社会労働委員会

1974-05-23 衆議院 全343発言

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会議録情報#0
昭和四十九年五月二十三日(木曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 野原 正勝君
   理事 大野  明君 理事 斉藤滋与史君
   理事 葉梨 信行君 理事 山口 敏夫君
   理事 山下 徳夫君 理事 枝村 要作君
   理事 川俣健二郎君 理事 石母田 達君
      愛野興一郎君    伊東 正義君
      小沢 一郎君    加藤 紘一君
      瓦   力君    小林 正巳君
      住  栄作君    田川 誠一君
      田中  覚君    竹中 修一君
      戸井田三郎君    登坂重次郎君
      橋本龍太郎君    旗野 進一君
      林  大幹君    粟山 ひで君
      大原  亨君    金子 みつ君
      島本 虎三君    田口 一男君
      田邊  誠君    多賀谷真稔君
      土井たか子君    村山 富市君
      森井 忠良君    山本 政弘君
      田中美智子君    大橋 敏雄君
      坂口  力君    伏木 和雄君
      和田 耕作君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
 出席政府委員
        厚生大臣官房審
        議官      三浦 英夫君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省薬務局長 松下 廉蔵君
        厚生省児童家庭
        局長      翁 久次郎君
        厚生省保険局長 北川 力夫君
        社会保険庁医療
        保険部長    柳瀬 孝吉君
 委員外の出席者
        法務大臣官房審
        議官      鈴木 義男君
        外務大臣官房領
        事移住部長   穂崎  巧君
        外務省国際連合
        局外務参事官  野村  豊君
        厚生省児童家庭
        局母子衛生課長 本田  正君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    —————————————
委員の異動
五月二十三日
 辞任         補欠選任
  大橋 武夫君     竹中 修一君
  加藤 紘一君     小沢 一郎君
  粕谷  茂君     愛野興一郎君
  中村 拓道君     旗野 進一君
  羽生田 進君     林  大幹君
  島本 虎三君     多賀谷真稔君
  山本 政弘君     土井たか子君
同日
 辞任         補欠選任
  愛野興一郎君     粕谷  茂君
  小沢 一郎君     加藤 紘一君
  竹中 修一君     大橋 武夫君
  旗野 進一君     中村 拓道君
  林  大幹君     羽生田 進君
  多賀谷真稔君     島本 虎三君
  土井たか子君     山本 政弘君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 優生保護法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 第七十一回国会閣法第一二二号)
 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第五五号)
 結核予防法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第三四号)(参議院送付)
     ————◇—————
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野原正勝#1
○野原委員長 これより会議を開きます。
 優生保護法の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、結核予防法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
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土井たか子#2
○土井委員 人命の尊重、それから人口対策、そういうふうな観点から、今日の人口問題というのは一国規模でなく、地球的な規模において考えられなければならないというのがいわば常識化しております。これは常識だと思うのですね。世界の人口はいまや三十七億をこえて、やがて二十一世紀に入りますと、七十億をこえる時代を迎えることになるというふうにいわれております。はたしてその人口を養えるだけの食糧と資源は心配ないのかどうか、今後いろいろな会議で重要な課題となるに違いございません。
 ここで、外務省、御出席をいただいていると思いますが、国連もことしを世界人口年というふうに定めまして、来たる八月に第三回世界人口会議がルーマニアの首都のブカレストで開かれるようになっておりますが、外務省にお尋ねをまずしたいのは、食糧不足、貧乏の問題を解決して世界の国々が繁栄をするためには、人口問題を解決するのが根本でございます。国連中心主義のわが国の外交姿勢として、積極的にこれには協力すべきであるというふうに考えられているわけですが、国連でこの問題についてどのような役割りをいま日本は果たして、具体的にどういうふうな行動をおとりになっているかをまずお伺いしたいわけでございます。
