法務委員会
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会
会議録情報#0
平成十三年六月二十一日(木曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
六月二十日
辞任 補欠選任
尾辻 秀久君 矢野 哲朗君
藁科 滿治君 竹村 泰子君
林 紀子君 笠井 亮君
六月二十一日
辞任 補欠選任
青木 幹雄君 日出 英輔君
竹山 裕君 須藤良太郎君
矢野 哲朗君 久世 公堯君
竹村 泰子君 直嶋 正行君
角田 義一君 峰崎 直樹君
笠井 亮君 林 紀子君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 日笠 勝之君
理 事
久野 恒一君
江田 五月君
魚住裕一郎君
福島 瑞穂君
委 員
青木 幹雄君
岩崎 純三君
岡野 裕君
久世 公堯君
佐々木知子君
斎藤 十朗君
須藤良太郎君
中川 義雄君
日出 英輔君
吉川 芳男君
小川 敏夫君
千葉 景子君
直嶋 正行君
峰崎 直樹君
橋本 敦君
林 紀子君
平野 貞夫君
衆議院議員
発議者 相沢 英之君
発議者 金子 一義君
発議者 長勢 甚遠君
発議者 根本 匠君
発議者 谷口 隆義君
発議者 漆原 良夫君
発議者 小池百合子君
修正案提出者 長勢 甚遠君
国務大臣
法務大臣 森山 眞弓君
副大臣
法務副大臣 横内 正明君
大臣政務官
法務大臣政務官 中川 義雄君
事務局側
常任委員会専門
員 加藤 一宇君
政府参考人
金融庁総務企画
局長 乾 文男君
金融庁証券取引
等監視委員会事
務局長 五味 廣文君
法務省民事局長 山崎 潮君
参考人
東京大学大学院
法学政治学研究
科教授 神田 秀樹君
大阪大学大学院
法学研究科教授 末永 敏和君
─────────────
本日の会議に付した案件
〇商法等の一部を改正する等の法律案(衆議院提
出)
〇商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う
関係法律の整備に関する法律案(衆議院提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
〇民事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
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この発言だけを見る →午前十時開会
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委員の異動
六月二十日
辞任 補欠選任
尾辻 秀久君 矢野 哲朗君
藁科 滿治君 竹村 泰子君
林 紀子君 笠井 亮君
六月二十一日
辞任 補欠選任
青木 幹雄君 日出 英輔君
竹山 裕君 須藤良太郎君
矢野 哲朗君 久世 公堯君
竹村 泰子君 直嶋 正行君
角田 義一君 峰崎 直樹君
笠井 亮君 林 紀子君
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出席者は左のとおり。
委員長 日笠 勝之君
理 事
久野 恒一君
江田 五月君
魚住裕一郎君
福島 瑞穂君
委 員
青木 幹雄君
岩崎 純三君
岡野 裕君
久世 公堯君
佐々木知子君
斎藤 十朗君
須藤良太郎君
中川 義雄君
日出 英輔君
吉川 芳男君
小川 敏夫君
千葉 景子君
直嶋 正行君
峰崎 直樹君
橋本 敦君
林 紀子君
平野 貞夫君
衆議院議員
発議者 相沢 英之君
発議者 金子 一義君
発議者 長勢 甚遠君
発議者 根本 匠君
発議者 谷口 隆義君
発議者 漆原 良夫君
発議者 小池百合子君
修正案提出者 長勢 甚遠君
国務大臣
法務大臣 森山 眞弓君
副大臣
法務副大臣 横内 正明君
大臣政務官
法務大臣政務官 中川 義雄君
事務局側
常任委員会専門
員 加藤 一宇君
政府参考人
金融庁総務企画
局長 乾 文男君
金融庁証券取引
等監視委員会事
務局長 五味 廣文君
法務省民事局長 山崎 潮君
参考人
東京大学大学院
法学政治学研究
科教授 神田 秀樹君
大阪大学大学院
法学研究科教授 末永 敏和君
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本日の会議に付した案件
〇商法等の一部を改正する等の法律案(衆議院提
出)
〇商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う
関係法律の整備に関する法律案(衆議院提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
〇民事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
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日
日笠勝之#1
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨二十日、藁科滿治君及び尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として竹村泰子さん及び矢野哲朗君が選任されました。
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この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨二十日、藁科滿治君及び尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として竹村泰子さん及び矢野哲朗君が選任されました。
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日
日笠勝之#2
○委員長(日笠勝之君) 商法等の一部を改正する等の法律案及び商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、二名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授神田秀樹君及び大阪大学大学院法学研究科教授末永敏和君でございます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
議事の進め方でございますが、まず神田参考人、次いで末永参考人の順に、お一人二十分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
なお、参考人の方の意見陳述及び答弁とも、着席のままで結構でございます。
それでは、神田参考人からお願いいたします。神田参考人。
この発言だけを見る →本日は、両案審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、二名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授神田秀樹君及び大阪大学大学院法学研究科教授末永敏和君でございます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
議事の進め方でございますが、まず神田参考人、次いで末永参考人の順に、お一人二十分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
なお、参考人の方の意見陳述及び答弁とも、着席のままで結構でございます。
それでは、神田参考人からお願いいたします。神田参考人。
神
神田秀樹#3
○参考人(神田秀樹君) 東京大学の神田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
大変恐縮でございますが、着席してお話をさせていただきたいと思います。
本日は、本委員会におきまして意見を述べさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
早速、私の意見を述べさせていただきます。
今回の二つの法案、すなわち衆法第二六号というのでしょうか、商法等の一部を改正する等の法律案と、そのいわゆる整備法であります衆法第二七号の法律案、いずれにつきましても、私はその内容は妥当なものと考えております。したがいまして、二つの法案の速やかな成立を望みます。
今回の二つの法案の内容は多岐に及んでいますので、そのすべてについてここで深く私の意見を申し述べることは残念ながらできません。そこで、以下では、私がポイントと考えます点につきまして、私の意見を述べさせていただきます。
衆法第二六号であります商法等の一部を改正する等の法律案でありますが、これは大別して二つの柱から成っております。第一の柱は、いわゆる金庫株の解禁という内容であります。第二の柱は、いわゆる株式の単位についての改正を中心とする内容であります。
お手元に一枚紙のレジュメを配付させていただきましたので、その項目に沿ってお話をさせていただきます。
まず、第一の柱であります金庫株の解禁でありますが、これは法律上の言葉で申しますと、自己株式の取得及び保有の制限の見直しということになります。
自己株式の取得及び保有についての現在の商法の規制は大変に複雑であります。それは、考え方としましては、自己株式の取得を原則禁止とし、一定の場合に一定の条件のもとで例外を認めるという考え方に立った上で、平成六年の商法改正以降、平成九年のストックオプション制度を導入した商法改正、さらには平成九年に制定され、その後改正もされてきておりますが、株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律、以下、株式消却特例法と呼ばせていただきます。こういった法律なども加わりまして、例外的に自己株式を取得できる場合についての規定が極めて複雑に整備されてきた結果であります。
平成六年改正以降、例外的に自己株式の取得が認められる場合につきましては、六つの面で規制が設けられてきました。そこに書かせていただきましたように、第一に取得の目的の規制、第二に取得の手続の規制、第三に取得の方法の規制、第四に取得の財源の規制、第五に取得の数量の規制が設けられています。そして、第六に、取得した自己株式については保有期間の制限があります。なお、消却目的で取得する場合には数量の制限はないなどの例外も設けられてきました。
今回の法案ですが、こういった複雑な規制を整理して、商法の観点から一貫した考え方に立った上で、今申しましたうちで第一の取得の目的の規制と第五の取得の数量の規制、それから第六の取得した自己株式の保有期間の制限、これを撤廃するものであります。すなわち、自己株式の取得は、取得の手続、取得の方法、取得の財源という三つの規制のみで統一的に行うこととするわけであります。他方、取得して保有する自己株式の処分につきましては、原則として新株発行の手続によるものとすることを提案しています。
従来、自己株式の取得を原則として事前に予防的に禁止することとしてきた趣旨は、おおむね四つの政策的理由からであると言われてきました。すなわち、第一に会社資本の充実・維持を害するおそれがあること、第二に株主平等原則を害するおそれがあること、第三に会社支配の公正を害するおそれがあること、第四に不公正な取引が行われるおそれがあることであります。
しかしながら、これらの理由は、現行商法のような強い事前の規制を正当化するものではありません。第一の会社資本の充実・維持を害するおそれは財源の規制で対処できますし、第二の株主平等原則を害するおそれは手続と方法の規制で対処できます。第三の会社支配の公正を害するおそれ、これにつきましても手続と方法の規制で対処できます。第四の不公正な取引が行われるおそれについてでありますが、これにつきましても商法としては手続と方法の規制で対処でき、また不公正な取引は特に公開会社の場合に問題になるわけでありますが、それに対しては証券取引法の規制の整備で対応できるわけであります。
