法務委員会
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会
会議録情報#0
平成二十九年六月一日(木曜日)
午前十時二分開会
─────────────
委員の異動
六月一日
辞任 補欠選任
山添 拓君 仁比 聡平君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 秋野 公造君
理 事
西田 昌司君
山下 雄平君
真山 勇一君
佐々木さやか君
委 員
猪口 邦子君
中泉 松司君
古川 俊治君
牧野たかお君
丸山 和也君
元榮太一郎君
柳本 卓治君
有田 芳生君
小川 敏夫君
仁比 聡平君
山添 拓君
東 徹君
糸数 慶子君
山口 和之君
衆議院議員
修正案提出者 松浪 健太君
国務大臣
法務大臣 金田 勝年君
外務大臣 岸田 文雄君
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 松本 純君
副大臣
法務副大臣 盛山 正仁君
大臣政務官
法務大臣政務官 井野 俊郎君
事務局側
常任委員会専門
員 青木勢津子君
政府参考人
警察庁長官官房
審議官 高木 勇人君
警察庁長官官房
審議官 白川 靖浩君
法務省刑事局長 林 眞琴君
外務大臣官房参
事官 飯島 俊郎君
外務省国際情報
統括官 鈴木 哲君
参考人
弁護士 西村 幸三君
青山学院大学名
誉教授 新倉 修君
立命館大学大学
院法務研究科教
授 松宮 孝明君
─────────────
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関
する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
─────────────
この発言だけを見る →午前十時二分開会
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委員の異動
六月一日
辞任 補欠選任
山添 拓君 仁比 聡平君
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出席者は左のとおり。
委員長 秋野 公造君
理 事
西田 昌司君
山下 雄平君
真山 勇一君
佐々木さやか君
委 員
猪口 邦子君
中泉 松司君
古川 俊治君
牧野たかお君
丸山 和也君
元榮太一郎君
柳本 卓治君
有田 芳生君
小川 敏夫君
仁比 聡平君
山添 拓君
東 徹君
糸数 慶子君
山口 和之君
衆議院議員
修正案提出者 松浪 健太君
国務大臣
法務大臣 金田 勝年君
外務大臣 岸田 文雄君
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 松本 純君
副大臣
法務副大臣 盛山 正仁君
大臣政務官
法務大臣政務官 井野 俊郎君
事務局側
常任委員会専門
員 青木勢津子君
政府参考人
警察庁長官官房
審議官 高木 勇人君
警察庁長官官房
審議官 白川 靖浩君
法務省刑事局長 林 眞琴君
外務大臣官房参
事官 飯島 俊郎君
外務省国際情報
統括官 鈴木 哲君
参考人
弁護士 西村 幸三君
青山学院大学名
誉教授 新倉 修君
立命館大学大学
院法務研究科教
授 松宮 孝明君
─────────────
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関
する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
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秋
秋野公造#1
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に弁護士西村幸三君、青山学院大学名誉教授新倉修君及び立命館大学大学院法務研究科教授松宮孝明君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に弁護士西村幸三君、青山学院大学名誉教授新倉修君及び立命館大学大学院法務研究科教授松宮孝明君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
秋
秋
秋野公造#3
○委員長(秋野公造君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人から御意見を伺います。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
議事の進め方について申し上げます。
まず、西村参考人、新倉参考人、松宮参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきとう存じます。
なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
それでは、西村参考人からお願いいたします。西村参考人。
この発言だけを見る →この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
議事の進め方について申し上げます。
まず、西村参考人、新倉参考人、松宮参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきとう存じます。
なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
それでは、西村参考人からお願いいたします。西村参考人。
西
西村幸三#4
○参考人(西村幸三君) 本日は、法案に賛成の立場で意見を述べさせていただきます。
私は、二十数年間、弁護士として民事介入暴力対策に取り組んでまいりまして、現在は日弁連民事介入暴力対策委員会の幹事を務めております。代理人として取り扱った事件としては、広域暴力団組長に対する使用者責任を認めた最高裁判所平成十六年十一月十二日判決、今年のものでは京都を本拠とする広域暴力団の本部の組事務所の使用差止め仮処分決定などがございます。
なお、以下は個人としての見解です。
長年私が民暴対策活動として取り組んできたのは、組織犯罪から資金を剥奪して弱体化させ、被害者に被害回復することができないかというテーマです。
平成十三、四年頃の組織的闇金、架空請求の被害はひどいものでした。一般の方々が何十万人と暴力的被害に遭って、さらに追い詰められて命まで落としていく姿を目の当たりにしました。消費者センターの電話もパンクし、私は闇金を追い払うために声がかすれ、目がかすむまで連日電話を掛け続けていた記憶があります。
闇金などの匿名犯罪対策として、携帯電話不正利用防止法を私が日弁連内で言い出しまして民暴委員会発から提唱したところ、迅速に平成十六年、議員立法で成立いたしました。たちまち携帯電話闇金、架空請求は数の上では激減しましたが、その後も振り込め詐欺は私設私書箱や転送電話など犯罪ツールを変えて莫大な被害を発生させています。
組犯法、組織的犯罪処罰法という法律は、組織的な犯罪行為の重罰化と並んで犯罪収益の剥奪に重きを置いた法律で、組織的犯罪集団からの犯罪収益の剥奪が犯罪組織を弱体化させ、被害を防止し、社会が奪われた被害を回復するということを目的とする法律です。
日弁連は、暴力団対策法にも平成三年の制定時には猛反対し、平成十一年の組犯法の制定時にも猛反対をしています。そのときも、法律ができたら戦前のような社会になる、治安維持法の再来だと激烈な反対運動がありました。ですから、今回の日弁連の反対運動には既視感があります。
この法案では、日弁連意見書や弁護士が主張する反対論がマスコミや野党の主張に取り入れられて反対の根拠をされてきました。しかし、私の見るところ、その内容には多くの誤りがあります。批判は後ほど触れますが、私の意見といたしまして、今回の組犯法の改正に賛成の理由を申し上げます。
理由の第一は、組犯法の没収対象の罰条や犯罪化することを要求されているレベルをようやく世界の標準レベル、TOC条約レベルまで引き上げることができることです。
第二に、TOC条約でいずれか又は両方の導入が義務付けられている共謀罪と参加罪のうち、結社の自由に配慮して共謀罪型を選択し、しかも、それに対して絞りを二重に掛けて、準備行為と、組織的犯罪集団について行われていることを要求したことです。これによって、参加罪型の国はもちろん、共謀罪型の国も含めて、世界の法制でも恐らく例を見ないくらい構成要件が謙抑的で、対象罰条も立法事実面から数を絞り込んで処罰範囲を狭めたリベラルなものとなっていることです。
第三に、世界がボーダーレスになり、犯罪収益が日本に持ち込まれることも海外に持ち出されることも多いところ、条約の相互主義の観点からは、TOC条約を批准しなければ日本の社会から奪われた犯罪被害の回復に支障が出かねないことです。
第四に、外国からの情報を受けられなければ、日本国内での外国人犯罪者、特にテロリストの摘発や予防には致命的ということです。さらに、摘発できなければ、犯人の外国への引渡しもできない、犯罪収益の没収ができない、外国が奪われた犯罪被害を外国に返還してあげることもできない。これは日本が国際的責任を怠っていると非難されてもしようがないことです。十数年この法案がたなざらしされてきて、日本が犯罪化を怠ってきた国際的責任を今回の法案でようやく果たせることになったと思っています。
次に、この法案について主に日弁連や弁護士らから発信されて各方面に広がっている様々な反対理由について、私が誤りと考える点を指摘していきたいと思います。
まず、立法ガイド五十一項の第四文を根拠にして、共謀罪、参加罪、どちらも犯罪化しなくてもよいという主張が日弁連から反対の大前提の根拠として二〇〇六年意見書以来一貫して提起されており、今でも各都道府県の単位弁護士会レベルに浸透しています。しかし、立法ガイド五十一項の英文の日弁連翻訳が間違いというのは、既に平成十八年の時点で外務省が国連事務局に口頭で確認し、外務省ウエブサイトに掲載され、国会でも答弁され、しつこいぐらい時間が費やされてきました。
私も以前から、日弁連の訳は完全な誤訳だ、牽強付会と考えていました。仮に外務省がそんなすぐばれるうそをついているというなら、何で日弁連から直接国連事務局に問い合わせないんだろうと思っていました。
今回、政府から書面で問い合わせることとなり、四月十一日付けで国連UNODCから書面ではっきり回答が返ってまいりました。それによれば、本条約五条1(a)が少なくとも一方を犯罪化することを明確に求めているから、立法ガイド、パラグラフ五十一は、いずれをも犯罪化しないことを許容することを意図するものではないとの回答となっています。
つまり、外務省が十一年前に確認した内容そのままです。にもかかわらず、日弁連が拡散させたこの誤訳がマスコミや多くの議員にまで拡散して、いまだに無駄な議論に社会全体が膨大な時間を費やしています。日弁連二〇〇六年意見書では、共謀罪、参加罪のイーザーを採用しなくてもいいというのを、これらの概念と訳しています。イーザーは単数形なので、いずれもと訳すならまだ分かりますが、複数形で翻訳されているわけです。
今年の二月一日付けで、共謀罪法案の提出に反対される刑事法研究者の方々の声明で、百六十三名の方が日弁連二〇〇六年意見書と似た論理で共謀罪、参加罪、どちらも導入不要と意見表明されていますが、ここでも五十一項の問題を、イーザーを、それらをと、やはり複数形で訳されています。日弁連の誤訳が拡散しているという印象が強いです。こんなことでは日弁連の法律家団体としての意見の信用性はかなり損なわれてしまうのではないかと、私は大変懸念を感じております。
組犯法といえば、話が変わりますが、平成十七年頃、山口組五菱会闇金の首魁の資産数十億円の没収と被害回復が課題になりました。当時、組犯法が、被害財産を一旦国が没収してから被害者に分配するのではなく、そもそも没収しないという立て付けになっていたことから、仮に外国が被害を受けた場合にも外国に送るシステムもない、つまり相互主義が確保されていなかったためにスイスで没収された預金が日本に返還を受けられないという事態が起きました。急遽、日弁連では民暴委員会で起案して日弁連提言として国に申し入れ、国でも急遽法整備をし、被害財産のスイスからの一部返金は受けられたものの、結局シンガポール・ルートの数十億円の追及はできなかったという結末になりました。シンガポールから、日本とは捜査協力の相互協定がないため銀行の口座情報を開示できないと捜査協力を拒否されたと報道されたように記憶しています。
私の依頼者も、この五菱会闇金の被害回復は受けました。一四・七%の配当率でした。多いか少ないか、見方はどちらもありますが、組織的犯罪に対する国際的な捜査協力、情報交換というのはこれほどに大事なものです。TOC条約十四条二項にも、外国の犯罪被害財産をその国に返還することの優先考慮が定められています。
さて、ほかの反対理由に触れます。
立法ガイドの五十一項の英文が誤訳であるとして、それでもなお反対論の根拠として、立法ガイド四十三項と六十八項(e)を根拠に、条約の精神を生かせば、共謀罪、参加罪、どちらも導入しなくてもよいと言い続けておられる論者もあります。しかし、それも国連からの書面回答で、いずれをも犯罪化する必要がないことを意味するものではないとはっきり否定されています。しかし、それでもやはりその発言が各所でされていて、マスコミでも取り上げられ、議論をミスリードされ続けているように思います。
あるいは、立法ガイド十二項でその他の措置と書いてあるのを取り上げて、立法措置ではなくてもいいのだという反対論もあります。これも国連の正式回答で、犯罪化するための立法措置をとらなくてもよいということを意味するものではないとしています。
さらに、TOC条約三十四条に関して、国をまたがった犯罪でなければ共謀罪で処罰する必要はないという反対論もあります。これも間違いで、国連からの書面回答で、犯罪化に当たっては国際性の要件がそれらの犯罪の要件とされてはならないことは明白であるとして、やはり反対論が間違いと回答されています。
