農林水産委員会

1959-02-17 参議院 全98発言

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会議録情報#0
昭和三十四年二月十七日(火曜日)
   午前十一時六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
二月十三日委員田中茂穂君辞任につ
き、その補欠として井上知治君を議長
において指名した。
二月十四日委員井上知治君辞任につ
き、その補欠として田中茂穂君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     秋山俊一郎君
   理事
           雨森 常夫君
           堀本 宜実君
           清澤 俊英君
           北 勝太郎君
   委員
           田中 茂穂君
           仲原 善一君
          小笠原二三男君
           河合 義一君
           棚橋 小虎君
           戸叶  武君
           千田  正君
           北條 雋八君
  政府委員
   外務省アジア局
   長       板垣  修君
   農林政務次官  高橋  衛君
   農林省農林経済
   局長      須賀 賢二君
   水産庁次長   西村健次郎君
   海上保安庁長官 安西 正道君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安樂城敏男君
  説明員
   農林省農林経済
   局金融課長   太田 康二君
   林野庁指導部長 茅野 一男君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査の件
 (漁業振興に関する件)
○農林漁業金融公庫法の一部を改正す
 る法律案(内閣送付、予備審査)
  ―――――――――――――
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秋山俊一郎#1
○委員長(秋山俊一郎君) それでは、ただいまから農林水産委員会を開きます。
 漁業振興の件を議題といたしまして、日韓関係の現況、これがわが国の漁業及び漁民に及ぼす影響並びにこれら事態に対する政府の措置等について、関係当局の御説明を願うことにいたします。
 本日は、外務大臣及び農林大臣の御出席を要求いたしましたが、やむを得ない事情のために御出席が得られませんので、ただいま高橋農林政務次官、外務省アジア局長、水産庁次長及び海上保安庁長官の御出席を得ております。
 まず、外務省から外交関係について、次に、水産庁から漁業関係について、さらに、海上保安庁から警備関係について御説明を伺います。
 なお、説明に対する御質疑は、説明が一通り終ってからお願いいたしたいと存じます。
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千田正#2
○千田正君 ただいま委員長から提示された本日のスケジュールその他に対して、十分政府側の責任のある答弁をわれわれは期待するわけでありまするが、ただいまの説明員の政府の代表の諸君が説明された後にわれわれが質問しますが、責任ある答弁をやってもらえるかどうか。本日、われわれの手元に配付されておりますところのこれらの議題の中には、閣議において決定した事項の報告ということだけでかかっておりますが、われわれが質問するとするならば、少くとも現政府の責任についての質問をいたします。それで政府側の諸君は、途中において、これは大臣の責任だから、われわれは知らぬとか、われわれはそれを実行できないとか、そういうような簡単なことではこの問題は解決できないと思いますから、私どもが聞く以上は、少くとも責任のある答弁をしていただきたいということを、前もって注文しておきます。
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秋山俊一郎#3
○委員長(秋山俊一郎君) それでは外務省アジア局長から御説明を願います。
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千田正#4
○千田正君 われわれは、新聞で見た程度の報告なら聞く必要はないんだから。
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板垣修#5
○政府委員(板垣修君) まず、現在までにおきまする日韓交渉の現状を簡単に御説明申し上げますと、御承知のように、日韓交渉は、昨年の四月十五日から全面会談が開かれまして、途中一時停頓いたしましたが、十月一日から再開をされまして、昨年の暮れまで続きました。御承知のように、この日韓交渉のうちで最も大きな問題は、一つは、李ラインの問題でありますし、もう一つは、現在問題になっておりまする在日一部朝鮮人の北鮮帰還問題、この二つが非常に大きな障害になっておったわけでございます。それでいろいろな請求権委員会なり、あるいは文化財の委員会なり、あるいは船舶返還委員会、そういうものにつきまして、数多く委員会が開催されましたけれども、結局、この二つの問題に関連いたしまして、事実上、日韓交渉そのものは、あまり進展をみなかったということは御承知の通りでございます。それで暮れになりましたので、一まず、年末年始ということもありまするし、一時休会をいたしまして、一月の二十六日から再開しようということになっておった次第でございます。
