法務委員会

2017-06-15 参議院 全179発言

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会議録情報#0
平成二十九年六月十五日(木曜日)
   午後二時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     福山 哲郎君     小川 敏夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         秋野 公造君
    理 事
                西田 昌司君
                山下 雄平君
                真山 勇一君
               佐々木さやか君
    委 員
                猪口 邦子君
                中泉 松司君
                古川 俊治君
                丸山 和也君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
               渡辺美知太郎君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                東   徹君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   衆議院議員
       修正案提出者   井出 庸生君
   国務大臣
       法務大臣     金田 勝年君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  井野 俊郎君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   平木 正洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      大塚 幸寛君
       警察庁長官官房
       審議官      西川 直哉君
       警察庁長官官房
       審議官      小田部耕治君
       警察庁長官官房
       審議官      高木 勇人君
       法務大臣官房審
       議官       高嶋 智光君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省矯正局長  富山  聡君
       法務省保護局長  畝本 直美君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局児童虐待防止
       等総合対策室長  山本 麻里君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    堀江  裕君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○刑法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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秋野公造#1
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、山添拓君及び福山哲郎君が委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君及び小川敏夫君が選任されました。
    ─────────────
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秋野公造#2
○委員長(秋野公造君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 刑法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長林眞琴君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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秋野公造#3
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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秋野公造#4
○委員長(秋野公造君) 刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、本案について政府から趣旨説明を聴取いたします。金田法務大臣。
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金田勝年#5
○国務大臣(金田勝年君) 刑法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明をいたします。
