農林水産委員会

2017-04-27 参議院 全93発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成二十九年四月二十七日(木曜日)
   午前十時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     若松 謙維君     矢倉 克夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 猛之君
    理 事
                舞立 昇治君
                山田 修路君
                徳永 エリ君
                紙  智子君
    委 員
                礒崎 陽輔君
                進藤金日子君
                中西 祐介君
                野村 哲郎君
                平野 達男君
                藤木 眞也君
                山田 俊男君
                小川 勝也君
                櫻井  充君
                田名部匡代君
                舟山 康江君
                竹谷とし子君
                矢倉 克夫君
                儀間 光男君
                森 ゆうこ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
   参考人
       鈴盛農園代表   鈴木 啓之君
       横浜国立大学名
       誉教授
       大妻女子大学名
       誉教授      田代 洋一君
       宮城県農民運動
       連合会事務局長  鈴木 弥弘君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農業競争力強化支援法案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ─────────────
この発言だけを見る →
渡辺猛之#1
○委員長(渡辺猛之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、若松謙維君が委員を辞任され、その補欠として矢倉克夫君が選任されました。
    ─────────────
この発言だけを見る →
渡辺猛之#2
○委員長(渡辺猛之君) 農業競争力強化支援法案を議題といたします。
 本日は、参考人として鈴盛農園代表鈴木啓之君、横浜国立大学名誉教授・大妻女子大学名誉教授田代洋一君及び宮城県農民運動連合会事務局長鈴木弥弘君に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございました。
 ただいま議題となっております法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 本日の議事の進め方について御説明いたします。
 まず、鈴木啓之参考人、田代洋一参考人、鈴木弥弘参考人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、鈴木啓之参考人からお願いいたします。鈴木参考人。
この発言だけを見る →
鈴木啓之#3
○参考人(鈴木啓之君) 皆様おはようございます。今日は、このような場所にお呼びいただいてありがとうございました。
 じゃ、早速発言をさせていただきたいと思います。
 改めて、私、愛知県碧南市で農業経営をしております鈴盛農園代表鈴木啓之と申します。
 私は、非農家のため、新規参入で農業の世界に飛び込んでまいりました。二〇一二年に鈴盛農園を開業いたしまして、現在六年目です。また、北海道から沖縄まで全国約一万人の農業青年で組織される全国農業青年クラブ連絡協議会、通称4Hクラブで昨年度まで会長の職に就いておりまして、現在は顧問をしております。
 前職は愛知県内に本社を置く自動車企業の店舗の統括マネジャーという仕事をしておりましたので、実は農業には全く接点がなく、知識も人脈も何一つありませんでしたが、農業大学校や農業法人での研修を経て、農家世帯となることができました。
 経営概要を簡単に御説明させていただきます。
 現在、約二ヘクタール強の農地で、温室やハウスを使用しない露地野菜栽培をしております。碧南市は、海と川に囲まれているため、砂地のさらさらした土の畑が多く、ニンジンや芋類など根菜類の栽培と非常に相性の良い地域で、私どももやはりニンジン、タマネギ、サツマイモに里芋、ジャガイモを主力産物として栽培しております。
 碧南市というのは、農業の優良地帯でして、後継者も多く、耕作放棄地もほとんどありません。市内にはおよそ百五十軒のニンジン農家がいて、機械化による規模拡大に励み、県内で一番の産地となっております。ただ、私が農業を志して碧南に戻ったときを思うと、着実に高齢化の波が押し寄せているのもひしひしと感じております。
 ニンジン農家がひしめく中でどのように差別化を図るかということで、私どもは、黒、白、赤、紫、オレンジ、ベージュ、黄色の七色のカラフルなニンジンを育てて、自分のところの名物だというふうにしているほか、野菜に適切な濃度の塩を掛けて栽培することで糖度や食味を上げる塩農法という栽培方法を取っております。塩といえば、塩害という言葉があるように、農業においてタブーとされていましたけれども、国立豊橋技術科学大学や愛知県立農業大学校の協力も得て、畑にも、それからその下の地下水にも悪影響を与えずに、野菜に良い影響を与える濃度や散布回数を見付けることができました。
 生産した野菜及び野菜加工品は全て直売事業で販売しております。農園のウエブショップや農園ガレージを利用した直売所での販売のほか、道の駅や産地直売施設への出荷、スーパーとのプライベートブランド契約、県内外の飲食店への販売や大手農産物宅配会社など、販売先は多岐にわたります。全ての場所で鈴盛農園という名前や生産者、私たちの顔が見える販売方法を取っているほか、SNSであったりブログなどで作業風景を日常的に情報発信して、身近にいる分かりやすい農家となれるように意識しております。
 じゃ、早速ですが、今回の法案に対する私の意見を述べさせていただきます。
 まず、法案の第一条についてですが、良質で低価格な農業資材の供給及び農産物流通等の合理化に関して国として講ずべき施策を定め、その一環として事業再編又は事業参入を促進するための措置を講ずるというのが本法案の内容であると私は認識しております。
 こうした取組で農業の競争力の強化を支援するというのがこの法案の狙いであるということですが、まさに農業者の立場からは、資材のコストや流通のコストは所得の向上を目指す上で日常的に意識して削減に取り組まなくてはならないものであると思っております。これらのコストは、農業者の自己努力での削減を行うことはもちろん必要ですが、やはり取引相手との関係ですとか交渉で決まってくるものでもあるので簡単に削減できるものでないことも事実です。そこに国が自らの責務や講ずべき施策を定めて本格的に資材・流通分野の改革に取り組んでいくということで、農業者の所得向上に国として本気で取り組んでいくんだと、そういう意思を感じさせていただける法案であり、農業者の立場からは、その法案の目的に賛成し、また期待しております。
