法務委員会

2010-04-27 衆議院 全150発言

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会議録情報#0
平成二十二年四月二十七日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 滝   実君
   理事 阿知波吉信君 理事 石関 貴史君
   理事 辻   惠君 理事 樋高  剛君
   理事 山尾志桜里君 理事 稲田 朋美君
   理事 森  英介君 理事 大口 善徳君
      石森 久嗣君    加藤 公一君
      熊谷 貞俊君    桑原  功君
      坂口 岳洋君    竹田 光明君
      橘  秀徳君    中島 政希君
      永江 孝子君    長島 一由君
      野木  実君    橋本  勉君
      藤田 憲彦君    細野 豪志君
      牧野 聖修君    山口 和之君
      山崎  誠君    横粂 勝仁君
      河井 克行君    柴山 昌彦君
      棚橋 泰文君    馳   浩君
      柳本 卓治君    山口 俊一君
      遠山 清彦君    園田 博之君
      城内  実君
    …………………………………
   法務大臣         千葉 景子君
   法務副大臣        加藤 公一君
   内閣府大臣政務官     泉  健太君
   法務大臣政務官      中村 哲治君
   厚生労働大臣政務官    足立 信也君
   政府参考人
   (警察庁長官官房総括審議官)           坂口 正芳君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    金高 雅仁君
   法務委員会専門員     生駒  守君
    —————————————
委員の異動
四月二十七日
 辞任         補欠選任
  山崎  誠君     橋本  勉君
同日
 辞任         補欠選任
  橋本  勉君     山崎  誠君
    —————————————
四月二十六日
 選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正反対に関する請願(石田真敏君紹介)(第八二一号)
 子供の保護に名を借りた創作物の規制、捜査機関による濫用の危険性が高い児童ポルノの単純所持規制反対に関する請願(城内実君紹介)(第九〇一号)
 改正国籍法の厳格な制度運用を求めることに関する請願(松浪健太君紹介)(第九〇二号)
 人権擁護法案の成立反対に関する請願(松浪健太君紹介)(第九〇三号)
 選択的夫婦別姓制度の法制化反対に関する請願(松浪健太君紹介)(第九〇四号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)(参議院送付)
     ————◇—————
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滝実#1
○滝委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房総括審議官坂口正芳君、警察庁刑事局長金高雅仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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滝実#2
○滝委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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滝実#3
○滝委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻惠君。
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辻惠#4
○辻委員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。
 一八八〇年に治罪法ということで日本の国に時効制度が導入されて、いわば一部時効を廃止する、公訴時効の廃止という百三十年ぶりの改正ということに当たって、やはり本質的なところにさかのぼった、きちっとした議論がなされるべきであろうということで、そもそも国家の刑罰権をめぐって、その中で公訴時効というのはどういう位置づけなのかということを含めて御質問させていただきたいと思います。
 まず、国家の刑罰権の確立ということは、実は、これは学説上も言われていることでありますが、私人間の復讐の禁止が前提になっているというふうに理解しておりますが、この点はいかがでしょうか。