 性犯罪は、被害者の心身に多大な苦痛を与え続けるばかりか、その人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪であることから、厳正な対処が求められておりますところ、明治四十年の現行刑法制定以来基本的にその構成要件が維持されてまいりました現行の罰則では、性交と同等の身体的接触を伴う強制わいせつ事案、親権者等による性交等事案などについて、適正な処罰が困難な場合があるとの指摘がなされております。
 また、現行法に対しましては、強姦罪の悪質性、重大性に鑑みると、その法定刑の下限が低きに失して国民意識と合致しない、あるいは、性犯罪が親告罪であることにより、かえって被害者に精神的な負担を生じさせていることが少なくないなどの様々な御意見が見られるところであります。
 そこで、この法律案は、性犯罪の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、刑法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、現行の強姦罪は、強制わいせつ罪の加重類型と考えられておりますところ、その構成要件を見直し、行為者及び被害者の性別を問わず、暴行又は脅迫を用いて肛門性交又は口腔性交をする行為等を現行の強姦と同様の重い類型の犯罪として処罰することとした上で、その法定刑の下限を懲役三年から懲役五年に引き上げるとともに、被害者を死傷させた場合の法定刑の下限も懲役五年から懲役六年に引き上げるものであります。また、これに併せて、強姦罪の罪名を強制性交等罪とするものであります。
 第二は、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪の新設であります。すなわち、十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為又は性交等をした者に対する罰則を新設することとしております。
 第三は、強姦罪等を親告罪としていた規定を削除いたしまして、これらの罪を非親告罪とするものであります。
 第四は、同一の機会に強盗の罪と強制性交等の罪を犯した場合について、現行の強盗強姦罪と同様の法定刑で処罰することとするものであります。
 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において一部修正が行われております。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。
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秋野公造#6
○委員長(秋野公造君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員井出庸生君から説明を聴取いたします。井出庸生君。
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井出庸生#7
○衆議院議員(井出庸生君) 刑法の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分につきまして、御説明申し上げます。
 本修正は、法律案の附則に、政府は、この法律の施行後三年を目途として、性犯罪における被害の実情、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする規定を追加するものであります。
 何とぞ、熟議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
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秋野公造#8
○委員長(秋野公造君) 以上で本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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猪口邦子#9
○猪口邦子君 自民党の猪口邦子でございます。
 本日、私は、金田大臣が提案理由を述べられました刑法の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。
 今年の三月七日、閣議決定を経て、刑法の一部を改正する法律案が国会に提出されました。改正法案は、刑法制定以来百十年ぶりに性犯罪に係る諸規定を大きく改正するものであります。
 趣旨説明で大臣も述べられましたが、この主たる内容は、強姦罪の構成要件の見直し及び罪名の変更、強制性交等罪となります。また、強制性交等罪の法定刑の引上げ、監護者であることによる影響力があることに乗じたわいせつな行為等の処罰の規定の新設、また、強盗強姦罪の構成要件の見直し、また、強制性交等罪の非親告罪化であります。
 刑法におきます性犯罪処罰規定の構成要件等は、明治四十年の刑法制定以来、制定当時のものが基本的には維持されてきました。これまでになされた改正は、古くは昭和三十三年、一九五八年の集団強姦罪の非親告罪化、また、平成十六年、二〇〇四年には強姦等性犯罪の法定刑の引上げ等がありましたけれども、限られた内容でありました。
 今回の改正に至る過程を考えてみたいと思いますけれども、二〇一五年十月に法務大臣、法制審議会に諮問され、性犯罪関係の刑事法部会で審議がまとまり、二〇一六年の九月ですね、答申がなされています。これに先立ちまして、二〇一四年十月から二〇一五年八月に性犯罪の罰則に関する検討会も設けられています。