 続きまして、農業者等の努力規定の項目である第五条についてですが、法案では、農業者は、農業資材の調達や農産物の出荷、販売に際して、有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて農業経営の改善に取り組むよう努めることとされています。
 農業者が資材の購入や農産物の販売の際に有利な条件を提示する相手と取引を行うというのは、農業経営者としては当たり前のことであり、私自身としても日々行っていることでもあります。しかしながら、こうしたことを全ての農業者が行えているかというと、必ずしもそうでないのも事実かと思います。日々の農作業の忙しさに追われてなかなか価格の比較検討まで手が回らなかったり、これまでの付き合いやなじみから遠慮が入って、取引先が提示する価格をほかと比較して最も有利なところを選択すると、そういったことができていない農業者もまだまだ多いのかなと思います。また、そもそも有利なところを選択できるだけの選択肢が農業者にとって十分そろっていないという問題もあるのではないでしょうか。
 私どもでは、資材を購入する際も、例えばJAでは幾らか、ホームセンターでは幾らか、専門の業者では幾らか、インターネット通販最安値は幾らか、それを調査し比較検討しておりますが、どこの資材業者がどのぐらいの価格で資材を販売しているかといった情報を農業者が年齢や環境を問わずもっと手軽に入手できるような環境を整備していただくと、そういったことも重要であるかというふうに思います。そして、その中で有利な相手を選択するという意識が農業界全体に広がっていけば、当然競争原理が働き、資材の価格や流通の手数料は自然と下がっていくのではないかと思います。
 このように、農業者が意識を変えていくことと同時に、例えば農協さんを始めとする農業者団体もそれを後押しすることが重要であると思います。この法案には農業者団体の努力規定も盛り込まれていますが、農協は農業者のために存在する団体ですので、農業者が少しでも安い資材を購入しようとする努力に応えていただき、農業者と農協が一緒になって取り組んでいくことで選ばれる農協になっていくのではないかと考えております。
 以上のような点で、農業者と農業者団体が互いに努力をしていこうという規定は、資材や流通の改革を進める上で重要な意味を持つ規定であると考えております。
 次に、生産資材についてですが、法案では、肥料などの生産資材について、銘柄数が多過ぎることからそれぞれの生産量が少なくなり生産性が低い状況を改善していくということが指摘されています。また、銘柄数が多くなる原因となっている都道府県が定める施肥基準についての見直しの必要性が指摘されています。農薬に関しても、国際的な基準と調和したジェネリック農薬などの基準を定めることも規定されております。
 機械に関しては事業参入を促進するということですが、農業機械の業界は携帯電話の業界のようにガラパゴス状態になってしまっているように思えます。つまりは、トラクターなどにすごく様々な機能が付与されていて、確かに便利なのですが、一方で、めったに使わないような分かりにくい機能も装備されていて、これが農業機械の価格上昇の理由になっていると考えられます。ですので、こうした農業機械の業界においても新規参入を促して、適切な競争環境を整備しようとすることは重要であると思います。
 私もつい最近、新しくトラクターを購入しようとカタログを見ていました。同じ型のトラクターでも、オプションの差でやはり九十万円ほどの差があります。人間、より快適で効率が良く、楽ができる機械を選びたくなるものですし、農業機械は男のロマンという気持ち、私自身痛いほどよく分かります。ただ、上を見たら切りがありません。実際、機械の価格は年々上昇傾向にあります。よりシンプルな装備で、またシンプルであるからこそ耐久性の高い低価格モデルの農業機械という選択肢も選べるようになるとよいと思います。
 次に、農産物の流通についてですが、条文には生産者による直接販売を促進していくということも記載されていますが、これは非常に重要なことだと考えます。これまで農業者が積極的に手を掛けてこなかった部分でもあると思いますので、新しく直売に挑戦する農業者が例えば量販店による買いたたきなどでチャレンジを諦めるようなことがなく、農業者と量販店、販売店がウイン・ウインの関係になっていくことが重要だと思います。
 また、規模が小さく、栽培技術の未熟な新規就農者ほど、直接販売に力を入れ、顧客との関係性を構築すべきです。
 というのも、私も農業を始めて間もない頃、やはり栽培のノウハウも少なく、いわゆる規格外品のニンジンがすごくたくさん出てしまうこともありました。そういうニンジンをきれいに洗って選別して、大きなビニール袋に入れてちょうど十キロになります。それを市場に出荷したところ、付いた金額は何と五十円でした。一トン出荷しても五千円ですね。今になってみればその価格というのも何となく分からなくもないのですが、当初は非常に驚きました。このままでは経営が成り立つはずはない、良い農産物を作れるよう技術を磨くのはもちろん必要だけれども、農産物の価格決定権を持った農家にならなければ駄目だと強く痛感しました。
 その後、直売に力を入れ、農産物のブランド化、顧客との関係性を意識して行動してきた結果、当時五十円の価格が付けられた規格外のニンジンも今では二千円を超える価格で販売し、それでも注文の声が多く、おかげさまで供給不足になるような状態です。その価格差は実に四十倍以上です。
 様々な国の施策により新規就農者が着実に増えているというデータを目にしますが、その中でどれぐらいの農業者が五年、十年と生き残れるか、また、生き残れなかった農家はどのような販売方法を取っていたのか、どれくらいの規模で生産し、どれぐらいの単価で販売していたかということを調べていくと、直接販売の促進の重要性が浮かび上がってくるのではないかと思います。実際、私自身の経営においては、直接販売であったからこそ、離農率が高いと言われる最初の五年を生き延び、また経営拡大ができたのではないかなと強く言い切れます。
 肥料、農薬、機械という農業に必要不可欠な要素が抱える問題点は、農業者が自らの努力だけでは解決できない部分もある問題だと思います。業界再編などの取組を進めていくことは、農業者が資材コストを削減していく上でとても重要であると考えています。
 農業関連業界は、資材、機械、肥料、農薬など農業経営に係るコスト削減のため、根本的な問題の解決に取り組む。時には、新規参入によって業界の構図を変えるような大胆な改革にも切り込む。そして、競争原理によって生まれた低価格で良い資材、機械を買い、良い農産物を作り、直接販売で、売価を理解、共感してくださるお客様に自らが値付けした価格で買っていただけるよう農業者も努力する。この法案の中身を非常に端的にまとめるとこういうことになるのかなと思いますが、それはまさに所得向上につながる内容であると思います。
 最後に、農業者の立場から法案全体について意見を述べさせていただきます。