 そこで、今申し上げまする一番大きな問題であるところの在日一部朝鮮人の北鮮帰還問題でございまするが、これはまあ数年来この問題は実は日韓間に解けがたい問題として存在していたわけでございます。しかしながら、一昨年まではそう数多くの朝鮮人が帰りたいという意思表示もありませんでしたし、便船の問題などもございまして、事実上大きな政治関係にはならずに済んだのでございますが、昨年の一月、抑留者の相互釈放に関連しまする連絡会議、続いて全面会談が開かれまして、在日朝鮮人の国籍なり、あるいは職務の問題を議論するということになりまして、この問題が非常に大きな問題になったのであります。そもそもこの問題が大きくなりましたのは、大村収容所におりまする戦後日本に不法入国した者の送還問題というものに関連して、この問題が大きくなったのであります。韓国側といたしましては、日本におりまする朝鮮人は全部韓国人である、従って、この不法入国者を送還させるについても、全部韓国に渡せば引き取る、こういうことを主張して参りました。私どもも、建前としてはそれに異存はないのでありまするが、実際問題といたしまして、当時、大村収容所に収容されていました朝鮮人のうち、九十二名がどうしても自分は南鮮に帰るのはいやだ、どうしても北鮮でなければ帰らないという点から問題がもめまして、日本側といたしましては、理論的にはやはり個人の意思の自由を尊重すべきである、いやがる者を手足まで縛って南鮮には帰せないというので、両方の意見が完全に対立したのでございます。それで、日本側が無理を通しますれば必然的に全面会談も開かれませんし、釜山に抑留されておりまする漁夫の問題にも関連いたしますので、日本側としましては、やむを得ずこの問題はたな上げして一年間進んで参ったのでございます。しかしながら、いよいよ現在になって参りますと、御承知のように、昨年の夏ごろから大村収容所におる北鮮系の朝鮮人のみならず、一般に自由に日本に住んでおりまする朝鮮人の一部が、この際、日本でもちょっと生活の道が立たないから、どうしても自分たちは北鮮に帰りたいということを言い出しまして、そして非常に大きな集団運動、全国的な運動になってきたのは御承知の通りでございます。これに対しまして、日本政府といたしましては、やはり日韓会談の問題、それから特に釜山におりまする日本人漁夫の運命の問題に関連いたしまして、この問題の決定をずっと今まで押えに押えてきた。ところが、今の国内の情勢からいきますと、これ以上、日本政府といたしましては、帰りたいという運動をとめる理由が全然ないのみならず、また、とめることができない情勢に立ち至ったということでございます。とめる理由がないと申しますのは、御承知のように、世界人権宣言とか国際赤十字の原則というところから見ましても、やはり個人は自分の住むべき地を選択する自由があるということは、これは大体国際常識であろうと思います。それから日本の国内の法制からいいましても、出入国管理局の出国手続という問題があるだけでありまして、帰りたいという者を無理にとめるという日本の法制的根拠は全然ございません。ただ、現に国際赤十字からも従来しばしばこの問題につきましては関心を持って、もし日本政府が承諾するならば、この一部朝鮮人の北鮮帰還問題についてあっせんをする用意があるということを言って参りまして、間接に日本政府の注意を促してきた事実もございます。従って、こういうような内外理由からいいまして、どうしてもこの問題をこれ以上制限することはできないという非常事態に立ち至ったのでございます。
 一面、日韓交渉の関連からいうと、確かに私どもは釜山の日本人漁夫の運命というものにつきましては、一番心配であったのでありますが、この問題につきましては、過去一年間、私どもといたしましても、この問題は交渉の議題となるべき問題でない、純然たる人道問題であるからして、昨年の一月以降、少くとも刑期の満了した者、できれば全部政治問題と切り離して帰してくれということを、しばしば外交交渉において、韓国側に申し入れたのでございます。しかしながら、遺憾ながら韓国側といたしましては、何らか政治交渉と関連いたしまして、絶対帰さないとは言いませんが、事実上、一年間帰ってこないという事実、従って、北鮮帰国問題はかりに延ばしましても、今、すぐ釜山の抑留者が帰ってくるという見込みはちょっとないのであります。従って、私どもといたしましては、むしろこの日韓交渉に横たわる二大問題の一つの李ラインは、どうしても日韓間の交渉で片づけなければならぬと思いますが、それと、われわれから見ますと、政治問題と関係ない人道問題、これが事実上の日韓交渉の大きな障害になっておる。これを片づけた方が、むしろ日韓交渉はしばらくの間あるいは中断するかもしれないけれども、かえって交渉のほんとうの解決を促進するゆえんかもしれない、そういうような奥地からいいまして、そうなれば抑留漁夫が帰る問題も、あるいはかえって早道になるかもしれない。これは多少希望的な観測に陥るかもしれませんが、こういうような考え方も手伝いまして、この際、この返還問題につきまして御方針の決定があった次第であります。しかしながら、御承知のように韓国側は相当非公式には、釜山の抑留漁夫は絶対に帰さぬというようなことを言っております。従って、われわれといたしましては、再びこういう新しい事態に立ちまして、必ずしも日韓交渉をわれわれの方から打ち切る必要はありません。なお、韓国との間に交渉を続けますが、さらに本来の問題、性質に立ち返りまして、まず第一に、赤十字国際委員会に依頼するという方法も考えられましょう。新たな情勢の推移によりまして、さらに国際的な方法をもってこの日本人漁夫の引き取りを促進するということを考えざるを得ないと考えておりますし、現に、いろいろとただいま検討をいたしておる次第でございます。この点につきましては、外務省といたしましても、あらゆる努力を傾倒いたしていく考えでございます。
 一応簡単に今までの経過を御説明申し上げました。
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千田正#6