 今次の改正法案に至る、しかし最も重要なこととして、数多くの性犯罪被害者の無念があると思います。その方々が、絶望にもかかわらず声を上げる勇気を持って社会的に発言してきた、被害者としての苦悩、そして法改正の必要性、これを訴え続けてくれたということがあると思います。
 声を上げる、これはレイズ・ザ・ボイスと呼ばれる活動ですけれども、そういう努力、社会発展と社会正義の原動力となるもので、私は、分野は違いますけれども、かつて国連で日本の軍縮大使として働いておりましたけれども、様々な問題の被害者が声を上げる勇気、その困難のただ中ではなかなかそれが難しいんですけれども、そのレイズ・ザ・ボイス、この無数の努力が人間社会の進歩につながると感じております。
 ですから、本日は、性犯罪被害者の無念、とりわけ十八歳未満の児童の被害者の悲しみを深く捉えまして、問題提起の声を上げた方々に敬意を表しまして質問したいと思っております。
 まず、この改正法案が出てきている時期について伺います。
 このタイミング、百十年ぶりということなんですけれども、私は初代専任の男女共同参画大臣を務めておりまして、まず、男女共同参画基本法、一九九九年に制定されまして、五年ごとに基本計画の策定が命じられています。私は第二次基本計画を担当いたしましたけれども、その後の第三次基本計画においてこの刑法改正の検討を求めているということを思い出しました。
 このような男女共同参画基本計画第三次のものがその検討を求めたということが、今次改正法案の国会提出に至る流れの一つをつくったのではないかと感じておりますけれども、これについてお考えを伺いたいと思います。
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林眞琴#10
○政府参考人(林眞琴君) 刑法における性犯罪の罰則に関しましては、平成十六年の刑法改正の際に衆参両議院の法務委員会附帯決議において更なる検討が求められておりましたが、委員御指摘のとおり、平成二十二年に閣議決定されました第三次男女共同参画基本計画におきまして、その中で平成二十七年度末までに強姦罪の見直し、これについては非親告罪化、性交同意年齢の引上げ、構成要件の見直し等でございますけれども、強姦罪の見直しなど性犯罪に関する罰則の在り方を検討すると、このようにされていたところでございます。
 これを受けまして法務省においては、先ほど委員も御指摘にありましたが、平成二十六年十月から性犯罪の罰則に関する検討会、これを開催しまして、さらに、その検討結果を踏まえまして、平成二十七年十月に法制審議会にこの刑法一部改正についての諮問を行いまして、その答申を得た結果、今回こういった法案を提出させていただいた次第でございます。
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猪口邦子#11
○猪口邦子君 ありがとうございます。
 政府横断的にしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。本来はもっと早く進めるべきだったと思っておりまして、今後は、被害の未然防止のためにも的確な対応を決意を持ってやっていただきたいと思っております。
 それでは、具体の条文内容について伺います。
 まず、この強姦罪構成要件の見直し、また集団強姦罪の廃止についてでございますけれども、この改正法は、刑法百七十七条の強姦罪の構成要件に関してですけれども、まず、これ大臣の趣旨説明にもありますけれども、主体と客体の性別による限定をなくしまして、つまり、男性による女性に対する犯罪という限定ではなくて、強姦罪という、したがって、罪名も改めまして、強制性交等罪として肛門性交や口腔性交も強制性交等罪の対象行為とする、この処罰対象を拡大している、そして法定刑の下限についても懲役三年から懲役五年に引き上げると、これは誠に国民の意識に沿うものであり、評価できると思うんですね。
 他方で、改正法は、刑法百七十八条の二の集団強姦罪、集団強姦等の罪の規定、これを削除しています。集団強姦は単独の強姦よりも悪質な類型と一般的には思われると思いますが、規定を削除すること、これを妥当とする考えの背景はどのようなものでしょうか。
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林眞琴#12
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおり、強姦のうち二人以上の者が現場において共同して犯した場合、すなわちいわゆる集団的形態の強姦につきましては、その暴力的犯罪としての凶悪性が著しく強度であるという点で悪質であると考えております。
 もっとも、現在、集団強姦等の罪の法定刑の下限は四年でございます。また、同罪に係る強姦等致死傷罪の罪の法定刑の下限は六年とされております。今回の改正によりまして、強姦罪の法定刑の下限を五年に、また強姦等致死傷罪の法定刑の下限を六年にそれぞれ引き上げることとしておりまして、集団強姦等の罪及び同罪に係る強姦等致死傷罪の罪を廃止した場合におきましても、この集団的形態で行われる強姦行為についても現在の法定刑より下限が引き上げられることになります。また、同罪に係る強姦等致死傷罪については、現在の法定刑の下限が維持されることになります。
 このように、集団による強姦という悪質性、重大性につきましては、法定刑の下限が引き上げられた強姦罪や強姦致死傷罪の法定刑の範囲内で量刑上十分に考慮して適切な科刑が可能であると考えられたことによる、それが理由でございます。
