本会議
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会
会議録情報#0
昭和三十二年三月三十一日(日曜日)
午後一時三十七分開議
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議事日程 第二十一号
昭和三十二年三月三十一日
午後一時開議
第一 公営企業金融公庫法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第三 とん税法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第四 特別とん税法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第五 日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第六 印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 特定多目的ダム法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第八 健康保険法等の一部を改正する法律案(第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)(委員長報告)
第九 船員保険法の一部を改正する法律案(第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)(委員長報告)
第一〇 厚生年金保険法の一部を改正する法律案(第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)(委員長報告)
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この発言だけを見る →午後一時三十七分開議
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議事日程 第二十一号
昭和三十二年三月三十一日
午後一時開議
第一 公営企業金融公庫法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第三 とん税法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第四 特別とん税法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第五 日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第六 印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 特定多目的ダム法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第八 健康保険法等の一部を改正する法律案(第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)(委員長報告)
第九 船員保険法の一部を改正する法律案(第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)(委員長報告)
第一〇 厚生年金保険法の一部を改正する法律案(第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)(委員長報告)
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松
松
松野鶴平#2
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、公営企業金融公庫法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長本多市郎君。
〔本多市郎君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →日程第一、公営企業金融公庫法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長本多市郎君。
〔本多市郎君登壇、拍手〕
本
本多市郎#3
○本多市郎君 ただいま議題となりました公営企業金融公庫法案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
本法案は、公営企業の健全な運営に資するため、特に低利かつ安定した資金を必要とする地方公共団体の公営企業の地方債につき、当該地方公共団体に対し、その資金を融通する公営企業金融公庫を創設することとし、これに必要な事項を定めるものであります。
その内容の大体を申し上げますと、公庫は、全額政府出資の法人とし、その資本金は五億円とし、公庫の役員及び職員について定め、公庫の業務は、公営企業の地方債につき資金の貸付を行うとともに、必要な限度において、いわゆる起債の前貸資金を貸しつけることとし、なお公庫は、業務の一部を地方公共団体及び金融機関に委託できるものとしております。また公庫は、主務大臣の認可を受け公営企業債券を発行することができるものとし、その債券の発行については、政府がその元利の支払いを保証するものとし、昭和三十二年度においては七十億円の発行を予定しております。この公庫には、公庫の予算及び決算に関する法律の適用があるほか、利益金の国庫納付、余裕金の運用等について所要の規定を設け、なお短期借入金は、公営企業債券の前借りとして、必要な場合に限り金融機関から借り入れできるものとしております。そのほか監督の規定及び罰則を設けるとともに、補則において、公庫の主務大臣は内閣総理大臣及び大蔵大臣とすること等がその主要点となっております。
地方行政委員会におきましては、三月七日、田中国務大臣より提案理由の説明を聞いた後、政府当局との間に質疑応答を重ねて、慎重審査に当りましたが、その詳細については会議録によって御承知願いたいと存じます。
三月三十日、討論に入り、大沢委員は、「本法案は、地方公共団体の多年の要望にこたえて、地方公共団体の公営企業を推進し、住民福祉の増進に寄与せんとするものであり、地方財政上望ましい立法である」という理由で、本法案に賛成する旨を述べられ、さらに次の付帯決議案を提出されました。
大沢委員提出の付帯決議案は、
本法の施行に当り、政府は左の諸点に留意し、その適正かっ円滑な運営をはかるべきである。
一、公庫の資本金及び政府保証による公庫債の発行限度額は今後 さらに増額すること。
一、地方債計画一般会計分については全額政府資金をもって充てること。
一、公庫資金の利率は極力引き下げ、かつ公庫において既発行の公募地方債につき低利借りかえを行うよう措置すること。
一、将来、公庫において地方団体に対する一時借入金の融通を行うよう措置すること。
一、公庫の融資に当っては貧弱市町村の公営企業を優先せしめること。
右決議する。という内容のものであります。
かくて採決の結果、全会一致をもって、本法案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次いで、大沢委員提出の付帯決議案も、全会一致をもって、これを本委員会の決議とすることに決した次第であります。
以上、御報告いたします。拍手
この発言だけを見る →本法案は、公営企業の健全な運営に資するため、特に低利かつ安定した資金を必要とする地方公共団体の公営企業の地方債につき、当該地方公共団体に対し、その資金を融通する公営企業金融公庫を創設することとし、これに必要な事項を定めるものであります。
その内容の大体を申し上げますと、公庫は、全額政府出資の法人とし、その資本金は五億円とし、公庫の役員及び職員について定め、公庫の業務は、公営企業の地方債につき資金の貸付を行うとともに、必要な限度において、いわゆる起債の前貸資金を貸しつけることとし、なお公庫は、業務の一部を地方公共団体及び金融機関に委託できるものとしております。また公庫は、主務大臣の認可を受け公営企業債券を発行することができるものとし、その債券の発行については、政府がその元利の支払いを保証するものとし、昭和三十二年度においては七十億円の発行を予定しております。この公庫には、公庫の予算及び決算に関する法律の適用があるほか、利益金の国庫納付、余裕金の運用等について所要の規定を設け、なお短期借入金は、公営企業債券の前借りとして、必要な場合に限り金融機関から借り入れできるものとしております。そのほか監督の規定及び罰則を設けるとともに、補則において、公庫の主務大臣は内閣総理大臣及び大蔵大臣とすること等がその主要点となっております。
地方行政委員会におきましては、三月七日、田中国務大臣より提案理由の説明を聞いた後、政府当局との間に質疑応答を重ねて、慎重審査に当りましたが、その詳細については会議録によって御承知願いたいと存じます。
三月三十日、討論に入り、大沢委員は、「本法案は、地方公共団体の多年の要望にこたえて、地方公共団体の公営企業を推進し、住民福祉の増進に寄与せんとするものであり、地方財政上望ましい立法である」という理由で、本法案に賛成する旨を述べられ、さらに次の付帯決議案を提出されました。
大沢委員提出の付帯決議案は、
本法の施行に当り、政府は左の諸点に留意し、その適正かっ円滑な運営をはかるべきである。
一、公庫の資本金及び政府保証による公庫債の発行限度額は今後 さらに増額すること。
一、地方債計画一般会計分については全額政府資金をもって充てること。
一、公庫資金の利率は極力引き下げ、かつ公庫において既発行の公募地方債につき低利借りかえを行うよう措置すること。
一、将来、公庫において地方団体に対する一時借入金の融通を行うよう措置すること。
一、公庫の融資に当っては貧弱市町村の公営企業を優先せしめること。
右決議する。という内容のものであります。
かくて採決の結果、全会一致をもって、本法案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次いで、大沢委員提出の付帯決議案も、全会一致をもって、これを本委員会の決議とすることに決した次第であります。
以上、御報告いたします。拍手
松
松
松
松野鶴平#6
○議長(松野鶴平君) 日程第二、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案
日程第三、とん税法案
日程第四、特別とん税法案
日程第五、日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案
日程第六、印紙税法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上、五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →日程第三、とん税法案
日程第四、特別とん税法案
日程第五、日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案
日程第六、印紙税法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上、五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松
廣
廣瀬久忠#8
○廣瀬久忠君 ただいま議題となりました五つの法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
産業投資特別会計は、経済の再建、産業の開発及び貿易の振興の目的をもって設置されたものでありますが、その財源は、きわめて弾力性に乏しく、今後の経済の情勢に適応した投資を行うに際して、財源の不足が見込まれますので、その財源の一部を補足すべき原資の確保をはかるため、この会計に資金を設け、一般会計からの繰入金等をもってこれに充てることとし、昭和三十一年度補正予算において、三百億円を限り、この会計の資金に繰り入れようとするものであります。なお資金は、設置の目的から、この会計の歳入歳出を通じて使用することとし、また、その資金を投資に使用しない場合には、資金運用部に預託し、その利子は資金に組み入れることとしております。
委員会における審議の詳細につきましては、会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、平林委員より、「剰余金と公債、借入金の償還財源に関する財政法第六条の精神から見て疑問があること、また、三十一年度の自然増収は、まず緊急性のある食管会計の赤字を補てんすべきであること、また自然増収は低額所得者の減税に充てるべきであるということ、さらにまた、三十三年度の繰入額百五十億円の使途は不明であるから、行き過ぎの措置と思われること、これらの理由によって本法案に反対する」との反対意見が述べられました。
採決の結果、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、とん税法案について申し上げます。
今回、諸般の事情よりいたしまして、現行のとん税一本の制度を改め、とん税と特別とん税との二つの法案に分ち、その税率を引き上げようとするものであります。
とん税法案の内容の概略を申し上げますと、税率については、現行の純トン数一トンごとに五円を八円に、一年分を一時に納付する場合は一トンごとに十五円から二十四円に引き上げようとするものであります。その他、納税義務者、納付の時期、納税の告知、罰則の改正等所要の改正を行い、全文を書き改めております。なお、この税率引き上げにより、昭和三十二年度において約一億七千六百万円の増収が見込まれております。
委員会の審議におきましては、とん税と特別とん税に分けた理由いかん、とん税を地方に譲与しない理由ほどういうわけか、また、港湾施設の費用等について質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、大矢委員より、「とん税についても地方自治体に譲与すべきであること、また、立法形式はむしろ一本化すべきである」との反対意見が述べられました。
採決の結果、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、特別とん税法案について申し上げます。
本案は、別途提出されております地方税の外航船舶の固定資産税引き下げ措置とも関連いたしまして、開港所在の市町村等に財源を譲与するため、外国貿易船の開港への入港について特別とん税を新たに設けようとするものであります。
内容の概略を申し上げますと、第一に、税率は、その純トン数一トンごとに十円、一年分を一時に納付する場合には三十円としております。第二は、その徴収は、税関がとん税と合わせて徴収することとし、その納税義務者、納期等については、とん税の場合と同様とする等、所要事項を規定いたしております。なお、この特別とん税による昭和三十二年度の収入は約五億八千六百万円と見込まれ、これは別途、他の法律で、開港所在の市町村等に譲与することになっております。
委員会の審議におきましては、固定資産税との関係等について質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論、採決の結果、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
まず、提案の理由並びに内容について申し上げます。政府は、昭和二十四年度において、日本国有鉄道の歳入不足を補てんするため、三十億五千二百三十六万三千円の貸付をなし、その償還期限を、当初、昭和二十八年三月一日と定めたのであります。その後、日本国有鉄道の財政状況にかんがみ、二回にわたり、その償還期限の延長の措置を講じてきたのでありますが、本年四月三十日にその償還期限が到来することとなっておるのであります。しかし、日本国有鉄道の財政状況からして、予定通り政府貸付金の全額を償還することが困難な状況にありますので、日本国有鉄道の弁済能力を考慮して、右の政府貸付金をさらに延長し、分割償還の方法によって返済せしめようとするものであります。すなわち、昭和三十二年度においては六億五千二百三十六万三千円を償還し、残余二十四億円を、昭和三十三年度から三十六年度までの各年度において六億円ずつ分割償還しようというものであります。
