法務委員会

2024-05-30 参議院 全87発言

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会議録情報#0
令和六年五月三十日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長        佐々木さやか君
    理 事
                古庄 玄知君
                和田 政宗君
                牧山ひろえ君
                伊藤 孝江君
                川合 孝典君
    委 員
                岡田 直樹君
                北村 経夫君
                山東 昭子君
                田中 昌史君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                石川 大我君
                福島みずほ君
                石川 博崇君
                清水 貴之君
                仁比 聡平君
                鈴木 宗男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        久保田正志君
   参考人
       独立行政法人国
       際協力機構理事
       長        田中 明彦君
       特定非営利活動
       法人移住者と連
       帯する全国ネッ
       トワーク共同代
       表理事      鳥井 一平君
       横浜華僑総会顧
       問        曽 徳 深君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実
 習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○連合審査会に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
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佐々木さやか#1
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、独立行政法人国際協力機構理事長田中明彦さん、特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク共同代表理事鳥井一平さん及び横浜華僑総会顧問曽徳深さんでございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、田中参考人、鳥井参考人、曽参考人の順にお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手をしていただきまして、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず田中参考人からお願いいたします。田中参考人。
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田中明彦#2
○参考人(田中明彦君) 独立行政法人国際協力機構、JICAで理事長を務めております田中明彦と申します。
 本日は、このJICAの理事長ということではなく田中個人ということで、参考人として意見を陳述する機会をいただき、感謝申し上げます。
 私は、長く国際政治、国際関係を専門として大学教員を務めてまいり、研究、教育に携わってまいりましたけれども、二〇一二年から一五年までJICAの理事長を務めさせていただき、それからその後、学界に戻りまして、また二〇二二年から再びJICAの理事長を今務めさせておるところでございます。
 私は、先般、今回の問題というか案件に関連して、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の下に設置されました外国人との共生社会の実現のための有識者会議というものにおいて座長を務めさせていただき、そして、今般、技能実習制度の見直しに当たり、同じく関係閣僚会議の下に設置された技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の座長を務めさせていただきました。有識者会議で提言する制度改革案というのは、私は、論理的に一貫し、できる限りシンプルで分かりやすいということが大事であると常日頃から考えてきておりました。今回もそのことを念頭に有識者会議における議論を進め、座長として取りまとめ作業に当たったところであります。
 この技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議では、各委員の皆様方から、それぞれのお立場から、あるいはそれぞれの御見識の下、現行の技能実習制度及び特定技能制度に関する数多くの課題に真っ正面から向き合っていただいたと思っております。課題解決に向けて、豊かな御知見と非常に有意義な御意見を提示していただき、真摯かつ率直な検討と議論を行っていただきました。それらの成果として取りまとめられたのがこの有識者会議の最終報告書であると私は思っております。
 今回の法案及びそれに先立って決定された政府方針は、有識者会議の最終報告書を踏まえて作っていただいたものと考えております。有識者会議の取りまとめに当たった者として、政府の御努力を高く評価したいと思います。
 以下、具体的内容について私の意見を申し述べたいと思います。
 まず、制度の目的について、有識者会議においては、現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消し、人手不足分野における人材確保や、基本的に三年間の就労を通じた育成期間で特定技能一号の技能水準の人材に育成することを目指す新たな制度を創設することを提言しました。本法案においても、人材育成と人材確保が法律上の目的として掲げられております。これはまさに最終報告書と軌を一にしております。
 また、受入れ対象分野についても、有識者会議においては、受入れ対象分野は、現行の特定技能制度における特定産業分野に限定して設定し、受入れ対象分野ごとに受入れ見込み数を設定することや、受入れ見込み数等は、有識者等で構成する会議体の意見を踏まえ政府が判断するものと、そういうことという提言を行いました。この点についても本法案において提言の内容が踏襲されており、基本方針において、分野の選定に関する基本的な事項を定めた上で、分野ごとに定める分野別運用方針において各分野の受入れ見込み数を定めるというものとしており、これらの方針を作成する際には、育成就労制度に関し知見を有する者の意見を聞かなければならないということとされております。
 次に、転籍の在り方について、有識者会議においては、まず、やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲を拡大、明確化し、手続を柔軟化することを提言し、さらに、一定の要件を満たす場合には本人の意向による転籍を認めることを提言いたしました。このやむを得ない事情がある場合の転籍については、政府方針において、有識者会議の提言の内容に加えて、現行制度下においても速やかに運用改善を図ることが示されており、私としては大変結構な方向だと思っております。
 また、本人意向による転籍の制限期間について、有識者会議においては、労働法制上、有期雇用契約でも一年を超えれば転籍が可能であるということなどを踏まえ、同一の受入れ条件での就労期間が一年を超えていることを要件とすべきであると提言いたしました。もっとも、転籍の制限緩和による人材育成への支障や人材を流出する懸念する声もございました。そこで、有識者会議では、激変緩和の措置として、当分の間、受入れ対象分野によっては一年を超える期間を設定することも可能とするなどの必要な経過措置を設けることについても併せて提言いたしました。
 提言に至るまでの議論では、各受入れ対象分野で二年を超えない範囲で期間を設定可能にするという具体的な案についても検討を行いました。
 その際、これに賛同する意見もあったのでありますが、二年間の転籍制限が必要以上に広く認められることは望ましくないという意見も多く、また制度の複雑化は避けるべきだという観点もあり、最終的には、同一の受入れ機関での就労期間が一年を超えていることを要件として運用を開始した上、一定期間の経過後に、それまでの運用状況を踏まえて転籍制限期間について見直しを行うものとすることなど、制度全体において必要な経過措置を検討することが相当であると考えられました。この点について、政府においては、この提言を踏まえて検討を加えられ、転籍制限の期間については、人材育成の観点を踏まえた上で一年とすることを目指しつつも、激変緩和の観点から、当分の間、各受入れ対象分野の業務内容等を踏まえ、分野ごとに一年から二年までの範囲で期間を設定するものとされたというふうに理解しております。
 さらに、本人意向による転籍時の日本語能力に係る要件について、有識者会議においては、特定技能一号への移行要件である日本語能力水準がA2相当であり、就労開始後一年経過時までに外国人に受験させる試験がA1相当の試験であることを踏まえ、日本語能力A1相当以上の試験に合格していることを要件とすべきと提言いたしました。この点について、政府方針においては、分野によってA1相当以上の水準の設定を認めることとしています。また、政府においては、A1相当からA2相当までの範囲内の水準で新たな試験の導入を検討することとしていると理解しております。そうだとしますと、転籍時に求める日本語能力水準も、各分野においてよりきめ細かく高い水準の要件設定を行うことも考えられるのだろうと思います。