会社が発行済み株式が多過ぎると判断するような場合には、その自己株式の取得を行うということは経済合理性のあることであります。弊害のおそれということだけで一律に事前にこれを禁止することは、今日の企業を取り巻く環境の変化を背景といたしますと行き過ぎであります。株式市場の活性化という観点からも、会社のファイナンスにつきましては、財源、手続、方法の規制という必要な規制を施した上であれば、自己株式を取得するかどうかといった判断も会社の判断にゆだねるということが妥当な政策的な判断であると言うべきであります。
他方、現在の商法は、自己株式の取得が例外的な場合に限られるということを前提といたしまして、取得して保有する自己株式について保有期間を規制する一方で、処分する手続については特に規定を設けておりません。しかし、一方で保有期間を規制する必要はなく、必要に応じてその利用、すなわち保有する自己株式の処分を認めた方が、例えば株式を消却してその後にまた新株を発行するといったことをするよりも事務的な負担が少ないなどのメリットがあります。したがいまして、そのようないわゆる金庫株を認める、すなわち自己株式をいわば金庫に入れておいて出し入れ自由とする。そうする一方で、むしろアメリカにおける取り扱いのように、会計上は保有する自己株式の資産性を否定するということが妥当であります。
そして、他方におきまして、自己株式の処分につきましては、その経済実態は新株発行と同様の面がありますため、既存株主の保護等の見地から、原則として新株発行と同様の手続にすべきであります。
今回の法案は、以上申し上げましたことのすべてを実現しようとするものでありまして、商法の見地から申しますと、繰り返しになりますが、自己株式の取得を、取得の手続、取得の方法、取得の財源という三つの規制で横断的、統一的に取り扱うこととするという極めて妥当な内容のものであります。その結果、株式消却特例法は廃止するということになります。
なお、二点つけ加えさせていただきたいと思います。
第一に、自己株式の取得の財源の規制でありますが、これは資本維持、すなわち会社債権者保護の見地から、原則として配当可能利益からの取得ということになります。しかし、法定準備金を取り崩すことによってそれを財源とする方法も認めることとしております。より一般に法定準備金の減少というこれまで商法が認めてこなかった手続を今回認めようとしております。この点につきましては、現在の商法が資本の減少ということは認めながら、法定準備金の減少ということについて何ら規定を置いてこなかったことの方がバランスを欠いており問題でありまして、今回の法案が、法定準備金の減少について、その限度を資本の四分の一までとするという制限を設けるとともに、現在の商法の資本の減少の手続と同じ会社債権者保護の手続を要求した上でこれを認めようと提案していることは、妥当な改正案であると私は考えます。
第二に、証券取引法の方の手当てでありますが、これは特にインサイダー取引規制と相場操縦規制の強化が求められます。これらにつきましては衆法第二七号の整備法案の方で必要な手当てがなされております。
インサイダー取引規制につきましては、既に平成六年の商法改正で自己株式取得規制が緩和された際に手当ての枠組みが用意されておりまして、今回はその枠組みに必要な追加を施しております。相場操縦規制の方でありますが、これは今回きちんとした規制の導入が予定されております。これは、具体的には整備法案の十一条による証券取引法百六十二条の二という新しい条文の新設であります。
以上が金庫株の解禁に関する部分でありますが、次に、株式の単位の改正を中心とする部分について、私の意見を申し述べさせていただきます。
現在の商法は、昭和五十六年の改正によりまして、株式の単位といいますか、株式の大きさといいますか、こういうものについてこれを五万円とするというぐあいに一律に法が規制しております。これはなぜそうかといいますと、昭和五十六年改正当時、一律に法でこれを強制しないと対応できないという事情があったからだと言われています。しかし、今日では環境は変化いたしました。法で一律に単位を規制する必要がなくなったばかりか、そのような一律の規制があると、株価が高騰したベンチャー企業などが株式分割を行うことができないという不都合までが現実の問題として出てまいりました。
そこで、今回の法案は、株式の単位を一律に法で規制してきたことをやめにいたしまして、そのかわりに、議決権との関係では個々の会社が原則として自由に単位を決められることにしようとするものであります。株式の単位を廃止いたしますので、単位株制度もその存在意義を失い、終結すべきことになります。かわりに、単元株制度と法案では呼んでいますけれども、議決権との関係で個々の会社が自由に定款で単位を設定、単元ですが、設定できる制度を提案しております。いずれも妥当な内容であると私は考えます。
そのほかにも、関連して重要な改正が幾つか含まれております。
例えば、第一に、額面株式制度の廃止ということがあります。額面株式の額面というものは、今日では商法の観点から申しますと意味を有しておりません。したがいまして、今回の改正は妥当なものであると考えます。
第二に、単元株制度を導入することとの関係もありまして、現在の商法が発行済み株式総数としているもののうち支配に着目すべきものは端的に議決権と規定することにしています。ちょっと抽象的でわかりにくいんですが、具体的に申しますと、例えば親会社、子会社の定義というものが例として挙げられます。現在の商法では、発行済み株式総数の過半数の保有ということを基準として親会社、子会社を定義しております。今回の改正案では、議決権の過半数が基準ということになります。これも妥当な改正であると考えます。
第三に、多少系統が違いますが、新株発行の際に市場価格のある株式を公正な発行価額で発行するときは、発行価額そのものではなく、これにかえて発行価額の決定の方法を取締役会決議で定めてこれを公告すればよいことにしています。法案による改正後の商法二百八十条ノ二第五項という規定でございます。これは、従来から実務上ネックになっておりました公募増資手続をスムーズに行えるようにするための改正でありまして、極めて妥当な改正であります。
以上、今回の二つの法案につきまして、ポイントと私が考えます点についての意見を述べさせていただきました。最初に申し述べましたように、私は二つの法案の内容はいずれも妥当なものと考えておりまして、その速やかな成立を望みます。
なお、私は、今回の改正ではまだ物足りないと考えている点が若干ございますので、それらの点について最後に簡単に申し述べさせていただきます。今後の検討課題としていただけましたらまことに幸いでございます。三点ございます。
第一点は、子会社による親会社株式の取得の規制であります。
これは、今回の法案では変更ありません。すなわち、現行商法どおり原則禁止のままということになります。その理由は、うまく財源規制がつくれない等の点にあるものと推察いたします。しかしながら、これは自己株式の取得が原則自由になることと比較いたしますと余りに厳しい結果となるわけでありまして、バランスが悪いということがあります。また、実際にも、子会社を利用した株式と株式の交換による企業買収など、子会社が親会社株式を取得する合理的なニーズがある場合が多々存在いたします。したがいまして、将来的には、何とか知恵を出していただいて、子会社による親会社株式の取得についても自己株式の取得と同じ程度までは事前規制の緩和を御検討いただきたいと思います。
第二点は、公開会社が自己株式を取得する方法の規制についてであります。
今回の法案は、相対での取得、すなわち特定の株主からの自己株式の取得を認めることにしていますが、他の株主にも売却の機会を与えることとしています。これは、非公開会社の場合についての現在の商法の規定に倣って株主平等原則を確保しようとする趣旨であると推察いたします。それはそれで筋は通っているわけでありますけれども、しかしながら他の株主に売却の機会を与えるのではいわゆる持ち合い株式を消すことができません。これは、株式持ち合いの解消を進め、株式市場を活性化することを妨げることになります。
公開会社の株式の場合には市場価格があるわけでありますから、市場価格での自己株式の取得であれば他の株主に売却の機会を与えなくてもよいことにすべきであると私は考えております。他の株主に売却の機会を与えるというような規制はどこの国にもありません。また、新株発行の場合には、市場価格であれば特定の第三者に発行することが認められていることとのバランスからいいましても、市場価格での自己株式の取得であれば他の株主に売却の機会を与えなくてもよいこととすべきではないかと私は考えます。
第三点は、今申し上げました第二点と関係いたしますが、株式市場の活性化という観点から申しますと、アメリカで最近よく利用されております自社株プットオプションというものが日本でも利用可能にすべきであると私は考えております。自社株プットオプションといいますのは、一定期間経過後のオプション行使期間に、ある会社、例えばA会社といたしますが、そのA社の株をそのA社に売るという権利であります。A社の経営者は、自社の株価が割安に放置されていると考えれば、時価より高いプット行使価格を設定したオプションを投資家に販売し、対価を得ることができます。株価が行使価格を超えて上昇すればオプションは行使されませんので、会社はいわばもうかることになるわけです。このA会社の株主にとりましては保有株のヘッジ手段にもなります。すなわち、プットオプションの行使価格が株価の下支えになるわけであります。
このような自社株プットオプションも、オプションが行使された際には会社は相対で自己株式を取得することになります。したがいまして、先ほど述べましたように、他の株主に売却の機会を与えていたのではこのような自社株プットオプションは使うことができません。したがいまして、将来的には、こういった点につきましてもぜひ前向きの御検討をお願いいたしたいと思います。
以上で、私の意見の陳述を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →大変恐縮でございますが、着席してお話をさせていただきたいと思います。
本日は、本委員会におきまして意見を述べさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
早速、私の意見を述べさせていただきます。
今回の二つの法案、すなわち衆法第二六号というのでしょうか、商法等の一部を改正する等の法律案と、そのいわゆる整備法であります衆法第二七号の法律案、いずれにつきましても、私はその内容は妥当なものと考えております。したがいまして、二つの法案の速やかな成立を望みます。
今回の二つの法案の内容は多岐に及んでいますので、そのすべてについてここで深く私の意見を申し述べることは残念ながらできません。そこで、以下では、私がポイントと考えます点につきまして、私の意見を述べさせていただきます。
衆法第二六号であります商法等の一部を改正する等の法律案でありますが、これは大別して二つの柱から成っております。第一の柱は、いわゆる金庫株の解禁という内容であります。第二の柱は、いわゆる株式の単位についての改正を中心とする内容であります。
お手元に一枚紙のレジュメを配付させていただきましたので、その項目に沿ってお話をさせていただきます。
まず、第一の柱であります金庫株の解禁でありますが、これは法律上の言葉で申しますと、自己株式の取得及び保有の制限の見直しということになります。
自己株式の取得及び保有についての現在の商法の規制は大変に複雑であります。それは、考え方としましては、自己株式の取得を原則禁止とし、一定の場合に一定の条件のもとで例外を認めるという考え方に立った上で、平成六年の商法改正以降、平成九年のストックオプション制度を導入した商法改正、さらには平成九年に制定され、その後改正もされてきておりますが、株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律、以下、株式消却特例法と呼ばせていただきます。こういった法律なども加わりまして、例外的に自己株式を取得できる場合についての規定が極めて複雑に整備されてきた結果であります。