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千葉景子#5
○千葉国務大臣 基本的にはそのような考え方であろうと私も認識しております。
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辻惠#6
○辻委員 国家の刑罰権を考察するときに時効というのはどういう関係に立つのかというと、国家の刑罰権の行使を時間的に制約するものであるという理解に立っているように思いますが、この点はいかがでしょうか。
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千葉景子#7
○千葉国務大臣 御指摘のとおり、公訴時効制度というのは、犯罪行為の終了時を起点として、一定の期間の経過によって原則として一律に公訴権を消滅させるという制度でございます。公訴権が消滅することによって、検察官は公訴を提起することができません。仮にこれがなされた場合にも免訴の裁判がなされることになるわけでございまして、そういう意味では、有罪判決を得て刑罰法令を適用実現することができなくなる、こういうことになります。
 これは、ひいては当該犯罪に対する国家刑罰権を行使することができなくなる、こういうことを意味するわけでございますので、そのような意味では、国家刑罰権行使の時間的な制約との評価もできるのではないかというふうに考えております。
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辻惠#8
○辻委員 犯罪と刑罰というのは古くて新しい問題で、ある意味では現実的な問題なんですね。刑罰のありようについて講学的には応報刑とか教育刑とかいうことがありますけれども、今日の社会において再犯者が非常にふえている、では収容先の刑務所における刑罰の機能として、教育刑的な要素がどれだけきちっと充実させられているのかということについても検討していかなきゃいけない問題だというふうに思っております。
 翻って、国家の刑罰権の根拠というものについてどう考えるのかということ、国家の刑罰権は絶対のものではないわけでありまして、その根拠にさかのぼって考えれば、やはり合理的な範囲の中で行使をされなければならない、このように思うわけであります。
 近代国家の成立ということからいえば、一七八九年のフランス革命の人権宣言によって罪刑法定主義がうたわれた。これは、罪刑の法定、罪刑の均衡、類推解釈の禁止、遡及処罰の禁止ということで、罪刑の法定されていること以外は自由なんだという意味で人権保障機能をうたったものであろうと思います。
 このフランス革命の二十五年前にイタリアのベッカリーアという学者が「犯罪と刑罰」という著作を発表して、これは、いわゆるルソーの社会契約論やまたモンテスキューの権力分立論、三権分立論を引き継いで、罪刑法定主義を確立するに当たって大きな役割を果たした方だというふうに思います。
 今、私の手元に岩波文庫の「犯罪と刑罰」、ベッカリーアを持ってまいりました。この中で、刑罰の起源と刑罰権の真の基礎ということについて、少し長くなりますが、ベッカリーアは次のように言っております。
  拘束されず孤立していた人間が、たがいに結合しあったその条件が法律を作った。たえまない戦いの状態に疲れ、保持して行くことが不確実になったむなしい自由の享受に疲れた人間は、じぶんの自由の一部分をさし出して残った自由を確保することを考えたのである。この各人の自由の分け前の総和が一国の主権をかたちづくる。そして主権者とは、とりもなおさず、合法的にこれらの自由の供託を受け、その管理をおおせつかった者にほかならない。
  しかしこのような供託をつくっただけでは十分でなかった。各個人の侵害からこの供託を守らなければならない。
  社会をふたたびその昔の混乱状態におとし入れようとするこうした専制主義的な精神をおさえつけるに十分な力強さをもち、感性にじかに作用する契機が、ここに必要になってくる。この契機がすなわち、法の背反者に対してもうけられた刑罰であった。
このように言っているわけであります。
 これは、その後、ベッカリーアの系譜の中で、いわゆる客観主義の刑法学が確立されていって、刑罰については応報刑主義ということが思想的には定着をして、他方で主観主義刑法がその後出てきて、教育刑という要素も加味をして、そして議論の中で現在があるということでありますけれども、そもそも刑罰権の基礎を考えるときに、客観主義刑法の確立ということが罪刑法定主義をもたらしたものであって、今日、私たちは歴史的に先人の知恵としてそれは非常に尊重すべき考え方であろうと私は思うわけであります。
 そういう立場に立って、刑罰の基礎ということについて、ベッカリーアはさらに次のように言っているわけであります。
