内閣委員会

1959-04-07 衆議院 全75発言

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会議録情報#0
昭和三十四年四月七日(火曜日)
    午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 内海 安吉君
   理事 岡崎 英城君 理事 高橋 禎一君
   理事 平井 義一君 理事 飛鳥田一雄君
      綾部健太郎君    今松 治郎君
      植木庚子郎君    鹿野 彦吉君
      木倉和一郎君    小林 絹治君
      佐々木盛雄君    坂田 英一君
      始関 伊平君    綱島 正興君
      濱地 文平君    船田  中君
      保科善四郎君   茜ケ久保重光君
      石山 權作君    柏  正男君
      高田 富之君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 三浦 一雄君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長兼内閣総
        理大臣官房審議
        室長      吉田 信邦君
        総理府総務長官 松野 頼三君
        総理府総務副長
        官       佐藤 朝生君
        農林事務官
        (大臣官房長) 斎藤  誠君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 三郎君
    —————————————
四月四日
 委員田中龍夫君辞任につき、その補欠として薄
 田美朝君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員薄田美朝君辞任につき、その補欠として田
 中龍夫君が議長の指名で委員に選任された。
    —————————————
同月七日
 委員小金義照君、纐纈彌三君、始関伊平君、田
 中龍夫君、田村元君、高橋等君、富田健治君、
 橋本正之君及び西尾末廣君辞任につき、その補
 欠として坂田英一君、佐々木盛雄君、濱地文平
 君、綱島正興君、鹿野彦吉君、木倉和一郎君、
 小林絹治君、綾部健太郎君及び高田富之君が議
 長の指名で委員に選任された。
    —————————————
四月六日
 恩給法の一部を改正する法律案の一部修正に関
 する請願(茜ケ久保重光君紹介)(第三二九〇
 号)
 召集旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願
 外十三件(五十嵐吉藏君紹介)(第三二九一
 号)
 同(江崎真澄君紹介)(第三三一五号)
 同(江崎真澄君紹介)(第三三二四号)
 同(千葉三郎君紹介)(第三三二五号)
 同(江崎真澄君紹介)(第三三三八号)
 同(川崎末五郎君紹介)(第三三三九号)
 同(塚原俊郎君紹介)(第三三四〇号)
 建設省職員の定数改正に関する請願(増田甲子
 七君紹介)(第三二九二号)
 同(山口好一君紹介)(第三三一六号)
 同(塚原俊郎君紹介)(第二三四一号)
 建国記念日制定に関する請願外一件(八木一郎
 君紹介)(第三二九三号)
 労働省定員外職員の定員化に関する請願(辻寛
 一君紹介)(第三三二六号)
 寒冷地手当増額に関する請願外七件(井出一太
 郎君紹介)(第三三三七号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 農地被買収者問題調査会設置法案(内閣提出第
 一六一号)
 恩給及び法制一般に関する件
     ————◇—————
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内海安吉#1
○内海委員長 これより会議を開きます。
 農地被買収者問題調査会設置法案を議題とし、質疑を許します。茜ケ久保重光君。
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茜ケ久保重光#2
