法務委員会

2004-05-11 参議院 全258発言

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会議録情報#0
平成十六年五月十一日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     大脇 雅子君     江田 五月君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     樋口 俊一君     高橋 千秋君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本  保君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                鴻池 祥肇君
                陣内 孝雄君
                野間  赳君
                今泉  昭君
                江田 五月君
                高橋 千秋君
                角田 義一君
                堀  利和君
                井上 哲士君
   衆議院議員
       修正案提出者   与謝野 馨君
       修正案提出者   佐々木秀典君
       修正案提出者   漆原 良夫君
   国務大臣
       法務大臣     野沢 太三君
   副大臣
       法務副大臣    実川 幸夫君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中山 隆夫君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   大野市太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       文部科学大臣官
       房審議官     金森 越哉君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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山本保#1
○委員長(山本保君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十七日、大脇雅子君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君が選任されました。
    ─────────────
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山本保#2
○委員長(山本保君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のために、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省矯正局長横田尤孝君及び文部科学大臣官房審議官金森越哉君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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山本保#3
○委員長(山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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山本保#4
○委員長(山本保君) 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 まず、両案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。野沢法務大臣。
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野沢太三#5
○国務大臣(野沢太三君) まず、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 国民の中から選任された裁判員が裁判官とともに刑事訴訟手続に関与することは、司法に対する国民の理解を増進させ、また、その信頼の向上に資するものと考えられます。そこで、この法律案は、刑事裁判に裁判員が参加する制度を導入するため、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法及び刑事訴訟法の特則その他必要な事項を定めるものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、裁判員の参加する合議体で取り扱う事件を定めるとともに、当該合議体の構成は、原則として、裁判官の員数を三人、裁判員の員数を六人とすること、裁判所の行う事実の認定、法令の適用及び刑の量定は、当該合議体の構成員である裁判官及び裁判員の合議によることなど、合議体の構成並びに裁判官及び裁判員の権限等について所要の規定を置いております。
 第二に、裁判員は衆議院議員の選挙権を有する者の中から選任するものとするとともに、裁判員となることのできない事由、裁判員候補者名簿の調製、裁判員候補者に対する質問等の裁判員の選任の手続及び裁判員の解任の手続等について所要の規定を置いております。
 第三に、裁判員の参加する合議体で取り扱う事件については第一回の公判期日前に公判前整理手続に付さなければならないことなど、裁判員の参加する裁判の手続に関し所要の規定を置いております。
 第四に、裁判官と裁判員の合議による判断は、裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見によることなど、裁判員の参加する刑事裁判における評議及び評決について所要の規定を置いております。
