税制問題等に関する特別委員会

1989-12-06 参議院 全155発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成元年十二月六日(水曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月五日
    辞任         補欠選任
     庄司  中君     粕谷 照美君
     谷畑  孝君     渕上 貞雄君
     種田  誠君     穐山  篤君
     野別 隆俊君     安恒 良一君
     吉田 達男君     山口 哲夫君
     吉岡 吉典君     橋本  敦君
 十二月六日
    辞任         補欠選任
     秋山  肇君     横溝 克己君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 太郎君
    理 事
                井上 吉夫君
                沓掛 哲男君
                宮澤  弘君
                村上 正邦君
                稲村 稔夫君
                及川 一夫君
                本岡 昭次君
                矢原 秀男君
                近藤 忠孝君
                古川太三郎君
                寺崎 昭久君
    委 員
                伊江 朝雄君
                大木  浩君
                鎌田 要人君
                北  修二君
                久世 公堯君
                佐々木 満君
                谷川 寛三君
                前島英三郎君
                松浦  功君
                松浦 孝治君
                守住 有信君
                山岡 賢次君
                穐山  篤君
                上野 雄文君
                大渕 絹子君
                粕谷 照美君
                渕上 貞雄君
                細谷 昭雄君
                前畑 幸子君
                村田 誠醇君
                安恒 良一君
                山口 哲夫君
                刈田 貞子君
                常松 克安君
                和田 教美君
                橋本  敦君
                高井 和伸君
                三治 重信君
                下村  泰君
                横溝 克己君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹村  晟君
       常任委員会専門
       員        保家 茂彰君
   参考人
       経済評論家    河野 光雄君
       経済評論家    井上 隆司君
       全国間税会総連
       合会会長     古岡  勝君
       主婦連合会副会
       長        中村 紀伊君
       ジャーナリスト  山口 令子君
       税  理  士  関本 秀治君
       税  理  士  大島 隆夫君
       日本労働組合総
       連合会社会政策
       局次長      土井 隆史君
       千葉県館山市長  半澤 良一君
       武蔵大学教授   今井 勝人君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○消費税法を廃止する法律案(久保亘君外七名発議)
○消費譲与税法を廃止する法律案(久保亘君外七名発議)
○地方交付税法の一部を改正する法律案(久保亘君外七名発議)
○税制再改革基本法案(久保亘君外七名発議)
○法人税法等の一部を改正する法律案(久保亘君外七名発議)
○通行税法案(久保亘君外七名発議)
○物品税法案(久保亘君外七名発議)
○入場税法案(久保亘君外七名発議)
○地方税法の一部を改正する法律案(久保亘君外七名発議)
    ─────────────
この発言だけを見る →
中村太郎#1
○委員長(中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。
 消費税法を廃止する法律案、消費譲与税法を廃止する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案、税制再改革基本法案、法人税法等の一部を改正する法律案、通行税法案、物品税法案、入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。
 本日は、九案につきまして、お手元の名簿の十名の参考人の方々から御意見を拝聴いたします。
 まず、午前は四名の参考人の方々にお願いをいたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙のところ本委員会のために御出席をいただき、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして、心から厚く御礼を申し上げます。