○茜ケ久保委員 農地被買収者問題調査会でありますが、政府の提案を聞いておりますと、今非常に問題になっております旧地主諸君の団体としまして農地解放による被買収農地の国家補償を要求しておる。これはいろいろな問題を含んでおりますが、もちろん中には旧地主の諸君に対して同情すべきものもないとは言えません。けれども旧地主諸君が主張するように、国がこれを莫大な費用を投じて補償しなくちゃならぬという理由も絶対容認できない点があるのです。この法案を見てみますと、政府の提案理由によると、何か非常に苦しい理由をつけておられるようでありますが、やはり何と申しましても、これは旧地主連盟の諸君の強い要求に政府が負けて、何らかの面子を立てなくちゃならぬといったようなにおいがないとは言えないのです。それで逐次御質問申し上げますが、この法案の提案理由にありますように、決して補償するのではない。補償するのではないが、社会的ないろいろな問題等もあるようであるから、そういったものを調査研究するのだということでございますが、総務長官は良心的な方でありますので、おそらくかなり人間的な苦しみをお持ちになっているのではないかと思うのですが、一つこの点に対して政府当局のもっと詳しい御説明を冒頭にお伺いしたいと思います。あるいは自民党の委員の諸君に対してお答えがあったかも存じませんが、社会党としては今日初めての質問でありますので、なるべく詳しくこの法案提出までのいきさつを御説明願いたい、こう思います。
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松野頼三#3
○松野政府委員 被買収者問題調査会の提案理由は、先般提案理由の内容で御説明申し上げました通りでございます。なおこの問題は、あえてわが党のいわゆる地主団体に関する問題ということにあらずして、これは多年懸案になっておる問題でございまして、ことに農地改革を基本的に改正しようとか、そういう意味の審議会ではございません。被買収者のその後の農村における社会的問題が今日でも多数潜在しておりますので、その問題を中心に審議するのが目標でありまして、農地法の是非を議論したり、あるいはかっての農地改革そのものを議論するという意味の調査会にあらずして、その後における社会的問題が農村に潜在しておりますので、この問題を調査審議するのがこの法案提案の理由でありまして、旧地主団体のためにというわけではございません。農村そのものの中にこういう問題が多数ございますので、それを一つ明らかにして、今後不安なきようにしたいという意味の調査でございますので、さよう御承知をお願いいたしておるのであります。
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茜ケ久保重光#4
○茜ケ久保委員 総務長官の御答弁のような趣旨なら、これは何も今さら被買収農地問題の調査会などというものをお作りにならぬでも調査できます。政府のいろいろな機関がございますから、これは私はできると思うのです。特に農地を買収された諸君のその後の社会的な状態の調査が、こういったものを作らなければできないはずはありません。それができぬような政府なら、政府の責任は遂行できませんよ。今さら被買収農地から起った問題について、わざわざこういう総理大臣の諮問機関としての調査機関を作る必要はどこにありますか。少くとも内閣調査室もあるし、いろいろな機関があるはずです。潜在と申しますが、これを二年間もかかって徹底的に調査しなければならぬような問題はないはずです。ただ一部の旧地主諸君で貧困にあえいでいる者もあることは事実です。そういった問題は今さらこんな機関を
お作りにならぬでもちゃんとわかっておるはずです。こういう実態の中で、ここにわざわざこういう名目をつけて、社会的な副次的な問題の研究をするとおっしゃること自体の中に、私は非常におかしいものがあると思う。それならもっとはっきり、さっき指摘したように旧地主諸君の要望があるから、どういう実態かそのことを調査して、補償するかしないかきめるとおっしゃるならまだ話はわかる。補償はしないのだ、あるいは農地法の改革はしないのだ、こうおっしゃっておりながら、ただ単に農地を失った旧地主の諸君がどんな社会的条件にあるかということを調査して何かするということは、私は今さらおかしいと思うのです。これはそんなことをおっしゃっても一般は認めません。そう言っても総務長官としても政府を代表してここで答弁される以上はそれ以上のことはおっしゃられないかもしらぬけれども、これは一般は認めません。そうなれば敗戦によって日本の社会はあらゆる意味で変革しておる。これは農地だけではありませんよ。もっと深刻な問題がある。農地は一応自分の持っていた財産がなくなっている。しかし全国的に戦災その他によって非常な失ったものもあるし、また非常な悲惨な目にあっている者もある。そういった者は全然放擲しておいて、ただ単に旧地主の農地を失った者だけについてそういう特殊な機関を作ってやることは私はいかにも論理的にも実際的にもおかしいのじゃないかと思うが、こういう点に対してはどういうふうなお考えですか。
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松野頼三#5