平成六年改正以降、例外的に自己株式の取得が認められる場合につきましては、六つの面で規制が設けられてきました。そこに書かせていただきましたように、第一に取得の目的の規制、第二に取得の手続の規制、第三に取得の方法の規制、第四に取得の財源の規制、第五に取得の数量の規制が設けられています。そして、第六に、取得した自己株式については保有期間の制限があります。なお、消却目的で取得する場合には数量の制限はないなどの例外も設けられてきました。
今回の法案ですが、こういった複雑な規制を整理して、商法の観点から一貫した考え方に立った上で、今申しましたうちで第一の取得の目的の規制と第五の取得の数量の規制、それから第六の取得した自己株式の保有期間の制限、これを撤廃するものであります。すなわち、自己株式の取得は、取得の手続、取得の方法、取得の財源という三つの規制のみで統一的に行うこととするわけであります。他方、取得して保有する自己株式の処分につきましては、原則として新株発行の手続によるものとすることを提案しています。
従来、自己株式の取得を原則として事前に予防的に禁止することとしてきた趣旨は、おおむね四つの政策的理由からであると言われてきました。すなわち、第一に会社資本の充実・維持を害するおそれがあること、第二に株主平等原則を害するおそれがあること、第三に会社支配の公正を害するおそれがあること、第四に不公正な取引が行われるおそれがあることであります。
しかしながら、これらの理由は、現行商法のような強い事前の規制を正当化するものではありません。第一の会社資本の充実・維持を害するおそれは財源の規制で対処できますし、第二の株主平等原則を害するおそれは手続と方法の規制で対処できます。第三の会社支配の公正を害するおそれ、これにつきましても手続と方法の規制で対処できます。第四の不公正な取引が行われるおそれについてでありますが、これにつきましても商法としては手続と方法の規制で対処でき、また不公正な取引は特に公開会社の場合に問題になるわけでありますが、それに対しては証券取引法の規制の整備で対応できるわけであります。
会社が発行済み株式が多過ぎると判断するような場合には、その自己株式の取得を行うということは経済合理性のあることであります。弊害のおそれということだけで一律に事前にこれを禁止することは、今日の企業を取り巻く環境の変化を背景といたしますと行き過ぎであります。株式市場の活性化という観点からも、会社のファイナンスにつきましては、財源、手続、方法の規制という必要な規制を施した上であれば、自己株式を取得するかどうかといった判断も会社の判断にゆだねるということが妥当な政策的な判断であると言うべきであります。
他方、現在の商法は、自己株式の取得が例外的な場合に限られるということを前提といたしまして、取得して保有する自己株式について保有期間を規制する一方で、処分する手続については特に規定を設けておりません。しかし、一方で保有期間を規制する必要はなく、必要に応じてその利用、すなわち保有する自己株式の処分を認めた方が、例えば株式を消却してその後にまた新株を発行するといったことをするよりも事務的な負担が少ないなどのメリットがあります。したがいまして、そのようないわゆる金庫株を認める、すなわち自己株式をいわば金庫に入れておいて出し入れ自由とする。そうする一方で、むしろアメリカにおける取り扱いのように、会計上は保有する自己株式の資産性を否定するということが妥当であります。
そして、他方におきまして、自己株式の処分につきましては、その経済実態は新株発行と同様の面がありますため、既存株主の保護等の見地から、原則として新株発行と同様の手続にすべきであります。
今回の法案は、以上申し上げましたことのすべてを実現しようとするものでありまして、商法の見地から申しますと、繰り返しになりますが、自己株式の取得を、取得の手続、取得の方法、取得の財源という三つの規制で横断的、統一的に取り扱うこととするという極めて妥当な内容のものであります。その結果、株式消却特例法は廃止するということになります。
なお、二点つけ加えさせていただきたいと思います。
第一に、自己株式の取得の財源の規制でありますが、これは資本維持、すなわち会社債権者保護の見地から、原則として配当可能利益からの取得ということになります。しかし、法定準備金を取り崩すことによってそれを財源とする方法も認めることとしております。より一般に法定準備金の減少というこれまで商法が認めてこなかった手続を今回認めようとしております。この点につきましては、現在の商法が資本の減少ということは認めながら、法定準備金の減少ということについて何ら規定を置いてこなかったことの方がバランスを欠いており問題でありまして、今回の法案が、法定準備金の減少について、その限度を資本の四分の一までとするという制限を設けるとともに、現在の商法の資本の減少の手続と同じ会社債権者保護の手続を要求した上でこれを認めようと提案していることは、妥当な改正案であると私は考えます。
第二に、証券取引法の方の手当てでありますが、これは特にインサイダー取引規制と相場操縦規制の強化が求められます。これらにつきましては衆法第二七号の整備法案の方で必要な手当てがなされております。
インサイダー取引規制につきましては、既に平成六年の商法改正で自己株式取得規制が緩和された際に手当ての枠組みが用意されておりまして、今回はその枠組みに必要な追加を施しております。相場操縦規制の方でありますが、これは今回きちんとした規制の導入が予定されております。これは、具体的には整備法案の十一条による証券取引法百六十二条の二という新しい条文の新設であります。
以上が金庫株の解禁に関する部分でありますが、次に、株式の単位の改正を中心とする部分について、私の意見を申し述べさせていただきます。
現在の商法は、昭和五十六年の改正によりまして、株式の単位といいますか、株式の大きさといいますか、こういうものについてこれを五万円とするというぐあいに一律に法が規制しております。これはなぜそうかといいますと、昭和五十六年改正当時、一律に法でこれを強制しないと対応できないという事情があったからだと言われています。しかし、今日では環境は変化いたしました。法で一律に単位を規制する必要がなくなったばかりか、そのような一律の規制があると、株価が高騰したベンチャー企業などが株式分割を行うことができないという不都合までが現実の問題として出てまいりました。
そこで、今回の法案は、株式の単位を一律に法で規制してきたことをやめにいたしまして、そのかわりに、議決権との関係では個々の会社が原則として自由に単位を決められることにしようとするものであります。株式の単位を廃止いたしますので、単位株制度もその存在意義を失い、終結すべきことになります。かわりに、単元株制度と法案では呼んでいますけれども、議決権との関係で個々の会社が自由に定款で単位を設定、単元ですが、設定できる制度を提案しております。いずれも妥当な内容であると私は考えます。
そのほかにも、関連して重要な改正が幾つか含まれております。
例えば、第一に、額面株式制度の廃止ということがあります。額面株式の額面というものは、今日では商法の観点から申しますと意味を有しておりません。したがいまして、今回の改正は妥当なものであると考えます。
第二に、単元株制度を導入することとの関係もありまして、現在の商法が発行済み株式総数としているもののうち支配に着目すべきものは端的に議決権と規定することにしています。ちょっと抽象的でわかりにくいんですが、具体的に申しますと、例えば親会社、子会社の定義というものが例として挙げられます。現在の商法では、発行済み株式総数の過半数の保有ということを基準として親会社、子会社を定義しております。今回の改正案では、議決権の過半数が基準ということになります。これも妥当な改正であると考えます。
第三に、多少系統が違いますが、新株発行の際に市場価格のある株式を公正な発行価額で発行するときは、発行価額そのものではなく、これにかえて発行価額の決定の方法を取締役会決議で定めてこれを公告すればよいことにしています。法案による改正後の商法二百八十条ノ二第五項という規定でございます。これは、従来から実務上ネックになっておりました公募増資手続をスムーズに行えるようにするための改正でありまして、極めて妥当な改正であります。
以上、今回の二つの法案につきまして、ポイントと私が考えます点についての意見を述べさせていただきました。最初に申し述べましたように、私は二つの法案の内容はいずれも妥当なものと考えておりまして、その速やかな成立を望みます。
なお、私は、今回の改正ではまだ物足りないと考えている点が若干ございますので、それらの点について最後に簡単に申し述べさせていただきます。今後の検討課題としていただけましたらまことに幸いでございます。三点ございます。
第一点は、子会社による親会社株式の取得の規制であります。
これは、今回の法案では変更ありません。すなわち、現行商法どおり原則禁止のままということになります。その理由は、うまく財源規制がつくれない等の点にあるものと推察いたします。しかしながら、これは自己株式の取得が原則自由になることと比較いたしますと余りに厳しい結果となるわけでありまして、バランスが悪いということがあります。また、実際にも、子会社を利用した株式と株式の交換による企業買収など、子会社が親会社株式を取得する合理的なニーズがある場合が多々存在いたします。したがいまして、将来的には、何とか知恵を出していただいて、子会社による親会社株式の取得についても自己株式の取得と同じ程度までは事前規制の緩和を御検討いただきたいと思います。
第二点は、公開会社が自己株式を取得する方法の規制についてであります。
今回の法案は、相対での取得、すなわち特定の株主からの自己株式の取得を認めることにしていますが、他の株主にも売却の機会を与えることとしています。これは、非公開会社の場合についての現在の商法の規定に倣って株主平等原則を確保しようとする趣旨であると推察いたします。それはそれで筋は通っているわけでありますけれども、しかしながら他の株主に売却の機会を与えるのではいわゆる持ち合い株式を消すことができません。これは、株式持ち合いの解消を進め、株式市場を活性化することを妨げることになります。
公開会社の株式の場合には市場価格があるわけでありますから、市場価格での自己株式の取得であれば他の株主に売却の機会を与えなくてもよいことにすべきであると私は考えております。他の株主に売却の機会を与えるというような規制はどこの国にもありません。また、新株発行の場合には、市場価格であれば特定の第三者に発行することが認められていることとのバランスからいいましても、市場価格での自己株式の取得であれば他の株主に売却の機会を与えなくてもよいこととすべきではないかと私は考えます。
第三点は、今申し上げました第二点と関係いたしますが、株式市場の活性化という観点から申しますと、アメリカで最近よく利用されております自社株プットオプションというものが日本でも利用可能にすべきであると私は考えております。自社株プットオプションといいますのは、一定期間経過後のオプション行使期間に、ある会社、例えばA会社といたしますが、そのA社の株をそのA社に売るという権利であります。A社の経営者は、自社の株価が割安に放置されていると考えれば、時価より高いプット行使価格を設定したオプションを投資家に販売し、対価を得ることができます。株価が行使価格を超えて上昇すればオプションは行使されませんので、会社はいわばもうかることになるわけです。このA会社の株主にとりましては保有株のヘッジ手段にもなります。すなわち、プットオプションの行使価格が株価の下支えになるわけであります。
このような自社株プットオプションも、オプションが行使された際には会社は相対で自己株式を取得することになります。したがいまして、先ほど述べましたように、他の株主に売却の機会を与えていたのではこのような自社株プットオプションは使うことができません。したがいまして、将来的には、こういった点につきましてもぜひ前向きの御検討をお願いいたしたいと思います。
以上で、私の意見の陳述を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
日
末
末永敏和#5
○参考人(末永敏和君) 座ったままでお話しさせていただきます。
