安全保障委員会
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会
会議録情報#0
平成十四年十一月二十六日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 田並 胤明君
理事 岩屋 毅君 理事 木村 太郎君
理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
理事 末松 義規君 理事 渡辺 周君
理事 田端 正広君 理事 樋高 剛君
岩倉 博文君 臼井日出男君
北村 誠吾君 小島 敏男君
杉山 憲夫君 虎島 和夫君
中山 利生君 仲村 正治君
野呂田芳成君 平沢 勝栄君
町村 信孝君 伊藤 英成君
江崎洋一郎君 大出 彰君
川端 達夫君 前田 雄吉君
前原 誠司君 赤松 正雄君
赤嶺 政賢君 今川 正美君
粟屋 敏信君
…………………………………
防衛庁長官政務官 小島 敏男君
参考人
(杏林大学教授) 田久保忠衛君
参考人
(財団法人国際開発センタ
ーエネルギー・環境室主任
研究員) 田中浩一郎君
参考人
(日本貿易振興会アジア経
済研究所地域研究第2部主
任研究員) 酒井 啓子君
参考人
(愛知大学助教授) 河辺 一郎君
安全保障委員会専門員 小倉 敏正君
—————————————
委員の異動
十一月二十六日
辞任 補欠選任
江崎洋一郎君 前田 雄吉君
同日
辞任 補欠選任
前田 雄吉君 江崎洋一郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
国の安全保障に関する件(テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及びイラク情勢等)
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 田並 胤明君
理事 岩屋 毅君 理事 木村 太郎君
理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
理事 末松 義規君 理事 渡辺 周君
理事 田端 正広君 理事 樋高 剛君
岩倉 博文君 臼井日出男君
北村 誠吾君 小島 敏男君
杉山 憲夫君 虎島 和夫君
中山 利生君 仲村 正治君
野呂田芳成君 平沢 勝栄君
町村 信孝君 伊藤 英成君
江崎洋一郎君 大出 彰君
川端 達夫君 前田 雄吉君
前原 誠司君 赤松 正雄君
赤嶺 政賢君 今川 正美君
粟屋 敏信君
…………………………………
防衛庁長官政務官 小島 敏男君
参考人
(杏林大学教授) 田久保忠衛君
参考人
(財団法人国際開発センタ
ーエネルギー・環境室主任
研究員) 田中浩一郎君
参考人
(日本貿易振興会アジア経
済研究所地域研究第2部主
任研究員) 酒井 啓子君
参考人
(愛知大学助教授) 河辺 一郎君
安全保障委員会専門員 小倉 敏正君
—————————————
委員の異動
十一月二十六日
辞任 補欠選任
江崎洋一郎君 前田 雄吉君
同日
辞任 補欠選任
前田 雄吉君 江崎洋一郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
国の安全保障に関する件(テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及びイラク情勢等)
————◇—————
田
田並胤明#1
○田並委員長 これより会議を開きます。
国の安全保障に関する件、特にテロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及びイラク情勢等について調査を進めます。
本日は、参考人として、杏林大学教授田久保忠衛君、財団法人国際開発センターエネルギー・環境室主任研究員田中浩一郎君、日本貿易振興会アジア経済研究所地域研究第2部主任研究員酒井啓子君、愛知大学助教授河辺一郎君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、田久保参考人、田中参考人、酒井参考人、河辺参考人の順序で、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知をいただきたいと存じます。
それでは、田久保参考人、お願いいたします。
この発言だけを見る →国の安全保障に関する件、特にテロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及びイラク情勢等について調査を進めます。
本日は、参考人として、杏林大学教授田久保忠衛君、財団法人国際開発センターエネルギー・環境室主任研究員田中浩一郎君、日本貿易振興会アジア経済研究所地域研究第2部主任研究員酒井啓子君、愛知大学助教授河辺一郎君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、田久保参考人、田中参考人、酒井参考人、河辺参考人の順序で、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知をいただきたいと存じます。
それでは、田久保参考人、お願いいたします。
田
田久保忠衛#2
○田久保参考人 おはようございます。お招きいただきまして、大変ありがとうございました。大変光栄に存じております。
今委員長から、忌憚のない意見をということでございますので、四点にわたりまして、いろいろ申し上げてみたいと思うのでございます。
先日、ある全国紙を見ておりましたら、数日前でございますけれども、ある著名な学者が、今回のイラク攻撃は強い国が弱い国をいじめるんだ、保安官がこの指たかれと号令をかけて、補佐官がみんな集まってたたくんだというようなとんちんかんな議論がございました。これはとんでもないことではないかなと思います。こういう意見を載せる新聞もどうかしておりますけれども、根本的な国際情勢の認識が間違っているのではないかと。
去年、九・一一テロでございますけれども、これがブッシュ政権に与えた衝撃、並びに自由世界、民主主義を標榜する国家に与えた衝撃というものをこの人は考えていない。それからもう一つはサダム・フセインでございますけれども、サダム・フセインが湾岸戦争以後どれだけ国連決議に反してきたか。それから生物化学兵器、核は持っていないと思われるのでございますけれども、生物化学兵器、これがどれだけ危険な存在であったかということを完全に無視しているのではないかなというふうに思います。
私が申し上げたいのは、この意義でございますけれども、アメリカを中心とした世界でございますが、フェーズ1、フェーズ1はアルカイーダ、これをたたいた。アフガニスタン戦争でこれは一段落したわけでございますが、残党をたたいている段階だ。これも大変私は困難な仕事だと思うのでございますけれども、局面はフェーズ2に入った。フェーズ2のスタートは、一月二十九日、ブッシュが年頭の一般教書で強調いたしました悪の枢軸でございます。その筆頭に来るのがイラク、次がイラン、三番目が北朝鮮ということで、その筆頭のイラクをたたき始めたんだと。こういう概念が、概念というか受け取り方が、日本の社会では甚だ乏しいのではないかなというふうに考えております。
アメリカの決意でございますけれども、これは容易ならざる決意でございます。皆様先生方は御案内のとおりだと思いますけれども、ホームランド・セキュリティー・デパートメント、これはあっという間に上下両院を通りました。これは実にペンタゴン、復員省、それから三番目がこのホームランド・セキュリティー・デパートメントでありまして、十二省庁を網羅した十七万人の人員を擁する対テロの組織というか、大きな官庁機構でございます。これは一月一日からスタートするでしょう。日本の行政改革でございますか、この遅々と進まない様子を見ておりますと、私はすごい国だなと、舌を巻かざるを得ないというふうに思うのでございます。
それから、これに伴いまして、いつどこからいかなる手段でだれに襲いかかってくるかわからない、この敵に対しまして、従来のアメリカの戦略、戦術はこれは意味をなさない。テロに関する限り、事前にかなりの動きを察知した場合は先制攻撃もあり得る、これはアメリカの建国以来の戦略、戦術の大転換でございます。
こういうふうにアメリカの、超大国が大きく方針それから体制、これを転換して、これに世界全体が動いていこう、連れて動いていこうという、この意義がどうして一部の人にはわからないのかなということでございます。これが私がまず第一点で申し上げたかった点でございます。
それから、第二点でございますけれども、アメリカ政府の考え方でございますね。あるいはアメリカ国内と言ってもいいと思います。
アメリカ政府は、これまたわかり切ったことを申し上げるのでございますけれども、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ウォルフォビッツ国防副長官、こういったネオコンサーバティブ、新保守主義という人たちがいらっしゃる。これに対しまして、国務省でございますけれども、コリン・パウエル国務長官、我々にとって非常に親しいアーミテージ国務副長官、こういった方々が国際派と言われて、両方の意見が対立している。その真ん中にコンドリーザ・ライス女史が大統領補佐官、うまい調整を図りまして、一番上でブッシュ大統領が極めて適切なジャッジメントを下している、こういうことでございます。
当初は、ネオコンサーバティブ、同盟国に別に相談しなくても単独でたたけるというような強硬論があったわけでございますけれども、これはどうもいかぬよということで上下両院の決議をとった。この決議をとりまして、ニューヨーク・タイムズとウォールストリート・ジャーナルが、ネオコンがウォールストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズが国際派を代弁して、大激論が一カ月にわたって展開された。しかし、結局上下両院で決議が採択されたということでございます。これはコンドリーザ・ライスあるいはブッシュ大統領を中心とする、国内の与野党のコンセンサスを見事に取りつけたんだろうと思います。
その後、日本では、国連決議がない以上ついていく必要はないさと、与党の大物が何人も言っておられましたけれども、国連決議、通っちゃったじゃないかということでございます。十五カ国、フランスが反対するよ、中国、ロシアは危ないよ、シリアは賛成するはずがないだろう、こういうふうに言っておられたのを私この耳で聞きましたけれども、十五カ国が全部賛成しちゃったんだ。十五対ゼロの国連決議というのは、そういうことをおっしゃった方々は今どういう感想をお漏らしになるか、私は伺ってみたいなと思うくらいでございます。
こういうコンセンサスに基づいて、この間、プラハで開かれましたNATOの拡大委員会、東欧の七カ国が加盟したわけでございます。これが本当は目玉なんですけれども、ブッシュは、対イラク攻撃、これに対する賛成を取りつけた。それからロシアに行きまして、プーチンとの話し合いでも賛成を取りつけた、こういうことでございますね。
したがいまして、ネオコンサーバティブが言っているような極端なことではなくて、比較的穏健な方法、実際の外交は大変高圧的だったようでございますけれども、こういう方法で、ひとまずルールにのっとって対イラク攻撃に踏み切らんとしている、これが私の認識でございます。
こういうところに立ちまして、日本は何をすべきかということ、これは皆様先生方の御審議の対象だろうと思うのでございます。
私、不満を申し上げますと、日本にできることは何か、できないことは何か。すべて私は役人の発想だと思います。これは今の特措法の枠内で、あるいは大きく言うと憲法の枠内で、あるいは予算の範囲内で、あるいは国民感情を考慮して、いずれも私はそれを軽視しろとは申しませんが、これは絞り込んでいくと、できることとできないこととはっきりしてくるわけでございます。
お役所の、いかにも小ざかしげに、ここまではできます、できませんということで、アメリカにこれを要求を出す。アメリカはこれを不満とする。キャッチボールをやっているうちに、アメリカの圧力でついに向こうの言うとおりになる。この繰り返しがずっと戦後続いてきたんじゃないか。
ブレジンスキーが言っているような、被従属国とは言いませんが、被保護国、ブレジンスキーが五年前に巨大な将棋盤という著書の中で、日本は、デファクト プロテクトリート オブ ザ ユナイテッドステーツ、アメリカの事実上の保護国だと。保護国というのは今世界に二カ国しかありませんで、これはモナコともう一つ、スペインとフランスの間にある小さな人口七万の国でございます。これ並みになってしまったというのは、外交防衛で確たる哲学がないからではないかなというふうに私は考えているわけでございます。
私は、日米関係というのは最も重要な問題だ、これは大変重要な意義があるということを一貫して説いてきた人間でございますけれども、これは、日米関係だけでこの問題を取り扱うと、極めて小さなところに絞り込んでいって、事務的な結論以外に出ないであろうというふうに思います。したがいまして、イージス艦一隻出せないような現状が続いているのではないかなというのが私の考え方であります。
次に私が申し上げたいのは、一番重要なことなのでございますけれども、アメリカとの同盟関係、これを抜きにして日本人として、あるいは日本の国家として来るべき二十一世紀、ずっと続いていくテロにどういうふうに対処していくのか。これは、あたかもテロリストたちは別の種類の人間で、アメリカだけを攻撃している、こういう国際社会からデタッチしたような考え方というのは、迫力を非常に弱めているのではないかと私は考えているわけでございます。
私も月刊誌の論壇で時々論争しているわけでございますが、いわゆる保守派の間に親米、反米ということで今分かれている。反米の方々は、テロリストたちは悪い、さりとてアメリカはグローバリゼーションをやっている、あるいはユニラテラリズムでございますね、単独行動主義、これは悪いよ、したがって両方悪いんじゃないかい、こういう意見でございます。
私は、これはとんでもない意見だと思う。特に国会の先生方、我々言論人は、自由社会、民主主義社会で生きているわけでございます。これは言論、集会、結社の自由、何よりもとうといものだと思います。この言論、集会、結社の自由は、こういうシステムは、この体制を否定しようという言論あるいは思想、これにまで寛容でございますね。しかし、これを行動に移したときに、民主主義を信ずる者は立ち上がらなきゃいけないんじゃないか。冗談じゃないぞ、ここで立ち上がらなければ民主主義というのは崩壊するわけでございます。今の時代というのは、そういうことになっている。
これにアメリカが先頭を切って、このテロリストたちと闘おう、あるいはテロリストに大量破壊兵器を提供する、あるいは提供する可能性のある国との闘いに立ち上がった以上、我々は我々の信念で立ち上がるべきだ、これが第一でありまして、第二は、日米同盟を重視する、こういうところで日米間の協議をして細かいところを決めていく、これが順序ではないかなというふうに考えております。
ちょうど十五分でございますので、これで私の意見開陳を終わらせていただきたいと思います。大変失礼いたしました。拍手
この発言だけを見る →今委員長から、忌憚のない意見をということでございますので、四点にわたりまして、いろいろ申し上げてみたいと思うのでございます。
先日、ある全国紙を見ておりましたら、数日前でございますけれども、ある著名な学者が、今回のイラク攻撃は強い国が弱い国をいじめるんだ、保安官がこの指たかれと号令をかけて、補佐官がみんな集まってたたくんだというようなとんちんかんな議論がございました。これはとんでもないことではないかなと思います。こういう意見を載せる新聞もどうかしておりますけれども、根本的な国際情勢の認識が間違っているのではないかと。