○松野政府委員 終戦以来今日まで、もちろん農地の問題に関する旧被買収者の問題というのはずいぶん出ておりました。もちろん遺家族の問題、あるいは戦災の問題、あるいは引揚者の問題、順次大きな問題もございまして、そのつどその問題についての研究、調査、結論を得ておりますが、被買収者の問題はそのまま放置された期間も相当長く、しかもその構造人員も多く、しかも農村という特殊な条件のもとに放置されておるために、その問題もおのずから相当政治的にも社会的にも問題が多いものでありますから、この際やはり調査会を設置することは妥当な時期だと考えて私の方は提案をいたしたわけで、いろいろな問題もございましょう。ただ厚生省のいわゆる貧苦のことだけを調査いたしますならば、御承知のごとく政府の厚生省の所管事項の中にございますから、それで調査は十分でございましょうが、この調査会はそういう貧乏だどうだという問題を調査するにあらずして、被買収者のその後十数年の間における社会的問題を調査するのが目標でございますので、ただ各省にあります調査だけでは、まだこの問題の解決に資するわけには参りません。従って総理府に設置して、社会的総合的問題を調査するのがこの趣旨でございます。
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茜ケ久保重光#6
○茜ケ久保委員 それは幾らでも御説明はできましょう。できましょうけれども、私はやはりこの根を洗ってみれば、被買収者農地の補償ということがからまざるを得ないと思う。またそうでなければ、もし調査をなさってみても、これは意味がないと思うのです。あるいは農地改革の結果がこういう欠陥があるから、この農地法をこういうふうに変えるということでもあればまた意味はございます。旧地主の社会的の実態というものを調査して、こういう欠陥があるから農地法はこういうふうに変えるということであればまた意味がある。さらにまたこれはあまりにもひど過ぎる。いわゆる買収した当時のことは別としても、一応自分が持っておった農地を法律なり国の施策によって手放したために、旧地主諸君が社会的に見てもあまりにも悲惨な状態にある。これはいかぬ。買収当時の値段とかあるいは処置とかは別として、やはりこれは社会的な意味において救済しなければならぬということで、何らかの補償をされるということならまだ意味があります。農地法を改革することがいい悪いは別として、また補償することがいい悪いは別にして、そういうことなら調査会を設置されて、今までにできなかった面の御調査をなさることも私は意味があると思う。しかしこれを見ますと、補償はしないのだ、農地法は変えないのだ、こうおっしゃっておる。何を調査して何をなさろうとするか。調査する目標もわかりませんし、調査した結論を出して何をするかもわかっていない。ただ単に目的のない調査はあり得ないと思う。何かそこに目的があるから調査なさる。その調査は全然ここには出ていない。どんな調査会でも、内閣総理大臣が諮問する機関として設置される場合には、ちゃんとした目標があり、目的があるはずだ。その目的に向って調査をする。補償もしないのだ、農地法も変えないのだ、ただ社会的な問題に対してもっと検討するのだ。検討した結果どうなさる。目的のない調査は私はおかしいと思う。その点はどうですか。
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松野頼三#7
○松野政府委員 農地改革によって相当大きな変動がございましたから、日本の農村における社会的問題として今日大きな問題が残っておりますので、それを調査するのでありまして、目的は被買収者の今日農村における社会的な問題の調査でございます。その結論はどうなるかということは、調査会の結論を待たなければ、私が今日こういう方向だという前もってレールを敷くわけには参りません。今日だれが考えましても、被買収者に関する社会問題が農村にあることは事実でありますから、その問題が調査の対象になるわけでございます。
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茜ケ久保重光#8