商法、特に会社法を研究する者として、今回の商法改正の審議に際しまして、意見を述べる機会を与えていただきましたことにお礼を申し上げます。
私は、改正法案に反対の立場から、同法案の問題点について幾つか私見を述べてみたいと存じます。大きく分けて、自己株式取得及び保有制限の見直しについてと、単元株制度の創設についてお話し申し上げます。
まず第一の、自己株式取得及び保有制限の見直しについてでございますが、問題点が五つほど指摘できるかと思います。
第一は、自己株式取得の原則禁止から原則容認への大転換ということでございます。現在は、商法二百十条によりまして自己株式の取得は原則的に禁止されております。改正法はこの商法二百十条を変更しまして、定時総会による決議があれば自己株式を取得できるとし、原則許容の態度をとっております。これ自体、商法の自己株式取得規制の大転換になるのではないかと考えます。
確かに、アメリカの各州法では金庫株というものが認められております。この金庫株は、差し当たり次のように定義しておきます。金庫株というのは、取得目的が特定されておらず、かつ保有期間制限のないものというように一応定義しておきますが、そのような金庫株が認められておるわけでございます。しかし、アメリカの各州は会社誘致のために経営者に甘い会社法に傾きがちであり、いわばレース・ツー・ザ・ボトムの状況にあり、必ずしもこれを見習う必要はないかと存じます。それに対しまして、ヨーロッパ諸国におきましては自己株式の取得に一般に慎重でありまして、特にイギリスでは金庫株は完全に禁止されておりますし、ドイツでも例外的に認めているのみでございます。中国でも完全禁止に近い立法態度をとっております。
こういうわけで、各国の事情は異なるわけでございまして、日本でこのようないわば原則禁止から原則許容あるいは容認への大転換を前にして、もう少し慎重な議論が望まれるのではないかというのが第一点でございます。
第二に、今のは総論でございますが、具体的な内容に入ってまいりたいと思います。自己株式取得容認の要件が甘過ぎるという点でございます。
確かに、日本でも自己株式の取得は最初、全面禁止に近いところから最近は規制緩和、つまり例外を認めるという方向へと急速に移行しております。具体的には、定時総会による株式消却のため二百十二条ノ二、ストックオプションのため二百十条ノ二、株主の相続人からの自己株式の取得二百十条ノ三、それから臨時の特例としての株式消却特例法による消却のためなどであります。
この中で、自己株式の取得に関し、改正法案の内容に最も近いものは株式消却特例法による消却であろうかと思いますが、両者を比べますと、特例法は時限立法でございますが、それに対して改正法は商法という基本法によってこれを恒久化するものであります。また、それとともに、自己株式の取得要件をさらに緩和するものであります。すなわち、特例法では、「経済情勢、当該会社の業務又は財産の状況その他の事情を勘案して特に必要があると認めるとき」に株式を買い受けて消却できると定款で定め得るとされております。それに対して改正法では、株主総会の決議による授権があればよいとされ、かつ買い受けの条件、すなわち目的や理由が何ら付加されていないということがあります。また、ヨーロッパの法制で見られますように、発行済み株式総数の十分の一までといったような自己株式取得の量の制限もないわけでございます。
以上の点、自己株式取得要件を認めるにしてもかなり甘過ぎるのではないかというのが私の考えでございます。金庫株だから当たり前と言われればそうかもしれませんが、後の問題に関連してまいります。
第三に、自己株式取得制限の理由がクリアされているかという問題でございます。
先ほど神田先生の御指摘にもございましたように、自己株式の取得には次の四つの弊害があるとされております。第一は、株主への出資の払い戻しとなって債権者を害し、株主間の機会の不均等を招く。第三に、支配の固定化、独裁の危険につながる。第四に、相場操縦や内部者取引といった投機の弊害を助長するといったものがあります。その結果、政策的に自己株式の取得は原則禁止とされていたわけでございます。
今回の改正法案を見ますと、確かに一番、二番、四番の弊害につきましては弊害防止の措置がとられてはおりますが、三番につきましては依然としてその懸念が払拭されていないかと思います。すなわち、例えば敵対的買収が行われているときに、その防衛策として、自己株式を買い集めることによって株価が上昇し、浮動株は払底し、買収側が会社支配に必要な数の株式を集めることが困難になって、支配の固定化、経営者独裁を助長するということになる弊害に対し、改正法は何ら防止策を講じておりません。改正法では、前述のように自己株式取得の目的について何ら制限を置いていないからであります。
乗っ取り防止策としての自己株式取得は、むしろ改正法案の一つの立法趣旨とも言われているわけでございますが、我が商法の立場は従来このようなことを認めていなかったのでありまして、大した議論もなくこれを認めるのは疑問があろうかと思います。また、経営が悪くて株価が下がって経営者の地位が危ないというようなときに、金庫株を利用することによって株式を取得して、株価が上昇して自分の責任を免れるといったようなことにも利用されかねないわけでございます。
次に、第四番目に、金庫株は自己株式の消却及び新株発行とどう違うのかという点でございますが、それと金庫株のメリットがどこにあるかという点でございます。
改正法案による金庫株は、会社が保有している間はその資産性が否定されております。商法二百九十条一項五号の削除などでそれが明らかにされております。また、貸借対照表にも資産としては計上されません。そして、売却処分するときには新株発行の手続が準用されます。そうしますと、従来行われてきた自己株式の消却プラス新株発行とどう違うのか、実質的には変わりがないのではないかという疑問が生じます。会社が自己株式を売買することによって柔軟に会社の余剰資金を株主に返還したり、会社資金を調達することを容易にするという、いわば財務計画の自由度を高めたいという経営者の希望は、自己株式の消却、新株発行でほとんどかなえられるのではないかと思います。また、持ち合い株式の解消の受け皿としましては、金庫株でなくてもいわゆる自己株式の消却で足りるのではないかと。
以上、要するに、金庫株導入の理由に乏しいと存じます。
五番目に、金庫株は実質的な相場操縦ではないのかという疑問でございます。
改正法案の金庫株の真の目的は株価対策にあるとされております。そうとも言われております。これに関して、金庫株を認めると相場操縦のおそれが出てくるわけでございますが、もちろん改正法案でも相場操縦に関する新たな規定を設けております。証券取引法百六十二条の二でございます。また、政令でアメリカのセーフ・ハーバー・ルールのような規定を設けることも予定されております。しかし、たとえこのような細かな規定を設けて相場操縦をも抑え込んだとしても、そもそも自己株式を取得することによって市場に出回る株式を減らし、それによって株価の上昇を図るという手法そのものが、そしてまた処分すれば株価が下がったりあるいは維持されるということも含めまして、全体として相場操縦と言えるのではないかという疑念を持たざるを得ないわけでございます。
このように金庫株による相場操縦が行われますと、ただでさえいびつな我が国証券市場の構造がますます変になるのではないかということでございます。そうしますと、個人投資家は、証券市場は怖いということで参入しなくなるおそれがございます。結局、金庫株は個人株主を減らす方向で働くと言わざるを得ないのではないかということでございます。
したがいまして、こういうようなものは株式消却特例法のような緊急の時限立法としてやむを得ず行われるべきものでありまして、商法のような基本法によって行われるべきものではないと考えます。また、金庫株はいわば小手先の株価対策でございます。また、株価対策としてもかなり疑問があると思われます。金庫株を得るだけの余裕のある企業が日本にはそうないからでございます。そういう意味で、真の日本経済の回復にはつながらないのではないかということでございます。経営者は、株価を上げたいのであれば企業業績を上げるしかないと考えるべきであります。株価下落の原因は、企業のファンダメンタルズ、つまり投資価値に問題があるからではないかと思います。
次に、第二番目の論点、単元株制度の創設でございますが、まず第一に株式単位の引き上げは放棄されたのかという問題でございます。
昭和五十六年改正によりまして、一株の金額は原則五万円に引き上げられました。商法百六十六条二項、百六十八条ノ三などであります。株主の権利行使の単位として、あるいは会社の株主管理費用との比較において、そして零細な資金による不健全な投機を防止することを可能とするような金額として五万円という金額が設定されたわけでございます。既存の会社につきましても、これに合わせるために、いわゆる単位株制度が採用されました。昭和五十六年の改正附則でございます。これによって、単位未満株式は徐々に整理して、将来、一定の日に一単位の株式をすべて強制的に一株に併合することを予定していたわけでございます。
ところが、改正法案はすべてこれらを御破算にするものでございます。それならば、株式単位の引き上げをねらった昭和五十六年改正は誤りだったのかという疑問が生じてまいります。これを総括することなく、いきなり改正というのは少し不謹慎ではないかというように私は思います。
私は、株式単位の最低限をやはり法律で確保することが必要ではないかと思います。会社の自由に任せるというのではなく、先ほど申しました、法律で確保するということが必要と思われます。
第二に、単元未満株式は、合理的理由もなく不利益に扱われていると思います。
改正法案は、単位株制度を廃止し、単元株制度というものを創設しようとしております。そして、単元未満株式につきましては、従来の単位未満株式と同様、議決権がないものとされております。改正商法の二百四十一条ただし書きでございます。しかし、単位未満株式についてそのような措置がとられましたのは、単位株が将来一株に併合されるまでの暫定的、過渡的なものとして合理化されたものであります。過渡的なものだから、あるいは暫定的なものだから、議決権を一時棚上げするのはやむを得ないという考え方であったわけでございます。
それに対して、単元未満株主は、そのようないわば公益的な理由がないのに不利益に扱われるものであり、不当であると考えます。単元未満株式も株式でありまして、株式、すなわち社員権は、自益権、共益権を一体不可分のものとして内包するものでございます。そういうことからしますと、共益権がない、共益権の代表である議決権がない株式などというものは考えられないものであります。そうしますと、そういう株主は債権者以下の地位になってしまいます。しかも、この措置は商法という基本法に定められ、永久化するものでありまして、この点でも問題があろうかと思います。
要するに、単元株制度は、これを認めるにしても、会社に対する権利行使の単位としてではなく、証券取引所における株式の取引単位として認めれば足りるのではないかというように考えるわけでございます。
以上をまとめますと、金庫株の導入理由がはっきりしないということが第一です。第二に、弊害予防が完全でない。特に、現体制維持のために使われたり、株価操作のおそれがあるという点でございます。三番目に、株式単位はやはり最低限は法律で定めておくべきであるということ。四番目に、単元未満株主の切り捨てということが生じ、これは問題である。この四点が私の要点でございます。
以上で意見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →商法、特に会社法を研究する者として、今回の商法改正の審議に際しまして、意見を述べる機会を与えていただきましたことにお礼を申し上げます。
私は、改正法案に反対の立場から、同法案の問題点について幾つか私見を述べてみたいと存じます。大きく分けて、自己株式取得及び保有制限の見直しについてと、単元株制度の創設についてお話し申し上げます。
まず第一の、自己株式取得及び保有制限の見直しについてでございますが、問題点が五つほど指摘できるかと思います。
