外務委員会

1965-03-05 衆議院 全60発言

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会議録情報#0
昭和四十年三月五日(金曜日)
   午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 安藤  覺君
   理事 椎熊 三郎君 理事 野田 武夫君
   理事 福田 篤泰君 理事 毛利 松平君
   理事 戸叶 里子君 理事 帆足  計君
   理事 穗積 七郎君
      菊池 義郎君    鯨岡 兵輔君
      竹内 黎一君    福井  勇君
      黒田 寿男君    河野  密君
      西村 関一君    川上 貫一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 椎名悦三郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  永田 亮一君
        外務事務官
        (アジア局長) 後宮 虎郎君
        外務事務官
        (アメリカ局
        長)      安川  壯君
        外務事務官
        (条約局長)  藤崎 萬里君
        外務事務官
        (国際連合局
        長)      星  文七君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (大臣官房外務
        参事官)    西堀 正弘君
        外務事務官
        (条約局外務参
        事官)     佐藤 正二君
        専  門  員 豊田  薫君
    —————————————
二月二十七日
 委員西村関一君辞任につき、その補欠として高
 田富之君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員高田富之君辞任につき、その補欠として西
 村関一君が議長の指名で委員に選任された。
三月二日
 委員永末英一君辞任につき、その補欠として門
 司亮君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員門司亮君辞任につき、その補欠として永末
 英一君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
 委員福田赳夫君辞任につき、その補欠として三
 原朝雄君が議長の指名で委員に選任された。
    —————————————
二月二十六日
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国政府とフランス共和国政府との間の
 条約の締結について承認を求めるの件(条約第
 七号)(参議院送付)
三月二日
 千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百
 十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五
 年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月
 二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三
 十一日にリスボンで改正された工業所有権の保
 護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条
 約の締結について承認を求めるの件(条約第八
 号)(予)
 千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百
 二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四
 年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年
 十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又
 は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する
 千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の
 締結について承認を求めるの件(条約第九号)
 (予)
同月三日
 航空業務に関する日本国政府とマレイシア政府
 との間の協定の締結について承認を求めるの件
 (条約第一〇号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 航空業務に関する日本国政府とマレイシア政府
 との間の協定の締結について承認を求めるの件
 (条約第一〇号)
 千九百年十二月十四にブラッセルで、千九百十
 一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年
 十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二
 日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十
 一日にリスボンで改正された工業所有権の保護
 に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約
 の締結について承認を求めるの件(条約第八
 号)(予)
 千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百