○茜ケ久保委員 松野総務長官ともあろう人が、そういう答弁でよろしいのですか。聡明なる松野総務長官の答弁とも伺えません。今の答弁はなっておりませんよ。ただ単に社会的な問題になっておるからこれを調査するという、そんな答弁がございますか。それは私はおかしいと思う。その調査をした結果、たとえば社会問題になっておるものを調査する、その結果被買収者が非常な貧困状態にあって、これではあまり気の毒だから、何らかの処置をしようじゃないかということが出てくる。また農地法が非常に矛盾があるから、これを変えるということが出てくるかもしれない。私は結論は二つあると思う。一つは被買収農家が非常に貧困にあえいでおる、これは農地を強制買収した結果であるということ、一つは農地法に欠陥があるということが出てくる。ところがこの調査会法案を見ますと、はっきり補償はしないのだ、農地法とは別だとおっしゃっておられる。今あなたがおっしゃったように社会問題になっておるとするなら、その調査の結論は何かということになる。その二つをのければ私はないと思う。それなら厚生省なり農林省等で統計も出ておるし、いろいろな点でわかっておる。もう十数年もなるのに、農地を買収された旧地主諸君がどうなっておるかがわからぬようなことだったら、これは政府の責任ですよ。十数年ほったらかしておいて、知らぬ顔しておったというなら、これは政府の責任だ。今ごろからこんな調査会を作って調査をしなければわからぬようなことでは、政府は怠慢きわまりない、こういうことを私は感じる。国民も感じておる。従って今聡明な松野長官の答弁でありますけれども、私はやはりあなたの今の答弁ではその点については納得できない。もっと端的な答弁をなさる必要があります。
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松野頼三#9
○松野政府委員 調査会の法案ですから、結論はどうかということを私はここで即断するわけには参りません。ただ私がただいまの御質問にお答えできることは、農地法そのものに触れることなく、しかも過去の補償をやり直すような、そういう場面の補償はしない。この前提のもとに何らかの対策というものがまた別に考えられるという結論が出ますならば、それは当然その結論に従うつもりであって、全然結論がないではないかという御質問には、私はまだ御賛成いたしかねます。ただいまの二つの問題、すなわち農地法を新たにいじくるにあらざること、第二番目には、最高裁の決定もございますので、過去の補償が不正だとか、あるいは修正だとかいう意味にあらざる問題、その二つの問題は明確にしておきますが、そのほかに何らか社会的問題に対する対策あるいは救済的措置という結論が出て参りますならば、それはおのずからその調査会の結論を尊重するという意味でありまして、その二つを抜きにすれば全然結論がないではないかという御議論に、私はこの提案者としては賛成いたしかねます。その前提が二つありまして、なおかつ結論というのが出てくる問題が私たちはあると思う。その意味において衆知を集めて調査会を作ることが妥当だという意味でありまして、それで農林省所管にあらず、厚生省所管にあらず、大蔵省所管にあらず、総理府に持ってきたというのは、そういう幅の広い意味における調査をいたしたいという趣旨でありますので、どうかこの意味をよく善意で御了解願いたいと思います。
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茜ケ久保重光#10
○茜ケ久保委員 それではお尋ねしますが、この調査会の結果がどうあろうとも、農地法の改正と、いわゆる被買収地主に対しての補償は絶対にしないという政府の決意であるかどうか、この点を一つお聞きしておきたい。
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松野頼三#11
○松野政府委員 過去における農地改革に対する補償を再び修正するとか、あるいは過去にさかのぼるというような意味の補償、断じてこの調査会に諮問をいたすつもりはございません。今日すでに十数年を経た農地改革によりまして、今日の農地法ができ、その現存の農地法に対して、この調査会というものに対して諮問をいたす気持はございません。せっかく生産性が上りつつある日本の農地というものをたびたび変動させることは、政府としてはとらざる点であります。ただそれ以外に、改革によって、大きな変動によりまして、今日農村における社会問題というものが現存することは、私は被買収者のみならず、農村の中における大きな社会問題だと存じます。その二つの前提のもとにこの調査会というものの結論を期待するのでありまして、従ってその意味はよくおわかりのことでございましょうから、一つ善意に御解釈を願いたいと思います。
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茜ケ久保重光#12
○茜ケ久保委員 関連して農林大臣にお尋ねいたしますが、あなたは農林大臣として、今総務長官が盛んに力説されるような、いわゆる敗戦後の農地改革によって、被買収農家を中心にいろいろな問題が起っておるということをおっしゃっておるのですが、農村にそういういわゆる旧地主を中心に社会的な問題があるということであれば、あなたは当然農村の最高指導者として、かつての地主が農地を買収された結果として、現在農村にどういう社会問題が起っておるか、これは御承知になっておるはずです。今総務長官が答弁されたような、いわゆる社会問題がどのような形でどういうふうに起っておるか、あなたの見解を承わりたい。