第一は、自己株式取得の原則禁止から原則容認への大転換ということでございます。現在は、商法二百十条によりまして自己株式の取得は原則的に禁止されております。改正法はこの商法二百十条を変更しまして、定時総会による決議があれば自己株式を取得できるとし、原則許容の態度をとっております。これ自体、商法の自己株式取得規制の大転換になるのではないかと考えます。
確かに、アメリカの各州法では金庫株というものが認められております。この金庫株は、差し当たり次のように定義しておきます。金庫株というのは、取得目的が特定されておらず、かつ保有期間制限のないものというように一応定義しておきますが、そのような金庫株が認められておるわけでございます。しかし、アメリカの各州は会社誘致のために経営者に甘い会社法に傾きがちであり、いわばレース・ツー・ザ・ボトムの状況にあり、必ずしもこれを見習う必要はないかと存じます。それに対しまして、ヨーロッパ諸国におきましては自己株式の取得に一般に慎重でありまして、特にイギリスでは金庫株は完全に禁止されておりますし、ドイツでも例外的に認めているのみでございます。中国でも完全禁止に近い立法態度をとっております。
こういうわけで、各国の事情は異なるわけでございまして、日本でこのようないわば原則禁止から原則許容あるいは容認への大転換を前にして、もう少し慎重な議論が望まれるのではないかというのが第一点でございます。
第二に、今のは総論でございますが、具体的な内容に入ってまいりたいと思います。自己株式取得容認の要件が甘過ぎるという点でございます。
確かに、日本でも自己株式の取得は最初、全面禁止に近いところから最近は規制緩和、つまり例外を認めるという方向へと急速に移行しております。具体的には、定時総会による株式消却のため二百十二条ノ二、ストックオプションのため二百十条ノ二、株主の相続人からの自己株式の取得二百十条ノ三、それから臨時の特例としての株式消却特例法による消却のためなどであります。
この中で、自己株式の取得に関し、改正法案の内容に最も近いものは株式消却特例法による消却であろうかと思いますが、両者を比べますと、特例法は時限立法でございますが、それに対して改正法は商法という基本法によってこれを恒久化するものであります。また、それとともに、自己株式の取得要件をさらに緩和するものであります。すなわち、特例法では、「経済情勢、当該会社の業務又は財産の状況その他の事情を勘案して特に必要があると認めるとき」に株式を買い受けて消却できると定款で定め得るとされております。それに対して改正法では、株主総会の決議による授権があればよいとされ、かつ買い受けの条件、すなわち目的や理由が何ら付加されていないということがあります。また、ヨーロッパの法制で見られますように、発行済み株式総数の十分の一までといったような自己株式取得の量の制限もないわけでございます。
以上の点、自己株式取得要件を認めるにしてもかなり甘過ぎるのではないかというのが私の考えでございます。金庫株だから当たり前と言われればそうかもしれませんが、後の問題に関連してまいります。
第三に、自己株式取得制限の理由がクリアされているかという問題でございます。
先ほど神田先生の御指摘にもございましたように、自己株式の取得には次の四つの弊害があるとされております。第一は、株主への出資の払い戻しとなって債権者を害し、株主間の機会の不均等を招く。第三に、支配の固定化、独裁の危険につながる。第四に、相場操縦や内部者取引といった投機の弊害を助長するといったものがあります。その結果、政策的に自己株式の取得は原則禁止とされていたわけでございます。
今回の改正法案を見ますと、確かに一番、二番、四番の弊害につきましては弊害防止の措置がとられてはおりますが、三番につきましては依然としてその懸念が払拭されていないかと思います。すなわち、例えば敵対的買収が行われているときに、その防衛策として、自己株式を買い集めることによって株価が上昇し、浮動株は払底し、買収側が会社支配に必要な数の株式を集めることが困難になって、支配の固定化、経営者独裁を助長するということになる弊害に対し、改正法は何ら防止策を講じておりません。改正法では、前述のように自己株式取得の目的について何ら制限を置いていないからであります。
乗っ取り防止策としての自己株式取得は、むしろ改正法案の一つの立法趣旨とも言われているわけでございますが、我が商法の立場は従来このようなことを認めていなかったのでありまして、大した議論もなくこれを認めるのは疑問があろうかと思います。また、経営が悪くて株価が下がって経営者の地位が危ないというようなときに、金庫株を利用することによって株式を取得して、株価が上昇して自分の責任を免れるといったようなことにも利用されかねないわけでございます。
次に、第四番目に、金庫株は自己株式の消却及び新株発行とどう違うのかという点でございますが、それと金庫株のメリットがどこにあるかという点でございます。
改正法案による金庫株は、会社が保有している間はその資産性が否定されております。商法二百九十条一項五号の削除などでそれが明らかにされております。また、貸借対照表にも資産としては計上されません。そして、売却処分するときには新株発行の手続が準用されます。そうしますと、従来行われてきた自己株式の消却プラス新株発行とどう違うのか、実質的には変わりがないのではないかという疑問が生じます。会社が自己株式を売買することによって柔軟に会社の余剰資金を株主に返還したり、会社資金を調達することを容易にするという、いわば財務計画の自由度を高めたいという経営者の希望は、自己株式の消却、新株発行でほとんどかなえられるのではないかと思います。また、持ち合い株式の解消の受け皿としましては、金庫株でなくてもいわゆる自己株式の消却で足りるのではないかと。
以上、要するに、金庫株導入の理由に乏しいと存じます。
五番目に、金庫株は実質的な相場操縦ではないのかという疑問でございます。
改正法案の金庫株の真の目的は株価対策にあるとされております。そうとも言われております。これに関して、金庫株を認めると相場操縦のおそれが出てくるわけでございますが、もちろん改正法案でも相場操縦に関する新たな規定を設けております。証券取引法百六十二条の二でございます。また、政令でアメリカのセーフ・ハーバー・ルールのような規定を設けることも予定されております。しかし、たとえこのような細かな規定を設けて相場操縦をも抑え込んだとしても、そもそも自己株式を取得することによって市場に出回る株式を減らし、それによって株価の上昇を図るという手法そのものが、そしてまた処分すれば株価が下がったりあるいは維持されるということも含めまして、全体として相場操縦と言えるのではないかという疑念を持たざるを得ないわけでございます。
このように金庫株による相場操縦が行われますと、ただでさえいびつな我が国証券市場の構造がますます変になるのではないかということでございます。そうしますと、個人投資家は、証券市場は怖いということで参入しなくなるおそれがございます。結局、金庫株は個人株主を減らす方向で働くと言わざるを得ないのではないかということでございます。
したがいまして、こういうようなものは株式消却特例法のような緊急の時限立法としてやむを得ず行われるべきものでありまして、商法のような基本法によって行われるべきものではないと考えます。また、金庫株はいわば小手先の株価対策でございます。また、株価対策としてもかなり疑問があると思われます。金庫株を得るだけの余裕のある企業が日本にはそうないからでございます。そういう意味で、真の日本経済の回復にはつながらないのではないかということでございます。経営者は、株価を上げたいのであれば企業業績を上げるしかないと考えるべきであります。株価下落の原因は、企業のファンダメンタルズ、つまり投資価値に問題があるからではないかと思います。
次に、第二番目の論点、単元株制度の創設でございますが、まず第一に株式単位の引き上げは放棄されたのかという問題でございます。
昭和五十六年改正によりまして、一株の金額は原則五万円に引き上げられました。商法百六十六条二項、百六十八条ノ三などであります。株主の権利行使の単位として、あるいは会社の株主管理費用との比較において、そして零細な資金による不健全な投機を防止することを可能とするような金額として五万円という金額が設定されたわけでございます。既存の会社につきましても、これに合わせるために、いわゆる単位株制度が採用されました。昭和五十六年の改正附則でございます。これによって、単位未満株式は徐々に整理して、将来、一定の日に一単位の株式をすべて強制的に一株に併合することを予定していたわけでございます。
ところが、改正法案はすべてこれらを御破算にするものでございます。それならば、株式単位の引き上げをねらった昭和五十六年改正は誤りだったのかという疑問が生じてまいります。これを総括することなく、いきなり改正というのは少し不謹慎ではないかというように私は思います。
私は、株式単位の最低限をやはり法律で確保することが必要ではないかと思います。会社の自由に任せるというのではなく、先ほど申しました、法律で確保するということが必要と思われます。
第二に、単元未満株式は、合理的理由もなく不利益に扱われていると思います。
改正法案は、単位株制度を廃止し、単元株制度というものを創設しようとしております。そして、単元未満株式につきましては、従来の単位未満株式と同様、議決権がないものとされております。改正商法の二百四十一条ただし書きでございます。しかし、単位未満株式についてそのような措置がとられましたのは、単位株が将来一株に併合されるまでの暫定的、過渡的なものとして合理化されたものであります。過渡的なものだから、あるいは暫定的なものだから、議決権を一時棚上げするのはやむを得ないという考え方であったわけでございます。
それに対して、単元未満株主は、そのようないわば公益的な理由がないのに不利益に扱われるものであり、不当であると考えます。単元未満株式も株式でありまして、株式、すなわち社員権は、自益権、共益権を一体不可分のものとして内包するものでございます。そういうことからしますと、共益権がない、共益権の代表である議決権がない株式などというものは考えられないものであります。そうしますと、そういう株主は債権者以下の地位になってしまいます。しかも、この措置は商法という基本法に定められ、永久化するものでありまして、この点でも問題があろうかと思います。
要するに、単元株制度は、これを認めるにしても、会社に対する権利行使の単位としてではなく、証券取引所における株式の取引単位として認めれば足りるのではないかというように考えるわけでございます。
以上をまとめますと、金庫株の導入理由がはっきりしないということが第一です。第二に、弊害予防が完全でない。特に、現体制維持のために使われたり、株価操作のおそれがあるという点でございます。三番目に、株式単位はやはり最低限は法律で定めておくべきであるということ。四番目に、単元未満株主の切り捨てということが生じ、これは問題である。この四点が私の要点でございます。
以上で意見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
日
佐
佐々木知子#7
○佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。
きょうは、両参考人におかれましては、非常に御多忙なところ、私たちに貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございました。先日の審議ではもう一つよくわからなかったことも、きょうは非常にここがクリアになったような感じがいたしまして、また大学で学びたいなというような気も今ちょっとしたわけですけれども。
それはさておき、ちょっと神田参考人にお伺いしたいんですけれども、レジュメの一のところで、現行商法がこういう原則禁止しているのを、今度の改正法案は手続と方法と財源のみで統一的な規制をしたということで、これはもう賛成であるというふうにおっしゃっていただきました。
アメリカではデラウエア州など有名な州もございますけれども、大体の州において金庫株は解禁されていると。アメリカではこういう規制の仕方とか、それから処分の方法というようなものはどのようになっておりますでしょうか。