 第五に、労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと等を理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことを定めるほか、裁判員等を特定するに足りる情報の取扱い及び裁判員等に対する接触の規制に関して裁判員等の保護のための所要の規定を置いております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 次に、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、刑事司法がその役割を十全に果たし、国民の期待により一層こたえることができるようにするため、刑事裁判の充実及び迅速化を図ることなど、刑事司法の改革が求められております。この法律案は、このような状況にかんがみ、刑事裁判の充実及び迅速化を図るための方策を講ずるとともに、被疑者に対する国選弁護人の選任制度の導入等国選弁護人制度の整備及び検察審査会の議決に基づき公訴が提起される制度の導入を行うことを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、刑事裁判の充実及び迅速化を図るための方策として、公判審理に先立ち、十分に争点及び証拠を整理するため、公判前整理手続等を創設するとともに、その手続の中で、検察官による証拠開示を拡充することとしております。あわせて、連日的開廷の確保、裁判所の訴訟指揮の実効性の確保、争いのない一定の事件について簡易迅速な審判を行う即決裁判手続の創設等についての所要の規定を置いております。
 第二に、国選弁護人制度の整備として、被疑者に対する国選弁護人の選任制度を導入するとともに、国選弁護人の選任要件及び選任手続、選任の効力、解任、費用の負担等についての所要の規定を置いております。
 第三に、公訴権行使に民意をより直截に反映させてその一層の適正を図るため、検察審査会の一定の議決に基づき公訴が提起される制度を導入することとし、当該議決の要件、その議決に基づく公訴の提起及びその維持等についての所要の規定を置いております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が各法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
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山本保#6
○委員長(山本保君) 次に、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員佐々木秀典君から説明を聴取いたします。衆議院議員佐々木秀典君。
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佐々木秀典#7
○衆議院議員(佐々木秀典君) 衆議院議員の佐々木秀典でございます。
 ただいま議題となりました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対する衆議院における修正部分について、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明いたします。
 第一は、裁判員等に対する接触規制に係る保釈等の取消し事由について、「接触すると疑うに足りる相当な理由があるとき」の表記を、「接触したとき」の表記に改めようとするものであります。
 第二は、裁判員等による秘密漏示罪について、「一年以下の懲役」とされている懲役刑の期間を「六月以下の懲役」とするとともに、裁判員又は補充裁判員の職にあった者の処罰を、金銭対価を得る等の悪質な場合を除き、罰金刑に限定するものであります。
 第三は、裁判員の参加する刑事裁判の制度を円滑に運用するために、国は、そのために必要な環境の整備に努めなければならないとするとともに、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、所要の措置を講ずるものとするとの条項を附則に加えるものであります。
 以上が本法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨及び概要であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
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山本保#8
○委員長(山本保君) 次に、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員漆原良夫君から説明を聴取いたします。衆議院議員漆原良夫君。
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漆原良夫#9
○衆議院議員(漆原良夫君) ただいま議題となりました刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分について、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明いたします。
 第一は、被告人又は弁護人が、開示された証拠の目的外使用の禁止規定に違反した場合の措置について、被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様等の諸事情を考慮する旨の条項を加えるものであります。
 第二は、検察官請求証拠の証明力判断のために開示され得る証拠の類型のうち、検察官請求証人の供述録取書等について、当該証人の証言予定事項と同一事項のものに限るとしている限定を削除するものであります。