去年、九・一一テロでございますけれども、これがブッシュ政権に与えた衝撃、並びに自由世界、民主主義を標榜する国家に与えた衝撃というものをこの人は考えていない。それからもう一つはサダム・フセインでございますけれども、サダム・フセインが湾岸戦争以後どれだけ国連決議に反してきたか。それから生物化学兵器、核は持っていないと思われるのでございますけれども、生物化学兵器、これがどれだけ危険な存在であったかということを完全に無視しているのではないかなというふうに思います。
私が申し上げたいのは、この意義でございますけれども、アメリカを中心とした世界でございますが、フェーズ1、フェーズ1はアルカイーダ、これをたたいた。アフガニスタン戦争でこれは一段落したわけでございますが、残党をたたいている段階だ。これも大変私は困難な仕事だと思うのでございますけれども、局面はフェーズ2に入った。フェーズ2のスタートは、一月二十九日、ブッシュが年頭の一般教書で強調いたしました悪の枢軸でございます。その筆頭に来るのがイラク、次がイラン、三番目が北朝鮮ということで、その筆頭のイラクをたたき始めたんだと。こういう概念が、概念というか受け取り方が、日本の社会では甚だ乏しいのではないかなというふうに考えております。
アメリカの決意でございますけれども、これは容易ならざる決意でございます。皆様先生方は御案内のとおりだと思いますけれども、ホームランド・セキュリティー・デパートメント、これはあっという間に上下両院を通りました。これは実にペンタゴン、復員省、それから三番目がこのホームランド・セキュリティー・デパートメントでありまして、十二省庁を網羅した十七万人の人員を擁する対テロの組織というか、大きな官庁機構でございます。これは一月一日からスタートするでしょう。日本の行政改革でございますか、この遅々と進まない様子を見ておりますと、私はすごい国だなと、舌を巻かざるを得ないというふうに思うのでございます。
それから、これに伴いまして、いつどこからいかなる手段でだれに襲いかかってくるかわからない、この敵に対しまして、従来のアメリカの戦略、戦術はこれは意味をなさない。テロに関する限り、事前にかなりの動きを察知した場合は先制攻撃もあり得る、これはアメリカの建国以来の戦略、戦術の大転換でございます。
こういうふうにアメリカの、超大国が大きく方針それから体制、これを転換して、これに世界全体が動いていこう、連れて動いていこうという、この意義がどうして一部の人にはわからないのかなということでございます。これが私がまず第一点で申し上げたかった点でございます。
それから、第二点でございますけれども、アメリカ政府の考え方でございますね。あるいはアメリカ国内と言ってもいいと思います。
アメリカ政府は、これまたわかり切ったことを申し上げるのでございますけれども、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ウォルフォビッツ国防副長官、こういったネオコンサーバティブ、新保守主義という人たちがいらっしゃる。これに対しまして、国務省でございますけれども、コリン・パウエル国務長官、我々にとって非常に親しいアーミテージ国務副長官、こういった方々が国際派と言われて、両方の意見が対立している。その真ん中にコンドリーザ・ライス女史が大統領補佐官、うまい調整を図りまして、一番上でブッシュ大統領が極めて適切なジャッジメントを下している、こういうことでございます。
当初は、ネオコンサーバティブ、同盟国に別に相談しなくても単独でたたけるというような強硬論があったわけでございますけれども、これはどうもいかぬよということで上下両院の決議をとった。この決議をとりまして、ニューヨーク・タイムズとウォールストリート・ジャーナルが、ネオコンがウォールストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズが国際派を代弁して、大激論が一カ月にわたって展開された。しかし、結局上下両院で決議が採択されたということでございます。これはコンドリーザ・ライスあるいはブッシュ大統領を中心とする、国内の与野党のコンセンサスを見事に取りつけたんだろうと思います。
その後、日本では、国連決議がない以上ついていく必要はないさと、与党の大物が何人も言っておられましたけれども、国連決議、通っちゃったじゃないかということでございます。十五カ国、フランスが反対するよ、中国、ロシアは危ないよ、シリアは賛成するはずがないだろう、こういうふうに言っておられたのを私この耳で聞きましたけれども、十五カ国が全部賛成しちゃったんだ。十五対ゼロの国連決議というのは、そういうことをおっしゃった方々は今どういう感想をお漏らしになるか、私は伺ってみたいなと思うくらいでございます。
こういうコンセンサスに基づいて、この間、プラハで開かれましたNATOの拡大委員会、東欧の七カ国が加盟したわけでございます。これが本当は目玉なんですけれども、ブッシュは、対イラク攻撃、これに対する賛成を取りつけた。それからロシアに行きまして、プーチンとの話し合いでも賛成を取りつけた、こういうことでございますね。
したがいまして、ネオコンサーバティブが言っているような極端なことではなくて、比較的穏健な方法、実際の外交は大変高圧的だったようでございますけれども、こういう方法で、ひとまずルールにのっとって対イラク攻撃に踏み切らんとしている、これが私の認識でございます。
こういうところに立ちまして、日本は何をすべきかということ、これは皆様先生方の御審議の対象だろうと思うのでございます。
私、不満を申し上げますと、日本にできることは何か、できないことは何か。すべて私は役人の発想だと思います。これは今の特措法の枠内で、あるいは大きく言うと憲法の枠内で、あるいは予算の範囲内で、あるいは国民感情を考慮して、いずれも私はそれを軽視しろとは申しませんが、これは絞り込んでいくと、できることとできないこととはっきりしてくるわけでございます。
お役所の、いかにも小ざかしげに、ここまではできます、できませんということで、アメリカにこれを要求を出す。アメリカはこれを不満とする。キャッチボールをやっているうちに、アメリカの圧力でついに向こうの言うとおりになる。この繰り返しがずっと戦後続いてきたんじゃないか。
ブレジンスキーが言っているような、被従属国とは言いませんが、被保護国、ブレジンスキーが五年前に巨大な将棋盤という著書の中で、日本は、デファクト プロテクトリート オブ ザ ユナイテッドステーツ、アメリカの事実上の保護国だと。保護国というのは今世界に二カ国しかありませんで、これはモナコともう一つ、スペインとフランスの間にある小さな人口七万の国でございます。これ並みになってしまったというのは、外交防衛で確たる哲学がないからではないかなというふうに私は考えているわけでございます。
私は、日米関係というのは最も重要な問題だ、これは大変重要な意義があるということを一貫して説いてきた人間でございますけれども、これは、日米関係だけでこの問題を取り扱うと、極めて小さなところに絞り込んでいって、事務的な結論以外に出ないであろうというふうに思います。したがいまして、イージス艦一隻出せないような現状が続いているのではないかなというのが私の考え方であります。
次に私が申し上げたいのは、一番重要なことなのでございますけれども、アメリカとの同盟関係、これを抜きにして日本人として、あるいは日本の国家として来るべき二十一世紀、ずっと続いていくテロにどういうふうに対処していくのか。これは、あたかもテロリストたちは別の種類の人間で、アメリカだけを攻撃している、こういう国際社会からデタッチしたような考え方というのは、迫力を非常に弱めているのではないかと私は考えているわけでございます。
私も月刊誌の論壇で時々論争しているわけでございますが、いわゆる保守派の間に親米、反米ということで今分かれている。反米の方々は、テロリストたちは悪い、さりとてアメリカはグローバリゼーションをやっている、あるいはユニラテラリズムでございますね、単独行動主義、これは悪いよ、したがって両方悪いんじゃないかい、こういう意見でございます。
私は、これはとんでもない意見だと思う。特に国会の先生方、我々言論人は、自由社会、民主主義社会で生きているわけでございます。これは言論、集会、結社の自由、何よりもとうといものだと思います。この言論、集会、結社の自由は、こういうシステムは、この体制を否定しようという言論あるいは思想、これにまで寛容でございますね。しかし、これを行動に移したときに、民主主義を信ずる者は立ち上がらなきゃいけないんじゃないか。冗談じゃないぞ、ここで立ち上がらなければ民主主義というのは崩壊するわけでございます。今の時代というのは、そういうことになっている。
これにアメリカが先頭を切って、このテロリストたちと闘おう、あるいはテロリストに大量破壊兵器を提供する、あるいは提供する可能性のある国との闘いに立ち上がった以上、我々は我々の信念で立ち上がるべきだ、これが第一でありまして、第二は、日米同盟を重視する、こういうところで日米間の協議をして細かいところを決めていく、これが順序ではないかなというふうに考えております。
ちょうど十五分でございますので、これで私の意見開陳を終わらせていただきたいと思います。大変失礼いたしました。拍手
田
田
田中浩一郎#4
○田中参考人 おはようございます。田中でございます。
私は、問題意識として、アフガニスタンが現状でどうなっているのかということからお話をさせていただきたいと思います。
なぜかと申しますと、アフガニスタンの問題が、国際社会による同国への介入及び我が国のテロ対策特措法制定を通じた同国への関与のきっかけとなっていることから、この一年を経てアフガニスタンの事態がどのように変化しているかを振り返るというのは非常に必要である、そして、例えばイラク情勢にどのような対応をするのかということを想定した場合にも、その下地となり得るということから、これを取り扱う次第でございます。
「きのう」と比べました場合、アフガニスタンはどうなっているのか、まずその変化から見てみましょう。一言で言って、よくなったところもあれば相変わらずというところもあります。
第一点目ですが、ターリバン政権は崩壊しました。それから、アルカーイダの訓練基地、これは各地に点在していたわけですけれども、これも破壊されております。アフガン人から見れば、忌み嫌っていた外国人による支配というものは終わったわけでありまして、その点でアフガニスタンは解放されたわけです。これは進歩であります。
それに伴いまして、多数の難民が帰還しております。将来への期待値も非常に高いわけですので、難民の帰還も予想外に進んでおります。既に百七十九万人の難民がこれまでに帰還したと言っております。
それにあわせまして、国内では学校が再開されております。国際的な支援もありまして、各地で積極的に教育に取り組む姿が見受けられます。とりわけ女子児童の就学が復活したことは大きな差であります。カブールの街角を歩いていて、街角に学童が列をなして歩いているというのは、非常に時代が変わったことを感じさせる出来事であります。
十月のことでありますが、新しいお札を導入しました。これは通貨の安定、それから新札への切りかえを図って、同時にデノミも行うという効果が期待されております。これまで各地で異なる通貨を用いていた戦乱の時代から新しいアフガニスタンに脱皮する、そういう象徴的な出来事でもあります。
内戦の方は、ひところの状態に比べれば小康の状態にあります。実は、この一年の間に大規模な戦闘が起きていないということ、これはある部分では奇跡に近いと思います。それだけこの国では戦闘はそれまで日常茶飯事だったということです。
これらはすべていい方向の変化であるというふうに言えるんですけれども、やはり悪い状態への回帰、あるいは、悪いままでの状態が依然として継続している事象もございます。
一つは、貧困と飢えであります。天候状態による影響もありますけれども、アフガニスタンは依然として多大な人道支援を必要としています。残念ながら、ことしもそれは変わりませんでした。それゆえに国際的な支援も、労力はどうしても人道支援の方に振り向けられがちになり、復興支援に取りかかるタイミングもおくれてしまいました。
次に、麻薬の問題です。ターリバン政権の末期に、一時的に生産が厳しく禁止されましたが、ことしは改めて最大の生産国に躍り出たと思われます。麻薬による資金の発生にとどまらず、無法状態の維持を好都合と認める人たちがこの分野では活躍するだけに、ここに変化がないことは、今後を考えるとゆゆしき事態であります。
抑圧的と考えられたターリバンですけれども、彼らが去って、各地はどうなったのでしょうか。実は、ターリバンが出現する前夜のような、軍閥による群雄割拠の状態が再び出現してしまいました。この種の指導者たちは、依然として武力を通じて国を支配し、互いに小規模な衝突を繰り広げるばかりでなく、その支配地域の住民を抑圧し続けている事例をたくさん出しております。地域によっては、ターリバン時代と同じくらいにイスラム法に基づいた抑圧的な制約を課す司令官が存在しております。
それでは、現状が今どうなっているのかを分析してみたいと思います。
簡単に言えることは、未完であること、アンフィニッシュドビジネスは、何も軍事作戦ではないということであります。
内戦からの再建をかけて今アフガニスタンは前進しているはずでございますが、二十三年間も続いた戦乱や無政府状態から一夜にして国家再建が果たされるわけではありません。しかしながら、再生への出だしから道を誤った場合、そして、それに気づかずに前進し、その誤った軌道を修正する機会も設けられなかったとしたら、最終的にどこへ行き着くのか。恐らく正しい目的地にたどり着くことは不可能に近いことだと思われます。そうした危険性があることを常に念頭に置きながらアフガニスタンにかかわっていかなければならないのではないかと思います。
実際に昨年秋、ターリバン政権が崩壊した際のときのことを考えずに、コアリションフォーシズ、米軍を中心とする多国籍軍は軍事攻撃を進めていったことがあります。これはある部分国際社会の大きな過ちでありました。ターリバン政権が崩壊して慌ててボン会議を開催しましたけれども、軍事力を背景にカブールを手中におさめた軍閥とそれ以外の在外アフガン人の発言権の差は歴然としておりました。必然的に北部同盟という軍閥に偏った政権ができてしまい、手が血で汚れている彼らは、また同時に民族的にも偏りがあるがゆえに、各派からはその反発が強く出たわけであります。
しかしながら、第二段階に招集されるはずである大民族会議でこうした偏りは是正されるものと期待されておりました。ところが、この段階では、各地の代表者選出における不透明さ、アメリカによる議事運営への介入、軍閥による脅迫や買収が横行し、代議員によって大統領に選出されたカルザイ氏の正統性にも傷がついてしまいました。何よりも、大統領選出を通じて軍閥やイスラム原理主義者に借りをつくってしまったその状態、このもとではカルザイ氏は大統領としての指導力を発揮することは非常に難しくなったわけです。
時間が限られておりますので先に飛ばさせていただきますが、要は、カルザイ氏は非常に脆弱な政権基盤の上で今日も政権を運営することを余儀なくされております。彼はカブールの市長でしかないという極端な表現もあります。非常に失礼な表現かもしれませんが、かなり実態をあらわしております。その立場すら、実は実力者でありますファヒーム国防大臣の前には非常に象徴的なものとなってしまいます。地方の軍閥の多くが政権への帰属を繰り返し表明しておりますけれども、それは従属を意味しているのではありません。カルザイ氏は幾つかの人事を行っておりますけれども、それに従った地方の司令官や官吏は非常に少数であります。その実力、限界を早くから見限られていると言っても差し支えないかと思います。
そして、軍閥に借りがある、それが大統領にとっての大きな弱みでありますけれども、それは何も大統領だけではありません。アフガニスタンにおける深刻な問題はやはり治安にあります。ところが、その治安を乱す要因となるのは何もターリバンやアルカーイダの残党ばかりではなく、地方の軍閥であります。そして、その対テロ戦争を遂行するために、あるいは遂行しやすくするために、アメリカはこのカルザイ政権に従わない軍閥に対しても武器支援を行ってきております。こうした矛盾、これを将来的にどうやって正していくのか、その点があいまいになっております。