つまり、条約や立法ガイドの解釈として反対理由に挙げられてきた多くの論点はほぼ間違いで、外務省が国連にこれまで問い合わせて説明した内容が正しかったということは決着が付いてしまっていると思います。
ほかの反対理由として、本法案がテロ準備罪と呼称されていることについて、TOC条約はテロと無関係である、組織的犯罪の経済行為を処罰することが目的だから、それ以外を罰条に加えるのは間違いというものがあります。でも、これも間違っています。
まず、テロとの関係ですが、平成二十六年十二月、国連安保理の全会一致決議で、テロリストが国際組織犯罪から資金を得ていることを防ぐべきとされていて、組織犯罪防止はテロ対策の一環と位置付けられています。安保理決議第二千百九十五号は外務省のサイトで公表されており、それによれば、前文十三で、国際組織犯罪から資金を得ているテロ組織が、国の安全、安定、統治及び社会経済発展を妨げることにつながり得ることを深刻に憂慮とされ、主文八では、加盟国及び関係機関に対して、テロリストが国際組織犯罪から資金を得ることを防ぎ、また、国境管理能力やテロリスト及び国際犯罪組織に対する捜査・訴追能力を構築するための協力と戦略を強化することを奨励となっています。これがTOC条約の国際的な位置付けです。TOC条約の締結がテロと無関係であるという反対論が展開されていることには強い違和感を感じます。
TOC条約は、直接又は間接的に物質的利益を得る目的と五条で書いていて、反対論はそれを、経済犯罪だけを共謀罪で処罰すれば足りるのに罰条が多過ぎると言われているようですが、間接目的の中に組織的犯罪集団の暴力犯罪始め、ほかの法益侵害類型を含むのは当然の話と思います。犯罪組織は、単に資金獲得活動をするだけではなく暴力犯罪に走ります。報復、見せしめ、内部統制のためのリンチ、組織内外で暴力によって威力を強化し、社会を恐怖に陥れること自体が組織犯罪集団、テロ組織にとっては意味があります。そういったアウトローのデモンストレーションを見て、信奉したり、関係をつくろうと思ったり、恐怖に屈し金やその他の支援を提供する者も出てきます。組織犯罪の暴力の最終目的は、あくまで物質的利益です。
次に、テロ準備罪で処罰される対象罰条が広過ぎるという反対意見が繰り返し出ます。しかし、一通り対象罰条を見てみれば、よく絞り込んだという印象です。
今回の法案では、組織的犯罪集団の団体の活動としてという要件の絞り込みが入りました。その結果、立法事実として組織的犯罪集団が行うことを考えにくい罪については対象罰条から外すというベクトルプレッシャーが掛かったと思います。
過失犯を外すことについては、TOC条約五条が故意を要求していますから、外しても条約批准には影響はなく、構わないと思います。ただ、諸外国の規定例を見ていると、単に何年以上の罪の共謀を罰するという包括規定を置いているものも結構あって、過失犯などをそもそも除外していないように見られる立法例が多分に見受けられます。これは、実際には適用されることがないからという、割り切っておられるということだとは思いますが、過失犯が処罰されないのは明らかだと思います。
日本は別表方式で特別法も全部列挙してはいますけれども、日本の刑事実体法は刑法典の外にある特別刑法が多いこともあって対象罰条は増えてしまいがちだと思いますが、国際比較で罰条数をベースに客観的比較をすること自体が無理がありますし、構成要件の広がりが各国によって違いますから、だからこそ四年以上の罪という基準が客観的としてTOC条約で採用されています。それを、罰条数を基準に多いあるいは少ないという議論自体が比較基準として客観性を欠いているし、ガラパゴス的なのではないかと考えております。
絞り込みを行うことは謙抑的な立法としては結構なことですけれども、立法事実による絞り込みは諸外国から見てどうか、外国での組織犯罪集団の実態はどうかということも踏まえないといけませんが、全ての外国の実態を調べ尽くすことはできません。全ての国がそういう調査をしなくても済むように、TOC条約が四年以上の罪という客観的な基準を置いています。
しかし、日弁連は、政府がTOC条約に加盟した全ての国が重要な犯罪の全てについて共謀罪を制定したのか調べていないから、不明になっているから法案に反対だと今年の意見書でも書いています。しかし、これは余りにむちゃな要求だと思います。一方で、日弁連は、共謀罪不要説の根拠として、諸国の実情に踏まえて立法すればよいのだ、だから日本も共謀罪は要らないと言っているのですから、批判のベクトルがばらばらです。あるいは、条約批准の審査はないんだから、今のまま批准すると言えばいいという意見まで出ています。しかし、それを言ってしまったら、憲法で言う条約、国際法の誠実遵守義務違反、憲法尊重義務違反だと思います。そうなりかねないと思います。
ちなみに、諸外国の共謀罪立法では、組織的犯罪集団の要件も置かれていないところが多いと思います。なぜなら、TOC条約策定作業当時、条約五条で組織犯罪が関与するという絞りを掛けられるようにと要望したのは日本政府で、他国はそもそもそれ以前にその絞りのない共謀罪を持っていて、そんな必要も感じていなかったようです。
適用罰条について、テロ準備罪制定の後も社会経済の発展により立法事実、特別刑法は変わっていきます。逐次適用罰条は見直していくものです。やや極端な例をあげつらって法案自体をそもそも通さないという発想はサボタージュになりかねないものであって、私には理解ができません。今回の適用罰条を全体として見れば、適切な絞り込みだというのが私の評価です。それがここまで入口論で混迷してきたように見受けられます。
今回の反対論には、外国から見て日本がどう見えているかという視点が欠けていて、ガラパゴス化しているのではないかと感じています。しかし、ガラパゴス化して条約の相互主義まで軽視してしまったら、それはエゴイスティックということになってしまうと思います。
どうぞ、TOC条約の早期国内法化を進められるよう要望して、私の意見とさせていただきます。
この発言だけを見る →私は、二十数年間、弁護士として民事介入暴力対策に取り組んでまいりまして、現在は日弁連民事介入暴力対策委員会の幹事を務めております。代理人として取り扱った事件としては、広域暴力団組長に対する使用者責任を認めた最高裁判所平成十六年十一月十二日判決、今年のものでは京都を本拠とする広域暴力団の本部の組事務所の使用差止め仮処分決定などがございます。
なお、以下は個人としての見解です。
長年私が民暴対策活動として取り組んできたのは、組織犯罪から資金を剥奪して弱体化させ、被害者に被害回復することができないかというテーマです。
平成十三、四年頃の組織的闇金、架空請求の被害はひどいものでした。一般の方々が何十万人と暴力的被害に遭って、さらに追い詰められて命まで落としていく姿を目の当たりにしました。消費者センターの電話もパンクし、私は闇金を追い払うために声がかすれ、目がかすむまで連日電話を掛け続けていた記憶があります。
闇金などの匿名犯罪対策として、携帯電話不正利用防止法を私が日弁連内で言い出しまして民暴委員会発から提唱したところ、迅速に平成十六年、議員立法で成立いたしました。たちまち携帯電話闇金、架空請求は数の上では激減しましたが、その後も振り込め詐欺は私設私書箱や転送電話など犯罪ツールを変えて莫大な被害を発生させています。
組犯法、組織的犯罪処罰法という法律は、組織的な犯罪行為の重罰化と並んで犯罪収益の剥奪に重きを置いた法律で、組織的犯罪集団からの犯罪収益の剥奪が犯罪組織を弱体化させ、被害を防止し、社会が奪われた被害を回復するということを目的とする法律です。
日弁連は、暴力団対策法にも平成三年の制定時には猛反対し、平成十一年の組犯法の制定時にも猛反対をしています。そのときも、法律ができたら戦前のような社会になる、治安維持法の再来だと激烈な反対運動がありました。ですから、今回の日弁連の反対運動には既視感があります。
この法案では、日弁連意見書や弁護士が主張する反対論がマスコミや野党の主張に取り入れられて反対の根拠をされてきました。しかし、私の見るところ、その内容には多くの誤りがあります。批判は後ほど触れますが、私の意見といたしまして、今回の組犯法の改正に賛成の理由を申し上げます。
理由の第一は、組犯法の没収対象の罰条や犯罪化することを要求されているレベルをようやく世界の標準レベル、TOC条約レベルまで引き上げることができることです。
第二に、TOC条約でいずれか又は両方の導入が義務付けられている共謀罪と参加罪のうち、結社の自由に配慮して共謀罪型を選択し、しかも、それに対して絞りを二重に掛けて、準備行為と、組織的犯罪集団について行われていることを要求したことです。これによって、参加罪型の国はもちろん、共謀罪型の国も含めて、世界の法制でも恐らく例を見ないくらい構成要件が謙抑的で、対象罰条も立法事実面から数を絞り込んで処罰範囲を狭めたリベラルなものとなっていることです。
第三に、世界がボーダーレスになり、犯罪収益が日本に持ち込まれることも海外に持ち出されることも多いところ、条約の相互主義の観点からは、TOC条約を批准しなければ日本の社会から奪われた犯罪被害の回復に支障が出かねないことです。
第四に、外国からの情報を受けられなければ、日本国内での外国人犯罪者、特にテロリストの摘発や予防には致命的ということです。さらに、摘発できなければ、犯人の外国への引渡しもできない、犯罪収益の没収ができない、外国が奪われた犯罪被害を外国に返還してあげることもできない。これは日本が国際的責任を怠っていると非難されてもしようがないことです。十数年この法案がたなざらしされてきて、日本が犯罪化を怠ってきた国際的責任を今回の法案でようやく果たせることになったと思っています。
次に、この法案について主に日弁連や弁護士らから発信されて各方面に広がっている様々な反対理由について、私が誤りと考える点を指摘していきたいと思います。
まず、立法ガイド五十一項の第四文を根拠にして、共謀罪、参加罪、どちらも犯罪化しなくてもよいという主張が日弁連から反対の大前提の根拠として二〇〇六年意見書以来一貫して提起されており、今でも各都道府県の単位弁護士会レベルに浸透しています。しかし、立法ガイド五十一項の英文の日弁連翻訳が間違いというのは、既に平成十八年の時点で外務省が国連事務局に口頭で確認し、外務省ウエブサイトに掲載され、国会でも答弁され、しつこいぐらい時間が費やされてきました。
私も以前から、日弁連の訳は完全な誤訳だ、牽強付会と考えていました。仮に外務省がそんなすぐばれるうそをついているというなら、何で日弁連から直接国連事務局に問い合わせないんだろうと思っていました。
今回、政府から書面で問い合わせることとなり、四月十一日付けで国連UNODCから書面ではっきり回答が返ってまいりました。それによれば、本条約五条1(a)が少なくとも一方を犯罪化することを明確に求めているから、立法ガイド、パラグラフ五十一は、いずれをも犯罪化しないことを許容することを意図するものではないとの回答となっています。
つまり、外務省が十一年前に確認した内容そのままです。にもかかわらず、日弁連が拡散させたこの誤訳がマスコミや多くの議員にまで拡散して、いまだに無駄な議論に社会全体が膨大な時間を費やしています。日弁連二〇〇六年意見書では、共謀罪、参加罪のイーザーを採用しなくてもいいというのを、これらの概念と訳しています。イーザーは単数形なので、いずれもと訳すならまだ分かりますが、複数形で翻訳されているわけです。
今年の二月一日付けで、共謀罪法案の提出に反対される刑事法研究者の方々の声明で、百六十三名の方が日弁連二〇〇六年意見書と似た論理で共謀罪、参加罪、どちらも導入不要と意見表明されていますが、ここでも五十一項の問題を、イーザーを、それらをと、やはり複数形で訳されています。日弁連の誤訳が拡散しているという印象が強いです。こんなことでは日弁連の法律家団体としての意見の信用性はかなり損なわれてしまうのではないかと、私は大変懸念を感じております。
組犯法といえば、話が変わりますが、平成十七年頃、山口組五菱会闇金の首魁の資産数十億円の没収と被害回復が課題になりました。当時、組犯法が、被害財産を一旦国が没収してから被害者に分配するのではなく、そもそも没収しないという立て付けになっていたことから、仮に外国が被害を受けた場合にも外国に送るシステムもない、つまり相互主義が確保されていなかったためにスイスで没収された預金が日本に返還を受けられないという事態が起きました。急遽、日弁連では民暴委員会で起案して日弁連提言として国に申し入れ、国でも急遽法整備をし、被害財産のスイスからの一部返金は受けられたものの、結局シンガポール・ルートの数十億円の追及はできなかったという結末になりました。シンガポールから、日本とは捜査協力の相互協定がないため銀行の口座情報を開示できないと捜査協力を拒否されたと報道されたように記憶しています。
私の依頼者も、この五菱会闇金の被害回復は受けました。一四・七%の配当率でした。多いか少ないか、見方はどちらもありますが、組織的犯罪に対する国際的な捜査協力、情報交換というのはこれほどに大事なものです。TOC条約十四条二項にも、外国の犯罪被害財産をその国に返還することの優先考慮が定められています。
さて、ほかの反対理由に触れます。
立法ガイドの五十一項の英文が誤訳であるとして、それでもなお反対論の根拠として、立法ガイド四十三項と六十八項(e)を根拠に、条約の精神を生かせば、共謀罪、参加罪、どちらも導入しなくてもよいと言い続けておられる論者もあります。しかし、それも国連からの書面回答で、いずれをも犯罪化する必要がないことを意味するものではないとはっきり否定されています。しかし、それでもやはりその発言が各所でされていて、マスコミでも取り上げられ、議論をミスリードされ続けているように思います。
あるいは、立法ガイド十二項でその他の措置と書いてあるのを取り上げて、立法措置ではなくてもいいのだという反対論もあります。これも国連の正式回答で、犯罪化するための立法措置をとらなくてもよいということを意味するものではないとしています。