委員会における審議におきましては、国鉄借入金の総額及びその内訳いかん、運賃改訂と債務償還との関係いかん、経営合理化の問題、財政再建の方針等について質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、平林委員より、「今回の償還計画は、運賃値上げを前提とするものであるがゆえに反対する」との反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
最後に、印紙税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、為替手形、約束手形に関する税率の改正等を行おうとするものであります。その内容の概略を申し上げますと、現行税率は、記載金高にかかわらず定額十円となっておりますのを、借用証書との関連等を勘案いたしまして、最低、記載金高十万円以下のもの二十円より、最高、記載金高一千万円超のもの千円までの六段階の階級別定額税率に改めようとするものであります。ただし、一覧払、外貨表示、金融機関相互間の手形については、その性格等にかんがみ、定額二十円の税率としております。その他、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
なお、衆議院において、記載金高三十万円以下のもの三十円の税率一段階を新設する修正が行われたのであります。
委員会の審議におきましては、階級別定額に改める理由いかん、税率の引き上げが急激過ぎるのではないかという点、予算収入の見積りが過少ではないか等の質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、八木委員より、「今回の改正案は、信用取引を著しく圧迫するものである。中小企業の利用する手形については、現状のままに据え置くべきである。税率の引き上げは、もっと緩和した段階によるべきものである。政府の実態調査については、非常に不十分な点がある。また歳入見積りは過少に過ぎる」との反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって、衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。拍手
この発言だけを見る →まず、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。
産業投資特別会計は、経済の再建、産業の開発及び貿易の振興の目的をもって設置されたものでありますが、その財源は、きわめて弾力性に乏しく、今後の経済の情勢に適応した投資を行うに際して、財源の不足が見込まれますので、その財源の一部を補足すべき原資の確保をはかるため、この会計に資金を設け、一般会計からの繰入金等をもってこれに充てることとし、昭和三十一年度補正予算において、三百億円を限り、この会計の資金に繰り入れようとするものであります。なお資金は、設置の目的から、この会計の歳入歳出を通じて使用することとし、また、その資金を投資に使用しない場合には、資金運用部に預託し、その利子は資金に組み入れることとしております。
委員会における審議の詳細につきましては、会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、平林委員より、「剰余金と公債、借入金の償還財源に関する財政法第六条の精神から見て疑問があること、また、三十一年度の自然増収は、まず緊急性のある食管会計の赤字を補てんすべきであること、また自然増収は低額所得者の減税に充てるべきであるということ、さらにまた、三十三年度の繰入額百五十億円の使途は不明であるから、行き過ぎの措置と思われること、これらの理由によって本法案に反対する」との反対意見が述べられました。
採決の結果、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、とん税法案について申し上げます。
今回、諸般の事情よりいたしまして、現行のとん税一本の制度を改め、とん税と特別とん税との二つの法案に分ち、その税率を引き上げようとするものであります。
とん税法案の内容の概略を申し上げますと、税率については、現行の純トン数一トンごとに五円を八円に、一年分を一時に納付する場合は一トンごとに十五円から二十四円に引き上げようとするものであります。その他、納税義務者、納付の時期、納税の告知、罰則の改正等所要の改正を行い、全文を書き改めております。なお、この税率引き上げにより、昭和三十二年度において約一億七千六百万円の増収が見込まれております。
委員会の審議におきましては、とん税と特別とん税に分けた理由いかん、とん税を地方に譲与しない理由ほどういうわけか、また、港湾施設の費用等について質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、大矢委員より、「とん税についても地方自治体に譲与すべきであること、また、立法形式はむしろ一本化すべきである」との反対意見が述べられました。
採決の結果、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、特別とん税法案について申し上げます。
本案は、別途提出されております地方税の外航船舶の固定資産税引き下げ措置とも関連いたしまして、開港所在の市町村等に財源を譲与するため、外国貿易船の開港への入港について特別とん税を新たに設けようとするものであります。
内容の概略を申し上げますと、第一に、税率は、その純トン数一トンごとに十円、一年分を一時に納付する場合には三十円としております。第二は、その徴収は、税関がとん税と合わせて徴収することとし、その納税義務者、納期等については、とん税の場合と同様とする等、所要事項を規定いたしております。なお、この特別とん税による昭和三十二年度の収入は約五億八千六百万円と見込まれ、これは別途、他の法律で、開港所在の市町村等に譲与することになっております。
委員会の審議におきましては、固定資産税との関係等について質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論、採決の結果、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
まず、提案の理由並びに内容について申し上げます。政府は、昭和二十四年度において、日本国有鉄道の歳入不足を補てんするため、三十億五千二百三十六万三千円の貸付をなし、その償還期限を、当初、昭和二十八年三月一日と定めたのであります。その後、日本国有鉄道の財政状況にかんがみ、二回にわたり、その償還期限の延長の措置を講じてきたのでありますが、本年四月三十日にその償還期限が到来することとなっておるのであります。しかし、日本国有鉄道の財政状況からして、予定通り政府貸付金の全額を償還することが困難な状況にありますので、日本国有鉄道の弁済能力を考慮して、右の政府貸付金をさらに延長し、分割償還の方法によって返済せしめようとするものであります。すなわち、昭和三十二年度においては六億五千二百三十六万三千円を償還し、残余二十四億円を、昭和三十三年度から三十六年度までの各年度において六億円ずつ分割償還しようというものであります。
委員会における審議におきましては、国鉄借入金の総額及びその内訳いかん、運賃改訂と債務償還との関係いかん、経営合理化の問題、財政再建の方針等について質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、平林委員より、「今回の償還計画は、運賃値上げを前提とするものであるがゆえに反対する」との反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
最後に、印紙税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、為替手形、約束手形に関する税率の改正等を行おうとするものであります。その内容の概略を申し上げますと、現行税率は、記載金高にかかわらず定額十円となっておりますのを、借用証書との関連等を勘案いたしまして、最低、記載金高十万円以下のもの二十円より、最高、記載金高一千万円超のもの千円までの六段階の階級別定額税率に改めようとするものであります。ただし、一覧払、外貨表示、金融機関相互間の手形については、その性格等にかんがみ、定額二十円の税率としております。その他、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
なお、衆議院において、記載金高三十万円以下のもの三十円の税率一段階を新設する修正が行われたのであります。
委員会の審議におきましては、階級別定額に改める理由いかん、税率の引き上げが急激過ぎるのではないかという点、予算収入の見積りが過少ではないか等の質疑応答がありましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、八木委員より、「今回の改正案は、信用取引を著しく圧迫するものである。中小企業の利用する手形については、現状のままに据え置くべきである。税率の引き上げは、もっと緩和した段階によるべきものである。政府の実態調査については、非常に不十分な点がある。また歳入見積りは過少に過ぎる」との反対意見が述べられ、採決の結果、多数をもって、衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。拍手
松
松野鶴平#9
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより五案の採決をいたします。
まず、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
この発言だけを見る →まず、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
松
松
松野鶴平#11
○議長(松野鶴平君) 次に、とん税法案
特別とん税法案
日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案
以上、三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
この発言だけを見る →特別とん税法案
日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案
以上、三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
松
松
松
松
松野鶴平#15
○議長(松野鶴平君) 日程第七、特定多目的ダム法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。建設委員会理事岩沢忠恭君。
〔岩沢忠恭君登壇、拍手〕
この発言だけを見る →まず、委員長の報告を求めます。建設委員会理事岩沢忠恭君。
〔岩沢忠恭君登壇、拍手〕
岩
岩沢忠恭#16
○岩沢忠恭君 ただいま議題となりました特定多目的ダム法案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法案は、建設大臣の直轄施行にかかる多目的ダムの建設及び管理に関し、特別の措置を講ずるとともに、多目的ダムを利用する電気事業者等に対し、ダム使用権を創設しようとするものであります。
その内容のおもなる点について申し上げます。第一は、従来、建設大臣が建設しておりました多目的ダムは、電気事業者等との共同設置にかかり、工事は、当該事業者から委託を受けて施行しておりましたが、このたび特別会計の設置と相待って、これを建設大臣が単独で建設することにいたしております。また、個々のダムの建設に際しては、あらかじめ電気、水道等の他種事業の調整をはかって、基本計画を定めることとし、この計画樹立について、関係行政機関との協議その他所要の措置を設けております。第二に、電気、水道事業者等は、多目的ダムの建設費用の一部を負担いたしますので、これに相応する権利保護のため、物権としてダム使用権を当該事業者に設定いたしております。第三に、多目的ダムの管理は、二つ以上の都府県にわたる河川に存するもの及び政令で定めるものについては建設大臣、その他の河川に存するものは都道府県知事が行うものといたし、ダムの操作については、所要の手続を経て操作規則を定めることにいたしております。第四に、多目的ダムに貯留される流水を、電気事業者等に供する場合の水利権の処分を建設大臣が行うこととし、これに伴い、一般の水利権処分について河川法の一部を改正いたしております。
本法案については、参考人の意見を聴取し、逐条にわたり慎重に審議をいたしたのであります。その質疑のおもなる点は、ダム使用権の設定において、単一の特定事業に偏し、総合開発の目的に反することはないかという点、また、基本計画、操作規則の樹立、決定の際における関係行政機関との協議が整わざるとき、建設大臣が独断でこれを運営するおそれはないかという点、その他農業用水に対する取扱い、ダム操作規則の政令の内容、補償の問題等についてでありまして、これについては政府側よりそれぞれ答弁がありました。その詳細は会議録に譲ることといたします。
かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して田中委員から、「本法案は、新しく水に関する物権を創設し、国土総合開発の目的に沿うよう水の高度利用をはかり、わが国経済に寄与するものであるが、既得権たる農業用慣行水利権の規定が明確でなく、農業生産及び農業者の保護に欠けるうらみがあるので、次の付帯決議案を付して賛成する」旨の御意見が述べられました。すなわち、
一、多目的ダムの建設及び管理に当っては、常に基本的に農業生産及び農業者の利害の存在することは自明であるから、建設大臣は、その基本計画、操作規則、水利関係等の決定、策定に際して、農林大臣との協議を緊密に行い、いささかも農業生産及び農業者の利益を侵害することのないよう措置すること。
多目的ダム建設費のうち、農業用負担部分については、その負担額を極力軽減するとともに、将来、これにダム使用権の設定に関し検討すること。
一、多目的ダムの建設及び管理に当って生ずる農林漁業者への被害については、国において完全に補償すべきこと。
であります。
次いで、自由民主党を代表して斎藤委員から、「本法案は、多目的ダムの建設、管理、利用に関する従来の問題の解決に寄与するものであるが、ただ、その運用に当っては関係行政機関等と円満に協議を整えることを期待して賛成する」、また、緑風会を代表して北委員から、同様賛成の発言がありました。
討論を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
続いて、田中委員提案の付帯決議案について採決の結果、これまた全会一致、本法案の付帯決議とすべきことと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。拍手
この発言だけを見る →本法案は、建設大臣の直轄施行にかかる多目的ダムの建設及び管理に関し、特別の措置を講ずるとともに、多目的ダムを利用する電気事業者等に対し、ダム使用権を創設しようとするものであります。
その内容のおもなる点について申し上げます。第一は、従来、建設大臣が建設しておりました多目的ダムは、電気事業者等との共同設置にかかり、工事は、当該事業者から委託を受けて施行しておりましたが、このたび特別会計の設置と相待って、これを建設大臣が単独で建設することにいたしております。また、個々のダムの建設に際しては、あらかじめ電気、水道等の他種事業の調整をはかって、基本計画を定めることとし、この計画樹立について、関係行政機関との協議その他所要の措置を設けております。第二に、電気、水道事業者等は、多目的ダムの建設費用の一部を負担いたしますので、これに相応する権利保護のため、物権としてダム使用権を当該事業者に設定いたしております。第三に、多目的ダムの管理は、二つ以上の都府県にわたる河川に存するもの及び政令で定めるものについては建設大臣、その他の河川に存するものは都道府県知事が行うものといたし、ダムの操作については、所要の手続を経て操作規則を定めることにいたしております。第四に、多目的ダムに貯留される流水を、電気事業者等に供する場合の水利権の処分を建設大臣が行うこととし、これに伴い、一般の水利権処分について河川法の一部を改正いたしております。
本法案については、参考人の意見を聴取し、逐条にわたり慎重に審議をいたしたのであります。その質疑のおもなる点は、ダム使用権の設定において、単一の特定事業に偏し、総合開発の目的に反することはないかという点、また、基本計画、操作規則の樹立、決定の際における関係行政機関との協議が整わざるとき、建設大臣が独断でこれを運営するおそれはないかという点、その他農業用水に対する取扱い、ダム操作規則の政令の内容、補償の問題等についてでありまして、これについては政府側よりそれぞれ答弁がありました。その詳細は会議録に譲ることといたします。
かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して田中委員から、「本法案は、新しく水に関する物権を創設し、国土総合開発の目的に沿うよう水の高度利用をはかり、わが国経済に寄与するものであるが、既得権たる農業用慣行水利権の規定が明確でなく、農業生産及び農業者の保護に欠けるうらみがあるので、次の付帯決議案を付して賛成する」旨の御意見が述べられました。すなわち、
一、多目的ダムの建設及び管理に当っては、常に基本的に農業生産及び農業者の利害の存在することは自明であるから、建設大臣は、その基本計画、操作規則、水利関係等の決定、策定に際して、農林大臣との協議を緊密に行い、いささかも農業生産及び農業者の利益を侵害することのないよう措置すること。
多目的ダム建設費のうち、農業用負担部分については、その負担額を極力軽減するとともに、将来、これにダム使用権の設定に関し検討すること。
一、多目的ダムの建設及び管理に当って生ずる農林漁業者への被害については、国において完全に補償すべきこと。
であります。
次いで、自由民主党を代表して斎藤委員から、「本法案は、多目的ダムの建設、管理、利用に関する従来の問題の解決に寄与するものであるが、ただ、その運用に当っては関係行政機関等と円満に協議を整えることを期待して賛成する」、また、緑風会を代表して北委員から、同様賛成の発言がありました。
討論を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
続いて、田中委員提案の付帯決議案について採決の結果、これまた全会一致、本法案の付帯決議とすべきことと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。拍手
松
松
松
松野鶴平#19
○議長(松野鶴平君) 日程第八、健康保険法等の一部を改正する法律案
日程第九、船員保険法の一部を改正する法律案
日程第十、厚生年金保険法の一部を改正する法律案(いずれも第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)
以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →日程第九、船員保険法の一部を改正する法律案
日程第十、厚生年金保険法の一部を改正する法律案(いずれも第二十五回国会内閣提出、第二十六回国会衆議院送付)
以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松
千
千葉信#21
○千葉信君 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会
における審議の経過並びにその結果の概要を御報告申し上げます。
すでに御承知の通り、この三法案に
つきましては、去る第二十二及び第二十四国会におきまして、それぞれ一部改正法律案として提案されたのでありますが、いずれも審議未了となったの
であります。
まず、健康保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
この改正法律案は、過ぐる第二十四国会において衆議院が修正されました部分を取り入れ、さらに一部負担金の支払方法を改めて、去る第二十五国会に三たび提案されたものでありますが、衆議院におきましては、継続審査として今国会に持ち越されて審議された次第であります。
昭和二年以来実施されております健康保険制度は、わが国における社会保障制度の支柱をなす制度として、今日まで約三十年間、労働者の疾病、負傷時における療養と生活の保障を行うものとして、重要な意義を有しておりますが、近年、その医療費は年を追って増高し、特に賃金水準の低い中小企業を対象とした政府管掌健康保険におきましては、昭和二十八年以来、給付費がついに保険料収入を上回るに至り、保険財政はきわめて困難なる事態に立ち至ったのであります。
改正案の内容を要約いたしますと第一に、国庫は予算の範囲内において、政府管掌健康保険事業の執行に要する費用の一部を補助するものとすること、第二に、標準報酬等級区分を最低四千円から最高五万二千円の二十四等級とすること、第三に、療養の給付を受ける者の負担すべき一部負担金の範囲を拡張すること、第四に、保険医療制度について、個人指定方式を取り入れた機関指定方式を採用すること、第五に、継続給付を受けるための資格期間を一年に延長すること、第六に、不正受給者に対して損失を補てんさせる措置を講ずること、第七に、被扶養者の範囲を明確化すること、第八に、厚生大臣または都道府県知事の検査に関する規定を整備すること、第九に、社会保険診療報酬支払基金における診療報酬請求書の審査機構を整備すること等であります。
以上が本法律案の大要であります。
次に、船員保険法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
最近数年来、船員保険は、医療給付費等の支出増加のため、その財政状態が不安定になりつつあります。これに対処するため、現行制度を是正するとともに、その合理化を行うことを目途として、この改正案が提出されたというのであります。
改正の要点の第一は、国庫は予算の範囲内において、船員法の災害補償に相当する給付に要する費用を除き、船員保険事業の執行に要する費用の一部を補助するものとする旨の規定を設けることであります。第二は、将来にわたって船員保険の健全な発展を確保するため、新たに一部負担の制度を設けることであります。第三は、保険料率につきましては、失業保険の適用を受けるものについては千分の五、適用を受けないものについては千分の七を引き上げようとするものであります。第四は、標準報酬等級の区分を改め、現行の最低四千円を五千円とすることとしたのであります。第五は、報酬が歩合によって支払われる場合の報酬月額の算定方法を改め、前年度における実績を基準として算定するものとしたことであります。第六は、職務外傷病に対する資格喪失後における療養の給付等につき、原則として一年につき三カ月の資格期間を設けることとしたのであります。第七は、独身入院者の職務外の事由による傷病手当金の支給額を百分の五十とすることのほか、健康保険法の改正に準じ、被扶養者の範囲の明確化、保険医療制度の整備等、各般の改正を行おうとするものであります。
以上が本法律案の大要であります。
次に、厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、改正のおもなる内容を御説明申し上げます。
すなわちその第一は、健康保険法の改正と歩調をあわせ、標準報酬の最低を現行の月額三千円から月額四千円に引き上げることであります。第二は、現行の厚生年金保険法の施行前に被保険者の資格を喪失した女子の一部に対しても、脱退手当金を支給し得るような規定を設けようとするものであります。すなわち、同様の事情にある男子に対しましては、現行の厚生年金保険法により支給できるようになっておりますので、これと均衡をとりまして、女子に対しても脱退手当金を支給し得る根拠規定を設けようとするものであります。第三は、規定の整備を行うことであります。現行の厚生年金保険法は、第十九回国会において全面改正が行われて、その施行より約三年近くなりますが、この間の経過を検討いたしますに、多少規定の明確を欠く面がありますので、これを明らかにし、解釈上の問題が起ることを避けるため所要の規定の整備を行うというものであります。
以上がこの法律案の提出の理由であります。
この三法案は、それぞれ衆議院において修正議決されたのでありますが、その要旨を申し上げます。
健康保険法等の一部を改正する法律案については、第一、社会保険診療報酬支払基金法の一部改正の項を削除して、基金の審査機構については現行法通りとすること、第二、これに伴い本法律案の題名を健康保険法の一部を改正する法律案に改めること、及び第三、本法の施行期日について、国庫補助に関する第七十条の三の規定は公布の日から施行し、その他の規定は公布の日から起算してニカ月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することに改めましたほか、これに伴う規定の整備を行なったことであり、船員保険法の一部を改正する法律案は、その施行期日につきまして、国庫補助に関する第五十八条の二の規定は公布の日から、報酬が歩合によって支払われる場合の標準報酬の算定方法に関する第四条及び第四条の二の改正規定は、公布の日から起算して五カ月をこえない範囲内で政令で定める日から、その他の規定は公布の日から起算してニカ月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することとするほか、これに伴う規定の整備を行なったものであり、厚生年金保険法の一部を改正する法律案については、その施行の日を公布の日から起算して二カ月をこえない範囲内で政令で定める日に改めるほか、これに伴う規定の整備を行なったものであります。
なお、健康保険法の運営に関しましては、衆議院社会労働委員会におきまして、修正と同時に付帯決議を付せられたのであります。すなわちその要点の第一は、保険医療機関及び保険薬局に関する指定更新の手続を簡易化すること、第二は、国庫負担制度の根本理念を明らかにすること、第三は、医師、歯科医師及び薬剤師の待遇を改善すること、第四は、医師会、歯科医師会及び薬剤師協会を法制化することの四項目についてであります。
本委員会におきましては、さきに山下義信君外四名の発議による健康保険法等の一部を改正する法律案が、第二十五臨時国会に提案せられ、今二十六国会に継続審査となっておりますので、政府の提案にかかる右三法案と一括して審議が進められた次第であります。
衆議院より送付されました政府提出の右三案は、三月十四日に本委員会に付託され、委員会においては、まず厚生大臣より提案理由の説明を聴取するとともに、野澤衆議院議員より、衆議院における修正理由の説明を聴取したのであります。本月二十五日には公聴会を開催し、二十六日に岸総理の出席を求めまして、桂会保険制度に対する岸構想について質疑応答し、二十七日より改正案の実質的審議に入ったのであります。
委員会におきましては、主として健康保険法の改正問題について熱心なる質疑が集中し、今回の政府提案が、社会保険審議会に諮問すべき建前を無視して、三たび提出されたことに対する疑義について、また衆議院における修正点並びにこれに関連する部分について検討が加えられ、しかる後に改正案に対する審議を慎重に行なったのでありますが、そのうち最も論議の中心となった問題といたしましては、「衆議院で付帯決議をつけた趣旨は、法律の修正だけでは不十分であるという意味であるか」との質問に対し、野澤衆議院議員は、「法律の改正については、修正点だけでよいと思っているが、たまたま誤解される部分が相当あるのではないかということを配慮した結果である」との答弁があり、さらに「単価改訂の方針とその実現性及び一部負担と単価値上げとの相関性をいかに考えるか」との質問に対しては、「単価の問題はこれ以上放置できないので、これを値上げするという前提で調査を進めたい、これが実現については、多年の懸案事項で問題の焦点もきまっているから、長いことではないと思う、税制との問題もその際に考慮する、一部負担と単価値上げとは全く関連がない」と答弁し、また、「本改正案では、国庫は予算の範囲内において補助するという規定になっているが、これを定率化する考えはないか」という趣旨の質問に対しては、「本改正案が通過した後において、将来、国庫負担を定率に持って行くことについては考慮してみたい」という趣旨の答弁がありました。
標準報酬の問題につきましては、「標準報酬の引き上げは、中小企業労働者の賃金の実態から見ても、低額所得階層に不当な圧迫を加えるものである」いう質問に対しては、「標準報酬を賃金ベースの上昇に即応して改訂したのであり、報酬額の引き上げによって影響を受ける三千円から四千円未満の者は全保険者のわずか一%に過ぎず、この点ではマイナスの面があるかもしれないが、傷病手当金が増額するのでプラスの面もある」との答弁があり、一部負担については、「一部負担の性格をどう考えるか、また初診の際に百円に満たない場合、その額を収納することは保険事務を複雑化するのではないか」との質問に対しては、「赤字を埋めるための一部負担ではなく、保険制度を完備して行く上において、国が負担すると同時に、これを健全ならしめるために患者に負担してもらう考えである。また、将来点数表の改訂によって百円未満をなくするかもしれないが、七十五円しかかからないのに百円を徴収することは妥当性を欠いている」との答弁がありました。
なお、医療機関の指定問題については、「医療機関の指定と保険医の登録については、地域指定や定員制を考慮されているのではないか」という趣旨の質問に対しましては、「かようなことは考えていない、今日の医療機関保険医指定をそのまま機関指定し、保険医の登録として行きたい」という答弁があり、「医療機関の指定が取り消された場合、何ら不正を働かない善意の保険医までが保険診療の場所を失い、生活権を奪われることになる、これは刑法的連座制の採用ではないか」との質問に対しては、「これは共同責任の原理を採用したのではない、指定の取り消しを受けた医療機関の保険医は、他の場所でなら幾らでも診療に携わることができるのであり、現在は、医師個人を医療担当者の単位と考えず、医療がいわゆる機関というものによって行われている実情を重視して、いわゆる二重指定方法を採用したのである」と答弁し、「医療機関を三つの種類に分けているが、これらの機関に対する異なる行政効果を及ぼすことによって差別待遇をするのではないか」という質問に対しては、「第四十三条の一、二、三項に規定されている諸医療機関は、不特定多数者を診療の対象とするか、特定多数を対象とするかによって、その存立目的を異にしているのであって、特に差別待遇する意図はない」との答弁がありました。
また、船員保険法の一部を改正する法律案については、「海上勤務者の標準報酬の最高額を据え置きにしていることは、傷病手当金等について、陸上勤務者との間に均衡を失するところがあると思うがいかん」との趣旨の質問に対しては、「陸上と海上とのアンバランスを是正するため、その標準報酬を引き上げるということは了解できるので、適当な機会に検討を加え、すみやかに改訂したい」との答弁がありました。
以上のほか、国民皆保険に対する基本方針、結核問題の根本対策、私的医療機関のあり方、医療担当者の待遇改善等の諸問題についても、きわめて熱心なる質疑応答が続けられたのであります。
なお、本改正案の重要性にかんがみまして、前述のごとく公聴会を開催したのでありますが、公聴会には、医療担当者、被保険者、事業主の各代表者、学識経験者等十名の公述人を招き、本案に対する意見の陳述を求めたのであります。各公述人は、みな本案に重大な関心を持ち、それぞれの立場から、きわめて貴重な意見の陳述がありましたが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいのであります。
かくて、質疑を終りましたところ、内閣提出衆議院送付の三法案について、自由民主党谷口弥三郎君外一名より、修正案が提出せられ、谷口委員より、その趣旨説明がありました。その要旨は、まず、健康保険法等の一部を改正する法律案については、「一、標準報酬等級区分の最低を三千円から四千円に引き上げることは取りやめること。二、いわゆる個人開業医の機関指定の更新については、指定の期間終了前三月までの間に別段の申し出がない限り、申請がなくとも指定の申請があったものとみなすこと。三、一部負担金中、入院の場合の一日二十円三カ月を、一日三十円一カ月とすること。四、一部負担に関する規定の施行期日を七月一日とし、その他の規定は、それぞれの性質に応じ、施行期日を調節すること」等であります。
次に、船員保険法の一部を改正する法律案については、「一部負担に関する規定の施行期日を七月一日とし、その他の規定は、それぞれの性質に応じ施行期日を調節する」ことであります。
また、厚生年金保険法の一部を改正する法律案については、「標準報酬等級区分の最低を三千円から四千円に引き上げることは取りやめること」であります。なお、本修正案は予算を伴うので、これに対する内閣の意見を求めたところ、厚生大臣より、「修正案に同意する」旨を表明されました。