この発言だけを見る →きょうは、両参考人におかれましては、非常に御多忙なところ、私たちに貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございました。先日の審議ではもう一つよくわからなかったことも、きょうは非常にここがクリアになったような感じがいたしまして、また大学で学びたいなというような気も今ちょっとしたわけですけれども。
それはさておき、ちょっと神田参考人にお伺いしたいんですけれども、レジュメの一のところで、現行商法がこういう原則禁止しているのを、今度の改正法案は手続と方法と財源のみで統一的な規制をしたということで、これはもう賛成であるというふうにおっしゃっていただきました。
アメリカではデラウエア州など有名な州もございますけれども、大体の州において金庫株は解禁されていると。アメリカではこういう規制の仕方とか、それから処分の方法というようなものはどのようになっておりますでしょうか。
神
神田秀樹#8
○参考人(神田秀樹君) アメリカでは今御指摘のようにデラウエア州、これは上場会社の多数の会社が設立しておりますけれども、そのほかの幾つかの州でいわゆる金庫株が認められております。その場合には、取得する方法、それから手続というのは、日本よりも、今回提案されております法案よりももう少し緩やかであります。
その理由は、日本とアメリカでは利益処分、日本で申しますと財源規制になりますが、利益処分の権限が日本では株主総会にありますために、日本の今回の法案は定時総会での授権を要求しているのに対して、アメリカでは利益処分の権限そのものが取締役会にありますために、それが要求されていないという違いがあります。
それ以外の点につきましては、例えば処分する場合に新株発行の手続に従うという点も含めて今回の改正法案と同じでございます。
この発言だけを見る →その理由は、日本とアメリカでは利益処分、日本で申しますと財源規制になりますが、利益処分の権限が日本では株主総会にありますために、日本の今回の法案は定時総会での授権を要求しているのに対して、アメリカでは利益処分の権限そのものが取締役会にありますために、それが要求されていないという違いがあります。
それ以外の点につきましては、例えば処分する場合に新株発行の手続に従うという点も含めて今回の改正法案と同じでございます。
佐
佐々木知子#9
○佐々木知子君 ありがとうございました。
続きまして末永参考人にお伺いしたいんですけれども、末永参考人はちょっと疑義が何点かあって慎重論だとおっしゃるんです。レジュメの大きな一の1ですけれども、ヨーロッパ諸国では自己株式の取得に一般に慎重であるということなんです。イギリスは禁止というふうにおっしゃいましたけれども、それは日本の現行法で認められているような例外規定も全くなしに絶対禁止ということですか。それから、ドイツは大体禁止というような感じでおっしゃったと思うんですけれども、それはどうなっているかということと、それから金庫株解禁というような動きなどはヨーロッパでは一切ないのでございましょうか。教えていただければ幸いです。
この発言だけを見る →続きまして末永参考人にお伺いしたいんですけれども、末永参考人はちょっと疑義が何点かあって慎重論だとおっしゃるんです。レジュメの大きな一の1ですけれども、ヨーロッパ諸国では自己株式の取得に一般に慎重であるということなんです。イギリスは禁止というふうにおっしゃいましたけれども、それは日本の現行法で認められているような例外規定も全くなしに絶対禁止ということですか。それから、ドイツは大体禁止というような感じでおっしゃったと思うんですけれども、それはどうなっているかということと、それから金庫株解禁というような動きなどはヨーロッパでは一切ないのでございましょうか。教えていただければ幸いです。
末
末永敏和#10
○参考人(末永敏和君) ヨーロッパ諸国における金庫株につきましては、この法務委員会の調査室から出ております参考資料というのがございまして、その中で弥永真生筑波大学助教授が詳しく説明されております。
その中にも指摘されておりまして、それの十ページのところで、イギリスにおきましては自己株式償還のための取得については厳格な規制のもとで自己株式の取得が認められているわけでございますが、その取得した株式はすべて無効にする、日本でいえば消却に当たるわけでございますが、したがって金庫株の余地がないということでございます。自己株式を取得すること自体は禁止されていないんですけれども、それをずっと持ち続けるということはないわけでございます。そういう意味での金庫株はございません。
それから、ドイツにつきましては、弥永さんの十ページの下の方にございますように、株式法七十一条一項におきまして、会社は自己株式を同項各号に定める場合を除いて取得してはならないとして、幾つかの例外規定を設けております。金庫株に相当するところは八号のところの「取得価額の最低限度と最高限度および株式資本の一〇%を超えない株式数を定めてなされる、株主総会による最長一八カ月の授権に基づく取得」についてはこれは認めておると。そのほかいろいろな例外的な場合が定められておりますが、原則的には自己株式をそれ以外は取得してはならないという意味で原則禁止になっているということでございます。
この発言だけを見る →その中にも指摘されておりまして、それの十ページのところで、イギリスにおきましては自己株式償還のための取得については厳格な規制のもとで自己株式の取得が認められているわけでございますが、その取得した株式はすべて無効にする、日本でいえば消却に当たるわけでございますが、したがって金庫株の余地がないということでございます。自己株式を取得すること自体は禁止されていないんですけれども、それをずっと持ち続けるということはないわけでございます。そういう意味での金庫株はございません。
それから、ドイツにつきましては、弥永さんの十ページの下の方にございますように、株式法七十一条一項におきまして、会社は自己株式を同項各号に定める場合を除いて取得してはならないとして、幾つかの例外規定を設けております。金庫株に相当するところは八号のところの「取得価額の最低限度と最高限度および株式資本の一〇%を超えない株式数を定めてなされる、株主総会による最長一八カ月の授権に基づく取得」についてはこれは認めておると。そのほかいろいろな例外的な場合が定められておりますが、原則的には自己株式をそれ以外は取得してはならないという意味で原則禁止になっているということでございます。
佐
佐々木知子#11
○佐々木知子君 ありがとうございます。
末永参考人が、自己株式の取得の弊害と四つ挙げられていて、①、②、④については弊害防止の措置がとられているけれども、③支配の固定化、経営者独裁の危険についてはその懸念が払拭されていないとおっしゃっています。
これはどういうふうな形で、もし規制をするとすれば払拭されるというふうにお考えなのか、どういうふうにしてもだめだというふうに思われているのか、その点お願いいたします。
この発言だけを見る →末永参考人が、自己株式の取得の弊害と四つ挙げられていて、①、②、④については弊害防止の措置がとられているけれども、③支配の固定化、経営者独裁の危険についてはその懸念が払拭されていないとおっしゃっています。
これはどういうふうな形で、もし規制をするとすれば払拭されるというふうにお考えなのか、どういうふうにしてもだめだというふうに思われているのか、その点お願いいたします。
末
末永敏和#12
○参考人(末永敏和君) 自己株式の目的を規制すべきではないかと思います。
例えば、現在ございます株式消却特例法のように、「経済情勢、当該会社の業務又は財産の状況その他の事情を勘案して特に必要があると認めるときは」取得できるというような目的をある程度定めておきますと、そういう乗っ取り防止に使われるということはなくなるのではないかと存じます。
以上でございます。
この発言だけを見る →例えば、現在ございます株式消却特例法のように、「経済情勢、当該会社の業務又は財産の状況その他の事情を勘案して特に必要があると認めるときは」取得できるというような目的をある程度定めておきますと、そういう乗っ取り防止に使われるということはなくなるのではないかと存じます。
以上でございます。
佐
神
神田秀樹#14
○参考人(神田秀樹君) 二点申し上げたいと思います。
第一点は、末永先生と多少見解が違うかもしれませんが、私は目的の規制ではそういう点はちょっと難しいのではないかと思います。
新株発行、増資の場合がございまして、これも会社の支配権を強化するためだけの目的で増資をする、そういう増資は違法であるという判例があります。ただ、会社は、いや、資金需要がある、つまり資金調達目的である、こう言えば、その実質は支配を維持する目的で第三者割り当て増資を行ってもそれは適法であるという判例がありまして、ここはなかなか難しいところですけれども、理屈の上ではその目的がきちんと動けばいいのではありますけれども、その目的だけではなかなか難しいのではないかという、これは私の感想です。
それから第二点は、今回の法案はどうかということですけれども、今回の法案も原則自由というのがちょっと誤解がありまして、私も申しましたように、これは手続、方法そして財源で規制しているわけでして、今の御懸念につきましては、商法の立場からは事前的には手続と方法でチェックされるわけです。すなわち、定時総会の決議で授権された範囲でなければ取締役は、経営者と言ってもいいんですけれども、自己株式が取得できません。それから、その取得が専ら自分の地位を守るためにだけ取得するというそういう支配の公正を害するような、そういう取得の場合には、これは当然のことですが、取締役の善管注意義務、これは商法二百五十四条三項でございますけれども、それに違反するという形になります。
したがいまして、事前的には手続規制と方法の規制、そしていわば事後的にと申しますか、取締役の善管注意義務違反というか、それによるチェックという形で対応ができているというふうに私は考えます。
この発言だけを見る →第一点は、末永先生と多少見解が違うかもしれませんが、私は目的の規制ではそういう点はちょっと難しいのではないかと思います。
新株発行、増資の場合がございまして、これも会社の支配権を強化するためだけの目的で増資をする、そういう増資は違法であるという判例があります。ただ、会社は、いや、資金需要がある、つまり資金調達目的である、こう言えば、その実質は支配を維持する目的で第三者割り当て増資を行ってもそれは適法であるという判例がありまして、ここはなかなか難しいところですけれども、理屈の上ではその目的がきちんと動けばいいのではありますけれども、その目的だけではなかなか難しいのではないかという、これは私の感想です。
それから第二点は、今回の法案はどうかということですけれども、今回の法案も原則自由というのがちょっと誤解がありまして、私も申しましたように、これは手続、方法そして財源で規制しているわけでして、今の御懸念につきましては、商法の立場からは事前的には手続と方法でチェックされるわけです。すなわち、定時総会の決議で授権された範囲でなければ取締役は、経営者と言ってもいいんですけれども、自己株式が取得できません。それから、その取得が専ら自分の地位を守るためにだけ取得するというそういう支配の公正を害するような、そういう取得の場合には、これは当然のことですが、取締役の善管注意義務、これは商法二百五十四条三項でございますけれども、それに違反するという形になります。
したがいまして、事前的には手続規制と方法の規制、そしていわば事後的にと申しますか、取締役の善管注意義務違反というか、それによるチェックという形で対応ができているというふうに私は考えます。
佐
佐々木知子#15
○佐々木知子君 ありがとうございました。
続きまして、末永参考人は、金庫株と自己株式の消却、新株発行とどう違うか、メリットは余りないのではないかということをレジュメの一の4でおっしゃっておられますけれども、確かに過去四年間で株式の消却の額を見ますと、約二兆円程度ということで、これはちょっと少ないのではないかという感じがしないでもないのです。