こうなってくると、国際社会のアフガニスタンの再生という課題は非常に行方がわからない状態であります。ただ、一つだけ忘れてはならないのは、和平プロセスが果たしてうまくいっているのかということも常に念頭に置いて動いていかなければいけないということであります。
その和平プロセスを支えるために、復興支援、これは東京の国際会議においてことし一月に表明されたことでありますけれども、それが考えられております。現状では、既に今年度に予定されておりました十八億ドル、さらにその後積み重ねられて十九・四億ドルに膨らみました国際的な支援の約七割に当たります十三・一億ドルが拠出されたと言っております。その中で、我が国は既に今年度に予定されていた二・五億ドルを超える二・八二億ドルを拠出し、ある部分では優等生として立場を築いております。
ところが、こうした支援に対して、アフガン側の受けとめ方は異なっております。円グラフで説明いたしますけれども、外側の円は、これまでに集められた、あるいはアフガン側に拠出されたお金がアフガン側でどのような形で使われたのかということをアフガン人の目から見た図であります。
彼らに言わせますと、当時約九億ドルと言われていた拠出金額のうち約八割方は人道支援や間接費、人件費などで消えてしまって、真水の部分、復興支援というものは二割でしかないということ。そして、さらに内側の円ですけれども、そうしたお金もほとんどは国際機関を経由して拠出され、直接アフガン側が使えるようなお金というのは一割ちょっとでしかないという不満でありました。このように、暫定政権にとって、これまでの支援は必ずしも想定した規模や内容ではなかったということ、不満が募るものだったということであります。
アフガニスタンとイラク、そして我が国の関与を考えていくとどのように見えてくるのかということを最後に申し上げます。
今、盛んに、レジームチェンジという言葉がはやっております。ある部分、これはアフガニスタンが先鞭をつけたことなのではないかと思います。それだけ大事業、国際社会が支援をする新体制の設立という大事業でありますが、果たしてこれはうまくいっているのか。アフガニスタンにおいては、まだまだこういう問題が山積していることを今申し上げたばかりであります。
ただ、気になりますのは、イラクに対する攻撃の必要性をアメリカ政府あるいは議会でいろいろ語る際に、常にアフガニスタンの成功例というものを引き合いに出してきました。実際にはアフガニスタンでは決して成功しているとは言えない状況にあるにもかかわらず、これを出してきた理由、それはなぜかといえば、やはりコアリションビルディング、同盟国をいかにして説得するか、そしてアメリカ国内の世論をいかに対イラク戦に向けて高揚させるかという政策的な意図が見え隠れしております。
ここへ来て、そのアメリカも、やはりアフガニスタンの国家再生がうまくいっていないということを若干認めるようなトーンに変わってまいりました。これまで否定的でありました軍隊による積極的な国づくりへの支援と関与を始めたわけであります。それだけ事態が逼迫しているということを認めたわけであります。また、米大統領の特使でありますが、今後は軍閥への武器支援は行わないと明言しております。これらが守られることを期待するのは、やはりアフガン国民そのものであると思われます。
最後になります。
国際社会の一員として、大量破壊兵器の脅威に立ち向かう責任というものはあると思います。必要であれば、我が国としてもそれを憲法などが定める範囲の中で果たさなければいけないと思います。しかしながら、そこで関与するにしても、当該国や地域において立場が異なる第三国からの示唆や誘導によって、我が国の国益が損なわれることがないようにしなければいけません。それはイラク問題に関しても同じであるはずであります。
私がアフガニスタンの経験で忘れることができないのは、時にはほかの事情によって実情が覆い隠されてしまうようなことがあるということであります。
御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は、問題意識として、アフガニスタンが現状でどうなっているのかということからお話をさせていただきたいと思います。
なぜかと申しますと、アフガニスタンの問題が、国際社会による同国への介入及び我が国のテロ対策特措法制定を通じた同国への関与のきっかけとなっていることから、この一年を経てアフガニスタンの事態がどのように変化しているかを振り返るというのは非常に必要である、そして、例えばイラク情勢にどのような対応をするのかということを想定した場合にも、その下地となり得るということから、これを取り扱う次第でございます。
「きのう」と比べました場合、アフガニスタンはどうなっているのか、まずその変化から見てみましょう。一言で言って、よくなったところもあれば相変わらずというところもあります。
第一点目ですが、ターリバン政権は崩壊しました。それから、アルカーイダの訓練基地、これは各地に点在していたわけですけれども、これも破壊されております。アフガン人から見れば、忌み嫌っていた外国人による支配というものは終わったわけでありまして、その点でアフガニスタンは解放されたわけです。これは進歩であります。
それに伴いまして、多数の難民が帰還しております。将来への期待値も非常に高いわけですので、難民の帰還も予想外に進んでおります。既に百七十九万人の難民がこれまでに帰還したと言っております。
それにあわせまして、国内では学校が再開されております。国際的な支援もありまして、各地で積極的に教育に取り組む姿が見受けられます。とりわけ女子児童の就学が復活したことは大きな差であります。カブールの街角を歩いていて、街角に学童が列をなして歩いているというのは、非常に時代が変わったことを感じさせる出来事であります。
十月のことでありますが、新しいお札を導入しました。これは通貨の安定、それから新札への切りかえを図って、同時にデノミも行うという効果が期待されております。これまで各地で異なる通貨を用いていた戦乱の時代から新しいアフガニスタンに脱皮する、そういう象徴的な出来事でもあります。
内戦の方は、ひところの状態に比べれば小康の状態にあります。実は、この一年の間に大規模な戦闘が起きていないということ、これはある部分では奇跡に近いと思います。それだけこの国では戦闘はそれまで日常茶飯事だったということです。
これらはすべていい方向の変化であるというふうに言えるんですけれども、やはり悪い状態への回帰、あるいは、悪いままでの状態が依然として継続している事象もございます。
一つは、貧困と飢えであります。天候状態による影響もありますけれども、アフガニスタンは依然として多大な人道支援を必要としています。残念ながら、ことしもそれは変わりませんでした。それゆえに国際的な支援も、労力はどうしても人道支援の方に振り向けられがちになり、復興支援に取りかかるタイミングもおくれてしまいました。
次に、麻薬の問題です。ターリバン政権の末期に、一時的に生産が厳しく禁止されましたが、ことしは改めて最大の生産国に躍り出たと思われます。麻薬による資金の発生にとどまらず、無法状態の維持を好都合と認める人たちがこの分野では活躍するだけに、ここに変化がないことは、今後を考えるとゆゆしき事態であります。
抑圧的と考えられたターリバンですけれども、彼らが去って、各地はどうなったのでしょうか。実は、ターリバンが出現する前夜のような、軍閥による群雄割拠の状態が再び出現してしまいました。この種の指導者たちは、依然として武力を通じて国を支配し、互いに小規模な衝突を繰り広げるばかりでなく、その支配地域の住民を抑圧し続けている事例をたくさん出しております。地域によっては、ターリバン時代と同じくらいにイスラム法に基づいた抑圧的な制約を課す司令官が存在しております。
それでは、現状が今どうなっているのかを分析してみたいと思います。
簡単に言えることは、未完であること、アンフィニッシュドビジネスは、何も軍事作戦ではないということであります。
内戦からの再建をかけて今アフガニスタンは前進しているはずでございますが、二十三年間も続いた戦乱や無政府状態から一夜にして国家再建が果たされるわけではありません。しかしながら、再生への出だしから道を誤った場合、そして、それに気づかずに前進し、その誤った軌道を修正する機会も設けられなかったとしたら、最終的にどこへ行き着くのか。恐らく正しい目的地にたどり着くことは不可能に近いことだと思われます。そうした危険性があることを常に念頭に置きながらアフガニスタンにかかわっていかなければならないのではないかと思います。
実際に昨年秋、ターリバン政権が崩壊した際のときのことを考えずに、コアリションフォーシズ、米軍を中心とする多国籍軍は軍事攻撃を進めていったことがあります。これはある部分国際社会の大きな過ちでありました。ターリバン政権が崩壊して慌ててボン会議を開催しましたけれども、軍事力を背景にカブールを手中におさめた軍閥とそれ以外の在外アフガン人の発言権の差は歴然としておりました。必然的に北部同盟という軍閥に偏った政権ができてしまい、手が血で汚れている彼らは、また同時に民族的にも偏りがあるがゆえに、各派からはその反発が強く出たわけであります。
しかしながら、第二段階に招集されるはずである大民族会議でこうした偏りは是正されるものと期待されておりました。ところが、この段階では、各地の代表者選出における不透明さ、アメリカによる議事運営への介入、軍閥による脅迫や買収が横行し、代議員によって大統領に選出されたカルザイ氏の正統性にも傷がついてしまいました。何よりも、大統領選出を通じて軍閥やイスラム原理主義者に借りをつくってしまったその状態、このもとではカルザイ氏は大統領としての指導力を発揮することは非常に難しくなったわけです。
時間が限られておりますので先に飛ばさせていただきますが、要は、カルザイ氏は非常に脆弱な政権基盤の上で今日も政権を運営することを余儀なくされております。彼はカブールの市長でしかないという極端な表現もあります。非常に失礼な表現かもしれませんが、かなり実態をあらわしております。その立場すら、実は実力者でありますファヒーム国防大臣の前には非常に象徴的なものとなってしまいます。地方の軍閥の多くが政権への帰属を繰り返し表明しておりますけれども、それは従属を意味しているのではありません。カルザイ氏は幾つかの人事を行っておりますけれども、それに従った地方の司令官や官吏は非常に少数であります。その実力、限界を早くから見限られていると言っても差し支えないかと思います。
そして、軍閥に借りがある、それが大統領にとっての大きな弱みでありますけれども、それは何も大統領だけではありません。アフガニスタンにおける深刻な問題はやはり治安にあります。ところが、その治安を乱す要因となるのは何もターリバンやアルカーイダの残党ばかりではなく、地方の軍閥であります。そして、その対テロ戦争を遂行するために、あるいは遂行しやすくするために、アメリカはこのカルザイ政権に従わない軍閥に対しても武器支援を行ってきております。こうした矛盾、これを将来的にどうやって正していくのか、その点があいまいになっております。
こうなってくると、国際社会のアフガニスタンの再生という課題は非常に行方がわからない状態であります。ただ、一つだけ忘れてはならないのは、和平プロセスが果たしてうまくいっているのかということも常に念頭に置いて動いていかなければいけないということであります。
その和平プロセスを支えるために、復興支援、これは東京の国際会議においてことし一月に表明されたことでありますけれども、それが考えられております。現状では、既に今年度に予定されておりました十八億ドル、さらにその後積み重ねられて十九・四億ドルに膨らみました国際的な支援の約七割に当たります十三・一億ドルが拠出されたと言っております。その中で、我が国は既に今年度に予定されていた二・五億ドルを超える二・八二億ドルを拠出し、ある部分では優等生として立場を築いております。
ところが、こうした支援に対して、アフガン側の受けとめ方は異なっております。円グラフで説明いたしますけれども、外側の円は、これまでに集められた、あるいはアフガン側に拠出されたお金がアフガン側でどのような形で使われたのかということをアフガン人の目から見た図であります。
彼らに言わせますと、当時約九億ドルと言われていた拠出金額のうち約八割方は人道支援や間接費、人件費などで消えてしまって、真水の部分、復興支援というものは二割でしかないということ。そして、さらに内側の円ですけれども、そうしたお金もほとんどは国際機関を経由して拠出され、直接アフガン側が使えるようなお金というのは一割ちょっとでしかないという不満でありました。このように、暫定政権にとって、これまでの支援は必ずしも想定した規模や内容ではなかったということ、不満が募るものだったということであります。
アフガニスタンとイラク、そして我が国の関与を考えていくとどのように見えてくるのかということを最後に申し上げます。
今、盛んに、レジームチェンジという言葉がはやっております。ある部分、これはアフガニスタンが先鞭をつけたことなのではないかと思います。それだけ大事業、国際社会が支援をする新体制の設立という大事業でありますが、果たしてこれはうまくいっているのか。アフガニスタンにおいては、まだまだこういう問題が山積していることを今申し上げたばかりであります。
ただ、気になりますのは、イラクに対する攻撃の必要性をアメリカ政府あるいは議会でいろいろ語る際に、常にアフガニスタンの成功例というものを引き合いに出してきました。実際にはアフガニスタンでは決して成功しているとは言えない状況にあるにもかかわらず、これを出してきた理由、それはなぜかといえば、やはりコアリションビルディング、同盟国をいかにして説得するか、そしてアメリカ国内の世論をいかに対イラク戦に向けて高揚させるかという政策的な意図が見え隠れしております。
ここへ来て、そのアメリカも、やはりアフガニスタンの国家再生がうまくいっていないということを若干認めるようなトーンに変わってまいりました。これまで否定的でありました軍隊による積極的な国づくりへの支援と関与を始めたわけであります。それだけ事態が逼迫しているということを認めたわけであります。また、米大統領の特使でありますが、今後は軍閥への武器支援は行わないと明言しております。これらが守られることを期待するのは、やはりアフガン国民そのものであると思われます。
最後になります。
国際社会の一員として、大量破壊兵器の脅威に立ち向かう責任というものはあると思います。必要であれば、我が国としてもそれを憲法などが定める範囲の中で果たさなければいけないと思います。しかしながら、そこで関与するにしても、当該国や地域において立場が異なる第三国からの示唆や誘導によって、我が国の国益が損なわれることがないようにしなければいけません。それはイラク問題に関しても同じであるはずであります。
私がアフガニスタンの経験で忘れることができないのは、時にはほかの事情によって実情が覆い隠されてしまうようなことがあるということであります。
御清聴ありがとうございました。拍手
田
酒
酒井啓子#6
○酒井参考人 アジア経済研究所の酒井でございます。
私は、専ら今のイラク情勢について、国内面の状況を含めて御説明させていただきたいと思います。私は、アジア経済研究所におきまして二十年間、イラクを中心に中東を見てきたということがございますので、そういう意味では、その政権の安定性といったことに注目していきたいと思います。
本日お話しいたしたいのは三点ございまして、まず、最も注目される点といたしましては、国連の現在イラクに対して行われつつある査察、大量破壊兵器に対する査察、これが果たして順調にいくのであるかどうかという点、これが最も最大の関心事だろうと思います。そして、それを踏まえまして、対イラク攻撃が行われるのかどうか、そして、もし行われた場合にはそれがどのような状況になるのかという三点について述べさせていただきたいと思います。