次いで、三法案に対する右の各修正案及び修正部分を除く衆議院送付案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して高野一夫君より賛成の意見が述べられ、日本社会党の山下義信君より反対の意見を述べられたのであります。早川愼一君は、緑風会の多数意見を代表して賛成の意を表せられ、竹中恒夫君は、無所属クラブの多数意見を代表して反対の意を表明せられ、また、日本社会党の坂本昭君からも反対の意見が述べられたのであります。
かくて討論を終了し、内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案について、おのおのその修正案並びに修正部分を除く衆議院送付案について、順次採決に入りましたところ、多数をもって、それぞれ修正議決すべきものと決定いたしました。
なおその際、日本社会党片岡文重君より、船員保険法の一部を改正する法律案に対し、付帯決議を付することの動議が提出せられ、その趣旨について説明がありました。その付帯決議案を朗読いたします。
付帯決議案
健康保険の被保険者の標準報酬額を引き上げた反面、船員保険の被保険者の標準報酬を最高三万六千円に据え置き、しかも被保険者の一部負担制度をなすことは、船員保険の療養給付の主旨から見て矛盾を感ぜられるから、船員保険法については、早急に根本的な改正について検討の必要がある。
右決議する。
右の付帯決議案について採決いたしました結果、全会一致をもって可決した次第であります。
以上、御報告を申し上げます。拍手
この発言だけを見る →における審議の経過並びにその結果の概要を御報告申し上げます。
すでに御承知の通り、この三法案に
つきましては、去る第二十二及び第二十四国会におきまして、それぞれ一部改正法律案として提案されたのでありますが、いずれも審議未了となったの
であります。
まず、健康保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
この改正法律案は、過ぐる第二十四国会において衆議院が修正されました部分を取り入れ、さらに一部負担金の支払方法を改めて、去る第二十五国会に三たび提案されたものでありますが、衆議院におきましては、継続審査として今国会に持ち越されて審議された次第であります。
昭和二年以来実施されております健康保険制度は、わが国における社会保障制度の支柱をなす制度として、今日まで約三十年間、労働者の疾病、負傷時における療養と生活の保障を行うものとして、重要な意義を有しておりますが、近年、その医療費は年を追って増高し、特に賃金水準の低い中小企業を対象とした政府管掌健康保険におきましては、昭和二十八年以来、給付費がついに保険料収入を上回るに至り、保険財政はきわめて困難なる事態に立ち至ったのであります。
改正案の内容を要約いたしますと第一に、国庫は予算の範囲内において、政府管掌健康保険事業の執行に要する費用の一部を補助するものとすること、第二に、標準報酬等級区分を最低四千円から最高五万二千円の二十四等級とすること、第三に、療養の給付を受ける者の負担すべき一部負担金の範囲を拡張すること、第四に、保険医療制度について、個人指定方式を取り入れた機関指定方式を採用すること、第五に、継続給付を受けるための資格期間を一年に延長すること、第六に、不正受給者に対して損失を補てんさせる措置を講ずること、第七に、被扶養者の範囲を明確化すること、第八に、厚生大臣または都道府県知事の検査に関する規定を整備すること、第九に、社会保険診療報酬支払基金における診療報酬請求書の審査機構を整備すること等であります。
以上が本法律案の大要であります。
次に、船員保険法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
最近数年来、船員保険は、医療給付費等の支出増加のため、その財政状態が不安定になりつつあります。これに対処するため、現行制度を是正するとともに、その合理化を行うことを目途として、この改正案が提出されたというのであります。
改正の要点の第一は、国庫は予算の範囲内において、船員法の災害補償に相当する給付に要する費用を除き、船員保険事業の執行に要する費用の一部を補助するものとする旨の規定を設けることであります。第二は、将来にわたって船員保険の健全な発展を確保するため、新たに一部負担の制度を設けることであります。第三は、保険料率につきましては、失業保険の適用を受けるものについては千分の五、適用を受けないものについては千分の七を引き上げようとするものであります。第四は、標準報酬等級の区分を改め、現行の最低四千円を五千円とすることとしたのであります。第五は、報酬が歩合によって支払われる場合の報酬月額の算定方法を改め、前年度における実績を基準として算定するものとしたことであります。第六は、職務外傷病に対する資格喪失後における療養の給付等につき、原則として一年につき三カ月の資格期間を設けることとしたのであります。第七は、独身入院者の職務外の事由による傷病手当金の支給額を百分の五十とすることのほか、健康保険法の改正に準じ、被扶養者の範囲の明確化、保険医療制度の整備等、各般の改正を行おうとするものであります。
以上が本法律案の大要であります。
次に、厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、改正のおもなる内容を御説明申し上げます。
すなわちその第一は、健康保険法の改正と歩調をあわせ、標準報酬の最低を現行の月額三千円から月額四千円に引き上げることであります。第二は、現行の厚生年金保険法の施行前に被保険者の資格を喪失した女子の一部に対しても、脱退手当金を支給し得るような規定を設けようとするものであります。すなわち、同様の事情にある男子に対しましては、現行の厚生年金保険法により支給できるようになっておりますので、これと均衡をとりまして、女子に対しても脱退手当金を支給し得る根拠規定を設けようとするものであります。第三は、規定の整備を行うことであります。現行の厚生年金保険法は、第十九回国会において全面改正が行われて、その施行より約三年近くなりますが、この間の経過を検討いたしますに、多少規定の明確を欠く面がありますので、これを明らかにし、解釈上の問題が起ることを避けるため所要の規定の整備を行うというものであります。
以上がこの法律案の提出の理由であります。
この三法案は、それぞれ衆議院において修正議決されたのでありますが、その要旨を申し上げます。
健康保険法等の一部を改正する法律案については、第一、社会保険診療報酬支払基金法の一部改正の項を削除して、基金の審査機構については現行法通りとすること、第二、これに伴い本法律案の題名を健康保険法の一部を改正する法律案に改めること、及び第三、本法の施行期日について、国庫補助に関する第七十条の三の規定は公布の日から施行し、その他の規定は公布の日から起算してニカ月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することに改めましたほか、これに伴う規定の整備を行なったことであり、船員保険法の一部を改正する法律案は、その施行期日につきまして、国庫補助に関する第五十八条の二の規定は公布の日から、報酬が歩合によって支払われる場合の標準報酬の算定方法に関する第四条及び第四条の二の改正規定は、公布の日から起算して五カ月をこえない範囲内で政令で定める日から、その他の規定は公布の日から起算してニカ月をこえない範囲内で政令で定める日から施行することとするほか、これに伴う規定の整備を行なったものであり、厚生年金保険法の一部を改正する法律案については、その施行の日を公布の日から起算して二カ月をこえない範囲内で政令で定める日に改めるほか、これに伴う規定の整備を行なったものであります。
なお、健康保険法の運営に関しましては、衆議院社会労働委員会におきまして、修正と同時に付帯決議を付せられたのであります。すなわちその要点の第一は、保険医療機関及び保険薬局に関する指定更新の手続を簡易化すること、第二は、国庫負担制度の根本理念を明らかにすること、第三は、医師、歯科医師及び薬剤師の待遇を改善すること、第四は、医師会、歯科医師会及び薬剤師協会を法制化することの四項目についてであります。
本委員会におきましては、さきに山下義信君外四名の発議による健康保険法等の一部を改正する法律案が、第二十五臨時国会に提案せられ、今二十六国会に継続審査となっておりますので、政府の提案にかかる右三法案と一括して審議が進められた次第であります。
衆議院より送付されました政府提出の右三案は、三月十四日に本委員会に付託され、委員会においては、まず厚生大臣より提案理由の説明を聴取するとともに、野澤衆議院議員より、衆議院における修正理由の説明を聴取したのであります。本月二十五日には公聴会を開催し、二十六日に岸総理の出席を求めまして、桂会保険制度に対する岸構想について質疑応答し、二十七日より改正案の実質的審議に入ったのであります。
委員会におきましては、主として健康保険法の改正問題について熱心なる質疑が集中し、今回の政府提案が、社会保険審議会に諮問すべき建前を無視して、三たび提出されたことに対する疑義について、また衆議院における修正点並びにこれに関連する部分について検討が加えられ、しかる後に改正案に対する審議を慎重に行なったのでありますが、そのうち最も論議の中心となった問題といたしましては、「衆議院で付帯決議をつけた趣旨は、法律の修正だけでは不十分であるという意味であるか」との質問に対し、野澤衆議院議員は、「法律の改正については、修正点だけでよいと思っているが、たまたま誤解される部分が相当あるのではないかということを配慮した結果である」との答弁があり、さらに「単価改訂の方針とその実現性及び一部負担と単価値上げとの相関性をいかに考えるか」との質問に対しては、「単価の問題はこれ以上放置できないので、これを値上げするという前提で調査を進めたい、これが実現については、多年の懸案事項で問題の焦点もきまっているから、長いことではないと思う、税制との問題もその際に考慮する、一部負担と単価値上げとは全く関連がない」と答弁し、また、「本改正案では、国庫は予算の範囲内において補助するという規定になっているが、これを定率化する考えはないか」という趣旨の質問に対しては、「本改正案が通過した後において、将来、国庫負担を定率に持って行くことについては考慮してみたい」という趣旨の答弁がありました。
標準報酬の問題につきましては、「標準報酬の引き上げは、中小企業労働者の賃金の実態から見ても、低額所得階層に不当な圧迫を加えるものである」いう質問に対しては、「標準報酬を賃金ベースの上昇に即応して改訂したのであり、報酬額の引き上げによって影響を受ける三千円から四千円未満の者は全保険者のわずか一%に過ぎず、この点ではマイナスの面があるかもしれないが、傷病手当金が増額するのでプラスの面もある」との答弁があり、一部負担については、「一部負担の性格をどう考えるか、また初診の際に百円に満たない場合、その額を収納することは保険事務を複雑化するのではないか」との質問に対しては、「赤字を埋めるための一部負担ではなく、保険制度を完備して行く上において、国が負担すると同時に、これを健全ならしめるために患者に負担してもらう考えである。また、将来点数表の改訂によって百円未満をなくするかもしれないが、七十五円しかかからないのに百円を徴収することは妥当性を欠いている」との答弁がありました。
なお、医療機関の指定問題については、「医療機関の指定と保険医の登録については、地域指定や定員制を考慮されているのではないか」という趣旨の質問に対しましては、「かようなことは考えていない、今日の医療機関保険医指定をそのまま機関指定し、保険医の登録として行きたい」という答弁があり、「医療機関の指定が取り消された場合、何ら不正を働かない善意の保険医までが保険診療の場所を失い、生活権を奪われることになる、これは刑法的連座制の採用ではないか」との質問に対しては、「これは共同責任の原理を採用したのではない、指定の取り消しを受けた医療機関の保険医は、他の場所でなら幾らでも診療に携わることができるのであり、現在は、医師個人を医療担当者の単位と考えず、医療がいわゆる機関というものによって行われている実情を重視して、いわゆる二重指定方法を採用したのである」と答弁し、「医療機関を三つの種類に分けているが、これらの機関に対する異なる行政効果を及ぼすことによって差別待遇をするのではないか」という質問に対しては、「第四十三条の一、二、三項に規定されている諸医療機関は、不特定多数者を診療の対象とするか、特定多数を対象とするかによって、その存立目的を異にしているのであって、特に差別待遇する意図はない」との答弁がありました。
また、船員保険法の一部を改正する法律案については、「海上勤務者の標準報酬の最高額を据え置きにしていることは、傷病手当金等について、陸上勤務者との間に均衡を失するところがあると思うがいかん」との趣旨の質問に対しては、「陸上と海上とのアンバランスを是正するため、その標準報酬を引き上げるということは了解できるので、適当な機会に検討を加え、すみやかに改訂したい」との答弁がありました。
以上のほか、国民皆保険に対する基本方針、結核問題の根本対策、私的医療機関のあり方、医療担当者の待遇改善等の諸問題についても、きわめて熱心なる質疑応答が続けられたのであります。
なお、本改正案の重要性にかんがみまして、前述のごとく公聴会を開催したのでありますが、公聴会には、医療担当者、被保険者、事業主の各代表者、学識経験者等十名の公述人を招き、本案に対する意見の陳述を求めたのであります。各公述人は、みな本案に重大な関心を持ち、それぞれの立場から、きわめて貴重な意見の陳述がありましたが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいのであります。
かくて、質疑を終りましたところ、内閣提出衆議院送付の三法案について、自由民主党谷口弥三郎君外一名より、修正案が提出せられ、谷口委員より、その趣旨説明がありました。その要旨は、まず、健康保険法等の一部を改正する法律案については、「一、標準報酬等級区分の最低を三千円から四千円に引き上げることは取りやめること。二、いわゆる個人開業医の機関指定の更新については、指定の期間終了前三月までの間に別段の申し出がない限り、申請がなくとも指定の申請があったものとみなすこと。三、一部負担金中、入院の場合の一日二十円三カ月を、一日三十円一カ月とすること。四、一部負担に関する規定の施行期日を七月一日とし、その他の規定は、それぞれの性質に応じ、施行期日を調節すること」等であります。
次に、船員保険法の一部を改正する法律案については、「一部負担に関する規定の施行期日を七月一日とし、その他の規定は、それぞれの性質に応じ施行期日を調節する」ことであります。
また、厚生年金保険法の一部を改正する法律案については、「標準報酬等級区分の最低を三千円から四千円に引き上げることは取りやめること」であります。なお、本修正案は予算を伴うので、これに対する内閣の意見を求めたところ、厚生大臣より、「修正案に同意する」旨を表明されました。
次いで、三法案に対する右の各修正案及び修正部分を除く衆議院送付案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して高野一夫君より賛成の意見が述べられ、日本社会党の山下義信君より反対の意見を述べられたのであります。早川愼一君は、緑風会の多数意見を代表して賛成の意を表せられ、竹中恒夫君は、無所属クラブの多数意見を代表して反対の意を表明せられ、また、日本社会党の坂本昭君からも反対の意見が述べられたのであります。
かくて討論を終了し、内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案について、おのおのその修正案並びに修正部分を除く衆議院送付案について、順次採決に入りましたところ、多数をもって、それぞれ修正議決すべきものと決定いたしました。
なおその際、日本社会党片岡文重君より、船員保険法の一部を改正する法律案に対し、付帯決議を付することの動議が提出せられ、その趣旨について説明がありました。その付帯決議案を朗読いたします。
付帯決議案
健康保険の被保険者の標準報酬額を引き上げた反面、船員保険の被保険者の標準報酬を最高三万六千円に据え置き、しかも被保険者の一部負担制度をなすことは、船員保険の療養給付の主旨から見て矛盾を感ぜられるから、船員保険法については、早急に根本的な改正について検討の必要がある。
右決議する。
右の付帯決議案について採決いたしました結果、全会一致をもって可決した次第であります。
以上、御報告を申し上げます。拍手
松
木
木下友敬#23