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野村豊#3
○野村説明員 ただいま先生の御指摘のございましたとおり、この人口問題というものはきわめて重要な問題でございまして、とにかく世界の各国が全部力を合わせまして地球的な規模におきまして協力しなければならないということは非常に認識されておるところでございます。そういった意味から、すでに国連におきましては人口委員会というものがございましたけれども、一九七〇年の国連総会におきまして、特に一九七四年を人口年とするということがきまりまして、かつまた、ただいま先生の御指摘のございましたとおり、ことしの八月十九日から三十日まで、ブカレストにおきまして世界人口会議というものが開かれることになっておるわけでございます。
  〔委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕
こういうように国連がこの問題に非常に積極的に取り組んでおるわけでございまして、わが国も国連の世界人口会議という機会をとらえまして人口問題に対処しようということはきわめて時宜を得たものでございまして、わが国といたしましてはこれに積極的に寄与をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。特にわが国は御承知のとおり人口問題につきましては多くの経験と知識を有しておるわけでございまして、そういった日本の経験なり知識に対しますところの期待というものもあるわけでございます。先ほど御指摘のございましたとおり、わが国はこの人口問題につきましては当初から世界人口委員会のメンバーとして活躍しておるわけでございまして、この人口委員会が世界人口会議の準備に当たってまいったわけでございます。そういった意味で、わが国はこの世界人口会議に十分な寄与をいたしたいということでございまして、現在、厚生省さんをはじめ関係各省の方々を含めましていろいろと検討しておる段階でございます。
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土井たか子#4
○土井委員 いま検討段階だと御答弁なさいましたが、この国際会議に臨まれる政府の態度として、外務省はどのような見解を具体的に用意すべきだとただいまの段階ではお考えでいらっしゃいますか。
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野村豊#5
○野村説明員 今回の世界人口会議に関しましては、現在国連の事務局におきまして諸種の資料を準備しておる段階でございまして、まだそういった資料が十分そろっておりません。しかしながら、人口会議の準備会を通じまして、とにかく今回の世界人口会議におきましていろいろな議題、たとえば人口と家族あるいはまた資源との問題等につきましても議論するわけでございますが、特にその議題の中では、行動計画というものもいま検討が進められておるわけでございます。そういったものにつきましては、特にわが国といたしましては、わが国の知識、経験を分かち合いまして、世界各国のコンセンサスが得られるような一つの協力の方向というものが打ち出されるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 かつまた、御承知のとおりすでに最近、人口問題審議会におきましても、そういった世界人口会議に臨みますところの態度等につきましても、いろいろ御答申もちょうだいしておるわけでございますし、さらに国会方面におきましても非常に超党派的な人口問題懇談会というものも結成されたやにわれわれ承知しておるわけでございまして、そういった意味で非常に心強く思っておるわけですけれども、そういった方々の御意見もいれましてこの会議に臨みたいというふうに考えておる次第でございます。
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土井たか子#6
○土井委員 いま外務省のほうの御答弁では、人口問題審議会をはじめとしていろいろな調査機関が、特に政府の諮問機関として果たしてまいりましたその役割りを答申という形で出している中身も考えて、それを参考にして国際会議の場に臨みたいという御答弁でありました。
 そこで、厚生大臣にひとつお伺いをしたいのです。
 厚生大臣の諮問機関に人口問題審議会というのがございますね。この人口問題審議会は、四十九年の四月十五日の日に「日本人口の動向の概要」という、私いま手にいたしておりますが、この答申を出しております。この中には、大臣もよく御承知のとおりに、「本審議会はすでに昭和四十四年の中間答申において、わが国人口が静止人口の状態になることが望ましいとした。現実には、今世紀末までに増加率こそ減少しつつも、なお二千万ほどの人口増加が予想される現在、世界人口の動向と各種の課題にかえりみて、少なくとも現在の人口再生産力を上まわることのないよう方策を考えるべきである」というふうに述べられております。人口増加の抑制についての方策というところを考えてあります。こういうふうな答申をもって、先ほど外務省は国内にある種々の見解、特に審議会で述べられている答申などを参考にしながら、具体的な見解をかの国際会議においては述べるべきであるというふうな御答弁でありますが、これに対しまして、厚生大臣はいま申し上げた人口問題審議会の答申等に基づいて、どういう見解をもって国際会議にお臨みになるわけでありますか。