○千田正君 私は順々に皆さんの説明を聞いて伺おうと思いましたけれども、全部聞いてからにしますか……。私は、今のお話からいいまして、委員長に一言注文をしたい。ということは、今のアジア局長のお話からいいましても、この間の閣議がいわゆる北鮮に帰す問題についてのみの閣議であって、国外に抑留されておるところの日本人漁夫の帰還問題については、閣議は何も決定しておらない、相談をしておらないじゃありませんか。一方には、北鮮への帰還問題を討議しながら、一方には、一番悲惨な立場におるところの日本の漁夫の抑留問題に対して、閣議の問題について何も触れておらない。だから、私は大臣の出席を要求するのは、そういう理由ですよ。一体、閣議で少くともこういう重大な国際問題を引き起すような、こういう問題を一方において決定すると同時に、国内において起きておるところの長年にわたってまだ解決しないところのこういう問題に対しては、閣議は一体どういう決定をしておるか。私はそういう面において大臣の出席を求めて、閣議におけるところの日本人の抑留漁夫の問題も、同時に表裏一体として解決しなければならない問題ではないか。そういう問題については、この間の閣議では触れておらない。少くとも報告するだけの範囲内においては触れておらないと私は思います。われわれは農林水産の委員の立場からいいまして、われわれの国内にかような悲劇が惹起されておるという立場から考えますときに、どうして閣議でこういう問題を決定的な問題として結論を出さないか。その点は私は責任ある答弁を求めたいから、先刻から大臣の出席を求めておる。アジア局長において、閣議の問題について、そういうことが答弁できないでしょう。できますか。
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秋山俊一郎#7
○委員長(秋山俊一郎君) 実は、全部の説明が終ってからと思いましたが、ただいまの御発言がありましたので、その閣議に関係する問題はアジア局長から御説明を願います。
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板垣修#8
○政府委員(板垣修君) その点を御説明申し上げます。当然私どもといたしましては、北鮮帰還問題を決定するにつきましては、その背景なり、いろいろな問題、これは当然考慮に入れておりますし、実は事務当局といたしましても、いろいろと問題点をしぼって検討した次第でございます。ただ問題点は、
 この在日一部朝鮮人の帰還問題を決定した際に、韓国側がこれに対してどういう態度に出るか、どの程度まで出るかという点は実は予測がつかない問題であります。これを事前に憶測をいたしまして抑留漁夫あるいは李ライン内における出漁の問題、こういうような問題につきまして、これを先に決定をいたしまして、しかも、それがはっきりと日本政府の方針といたしまして閣議決定までするということは、これはかえって先方を非常に刺激いたしまして、予想以上の悪影響を連鎖反応的に起すというようなことでございますので、この点はいわゆる閣議で了解なり決定という形でやりませんで、それが発表されなかったわけでございます。しかし、実際問題といたしましては、閣議におきまして、外務大臣から釜山におる抑留漁夫の問題のみならず、その他につきまして、あらゆる問題点の発言をされまして、この点に対しまして将来起るべき事態に対してとるべき対策という点につきましては、十分討議はされております。ただ、今申し上げましたことによってそのことが発表されていないという事情はございます。
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千田正#9
○千田正君 今のアジア局長のあれに対しては、非常に不満であります。閣議の決定の問題は、世界の人道上の問題として世界に訴えようというのが閣議の決定の根本をなしておる。人道上の問題をわれわれが主張するならば、自国のこうした立場にあるところの人道問題はより以上に大切でなければならない。日本の抑留された漁夫が三年も四年も帰れない。戦争がすでに終った今日において、平和の時代において、今もって敵国にあらざるところの韓国に抑留されている問題は、これこそ人道上の重大問題じゃございませんか。他国の人間を人道上の問題で帰さなければならないということを言う前に、われわれ国民の人道上の問題として世界に訴えなければならない問題がこのように山積しておるにかかわらず、その問題を解決しないで、ほかの国の問題は人道上の問題だから帰す。そこに矛盾を私は感ずる。あなたは日本人としてどう考えますか。
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板垣修#10
○政府委員(板垣修君) もう私どもお説の通り考えておるわけでございまして、ただその方法、手段等につきまして、今すぐそれを、政府の方針を発表して刺激するよりは、むしろこれは実行的に釜山におる日本人を取り返すことが目的でございますので、その辺の見通しにつきましては、なお、短かければ四、五日、あるいはもう少し様子を見てやってもおそくはないという判断に基いたわけでありまして、要するに、釜山における問題は人道問題ということは、過去一年間も主張しておりますし、今後もそういう方針でもって進むわけであります。その点につきましては、私ども全然同じ考えを持って進んでいるわけでございます。
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千田正#11
○千田正君 あとから質問いたしますから、各省の諸君から聞きます。
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秋山俊一郎#12
○委員長(秋山俊一郎君) 次に、水産庁から、最近の状態につきましての漁業の状況及びこれが処置に関する状態を御説明願います。
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西
西村健次郎#13
○政府委員(西村健次郎君) 問題の水域に関しまする水産庁としての関係事項を御説明申し上げます。すでに御承知と思いますけれども、問題の水域につきましてなされておる漁業は、トロール漁業、これは現在四十九隻でございます。それからいわゆる以西底びき網漁業、これが東海黄海に出る、これが七百六十七隻でございます。これは二そうでやり、あるは運搬三そうでやったりしますので、たしか許可トン数は三百八十三ぐらいだと思います。そのほかにいわゆる中型底びきという底びき網が大体百隻程度、これは東寄りの方でございます。それからなお長崎あるいは山口、福岡あたりを主体としますサバ、アジのまき網漁業、これが現在まあ出漁関係水域に出漁しておりますのは、大体百五十ないし百八十、こういうふうに踏んでおります。そのほかに、先般も二月四日に拿捕されましたように、非常に小さい漁船、たとえば、対馬とか、あるいは壱岐、あるいは佐賀県、長崎県あたりから出ます五トンあるいは十トン未満の小型漁船、この数は全部で千五百隻程度あるというふうに踏んでおりますが、まあ常時大体千五百程度。そのうちに、これは後ほど申し上げますけれども、全然無線も装備してないものが大体五百程度ではないか、こういうふうに踏んでおります。これらの小漁船は、サバ釣とかイカ釣、あるいはブリを釣ったり、そういったチキンボ、そういう漁法をしております。