 二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四
 年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年
 十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又
 は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する
 千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の
 締結について承認を求めるの件(条約第九号)
 (予)
 千九百六十三年十二月十七日に国際連合総会決
 議第千九百九十一号(XVIII)によつて採
 択された国際連合憲章の改正の批准について承
 認を求めるの件(条約第二号)
 国際情勢に関する件(ヴィエトナム問題)
     ————◇—————
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安藤覺#1
○安藤委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。西村関一君。
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西
西村関一#2
○西村(関)委員 二月以降アメリカ空軍並びに南ベトナムの空軍が四回にわたって北ベトナム民主共和国の領内を爆撃いたしております。また、伝えられるところによりますと、ラオスにも侵入をしている、こういうことでございますが、このアメリカの攻撃は南ベトナムの空軍を伴ってではございますが、これが違法であるか適法であるかという点について、日本政府としての見解を承っておきたいと思います。
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椎名悦三郎#3
○椎名国務大臣 今回爆撃直後発表されたアメリカ並びに南越政府の共同声明には、報復措置ということばは全く使用されておらず、南ベトナムに対する侵略の継続についてすべての責任は北ベトナム側にあるということをハノイ政権に対して明確にせざるを得ないと述べ、北ベトナム側の侵略の具体的事例を列挙しております。
 また、大統領報道官リーディ氏は、爆撃実施後の記者会見で、今回の爆撃は、具体的な挑発行為に対する報復措置ではなく、北からの継続的な侵略に対抗する目的を持った正当な措置である、こう述べております。このように、今次の爆撃は継続的侵略に対する対抗措置としてとられたものでございますが、アメリカ・南越共同発表に指摘されているような北越の侵略行為というものにかんがみまして、やむを得ない措置であり、その意味において従来の報復措置と特に性質を異にするものではない、かように考えております。
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西
西村関一#4
○西村(関)委員 北ベトナムからの侵略に対する報復措置である、こういうアメリカ側の言明に対して、日本政府は一応これを支持するという方針をとっておられるかのごとく、いまの大臣の御答弁で承ったのでございますが、一体、北側からの南に対する侵略行為が具体的にどのようにして行なわれておるか、かつまた、国際監視委員会があるのでございますが、国際監視委員会がこれに対してどういう結論を出しているのでございますか。
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後宮虎郎#5
○後宮政府委員 御承知のとおり、アメリカ政府は、二十七日の午後六時にいわゆるベトナム白書というものを発表いたしまして、これには、具体的に、北越からの人的及び武器の補給状況を述べているわけでございます。
 それでは、休戦委員会ではどういう措置をとり、どういう報告をしておるかということでございますが、最近、このベトナム白書の状況等につきましては、米国からICC休戦委員会のほうにも報告書を提出したというふうにも言っておりますが、ICC自体の報告としましては、最近のものにつきましてはございません。ただ、御承知のとおり、一九六二年の特別報告におきまして、北ベトナムのほうが南ベトナムに人員、武器を送っているということを多数意見として出している事実はございます。
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西
西村関一#6
○西村(関)委員 その後新聞の報ずるところによりますと、多数意見は、ポーランドとインドはその事実はない、ただカナダがその事実があるということで、逆転した報告を出しているというふうに新聞等に報じられておりますが、多数意見はその事実なし、少数意見、カナダが事実あり、こういう報告を出しているということが新聞記事に載っておりますが、その点、日本政府としてはそういう点について何か御存じですか。
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後宮虎郎#7
○後宮政府委員 新聞に伝えられましたような事実は公式に承知しておりません。
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西
西村関一#8
○西村(関)委員 日本政府は、アメリカと特別な関係にある立場から、相互信頼の精神によって、アメリカのベトナム白書を一応信頼すべき文書である、こういう見地に立っておられるようでございますが、事実北からの浸透が従来からどのように行なわれておったかという点について、具体的にアメリカのベトナム白書のどういう点をどのように事実として認めておられるかということをお伺いしたいと思います。