 これから日本の人口が本格的に減少していくことが見込まれる中、私のような若手農業者が今後三十年、四十年若しくは五十年と農業を続けていくためにはどうすればいいかと考えますと、やっぱり我々農業者が強く賢く、経営者としてのセンスを磨き続ける必要があります。コストを削減しながら付加価値の高い農産物を生産することで、外国の農産物に負けない競争力を付けて、縮小していく国内の市場だけではなく、むしろ拡大していく外国のマーケットに向けて農産物を売っていかなくてはならないと思います。
 私自身も今年四月、今月、カラフルなニンジンを、台湾への輸出を始めました。既に収穫が終わる時期でしたので試験的なスタートとなりましたが、現地商社の評価も非常に高く、来シーズンからは本格的に輸出を開始できそうです。
 我々農業者が競争力を高めていくためには、本法案が目指す資材コストの削減と流通コストの削減も欠かせないと思います。
 これまでは、資材や流通の問題はある意味では農業者だけではどうしようもできない部分もあると思いましたが、この法案で農業者の努力規定が盛り込まれているように、農業者が経営感覚を磨き、少しでも安く、品質の良い資材を求めるよう努力をすることで、そうした資材へのニーズが広がって、より良い資材を使えるような状況になっていくものだと思います。我々農業者と資材や流通の関連事業者が共に発展し共存共栄していくような関係をつくっていくことこそが、日本農業の持続的な発展にとって重要であると思います。
 私には幾つもやっぱり夢があります。その一つが、未来の子供たちの将来なりたい職業のランキングの一位が男子、女子共に農業経営者、そういう日本をつくるという夢です。農業が子供たちにとって憧れる職業、憧れられる職業へと昇華すれば、後継者問題も、食料自給率の問題も、耕作放棄地の問題も解決に向かっていくはずです。日本の農業は格好いい、稼げる、夢がある、この法案がそのような将来の実現につながることを切に期待しております。
 以上です。ありがとうございました。
この発言だけを見る →
渡辺猛之#4
○委員長(渡辺猛之君) ありがとうございました。
 次に、田代洋一参考人にお願いいたします。田代参考人。
この発言だけを見る →
田代洋一#5
○参考人(田代洋一君) このような機会を与えていただいて、どうもありがとうございます。
 お手元に私の申し上げたいことを書いてございますので、大体それに即してお話をしていきたいと思います。
 私としましては、この法案の細かな点についてはもうかなり国会で議論されておりますので、大きな性格について五つばかり問題を感じております。結論的に言うならば、この法律は農業生産関連産業競争力強化法という形に純化した方がいいというふうに考えております。以下、その点について御説明をしたいと思います。
 第一点。やはりこの法律は、農業者、農業団体への国家の介入法であるというふうに感じております。
 本法案の性格の大本は、農業競争力強化プログラム、あるいは経産省サイドの産業競争力強化法、これと比較すると非常に分かりやすくて、この両方とも支援という言葉は入っておりません。
 そもそも、強化プログラムでは、ちょっと強く書いておきましたけれども、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決するということをミッションとして掲げているわけでありますけれども、法律の方は、まさに農業者の努力で解決できないというふうに言っているにもかかわらず、法案が農業者の努力を書き込むのは一体いかがなものでしょうかという感じでございます。国家の中にちょっと矛盾があるのかなという感じがいたします。
 産業競争力強化法は事業者に対する支援法でありますけれども、ここには支援という言葉は書き込まれておりません。同法では事業者の責務を規定しておりますけれども、それは、国費を投入される事業者が責務を負うのは当然でございます。ところが、農業競争力強化支援法では、農業者、農業団体は、この法律の支援対象、支援の手段である債務保証、融資、投資等々の具体的な支援策の対象ではほとんどありません、一部の農協を除いてはですね。にもかかわらず、農水省が支援という言葉を書き加えたのは一体何なんだろうか。いろいろ考えてみますと、やっぱり支援を受けるんだから農業者も努力するのは当然という論理でもって農業者、農業団体への過剰な国家介入、これのやっぱり根拠法たらしめるところにポイントがあるのかなというふうに思います。
 農水大臣は、努力規定であって、強制、義務付けはするものではないということをおっしゃっていますけれども、法律であえて強制、義務付けするのでなければ、別に法律に書く必要はないじゃないかということでございます。過剰な国家介入と申し上げた点の具体例は次でございます。
 二番目に、協同組合の事業方式としての共同購入、共同販売の否定ということでございます。
 今、鈴木参考人がおっしゃったように、私、直販、直接販売を否定するものでは全くございませんけれども、直接販売だけに限定していくというところにやっぱり問題を感じております。
 農業者、農業団体は、購買、販売に当たって有利な条件を提示する事業者と取引すべきというふうに書かれています。また、農水大臣は、努力を行う事業者を利用してもらわないと困るんだということをおっしゃっております。しかし、先ほど鈴木参考人がおっしゃったように、まさに取引相手を決めるのは、これはやっぱり市場での自由競争で決めるのであって、法が特定の取引相手をいいということでもって誘導するのはいかがなものかというふうに考えております。
 また、有利な条件という言葉も非常に曖昧な言葉でありまして、どうしてもやっぱり価格比較になりやすい。しかし、農協系統の取引としては、非常に長期の安定性だとか代金の回収だとか相互扶助だとか、あるいは使い残した農薬を無償で引き取るだとか、こういうやっぱりいろんな附帯条件の付いた総合的な有利性がございます。そういうものを有利な条件という形でもって系統共同購買を否定することになってくるんじゃないのかなというふうに思います。
 三つ目に、先ほどの直接販売と関わってきますけれども、ここは、書かれているのは、農産物流通等の合理化という、この節に書かれております。そのやっぱり合理化として、農業者、農業団体の農産物の消費者への直接の販売を促進ということで書かれています。そうなってきますと、あたかも直接販売だけが合理性を持っているというような形で取られてきて、その反射として系統共販は言ってみれば非合理だと言うに等しいということでございます。今までも全農について直接販売ということはいろいろとやっぱり言われてきましたけれども、農業者について直接販売に行けということを規定したのはこれが初めてじゃないのかなと思って驚いております。
 三つ目でございますけれども、種子法廃止がされたわけでありますけれども、その受皿法になっていると。
 法案は、民間事業者が行う種苗の生産、供給の促進と、それから試験研究機関、県が有する種苗生産の知見の民間事業者への提供を促進という感じでもって、公的機関と民間とをイコールフッティングさせている以上に民間の方に力を入れているという、そういう感じがいたします。しかも、公的機関の既存の知的財産を私企業に提供することを義務付けるということでございます。結果として、やっぱり公的機関は裸になっちゃうと。種苗を通じたアグリビジネスの農業支配に手を貸すことになるのではないのかという感じがいたします。