ですから、この法律の施行後、自己株式の取得は増加していくというふうにお考えなのかどうか、これについてちょっと神田参考人にお伺いいたします。
この発言だけを見る →続きまして、末永参考人は、金庫株と自己株式の消却、新株発行とどう違うか、メリットは余りないのではないかということをレジュメの一の4でおっしゃっておられますけれども、確かに過去四年間で株式の消却の額を見ますと、約二兆円程度ということで、これはちょっと少ないのではないかという感じがしないでもないのです。
ですから、この法律の施行後、自己株式の取得は増加していくというふうにお考えなのかどうか、これについてちょっと神田参考人にお伺いいたします。
神
神田秀樹#16
○参考人(神田秀樹君) なかなか難しい御指摘ですけれども、やはり二点お答えさせていただきます。
第一点は、これまで二兆円の消却額が多いか少ないかという点ですが、私の推測では、財源がないとこれは消却できませんので、財源を中心としていろいろな事情があったのではないかと思います。
それから第二点、今後どうかということは、裏を返しますと、今御指摘のありました金庫株と、消却プラス新株発行、これは末永先生のお言葉ですが、どう違うかということにも関係すると思います。
これは、私は、金庫株の方は事務的な面でもメリットが大きいと思います。すなわち、株式を消却する場合には株券を失効しなければいけませんので、そういう手続を踏まなければいけません。そしてまた、新株を発行するとまた株券を出さなければいけないというそういう手続がありますし、新株を発行する場合にはまたその分、資本が増加するとか、そして株券を新たに発行したり資本増加したりしますと、それに関係して税金もかかるとか、そういった手続面でのコストということは、細かいようですけれども、金庫株の方が消却プラス新株発行に比べますとメリットがあるというふうに言っていいかと思います。
それに応じて今後その点がどの程度影響してくるか、これは財源がなければ話になりませんけれども、今後にゆだねられるということではないかと思います。
この発言だけを見る →第一点は、これまで二兆円の消却額が多いか少ないかという点ですが、私の推測では、財源がないとこれは消却できませんので、財源を中心としていろいろな事情があったのではないかと思います。
それから第二点、今後どうかということは、裏を返しますと、今御指摘のありました金庫株と、消却プラス新株発行、これは末永先生のお言葉ですが、どう違うかということにも関係すると思います。
これは、私は、金庫株の方は事務的な面でもメリットが大きいと思います。すなわち、株式を消却する場合には株券を失効しなければいけませんので、そういう手続を踏まなければいけません。そしてまた、新株を発行するとまた株券を出さなければいけないというそういう手続がありますし、新株を発行する場合にはまたその分、資本が増加するとか、そして株券を新たに発行したり資本増加したりしますと、それに関係して税金もかかるとか、そういった手続面でのコストということは、細かいようですけれども、金庫株の方が消却プラス新株発行に比べますとメリットがあるというふうに言っていいかと思います。
それに応じて今後その点がどの程度影響してくるか、これは財源がなければ話になりませんけれども、今後にゆだねられるということではないかと思います。
佐
佐々木知子#17
○佐々木知子君 ありがとうございました。
それからまた、末永参考人が、これは一の5ですけれども、実質的な相場操縦ではないのかということを言われております。
これはよく言われていることですけれども、非常に今回の金庫株解禁で懸念されることの筆頭に上がるようなものだと思いますけれども、今回の改正法案は、政令でアメリカのセーフ・ハーバー・ルールのような規定を定めるということを予定されております。けれども、それについてもまだ疑念を持っておられるということなのですが、神田参考人はこの点についてはどのようにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →それからまた、末永参考人が、これは一の5ですけれども、実質的な相場操縦ではないのかということを言われております。
これはよく言われていることですけれども、非常に今回の金庫株解禁で懸念されることの筆頭に上がるようなものだと思いますけれども、今回の改正法案は、政令でアメリカのセーフ・ハーバー・ルールのような規定を定めるということを予定されております。けれども、それについてもまだ疑念を持っておられるということなのですが、神田参考人はこの点についてはどのようにお考えでしょうか。
神
神田秀樹#18
○参考人(神田秀樹君) 幾つかの点を区別すべきだと思うんですけれども、まず第一に、相場操縦、これはよくないことでありまして、厳禁されるべきことであります。
これにつきましては、今回、証券取引法で、先ほど申しましたような規定を置きまして、それに基づいて諸外国、アメリカを含めてですけれども、この規制を十分参考にした内閣府令、これは厳しいものをつくっていただきたいと私は強く希望しておりますし、今回の法案の趣旨はそういうものであると思います。
それからもう一点、そもそも自己株式を取得することが相場操縦的ではないかというふうな末永先生の御指摘があったように思うんですけれども、これは、会社が自己株式を取得すること自体は、私はそれだけでは相場操縦とは言えないと思います。これは、現在でももしそうだとすれば、消却することも相場操縦になるわけであります。
これは財務経済学の方の理論が幾つかございますけれども、当該会社の株価がその会社の真の価値を正しく反映していない、何らかの理由で割安になっているということになりますけれども、そういう状況のときには、その会社は自己株式を取得し、これは消却する場合であっても金庫株であっても結構ですけれども、することによってその株価を、会社の価値を正しく反映するような状態にする。そういう手法でありまして、そのこと自体は合理的であるし、また株価操縦とかいうこととは別に正当化されることでありまして、が、ゆえにアメリカあたりでは非常に大規模な自己株式の取得ということが行われたりしているわけであります。
したがいまして、取得すること自体が問題であるということは言えない。しかし、他方におきまして、取得することによって株価を操作する、操縦するということは証券取引法で厳しく禁止しなければいけないというふうに思います。
この発言だけを見る →これにつきましては、今回、証券取引法で、先ほど申しましたような規定を置きまして、それに基づいて諸外国、アメリカを含めてですけれども、この規制を十分参考にした内閣府令、これは厳しいものをつくっていただきたいと私は強く希望しておりますし、今回の法案の趣旨はそういうものであると思います。
それからもう一点、そもそも自己株式を取得することが相場操縦的ではないかというふうな末永先生の御指摘があったように思うんですけれども、これは、会社が自己株式を取得すること自体は、私はそれだけでは相場操縦とは言えないと思います。これは、現在でももしそうだとすれば、消却することも相場操縦になるわけであります。
これは財務経済学の方の理論が幾つかございますけれども、当該会社の株価がその会社の真の価値を正しく反映していない、何らかの理由で割安になっているということになりますけれども、そういう状況のときには、その会社は自己株式を取得し、これは消却する場合であっても金庫株であっても結構ですけれども、することによってその株価を、会社の価値を正しく反映するような状態にする。そういう手法でありまして、そのこと自体は合理的であるし、また株価操縦とかいうこととは別に正当化されることでありまして、が、ゆえにアメリカあたりでは非常に大規模な自己株式の取得ということが行われたりしているわけであります。
したがいまして、取得すること自体が問題であるということは言えない。しかし、他方におきまして、取得することによって株価を操作する、操縦するということは証券取引法で厳しく禁止しなければいけないというふうに思います。
佐
江
江田五月#20
○江田五月君 両先生、きょうはお忙しいところありがとうございます。
佐々木さんも言われましたが、何か大学へ戻ったような感じで。
今回の金庫株、それから単元株、これは緊急経済対策の一環だということで出されているんですが、今の不況、これを打開して景気をよくする、そのことに一体どういうふうにこの意味があるのかというのがよくわからないんですが、お二人ともそこのところはちょっとお触れになっておられないようなので、これは商法学者としてはそんなことは中立的だと言われるのか、あるいは何かお考えがあるか、まず神田さんからお答えください。
この発言だけを見る →佐々木さんも言われましたが、何か大学へ戻ったような感じで。
今回の金庫株、それから単元株、これは緊急経済対策の一環だということで出されているんですが、今の不況、これを打開して景気をよくする、そのことに一体どういうふうにこの意味があるのかというのがよくわからないんですが、お二人ともそこのところはちょっとお触れになっておられないようなので、これは商法学者としてはそんなことは中立的だと言われるのか、あるいは何かお考えがあるか、まず神田さんからお答えください。
神
神田秀樹#21
○参考人(神田秀樹君) 非常に難しい御質問だと思います。
緊急経済対策というのはやはりいろんな対策を打つということかと思いますけれども、その中の一つに株式市場を活性化するという重要なテーマがあると思います。そのためにはどうしたらいいかというその手段の一つとして、今回の法改正案は位置づけられると私は考えております。
それはなぜかということなんですけれども、私の理解では、現在、日本では株式が出過ぎているというふうに思っております。これは、一九八〇年代に、大量のエクイティーファイナンスというふうに呼んでおりますけれども、大量の増資ラッシュがございまして、その結果、株が出過ぎたわけであります。一般に、これは理論だけ申しますと、別に株の量が多くても、株価というのは需給で決まるわけですから特に問題はないはずですけれども、先ほどもちょっと申し上げたことにも関連いたしますけれども、私は、その結果、出過ぎているために、株価が企業の真の価値をちょっと反映していない、下回っているのではないかと思います。
したがいまして、一九八〇年代に大量のエクイティー増資があったので、今大量のいわばエクイティー何というんでしょうか、返却というか消却というか自己株式取得というか、そういうものが行われてしかるべきものと思います。
ただ、実際にどの会社の株式を消却ないし金庫株にするかというのは個々の会社がやはり判断すべき事柄でありまして、したがいまして今回の法案は、従来から認められております消却という手段に加えまして、金庫株の取得という手段も用意することによって個々の会社の経営判断によってそこの株式を引き揚げてくるというんでしょうか、出過ぎている株式を引き揚げてくる、そういう道を用意するというものでありまして、すぐ即効性があるかと言われますと、これは何とも言えませんけれども、そういう意味で緊急経済対策の中に位置づけ得るものでありますし、またそういう意味でも基本法としての商法の改正で対応するという点につきましては、こういう形での改正は私は望ましいものと考えております。
この発言だけを見る →緊急経済対策というのはやはりいろんな対策を打つということかと思いますけれども、その中の一つに株式市場を活性化するという重要なテーマがあると思います。そのためにはどうしたらいいかというその手段の一つとして、今回の法改正案は位置づけられると私は考えております。
それはなぜかということなんですけれども、私の理解では、現在、日本では株式が出過ぎているというふうに思っております。これは、一九八〇年代に、大量のエクイティーファイナンスというふうに呼んでおりますけれども、大量の増資ラッシュがございまして、その結果、株が出過ぎたわけであります。一般に、これは理論だけ申しますと、別に株の量が多くても、株価というのは需給で決まるわけですから特に問題はないはずですけれども、先ほどもちょっと申し上げたことにも関連いたしますけれども、私は、その結果、出過ぎているために、株価が企業の真の価値をちょっと反映していない、下回っているのではないかと思います。