さらに、TOC条約三十四条に関して、国をまたがった犯罪でなければ共謀罪で処罰する必要はないという反対論もあります。これも間違いで、国連からの書面回答で、犯罪化に当たっては国際性の要件がそれらの犯罪の要件とされてはならないことは明白であるとして、やはり反対論が間違いと回答されています。
つまり、条約や立法ガイドの解釈として反対理由に挙げられてきた多くの論点はほぼ間違いで、外務省が国連にこれまで問い合わせて説明した内容が正しかったということは決着が付いてしまっていると思います。
ほかの反対理由として、本法案がテロ準備罪と呼称されていることについて、TOC条約はテロと無関係である、組織的犯罪の経済行為を処罰することが目的だから、それ以外を罰条に加えるのは間違いというものがあります。でも、これも間違っています。
まず、テロとの関係ですが、平成二十六年十二月、国連安保理の全会一致決議で、テロリストが国際組織犯罪から資金を得ていることを防ぐべきとされていて、組織犯罪防止はテロ対策の一環と位置付けられています。安保理決議第二千百九十五号は外務省のサイトで公表されており、それによれば、前文十三で、国際組織犯罪から資金を得ているテロ組織が、国の安全、安定、統治及び社会経済発展を妨げることにつながり得ることを深刻に憂慮とされ、主文八では、加盟国及び関係機関に対して、テロリストが国際組織犯罪から資金を得ることを防ぎ、また、国境管理能力やテロリスト及び国際犯罪組織に対する捜査・訴追能力を構築するための協力と戦略を強化することを奨励となっています。これがTOC条約の国際的な位置付けです。TOC条約の締結がテロと無関係であるという反対論が展開されていることには強い違和感を感じます。
TOC条約は、直接又は間接的に物質的利益を得る目的と五条で書いていて、反対論はそれを、経済犯罪だけを共謀罪で処罰すれば足りるのに罰条が多過ぎると言われているようですが、間接目的の中に組織的犯罪集団の暴力犯罪始め、ほかの法益侵害類型を含むのは当然の話と思います。犯罪組織は、単に資金獲得活動をするだけではなく暴力犯罪に走ります。報復、見せしめ、内部統制のためのリンチ、組織内外で暴力によって威力を強化し、社会を恐怖に陥れること自体が組織犯罪集団、テロ組織にとっては意味があります。そういったアウトローのデモンストレーションを見て、信奉したり、関係をつくろうと思ったり、恐怖に屈し金やその他の支援を提供する者も出てきます。組織犯罪の暴力の最終目的は、あくまで物質的利益です。
次に、テロ準備罪で処罰される対象罰条が広過ぎるという反対意見が繰り返し出ます。しかし、一通り対象罰条を見てみれば、よく絞り込んだという印象です。
今回の法案では、組織的犯罪集団の団体の活動としてという要件の絞り込みが入りました。その結果、立法事実として組織的犯罪集団が行うことを考えにくい罪については対象罰条から外すというベクトルプレッシャーが掛かったと思います。
過失犯を外すことについては、TOC条約五条が故意を要求していますから、外しても条約批准には影響はなく、構わないと思います。ただ、諸外国の規定例を見ていると、単に何年以上の罪の共謀を罰するという包括規定を置いているものも結構あって、過失犯などをそもそも除外していないように見られる立法例が多分に見受けられます。これは、実際には適用されることがないからという、割り切っておられるということだとは思いますが、過失犯が処罰されないのは明らかだと思います。
日本は別表方式で特別法も全部列挙してはいますけれども、日本の刑事実体法は刑法典の外にある特別刑法が多いこともあって対象罰条は増えてしまいがちだと思いますが、国際比較で罰条数をベースに客観的比較をすること自体が無理がありますし、構成要件の広がりが各国によって違いますから、だからこそ四年以上の罪という基準が客観的としてTOC条約で採用されています。それを、罰条数を基準に多いあるいは少ないという議論自体が比較基準として客観性を欠いているし、ガラパゴス的なのではないかと考えております。
絞り込みを行うことは謙抑的な立法としては結構なことですけれども、立法事実による絞り込みは諸外国から見てどうか、外国での組織犯罪集団の実態はどうかということも踏まえないといけませんが、全ての外国の実態を調べ尽くすことはできません。全ての国がそういう調査をしなくても済むように、TOC条約が四年以上の罪という客観的な基準を置いています。
しかし、日弁連は、政府がTOC条約に加盟した全ての国が重要な犯罪の全てについて共謀罪を制定したのか調べていないから、不明になっているから法案に反対だと今年の意見書でも書いています。しかし、これは余りにむちゃな要求だと思います。一方で、日弁連は、共謀罪不要説の根拠として、諸国の実情に踏まえて立法すればよいのだ、だから日本も共謀罪は要らないと言っているのですから、批判のベクトルがばらばらです。あるいは、条約批准の審査はないんだから、今のまま批准すると言えばいいという意見まで出ています。しかし、それを言ってしまったら、憲法で言う条約、国際法の誠実遵守義務違反、憲法尊重義務違反だと思います。そうなりかねないと思います。
ちなみに、諸外国の共謀罪立法では、組織的犯罪集団の要件も置かれていないところが多いと思います。なぜなら、TOC条約策定作業当時、条約五条で組織犯罪が関与するという絞りを掛けられるようにと要望したのは日本政府で、他国はそもそもそれ以前にその絞りのない共謀罪を持っていて、そんな必要も感じていなかったようです。
適用罰条について、テロ準備罪制定の後も社会経済の発展により立法事実、特別刑法は変わっていきます。逐次適用罰条は見直していくものです。やや極端な例をあげつらって法案自体をそもそも通さないという発想はサボタージュになりかねないものであって、私には理解ができません。今回の適用罰条を全体として見れば、適切な絞り込みだというのが私の評価です。それがここまで入口論で混迷してきたように見受けられます。
今回の反対論には、外国から見て日本がどう見えているかという視点が欠けていて、ガラパゴス化しているのではないかと感じています。しかし、ガラパゴス化して条約の相互主義まで軽視してしまったら、それはエゴイスティックということになってしまうと思います。
どうぞ、TOC条約の早期国内法化を進められるよう要望して、私の意見とさせていただきます。
秋
新
新倉修#6
○参考人(新倉修君) 新倉と申します。
私は、傍聴人の資格で何回かこの委員会も、別の案件だったと思いますけれど、傍聴しております。
十五分と限られた時間なので簡潔に手短に申しますと、私は、この法案は、当面、何といいますか、急いで決めるべきものではないんじゃないかという意味で反対ということですね。それが私が言いたいことの主眼ではなくて、それとは別に、国会とか政府がやるべきことは、先に国会でその条約を承認しているわけですから、国内法を作ってから条約を承認するという手続じゃなかったというふうに記憶しておりますので、それを踏まえると、先に決めたものを早くやっぱり執行した方がいいんじゃないかと。そういう意味で、条約の批准を、あるいは加入を先行すべきじゃないかと、それがまさにやるべき仕事ではないかというふうに理解しております。
それで、私としては、この間いろんな機会に発言することがあって、特にまとめて発言したのは、雑誌の「世界」の六月号に「共謀罪は条約加入に必要か」というタイトルをいただきまして、まあ必要じゃないという結論なんですけれど、本法案は共謀罪という言い方はあえて避けているわけですから、テロ等準備罪というふうに言い換えてもいいんですけれど、それはそのTOC条約の批准に必要なのかということですね。
私としては、そのきっかけになったのはやはり、いろんなことはあったと思いますけれど、安倍首相は最初にもう施政方針演説で、TOC条約に入ると、テロ対策だと、これを十分やらないと東京オリンピック・パラリンピックはできないということをかなり強くおっしゃられて、TOC条約を批准するためにはテロ等準備罪の法案を作る必要あるんだと、こういう枠組みを示されたと。それに基づいて今議論が進んでいるというふうに思いますけれど、それは私から言わせるとボタンの掛け違いではないかということですね。衆議院の審議でも、ボタンの掛け違いということはどこに問題があるのかということはまだ十分に解明されていないし、それも解消されず、先行き不透明感が増したんじゃないかというふうに私は見ております。
その間に、五月十八日に、ケナタッチさんというプライバシーに関する報告者が、この法案については重大な懸念があるという見解を発表されて、安倍首相宛ての書簡という形で、公開の書簡ですけれど、回答を求められたわけですよね。それに対する回答をきちっとやっぱりすべきじゃないかというのは私の立場ということですね。
時間が限られていますので手短に申し上げますと、まず条約と担保法の関係についてどう考えるのかということですけれど、まず引用すべきは、衆議院の法務委員会の四月二十五日の審議で、元ウィーン大使だった小澤俊朗参考人が議員の質問に対して、条約を審査する国際機関はあるのかと聞かれたら、ありませんと明確に否定されたわけですから、これは私の論文を読んでいただくと分かりますけれど、要するに、批准するということは、国際法的に言えば、それぞれの国の憲法及び法手続に従って条約を承認するという手続なんで、それについて国際機関がどうこうするということは基本的にはないんですよね。
ですから、そこがまずボタンの掛け違いで、何といいますか、国内法を整備しないと批准はできないんですよというのは国際法上の要請ではなくて日本の政府の政策なり都合なんですよね。その点はやっぱりよく理解していただかないと、何か法案に反対して批准が遅れるのはみんな反対している人たちのせいだみたいなキャンペーンが張られて、何か国民、焦燥感に駆られて、とにかくいいから、バーゲンに走るような感じで、立法を早く通して条約を批准しないと日本は国際社会で非常に肩身が狭い思いするというようなキャンペーンを張られているのは非常に、何といいますか、おかしいんじゃないかなという感じがします。
詳しくはレジュメに書いたんですけど、これ全部説明していると時間がないんで、後で御質問があったらばお答えしますけれど、基本的には、日本政府としてはどういうことを我々はすべきなのか、あるいは国際条約で、これで何が問題になっているのかということを聞くチャンスは幾らでもあったわけですね。
どういうことかというと、ここに国連の文書ありますけれど、これは国際組織犯罪防止条約の締約国会議のルールなんですね。日本はこの条約にはもう署名しているんですね。署名していますから、当然署名国としてオブザーバーですけれど締約国会議に出ているわけですね。どういうことができるかというと、ステートメントを発表できる、それから文書を受け取れる、それから見解を発表できる、それからこういう公開の審議でその審議に参加することができると。だから、幾らでもこの条約会議で問題になっていることについて問いただすチャンスはあるわけですよね。現在でもあるわけですね。
ですから、疑義になっているところを、外務省なら外務省、しっかり議論を詰めて国会に報告するなりあるいは法案作りで法務省と相談するなりするという手続はやっぱり必要なんじゃないかと。それを欠いたまま、こういう国内、かなり大幅な刑法の原則をひっくり返すようなものを作るというのはいかがなものかという感じがしますね。
詳しくは多分、松宮先生は専門の立場で詳しい議論をすると思いますけれど、私に言わせれば、この立法というのは言わば共謀罪刑法ですね。今まであった法益侵害を基にした刑法とは違う、もう少し一枚上の大きな上物を、それを、言えば共謀罪刑法なんですよ。共謀罪を中心に刑法を全部再編成しようという非常に大胆不敵というか恐るべき法案を用意して、これをのめのめというふうに言っているという状況ですね。これを本当に責任持って皆さんは、議員ですから国民の代表として審議された上で、これは自分としても納得がいける、じゃ、これを新しい刑法、共謀罪刑法を我が国に導入しましょうというふうに胸を張って言えるのかということですね。
そういう問題があるわけですけれど、そこですったもんだする前に、国際社会で要求されているTOC条約に入りなさいという要請はあるわけですから、それに対して応えるならば、まず条約を批准して加入の手続を取れば、それから、じゃ、どういう対策が必要なのかということは十分時間取ってできるんじゃないかということですね。
国連の文書について今あれこれされていまして、私もいろいろと読みますけれども、非常に複雑な交渉経過に基づいて非常に分かりにくい条文が作られていて、それについて各国で国内法の整備過程をいろいろと調べてみても十分よく分からない点もあるし、日本とは全然違う方法で条約に加盟している国もあるわけですよね。
今、西村先生の方からも少し紹介ありましたけれども、国連にこの関係では三種類の条文が、条文といいますか文書があるわけですけれども、この立法ガイド、これはフランス語版なんですけれども、立法ガイドに間違いがあるとか誤訳があるとかいう話がありますけれども、これがもし内容的に間違っているならば、もう既にこれは国連によって撤回されているはずですし、あるいはこんな立法ガイドをまだ公刊しているのかというので、日本政府としては厳重な抗議を国連に対してするはずなんですよね。
それから、モデル立法とか、それからアセスメントのツールとか、ほかにも二つあるんですけれども、これはまさに、批准したときのそれぞれの国の立法状況がばらばらだと、ばらばらなものをじゃどういうふうに国際的にコーディネートしていくかというために、国連の事務局がいろんな方法で今議論といいますか作業を続けているということですから、日本としては条約で求めている以上のものを、あるいは求めているのとは違うものをわざわざ国内法作ってやるというのは、よっぽど私の信じられないような蛮勇を振るってやるおつもりなのかということをすごく懸念しております。