 日韓問題につきまして、ただいま外務省のアジア局長からいろいろ御説明がありました。私どもとしましては、これは、漁業の立場からこれに対して重大なる関心を持っております。昨年来の日韓全面会談におきます漁業委員会におきまして、私としても累次、いわゆる政府代表の一員としまして、この交渉にずっと参画して参ったわけでございます。不幸にして、これが何ら発展の方向に向かないうちに現状に至っている、こういうことでございまして、この交渉の内容等は、過去におきましても御説明したと思いますけれども、もし必要であれば、後ほどまた御説明してもよろしいかと思います。
 ところで、現在、抑留拿捕されております乗組員なり、漁船の数というようなものをこの際申し上げますと、漁船は全体で、まだ帰ってこない船が百五十二はいございます。それから乗組員は、昭和二十二年から拿捕が始まりまして、自来今日まで総計で、拿捕されました人数は三千二百四十八名でございます。現在までに三千八十七人帰っており、そのほかに死亡者八名おりますので、残りの百五十三名がまだ帰還しておらない。そのうちには、去る二月四日につかまりました浜久丸の乗組員も入っております。この百五十三名のうちには、古い人には昭和三十年に拿捕された人も一人おるというような状況でございます。御承知のように、一昨年の暮れの日韓の覚書によりまして、相互釈放――相互送還と申しますか、ということで、当時九百何名おりました漁夫が大部分帰ったのでございます。大体におきまして、その後におきます拿捕によりまして、これらの百五十三名という人が現在残っておるわけでございます。私どもとしまして、これらの抑留漁夫につきましては、従来から、昭和二十八年の暮れですか、見舞金を留守家族の方に差し上げる。それから差し入れ品、これを、収容所の方に送る金を補助いたす。あるいは現地においてなくなられた方、あるいは帰って一月以内になくなられた方に対しましても、これは弔慰金を差し上げる。さらに帰られて病気でおられる方に対しましても、入院料あるいは通院料というようなものを差し上げております。もちろん、この額はいろいろ、留守家族の方は少いというような御不満もあろうかと思いますが、私どもとしては、諸般の事情を勘案して、財政当局にできるだけの無理をお願いして、現在の程度に至っておりますが、これについては、また、あるいはなお全般的に考慮する必要があるかとよ思っております。
 なお、先ほどからここで当面の議題となっておりまする北鮮帰還に関連しまして、一体、現在の漁業はどうなっておるかという点でございますが、これは、あるいは違った面からの、海上保安庁あたりの情報というものがさらに的確かもしれませんが、私どもとしましては、特別に今のところ、変った情勢はこの二、三日来は受け取っておりません。福岡の事務所から、変ったことがあればすぐ連絡するように言ってありまするけれども、特別にはないようでございます。ただし、昨年の暮れあたりから、向うの監視艇の動きが活発になったというようなことを聞いております。しかし、いずれにしましても、韓国側が従前にも増して拿捕というようなものに対して積極的な意図を見せるということは考えられまするので、私どもとしては、これに対して急速に対処していかなければならない。その一つとしましては、先ほど申し上げました小型漁船、これにつきまして、無線電話を装備するということも何とかして至急に実現して参りたい、こういうことで目下、その事務的折衝を進めております。大型の船につきましては、これは従来から無線がありまして、情報のキャッチができますので、これにつきましては、なお今後とも、より慎重にやっていくということではないかと思います。ただ先ほど陳情の方もありましたように、これについて海上自衛隊というようなものをあるいは出す、そしていわゆる保護出漁というようなことも一つの考えとしては考えられましょうが、私どもとしましては、漁業の面からいいますと、これは漁業者も同じ気持と思いますけれども、要するに、やはり漁業生産を上げたいということが一つ考えられます。その辺との関係において、その情勢の判断というものはきわめて慎重にすることが必要ではないか、こういうふうに考えております。
 それから監視船、私の方で申しますと監視船でございますが、これは現在私どもは常時六隻配備しております。これはおおむね、あちらの天候の関係等もございますので、小型の監視船では用を足しませんので、三百トン級の捕鯨船をチャーターいたしまして、現在六隻配備いたしまして、常時、そのうち四隻が絶えず問題の水域――これは朝鮮海峡のみならず、黄海、東海の方にまでわたって保安庁と協力しつつ保護に任じておるのです。
 とりあえず、私どもとして御説明するのは以上の点でございます。その他はまた後ほど。
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秋山俊一郎#14
○委員長(秋山俊一郎君) 次に、海上保安庁長官から、同海域における警備状況等について御報告を願います。
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安西正道#15