まず、査察の問題でございますけれども、前提として申し上げておきたいのは、現在の状況におきましてはかなりこの査察、六十日間の査察が予定されておりますけれども、これが必ずしも順調にいくとは思いがたい状況にあるということが結論として言えるかと思います。
これは留意いただきたいのですけれども、これは査察そのものが極めて困難だというふうに申し上げているというわけでは決してなくて、査察をイラクが受け入れやすいような環境を国際社会がつくることがなければかなり難しかろうということでございます。最後にまた繰り返し申し上げるかと思いますけれども、現在の国際情勢の中ではイラクが査察を受け入れにくいような環境が存在する、その環境を変えることによって査察体制を改めて確立するということは十分可能であるという前提の上に、現状では難しいというふうに申し上げておきたいと思います。
では、なぜそれが難しいかという点に参りますけれども、これは先ほども申しましたように、イラクは必ずしも査察体制そのものに対して真っ向から反対しているというわけではございません。曲がりなりにも、湾岸戦争以来九五年までは、比較的イラク政府は査察体制に対して協力的な態度をとっておりました。九六年以降九八年の二年間で頻繁な衝突を起こす、そして現在の査察棚上げ状態に至ったという状況があるわけですけれども、まずそこで、なぜイラクが査察体制に対して非協力的な態度をとったかという原因について考えてみれば、これは一点に絞られます。それは、査察団の中に諜報行為を行うという者が存在していたということにほかなりません。
その意味では、イラクが査察体制に対して最も問題にいたしましたのは査察団の構成ということになります。どういう出身の人物であって、しかも国籍的にバラエティーに富んでいるかどうかという点をイラクは最も重視しております。この諜報活動が査察の中で行われていたということについては、実際に査察団のメンバーであったスコット・リッターという、これはアメリカのマリンの諜報将校でありましたけれども、この人が、自分はそのような活動をしていたということで、現在いろいろな形でそれを証明するような発言を数々行っております。
そもそも査察がそうした構成上問題があるということに加えまして、とりわけ、今回の安保理決議千四百四十一号においては、さらにイラク側が査察体制に対して協力しにくい点が幾つか述べられております。その大きな点は四点ございます。
一つ目は、査察団が武装した保安要員を同行することができるという点にあります。二番目は、その保安要員を含めて査察団がイラク国内の陸海空の交通を自由に遮断し、自由にさまざまな施設にアクセスすることができるという点であります。三番目は、それに加えて、常時、バグダッド上空を含めてイラク国内にU2偵察機などの、無人であれ有人であれ偵察機を飛ばすことができるという状況、三点がございます。これはある意味ではイラク国内に一種の治外法権領域を設けるというような措置になっておりまして、イラク側はこれに対して国家主権の侵害であるということを強く反発しております。
最後に四点目に問題にしております点は、査察団が、さまざまな査察活動の過程において、イラクの政府の要人あるいは科学者といった軍事開発にかかわった人物に対してインタビューを行うことができる。ただ、このインタビューについては、イラク国内で行うとイラク政府の圧力がかかる可能性がかなり大であるので、これを国外に連れ出してインタビューを行うことができる。さらには、家族を人質をとられないような形で家族もともども国外に出ることができる。さらに、その後帰国することが難しい場合はそのまま亡命も認めるというような内容が付されております。
すなわち、これは一種のイラク国民に対する亡命奨励措置というような内容になっておりまして、これは実際には、国連のUNMOVIC、イラクの大量破壊兵器査察を携わる委員会ですけれども、このUNMOVICの委員長であるハンス・ブリクス氏自身も、こうした亡命奨励措置というような内容は安保理決議にはそぐわないのではなかろうかというような懸念を表明しております。
以上申し上げましたような点は、まず先ほども申し上げましたように、かなりイラクのいわゆる国家主権に対する、チャレンジするような内容になっているという点が特徴的でございます。しかし、そうは申しましても、イラク側といたしましては、この決議を受け入れないことには、あるいはこの決議に準じる形をとらなければ戦争になるという状況は重々承知しておりますので、基本的にはこれに対して協力的な姿勢をとろうとしているということは事実かと思います。
ただ、先ほど申しました三点につきましては、実は二つ問題がございます。一つ目は、こういった条項、特に査察団が自由にイラク国内の交通を遮断できるというような条項は、これは意図的ではない形の、いわゆる事故的な衝突を招く可能性が非常に高い。つまり、交通警察と査察団の間のいざこざというようなマイナーなレベル、末端のレベルでの衝突ですら大きな問題になりかねないというような問題を秘めておりますので、そういう意味では、事故によってその問題が生ずる可能性が非常に高いという点でございます。
もう一点につきましては、これはより一層深刻な事態でございますけれども、イラク側が、必ずしも査察を受け入れたところで戦争は回避できないのではないかという危惧を強く持っているという点でございます。これが冒頭に申し上げました、国際社会がいかにイラクに対して査察を受け入れさせるかという意味で努力する余地があるという点につながってまいります。
と申しますのは、イラクが査察を受け入れても戦争が起こるかもしれないと思っている最大の要因は、アメリカが、安保理決議がなくても戦争を行う用意があるというような発言を、安保理決議の採択の前でございますけれども、しばしば行ってきているということにあります。さらに言えば、アメリカの最終的な戦争の目的が大量破壊兵器の破壊、廃棄という問題ではなくて、むしろフセイン政権の転覆というところに目的があるのではないかということを、実際にアメリカの政権の高官がしばしば触れております。
そうしたところから、イラク国内では、国連決議にいかに従順であっても戦争が起こるのであれば、またその判断が違ってくるという認識が生まれてきやすい状況にあるわけです。すなわち、言いかえれば、査察行為が戦争を回避するための手段であるとすればイラクとしては十分受け入れる余地はある、しかしながら、もし査察を受け入れたにもかかわらず戦争が起こるということになれば、ある意味で査察団の行動が開戦準備のための行動になり得る、つまり開戦の前の軍事情報を入手するための行動であるとすればこれは受け入れがたいというような判断にイラク政府が行きがちな状況にあるわけです。
そういう意味で、今申し上げました二つの点、事故的な衝突、そして二番目はアメリカの攻撃に対する不信感という二つの理由によって査察活動が途中でとんざする可能性は極めて高いというふうに私は判断しております。となりますと、そのような状況を踏まえて、戦争が発生するということはある意味では不可避であるというふうに考えた方がよろしいかと思います。
しかしながら、それでは最後の点につきまして、戦争が起こった場合に果たしてどういう状況が生じるかという点につきましては、一言で申し上げまして、イラク内外におきまして非常な混乱と不安定を招くということになるかと思います。その最大の理由は、これは軍事的に考えましては、私どもは軍事的には専門ではございませんので印象論でしかございませんけれども、どう考えてもイラク軍にアメリカの攻撃に耐えられるような力があるとは思えないというのはまず前提でございます。
しかしながら、そうした軍事的な敗北がフセイン政権の打倒あるいはフセイン政権の崩壊というものを即座に導くかどうかというのはまた別の問題になります。あるいは、フセイン政権の崩壊が即座に新政権の成立ということをもたらすかというのはまた別の問題になります。
イラクに関する専門家、欧米の専門家を含めて合意しておりますのは、イラクにおいて新政権を安定的に確立するということは極めて難しい、アフガニスタンのような状況とはまた別であろうということで意見が一致しております。といいますのも、現在国内に今現在の政権にかわり得るような反体制派が存在しないということがまず第一点ございます。そして、では国外に目を向けますと、国外にそうした新政権を立てられるような人物がいるかといいますと、これも存在しないということになります。
アメリカは現在、INC、イラク国民会議という組織を母体にいたしまして新政権の受け皿というような形をとっておりますけれども、これは、湾岸戦争以降、十年以上にわたりましてこのINCを中心に組閣工作をさまざまにしてきたわけですけれども、いずれも失敗に終わっている。むしろさらに内部分裂が強まっておりまして、なかなかかいらい政権を立てるという形だけをつくるのもかなり難しいという状況にあります。最近うわさされておりますようなアメリカの直接支配、GHQ型の直接支配というような案も、これは積極的にそういう案を考えているというよりは、むしろ消極的に考えて、新政権を担うようなスータブルな存在がいないということで、消極的に、アメリカが全面的に支えるしかなかろうというようなアイデアかと思います。
ちなみに、こうした直接支配ということを考えれば、相当戦時あるいは戦後のコストが高まるということは目に見えておりまして、現在、米議会で試算されている数字では、最大見積もって二千億ドル近くのコストは戦争の準備及び戦後の処理にかかるというふうに推計されているという数字がございます。
以上、そのような形で新政権をつくるのは非常に難しいわけですが、万が一そのような形で国内にかいらいではあっても新政権をつくる、あるいはアメリカがそれをバックアップするというような体制がとられたとしても、そのことが周辺国に与える影響は極めて甚大なものになるかと思います。
当然、イラク同様に反米的なスタンスをとっておりますシリアやイランといった国々に対する影響もかなり大きなものになるかと思います。加えて注目すべき点は、サウジアラビアに対する影響かと思います。サウジアラビアは、これまで親米国としてアメリカの対中東政策の中核を担ってきたわけですけれども、しかしながら、もしアメリカの政策の力点がイラクに移されるということになりますと、サウジアラビアが相対的に中東における役割を低下させるということになりかねません。そういたしますと、サウジアラビアの王制、さまざまな形で反体制活動も抱えております現在の王制が果たして安定的に維持できるかどうかという問題も出てくるかと思います。
このように、イラク国内及び国外にさまざまな問題をはらんだ新政権の樹立ということになりますけれども、唯一安定的に新政権が立てられるとすれば、どうしたオプションが考えられるかと申しますと、これは現体制のかなりの部分を残すような形で政権が交代した場合にのみ、ある程度の安定性が得られるということが考えられるかと思います。
フセイン政権は、しばしば言われるように、フセインとその親族あるいはその側近の独裁体制だというふうに言われておりますけれども、そのすそ野には、現在の与党でありますバース党という広大な与党が控えております。これは、この与党はイデオロギー政党ではございますけれども、現在では一種の生活政党になっております。国民の生活をかなりの程度支えている、地方に行き渡った支持母体を持っている政党だというふうに言えるかと思います。
こうした国民の生活の間にかなり根を張ったような巨大政党の隅々までひっくり返すということではなく、そうした現在の社会経済的な基盤を支えているような政体をある程度残した形で政権が交代することができれば、比較的安定的な政権移譲ということが可能ではなかろうかというふうに考えます。
しかしながら、現在のアメリカの政策を見る限りでは、必ずしもそうした点に留意しているとは思えない、むしろ国民の生活を根こそぎひっくり返すような形での新政権の一からの樹立、あるいは戦争の、市街戦を含めたかなり国民レベルを巻き込んだ形の戦争というような政策に依拠しているというふうに見えるように思います。
大体十五分になりましたので、以上で私の方の御報告は終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は、専ら今のイラク情勢について、国内面の状況を含めて御説明させていただきたいと思います。私は、アジア経済研究所におきまして二十年間、イラクを中心に中東を見てきたということがございますので、そういう意味では、その政権の安定性といったことに注目していきたいと思います。
本日お話しいたしたいのは三点ございまして、まず、最も注目される点といたしましては、国連の現在イラクに対して行われつつある査察、大量破壊兵器に対する査察、これが果たして順調にいくのであるかどうかという点、これが最も最大の関心事だろうと思います。そして、それを踏まえまして、対イラク攻撃が行われるのかどうか、そして、もし行われた場合にはそれがどのような状況になるのかという三点について述べさせていただきたいと思います。
まず、査察の問題でございますけれども、前提として申し上げておきたいのは、現在の状況におきましてはかなりこの査察、六十日間の査察が予定されておりますけれども、これが必ずしも順調にいくとは思いがたい状況にあるということが結論として言えるかと思います。
これは留意いただきたいのですけれども、これは査察そのものが極めて困難だというふうに申し上げているというわけでは決してなくて、査察をイラクが受け入れやすいような環境を国際社会がつくることがなければかなり難しかろうということでございます。最後にまた繰り返し申し上げるかと思いますけれども、現在の国際情勢の中ではイラクが査察を受け入れにくいような環境が存在する、その環境を変えることによって査察体制を改めて確立するということは十分可能であるという前提の上に、現状では難しいというふうに申し上げておきたいと思います。
では、なぜそれが難しいかという点に参りますけれども、これは先ほども申しましたように、イラクは必ずしも査察体制そのものに対して真っ向から反対しているというわけではございません。曲がりなりにも、湾岸戦争以来九五年までは、比較的イラク政府は査察体制に対して協力的な態度をとっておりました。九六年以降九八年の二年間で頻繁な衝突を起こす、そして現在の査察棚上げ状態に至ったという状況があるわけですけれども、まずそこで、なぜイラクが査察体制に対して非協力的な態度をとったかという原因について考えてみれば、これは一点に絞られます。それは、査察団の中に諜報行為を行うという者が存在していたということにほかなりません。
その意味では、イラクが査察体制に対して最も問題にいたしましたのは査察団の構成ということになります。どういう出身の人物であって、しかも国籍的にバラエティーに富んでいるかどうかという点をイラクは最も重視しております。この諜報活動が査察の中で行われていたということについては、実際に査察団のメンバーであったスコット・リッターという、これはアメリカのマリンの諜報将校でありましたけれども、この人が、自分はそのような活動をしていたということで、現在いろいろな形でそれを証明するような発言を数々行っております。
そもそも査察がそうした構成上問題があるということに加えまして、とりわけ、今回の安保理決議千四百四十一号においては、さらにイラク側が査察体制に対して協力しにくい点が幾つか述べられております。その大きな点は四点ございます。
一つ目は、査察団が武装した保安要員を同行することができるという点にあります。二番目は、その保安要員を含めて査察団がイラク国内の陸海空の交通を自由に遮断し、自由にさまざまな施設にアクセスすることができるという点であります。三番目は、それに加えて、常時、バグダッド上空を含めてイラク国内にU2偵察機などの、無人であれ有人であれ偵察機を飛ばすことができるという状況、三点がございます。これはある意味ではイラク国内に一種の治外法権領域を設けるというような措置になっておりまして、イラク側はこれに対して国家主権の侵害であるということを強く反発しております。