 このような方向性は、外国人の権利保護や、これによる制度の魅力向上という観点と、人材育成への支障や人材流出への懸念への対応という観点のバランスが取れたものとなっているものと考えております。
 次に、転籍支援の在り方について、有識者会議においては、監理団体が中心となって行うこととしつつ、ハローワークが外国人技能実習機構等と連携するなどして支援を行うことや、悪質な民間職業紹介事業者等が関与することで外国人や受入れ機関が不利益を被ることがないよう必要な取組を行うこと、こういうことを提言いたしましたが、この点においては政府方針においても踏襲されております。
 その上で、政府方針においては、有識者会議の提言から一歩進んで、当分の間、民間の職業紹介事業者の関与は認めないこととされております。この点については、有識者会議においては、民間事業者の参入を認めるべきではないという意見がありつつも、現に特定技能制度では民間事業者が活用されている状況があったことを踏まえて、関与を認めないというまでの提言には至っていなかったものであります。しかし、政府は、過度な引き抜き等が生じ人材育成という制度目的が阻害されることは、受入れ機関と外国人双方にとっては望ましくないと判断されたのだと思います。また、激変緩和という観点から見ても、当分の間、民間事業者の関与を認めないとすることにしたのだろうと私としては理解しております。その判断には一定の合理性があるものと考えております。
 次に、監理、支援、保護の在り方について、本法案においては、監理団体における監理支援機関の要件について、最終報告書で外部者による監視の強化という提言を提言いたしましたので、これで政府方針では、外部監査人の設置を許可要件とするという形で具体化されております。また、外国人技能実習機構に代わる外国人育成就労機構について、最終報告書における監督指導、支援保護機能の強化や特定技能外国人への相談援助業務の実施を求める提言を行いました。政府もこれを踏まえて、育成就労外国人と受入れ機関との間の職業紹介やハローワークに対する情報提供、特定技能一号外国人への相談対応、こういうのを、これらを育成就労機構の任務とするという形で具体化されています。
 次に、送り出しの在り方について、有識者会議においては、二国間取決め、MOCにより送り出し機関の取締りを強化することや、支払手数料を抑え、外国人と受入れ機関が適切に分担する仕組みを導入することを提言いたしましたが、この点については、原則として、政府案では、MOCを作成した国の送り出し機関からのみ受入れを行うものとするというふうに言った提言よりも踏み込んだ対応が盛り込まれています。政府方針は、報告書の基本的な方向性を踏襲した上で、更に一歩進めたものと理解しております。
 家族帯同の在り方についてでありますけれども、有識者会議においては、現行制度と同様、育成就労制度及び特定技能一号により、入国、在留する外国人の家族帯同は認めないものとすることを提言いたしました。本法案においても家族帯同は認めないということとされております。
 この点について、有識者会議においても、特定技能二号に移行するまでの間、家族帯同が認められないとすれば、外国人にとって日本で働く魅力に欠けるという意見等もございました。他方、外国人本人の扶養能力や、医療や子女教育といった受入れ環境の観点から、家族帯同を認めることには慎重であるべきだといった意見もございました。また、家族帯同は入国から十年経過後に認めるべきといったヒアリング結果もございました。そういうことを踏まえ、家族帯同は原則として認めないものとするのが相当とするのが有識者会議の結論となったものでございます。ただし、人権への配慮の観点から柔軟な対応が必要であるという意見も多く、今後、政府には個別の事情に応じて柔軟な対応を行うよう、私としては期待しておるところでございます。
 最後に、日本語能力の向上方策について、有識者会議においては、継続的な学習による段階的な日本語能力向上の取組や、日本語教育支援に取り組んでいることを優良受入れ機関の認定要件にすること等を提言しましたが、この点については政府方針においても踏襲されております。
 また、特定技能一号移行時の日本語能力要件について、有識者会議においては、在留の段階ごとに日本語能力が実際に向上する仕組みを取り入れるため、特定技能一号に移行する際に、技能検定試験等の合格とともに日本語能力N4以上の試験合格を必須とすべきであるという意見もございました。
 他方、試験の受験機会及び教育環境が不十分であることを懸念する意見等もございました。そこで、試験の合格を基本としつつ、当分の間は、試験合格に代わり、相当レベル、時間の日本語教育の受講等も許容することを提言いたしました。この点について、政府方針においては、試験合格のみを要件としております。政府において、新制度を活用して新たに入国した育成就労外国人が特定技能に移行するまでには相当の期間があり、それまでに日本語教育の質を向上させるための環境を整備することが可能と判断したものと考えております。
 これまで述べましたように、本法案は有識者会議の最終報告書を十分に踏まえたものだと考えております。最終報告書に記載されていない新たな事項が政府方針や本法案に盛り込まれている部分等もございますが、これらはいずれも最終報告書の内容と方向性を同じくするものであると考えております。
 有識者会議の最終報告書においては、提言に先立って、見直しに当たっての基本的な考え方として三つの視点を掲げております。すなわち、第一に、外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること、第二に、外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みをつくること、そして第三に、全ての人が安全、安心に暮らすことができる外国人との共生社会の実現に資するものとすること、これを示しております。
 私は、この有識者会議の前の外国人との共生社会の実現のための有識者会議においても、先ほど申し上げましたように座長を務めさせていただきましたけれども、そこでは、外国人との共生社会として目指すべき社会として、第一に、安全、安心な社会でなければいけない、それから第二に、多様性に富んだ活力ある社会でなければいけない、そして第三に、個人の尊厳と人権を尊重した社会でなければいけないという、この三つのビジョンが実現するような社会となることが望ましいと提言いたしました。今回の見直しに当たっての三つの視点は、この外国人との共生社会の実現のための有識者会議の意見書における三つのビジョンとも符合しているものと考えております。
 引き続き、国会において充実した審議がなされるとともに、政府に対しては、国会の審議を踏まえ、具体的な施策、運用方法の策定等を着実に進めることを期待いたします。特に、日本語教育の充実は急務であり、また、外国人の人権保護のために育成就労機構が十分な機能を発揮する必要があります。そのための予算措置の充実を是非お願いしたいと、こう思っております。
 有識者会議の提言に基づき、外国人材の適正かつ円滑な受入れが図られ外国人の人権がより適切に保護されること、我が国の深刻な人手不足が緩和されること、外国人との共生社会の実現に資すること及び外国人材の育成により結果として我が国における国際協力が更に推進されることを切に願い、私の陳述を終わります。
 御清聴ありがとうございました。
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佐々木さやか#3
○委員長(佐々木さやか君) ありがとうございました。
 次に、鳥井参考人にお願いいたします。鳥井参考人。
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鳥井一平#4
○参考人(鳥井一平君) 移住連の共同代表理事の鳥井です。特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク、略称、移住連といいます。
 本日は、このような場で発言をさせていただくことに、冒頭、まず感謝申し上げます。
 実は私は、国会の法務委員会の参考人として意見陳述をさせていただくのは五回目となります。二〇〇九年の入管法改正、二〇一四年、二〇一六年技能実習法、二〇一八年、そして今回となります。ただ、これまでの四回は衆議院でした。ようやくお呼びいただいたというのが実感です。
 さて、私たちの移住連は、一九八〇年代からこの日本の労働市場の高まりによって急増した移住労働者とその家族、いわゆるニューカマーの人々に対する差別、人権侵害や労働問題を取り組んできた全国各地のNGOや労働団体によって一九九七年につくられた全国ネットワークです。二〇一五年にNPO法人として再スタートしています。現在、全国で百十の団体と、研究者、弁護士、地域の活動家など、七百人強の個人が会員となっています。
 また、私自身は、個人加盟の労働組合、全統一労働組合の特別中央執行委員でもあり、バブル経済下のニューカマーの外国人労働者との関わり以来、三十五年近くになります。そして同時に、外国人技能実習生権利ネットワークの運営委員をスタート当初から務めており、技能実習生、当時は研修生も含めて、一九九八年頃から具体的な支援の取組を始めています。また、人身売買禁止全国ネットワーク、JNATIPといいますが、の共同代表として、政府の人身取引対策に関する関係省庁連絡会議との情報提供、意見交換も行わせていただいております。国交省の委託を受けて、建設就労者のヒアリング調査のアドバイスのための同行活動もさせていただいたこともあります。
 私自身の活動については、後日配付させていただけると思いますけれども、NHK作成の動画なども御参照いただければ幸いです。
 また、本法案のスタートとも言える当時の古川法務大臣の大臣勉強会にお呼びいただき、実態を直言させていただきました。
