君
   理事 伊藤 達也君 理事 稲葉 大和君
   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君
   理事 小林  守君 理事 近藤 昭一君
   理事 青山 二三君 理事 樋高  剛君
      植竹 繁雄君    小渕 優子君
      岡下 信子君    熊谷 市雄君
      小泉 龍司君    河野 太郎君
      下村 博文君    谷本 龍哉君
      鳩山 邦夫君    原田昇左右君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      奥田  建君    鎌田さゆり君
      佐藤謙一郎君    鮫島 宗明君
      長浜 博行君    山田 敏雅君
      田端 正広君    藤木 洋子君
      阿部 知子君    金子 哲夫君
      原  陽子君
    …………………………………
   環境大臣         川口 順子君
   農林水産副大臣      松岡 利勝君
   環境副大臣        沓掛 哲男君
   環境大臣政務官      熊谷 市雄君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         尾嵜 新平君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           坂野 雅敏君
   政府参考人
   (農林水産省生産局畜産部
   長)           永村 武美君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局次
   長)           佐藤  準君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            岡本  巖君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局次
   長)           増田  優君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院審議官)   広瀬 研吉君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            中川 雅治君
   政府参考人       
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       岩尾總一郎君
   参考人
   (独立行政法人国立環境研
   究所統括研究官)     森田 昌敏君
   参考人
   (独立行政法人国立環境研
   究所循環型社会形成推進・
   廃棄物研究センター長)  酒井 伸一君
   参考人
   (横浜国立大学環境情報研
   究院教授)        浦野 紘平君
   参考人
   (淑徳短期大学非常勤講師
   )            村田 徳治君
   環境委員会専門員     澤崎 義紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月三日
 辞任         補欠選任
  佐藤謙一郎君     山田 敏雅君
  金子 哲夫君     阿部 知子君
  原  陽子君     金子 哲夫君
同日
 辞任         補欠選任
  山田 敏雅君     佐藤謙一郎君
  阿部 知子君     原  陽子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案(内閣提出第三七号)
 環境事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

     ――――◇―――――
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五島正規#1
○五島委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案及び環境事業団法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案審査のため、本日、参考人として、独立行政法人国立環境研究所統括研究官森田昌敏君、独立行政法人国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センター長酒井伸一君、横浜国立大学環境情報研究院教授浦野紘平君、淑徳短期大学非常勤講師村田徳治君、以上四名の方に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人の皆様におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序でございますが、森田参考人、酒井参考人、浦野参考人、村田参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。
 それでは、森田参考人にお願いいたします。
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森田昌敏#2
○森田参考人 国立環境研究所の森田でございます。PCBの処理対策につきまして、少し私の考えておりますことを述べさせていただきます。
 お手元に二枚紙の、非常に簡単なポイントだけを書いた紙を用意しておりますが、これに従いましてお話をさせていただきます。
 PCB対策につきましては、その必要性というのは既に三十年前から指摘され続けておりまして、しかしながら、なかなか進まなかった背景がございます。その一方で、PCBに対する人々の感じ方も随分変わってきておりますので、そのような感じ方の推移、そして対策技術がなかなか進まなかった原因、そういった部分について解析をしているところを述べさせていただきたいと思います。
 まず最初に、PCBの有害性についてであります。
 PCBの有害性については、過去四十年間の間に随分さま変わりしてまいりました。そのようなさま変わりといったものが、例えば法律に組み込まれるときのそれぞれの時点において最適であったとしても、振り返ってみると、また違った様子になっているということがしばしば起こっております。
 まず、一九六〇年代、この時期におきましては、PCBは無毒で安全な物質で、非常に便利な化学物質であるというふうに考えられておりました。したがって生産は順調に伸びております。日本では鐘淵化学というのが一番大きな製造者でありますが、あわせて、アメリカのモンサント社と三菱化学との合弁で三菱モンサントという会社が日本でも生産を始めておりまして、六〇年代は、非常によい物質というふうに考えられていたところであります。
 一九六八年に至りまして、これが暗転いたします。きっかけになりましたのは、ダークオイル事件あるいはカネミ油症事件と呼ばれる、ライスオイル、米ぬか油の製造工程においてPCBが混入し、それが鳥肉のえさになる、あるいは人がそれを食することによって起こった中毒事件であります。これを契機にいたしまして、PCBは危険なものではないかという疑いが持たれ始めまして、一九七〇年代の初めの、例えば七〇年の公害国会を初めとする環境問題の高揚と同時に、PCBはやや危険な物質という認識で対策が打たれ始めます。
 例えば一九七二年に回収保管といったこと、あるいは新たな使用の中止が行われておりますが、しかし、このときにもなおかつ、かつて安全に使っておったという記憶が残っておりまして、結果として継続的な使用が非開放的なものについて認められています。
 例えばトランスというのは、それが直ちに環境中に漏れてくるわけではないのであるから、したがってまだしばらく使ってよいのではないかというふうな扱い方であります。また、新幹線のように高性能のトランスが必要なものというのは、PCBはなくてはならないものであるという認識もあり、この時点でしばらくは使い続けるということが起こっております。
 しかしながら、使われたPCBはやがて環境中に漏れ、そして、それがたとえ希釈されて出されたとしても、魚などに蓄積し、再び人間に舞い戻ってくる。わずかに出ていったものがいわばブーメランのように人に戻ってきて、かつまた、蓄積されたPCBが人に害をなすのではないか、そういう心配があるということもありまして、一九七三年に化審法が制定されています。
 これと関連いたしまして、その後、水質汚濁防止法等の環境規制法の中にPCBが少しずつ織り込まれていきまして、排出抑制対策がとられてきております。
 なお、一九七八年に台湾で、カネミ油症と全く同じ症状の台湾油症というものが発生しておりますが、十年後に全く同じ悲劇が繰り返されたという状況になっています。
 一九七〇年代後半から八〇年代にかけまして、環境問題はほぼ終息したのではないかという時期がありまして、やがてPCBの問題も少しずつ記憶から弱まっていったところがありますけれども、しかしながら、保管されていたPCBは一体どうするんだろうかということが課題になっておりまして、八〇年代、この保管されているPCBの処理といったものについて議論がなされ、かつまた、それを何とか消してしまうという動きが出始めております。それで、幾つかの努力がなされました。