 第三は、検察審査員等における秘密漏示罪について、「一年以下の懲役」とされている懲役刑の期間を「六月以下の懲役」に改めるとともに、検察審査員等であった者の処罰を、金銭対価を得る等の悪質な場合を除き、罰金刑に限定するものであります。
 以上が本法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨及び概要であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
 以上でございます。
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山本保#10
○委員長(山本保君) 以上で両案の趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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松村龍二#11
○松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。
 いよいよ本日、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案、また、ただいま同時に付託のありました刑事訴訟法等の一部を改正する法律案、また、衆議院で修正されました案について審議を参議院で始めるわけであります。
 この二年間にわたりまして、司法制度について、戦後のいろいろな問題を整理、検討いたしまして、この間、司法制度改革推進本部、本部長小泉首相が鋭意検討を重ねてまいりまして、それが、各党とも調整いたしまして、司法改革関連九法案ということで閣議で決定されて、今、法務委員会において先般来審議を重ねているところでございます。中でも、この裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案は国民の関心も高く、大変な法案であるというふうに世間も注目しておるところでございます。
 我が参議院にありましては、与野党、委員長を中心に、理事会におきましてもいかに参議院らしい審議をしていこうかということで鋭意検討いたしておりまして、衆議院では行われなかった公聴会等も是非やりたいと、あるいは参考人もいたしまして、しっかり時間を掛けて、国民が納得のいく審議をしたいというふうに思っております。
 冒頭、基本的な質問から入らせていただきます。
 戦後の我が国の刑事裁判は、戦後のあの大変な混乱の時代から今日に至るまで、また、最近は外国人が犯罪を犯すというようなことで治安が大変悪くなっているということが言われますが、そのような刑事事件に対しまして、刑事裁判が、職業裁判官によってこの裁判を行ってきたわけであります。裁判に直接かかわるのは、被告人と証人といった立場の人を除けば、裁判官と検察官、そして弁護士である弁護人でありまして、こうしたプロによって担われてきたのが我が国の刑事裁判でございました。
 このようにして行われてきた裁判はうまくいっていなかったのかといえば、私は必ずしもそうではないと。むしろ、日本国民の意識、日本の中において、多くの場合には求められる役割をよく果たしてきてるんではないかというふうにも考えられまして、国民の信頼も高く、世界的にも良好とされてきた我が国の治安を支える一つの要因となってきたものと考えております。
 そうしますと、今度は、それでは、なぜ今我が国の刑事裁判の在り方を大きく変えることになる裁判員制度を導入する必要があるかという問題になるわけでございます。我が自民党にありましても、日本の国民にとってこのような裁判員制度というのはなじまないんじゃないかと、君ら、本気で委員会でこの法案通すつもりかというようなことも言われることもあるぐらいでございます。
 そこで、まず法務大臣にお伺いしますが、裁判員制度導入の意義をどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
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野沢太三#12
○国務大臣(野沢太三君) 国民が裁判官とともに刑事裁判に関与することにつきましては、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資するものと考えております。
 すなわち、裁判員制度の意義は、広く国民が裁判の過程に参加し、その感覚が裁判の内容に反映されることによりまして司法に対する国民の理解や支持が深まりまして、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになることにあると考えておるところでございます。
 加えまして、裁判員制度が導入されますと、職業や家庭を持つ国民の方々に裁判に参加していただくことができるようにするため、裁判が迅速に行われることになります。また、裁判の手続や判決の内容を裁判員の方々にとって分かりやすいものとする必要がありますから、国民にとって分かりやすい裁判が実現されることになります。
 この法案は、今回の司法制度改革の中でも一番重要な柱の一つでございまして、これから議会の御審議をいただき、実現の暁には、五十年に一度、あるいは百年に一度と目されるような大きな改革につながるものと考えております。
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松村龍二#13
○松村龍二君 ただいま大臣からもお話のありました裁判の迅速化ということは非常に重要なことであろうかと思います。
 先般の法務委員会において、私の質問の中でも指摘させていただいたことでありますが、遅過ぎる裁判というのは、秩序の維持ということを目標にしたその趣旨からしますと、もう既にその役割を果たしていないというような指摘もされるところかと思います。