○政府委員(安西正道君) 現在、あの水域に出動させております私の方の巡視船は、昨年の十月まで常時三隻をあの海域に置いておくという方針でございまして推移して参りましたが、昨年の十一月以降に対馬の周辺が盛漁期になりましたので、特に一隻を増強いたしまして、常時四隻を配備しておくという方針で今日に至っております。水産庁の漁業監視船と一緒になりまして、まず私どもの巡視船の任務といたしましては、韓国の警備艇の出動状況をはっきりつかむということに重点を置きまして、これをつかみまして、管区本部の通信施設を通じまして漁船に警報を出すという任務をまず第一の任務にいたしております。最近におきまして、あの閣議決定がございます前後から、韓国の警備艇がどのように動いているかということがわれわれの最近最も注目しておる点でございますが、この点につきましては、韓国の警備艇の動きは、毎日平均大体二隻程度の警備艇が出動しておりますような状況でございまして、従来に比較いたしまして特別に目立った動きは、今のところ、示しておりません。
 それから韓国側の動きでございまするが、韓国側といたしましても、海上警備隊を動かしましてわれわれの漁船の拿捕に来るというようなことでございまするが、今までのところ、海軍の艦船を動かしまして直接日本の漁船を拿捕するというようなケースはございません。その点につきましては、あくまで警備隊を中心といたしまして、警備隊が直接当る、海軍の艦船が出ましてもそれは日本の漁船の出漁状況を視察して警備隊に教えるという程度でございまして、従いまして、直接は日本側の漁船の拿捕に当らせないといったようなきわめて慎重な態度をとっているように考えられます。
 今後におきましてどうなるかということは、慎重に韓国の警備隊の動勢を把握して参る必要があるかと考えまするが、この点につきまして、われわれといたしましては、韓国側も非常に慎重であって、警備隊の動き等につきましても、たとえば巡視船の報告を受け取りますところによりますと、日本側の巡視船と韓国の警備艇が洋上におきまして出あうというようなことになりました場合におきましては、向う側も回避していくというような状況でございまして、非常に目下のところは慎重な態度をとっているのではないかというふうに考えられます。
 そこで、われわれの対策でございますが、この点につきましては、もちろん将来におきまして巡視船を増加するとか、あるいはまた監視船を増加していただくというようなことも考えておりますけれども、先ほど西村水産庁次長から御説明がございましたように、通信機のない漁船にできるだけ早く通信機をつけていただきまして、われわれの警報が十分に徹底できるように増強をお願いしている次第でございます。
 大体以上でございます。
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秋山俊一郎#16
○委員長(秋山俊一郎君) ただいまの説明に対しまして御質疑を願います。
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千田正#17
○千田正君 外務省のアジア局長にお伺いしますが、国際公法上、国際私法上から見ましても、国際法の立場から見ましても、現在韓国の大統領李承晩が宣言したいわゆる李承晩ラインというものは何人も承知できないラインだと私は思う。ことに日本の立場からいいますと、国際法上から、全然ああいうラインが妥当であるということは認めがたいし、認むべきじゃないと思いますが、まず外務省からこの点をお答え願います。
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板垣修#18
○政府委員(板垣修君) 外務省及び関係各省、政府一致の方針といたしまして、ただいまお話の通りの方針を堅持いたしまして、従来、日韓交渉を進めてきておりますし、今後もこの点につきまして譲歩をすることは不可能と考えております。
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千田正#19
○千田正君 そうだとすれば、当然安全操業をするためには、日本が公海と信じている、いわゆる公けの海として信じている所において、日本の漁師が漁業をすることは当然のことであり、何人もこれに対しては異議を差しはさむべき余地がないのであって、それは当然やり得る問題である。それで現実にやれない。こういうところに大きな問題が結論としては起きてきている。この点についてはどういうふうに考えますか。それに対して、国内措置としては、今、水産庁並びに運輸省の海上保安庁の立場から、いろいろなことを申されましたが、ああいうことで実際日本の漁師が公海において自由な操業ができる、こういうふうにお考えでありますかどうか。これは農林当局並びに海上保安庁から伺いたいと思います。
 それに対しまして、それだけではお答えがやりにくいと思いますが、今までとってきたような程度でやっていけるかどうか。少くとも戦争の跡始末としましては、現在いまだ帰らないところのいわゆる未復員者あるいは未帰還者というものは相当多数いる。それに対しましては、国内処置として厚生省が行政官庁として未帰還の留守家族に対する法律を作って、一応それに対してはしばらく待てと、待っている間の生活の保障という面についてはやっておる。これはいささか少いでありましょうけれども、国力に相応した、経活力に相応した立場において予算を組んでおるのであります。しかしながら、今のような戦争ではない、平和時において、しかも、公けの海において、理由なくして拿捕されておるような危険水域が今日まで存在しておる、そしでなおかつ、百五十三名の邦人が抑留されておる、こういうような事態を繰り返しておる今日において、水産庁としては、単なる今の海上における操業に対して無線をつけるとか、あるいは監視船を増すとか、そういう程度だけで一体安全に操業ができるかどうか、同時に、抑留されておるところの留守家族はこれで数年待っておる、あるいは今度の問題が発生すると同時に何年待たなければならないかわからない、ちょうど戦争の後における―戦争で捕虜になった人たちの留守家族と同じようなところまで追い詰められておる現今のこの漁業者及び漁民の生活に対して、今までのような程度で、一体あなた方はそれで満足できるかという点について、私は満足できない。もう少し真剣に考えていただきたい。きょうは次官がお見えになっておりますからお伺いしますが、この間の閣議におきまして、これは外務省の立場からは共ほどアジア局長がるる述べられましたが、農林省としましては、あるいは水産庁の立場から、閣議においてこの問題について十分大臣から各閣僚に伺つて了解をするだけの発言をしているかどうか、私ははなはだそういうところに行っておりませんから、単なる風説でありますけれども、あまり三浦農林大臣は閣議において、この問題については熱がなかった、こういうふうに私は承わっておりますが、どういう発言をしているか、そういう点について一応伺いたい。国内における対処方針。今後この事態は未解決のまま何年続くかわからない、これに対してどういうふうな指導方針をとり、あるいは漁師の留守家族の安定処置をとるか、監督官庁としての、行政官庁としてのあなた方の方針は一体どう考えているか、この二点をお伺いします。