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三浦一雄#13
○三浦国務大臣 この問題はただ単に表面に出ました問題をそう軽々に扱うわけにいかぬと思います。私はそういう面をもちまして、農政の面にくる面はいろいろの施策はあろうと思いますが、その他の問題、すなわち総務長官がるる申し上げたような現象等があるのですから、それを正確に把握して、先ほど言うた二原則と申しますか、それらには触れなくても、他に何らかの考え方なりあるいは方策がありゃなしや、こういうことでございますので、私はこの問題はその線に沿うて扱うことが至当だと考えております。
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茜ケ久保重光#14
○茜ケ久保委員 答弁が違いますよ。私が質問しているのはそんなことじゃありません。現在総務長官が指摘されているのは、旧地主を中心に農村に大へんな社会問題が起っているということです。その社会問題とはどんなものだとあなたは把握しているか。あなたは農林大臣として当然日本の農村の実態は握っているはずなんです。その握っている中で、旧地主の諸君を中心に農村にどういう社会問題が起っているか、その起っている実態をおっしゃいというのですよ。そんなあなたに総務長官と同じ答弁を聞いているのじゃない。あなたに農林大臣としての責任において、どんな社会問題が起っているか、その社会問題の実態を聞きたいというのです。
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三浦一雄#15
○三浦国務大臣 これは断片的な事象をもってして判断すべきものではないと思います。従いまして農林省としましては、個々の現象的な問題はありますけれども、これを総合的にあらゆる面からどういうふうにすべきかということのお尋ねがありますけれども、その問題につきましては、調査会をもってなお周到なる調査を待たなければ、われわれは適切な資料は持たぬというのが現状だろうと思います。
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茜ケ久保重光#16
○茜ケ久保委員 あなたは何を聞いているの、質問を。私は対策を聞いているのじゃありません。どんな現象が起っているかという現象を聞いているのですよ。総務長官がさっきから重大な社会問題があるとおっしゃるから、それを聞いているのです。総務長官の指摘する、旧地主を中心に農村には重大な社会問題が起っている、その社会問題はどういう現象が起っているかということを聞いておる。それを農林大臣のあなたは知らなくてはならぬ。その実態を聞いているのですよ。施策はあなたに聞いてはいない。
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三浦一雄#17
○三浦国務大臣 実態といいましても、これは一般的な観測であるならば、従来の地主の地位から転落して貧困に直面しておるというようなことは言えると思う。しかしここにいかような状況になり、いかような環境にあるかということは、これはやはりただ単に抽象的なお答えでは尽せないと私は思います。
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茜ケ久保重光#18
○茜ケ久保委員 一体貧困になっただけなら、社会問題はありませんよ。たとえば今おっしゃったように、旧地主が貧困になっているとしても、貧困になっているだけなら問題はない。その人だけの問題だ。社会問題だというのは、その貧困になった旧地主と、土地の解放を受けたかっての小作人とのいろいろな問題とか、あるいは村政上、村の経営上、農村の経営上、それを中心にいろいろな問題が波及して、社会的な問題となっているところに社会問題ということがある。ただ単に旧地主の農家が貧困化して貧乏になっているだけでは、社会的な問題とは言えない。それがいろいろな問題に波及して、農村経営上非常に重大な問題があるとか、あるいは部落経営上何か問題があるというところに社会問題ということがある。(「ほんとうに困っているのだ」と呼ぶ者あり)今こちらから声がありますが、困っているということはわかっている。困っている現実を調べてみてどうなりますか。補償をしなければ困っている旧地主は救われはしない。そうなりますと、今自民党の席から声があったように、泣いているのだ、困っているのだ、それならその実態をちゃんと調べて、これを泣かないようにしようじゃないか、それなら補償なんだ。