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齋藤邦吉#7
○齋藤国務大臣 人口問題は非常にむずかしい問題でございまして、しかもこれは全世界的な、グローバルな立場において考えていかなければならぬという、非常に大きな問題でございます。将来の人口の扶養力の問題それとの関連において資源が非常に大きな問題になってまいります。さらにまた将来の経済生産とにらみ合わしての労働力の問題、各般の問題を頭に描きながら豊かな世界、平和な世界を建設するためのグローバルな見地において考えていかなければならぬと考えておるわけでございます。
  〔大野(明)委員長代理退席、委員長着席〕
 ところで、日本では、私率直に申し上げますが、国の方針としての人口問題に対する政策といいますか、そういうものがまだ十分に明らかにされてない、これは率直に言うてそうだろうと思うのです。そこで、この人口問題審議会もそういうことを積極的に急いでやらなければだめですよという意見を出しておるわけなんですね。これはもうお読みになればおわかりになっていただける、そのとおりであります。そこで、実はいま私どものほうでもこの人口問題審議会の答申をもととし、さらにまた人口年における各国の準備室におけるいろいろな資料、そういうものをもととして、ひとつその人口年の大会が開かれるまでにかちっとしたものをはっきりきめるようにしていきたい、こう考えておりまして、目下関係各省その他と十分連絡をとりながら勉強をしておる、こういう状況でございます。
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土井たか子#8
○土井委員 つけ焼き刃の勉強では間に合わない。特に人口問題というのは政治の基本問題だというふうにも考えられている問題でありますから、急にお考えになってどうのこうのというわけじゃ私は実はなかろうと思うのです。大臣は大臣なりに、日本の将来の人口政策いかにあるべきかというふうなお考えは当然お持ちになっているはずだと思うわけです。
 そこで、この点いかがなんですか。大臣、わが国人口について将来どういうふうなあり方が好ましいか。つまり、審議会は静止人口の状態になることが好ましいという答申を出しているわけであります。これについてはどうお考えでいらっしゃいますか。それくらいはお答えになって当然だと思います。
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齋藤邦吉#9
○齋藤国務大臣 私は、この審議会の答申というのは大体において妥当なものだと考えているのです。ですから、その点については、ここに「静止人口に近い線をたどるといえるが、それでも、なお」云々、こう書いてありますね。まことに同感であります。私はそう思っております。
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土井たか子#10
○土井委員 そういうことになってまいりますと、その次にたいへん重視さるべきは、家族計画という問題がやはりどうしても出てまいります。
 そこで、外務省に再度お尋ねをいたします。
 発展途上国の人口問題というのは、いままでにたいへん大きな課題を背負いながら、それらの国々の国内問題でありますから他国がこれについては口出しをすべき問題ではないという考え方が、つい最近まで国際社会で支配しているおおよその考え方でございました。その背景を見てまいりますと、人口は国力であるという非常に古い考え方がございまして、出生抑制に関連して先進国が国際援助を行なうことに対して疑問を抱くという風潮が一連の風潮として見られたわけでございます。
  〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕
ところが最近はそれらの考え方も急速に弱まってまいりまして、特にアジア地域の政府は家族計画に積極的な態度をとっているものが多いわけであります。私がここに持ってまいりました中にも、東南アジアの開発閣僚会議というのが共同声明を七〇年の五月二十五日ジャカルタにおいて発表された。続いて七二年十二月十三日、サイゴンにおいて共同声明が発表されている。中身を見ますと、それぞれがやはり家族計画に対して非常に積極的な態度をとっております。それだけアジアの発展途上国が深刻な人口問題に悩まされているというわけでありますから、わが国としてはどのような役割りを果たさなければならないかということが、具体的な問題として、国際社会の間においては出てこようと思うのです。このことに対して外務省としてはいまどういう態度でこの問題に当たっていらっしゃるか、ひとつありますれば、国連に対してのいろいろな拠出金についての中身もつけ加えて、御答弁願えれば幸いです。
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野村豊#11