  各人にその自由の割り前をさし出させるように強制するものは、ただ一つその必要性だけである。こうして各人はできるだけすくない割り前だけを公けの供託にまかせようとする。いいかえればじぶんが残った部分を勝手に処理することを他の人々に許容してもらうのに必要なだけの最少限度をさしだすのである。
  この自由の小さな割り前の総和が刑罰権の基礎である。この基礎を逸脱する刑罰権の行使は、すべて濫用であり、不正である。それは事実上の権力ではあっても、法にもとづいた権利ではない。
ということを言っているわけです。
 刑罰をできるだけ最小限度にとどめるべきだという考え方、国家に委託をして自由の制約を与えた、しかし、その国家権力が与えた範囲以外のものに濫用的に権力を行使する場合には、これは不正なんだということを言っているわけなんですね。ですから、この考え方の延長で罪刑法定主義も出てくるでありましょうし、刑罰の均衡という問題も必要だという考え方も出てくるのではないかというふうに思うわけであります。
 現実的に考えた場合に、国家の刑罰権の合理的な範囲はどのような基準でどう考えられるべきなのかというときに、一つは、被侵害利益がどうであったのかという、利益の侵害の大きさですね。それからもう一つは、行為者の犯意についてどのように評価するのか。故意、過失とか、ドイツなんかでは、殺人罪については謀殺とか故殺とかいうことで、細かくその犯意を認定していくという作業の上で、刑罰権の範囲はどこまでなのかということを議論していくべきだというふうになっているわけであります。
 確かに、そういう議論の中で、被害者の感情というものについては、量刑判断に当たって非常に重要な要素ではあるけれども、法のあり方をどうするのか、法制度をどう決めていくのかというときに、被害者の個々の感情が法や法制度を動かしてはならない、このように考えますが、大臣、この点のお考えはいかがでしょうか。
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千葉景子#9
○千葉国務大臣 今、辻委員から、大変歴史的な、さまざまな議論を踏まえた刑罰権のあり方、こういうものがあるんだということを御指摘いただきました。
 私も勉強したことを改めて思い起こしているわけですけれども、基本的には、刑罰権、刑罰のあり方というのは、法益にどのような侵害が生じているのか、それに対して、その行為の側の態様とかあるいは真意、こういうものとの兼ね合いといいましょうか、そういうもので刑罰というのは考えていかなければいけないということは、私も十分に承知をしております、理解をさせていただいているつもりです。
 それに対して、被害者の感情、これは、私もこれだけで例えば刑罰を左右するということには当然ならないものだというふうに思っております。ただ、被害者のいろいろな感情、そういうものがいろいろな刑罰のあり方を考える、あるいは刑罰をどのように定めていくかということを考える一つの契機となったり、あるいはその軽重を考えるに当たっての一つの材料というんでしょうか、一つのメルクマールになるということはあろうというふうに思いますけれども、それだけが刑罰を左右するということになってはならないのだというふうに理解をいたしております。
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辻惠#10
○辻委員 被害者、遺族の感情、ひいては国民感情というふうに整理してもいいと思いますけれども、それは量刑判断に当たって非常に重要な要素である、また、罪刑の均衡を考えるときの法定刑の定め方とかいうことに当たって十分考慮しなければならないということは確かな事実だろうというふうに思いますけれども、今回の改正に当たって主要な話として聞こえてくるのは、真犯人の逃げ得を許さないということについての被害者の感情が非常に大きな役割を果たしているということが指摘されているわけであります。
 そういう意味におきますと、先ほど申し上げたように、刑罰の基礎を歴史的にさかのぼって、これはいろいろな先人の、近代国家成立以来の知恵の集積として時効制度というのはあるわけでありまして、それを、逃げ得を許さないという、ある意味では非常に生の、それは理解できる感情でありますけれども、それをそのまま法制度や法の改正に持ち込むというのは、やや問題があるのではないかというふうに考えざるを得ないわけであります。