 農水大臣はその点について、県と民間との契約で知的財産権の海外流出を防ぐんだというふうに言っていますけれども、将来またTPPなりあるいはFTAにおいてISDSが導入されれば、県と民間との契約で知的財産権の海外流出を防ぐなんということは、これはもう完全に吹っ飛ばされてしまう、非常に危険な法律だなというふうに思っています。
 四点目でございます。
 農業所得の増大ということ自体について、これはもう誰もが望むところでございます。低廉、良質な農業資材の供給、農産物流通の合理化、これ自体は非常に喫緊の課題であると思います。しかし、ポイントは、経済学的に考えてみて、資材価格が全般的に引き下げていくとなってくると、正常な市場メカニズム、自由競争を通じれば、コストが下がるんだから、当然やっぱり売る農産物・食料の価格も引き下げるということにつながってきて、言ってみれば、これは消費者の利益には確かに安くなってなると。しかし、そのことが直に農業経営の改善、農業者の所得の増大にはつながってこないわけであります。コストが下がった分だけ価格が下がっていけば所得は増えないという当たり前のことでございます。
 言ってみれば、この法は、むしろ資材価格の引下げが、農業者というよりは消費者利益を増進するものである、そのことはやっぱり強調すべきだなというふうに思っております。法は、もって国民生活の安定、国民経済の発展に資するというような言葉を同法でも使うわけでありますけれども、この法律にはそれが一言もない、ちょっとおかしいなというふうに思っております。
 最後の五点目でございますけれども、TPPアフターケア法、事後処理法というふうに書いておきました。
 本当に資材価格の引下げが農業経営の改善あるいは農業者の所得の増大につながり得る場合は、唯一、価格が引き下げられて、そのことによって需要が拡大して販売額が増加するというときにはやっぱり農業者の所得増大につながってくると思います。ただ、問題は、価格の引下げが直ちにやっぱり需要の拡大につながるのかどうか。これは、経済学的には、やっぱり需要の価格弾力性が高い場合にはそうなりますけれども、農産物については必ずしもそうではないという感じでございます。
 そもそも、農業競争力強化支援法ということで、農業競争力という言葉については余り疑問がないように感じられるわけでありますけれども、農業競争力といった場合の競争の相手方は一体誰なのかということでございます。鈴木さんが先ほどおっしゃいましたように、一般的にはやっぱり輸出競争力ということであろうかとも思いますけれども、鈴木さんのお話にもありましたように、農産物輸出は、低価格で輸出ということももちろんありますけれども、高品質というか、バラエティーに富んでいるということが大きな武器になっているということを先ほどもおっしゃっているんじゃないかなというふうに思います。
 この法案の大本の大本は何かというと、実は総合的なTPP関連政策大綱であります。ということは、要するにこの法案の競争力とは、結局やっぱりTPPによって増大する安い輸入農産物、これに対応するために価格を引き下げるということであって、その意味では本法はTPPアフターケア法なのかなというふうに思っております。
 肝腎のTPPが、十二か国TPPだとかあるいは十一か国TPPだとか日米FTAだとか、いろいろ迷走しております。しかし、いずれにしても、政府は事もあろうに農産物輸出大国との通商交渉に非常に前のめりであります。そのことによって、日本がこういう国と交渉する場合に交渉カードを何か持っているかというと、輸出工業製品のもう関税はゼロになっていますから、交渉カードは農産物しかないということになってくると、こういう農業大国と何らかの通商協定を結んでいけば輸入増大が必至になってくると。そういうやっぱり輸入が増大していく下で、農業経営の改善、農業者の所得の増大が本当に可能なのかということがやっぱり一番問われることかと思います。
 以上、五つの問題点を挙げさせてもらいました。
 結論としまして、この法律は、農業関連産業競争力強化法という内容と、それからもう一つは農業者・農業団体介入法という農協改革以来の農水省の意図を抱き合わせた非常にやっぱり異質なものが混在しているという感じでございます。法律としては、この農業者・農業団体介入法としての側面は必要ないというふうに思いますので、これは削除して、農業生産関連産業競争力強化法に特化して、そしてそのことが消費者の利益になる、そのことを強調すべきだなというふうに思います。
 そうなってくると、じゃ、やっぱり農業所得の増大、農業者の所得の増大はどうやって図ればいいのかということでございますけれども、その点については、やはり行き過ぎた貿易至上主義、これを脱却して、多様な農業の共存を図る、食料自給率を高めると、そのことによって資材価格の引下げが農産物の需要に確実に寄与するという形をつくってくる。同時に、こうやって国内農業を守ることによってその多面的機能を更に発揮すると。そのことを通じて、今や先進国農政では農業所得の確保は何でやるかというと、これはもう直接所得支払政策でやるというのがもう大体欧米の先進諸国、韓国なんかも通じて農業所得確保の道になっているわけでございます。やはりそういう道を追求する中で個々のコストを引き下げる、そのために農業関連産業競争力強化法を作っていく、こういう趣旨でやっぱり消費者利益を追求するという形に法律を変えていくべきだというふうに考えております。
 最後に、ちょっと紙が余ったので、余計なことなんですけれども、今日の日本の政治を見ておりますと、何かやっぱり規制改革推進会議、財界と官邸と農水省が一緒になって、それと国民と皆様方国会議員、これが対立しているという形を非常に受けるわけであります。国会の皆様方も、規制改革推進会議、官邸、官庁の側に回っちゃうと、何かやっぱり規制改革推進会議支配国日本ということになってしまうんじゃないかなと思いまして、皆様方立法府の先生方の踏ん張りを是非是非期待して、私の発言を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →
渡辺猛之#6
○委員長(渡辺猛之君) ありがとうございました。
 次に、鈴木弥弘参考人にお願いいたします。鈴木参考人。
この発言だけを見る →
鈴木弥弘#7
○参考人(鈴木弥弘君) 皆さん、おはようございます。
 私は、宮城県の水田単作地帯から来ました。かれこれ、東京からUターンをして水稲を中心に稲作を始めて三十二年、今年三十三年目に入ります。しかし、勝率は六割ぐらいしかなっていません。つまり、自然を相手にやっているがために、毎年豊作を期待していろいろ作業を始めるんですが、秋に収穫してみれば、大体二十勝十二敗ぐらいの成績で終わっています。
 というように、農業は、やっぱり農作物を育てて、それを販売し収入を得て、家族を養い、人間らしい生活を確保して、なおかつ生産手段である農地を保全して自然環境を守って、結果として国民の食料を生産する、そういう私は尊い仕事だなと、産業というよりはなりわいだなというふうに思っています。