 本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴しまして、今後の審査の参考にいたしてまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後で委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、これより順次御意見を承ります。
 まず、河野参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
河野光雄#2
○参考人(河野光雄君) 時間が十五分しかありませんので、私が考えているポイントだけを申し上げて、後で質問があればそのときにお答えしようと思うんです。
 話す内容は二つありまして、一つは廃止論そのもの自体をどう考えるのかということと、あとはそれにかわる再改革法案並びに暫定措置法案について、その中でこれは問題だと思うことについて意見を述べさしていただきたいと思うんです。
 廃止論を議論するときに二つありまして、一つは政治論、一つは税制論としての廃止論、二つあるんですね。大体政治論の方は避けて通るのが通常こういうところでは礼儀かもしれませんけれども、それを避けて通ると話にならないんですね。
 何か話を聞いていると、最近は、七月二十三日の参議院選挙の結果、国民の意思は廃止論に決まったんだから、それに盾突くのは民主主義のルールを誤っておるというふうな話で、何やら水戸黄門の葵の御紋みたいな話になっていて、そこですべて判断中止ということを言われる方がかなり多いと思う。それは承服できないんです。
 第二に、税制の理論からいって間接税をこの時期に外すなんということは全く荒唐無稽の議論だと思うのですよ。いずれにしても、私はここに出ている九法案に反対なんです。
 最初に、参議院選挙の結果国民の意思は決定したという話は全然そうではないと。国民の意思が自民党の横暴その他について沸騰したことは事実ですけれども、何も争点が消費税だけにあったわけでもなく、日本は国民投票をやったわけでもありませんから。国民投票をやったなら一票でも勝てば、それはそれですべて万事決着ですけれども、スイスと違って日本ではそういうシステムがありませんから。いろんな問題が討議されて、自民党が惨敗して社会党が勝ったということは事実ですけれども、しかしそれがイコール国民の意思が廃止であるからそれに盾突くのは民主主義のルールに反するという議論は全くいただけないと思う。
 もう一つ、税制論からだけいえば、これは日本の税制というのは直接税偏重だろうというのはもう天下周知の事実なんですが、それに間接税を入れるということは、やっと日本経済並みに税制も後進国的な段階から先進国的な段階に入っただけにすぎないと思う。遅かれ早かれいずれ来るんですね、これはどういう政党が天下をとろうとも。それを自民党が少し早目にやったにすぎないと思うんです。それを頭から否定するということは税制論として筋が通らないと私は思うんです。
 今度はもっと具体的な内容に入りますけれども、一番最初にちょっと議論をしたいのは再改革法案の方なんですね。二年後に本格的なこういう見直しを行うという法案について意見を述べたいんですが、言いたいことは二つあります。非常に理念としてきれいな言葉で書いてありますから、そのこと自体に反論する余地はほとんどないように実に見事に法案はできていると思うんですが、私が特に議論したいのは二つあって、一つはかなり抽象的ではあるけれども、具体性のあるものがあるんです。
 一つは、納税者番号制度というものを導入する、検討するというふうに書いてありますね。私は、過去二年間、海外出張を含めてこの問題を随分、普通の人よりも若干の経験と情報を集めた経験を持っていますけれども、この納税者番号制度を導入するについて決定的に、それこそまさに国民的な合意が必要なことがあるんですよ。それは、事、税制に関してはプライバシーはゼロだという話なんです。事、税制に関して自分の所得がどう発生しているか、それを税務署が、国税庁がどう把握するかということについてこれは全く白紙で、全部洗いざらい国税庁がわかる、そのことがプライバシーの侵害にならないということについて女性も男性も確認しないとこの話は一歩も進まないんですよ。
 あの法案によれば、プライバシー問題があるからそれに気をつけてと書いてありますけれども、国税庁が知り得た情報をほかに流すということがあったらそれは大問題です。それこそプライバシー侵害です。それは厳重に制限されなきゃいけませんけれども、国税庁が、税務当局が我々国民の資産、収入その他について正確に把握すること、それを拒否することはできないというのが大前提ですから、あの納税者番号制度の根本的な思想が。それが二年間の協議会の中でできるとは私は絶対に思わないのですよ。
 私は、長い目で見れば、これは日本として導入するに値する制度だと今でも思っていますから。ただ、事をせいて二年間ぐらいで結論を出そうなんて思ったら絶対できません。消費税反対のアジを飛ばすことはブロであればだれでもできますけれども、納税者番号制度だって同じことですよ。反対しようと思えば幾らでも反対できますよ、反対を一番するのは女性ですから。
 十月の初旬にNHKが三日三晩九時間にわたる大討論会をやったでしょう。あのとき、いろんな世論調査をやりましたけれども、一番決定的に票が分かれたのは納税者番号制度だったんですよ。細かい数字は忘れましたけれども、たしか八対二ぐらいの比率でノーという答えが男性女性を問わず出てきたんですよ。あれはまだ説明不足だからそうなったんで、本当はきっちり説明すればもうちょっと反対は少ないと思いますけれども。
 しかし、総理府のかつての調査によっても、日本人が男性女性を問わず一番自分のプライバシーで知られたくないことのナンバーワンは何だと思いますか。自分の資産、所得の話なんですよ。学歴がどうだとか子供が病気だとか女性の年がどうだとかというのはうんとランクが低いんですよ、プライバシーからいったって。そこが問題なんです。