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猪口邦子#13
○猪口邦子君 そもそも、法定刑の下限を引き上げるので百七十八条二の集団強姦罪より重くなるという御説明なんですけれども、集団での強制性交等罪の悪質性、それは局長もおっしゃったんですけれども、これは十分に考慮する必要がありまして、量刑判断におきまして、捜査当局、個々の事件に対する異なる立場で関与した者の刑事責任、これを個別に適切に問う必要がありますので、そのことを重要なこととして指摘しておきたいと思います。
 それで、次に強盗強姦罪の構成要件の見直しで、これは長年おかしいと言われていたことなんでございますけれども、強盗に入って後に強姦に及んだ場合と強姦してから強盗に及んだ場合に、後者の方が刑が軽いというのは非常におかしなことなのです。
 これまでの刑法では、刑法二百四十一条で、強盗強姦罪は強盗である者が強姦に及んだ場合のみに成立するわけですね。他方で、強姦に及んだ者がその後強盗に及ぶという場合には強盗強姦罪は成立しないという考えなんですね。そうすると、強盗強姦罪が成立すると、懲役刑、下限が七年、無期懲役も可能だったんですけれども、強姦が先の場合は強姦と強盗の二つの犯罪があるということで処断刑となりまして、下限が懲役五年、それと無期懲役は科せなかったと思います。
 ですから、今回、どちらが先かということはそれは問わない、先後を問わないということにしているのでこれは的確な見直しと考えますけれども、当局としてのその法的な立論について、この部分についてお伺いしたいと思います。
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林眞琴#14
○政府参考人(林眞琴君) まず、委員御指摘のとおり、現行法上、強盗犯人が強姦をした場合には強盗強姦罪が成立いたします。他方で、強盗と強姦との双方を行った場合でありましても、強姦行為後に強盗の犯意を生じて強盗した場合には強盗強姦罪は成立せず、強姦罪と強盗罪との併合罪が成立するということにとどまります。この場合、処断刑は強盗強姦罪とは大きく異なってしまいます。しかしながら、同じ機会に双方を行うことの悪質性、重大性に鑑みますと、こういった強盗行為と強姦行為との先後関係、あるいは犯意の発生時期の違いをもってこうした科すことのできる刑に大きな差異があると、このことを合理的に説明することは困難でございます。
 そこで、今回の法改正によりまして、同一の機会に強盗行為と強姦罪、今回、強制性交等罪となりますが、この行為が行われた場合につきまして、その行為の先後関係を問わずに現行の強盗強姦罪と同様の法定刑で処罰することといたしまして、あわせて、強盗の行為と強制性交等の行為との双方が未遂に終わった場合についての刑の減免についての規定や、さらに、それぞれの行為から死亡の結果が生じた場合について現行の強盗強姦致死罪と同様の法定刑で処罰ができるものとする規定の整備を併せて行うこととしたものでございます。
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猪口邦子#15
○猪口邦子君 それでは次に、監護者性交等の罪についてお伺いします。
 現行法では、強姦罪や強制わいせつ罪、これは被害者が十三歳未満であれば暴行、脅迫を伴わなくても成立すると考えられていて、これは性的自己決定ができないものと考えられるからだと思います。他方で、被害者が十三歳以上であれば暴行、脅迫がなければそのような犯罪は成立しないということになりまして、現実にそぐわない場合が多いと思います。
 改正法では、百七十九条で監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪を新設しておりまして、十八歳未満の者に対し以下のような規定としております。その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者については、十三歳以上であっても暴行、脅迫等を要件とせず、強制性交等罪や強制わいせつ罪と同様の罰則で処罰されることということですね。監護とは監督し保護する立場ということを意味しますけれども、例えば家族、親族などの中で起こること、生活の中で起こるから、毎回暴行、脅迫が伴うというわけでもないまま性的自己決定権が害されるというような実態、そういう実態があるという無数の訴えに基づいた改正でありまして、実に重要な改正点であります。
 そこでお伺いするのは、この現に監護する者、具体的にはどのような者と考えますか。これは、法律上の監護権を有するか否か、これは問わないと思います。より具体的な場合を想定してのことだと思いますけれども、御説明いただけますか。
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林眞琴#16
○政府参考人(林眞琴君) まず、本罪において監護するというのは、民法の親権の効力として定められているところと同様で、監督し保護することをいいます。したがいまして、この十八歳未満の者を現に監護する者といいますのは、十八歳未満の者を現に監督し保護している者を指すわけでございます。
 もっとも、本罪は、依存、被依存ないし保護、被保護の関係にある監護者の影響力がある状況の下で性交等が行われた場合には、その十八歳未満の者の意思決定は、そもそも精神的に未熟で判断能力の乏しい者に対して監護者の影響力が作用してなされたものでありまして、自由な意思決定と言うことはできないと考えられる、このことに着目して新設するものでございますので、当該行為者が法律上の監護権を有するか否か、このことに着目したものではございません。