 さて、限られた時間ですので、どの程度実態と思いを伝えられるのか不安ですが、課題ごとに話させていただきます。
 まず、育成就労制度についてです。
 外国人技能実習制度の廃止と言わず発展的解消としているところに、本法案の根本的矛盾が象徴されていると言わざるを得ません。
 技能実習制度では、いかなる問題が起きていたのでしょうか。配付させていただいています事例集を御参照ください。今日まで、日々、支援団体に、息つく暇もなく相談が寄せられています。しかも、それでもこれらは氷山の一角と言えるでしょう。
 時給三百円に象徴される低賃金、不当解雇、強制帰国、セクハラ、人権侵害、賃金未払、長時間労働、労働災害、暴力、パワハラ、むき出しの強制労働、タコ部屋、劣悪な住環境、殺傷事件、妊娠、出産問題、そして群がり食い物にするブローカー、保証金など前借金制度など、枚挙にいとまがありません。女工哀史と表現する識者もおられました。
 私自身、一九九八年から今日まで、ずっと相談支援活動に直接関わってきました。技能実習生だけでなく、多くの社長さんたちや農家、船主など、技能実習生らを受け入れている使用者の方たちとも様々話し合ってきました。
 さて、この外国人技能実習制度の問題を端的に言うと、まず第一に、開発途上国の技術移転を名目として外国人労働者受入れを偽装したことです。こんな傲慢な態度はありません。専ら日本国内の事情による労働者受入れを開発途上国のためとかたったことには強い反省が求められます。開発途上国に対しても非礼な施策です。
 第二に、偽装した名目によって奴隷労働構造をつくり出したことです。失踪防止として、制度当初は、公然とパスポートを取り上げ、保証金制度までつくって技能実習生、実習生をがんじがらめにしたことです。今日現在まで、保証金、前借り金制度は、手を変え品を変え、変わっていません。また、労働者に辞める権利、つまり転籍を認めるようにとの私たちの要請に、国会答弁でも、辞める権利を認めず、ありもしない効率的な技術移転のためと偽装に偽装を塗り固め、強弁してきました。結果、国連など国際社会からも、奴隷労働、人身売買と厳しく批判され続けてきたわけです。
 そして、三つ目には、以上のことから、利権構造をつくり出してきたことです。監理費や教材費、出国手数料など、様々な名目で技能実習生から直接に、あるいは小零細企業、農家など、実習実施者から費用徴収をする。また、リベートやバックマージン、接待などが横行する構造です。しかも、合法ブローカーが介在しているのですから、巧妙な手口によって問題を複雑化させています。
 この制度下でも労働者を受け入れている多くの社長、農家などの使用者たちと交渉も行ってきました。低賃金やセクハラ、暴力、労災などで交渉するわけですが、驚いたことに、この制度下の社長さんたちに暴力団の類いの人はほとんどいないのです。皆さん普通の方、もっと言えば、地域の子供会や自治会、町会の面倒を見るような、いい人たちなのです。その社長さんたちがびっくりするような人権侵害、労働基準破壊を行っているわけです。つまり、制度が人を変えてしまう、恐ろしい制度となってきているわけです。
 では、育成就労制度はどうなのでしょうか。本国会で何度か、技能実習制度の良かったところを生かす旨の政府答弁がありました。しかし、それは大きな見誤りです。
 日本で働き、帰国して活躍している労働者は確かに多くいます。しかしそれは、外国人技能実習制度固有の成果ではありません。開発途上国の技術移転を目的意識して行われた結果ではありません。出稼ぎ労働の結果、価値としての成果です。一九八〇年代から一九九〇年代半ばの非正規滞在三十万人の時代にも、多くの労働者が日本で働いた成果を出身国に持ち帰っています。日本で働き学んだことを出身国、地域で生かしています。また、在留資格を得て、この日本社会で、労働者として、経営者として、職人として活躍し、そして家族をつくり、子弟たちがスポーツ選手として活躍する姿もあります。これが出稼ぎ労働の社会的価値、出稼ぎ労働の歴史的価値です。
 技能実習制度の良かったところなどと評価するのは大きな間違いであり、ミスリードです。事実を直視するべきです。
 利権構造ができてしまったゆえに廃止できなかった外国人技能実習制度の三十年を真摯に反省することが、新たな受入れ制度の始まりでなければなりません。また、制度の構造的問題で被害に遭った技能実習生たちに謝罪することはもちろんですが、労働力補填としてだまし、時に加害者にさせてしまった社長や農家、船主などの使用者にも謝罪するべきだとさえ思います。
 ところが、育成就労制度では、依然として転籍制限を設け、労働者の基本的権利の辞める権利、選ぶ権利を制限しています。これでは、またもや使用者は見誤りに陥ります。また、政府の責任を曖昧にします。さきに述べた効率的な技術移転との欺瞞が、効率的な育成と言葉を換えたにすぎません。偽装を続けるのでしょうか。地方から都市部への流出などと一部から声があるとも言われます。しかし、そのことをもって労働者の基本的権利を制限することは民主主義を放棄することにもなります。また、転籍制限は、地域政策や産業政策に対する中央政府の怠慢も導きかねません。
 カニ漁の船主会元会長のお話をしましょう。二〇二〇年のコロナ禍の中で、この船主の方から、どうしても話がしたい、高齢なのでコロナで東京に行けないので来てほしいと言われ、会いに行きました。この方は、技能実習生には感謝している、彼らが来なかったらカニ漁は二十年前に終わっていた、でも、今またこのままではカニ漁が終わってしまう、当時五十歳代、六十歳代だった船主たちが七十、八十となってしまった、担い手が欲しい、技能実習では駄目だ、余計な監理費も無駄だ、労働者に直接払ってやりたい、船主が外国人でもいいと思っている。
 また、同じ頃、農業法人の代表者の方からも来てほしいと要請があり、伺いました。外国から来た労働者を三年間全面的に支援して、三年後には農業で自立していけるようにしていきたい、もちろん自立後も共同してやっていく、近くのある村の村長さんは、外国人でもいい、あと十人移住してきてほしいと言っている、技能実習では見合っていないと。
 これが人々の声でしょう。
 二〇二一年一月から半年間、宮崎日日新聞と信濃毎日新聞が、それぞれ県内を記者が丁寧に取材した提言を出しています。どこに行くかも分からず、どんな仕事かも分からず、辞めることができない、そんなことで労働者を縛り付けてきた技能実習制度の轍を地方対策と称してまたもや踏むというのでしょうか。
 それでは、受入れはどのようにするのかということでしょう。
 まず第一に、外国人労働者受入れ制度は、国家的一大事業であるとの決断と実行、政治的リーダーシップが必要です。出入国管理、在留管理だけの問題ではないのです。法務省、入管法だけで決めてはいけません。私は古川法務大臣に直言しました、法務省だけで無理しないでくださいと。つまり、政府全体で取り組むべき施策、法制度が求められているのです。しかも、待ったなしの逼迫した状況です。費用が掛かるので民間活用などというのは、政治判断の大きな誤りと言わざるを得ません。
 債務労働のない、国を越えた労働者の移動には、ハローワークの機能強化と機能拡大が不可欠です。国としての国際窓口を創設し、送り出し国はもちろん、関係国への理解と協力を求めていくことでしょう。国際的労働者移動における先進国としての日本の役割評価にもつながります。
 国内においては、労働基準法三条に明記されているように、全ての労働者に区別なく、差別なく労働法の全面適用を行うことです。それこそが労働者の活力を引き出していきます。当然のことですが、日本語教育の義務化と国の費用負担は欠かせません。
 この四十年近いニューカマー労働者の実像、活力、成果を直視することが政治的リーダーシップに求められています。
 次に、永住取消し問題です。お手元の資料も御参照ください。
 今回の改定法案には、技能実習と特定技能に係る項目以外に永住許可制度の適正化が盛り込まれています。有識者会議の議論でも、その最終報告書にも全く言及されなかったにもかかわらず、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において、政府の対応で、育成就労を通じて、制度を通じて永住につながる特定技能制度による外国人の受入れ数が増加することが予想されることから、永住許可制度の適正化を行うことが明記され、改定法案に永住許可要件の明確化と永住許可取消しが追加されました。
 永住者が入管法上の義務を怠ったり故意に公租公課の支払をしなかったりした場合、あるいは一定の罪を犯し拘禁刑に処せられた場合、たとえ執行猶予が付いたとしても在留資格を取り消すというものです。例えば、引っ越しをして十四日以内に住居地変更を届けなかった場合も取り消されてしまいます。うっかり在留カードを忘れて外出してしまった場合も取り消されてしまいます。病気や事故で働けなくなり税金などが払えなくなった場合も取り消されてしまいます。景気変動などにより急に仕事を失って税金が払えない場合も取り消されてしまいます。リーマン・ショックのときも、コロナ禍において、コロナ禍においても、外国人が真っ先に解雇されたことを思い出してください。
 入管庁は軽微な違反は取り消さないと答弁していますが、軽微の基準は何でしょうか。誰が軽微だと判断するのでしょうか。全て入管庁の裁量です。また、生活に困窮して公租公課を払えない場合は故意と扱わないと答弁していますが、その線引きが難しいことも既に指摘されており、結局これも入管庁の裁量です。
 そもそも、なぜ永住許可取消しが今回の改定法案に入り込んだのでしょうか。
 二〇二〇年十二月の出入国在留政策懇談会の報告書では、永住許可の取消しに対しては、委員からの懸念も示されたので、外国人やその関係者等、各方面から幅広く意見を聞くとともに、諸外国の永住許可制度の例も参考にするなどして、丁寧な議論を行っていく必要があるとされました。