 こういった観点から今回の法案を見ますと、農業競争力というのが冒頭出てきます。随所にわたってそういう言葉が出てくるわけですが、そういう日々農村に住んで農業生産に携わっていたときに、この農業競争力というのは、一体誰と何を競争するのかというのが分からないんですね。納得できないです。私たち、自然を相手にしてやっているわけですから、自然を相手に成長したり、あるいは競争したりということはまず考えにくいわけですね。とすると、この法案の目指すところ、あるいは表題の目指すところは一体何なんだろうという素朴な疑問が湧いてきます。
 私たちは、やっぱり水田とか何かいっても、たかだか先祖伝来の家屋敷そして農地というのは限られておりますから、極めてそこで生産されるものといっても農作物であり、それが販売ということでは商品になりますが、その商品生産者だからこそ、より有利にということで先輩たちが苦労して協同の力で何とか農業経営を守り、地域を守り、ひいては国民の食料を安定して生産していこうというふうになったんだというふうに思います。
 そういう意味では、土と水と太陽で作物、生命を育むなりわい、産業としての私たち農家の立場、視点からやっぱり見ていくことがこの法案の持つ本質に迫れるんじゃないかと。そうすると、農業生産に関わる事業者と農業生産物を扱う事業者との間での競争力を強化する、それを国が支援するという法案なんだというふうにやはり私は見えてしまいます。
 私の居住する地域は典型的な、私の住んでいるところは百六十戸、非農家も含めてあります。うち百二十戸が何らかの形で農業に携わっております。そういう典型的な農村地域、集落にあります。こういったところでは、生産資材を扱うところは農協だけではありません。ホームセンターもあり、名前は控えますが、五つ六つのやっぱりホームセンターが農業生産資材を扱っておりますし、農薬なんかも扱っている。あるいは農業機械は、農協を始め農機具メーカーも、いろんな日本の名立たるメーカーの農機具メーカーもそれぞれ支店を構えてあります。
 農産物を扱うというところであっても、私、古川ですけれども、古川の卸売市場があったり石巻に卸売市場があったり、あるいはそれぞれ経営する直売所があったり、産直をしたり、あるいは農協の共販があったりというようなことで、それぞれ農家は選択をして、いい品質のものを、より廉価なものを買い求めながら自分の経営努力をしている。そして、業者さんは業者さんなりにそれぞれやっぱりお客さんを確保して、それぞれサービスを提供したり努力をしている。そういうことで地域では共存共栄をしている現状であります。
 そういう中にあって、今回唐突に農業競争力強化支援法というのが出てきて、見ますと、今の時期、なぜ、誰のためにこの法案が必要なのかということは農家の立場から見ると非常に理解に苦しみます。冒頭、鈴木さんがおっしゃったように、それぞれ農家も個々の努力をしていますし、自分で販売の努力はみんなやっています。業者も言われるまでもなく、自分のところで職員を抱え、家族を養って、経営が潰れないようにそれぞれ努力はしているんですね。そういったことで、今、地域が共存共栄、成り立っております。それを何か違うものにつくり替えてしまうという意図がありありと感じまして、私は必要がないんではないかというふうに思います。
 ですので、農業者という、農業という言葉は使ってありますが、農業者というよりも、農産物の生産物を扱う、あるいは農業生産物の流通に関わる事業者の競争力を強化して業界再編をする、それを促し支援する、それは国が行うんだというところに重点がある法案のように思えて仕方がありません。
 そうだとするならば、じゃ、地域農村社会ではどうなるか。それぞれ頑張っている地域の関連業者、そういったところもそういった競争にさらされ、やっぱり体力の弱い者、経営のちょっとした不始末から倒産なんかになっていく可能性もあります。そういうことで、共存共栄していたものがなくなってしまう、継続が困難になってしまうということが十分想定されると思います。それは、この間の大店法の施行に伴う町の商店街がどうなったかということを我々生活者の立場で、地域で、現場で見ているわけですね。そういったものが、農業関連の地域のこれらの業者もやがてそうなっていくのではないか。
 そうなると、ひいては農業者が一番困るわけなんですね。もちろん、我々の集落の中にも、どこどこの農機具メーカーに働いて家族を養っている人もいれば、どこどこのホームセンターに働いて家族を養っている人もいます。そういった人たちの働き先、行き場がなくなってしまうわけですね。そうすると、家族を養わなきゃいけないわけですから、やっぱりほかに出ていってしまう。そうすると、なおさら農村地域が人口が少なくなり、地域の衰退の傾向が、今でさえもあるのにかかわらず、それを加速化させてしまうことにこの法案は手を貸してしまうことになりはしないか、なるのではないかという危惧を非常に私は持っております。
 最後になりますが、こういった農業競争力強化を国策で行うことによって、それぞれこの間、関連業者、農業者も経営努力を行ってきています。そして、様々な先進例も生まれています。新規就農者も含めて地域にも明るい話題も生まれています。そういったこの傾向、努力に対してやっぱり否定をしてしまう結果になりはしないかと。それをあえて、やはりこの法案を通すことによって、断じてそういう傾向を否定するような方向には行うべきではないというふうに思います。
 そして、行うべきことは、日本の国土は地域に合った多様な農業が現在でもありますし、南北三千キロにわたる亜寒帯から亜熱帯までのこの緑豊かな日本の大地、自然に恵まれた大地から、やっぱり多様な農業者が農業生産をし、食料生産をして、もって農村地域社会を守っていくと、そして持続していく。そういう関係では、地域社会資本である農業協同組合はなくてはならない存在だというふうに思いますし、経歴にも若干書きましたが、私、農協の役員も行いましたし、あるいは土地改良の役員もしながら、地域にどっぷりとつかりながら農業を行っておりますし、また、時々の農政の確立のために農民連という立場で農民運動も、国会に様々な要請行動なども行ってきました。
 そういった地域に住む農業者と、そして消費者、関連業者、こういった方々が共存共栄し、共に成り立っていくことを全体として国が後押しするということが大変大事なことなんだというふうに思います。それには、田代先生がおっしゃったように、所得補償、価格保証も非常に大事だし、生産費を割って生産を続けるというボランティアでは農家はありません。いずれ、そういうこと続けばもっともっと農業経営をする人間は少なくなっていくというふうに思います。
 この法案をざっと見たんですが、前日に資料をいただきましたので、ただ、今我々農業者として生産資材の一番大きい金額のものは大型農業機械です、コンバインにしろトラクターにしろですね。こういったものはどのメーカーも、六条のコンバインとかというと一千四百万ぐらいと大体価格が決まっているんですよね。これって何なんだというふうに現場では思うわけです。それは農業機械の製造メーカーの独占的な価格体系なんじゃないのか。そのことに、これは、何かこの法案、どこにも出てこないんですね。そこをどうやって競争させるのかというのがよく分からないし、どう手を入れてもらえるのかなということもあります。