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椎名悦三郎#9
○椎名国務大臣 白書の概要につきましては、政府委員から一応明らかにしたいと思います。
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後宮虎郎#10
○後宮政府委員 御承知のとおり、日本政府といたしましては、特にベトナム方面に広範な自分の情報機構というものを持っておりませんので、結局、米国大使館等の発表、それから、向こうの米国官憲がろ獲武器の展覧を現地でいたしたりします。そういうものによって心証を得ておる、そういうことでございます。
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西
西村関一#11
○西村(関)委員 南ベトナム民族解放戦線の部隊、いわゆるゲリラ部隊がすでに南ベトナムにおけるところの領域の八割、その人口の五割を支配しているということは、これはアメリカ側の報道関係においても認められておるところでございます。これが北からの武器・弾薬・人員の補給によってなされておるかどうかということにつきましても、南ベトナム民族解放戦線は全く北から独立した組織であり、機構であり、独立した活動をやっているということも事実であると思うのであります。もちろん、同じベトナム人同士、同じベトナムの完全解放を目ざしておる立場から、南北の交流が全然ないとは言えないと思いますけれども、しかし、多量の武器・弾薬・人員の補給が北から行なわれておるということは、どうしても考えられないのであります。アメリカ側が提示しておりますところのいわゆる証拠というものも、その基礎がきわめて薄弱であるということは、アメリカの世論の中においても出ておる。アメリカの上院あたりにおけるところの議論も、どうも北に対する爆撃の根拠は薄弱じゃないかというような議論も出ておるくらいでございます。
 私も現地へ参りましたが、あの十七度線を越えで、あそこから南へ入ってくるということは、もちろんできません。北ベトナムのヴィンからラオスのラクサオに入り、さらに南ラオスを越えて南ベトナムに入ってくるいわゆるホーチミンルート、これは私もプノンペンからハノイへ四時間にわたってちょうどその上空を飛んだのでありますが、見渡す限りのジャングルであります。トラや野象の通るところであります。そういうところを多数の武器・弾薬・兵員の補給路として用いるということは、どう考えてみても、これはおとぎ話としか受け取れないのであります。事実そういうホーチミンルートなるものが存在しておるかどうか。私はハノイにおいてホーチミン大統領に会いましたが、全くそういうものが存在するはずがないし、する必要もないというようなことを言っておったのでございます。また、海上からの補給と申しましても、これは、最近においてこそ民族解放戦線軍が海岸地帯の一部を支配いたしておりますけれども、従来は、一応、海岸地帯におきましては、南ベトナムの最南端の地方を除きましては、サイゴン政府軍側が押えておった。そういう状態で、海上からの補給ということも従来はできなかった。最近におきましては、ユエの南方でありますとか、北の海岸地帯も民族解放戦線軍の支配に帰しておるようでございますけれども、そういう情勢の中において、海上からの多数の武器・弾薬・人員の補給というようなことは考えられないのであります。
 同時に、南ベトナム民族解放戦線部隊が南ベトナムにおけるところの民衆の支持を受けておるということは、私はいろいろな階層の人たちに会いましたが、南ベトナムの新聞記者の諸君、南ベトナム側の報道関係の人、また政治家もインテリ層も、みな異口同音に認めておるのであります。私はアメリカの軍人とたまたまユエにおいて会う機会がありました。いろいろ話し合いをいたしましたが、このアメリカの軍事顧問団の中尉が私に語ったところによりましても、ベトコンはいずれの地域においても民衆とともにおるので、どこからどこまでがベトコンであって、どこからどこまでが非戦闘員であるかという区別がつかない、幾ら村から外へ出ろと言っても、村人たちは村の外へ出ないから、やむを得ず無差別爆撃をやらなければならないということを言っておったのであります。しかも、このアメリカの軍事顧問団の中尉は、もうこういう戦争はいつまでも続けるべきではない、一日も早くやめなければいけないのだ、何のために戦っているのかわけがわからないのだというようなことさえも言っておったのであります。民衆の中にあって民衆とともに戦っておる南ベトナム民族解放戦線部隊の数が増加しておるということは、そういうところに根拠がある。北からの補給ではなくて、戦闘を繰り返すたびごとに二百とか三百とかいうような政府軍の部隊が行くえ不明になる、多数ベトコン側に投降するということも事実である。そのときにアメリカ製の武器弾薬を持って投降してくる。その投降した政府軍の部隊の武器弾薬及びろ獲された武器弾薬をもって彼らは戦っておる。トイホアの飛行場を攻撃いたしましたときにも、その攻撃のために用いましたところの迫撃砲はアメリカ製の迫撃砲である。これはアメリカ側が報道しているところでございまして、むしろ、ホーチミンルートによって武器弾薬が補給されているのではなくて、ジョンソンルートによって、アメリカの武器弾薬によって戦っておるということのほうが事実に近いのであります。