 やはりもう少し本質にさかのぼった議論というのが十分になされなければ、百三十年目に日本で一部時効が廃止になった、公訴時効が廃止になった、それは後世のいろいろな、法学者だけではない、国民にとってどのように評価されるんだろうか。人類の歴史は、単純な進歩の歴史では必ずしもなくて、復古主義的な傾向やいろいろな逆戻りの過程を経て、しかし大きくは前進していくということでありますから、そういう歴史の流れの中で、今回の法改正が被害者の処罰感情ということを中心に組み立てられていたとすれば、それは非常に大きな問題として後世に指摘されるのではないかというふうに私としては御指摘申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、今回の法案、例えば強盗殺人については公訴時効が廃止になる、しかし強姦致死についてはならないとか、いろいろな問題点があります。ただ、今回の運用を今後考えていく上に当たって、一つ御指摘申し上げたい点があります。
 それは、一九九六年の四月十一日に立教大学の学生が死亡した事件があります。午後の十一時三十分ごろ、池袋駅の山手線外回り七・八番線ホームで、当時、立教大学学生であった男性二十一歳が男に顔を殴られ転倒した際、後頭部を強打し、五日後に収容先の病院で死亡した。当初、警視庁は傷害致死容疑で捜査したが、公訴時効の直前の二〇〇三年三月に今度は殺人容疑に切りかえて捜査を続けている。つまり、時効にかかるのを、罪名を切りかえることによってクリアしたという形になっているわけですね。
 この点は、参議院の附帯決議で、四項目めに「殺意の有無により公訴時効期間が大きく異なることにかんがみ、捜査機関がその認定を行うに当たっては、十分な証拠に基づいて適切公平な判断を行うべきよう努めること。」というふうになっております。
 この点については、大臣、どうお考えですか。
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千葉景子#11
○千葉国務大臣 御指摘のとおり、今回の法律が成立をするとすれば、殺人罪の公訴時効は廃止、そして傷害致死罪の公訴時効期間は二十年ということでございます。そういう意味では、殺意の有無の認定によって公訴時効期間が大きく異なるということになりますが、これは、ある意味では、現在も同様に異なるという状況は生ずるわけでございます。
 そういう意味では、捜査段階において、最終的には検察官が公訴を提起するか否かの判断をするわけですけれども、その際、殺意の有無を認定するに当たって恣意的な判断がされるようなことがあってはならない、これで公訴時効にかかるからとかあるいは短くなるから、こういうような判断がなされてはならないというふうに思います。
 捜査機関においては、参議院でも附帯決議で御指摘をしていただいているということでもあり、十分な証拠の収集に努めるとともに、収集された証拠に基づいて適正、公平に判断をされるものと承知をいたしております。
 いずれにいたしましても、成立する犯罪の認定を誤って起訴をして、公訴時効が仮に完成していたとするならば免訴ということになりますので、こういうことがあってはならないわけで、こういう点からも、犯罪の認定というのは十分慎重に、証拠に基づいてなされるものだというふうに理解をいたします。
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辻惠#12
○辻委員 もう時間も余りありません。実は、重大凶悪犯罪については、二〇〇四年に刑法の法定刑の期間を一・五倍、また公訴時効についても一・五倍にしたということについて、十分な検証の期間がまだいまだなわけであります。そういう中で今回の法改正が行われるということについて、これは両方含めてやはりきちっとした検証が必要だろうというふうに思いますし、刑罰権の行使の時間的制約という意味で公訴時効及び刑の時効について考えるということからすれば、遡及処罰の禁止という問題についても、これは実体法説、訴訟法説とかそういう議論ではなくて、実質的な問題として、刑罰権の内容、範囲については司法だけではなくて立法、行政も拘束していると考えるべきものでありまして、軽々に遡及効を認めるのはやはり問題があるというふうに私は思っております。
 参議院の附帯決議で、「公訴時効の廃止及びその期間の延長によりもたらされる効果について、今後ともその検証に努めること。」ということが規定されております。これについて、きちっと尊重していただけるということを御確言いただきたいと思います。簡単によろしくお願いします。
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千葉景子#13
○千葉国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
 附帯決議も踏まえて、今後十分に検証を続けてまいりたいというふうに考えております。
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辻惠#14