 三%の消費税でこれだけの大騒ぎが女性から起こったということを考えれば、納税者番号制度に女性が簡単に乗るなんということは考えられませんよ。やらなきゃいけませんけれども、二年でできる話じゃ絶対ありません。あと合意ができてから膨大な予算を用意して付番ということをやらなきゃいけませんけれども、実はこれも大変なことです。簡単にできる話じゃありません。ですから、二年で暫定期間が終わって総合課税制度が確立する、そのための指標の決定的なものとしての番号制度を導入するということは空論に近いんです。
 二番目に、あの法案の中にもう一つ、サービスと流通などについての課税を検討すると書いてありますね。私は今度の反対論というのは、九割は導入の政治論であって、税制論としては実はわかっていると。わかっているけれども、民主主義のルールからいったら間違っているという議論を展開されたんだと思っていましたから、対案を出された野党の先生方が、腹の中ではいずれこれは必要なんだ、手順を間違えなければいいんだというふうに考えられて、サービス、流通を書かれたんだと了解したんですよね。そうであればそれも一つの選択だと思いましたけれども、国会答弁で、たしかあれは本会議の代表質問だったと思いますが、共産党の方の、近藤さんと言われる方だったと思いますけれども、あれは大変すばらしい質問だった。あの質問で答えられたのは、大型間接税は国民が反対するからノーだと書かれた。しかし、日本語としてあの法案をまともに素直に読めばあれは明らかに、消費税という名前は違うかもしれませんけれども、多段階の間接税の導入ということもあの枠の中には入っていると考えるのが素直な読み方ですよ。ところがそれを否定されましたから、この話はもうそれで話にならないと思ったんです。
 そろそろあと五分しか時間がありませんから、本当に困るんですが、もう一つだけあの基本法の中でこれだけは絶対に自民党のしりをたたいてもやってもらいたいことがあるんですよ。それは非常に前向きに自民党も考えざるを得ないから考えることになると思いますが、資産課税の適正化論、きれいな言葉で言えば。今三%の消費税で国論が二つに割れて大騒動になっていますけれども、仮に日本の社会の中で東欧並みの劇的な地殻変動が起こっているとするならば、それは資産の格差がこれほどここ三年の間に広がったということですよね。これは全部バックにありますよ、あらゆる政党に対する注文を一般庶民で考えれば。それに対して税制面からどう切り込んでいくかということについてはっきりしたビジョンがなければだめだと思いますね。いずれ消費税問題は次の選挙でおしまいですから。ポスト消費税を論議するんだったら、税制面で言えば資産課税だと思うんですよ、避けて通れない話ですから。それについてまじめにやりますよと書いてあることは大変高く評価すべきことだと思うんです。
 最後に、代替法案のことについて若干触れたいんですが、個別のことについて触れる時間がありませんので、ちょっと私の言いたいことだけをピックアップしていきますけれども、まず第一に、物品税の復活論、私はたくさんのジャーナリストの友達を持っていますから、現役で社説を書いている連中を全部知っていますけれども、どういう人でも、野党に対して極めて好意的な人でも、あの物品税の八十五品目を全く無修正で税率だけ変えて復活させたことについて賛成している者は一人もいません。あれは知的作業の怠慢ですね。
 私が考えるに、仮にも物品税を言うんだったら、かつて数年前にワープロその他新しいのを物品税対象に加えようなんて話があって、あれは今課税対象としては膨大なものですよ。参議院選挙が終わった後時間があったんですから、せめてそのぐらいは入れて、ちっとは内容を変えました、新しいアップ・ツー・デートなものですというふうに並べるのならまだしも、八十五品目そっくりやって、あとは税率の調整を野党間で、えらいそれぞれ支持母体との関係があって御苦労されたようですが、どんな信条的な革新主義者でもあれだけはどうしても乗れないと言っているんです。私はこれは頭から乗れません。ただ時間がなくて緊急避難的にということをおっしゃっていて、それが本音だと思いますから、武士の情けでそのことをこれ以上あげつらうことはやめますけれども、話にならないと思うんです。
 それからもう一点だけ。自然増収論。自然増収と税の増収論についての話ですけれども、今の日本経済の実態からすれば、今の好景気があと二年間棒に続くとするならば、その可能性は半分以上あると思いますが、相当の自然増収があることは皆わかっていらっしゃるんですね、だれでもどういう議論をする人でも。しかし今度は制度を変える話ですから、消費税六兆円の。それなら別の制度でこれを埋めるというのが作法だと思うんですね、税制議論をやるならば。自然増収が発生したらそれは百六十兆になんなんとする過去の蓄積された国債残高の減少にこそ向かうべきであって、今のような世の中であれば、景気がこういう状態であれば。
 それを制度を変えた、特につじつまが合わないから入れてみたと。そうしたら宮澤さんだったですかな、質問されて、だんだんだんだんやってみたら計算が間違っておったと。僕は計算の間違いというのは今の野党の人たちに言うのは酷だと思いますから、大したことはないと思いますよ。しかし考え方の問題ですから、そろばんをはじいた結果がどうこうという技術論ではなくて、それは大蔵省にかないませんからそんなことを言っても無理だと思いますが、考え方が間違っているんじゃないかという気がするんです。安易に過ぎる、そんなことは。
 最後にもう一つ。この場での十一月から始まった野党の話をテレビや新聞で見ていた人たちが一体どういうことを感じているか。私個人のことは別にして、全般的に言えば余りそう深まった議論をやっていらっしゃるようには見えないんですよね。私自身はもっと本当は深い議論がここで行われると期待していましたから本当にいいチャンスだと思いました。国会ではここ数年来ほとんど真っ当な議論がなかったですよ。私の印象では、攻める自民党も攻め方が足らないし、本当に初めての経験だと思いますから無理もないと思いますが、しかし受ける方も政治論ばかり受けて切り返してそれで事足りるとしている。ゲームみたいな話ですよね。どうせできない法案、通らない法案だと思ってお互いに見ているところも新聞記者はある。いずれにしても真剣味が足らないし、突っ込みが足らなかったというふうな、私の総合的な印象なんですよ。