最後に四点目に問題にしております点は、査察団が、さまざまな査察活動の過程において、イラクの政府の要人あるいは科学者といった軍事開発にかかわった人物に対してインタビューを行うことができる。ただ、このインタビューについては、イラク国内で行うとイラク政府の圧力がかかる可能性がかなり大であるので、これを国外に連れ出してインタビューを行うことができる。さらには、家族を人質をとられないような形で家族もともども国外に出ることができる。さらに、その後帰国することが難しい場合はそのまま亡命も認めるというような内容が付されております。
すなわち、これは一種のイラク国民に対する亡命奨励措置というような内容になっておりまして、これは実際には、国連のUNMOVIC、イラクの大量破壊兵器査察を携わる委員会ですけれども、このUNMOVICの委員長であるハンス・ブリクス氏自身も、こうした亡命奨励措置というような内容は安保理決議にはそぐわないのではなかろうかというような懸念を表明しております。
以上申し上げましたような点は、まず先ほども申し上げましたように、かなりイラクのいわゆる国家主権に対する、チャレンジするような内容になっているという点が特徴的でございます。しかし、そうは申しましても、イラク側といたしましては、この決議を受け入れないことには、あるいはこの決議に準じる形をとらなければ戦争になるという状況は重々承知しておりますので、基本的にはこれに対して協力的な姿勢をとろうとしているということは事実かと思います。
ただ、先ほど申しました三点につきましては、実は二つ問題がございます。一つ目は、こういった条項、特に査察団が自由にイラク国内の交通を遮断できるというような条項は、これは意図的ではない形の、いわゆる事故的な衝突を招く可能性が非常に高い。つまり、交通警察と査察団の間のいざこざというようなマイナーなレベル、末端のレベルでの衝突ですら大きな問題になりかねないというような問題を秘めておりますので、そういう意味では、事故によってその問題が生ずる可能性が非常に高いという点でございます。
もう一点につきましては、これはより一層深刻な事態でございますけれども、イラク側が、必ずしも査察を受け入れたところで戦争は回避できないのではないかという危惧を強く持っているという点でございます。これが冒頭に申し上げました、国際社会がいかにイラクに対して査察を受け入れさせるかという意味で努力する余地があるという点につながってまいります。
と申しますのは、イラクが査察を受け入れても戦争が起こるかもしれないと思っている最大の要因は、アメリカが、安保理決議がなくても戦争を行う用意があるというような発言を、安保理決議の採択の前でございますけれども、しばしば行ってきているということにあります。さらに言えば、アメリカの最終的な戦争の目的が大量破壊兵器の破壊、廃棄という問題ではなくて、むしろフセイン政権の転覆というところに目的があるのではないかということを、実際にアメリカの政権の高官がしばしば触れております。
そうしたところから、イラク国内では、国連決議にいかに従順であっても戦争が起こるのであれば、またその判断が違ってくるという認識が生まれてきやすい状況にあるわけです。すなわち、言いかえれば、査察行為が戦争を回避するための手段であるとすればイラクとしては十分受け入れる余地はある、しかしながら、もし査察を受け入れたにもかかわらず戦争が起こるということになれば、ある意味で査察団の行動が開戦準備のための行動になり得る、つまり開戦の前の軍事情報を入手するための行動であるとすればこれは受け入れがたいというような判断にイラク政府が行きがちな状況にあるわけです。
そういう意味で、今申し上げました二つの点、事故的な衝突、そして二番目はアメリカの攻撃に対する不信感という二つの理由によって査察活動が途中でとんざする可能性は極めて高いというふうに私は判断しております。となりますと、そのような状況を踏まえて、戦争が発生するということはある意味では不可避であるというふうに考えた方がよろしいかと思います。
しかしながら、それでは最後の点につきまして、戦争が起こった場合に果たしてどういう状況が生じるかという点につきましては、一言で申し上げまして、イラク内外におきまして非常な混乱と不安定を招くということになるかと思います。その最大の理由は、これは軍事的に考えましては、私どもは軍事的には専門ではございませんので印象論でしかございませんけれども、どう考えてもイラク軍にアメリカの攻撃に耐えられるような力があるとは思えないというのはまず前提でございます。
しかしながら、そうした軍事的な敗北がフセイン政権の打倒あるいはフセイン政権の崩壊というものを即座に導くかどうかというのはまた別の問題になります。あるいは、フセイン政権の崩壊が即座に新政権の成立ということをもたらすかというのはまた別の問題になります。
イラクに関する専門家、欧米の専門家を含めて合意しておりますのは、イラクにおいて新政権を安定的に確立するということは極めて難しい、アフガニスタンのような状況とはまた別であろうということで意見が一致しております。といいますのも、現在国内に今現在の政権にかわり得るような反体制派が存在しないということがまず第一点ございます。そして、では国外に目を向けますと、国外にそうした新政権を立てられるような人物がいるかといいますと、これも存在しないということになります。
アメリカは現在、INC、イラク国民会議という組織を母体にいたしまして新政権の受け皿というような形をとっておりますけれども、これは、湾岸戦争以降、十年以上にわたりましてこのINCを中心に組閣工作をさまざまにしてきたわけですけれども、いずれも失敗に終わっている。むしろさらに内部分裂が強まっておりまして、なかなかかいらい政権を立てるという形だけをつくるのもかなり難しいという状況にあります。最近うわさされておりますようなアメリカの直接支配、GHQ型の直接支配というような案も、これは積極的にそういう案を考えているというよりは、むしろ消極的に考えて、新政権を担うようなスータブルな存在がいないということで、消極的に、アメリカが全面的に支えるしかなかろうというようなアイデアかと思います。
ちなみに、こうした直接支配ということを考えれば、相当戦時あるいは戦後のコストが高まるということは目に見えておりまして、現在、米議会で試算されている数字では、最大見積もって二千億ドル近くのコストは戦争の準備及び戦後の処理にかかるというふうに推計されているという数字がございます。
以上、そのような形で新政権をつくるのは非常に難しいわけですが、万が一そのような形で国内にかいらいではあっても新政権をつくる、あるいはアメリカがそれをバックアップするというような体制がとられたとしても、そのことが周辺国に与える影響は極めて甚大なものになるかと思います。
当然、イラク同様に反米的なスタンスをとっておりますシリアやイランといった国々に対する影響もかなり大きなものになるかと思います。加えて注目すべき点は、サウジアラビアに対する影響かと思います。サウジアラビアは、これまで親米国としてアメリカの対中東政策の中核を担ってきたわけですけれども、しかしながら、もしアメリカの政策の力点がイラクに移されるということになりますと、サウジアラビアが相対的に中東における役割を低下させるということになりかねません。そういたしますと、サウジアラビアの王制、さまざまな形で反体制活動も抱えております現在の王制が果たして安定的に維持できるかどうかという問題も出てくるかと思います。
このように、イラク国内及び国外にさまざまな問題をはらんだ新政権の樹立ということになりますけれども、唯一安定的に新政権が立てられるとすれば、どうしたオプションが考えられるかと申しますと、これは現体制のかなりの部分を残すような形で政権が交代した場合にのみ、ある程度の安定性が得られるということが考えられるかと思います。
フセイン政権は、しばしば言われるように、フセインとその親族あるいはその側近の独裁体制だというふうに言われておりますけれども、そのすそ野には、現在の与党でありますバース党という広大な与党が控えております。これは、この与党はイデオロギー政党ではございますけれども、現在では一種の生活政党になっております。国民の生活をかなりの程度支えている、地方に行き渡った支持母体を持っている政党だというふうに言えるかと思います。
こうした国民の生活の間にかなり根を張ったような巨大政党の隅々までひっくり返すということではなく、そうした現在の社会経済的な基盤を支えているような政体をある程度残した形で政権が交代することができれば、比較的安定的な政権移譲ということが可能ではなかろうかというふうに考えます。
しかしながら、現在のアメリカの政策を見る限りでは、必ずしもそうした点に留意しているとは思えない、むしろ国民の生活を根こそぎひっくり返すような形での新政権の一からの樹立、あるいは戦争の、市街戦を含めたかなり国民レベルを巻き込んだ形の戦争というような政策に依拠しているというふうに見えるように思います。
大体十五分になりましたので、以上で私の方の御報告は終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。拍手
田
河
河辺一郎#8
○河辺参考人 委員長、御紹介ありがとうございます。
おはようございます。河辺でございます。国連あるいは日本外交の問題を研究しております。このような場で意見陳述の機会をちょうだいしたことを心からお礼申し上げます。
資料、四ページにわたって用意いたしました。といいましても、ここにはまさに資料しか書いてございません。文書の抜き書きなどが中心になっております。その最初のところに、ある文書、ある出来事に関して出された声明文なんですが、その抜き書きを示しました。
カーター元アメリカ合衆国大統領がノーベル平和賞を受賞しましたが、その際に、それに関しまして出された声明文です。ごらんいただくとおり、大変感情的で挑発的な内容でございます。
あなたは安っぽいメダルをもらって喜んでいるんだろうとか、イエスは殴られたらほかのほおを差し出せと女の子のようなことを言ったのかもしれないが、我々はそうじゃない、先制攻撃で殴り倒す、やっつけることが求められているのであるとか、あるいは、あなたに対して我々は心にもない敬意を表明する、同時に、あなたが今後も荒廃し、しかも危険な世界各地を旅し続けることを、願わくばそれがますます頻度を増すことを心から願っているとか、そんな内容の文書でございます。
だれが発表したものか。例えばビンラーディン氏がさらなるテロ攻撃を予告するその声明文のようにも見受けられますが、署名者は異なります。ジョージ・ブッシュ氏であります。ジョージ・ブッシュ・アメリカ合衆国大統領の、カーター元アメリカ合衆国大統領がノーベル平和賞を受賞した際に出された公式声明文であります。昨日確認いたしましたところ、現在もホワイトハウスのホームページに残っております。
ある西側先進国の首脳、今や西側という言葉自身が不適切かもしれませんが、NATOの一員の首脳がこんな発言をしたということをロイターは伝えております。ワシントンの現政権の根本的問題は極めて知性に欠けることである、私の発言ではございません、あるNATOの一員の首脳の発言でございます。
率直に申しまして、このブッシュ氏の公式声明も、彼の使った言葉をかりれば、文明的な発言であるとは申しがたいように存じます。ちなみに、この声明文が出された直前、アメリカ議会、合衆国上院は大統領に武力攻撃の権限付与を決めた、その直後に出されたものでございました。
その際、報道官はこのような言葉を前置きとして使っております。現在、ブッシュ大統領は第三次世界大戦の細部の検討に忙しい。それにb、c、d、eと続きまして、ブッシュ政権が国際的な場において発した言葉、あるいはクリントン政権下において急速に一国主義的な傾向を強めた、ユニラテラリズム、その傾向を強めた共和党関係者の発言など、幾つか抜粋しました。
特に人工中絶、これはアメリカ合衆国においては大きな政治問題であるわけですが、そのような米国内の問題、これを理由に掲げて国連分担金の不払いを宣言する。あるいは女性差別撤廃条約や子どもの権利条約を批判する。小火器、小さな武器でございます、の違法取引の根絶について、市民は武器を持つ権利があるんだと主張して反対をする。あるいは米軍に対する反対活動、敵対活動は取り締まられなければならないが、米軍が裁かれることは許さぬとして国際刑事裁判所に反対をする。ここに掲げて紹介しましたのはごく一例でございます。若干の事例でございます。ほかにも多くの問題においてブッシュ政権は同様の姿勢を示しております。
なお、ついでながら、このhというものは、ブッシュ政権、そのユニラテラリズムにかかわる発言ではございません。この方は一九八九年から九三年、国務省の法律顧問を務めたシャーフという人の発言でございます。刑事裁判所に強く反対をする共和党の議員たちに向かって、こう言っております。なぜ、あなたたちがならず者国家と呼ぶ諸国とアメリカ合衆国のみがこの問題に反対をするのか、共同歩調をとるのか、痛烈な皮肉でございます。
この国際刑事裁判所、これはことし二〇〇二年七月一日にこの規程が発効いたしました。もしもアメリカ合衆国が強硬な姿勢を示さないでいたら、そして一年以上前にこの規程が発効していたならば、いわゆる九・一一事件もこの裁判所で裁かれた、取り扱われたことにもなったかと存じます。
ちなみに申しますと、この規程が採択されたとき、日本からは小和田国連大使が参加しております。その際の演説は、ブッシュ政権の主張を、この当時はまだクリントン政権ですが、現在のブッシュ政権の主張をほぼなぞるものであったということが言えます。現在も日本は、この問題に関して世界の中でも最も消極的、否定的とまではあえて申しませんが、消極的な国であるということが言えるかと思います。
現在、アメリカ合衆国の中では、ベトナム戦争以来最大規模とも言われるような、武力行使に対する反対集会が頻繁に持たれております。せんだってもワシントンにおいて十万人、これは主催者発表ですが、十万人の反対集会が開催されました。ヨーロッパにおいても同様の状況が続いております。百万人規模の集会すら持たれております。その背景にあるのがこのようなブッシュ政権の姿勢である、そして、そのブッシュ政権が対テロ戦争を掲げてアフガニスタンを空爆し、日本が現在その支援を行っているという状況でございます。
さて、今回私が与えられたテーマ、テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及びイラク情勢、これは、必ずしも直接はかかわらない二つの問題、テロという問題とイラクという問題がかかわって、二つくっついております。
では、まず、テロとは一体何なのか。これは、日本政府の答弁においてもみずから認められておるように、定義をするのが大変難しい問題でございます。実は、一九七二年から国連総会でこの問題がずっと議論されてまいりました。その七二年の国連の議事録、これを見るだけでもその混乱というのがよく見えてまいります。二ページ目、「テロとは何か」というところに幾つかその発言を引用してみました。
第二次世界大戦中、フランスの地下運動あるいはアメリカの独立革命、これらはテロではないのか。ヨーロッパのレジスタンス運動、ナチスに対する抵抗運動、これをナチスはテロリストと呼んだじゃないか。
あるいは、民主イエメン、これは南北にイエメンは分かれておりましたが、現在は一つになっておりますけれども、この大使は極めておもしろいことを言っております。興味深いことに、この国連総会の議場に並んでいる代表団の半分以上が、数年前までは大使、閣下ではなくてテロリストと呼ばれていたことであると。独立の闘士だった、それを独立運動を抑圧する側から見ればテロリストとなる、独立してしまったら大使、閣下、エクセレンシーと呼ばれることになる。では、テロとは何だ。