 私は、戦争でございますから、全然北からの補給がないということは言い切れないと思いますけれども、しかし、非常に多くの部隊や非常に大きな量にのぼるところの武器弾薬が北から補給されておる、そういうことのために報復爆撃をやるということは、非常に理由が薄弱である。のみならず、これはジュネーヴ協定の精神に違反するものであるし、国連憲章にも違反するものであると考えるのでございます。具体的な北からの攻撃の事実が、いま申し上げましたような点にかんがみまして、きわめてその理由が薄弱であるというときに、ただ、物資や人員の浸透がある、正当な自衛の措置として北に対する爆撃を繰り返すのだということをアメリカ側が言っておる、その点を日本政府がそのまま是認するということは、私はきわめて危険な態度ではなかろうかと思うのでございます。正当な自衛の措置とする法的な根拠は一体どこにあるか。事実の点から申しましてもさようでございますが、法的な根拠から申しましても、国連憲章の第五十一条には自衛権の規定がございますが、その自衛権の規定のどれに一体該当するか。「武力攻撃が発生した場合」という、そのどこに該当するか。どのように日本政府はこの国連憲章五十一条の規定を解釈しておられるか。その点をお伺いいたしたいと思います。
 これは、いま非常に危険な段階に来ておる。もしこのエスカレーター方式によるところの北への爆撃が繰り返されていくならば、十九度線を越えてさらに北のほうに進められてまいりますならば、それこそ第二の朝鮮戦争、また、まかり間違えば核熱兵器によるところの世界最終戦にまで発展する危険がないとは言えない。同時に、これを爆撃しているところのアメリカの空軍の多くの部隊は第七艦隊から飛び立っておる。北ベトナムがそのアメリカ第七艦隊の基地であるところの日本の佐世保を爆撃するといったようなことがないことを私はもちろん願うものでありますが、もしそういう事態が起こった場合に、これまた自衛の措置ということで片づけられるかどうか。そういう点に対して非常に重大な段階に来ておると思うのでございますが、政府の御見解を承りたいと思います。
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椎名悦三郎#12
○椎名国務大臣 白書にも書いてありましたし、それからまた、最近の第四次爆撃後のアメリカ及び南ベトナムの共同声明にもございましたが、武装した艦船が多数の兵器、それから弾薬を満載して、そして北ベトナム・南ベトナムの国境の付近を航行しておったという、こういう事実をあらゆる角度から証明し、その後において、わずか二週間のうちに数カ所で善良な民衆が合計百数十人殺害された、あるいはバスの遭難事件だとか、そういったようなものがほとんど連日発生しておる、こういうようなことは結局放置することができない、これに対して継続した侵略が行なわれておるという前提のもとに反撃を行なったということが発表されております。もしそういう事実がありとすれば、私は、やはりこれに対して供手してその被害をただ待っておるというようなわけにはいかぬので、これに対する武器の貯蔵所であるとかそういう基地に対して攻撃するということも、これは当然行なわれるということはやむを得ざる措置である、かように考えておるのでございまして、いわゆる報復の行動である、かように私は考えておるのであります。
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安藤覺#13
○安藤委員長 ちょっと申し上げます。参議院予算委員会が再開されまして、いま外務大臣を待ちわびておるそうでありますので、十一時までにここを外務大臣に離れていただくことにいたします。どうぞ御了承願います。
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椎名悦三郎#14
○椎名国務大臣 なお、これに対する国連憲章の解釈につきましては、政府委員から御答弁申し上げたいと思います。
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西
西村関一#15
○西村(関)委員 外務大臣が十一時に立たれるのですから、条約局長の答弁はあとにしていただきまして、いま大臣の言われましたような点は、全くアメリカの一方的な言い分をそのままうのみにしておられるのでございまして、その武器弾薬がはたしてどこ製のものであったか、また、どのくらいの量であったかということも、これは一方的にアメリカ側の報道をそのままうのみにしておられる以外の何ものでもないのです。そういうことでは、きわめて自主性を欠いておると言わなければならぬのでございます。昨年の八月のトンキン湾事件のときも、全く架空な、それこそ水鳥の飛び立ったのが映像に映ったということで、すわ攻撃だということで、ああいう無謀な爆撃をやっておる。(「ニューヨークタイムズを読んでないじゃないか」と呼ぶ者あり)そういう例もあるのでございまして、そういうようなことにつきましては、いまもこちらから話がありましたように、アメリカの報道機関でさえも理由薄弱であるということをるる述べておるときに、日本政府がそれをそのまま是とするということは、私はきわめて危険だと思うのでございます。バスのお話がございましたが、バスはごくわずかな例外を除いて正常な運行を続けておるのです。もちろん、南ベトナム解放戦線部隊がバスをとめることは毎日のようにございます。毎日のようにございますが、全然民衆には危害を加えないし、バスの会社も民族解放戦線軍が来るということを承知の上で通行税を払って運行をやっておるのです。乗客もまたそのことを承知で一人一人通行税を払ってバスに乗っておるのであります。もちろんアメリカ人に対しては敵と考えて徹底的に攻撃を加えておりますが、ベトナム人に対して、またわれわれ日本人に対して彼らは何ら危害を加えないというのが事実でございます。これは、いま大臣の言われましたようなことは、アメリカ側がどういう根拠に基づいてそういうことを言っておるかということもきわめてあいまいだと思うのでございます。全体としてはそういう状態であるということを、私は不十分な見聞ではありますけれども、九日間にわたる南ベトナムにおける旅行を通じていろいろ体験をしてまいったのでございます。そういうことを根拠として大臣がアメリカの言い分を是なりとなさるということは、私は、非常に重大な段階に来ておると思いますがゆえに、きわめて遺憾に思います。