 まだこれから若干の日取りは残っているかもしれませんので、参議院での採決までにはもっと深まった議論をぜひやっていただきたいということをお願いして十五分の陳述を終わります。ありがとうございました。
この発言だけを見る →
中村太郎#3
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。
 次に、井上参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
井上隆司#4
○参考人(井上隆司君) 私は、消費税法を廃止する法律案外八案に賛成の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
 その論拠として、まず一番目に公約違反を挙げさせていただきます。御承知のように政府・与党は六十一年の衆参同日選挙で大型間接税は導入しない旨の選挙公約を行ったわけでございます。しかしその後大型間接税そのものの売上税法案を出して、それが廃止になるやすかさず今回の消費税法を無理やりに成立させた。このことが非常に政治不信を招いた一因でもあるわけですね。先ごろの参議院選挙でも御承知のように与野党逆転ということで、消費税について一般国民はノーの判断を下したと思います。そういうこともございますので、消費税法は来年の三月いっぱいで廃止して、その後二十一世紀の高齢化社会を迎えた税制改革、それを行っていただくのが民主主義のルールではないかと思う次第でございます。
 第二点としては、中小企業向けの簡易課税、非課税事業者、限界控除制度などの適用範囲が余りにも拡大した結果、消費税として国庫未納分四千八百億円が生じる可能性が出てきたということでございます。この四千八百億円たとえ出たとしても、およそその半分ぐらいは法人税、法人事業税などとして国庫もしくは地方自治体に入るということは周知のとおりでございます。しかし、消費者として消費税を払ったにもかかわらずその一部が業者の懐へ残って、はたまた消費税という名目から国庫に法人税とか、地方自治体に法人事業税などとして転嫁して入るということは、これは一般庶民としては甚だやり切れないというか、納得のできない点ではないかと思うわけでございます。
 私、ここにデータを持ってきまして、これは中小企業庁の原価指標、それに基づいて簡易課税でどれだけ業者にボーナスとして手元に入るかということを試算しましたら、御承知のように中小企業の場合は非常に人件費の絡みでマージン率が高うございます。それで、例えば不動産仲介業の場合は帳簿上のマージン率が五三・九〇一%、クリーニング業の場合は五五・九七五%、一般貨物運送業の場合は四八・七六二%、そばうどんの場合も四七・八九二%、家具小売業の場合は、これはぐっと下がりまして二二・五三九%、このように政府の機関のいわゆるデータでも消費税法のみなしマージン率よりも高うなっております。しかし実際問題として現在、中小企業、資本金一億円以下の法人の約五割ぐらいは税務署の申告が赤字になっているわけですね。
 そういうようなところを実際に計算してみますと、逆に消費税法のみなしマージン率よりも低いということで、簡易課税を選択すると余分に納められてしまうというか、そういう矛盾点もあるわけでございます。この簡易課税については、我が国以外、例えば西ドイツでも行っておりますが、全体の事業者の一%余り。ところが日本の場合は、御承知のように課税売上五億円以下の企業というのは、政府の統計でも九六・七%もある。こういうような点からも、非常に矛盾点として浮き彫りに出てきているわけですね。
 今、この簡易課税とか非課税事業者、限界控除制度で実際に矛盾が出ているということは、先般導入当時、会社の設立ラッシュが続いたわけでございます。東京法務局渋谷出張所では、ことし三月の法人関係の登記受け付け件数は二百十件で、昨年三月に比べ二〇%増となったわけです。同港出張所でも一五%もふえたわけです。この傾向は、東京に限らず関西地方でも同じ結果が出ているわけです。
 なぜこのようなことが起こったかといいますと、二点ばかり考えられまして、一つは、会社を分割することによって簡易課税や免税事業者に入ってしまう、そういう意図のもとでですね。二番目として、設立後二年間は免税措置が講じられるわけですね。御承知のように、課税事業者の認定は二年前の売上実績によるということでございますので、新設の会社はたとえ何十、何百億売り上げがあったとしても、二年間というのは一銭も納税義務がないという、こういうようなことは企業の立場としてはよろしいんではないかと思うんですが、消費者の立場としては甚だ容認できないんではないか、そういうことが考えられます。
 三番目としては、逆進税の問題でございます。
 私ごとで恐縮ですが、昨年関西のあるデパートで講演会を行いました。その席で、あるお年寄りから次のような語りかけがあったわけです。
  私は定年直後で、まだ年金受給資格がないため、トラの子の貯金を取り崩して細々と生活している。六十五歳になっていないのでマル優もきかず、この四月から利子に税金をかけられている。政府は所得税を大幅に減税してくれるといっているが、私には減税対象の所得はないのだ。にもかかわらず消費税が実施されたら、生活費にモロに課税されるので、とても不安だ。私のような境遇の人は大勢いる。井上さん、あちらこちらで老人の叫びを伝えてもらいたい。
そういうことがきっかけになりまして、私が主宰する全日本健歩会、いわゆる歩く会のボランティア活動の一環として、中立な立場で消費税オピニオンダイヤルを昨年開設したわけでございます。それで、多数マスコミの協力によって電話を受け付けたわけでございますが、その中で注目すべき点は、電話をかけた方のうち、当初予想していたとはいえ四十歳以上の中高年が九〇%を占めていたということで、非常に中高年の方がこの税に対して不安を持っていたということもうかがえるわけでございます。