さらにこの中で、当時のアメリカ合衆国のベネット次席国連大使は、アメリカ独立戦争もテロじゃないかと言われて、こんな対応をしております。ジョージ・ワシントンが反逆者であったということは事実である、ただ、ハイジャックはしなかった。何だかわけのわからないことになっております。ちなみに、このときのアメリカ合衆国の首席国連大使はジョージ・ブッシュ氏、現在のアメリカ合衆国大統領の父親でございました。
こういう中で、南アフリカのみが迷いのない姿勢を示しております。我が国にとってみれば、テロはテロだ、ほかの何物でもない、断固取り締まる。この当時の南アフリカは、現在の南アフリカとは異なります。現在は民主化されておりますけれども、この当時は悪名高きアパルトヘイト政策をしき、国際的な非難を集めていたその南アフリカが、逆に迷いのない姿勢を示している。この問題の問題点、この問題の難しさというのがよくわかるかと思います。
この問題は、この後二十年間国連総会の議題に残り続けるのですが、九四年、国際テロリズム根絶措置宣言というものが採択されます。ここにこの問題は一つの山を越えるということになります。
その背景にありましたのが、前年九三年に結ばれた、合意されたパレスチナ暫定自治という問題でございました。言い方をかえれば、それがあったからこそ、テロとは何かという問題にある一つの区切りがついたということが言えるかと存じます。逆に言えば、この暫定自治がほごになったならばどうなるか。その結果、ますます絶望が深まることになります。
現在、テロに関しては、しばしば貧困が問題だということが言われるように感じております。しかしながら、このように見ますと、このように貧困が問題だというふうに単純に言っては、こぼれ落ちる論点というのが大変多いということがおわかりいただけるかと思います。
今、みずからの命を犠牲にしてまで自爆テロという絶望的な、まさに絶望的としか言いようがありませんが、犯罪的な行為ですが、こういう行動に走るパレスチナの若者たちは、むしろ経済的には恵まれている環境にあることが少なくありません。さらに言えば、高等教育を受けている者も多い。九・一一、あの惨劇、あの飛行機に乗って突っ込んだ若者の中には留学経験を持った者もいるということは、皆様方よく御存じのとおりでございます。
もちろん経済問題も重要でありますが、しかしそれ以上に問題になるのは、不正義な状態が続いているというそのことにほかなりません。もちろん九・一一、このような犯罪行為がどのような理由からもどのような意味からも正当化されない、これは言うまでもないことではありますが、しかし、人の命が場所によって甚だしく値段が異なるということも痛感いたします。
例えば、南部アフリカにおいては、八〇年代、百五十万人が南アフリカの侵略によって犠牲になっております。これは国連の報告書によりますが。その百五十万人が犠牲になったということすら、恐らく先進国の中ではほとんど認識されていないでありましょう。マンハッタンで犠牲になった三千人の五百倍となるのでしょうか、その人数が犠牲になっております。
余り時間もありませんので、とっとと進んでいきたいと思いますが、イラクというところに今度ちょっと論点をまた変えてみたいと思います。さっきも申しましたが、この問題とテロの問題は必ずしも一致しておりません。
一九九八年、イラク危機というのが起こったことがございます。先生方御存じのとおりでございますが、九八年年頭にアメリカ合衆国がイラクを爆撃するという危険が高まります。この際、アナン事務総長の調停によってひとまずは回避されますが、十二月に至って爆撃が実行されます。そのときにイラクが査察を拒否し、それ以降査察が行われていないわけです。この際、アナン事務総長の調停により一たん危機が回避された直後でございますが、安全保障理事会は、イラクにとって最も深刻な結果をもたらすことになる、次にイラクが査察を拒否した場合はそういう結果をもたらすという決議を採択しております。
これを提案したのは日本でございました。当時日本は安保理の理事国を務めており、大使は小和田恒氏でございました。十二月にアメリカ合衆国とイギリスが爆撃を始めますが、そのときにもこの両国を安保理の席上において支持した唯一の国が日本でございました。
その際、外国の記者からこのことについてただされた岡田真樹外務参事官は、次のように答えております。爆撃する権利、これは世界のどのような国でも持つのか、そうである。では、アメリカ合衆国またはイギリスだけではなく、日本や例えば中国またはロシアも含むのか、その権限がある。
今回の決議においても、深刻な結果という言葉が使われております。これについて外務省の北米局長は、アメリカ合衆国は強い言葉を使っているが、これはイラクに安保理決議をのませるためである、そのように説明をしておりますが、実は同様の言葉は三年半前に日本政府が提案をした決議にも盛り込まれておりました。そして、爆撃を招いております。
重要なことは、こういった外務省が行っていた措置の裏で進んでいたのが、いわゆる一連の不祥事であるということでございます。外務省不祥事は、会計制度の問題あるいは人事上の問題、そういう形でのみ議論されがちでございますが、むしろ論じるべきは、そのような外務省がどのような外交政策を組み立ててきて実行してきたのかということであろうかと思います。そして、政府をチェックすべき国権の最高機関である国会が問うべきことこそ、その外交政策であろう。人事上、会計上の問題というのは、言葉は悪いかもしれませんが、その下に任せておくことができるような問題ではないでしょうか。
さて、もう時間がなくなってまいりましたが、これは法治主義の観点からも問題になります。周辺事態法、一九九九年、つまりイラクの爆撃が行われた直後でございますが、その際、政府は、アメリカ合衆国は国連の加盟国であるから国連憲章を守るのである、だから違法な武力行使はしない、したがって、それを支援することは国権の発動たる戦争ではない、そういう説明を繰り返していたわけでございます。ところが、ブッシュ政権は国連決議を守らない。
現在、国連総会には国連決議の遵守という議題があります。八〇年代から二十年間残っております。これの念頭に置かれていたのは何かと申しますと、実はアメリカ合衆国でございます。レーガン政権がことごとく国連関係の機関の決議を無視する、その中でキプロスがこれを提案し、現在まで残っております。ブッシュ政権はその姿勢をより強める。ところが、九・一一の事件の後、法律的にはなかなか説明のしづらい報復行動をとる。そこで、改めて国連というものに目を向けざるを得なくなる。その中で、滞納していた国連分担金の支払いの再開も決めます。
そこで、九・一一の興奮の後、時限立法としてつくられたテロ特措法、そしてアフガニスタンに展開された自衛隊、これを本来の目的と違う、しかも三年前には日本も深くかかわり、爆撃をする権限があるんだとまで言った、その問題に転嫁をしていく、このことが法治主義の観点から見てどのように考えられるのであろうか。
最後に、これは本論とは全く関係がございません。財務省のホームページにこんな図を見つけました。つぶれてしまって見えなくなっておりますが、法律案提出から公布までの流れだったでしょうか、まとめだったでしょうか、そういうふうについております。法案というのは閣議から国会に提出されるものであるがごとく書かれております。国の唯一の立法機関にして国権の最高機関たる国会というのがこういうふうに位置づけられているのか。私は、もし学生がこういうふうに説明したら、さて、どういうふうに採点したらいいのかなと、ちょっと最後にいささか蛇足ではございましたが、余計なことをつけ加えました。
時間、二分ほど超過してしまいました。申しわけありませんでした。御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →おはようございます。河辺でございます。国連あるいは日本外交の問題を研究しております。このような場で意見陳述の機会をちょうだいしたことを心からお礼申し上げます。
資料、四ページにわたって用意いたしました。といいましても、ここにはまさに資料しか書いてございません。文書の抜き書きなどが中心になっております。その最初のところに、ある文書、ある出来事に関して出された声明文なんですが、その抜き書きを示しました。
カーター元アメリカ合衆国大統領がノーベル平和賞を受賞しましたが、その際に、それに関しまして出された声明文です。ごらんいただくとおり、大変感情的で挑発的な内容でございます。
あなたは安っぽいメダルをもらって喜んでいるんだろうとか、イエスは殴られたらほかのほおを差し出せと女の子のようなことを言ったのかもしれないが、我々はそうじゃない、先制攻撃で殴り倒す、やっつけることが求められているのであるとか、あるいは、あなたに対して我々は心にもない敬意を表明する、同時に、あなたが今後も荒廃し、しかも危険な世界各地を旅し続けることを、願わくばそれがますます頻度を増すことを心から願っているとか、そんな内容の文書でございます。
だれが発表したものか。例えばビンラーディン氏がさらなるテロ攻撃を予告するその声明文のようにも見受けられますが、署名者は異なります。ジョージ・ブッシュ氏であります。ジョージ・ブッシュ・アメリカ合衆国大統領の、カーター元アメリカ合衆国大統領がノーベル平和賞を受賞した際に出された公式声明文であります。昨日確認いたしましたところ、現在もホワイトハウスのホームページに残っております。
ある西側先進国の首脳、今や西側という言葉自身が不適切かもしれませんが、NATOの一員の首脳がこんな発言をしたということをロイターは伝えております。ワシントンの現政権の根本的問題は極めて知性に欠けることである、私の発言ではございません、あるNATOの一員の首脳の発言でございます。
率直に申しまして、このブッシュ氏の公式声明も、彼の使った言葉をかりれば、文明的な発言であるとは申しがたいように存じます。ちなみに、この声明文が出された直前、アメリカ議会、合衆国上院は大統領に武力攻撃の権限付与を決めた、その直後に出されたものでございました。
その際、報道官はこのような言葉を前置きとして使っております。現在、ブッシュ大統領は第三次世界大戦の細部の検討に忙しい。それにb、c、d、eと続きまして、ブッシュ政権が国際的な場において発した言葉、あるいはクリントン政権下において急速に一国主義的な傾向を強めた、ユニラテラリズム、その傾向を強めた共和党関係者の発言など、幾つか抜粋しました。
特に人工中絶、これはアメリカ合衆国においては大きな政治問題であるわけですが、そのような米国内の問題、これを理由に掲げて国連分担金の不払いを宣言する。あるいは女性差別撤廃条約や子どもの権利条約を批判する。小火器、小さな武器でございます、の違法取引の根絶について、市民は武器を持つ権利があるんだと主張して反対をする。あるいは米軍に対する反対活動、敵対活動は取り締まられなければならないが、米軍が裁かれることは許さぬとして国際刑事裁判所に反対をする。ここに掲げて紹介しましたのはごく一例でございます。若干の事例でございます。ほかにも多くの問題においてブッシュ政権は同様の姿勢を示しております。
なお、ついでながら、このhというものは、ブッシュ政権、そのユニラテラリズムにかかわる発言ではございません。この方は一九八九年から九三年、国務省の法律顧問を務めたシャーフという人の発言でございます。刑事裁判所に強く反対をする共和党の議員たちに向かって、こう言っております。なぜ、あなたたちがならず者国家と呼ぶ諸国とアメリカ合衆国のみがこの問題に反対をするのか、共同歩調をとるのか、痛烈な皮肉でございます。
この国際刑事裁判所、これはことし二〇〇二年七月一日にこの規程が発効いたしました。もしもアメリカ合衆国が強硬な姿勢を示さないでいたら、そして一年以上前にこの規程が発効していたならば、いわゆる九・一一事件もこの裁判所で裁かれた、取り扱われたことにもなったかと存じます。
ちなみに申しますと、この規程が採択されたとき、日本からは小和田国連大使が参加しております。その際の演説は、ブッシュ政権の主張を、この当時はまだクリントン政権ですが、現在のブッシュ政権の主張をほぼなぞるものであったということが言えます。現在も日本は、この問題に関して世界の中でも最も消極的、否定的とまではあえて申しませんが、消極的な国であるということが言えるかと思います。
現在、アメリカ合衆国の中では、ベトナム戦争以来最大規模とも言われるような、武力行使に対する反対集会が頻繁に持たれております。せんだってもワシントンにおいて十万人、これは主催者発表ですが、十万人の反対集会が開催されました。ヨーロッパにおいても同様の状況が続いております。百万人規模の集会すら持たれております。その背景にあるのがこのようなブッシュ政権の姿勢である、そして、そのブッシュ政権が対テロ戦争を掲げてアフガニスタンを空爆し、日本が現在その支援を行っているという状況でございます。
さて、今回私が与えられたテーマ、テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及びイラク情勢、これは、必ずしも直接はかかわらない二つの問題、テロという問題とイラクという問題がかかわって、二つくっついております。
では、まず、テロとは一体何なのか。これは、日本政府の答弁においてもみずから認められておるように、定義をするのが大変難しい問題でございます。実は、一九七二年から国連総会でこの問題がずっと議論されてまいりました。その七二年の国連の議事録、これを見るだけでもその混乱というのがよく見えてまいります。二ページ目、「テロとは何か」というところに幾つかその発言を引用してみました。
第二次世界大戦中、フランスの地下運動あるいはアメリカの独立革命、これらはテロではないのか。ヨーロッパのレジスタンス運動、ナチスに対する抵抗運動、これをナチスはテロリストと呼んだじゃないか。
あるいは、民主イエメン、これは南北にイエメンは分かれておりましたが、現在は一つになっておりますけれども、この大使は極めておもしろいことを言っております。興味深いことに、この国連総会の議場に並んでいる代表団の半分以上が、数年前までは大使、閣下ではなくてテロリストと呼ばれていたことであると。独立の闘士だった、それを独立運動を抑圧する側から見ればテロリストとなる、独立してしまったら大使、閣下、エクセレンシーと呼ばれることになる。では、テロとは何だ。
さらにこの中で、当時のアメリカ合衆国のベネット次席国連大使は、アメリカ独立戦争もテロじゃないかと言われて、こんな対応をしております。ジョージ・ワシントンが反逆者であったということは事実である、ただ、ハイジャックはしなかった。何だかわけのわからないことになっております。ちなみに、このときのアメリカ合衆国の首席国連大使はジョージ・ブッシュ氏、現在のアメリカ合衆国大統領の父親でございました。
こういう中で、南アフリカのみが迷いのない姿勢を示しております。我が国にとってみれば、テロはテロだ、ほかの何物でもない、断固取り締まる。この当時の南アフリカは、現在の南アフリカとは異なります。現在は民主化されておりますけれども、この当時は悪名高きアパルトヘイト政策をしき、国際的な非難を集めていたその南アフリカが、逆に迷いのない姿勢を示している。この問題の問題点、この問題の難しさというのがよくわかるかと思います。
この問題は、この後二十年間国連総会の議題に残り続けるのですが、九四年、国際テロリズム根絶措置宣言というものが採択されます。ここにこの問題は一つの山を越えるということになります。
その背景にありましたのが、前年九三年に結ばれた、合意されたパレスチナ暫定自治という問題でございました。言い方をかえれば、それがあったからこそ、テロとは何かという問題にある一つの区切りがついたということが言えるかと存じます。逆に言えば、この暫定自治がほごになったならばどうなるか。その結果、ますます絶望が深まることになります。
現在、テロに関しては、しばしば貧困が問題だということが言われるように感じております。しかしながら、このように見ますと、このように貧困が問題だというふうに単純に言っては、こぼれ落ちる論点というのが大変多いということがおわかりいただけるかと思います。