○野村説明員 ただいま先生の御指摘のございましたとおり、この人口計画というものはきわめて機微な問題でございまして、確かにおっしゃいますとおり、従来ある国の一部では、これはいわゆる国力の一部だということから、若干消極的な態度をとる国もございましたし、かつまた、いろいろ、宗教、風俗、習慣等々の問題もございまして、かなり機微な問題でございます。したがいまして、わが国に対しましてはもちろん、先ほども申し上げましたとおり、いろいろわが国の知識、経験もあるわけでございますけれども、そういった家族計画に対しますところの協力というものは、一つは国際的な機関を通じまして協力していく。特に、国連の人口活動基金とか、あるいはまた国際家族計画連盟というものを通じまして協力していこうということでございます。幸い本年度の国連の人口活動基金に対しましては、今国会におきまして五百万ドルの拠出が認められたわけでございまして、これは従来二百五十万ドルの拠出でございましたけれども、これが倍増をしていただいたわけでございます。そういった国連の、あるいはまたその他の国際的な機関を通じまして協力をいたすということも一つはやっておるわけでございます。
 第二におきましては、二国間ベースといたしまして、それぞれの発展途上国からの要請に応じまして、いろいろ家族計画の協力をいたすということでございます。これは従来から技術協力事業団等を通じまして、技術協力の一環といたしまして、家族計画のセミナーでございますとか、研修生の受け入れでございますとか、あるいはまた専門家の派遣あるいは器材の供与等を実施してまいっておるわけでございます。そういったことで、特に最近は東南アジアの国々を中心といたしまして、そういった家族計画の協力を進めておるというのが現在の実情でございます。
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土井たか子#12
○土井委員 外において、特に国連人口活動基金に対して、拠出金が年々日本の場合は、一九七一年から七二年に、七二年から七三年にとふえていっておるという資料は私手元にいただいておりますから、よくわかります。
 さて、国内事情なんですが、家族計画に対して、いま厚生省は具体的にどういうふうな施策を講じ、何をポイントにして具体政策を進めていらっしゃるか、また、それに対する予算というものはどういうふうに組まれているか、ひとつ御答弁願います。
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翁久次郎#13
○翁政府委員 国内におきます家族計画の事業は、考えて子供さんを産み、それをりっぱに育てる、そして母性保護、そういう観点から進められているわけでございます。御承知のように、日本の一般的な知識水準はきわめて高うございます。推定によりますと、昭和五十年には子供さんの平均の数が一・九五というような推定もされているわけでございますが、わが国におけるこういった家族計画という事業は、ただいま申し上げたように、考えて子供さんを産み、そしてそれをりっぱに育てる、同時に母体の保護を少しでもよりよくするという観点で進められているわけでございます。そしてそれは全国の保健所、優生保護相談所あるいは母子健康センターというところを中心といたしまして、それを具体的に実施いたしますのは、受胎調節実地指導員という方々、約四万六千名おられるわけですが、こういった方々を、国、都道府県あるいはその他の機関によって講習を行ないまして、そして実地あるいは知識の講習を行なった上で、個別的あるいは集団的に指導している実情でございます。その予算の中身は、実地指導員に要する経費として四十九年度約一億、それから低所得階層の方々に実地指導の上で器具、薬品を交付するわけでございますが、その予算が約千五百万、それから講習会その他に要する予算が約八百万、合わせて大体一億二千三百万という予算の規模をもってこの事業を推進している次第でございます。
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土井たか子#14
○土井委員 その問題については、国外に対して、先ほど外務省のほうからの御答弁にございましたように、年々国際機関では家族計画なり人口対策なりに対する対策が進んでまいりまして、それに即応して基金の中身もふえていっているわけであります。したがって、日本がこの基金に負っている拠出金の中身もふえていっているわけであります。また、それだけの認識があるから日本も拠出金を出しているわけであります。国内の家族計画に充てられている費用は、また費用だけではありません、家族計画について考えられております政策の中身は、それに比べますと、遅々として進んでいないということが、私は実際問題だと思うのです。これは先ほど厚生大臣の御答弁にもございましたが、人口対策、人口政策というふうなものは、もうちょっとこれは煮詰めなければ、ほんとうのところまだまだわが国では人口問題に対しての読みが十分ではないというふうな意味の御答弁がございました。その辺がまだまだ十分でない限りにおいて、家族計画に対して熱心であるはずがないということが一つは言えるわけです。だから、そういうことからすると、国外に対して、いま国連を通じての日本の外交姿勢と、国内において、それならば日本の国内はこういうふうにやっていくのだ、だから国際社会においても、日本という国は、なるほど人口対策についても、あるいは資源の問題あるいは食糧の問題あるいは公害をはじめとする環境保全という問題、それから何といっても戦争ということを予防して、戦争を起こさない、これを考えて、生まれた人たちに対しては幸福な生活を、また、そういう人たちに対しての人権というものを十分に尊重していく、こういうことをなるほど考えている国だなということにならなければうそだと思うのですが、その辺のアンバランスというのが少しあるようであります。