 逆進税についてはハーバード大学のサリー教授が、一九七〇年にビジネスレビューで次のように述べています。付加価値税、これは我が国の消費税のもとになった税でございます。
  付加価値税は消費財およびサービスに関する小売売上税であり、財およびサービスの生産者や販売者の税ではない。ビジネス部門にとって、付加価値税の中立性は、単に非納税者を意味するにすぎない。何故ならば、企業は最終消費者から税の徴収官としての役割を与えられているからである。われわれは、付加価値税を消費者に対する中立的な税であるとみなすべきでない。付加価値税は、それがすべての消費財およびサービスに対して同一に課税される限り中立である。しかし、そのような税はヨーロッパにおいても実在していないし、またアメリカにも存在しないであろう。別々の税率、差別、除外および区別のリストは無限にある。
アメリカの消費税論議に対して反対論を述べていたわけでございます。
 御承知のように、アメリカは連邦レベルで消費税の導入を再度図っていたんですが、それが実現しなかったのは、やはりこの逆進性の問題、それを緩和する福祉プログラムがどうもあんばいが悪かったというか、そういうことのようでございます。
 それで、この逆進性の問題については、中小企業の価格転嫁でございますね、政府等では今非常に消費税の転嫁はうまくスムーズにいっているというそういうデータが流れているわけでございますが、私が地方都市、特に商工会の依頼等で全国津々浦々回って、そこの商工会長などの意見を聞きますと、地方都市の場合は過疎化が進んでいて、とてもじゃないけれども価格に転嫁できる状況ではないというわけです。どこの商工会長さんも、大体転嫁率というのは五〇%以下というか、それが一般的でございました。
 最後に、自民党の見直し案について意見を述べさせていただきたいと思います。
 この見直し案を見た感じでは、現在、原則外税方式、それを内税化にして、いわゆる税隠しの一言に尽きる感じでございます。小売段階での食料品の非課税化ということは、小売業者が負担した税金を価格に転嫁するというと今まではちゃんと原則外税で三%ということが明示されたわけですが、その転嫁部分が内に隠れて、見えない税金にしてしまう。そのほかの課税物品についても、行政指導によって総額表示方式を取り入れるということをうたっているわけでございます。御承知のようにこの総額表示方式は、EC諸国の付加価値税をとる国はほとんど採用しているシステムでございます。これは言ってみれば内税そのもので、例えば西ドイツの場合は、御承知のように、値札の中に付加価値税が全部盛り込まれております。それで、レシートには虫眼鏡でしか見えないぐらい小さな字で、上の価格の中には一四%のメーベルシュトイエル、付加価値税が含まれているということが書いてございます。
 したがって、そのようなシステムがEC諸国で行われておりますので、EC諸国の人々に私もいろいろインタビューしたんですが、付加価値税の納税意識というのはほとんどないわけですね。極端な例で、西ドイツの場合は、例えば標準税率が一四%ですが食料品などについては七%です。それで、相当数の方にインタビューしたんですが、一四%の税率はほとんどの方が御存じだったんですが、食料品についてはいわゆる内税になっていますから何%払ったという感覚がないんです。正しくは七%なんですが、六・五とか八だとか九%、そういうような状況でございます。
 私は、今度の消費税法で一番評価できる点というのは原則外税になって、従来見えない税金が主だった物品税とか酒税等々、それが見える税金になったということで、非常に納税意識の高揚というか、評価していたんですが、それを今度の見直し案では、そっくりいわゆる見えない税金、税隠しとして内税に持っていってしまう、そういうことは非常に民主主義というか民主税制というかではないと思うんです。
 それで、EC諸国で御承知のように税率が数回にわたって各国とも引き上げが行われたというのは、いわゆる内税になっていたから、そういうことでございます。したがって、今、消費税で一番危惧されるのは税率のアップですね。これは、内税になりますと消費者にとっては見えない税金になりますので、どんどん上がっていってしまう。一%の税率で二兆円の増税になる。EC諸国で付加価値税のことをレべニューマシン、税収増加装置と言っているわけですね。日本流に言うと打ち出の小づちと言うんで、そうならないためにも、絶対に自民党案の食料品非課税等を含めたいわゆる総額表示方式には私は反対でございます。
 時間もございませんので、最後に結論を申しますと、自民党の見直し案は消費税を廃止するよりも難しい、これが私の見解でございます。
この発言だけを見る →
中村太郎#5
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。
 次に、古岡参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
古岡勝#6
○参考人(古岡勝君) 私は、かつての物品税等個別間接税を納税しておった団体、それから現在の消費税を納税しておる団体の、全国間税会総連合会と申しております、全間連と申しておりますが、その会長の古岡勝でございます。きょう、こうしてこの機会を与えられましたことを感謝申し上げます。
 さて私は、消費税を廃止しまして、代替財源として廃止された物品税等の個別間接税を復活させようとする税制再改革関連法案には反対するものであります。先般の税制改革は、サラリーマンの長年にわたる重税感、すなわちクロヨンとかトーゴーサンとか言われておりますが、不公平感を解消するための所得減税や、これまでの個別間接税のひずみ、ゆがみの是正など、従来の税制が抱えておりました諸問題を解消し、所得、消費、資産の間で均衡がとれた安定的な税体系を構築し、さらには我が国の将来を展望しまして、高齢化が急速に進み、働き手が少なくなる、その中で豊かな長寿社会を築くために国民全体で広く公平に負担を分かち合うための改革でありまして、消費税制度はその中の重要な骨組みとして、今後全力を挙げて長期的に安定した税制として定着させるべきものであると存じております。