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西
西村健次郎#20
○政府委員(西村健次郎君) お答えいたします。最後の点につきまして、これはあるいは私からお答えするのはどうかと思いますけれども、閣議につきまして、閣議の発言内容等、私が漏らす理由はございませんけれども、閣議の性質上、そういうものではございませんけれども、これは私の承わっているのは、十分具体的に大臣から発言されたというふうに伺っております。
 それから他の二つの点につきまして、第一の点につきまして、多少私は誤解しているかもしれませんが、その場合にはお直し願いたいと思いますが、今後の、と申しますか、当面の出漁対策として、大体小型無線機をつけるくらいで足りるのか、現実の操業の安全をはかる上において。こういう御質問であると思いますが、これにつきまして私どもとして、もちろん関係各省、これは内閣が中心となりまして、今後十分時宜に即した対策を練る、こういうことになっております。ただ私が申し上げましたのは、小型漁船につきまして、通信設備をつけるということがいかにもこれが大事なことで、これをまずやるということが必要である。それから大型につきましては、従来から通信施設は完備しております。それだけでは足らないのじゃないかということでございます。その点につきましては、これは漁業の立場から申しまして、先ほどもちょっと触れましたように、たとえば、ここに極端に申し上げれば、いわゆる保護出漁というような武力の背景と申しますか、保護を持った船団の出漁というようなものも考えられよう、いずれにしましても、そういった場合におきまして、漁業の立場から見た場合には、魚はとれないという場合も相当考えられるのじゃないかということで私は慎重に考える必要があるということを申し上げたわけであります。私どもただラジオを小型船につければそれで足りるということでは毛頭ございません。先ほども申し上げましたように、監視船なり巡視船の増強につきましても、私どもとしましても、できるだけのことをしており、なお海上保安庁と十分連絡をいたしまして、海上保安庁にも増強をお願いする、そういうことで保護の態勢の万全を期して参りたい。もちろん、これは情勢の変化、発展によりまして、いろいろ考え方なり、措置は変っていく性質のものである、こう思っております。
 それから第二の点につきまして、一体、何と申しますか、援護態勢は足りると思っているかという御質問だと思います。これは先ほどの李承晩ラインというような、国際法上認められていない、本来公海自由であるべき所において拿捕されたものである。これに対して国家としてはどういう措置をとるべきかというような問題でございます。私はその方の専門ではございませんので、そういう場合に、一体国家賠償責任というものが直接的に出てくるかどうか、これはきわめて疑問と思っております。しかし、現実の問題としまして、そういう議論を離れまして、私どもとしては、留守家族なり、あるいは抑留漁船乗組員の困窮な状況はよく承知しておりますので、先ほど申し上げましたような見舞金―一括して申し上げますれば見舞金というようなものを差し上げておる、こういうわけでございます。その額の多少、あるいはやり方というようなことにつきましては、批判もあろうかと思います。その点が千田委員の非常に不満とされるところかもしれませんけれども、これは他のそういった同種のものというようなものとの勘案というようなものもありますし、私どもとしましては、できるだけのことをまあ現在としてはとっておる所存でございます。なお、今後とも十分この点については検討して参りたい、こう思っております。
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千田正#21
○千田正君 三十二年で大体韓国に抑留された漁夫は釈放されて帰ってきた、その後において数十名の人たちが拿捕されているのは、おそらく当時の新聞の発表がうそでないとするならば、李承晩ラインと称するライン外の出漁にかかわらず、韓国側から拿捕されている、こういう点が非常に多かった。あるいは、はなはだ分明でない、どっちか境がわからないという接触点において拿捕されておるのがあるでございましょう。しかし、あなた方の指導がきいておるから、おそらく李承晩ラインと称されるラインにおいて無謀な操業をしておるはずはない、その後にとらえられておる人たちは、ライン外において操業をしておってとらえられておる人たちが大多数であると私は考える。もしそうでなかったとするならば、あなた方の指導が行き届いていないということであって、このライン外においてとらえられておるというこの現象に対しては、あなた方はどういうふうに考えますか。
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西
西村健次郎#22
○政府委員(西村健次郎君) ちょっと御質問の趣旨があれでございますが、先ほどもアジア局長から申し上げましたように、ラインというものは、日本は認めておりません。従いまして、ラインの内外ということは、内であっても、これはわが国にとっては国際法上認めざる対局的行為であるということにおいて、両方とも同じであると、こういうふうに思っております。ただ、ラインの内外か、どうであったかという問題につきましては、もし要すれば後ほどあるいは答弁したいと思います。
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千田正#23