どんな形にしろ、今貧乏して困っているのを調べて、泣いているから何とかしょうというなら、これは補償以外にありませんよ。補償しなければ意味ない。そんなことはわかっている。従いましてちゃんと自民党の腹の中にあるのだ。地主連盟にすがられて、それならそれではっきりおっしゃればいいのだ。もっとはっきりされてもかまわない。社会党が反対しようと、だれが反対しようと、あなた方が旧地主に対してそうした責任をお負いになるならば、私ははっきりこの法律を出したらいいと思う。自民党さんの腹にはあるのだ。三百人の大政党ですよ。堂々とお出しになればよろしい。だれが見てもわかるものをこういうふうにひねくってお出しにならぬでも、ちゃんと旧地主の諸君がこういうふうに困っているから、これに対しては地主諸君が言うような補償はできぬにしても、何とかしなくちゃならぬということを表に出したらいいので、それをなさらぬところに私どもがどうしても納得ができぬものがある。今の農林大臣のお答えを聞いておっても、私は総務長官が社会問題と指摘されるその問題に対して何ら把握をされておらぬところに、やはりこういった現象が起ると思うのです。どうです農林大臣、あなたは日本の現在の農村問題で、一番重大な問題は何とお考えになりますか。私はこういうことをなさる前に、もっと現在の日本の農村においてはほかに重大な問題があると思う。そういう問題をほうっておいて、ただ単に旧地主の貧困化している者に対してだけこんな調査会をお作りになるのは私は片手落ちだと思う。総務長官には私は先ほどからいろいろなことを申し上げたが、あなたは農林大臣だ。農林大臣ならば農村にはもっとほかに重大な問題がたくさんある。たとえば指摘すれば、この前問題になったあの繭糸価安定法によるところの三十三年度の蚕繭の処理についても、政府は三十三年の繭価は最低千二百円を保障するといっておきながら、ついに保障されなかった、こういう問題もある。これもそのままなんだ。これは八十万農家が泣いている事実なんだ。ところがこれに対してはあなたは終始ほおかぶりして、ついにああいう結果になった。酪農の問題、山林の問題を取り上げてもそうなんだ。いろいろな問題がある。そういう旧地主でなかったいわゆる一般農民の切実な要求に対してはほおかぶりされているあなたが、旧地主に対してはこのように温情あふるる調査会を作ろうとされるところに、私は矛盾があると思う。一つ農林大臣の所見を伺いたい。
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三浦一雄#19
○三浦国務大臣 農業政策上なさなければならぬ当面の重要問題でありますことはよく承知しております。従いましてわれわれは終戦後に展開しておりました農業政策の上におきましても、なお基本的な考え方をいたしたいために、さきに御審議をいただきました基本問題の調査会等の提案もいたしたわけであります。昨年来の当面の問題でありました蚕糸対策につきましてもいろいろ御非難がありますけれども、私たちはこれを切りかえて新しい態勢においてこの問題の一つの安定点を見出したいと考えております。同時にまた酪農等についても非常に御非難がありましたが、すでに昨年来の対策によって安定の態勢に動いていることは御承知の通りであります。そういうことでございますからこれはおのずから別個の問題です。同時に私は一言申し上げたいのでございますが、この農地改革は明治初年に行われました藩籍奉還にも比すべき問題だ。あの際におきましてもいろいろ処置されたことは御承知の通りです。これは私から一々あげるまでもない。しかしながらあの場合におきましてもいわば秩碌公債の増額等の請願が、帝国議会当時終始あったことも御承知の通りであります。これは当時の政府としてもとらなかった。しかしその他の諸施策等は、その当時の事態にふさわしいものも若干私はやったと思うのであります。従いまして先ほど来総務長官が仰せになりました二つの基本線はくずすわけにいかぬけれども、その間に求められるならば何らかの対策を得たいということは、今さら申し上げるまでもないのでございますから、この調査会の意義というものも決してむだではない。これによって事態を明らかにし、またそれからくる対策等もおのずから流れ出ると思うものでございますから、これに期待する、こういうことでございます。
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茜ケ久保重光#20
○茜ケ久保委員 総務長官にお尋ねいたします。あなたは先ほど来の答弁で、農地法の改正をする意思もないし、かつての買収に対して補正するとか修正するという意思もない、従いまして補償する意思もないということであります。その点に対してちょっと裏からお聞きしますが、あなたはあの農地改革というものは、日本の経済あるいは農村の経営の実態から成功したものとお考えになるか。さらにもう一点は、その際に政府が一応法によって買収したのでありますが、買収の当時の価格としては不当なものでなかったというふうにお考えになりますか。この二点について……。