したがいまして、一九八〇年代に大量のエクイティー増資があったので、今大量のいわばエクイティー何というんでしょうか、返却というか消却というか自己株式取得というか、そういうものが行われてしかるべきものと思います。
ただ、実際にどの会社の株式を消却ないし金庫株にするかというのは個々の会社がやはり判断すべき事柄でありまして、したがいまして今回の法案は、従来から認められております消却という手段に加えまして、金庫株の取得という手段も用意することによって個々の会社の経営判断によってそこの株式を引き揚げてくるというんでしょうか、出過ぎている株式を引き揚げてくる、そういう道を用意するというものでありまして、すぐ即効性があるかと言われますと、これは何とも言えませんけれども、そういう意味で緊急経済対策の中に位置づけ得るものでありますし、またそういう意味でも基本法としての商法の改正で対応するという点につきましては、こういう形での改正は私は望ましいものと考えております。
江
末
末永敏和#23
○参考人(末永敏和君) 今回の商法改正案が緊急経済対策の一環として出されてきたということは周知の事実であろうかと思います。果たして、それが本当に緊急経済対策になっているかどうかということにつきましては、私は法律学者でありますので必ずしも適任ではないと思いますが、私の意見を述べさせていただきますと、自己株式を取得するのは、あるいは金庫株を取得するのは企業自身でありますから、企業にその余裕があるかないかという点が問題であろうかと思います。
しかし、附属資料にあります、ことしの一月十六日の日経新聞の社説にもございますように、「収益力や財務内容に比べて株式の供給が過剰な企業が、自社株を購入する十分な資金を持っているケースはまれ」であるというように述べておりますように、自社株を購入する可能性が果たしてどれだけの企業にあるのかという点で私は根本的に疑問を持っておりますので、経済対策として有効かどうかと問われれば、否定的に解さざるを得ないところでございます。
以上でございます。
この発言だけを見る →しかし、附属資料にあります、ことしの一月十六日の日経新聞の社説にもございますように、「収益力や財務内容に比べて株式の供給が過剰な企業が、自社株を購入する十分な資金を持っているケースはまれ」であるというように述べておりますように、自社株を購入する可能性が果たしてどれだけの企業にあるのかという点で私は根本的に疑問を持っておりますので、経済対策として有効かどうかと問われれば、否定的に解さざるを得ないところでございます。
以上でございます。
江
江田五月#24
○江田五月君 確かに、神田参考人のおっしゃる株式が出過ぎていると、それを整理して活性化させるというのは一つの、それだけ聞けば、うん、なるほどと思うんですけれども、しかし緊急経済対策という、今のこの大変な景気の悪化の状況に緊急に何かしなきゃならぬということで、何かそんなあっと驚くような効果があるのかなという気がします。
そして、株価が実際のそれぞれの企業の力と比べて下回り過ぎているとおっしゃるんですが、無額面株式に全部してしまうという、それをやったらそこら辺のつながりというのはむしろ消えるんですか。
ですから、どうも何か一切の手続をパスして、しかもこれはまだ税や会計処理の扱いもこれから検討するとか、そのために金庫株処分は平成十四年三月三十一日まで停止されたままで、そんなに急いで何をやろうとするのかどうもよくわからぬという気もしますが。まあ、それはおいておいて。
私ども、大学で商法を勉強したときには、資本充実の原則というのはもうこれは株式会社にとっては一番重要ないわば命綱みたいなものだと教わったような気がするんですけれども、今回はその資本充実の原則についての哲学というのをもう変えてしまうということになるんですか、ならないんですか。これもお二人にお伺いしたいんですが、まず神田参考人に。
この発言だけを見る →そして、株価が実際のそれぞれの企業の力と比べて下回り過ぎているとおっしゃるんですが、無額面株式に全部してしまうという、それをやったらそこら辺のつながりというのはむしろ消えるんですか。
ですから、どうも何か一切の手続をパスして、しかもこれはまだ税や会計処理の扱いもこれから検討するとか、そのために金庫株処分は平成十四年三月三十一日まで停止されたままで、そんなに急いで何をやろうとするのかどうもよくわからぬという気もしますが。まあ、それはおいておいて。
私ども、大学で商法を勉強したときには、資本充実の原則というのはもうこれは株式会社にとっては一番重要ないわば命綱みたいなものだと教わったような気がするんですけれども、今回はその資本充実の原則についての哲学というのをもう変えてしまうということになるんですか、ならないんですか。これもお二人にお伺いしたいんですが、まず神田参考人に。
神
神田秀樹#25
○参考人(神田秀樹君) 私は、資本充実についての考え方は、今回、原則として変更はないと考えております。
自己株式を取得できる場合については財源規制がかかっているわけでして、原則として配当可能利益から取得するということになりますし、ちょっと余計なことかもしれませんが、平成六年改正前に、例外的に自己株式を取得することができる場合、現在、二百十条という条文に上がっているんですが、こういう場合は財源規制がなかったんです。その意味では、今回、すべての自己株式取得について財源規制を横断的に設けるという意味ではかえって商法がしっかりすると、これが資本充実・維持の観点からはしっかりするという面がございます。
もう一点、ただ、今回新しく導入されますのは、利益からだけではなくて法定準備金を使ってもこの自己株式を取得することができるというふうに変える部分であります。この部分は消却特例法では既に穴があいている部分ですけれども、それは時限措置になっているわけでありまして、これを商法本体に入れていいかどうかという問題であります。
ただ、これは昔から恐らく教科書等にも書いてあることでございますけれども、資本そのものも商法は減少することを認めているわけです。それは非常に厳格な会社債権者保護手続を踏んだ上でということではあります。
したがって、ある先生に言わせますと、資本を俗にダム、資本準備金を補助ダムと、こういうふうにおっしゃる先生がおられましたけれども、ダムそのものの高さを下げることも厳格な手続を踏めばできるわけですから、補助ダムの高さを下げることも認められてしかるべきでありまして、これは資本の減少と同じ会社債権者保護手続を踏んでのみ下げることができると今回しているわけです。
さらに、その補助ダムの高さをどこに設定するかという難しい問題があるんですけれども、それは会社債権者と株主の利害調整という見地から、今回はダムの四分の一の高さを限度として、そこまでは補助ダムを下げてもよろしいということにしよう、こういう仕組みになっているわけでありまして、その意味におきまして、後の方で申し上げましたことは現行法の変更を意味しておりますけれども、しかし資本充実・維持という考え方は今回むしろ横断的、統一的に一貫して整備されたというふうに私は考えております。
この発言だけを見る →自己株式を取得できる場合については財源規制がかかっているわけでして、原則として配当可能利益から取得するということになりますし、ちょっと余計なことかもしれませんが、平成六年改正前に、例外的に自己株式を取得することができる場合、現在、二百十条という条文に上がっているんですが、こういう場合は財源規制がなかったんです。その意味では、今回、すべての自己株式取得について財源規制を横断的に設けるという意味ではかえって商法がしっかりすると、これが資本充実・維持の観点からはしっかりするという面がございます。
もう一点、ただ、今回新しく導入されますのは、利益からだけではなくて法定準備金を使ってもこの自己株式を取得することができるというふうに変える部分であります。この部分は消却特例法では既に穴があいている部分ですけれども、それは時限措置になっているわけでありまして、これを商法本体に入れていいかどうかという問題であります。
ただ、これは昔から恐らく教科書等にも書いてあることでございますけれども、資本そのものも商法は減少することを認めているわけです。それは非常に厳格な会社債権者保護手続を踏んだ上でということではあります。
したがって、ある先生に言わせますと、資本を俗にダム、資本準備金を補助ダムと、こういうふうにおっしゃる先生がおられましたけれども、ダムそのものの高さを下げることも厳格な手続を踏めばできるわけですから、補助ダムの高さを下げることも認められてしかるべきでありまして、これは資本の減少と同じ会社債権者保護手続を踏んでのみ下げることができると今回しているわけです。
さらに、その補助ダムの高さをどこに設定するかという難しい問題があるんですけれども、それは会社債権者と株主の利害調整という見地から、今回はダムの四分の一の高さを限度として、そこまでは補助ダムを下げてもよろしいということにしよう、こういう仕組みになっているわけでありまして、その意味におきまして、後の方で申し上げましたことは現行法の変更を意味しておりますけれども、しかし資本充実・維持という考え方は今回むしろ横断的、統一的に一貫して整備されたというふうに私は考えております。
江
末
末永敏和#27
○参考人(末永敏和君) 今の御質問の件でございますが、二百十条の例外の場合には特に取得財源についての規制はないということでございましたが、確かにそれはそのとおりでございまして、反対株主の買い取り請求については財源の規制はないわけで、そういうものについては、不可避的な自己株式取得として、ないわけでございます。これは将来もそのとおりでございまして、これについては私は変わりないのではなかろうかと思います。
むしろ、問題なのは、今までは自己株式の取得、保有についてはなかったものを今度は規制するわけでございまして、確かに利益から取得するということについては問題はなかろうかと思いますけれども、配当可能利益以外の法定準備金や資本から取得する場合にはやはり資本の充実の原則に反することになるわけでございますが、それについては株主総会の決議や債権者保護手続も一応用意されておりますので、その点ではある程度の手当てはなされておるとは言えますけれども、資本を減らすことには違いないわけで、そういう点では問題はないとは言えないと私は思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →むしろ、問題なのは、今までは自己株式の取得、保有についてはなかったものを今度は規制するわけでございまして、確かに利益から取得するということについては問題はなかろうかと思いますけれども、配当可能利益以外の法定準備金や資本から取得する場合にはやはり資本の充実の原則に反することになるわけでございますが、それについては株主総会の決議や債権者保護手続も一応用意されておりますので、その点ではある程度の手当てはなされておるとは言えますけれども、資本を減らすことには違いないわけで、そういう点では問題はないとは言えないと私は思います。
以上でございます。
江
江田五月#28
○江田五月君 資本充実の原則というのは、ある種の、株式会社というものの存立の基本の考え方、一番の柱と教わったんですがね。それを、それでも多少はフレキシブルにしていく必要がある、そのときにいろんな手だてを十分加えておく、だからいいんだというのか。資本充実の原則ということ自体、もうそんな考えはちょっと頭から外して、もっと自由自在に会社の資本なんというのは融通無碍にやっちゃった方がむしろいいんだということになるのか。
今、末永先生の方は、ちょっと大原則が維持できるかどうか危惧があるよという批判的な目で見ておられると思うんですが、神田先生の方は、資本充実の原則自体はそれは大切な原則だと、そこを変えるということはないんだという、これはそれでよろしいんですね。イエス、ノーだけで、ちょっと。
この発言だけを見る →今、末永先生の方は、ちょっと大原則が維持できるかどうか危惧があるよという批判的な目で見ておられると思うんですが、神田先生の方は、資本充実の原則自体はそれは大切な原則だと、そこを変えるということはないんだという、これはそれでよろしいんですね。イエス、ノーだけで、ちょっと。
神