 その後、関係閣僚会議による外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の二〇二二年度改訂版で初めて永住者に係る施策が追加され、永住者の在り方について、その許可要件及び許可後の事情変更に対する対応策等について、諸外国の制度及び許可後の状況調査を参考としつつ、見直しについて必要な検討を行っていくと明記されました。同日決定された外国人との共生社会の実現に向けたロードマップでは、二〇二四年度中に検討、結論、二〇二六年度までに必要かつ可能な範囲で実施とあります。
 諸外国調査の進捗については、私たち移住連は何度か入管庁に問合せしていますが、改定法案が閣議決定された後の二〇二四年四月の時点でも調査中との回答でした。つまり、関係閣僚会議自らが決定した総合的対応策における手続やロードマップの工程を無視し、諸外国の制度の調査も、当事者や関係者のヒアリングもせずに強行しようとしています。なぜでしょうか。住居地の変更届が遅れたり税金を支払わなかったなどの軽微な理由で永住資格を取り消すような国など聞いたことがありません。
 衆議院法務委員会における入管庁の説明では自治体からの声があったと言いますが、その数は、全国千七百四十一自治体のうち僅か七つです。永住者の未納についても、一部の永住者の状況を紹介したのみで、正確なサンプル調査の結果ではありません。つまり、立法事実はないのです。
 入管法上の義務違反に罰則規定があるので、永住者にのみ在留資格取消しというペナルティーを新たに加える合理的理由はありません。税金や社会保険料の滞納や退去強制事由に該当しない軽微な法令違反に対しては、日本人の場合と同様に、法律に従って、督促や差押え、行政罰や刑罰といったペナルティーを科せばよいだけのことです。外国籍者である永住者にのみ在留資格取消しという過大なペナルティーを科すとしたら、これは明らかに公的な外国籍者に対する差別です。国が先頭に立って差別をすることがあってはなりません。現に、この法案が提出されたことで、外国籍者に対する偏見やヘイトスピーチが増えています。
 私たち移住連では、今回の永住許可取消しに対する声を集めました。切実な声が紹介していますので、是非御確認ください。
 二〇二三年現在、およそ三百四十一万人の在留外国人のうち永住者は約九十万人で、全体の四分の一強を占め、在留資格別では最も多くなっています。在留資格「永住者」は、一定年数日本で暮らし、安定的な生活を送っているなどの厳しい要件を満たすことで付与される在留資格であり、後天的な国籍取得率が極めて低い日本において、旧植民地出身者とその子孫に与えられる在留の資格、特別永住者を例外とすれば、日本で暮らす外国籍住民にとって最も安定した法的地位です。永住許可取消しは、永住者のみでなく、在留資格「永住者」の配偶者等を持つ配偶者や、今後永住許可を申請しようとする全ての外国籍住民の地位を著しく不安定にします。
 全く事実検証もなく、適正化という言葉が独り歩きし、たちまちにヘイトスピーチがあふれました。結果として、ヘイト扇動とも言えるのではないでしょうか。なぜこのような永住資格取消し制度を、育成就労制度創設を口実として、どさくさ紛れに加える必要があるのでしょうか。
 育成就労制度の創設によって永住につながる外国人が増えるといいますが、育成就労制度で入国した外国人が永住許可要件を満たすためには、原則、計十三年を経る必要があります。育成就労制度が創設されても、直ちに永住者が増えるわけでありません。加えて、二〇一〇年代辺りから永住許可審査がいわゆる厳格化しており、永住許可率が低下傾向にあります。二〇〇六年は八六・五%ですが、二〇二〇年は五一・七%です。居住要件を満たしたからといって、容易に永住許可が得られるわけではないのです。
 しかしながら、二〇二四年一月二十九日に開催された自由民主党外国人労働者等特別委員会で入管庁が配付した資料を見ると、永住者が増えることが問題であるかのような記述があります。しかし、安定的に日本で暮らす永住者が増えることは、受入れ国である日本にとって好ましいことではないでしょうか。政府はいまだ、移民政策でないと繰り返しています。しかし、在留期間に制限のない外国人、すなわち一般永住者と特別永住者は、在留外国人の三四・一%を占めています。移民につながりのある日本人も増えています。日本は既に移民社会なのです。前提事実のない管理強化優先の永住資格取消しではなく、現実を直視した上で、より良い社会をつくっていくにはどうしたらよいかを、この社会に暮らす全ての人とともに考えていく必要があるのではないでしょうか。
 私たちは、次に、最後に、私たちは、常時携帯義務のある在留カードとマイナンバーカードの一体化にも反対です。これもまたどさくさ紛れであり、マイナンバーカード運用の問題が顕在化する中で、外国籍者は拒否しにくい状況であり、実質強制的にマイナンバーカードを取得させようとすることは公平性を欠くものです。
 最後に申し上げます。
 今回の改定法案は、共生社会の実現を掲げる関係閣僚会議において対応が決定されたものでしょう。しかし、残念ながら、今回の改定法案は共生社会に逆行するものです。真の共生社会の実現に向けて、労使対等を阻む技能実習制度も育成就労制度も、永住許可取消しも、マイナンバーカードと在留カードの一体化にも断固反対します。
 ただ、私の反対やノーは決して否定的な言葉ではなく、私たちが進む次の社会をイメージしています。違いを尊重する社会、国籍や出身地、外貌や性的指向など、様々な違いが差別されることなく尊重される社会です。そのことが民主主義社会を、民主主義を深化させていく一つの道です。SDGs、ビジネスと人権の行動計画、グローバルコンパクトなど、人々が求める道筋を今や多くの人が語ります。国会議員もそのことを否定する人は少ないでしょう。今国会において岸田総理も、誰一人取り残さないと言明しています。この誰一人には、国籍や人種の違いも関係ありません。人権に国境は存在しません。移民がいる事実に真摯に向き合うことが政治に求められています。
 本法案審議の過程でも、もっと受け入れたいので、反対する人に対して適正化を言うことが必要だという答弁がありました。しかし、心配しないでください。今、多くの人々が求めていることは、違いを尊重し合う共生社会なのです。移民がいるのに移民政策を取らないと強弁することが、移民、外国籍の人々と直接向き合う現場の窓口で働く職員に誤解と混乱をもたらしているのです。入管の職員だって自治体の職員だって、共生社会を求めているのです。
 政治的リーダーシップを発揮して、この日本社会が国境に関わりなく移動する人々で成立している事実を発信し、そのことに真摯に向き合うことを呼びかけ、政策していくことです。国会議員の皆さんにはそれができます。真摯に事実をチェックする議論に期待します。人々が求める社会、違いを尊重する共生社会、誰一人取り残されることのない社会を実現できるのは国会議員の皆さんです。
 御清聴、感謝します。
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佐々木さやか#5
○委員長(佐々木さやか君) ありがとうございました。
 次に、曽参考人にお願いいたします。曽参考人。
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曽徳深#6
○参考人(曽徳深君) 皆さん、こんにちは。外国人として国会で意見を述べるチャンスを与えていただきまして、ありがとうございます。
 実は、今お二方の発言を聞いて、私は非常に自分が幼稚だったなということを感じます。私は今日訴えたいのは、永住許可に関する部分だけなんです。だけど、皆さんの話を伺っていると、いや、実は、多くの外国人をどうやって受け入れてこの日本の社会をもっと豊かに発展させるかという制度づくりのことを話しています。それについて全く今まで知らなかったということを恥じています。
 空気が見えないんですけど、私たちは見えない空気感じません。それでも息をしています。法律も見えません。だけど、法律は我々人間が社会をつくっていく上において欠かせないものです。空気みたいなものです。それで、実は、空気が汚染されると我々は初めて、あっ、自分の命が脅かされるなということを感じます。僕は今、この入管法の改正は、まさに何かおかしな空気になっているなというふうに今日のお話を聞いて感じています。
 私の経験だけで物を、実は勉強をしていません、していませんけど、自分の経験だけで私の意見を述べさせていただきます。皆さんにお届けした資料は全部で五つあるんですけど、それはお読みになっていただければ幸いなんですけど、その中で僕が特に言いたいことを、幾つかこの資料を見ながら話したいと思います。
 まず、入管法が変わるよということを僕が知ったのは五月十二日でした。本当にそのときに入管法が変わるんだということを知ったんですね。だから、どうやって変わるかということは知らなかった。見たら、すごい大変なことになっていた。だけど、先ほど鳥井さんが説明したようなところがメインの部分であって、永住資格を取り消すのはほんの一部だったんですけど、僕が一番注目したのはこの永住取消しの部分なんです。
 私は八十四年永住しています、日本に。私の父は一九一九年に日本へ来ています。ですから、もううちの家族は百五年、日本にいます。その経験で話します。それで、確かに、入管法によって、いっときひどい目に遭わされたこともあります。最近はそういうことはございません。だから鈍感になっていたんです、この法律について。それはすごく今反省しています。
 一ページ目の入管法改正案に関する声明文というのは、十二日にその話を伺ってからみんなで作った声明文です。その中の一ページ目の一番下の段落を読み上げます。
 日本と中国の交流は長い歴史があります。近代では、日本の開港後、この横浜に多くの中国人が渡来し、以来百七十年余にわたり、この地に生活の基盤を置いてきました。横浜中華街の今日の発展は、日本人と来日した中国人が力を合わせた結晶です。現在、日本で生まれ、日本語しか分からず、日本にのみ生活基盤を有する二世から六世の永住者も多く、全てが日本市民とともに善良なる市民として地域社会の発展に貢献しています。
 そして、次のページをめくってください。