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翁久次郎#15
○翁政府委員 あるいはそういう御意見もあろうかと思いますが、冒頭に申し上げましたように、日本における国民全体の知識水準、これがきわめて高いことは御承知のとおりでございます。したがいまして、他の国々の人口政策あるいはそれに基づきます受胎調節あるいは家族計画、それぞれその国々の実情によっていろいろな実態があろうと思います。日本の場合には、私どもが厚生省としてやっております家族計画というのは、先ほども申し上げたように、考えて子供さんを産み、そしてそれをりっぱに育てる。同時に、おかあさんが子供さんを産むことによって母体を傷つけることのないようなことを中心に指導しているわけでございます。それ以外に、文部省が社会教育あるいは学校教育の立場で、それぞれ、母性の保護あるいは子供さんを産むための、あるいは環境、事情によって生まないための知識というようなことをそれぞれの立場でやっているかと思うわけでございます。そういった意味で、外国に、かりに東南アジア等に対して家族計画連盟等が実際的な助言等をいたしておりますのは、人口政策そのものではなくて、その国々が欲しているいろいろな受胎調節の技術あるいは家族計画の実地の指導ということを中心に行なっているのではないか、かように思うわけでございます。
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土井たか子#16
○土井委員 実地指導をいまおっしゃいましたから、それならばその問題を申し上げましょう。いま人工中絶というものは、一体年間どれくらいあるというふうに把握なすっておりますか。
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三浦英夫#17
○三浦政府委員 私どもの統計では、最近では四十八年で年間七十三万件ぐらいという統計報告が出されております。
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土井たか子#18
○土井委員 おそらくその数字のとおりだろうとまじめに考えていらっしゃいますか。まともにそれをそのとおりに受けとめていらっしゃいますか。
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三浦英夫#19
○三浦政府委員 優生保護指定医師からの報告でございますので、七十三万というのは報告された数字だということで認識しております。
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土井たか子#20
○土井委員 役所仕事というのはそういうことでつとまるわけでありますね。これは、指定医からの報告以外に、医師会を通じて報告されていない、いわゆる俗なことばでいうとやみ中絶というものがあるというのは、公然たる事実なんですね。そういうことに対して、これはおそらく何件なんということは言えないところがやみ中絶の特徴でありますが、推定してどれくらいということぐらいはお考えになっていられなければならないと私は思うのです。こういうことについて、どういうふうにお考えですか。
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三浦英夫#21
○三浦政府委員 四十七年度報告数字が七十三万件でございますが、四十三、四年ごろは七十五万から八十万という数字でございまして、突然変異の統計はなされておられませんので、まず指定医からの報告というのは、それなりの報告はいただいておるものと認識しております。
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土井たか子#22
○土井委員 これは産婦人科医のいろいろな方々がその中にはいらっしゃるわけでありますけれども、御承知だと思いますが母性保護医協会、あのほうでいろいろ問題にされて、数字は具体的にこれも推定しかいえないけれどもということで、おそらく人工中絶というのはやみを入れると二百万をこえるというふうに推定されているわけです。二十年近く前までは、年間二百五十万前後出生数があったわけです。最近では二百四十万前後ということになっていますね、概算、なっています。そうすると、最低に見積もっても年間四百万前後の妊娠数がありながら、その中の出生数が二百万ということは、ほぼ二分の一の出産拒否率ということになっているわけですね。出産拒否ということにも、もう先ほどからおっしゃっているように、これは計画的に避妊をするという場合もあります。受胎をしてしまってからあと、こういうふうに人工中絶をやるという場合もあります。一体、母体の保護とか母体を尊重する、母性を保護するという立場から、どっちが好ましいですか。
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三浦英夫#23