 成功いたしましたのは高砂市におけるPCBの焼却でありまして、ここにありました五千五百トンのPCBが焼却され、そして処分されております。今思いますと、これは非常に適切なアプローチでありまして、この焼却は一九八八年か九年に終了していますが、実は、その七年後に兵庫県南部大地震が起こっておりまして、高砂市もかなり揺れております。
 当時、地震等によって、ためられておりましたPCBが漏れたときには非常に甚大な災害になるということが懸念されておったのですが、幸いにして、そのときにはもう既に消えておったということであります。もし仮にそこにありました五千トン余りのPCBが漏れていたならば、恐らく瀬戸内海は全く使い物にならない、そこの水産業は絶命するということが起こっていたということでありますが、何事もなくうまくいったということであります。
 しかしながら、そのほかにたまっておりました少量の、個別に入っておりますトランスその他のものにつきましては、そのまま保管された状態が続いておりまして、それをどうしようかというのが現在の課題になってきております。
 なお、一九八〇年代を終え一九九〇年代に入りまして、さらにPCBに対する毒性の観点が高まってきております。それは、一九九〇年代に猿の実験などが出てまいりまして、あるいはまた、ダイオキシンの問題が非常に広範囲に課題になってきた過程におきまして、PCBの毒性が再評価されてきております。その過程で、PCBというのは想定したよりもより一層強い慢性的な影響を持ち得るということでありまして、一九七〇年代よりもさらに一層の対策強化が必要ではないかという認識が徐々に出てきております。
 この極端な一つの例といたしまして、一九九九年にベルギーで鶏の肉の汚染が発生いたしました。これは恐らく、多分、小さなトランス一個ぐらいのPCBが鶏の飼料の原料に混入したということでありますけれども、その結果として、ベルギーじゅうの鶏肉の生産、さらにそれはほかの食肉へも波及いたしまして、ベルギーは、全体として数千億円のロスを出したというふうに言われております。ダイオキシンと関連した形で極めてセンシティブに市民が心配をし、それがヨーロッパ全体に波及したという事例であります。
 このような全体の流れの中で、一刻も早くPCB処理を急ぐ必要があるというのが現況であります。
 次のページをめくっていただきますと、それでは、PCB処理は一体なぜそんなに難しかったのかということを復習したいと思います。
 PCBの処理の重要性は、世界の多くの国でも一九七〇年代半ば、もう三十年近く前から認識され始めておりました。とにかく、使うのをやめるものの、残ってしまったのを一体どうするかというのはなかなか解けない課題であります。
 その処理がうまく進まなかった一番大きな原因というのは何かといいますと、処理工場の立地問題であります。もちろん、処理技術の安全性の問題もあるのですが、基本的にそれは立地問題として集約されてきたということであります。これは世界じゅうで進みませんでした。
 私自身、二十五年ぐらい前にカナダの環境省を訪れたときにも担当者と話をしたことがあるのですが、その担当者は、セメントキルンで焼くのが一番よさそうである、しかしながら、セメント工場に持ってくる、あるいはその工場周辺の住民が余り同意をしてくれないので、そこで焼くことは難しいのだという話をしておりました。
 恐らく、PCBの処理で最も安価で最も効率のよい方法は焼却処分で、そのうちの一つとしてロータリーキルン、セメントキルンを含めたそういったものもあるだろうということは、もう一九八〇年代の初めからみんなが考えていたことであります。しかしながら、それは先ほど言いましたような幾つかの条件で、特に住民の納得がいく形にならなかったということが一番大きな問題であります。
 そしてその問題がさらに、徐々に形を変えてあらわれてくるのがダイオキシンの問題であります。
 PCBの燃焼過程においてダイオキシンが出るのではないかという不安が絶えずありまして、高砂の場合はそれを徹底的に封じ込めるような焼却炉を建設することによって成功しましたけれども、一般の納得を得るためには、このようなアプローチといったものについて相当きちんとした形をとらなければいけない、あるいは、焼却過程というのはダイオキシンを発生するからよくないんだ、そういう高まりが九〇年代に入って広がってきております。
 その結果として、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、そういったところを通じて広がってきましたのは化学処理という形でありまして、これは排ガスが出ていかない、ウエットな処理というか、そういう処理になりますので、そういう点で少しずつ理解が得られ始めているということであります。
 ただ、化学処理が一番いい方法かどうかというのは若干議論の起こるところでありまして、焼却処理の方が多分安価でよいだろうという認識ではあります。しかしながら、市民あるいは国民のコンセンサスを得る過程で、そのようなアプローチもまた一つの重要なアプローチになるということであります。
 なお、全体として、国民全体のリスクを下げる、個別の、個人のリスクということもありますけれども、全体のリスクを下げるということがどうしても必要でありまして、そのような非常に効率のよいアプローチと、個々の市民が感じる個人的なリスクとの間の若干のギャップを埋めつつ展開する必要があるだろう。
 それから、トップダウン型のアプローチというのは、一般的には効率がよくて最もすぐれているケースが多いのですけれども、それは周辺住民が好まないときもあるということもありまして、そういう意味では、どこかに適切なコンセンサスを得ながら展開する必要があるということであります。
 なお、この種のアプローチにおきまして今までずっと感じておりましたのは、国家ないしはそういった公的な関与なしにここの部分は進まないということ、そしてまた、PCBの多くが実は中小事業体、あるいは極端な場合には学校とかいったところに非常に分散して分布しているという構造であります。
 このような分散して分布というのは、一見、自分の身の回りにないように感じているのは間違いでありまして、どこにでもあるというのが現況でありますので、それらのものをとにかく集めて処分をしなければいけない。特に中小事業者の持っているPCBというのは、数それから量におきましても分散しておりますし、また、現在の中小事業者の経済的な苦しさみたいなことを肌で感じますと、そこには適切な誘導策なしには進まないだろうというふうに感じているところであります。
 PCBの問題というのは、それを浴びたときに非常に不安を感じます。そういったときに極端な不安を与えないで、しかし確実に、円滑にPCBを消していく必要があるというのが私の認識であります。
 以上です。
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五島正規#3
○五島委員長 ありがとうございました。
 次に、酒井参考人にお願いいたします。
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酒井伸一#4
○酒井参考人 国立環境研究所の循環型社会形成推進・廃棄物研究センターを担当しております酒井でございます。
 私自身は、廃棄物問題あるいは物質循環を工学的に研究する立場でございます。その立場から、きょうはPCB処理に関しまして、一点は、循環型社会形成と化学物質コントロールという両方の視点が必要であるという点、それに関連いたしまして、PCB処理が求められる背景、そして処理技術の現状あるいはモニタリングの必要性等といった文脈でお話をさせていただければと思います。
 お手元の資料の一ページ目の下の図でかいておりますイメージでございますが、これは私どもかねてより、二兎を追う者は一兎をも得ずという古いことわざ、これを、二兎を追うときのみ救われるということで、昨今進められております循環型社会形成、これは資源・エネルギー問題であり、あるいは廃棄物問題であり、あるいは気候変動問題でありということから、今後の地球系の維持のためにはこの循環型社会形成は不可欠、こういう合意が得られてきたところでございますが、これに右側の、化学物質コントロールの視点をあわせて運用していくことが強く求められているのではないか、こういう主張のための絵としてかいたものでございます。
 特に、右側のラインというのは、かつての水銀の問題であれ、あるいは昨今のごみ焼却に伴いますダイオキシン問題であり、あるいは環境ホルモン問題、こういったものを循環型社会の形成とともに同時にコントロールしていかなければ、場合によれば、こういう化学物質をあえて循環、あるいは場合によっては、濃縮をして物を循環させてしまう懸念がある、そういう部分をいかに断つか、そういう必要性を訴えているものでございます。その中に、本日のこのPCBというものも非常に強く関連いたします。
 先ほど、森田統括から御紹介がありましたベルギーの鶏肉のPCB汚染問題というのは、これはまさに動物性脂肪を飼料として循環していた中でPCB混入が起こり、そしてその飼料から鶏肉あるいはほかの食肉も汚染をしていったという、ある意味では非常に悲しい事実でございます。こういったことで欧州社会が二年前大きく揺れ動いた、そういう事象でございまして、そういった意味からもPCB処理が求められるということは言えようかと思います。
 次の二ページ目の上の方の図では、PCBとポリ塩化ダイオキシン類、いわゆるダイオキシンというのがよく関連づけて話がされます。