 それから、今、量販店が地域にもうかなり進出をしてきております。我々農業者の出荷先にも量販店のインショップも含めてあるんですが、非常に目に余るものは、農産物の買いたたき現象がやっぱり非常に圧力になっています。こういったことが、国がちゃんと適正な価格を提示して、量販店などの買いたたきがあった場合にはちゃんと規制をしてもらえるのかなと思って見ましたが、どこにもそういうことは書いてありません。
 つまり、今農家が必死になって頑張って、今の制度の中で様々頑張っていこうと言っているときに、最も金がさの張る大型農業機械の価格体系、あるいは大手量販店の農産物の買いたたき、農家からの買いたたき、これに触れていないというのは不思議でなりません。これこそメス入れるべきではないかというふうに思います。
 私も就農して非常に打率、勝率が悪いんですが、農業は、冒頭申し上げたように、非常に自然を相手ですので、今年は九俵取ろう、豊作を期待してやるんですが、その後の天候とかですね、私は八・五の鹿島台というところで水害も経験していますし、地震も何回も経験していますし、直近では三・一一の東日本大震災の被災もしています。
 そういうふうに、なかなか自然を相手ですので、そういったリスクと共存しながら、国民のために、そして家族を養うために、そして地域の環境、地域社会を守るために生活をしているものでありますので、是非そういった方向に国としても力添えをいただけるような、そういった法整備を一刻も早くお願いしたいというふうに思いますし、そういう観点からは、そういう方向にそぐわない今回の農業競争力強化支援法だというふうに思いますので、私の意見として申し述べさせていただきたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →
渡辺猛之#8
○委員長(渡辺猛之君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →
山田修路#9
○山田修路君 ありがとうございます。
 自由民主党の山田修路です。
 本日は三人の参考人の皆さんから大変貴重な御意見を伺いました。ありがとうございました。
 時間も余りありませんので、早速お伺いをしたいと思います。
 まず、田代先生からお伺いをしたいと思います。
 田代先生は、本当に長年農政研究の第一人者としてずっと活躍してこられて、私も農林水産省におりました当時からいろいろアドバイスをいただきまして、本当に感謝を申し上げたいと思います。今日も大変貴重な意見をありがとうございました。
 御意見に賛成できないところもあるんですが、それはともかくとして、非常に興味深くお伺いしたのは、農業所得の増大の部分であります。資材価格の全般的な引下げが、市場メカニズムであれば農産物価格の引下げにつながって、それが消費者の利益にはなる、しかし生産者の利益には一般的にはならないんじゃないかというお話がありました。大変興味深いお話で、なるほどなとも思ったんですが、まあこれは農産物の物ごとにいろいろ違うと思うんですけれども。それから、直接支払が重要だというお話も、私もこの点は同じ意見でございます。
 その上でお伺いをしたいと思うのは、そうすると、その農業者に対するコストダウンを進めていく政策ということについては、全般的に価格低下につながるのであれば、消費者の利益にはなるけど農業者の利益には余りならないとすれば、そのコストダウンを目指す政策というのは余り意味がないということになるのかどうか、その生産者にとってということなんですが、そうすると、生産者にとっていいのは、ほかの人はみんな従来のやり方をやっていて、自分だけコストダウンの取組をすればすごい利益が上がるということで、全般にこれが広がっていくということは実は農業者のためには余りいいことじゃないということなのかどうか、その辺についてちょっとお伺いをしたいと思います。
この発言だけを見る →
田代洋一#10
○参考人(田代洋一君) どうもありがとうございました。
 私のレジュメの四に書いておきましたけれども、低廉、良質な農業生産資材の供給だとか農産物流通の合理化それ自体は、これはやっぱり直に消費者の役に立つことだけれども、もちろん生産者としてもそれをもう、やっぱり消費者の利益になることを、生産者が嫌だ、自分の所得さえ上がればいいということには決してならない話だと思うんですね。
 それからまた、やっぱりこういう資材価格を引き下げる、流通を合理化することによってコストが下がることによって、きちっと国境措置がとられるならば、国内需要がそれなりにやっぱり増大していくということと、今強調している輸出競争力もやっぱりそれなりに付いていくということでもって、このこと自体を私、否定するということは一言も申し上げているわけではありません。ただ、これが直に、何か資材の価格を引き下げれば直に農業所得の増大につながるというのは、これはやっぱり幻想だねと。そのためには、やっぱりちゃんと需要を確保する、市場を確保するという大前提があって初めてつながっていくということでございます。
この発言だけを見る →
山田修路#11
○山田修路君 ありがとうございます。大変よく分かりました。
 特に、この法案でもう一つの狙いの流通とか加工のところについて合理化を図っていくというのは、まさに今おっしゃったように、本当に消費者に対する効果があって、それが跳ね返って農業者の利益になるということだと私も理解をしているんですが、資材のところも理論的にはそういうことだというお話だと思います。よく分かりました。ありがとうございました。
 皆さんおられるので、鈴木啓之さんにお伺いをしたいと思います。
 鈴木さん、先ほどおっしゃっていましたけれども、産直に取り組んでおられるということで、ただ、全ての農業者の人がいろんな選択をできるというわけでもないというようなのが現状だとおっしゃっていましたけれども、直販、ネット販売をやっていくということについての御本人の御苦労がどんなものがあるのかということと、ほかの人も、じゃ、そういう産直に取り組んだらいいじゃないかということについて、こういう人ならやっぱり産直に取り組んでいった方がいいんじゃないかという、御自分の御苦労の話、それから、ほかの人が、こんな人ならお勧めしたいというようなことをちょっとお伺いできたらと思います。
この発言だけを見る →
鈴木啓之#12
○参考人(鈴木啓之君) ありがとうございます。
 やっぱりネット販売、直接販売の苦労ということなんですけれども、もう本当に日本中にも世界にも数多くのニンジンがある中で、では鈴盛農園のニンジンというのをやっぱり見付け出してもらうということ、これは非常に大変なことだと思います。そのために、小まめな情報発信であったりとかホームページの強化だったり、そういうことを必要とする部分があるのかなというのは感じました。
 産直に取り組むべき人なんですけれども、やっぱり、先ほどのお話の中でも出させていただいたように、新規就農者というのは比較的面積が少なかったりして、自分の作る農産物を、こういうこだわりを持ってこういう農法でやっていてこういうふうに手が掛けれるんですよということを比較的PRしやすい立場にあると思います。そういうちょっと特殊な作り方ですとか思いを込めた作り方というのを求める消費者の人がいるのも事実ですので、そういった作り方をしている生産者は直接販売に取り組むとよいのかなというふうに思います。
 以上です。
この発言だけを見る →