 オウム事件が、地下鉄サリン事件あるいは弁護士一家殺人事件、松本においてサリン事件を起こしましたあの凶悪な松本智津夫につきまして、あれは事件が起きましたのが、発覚しましたのが平成七年、私が初めて選挙に当選した年でございます。そして、今九年目になってようやく第一審の判決があったということで、いかにこの裁判が、現制度の中においてはやむを得ないということであっても、国民の期待からしますともう既に大きく逸脱しているというようなことで、この裁判の迅速化という点で裁判員制度が効果を果たすというふうに、その一点について見ても大変に意義のあることではないかなというふうに思うわけでございます。
 さて、我が国におきましては、裁判に国民が直接参加する制度は、戦前に陪審制度が一時期導入されて、休眠状態になっておると言われておりますが、直接参加する制度は戦後初めて導入されると言ってもいいかと思います。
 諸外国においては、古くから陪審制度や参審制度という形で国民参加の制度が行われているものと承知しておりますが、こうした制度は諸外国の歴史や伝統を踏まえたものなのでありましょうが、我が国の新たな制度として裁判員制度の導入を考えるに当たりまして参考となる前例と言うことができるかと思います。
 そこで、推進本部事務局長に伺いますが、諸外国において行われている陪審制度や参審制度はそれぞれ具体的にはどのような制度なのか、要領よく御説明いただきたいと思います。
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山崎潮#14
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のとおり、世界の国々の制度、在り方はばらばらでございますけれども、その共通的な考え方を申し上げたいというふうに思います。
 まず、陪審制度でございますけれども、基本的には犯罪事実の認定に裁判官が加わらずに陪審員のみによって行うと、こういう制度でございます。それから、参審制度でございますけれども、これは基本的には裁判官と参審員が一つの合議体を形成してともに裁判を行う制度、ここの違いが大きな違いであるというふうに認識をしております。
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松村龍二#15
○松村龍二君 それでは、本法案の裁判員制度が諸外国の陪審・参審制度とどのような点が異なるのか、明確に説明をお願いします。
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山崎潮#16
○政府参考人(山崎潮君) この点につきましては司法制度改革審議会の中でもいろいろ議論がされたわけでございますけれども、世界の各国の制度の在り方を十分に検討しながら我が国にとって何が一番ふさわしいかと、こういう観点から考えていったということになります。
 基本的には、ただいま御説明いたしましたけれども、裁判官と裁判員がともに合議体を形成して判断をしていくという点をとらえれば、これは参審制度、ヨーロッパの参審制度ですね、これに共通した点が多いということになりますけれども、例えばドイツと比較いたしますと、ドイツは裁判員の選任方式が無作為抽出の方式ではございません。別の有識者選任方式という方式を取っておりますし、またその裁判員の権限でも違っているところがございまして、例えば法律解釈とか訴訟手続上の判断についても一緒に判断をするとか、それから個々の事件ごとに選任がされるのではなくて、ある長い任期をもって選任をされると。それぞれの在り方は様々に変わって、違っておりますけれども、我が国にとってはただいま法案として御提案させていただくようなものがベストであるということから、こういう案を考えてきたということでございます。
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松村龍二#17
○松村龍二君 制度の細部はともかくといたしまして、諸外国においても同種の制度は広く採用されているということですが、他方、裁判員制度は我が国の制度として導入することになるわけでありますから、我が国の法体系に合致したものでなければなりません。特に、国の最高法規である憲法に合致していることは絶対に不可欠の条件であります。
 そこで、確認のため推進本部事務局長にお伺いしますが、裁判員の加わった裁判所による裁判は憲法に違反するのではないかという意見がありますが、何で憲法に違反するかということもちょっと何かはっきり分かりかねる主張でもありますけれども、裁判官というのは非常に給与も下げちゃいかぬというぐらい憲法で保障された崇高な任務であると。それと訳の分からぬ裁判員制を一緒くたにするなというような裁判官のプライドからのような主張にも見えますし、何か憲法の文言上、憲法に違反するというような御説明のように読みましたけれども、この点に関しましてはどのようなふうに理解したらよろしいか、お伺いします。
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山崎潮#18
○政府参考人(山崎潮君) 憲法の関係でございますけれども、憲法は基本的な規定を三つ置いておりますけれども、まず七十六条以下では裁判官の職権の独立あるいはその身分保障、これについて定めております。それからもう一つは、三十二条で裁判所において裁判を受ける権利というものを規定していること。それから、三十七条で公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利と。大きく分けてこの三つを規定しているわけでございます。
 これの要請が何であるかということでございますけれども、やはり憲法は、独立して職権を行使する公平な裁判所による法による裁判、これが行われること、これを要請しているものと解釈することができるわけでございます。この法案における裁判員制度につきましては、この憲法の趣旨に従った、要請に従ったものであるというふうに考えております。