○千田正君 西村次長の考え方は、私は詭弁だと思う。ということは、ライン内外ということは、日本では認めておりません、その通り。しかしながら、向うはラインを宣言した以内に入ってきた者は、自分の領海侵犯であるから拿捕するのだという一方的宣言ですよ。向うは一方的に自分の方のラインを決定しておいて、その中に入ってくる者は、ライン内に、いわゆる自分らの領海に入ってくるのだから拿捕するのだと宣言しておる。あなた方はそれでは、今までの日本では、そんなことはおかまいなしにどんどん沖まで行ってとってこいと言って指令しておりますか。そうじゃないでしょう。そういう国際紛争を起してはいけないから、そういう所までタッチしてはいけない、ライン外で操業しろということを指導しておるのじゃないかと思う、私はそう思っておりますよ。われわれとして認められないラインである、認めちゃいけないラインである、しかしながら、無法なやつが勝手なことを宣言して、そうして来た者はぶんなぐるぞという、要するに危ない所に近寄るなということは、私は温情的な水産庁の指導でなければならないと思う。そうじゃないですか。われわれは認めないのだから、どこまではいいのだからやれということをあなたたちは指導しておりますか。もしそうだとすれば、あの残っておる百五十三名という漁師の諸君は、あなた方のような観念によってどこでもかまわず漁をしておったためにとらわれたということになるのですか。私はそうじゃないと思うのです。どうですかそれは。
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西
西村健次郎#24
○政府委員(西村健次郎君) 今の問題につきましては、非常に御説明がしにくい、デリケートだと思われますので、もしできれば速記をとめるなり、あるいは秘密会にしていただければ、もう少し突っ込んで御説明できるかと思います。
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千田正#25
○千田正君 その必要はないと思いますから、そうならば私は別の論法をもちまして申し上げます。いずれにしても、現実百五十三名という者がとらわれて帰ってきていない。これは早急に帰されるという見込みが立っていない。それならば今日この問題を、いわゆる北鮮に帰すべき人々の問題を海外に宣言すると同時に、この国内的に起きておるところのこうした悲惨な問題を同時に人道上の問題として国外に訴えるとともに、国内において、どうしたならばこういった家族の人たちを慰めつつ、この問題の早急な解決をどうするかという問題が今残されておる、国内のそれが処置でしょう。その点に対して、あなた方はお見舞金をやったのだ、あるいは恩典をつけるのだと、そんなことで留守家族にしろ、われわれ農林水産委員の諸君にしても満足しない。もう少し積極的に国内の方針をまとめる意思があるかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。―それじゃ西村さんとしてはお答えにくいかもしれませんが、というのは、私の質問がはずれていたかもしれない。水産庁の今のやり方だけでは満足していないということです。拿捕されたからといってお見舞金をもらう、あるいは生活が苦しいだろうからといって一部の生活補助金を一時的に何とかして工夫してやる、その程度ではこの問題は国民としては納得いかないのだ。国の力の十分及ばない結果こうした問題が起きたとすれば、国として一応の恒久的な、少くとも帰されるのはいつ帰されるかわからぬ。臨時的な措置ではなく、何かしら生活の基準を考えてあげるのが妥当じゃないか。そういう問題については十分やっているのかどうかということを私はお聞きしておる。
 ついでに私は申し上げますが、一体、日本の漁業の行き方はどうなのか、水産行政は曲りかどにきているのじゃないか。李承晩ラインばかりではありませんよ。太平洋においては原子爆弾が実験されて漁もできない。また日米カナダ条約で日本の船は行けない。北洋はソ連によって圧迫を受けている。どこに一体日本の漁船、漁師は行ってやればいいのだ。その操業する立場も圧縮されて、沼や池でとるような方面にまで押し込められてきている。こういうような国際的な漁場の圧縮とともに、国内的な問題としての処置も考えなければならない。その一番刺激的な問題は、現在起きているところの、拿捕されているところの問題、中国と朝鮮との間に境する漁場の問題でしょう。こういう問題に対して、しぼって一体善処の方法を考えているのかどうかということを私はあえて言いたいのです。あなたの方の立場をもっとよく、私は抑留された漁夫のために、あるいは日本の水産行政のためにも、外務省と一体となってこの解決を真剣になってやっていただきたい。単なる国内の処置のお見舞金程度では、私は話がつかないのじゃないかと思う。
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西
西村健次郎#26
○政府委員(西村健次郎君) ただいまの千田委員の御質問でございますが、国内の、たとえば抑留漁夫の援護の問題、これは私どもとして、先ほど申し上げましたように、あるいは千田委員は御不満かもしれませんが、私どもとしては、許す限りのことは今までやってきたつもりでございます、財政上。ただ、こういうことはできたあとの、そう言ってははなはだ悪いのですが、処置であります。今まで現状のままほうっておけば、いつまでたっても同じことを繰り返すというおそれはあるわけであります。従いまして、もっと抜本的な問題を考えなくてはならない、こういうことは全く同感でございます。しかし、事、日韓関係について考えてみます場合において、これはやはりどうしても私は漁業問題、李ライン問題というものを解決しないと問題は解決しないのじゃないか、こういうふうに考えております。