 そこで、まず物品税について申し上げます。
 代替財源として廃止されました物品税等の個別間接税を復活させようとする法案に対しまして、旧物品税の納税者としましての立場から、旧物品税の抱えておりました問題点を中心に申し述べたいと存じます。
 第一に、個別に課税されるものと課税されないものとの間でアンバランスが生じておりました。旧物品税は、課税しようとする物品を一つ一つ法律に規定してその範囲を定めていく、いわゆる個別間接税となっていました。こうした個別間接税は、国民の所得水準が一般的に低く、庶民が使うものとか金持ちが使うものとかというように、消費者の所得階層と物品やサービスの消費との関係が明らかな時代におきましては、公平感のある税制として機能していたと言えると思います。
 しかしながら、近年、私たち国民の所得水準は上昇して大多数の者が中流意識を持つような社会になり、国民の消費動向が多様化し、個々人の趣味や生活信条によって、お金の使い道がさまざまに異なってきております。
 こうした消費態様の変化とともに、世の中のあらゆる商品、サービスについてぜいたく品か否かを区分しようとしても、共通の基準を見出すことは極めて困難な時代となっています。例えば、白黒のテレビのように、今や一般家庭ではほとんど見られないものや、ほとんどすべての家庭にある電気冷蔵庫や電気洗濯機が課税されていた反面、新しい商品でございます、各家庭にもございますが、パソコンやワープロには課税されていませんでした。また、ゴルフ用品は課税なのにテニス用品は課税されないというのもしばしば取り上げられる例でございます。ゴルフはお金持ちのスポーツ、テニスは一般的なスポーツという考え方からこのようになったものと思われますが、これも今日ではアンバランスではないかという声が大きくなっております。
 このように価値基準が不明確になっている状況のもとでは、課税される物品と課税されない物品との間のアンバランスが拡大し、特定の物品を選定して課税しようとする客観的、合理的基準を求めることは極めて困難でありますし、新しく開発されました物品に対して課税が追いつかないという問題も生じていました。
 第二に、旧物品税が物に対する課税を中心としていたために、サービスに対する課税が十分にできていないという問題がありました。私たちの生活の多様化、サービス化への進展に対応できず、消費税導入以前はサービスに対する課税はわずか五税目、それは入場税、通行税、娯楽施設利用税、料理飲食等消費税、入湯税のみでございました。近年、消費支出に占めるサービス支出の割合は五〇%を超えると聞いておりますが、経済のソフト化、サービス化が急速に進んでいるにもかかわらず間接税が課税されるものはわずかであり、物に対する課税とサービスに対する課税との間で大きなアンバランスがありました。
 第三に、もともと個別消費税は、昭和十二年、北支事変の戦費調達の税として誕生しまして、当分の間の施行ということが五十数年に及んだものでありまして、今日、社会主義国も含めまして、世界のどの主要国を見ても既に廃止されております。個別消費税制度をとっていたのは日本だけで、まさに日本は世界の歴史の流れに逆行していた孤児と言わざるを得ないと思います。
 第四に、今日、国際化が経済の隅々にまで及んでいる我が国で特定の物品に高率の課税をしていたことに対しまして、関係国の批判、貿易摩擦の原因となっておりました。例えば例を挙げますと、普通の時計は一〇%でございますが、貴金属時計ということになりますと三〇%の税金がかかります。ですから、普通の時計にほんのちょっとの、例えばダイヤモンドでも一万円、二万円というのがありますから、仮に一万円のダイヤモンドを二つくっつけて見ばえをよくするというようなことにしますと、それはもう貴金属時計ということになって三〇%の税率になります。そのために、スイスから輸入する時計はそういうものがたくさんございますので、日本は一五%、我々はなぜ三〇%だというスイスからの批判がたくさん出ておりました。また金貨につきましても、これは純金ですから一五%ということになりますが、これはカナダのメープルリーフ金貨を申しておりますが、純金の金貨は一五%、しかし純金の地金は非課税、これもおかしいじゃないかというカナダからの批判を浴びておりました。旧物品税が復活しますと、これらの批判もまた復活するということになるわけでございます。
 このように、消費税を廃止して物品税などの個別消費税を復活させようとすることは、国際的な見地から見ても問題があると思います。
 第五に、事業者から見た執行上の問題点でございます。
 まず一つ、旧物品税は課税対象物品を法律上で限定列挙しておりました。したがいまして、現実の物品が物品税法上の課税物品に該当するかどうかということの判定が必要であります。この課否判定は私ども事業者にとりましては大変重要な問題でありました。例えば、税法上、テレビは、ブラウン管を使用したテレビをテレビということに規定しておったわけでございます。液晶テレビが新製品として市場に近年出回っておりますが、しかしそれは課税されません。技術革新の時代に新製品を次々と開発しますと、それが課税物品に当たるか当たらないかの判定は大変難しい問題でございました。
 さらに、課税物品として個別に掲名された物品でありましても、一定規格のものを非課税とする制度や、といいますと、例えば桐だんすでございますが、桐だんすは御存じのように課税しないということになっております。ところが、その桐だんすでありましても、例えば極端に言いますと、一ミリか二ミリの板に、キリをずっと薄く切りましてぺたっと張りつける。そうしてつくりますと、それは外見上は全く桐だんすになってしまいます。消費者はそれを見てもわかりません。しかし、そのキリが現実には五〇%以下しかなかったとした場合には課税になってしまう。五〇%以上のキリがあれば非課税、なければ課税。消費者には全くわかりません。