また、ラオスのカンカイまで爆撃をやっておる。これはパテトラオの本拠に向かって爆撃をやっておるということでございますが、これはまた間接には北に対する牽制だということを言っておる。これは実に危険なことでございまして、こういう危険なアメリカの攻撃に対して、一から十までアメリカの言い分を聞いてこれを是なりとしていかれるということは、全く自主性のない態度だと思います。アジアの一員としての外交から言っても、日本はベトナムの問題に対して重大な関心を持ち、それこそ日本がこの問題の解決に乗り出して自主的な和解、融和の工作をやり出すというくらいの気がまえを外務大臣は持っていただきたい。アメリカ側の一方的な言い分だけを聞いておられるのでは、そういうことはできません。これはアジアの一員としての外交を貫いていこうということにはきわめてもとるやり方だと言わなければならぬと思うのでございます。時間がございませんので、この一点について外務大臣のきわめて簡潔な御所信を承って、問題を次回に保留さしていただきたいと思います。
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椎名悦三郎#16
○椎名国務大臣 もちろん、日本といたしましては、ベトナムの政治的な安定をこいねがうものでございまして、限度を越えた戦争拡大ということについては、これはわれわれは承知はできない。そういう表明はあらゆる機会にアメリカに対して表明しておるのであります。でありますから、一日も早く平和の来たることを希望するのでありますけれども、とにかく、ベトコンの国内のテロ行為というものはやまない。この段階においては、直ちに平和解決のための話し合いを始めるということは不可能である、かように考えておるのでございまして、一日も早くこの国内撹乱工作というものがやみ、アメリカも軍事活動をやめる、そういう段階を迎えて、平和建設に進む段階が一日も早く来たることを非常にわれわれは希望しておるのでございます。
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安藤覺#17
○安藤委員長 外務大臣は、参議院の予算委員会から出席を求められておりますので、そのほうへ出席のため退席をいたさせます。
     ————◇—————
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安藤覺#18
○安藤委員長 航空業務に関する日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約の締結について承認を求めるの件、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。外務政務次官永田亮一君。
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永田亮一#19
○永田政府委員 ただいま議題となりました三件につき、まず航空業務に関する日本国政府とマレイシア政府との問の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 日本航空株式会社は、昭和三十三年にシンガポールへの運航を開始し、昭和三十七年に路線をジャカルタまで延長して現在に至っております。このシンガポールヘの乗り入れは、わが国と英国との間の航空協定に基づいて行なわれていたものでありますが、昭和三十八年九月にシンガポールがマレイシアに併合されたため、マレイシアとの間に新たに航空協定を締結する必要が生じました。よって、政府は、昭和三十九年にマレイシア政府と協定締結のための交渉を行ないましたところ、合意が成立しましたので、昭和四十年二月十一日にクアラ・ランブールでこの協定の署名を行なった次第であります。
 この協定は、わが国とマレイシアとの間に定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件とを規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれ業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国がこれまでに締結した二十カ国との間の航空協定と形式においても内容においてもほぼ同一であります。
 この協定の締結により、両国の航空企業はそれぞれ両国間の定期業務を運営する権利を与えられるのみならず、わが国とマレイシアとの間の経済上及び文化上の友好関係も一そう促進されることが期待されます。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、千九百五十八年にリスボンで改正されました工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約の締結について承認を求めるの件、及び千九百五十八年にリスボンで改正された原産地虚偽表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を一括して御説明いたします。
 工業所有権の国際的保護については、一八八三年に作成されたパリ条約がその後随時必要な改正を施されて現在に至っており、工業所有権の保護を国際的に保障するために必要な統一的規制が行なわれてまいりました。一方、貨物の原産地虚偽表示の防止に関しましても、一八九一年四月十四日に作成されたマドリッド協定が数次にわたり改正され、この分野における国際的規制を行なっております。
 このように、パリ条約及びリスボン協定は、いずれも戦前しばしば改正補完されてまいったものではありますが、工業技術の国際的交流及び貨物の国際的流通は戦後著しく盛んとなり、これに伴って工業所有権及び原産地名称の国際的保護制度を一そう完全なものにするためこの条約及び協定に改正を加えることが必要となり、その結果、一九五八年十月六日から同年十月三十一日までリスボンにおいてこの条約及び協定の改正に関する外交会議が開催された次第であります。