 それで、民間には、これは私は別に証拠があるわけではございませんけれども、李ラインなんというものは、李承晩ががんばるなら、あるいは体面上認めてもいいじゃないか、そのかわり、あそこに日本の漁船が入ればいいじゃないか、たとえば向うとの合弁とか、向うの許可を得る、そういう格好でやれば今のような拿捕がなくて日本の漁船も入れるじゃないか、そういう議論をする人もあるやに聞いております。私どもとしては、それは一見、その入れる漁業者につきましては、いいことでありますけれども、そういう漁業の専属的管轄権、公海上に広範な海域を認めるということになりますので、これはもう世界のあらゆるところにつきまして、それと同じようなことをやられた場合に、日本はもはや対抗できない、こういう意味で、私どもとしては、非常にあの問題につきましては、当面、現地の漁業者は非常に困難な地位にありますけれども、やはり国として、そこは許すべからざるところであるということで、私どもはこの問題をやはり一刻も早く片づけるということが、問題を根本的に解決する近道であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
 そこで、もう一つ、あるいは千田委員は示唆されたことかもしれませんが、それでは李ラインなんというものを、もうどうせあんなものは解消しないのだろうから、李ラインというものは既定の事実として、事実それでは少し漁場を転換するなり、漁船をつぶしたらいいじゃないかというような議論も出ます。これも実際問題としまして、いろいろ困難が伴います上に、日本の漁業なり、あるいは公海の自由に対します立場というものは失われると申しますか、そういうような不法は、国際法上認めざる行為を容認するような格好になりますので、私どもとしては、そういう措置もとることはいかがなものであろうか、こういうふうに感じております。
 それから、先ほど私は千田委員の御質問に即応しなかったのでありますが、ラインの問題で、ラインの外でやれ、国際紛争に巻き込まれないように、そういう指導をしていただろうかということでございますが、それは私の方が、李承晩ラインから外でのみ漁業をやれということを、政府としては私は指導いたさないし、すべからざるものであると思います。そのことはとりもなおさず李承晩ライを政府は認めており、認めるということになる。しかしながら、実際問題としては、危険を避けるという意味におきまして、現在は海上保安庁―これは主として、あそこの七管区の保安本部の非常なお骨折りを願っておるわけでありまするけれども―と緊密な連絡をとりつつ、安全に操業できるという面については、相当な努力を払っておるつもりでございます。その問題につきましては、なお今後の操業につきまして、よりよい方法があればそれをできるだけ早く取り入れてもらいたい、こう思っております。
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千田正#27
○千田正君 海上保安庁にお尋ねしますが、海上保安庁では、そう問題の起らないように指導しておる、実際にもあまり衝突しておらないと言う。まあ衝突はもちろん避けなければならないのですが、万全を期して海上の治安に当っておる、こういう御説明のようでありましたが、そうであったならば、なせここでこういうような問題が起きるのか、なぜ起きるのか、この点です。どうしたためにこういう問題が起ったか。あなた方の御説明であったならば、安全操業に、十分保護しておるのだという御説明でありましたが、なぜこういう問題が起きたのか、この点お尋ねいたします。
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安西正道#28
○政府委員(安西正道君) ただいま千田先生からの御質問でございまするが、もちろん私どもといたしましては、いわゆる李ライン周辺における拿捕の万全を期して、一生懸命巡視船には努力させておる次第でございます。ただ先ほど千田委員からお話がございましたように、漁船がみずから、いわゆる李ラインの外におるというように考えまして操業していったところが、そこへ警備艇がやってきてつかまえたというような場合もございます。それからまた、向うの警備艇が近くに近寄っておりますので、漁船に退避をお願いしても、通信施設がない関係で情報がキャッチできなかったというようなことで、やむを得ずつかまるというような場合もございます。また非常に小さな小型の漁船が出漁いたしておりまして、相当警戒警報やあるいは各種の警報が長く続き過ぎる、従って、どうしても生活上の面から出漁せざるを得ないというような事情に迫られて出漁してつかまっておる、こういうような場合もございます。もちろん巡視船としては、できるだけそういう現場に急行いたしまして、できるだけ拿捕の防止に当るという努力はさせておりますけれども、何分、巡視船艇の数も常時四隻程度で、あの広い公海を警備しておる状況でございますので、多少そういったようなやむを得ざる拿捕が発生するというような状況でございます。
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千田正#29
○千田正君 最後に一点だけ。これは総括的に要望しておくのでありますが、外務省としては、外交問題として、当然この問題は今後とも大きな一つの日本の立場を主張する面において、真剣に取り上げなければならない問題であると思います。それで、さっきも何回も申し上げました通り、北鮮の人たちを帰すということは、これは人道上当然であるという結論は、われわれも賛成であるが、同じ人道上の問題を主張するならば、国内において、もっと悲惨な立場にあって今日なお帰されない、いわゆる朝鮮に抑留されておる。韓国に抑留されておる人たちの解放の問題も、これも世界的に訴えて解決すべき問題ではないか。同時に表裏一体として、この問題は解決すべき問題ではないかということと、国内における措置は、今の水産庁次長並びに海上保安庁からの説明がありましたが、これは外交上の問題と表裏一体として考えましたときに、すぐにも解決する問題ではない。ないとするならば、国内的な処置にもっと力を入れなければならないじゃないか。そういう意味において大臣、一つ、この問題について閣議にかけるくらいの熱意をもってこの問題を解決せられるよう、私は強く要望しておきます。
 ほかの委員の御質問もありますから、私はこの程度でとどめておきます。
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