○三浦政府委員 昭和二十年代の後半におきましては、人工妊娠中絶の件数も百万をこえておりましたけれども、先ほど申し上げましたように、現在は七十数万になってきております。これはやはりその当時と違って、家族計画あるいは受胎調節の普及ということが効果があったのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、人口問題審議会等からも答申をいただいておりますが、人工妊娠中絶というのは非常に母体の健康に及ぼす影響が多いところでございますので、なるべく人工妊娠中絶よりは受胎調節なり、さらに根本的には家族計画の普及というほうに努力していくべきものだと思っている次第でございます。
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土井たか子#24
○土井委員 そういうふうな御認識がおありになるのですね。その御認識に基づいて、どの程度の対策と努力がいままでその中にあったかということをひとつはっきりさせたいと思うのですよ。
 さて今回の優生保護法の改正、一部改正とおっしゃっているわけですが、私はこの改正について——やはり提案理由というものかございます。提案理由について見ましたけれども、どうもよくわからないのです。今回、どうしてもこれを改正しなければならない理由、それはどの辺にあるのですか。
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三浦英夫#25
○三浦政府委員 優生保護上の問題点につきましては、かねてから厚生省におきまして検討に検討を重ねてきたわけでございます。実は、今回三点の改正についての御審議をお願いしておりますけれども、これにつきましても、実は国会に御審議をお願いいたしましたのは、昭和四十七年の五月に提出をさせてもらっております。それから二年の月日を経過したわけでございますが、いろいろ問題点はあるにいたしましても、この三点につきましてはかねてから何をおいても早く成立さしていただいて、それなりの優生保護なり人工妊娠中絶対策を進めたいと思ったような関係で、急に思いついた問題ではなくて、かなり前から厚生省はそういう姿勢であったような次第でございます。
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土井たか子#26
○土井委員 いまのは御答弁になっていないんですよ。私が聞いていることに対する御答弁になっていない。改正点を聞いているわけじゃないのです。改正点は三点。これはいまおっしゃったとおりでありましょうが、なぜそこをそのように変えなければならないかという理由についてお伺いをしているのです。いままで一年、二年の間考えたことじゃないので、多年考えてきたとおっしゃるわけでありますから、よほどその蓄積の結果がうんちく傾けて中に披瀝されているはずであるこの提案理由を、どう読んでも納得できないところを私はお伺いしているのです。わからないのですよ。わざわざこれほど力を入れて改正なさるという必要がどこにあるのか、それをお伺いしているのです。まだお答えをいただいておりません。
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三浦英夫#27
○三浦政府委員 先生御承知のとおり、この優生保護が最初に制定されましたのは昭和二十三年でございます。その当時の時代背景とあるいは医学技術の面とそれから二十数年を経た今日とでは、御承知のとおりかなりの様相の変化というか、変わってきております。したがいましてその一つは、医学技術の発達に対応いたしました内容をとらえていきたい。それからさらにもう一点は、昭和二十三年あるいは二十四、五年当時の時代背景、社会背景と、今日の背景とは、たとえば一例をとりましても、国民生活の向上その他かなりの面ではかられてきております。そういう面から制定当時の様相と今日とはかなり変わってきておりますので、その時代に即応した内容に改正さしていただきたいと思って提案さしてもらったような次第でございます。
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土井たか子#28
○土井委員 どのように変わってきているのですか、いまおっしゃったその当時とは。昭和二十三年当時と比べるとずいぶん医学的な側面からも社会的な側面からも変わってきているということをおっしゃりたいだろうけれども、どのように変わってきているのですか。
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三浦英夫#29
○三浦政府委員 たとえば人工妊娠中絶のできる一つの理由といたしまして、今回たとえば胎児において重度の身体障害者であるとかあるいは重度の精神薄弱児である場合の原因となるような疾病を、当時の時代背景ではとても医学的に発見できなかったのが、今日におきましては、特定の疾病についてはかなり高い確率でそういうものが発見できるような時代になってきております。したがいまして、その面を改正案に取り入れさしてもらったということが一つでございます。
 それから二十四年当時に、いわゆる経済的理由によっての母体の健康をそこなうおそれがあるという場合には人工妊娠中絶ができると、こういう条文が入ったわけでございますが、当時の国民生活あるいは国民の栄養状態と今日とではかなり変わってきております。やはり高度の経済成長を見て、国民生活も豊かになってきておりますので、特定の理由だけあげて人工妊娠中絶——刑法のまさに特例でございますので、そういう形でやるよりは、医学的に純化したほうがふさわしいということで、御審議をお願いさしてもらったような次第でございます。
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