 そういうことを見ろといっても見ることはできない。それをまた、悪いことではございますけれども、製作者はそれをうまくごまかす。ごまかし通したらもうけものだというようなことで、悪い風習はだんだん広がっていく。消費者は買ってみたら、ちょっと傷が入ったらこれは桐じゃなかったということで泣きを見るというような問題もあったわけでございますが、これは大変大きな問題と思います。また、一定金額のものを非課税とする制度など複雑な課税関係となっておりました。
 まだ例を挙げればたくさんございますが、時間がございませんのでこの程度で終わっておきますが、物品税の納税者の事務負担は大変なものがあったわけでございます。今回導入されました消費税は、こういう問題点につきまして明快に答えを出してくれたと思っております。原則として実額で三%ぽっと掛ければそれで済むということでございます。大変思い切ったいい制度だと思っております。
 このように、旧物品税は前時代の遺物ということが申されようかと思います。長年、個別間接税の納税者として実態を見てきた私たちから見ますと、このように多くの問題点を有していた旧物品税を復活させようとすることには絶対反対せざるを得ません。消費税は、これまで申し上げたように、個別間接税制度の持つゆがみやひずみを是正するもので、長期的に安定した税制として定着させるべきものと考えております。
 第六に、財源としての個別消費税を考えたときに、酒やたばこのような嗜好品はその消費の伸びに限界があります。また、物品税など個別間接税制度のもとでの特定の物品、サービスに対する課税では財源的に限界があります。事実、税収全体に占める間接税の比重が低下してきております。消費に対して広く薄く負担を求める消費税の導入は、安定財源としても肯定されるものと言えます。
 二番目、次に、消費税廃止についての反対意見を申し上げます。
 第一に、二年間の暫定措置として旧物品税を復活し、二年後には国民の合意に基づき新たな間接税を導入するとされておりますが、具体的にどのような税制になるのか判断の手がかりがなく、特に私ども中小零細業者は不安感を抱いているのが事実であります。
 第二に、さきの毎日新聞の記事によりますと、将来の物品、サービスを含めた合理的な税制の姿を挙げられており、また、間接税は基本的には残すとされておりますので、これらから推測しまして、二年後の税制改革は、結局、最終的には現行消費税に類似した税制になるのではないかという町の声も多く聞かれます。
 さらに、読売新聞を見ますと、十一月十二日の社説によりますと、「再改革案は「サービス、流通への適正な課税」を考えるとしているが、八日の答弁では「大型間接税は想定しない」としている。だが商品のほかにサービス、流通へも課税すれば結局は消費税と同じタイプの間接税にならないか。一体、再改革では、どんな税体系を考えているのか。」、そういう記事が掲載されておりました。
 もしそうだとするならば、消費税を廃止するのではなく、それを見直して国民の納得が得られるような姿にしていくのが本筋ではなかろうかと願うものであります。
 第三に、今回の消費税導入のために、私ども事業者は短い準備期間にかかわらず、膨大な設備投資と労力とを費やしました。その消費税を廃止してもとに返せば、また新税制の創設と同じで、新たに投資と労力を費やすこととなるわけでございます。さらに二年後、新税制が施行されたとき、全国の事業者は三度目の投資と労力を強要されることになるわけでございます。
 このように短期間で頻繁に税制が変更されて迷惑をこうむるのは我々国民であり、特に事業者は三度にわたる経理システムの変更、値札の書きかえなど、多大の投資と複雑煩瑣な事務量の増加により耐えがたい苦痛に見舞われることとなります。
 最後に、まとめでございます。
 所得、消費、資産課税の構成比から見て、日本の直接税への依存度は先進諸国の中で最も高く、間接税の比率が最も低くなっておりました。このことは、サラリーマンを初めとして、納税者の重税感、不公平感の高まりとなっていたわけであります。所得課税の負担を軽減し、消費に応分の負担を求めた先般の税制改革は十分に理解できます。また、廃止された物品税等の個別間接税については、先ほど申し上げましたように不合理、不公平などの諸問題を持っております。それらを解決するためには、特定の物品やサービスに対する課税でなく、原則として消費一般に広く薄く負担を求める間接税制度を採用することが必要であるとの考え方に基づき導入された消費税は妥当な選択であったと思います。
 しかしながら、消費税に対する国民の見直しの要望が強いことも事実です。いかなる税制も社会経済に適合するよう不断に見直しを行うことが必要であります。特に消費税については、我が国にとって初めての税であり、実施状況を十分に把握し、事業者、消費者双方の意見に耳を傾け、消費税を取り巻くあらゆる事項について議論した上で慎重に検討されるべきものと考えます。
 以上、私見を申し上げましたが、消費税廃止の代替財源として廃止された物品税等の個別間接税を復活させようとする税制再改革関連法案には反対するものであります。むしろ消費税については、二十一世紀に向かっての安定した税制として定着させるべきものであると存じます。
 終わります。
この発言だけを見る →
中村太郎#7
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。
 次に、中村参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
中村紀伊#8
○参考人(中村紀伊君) 主婦連の中村でございます。
 初めに、公約を守って大変御苦労をなさいまして四野党の方々が消費税廃止法案をちゃんと提出してくださった、そして、国会で堂々と大臣席にお着きになって御説明をなさっている姿を見て私どもは非常にうれしく思いました。まずそれのお礼を申し上げたいと思います。