 その論拠でございますけれども、まず法による公平な裁判を行うことができる裁判員を確保する、こういう要請が、必要がありますけれども、そのために、その資格に関する要件、あるいは職権行使の独立に関する規定等、様々な手当てをまず置いているということが一つでございます。二番目に、法による公正な裁判が保障されているというためには、適正手続の下で証拠に基づく事実認定が行われまして、その認定された事実に法が適正に解釈、適用される、この必要があるわけでございます。
 この法案におきましては、法令の解釈については裁判官のみが判断の権限を有し、裁判員はその判断に従うということにされているわけでございますが、これに加えまして、裁判官と裁判員が対等な権限を有する事項についての判断は、その双方の意見を含む合議体の過半数の意見によるということにされているわけでございまして、こういうことによって適正な結論に到達すること、これができるということが予定されているわけでございまして、そういう意味から、この法案における制度は憲法の要請にこたえられる裁判を確保することが可能な制度ということになっておりまして、憲法上も問題ないというふうに考えているわけでございます。
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松村龍二#19
○松村龍二君 最近は、時々、地方裁判所の段階で、ある裁判官が憲法違反であるというふうな判決をすることがございます。僕は、この制度につきましても、後ほどどこかの訳の分からぬ裁判官が地方裁判所で憲法違反であるというふうな判決がしないことを期待するわけでございます。
 次に、制度導入に向けまして若干気になる点についてお伺いいたします。
 裁判員制度については、最近マスコミでも相当頻繁に取り上げられまして、社会の関心もそれなりに高まっているように思われます。しかしながら、各種世論調査の結果を見ますと、国民の多くは、裁判に国民の感覚が反映されることは歓迎しながらも、いざ自分たちが裁判員となることについては不安やちゅうちょを感じているように思われるのです。裁判員制度は国民に裁判員になってもらわなければ動かない制度ですから、国民が自ら裁判員となってもよい、裁判員になりたいと思うようになってもらわないと困るわけでございます。これは相当大変なことだと思いますが、どうしても必要なことだと思われます。
 法務大臣にお伺いします。政府は、裁判員制度に対する国民の理解を得るための努力をすべきであると考えますが、この点に関してはどのようにお考えでしょうか。
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野沢太三#20
○国務大臣(野沢太三君) 議員御指摘のように、裁判員制度の円滑な導入、運営には、国民の皆様の支持と理解が不可欠でございます。したがいまして、裁判員制度の意義やその具体的内容についての理解と関心を深めまして、進んで刑事裁判に参加していただけますよう、積極的かつ十分な広報活動を行う必要があると考えております。
 具体的には、例えば制度の内容を分かりやすく説明したパンフレットやビデオの作成、頒布等も考えられるところでありますが、広報活動の効果的な在り方につきましては今後更に検討を進めてまいりたいと考えております。また、長期的には、文部科学省等の御協力をいただきまして、学校教育や社会教育の場におきまして司法教育を充実させる等の方策も取り入れ、普及を図ってまいりたいと思っております。
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松村龍二#21
○松村龍二君 五年間の、施行まで五年という時間があるということでございますが、しっかりこのことをやっていただく必要があると思います。
 裁判員制度が国民の理解を得るためには、刑事裁判の実情が国民から理解してもらえるようなものでなければなりません。現在、一部の事件で見られますように、審理に長期間を要するようなことがしばしば起きるようでは、到底国民に参加してくださいとは言えないかと思います。毎日忙しい生活をしている多くの国民に参加してもらうには、刑事裁判の飛躍的な迅速化が必要であります。
 そこで、推進本部事務局長にお伺いいたしますが、一般の国民に参加してもらう以上、裁判の迅速化が不可欠だと思われます。そのためにはどのような手当てを行うのでありましょうか。
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山崎潮#22
○政府参考人(山崎潮君) 御指摘のとおり、裁判の迅速化、これをきちっとしていかなければならないということになりますが、この法案の関係では、刑事訴訟法の一部改正案におきまして二つ大きなポイントを設けております。
 一つは、十分なその争点整理を行いまして、明確な審理計画を立てることができるようにするための公判前整理手続というものを新たに創設をいたしますとともに、証拠開示につきましてこれを拡充をしていくと、こういう手当てを設けているということが一つでございます。
 それから、開廷、法廷を開く場合には連日的開廷を原則とするということ、こういう法定化についても規定を設けるということによりまして、この大きく二つの規定によって迅速化、充実化を図っていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
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松村龍二#23
○松村龍二君 国民の多くは裁判に直接かかわる経験はございません。裁判所に呼ばれたこともないかと思います。そのような国民に裁判員になってもらうわけであります。しかも、重大事件の刑事裁判に関与することになるわけでございます。事件関係者から嫌がらせや報復を受けないか、希望したわけでもないのに裁判員となることでプライバシーや平穏な生活が侵害されることはないだろうかといった不安を抱くのは当然であります。そこで、このような制度を導入する以上は、国民が裁判員になる際に感じる不安をできる限り除去する必要があります。