○木下友敬君 私は、ただいま上程されました健康保険法、船員保険法並びに厚生年金保険法の一部改正及び自由民主党提案の修正案に対し、日本社会党を代表しまして、絶対反対の討論をいたすものであります。拍手
まず第一に、これらの法案が今国会に提出されましたことは違法であります。すなわち健康保険法第二十四条の二、社会保障制度審議会設置法第二条の二によりますと、社会保障制度に関する企画及び立法等をいたします際には、総理大臣及び関係大臣は、あらかじめその大綱を社会保険審議会並びに社会保障制度審議会に質問しなければならないことが義務づけられておるのでありますが、今日上程されておりますこれらの法案は、遺憾ながら上述の諮問を経ていないことは御承知の通りでありまして、これは明らかに違法であるのでございます。法治国の国民といたしまして、かような違法のまま本議会に提出されましたことは、まことに暴挙であるとして遺憾にたえない次第でございます。拍手
岸総理は就任以来、特に国会運営の正常化を強調しておられますが、今や私どもは、岸総理のこのまことしやかなる主張が、全く国法を無視し、国民を欺瞞するものであることを知るものでありまして、まことに遺憾にたえません。さらに、衆議院においても、また参議院においても、委員会の審議の途中におきまして、いまだ十分論議し尽されない以前に、多数の暴威によって審議を中断された行為は、みずから国会議員の任務を怠り、かつその権利を放棄したものでありまして、九千万国民諸君に対しても、まことに申しわけないことであると思うのであります。拍手
さて、わが国社会保障制度の現状を見まするに、今日最も急速に取り上げなければならないのは、従業員五人未満の零細なる事業所に働く人たちを、医療保障の中に包含することであります。これら百五十万をこえる気の毒な人たちは、日の当らぬ零細企業の従業者であるばかりに、きわめて低い賃金に押えられ、しかも、何ら社会保障の恩恵がないために、一たん疾病におかされまするや、治療どころか、その日の生活にすらたえることのできない状態にありまして、疾病によっては、血を吐く思いでただ死を待たなければならない、実に同情にたえぬ状態に置かれております。これら五人未満の従業員を擁する零細事業所に働く従業員を、一般勤労者同様、被用者保険の適用対象とすることは、今日すでに常識でありまして、わが日本社会党におきましては、衆知を集め、長い日月と精細緻密なる労作を経てでき上りました、きわめてすぐれた法案を提出しておるのであります。
しかるに、政府並びに与党におきましては、実態の把握が困難である、あるいは移動の激しいという事務的な理由によりまして、全然これに手をつけていないことが、本国会審議の過程において明らかになったのでありますが、その怠慢は、私どものとうてい許すことができないところであります。現在わが国では、実に三千万に近い同胞が社会医療の面から置き去りになっております。私はその解決のため、本国会においては必ずや国民健康保険法の改正案が、政府、与党によって提出されるものと期待していたのでありますが、一昨二十八日の委員会におきまして、神田厚生大臣は、国民健康保険法の改正はとうてい手に負えないものとして、これを断念したことを明らかにしたのでありまして、私はその無力と無誠意にあぜんたらざるを得ないのであります。拍手今や国民皆保険は、全国民のひとしく切望してやまぬところであり、わが日本社会党は、早くよりその五カ年計画を意図し、詳細はわが党政策として天下に発表したところであります。このわが党の首唱に刺激されまして、自由民主党においてか、石橋内閣当時から国民皆保険を主要政策の一つに取り入れ、岸内閣またこれを受け継いで今日に及んでおります。本年度五百万人にこれを及ぼすと申しておりますが、従業員五人未満の零細事業所における従業員の保険を放置し、さらに、国民健康保険法の改正すら手をつけない状態で、何の国民皆保険だと言うことができましょうか。政府、与党の無能と無誠意と無責任は、実に驚くのほかございません。
ここで、私は法案中おもなる事項について論じます。まず、私どもがこの法案を見て最も憎しみを感ずるものは、一部負担の増高でございます。そもそも一部負担増徴の構想は、三十年度の赤字六十億を解消する手段として考えられたものであります。御承知の通り、わが国の健康保険の保険料率は、千分の六十の場合、すでに世界最高でございました。この六十億の赤字解消のため、三十年六月には保険料率はさらに千分の六十五に引き上げられ、一カ年一人当りの平場保険料は実に九千八百八十四円という、たくさんの額に上っております。しかし、このたびの改正案によりますと、初診時には従来の倍額、あるいはそれ以上に当るところの百円を一部負担として納めなければならない。しかも入院の場合には、毎日三十円ずつを支払って行かなければならないという仕組みになっておるのであります。このようにして、保険給付に要する費用は、すべて事業主と被保険者の醵出による保険料によってまかなわれており、国は今日までのところ、運営費のみを負担しているのにすぎない状態であるのであります。しかしながら、社会保障制度の一環として、強制加入の建前のもとに、国がみずから管理に当っている制度である以上、国が社会保障に対する責任を分担する意味において、給付費について一定率の国庫負担を行うことは当然であります。現在以上一部負担の増徴を行なって、赤字を満たそうとする考え方は、社会保障の本質をわきまえないものでありまして、これこそ資本家的搾取意識につながる暴政と言わなければならないと思うのであります。拍手現在、初診時の部負担は、四十六円ないし五十円でありますが、これらの支出ですら思うにまかせぬ気の毒な患者がたくさんある社会の実情を見のがしてはなりません。これらの気の毒な人たちが、もし入院でもしなければならなくなったとき、毎日三十円ものお金を支払わなければならないことになりましたら、この人たちは、被保険者でありながら入院さえできずに、みすみす死の道を急がなければならないという気の毒な状態になるのであります。為政者としては最も思いをいたさなければならない重要な点だと思うのであります。
そこで、この一部負担のねらいでありますが、もちろんこれが保険給付の財源の一部になるのでありますが、そのほかに、いま一つ、一部負担を増徴することによって患者の出足が鈍るということ、これがまた政府のねらいであります。与党のねらいであります。すなわち初診時に百円を徴収することによって、受診率をぐっと押えようというのでございます。その結果は、果してどのような結果になりますか。申すまでもなく、早期診断による疾病の早期発見と早期治療、この機会を失う結果となりまして、患者をして重態に陥れるおそれがあるのでございまして、これは人道上許すことのできない重大なる問題を内蔵するものであります。拍手言うまでもなく、病気は人生の最大の不幸であります。のみならず、病気によって貧困がかもされ、さらに貧困によって多くの社会悪が作り出されることを思えば、この意味においても、病者を個人にまかせず、一日も早く皆で助け合って健康を取り戻して行くことが、これが近代社会におけるところの当然の法則であるのであります。拍手しかるに、一部負担の増高によって、あえてこのあわれむべき弱者を塗炭の苦しみに陥れようとすることは、とうてい許すべからざる行為でありまして、人命よりも財貨を重んじる資本家的色彩と、国民の幸福よりも、制度と権力を守ろうとする官僚独一善の臭気があまりにも露骨に打ち出されていることを、私は国民の一人として悲しまずにおれません。拍手
次に、最も奇怪なのは審査の官僚化であります。そもそも社会保険診療報酬支払基金の任務は、診療報酬の単なる支払い事務であります。それゆえに、現在においてさえも審査が支払側である基金の機構の中において、一方的に行われていることはきわめて不合理でありまして、私どもはこれが改正を叫んで参ったのでありますが、政府はそれどころか、さらにこの点を強化して、審査委員の任命権を基金幹事長の手に掌握せしめて、審査業務を全く幹事長の支配下に置くことを企図しておるのでございます。今までさえ、審査の切り捨てごめんのやり方には、診療担当者をふるい上らせたものでありまして、これが萎縮診療の原因となり、診療内容の低下を来たしておるのでありますが、一たびこの改悪案が通過いたしました暁には、この傾向は数段激化されてくることをおそれるものであります。拍手
次に、このたびの改正案は、被保険者並びに医療担当者に対する係官の検査、監査のはなはだしい峻厳化を企図しております。係官は、自由に家屋の中に侵入することがこの法律によって認められるのであります。しかも私どもは、単に係官の質問に対する答えに誤まりがあったというだけで一万円以下の過料に処せらるるとか、係官の質問に答えなかったということだけで健康保険医の登録を剥奪されるというごとき、きわめて苛酷な罰則が規定されているのであります。さらにこれらの措置を一そう峻厳化する意図のもとに
おいて、医療担当者と医療機関をそれぞれ別々に登録、指定することを規定したのであります。実にアリのはい出るすきまもないというほどにきびしいおきてで、最も重要な協力者であるところの医療担当者を鉄の鎖で縛り上げ、むちでたたくといったような、きわめて理不尽な法案であります。一体同じく日本人でありながら、ひとり医療担当者のみが、何ゆえにかくのごとき封建的屈辱にたえ忍ばなければならないのでございましょうか。私は国民がひとしく憲法によって保障されて
いる基本的人権が、国民の公僕たるべき官吏によって踏みにじられ、法によって認められた黙秘権が、一片の行政措置によって否定され、その天職たる医業までが剥奪されるという戦慄すべき超時代的法規が、公々然と多数の暴威によって押し通されるという悲しむべき事実と、これによって引き起される社会不安をおそれるものであります。岸総理は、今国会においてしばしば、心を入れかえて民主的政治家として努力すると言われましたが、今やこの法律案を通じてみても、戦時中、日本刀のごとき鋭さで、そのファッショ的政策を大上段に振りかざして中小商工業者を泣かしめた、かつてのあの岸信介氏本来の姿が、政策を通じて明々白々に露呈していることは、わが日本現下の最大の不幸と言わなければなりません。
思うに、健康保険が実施せられて、「すでに三十年を経過しております今日、なおかくのごとき不安定な状態にあるは、全く歴代保守党政権の失政の跡を物語るものでありまして、私どもは、一月も早く私どもの手によって、私どもの打ち出す民主的理念による改正によって、その抜本的建て直しをしなければならないと思うのであります。まず第一に考えますのは、現在わが国の医療保険には、被用者保険だけでも、健康保険を初めとして船員保険、日雇い健康保険、共済組合保険、厚生年金保険等、多種多様でありまして、何ら一貫した体系が形作られていないのであります。これでは運営面においても、経済面においても、きわめて不合理であります、非能率であります。ここで一大英断をもちまして、各種保険を有機的に整理統合し、保険体系の再編成を敢行するとともに、運営の民主化と合理化によって、医療保障制度の確立をはかることが必要であると思うのであります。
これと同時に、重要に問題は、結核対策についてであります。今わが国には、治療を要する結核患者は実に二百九十二万人にも及んでおります。健康診断の普及と診断技術の進歩によって、要治療者は、どんどん発見されて参ります。一方、結核の治療法もいよいよ進歩して参りまして、このことが急激に結核療養費の膨張を来たし、これが健康保険その他の保険財政を大きく食いつぶしているのが真相であります。すなわち健康保険医療費の三六%は、結核医療費であります。これが今日及び将来における社会保険の運命を左右する最も重要な課題であると思うのであります。しかるに、今日御提出になっている改正案にも、また三十二年度予算案にも、この重大な問題について何らの考慮が払われていないことは、きわめて遺憾であります。結核予防については、全額公費負担を打ち出してはありますが、肝心の治療費が従来通りでありますことは、結核予防法を有名無実の骨抜きにするもので、ひいては、経済的には、相も変らず健康保険依存という寄生虫的存在に転落させるものであります。このことは、再三にわたって社会保障制度審議会が勧告して参ったところでありまして、私もまた、結核予防法を強化するにあらざれば、健康保険経済の確立は、とうてい望みがたいと信ずるものでありますが、政府の結核問題に対する施策は、きわめて微温的でありまして、とうていこの重大問題を解決する意欲と能力を持たないものと断ぜざるを得ません。まことに国民的不幸でございます。
以上、私は今日提案されておる健康保険法等の一部を改正する法律案を中心として論じましたが、船員保険法並びに厚生年金保険法の一部を改正する法律案についても、大体同様のことが当てはまるものでございます。なお、船員保険法について、わが党の片岡議員が提案いたしました付帯決議案は、きわめて重要にして欠くべからざるものであることを付言いたしておきます。
以上をもちまして、私は反対討論を終ろうとするものでありますが、最後に、強く政府の注意と猛省を促したいことが二つあります。その一つは、医療報酬の適正化、すなわち適正単価の改訂であります。現在の単価は、実に昭和二十六年以来据え置きであり、その後の社会情勢、経済動態の実情とは、全く隔絶されたきわめて不合理なものであります。これでは医療担当者は、とうてい時代の要求するがごとき医療施設の充実整備ができないのみか、その子弟の教育、さらに生活をさえ脅かされる実情であります。尊い人命を頂かる医療担当者の生活の保障なくして、何の医療保障ぞと私は言いたいのであります。私は、政府がすみやかに早急に、大幅な単価の引き上げを、万難を排して断行することを要求するものであります。
次に、医療保障の円滑なる遂行には、特に医療担当者の協力を必要とすることは申すまでもありません。保険者たる政府としては、この点に十分に力をいたさねばならないはずであります。しかるに事実はどうであるか。第二十二国会以来、全医療関係者は、一人残らず猛烈な反対を続けて参っております。従来もそうであったように、今回もまた、保険医総辞退をかけて反対を続けてておるのであります。すなわち去る三月十七日に、日本医師会幹部は、本問題に関して全会員の不信任によって総辞職を余儀なくされ、翌十八日、両国の国際スタジアムにおける日本医師会、日本歯科医師会合同の健保改悪反対、全国医師歯科医師総決起大会は、実に二万数千の医人が血の出る叫びを叫んだのでございます。しかして保守党政策の非を徹底的に糾弾したことは、すでに皆様が身にしみて感じられたことであると私は思うのである。拍手一方においては、全被保険者六百万の反対、一方においては十六万の医療担当者の猛烈な反撃、これで一体医療行政が、保険行政が、円滑にやって行かれるとお思いになるのでございましょうか。拍手
以上をもちまして、私は本日提出されました健康保険法等の一部を改正する法律案並びに自由民主党の提出になる修正案に対する反対の討論を終えるのでありますが、申すまでもなく、健康は人生最大の幸福であります。健康のないところ、政治も経済も、真にその成果をあげるものではありません。このことは前総理大臣の石橋氏の例によっても明らかであります。拍手そのゆえに国民の健康を守り、これを助長するための医療保障の発展拡充のためには、政治家たるものは、政党政派を超越して、全知全能を動員して、これが達成に努めなければならないと信ずるものでありますことを付言しまして、私の絶対反対の討論を終るものでございます。拍手
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岸総理は就任以来、特に国会運営の正常化を強調しておられますが、今や私どもは、岸総理のこのまことしやかなる主張が、全く国法を無視し、国民を欺瞞するものであることを知るものでありまして、まことに遺憾にたえません。さらに、衆議院においても、また参議院においても、委員会の審議の途中におきまして、いまだ十分論議し尽されない以前に、多数の暴威によって審議を中断された行為は、みずから国会議員の任務を怠り、かつその権利を放棄したものでありまして、九千万国民諸君に対しても、まことに申しわけないことであると思うのであります。拍手
さて、わが国社会保障制度の現状を見まするに、今日最も急速に取り上げなければならないのは、従業員五人未満の零細なる事業所に働く人たちを、医療保障の中に包含することであります。これら百五十万をこえる気の毒な人たちは、日の当らぬ零細企業の従業者であるばかりに、きわめて低い賃金に押えられ、しかも、何ら社会保障の恩恵がないために、一たん疾病におかされまするや、治療どころか、その日の生活にすらたえることのできない状態にありまして、疾病によっては、血を吐く思いでただ死を待たなければならない、実に同情にたえぬ状態に置かれております。これら五人未満の従業員を擁する零細事業所に働く従業員を、一般勤労者同様、被用者保険の適用対象とすることは、今日すでに常識でありまして、わが日本社会党におきましては、衆知を集め、長い日月と精細緻密なる労作を経てでき上りました、きわめてすぐれた法案を提出しておるのであります。