 毒性評価という意味で、ダイオキシン類は全部で二百十種類の異性体がございますが、その中の十七の異性体、そしてPCBの方は二百九種類の異性体がございまして、そのうちの十二種類の異性体、これを同時に毒性評価しよう、こういうルールがWHOで定められ、日本政府もそういう決定をしてきているわけでございますが、そういうダイオキシン類とPCBの似ている側面があるとともに、この図で示しておりますのは、発生源として見た場合には、ダイオキシン類の方は意図的に生成したものではないということでバツ印を入れてございます。
 一方、その下のPCBと書いてある方に関しましては、これは化学反応生成物として意図的に生成をしてきた、そして多様な用途、絶縁体であるとかカーボン紙等にこれは多くを使ってきた、こういう事実がございます。そういった発生源という意味では、これはかなり似て非なるものということが言えるわけであります。そして、日本国内で約五万トン程度まだそういう意味では残存している、そういう状況にあるわけです。
 二ページの下の方では、PCB処理が求められる背景ということで、これは三十年前よりその処理の指摘は既になされていた、そういう森田統括のお話がございましたが、九〇年代に入って以降、特にこの処理の要請が強まってきた背景といたしまして、この一番、二番のポイントが挙げられようかと思います。
 一つ目は、我々が住んでいる一般の大気の環境、この大気環境をはかりましても、やはりPCBは一定レベルで検出はされます。これはまさにPCBの環境中への移動性によるものでございまして、そういう意味では、わずかながら揮散するといいますか、蒸気圧をもって揮散するということで、移動性を持つ、そういうポイントがございます。
 さらに、その移動性が、地球レベルで見ていきますと、極地に住まわれますイヌイット族の方々の女性の母乳中からもこのPCBは検出される。イヌイット御自身はPCBを使っていません。そのあたりは後段の資料の方に少し整理して書いてございますが、右下のページ数で参りますと六ページのところに図を含めてちょっと示してございます。
 ケベック極地に住まわれるイヌイット女性の母乳中のダイオキシン類、PCB濃度と、低緯度地域の女性の方々の濃度を比較したものでございます。このグラフの中で、濃度の高い方がケベックのイヌイットの方々の女性の母乳中のPCB濃度でございまして、低緯度地域の方々に比べて約三倍の濃度というふうになっております。
 これは九〇年代初めにカナダの学者グループで報告された数字を引用させていただいているわけでございますけれども、こういうことになっている理由といたしましては、PCB自体が地球上を移動する。それは、先ほど申しました、わずかながら大気に移動し、そしてそれが大気循環の中で、あるいは大きな海流循環に乗りまして移動をしている、そういう事実を指し示すものでございます。
 それともう一点は、イヌイットの方々の海産物の摂取量がやはり多いということでございます。約三百グラムということで、日本人が平均百グラム程度でございますが、その量に比べて非常に多い。このあたりのことで、みずから使われていないイヌイットの方々の体内濃度の方が高くなっている、こういう事実、これが九〇年代に入ってわかってまいりました。
 四番目に書いてあります残留性有機汚染物質の国際条約、恐らく本年の五月にストックホルムで条約が成立する見通しでございますけれども、その中にこのPCBが取り込まれ、そして国際条約に向けて国際社会が動いていることの大きな理由の一つになってございます。
 それと、こういう事実と一対ではっきり証明できるものではございませんが、衆議院の環境調査室でおつくりになられていますこの三十七号の資料でも御紹介されておりますけれども、国内の使用、保管中の高圧トランスあるいはコンデンサー約三十八万五千台、このうち何と一万一千台が紛失・不明である、それが環境汚染源となっている可能性は極めて高いと見るのがやはり妥当かと思います。そういう意味で、これと今のイヌイットの方々のPCB汚染というものとが、簡単に一対にこれは証明できるものではございませんけれども、その可能性を否定できるものでもございません。
 そういったところで、次の三ページに参りまして、残留性有機汚染物質、POPsと呼ぶ場合もございますが、この条約の成立を目指して国際社会で今議論をされているというところでございます。
 この中で十二種類のPOPsが対象になってございますが、この中にPCBが含まれてございます。そして、意図的な生産に対しては製造、使用を禁止し、そして廃棄に至ったものに関しては適切に処理をしようという機運が高まってきてございます。現在のドラフトでは、二〇二八年を目指して廃絶、そういう案が議論されているというふうに伺ってございます。
 さて、そういう中で、PCBの処理技術でございますが、三ページの下の表に、廃PCB等ということで、主にPCBを含む油とPCBに汚染された固形物とに分けて、どういった方法がこれまで開発されてきたかということを整理して一覧表にしてございます。
 かつては、両者に挙がっております焼却という方法がやや有効であるという認識、これは今も変わらないということが先ほどの森田統括の御見解でございますが、それに加えて、最近いろいろな処理、分解の技術というものが開発をされてきております。そのあたりの整理を含めてここに、水熱酸化分解から還元熱化学分解云々ということで整理をしてございます。
 特に、この下の方の容器に関しましては、この分解の技術に関しましては、今、日夜開発が推進されているというふうに理解してございますが、その下の除去、分離、洗浄技術、ここをうまく組み合わせることでもって、固形物に付着したPCB等も、一たん分離、除去をし、そして、廃PCB等と同じ処理技術が適用できる、そういう方向にあることはまず間違いないと見ていいかと思っております。
 そういうことで、PCB処理技術に関します現状を整理いたしますれば、廃PCB、特にPCBオイルに対します化学処理あるいは超臨界水酸化、このあたりの技術はほぼ実用レベルに達してきているというふうに見ていいのではないかと理解してございます。
 そしてまた、この高温燃焼分解というのは、欧米では確立済みの技術として日夜使用されております。そういう意味では、PCBが新たに廃棄になってまいりますれば、高温燃焼分解で処理を進めているというのが欧州の実情でございます。
 また、日本の方でも、排ガスに対するダイオキシン対策の高度技術化というところは、決して燃焼分解だけに適用するというものではございませんで、化学処理の過程でも、ガス対策という意味では、これは的確に使用し得る要素技術ということになってきているのではないかと思います。
 こういったことで、技術という意味では昨今非常に前向きな展開を見せておりますので、そういった中で、地球環境の保全の視点からもあるいは適正な循環型社会をつくるという意味からも、PCBとぜひこの段階で決別できるようなシステムができることを願っているものでございます。
 その中で、先ほど少し立地時に関します困難性ということの御指摘もございましたが、技術に完全な技術、一〇〇%安全な技術というのはやはりないというふうに認識すべきだと思います。そういった意味では、その技術を使うというシステム、すなわち一定の技術情報、あるいはモニタリングといいますか、その周辺の環境濃度等を含めた情報公開を的確に図りながら、そしてそのデータを見て、そういう意味ではまた見直す勇気も持ち、そして議論の中で的確に処理を進めていくということが最も肝要なことであろうかと認識してございます。
 大体時間だと思いますので、これで終わらせていただきます。
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五島正規#5
○五島委員長 ありがとうございました。
 次に、浦野参考人にお願いいたします。
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浦野紘平#6
○浦野参考人 横浜国立大学の浦野でございます。以前にもほかの法案でこちらにお招きいただいたことがございますが、四月から所属が若干かわっておりますので、最後の方に所属、連絡先等を書いてございます。
 きょうは、四ページの白い紙と、それからピンク色の参考資料、私どもの研究室で事務局をしております研究会が一年前にPCBの処理の必要性を書いた資料を参考にお配りさせていただいております。
 本日の私のお話は、四つに分けてお話ししたいと思います。一つ目はPCBの特性、二番目が対策の緊急性、それから、重要な三番目が法案への意見、四番目がその他の意見でございます。これに従ってお話しさせていただきます。
 私は物質工学科というところに所属しておりましたので、化学物質の管理というのが重要な仕事であったわけですが、まず、PCBというものがどういうものかというのを、先ほど来お話がございましたけれども、簡単に復習させていただきます。
 PCBは、日本が約五%、世界じゅうが百二十万トンぐらい製造したうちの六万トン弱を日本が製造、場合によっては一部輸入もしておりましたが、こういったものを使ってきました。非常に分解しにくい安定な化合物であるということで、極めて多種多様な用途に使われてきましたけれども、これが災いして、環境中でもあるいは体の中でも極めて安定で蓄積しやすい難分解な状態であったということ。また、一部に、これが安定であるにもかかわらず、中途半端な加熱をされて酸素の中に放置されると、ダイオキシンの一種であるポリ塩化ジベンゾフランに酸化されて毒性がむしろ強まるという性格もございます。
 これが特に体に蓄積しやすいものですから、魚介類等に数万倍あるいは海洋哺乳類や水鳥に数千万倍に濃縮されている。日本人のダイオキシン摂取量の三分の二は魚介類からと言われておりまして、そのうちのまた三分の二、全体の半分以上がコプラナPCB、すなわち、PCBのうちのダイオキシン類に指定されているものが半分以上を占めているというのが現実でございます。