 推進本部事務局長にお伺いします。国民が裁判員となることに不安を抱かないようにするために、法案ではどのような手当てをしているのでしょうか。
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山崎潮#24
○政府参考人(山崎潮君) 法案では幾つかその手当てをしているわけでございます。
 まず、法案の七十二条におきまして、裁判員等の、あるいはその予定者、その氏名、住所等、その個人を特定する情報を公にしてはならないということをまず規定しているわけでございます。それから、七十三条以下でも、裁判員又はその補充裁判員に対する接触を禁ずるという規定を置く。あるいは、その裁判員に対する不当な働き掛けを防ぐという観点から、裁判員に対する請託罪、あるいは裁判員に対する威迫罪、こういうものを設けているわけでございます。それに加えまして、裁判員の氏名等の漏示罪、これを漏らした、これを罪として設けるということにしておりまして、正当な理由がなくその裁判員候補者の氏名などを漏らす行為、これを禁止するということにしているわけでございます。
 これ以外に、例えば裁判員、その親族等に対する加害行為が加えられるおそれがあるというような事件に関しましては、裁判員制度の対象事件から除外をするというような制度も設けているということで、いろいろなところでその手当てを講じているということでございます。
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松村龍二#25
○松村龍二君 次に、多くの議論が行われてまいりました合議体を構成する裁判官の、裁判員の人数についてお伺いします。
 この点は、政府における法案作成の段階で大変大きな議論になった点であると承知しております。私自身は、報道を始め、この問題に関心が集中し過ぎていたのではないかという感じすら持っておりますが、裁判を行うのは裁判官と裁判員の合議体である以上、その人数や構成比が制度の基本的な性格に大きな影響を及ぼすことは事実でありまして、その意味では重要な、極めて重要な論点であると考えます。裁判官と裁判員の人数については、様々な意見があったと承知しておりますが、法案では原則として裁判官を三人、裁判員六人としております。
 法務大臣にお伺いします。この法案において、合議体の構成を原則として裁判官三人、裁判員六人としたのはどのような理由からでしょうか。
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野沢太三#26
○国務大臣(野沢太三君) この制度の基本となる合議体の構成内容につきましての御質問でございますが、まず評議の実効性の確保や、個々の裁判員が責任感と集中力を持って裁判に主体的、実質的に関与することを確保するという観点からいたしまして、合議体全体の規模には一定の限度がありまして、十人に至らない程度が適当であると考えられるところでございます。
 次に、裁判員制度の対象事件は、法定合議事件のうちでも特に重大と考えられる一定の事件であることから、現行の法定合議事件と同様に、原則として裁判官三人による慎重な審判を行うことが必要であると思われます。そして、合議体全体の規模を一定の限度内とした上で、裁判に国民の感覚がより反映されるようにするため、相当程度裁判員の数を多くするという観点から、その人数を六人とすることとしたものでございます。
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松村龍二#27
○松村龍二君 この点に関しましては、裁判官の人数をより少なくして、裁判、陪審に近いような民間主体の意見が出るようにというふうな意見とか、あるいは裁判員の人数をより、そのような議論が行われまして、法案に対する批判があるものと承知しております。
 推進本部事務局長にお伺いしますが、裁判官三人、裁判員六人では裁判員が実質的に審理に参加できないのではないかという指摘がありますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
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山崎潮#28
○政府参考人(山崎潮君) この点に関しましては、まず裁判員の数が六名ということでございまして、裁判官の倍の数がいるということが一つ言えるかと思います。それから、その最終的な判断につきましては、裁判員の意見を含む過半数の意見によるということにしております。それから、この法案でも規定を置いておりますけれども、裁判長は裁判員が発言する機会を十分に設けるなど、裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならないということにしておりまして、評議のところでも十分に意見を言ってもらえるような、そういうようなシステムを設けているわけでございまして、これらの点を総合して考えれば、裁判員の実質的な関与は十分できると、それが期待できるというふうに私どもは考えているわけでございます。
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松村龍二#29
○松村龍二君 法案では、一定の要件を満たす場合に裁判官一人、裁判員四人の合議体で審理することができることとされております。
 推進本部事務局長にお伺いしますが、一定の場合に裁判官一人、裁判員四人の合議体で審理、裁判することができる制度を設けたのはどのような趣旨からでしょうか。
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