山田修路#13
○山田修路君 ありがとうございました。
 鈴木さんは、自動車の関連の企業におられて、それで農業に新規参入されたということで、いろんな企業の関係のいろんなノウハウとか、先ほど経営者としてのセンスというようなこともお話をされていましたけれども、そういう企業で働いた経験のある人ばかりではなくて、親の農業を継いだり、あるいは学校を出てすぐ農業に就いたという人もおられると思うんですね。そういう人たちが企業的な感覚とかいろんな企業が持っているノウハウを身に付けていくということもこれからの農業経営では非常に大事だと思うんですけれども、鈴木さんのような方でなく、つまり企業経験のない方がそういうノウハウを身に付けるにはどういう方法、どういうことをやっていったらいいのか、あるいはその仕組みとして、地域の仕組みというか、あるいはそういうことについて何か御意見があればお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
鈴木啓之#14
○参考人(鈴木啓之君) やはりそういう企業経験がない方で親元就農をされる方だと、農業大学校であるとか農業高校に通ってその後就農する方というのも多くの数がいるのも事実だと思いますが、その中のプログラムで少し経営的な部分だったりとかビジネスマナーであったりとか、そういうところがより強化されて農業大学校の中でもビジネス感覚を養えるというようなプログラムが入っていくと、まず少し卒業した段階で基礎的な部分が持てるのかなというふうに思いますので、ちょっと農業高校、農業大学校での教育によりビジネス的な感覚を、これはあった方がいいんじゃないかなというふうに思います。
この発言だけを見る →
山田修路#15
○山田修路君 ありがとうございます。
 それともう一つ、新規参入ということで入られたわけですけれども、地域との関係というんですかね、非常に農業の盛んな地域ですので、その地域の人たちとの交流というのか、それも非常に大事だと思うんですけれども、そういうことについて抵抗がなかったのか。あるいは、その地域の中で新しく農業をやっていく上で努力されてきた点というか苦労されてきた点というか、そういうことがありましたら、ちょっとお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →
鈴木啓之#16
○参考人(鈴木啓之君) やはり最初は、突然新規就農するものですから、なかなか、あいつは本当にやるのか、若しくは、ちょっと最初は気持ちで入ってきたけどそのまま諦めて農地を荒らしてしまうんじゃないか、そういう地域の今まで農地を守られてきた方たちの心配の目は確かにあったと思います。
 私自身も数年農業をしていくうちに、徐々に徐々に地域の人からも、ああ、あいつも本当に農業をやっている、ちゃんとやっているなということで認めていただいたのか、ここの畑もやってみるかとか、ここの農地をやってくれるかという声も増えてきて、そういったことから農地を少しずつ今拡大できているようになってきました。
この発言だけを見る →
山田修路#17
○山田修路君 最後に一点だけお伺いします。
 今の農地の拡大のところですけれども、主に借りているということなんでしょうかね。農地を手に入れるための資金というかお金、あるいは機械を装備する上でのお金とか、いろいろ資金の面でも大変だったんじゃないかと思うんですけれども、その辺はそれほど大変じゃなかったか、あるいは借入れをしたのか、どういうふうに資金を手当てしたのかということについてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
鈴木啓之#18
○参考人(鈴木啓之君) 農地は基本的には借入れでの耕作が多いんですけれども、一部は自分で購入をしています。また、機械、農地の購入に対しての金銭的な部分というのはやはり銀行からの借入れを行って購入に至っております。
この発言だけを見る →
山田修路#19
○山田修路君 ありがとうございました。
 それでは、最後に鈴木弥弘さんにお伺いをしたいと思います。
 鈴木さんは、事前にいただいた資料では、産直センターの方もやっておられるというようなことが書いてあります。もちろん、農協の役員とか土地改良区の役員もされていたり、いろいろ地域で活躍をされているというふうに伺っておりますけれども、消費者への産直ということと、先ほどの資料にもありましたけれども、いろいろな直売所であったり卸売市場であったりいろいろ売るところもありますというお話もありましたけれども、その産直ということと、農協とかあるいは市場に出していくということのメリット、デメリットというんでしょうか、両方御経験をされている、あるいは農協の理事もされているということなので、その辺についてどのように考えておられるのか、ちょっとお伺いできたらと思います。
この発言だけを見る →
鈴木弥弘#20
○参考人(鈴木弥弘君) 産直センターというのは、米の検査が民間検査になったときに国が農産物検査をしなくなったということで、どうしても農産物検査をするために法人化をしないと登録検査機関に参入できない。で、登録検査機関を立ち上げ、そして検査したお米を、組合員のお米を、消費者団体と連携をしながらお米の産直と。それだけでは当然賄えませんので、それは日本の名立たるいろんな大手、あるいは中小の卸、そういったところと農民連を経由して準産直米という形でほぼ年内には全量販売をし、生産者にお支払をしていると。それは、農協に出荷した共販よりは若干少し、農協なんかの経費少ない分だけそれを生産者に価格で還元できるというような形で、若干のメリットを出しながら継続をしている状況です。
 市場出荷となると、市場はある程度のロットがないといけないし、個人でも相当大規模にやらないと市場が相手にしてくれませんので、なかなか市場出荷の産直というのは難しいので、都会の消費者の方々と産直ボックスということでやりましたが、なかなか年々高齢化に伴い数が少なくなってきて採算的に合いませんので、最近はちょっと休止しているような状況ですが、そういった努力をいろいろ、地域にあって消費者との連携も追求しながらやっているという状況であります。
この発言だけを見る →
山田修路#21
○山田修路君 ありがとうございました。
 先ほどのお話にもありましたけれども、現場の農業者、いろんなことを考えて、いろんな方法を選んでやっていますよというお話だったと思います。ありがとうございます。
 もう一つ、鈴木弥弘さんにお伺いしますけれども、もちろんここに書いてあるように、いろんな努力をされている、それから、農業機械の話も先ほどありましたけれども、鈴木さんの、あるいは鈴木さんのグループかもしれませんけれども、経費の削減ということで自分たちでこういう取組をしているとか、そういうことで特に何かありましたらお話をいただけたらと思います。
この発言だけを見る →
鈴木弥弘#22
○参考人(鈴木弥弘君) 農機具の卸メーカーも地域にあるんですね。農協なんかにも農機具の卸ですから卸していると。農民連はある程度まとまった量を買うというので、地域の農機具の卸屋さんとお話をして、農民連は農協への卸価格とやや同じぐらいでいいよというような話をしまして、それで供給していただくとか、そういった地域の関係というのは、顔見知りですから、そういったことでいろいろ率直な相談をしながら、やっぱりそれは赤字を出してまでそういうことはしないはずですので、できる範囲で、それぞれ顔の見える関係で、地域ではそういう関係がいろいろできていると。