しかるに、政府並びに与党におきましては、実態の把握が困難である、あるいは移動の激しいという事務的な理由によりまして、全然これに手をつけていないことが、本国会審議の過程において明らかになったのでありますが、その怠慢は、私どものとうてい許すことができないところであります。現在わが国では、実に三千万に近い同胞が社会医療の面から置き去りになっております。私はその解決のため、本国会においては必ずや国民健康保険法の改正案が、政府、与党によって提出されるものと期待していたのでありますが、一昨二十八日の委員会におきまして、神田厚生大臣は、国民健康保険法の改正はとうてい手に負えないものとして、これを断念したことを明らかにしたのでありまして、私はその無力と無誠意にあぜんたらざるを得ないのであります。拍手今や国民皆保険は、全国民のひとしく切望してやまぬところであり、わが日本社会党は、早くよりその五カ年計画を意図し、詳細はわが党政策として天下に発表したところであります。このわが党の首唱に刺激されまして、自由民主党においてか、石橋内閣当時から国民皆保険を主要政策の一つに取り入れ、岸内閣またこれを受け継いで今日に及んでおります。本年度五百万人にこれを及ぼすと申しておりますが、従業員五人未満の零細事業所における従業員の保険を放置し、さらに、国民健康保険法の改正すら手をつけない状態で、何の国民皆保険だと言うことができましょうか。政府、与党の無能と無誠意と無責任は、実に驚くのほかございません。
ここで、私は法案中おもなる事項について論じます。まず、私どもがこの法案を見て最も憎しみを感ずるものは、一部負担の増高でございます。そもそも一部負担増徴の構想は、三十年度の赤字六十億を解消する手段として考えられたものであります。御承知の通り、わが国の健康保険の保険料率は、千分の六十の場合、すでに世界最高でございました。この六十億の赤字解消のため、三十年六月には保険料率はさらに千分の六十五に引き上げられ、一カ年一人当りの平場保険料は実に九千八百八十四円という、たくさんの額に上っております。しかし、このたびの改正案によりますと、初診時には従来の倍額、あるいはそれ以上に当るところの百円を一部負担として納めなければならない。しかも入院の場合には、毎日三十円ずつを支払って行かなければならないという仕組みになっておるのであります。このようにして、保険給付に要する費用は、すべて事業主と被保険者の醵出による保険料によってまかなわれており、国は今日までのところ、運営費のみを負担しているのにすぎない状態であるのであります。しかしながら、社会保障制度の一環として、強制加入の建前のもとに、国がみずから管理に当っている制度である以上、国が社会保障に対する責任を分担する意味において、給付費について一定率の国庫負担を行うことは当然であります。現在以上一部負担の増徴を行なって、赤字を満たそうとする考え方は、社会保障の本質をわきまえないものでありまして、これこそ資本家的搾取意識につながる暴政と言わなければならないと思うのであります。拍手現在、初診時の部負担は、四十六円ないし五十円でありますが、これらの支出ですら思うにまかせぬ気の毒な患者がたくさんある社会の実情を見のがしてはなりません。これらの気の毒な人たちが、もし入院でもしなければならなくなったとき、毎日三十円ものお金を支払わなければならないことになりましたら、この人たちは、被保険者でありながら入院さえできずに、みすみす死の道を急がなければならないという気の毒な状態になるのであります。為政者としては最も思いをいたさなければならない重要な点だと思うのであります。
そこで、この一部負担のねらいでありますが、もちろんこれが保険給付の財源の一部になるのでありますが、そのほかに、いま一つ、一部負担を増徴することによって患者の出足が鈍るということ、これがまた政府のねらいであります。与党のねらいであります。すなわち初診時に百円を徴収することによって、受診率をぐっと押えようというのでございます。その結果は、果してどのような結果になりますか。申すまでもなく、早期診断による疾病の早期発見と早期治療、この機会を失う結果となりまして、患者をして重態に陥れるおそれがあるのでございまして、これは人道上許すことのできない重大なる問題を内蔵するものであります。拍手言うまでもなく、病気は人生の最大の不幸であります。のみならず、病気によって貧困がかもされ、さらに貧困によって多くの社会悪が作り出されることを思えば、この意味においても、病者を個人にまかせず、一日も早く皆で助け合って健康を取り戻して行くことが、これが近代社会におけるところの当然の法則であるのであります。拍手しかるに、一部負担の増高によって、あえてこのあわれむべき弱者を塗炭の苦しみに陥れようとすることは、とうてい許すべからざる行為でありまして、人命よりも財貨を重んじる資本家的色彩と、国民の幸福よりも、制度と権力を守ろうとする官僚独一善の臭気があまりにも露骨に打ち出されていることを、私は国民の一人として悲しまずにおれません。拍手
次に、最も奇怪なのは審査の官僚化であります。そもそも社会保険診療報酬支払基金の任務は、診療報酬の単なる支払い事務であります。それゆえに、現在においてさえも審査が支払側である基金の機構の中において、一方的に行われていることはきわめて不合理でありまして、私どもはこれが改正を叫んで参ったのでありますが、政府はそれどころか、さらにこの点を強化して、審査委員の任命権を基金幹事長の手に掌握せしめて、審査業務を全く幹事長の支配下に置くことを企図しておるのでございます。今までさえ、審査の切り捨てごめんのやり方には、診療担当者をふるい上らせたものでありまして、これが萎縮診療の原因となり、診療内容の低下を来たしておるのでありますが、一たびこの改悪案が通過いたしました暁には、この傾向は数段激化されてくることをおそれるものであります。拍手
次に、このたびの改正案は、被保険者並びに医療担当者に対する係官の検査、監査のはなはだしい峻厳化を企図しております。係官は、自由に家屋の中に侵入することがこの法律によって認められるのであります。しかも私どもは、単に係官の質問に対する答えに誤まりがあったというだけで一万円以下の過料に処せらるるとか、係官の質問に答えなかったということだけで健康保険医の登録を剥奪されるというごとき、きわめて苛酷な罰則が規定されているのであります。さらにこれらの措置を一そう峻厳化する意図のもとに
おいて、医療担当者と医療機関をそれぞれ別々に登録、指定することを規定したのであります。実にアリのはい出るすきまもないというほどにきびしいおきてで、最も重要な協力者であるところの医療担当者を鉄の鎖で縛り上げ、むちでたたくといったような、きわめて理不尽な法案であります。一体同じく日本人でありながら、ひとり医療担当者のみが、何ゆえにかくのごとき封建的屈辱にたえ忍ばなければならないのでございましょうか。私は国民がひとしく憲法によって保障されて
いる基本的人権が、国民の公僕たるべき官吏によって踏みにじられ、法によって認められた黙秘権が、一片の行政措置によって否定され、その天職たる医業までが剥奪されるという戦慄すべき超時代的法規が、公々然と多数の暴威によって押し通されるという悲しむべき事実と、これによって引き起される社会不安をおそれるものであります。岸総理は、今国会においてしばしば、心を入れかえて民主的政治家として努力すると言われましたが、今やこの法律案を通じてみても、戦時中、日本刀のごとき鋭さで、そのファッショ的政策を大上段に振りかざして中小商工業者を泣かしめた、かつてのあの岸信介氏本来の姿が、政策を通じて明々白々に露呈していることは、わが日本現下の最大の不幸と言わなければなりません。
思うに、健康保険が実施せられて、「すでに三十年を経過しております今日、なおかくのごとき不安定な状態にあるは、全く歴代保守党政権の失政の跡を物語るものでありまして、私どもは、一月も早く私どもの手によって、私どもの打ち出す民主的理念による改正によって、その抜本的建て直しをしなければならないと思うのであります。まず第一に考えますのは、現在わが国の医療保険には、被用者保険だけでも、健康保険を初めとして船員保険、日雇い健康保険、共済組合保険、厚生年金保険等、多種多様でありまして、何ら一貫した体系が形作られていないのであります。これでは運営面においても、経済面においても、きわめて不合理であります、非能率であります。ここで一大英断をもちまして、各種保険を有機的に整理統合し、保険体系の再編成を敢行するとともに、運営の民主化と合理化によって、医療保障制度の確立をはかることが必要であると思うのであります。
これと同時に、重要に問題は、結核対策についてであります。今わが国には、治療を要する結核患者は実に二百九十二万人にも及んでおります。健康診断の普及と診断技術の進歩によって、要治療者は、どんどん発見されて参ります。一方、結核の治療法もいよいよ進歩して参りまして、このことが急激に結核療養費の膨張を来たし、これが健康保険その他の保険財政を大きく食いつぶしているのが真相であります。すなわち健康保険医療費の三六%は、結核医療費であります。これが今日及び将来における社会保険の運命を左右する最も重要な課題であると思うのであります。しかるに、今日御提出になっている改正案にも、また三十二年度予算案にも、この重大な問題について何らの考慮が払われていないことは、きわめて遺憾であります。結核予防については、全額公費負担を打ち出してはありますが、肝心の治療費が従来通りでありますことは、結核予防法を有名無実の骨抜きにするもので、ひいては、経済的には、相も変らず健康保険依存という寄生虫的存在に転落させるものであります。このことは、再三にわたって社会保障制度審議会が勧告して参ったところでありまして、私もまた、結核予防法を強化するにあらざれば、健康保険経済の確立は、とうてい望みがたいと信ずるものでありますが、政府の結核問題に対する施策は、きわめて微温的でありまして、とうていこの重大問題を解決する意欲と能力を持たないものと断ぜざるを得ません。まことに国民的不幸でございます。
以上、私は今日提案されておる健康保険法等の一部を改正する法律案を中心として論じましたが、船員保険法並びに厚生年金保険法の一部を改正する法律案についても、大体同様のことが当てはまるものでございます。なお、船員保険法について、わが党の片岡議員が提案いたしました付帯決議案は、きわめて重要にして欠くべからざるものであることを付言いたしておきます。
以上をもちまして、私は反対討論を終ろうとするものでありますが、最後に、強く政府の注意と猛省を促したいことが二つあります。その一つは、医療報酬の適正化、すなわち適正単価の改訂であります。現在の単価は、実に昭和二十六年以来据え置きであり、その後の社会情勢、経済動態の実情とは、全く隔絶されたきわめて不合理なものであります。これでは医療担当者は、とうてい時代の要求するがごとき医療施設の充実整備ができないのみか、その子弟の教育、さらに生活をさえ脅かされる実情であります。尊い人命を頂かる医療担当者の生活の保障なくして、何の医療保障ぞと私は言いたいのであります。私は、政府がすみやかに早急に、大幅な単価の引き上げを、万難を排して断行することを要求するものであります。
次に、医療保障の円滑なる遂行には、特に医療担当者の協力を必要とすることは申すまでもありません。保険者たる政府としては、この点に十分に力をいたさねばならないはずであります。しかるに事実はどうであるか。第二十二国会以来、全医療関係者は、一人残らず猛烈な反対を続けて参っております。従来もそうであったように、今回もまた、保険医総辞退をかけて反対を続けてておるのであります。すなわち去る三月十七日に、日本医師会幹部は、本問題に関して全会員の不信任によって総辞職を余儀なくされ、翌十八日、両国の国際スタジアムにおける日本医師会、日本歯科医師会合同の健保改悪反対、全国医師歯科医師総決起大会は、実に二万数千の医人が血の出る叫びを叫んだのでございます。しかして保守党政策の非を徹底的に糾弾したことは、すでに皆様が身にしみて感じられたことであると私は思うのである。拍手一方においては、全被保険者六百万の反対、一方においては十六万の医療担当者の猛烈な反撃、これで一体医療行政が、保険行政が、円滑にやって行かれるとお思いになるのでございましょうか。拍手
以上をもちまして、私は本日提出されました健康保険法等の一部を改正する法律案並びに自由民主党の提出になる修正案に対する反対の討論を終えるのでありますが、申すまでもなく、健康は人生最大の幸福であります。健康のないところ、政治も経済も、真にその成果をあげるものではありません。このことは前総理大臣の石橋氏の例によっても明らかであります。拍手そのゆえに国民の健康を守り、これを助長するための医療保障の発展拡充のためには、政治家たるものは、政党政派を超越して、全知全能を動員して、これが達成に努めなければならないと信ずるものでありますことを付言しまして、私の絶対反対の討論を終るものでございます。拍手
松
榊
榊原亨#25
○榊原亨君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております三案に対し、修正案並びに修正部分を除く原案に賛成を表するものであります。
この法案の目的は、政府が提案理由一として述べましたように、健康保険事業の健全なる発展とその合理化をはかるのが目的であります。自由民主党の重要なる政策の一つであるところの国民皆保険実現のために、ぜひとも必要なる前措置の一部をなすものでありまして、すなわち国民皆保険というりっぱな殿堂を打ち建てますための土台作りの一部をなすものであります。今後、いろいろなる基礎的整備の必要なることは申すまでもありません。たまたまこの法案が、保険関係者に対する規正という、山を削るというような面が多い部分であったために、関係者から非常なる誤解と反対を示されたのでありまするが、一このことは、今後におきまして近い将来、さらにこの土台作りの全貌が示さるるに至りまして、山を削るばかりでなく、谷を埋めるという措置も、漸次その全貌を現わすに至りましたならば、必ずやこれらの方々の十分なる理解と協力を得るに至るものと、固く私どもは信ずるものであります。拍手
この法案は、委員長の報告の通り、政府管掌健康保険事業の執行に要する費用の国庫補助を初めとし、事業主、被保険者、医療担当者に関する諸事項の改正でありまするが、特に議論の中心をなしますところの国庫の補助率の問題、標準報酬の問題、診療費の被保険者の一部負担の問題、医療機関の指定と保険医の登録の問題、医療担当者に対する指導と監督の諸問題が最も重要でございまするが、審査の問題に関しましては、これはすでに衆議院において修正を受けておりますので、この問題には触れませんが、私ども自由民主党の根本的の、この問題等の解決に対するところの考え方といたしましては、何といたしましても、社会保障制度の健全なる発展をいたしまするには、一つには受益の均等化ということかまず第一番目に必要な問題であると考えております。第二の問題といたしましては、受益者の保険に対する個人的責任の自覚ということであります。第三番目には、保険に対する費用の効率的使用ということであると思うのでとざいまするが、私がただいまあげましところの受益の均等化ということにつきましては、国の予算をいかに使うかというような議論はのけるといたしましても、社会保障の恩典を均等化して、あまねく国民に普遍的に与えるということは、特に現在、いまだ三千万に近いところの人々が保険の恩典に浴しない現状といたしましては、何といたしましても、第一番目に考えるべきことは、受益の均等化であると私は考える。先ほど木下君のお話になりましたように、国民健康保険の問題につきましても、また、五人未満の被保険者の問題につきましても、これらは、わが自由民主党といたしましても、早急に解決すべき問題とは信ずるのでございまするが、これには順を追うてやるべきでありまして、ただいまの現状といたしましては、何といたしましても、受益の均等化をはかるべきものと考えておるのであります。