○辻委員 真犯人を取り逃がしているというところがむしろ問題であって、時効を延長したからということで検挙率は上がらないということは、法制審でも警察庁の刑事局長がそのように答弁しているところなんですね。だから、今いろいろな犯罪に対して捜査機関の側がきちっと充実した捜査なり遂行能力をなかなか持ち得ていない現状をどう変えるのかということがむしろ問題であろうというふうに思うわけであります。
 被害感情、国民感情ということで、国の、とりわけ司法の制度は軽々に変えられる傾向が今どんどん進んでいるという危機感を私は非常に持っているわけなんですね。そういう流れの中の一つとして、この公訴時効の一部廃止の問題もあると思います。司法は少数者の権利を保護するための制度なんです。罪刑法定主義を含めて、人権保障機能をこの国がもっと、本当にみんなが自由活発に振る舞える、そういうことを保障することこそが司法の機能であり、犯罪と刑罰が均衡しなきゃいけないという根拠であると思います。
 そういう近代国家として日本がさらにきちっと法整備をされていくように、私は、この問題に際して、改めて司法制度全般のあり方を皆さんと検討して、未来の日本をよりよくするために全力を尽くしていきたいということを、個人的な決意でありますけれども、皆さんに表明申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
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滝実#15
○滝委員長 次に、山尾志桜里君。
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山尾志桜里#16
○山尾委員 民主党の山尾志桜里です。
 先日のこの委員会でも、犯罪被害者御遺族のお二方からお話を伺いました。大変心に残るメッセージが多かったんですけれども、そのお一方、最後の方でこういうことをおっしゃっておりました。人をあやめたら、刑事法的には刑罰から逃れられない、また、民事法的には賠償責任が被害者から、またはかわって国から求められる、こういう制度をぜひ確立していただきたいとおっしゃっておりました。
 今回、刑事法的には、そういう遺族の方のお気持ちという点で考えますと、一つの答え、解決を見ようとしておりますが、民事法的にはまだまだという点があるかと思います。
 実際、家族の方があやめられたときに、残された家族が負う経済的な負担というのも無視できないくらい大きいものがございます。仕事が手につかない、あるいは、もう仕事をなげうって真犯人を捜すのに奔走されるという方も少なくありません。あるいは、家族の大黒柱を失った場合には、残された御家族はとりわけ経済的に大打撃を受けるわけです。そんな中で、必死の思いで刑事裁判に対応し、自分で民事裁判に訴え、そして何とか損害賠償判決をかち取っても、絵にかいたもちということでは、これはあんまりかなということを私も思うわけです。
 私の個人的な思いとしては、犯罪被害者の方というのは、社会のひずみを犯罪被害という形で私たちにかわって一身に受けられた方というような気がしております。だからこそ、犯罪は社会のひずみを映し出す鏡だということも多くの方がおっしゃっている。そういう中で、そういう方々の被害というのは、たまたま犯罪を受けなかった私たちが経済面も含めてできるだけ一緒に背負わせてもらうということが、私はあるべき姿だと思っております。
 大臣、ここで、民事法あるいは経済的な救済ということについて御所見をお伺いできればと思います。
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千葉景子#17
○千葉国務大臣 御指摘をいただきましたように、参考人質疑の中でもこのような御意見が供せられたということを私も承知をいたしております。
 犯罪被害者の皆さんの経済的あるいは精神的も含めてサポートをしていく、救済をしていく、そういう支援の体制というのは、今後、より一層充実をしていかなければならないというふうに思います。
 現状では、民事上の損害賠償請求というのは当事者が行うという制度になっておりますので、直ちにこれを使うということはなかなかできませんけれども、それにかわるということではありませんけれども、犯罪被害給付制度などを少しずつですけれども充実をさせてきているということがございます。
 また、犯罪被害者等基本計画の改定、こういうことが今議論をされておりますので、こういう作業の中で、一層充実した犯罪被害者の皆さんの保護のあり方、そして御指摘がありました、損害賠償を国がかわって行うような、こういう課題も含めまして、今後、関係省庁とも協議、検討をしてまいりたいと考えております。
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山尾志桜里#18
○山尾委員 前向きな御回答、御決意ありがとうございます。