 この有害性については、環境試料、土壌であるとか生物であるとか、あるいは母乳も含めて、合計濃度とダイオキシン換算の毒性等価量との関係が出ておりまして、これは大体一万分の一から五万分の一ぐらいになっております。ですから、一番毒性の強いダイオキシンほど極端に怖がる必要はないんですが、やはりその数万分の一、平均でいうと二万五千分の一ぐらいの毒性があるということになっております。
 この関係を、最近のダイオキシンの耐容摂取量、一日、体重一キログラム当たりの許容摂取量のようなものですが、これが四ピコグラム、十兆分の四グラムというふうに決められているわけですけれども、PCBの許容摂取量は現在五マイクログラムということになっておりまして、ダイオキシン換算しますと、この間に五十倍ぐらいの差がある。PCBの許容摂取量の方が改正されていないままであって、それに関連した基準も改正されていないという状況にあるのを、今後きちっと毒性を評価して管理をしていく必要がある。
 それから、もう一つ重要なことは、PCBは揮発性が少しございまして、取り扱い中に大気中に出る、あるいは保管中にも大気中に出て、地球上全体を汚染、周辺ももちろんのことながら地球全体を汚染し、それが先ほど御紹介のあった北極域に特にたくさん集まってきて被害を与えるというようなことが言われておるわけです。
 こういった特性があるPCBが長い間保管をされてきたわけですけれども、旧厚生省が調査をしたのが、平成四年と十年に調査をされておるわけですけれども、アンケート等で問い合わせをしても七割ぐらいの企業が返ってこないという状況ですので、その後、最近PCB問題が大きく取り上げられてから、大企業を初め米軍であるとか学校を含めて、私のところにもありますとか、こういうところにもありましたというのが次々に見つかっているという状況でございまして、中小事業者あるいは自衛隊なども含めて、本当に日本じゅうでどういうところで使用され保管されているのかというのは必ずしも十分把握されていないという状況にある。
 しかも、例えば旧厚生省の調査で不明ないし紛失したと言われているものをダイオキシン換算すると、およそ百四十キログラム相当になります。百キロと言う方もおられるんですが、このぐらい。現在、旧環境庁が発表しているごみ焼却場等から出てくるダイオキシンの量は、年間三キロぐらいでございます。ということは、四十五年相当分がもう既にPCBからダイオキシンが環境中に出てしまっている可能性がある。
 あるいは、こういうPCB機器を持っている事業者、建物を解体する場合、PCB処理をすると大変だから、ビルごと全部壊して、ビルの建設廃棄物と一緒にPCB廃棄物も一緒に捨ててしまえばわからないからそうしようというような、露骨に言っている業者も実はあるというのが実態でございます。
 こういったものをこれからしっかりと緊急的に対策をとっていかなければいけません。特に保管されているものは、ダイオキシン換算で約二トン相当、二千キロ相当になります。これは、先ほど言いました三キロの七百年分に相当する。要するに、毎年出ているダイオキシン類、ごみ焼却場で大騒ぎしていますが、それの七百年分相当のPCBが保管されているという現状を放置しているわけにいかないということでございます。これはもう前から私どもがしきりに言ってきたことですが、なかなか対策が進まなかったということでございます。
 先ほど来御紹介がありましたように、処理技術はかなり進んできておりますし、いろいろな信頼できる技術ができてきております。高温焼却技術も、住民は怖がる部分があるんですけれども、十分信頼できるレベルに来ておりますので、これも活用して、対象物の量や濃度等に合わせて技術を選択する。例えば、高濃度のものは化学処理をして、低濃度の、布であるとか木にくっついたようなもの、紙にくっついたようなものは場合によっては焼却をするといったような使い分け、あるいは残ったものを最後は焼却するとか、いろいろな組み合わせを考えて対応をとるのがいいのではないかというふうに思っております。
 また、処理後の基準、これは通称卒業基準というそうですが、これは、日本は世界的に大変厳しい基準が旧厚生省あるいは環境庁で、現在の環境省で決められておるんですが、実は、処理の基準の中でも、非常に厳し過ぎる部分と少し緩過ぎるのではないかと思われる部分があります。
 それは、PCBとして考える場合とダイオキシンとして考える場合が少し整合性がとれていない。あるいは排水基準なりその他の基準、廃棄物の溶出基準等も、ダイオキシンの基準とPCBの基準は全く整合性がとれていないという状況でございますので、この辺についてはきちっと整理をしていく、処理を進めながらでもいいとは思いますが、何とかしてきちっとしていく必要があるというふうに思っております。
 そういうことを進める上でも、この法律が提案されたことは大変意義深い、何年間も私どもで言ってきたことがやっと実現してきたというふうに思っております。
 三番目の法案に対する意見でございますが、三十年近く放置してきた行政の責任というのは非常に大きいというふうに私は思っておりますが、これが今これからスタートするということで、過去の責任追及ということではありませんが、やはり国民にそのツケを回し過ぎないようにきちっとしていく必要があるというふうに思います。当然国は、ある程度の責任を持って資金も出してやることが必要だとは思いますが、十分、税金を使っているんだという意識でやっていただきたいというふうに思っております。
 法律そのものは全体的にはかなりよくできていると私は思っておりますので、法案には基本的には賛成という立場でございますが、できれば幾つかの注意点を附帯決議等でつけていただければありがたいというふうに思っております。
 特に、最初の段階では、目的のところに、「国民の健康の保護及び生活環境の保全」と書いてございまして、これはよくあるフレーズでございますが、実はPCBの場合、先ほど来御紹介がありましたように、世界じゅうを汚染しておりまして、特に海洋哺乳類等に大変深刻な影響を与えております。こういった野生生物、生物多様性の保護という視点がこの法律に全くないというのは、今の時代に少しおかしいのではないかということを私は感じております。
 それからもう一点、資金の出捐について、基金出捐ですが、拡大生産者責任というのがOECDで議論されておりますが、PCBを製造した者の負担を、これは国が協力を求めることになっておるわけですけれども、どのぐらいの協力を得られるのか、これは相当国民負担に転嫁されるおそれがあるので、それなりの相当額をきちっと要求すべきである、負担させるべきである。
 それから、PCBを使用した製品を製造した者というのがございまして、私がこの委員会の前にいただいた資料では、重電メーカー、いわゆる発電所とか変電所を持っている、あるいはその機器をつくっているところというようなのが例に挙がって、例なのかどうか、それだけが書いてございますが、実はPCBを使用した製品をつくった者はたくさんおるわけで、この範囲も極力広げて、製造者責任の範囲を明確にして広げて、国民負担を減らしていくべきだというふうに私は思っております。
 それから、先ほどのお二人の方々もおっしゃっておりましたけれども、この問題をスムーズに解決するためには、やはり周辺住民あるいはNGOの理解を得ることが極めて重要でございます。
 法案によりますと、第五条に、国民、事業者等の理解を深めるよう努めなければならないという非常にあいまいな書き方がしてございますが、私は、この問題については、住民参加あるいはNGO参加という言葉が必要なのではないか。その参加の中でリスクコミュニケーションをしてやっていく。
 これは、オーストラリアなどでもそういう事例がございますし、特に、安全の確認の仕方を住民の意見を入れてやっていく。しかも、オーストラリアの場合は測定値を翌日公開しているんですね。そういう形でやることで非常に信頼度が得られるようになっている。そういったことも含めて考える必要がありますし、その中で、自治体の役割というのをもう少し明確にしてよろしいし、その自治体の職員の研修等も非常に重要だというふうに思っております。
 また、自治体は、中小事業所の所有分あるいは分散型用途、例えば、一部は家庭用品あるいは事務機器の古いものの中にまだ入っておりますので、そういったものも把握するとなると自治体の役割が非常に重要でございますので、そういったことも自治体の役割としてきちっと明記しておく必要があるのではないかというふうに思います。
 それから、もう一点重要なことは、技術のことですけれども、技術はかなり信頼できるものができているということを申し上げましたが、それは処理能力のことでございます。しかし、その能力というのはPCBの分解率で表示されておりますので、PCBの分解途中のもの、あるいはほかのものに変換されたものも、トータル、わからないものも出てくるおそれがあるというのが住民の不安でございます。
 その住民不安にこたえるには二通りございまして、一つは、仲間の塩素化合物の合計をはかって管理する。そういう有機の塩素化合物というのが何もありませんよというのを管理する。それは、一つは、今ここに書いてあるSNVOXという、VOClでもいいんですけれども、塩素はClというんですが、これで管理をするということが一つ。もう一つは、毒性で、バイオアッセーで直接管理をするというのが、これは化学的というよりは、住民理解という意味でも、私はそういった新しい指標も含めて副生成物管理をする必要があるというふうに思っております。