 今回の入管法改正案による新たな在留資格取消し拡大制度の導入は、日本政府が目指す共生社会の実現に逆行するばかりか、歴史的な背景により日本に居住するに至った在日中国人の永住者や、また生活上の様々な事情に余儀なく日本に居住するに至った在日外国人の永住者、さらにはその家族まで対象とし、納税不履行や軽微な刑事罰等によって簡単に永住資格を取り消そうとすることは、善良なる市民に深刻かつ憂慮すべき問題を惹起するものであります。ましてや、国又は公共団体の職員が入管へ通報できる制度まで創設するというのは、余りにも過度な取締りと言えます。最後のところで、この度の日本政府の入管法改定案は、永住者の生活、人権を脅かす重大事案と認識し、是正を強く求めます。
 この声明を書いたときは是正だけ求めたんです。
 次のページをめくってください。これは、内閣総理大臣と法務大臣宛てに送った陳情書です。陳情書をめくって、陳情書の一番最後のところを読み上げます。最後のページを読み上げます。
 五、以上、私どもは、永住権取消し事由の拡大に反対するものであり、本改正案のうち、第二十二条の四第一項第八号及び第九号並びにこれに付随する諸条項の削除を強く求める。
 これが、今日、私が来た目的でございます。
 なぜこれを強く求めるのかというと、次に資料の三をめくってください。これは出入国在留管理庁が出したもので、永住許可に関するガイドラインというのがあるんです。
 ここで、法律上の要件として、一、素行が善良であること。法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。二、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。三、その者の永住が日本国の利益に合すると認められること。アとして、原則として引き続き十年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能一号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き五年以上在留していることを要する。イ、罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的な義務、納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務を適正に履行していること。ウとしては、現に有する在留者資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第二に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。エは、公衆衛生上の観点から有害になるおそれがないと。
 これだけ厳しい条件を付けて、それも十年掛けて実はその人の歴史を細かく調べてやっているわけですよね。これだけ厳しい条件で出した永住権に対して、今度の改定は、いとも簡単に軽微なことで取り消そうというのがどうも納得できません。
 それから、ページをめくっていただきたいんですけど、実は、僕は入管法について本当に不案内だったので、本屋、書店に行って「はじめての入管法」という本を手に入れまして、そこでちょっと勉強しました。この本を作った方は、要するに入管の業務を担当した入管局長とかの執筆なさったもので、ある意味では政府側のことをよく知っている方のことなんですね。
 それで、そこの在留資格の取消しというところをちょっと見てほしいと思うんです。
 現行法の在留資格の取消しは、アンダーラインで引いてあるところ、在留資格の取消しの対象行為は、大きく分けて次の四つになります。ア、虚偽の申請などにより上陸又は在留などの許可を受けた場合。イ、一定期間(三か月又は六か月以上)現に有している在留資格に該当する活動を行っていない場合。ウ、中長期在留者で居住地に係る届出義務に違反した場合。エ、難民又は補完的な保護対象者の認定を受け、偽りのその他の不正の手段により在留資格を取得した場合と。
 こういうことが元々取消しの事由なんですね。
 今回出されてきたものは、納税していませんよ、入管の提示義務をしていませんよとか懲罰がどうのこうのというのは、全くこれとは違う異質の法律、いわゆる取消しの条件ですよね。これもすごい侵害だと思います。
 それじゃ、ちょっとページまためくってほしいんですけど、政府全体としての出入国在留管理って何なのかというと、またアンダーライン引いていますけど、二番目のアンダーラインのところをちょっと読み上げます。
 ここに言う閣議において決定された基本方針に相当するのが、外国人受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について、平成三十年七月二十四日閣議決定となります。この閣議決定に基づいて同年に設置された外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議が累次の外国人材の受入れ、共生に関する総合的な対応策を決定しています。この総合的な対応策は、外国人材を適正に受け入れ、共生社会の実現を図ることにより、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会の実現に寄与するという目的を達成するため、外国人材の受入れ、共生において目指すべき方向性を示すものですと、こう書いてあります。
 それから次に、ページまためくってください。
 二〇二三年の改訂ロードマップで次のようになっていますと。一、目指すべき外国人との共生社会のビジョン、三つのビジョンがあります。ア、安全、安心な社会。これからの日本社会を共につくる一員として外国人が包摂され、全ての人が安全に安心して暮らすことができる社会。多様性に富んだ活力のある社会。様々な背景を持つ外国人を、全ての人が社会に参加し、能力を最大限に発揮できる、多様性に富んだ活力のある社会。ウ、個人の尊厳と人権を尊重した社会。外国人を含め、全ての人が互いに個人の尊厳と人権を尊重し、差別や偏見なく暮らすことができる社会と。
 こういうふうに、政府自身もこういうことをおっしゃっているんですよね。一方で、こういうことを言いながら、今度のこの法律を改定することによって、全く逆のことをやっていると私は認識しています。
 それで、私はもう、戦前生まれですから、終戦、終わったときから永住権を与えられています。だから、どうやって苦労して永住権を得たという、そういう苦労が実はない。ないんですけど、最近に来た人たちがどうやって苦労して永住権を取ったかということをインタビューしてみました。それが次のページです。
 入管法改定に関する聞き取りメモとして、一、ZY氏。永住資格取得は二〇二〇年。五年の在留後、二年間帰国、その後、二〇〇八年に再来日し、新たなスタート。二〇一七年に在日十年となったので永住申請をしようとしたが、大腸潰瘍の病気入院のため、収入不安定の理由を受け付けてもらえなかった。申請手続は行政書士に依頼、申請理由書、添付書類など書類は十幾つで、再来日した二〇〇八年から足掛け十三年掛かった。両親を扶養していると永住申請ができないということだったので扶養を外した。この両親は国にいる両親です。永住資格取得の回答は半年後。永住者に対して厳しい扱いをするなら、他国の人たちが日本に来るだろうかと、この人は率直にこういう感想を述べています。
 それから次に、二番、中華街、中華料理店Kに勤務するコック。二〇〇四年、コックとして来日、Kに勤務。二〇一四年に永住資格を取る。二〇一七年に子供が来日、当時十一歳、地元の元街小学校、港中学、今は日本の高校に在学中。親が永住であるので子供も永住申請したところ、二回目の申請でも五年の定住許可しか出なかった。
 ちょっと補足説明しますと、中華街の周りにある学校が、元街小学校、港中学、吉田中学、南吉田小学校とあるんですけど、実は、元街小学校にいる中国籍の子供は一五%、港中学が二〇%、吉田中学に至っては五〇%、そして南吉田小学校は、外国人の数は六〇%以上に増えている。もうそれも中国人だけではない。そういう形で、親と一緒に来た子供たちは、日本の教育のために一生懸命勉強しているんですよね。
 ちなみに、私は三月まで横浜山手中華学校の理事長をしていますけど、そこの学校は中国と日本国籍の子供がいて、五五%が日本国籍なんです。それで、その人たちは、日本の学校へ行くと言葉の関係で十分な教育を受けられないので、うちの学校へ来ることによって、我々は日本の義務教育も導入していますから、その教育を受けて日本の高校を受けています。例えば元街小学校については、運動会なんかやるときには、アナウンスは中国語、日本語、あと韓国語も使って、そういう地元の、地場の地方自治体は、みんなそういう努力をやっています。
 さて、次に、三、中華街、中華料理店Kの経営者のことを話します。
 日本人の母は、日中戦争の前に日本への中国人留学生と結婚して中国に渡った。私はその母とともに、内モンゴルから、日本と中国が国交正常化した後、一九七五年に里帰りで来日。そのとき日本籍を確認して、中国に帰らずに母と日本に残った。中華街でいろいろな仕事をし、食料品販売、中華料理店を経営するまで事業を拡大した。中華料理店を開業するとき、従業員が長く勤務できる仕組みをつくり、家族で日本に長期定住する受入れ体制をつくった。まず、父親が単身で来日し、自身が職場や日本に慣れた頃、学校が夏休みなど長期休暇中に家族を旅行で日本に招き、日本に対する抵抗感をなくし、家族が来日すると、日本で高等教育を受けたメンバーで構成されたサポートチームが学校入学の手続や保護者に代わっての学校との折衝などを行っています。
 これだけ努力して、何とかして日本で定着して、そのコックさんも長くその店に勤められるような体制づくりをやっているところがある。
 四、MX氏。この人は建て売り住宅販売をやっている人ですけど、永住資格があることで銀行融資を受けている。在留カード不携帯、交通事故などで簡単に永住資格がなくなることになれば、融資を引き揚げられるリスクが発生するだけでなく、永住資格がそのような不安定な資格であることで信用が失われ、新たな融資は受けられなくおそれがあるという懸念を示しています。