それで、あと少しなので、五月十八日のジョセフ・ケナタッチ国連特別報告者の書簡についてちょっと触れたいと思いますけれども、これに対して内閣官房の方はすごく敏感に反応したわけですけれども、それに対して国連の報告者の方からもいろんな反応があったわけで、ついては、五月二十九日の月曜日に本会議で、安倍首相としては、だから官房長官とはやっぱりちょっとニュアンスの違う反応をしているわけですよね。やっぱり内心の自由というのは守らなきゃいけないんだということで、一応、国連の特別報告者と要するに見解は共通していても、この法案に対する評価は違うんだというようなふうに少しスタンスを変えたというふうに私は見ているわけですけれども。
それにしても、国連の特別報告者とはどういう立場なのかということについて十分理解されていないんじゃないかという点に懸念があるわけですね。彼は個人の資格で言っているというふうに言われていますけれども、元々、特別報告者というのは個人なんですよね。政府ではないし、機関でもないんですね。有識者という資格で国連の人権理事会で任命されている人たちなわけですから、それは単なる個人じゃないかというふうに言うのはとんでもない言いがかりですね。だけど、言っていることとか仕事は私的な見解ではないわけですよ、国連活動の一環として専門家の立場から寄与しているわけですから、それを個人の資格で言うのはけしからぬというふうに切り捨てるのはいかがなものかなというふうに思いますね。
基本的には、あと一分なのでもうまとめますけれども、国連のやり方というのは、それぞれの違いということを認めつつ、コンセンサスですね、対話によってやっぱりいい方向を目指そうというわけですよね。特別報告者というのもそういう制度ですし、人権理事会もそういうシステム取っていますし、様々な人権条約についての履行審査委員会もそういう方法を取っているわけですよね。そういうことをやっぱり十分理解した上で、この法案について本当にどこから見ても懸念がないという形で十分答えられるのかという点についてまだ重大な疑義が残っている。まあ、はっきり言えば欠陥法であり、憲法に違反する法律なわけですから、憲法に違反する法律を幾ら作ってもこれは違憲無効なわけですから、無駄なことをされているということになりかねないわけですよね。
ついては、だから、こういう人権の問題についても、国会として正当なやっぱり考慮を払って、例えば国内人権機関を早くつくるとか、あるいは人権条約についてそれぞれに挙げられている個人通報制についても早く実施するように外務省を督促するとか、そういう方法を取るべきじゃないかと。
そういうことを全部ネグっていって、とにかくそのTOC条約、オリンピックを開始、テロ対策という何か掛け声だけで、大変な今までの刑法の原則をひっくり返すような新しい共謀罪刑法を作ろうとしているのは何としても不可解でありますし、是非、立法の府として正しい判断して、ちゃんとした議論を進めていただきたいと思いまして、私の発言を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →私は、傍聴人の資格で何回かこの委員会も、別の案件だったと思いますけれど、傍聴しております。
十五分と限られた時間なので簡潔に手短に申しますと、私は、この法案は、当面、何といいますか、急いで決めるべきものではないんじゃないかという意味で反対ということですね。それが私が言いたいことの主眼ではなくて、それとは別に、国会とか政府がやるべきことは、先に国会でその条約を承認しているわけですから、国内法を作ってから条約を承認するという手続じゃなかったというふうに記憶しておりますので、それを踏まえると、先に決めたものを早くやっぱり執行した方がいいんじゃないかと。そういう意味で、条約の批准を、あるいは加入を先行すべきじゃないかと、それがまさにやるべき仕事ではないかというふうに理解しております。
それで、私としては、この間いろんな機会に発言することがあって、特にまとめて発言したのは、雑誌の「世界」の六月号に「共謀罪は条約加入に必要か」というタイトルをいただきまして、まあ必要じゃないという結論なんですけれど、本法案は共謀罪という言い方はあえて避けているわけですから、テロ等準備罪というふうに言い換えてもいいんですけれど、それはそのTOC条約の批准に必要なのかということですね。
私としては、そのきっかけになったのはやはり、いろんなことはあったと思いますけれど、安倍首相は最初にもう施政方針演説で、TOC条約に入ると、テロ対策だと、これを十分やらないと東京オリンピック・パラリンピックはできないということをかなり強くおっしゃられて、TOC条約を批准するためにはテロ等準備罪の法案を作る必要あるんだと、こういう枠組みを示されたと。それに基づいて今議論が進んでいるというふうに思いますけれど、それは私から言わせるとボタンの掛け違いではないかということですね。衆議院の審議でも、ボタンの掛け違いということはどこに問題があるのかということはまだ十分に解明されていないし、それも解消されず、先行き不透明感が増したんじゃないかというふうに私は見ております。
その間に、五月十八日に、ケナタッチさんというプライバシーに関する報告者が、この法案については重大な懸念があるという見解を発表されて、安倍首相宛ての書簡という形で、公開の書簡ですけれど、回答を求められたわけですよね。それに対する回答をきちっとやっぱりすべきじゃないかというのは私の立場ということですね。
時間が限られていますので手短に申し上げますと、まず条約と担保法の関係についてどう考えるのかということですけれど、まず引用すべきは、衆議院の法務委員会の四月二十五日の審議で、元ウィーン大使だった小澤俊朗参考人が議員の質問に対して、条約を審査する国際機関はあるのかと聞かれたら、ありませんと明確に否定されたわけですから、これは私の論文を読んでいただくと分かりますけれど、要するに、批准するということは、国際法的に言えば、それぞれの国の憲法及び法手続に従って条約を承認するという手続なんで、それについて国際機関がどうこうするということは基本的にはないんですよね。
ですから、そこがまずボタンの掛け違いで、何といいますか、国内法を整備しないと批准はできないんですよというのは国際法上の要請ではなくて日本の政府の政策なり都合なんですよね。その点はやっぱりよく理解していただかないと、何か法案に反対して批准が遅れるのはみんな反対している人たちのせいだみたいなキャンペーンが張られて、何か国民、焦燥感に駆られて、とにかくいいから、バーゲンに走るような感じで、立法を早く通して条約を批准しないと日本は国際社会で非常に肩身が狭い思いするというようなキャンペーンを張られているのは非常に、何といいますか、おかしいんじゃないかなという感じがします。
詳しくはレジュメに書いたんですけど、これ全部説明していると時間がないんで、後で御質問があったらばお答えしますけれど、基本的には、日本政府としてはどういうことを我々はすべきなのか、あるいは国際条約で、これで何が問題になっているのかということを聞くチャンスは幾らでもあったわけですね。
どういうことかというと、ここに国連の文書ありますけれど、これは国際組織犯罪防止条約の締約国会議のルールなんですね。日本はこの条約にはもう署名しているんですね。署名していますから、当然署名国としてオブザーバーですけれど締約国会議に出ているわけですね。どういうことができるかというと、ステートメントを発表できる、それから文書を受け取れる、それから見解を発表できる、それからこういう公開の審議でその審議に参加することができると。だから、幾らでもこの条約会議で問題になっていることについて問いただすチャンスはあるわけですよね。現在でもあるわけですね。
ですから、疑義になっているところを、外務省なら外務省、しっかり議論を詰めて国会に報告するなりあるいは法案作りで法務省と相談するなりするという手続はやっぱり必要なんじゃないかと。それを欠いたまま、こういう国内、かなり大幅な刑法の原則をひっくり返すようなものを作るというのはいかがなものかという感じがしますね。
詳しくは多分、松宮先生は専門の立場で詳しい議論をすると思いますけれど、私に言わせれば、この立法というのは言わば共謀罪刑法ですね。今まであった法益侵害を基にした刑法とは違う、もう少し一枚上の大きな上物を、それを、言えば共謀罪刑法なんですよ。共謀罪を中心に刑法を全部再編成しようという非常に大胆不敵というか恐るべき法案を用意して、これをのめのめというふうに言っているという状況ですね。これを本当に責任持って皆さんは、議員ですから国民の代表として審議された上で、これは自分としても納得がいける、じゃ、これを新しい刑法、共謀罪刑法を我が国に導入しましょうというふうに胸を張って言えるのかということですね。
そういう問題があるわけですけれど、そこですったもんだする前に、国際社会で要求されているTOC条約に入りなさいという要請はあるわけですから、それに対して応えるならば、まず条約を批准して加入の手続を取れば、それから、じゃ、どういう対策が必要なのかということは十分時間取ってできるんじゃないかということですね。
国連の文書について今あれこれされていまして、私もいろいろと読みますけれども、非常に複雑な交渉経過に基づいて非常に分かりにくい条文が作られていて、それについて各国で国内法の整備過程をいろいろと調べてみても十分よく分からない点もあるし、日本とは全然違う方法で条約に加盟している国もあるわけですよね。
今、西村先生の方からも少し紹介ありましたけれども、国連にこの関係では三種類の条文が、条文といいますか文書があるわけですけれども、この立法ガイド、これはフランス語版なんですけれども、立法ガイドに間違いがあるとか誤訳があるとかいう話がありますけれども、これがもし内容的に間違っているならば、もう既にこれは国連によって撤回されているはずですし、あるいはこんな立法ガイドをまだ公刊しているのかというので、日本政府としては厳重な抗議を国連に対してするはずなんですよね。
それから、モデル立法とか、それからアセスメントのツールとか、ほかにも二つあるんですけれども、これはまさに、批准したときのそれぞれの国の立法状況がばらばらだと、ばらばらなものをじゃどういうふうに国際的にコーディネートしていくかというために、国連の事務局がいろんな方法で今議論といいますか作業を続けているということですから、日本としては条約で求めている以上のものを、あるいは求めているのとは違うものをわざわざ国内法作ってやるというのは、よっぽど私の信じられないような蛮勇を振るってやるおつもりなのかということをすごく懸念しております。
それで、あと少しなので、五月十八日のジョセフ・ケナタッチ国連特別報告者の書簡についてちょっと触れたいと思いますけれども、これに対して内閣官房の方はすごく敏感に反応したわけですけれども、それに対して国連の報告者の方からもいろんな反応があったわけで、ついては、五月二十九日の月曜日に本会議で、安倍首相としては、だから官房長官とはやっぱりちょっとニュアンスの違う反応をしているわけですよね。やっぱり内心の自由というのは守らなきゃいけないんだということで、一応、国連の特別報告者と要するに見解は共通していても、この法案に対する評価は違うんだというようなふうに少しスタンスを変えたというふうに私は見ているわけですけれども。
それにしても、国連の特別報告者とはどういう立場なのかということについて十分理解されていないんじゃないかという点に懸念があるわけですね。彼は個人の資格で言っているというふうに言われていますけれども、元々、特別報告者というのは個人なんですよね。政府ではないし、機関でもないんですね。有識者という資格で国連の人権理事会で任命されている人たちなわけですから、それは単なる個人じゃないかというふうに言うのはとんでもない言いがかりですね。だけど、言っていることとか仕事は私的な見解ではないわけですよ、国連活動の一環として専門家の立場から寄与しているわけですから、それを個人の資格で言うのはけしからぬというふうに切り捨てるのはいかがなものかなというふうに思いますね。
基本的には、あと一分なのでもうまとめますけれども、国連のやり方というのは、それぞれの違いということを認めつつ、コンセンサスですね、対話によってやっぱりいい方向を目指そうというわけですよね。特別報告者というのもそういう制度ですし、人権理事会もそういうシステム取っていますし、様々な人権条約についての履行審査委員会もそういう方法を取っているわけですよね。そういうことをやっぱり十分理解した上で、この法案について本当にどこから見ても懸念がないという形で十分答えられるのかという点についてまだ重大な疑義が残っている。まあ、はっきり言えば欠陥法であり、憲法に違反する法律なわけですから、憲法に違反する法律を幾ら作ってもこれは違憲無効なわけですから、無駄なことをされているということになりかねないわけですよね。
ついては、だから、こういう人権の問題についても、国会として正当なやっぱり考慮を払って、例えば国内人権機関を早くつくるとか、あるいは人権条約についてそれぞれに挙げられている個人通報制についても早く実施するように外務省を督促するとか、そういう方法を取るべきじゃないかと。
そういうことを全部ネグっていって、とにかくそのTOC条約、オリンピックを開始、テロ対策という何か掛け声だけで、大変な今までの刑法の原則をひっくり返すような新しい共謀罪刑法を作ろうとしているのは何としても不可解でありますし、是非、立法の府として正しい判断して、ちゃんとした議論を進めていただきたいと思いまして、私の発言を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。
秋
松
松宮孝明#8
○参考人(松宮孝明君) 松宮です。
この今回の法案にあるテロ等準備罪、イコール共謀罪ということは後で御説明しますが、これは、その立法理由とされている国連越境組織犯罪防止条約、TOC条約の批准には不必要です。それにもかかわらず、その成立が強行されれば、何らの組織にも属していない一般市民も含めて広く市民の内心が捜査と処罰の対象となり、市民生活の自由と安全が危機にさらされる戦後最悪の治安立法となるだけでなく、実務にも混乱をもたらします。