 ただ、今は、やはりどうしても民事法の中での損害賠償請求ということに多くを頼らざるを得ない中で、被害者あるいは御遺族の方からちょっと不安の声を聞いております。
 それは、今、債権法の改正が法制審議会にかかっていると聞いております。この中で、債権法の、民法七百二十四条、不法行為の損害賠償請求権の時効が、現在は、損害または加害者を知ったときから三年、あるいは不法行為のときから二十年ということになっております。
 諸外国の債権法の改正の流れを見ると、権利関係の早期確定という要請も含めてどうしても短縮される傾向にあるという中で、犯罪被害における損害賠償というのはちょっと別の要請が働くと思うんですね。なので、この改正の議論の中で、あるいはその答申が出た後かもわかりませんが、ぜひここは切り分けるなどして別のしっかりとした考慮を働かせていただきたいという声がありますし、私ももっともだと思っておるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
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千葉景子#19
○千葉国務大臣 債権の消滅時効期間につきましては、今議論がされているということでございます。
 御指摘がありますように、これは本当に、経済関係あるいはビジネス上の債権関係とはやはり異なって、特に人身被害等については考える必要があるのではないかと私も感じます。
 そういう意味で、これから債権関係の民法の見直しの一環として法制審議会において審議されるものというふうに思いますけれども、やはり、経済的なものとは異なる、そういうところも十分目を配りながら、国民の皆さんの御意見、こういうことにも心をいたしながら議論をしていただけるものと期待をいたしております。
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山尾志桜里#20
○山尾委員 ありがとうございます。
 今回、殺人事件の時効の廃止ということを受けて、私は、魂の殺人と言われます性犯罪被害者の方、あるいはその支援団体の方とも長らく話す機会がありました。ちょっとその声の一端を御紹介させていただきたいと思うんです。
 性犯罪被害は、見た目では被害者であることがわからない、自分の口で伝えることも難しい。だからこそ、裁判という最も公の場で、悪いのはあなたじゃない、あなたは被害者なんだと認めてもらって、生き直す機会を広く確保してほしい。また、ある方は、子供のころに性犯罪被害を受けて、当時は何が起こったのか、自分が何をされたのか、わからないまま届け出できなかった。その後、大人になって、自分の受けた行為が性暴力であることを知った。立ち直るためにできることをすべてやりたいという思いに突き動かされて活動を続けてきた。その思いを時効という壁で阻まないでほしいと。
 実際に、最近も茨城の強姦事件で報道がございました。時効二日前に強姦罪で起訴された男性について同種の余罪が見つかって、さらに時効二日前に追起訴をされた、こういう事件もございます。
 私は、無条件に時効を延長、廃止をするのがいいとは思っておりません。ただ、性犯罪ということについては、三つの特殊性から、やはり延長ということを考えてもいいんじゃないかと思っております。
 一つが、繰り返すという特殊性、後から犯人が発覚する可能性が高い。二つ目が、客観的証拠を残すという特殊性、後から立証できる可能性が高い。そして三つ目が、性的自由を侵害されるという罪種の特殊性、社会全体で一緒に戦う、こういうメッセージを発信する、そういう必要性が高いと思っております。
 大臣、この点、いかがでしょうか。
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千葉景子#21
○千葉国務大臣 今委員が御指摘をされましたこと、私は基本的に本当に同感でございます。そして、その被害の深刻さということも十分理解をさせていただいております。
 今回は、違うメルクマールによりまして公訴時効の廃止、延長という形をとりましたけれども、引き続いてやはり性犯罪についての公訴時効のあり方を考えていかなければならないというふうに思いますし、それから、被害の重大さを考えるときには、性犯罪について、いろいろな、公訴時効のみならず多角的な検討も必要だというふうに思いますので、今後、継続をして私は議論してまいりたいと思っております。
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山尾志桜里#22
○山尾委員 ありがとうございます。
 最後に一点だけ、ちょっと話題がかわりますけれども、先日、竹田委員の方から質問がございました民事法情報センターの件、進展がありましたら、その対処を最後に簡潔にお教えいただければと思います。