 それから五番目、XC氏。店舗Xを開業した創業者である私の父は、一九五〇年代に、中華街の風呂屋で外国人登録証不携帯で警察に一日勾留された、こういう経験があります。
 それから、ZD氏。一九六五年に兄弟で結婚式を挙げました、大々的に、中華街の同發というお店で。町じゅうの人が集まりました。婚姻届をすぐに出さずにいたら、なぜ出さないのかと、後日、警察官が家まで来た。そこまで個人の私生活を監視することがあるのかと思っています。
 あの頃は外国人登録法です。したがって、この入管法も、そういう政治的意図で使えば、使える法律だと私は認識しています。
 七番、CA氏。一九八〇年、これはもう国交正常化した後です。私たちは国交正常化前ですから、まあ日本の政府からしたら要監視する相手だと思ってそういうひどいことをやったんですけど、国交正常化後にも、一九八〇年に、婚約者を送って家から十五メートルのところで警察官に外国人登録証の提示を求められ、不携帯が分かって、家まで取りに行ってこいと言われたということがあります。
 私から、八、私の見た横浜中華街。横浜中華街の中華料理店は、戦後は主に家族労働に頼って経営していた。父親が鍋を振り、男の子は厨房で雑用と皿洗い、母親、娘はホールで接客。一九六〇年代後半から、街の発展に伴い店舗の規模も大きくなり、香港、台湾からの招聘コックが厨房チーフや主要スタッフとなり、日本人の若者が料理を学びながら厨房を支えた。香港のコックはほとんど単身で来日、台湾からのコックは、夫婦で来て、落ち着くと家族を呼び寄せた。当時、日本の給与は香港、台湾に比べはるかに良く、出稼ぎのメリットが大きかった。今日、香港、台湾の料理人の給与は日本を超え、日本への出稼ぎにメリットがなく、ほとんどの店から姿を消しつつある。代わりに、中国の経済が遅れている地域から日本に働き場を求めて来日、彼らはいずれも家族を呼び寄せて日本に定住する考えが強い。今後、今、横浜中華街料理店を支えているのは、新たに来日する中国人と日本人、そして東南アジア人である。今回の入管法改定は、外国人を歓迎しないメッセージを発するため、今後の人材確保に大きな影響が出る。中華料理のメッカとしての横浜中華街の存続に関わる大きな問題です。
 ちょっと時間オーバーしたんですけど、ちょっと一言だけ付け加えたいと思います。
 僕は、実は学校の教育に関わっているので、藤原和博さんという、リクルートから民間校長に変わった人が言ったことの言葉をちょっと引用して、最後に締めたいと思います。学校の校長のやれることは何かといったら、学生に学習習慣を付けることと生活習慣を付ける、そして最大のことは、自尊心を持たせるということです。
 今、外国人を日本に呼び寄せてやったときに、やっぱり似たようなことなんですよね。生活習慣違うんです。だけど、この生活習慣を教えると同時に、学ぶ意欲も起こさせる。その中で一番大事なのは、ああ、私は日本に来てよかったな、俺はまだ日本で役に立つなという、そういう自尊心を持たせることが本当に日本にとっていいことなんじゃないですか。ただいっときの労働力として、使い終わったらもう帰りなさいじゃなくて、これからの人口減少で出生率だって上がらない、移民をやるんだったらどうするかということを本当に真剣に考えて、こういうちぐはぐな法律を作らない方が僕はいいと思います。
 以上でございます。ありがとうございます。
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佐々木さやか#7
○委員長(佐々木さやか君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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田中昌史#8
○田中昌史君 自由民主党の田中昌史でございます。
 三名の参考人の皆様方、今日は大変貴重な御発言をいただきまして、ありがとうございました。大変参考になりました。
 まず、この今回の育成就労に関する法律に関しましては、日本の社会の経済力、発展をしっかりと支えていく労働人材をしっかり確保していくと。その中で、共生社会あるいは人権の保護、こういった諸課題をしっかり解決しながら我が国がいかに発展していけるかということを占う上で、非常に重要な制度であろうかというふうに考えております。
 そこで、まず田中参考人に伺いたいと思います。
 有識者の会議の座長を務められて最終報告書お取りまとめいただいたことに、心から感謝を申し上げたいと思います。
 今回のあの有識者会議の見直しの方向性で、我が国が外国人材から選ばれる国になるというための三つのビジョン、安心、安全の共生社会と、それから外国人のキャリアアップ、そして人権保護を挙げられて、議論が進められてまいりました。
 この度の法律案につきまして、この三つのビジョンを基に作られたものでありますけれども、この日本の経済、社会経済が発展していく上で、今回上げられた法律案は、これ中長期的にどのような形で貢献、寄与していくのかという部分について、あるいは、こうあるべきではないかという御見解ももしありましたらお聞かせ願えればというふうに思います。
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田中明彦#9
○参考人(田中明彦君) どうもありがとうございました。
 今回の有識者会議で提言させていただいた背景には、やはり直近の問題の人手不足ということもあるけれども、長期的に日本が持続的、持続可能な形で経済発展を遂げ、社会的な繁栄を遂げるためにどうするかということが重要だというふうに私としては考えて議論に参加してまいりました。
 やはり、法制度というものを、というのはかなり長期にわたって影響出ますので、これまでのその技能実習制度というものを変えていかないと、中長期にわたって日本に行って暮らしてみたい、働いてみたいという人を確保し続けるのが困難になるんじゃないかというふうに思っております。今回は技能実習制度を発展的に解消するという形で政府方針では進められておりますが、私の個人的な観点でいえば、解消というのは、技能実習制度というのを変えていく。私、中間報告のときに記者会見では、技能実習制度を廃止して新しい制度をつくるべきだというふうに申し上げました。私の見解は、この解消するというのと廃止するというのは、私の理解では同じことでございます。
 そのためにも、今回の提言は、育成就労、特定技能一、特定技能二という形で、分かりやすい形で制度を提言させていただいたというふうに思っております。直近でいえば、外国人の方で日本に来たいという方は大変多うございます。ですが、やっぱり、これから五年、十年先、十五年先まで安定的に外国人と日本人とともに共生社会をつくっていくための制度として見ると、今この制度を実現させていただくことが大変重要だと思っております。
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田中昌史#10
○田中昌史君 ありがとうございました。
 続きまして、これは田中参考人と鳥井参考人、お二人に伺いたいと思います。
 鳥井参考人には、日頃から外国人労働問題に取り組んでいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。先ほど非常に現場の切実な状況をお話を伺いまして、正直、人権侵害、ハラスメント、様々な事例を伺いますけれども、断固としてこういう事例は許してはならないというのを先ほどお話を聞いて思った次第であります。
 今回、人権問題等の解決をするために、送り出し機関に関しての適正化、MOCを結んで適正化をする、あるいは監理支援機関の審査厳格化、あるいは先ほど田中参考人からは、育成就労機構の適正かつ十分な運用が必要なんだという話が、お話がありました。
 一方で、単純労働を是正する、単純労働者を確保しようとする企業側の意向を十分解決できないのではないのかという指摘があるのも事実だというふうに思っております。契約、雇用契約の遵守ですとか、あるいは魅力あるスキル向上、本来のこの趣旨、本制度の趣旨をこの受入れ機関側がどうやって実効的に進めていくのかというのが極めて重要だと私は思っております。
 そういった部分では、先ほど、普通の社長さんがそういうことをやるという部分では、本来、この外国人の人材を育成する、スキルを向上するということについて、受入れ機関側がしっかりとした理解、認識、この人権問題等について理解が十分進まなければ私はならないんだろうと、そういった部分では受入れ機関側のスキルが向上する必要が私はあるというふうには考えておるんですが。
 この受入れ機関側が、いかに今後、この準備、対応していくべきかについてお考えがありましたら、田中参考人と鳥井参考人に伺いたいと思います。
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佐々木さやか#11
○委員長(佐々木さやか君) それでは、まず田中参考人からお願いいたします。
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田中明彦#12
○参考人(田中明彦君) 結局のところは、外国人受入れに関する、私ども全てが外国人の人権に配慮し、それから活力あって、共に闘っていこうというその意識を共有化させていくということが非常に重要だと思います。
 その点について、やはり、具体的に受入れ機関についてどういう御理解をいただくかということでいえば、今回の提言でいえば、この受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限とか、それからこの監理支援機関の役割、ここのところをより適正なものにしていく必要があるというふうに思っております。その監理支援機関、そしてこの監理支援機関を指導する育成就労機構、この役割というのが非常に重要になってきておりますので、先ほど申し上げたように、この本法案を実施していく過程では、この監理支援機関に対する外部監査人の設置等をしっかりと進めるとともに、育成就労機関のその活動をよりうまく実施できるような形の人材供給と、それから予算措置が必要になると思っております。