まず、本法案の共謀罪にある組織性も準備行為も、過去に廃案となった共謀罪の特に修正案の中には含まれておりました。また、認知件数においては一般刑法犯の八〇%以上が対象犯罪になるという点でも、対象犯罪も余り限定されていません。その点では過去の共謀罪法案と同質のものです。
また、ここにある組織的犯罪集団はテロ組織に限定されないことも明らかです。テロと関係ない詐欺集団でも該当します。また、最高裁の平成二十七年九月十五日決定によれば、組織が元々は詐欺罪に当たる行為を実行するための組織でなかったとしても、その性格が変わればこれに該当します。その結合関係の基礎としての共同の目的による限定も余り機能しません。大審院の明治四十二年六月十四日判決は、殺人予備罪における目的につきまして、条件付、未必的なものでもよいとしたとされています。
したがって、これを当てはめますと、この組織はもしかして別表第三に定める罪をすることになるかもしれないという認識でも目的要件は満たされるのです。この点では、本法案には、ドイツ刑法百二十九条の犯罪結社罪のように、犯罪を当初から第一次的目的としている団体に限定する明文規定がないのです。
もちろん、テロ等準備罪が共謀罪でないとする根拠は全くありません。そもそも、テロ等準備罪がTOC条約に言う犯罪の合意を処罰するものであるなら、それがこれまでの共謀罪法案と明らかに別物になるということはあり得ないからです。
このTOC条約二条(a)には、「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」という言葉があります。これは、本条約がマフィアなどの経済的組織犯罪を対象としていることを表しています。この点については、国連薬物犯罪事務局も、原則としてテロ集団対象ではないと述べています。西村参考人が述べられたのは、あくまで間接的にテロ組織にもお金が流れるかもしれないということでテロ対策にもつながるかもしれないというだけのことです。ゆえに、本法案がテロ対策を目的とするものになるはずはありません。
この条約の狙いは、外交ルートを経由しない犯罪人引渡し、捜査、司法共助にあります。条約第一条に書いています。これらの国際協力には、双罰性、すなわち引き渡す国でも当該行為が犯罪であることが必要です。本条約は、そのために共謀罪又は参加罪の立法化を要請しているのです。
ところで、国際協力の対象となるような犯罪では、それが共謀それから中立的な準備段階行為にとどまっているということはほとんどありません。そのため、犯人引渡しを求められるような共謀罪容疑者は、大抵実行された犯罪の共犯となり得るのです。この点については、東京高等裁判所の平成元年三月三十日決定が、双罰性を考えるに当たっては、単純に構成要件に当てはめられた事実を比べるのは相当ではない、構成要件的要素を捨象した社会的事実関係に着目して、その事実関係の中に我が国の法の下で犯罪行為と評価されるような行為が含まれているか否かを検討すべきであると述べて、犯人引渡しを認めていました。
つまり、国際協力の対象となるような重大犯罪につき、このように実質的に見て処罰の間隙がなければ、共謀罪立法は不要なのです。すなわち、これは共謀罪の立法理由にはならないんです。
しかし、一つ注意すべきことがあります。国際協力の点では、本条約十六条七項に犯罪人引渡しのために最低限必要とされている刑に関する条件及び請求を受けた締約国が犯罪人引渡しを拒否することができると定められていることが我が国にとっては大きな問題になります。
要するに、死刑に相当する真に重大な犯罪の場合、我が国は死刑廃止国から犯人の引渡しを受けられないのです。ロシアも加盟しているヨーロッパ人権条約や、ブラジルが加盟している米州死刑廃止条約を考えれば、これは深刻な問題です。法定刑に死刑のある凶悪犯の被疑者がそれらの国に逃亡したなら、日本に引き渡されませんから、事実上処罰を免れることができることとなって、日本国内の治安維持その他の刑事政策に対して大きな障害となるからです。
現に、我が国は一九九三年、スウェーデンから犯人引渡しを拒否されたことがあります。つまり、TOC条約による国際協力を真剣に考えるのであれば、共謀罪を作るより死刑廃止を真剣に考える必要があるのです。
ここからは、本法案にある組織犯罪処罰法第六条の二第一項及び第二項の解釈を検討します。
まず、組織的犯罪集団の定義ですが、テロリズム集団という言葉は「その他の」とあるように単なる例示であって、限定機能がありません。TOC条約二条(a)の定義では、組織的な犯罪集団とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在するものであればよいので、三人で組織されたリーダーの存在する万引きグループでもこれに当てはまります。
他方、法案には、TOC条約二条(a)にある直接又は間接に金銭的利益その他の物質的利益を得るためという目的要件が欠落しています。また、その結合関係の基礎としての共同の目的という文言では、ドイツ刑法百二十九条のように組織設立当初からの第一次的目的に限定されるという保証がありません。
別表第三の対象犯罪の選択も恣意的です。保安林での無断キノコ狩りは含まれて、公職選挙法二百二十一条、二条に規定する多数人買収及び多数人利害誘導罪や特別公務員職権濫用罪、暴行陵虐罪、それから様々な商業賄賂の罪が除かれる理由はありません。
なお、さきに述べたように、この点では今回の法案はTOC条約を文字どおり墨守する必要はないという立場を既に取っているということは明らかです。
さて、遂行を二人以上で計画した主体は、団体や組織ではなく自然人です。また、この文言では、計画した人物が組織に属する者であることを要しません。組織的な犯罪の計画を作り、組織に提案する人物でも対象となるからです。
なお、ここに言う計画は、共謀共同正犯に言う共謀とほぼ同じ意味だという答弁が過去ございましたので、例えばAさんとBさんが相談し、次にBさんとCさんが相談するという順次共謀でも成立します。そして、順次共謀を介せば見知らぬ誰かによる準備行為が行われても一網打尽にできるという構造になっています。準備行為は、何々したときという規定ぶりから見て、詐欺破産罪に言う破産手続開始の決定が確定したときと同じく、客観的処罰条件です。資金又は物品の手配、関係場所の下見は単なる例示であり、限定機能を有しません。したがって、対象犯罪を実行するための腹ごしらえのような外見的には中立的な行為でもよいことになります。この場合、共謀罪の成否は、どういうつもりで食事をしたかという内心に左右されるため、実質的な内心処罰になります。
この点では、偽造という問題行動があった上で行使の目的を検討する目的犯、通貨偽造罪や文書偽造罪などの目的犯とは質的に異なる行為主義違反の規定です。しかも、捜査機関によって準備行為とみなされるものは無限にあるため、そのうち誰が検挙され処罰されるかは、法律ではなくその運用者によって決まることになります。これは、近代法の求める法の支配ではなく運用者による人の支配です。
実行に着手する前の自首による必要的減免は、反省して実行を中止しただけではこれを満たしませんし、反対に、反省は不要で、密告、裏切りによる自首でも構いません。さらに、密告された場合、冗談であったという抗弁の立証は困難ですので、冤罪の危険は極めて高いということになります。
また、法案の第六条の二第二項では、計画の主体が組織内の者に限定されないことは明らかだと思います。
共謀罪がこのままの形で成立した場合に予想される実務上の混乱も相当なものになると思われます。
まず、窃盗の実行に着手した者が自己の意思で中止したときは窃盗罪の中止未遂として刑の必要的減免を受けますのに、窃盗の共謀罪としてはなお二年以下の懲役に処される、免除の可能性がなくなるのかという問題があります。
この点につき、共謀罪は未遂罪に吸収されるので中止未遂が優先されると法制審議会ではそういう理解をしていたんですが、そのように解したとしても、未遂処罰規定のない罪の共謀、これは対象犯罪のうちの百四十ぐらいあります、この共謀では、その実行の着手前に中止した者も、共謀罪を吸収する未遂罪がないので刑の免除の余地がなく、共謀罪として処罰されてしまいます。例えば傷害罪の共謀だと、実行に着手したが、けがをさせる前に反省してやめたとしても、五年以下の懲役又は禁錮になります。
このようなことでは、犯人を引き返させて被害者を救うという刑法の機能が害されます。これは未遂処罰規定のない罪について共謀段階で処罰することの矛盾の一つです。ついでに言えば、傷害罪には罰金刑も選択刑としてあるんですが、傷害罪の共謀には罰金刑がないという矛盾もあります。
次に、親告罪の共謀罪の親告罪化です。告訴権は、刑事訴訟法二百三十条により、まずは犯罪により害を被った者が持ちます。しかし、共謀段階では誰が害を被ったということになるのでしょうか。狙われた人物ですか。狙う相手が不特定のときは一体どうするんでしょうか。つまり、告訴権者がいないという親告罪になるわけですね。
これもまた、既遂、未遂、予備という実害に近い行為から順に犯罪化するという刑法の原則を破ったことによって生じた矛盾です。強姦罪などを除き親告罪というのは基本的には軽微な犯罪なんですから、これを共謀罪の対象にしてしまったこと自体が既に矛盾だということになります。
最後に、凶器準備集合罪という刑法を学んだ人なら誰でも知っている罪を例に取って、法務大臣と刑事局長が当時暴力団等にしか適用しないという答弁をしたのですが、これが裁判所を拘束しなかったということを指摘しておきましょう。
暴力団以外の学生団体の凶器準備集合にも適用されました。それから、衆参両院での附帯決議も裁判所を拘束しませんでした。なぜなら、憲法七十六条三項は裁判官が憲法及び法律のみに拘束されると規定しているからです。つまり、本当に裁判所を拘束したいのであれば、附帯決議ではなく法律に明記しなければならないのです。この点は弁護士の先生方が非常に懸念されていますが、新設される予定の組織犯罪処罰法七条の二にある証人等買収罪の濫用の危険に対する対応にも同じことが当てはまります。
さて、共謀罪が成立すれば、現行通信傍受法三条一項三号により、共謀はすぐさま盗聴の対象となる可能性があります。しかし、日本語しかできない警察組織が用いる共謀罪は、日本語を話す人々のプライバシーは侵害しますが、見知らぬ外国語で意思疎通をする国際的な組織は相手にできません。こんなものでテロ対策などと言われたら多分諸外国に笑われると思います。それよりも、多様な言語を操れる人、そういう人材をリクルートするなど警察組織の改革の方が私は大事だというふうに思っております。
なお、条約と国内法整備との関係については、例えば国際刑事裁判所規程などがございますけれども、日本政府は必要な国内法整備をしないで条約を締結するということは過去多々やってきました。本当に何が必要かどうかは、実際先にTOC条約を締結した上で、運用してみて具体的に検討すべきではないかというふうに思います。
以上で私の意見陳述を終わります。
この発言だけを見る →この今回の法案にあるテロ等準備罪、イコール共謀罪ということは後で御説明しますが、これは、その立法理由とされている国連越境組織犯罪防止条約、TOC条約の批准には不必要です。それにもかかわらず、その成立が強行されれば、何らの組織にも属していない一般市民も含めて広く市民の内心が捜査と処罰の対象となり、市民生活の自由と安全が危機にさらされる戦後最悪の治安立法となるだけでなく、実務にも混乱をもたらします。
まず、本法案の共謀罪にある組織性も準備行為も、過去に廃案となった共謀罪の特に修正案の中には含まれておりました。また、認知件数においては一般刑法犯の八〇%以上が対象犯罪になるという点でも、対象犯罪も余り限定されていません。その点では過去の共謀罪法案と同質のものです。
また、ここにある組織的犯罪集団はテロ組織に限定されないことも明らかです。テロと関係ない詐欺集団でも該当します。また、最高裁の平成二十七年九月十五日決定によれば、組織が元々は詐欺罪に当たる行為を実行するための組織でなかったとしても、その性格が変わればこれに該当します。その結合関係の基礎としての共同の目的による限定も余り機能しません。大審院の明治四十二年六月十四日判決は、殺人予備罪における目的につきまして、条件付、未必的なものでもよいとしたとされています。
したがって、これを当てはめますと、この組織はもしかして別表第三に定める罪をすることになるかもしれないという認識でも目的要件は満たされるのです。この点では、本法案には、ドイツ刑法百二十九条の犯罪結社罪のように、犯罪を当初から第一次的目的としている団体に限定する明文規定がないのです。
もちろん、テロ等準備罪が共謀罪でないとする根拠は全くありません。そもそも、テロ等準備罪がTOC条約に言う犯罪の合意を処罰するものであるなら、それがこれまでの共謀罪法案と明らかに別物になるということはあり得ないからです。
このTOC条約二条(a)には、「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」という言葉があります。これは、本条約がマフィアなどの経済的組織犯罪を対象としていることを表しています。この点については、国連薬物犯罪事務局も、原則としてテロ集団対象ではないと述べています。西村参考人が述べられたのは、あくまで間接的にテロ組織にもお金が流れるかもしれないということでテロ対策にもつながるかもしれないというだけのことです。ゆえに、本法案がテロ対策を目的とするものになるはずはありません。
この条約の狙いは、外交ルートを経由しない犯罪人引渡し、捜査、司法共助にあります。条約第一条に書いています。これらの国際協力には、双罰性、すなわち引き渡す国でも当該行為が犯罪であることが必要です。本条約は、そのために共謀罪又は参加罪の立法化を要請しているのです。