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滝実#23
○滝委員長 千葉法務大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
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千葉景子#24
○千葉国務大臣 それでは、細かいところは、ちょっと時間がございません。この問題については、昨日、法人の方から、自主的に解散することとしたいという旨の報告を受けました。今後、この方針に従いまして、私どももしっかりと監督をしながら、この方向を見定めていきたいと考えております。
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山尾志桜里#25
○山尾委員 以上です。ありがとうございました。
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滝実#26
○滝委員長 次に、馳浩君。
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馳浩#27
○馳委員 自由民主党の馳浩です。
 きょうも、辻先生また山尾先生のお話を聞いていて、もっともだと私も思いました。ちょっとこの法改正は拙速過ぎたんじゃないのかなという印象を持ちながらも、そうはいいながらも、与野党理事で、きょう採決があると聞いておりますので、私なりに思うところもありますので、前回に引き続き質問を続けさせていただきます。
 先般、参考人質疑がございまして、日弁連の江藤洋一さんから反対のビラが配付をされましたので、これに基づいてまず質問させていただきます。
 このビラに、「被害者・遺族の方々の声は多様です」とあり、「公訴時効の廃止・延長をもって被害者救済とするなら、あまりに安易です」と主張されておられます。
 そこで、今回の法改正に合わせて、被害者や被害者家族の支援のあり方を今後どうしていく方針か、検討されたのでしょうか。
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千葉景子#28
○千葉国務大臣 御指摘のとおり、公訴時効の廃止をめぐりましては、被害者、御遺族の方々の中にもさまざまな御意見があるということ、それから、被害者の救済のためには経済的、精神的な支援が必要であるという意見が示されているということは、私も十分承知をさせていただいております。また、犯罪被害者に対する支援、これはさまざまなものが考えられるかと思っております。
 本法案では、人の命を奪った殺人等の犯罪について、時間の経過によって一律に犯人が処罰されなくなってしまうのは不当ではないだろうか、こういうことに基づきまして、被害者等の皆さんのいわば感情、こういうもの、それからそれが国民の間で広く共有されるようになっているということを踏まえて、これに対応しようと考えたものでございます。
 ただ、被害者支援そして保護の施策というのは、この公訴時効ということで足りるものでは当然ございません。今後とも、犯罪被害者に対する適切な保護、支援を充実させていくということが必要であろうというふうに思います。
 先ほどの答弁でもちょっと触れさせていただきましたけれども、平成十七年十二月に閣議決定された犯罪被害者等基本計画の計画期間が五年ということでございまして、今後、この計画の改定作業、こういうことが進んでまいります。その中で、一層充実した被害者保護のあり方について、これは法務省のみならず政府全体、関係する省庁が中心となりまして検討をしてまいりたい、そして、よりよき計画を策定させていただきたいと考えているところでございます。
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馳浩#29
○馳委員 もし私がこういう被害者になったり被害者の家族となったとしたらどうだろうかな、こういうふうに私も考えます。できる限り情報が開示されることを望みますし、それによって受けた心の傷とあるいは財産上の負担というものを回復させよ、こういうふうに求めることにもなろうと思いますし、二度とそのような犯罪が行われないような警察また司法の取り組みの強化を求める、こういうふうになるのかなと私も思っております。この被害者、被害者家族に対する支援というものは、政府としてもさらに考えていくべきであると思います。
 そこで、次の質問に移りますが、ある犯罪について公訴時効が成立した後、その事件はどのように処理をされていくのでしょうか。時効が成立したからそれで何もしない、一切終わり、報告もしないということなのかどうか、まず教えていただきたいと思います。
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