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松野頼三#21
○松野政府委員 当然御承知のごとく、あの当時の価格としては妥当であったと考えます。なお今日あの改革後における農業生産性の場面は非常に生産性が上った、一部では確かに成功したのでございます。ただその急激な変化のために、ある程度社会問題がそのまま潜在的に残った事実だけは見のがすわけには参らない、こう考えております。
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茜ケ久保重光#22
○茜ケ久保委員 ただいまのあなたの答弁で明確になりましたが、国会もきょうあすで自然休会に入ります。そういう非常に早々の際に、こういう内容を持った法案を政府で無理にお通しになろうとすることは——私も今了解できる答弁にもかかわらず、そうであるならば、今まで十数年間やってきたものに対して、この国会の末期に当って早々の間に通そうとされる感じがする。たとえば終始からっぽの自民党席が、けさ来てみますともう定員一ぱいお入りになっている。いつもはおいでにならぬ議員さんがお入りになっている。今までかってこんなことはないですよ。このからっぽの委員席が社会党が来る前に超満員の状態で、いかにもこの法案は何がなんでも上げるのだといった気勢をお示しになっておる。長い国会の審議の過程からおかしいですよ。政府と自民党さんがこの法案を何がなんでもこの国会中にしゃにむに通そうとされる。私はもしもそれほど重要な法案ならば、もっと真剣な検討が必要であると思う。しかもここにきてこういう状態で通そうとされるところに、やはり世間もこの法案の裏にひそむ何かがあるのではないかということを当然考えますよ。先ほど言ったように、私は総務長官を信頼しています。反対党の松野さんを信頼しておる。信頼しておる松野さんであるから、あなたの答弁を一応今まで伺っておる。しかしにもかかわらず、さきにも言ったように、ここでこの際しゃにむに通されようとするところに、やはりあなたの答弁の裏を考えなくちゃならぬものが出てくるのですよ。そのことはやはり私はいけないと思う。そこで最後に私は申し上げますが、きょうこういう状態でこの法案を無理にお通しにならないで、あるいは継続審議にでもして、次の国会あたりでもっと世間にも問い、いろいろな意味でこれを検討なさって、もっと慎重に御決定なされることの方が聡明であると思うのであります。従ってこれを無理にこの国会で通そうとなさる態度をお変えになって、もっと慎重に継続審議なさる御意思がないかどうか、この点を一つ伺いたいと思います。
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松野頼三#23
○松野政府委員 この法案はきょう突然実は出したわけでもございませんし、当然余裕を持ちまして十分慎重審議をお願いするように、だいぶ前に十分な時間を実はとりまして提案をいたしたわけであります。なお御承知のごとく、ことしこれをやることが妥当だと考えております理由の中には、先ほど農林大臣も御答弁のごとく、日本の農業政策として基本問題の調査会もいよいよこの国会に提案をいたしまして、これは幸い衆議院を通過させていただいております。そのように今日大きな問題が農村に残っておりますものは、この際解決できるならばほとんど解決することが、より以上農村のためにいい時期ではなかろうかと私は考えております。これはあえて保守であるとか革新であるとか言わずに、農村を思うならばこの社会問題を早く解決することがいいと私は思います。
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茜ケ久保重光#24
○茜ケ久保委員 私は質問をやめようと思ったが、最後に総務長官が保守党、革新党と言われた。私どもはこれが農村全体の問題ならば、喜んでこれに賛成申し上げる。ところが問題は、あなたが今はしなくも革新、保守とおっしゃったけれども、一部のかって長い間日本の農村を搾取し、日本の農村に君臨して参りました地主です。この地主の存在というものをあなた方歴史的に御検討なさったことがあるかどうか知らぬけれども、日本のかっての地主というものは、歴史的にいろいろなものを持っておる。そうして日本の農村が貧困化しいろいろな意味であえいできた原因の中には、やはりいい悪いは別にして旧地主の諸君の責任が相当あると思う。もちろん農地買収によって今貧困化しておる、そういった諸君の実態も知っておるし、そういう人々に対しては、やはり日本の農業政策の犠牲者として御同情を申し上げておるし、何らかの形でこれに対する施策も考えておる。