ところで、国際協力の対象となるような犯罪では、それが共謀それから中立的な準備段階行為にとどまっているということはほとんどありません。そのため、犯人引渡しを求められるような共謀罪容疑者は、大抵実行された犯罪の共犯となり得るのです。この点については、東京高等裁判所の平成元年三月三十日決定が、双罰性を考えるに当たっては、単純に構成要件に当てはめられた事実を比べるのは相当ではない、構成要件的要素を捨象した社会的事実関係に着目して、その事実関係の中に我が国の法の下で犯罪行為と評価されるような行為が含まれているか否かを検討すべきであると述べて、犯人引渡しを認めていました。
つまり、国際協力の対象となるような重大犯罪につき、このように実質的に見て処罰の間隙がなければ、共謀罪立法は不要なのです。すなわち、これは共謀罪の立法理由にはならないんです。
しかし、一つ注意すべきことがあります。国際協力の点では、本条約十六条七項に犯罪人引渡しのために最低限必要とされている刑に関する条件及び請求を受けた締約国が犯罪人引渡しを拒否することができると定められていることが我が国にとっては大きな問題になります。
要するに、死刑に相当する真に重大な犯罪の場合、我が国は死刑廃止国から犯人の引渡しを受けられないのです。ロシアも加盟しているヨーロッパ人権条約や、ブラジルが加盟している米州死刑廃止条約を考えれば、これは深刻な問題です。法定刑に死刑のある凶悪犯の被疑者がそれらの国に逃亡したなら、日本に引き渡されませんから、事実上処罰を免れることができることとなって、日本国内の治安維持その他の刑事政策に対して大きな障害となるからです。
現に、我が国は一九九三年、スウェーデンから犯人引渡しを拒否されたことがあります。つまり、TOC条約による国際協力を真剣に考えるのであれば、共謀罪を作るより死刑廃止を真剣に考える必要があるのです。
ここからは、本法案にある組織犯罪処罰法第六条の二第一項及び第二項の解釈を検討します。
まず、組織的犯罪集団の定義ですが、テロリズム集団という言葉は「その他の」とあるように単なる例示であって、限定機能がありません。TOC条約二条(a)の定義では、組織的な犯罪集団とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在するものであればよいので、三人で組織されたリーダーの存在する万引きグループでもこれに当てはまります。
他方、法案には、TOC条約二条(a)にある直接又は間接に金銭的利益その他の物質的利益を得るためという目的要件が欠落しています。また、その結合関係の基礎としての共同の目的という文言では、ドイツ刑法百二十九条のように組織設立当初からの第一次的目的に限定されるという保証がありません。
別表第三の対象犯罪の選択も恣意的です。保安林での無断キノコ狩りは含まれて、公職選挙法二百二十一条、二条に規定する多数人買収及び多数人利害誘導罪や特別公務員職権濫用罪、暴行陵虐罪、それから様々な商業賄賂の罪が除かれる理由はありません。
なお、さきに述べたように、この点では今回の法案はTOC条約を文字どおり墨守する必要はないという立場を既に取っているということは明らかです。
さて、遂行を二人以上で計画した主体は、団体や組織ではなく自然人です。また、この文言では、計画した人物が組織に属する者であることを要しません。組織的な犯罪の計画を作り、組織に提案する人物でも対象となるからです。
なお、ここに言う計画は、共謀共同正犯に言う共謀とほぼ同じ意味だという答弁が過去ございましたので、例えばAさんとBさんが相談し、次にBさんとCさんが相談するという順次共謀でも成立します。そして、順次共謀を介せば見知らぬ誰かによる準備行為が行われても一網打尽にできるという構造になっています。準備行為は、何々したときという規定ぶりから見て、詐欺破産罪に言う破産手続開始の決定が確定したときと同じく、客観的処罰条件です。資金又は物品の手配、関係場所の下見は単なる例示であり、限定機能を有しません。したがって、対象犯罪を実行するための腹ごしらえのような外見的には中立的な行為でもよいことになります。この場合、共謀罪の成否は、どういうつもりで食事をしたかという内心に左右されるため、実質的な内心処罰になります。
この点では、偽造という問題行動があった上で行使の目的を検討する目的犯、通貨偽造罪や文書偽造罪などの目的犯とは質的に異なる行為主義違反の規定です。しかも、捜査機関によって準備行為とみなされるものは無限にあるため、そのうち誰が検挙され処罰されるかは、法律ではなくその運用者によって決まることになります。これは、近代法の求める法の支配ではなく運用者による人の支配です。
実行に着手する前の自首による必要的減免は、反省して実行を中止しただけではこれを満たしませんし、反対に、反省は不要で、密告、裏切りによる自首でも構いません。さらに、密告された場合、冗談であったという抗弁の立証は困難ですので、冤罪の危険は極めて高いということになります。
また、法案の第六条の二第二項では、計画の主体が組織内の者に限定されないことは明らかだと思います。
共謀罪がこのままの形で成立した場合に予想される実務上の混乱も相当なものになると思われます。
まず、窃盗の実行に着手した者が自己の意思で中止したときは窃盗罪の中止未遂として刑の必要的減免を受けますのに、窃盗の共謀罪としてはなお二年以下の懲役に処される、免除の可能性がなくなるのかという問題があります。
この点につき、共謀罪は未遂罪に吸収されるので中止未遂が優先されると法制審議会ではそういう理解をしていたんですが、そのように解したとしても、未遂処罰規定のない罪の共謀、これは対象犯罪のうちの百四十ぐらいあります、この共謀では、その実行の着手前に中止した者も、共謀罪を吸収する未遂罪がないので刑の免除の余地がなく、共謀罪として処罰されてしまいます。例えば傷害罪の共謀だと、実行に着手したが、けがをさせる前に反省してやめたとしても、五年以下の懲役又は禁錮になります。
このようなことでは、犯人を引き返させて被害者を救うという刑法の機能が害されます。これは未遂処罰規定のない罪について共謀段階で処罰することの矛盾の一つです。ついでに言えば、傷害罪には罰金刑も選択刑としてあるんですが、傷害罪の共謀には罰金刑がないという矛盾もあります。
次に、親告罪の共謀罪の親告罪化です。告訴権は、刑事訴訟法二百三十条により、まずは犯罪により害を被った者が持ちます。しかし、共謀段階では誰が害を被ったということになるのでしょうか。狙われた人物ですか。狙う相手が不特定のときは一体どうするんでしょうか。つまり、告訴権者がいないという親告罪になるわけですね。
これもまた、既遂、未遂、予備という実害に近い行為から順に犯罪化するという刑法の原則を破ったことによって生じた矛盾です。強姦罪などを除き親告罪というのは基本的には軽微な犯罪なんですから、これを共謀罪の対象にしてしまったこと自体が既に矛盾だということになります。
最後に、凶器準備集合罪という刑法を学んだ人なら誰でも知っている罪を例に取って、法務大臣と刑事局長が当時暴力団等にしか適用しないという答弁をしたのですが、これが裁判所を拘束しなかったということを指摘しておきましょう。
暴力団以外の学生団体の凶器準備集合にも適用されました。それから、衆参両院での附帯決議も裁判所を拘束しませんでした。なぜなら、憲法七十六条三項は裁判官が憲法及び法律のみに拘束されると規定しているからです。つまり、本当に裁判所を拘束したいのであれば、附帯決議ではなく法律に明記しなければならないのです。この点は弁護士の先生方が非常に懸念されていますが、新設される予定の組織犯罪処罰法七条の二にある証人等買収罪の濫用の危険に対する対応にも同じことが当てはまります。
さて、共謀罪が成立すれば、現行通信傍受法三条一項三号により、共謀はすぐさま盗聴の対象となる可能性があります。しかし、日本語しかできない警察組織が用いる共謀罪は、日本語を話す人々のプライバシーは侵害しますが、見知らぬ外国語で意思疎通をする国際的な組織は相手にできません。こんなものでテロ対策などと言われたら多分諸外国に笑われると思います。それよりも、多様な言語を操れる人、そういう人材をリクルートするなど警察組織の改革の方が私は大事だというふうに思っております。
なお、条約と国内法整備との関係については、例えば国際刑事裁判所規程などがございますけれども、日本政府は必要な国内法整備をしないで条約を締結するということは過去多々やってきました。本当に何が必要かどうかは、実際先にTOC条約を締結した上で、運用してみて具体的に検討すべきではないかというふうに思います。
以上で私の意見陳述を終わります。
秋
山
山下雄平#10
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
貴重なお時間をいただき、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
早速質問をさせていただきたいんですけれども、このTOC条約に入るべきだという視点ではお三方一緒だというふうにお見受けしております。ただ、そこで国内法の整備が、特に参加罪又は合意罪の立法化が必要なのかどうかという点で多分見解が分かれるところだと思いますけれども。
まず、新倉参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど、もうそもそも各国に任されているんだと、しかも、そのことについて日本は国際社会の場で何度もただす機会があったのにたださなかったというような指摘もありましたけれども、一方で、西村参考人は、この立法ガイドの、先ほどフランス語の話をされましたけれども、日本語訳が多分おかしいという西村参考人の指摘だったと思うんですけれども、そのことについて、平成十八年ですかね、外務省が確認したところ、多分第三の道というものはなくて、参加罪又は合意罪を立法化しなければならないというふうに正式に向こうから言ってきたということだったと思うんですけれども、多分その点の見解が分かれているんだろうと思うんですけれども。
では、参加罪若しくは合意罪、どちらもやらなくていいんだという立場の方、例えば学界の方だったり日弁連が正式に国連側に問合せをして、そしてそれについてコメントをもらったということはあるんでしょうか、お聞かせください。
この発言だけを見る →貴重なお時間をいただき、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
早速質問をさせていただきたいんですけれども、このTOC条約に入るべきだという視点ではお三方一緒だというふうにお見受けしております。ただ、そこで国内法の整備が、特に参加罪又は合意罪の立法化が必要なのかどうかという点で多分見解が分かれるところだと思いますけれども。
まず、新倉参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど、もうそもそも各国に任されているんだと、しかも、そのことについて日本は国際社会の場で何度もただす機会があったのにたださなかったというような指摘もありましたけれども、一方で、西村参考人は、この立法ガイドの、先ほどフランス語の話をされましたけれども、日本語訳が多分おかしいという西村参考人の指摘だったと思うんですけれども、そのことについて、平成十八年ですかね、外務省が確認したところ、多分第三の道というものはなくて、参加罪又は合意罪を立法化しなければならないというふうに正式に向こうから言ってきたということだったと思うんですけれども、多分その点の見解が分かれているんだろうと思うんですけれども。
では、参加罪若しくは合意罪、どちらもやらなくていいんだという立場の方、例えば学界の方だったり日弁連が正式に国連側に問合せをして、そしてそれについてコメントをもらったということはあるんでしょうか、お聞かせください。
新
新倉修#11
○参考人(新倉修君) ただいまの御質問に対してお答えしますが、日弁連とか法律家団体が国連に問い合わせたということはないんですよね。私は、それは余り意味ないというふうに思います。
それはどうしてかというと、条約の中身はどうあるべきかということは、実は条約の条文と、それからトラボ・プレパトワールという条約を作るときに作られたメモですよね、これが基本なんですよ。ですから、条約の中身について問題があるならば、その事務を担当するところに幾ら問い合わせても、事務局として答えられる範囲もある意味では技術的な問題に限られちゃうので、今のような非常にセンシティブな問題については締約国会議で、この条約の意義はどうなのかと、この条文について我が方はこういう対応をしているとか、ほかの国はどうなんだという、ちょうちょうはっしとした議論がまさに条約の運用としてはあるべきわけで、それを何かお役所に物を尋ねるような感じで国連機関に聞いた方がいいとか聞かない方が悪いんだとかいうふうに、恐れながらちょっと何か筋が違うんじゃないかなという感じがします。
この発言だけを見る →それはどうしてかというと、条約の中身はどうあるべきかということは、実は条約の条文と、それからトラボ・プレパトワールという条約を作るときに作られたメモですよね、これが基本なんですよ。ですから、条約の中身について問題があるならば、その事務を担当するところに幾ら問い合わせても、事務局として答えられる範囲もある意味では技術的な問題に限られちゃうので、今のような非常にセンシティブな問題については締約国会議で、この条約の意義はどうなのかと、この条文について我が方はこういう対応をしているとか、ほかの国はどうなんだという、ちょうちょうはっしとした議論がまさに条約の運用としてはあるべきわけで、それを何かお役所に物を尋ねるような感じで国連機関に聞いた方がいいとか聞かない方が悪いんだとかいうふうに、恐れながらちょっと何か筋が違うんじゃないかなという感じがします。
山
山下雄平#12