 この会議で行なわれた改正の主要点は、パリ条約につきましては、特許出願の対象の一部についても優先権の主張を認めるように改めたこと、政府間国際機関の旗章等を保護の対象に加えたこと、商標の権利者を代理人による不当な商標登録から保護するための規定が新たに設けられたこと等であり、マドリッド協定につきましては、原産地の虚偽表示のみならず原産地について誤認を生じさせる表示にも規制が及ぶよう改めたことであります。
 本年一月一日現在、リスボンで改正されたパリ条約の締約国は、英、米、独等を含む二十八カ国、同マドリッド協定の締約国は、英、仏、スイス等七カ国であります。なお、わが国が参加しているロンドンで改正されたパリ条約及びマドリッド協定の当事国は、それぞれ四十三カ国及び二十四カ国でありましで、主要国はほとんどこれらに参加しており、これら諸国も近く本件リスボン改正条約及び協定に加入するものと考えられます。
 わが国は、従来から、工業所有権の国際的保護及び貨物の国際的取引の公正化に対して強い関心を抱き、パリ条約には明治三十二年に、また、マドリッド協定には昭和二十八年にそれぞれ加入して以来、これら分野における国際協力に貢献してまいった次第でありまして、一九五八年にリスボンで行なわれた。ハリ条約及びマドリッド協定の改正の内容も妥当なものと認められます。したがって、リスボンで改正されたパリ条約及びマドリッド協定に参加することは、わが国の行なう国際的技術交流を促進し、かつ、国際的な公正取引の分野におけるわが国の信用を高める上に有益であると考えられます。
 よって、ここにこの条約及び協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につき何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
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安藤覺#20
○安藤委員長 これにて提案理由の説明を終わりました。
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安藤覺#21
○安藤委員長 次に、千九百六十三年十二月十七日に国際連合総会決議第千九百九十一号(XVIII)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件を議題といたします。
 質問通告があります。これを許します。戸叶里子君。
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戸叶里子#22
○戸叶委員 ただいま議題になりました国連憲章の改正につきまして、二、三点質問をしたいと思います。
 この間の二月十六日の本会議で、国連憲章改正についての質疑の際にわが党の西村委員によって指摘されました、憲章第五十三条、第百七条のいわゆる旧敵国条項の削除につきまして政府は積極的に提案すべきだとの質問に対して、外務大臣のお答えは次のとおりでございました。それは、「この改正は望ましいものである」「しかし、わが国のごとく、平和愛好国として国連に加盟いたしました国にとっては、この条項は適用されないものと解釈しておりますので、あわせて御参考までに申し上げておきます。」と述べておられます。
 そこで、お尋ねいたしますが、平和愛好国として国連に加盟した国にとってこの条項は適用されないと解釈するという、そういうふうにお答えになりましたのでございますけれども、その憲章上の法的根拠はどこにございますでしょうか。この点を伺いたいと思います。
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藤崎萬里#23
○藤崎政府委員 第五十三条、第百七条の立法の趣旨から申しましてさように考えるわけでございまして、第五十三条では旧敵国の侵略政策の再現に備えるということを言っておりますけれども、国連加盟を認められたということは、日本が平和愛好国であるということが認められたわけでございまして、特に日本だけが侵略政策をまたやりそうな国だというふうに、ほかの加盟国から差別されない状態になっている。そういうわけで、こういうような侵略的傾向のある国に向けられたような条項は、当然、加盟を認められることによって適用がなくなるものと解すべきであると考える、こういうことでございます。
 それから、第百七条のほうは、これは、戦後の平和条約とかその他のいろいろな取りきめをいたします場合に、必ずしも国際連合憲章と完全に適合しなくても差しつかえないという趣旨の規定でございますけれども、日本はもうすでに全面的に平和関係を世界各国と回復しておるわけでございまして、したがいまして、すでにこういう第百七条が適用され得べき段階を経過してしまったわけでございますので、第百七条が適用されるべき場がもうなくなっておる、かように考えるわけでございます。
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戸叶里子#24
○戸叶委員 いまの条約局長の御答弁は、本会議においての外務大臣の答弁に対する肉づけといいますか、それを少しふくらまして答弁されたにすぎないわけです。そして、これはもう適用される場がないというふうな御答弁でございましたが、それはやはり日本政府の希望的観測じゃないか。やはり、はっきりと国連の場において、こういうふうなものが日本に適用されないのだというふうな確証がなければ、私はやはりそこに問題があると思うのです。したがって、政府のいまのような解釈というものがはたして国連において有権的に認められているかどうかということは問題じゃないかと私は思うのですけれども、この点はどうでございますか。もしもその各加盟国のすべてがいまおっしゃったような考えであるとするならば、この改正のときを利用してといいますか、この改正と同じときに、この条項に対してはっきりと日本の政府が打ち出して、そしてこういうものを改正をすべきじゃないかと思うのです。簡単に改正できると思うのですけれども、それを改正しないという理由は一体どこにあるのでしょうか。