第二の問題といたしましては、受益者個人の保険に対する責任の自覚ということであります。たとえば、これを、先ほど問題になりましたところの被保険者の一部負担の問題に触れてみますというと、病気になった者が受けますその受益、その受益のために、本人から受益者の負担として一部負担をするというような考え方、あるいはまた一部負担を増しまして受診率を低下させるというような考え方、これらの考え方以外に、さらに一部負担をしなければならぬというところであるのであります。と申しますのは、受益者自身が、自分の病気が被保険者全般に及ぼす影響を自覚いたしまして、進んで保険経済の健全化に寄与するために、これを自覚して、その費用の一端を負うという考えであります。そこにおいて、初めて社会保障と勤労意欲を阻害しないという二つの点について、十分なる健全化ができるのでありまして、これを外国に見ましても、また、わが国の現状を見ましても、わが自由民主党といたしましては、何といたしましても、この一部負担ということが保険の経済の上において最も必要なことと、私どもは信ずるのであります。
その第二の問題といたしましては、保険の経済の効率化ということでございまするが、この保険経済の費用を最も効率的に使うという問題につきましては、今さら申し上げることはないのであります。そこで、私どもといたしましては、これらの考えに向いまして、社会保険の健全なる推進を企図しておるのであります。そこで、先ほど問題となりましたところの国庫負担にいたしましても、それは、順を追うてこの問題を解決すべきでございまして、ただいまの段階といたしましては、この法案にきめられたように、国の予算の範囲において一定額を補助するということを規定し、さらに、前措置がことごとく整いました段階におきまして、さらに恒久的な定率の国庫補助ということをすべきものと私どもは考えております。
また、標準報酬の問題にいたしましても、給与ベースの上りました今日、その引き上げは適当なものと考えておるのでございまするが、今日、三千円の最低の低額所得者の現存しておる現状といたしましては、修正案のごとく、三千円を据え置くということが適当と私どもは考えておるのであります。被保険者の一部負担の増額につきましては、先ほど触れたところでございまするけれども、受診率の低下とか、あるいは受益者負担というような精神のほかに、さらに私どもは、ぜひとも一部負担をさすべきと考えておりまするが、この問題につきまして、ただ問題になりますのは、(「その問題だよ」と呼ぶ者あり)ただ額が、社会的評価の上から申しまして、被保険者の非常なる負担にならないように注意しなければならぬことは当然でございます。今回の修正案によりまするというと、初診の場合に、一回だけ百円までの診療費を負担するということと、入院の場合に、一カ月だけ一日三十円を負担するというのでございまして、それは、現今の経済的な社会評価から見まして、私どもは、さほど被保険者を重い負担に追い込むものではないと考えておるのでございますがしかしながら、この場合に、特殊な場合でございまして、なおかつ、これらの負担をも負うことができないような方々がございますならば、これには、ちゃんと生活保護法という制度が待っておるのでございます。従いまして、これらの者につきましては、生活保護法に依存すべきものと考えておるのであります。従いまして、この一部負担につきましては、ただいま提案せられました修正案に賛成するものでございまするし、なおかつ、その運営を十分考えまして、その実施の時期を七月一日に延期するということにつきましても、私どもは全く適当な措置と考えておるのであります。
先ほど問題になりました医療機関の指定ということは、在来におきましても、医療担当者の個人を指定した場合、あるいは現実の面において、事実上機関を指定せざるを得ない場合があったのでありまして、それらの混乱さは、ときにはいろいろな物議をかもしてきたのであります。従いまして、筋といたしましては、医療機関を指定するということが最も機宜を得た措置でありまして医療機関を指定するという以上は、その医療担当者の終身の登録をするということも当然であると考えておるのであります。しかしながら、その場合、その指定のやり方あるいは担当者に対する再登録の問題等について、これらが非民主的に行われるということについて、私どもは重大なる関心を持っておるのでありまして、これがもし政府の考えといたしまして、地域指定、あるいは定員制、あるいはいろいろな特殊な規格を要請されるというようなことは、あるいは指定の場合に、特別に官僚統制のようなきらいがあるということについて、十分なる警戒を要するのでありまして、その点につきましては、質疑応答の上において十分私どもは了解することができた。ただ問題は三年の期限ごとに、繁雑な手続をもって、再指定を受けるということは問題でありまして、これは実際におきまして医療担当者の非常な苦痛であります。従いまして、この点を簡素化いたしました今回の修正案に対しまして、賛成の意を表するわけであります。
医療担当者の指導監督につきましても、保険運営上から申しまして、指導監督は厳正であるべきが当然でありまして、これをことさら、指導監督というものが非常にやわらかであっていやという理屈は何らないのであります。ただ、私ども為政者といたしましては、これが民主的に行われるということが非常な必要なことであるし、また、医療の特殊性を十分に考慮して行われなければならぬという点であります。指導監督ということが正しく行われるということについては異議がないはずであります。これが民主的に行われるということについて、十分なる考えを持たなければならぬと思うのでございまして、これらの点につきましても、数回にわたるところの質疑において明らかなるところでありまして、これらの点につきましては、私ども十分に了解をし得ると考えておるのでございます。これらの問題に関しまして、法律上さらにいろいろ問題がありますが、笑いこれを実現いたしますためには、……(発言する者多し)
この発言だけを見る →この法案の目的は、政府が提案理由一として述べましたように、健康保険事業の健全なる発展とその合理化をはかるのが目的であります。自由民主党の重要なる政策の一つであるところの国民皆保険実現のために、ぜひとも必要なる前措置の一部をなすものでありまして、すなわち国民皆保険というりっぱな殿堂を打ち建てますための土台作りの一部をなすものであります。今後、いろいろなる基礎的整備の必要なることは申すまでもありません。たまたまこの法案が、保険関係者に対する規正という、山を削るというような面が多い部分であったために、関係者から非常なる誤解と反対を示されたのでありまするが、一このことは、今後におきまして近い将来、さらにこの土台作りの全貌が示さるるに至りまして、山を削るばかりでなく、谷を埋めるという措置も、漸次その全貌を現わすに至りましたならば、必ずやこれらの方々の十分なる理解と協力を得るに至るものと、固く私どもは信ずるものであります。拍手
この法案は、委員長の報告の通り、政府管掌健康保険事業の執行に要する費用の国庫補助を初めとし、事業主、被保険者、医療担当者に関する諸事項の改正でありまするが、特に議論の中心をなしますところの国庫の補助率の問題、標準報酬の問題、診療費の被保険者の一部負担の問題、医療機関の指定と保険医の登録の問題、医療担当者に対する指導と監督の諸問題が最も重要でございまするが、審査の問題に関しましては、これはすでに衆議院において修正を受けておりますので、この問題には触れませんが、私ども自由民主党の根本的の、この問題等の解決に対するところの考え方といたしましては、何といたしましても、社会保障制度の健全なる発展をいたしまするには、一つには受益の均等化ということかまず第一番目に必要な問題であると考えております。第二の問題といたしましては、受益者の保険に対する個人的責任の自覚ということであります。第三番目には、保険に対する費用の効率的使用ということであると思うのでとざいまするが、私がただいまあげましところの受益の均等化ということにつきましては、国の予算をいかに使うかというような議論はのけるといたしましても、社会保障の恩典を均等化して、あまねく国民に普遍的に与えるということは、特に現在、いまだ三千万に近いところの人々が保険の恩典に浴しない現状といたしましては、何といたしましても、第一番目に考えるべきことは、受益の均等化であると私は考える。先ほど木下君のお話になりましたように、国民健康保険の問題につきましても、また、五人未満の被保険者の問題につきましても、これらは、わが自由民主党といたしましても、早急に解決すべき問題とは信ずるのでございまするが、これには順を追うてやるべきでありまして、ただいまの現状といたしましては、何といたしましても、受益の均等化をはかるべきものと考えておるのであります。
第二の問題といたしましては、受益者個人の保険に対する責任の自覚ということであります。たとえば、これを、先ほど問題になりましたところの被保険者の一部負担の問題に触れてみますというと、病気になった者が受けますその受益、その受益のために、本人から受益者の負担として一部負担をするというような考え方、あるいはまた一部負担を増しまして受診率を低下させるというような考え方、これらの考え方以外に、さらに一部負担をしなければならぬというところであるのであります。と申しますのは、受益者自身が、自分の病気が被保険者全般に及ぼす影響を自覚いたしまして、進んで保険経済の健全化に寄与するために、これを自覚して、その費用の一端を負うという考えであります。そこにおいて、初めて社会保障と勤労意欲を阻害しないという二つの点について、十分なる健全化ができるのでありまして、これを外国に見ましても、また、わが国の現状を見ましても、わが自由民主党といたしましては、何といたしましても、この一部負担ということが保険の経済の上において最も必要なことと、私どもは信ずるのであります。
その第二の問題といたしましては、保険の経済の効率化ということでございまするが、この保険経済の費用を最も効率的に使うという問題につきましては、今さら申し上げることはないのであります。そこで、私どもといたしましては、これらの考えに向いまして、社会保険の健全なる推進を企図しておるのであります。そこで、先ほど問題となりましたところの国庫負担にいたしましても、それは、順を追うてこの問題を解決すべきでございまして、ただいまの段階といたしましては、この法案にきめられたように、国の予算の範囲において一定額を補助するということを規定し、さらに、前措置がことごとく整いました段階におきまして、さらに恒久的な定率の国庫補助ということをすべきものと私どもは考えております。
また、標準報酬の問題にいたしましても、給与ベースの上りました今日、その引き上げは適当なものと考えておるのでございまするが、今日、三千円の最低の低額所得者の現存しておる現状といたしましては、修正案のごとく、三千円を据え置くということが適当と私どもは考えておるのであります。被保険者の一部負担の増額につきましては、先ほど触れたところでございまするけれども、受診率の低下とか、あるいは受益者負担というような精神のほかに、さらに私どもは、ぜひとも一部負担をさすべきと考えておりまするが、この問題につきまして、ただ問題になりますのは、(「その問題だよ」と呼ぶ者あり)ただ額が、社会的評価の上から申しまして、被保険者の非常なる負担にならないように注意しなければならぬことは当然でございます。今回の修正案によりまするというと、初診の場合に、一回だけ百円までの診療費を負担するということと、入院の場合に、一カ月だけ一日三十円を負担するというのでございまして、それは、現今の経済的な社会評価から見まして、私どもは、さほど被保険者を重い負担に追い込むものではないと考えておるのでございますがしかしながら、この場合に、特殊な場合でございまして、なおかつ、これらの負担をも負うことができないような方々がございますならば、これには、ちゃんと生活保護法という制度が待っておるのでございます。従いまして、これらの者につきましては、生活保護法に依存すべきものと考えておるのであります。従いまして、この一部負担につきましては、ただいま提案せられました修正案に賛成するものでございまするし、なおかつ、その運営を十分考えまして、その実施の時期を七月一日に延期するということにつきましても、私どもは全く適当な措置と考えておるのであります。
先ほど問題になりました医療機関の指定ということは、在来におきましても、医療担当者の個人を指定した場合、あるいは現実の面において、事実上機関を指定せざるを得ない場合があったのでありまして、それらの混乱さは、ときにはいろいろな物議をかもしてきたのであります。従いまして、筋といたしましては、医療機関を指定するということが最も機宜を得た措置でありまして医療機関を指定するという以上は、その医療担当者の終身の登録をするということも当然であると考えておるのであります。しかしながら、その場合、その指定のやり方あるいは担当者に対する再登録の問題等について、これらが非民主的に行われるということについて、私どもは重大なる関心を持っておるのでありまして、これがもし政府の考えといたしまして、地域指定、あるいは定員制、あるいはいろいろな特殊な規格を要請されるというようなことは、あるいは指定の場合に、特別に官僚統制のようなきらいがあるということについて、十分なる警戒を要するのでありまして、その点につきましては、質疑応答の上において十分私どもは了解することができた。ただ問題は三年の期限ごとに、繁雑な手続をもって、再指定を受けるということは問題でありまして、これは実際におきまして医療担当者の非常な苦痛であります。従いまして、この点を簡素化いたしました今回の修正案に対しまして、賛成の意を表するわけであります。
医療担当者の指導監督につきましても、保険運営上から申しまして、指導監督は厳正であるべきが当然でありまして、これをことさら、指導監督というものが非常にやわらかであっていやという理屈は何らないのであります。ただ、私ども為政者といたしましては、これが民主的に行われるということが非常な必要なことであるし、また、医療の特殊性を十分に考慮して行われなければならぬという点であります。指導監督ということが正しく行われるということについては異議がないはずであります。これが民主的に行われるということについて、十分なる考えを持たなければならぬと思うのでございまして、これらの点につきましても、数回にわたるところの質疑において明らかなるところでありまして、これらの点につきましては、私ども十分に了解をし得ると考えておるのでございます。これらの問題に関しまして、法律上さらにいろいろ問題がありますが、笑いこれを実現いたしますためには、……(発言する者多し)
松
榊
榊原亨#27
○榊原亨君(続) 将来におきましても、国民皆保険の実現に向いまして、さらに基礎的ないろいろな措置を要することは、先ほど申し上げた通りでございまするが、大体重要なるものは四つに要約することができると思うのであります。
その第一は、国庫負担の定率化という問題、第二は、先ほど木下君が申されましたように、短期疾患に対するところの治療について、健康保険が主としてこれを扱っておりまするが、長期疾患に対しましては、たとえば、結核、精神病あるいは老人病というようなものに対しましては、在来、健康保険の医療の対象となることが少かったのでございまするが、今日においては、これらの問題が非常な勢いにおきまして健康保険の治療の対象になってきた。従いまして、これらにつきましては、将来十分なる考慮を払いまして、長期の疾患と短期の疾患に対するところの処置の(「問題か」と呼ぶ者あり)あり方について、さらに検討を要するのであります。第三の問題につきましては、医師の診療報酬についてでありまするが、この診療報酬につきましては、現在、公的医療機関におきましても、私的医療機関におきましても赤字でありまして、この赤字を解消いたしますためには、たとえば点数・単価の問題、あるいは支払い方式の問題、あるいは地域差一技術差、医療融資の問題、あるいは課税の問題等につきましても、相当なる考慮を払うべきであります。これらは、国民皆保険の前提をなすところの一つの措置と考えておるのであります。第四は、医療担当者の団体に対するところの法制化の問題であります。笑い問題々々と言うて、いろいろお笑いになりますけれども、これらの四つのことにつきましては、将来、当局においても、私ども自由民主党においても、十分なる決意をもってこれに対処しなければならぬと考えておるのであります。
健康保険が、わが国に実施せられまして三十余年、ここに発展的再編成をする時期がきたのでありまして、この法案の成立によりまして、三十一年度におけるところの三十億円の繰り入れとともに、国民皆保険の実施への第一歩を踏み入れたわけであります。前途は決して容易なものではありませんが、さらに自由民主党は、万難を排してこれが実現のために万全の準備をいたす決意を持っております。
願わくは、保険者、医療担当者、事業主、被保険者一体となりまして協力していただき、一日も早く国民皆保険の日のくるのを熱望いたしまして、私の賛成討論といたす次第であります。拍手