○山下雄平君 では、新倉参考人と松宮参考人にお伺いしたいんですけれども、このTOC条約に入るべきだというお二人の主張だとは思うんですけれども、参加罪若しくは合意罪、どちらも全く国内法に立法化されないまま加盟されている国というのは具体的にどこの国があるんでしょうか。若しくは、その部分について完全に留保した形で加盟された国というのの例について教えていただければと思います。お二人。
この発言だけを見る →新
新倉修#13
○参考人(新倉修君) 我々の知っている範囲では、むしろ新しい立法をした国は二つしかないというふうには聞いております。
それから……ヤジ既存で。そこは、詳しくはやっぱり外務省で調査されていると思いますけれど、我々はっきり知っているのは、例えばアメリカも州によって州法があってカバーする領域が違って、アメリカは多分アラスカ州はコンスピラシー罪はないので、その点はアメリカとしては留保しているということはありますので、そういう例を考えれば、そう、何といいますか、急いで何か立法しなきゃいけないという事実はないんじゃないかというのが私の趣旨です。
この発言だけを見る →それから……ヤジ既存で。そこは、詳しくはやっぱり外務省で調査されていると思いますけれど、我々はっきり知っているのは、例えばアメリカも州によって州法があってカバーする領域が違って、アメリカは多分アラスカ州はコンスピラシー罪はないので、その点はアメリカとしては留保しているということはありますので、そういう例を考えれば、そう、何といいますか、急いで何か立法しなきゃいけないという事実はないんじゃないかというのが私の趣旨です。
松
山
山下雄平#15
○山下雄平君 ありがとうございます。
私もこの問題に専門家でもないですけれども、専門に研究されているお二人からするとアラスカがそこだということで、無数にある中でアラスカ一州と同じような対応をすべきだという考えだと思うんですけれども。
また、そこは解釈の疑義がある中で、先に西村参考人がしゃべられて、その後お二人だったので、西村参考人にお伺いしたいんですけれども、お二人、松宮参考人、新倉参考人の方から参加罪も合意罪もやらなくても条約に加盟できるんだという話が西村参考人、後にあったと思うんですけれども、お二人のお話を受けて、改めてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →私もこの問題に専門家でもないですけれども、専門に研究されているお二人からするとアラスカがそこだということで、無数にある中でアラスカ一州と同じような対応をすべきだという考えだと思うんですけれども。
また、そこは解釈の疑義がある中で、先に西村参考人がしゃべられて、その後お二人だったので、西村参考人にお伺いしたいんですけれども、お二人、松宮参考人、新倉参考人の方から参加罪も合意罪もやらなくても条約に加盟できるんだという話が西村参考人、後にあったと思うんですけれども、お二人のお話を受けて、改めてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
西
西村幸三#16
○参考人(西村幸三君) 今のお二人の参考人の意見をお聞きしても、余り私の見解は変わりません。
やはり条約の明文が、五条で本文ではっきりと、どちらかは導入しないといけないと、採用しないといけないとはっきり書いてあるわけですよね。
立法ガイドの表現がやや紛らわしいという言い方もありますけれども、どう考えてもオプションは二つしかなくて、ツーオプションだからジ・オプションズになっていると、普通そうにしか読めない。いずれか又は両方というのならイーザー・オア・ボースぐらいじゃないんだろうかとか。条約の本文の方ではイーザー・オア・ボースのどちらかを導入しなさいというふうに義務付けているんですから。立法ガイドで、もしどちらも要らないんだったらナイザーでいいと思いますし、いずれか一方だったらイーザー・オア・ボースでしょうか。
まあ紛らわしいと言われれば紛らわしいとは思いますが、文脈からしたらどう考えても読めないわけですよね。つまり、条約の本文を基本にすべきだというのが私の普通の読み方です。
この発言だけを見る →やはり条約の明文が、五条で本文ではっきりと、どちらかは導入しないといけないと、採用しないといけないとはっきり書いてあるわけですよね。
立法ガイドの表現がやや紛らわしいという言い方もありますけれども、どう考えてもオプションは二つしかなくて、ツーオプションだからジ・オプションズになっていると、普通そうにしか読めない。いずれか又は両方というのならイーザー・オア・ボースぐらいじゃないんだろうかとか。条約の本文の方ではイーザー・オア・ボースのどちらかを導入しなさいというふうに義務付けているんですから。立法ガイドで、もしどちらも要らないんだったらナイザーでいいと思いますし、いずれか一方だったらイーザー・オア・ボースでしょうか。
まあ紛らわしいと言われれば紛らわしいとは思いますが、文脈からしたらどう考えても読めないわけですよね。つまり、条約の本文を基本にすべきだというのが私の普通の読み方です。
山
真
真山勇一#18
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。
三人の参考人の方、今日はありがとうございました。
お三方から、やっぱりこの法案の複雑な面とか、大変難しい、解釈が難しい面とか、そういうことを大変多面的、そして様々な角度から御意見をいただいたという気がいたします。
それから、あとはやっぱり国際条約なので英文をどういうふうに訳すのかという、これ、翻訳論争をやっちゃうと幾ら時間があってもちょっと足りないので、こういうことはまた別の機会という気がするんですが、この法案めぐって私たち国民がやっぱり一番分からないところは、何か肝腎なことがなかなかよく分からないということがあると思います。
今日は委員の方たくさんいるのでいろんな質問が出ると思いますので、私は、やっぱり参議院に来てもう一回原点に戻ってというか、その辺で、お三方がそれぞれお話しになって立場の違いがすごく、それぞれ主張の違うことが分かりましたので、共通して同じ質問を伺って、それでそれに対してお三方がどういうようなお考えなのかなということをちょっと伺いたいというふうに思っております。
この法律は、組織犯罪防止条約に基づいて政府が出した法案、通称テロ等準備罪というのがとてもポピュラーというか、これがもうすっかり知られて、こういう名前で言われることが多いです。もちろん、私たちはやはり、この中にある本当の法案の意味はやっぱり共謀罪であるというふうには思っておりますけれども、そのテロ等準備罪、政府はこう言っています、五輪のために必要だと言っています。
それで、お三方にお伺いしたいんです。これ、本当にテロを防止するための法律になっていますか、そして、なっているんだったら防止できるんでしょうか。これをお三方、最初は西村参考人の方から伺いたいと思います。
この発言だけを見る →三人の参考人の方、今日はありがとうございました。
お三方から、やっぱりこの法案の複雑な面とか、大変難しい、解釈が難しい面とか、そういうことを大変多面的、そして様々な角度から御意見をいただいたという気がいたします。
それから、あとはやっぱり国際条約なので英文をどういうふうに訳すのかという、これ、翻訳論争をやっちゃうと幾ら時間があってもちょっと足りないので、こういうことはまた別の機会という気がするんですが、この法案めぐって私たち国民がやっぱり一番分からないところは、何か肝腎なことがなかなかよく分からないということがあると思います。
今日は委員の方たくさんいるのでいろんな質問が出ると思いますので、私は、やっぱり参議院に来てもう一回原点に戻ってというか、その辺で、お三方がそれぞれお話しになって立場の違いがすごく、それぞれ主張の違うことが分かりましたので、共通して同じ質問を伺って、それでそれに対してお三方がどういうようなお考えなのかなということをちょっと伺いたいというふうに思っております。
この法律は、組織犯罪防止条約に基づいて政府が出した法案、通称テロ等準備罪というのがとてもポピュラーというか、これがもうすっかり知られて、こういう名前で言われることが多いです。もちろん、私たちはやはり、この中にある本当の法案の意味はやっぱり共謀罪であるというふうには思っておりますけれども、そのテロ等準備罪、政府はこう言っています、五輪のために必要だと言っています。
それで、お三方にお伺いしたいんです。これ、本当にテロを防止するための法律になっていますか、そして、なっているんだったら防止できるんでしょうか。これをお三方、最初は西村参考人の方から伺いたいと思います。
西
西村幸三#19
○参考人(西村幸三君) 平成二十六年、国連安保理決議で、先ほど私が申し上げたとおりですけれども、組織的犯罪組織が収益を得て、それがテロリスト集団に流れていると、これを防止すべきだというのが国際的な共通認識だと考えております。
ですから、組織的犯罪処罰法の犯罪収益剥奪がテロ防止に役立つ、これはもうはっきりした国際的認識だと考えております。
この発言だけを見る →ですから、組織的犯罪処罰法の犯罪収益剥奪がテロ防止に役立つ、これはもうはっきりした国際的認識だと考えております。
新
新倉修#20
○参考人(新倉修君) テロとは何かという定義がそもそも書いていないんですよね。ですから、これはもう見る人によって答え方が全部違うというふうに思いますし、既に日本より進んでいるいろんなコンスピラシー罪みたいなのを持っているイギリスとか、それから参加罪の規定を持っているドイツとかフランスでもテロは起こっているわけですよ。それを防げるのかと言われたら、私に言わせると、刑法でどこまでそういう予防的なことができるのかといったら、恐らくこれは無理ですよ。無理なことを承知でやろうとしているのは、かなり冒険じゃないかというのが私の意見です。
この発言だけを見る →松
松宮孝明#21
○参考人(松宮孝明君) 西村参考人のおっしゃることは、実はテロ資金準備罪系統の法律で対処すべきものであって、共謀罪で対処すべきものではありません。
私は、この法案の中で、共謀罪、ほとんど共謀罪についてしか述べておりませんけれども、テロ資金準備罪についてのきちっとした規制をするかどうかということについては今回問題になっていないというふうに思っております。
その上で申し上げます。共謀罪がテロを防止する効果がある、それは実際的に考えてあり得ません。そうではなくて、大事なことは、警察とかいろんな組織、国の側の組織が持っているいろんな情報をきちんと有機的に組み合わせてテロを未然に防止するという活動である。例えば、二十数年前のオウム真理教のテロ事件が幾つかございましたけれども、あれでも断片的な情報は幾つかの機関が、例えば地方の警察組織とかが持っていたのに、それを総合できなかったのが地下鉄サリン事件を防止できなかった最大の問題であるという指摘がございます。
共謀罪でテロが防止できると。元々、共謀罪というか、その前提として、TOC条約はテロ対策ではないというのは先ほど申し上げたとおりですが、共謀罪でテロが防止できるということは考えない方がいいし、考えたら危険です。それから、そういう誤解を招くということで、人が安全でないのに安心感を持ってしまいます。
この発言だけを見る →私は、この法案の中で、共謀罪、ほとんど共謀罪についてしか述べておりませんけれども、テロ資金準備罪についてのきちっとした規制をするかどうかということについては今回問題になっていないというふうに思っております。
その上で申し上げます。共謀罪がテロを防止する効果がある、それは実際的に考えてあり得ません。そうではなくて、大事なことは、警察とかいろんな組織、国の側の組織が持っているいろんな情報をきちんと有機的に組み合わせてテロを未然に防止するという活動である。例えば、二十数年前のオウム真理教のテロ事件が幾つかございましたけれども、あれでも断片的な情報は幾つかの機関が、例えば地方の警察組織とかが持っていたのに、それを総合できなかったのが地下鉄サリン事件を防止できなかった最大の問題であるという指摘がございます。
共謀罪でテロが防止できると。元々、共謀罪というか、その前提として、TOC条約はテロ対策ではないというのは先ほど申し上げたとおりですが、共謀罪でテロが防止できるということは考えない方がいいし、考えたら危険です。それから、そういう誤解を招くということで、人が安全でないのに安心感を持ってしまいます。
真
真山勇一#22
○真山勇一君 ありがとうございました。
それでは、次の質問、伺いたいと思うんですけれども、これまでのこの委員会での答弁で、政府側は、組織犯罪集団、こうしたものの犯罪を防ぐことができるという一方で、例えば、団体とか大勢の人数が計画、準備をするということならば、これは当然捜査の対象になるという一方で、例えば、今ヨーロッパとかアメリカで起きている、本当に、個人がやったり、少人数の二人、三人、それもどういうつながりがあるかなかなか難しい、そういうテロというものが頻発しているわけですよね。
これに対して、先日この委員会でも、いわゆるローンウルフ型と呼ばれるテロにはこの法律は適用できないと、それでは取り締まれないという答弁が政府側からあったんですが、お三方に、そうなのか、そうならば、こういうテロを取り締まる、防止するためなんだから、じゃ、こういうことを防げなかったらやっぱり駄目だと思うんですが、これはどういうふうにいわゆる抜けとか漏れを防ぐべきなのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
じゃ、今度は松宮参考人からお願いします。
この発言だけを見る →それでは、次の質問、伺いたいと思うんですけれども、これまでのこの委員会での答弁で、政府側は、組織犯罪集団、こうしたものの犯罪を防ぐことができるという一方で、例えば、団体とか大勢の人数が計画、準備をするということならば、これは当然捜査の対象になるという一方で、例えば、今ヨーロッパとかアメリカで起きている、本当に、個人がやったり、少人数の二人、三人、それもどういうつながりがあるかなかなか難しい、そういうテロというものが頻発しているわけですよね。