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鳥井一平#13
○参考人(鳥井一平君) この三十年の中を見てみますと、私は直接には一九九八年からですから、もう二十六年間ぐらいずっと現場を回ってきました。
 先ほど申し上げましたけれども、もうとんでもない社長なんかはごくごく一部です。ほとんどの方は普通の方。それで、大体が一年目は、今おっしゃっているようなことでいいますと、外国人の労働者受入れということで、優しく丁寧にやったりするんですよ。ところが、そのうちだんだん、あらっと社長が気が付くことがあるんですね。これは何を言っても大丈夫だなと。つまり、辞める権利がないということですね。これで社長たちがだんだん心が惑わされていくといいますか、なっていくわけですよ。
 ですから、この労働者の受入れにとって一番大切なことは何かというと、労使対等原則がどう担保されるのか。つまり、社長さんは採用するときに選べますね、採用権があるわけです。で、辞めさせること、解雇権持っています。これに対して労働者はどういう権利を持つのかというと、企業、社長を選ぶことができる。そしてもう一つは、辞めることができる。これが基本的な労使対等原則の根本なわけですよね。それがないと社長さんたち、緊張感持たないんですよ。
 つまり、一九八〇年代後半から二〇〇〇年にかけるまでの非正規滞在者が働いていた時代というのは、比較的自由闊達だったのは、社長さんたちは非常に努力されました。例えば、あの時代にイスラム教の人がたくさん入ってきました。職場でやっぱりイスラム教を尊重して働いてもらわないと駄目なので、そういうことにして、非常に本当に中小零細企業の社長さんがイスラム教の勉強をしたり、いろんな努力したり、あるいはベンガル語やウルドゥー語やアラビア語で機械の取扱説明なんかを書いたりするんですね。辞めてもらったら困るからです。そうでなかったら、働きにくかったら辞めるわけですよ。これが労働者の受入れ制度の中でどのように担保されていくのか。
 つまり、労働者の活力も、私たちの社会がそのことを使わせていただくということでないと駄目なわけですよ。現に、今の日本社会においても、単純労働というお言葉ですけれども、単純労働からスタートするんです。働くということは、何かその技術がいきなりあるわけじゃなくて、あるいはどこかの学校で勉強して、あるいは職業訓練校で勉強してくるわけじゃなくて、現場で下働きしながら、自分に見合った、向いた仕事、スキルアップをしていくというのが実態なわけですよね。
 そうすると、やはり、労使対等原則が担保される中で使用者が緊張感を持っていくということが、何よりも人権や労働基準法を担保することになるだろうと思います。来た外国人労働者も、これもまたこの社会の一つの大切な一人だと、うちの会社の担い手だと、あるいは家に帰ったら地域の担い手になってくれるなということを社長さんたちが理解するということじゃないでしょうか。
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田中昌史#14
○田中昌史君 ありがとうございます。
 今お話を聞いて、もう一つ鳥井参考人にお聞きしたくなったんですけれども、今回の育成就労では育成就労計画というものを出さなきゃいけない。私は、普通、教育であればですよ、教育ポリシーというのは普通あって、どういう人材を育てますよ、その持っているスキルは何で、どういう課程で、まあ普通、学校ですとカリキュラムってちゃんとあって、こういう教育システムがちゃんとあるわけですが、これ、実際に受入れ機関側が受け入れる外国人の方々が魅力的に感じるような人材育成計画をちゃんと出せるか出せないかというのが、もうここは私、非常に大事なことで、これが約束になると思うんですが。
 実際に、現状の受入れ機関がこの育成就労計画を、きちんと外国人の魅力ある育成計画を提示できるような状況にあるかどうかというのはどうでしょうか。
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鳥井一平#15
○参考人(鳥井一平君) 御質問ありがとうございます。
 もう本当に、私がそこは言いたいところなんです。
 なぜかといいますと、技能実習制度下でも技能実習計画というのがあります。しかし、これを作成しているのが、中小零細企業の場合はほとんど作成していません、監理団体が作成しているんです。で、全然実態と見合っていない。実際のいわゆる実習というのは、まあ労働ですけれども、この実習計画とは全く懸け離れた労働というのが、飛ばしという、飛ばしって、飛ばし行為というのはこれは違反行為なんですけれども、飛ばし行為にまで行かなくても、実習計画とは違った仕事をしているということは多く見られるわけですね。
 今度の育成就労についても、育成就労計画ということでいいますと、そのことで、ある意味でいうと、過度に中小零細企業、零細企業の経営者たちに負わせるわけにも実はいかないんじゃないかと。そのための支援機関であったら、それ一体何のための支援機関なのかなというふうに私は思うわけですね。
 ですから、そういう形だけの計画などというのは余り意味がないなというふうに思っております。
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田中昌史#16
○田中昌史君 ありがとうございました。
 今回の法改正によって、今後、本当に有為な人材、夢と希望を持って我が国に来日して働いていただけるような外国人の方々が、やっぱり夢や希望を持って、自分が将来どうなっていくのかという、そういったビジョンをしっかりと描きながら働いていけるような充実した制度に私はしていく必要があると。それがひいては、我が国の国力、社会経済の発展につながり、そして国際貢献にもしっかりつながっていくんだというふうに思っております。なかなか長年にわたり外国人を受け入れてこなかった我が国において、こういった意識を大きく転換していく大きな契機となればというふうに今日は感じました。
 曽参考人には、ちょっと時間の関係で御質問できなくて、申し訳ございません。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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牧山ひろえ#17
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
 参考人の皆様、本日は大変ためになるお話、ありがとうございました。実態がよく分かりました。
 さて、曽さんは、今回の改正で大きな話題となっている永住権の取消しの対象となり得る当事者の方です。曽さんは、華僑団体である横浜華僑総会の顧問を長らくお務めです。私の地元でもありますが、横浜中華街という強い個性を持つ魅力的な街をつくり上げてきた功労者でもあると思います。
 永住者を始めとする外国籍の方が日本にいることが、日本という国、そして日本社会、日本人にとってどのような意味合いを持つとお考えでしょうか。
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曽徳深#18
○参考人(曽徳深君) 御存じのとおり、横浜は、一八五八年か九年、開港しています。そのときに外国から商人が日本に来ました。そのとき、外国ばかりではなくて、近県、千葉あるいは静岡辺りからも日本の方がたくさん集まってきています。だけど、外国人が日本に来るということは初めてのことなので、居留地として、いわゆる中に制限、居住を制限することをやって、じわじわといわゆる外国となじむことをやっているわけですね。それを四十年掛けて、やっと一八九八年か九年に内地雑居令というのができて、そのときに、外国人は内地に入っていいよ、日本人はいいよということで。
 だから、横浜自身のいわゆる土着の人は何かといったら実はいなくて、全部よそ者が集まっている。いろんな文化の背景を持った生活習慣の違う人たちが集まってきて、そこでだんだんと、いわゆるお互いにコミュニケーションをして、経済活動に従事してコミュニティーをつくったわけですよね。
 居留地は、その後、ほかの西洋の人たちがみんな出ていって、中国人が主に残って今の中華街になったんですけど、あの街は別に中国人がつくった街ではなくて、あそこに一緒にいた日本の人たちとつくった街であって、普通、外国人が外で何かエスニシティーの社会をつくるときには、大体ゲットーみたいな形になっちゃうんですよ。ところが、まさにそうではなくして、全く新しい価値のある街としてできたということは、やはり外国人と日本人がお互いに隣近所になって支え合いながら新しいものをつくり出している。
 だから、これからどんどん外国人が入ってきて日本の社会のあちこちに根を下ろしたときに、実は新しい種がまかれて、日本もまた新しい発展のものができるんじゃないかなと私は思っています。だから、私は、中華街は自分に非常に誇りに思っています。
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牧山ひろえ#19
○牧山ひろえ君 曽参考人は、長年、永住者として長年日本で生きてこられて、今、日本社会に対してどういう考えをお持ちでしょうか。
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曽徳深#20
○参考人(曽徳深君) 実は私は日本生まれなので、私のふるさとは横浜です。だけど、心にもう一つのふるさととしての中国、中国の文化、勉強していますから、持っています。これは矛盾しないものだと思っています。