 それからもう一つは、処理能力だけではなくて、先ほど来あった、事故や災害等のときに安全な装置であるのかどうか。ところが、今までの処理技術の評価は、ほとんどが処理能力、あるいはどこまできれいにできるかということで評価をされているんですが、火災とか震災があったときに、あるいは腐食とかその他で漏れたりこぼれたときに危険度がどのぐらいなのかというあたりの評価が、実は必ずしも十分ではないのではないかというふうに私は思っております。
 といいますのは、大変心配しておりますのは、もし全国何カ所かでやったときに、一カ所でも事故を起こしたらば、原子力発電所のようにすべてがとめられて、すべてが不信感に陥ってしまって、すべてPCB処理がとまってしまうおそれがある。ですから、どこも事故を起こしてはならないという前提で処理をするとなると、実は、今ある化学処理の中に若干不安なものが幾つかあります。その点について、やはりもうちょっと何かきちっとすべきであるというふうに思っております。
 それから処理の順序等も、地域の特性に合わせたり、あるいは対象物の多さ、PCBの含有量だけではなくて、今現在ほっておくと廃棄されてしまうようなものを優先する必要もあるのではないかというふうに思っております。
 その他、時間も参りましたが、最後の方ですが、廃棄物として埋められたもの、あるいは汚染した土壌についての問題、それから事業団の経費が、特殊法人で公的資金で行われるとなると、競争がないので、つい多少、むだ遣いと言うと失礼かもしれませんが、非常に高額になってしまうおそれがあるということで、環境省や会計検査院の検査だけではなくて、第三者からのチェックを受けるようなシステムが必要ではないかというようなことも考えております。
 それから、その他の意見として、カネミ油症患者さんという大変深刻な、人体実験をしたような事例がございます。これは、本当にしっかりとした調査とか支援が必要ではないか。あるいは、PCBの代替物としてポリフルオロカーボンや六弗化硫黄等が現在温暖化等で非常に問題になって、環境中寿命が数万年というようなものがいまだに使われ、回収義務づけがされていないというふうな状況で、PCBほど毒性はありませんけれども、こういった負荷をきちっと管理していくべきではないかというふうに思っております。
 以上が私の公述でございます。どうもありがとうございました。
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五島正規#7
○五島委員長 ありがとうございました。
 次に、村田参考人にお願いいたします。
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村田徳治#8
○村田参考人 淑徳短期大学の非常勤講師をやっております村田と申します。
 三人の参考人の方からもう既に基本的なお話は全部出ておりますので、触れられていない部分だけをちょっと重点的にお話をしたいと思います。
 実は、三十年間に、トランスとかコンデンサーが一万一千台も行方不明になってしまった、これに対する追及がほとんどなされていない。
 実際にこれがどうなっているのかというのは、幾つか事例があるんですが、ほとんどの場合は、工場で保管をすべきと義務づけられているにもかかわらず、その工場の担当者が定年退職、普通の退職あるいは転勤というようなことで管理者が不在になってしまう。しかもその書類も、工場なんかでは大体五年間保管なんということで捨てられてしまうおそれがあるということで、だれもわからなくなってしまう。
 たまたま変電所の改造その他が起きてそういうトランスなりコンデンサーが出てくると、それはわきに追いやっておくわけですが、たまたま廃棄物処理業者あるいは廃品回収業の方が工場へそういうものを集めに来るときに、それが一緒に出されてしまう。担当者はそういうことを全く知らずに引き継いだものですから、最初の担当者は知っているんですが、次の人たちはよく知らない。それが例えば解体業者の中へ回ってくる。
 解体業者をごらんになった方はそうたくさんいないのではないかと思いますが、実は、トランスなりコンデンサーを解体している、そればかり解体しているわけじゃありませんが、要するに解体をして、そこから鉄くずあるいは銅くずを回収して、それを資源として売却するということを昔から続けている業者がおります。そういうところへトランスなりコンデンサーなりが来ると、まずふたをあけて、中に入っているトランス油と称する油をドラム缶に移します。これがPCBである場合とそうでない場合とあるわけですが、一々それは、きちんとした業者であればそれはきちっと分けてやるんですが、本来やってはいけないことなんですが、PCBの入っているものは処理しちゃいけないことになっているんですけれども、それは知ってか知らずかということで解体をしてしまう。
 ドラム缶に入れて、周りに付着した部分は、その下に全部落ちてしまう。ドラム缶に入らなかった部分は全部土に落ちてしまいます。ですから、解体業者のところへ行くと、とても長靴でも履いていかなきゃいけないほど地面が油でどろどろに汚れているというようなところがたくさんございます。そういうところでは、当然PCBが土の中にしみ込んでしまう。
 それから、ドラム缶に入れられたもの、これはどこへ行くかというと、いわゆる廃油処理業者というところへ回されます。この廃油処理業者のところではいろいろなことをやるわけですが、品質のいいもの、余り汚れていないもの、トランス油みたいなものですと、ほとんど潤滑油関係に再生油として回してしまう。潤滑油としてPCBが使われた歴史もあるわけでして、古い機械油の中には大体PCBが検出されます。そういう形で、油としてリサイクルされてしまうということがあります。買う方も、それがPCBが混入している油であるということを知らずに買って機械油として使うということがあります。これは、だから非常に汚染源がどんどん拡散していってしまうということがあります。
 それから、もう一つ盲点になっているのは船舶の解体です。もう三十年以上、寿命が来た船舶、当時、やはり船というのは火災が非常に心配されるものですから、こういう電気機器類というのは不燃性のものを使うということで、PCBのコンデンサーあるいはPCBのトランスを使った船があります。最近、日本は造船の方は低調でして、船の解体の方も余り進んではいないだろうとは思うんですが、かなり前にはこういう船が解体をされて、そこに積んであるコンデンサーのPCBなり、あるいは火災防止のために暖房用に使うのはパネルヒーター、パネルヒーターの中にもPCBが入っているものがありまして、そういうものが解体と同時にほかのスクラップと一緒にまざってきて、油は油で一応集めるんですけれども、PCB入りの油というものが出てくる。これは一時大問題になったことがございます。その後、私も追及をしていないのでどうなっているのかわかりませんが、そういう点の汚染源というのもございます。
 法律の方で、事業者というものの中に、保管する事業者ということになっているんですが、解体をやっている人たちは、PCB入りの製品を保管したりなんかすることはほとんどないんです。運び込まれるとすぐその場で解体をしてしまって次に回してしまうわけですから、この保管というのは時間的なもので、一時間でも置いてあればそれは保管なんだというふうに解釈すれば、それは保管ということになるんですが、一般で言う意味の保管というのはほとんど考えられないというふうに考えた方がよい。ですから、この法律の中に、この保管というものにはもう少し何か条件をつけ加えないと困ることが起きてくるのではないかというふうに考えられます。
 それから、もちろん、譲渡あるいは譲り受けをしてはいけないという条文が載っておりますが、実際には、今お話ししたように、法律の存在を知ってか知らずか、あるいは十分承知してやっている部分もないことはないんですが、知らないで、そういう形でPCB入りの製品が流れてくる。特に倒産した会社などでは、当然そういうものが廃品回収業者の方に回る可能性も多分にあるわけです。これに対する法律的な縛りといいますか、それが十分でないような気がいたしました。
 それからもう一つ、次に、環境事業団がPCBの処理を行うということが今回の法律の大きな目玉だそうなんですが、実は、もう既に化学的な処理、いわゆる焼却処理ではない処理方法で実際に処理が行われています。これはお手元の三七号資料の中にも載っておりますが。
 今までPCBの処理がどうしておくれたかというのは、先ほど参考人の方々からるるお話があったように、いわゆるダイオキシンの発生問題、焼却によるダイオキシンの心配というのが一番大きかったわけですが、この化学処理によると、これは焼却ではございませんで、化学的にほとんどいわゆる還元状態でやるというもの、あるいは空気を遮断してやるという形ですからいわゆるダイオキシンの生成というのはほとんど考えられない。こういう処理技術がもう既に開発されていて既に実施をしているところがございます。お手元の資料の中にも、住友電工あるいは荏原製作所、日本曹達、それから東京電力はこれから、あるいは三菱重工もことしあたりやるという形になっております。
 東京電力の施設は横浜の大黒町という工業地帯で行われるわけですが、このとき近隣住民に対する合意を取りつけるということだった。この大黒町というのは工業地帯でして、実際には近隣に住民はいないんですが、隣の町会あたりを、大体六千戸の同意を取りつけたということでこれができるということになったようです。