これに対して、先日この委員会でも、いわゆるローンウルフ型と呼ばれるテロにはこの法律は適用できないと、それでは取り締まれないという答弁が政府側からあったんですが、お三方に、そうなのか、そうならば、こういうテロを取り締まる、防止するためなんだから、じゃ、こういうことを防げなかったらやっぱり駄目だと思うんですが、これはどういうふうにいわゆる抜けとか漏れを防ぐべきなのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
じゃ、今度は松宮参考人からお願いします。
松
松宮孝明#23
○参考人(松宮孝明君) はっきり申し上げて、ローンウルフ型のテロを防止するということは法律では無理です。事前には何が行われているのか、それは分からないです、一人でやられたら。むしろ問題は、どうしてそのようなローンウルフ型のテロに走る人が出てしまうのかということをきっちり解明して、これに対する社会の雰囲気だと思いますけど、これに対する対策を取ることだと思います。
この発言だけを見る →新
新倉修#24
○参考人(新倉修君) 私も基本的には松宮参考人と同じ意見ですね。犯罪を起こそうという気持ちを起こすのは、やっぱり社会から相当自分はひどい目に遭っているという人ですよね。例えば、秋葉原事件を起こした彼なんかもそういう感じですよね。ネットで書いたら逆にバッシングを受けて、ますます孤立感を深めて、わざわざ鯖江まで、鯖江ですよ、福井の鯖江までナイフを買いに行って、それからまた新たにレンタカー借りて秋葉原で事件を起こすという、こういう人たちは、その経過はみんな知っているわけですよね、場面場面はみんな。だけど、誰も止めなかった、止められなかったというわけですよ。それを、じゃ、警察力で止められるんだというのだったら、もうそれこそ怪しい人に全部タグでも付けて監視するしかないでしょうという話になるわけで、そういう監視社会を我々は望むのかと。それよりも、やっぱりみんなが安心して暮らせるような地域の社会、地域性を高めていくようなことが必要ですし、これはまさに教育におけるいじめの問題と同じなんですよね。だから、そこをよく考えていただきたいというふうに私は思います。
この発言だけを見る →西
西村幸三#25
○参考人(西村幸三君) 共謀罪の段階で単独犯による犯行は全く処罰の対象ではありませんので、まず、そもそも単独犯を処罰するものではないです。アグリーイング・ウィズ・ワン・オア・モア・パーソンズですから、確かに最低限二人でも成立はしてしまいます。ただ、実質的にはそういう組織、そういう人の結合体が組織的犯罪処罰法の二条と今回の六条の両方に絞り込まれたものに該当するとはなかなか思えない、まずめったにないんじゃないかというのが私の感覚です。
もう一つ、両参考人おっしゃいましたように、テロが実際にどういう方が起こして、背景が分かってくるかというと、社会から疎外感を持たれている方たちが多いと思います、移民にしても。そういう意味では、日本でもやはり移民に優しい社会というのは、きちんと外国人に優しい社会というのは構築していかなければいけない。日本がやはりテロがこれまで少なかったのは、そういう移民に優しく、セーフティーネットもちゃんと整備する、もちろんどこまで受け入れているかという問題はありますけれども、少なくとも生活保護面などでも整備されておりますので、そういう意味ではセーフティーネットをいかに大事にして疎外感を持たれないような社会を築けるかというのはとても大事なことだと思っています。
この発言だけを見る →もう一つ、両参考人おっしゃいましたように、テロが実際にどういう方が起こして、背景が分かってくるかというと、社会から疎外感を持たれている方たちが多いと思います、移民にしても。そういう意味では、日本でもやはり移民に優しい社会というのは、きちんと外国人に優しい社会というのは構築していかなければいけない。日本がやはりテロがこれまで少なかったのは、そういう移民に優しく、セーフティーネットもちゃんと整備する、もちろんどこまで受け入れているかという問題はありますけれども、少なくとも生活保護面などでも整備されておりますので、そういう意味ではセーフティーネットをいかに大事にして疎外感を持たれないような社会を築けるかというのはとても大事なことだと思っています。
真
真山勇一#26
○真山勇一君 ありがとうございます。
それから、やっぱり今回のこのテロ等準備罪、いわゆる共謀罪、これについて一般の人たちが対象になるのか、巻き込まれるのかということはこれはとても大きな関心事になっているというふうに思うんですね。この辺りの不安というのは依然と、いや、巻き込まれるんだというのと、いや、きちっと条件を付けて、今回対象になる団体を指定しているんだから巻き込まれない、一般の人が巻き込まれることはないという、そういう対立構造というか意見が続いているわけですけれども、今日のお三方の御意見の中でも、絞り込みがちゃんとされているという一方で、やっぱり歯止めがどうなのかということもありました。
そういうことで、もう一回、やはりこれは今回の法案の一番大きな焦点ではないかと思いますので、一般の人が対象になる、巻き込まれる可能性があるのかないのかということの、ひとつそれぞれの方からお伺いしたいというふうに思います。
この発言だけを見る →それから、やっぱり今回のこのテロ等準備罪、いわゆる共謀罪、これについて一般の人たちが対象になるのか、巻き込まれるのかということはこれはとても大きな関心事になっているというふうに思うんですね。この辺りの不安というのは依然と、いや、巻き込まれるんだというのと、いや、きちっと条件を付けて、今回対象になる団体を指定しているんだから巻き込まれない、一般の人が巻き込まれることはないという、そういう対立構造というか意見が続いているわけですけれども、今日のお三方の御意見の中でも、絞り込みがちゃんとされているという一方で、やっぱり歯止めがどうなのかということもありました。
そういうことで、もう一回、やはりこれは今回の法案の一番大きな焦点ではないかと思いますので、一般の人が対象になる、巻き込まれる可能性があるのかないのかということの、ひとつそれぞれの方からお伺いしたいというふうに思います。
西
西村幸三#27
○参考人(西村幸三君) 先ほど申し上げましたが、組織的犯罪処罰法の現行法の二条、ここに団体の定義がございます。この団体の定義は、継続性、あるいは指揮命令関係、あるいはあらかじめ定められた任務の分担、さらに反復という、二条の段階で既に厳しい要件が設定されております。
さらに、今回は組織的犯罪集団の定義として、六条の二で、団体のうち、結合関係の基礎としての共同目的ということで、単なる共同目的では駄目なんだと、その結合関係の基礎とまでなるだけの本質的なものでなければ駄目なんだということで更に絞り込みを掛けています。
そういう意味では、この要件で一般人がこれに該当するということを本当に想定できるのかと、いろんな事例がマスコミなどで、あなたも共謀罪とかいうようなタイトルで取り上げられているんですけれども、ちゃんとこういう法律の要件を一個一個当てはめて論じておられるようなものは、少なくとも弁護士がコメントしているようなものにも余り見当たらないように思っております、それは残念だと思っております。
この発言だけを見る →さらに、今回は組織的犯罪集団の定義として、六条の二で、団体のうち、結合関係の基礎としての共同目的ということで、単なる共同目的では駄目なんだと、その結合関係の基礎とまでなるだけの本質的なものでなければ駄目なんだということで更に絞り込みを掛けています。
そういう意味では、この要件で一般人がこれに該当するということを本当に想定できるのかと、いろんな事例がマスコミなどで、あなたも共謀罪とかいうようなタイトルで取り上げられているんですけれども、ちゃんとこういう法律の要件を一個一個当てはめて論じておられるようなものは、少なくとも弁護士がコメントしているようなものにも余り見当たらないように思っております、それは残念だと思っております。
新
新倉修#28
○参考人(新倉修君) 一般人とは何かという定義についても国会で随分議論していますので、それを見ますと、やっぱり一般人というのは相変わらず漠然とした概念だなという感じがしますね。
私は一般人だと思いますけれど、しかし、人から見ればあなたは特殊だと、変わっているとかいうことになるし、あなたの付き合いからいうとそういう人たちもいるでしょうと。実際、私も元受刑者の支援活動とかやっていますので、そういう人たちがまた転落して刑務所へ入るような瀬戸際の生活をしておるわけですから、そういう人と付き合っているあなたは普通じゃないよと言われれば、ああそうだと、そういうふうに思われるのかなという感じはしますね。
だから、要するに、その歯止めを一体その法案できちっと書かれているのかということで考えると、その歯止めはないんじゃないかというのが私の意見です。
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だから、要するに、その歯止めを一体その法案できちっと書かれているのかということで考えると、その歯止めはないんじゃないかというのが私の意見です。
松
松宮孝明#29
○参考人(松宮孝明君) 二つの点を指摘いたします。
まず第一に、五月二十九日、参議院の本会議ですね、法務大臣が結合関係の基礎としての共同の目的についてこのようにおっしゃっておられますね。
ある団体について、結合関係の基礎としての共同の目的が何であるかについては、個別具体的な事案における事実認定の問題でありますとまず言っているんですね。だから、余り一般的には分からないんですよ。当該団体が標榜している目的や構成員らの主張する目的のみによって判断するのではなく、継続的な結合体全体の活動実態等から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかについて、社会通念に従って認定されるべきものと考えられます、したがって、対外的には環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それが言わば隠れみのであって、実態において、構成員の結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにある団体と認められるような場合には組織的犯罪集団と認められると、こういうふうにおっしゃっているんですね。
これ、非常に大事なことで、どういう看板を掲げているかではないんですよ。外から見て、これはその結合関係の基礎が犯罪にあるという団体だというので判断する。その外から見てという、見る人は誰かというと捜査機関なんですね。ですから、いや、看板としてはそうなっていないんだけどということで安心ということはないし、しかも、個別具体的判断ですから、個別具体的なので安心じゃないです。これが一点目です。
二点目は、先ほどの私の意見陳述の中で述べたことです。法案の条文をよく見てください。六条の二は、確かに、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」と書いています。しかし、それは行われるものの定義なんですよ。この後、「の遂行を二人以上で計画した」というときの計画者は、この団体、組織の構成員であるということはこの法案には一言も書いていないんです。ですから、計画者が組織内の人物に限られるということはこの条文からは読み取れない。一般人という言葉が何を意味するかは分かりませんけれども、少なくとも計画者が組織内の人物に限られているということはこの法案からは言えないということは明らかだと思います。
この発言だけを見る →まず第一に、五月二十九日、参議院の本会議ですね、法務大臣が結合関係の基礎としての共同の目的についてこのようにおっしゃっておられますね。
ある団体について、結合関係の基礎としての共同の目的が何であるかについては、個別具体的な事案における事実認定の問題でありますとまず言っているんですね。だから、余り一般的には分からないんですよ。当該団体が標榜している目的や構成員らの主張する目的のみによって判断するのではなく、継続的な結合体全体の活動実態等から見て、客観的に何が構成員の結合関係の基礎になっているかについて、社会通念に従って認定されるべきものと考えられます、したがって、対外的には環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それが言わば隠れみのであって、実態において、構成員の結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪等を実行することにある団体と認められるような場合には組織的犯罪集団と認められると、こういうふうにおっしゃっているんですね。
これ、非常に大事なことで、どういう看板を掲げているかではないんですよ。外から見て、これはその結合関係の基礎が犯罪にあるという団体だというので判断する。その外から見てという、見る人は誰かというと捜査機関なんですね。ですから、いや、看板としてはそうなっていないんだけどということで安心ということはないし、しかも、個別具体的判断ですから、個別具体的なので安心じゃないです。これが一点目です。
二点目は、先ほどの私の意見陳述の中で述べたことです。法案の条文をよく見てください。六条の二は、確かに、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」と書いています。しかし、それは行われるものの定義なんですよ。この後、「の遂行を二人以上で計画した」というときの計画者は、この団体、組織の構成員であるということはこの法案には一言も書いていないんです。ですから、計画者が組織内の人物に限られるということはこの条文からは読み取れない。一般人という言葉が何を意味するかは分かりませんけれども、少なくとも計画者が組織内の人物に限られているということはこの法案からは言えないということは明らかだと思います。