今、みずからの命を犠牲にしてまで自爆テロという絶望的な、まさに絶望的としか言いようがありませんが、犯罪的な行為ですが、こういう行動に走るパレスチナの若者たちは、むしろ経済的には恵まれている環境にあることが少なくありません。さらに言えば、高等教育を受けている者も多い。九・一一、あの惨劇、あの飛行機に乗って突っ込んだ若者の中には留学経験を持った者もいるということは、皆様方よく御存じのとおりでございます。
もちろん経済問題も重要でありますが、しかしそれ以上に問題になるのは、不正義な状態が続いているというそのことにほかなりません。もちろん九・一一、このような犯罪行為がどのような理由からもどのような意味からも正当化されない、これは言うまでもないことではありますが、しかし、人の命が場所によって甚だしく値段が異なるということも痛感いたします。
例えば、南部アフリカにおいては、八〇年代、百五十万人が南アフリカの侵略によって犠牲になっております。これは国連の報告書によりますが。その百五十万人が犠牲になったということすら、恐らく先進国の中ではほとんど認識されていないでありましょう。マンハッタンで犠牲になった三千人の五百倍となるのでしょうか、その人数が犠牲になっております。
余り時間もありませんので、とっとと進んでいきたいと思いますが、イラクというところに今度ちょっと論点をまた変えてみたいと思います。さっきも申しましたが、この問題とテロの問題は必ずしも一致しておりません。
一九九八年、イラク危機というのが起こったことがございます。先生方御存じのとおりでございますが、九八年年頭にアメリカ合衆国がイラクを爆撃するという危険が高まります。この際、アナン事務総長の調停によってひとまずは回避されますが、十二月に至って爆撃が実行されます。そのときにイラクが査察を拒否し、それ以降査察が行われていないわけです。この際、アナン事務総長の調停により一たん危機が回避された直後でございますが、安全保障理事会は、イラクにとって最も深刻な結果をもたらすことになる、次にイラクが査察を拒否した場合はそういう結果をもたらすという決議を採択しております。
これを提案したのは日本でございました。当時日本は安保理の理事国を務めており、大使は小和田恒氏でございました。十二月にアメリカ合衆国とイギリスが爆撃を始めますが、そのときにもこの両国を安保理の席上において支持した唯一の国が日本でございました。
その際、外国の記者からこのことについてただされた岡田真樹外務参事官は、次のように答えております。爆撃する権利、これは世界のどのような国でも持つのか、そうである。では、アメリカ合衆国またはイギリスだけではなく、日本や例えば中国またはロシアも含むのか、その権限がある。
今回の決議においても、深刻な結果という言葉が使われております。これについて外務省の北米局長は、アメリカ合衆国は強い言葉を使っているが、これはイラクに安保理決議をのませるためである、そのように説明をしておりますが、実は同様の言葉は三年半前に日本政府が提案をした決議にも盛り込まれておりました。そして、爆撃を招いております。
重要なことは、こういった外務省が行っていた措置の裏で進んでいたのが、いわゆる一連の不祥事であるということでございます。外務省不祥事は、会計制度の問題あるいは人事上の問題、そういう形でのみ議論されがちでございますが、むしろ論じるべきは、そのような外務省がどのような外交政策を組み立ててきて実行してきたのかということであろうかと思います。そして、政府をチェックすべき国権の最高機関である国会が問うべきことこそ、その外交政策であろう。人事上、会計上の問題というのは、言葉は悪いかもしれませんが、その下に任せておくことができるような問題ではないでしょうか。
さて、もう時間がなくなってまいりましたが、これは法治主義の観点からも問題になります。周辺事態法、一九九九年、つまりイラクの爆撃が行われた直後でございますが、その際、政府は、アメリカ合衆国は国連の加盟国であるから国連憲章を守るのである、だから違法な武力行使はしない、したがって、それを支援することは国権の発動たる戦争ではない、そういう説明を繰り返していたわけでございます。ところが、ブッシュ政権は国連決議を守らない。
現在、国連総会には国連決議の遵守という議題があります。八〇年代から二十年間残っております。これの念頭に置かれていたのは何かと申しますと、実はアメリカ合衆国でございます。レーガン政権がことごとく国連関係の機関の決議を無視する、その中でキプロスがこれを提案し、現在まで残っております。ブッシュ政権はその姿勢をより強める。ところが、九・一一の事件の後、法律的にはなかなか説明のしづらい報復行動をとる。そこで、改めて国連というものに目を向けざるを得なくなる。その中で、滞納していた国連分担金の支払いの再開も決めます。
そこで、九・一一の興奮の後、時限立法としてつくられたテロ特措法、そしてアフガニスタンに展開された自衛隊、これを本来の目的と違う、しかも三年前には日本も深くかかわり、爆撃をする権限があるんだとまで言った、その問題に転嫁をしていく、このことが法治主義の観点から見てどのように考えられるのであろうか。
最後に、これは本論とは全く関係がございません。財務省のホームページにこんな図を見つけました。つぶれてしまって見えなくなっておりますが、法律案提出から公布までの流れだったでしょうか、まとめだったでしょうか、そういうふうについております。法案というのは閣議から国会に提出されるものであるがごとく書かれております。国の唯一の立法機関にして国権の最高機関たる国会というのがこういうふうに位置づけられているのか。私は、もし学生がこういうふうに説明したら、さて、どういうふうに採点したらいいのかなと、ちょっと最後にいささか蛇足ではございましたが、余計なことをつけ加えました。
時間、二分ほど超過してしまいました。申しわけありませんでした。御清聴ありがとうございました。拍手
田
田
平
平沢勝栄#11
○平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。
四人の参考人の皆さん方には、お忙しい中おいでくださいまして、本当にありがとうございました。
今、いろいろお聞きしていまして、私自身は、イラクの問題、酒井参考人が言われましたように、アメリカはフセインを打倒と考えていることは、これはもう間違いないだろうと思いますし、私自身はそれが一番いい解決法で、今、北朝鮮の問題もいろいろ騒がれていますけれども、拉致問題だって、金正日が倒れない限り、私はいつまでもこの未解決の状態が続くんではないかなと。
去年の九月十一日以降、アメリカは国際テロとの闘いということを言っているわけでございます。ですから、国際テロを許容している、あるいは、いろいろな意味で支援している国に対して毅然とした対応をとる、これは世界の一つの大きな流れではないかなということで考えているわけでございまして、今、参考人の皆さん方からいろいろな御意見をいただいて、言いたいことはいろいろあるんですけれども、きょうは参考人の皆さん方の御意見を聞く場でございますので、参考人の皆さん方から御意見をお聞きしたいと思うんです。
サダム・フセインとそれから国際テロリストの関係、特にアルカイダというかタリバンというか、そちらとの関係というのもあるでしょうし、それとは別なほかのテロリストとの関係もあると思いますけれども、サダム・フセイン、これは国際テロリスト、アメリカはいろいろと、アルカイダとあるというようなことも言っておりますし、日本の川口外務大臣は、その辺ははっきりしないようなこともこの委員会の場で答弁しておりますけれども、これについて、簡単で結構ですから、田久保参考人から、イラクの国際テロとの関係についてちょっと御説明いただけませんでしょうか。
この発言だけを見る →四人の参考人の皆さん方には、お忙しい中おいでくださいまして、本当にありがとうございました。
今、いろいろお聞きしていまして、私自身は、イラクの問題、酒井参考人が言われましたように、アメリカはフセインを打倒と考えていることは、これはもう間違いないだろうと思いますし、私自身はそれが一番いい解決法で、今、北朝鮮の問題もいろいろ騒がれていますけれども、拉致問題だって、金正日が倒れない限り、私はいつまでもこの未解決の状態が続くんではないかなと。
去年の九月十一日以降、アメリカは国際テロとの闘いということを言っているわけでございます。ですから、国際テロを許容している、あるいは、いろいろな意味で支援している国に対して毅然とした対応をとる、これは世界の一つの大きな流れではないかなということで考えているわけでございまして、今、参考人の皆さん方からいろいろな御意見をいただいて、言いたいことはいろいろあるんですけれども、きょうは参考人の皆さん方の御意見を聞く場でございますので、参考人の皆さん方から御意見をお聞きしたいと思うんです。
サダム・フセインとそれから国際テロリストの関係、特にアルカイダというかタリバンというか、そちらとの関係というのもあるでしょうし、それとは別なほかのテロリストとの関係もあると思いますけれども、サダム・フセイン、これは国際テロリスト、アメリカはいろいろと、アルカイダとあるというようなことも言っておりますし、日本の川口外務大臣は、その辺ははっきりしないようなこともこの委員会の場で答弁しておりますけれども、これについて、簡単で結構ですから、田久保参考人から、イラクの国際テロとの関係についてちょっと御説明いただけませんでしょうか。
田
田久保忠衛#12
○田久保参考人 今平沢先生の御質問でございますけれども、これはハードエビデンスがないんですね。あのテロが起こる一年前に、プラハでチェコの諜報機関が、アルカイーダとそれからイラクの担当者が協議をしたというところまではあるんですが、これ実際テロの協議をしたかどうか、ハードエビデンスがないということでございます。先ごろ来日いたしましたアメリカの国務次官だったですかね、ハイレベルの接触はあるということでございます。
いずれにしても、これはテロ関係の情報は、特にインテリジェンス情報は非常に抑えておりますので、表面に出ているのは、むしろ泳がせたり、ほかの目的という場合がありますので、これはよくわからないというのが私の今の考えであります。
この発言だけを見る →いずれにしても、これはテロ関係の情報は、特にインテリジェンス情報は非常に抑えておりますので、表面に出ているのは、むしろ泳がせたり、ほかの目的という場合がありますので、これはよくわからないというのが私の今の考えであります。
平
平沢勝栄#13
○平沢委員 ありがとうございました。
田中参考人、酒井参考人、河辺参考人に簡単にお聞きしたい。今と同じ問題を聞きたいと思うんです。
アメリカは、アルカイダとかなんかあるということをブッシュの演説の中でもはっきり言っているわけですけれども、これらについてどう思うか、ちょっと簡単に。一言でいいですから。
この発言だけを見る →田中参考人、酒井参考人、河辺参考人に簡単にお聞きしたい。今と同じ問題を聞きたいと思うんです。
アメリカは、アルカイダとかなんかあるということをブッシュの演説の中でもはっきり言っているわけですけれども、これらについてどう思うか、ちょっと簡単に。一言でいいですから。
田
酒
酒井啓子#15
○酒井参考人 私も同様でございまして、明確な証拠はございません。
その関係について私が見ております分析につきましては、お配りいたしました資料のところに簡単に書いて触れてございますけれども、内容を申し上げますと、基本的にイデオロギー的な接触点は全くない、フセイン政権は世俗的な左翼政権でございまして、アルカーイダのような、いわゆる右翼イスラム主義勢力とはこれまで接点がないという傍証が一つございます。
それと、リチャード・バトラーという前の国連のUNSCOMの委員長、これがやはり米議会に公聴会で呼ばれまして、そのときに、その点についてどう思うかというふうに聞かれまして、彼は、サダム・フセインは大量破壊兵器をみずから開発しているかもしれないけれども、それを他人に譲り渡すほど寛容な人物ではない、むしろそうしたことが回りめぐって、みずからの政権に敵対してくるというようなことの危険性の方をむしろ重視する人物であろうというような判断を述べております。
以上です。
この発言だけを見る →その関係について私が見ております分析につきましては、お配りいたしました資料のところに簡単に書いて触れてございますけれども、内容を申し上げますと、基本的にイデオロギー的な接触点は全くない、フセイン政権は世俗的な左翼政権でございまして、アルカーイダのような、いわゆる右翼イスラム主義勢力とはこれまで接点がないという傍証が一つございます。
それと、リチャード・バトラーという前の国連のUNSCOMの委員長、これがやはり米議会に公聴会で呼ばれまして、そのときに、その点についてどう思うかというふうに聞かれまして、彼は、サダム・フセインは大量破壊兵器をみずから開発しているかもしれないけれども、それを他人に譲り渡すほど寛容な人物ではない、むしろそうしたことが回りめぐって、みずからの政権に敵対してくるというようなことの危険性の方をむしろ重視する人物であろうというような判断を述べております。
以上です。
河
河辺一郎#16
○河辺参考人 私も他の参考人の先生方と同様に、そのようなものは承知しておりません。
また、私の理解によりますと、むしろサダム・フセイン氏のパーソナリティーから見ましても、そういうものとの接触というのは、これまでのところ、余り積極的に求めることはないのではないかなというようにも感じます。
以上です。
この発言だけを見る →また、私の理解によりますと、むしろサダム・フセイン氏のパーソナリティーから見ましても、そういうものとの接触というのは、これまでのところ、余り積極的に求めることはないのではないかなというようにも感じます。
以上です。
平
平沢勝栄#17
○平沢委員 それでは、今の問題について田久保参考人にちょっとお聞きしたいのです。
ブッシュ演説の中に、テロリスト支援、アルカイダがイラクにいるというようなことがはっきり書いてありますけれども、これについて田久保参考人、アメリカの判断についてどう思われるでしょうか。
この発言だけを見る →ブッシュ演説の中に、テロリスト支援、アルカイダがイラクにいるというようなことがはっきり書いてありますけれども、これについて田久保参考人、アメリカの判断についてどう思われるでしょうか。
田
平
平沢勝栄#19
○平沢委員 イラクの問題というのは、これは北朝鮮の問題で日本がこれから対応を考える意味で、非常に参考になるわけでございまして、そこでまた、四人の参考人の皆さん方にお聞きしたいと思うのです。
北朝鮮はミサイルの技術供与とかいろいろな意味での協力関係を、イランとかパキスタンとかシリアとかあるいはリビアとか、いろいろやっているということが言われているわけですけれども、イラクと北朝鮮との関係、これについてはどうお考えになられるか、田久保参考人からちょっとお願いできますか。
この発言だけを見る →北朝鮮はミサイルの技術供与とかいろいろな意味での協力関係を、イランとかパキスタンとかシリアとかあるいはリビアとか、いろいろやっているということが言われているわけですけれども、イラクと北朝鮮との関係、これについてはどうお考えになられるか、田久保参考人からちょっとお願いできますか。
田
田久保忠衛#20
○田久保参考人 私はしかとした証拠は持っておりませんが、北朝鮮がイラクを初めとする諸国にミサイルあるいは関連の技術を輸出しているということは新聞報道で知っております。
この発言だけを見る →田
田中浩一郎#21
○田中参考人 一九八〇年代にイラクの隣国のイランにいたときに、いろいろな方々と話をしていたわけであります。当時、イランとイラクは敵対しておりまして、イラン・イラク戦争を行っておりましたが、イラクの所有していたスカッドミサイルがテヘランの町などに降り注いでいた、その状況におきましても、少なくともイラン側の見方でありますが、そのようなミサイルに北朝鮮の技術が入っている、あるいは北朝鮮との関係があるというような発言はございませんでした。
この発言だけを見る →酒
酒井啓子#22