 その場合の説明では、これは焼却処理ではないんだ、だからダイオキシンは一切出ませんという説明が行われているはずなんです。住民も納得してそういうふうなものに対しての反対運動が起きないということだろうと思うんです。事業団がどういう技術を導入されるか存じ上げませんが、例えば焼却を中心にした技術を採用するとなると、これはかなりの反対運動が起きる可能性はあります。
 それからもう一つ、事業団が公共的にやるということ。既に民間がやっているにもかかわらず、なぜ事業団が新たにこれに乗り出すのか。むしろ民間のやっていることをもっと助成して、その技術を生かして実際に処理をしていくべきではないか。
 例えば住友電工では、中小企業が保管するPCBの汚染を我が社で処理してもいいということを名乗りを上げております。あるいは関西電力なんかでも、受託処理も計画をしているということのようです。しかも、処理技術というのはまだ完全に評価がされておりませんで、高い技術もあれば安い技術もある。
 最終的に、いろいろなところがそういう処理を始めると、一番安いところ、技術がすぐれていて処理費の安いところに品物が集まってくるということになる可能性があるんですが、事業団がもしこういうことを始めてしまうと、今までこういうことを計画してきたところがほとんどだめになってしまうだろうという感じはします。
 それから、最近工場で、今までやっていた産業が下火になってしまって遊休地を非常に抱えてしまっているところがあります。あるいは、既に自分たちの持っている技術でこういうものは処理ができるんだという処理技術を保有している工場もたくさんあります。しかも、大手の工場ですと、周辺一キロ以上離れて住宅があって、近隣には全く住民が住んでいないというようなところも多々ございます。そういうところを生かして、むしろこういう処理技術の開発といいますか、むしろ技術の向上、お互いに競争し合って向上させるべきであるというふうに考えております。
 それから、公共関与で廃棄物を処理するということは、一応産業廃棄物については禁止されていると言った方が、国際的にいわゆる汚染者負担の原則というものによって、公共的にそういうものを入れると公正な競争が妨げられるというところから、あくまで汚染者負担の原則で排出者がそういうものを負担すべきであると。法律の中には一部出捐の話がございますので、それはそれとして、事業団が実際にやる根拠というのはどうも説得力がないような感じを受けるわけです。
 それから、時間がありませんので先を急ぎますが、先ほどお話しした、金属の解体業で実際に大変な土壌が油で汚れているところがございます。これは、土壌汚染に対する自社での調査義務だとか何か余りない、あるいは中小企業ではそういうことができないというようなところがございまして、これがPCBの汚染を広げている。当然、大気中へも飛散をしますし、雨が降れば流出するということになるので、この解体業のあれは急務だと思います。
 それから、もう既に述べられたように、いわゆる汚染物、PCBそのものではなく、PCBに汚染されたものについてはまだちゃんとした技術が開発されておりませんので、やはりこれを開発するのが急務である。
 そのほか、カネミ油症の患者の疫学調査の話は、もう既に浦野先生がお話しになりました。
 それから情報公開、これも既にお話しになったので、これで終わります。どうもありがとうございました。
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五島正規#9
○五島委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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五島正規#10
○五島委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉龍司君。
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小泉龍司#11
○小泉(龍)委員 おはようございます。
 本日は、四人の先生方、大変お忙しい中、当委員会にお越しをいただきまして貴重なお話を承りました。まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 先週来、今回の二法案の審議を当委員会で行っているわけでございますけれども、この議論を集約していきますと、大きく四つの論点があろうかというふうに思っております。
 一つは、法制全体の枠組みの適否の問題。この中には、環境事業団を活用することの是非、あるいは、民主党の方から出ています、PFIの手法を活用すべきだという議論もあるようでございます。
 二番目に、処理技術の確実性、安全性の問題でございます。この中には、ダイオキシン類であるコプラナPCBが処理できるかというような問題も含まれるわけでございます。
 三番目に、措置の実効性。法律ができましても、PCBの処理施設の建設が実際に進まなければPCBの処理は実行できないわけでございまして、過去三十年間、この問題が大きな阻害要因になってきたわけでございます。したがいまして、この処理施設建設に関する地元住民との合意、意思の疎通、これをどういうふうに図り実効性を上げていくのかという問題。
 最後に、この法律の外に出てしまった問題でありますけれども、過去三十年間の間に不明になった一万一千台余りの高圧トランス・コンデンサーを中心とするPCB廃棄物のもたらすリスク、またそれへの対応の問題でございます。
 この四点については今四人の先生方が順次それぞれお触れになりましたけれども、順番に、森田先生には一番目の問題、酒井先生には二番目の問題、順次また質問させていただきますけれども、浦野先生、村田先生と今四つの順番のとおりにお伺いをして、時間の進捗を見て複数の先生にもお伺いをしたいと思うわけでございます。
 最初に、森田先生にお伺いしたいわけでございますけれども、法律の枠組みの問題でございます。
 今回の法律は、排出者責任の原則を基本としつつ環境事業団を活用して処理体制を広域的に整備する、そして、中小企業者の負担を軽減するための基金をつくる、こういう内容でございます。この法律の枠組み全体のあり方について専門家のお立場からどのようにお考えになるか、お教えをいただきたいと思います。
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森田昌敏#12
○森田参考人 法律のできぐあいというか、全体の枠組みはよろしいかという御質問かと思います。
 私の印象としては、法律は、いろいろな今までの苦い経験も踏まえて、バランスよくできているかなという感じをいたしております。
 一つ、ほかの参考人の先生方から御指摘があって、やや否定的な意見も出たようなところは、環境事業団の是非に関する部分かなという感じがいたしますが、ここのところは少し、考え方をどうするかということかという感じがします。とにかく国の関与なしにこれがうまくいくというふうにはだれも思っていなくて、どのように関与するかというそのやり方のところでいろいろなやり方があるかもしれない。
 指摘されるのは、多分、こういうものをかませるとコストが上がるのではないかという議論かもしれませんが、これに類似したものとして、これが適切な比喩かどうかわかりませんけれども、例えば私たちが土地を買うときに、民間ディベロッパーの土地を買うか、それとも公団の開発した土地を買うかといったときに、少々高くても公団のを買った方が安心かなというふうな思いもあったりするようなところが感じとしてありますが、同じようなことがこういう場面であるかなという感じがいたしまして、そういった公的機関の関与というのは大きい方がひょっとすると国民の安心を得られるかもしれない、そんな感じでございます。
 以上です。
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小泉龍司#13
○小泉(龍)委員 ありがとうございました。
 続きまして、酒井先生にお伺いをしたいと思うわけでございますけれども、処理技術としての化学分解技術、これを前提に今回の枠組みは進めていこうということになっているわけでございますけれども、この化学分解技術について、海外の実績、あるいはPCB汚染物、トランス、コンデンサーを構成する金属容器、廃プラスチック、木片などのいわゆるPCB汚染物、これも処理できる水準まで技術水準が達しているかどうか。
 もう一つは、ダイオキシン類であるコプラナPCBについても分解が可能であるかどうか。我々は大丈夫だという認識を持っておりますけれども、間違いがないのかどうか、専門家の御見解をお伺いしたいと思います。
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酒井伸一#14
○酒井参考人 まず、一点目の化学処理技術の海外の実績ということでございますが、カナダ、アメリカ、オーストラリア、フランスあたりで実績があると理解してございます。それらの技術をまとめまして、国連環境計画、UNEPというところでございますが、そちらが昨年の八月に非焼却系のPCBの破壊技術に関しましてレポートを公表してきておりまして、世界各国の中での化学処理技術の認識というものが図られているというように理解してございます。そういった意味で、海外での実績は十分あるのではないかというように考えていいと思います。
 それから二点目の、いわゆるPCB汚染物、油以外のところでございますが、このあたりの技術に関しましては、真空加熱分離、まず容器からPCBを分離するという意味で真空加熱処理技術を使う、あるいは溶剤で洗浄をして、その洗浄した液体を処理するといったようなことで、いわゆる分離の技術をうまく組み合わせることでもって一定の処理レベルにあると見ていいのではないかと思います。