 そういう形で我々もいろいろ、販売にもより有利な形で、あるいは生産資材の共同購入なども通じて少し安くとかというようなことではやっております。
この発言だけを見る →
山田修路#23
○山田修路君 済みません。ありがとうございました。
 ちょうど時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →
舟山康江#24
○舟山康江君 舟山康江です。
 今日は三人の参考人の皆様、本当にありがとうございました。
 お話を伺っておりまして、今回の法律には農業者の努力義務というものが入っていますけれども、そんなこと言われなくてもそれぞれが努力をしていろんな取組をされているんだなということを改めて感じましたし、そしてもう一点、お話を伺っていて、やはり農業にはいろんな形態があって、鈴木啓之さんは土地利用型というよりも労働集約型の農業を行っていて、鈴木弥弘さんの方は、いわゆる土地利用型を中心なんでしょうかね、宮城ですからお米を中心として、それにプラスアルファで恐らく園芸等もされていると思いますけれども、やはりそういった形の形態によってもいろいろ課題は違っているのかなということも感じました。
 そういう中で、最後に鈴木啓之参考人がおっしゃっていた、子供たちの将来の夢の第一番に農業だということになってほしいなということがありましたけれども、私も本当にそう思いますし、そういう中で、やはりある意味、農外から農業に就農されていろんな御苦労もあると思いますけれども、ここまで前向きに取り組んでおられる鈴木さんの姿というのがまさに子供たちの将来の夢一番に、いいお手本になっていくんじゃないのかなと思いますけれども。
 まず、そういった流れをつくる意味でも、改めて、なぜ農外から農業への就農を考えたのか。そしてまた、今、碧南市ですけれども、ここは御出身の地域なんですかね、そういった中で、家族構成、御両親が農業に関わっていたのか否か、その背景ですね、就農までの背景と理由についてちょっと簡単にお話しいただけますでしょうか。
この発言だけを見る →
鈴木啓之#25
○参考人(鈴木啓之君) 共感いただきましてありがとうございます。
 私は、父、母は農業をやっていなかったので、本当に僕が改めて新規参入した形になるんですけれども、うちの祖母が農業をやっておりまして、まあ孫としての就農というのに近いのかもしれませんが、環境としては、おばあちゃんが農業に朝出ていって夕方帰ってくるという姿を見ていました。
 就農をしたきっかけとしては、僕、それまではやっぱり会社員をやっていたので、農業というようなところと全く離れたところでいたんですが、結婚したのをきっかけに自分で何か仕事をしたいというふうに思って、そのとき、これから先もう可能性のある産業というのは何だろうかというのをいろいろと当たっていったときに、農業というのはちょっとこれから先可能性があるんじゃないかと思いました。
 というのも、農業にちょっと興味を持ったときにいろいろ調べてみたら、若い人でやっている人がいない、お先は真っ暗な業界だ、ちょっと販売とかに関しても苦労をしている、そういった結構ネガティブなニュースが多かったんですね。あっ、それであれば逆に、じゃ、自分みたいな、当時二十代であったので、若い人間がこれまでと違う売り方で、これまでと違うPR方法で農業に参入したら、もしかしたらまだ参入しても生きていける、そういう隙間があるんじゃないのかと思って、それが農業の世界に入るきっかけでしたが、やはり祖母が日頃農業、畑にいたというのも大きな部分であったのかなと思います。
この発言だけを見る →
舟山康江#26
○舟山康江君 ありがとうございました。
 やはり国がやるべきは、そういった思いを持つ若者が増えるように、そして、そう思った人たちがすぐ何か一つの職業選択として入れるようにすること、改めてそんなことを感じましたし、実は私も非農家の出身なんですけれども、祖父母が農業をやっているのを見て、私は、今農家ではなくてこんな仕事していますけれども、本当に農業に関心を持って、農学部、そして農林水産省と、農業関係の仕事をずっと続けたいななんて思ってこんなことをやっておりますので、やはりそういった環境整備が改めて必要だなということを感じました。
 そして、今は産直とか直接取引ということで随分頑張っておられますけれども、多分最初の一歩がすごく大変だったんじゃないのかなと思うんですよ、作ったはいいけど、どうやって売っていこうとか。そういう中で、直売所に出されていたと聞きましたけれども、それは既存の地域の直売所を利用されたんですか。
この発言だけを見る →
鈴木啓之#27
○参考人(鈴木啓之君) 私の中で、直売所を選ぶときに、産地というのはどうしても物余りが起きてなかなか自分の農産物に価値が付けにくいところがあると思いましたので、ちょっと商圏を離して、車で一時間ぐらい離れたような場所で、ニンジンという作目が主に作られていない場所にここで販売したいということで頭を下げに行ったのですが、何しろ管轄が違うものですから、最初は、突然来ても無理だよというふうにやはり言われて、それはもう僕の中でもごく当たり前のことだなと思ったんですけれども、何度も通って、もう僕にはここしかないんです、何しろ、そうでないと十キロ五十円になってしまうので、もう必死で頭を下げて、ニンジンの、じゃ、少ない時期だけは君にここに出してもいいよということで、そこからスタートさせていただきました。
 なので、最初は本当に苦労があったかなかったかというと、やはりここまで結構苦労の連続だったのかもしれないんですけれども、いざその苦労の壁を乗り越えたら明るかったというふうに思っております。
 以上です。
この発言だけを見る →
舟山康江#28
○舟山康江君 ありがとうございます。それは本当に、農業以外の自動車販売の、他業種での経験がすごく生きているんだなというふうにも思いました。
 そして、済みません、もう一点だけお聞きしたいんですけれども、今、国もそうですけれども、企業の参入とか大規模化とか、そういったことが随分後押しされていますけれども、一方で、個人経営で小さくてもがっちり地に足を付けて根を張ってしっかりとした経営理念を持ってされていますけれども、そういった企業の農業参入とか大規模化についてはどのようにお考えですか。
この発言だけを見る →
鈴木啓之#29
○参考人(鈴木啓之君) やはり農業というのも、本当に作物もそうなんですけれども、非常に多岐にわたっているなというのを私自身も日々痛感しておりますが、うちのような小さくて直接関係性のある販売方法を取るという農業も一つであり、大規模化農業というのも一つの形としてはやはりあってもいいのかなと思います。
 企業の参入ということなんですけれども、やっぱり企業の参入、いろいろな課題があるということも聞いていますが、本当に高齢化で産地として滅亡してしまうようなところに関しては、例えば企業がそこに入って、産地が、農村が生き延びる、守られるということであるならば、それも一つの方法として良いことなのかなと思います。
 以上です。
この発言だけを見る →
← 戻る