 そこで、法律上の監護権に基づくものではなくても、事実上、現に十八歳未満の者を監督し保護する関係にあれば、現に監護するに該当し得ます。一例を挙げれば、現に監護する者というものについては、親ではなくても、親の再婚相手であるが子とは養子縁組をしていない者であって、子の寝食の世話をして指導監督している者などはこれに該当し得ると考えております。
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猪口邦子#17
○猪口邦子君 例えば、生活費を支出しているとか、未成年の場合、いろいろな行政手続をしてあげる人がいると思いますけれども、もう少し具体的にどういうイメージなのか述べてもらえますか。
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林眞琴#18
○政府参考人(林眞琴君) 今一例を挙げましたが、更に例を挙げれば、例えば親の内縁の配偶者であって、子の寝食の世話をして指導監督している者、また、親が行方不明となっているために、事実上、子を引き取って親代わりとして養育している親族、このような者が該当し得ると考えられます。
 その場合の具体的な判断基準でございますけれども、具体的にはやはり同居の有無、居住場所に関する指定等の状況でありますとか、あるいは指導状況、身の回りの世話等の生活状況、あるいは生活費の支出などの経済的な状況、あるいは未成年者に関する諸手続を行っているかどうか、こういった状況、こういったことを諸事情を考慮して判断されるものと考えております。
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猪口邦子#19
○猪口邦子君 例えば学校の先生、家庭教師、あるいは児童生徒を放課後などの時間帯で指導する立場の人、こういう方は現に監護する者に含まれるのでしょうか。
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林眞琴#20
○政府参考人(林眞琴君) この監護者性交等罪の現に監護する者に当たるか否かは、先ほど申し上げたような諸事情を考慮して個別の事案で判断されるべきものでございますが、一般論として申し上げれば、委員御指摘の学校の教師等につきましては、この場合、事案にもよるとは思いますけれども、通常はその児童生徒との間に生活全般にわたる依存、被依存、ないし保護、被保護の関係が認められるわけではございませんので、こういった場合に現に監護する者に当たらない場合が多いと考えられると思います。
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猪口邦子#21
○猪口邦子君 分かりましたが、更に実態を研究していただき、やはり児童の最善の安心、安全と福祉、これに配慮する運営、運用、こういうのが大事だと思っております。
 このような立法、非常にやりがいのある立法だと思いますけれども、法があって法社会学がありますけれども、社会の認識形成の強化につながるように、監護される立場の弱い未成年、そういう人たちがこの性犯罪の犠牲となることがないよう、そのような認識形成と啓発、それも併せてお願いしたいと思っております。
 それでは、非親告罪化、ここまた非常に重要なところなんですけれども、これについてお伺いします。
 改正法では、これまでの強姦罪、今は強制性交等罪ですけれども、それを非親告罪化しています。これにより、性犯罪被害者が告訴に至る心理的な負担、また人間関係の複雑さから告訴を思いとどまりがちになる、このような指摘、従来から多々されてきましたけれども、これに対応することが可能になります。
 海外でも、例えばフランス、ドイツ、性犯罪は非親告罪でありますし、性犯罪を非親告罪とすることは世界の潮流であると思われますけれども、諸外国の性犯罪の非親告罪とされている経過、経緯あるいは理由等を伺います。
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林眞琴#22
○政府参考人(林眞琴君) 網羅的に外国制度を承知しているわけではございませんけれども、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国といった国においては、少なくとも主な性犯罪については親告罪とはされていないと承知しております。
 その経緯については、まずアメリカ、イギリスについてはそもそも一般的に親告罪という制度がございません。フランスにおきましては、かねてより性犯罪は非親告罪とされておりました。ドイツにつきましては、ライヒ刑法典が、一八七一年の制定当初はこの強姦罪を親告罪としていたわけでございますが、一八七六年の段階で刑法改正で親告罪の規定が削除され、強姦罪は非親告罪となっております。
 韓国におきましては、刑法制定当初から強姦罪や強制わいせつ罪等は親告罪とされておりましたが、被害者が親告及び告訴を敬遠することにより犯罪が隠蔽されることを防ぐことができ犯罪予防の効果があるほか、被害者の意思と関係なく加害者に対する厳正な対処効果が期待できるなどの理由で、二〇一二年刑法改正により非親告罪とされたと、このように承知しております。