 ただし、容器のハンドリングとかあるいは最終の処理確認といったような周辺の技術を含めて、やはりできるだけ完全に近い技術にするという努力は今後とも必要ではないかというようにPCB汚染物に関しては考えてございます。
 それと、PCBを処理したときにコプラナPCBはどうかということでございますが、PCBの全体の分解率に比べて特にコプラナPCBの分解率が低いというような事例があるようには見ておりません。ほぼ同じ分解率でコプラナPCBも処理できると見ていいのではないかと思います。PCB二百九種類の中のあくまで十二種類がコプラナPCBでございますが、それが特段低いということはない。
 PCBの中には、あと、ダイオキシン類の一部であるジベンゾフランも含まれるんですけれども、このジベンゾフランの方も、化学処理の中で一定の除去率というものも確認されてきておりますので、そういった意味で、ジベンゾフランとコプラナPCBは近いというふうに理解をいたしている中でも、コプラナPCBも分解できると考えていいんじゃないかというふうに思っております。
 以上でございます。
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小泉龍司#15
○小泉(龍)委員 ありがとうございました。
 第三点目でございますけれども、浦野先生にお伺いしたいわけでございます。先ほども先生、このレジュメの三ページでもうお触れになっていますけれども、重複するかもしれませんが、ポイントをもう少し詳しく教えていただきたいと思います。
 安心、安全を求める地元住民との合意形成、意思疎通、これが非常に重要だと思います。また、施設ができてから後も、円滑なその事業の推進ということを確保するという点からも継続的に住民の方々への、受け身ではない、積極的な、でき得れば双方向の情報開示と意思疎通、これが重要かと思いますが、こうした情報開示のあり方についてどういう点を留意するべきか、どういう方法があり得るのか、重複いたしまして恐縮ですけれども、お教えをいただきたいと思います。
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浦野紘平#16
○浦野参考人 今御指摘のあったとおり、あるいはほかの先生方からもお話がございましたけれども、住民の理解というのは大変重要でございます。これを得るために、とかく行政とか事業者は、詳しい専門的なことを一生懸命説明するということに陥りがちです。情報を開示するというのも、これは最低限必要なことなんですが、詳しい専門的なことをたくさん出すということよりも、当然、まずは住民自身、あるいはその代表者、あるいはそれを代弁する方が参加しているということがまず絶対必要条件だと私は思っております。
 いろいろな意思決定のところに参加する、あるいは測定に立ち会うというようなこと、あるいは、その結果がすぐにだれでもが見られる、見てわかるかどうかという話はまた別としても、見られるという状況がやはり安心感を生むということも非常に重要なことです。
 ですから、PCBのリスクがどうである、あるいは毒性がどうであるという細かな説明よりも、参加と公開されているということ、それをきちっとするためには、やはり地域の行政機関がそういうセンスでなければいけないわけですし、事業者の方もそういうセンスでなければいけないんですが、とかく技術の説明、あるいは安心ですよ、安心ですよと口で言う安心というのでは、やはり住民理解は得にくい。
 それから、先ほどちょっと指摘しましたけれども、日常的なこと以外に非定常なことが起こり得るということ、要するに災害、震災とか火災とか故障とかいうのが起こるんじゃないかというのは常に住民不安があるわけですので、それに対してのきちっとした対応、住民参加も含めた対応が本当に計画の中にきちっと入るかどうかが重要なポイントだと思っております。
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小泉龍司#17
○小泉(龍)委員 ありがとうございました。
 最後に、過去三十年間に不明・紛失となってしまったPCB廃棄物の問題でございます。
 村田先生、先ほどかなり詳しくこの問題に触れていただきましたけれども、もう一度そのポイントをお教えいただきたいのです。この紛失・不明のPCB廃棄物はどこへ行ってしまったのか、またそれがどの程度のリスクを我々に与えつつあるか、現在とり得る措置としてどういう方法が考えられるかという点でございます。これも重複で恐縮でございますけれども、お伺いをしたいと思います。
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村田徳治#18
○村田参考人 先ほどもお話しいたしましたように、まず、解体業者のところへ回ってそこで土壌汚染をしている。役所側には土壌汚染を調査する権限はないはずなので、どのくらい汚染されているかというのはよくわかりません。ただ、かなり濃度の高いPCBが検出されることはあると思います。特に創業の古いところではそういうことがあります。
 それからもう一つは、廃油処理業者へ回っていく。これも中小零細がたくさんございまして、敷地内に油で汚れた土壌がかなり存在している。その後、製品として潤滑油その他で分散をされてしまった、そういうものかと思います。それ以外の拡散先はちょっと考えられないんですが。
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小泉龍司#19
○小泉(龍)委員 わかりました。
 まだ幾つかお伺いしたいこともありますけれども、きょうは質疑者が大勢で、まだ五人おられるようでありますから、若干時間が残りましたけれども、これで終わりたいと思います。大変ありがとうございました。
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五島正規#20
○五島委員長 近藤昭一君。
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近藤昭一#21
○近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。
 きょうは、参考人の先生方におかれましては、大変にお忙しい中、貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。かなり急なお願いだったと思いますが、どうぞ御容赦いただきたいと思います。
 今回のPCBの処理について、先生方のお話の中にも、また委員の方の質問の中にもありましたけれども、処理に対して住民の合意というのが大変に重要だと思います。また、この三十年間なかなかPCBの処理が進まなかったこと、これについてはいろいろな問題があると思うんですが、そういう中でも、やはり住民の方の心配、なかなか合意が得られなかったこと、それにきちっと対応できなかったこと等々があると思うのです。
 ところで、改めてこのPCBの処理、なかなか理解が得られないということを思ったときに、どうしてもやはりカネミ油症のことに思いが至ったわけでありまして、先ほど参考人の方からもお話がありました。カネミのことについてきちっとしたフォローがされていないのではないかと。
 私も大変に不勉強でありましてよく覚えていないところもあるんですが、カネミについては裁判も起こされて、しかしながら、途中で裁判を取り下げたか何かになってしまって、和解の補償金か何かを戻せとか戻せないとか、そういったことに対するフォローができていないということも、非常に住民の方に対する不安が払拭されないことの原因になっているかと思うのです。
 このカネミ油症についてのフォローがどうあるべきかということを、各参考人の方から簡単にお聞かせいただきたいのであります。
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森田昌敏#22
○森田参考人 カネミ油症は一九六八年に起こりまして、当時、昭和四十三年ですので分析技術もまだ余り確立しておらぬ、そういう状況の中で九州大学のグループが一生懸命仕事をされて、原因究明は、比較的早い時期にPCBであるということがわかりました。
 しかし、実はPCBが、熱媒体として使われている間に変質し、ジベンゾフランというダイオキシンの仲間に変わっていって、それが超毒性を発揮したということもその後にわかりました。しかし、その過程で、裁判というのは一種の、何というか、争いのようなところもありまして、いろいろな証拠の提示とか、いろいろなことで難しい部分があったのだと思います。
 今それを振り返って考えてみますと、まず第一に、PCBの汚染として考えられたカネミ油症が、本当にどういう影響を人に対して与えておったのかということをちゃんと勉強する必要はあるだろうということがあります。
 しかしながら、これはもう一方でプライバシーの問題がありまして、やはり人を対象とする研究というのは極めて難しい。患者さん自身が触れてほしくない過去であったり、そういう部分があって、研究が一方ではなかなか簡単に進まないという側面があるのかなという感じがします。
 そういう意味では、日本で起こった非常に重要な事件でありまして、この勉強は相当必要ですけれども、それは相当ちゃんと勉強する必要はあるというふうに思いますけれども、一方で難しい壁もあるのかなということであります。