○酒井参考人 イラクと北朝鮮の関係でございますけれども、これも私も報道ベースでしか存じ上げませんけれども、ある程度の武器の行き来があるという報道は数々ございます。
ただ、私がイラクに駐在しておりました八〇年代の後半におきましては、むしろ経済関係として韓国との関係をイラクは熱心に進めておりましたので、相対的には北朝鮮との関係は八〇年代以降、先細りの状況にあったというふうに理解しております。
以上です。
この発言だけを見る →ただ、私がイラクに駐在しておりました八〇年代の後半におきましては、むしろ経済関係として韓国との関係をイラクは熱心に進めておりましたので、相対的には北朝鮮との関係は八〇年代以降、先細りの状況にあったというふうに理解しております。
以上です。
河
河辺一郎#23
○河辺参考人 私も、公刊されている資料以上のことは存じておりませんが、いわゆる国際兵器市場のたぐいで、特に九〇年代後半以降、第三世界からの武器というものが流れ込んでいるということはよく言われております。
しかしながら、そういう中においてもなかなか市場拡大ができない、このこともよくささやかれておりまして、結局のところ、廉価ではあるがそれ以上ではない武器を購買することが、必ずしも顧客を見つけることができていないということも言われております。北朝鮮に関連した問題、直接関連してはおりませんが、そういったことが言われておるかと承知しております。
この発言だけを見る →しかしながら、そういう中においてもなかなか市場拡大ができない、このこともよくささやかれておりまして、結局のところ、廉価ではあるがそれ以上ではない武器を購買することが、必ずしも顧客を見つけることができていないということも言われております。北朝鮮に関連した問題、直接関連してはおりませんが、そういったことが言われておるかと承知しております。
平
平沢勝栄#24
○平沢委員 フセインは中東のヒトラーと言われているわけでございまして、北東のヒトラーが金正日でございますけれども、このフセイン体制の崩壊がない限り、なかなか解決しないというのが実態だろうと思うのです。
フセイン体制、かつて化学兵器をクルド族あるいはイラン・イラク戦争等で使ったことがあるわけでございまして、先ほど田久保参考人が言われたように、核兵器は持っているかどうかは別にして、生物兵器、化学兵器を持っていることはこれはまた間違いないわけでございまして、また、これがいつ、どこで、どういう形で使われるかわからない。
そういう中で、いよいよあしたから査察が始まるわけでございまして、先ほど酒井参考人が言われたように、どの程度協力がなされるか、これは大変に難しいというか疑問だなという感じがしているわけですけれども、もし協力が得られなければ、アメリカは当然武力行使に入ることになるだろうと思うのですけれども、武力行使以外にイラクのそうした大量破壊兵器を廃棄させる方法というのがあるのかどうか。
要するに、金正日もそうですけれども、サダム・フセインもそうですけれども、こうした査察に対してもいろいろな問題があるということを先ほど酒井参考人言っておられましたが、そもそも大量破壊兵器を廃棄さえすればこの問題は解決するわけでございますけれども、じゃ、武力行使以外に大量破壊兵器、何のためにこんなものを持って、そしていつ使うかわからないという、それはいろいろ国際的にも脅威であることは間違いないわけで、北朝鮮との問題とも非常にリンクしてくるわけです。
アメリカの武力行使がおかしいという議論もいろいろあると思いますけれども、じゃ、武力行使しなかった場合にイラクがこの大量破壊兵器を自主的に廃棄する可能性というのはあるのかどうか。
これも田久保参考人からちょっと教えていただけますか。
この発言だけを見る →フセイン体制、かつて化学兵器をクルド族あるいはイラン・イラク戦争等で使ったことがあるわけでございまして、先ほど田久保参考人が言われたように、核兵器は持っているかどうかは別にして、生物兵器、化学兵器を持っていることはこれはまた間違いないわけでございまして、また、これがいつ、どこで、どういう形で使われるかわからない。
そういう中で、いよいよあしたから査察が始まるわけでございまして、先ほど酒井参考人が言われたように、どの程度協力がなされるか、これは大変に難しいというか疑問だなという感じがしているわけですけれども、もし協力が得られなければ、アメリカは当然武力行使に入ることになるだろうと思うのですけれども、武力行使以外にイラクのそうした大量破壊兵器を廃棄させる方法というのがあるのかどうか。
要するに、金正日もそうですけれども、サダム・フセインもそうですけれども、こうした査察に対してもいろいろな問題があるということを先ほど酒井参考人言っておられましたが、そもそも大量破壊兵器を廃棄さえすればこの問題は解決するわけでございますけれども、じゃ、武力行使以外に大量破壊兵器、何のためにこんなものを持って、そしていつ使うかわからないという、それはいろいろ国際的にも脅威であることは間違いないわけで、北朝鮮との問題とも非常にリンクしてくるわけです。
アメリカの武力行使がおかしいという議論もいろいろあると思いますけれども、じゃ、武力行使しなかった場合にイラクがこの大量破壊兵器を自主的に廃棄する可能性というのはあるのかどうか。
これも田久保参考人からちょっと教えていただけますか。
田
田久保忠衛#25
○田久保参考人 イラクがいかに悪らつなことをやってきたかというのはもう明白でありまして、今の大量破壊兵器、平沢先生がおっしゃいましたけれども、これはイランにも使っているわけですね。イラ・イラ戦争にも使っている、それからクルド族にも使っている、こういうことをやっております。それから、十一年前にはクウェートを侵攻し、あわよくばサウジアラビアも侵略しようとした、こういう前科があるわけですね。
それからもう一つ、武器を持っているということ自体が見えざる大変な力になっている。北朝鮮が核を持っているかいないか、一、二個持っているんじゃないかというだけで周辺諸国は腰がちょっと震えてくる。特に日本の方は腰が引けてくるという、つまり、軍事力、大量破壊兵器が翻訳されて外交力になってくる。これを非常に警戒すべきではないかなというふうに私は考えております。
この発言だけを見る →それからもう一つ、武器を持っているということ自体が見えざる大変な力になっている。北朝鮮が核を持っているかいないか、一、二個持っているんじゃないかというだけで周辺諸国は腰がちょっと震えてくる。特に日本の方は腰が引けてくるという、つまり、軍事力、大量破壊兵器が翻訳されて外交力になってくる。これを非常に警戒すべきではないかなというふうに私は考えております。
田
田中浩一郎#26
○田中参考人 最終的に自主廃棄をすることを期待するのは無理だと思いますので、仮に大量破壊兵器を開発し、隠し持っていた場合、そしてそれを査察によって察知されることを拒否するのであれば、それの除去のためには武力行使以外の道がないというのは何となくわかります。
それは、アフガニスタンにおいてターリバン政権それからアルカーイダを掃討するために最終的には武力行使を断行せざるを得なかった状況を踏まえても、類例として考えることはできますが、一方で、九八年まで行われておりました査察においてほぼそういった危険が除去されたものではないかとも思われます。
それ以降にどのような状況にあるのかをまず立証すること、検証することが優先されてしかるべきであると思います。
この発言だけを見る →それは、アフガニスタンにおいてターリバン政権それからアルカーイダを掃討するために最終的には武力行使を断行せざるを得なかった状況を踏まえても、類例として考えることはできますが、一方で、九八年まで行われておりました査察においてほぼそういった危険が除去されたものではないかとも思われます。
それ以降にどのような状況にあるのかをまず立証すること、検証することが優先されてしかるべきであると思います。
酒
酒井啓子#27
○酒井参考人 ただいま田中参考人の方から指摘がございましたように、今問題になっておりますのは、九八年以降の四年間においてどのような形で開発が進んだかということが問題になっております。
九八年以前のことにつきましては、基本的に化学兵器についてはまだ調査途中という形で終わっておりますけれども、ミサイルと核兵器に関してはかなりの点で廃棄が完了したというのが国連の基本的なスタンスかと思われます。
その後の査察団が入らなくなった状態に対して、武力行使以外に廃棄あるいは開発をさせない方法として考えられた方法に、スマートサンクションという議論がございます。これは特にアメリカのパウエル国務長官が中心となって出しましたアイデアでございますけれども、これは、中に入って武器がどれだけ開発されているかを見られない以上、中に入ることをとめるしかない、軍事転用可能なあらゆる物資に関して、やみで取引がなされないよう、あるいは国連を通じてでも入っていかないようにチェックするという方法でございます。
現在これが導入されておりますけれども、当初パウエル氏に案を提示いたしましたアメリカのシンクタンクの報告などでは、これを徹底させることができる。つまりこれを徹底させるために、例えば電子チップなどをありとあらゆる国連で許可した物資についてつけることによって、途中で化学兵器に転用されないようにすべて衛星等でチェックすることが可能である。このようにして、査察が入らない状況であってもかなりの部分開発を監視することが可能であるという報告が出されております。
この発言だけを見る →九八年以前のことにつきましては、基本的に化学兵器についてはまだ調査途中という形で終わっておりますけれども、ミサイルと核兵器に関してはかなりの点で廃棄が完了したというのが国連の基本的なスタンスかと思われます。
その後の査察団が入らなくなった状態に対して、武力行使以外に廃棄あるいは開発をさせない方法として考えられた方法に、スマートサンクションという議論がございます。これは特にアメリカのパウエル国務長官が中心となって出しましたアイデアでございますけれども、これは、中に入って武器がどれだけ開発されているかを見られない以上、中に入ることをとめるしかない、軍事転用可能なあらゆる物資に関して、やみで取引がなされないよう、あるいは国連を通じてでも入っていかないようにチェックするという方法でございます。
現在これが導入されておりますけれども、当初パウエル氏に案を提示いたしましたアメリカのシンクタンクの報告などでは、これを徹底させることができる。つまりこれを徹底させるために、例えば電子チップなどをありとあらゆる国連で許可した物資についてつけることによって、途中で化学兵器に転用されないようにすべて衛星等でチェックすることが可能である。このようにして、査察が入らない状況であってもかなりの部分開発を監視することが可能であるという報告が出されております。
河
河辺一郎#28
○河辺参考人 少し視点を変えてみたいと思います。
大量破壊兵器の問題は、九〇年代の半ばが一つの転換点になり得たかと思います。しかしながら、それが失われてしまった。どういうことかと申しますと、一つは、日本も積極的に推進をしました通常兵器の移転登録問題でございます。
これは、採択された際に、キューバや中国と並んで、例えばメキシコなども強い懸念を示しております。どういうことかと申しますと、通常兵器の移転のみが制限されるあるいは強く監視されるということは、自国内で兵器生産ができない国の軍事力があからさまになってしまうということであるわけです。その一方で、先進国、特に世界最大の武器生産国であるアメリカ合衆国の生産自体はほとんど何ら監視を受けないということで、メキシコなどですら懸念を示した。
ところが、その後、この問題に関してこれらの国々が示した懸念が解消されることなく、結局のところほとんど手つかずでだらだらと続いてきてしまっている。これは、今やだれもが認めていることなんですが、ほとんど意味がないような形式的な制度になってしまっている。
ただ、そのことについては、そもそもこの制度が持っていた問題点、いろいろな意味で問題がありますが、第三世界から見た問題点、先進国から見た問題点、双方ございますけれども、それをきちんとやる、チェックするということがちょっとできなかった、しなかった、その怠慢というものを責められなければいけない。
それから、九〇年代の半ばに核兵器の問題に関して、先生方御存じのとおり先進国の核保有が認められるということになってしまった。これがまた、より議論を複雑にしてしまったことがあるかと思います。
この発言だけを見る →大量破壊兵器の問題は、九〇年代の半ばが一つの転換点になり得たかと思います。しかしながら、それが失われてしまった。どういうことかと申しますと、一つは、日本も積極的に推進をしました通常兵器の移転登録問題でございます。
これは、採択された際に、キューバや中国と並んで、例えばメキシコなども強い懸念を示しております。どういうことかと申しますと、通常兵器の移転のみが制限されるあるいは強く監視されるということは、自国内で兵器生産ができない国の軍事力があからさまになってしまうということであるわけです。その一方で、先進国、特に世界最大の武器生産国であるアメリカ合衆国の生産自体はほとんど何ら監視を受けないということで、メキシコなどですら懸念を示した。
ところが、その後、この問題に関してこれらの国々が示した懸念が解消されることなく、結局のところほとんど手つかずでだらだらと続いてきてしまっている。これは、今やだれもが認めていることなんですが、ほとんど意味がないような形式的な制度になってしまっている。
ただ、そのことについては、そもそもこの制度が持っていた問題点、いろいろな意味で問題がありますが、第三世界から見た問題点、先進国から見た問題点、双方ございますけれども、それをきちんとやる、チェックするということがちょっとできなかった、しなかった、その怠慢というものを責められなければいけない。
それから、九〇年代の半ばに核兵器の問題に関して、先生方御存じのとおり先進国の核保有が認められるということになってしまった。これがまた、より議論を複雑にしてしまったことがあるかと思います。
平
平沢勝栄#29
○平沢委員 ありがとうございました。
もう時間がありませんので、ちょっと田久保参考人にお聞きしたいと思うのですけれども、アメリカがもし武力行使に踏み切った場合に、日本としてどうすべきか。
これは大きな問題でございまして、単なるモラールサポートでいいんじゃないかという議論もありますし、日本はもっと積極的に、同盟国アメリカとの関係を考えた場合に協力すべきではないかと。イージス艦の派遣ということも一つの議論になっているわけで、ほかの護衛艦はいいけれども、なぜイージス艦がだめなのかというのは私もちょっとよくわからないわけで、もしイージス艦がだめなら護衛艦だってだめなわけで、今もう護衛艦は行っているわけでございます。
その辺のことも含めて田久保参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、もし武力行使が始まった場合に、日本としてどういった協力が望ましいと思われるか、ちょっと御意見をお聞かせいただけますか。
この発言だけを見る →もう時間がありませんので、ちょっと田久保参考人にお聞きしたいと思うのですけれども、アメリカがもし武力行使に踏み切った場合に、日本としてどうすべきか。
これは大きな問題でございまして、単なるモラールサポートでいいんじゃないかという議論もありますし、日本はもっと積極的に、同盟国アメリカとの関係を考えた場合に協力すべきではないかと。イージス艦の派遣ということも一つの議論になっているわけで、ほかの護衛艦はいいけれども、なぜイージス艦がだめなのかというのは私もちょっとよくわからないわけで、もしイージス艦がだめなら護衛艦だってだめなわけで、今もう護衛艦は行っているわけでございます。
その辺のことも含めて田久保参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、もし武力行使が始まった場合に、日本としてどういった協力が望ましいと思われるか、ちょっと御意見をお聞かせいただけますか。