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猪口邦子#23
○猪口邦子君 私は初代の専任の少子化大臣務めたんですけれども、言うまでもなく、児童福祉の充実、そして児童が性犯罪から保護されるために大人社会は最善の努力をする、これ非常に重要だと考えておりまして、今日質問させていただいております。
 例えば、保護者は告訴権を持っているわけですけれども、その告訴権を発動しなくても、発動しない場合もたくさんあったかもしれません、そういう場合にも今回適切に対応できるということでよろしいんですよね。
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林眞琴#24
○政府参考人(林眞琴君) この告訴、強姦罪等が親告罪とされることについて様々指摘があったわけでございますが、その中で特に児童に対する性犯罪に当てはまるものとしましては、現在、性犯罪が親告罪とされるために、周囲の人が児童が性被害に遭っていることに気付いても通報しにくい状況にあるという指摘でありますとか、あるいは、被害者が年少者で、実母の夫や交際相手が加害者であるような強姦の事例につきましては、法定代理人である実母がその夫や交際相手と別れたくないがために当該強姦について告訴しない場合があると、こういった指摘があったところでございます。
 このような状況に照らしますと、強姦罪等が非親告罪されることによりまして、児童に対するこれまでの強姦罪等について告訴を要せずに公訴を提起することが可能となりまして、性犯罪の被害に遭った児童の保護にも資するものと考えております。
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猪口邦子#25
○猪口邦子君 では、最後に思いますことは、非親告罪化に当たっては、今までは、心の負担というものもあって、そういう公の場での対応をイメージすれば児童は著しい不安感や戸惑いを感じてということがあったと思いますけれども、非親告罪化となります場合には、今度は、例えば司法面接の取組を更に推進する、あるいは児童相談所の機能強化など、この改正を契機に政府を挙げて児童を保護するため、そのような被害児童を保護するための取組も様々な観点から多角的にかなり誠実に進めてもらう、そのような努力が必要ではないかと考えております。
 先ほど申し上げましたとおり、性犯罪の被害者となった児童に最善の配慮を行う、そして、そのような性犯罪根絶に向けて、この法改正を契機に、国民の総意を今、更に強化して、また政府においては最善の政策を生み出していく、そのようにお願いしたいと思います。立法府の一員としても、このような仕事、やりがいがあると思っておりますが、どうぞ大臣も行政府もよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、刑事局長のそのような方向についての決意、最後に伺いまして、私の質問を終わります。
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林眞琴#26
○政府参考人(林眞琴君) 児童を保護するための取組といいますのは、性犯罪の非親告罪化がなされる前からもこれは非常に重要な課題でございました。今後更に、非親告罪となった暁におきましては、更にこの取組が非常に重要であると考えております。
 これまでも、例えば検察当局については、事件送致がなされる前の段階でも警察、児童相談所と連携いたしまして、この司法面接的な手法というようなものについての取組を今もう行っております。また、平成二十八年四月一日に閣議決定された第三次犯罪被害者基本計画の中におきましても、既にございます証人への付添いでありますとか遮蔽等の措置、こうした犯罪被害者等の保護のための措置について周知徹底を図って、一層適正に運用されるように努めるということや、また、検察官に対する研修の中で、児童や女性の犯罪被害者等と接する上での留意点、また熟知した専門家等による講義を実施してこういった取組の充実を図る、こういった施策が掲げられているところでございます。
 法務省といたしましては、法務省のみならず政府全体で、また他の関係機関と連携する中でこういった取組を一層進めてまいりたいと考えております。
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猪口邦子#27
○猪口邦子君 ありがとうございました。終わります。
    ─────────────
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秋野公造#28
○委員長(秋野公造君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 刑法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等・児童家庭局児童虐待防止等総合対策室長山本麻里君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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秋野公造#29
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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