 なお、十年後に起こりました台湾の油症というのは全く同じ事故でありますけれども、これにつきましては、十年後に起こったこともありまして、化学的な調査は我が国よりもかなり丁寧にやられておりますので、それはかなり参考になるかなという感じがします。
 以上です。
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酒井伸一#23
○酒井参考人 今、森田さんの方から言われたことに尽きると思っております。
 一つ、イタリアのセベソで、農薬の製造工場での爆発事故の後のフォローアップといいますか、後の追跡ということで、これは一九七〇年代後半に起こった事故でございますが、これをやはりイタリアあるいは国際的な研究チームで丁寧に調べられている、そういう事例もございますので、カネミ油症に関しても、ぜひそういう体制ができるのであれば望ましいということは言うまでもないことだと思います。
 以上でございます。
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浦野紘平#24
○浦野参考人 私は、レジュメにも一つ書いておったのですが、法律に直接関係していないということで若干説明を省略させていただいたわけですけれども、カネミ油症では、子供が生まれて、いわばブラックベビーと言われるものですけれども、かなり深刻な被害の出た例もございますが、それよりも軽症の方々もかなりおられます。
 これについては、その当時生まれた方がもう結婚されて出産される時期になっておりまして、その代の方々にも、次の世代にも明白な被害が出ているということが実はNGO等の調査でわかっております。
 そういった状況でありながら、カネミ油症事件の患者さんのいわゆる学術的な病理の解明、影響の解明が実はほとんどきちっと進んでいない、あるいは疫学調査的なものも行われていないし、治療もほとんど投げられてしまっている状況にある。これは、先ほど森田参考人からも意見がありましたように、プライバシーの問題と非常に密接に関連して難しいところがあることは事実でございます。
 しかし、これは水俣病とか何かでも全く同じ状況でございまして、最初は地域から非常につまはじきにされたり、今でも油症の患者さんはひっそりと隠れて暮らしている方が非常にたくさんおられます。当然、結婚その他のときにも言えない。家族にそういう人が身近にいた、そういう暴露を受けた可能性があるということを言えない状況で暮らしておるのが実態でございます。
 そういう意味では、しっかりとした体制でこれらの支援をする。その場合に、当然、医学的な部分と社会心理学的な部分、あるいは精神的な部分も含めて、あるいは場合によっては金銭的な援助も含めてきちっとした対応をとるべきだというふうに私はぜひ申し上げたいと思っております。
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村田徳治#25
○村田参考人 PCBは、先ほど来のお話のように、環境ホルモンと言われている塩化ジベンゾフランなども含んでいて、それが子孫に影響する。要するに、環境ホルモンというのは、汚染された当人ももちろん影響があるわけですが、子孫に影響を及ぼすということがあるので、やはり追跡調査ということは非常に大切なことなんです。
 ただ、これが十分行われていない。千八百七十一人ですか、認定患者がいて、申請患者は一万四千人ぐらいいたということで、そういう点で追跡調査が十分なされていない。
 追跡調査ができない理由は幾つかあると思いますが、プライバシーの問題も一つ絡んでいるかと思いますが、それ以外に、やはりそういうことに取り組んでこなかったというのが一番大きな問題だと思います。
 それから、疫学調査というのは無関係な人との対比をするわけですけれども、これもかなり費用と経験を要する仕事でございまして、そういうことも行われてこなかったということで、これはぜひ……。この法律には直接関係がないのかどうかわからないので、後ろの方にちょっと私も指摘をしておいたわけです。
 以上です。
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近藤昭一#26
○近藤(昭)委員 ありがとうございます。
 今浦野先生からも、村田先生からも御指摘がありましたように、親御さんが、そういうカネミ油症にかかられた方の子供さんが、また自分の子供にもそういう影響が出るのではないかという心配をしている、そういう世代のところに達している。ですから今回、今後の問題も大切なんですが、過去というか、このカネミのことについてやはりきちっととらえていくことが大事だというふうに私は思っております。
 そういう中で、とにかくPCBの処理が急がれるわけでありますが、先ほども委員の方からお話もありました。焼却法あるいは化学的方法を使っていく、これについて、技術がどういうふうに進んでいるのか。焼却をしたりあるいは化学的方法を使っても、多分に環境に対する負荷があるのではないかなと思いますし、ただ、それをいかように削減していく方法がきちっとあるのかどうか。
 済みません、浦野参考人、そしてまた村田参考人にお願いをしたいと思います。
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浦野紘平#27
○浦野参考人 日本は、御指摘のように、カネミ油症という非常にまれな、いわゆるダイオキシンを食べた人たちというのがいるわけですね。それは国民に非常に大きなショックを与えておりますし、昨今のダイオキシン問題とも関連して、非常に国民の目は厳しい。それに対して、開発されてきた技術というのは、通常時は十分信頼できるレベルに来ているというふうに私は思っております。私は工学の出身ですから、工学的な部分から見ればかなり神経を使ってきちっとした処理がされるようになっているというふうに思われるんですが。
 それからもう一つ、処理場ができると非常に怖がるわけですけれども、実は、処理をしないで放置しているリスクというか危険性、自分のそばで工場が火事になった、その工場にPCBが置いてあったとすると不完全燃焼して周りにばあっとまかれるわけですから、その危険性ということを考えると、しっかりした処理をする方がむしろリスクは少ないというふうに私は思っております。
 ただ、先ほども指摘しましたけれども、処理技術そのものを過信するとやはり危険である。特に、処理設備そのものが火災とか震災等に遭う可能性もあるわけですし、それから、処理施設を運転する人たちの訓練であるとか、あるいは装置のメンテナンスですね、例えば、場合によっては高温高圧、高温といっても焼却ほどではありませんが、圧力をかけるとか、あるいは、かなり危険だと私は思うんですが、ナトリウムというものを使う技術とか、こういったものもきちっとすれば安心できるということがあるんですが、何か間違えると大きな惨事につながりかねないということです。
 そこの辺に対してしっかりとした対策をとり、また、その対策のとり方について、住民を加えて議論をしていくということが必要なんではないかというふうに思っております。
 以上です。
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村田徳治#28
○村田参考人 分解技術を細かく分けるとさまざまなものに分けられるんですが、大まかに分けると、焼却方法と、化学的な処理によって焼却によらない方法、特に、炭素と強固に結合している塩素原子をナトリウムによってあるいはカリウムによって外してしまう。これは、ナトリウムディスパージョンなんという、金属ナトリウムを非常に微細にした、非常に反応性の強いものを使うわけですから、当然そこでは火災の危険性、ちょっと水でも入れば爆発を起こすというような大変危険なものでありますが、そういうもの。あるいは、アルコラートといいまして、アルコールとナトリウムのひっついたもの、ターシャリーブタノールみたいなものですが、そういうものにカリウムをつけて外してしまう。
 これらの化学的な反応のいいところ、まあナトリウムディスパージョンの場合には、ディスパージョンですから不均一、一部、微細的に見れば不均一なんですが液体、液体といっても、塊の状態で入っていますから。アルコラートを使えばこれは均質になるわけです。
 焼却が恐れられているのは、実は、いわゆる燃焼反応というのは大変不均質な反応なんです。火炎温度というのは二千度とか二千五百度とか非常に高く上がるわけですが、周辺の装置そのものはそんなにならない。それから、非常に温度分布が不均一になってしまって、そこでダイオキシンができるんじゃないかというのが住民側の大きな心配なわけです。
 それから、行政側でこういうPCBに関する研究はほとんど行われてこなかった。労働省の駒宮さん、労働衛生研究所でしたか、駒宮さんが唯一、酸素で分解する方法を研究しておられたのですが、それ以外に公の機関でPCB分解技術を研究はしてこなかった。その辺のところがまだ問題としては残っているのではないかと私は思っております。まだ完全な評価ができないということです。
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近藤昭一#29
○近藤(昭)委員 ありがとうございました。質問時間が終了いたしました。
 ただ、先ほど村田参考人の御指摘の中にもあったと思うんですが、環境事業団が今までやってこなかった、民間では随分進んでいるのではないかなというようなところをもうちょっと私も勉強したいな、そのように思います。ありがとうございました。
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