この発言だけを見る →その第一は、国庫負担の定率化という問題、第二は、先ほど木下君が申されましたように、短期疾患に対するところの治療について、健康保険が主としてこれを扱っておりまするが、長期疾患に対しましては、たとえば、結核、精神病あるいは老人病というようなものに対しましては、在来、健康保険の医療の対象となることが少かったのでございまするが、今日においては、これらの問題が非常な勢いにおきまして健康保険の治療の対象になってきた。従いまして、これらにつきましては、将来十分なる考慮を払いまして、長期の疾患と短期の疾患に対するところの処置の(「問題か」と呼ぶ者あり)あり方について、さらに検討を要するのであります。第三の問題につきましては、医師の診療報酬についてでありまするが、この診療報酬につきましては、現在、公的医療機関におきましても、私的医療機関におきましても赤字でありまして、この赤字を解消いたしますためには、たとえば点数・単価の問題、あるいは支払い方式の問題、あるいは地域差一技術差、医療融資の問題、あるいは課税の問題等につきましても、相当なる考慮を払うべきであります。これらは、国民皆保険の前提をなすところの一つの措置と考えておるのであります。第四は、医療担当者の団体に対するところの法制化の問題であります。笑い問題々々と言うて、いろいろお笑いになりますけれども、これらの四つのことにつきましては、将来、当局においても、私ども自由民主党においても、十分なる決意をもってこれに対処しなければならぬと考えておるのであります。
健康保険が、わが国に実施せられまして三十余年、ここに発展的再編成をする時期がきたのでありまして、この法案の成立によりまして、三十一年度におけるところの三十億円の繰り入れとともに、国民皆保険の実施への第一歩を踏み入れたわけであります。前途は決して容易なものではありませんが、さらに自由民主党は、万難を排してこれが実現のために万全の準備をいたす決意を持っております。
願わくは、保険者、医療担当者、事業主、被保険者一体となりまして協力していただき、一日も早く国民皆保険の日のくるのを熱望いたしまして、私の賛成討論といたす次第であります。拍手
松
竹
竹中恒夫#29
○竹中恒夫君 ただいま提案されました三件につきまして、無所属クラブを代表して、絶対反対の討論を申し上げたいと存じます。拍手
提案の理由が、保健財政の再建と制度の合理化ということになっておりまするが、その提案理由と内容とを比較いたしまするというと、全く羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいでございます。政府当局は、以前から赤字対策として考えておりましたその内容を、今日直ちに根本対策といたしておりまするが、明らかにこれは社会保障制度の後退でございまして、被保険者への経済的なるしわ寄せと、医療担当者に対しまする精神的な圧迫であって、官僚医療統制の復元であると言ってあえて過言でないのでございます。今こうした諸点について反対点に触れてみたいと思います。
第一に、原案は、十人の人が見、十指の指さす通り、最も重要なるところの結核対策が欠如いたしております。健康保険の赤字の原因が、総医療費の三分の一以上に上回っておりまするところのこの結核問題を取り上げずして、どうして根本的な対策と言い得るでありましょうか。社会保障制度審議会並びに社会保険審議会等、官製のこうした審議会においてすら、健康保険の根本対策は結核問題であるということを提言し、すみやかにこれが解決策を勧告いたしておるのであります。世に爬羅剔抉という言葉がございまするが、健康保険制度の中から結核を取り出すことこそ、根本対策の第一になすべき施策であるということを、重ねて私はここに申し上げたいと思うのでございます。長期疾患の結核を短期保険で解決するということは、あたかも木によって魚を求めるのたぐいでございまして、むしろ当局は、結核予防法の財源の貧困を、健康保険に転嫁せんとするがごとき観さえするのでございます。
第二の反対の理由は、国庫の定率負担がなされておらないことであります。先年の国会においても定率負担が論議され、付帯決議において、このことがコンクリートされたと一聞いております。当局の言われるがごとく、真に制度の合理化をはからんとするなれば、年々の医療費の総額に正比例する定率負担こそ望ましいものでありまして、これこそ国の責任を明確になし得るゆえんであるのでございます。かかる見地からいたしまして、すでに国民健康保険を初め、日雇あるいは労災等、すべてに定率が行われておる今日、ひとり健保のみが定率を採用し得ない理由は絶対にございません。そもそも国庫の負担の真の要因は、国民の所得の頭打ちと文化水準とのギャップ、この、ギャップは、ますますひどくなってくるのでございまして、この国民所得の頭打ち、低賃金所得の頭打ちと文化水準、すなわち医療水準の向上とのギャップは、どうしても国庫負担によらざれば解決し得ない問題でございます。拍手この意味合いにおきましても、私は国庫負担が定率でなければならない、かように存ずるのでございます。
第三点は、被保険者へのゆえなきしわ寄せでございます。経済的加重でございます。被保険者の範囲を縮小し、縮小されて制度のらち外に放り出されたその気の毒な人を、一体どう取り扱うのか。私は、国民皆保険を唱えながら、せっかく医療保険のワク内にありまするそうした方々を、今らち外にほうり出すということは、国民皆保険の理論と全く矛盾するものでございます。これこそ全く笑止というべき、ナンセンスでございます。また同じくしわ寄せの一つといたしまして、継続受給資格の獲得の期間の延長等もせられております。特に見逃すことのできないのは、一部負担の大幅の増額でございます。先ほど一部負担を受益者負担のごとき論がなされました。私は全く奇異に感じます。制度を利用する者が受益者である、病気になった場合に医療保険を利用する者が受益者であるという考え方が根底にあることが、私はこの改正案に対しまする反対の最大の点でございます。少くとも医療保険というものは、一たん病気になった場合に、肉体的な苦痛がある、精神的な苦痛がある、せめては経済的な苦痛だけは、お互いに相互共済の精神で、ふだん保険料をかけておることによって、精神的な、あるいは肉体的な苦痛は避けられなくても、経済負担だけは何とか避けようというのが健康保険のあり方でございます。もし受益者負担であるとするならば、私はあえてお尋ねいたしたい。失業保険において失業給付金を受ける場合に、この制度を利用するからといって、給付金のうちから一部負担を逆に取るような考え方は成り立ちましょうか。健康保険は、失業保険と同じでございまして、要は、勤労階級の経済の援助でございます。ただ手段が医療を通じて経済負担を軽減するというのが医療保険でございます。してみれば、失業保険と何ら変るところはないのでございまして、この見地からして、一部負担の理論は成りたちません。
第四の反対の理由は、当局の検査権の拡大でございます。単なる保険行政を行い、これが給付状況を検査し調査いたしまするのに、憲法の精神を乗り越えて、黙秘権を認めない、立ち入り権を行使する、こういう必要がどこにあるでしょうか。これこそ医療の官僚統制への布石であり、強化であると言わなければならないのであります。まさに憲兵政治の復活でございます。拍手十万医療担当者が激憤し、盗人扱いされる改正案に対しまして医療担当者が必死の抵抗をなしまするのも、ゆえなしとしないわけでございます。果して医療担当者が、世にいわれるがごとき水増し請求、不正請求がなされたか、私はここに数字をもって解明いたしまして、世の誤解を一掃いたしたいと存じます。
昭和二十九年の政府所管の健康保険におきまして、取扱い件数が四千百二十四万件、この取扱い件数に対しまして、不正によって処分されたものが二千三百七十件、まさに〇・〇〇〇〇六%、千万分の六でございます。金額を申しますれば、三百八十二億円のうち不正の請求が百九十万円、一千万分の五でございます。百九十万円の不正を取り締るために、今回のごとき施策を必要とされるならば、一人の汚職官吏が一億円というあの膨大な金を、きわめて容易に費消し横領し得るがごとき官庁機構に対しまするところの監督権に、いかような監督規則があるでしょうか。拍手私は医療担当者の監督の強化よりは、むしろ官庁の峻厳なる取締り規則の制定を要望してやまないものでございます。拍手取り締る側の官吏の汚職は三年間に二万数千件、一日二十数件の汚職事件があるということでございます。して見れば取り締る官吏の方々の不正の率と医師の一千万分の六とをお考え下さい。どろぼうが巡査を取り締っておるような結果でございます。拍手私は、こういう意味合いにおきまして、今回の改正案は、被保険者にしわ寄せをし、医療担当者に精神的な圧迫を加えたものでございます。政府は申しました。赤字経済である、何とか三者がお互いに犠牲を払おう、三者共泣きしようと言われた。被保険者は三年前に保険料率を上げられて、年三二十五億円の保険料の増額を来たしております。しかして今回また一部負担金の増徴によって、この改正案が通りまするならば、ゆえなくして年々五十億円以上増徴される。医療担当者は、すでに昭和二十六年以来、低単価でもって泣き続けております。被保険者が泣き、医療担当者が泣いて、もう出る涙もございません。このときに泣き得るものは政府でございます。この国庫負担によって、この社会保険を推進することこそ、最も責任政治を痛感するところの政治家のなすべき義務でございます。
私は時間がありませんので、はなはだ遺憾でございますが、以上、反対の要点を抄論いたしまして、反対討論といたします。拍手
この発言だけを見る →提案の理由が、保健財政の再建と制度の合理化ということになっておりまするが、その提案理由と内容とを比較いたしまするというと、全く羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいでございます。政府当局は、以前から赤字対策として考えておりましたその内容を、今日直ちに根本対策といたしておりまするが、明らかにこれは社会保障制度の後退でございまして、被保険者への経済的なるしわ寄せと、医療担当者に対しまする精神的な圧迫であって、官僚医療統制の復元であると言ってあえて過言でないのでございます。今こうした諸点について反対点に触れてみたいと思います。
第一に、原案は、十人の人が見、十指の指さす通り、最も重要なるところの結核対策が欠如いたしております。健康保険の赤字の原因が、総医療費の三分の一以上に上回っておりまするところのこの結核問題を取り上げずして、どうして根本的な対策と言い得るでありましょうか。社会保障制度審議会並びに社会保険審議会等、官製のこうした審議会においてすら、健康保険の根本対策は結核問題であるということを提言し、すみやかにこれが解決策を勧告いたしておるのであります。世に爬羅剔抉という言葉がございまするが、健康保険制度の中から結核を取り出すことこそ、根本対策の第一になすべき施策であるということを、重ねて私はここに申し上げたいと思うのでございます。長期疾患の結核を短期保険で解決するということは、あたかも木によって魚を求めるのたぐいでございまして、むしろ当局は、結核予防法の財源の貧困を、健康保険に転嫁せんとするがごとき観さえするのでございます。
第二の反対の理由は、国庫の定率負担がなされておらないことであります。先年の国会においても定率負担が論議され、付帯決議において、このことがコンクリートされたと一聞いております。当局の言われるがごとく、真に制度の合理化をはからんとするなれば、年々の医療費の総額に正比例する定率負担こそ望ましいものでありまして、これこそ国の責任を明確になし得るゆえんであるのでございます。かかる見地からいたしまして、すでに国民健康保険を初め、日雇あるいは労災等、すべてに定率が行われておる今日、ひとり健保のみが定率を採用し得ない理由は絶対にございません。そもそも国庫の負担の真の要因は、国民の所得の頭打ちと文化水準とのギャップ、この、ギャップは、ますますひどくなってくるのでございまして、この国民所得の頭打ち、低賃金所得の頭打ちと文化水準、すなわち医療水準の向上とのギャップは、どうしても国庫負担によらざれば解決し得ない問題でございます。拍手この意味合いにおきましても、私は国庫負担が定率でなければならない、かように存ずるのでございます。
第三点は、被保険者へのゆえなきしわ寄せでございます。経済的加重でございます。被保険者の範囲を縮小し、縮小されて制度のらち外に放り出されたその気の毒な人を、一体どう取り扱うのか。私は、国民皆保険を唱えながら、せっかく医療保険のワク内にありまするそうした方々を、今らち外にほうり出すということは、国民皆保険の理論と全く矛盾するものでございます。これこそ全く笑止というべき、ナンセンスでございます。また同じくしわ寄せの一つといたしまして、継続受給資格の獲得の期間の延長等もせられております。特に見逃すことのできないのは、一部負担の大幅の増額でございます。先ほど一部負担を受益者負担のごとき論がなされました。私は全く奇異に感じます。制度を利用する者が受益者である、病気になった場合に医療保険を利用する者が受益者であるという考え方が根底にあることが、私はこの改正案に対しまする反対の最大の点でございます。少くとも医療保険というものは、一たん病気になった場合に、肉体的な苦痛がある、精神的な苦痛がある、せめては経済的な苦痛だけは、お互いに相互共済の精神で、ふだん保険料をかけておることによって、精神的な、あるいは肉体的な苦痛は避けられなくても、経済負担だけは何とか避けようというのが健康保険のあり方でございます。もし受益者負担であるとするならば、私はあえてお尋ねいたしたい。失業保険において失業給付金を受ける場合に、この制度を利用するからといって、給付金のうちから一部負担を逆に取るような考え方は成り立ちましょうか。健康保険は、失業保険と同じでございまして、要は、勤労階級の経済の援助でございます。ただ手段が医療を通じて経済負担を軽減するというのが医療保険でございます。してみれば、失業保険と何ら変るところはないのでございまして、この見地からして、一部負担の理論は成りたちません。
第四の反対の理由は、当局の検査権の拡大でございます。単なる保険行政を行い、これが給付状況を検査し調査いたしまするのに、憲法の精神を乗り越えて、黙秘権を認めない、立ち入り権を行使する、こういう必要がどこにあるでしょうか。これこそ医療の官僚統制への布石であり、強化であると言わなければならないのであります。まさに憲兵政治の復活でございます。拍手十万医療担当者が激憤し、盗人扱いされる改正案に対しまして医療担当者が必死の抵抗をなしまするのも、ゆえなしとしないわけでございます。果して医療担当者が、世にいわれるがごとき水増し請求、不正請求がなされたか、私はここに数字をもって解明いたしまして、世の誤解を一掃いたしたいと存じます。
昭和二十九年の政府所管の健康保険におきまして、取扱い件数が四千百二十四万件、この取扱い件数に対しまして、不正によって処分されたものが二千三百七十件、まさに〇・〇〇〇〇六%、千万分の六でございます。金額を申しますれば、三百八十二億円のうち不正の請求が百九十万円、一千万分の五でございます。百九十万円の不正を取り締るために、今回のごとき施策を必要とされるならば、一人の汚職官吏が一億円というあの膨大な金を、きわめて容易に費消し横領し得るがごとき官庁機構に対しまするところの監督権に、いかような監督規則があるでしょうか。拍手私は医療担当者の監督の強化よりは、むしろ官庁の峻厳なる取締り規則の制定を要望してやまないものでございます。拍手取り締る側の官吏の汚職は三年間に二万数千件、一日二十数件の汚職事件があるということでございます。して見れば取り締る官吏の方々の不正の率と医師の一千万分の六とをお考え下さい。どろぼうが巡査を取り締っておるような結果でございます。拍手私は、こういう意味合いにおきまして、今回の改正案は、被保険者にしわ寄せをし、医療担当者に精神的な圧迫を加えたものでございます。政府は申しました。赤字経済である、何とか三者がお互いに犠牲を払おう、三者共泣きしようと言われた。被保険者は三年前に保険料率を上げられて、年三二十五億円の保険料の増額を来たしております。しかして今回また一部負担金の増徴によって、この改正案が通りまするならば、ゆえなくして年々五十億円以上増徴される。医療担当者は、すでに昭和二十六年以来、低単価でもって泣き続けております。被保険者が泣き、医療担当者が泣いて、もう出る涙もございません。このときに泣き得るものは政府でございます。この国庫負担によって、この社会保険を推進することこそ、最も責任政治を痛感するところの政治家のなすべき義務でございます。
私は時間がありませんので、はなはだ遺憾でございますが、以上、反対の要点を抄論いたしまして、反対討論といたします。拍手