 したがって、華僑はよく言われるのは、落葉帰根、落ち葉は根に帰る、一世は亡くなったら自分のお墓を自分の生まれたところに埋めたい。次、二世は何かというと、落地生根、その地に生まれたらそこに根を張る。僕らはまさに落地生根で、お墓も横浜の中にあります。そして、今新しい人たちは何かというと、四海家となす、四つの海をみんな家となす、世界中駆け回る、まさにそういう時代になっている。駆け回っているんだけど、みんな、実際自分の心のアンカーを下ろす場所ってあるんですよね。それがやっぱり生まれ育ったところだと思うんです。
 ですから、外国人が日本にたくさん来たときに、日本で苦労した者が実は日本とつなげるアンカーとしてなるわけですから、僕はもっと大胆に日本は外国人を迎え入れるべきだと思うし、絶対日本のプラスになると思います。
 今回のこの法律は我々の人権がどうのこうのという問題はあるんですけど、実はこういう法律を出すことによってマイナスのイメージを発信することって、日本にとって僕はマイナスだと思っています。損ねていると思っています。それをすごい僕は心配しています。
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牧山ひろえ#21
○牧山ひろえ君 現在、中華街には、日本に生まれ、そして日本語しか分からず、日本にのみ生活基盤を持つ二世から六世の永住者が多くおられるようですけれども、今回の永住資格取消し制度に関連して、日本社会で生まれ育つお子さんたちの将来について曽参考人はどのような思いをお持ちでしょうか。将来世代に託される思いをお示しいただければと思います。
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曽徳深#22
○参考人(曽徳深君) 私は娘三人です。いずれも日本の方と結婚しています。したがって、孫は全部日本国籍です。だけど中華学校に通っています。だから、気持ちの中には、実は中国のものと日本のもの、両方持っています。孫なんかは、獅子舞が好きで、孫悟空の立ち回りが好きで。そして、いずれ日本の学校を進学して、それなりの学びを得て、また日本の社会で活躍できると思いますし、場合によっては外国へ出かけていって新しい世界を開くかもしれません。だから、どこの国にいても、そこにいたらやはり大事に育ててあげて、それが結果的にその国にとっても役に立つし、世界にも役に立つような、もっとおおらかな目で人間を考えた方がいいと思います。
 だから、僕は、今これ議論されているものは、人材のことを皆さんおっしゃっているんです、どうやって人材を日本に入れる。余りにも材の方に重点を置き過ぎて、人というものを見失っているのではないかと。人があるから材があるのであって、もっと人として尊重できるような施策を、外国人を迎え入れるべきだと思うし、例えば家族帯同ではいけない。ところが、家族いることによって実はその人はもっと成長するし、もっと働きがいが出るんだろうと思うので、そういう意味でちょっとちぐはぐだなとは思っています。僕は別の、勉強していないのでちょっと検討違いの発言かもしれませんけど、そういうことを感じています。
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牧山ひろえ#23
○牧山ひろえ君 入管法改正、そして技能実習法の改正に係る提出法案は、衆議院を通過し、そして、先日、参議院の実質的な審議が開始されましたが、ここに至るまでの政府・与党側の対応や答弁姿勢を御覧になって、鳥井参考人、どのような印象、御所感をお持ちでしょうか。
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鳥井一平#24
○参考人(鳥井一平君) 非常にじくじたる思いといいますか、非常にもう、いらいらしておりました。なぜかと申し上げますと、事実を全然見ておられない。現場のことが本当に分かっていただけていないなというふうに思います。しかもそれは、労働者の権利、人権だけではなくて、地域社会や今受け入れている超零細企業や一次産業の方々、この人たちの声が本当に丁寧に拾い上げられていないのではないかというふうに思いましたね。
 しかも、いきなり永住なんというのが入りましたし、この永住資格取消しなんというのは唐突極まりないわけですね。この育成就労となぜこのように一緒に議論しなければいけないのかというのは、全く普通に考えればつながらないことなわけですね。
 そういう意味では、非常に衆議院での審議は不十分な審議で、この参議院で是非とも丁寧な実態を見た審議をしていただきたいなというふうに思っております。
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牧山ひろえ#25
○牧山ひろえ君 今回の改正案の大きな話題にもなっております永住資格の取消しについて、有識者会議では扱われないまま、突然という唐突感を持って法案の中に入ってきました。
 鳥井参考人は、永住資格の取消し条項について、どのような事情と理由の下にこのような不自然な経緯となったとお考えでしょうか。どうしてこうなったという素朴な疑問について御意見を伺いたいと思います。
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鳥井一平#26
○参考人(鳥井一平君) 私、今、唐突にというふうに私自身も申し上げましたけれども、ただもう一方で、ううん、なるほどなと思ったことがあります。それは、非常に入管庁に申し訳ないけど、入管庁独特のやり方だなと。あるいは、この間のずっと、いわゆる、何というんでしょうか、政治の流れの中で感じていること、それはどういうことかといいますと、非常に事実に基づかない不安といいますか、あるいは誤った認識というのがこれを生み出したなと。
 つまり、受入れを拡大すると大きな不安が広がって反発が出るんじゃないか、これは衆議院の法務委員会、あるいはこの参議院の法務委員会始まってからでも小泉法務大臣は言っておられました。私、先ほど意見陳述させていただきましたけれども、受入れを拡大は法務大臣はしたいんだと、小泉大臣はしたいんだけど、反対する人たちがいるので、それに対する何か言わなきゃいけない、それが永住の適正化。こんなひどい話はないんですね。ある意味でいうと、すごくバーター的な発想といいますか、恐らく与党内でも反対意見があったんでしょう、受入れ拡大。
 私は育成就労制度そのものも問題があると思いますが、そもそも外国人労働者受入れに反対の人たちがいるんだろうと思います。その人たちというのは、先ほど私は心配しないでくださいと申し上げたのは、少ないんですよ、実は。ごく一部なんです、戦後で見ても。しかし、その方々は声が大きいんです。しかも、一人で何回も何千回もメールをしたり、ファクスを送る方なんです。
 私は、以前、前長官、入管庁の長官からこのように言われました。鳥井さんたちの言うことも理解できるんだけど、入管庁に来るファクスは鳥井さんの言っていることの反対のファクスばかり来るんですと、このようにおっしゃったんですね。
 確かにそういうふうな声が、いわゆる私先ほど申し上げたヘイトスピーチのグループといいますか、そういう人たちが一部いることは確かです。その方々にこの日本社会を委ねてはいけないんですね。その人たちにそんたくしてはいけないんですよ。そのことを、この永住資格の取消し条項が出てきた言わば不自然な経緯というのが、もう一方でそういうことがあったからだというふうに思います。
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牧山ひろえ#27
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 次に、田中参考人にお伺いしたいんですけれども、有識者会議の座長としての取りまとめ、本当にお疲れさまでございました。
 先ほどの質問の関連ですけれども、有識者会議で議論されなかったこの項目を法案に含めるとなった際に、当局からはどういう説明を受けたんでしょうか。田中参考人、是非御説明ください。
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田中明彦#28
○参考人(田中明彦君) 有識者会議は、技能実習制度と特定技能制度のその在り方について議論をするということでございましたから、永住者の在留資格の取消しについては、その有識者会議のマンデートの中には入っていないということで議論はしておりません。
 その後、国会に法案として提出する過程で、入管庁、法務省からは、私に対しては、この技能実習制度と特定技能制度の在り方を変える法律の中に永住者の在留資格の適正化についての項目も入れたいというふうな御説明がございました。そのときのその御説明からすれば、これまでも永住者の資格についての適正化については法務省でも検討されてきたんだと思いますけれども、今回の育成就労制度の導入によって育成就労特定技能一、特定技能二で家族帯同もできてということになると、長期的にいえば永住者の方が増えるということが想定されると。その中で、この永住者についての法的な考え方を整理して、この際立法化していきたいというその御説明でありました。
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牧山ひろえ#29
○牧山ひろえ君 この永住資格の取消しは、内容の問題もさることながら、立法過程の不自然さが私は有識者の不信を生んでいると思うんですね。当局は、今からでも納得いく説明と事実関係の公開を行うべきだと思います。
 せっかく永住権を取得しても、それを剥奪される可能性を考えたら要するに安定した暮らしが保証されなくなるということですから、日本の永住権に魅力を感じなくなるのではと思うんですけれども、その辺り、曽参考人、最後にお願いいたします。
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