しかし何と申しましても、今言ったように日本の農村全体を考えたときに、これは一部の問題であるし、何もそう急いでやる問題ではないと思っている。そこで言っているのです。しかし総務長官が最後に一言革新、保守とおっしゃって、何か社会党が農村問題に冷淡であるか、あるいは農業問題に対して不協力であるかのようなことをおっしゃったから申し上げておる。日本の農村の経営の発展こそは、日本の経済のほんとうの底力であり、それによって日本の社会は発展する。従って私は日本の農村の経営に対しては非常な関心と重大な責任を感じておる。従いましてこのこととは別に、いわゆる農村全体、農民全体という意味ではなしに、かつて一部の、私どもの立場から言うなれば、農民を貧困化し、多数農民に非常な圧迫を加えた旧地主の問題であるから、これだけ申し上げておるということを御了解願わなければ困るので、一言これだけをつけ加えて私の質問を終ります。
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内海安吉#25
○内海委員長 石山權作君。
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石山權作#26
○石山委員 これはあなたの方の大先輩である綱島氏からも聞かれて総理大臣が答弁されたけれども、あなたは答弁されなかった。綱島先輩がどういうことを言っておるかというと、社会的問題とはどういうことでありますかと言っておる。第二に、もし調査審議した結果、社会的に打ち捨てがたき事情が明らかとなった折は、一定の補償金か善後措置を講ずる気があるかどうか、こういうふうに聞いております。特にこの前段の場合は、岸総理の答弁は、これは両岸だからやむを得ないのですが、やるようなやらないような、結局何をしゃべっているかわからないような答弁です。この社会的という言葉は、何だかぼさっとしていて、どこにでも逃げていくようなことで、これは答弁する方からすればむずかしいようで逃げやすい表現だろうと思いますか、社会的問題というのは、地主さんの場合一体何を意味するのか。たとえばというふうにして例を引いて下さい。地主さんに対する社会的問題とは一体どういうことを意味しておるか。
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松野頼三#27
○松野政府委員 断片的にこれだあれだということをここで申し上げるのは多少早計かと存じますが、せっかくの御質問でございますから、私が二、三考えましたことを一つの御参考にお答え申し上げますれば、いわゆる農地改革によりまして急激に大きな変動がごごいました。そのためにある一面においては非常に農業生産も上り、日本の農村の前進も相当にありました。ただその取り残された一部として今日農村に大きな問題として残っているのが、被買収者に対する対策というものが何ら今日までできていなかった、これが社会的問題という事実でございます。
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石山權作#28
○石山委員 旧地主さんに対して特別は措置が講じられていなかった、しかしこれは本会議において厚生大臣が、これはいわゆる旧地主であるからとか新しい農民であるから、貧農であるから富農であるからという差別をつけて私の方では見ておりません、こういう答弁をしておる。そうすると旧地主さんに対して特別な調査をなされなければならないということになると、だいぶ根拠が薄弱です。そうすると貧困という問題とは別にして、旧地主さんが占めていた社会的地位というふうな、そういう身分的な旧制度的な地位を皆さんの方で御想像なさって、そういう御説明をなさっておられるわけですか。
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松野頼三#29
○松野政府委員 社会的地位とかいうような問題を今日新憲法下において考えることは私たちはしておりません。社会的問題というのは、もちろん貧困という問題も入りましょう、あるいは生業の問題も入りましょう、将来の生活様式の問題も入りましょう、そういうすべての問題を含めて私たちは社会的問題というのであって、貧困だけを限定するとか生業だけを対策を立てるとか、そういう個々の問題にあらずして、急激な変化のために、ある方は生活の方針に対する不安を覚える立場の方もありましょうし、貧困の問題もありましょうし、そういうすべての問題が社会的問題だと私たちは考えております。
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