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藤崎萬里#25
○藤崎政府委員 御意見の趣旨はよくわかりますけれども、ただ、これは、いままでに日本がこの条項を援用をされましてこれあるがために不利な立場に立たされたことは一ぺんもないわけでありまして、いままで問題になったことがないために、国連の有権的な解釈なんというものも定まっておりません。そういう実際上の支障がないために、なかなか、ほかの国の関心をこれに引こうとしても、いわば、何といいますか、精神的な面の問題なものでございますから、関心が高まってこないわけでございます。この点は、安保理事会のメンバーをふやすとか経済社会理事会のメンバーをふやすとかいうことは、それをふやしたいという国が非常に多いわけでありますので、やりやすいわけであります。この今度の改正はそういう部分的改正でございまして、いまの五十三条とか百七条とかいうものは、別にこれを軽く見る意味ではありませんけれども、いわば、もうその目的を達してしまったような、戦争中に作成された国際連合憲章というものに残っておる尾テイ骨みたいな条項だとわれわれは考えておりますが、これは全体的に憲章が再検討されるときに整理されるべきものである、かように考えておるわけでございまして、これを軽視しておるというつもりはないのでございます。
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戸叶里子#26
○戸叶委員 関心が高まってこないからとか、あるいは不利な立場になるというようなことが考えられないというふうな御答弁でございますけれども、やはり、こういうふうな条項がありますと、それは無効だとは言えないし、有効だと思うのです。こういう条項があること自体は有効だと思うのです。したがって、いまその場にならないからといいましても、いっそういうふうな場合にならぬとも限らないし、ほかの数をふやすとかなんとかいうことの改正ならすぐできるけれどもというお考えでございますけれども、日本は国連に加盟しておる、そしてこういうことが気にならないと幾ら政府がおっしゃいましても、やはり、この文章がある以上、この条項がある以上は、その効力というものは現実に残っているのですから、そういう問題を日本が取り上げて、そしてこの改正の機会に持ち出すべきではないか、私はこう思いますけれども、このままにしておいて、時期を見てということで、やらないでもいいのだというふうなお考えでございますか。
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藤崎萬里#27
○藤崎政府委員 この間の国連総会で外務大臣が憲章の改正の問題を取り上げましたのも、こういう点も含めてでございまして、私どもといたしましては、できるだけ早い機会にこの改正が実現されるように希望いたし、また努力もいたしておる次第であります。
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戸叶里子#28
○戸叶委員 そういうふうなお考えでございましたならば、やはり、この今度の改正のようなときを利用して、しかも外務大臣がそういう発言をされているのですから、もっと強くその希望を述べて、そして改正に持っていくべきである、私はそう思いますが、いまの条約局長の御答弁では、総会でも外務大臣がそういうふうな意見を述べられたし、政府としてもそういうことを望んでいるというようなことばでございましたから、私も早くその改正に持っていってもらいたいと思うわけです。ただ、私、はっきりしませんけれども、たしか、この問題は、鯨岡先生だったと思うのですが、国連総会に外務大臣が出席される前にこの問題をぜひ取り上げるべきであるというような意見をお出しになったと思いますが、そのときには、そういうふうにいたしますというお約束をされたように思いましたけれども、私の記憶間違いだったらば取り消しますけれども、たしかそういうふうなお約束でいらしたからには、やはり、今度の機会を利用して、当然、この数をふやすというときに、同じレベルでというか、もっとそれよりも大事な問題としてこれを取り上げるべきじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがでございましょうか。
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藤崎萬里#29
○藤崎政府委員 私も記憶違いかもしれませんが、鯨岡先生がお述べになった意見は、安保理事会、経済社会理事会の増員の改正に対して日本政府はまだ態度を明らかにしていないが、積極的にこれは賛成して、ほかの国が批准しようがしまいが、右顧左べんしないで進むべきであるというような御意見であったと思うのでございます。
 それから、憲章改正の点については、戸叶先生もそういう御趣旨じゃないと思いますけれども、いまのこの増員の改正というのは、もちろんAA諸国でも非常に熱心なわけでございまして、これはこれとして一応改正は早く実現させまして、また、敵国条項の改正は、それは別としてできるだけ早く取り上げられるように努力いたしたい、かように考えます。
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