 夏の参議院選挙で消費税に対して国民はノーと言ったと思います。私たちは、公約された各党が、野党は消費税廃止法案を、そして自民党は見直しをするとおっしゃったのですから見直し案をきちっと国会にお出しになって、そしてきょうのようなこの席、いろいろな税特の審議でその両方が国民の前で開かれた討論をされる、問題点についていろいろな討論をされて、そしてそれが解散総選挙によって国民がその開かれた討論を参考にして選挙をする、そこで国民の判断を下すんだと、そういうことを求めて繰り返し私どもは要望してまいりました。でも、結局自民党はついこの一日にやっとその大綱を出してくださいました。
 思い切った見直しをする、大幅なのをする、私たち国民は非常に幻想を抱いて、どんなすばらしい見直し案が出るのかということでさまざまな幻想を抱きました。ちょこちょこあれも非課税になる、ここも直す、ここもこうなると、いろいろな首脳部の方々の御発言がございまして、それを期待して、見直し案でうまくいくならばそれもいいんじゃないかと考えた国民もたくさんいたと思います。
 しかし、現実に出てまいりました見直し案というのは、私どもが期待していたものとは非常に違っていた。そしてここで、この議論の中で初めて消費者の言い分をもっと聞くべきだった、消費者の意向を入れて見直し案をつくるというお言葉をたびたび伺いまして、遅きに失したとはいえ私どもにとってはこれは自民党が大変よくお考えくださったというふうに考えたわけでございますが、しかし最後に出てきた見直し案は、結局消費税全体の公平公正な立場で国民の利益をどう守るかというような見直し案ではなかった。本質的なものではなくて、国民のさまざまな要望の一部をつまみ食いしていかに選挙にそれで勝てるか、どういうふうにしたら大幅に見えるかという、そういう議論に終始したのではないか。
 二日間のさまざまな状況を新聞やテレビで国民はじっと見ておりまして、やっぱり自民党は変わっていないんじゃないかな、国民があの参議院選挙で本当に消費税について怒りをぶつけたということについてわかっていないんじゃないかというように思ったと思います。そして、それを期待していた国民は非常にがっかりしたというのが現実でございます。これを思い切った大幅なという公約からいえば、それはまた一つの公約違反ではないか。私どもは初めからこういう今の消費税の仕組みを残したままで大幅な思い切った見直しはできないんじゃないか、やればますます不透明なものになるんじゃないかというふうに考えて廃止を主張してまいりました。
 しかし、やれるのかな、やればやれるのかなというふうにも思っておりましたけれども、そうでなかったということはこれは公約違反ではないか。私が公約違反という言葉を申し上げますと、またおまえはそれを言うのかというふうにお思いになるかもしれませんけれども、これは国民の頭にしっかり焼きついているんですけれども、中曽根内閣のときに大型間接税は導入しませんと中曽根さんが同日選挙の前にテレビで何回もおっしゃった、それが出てきます。
 それからもう一つは、昨年十月、この税制特別委員会で自民党が単独で強行採決をしたあの情景でございます。大変な怒号と喚声の中で強行採決されました。そして、万歳をする方もいらっしゃいましたし、リクルート議員の方がにっこり笑っているところも大映しになりました。情報化社会というのはそういう国会の動きがすべて茶の間で見られる。しかも、一回でなくて、この消費税問題が出てくると必ずその部分が何回も放映されるということは、国民の頭の中にそれがしっかり焼きついているんだ、それをお忘れになってはいけないと思います。ですから、見ていた人たちがこの国の議会制民主主義はこれではだめになるんじゃないか、特に主婦たち、女の人たちは非常に危機感を持ちました。そして、その女性パワーの爆発が参議院の選挙で、男に選挙は任せておれないんだというような形でああいう選挙結果が出てきたというふうに私は考えております。
 ここで申し上げることもないと思いますが、税制は国政の基本であって、何よりも国民の理解と信頼がなければ成り立たないものだと思います。
消費税は、そのスタートからそういう問題について全く手続を間違った、そして信頼を失ったということだと思います。ですから、私どもは消費税は廃止して、そして国民の意思を尊重した税制改革を一から築き上げるべきだというふうに思っております。
 私たちの主張は、生活費非課税、応能負担の原則に立った公平公正な税制の実現ということを求めております。土地や株で巨額な利益を上げているのを放置したり、法人にさまざまな優遇措置を残したり、さまざまな不公平税制をまず是正すべきだ。そして、それをしないのに弱者に負担を強いる消費税のみを導入するということ、まず消費税を導入するということだけに狂奔するということは、私どもは全く許せないことだというふうに考えております。
 それから、自民党の消費税見直し案について意見を申し上げたいと思います。
 いろいろ二転、三転しまして最後に、食料品非課税というのが国民の期待でございましたが、小売非課税、流通段階は一・五%の軽減税率という妥協案で成立いたしました。政府は、この部分の減税の総額は一兆一千四百億円、そういう発表をいたしております。食料に関しては九千九百億減税になると。しかし、静岡大学の税制研究チームのシミュレーションによりますと、この消費税減収分は六千百八十四億円、食料は五千二百億円、その他に家賃とか出産費とか入学金などが一千億というふうになっております。この間のNHKの番組でも他の学者の方々も大体そうではないかというふうに肯定していらっしゃいましたが、そういうことになりますと、一世帯で平均しますと年間一万六千三百円、食料品のみですと一万三千七百円、一カ月で千百円の減税だ、これでは思い切った見直しとは言えないんじゃないかと思います。それで、もともとわかりにくかった消費税の仕組みがますますわかりにくくなって、不透明になって、小売段階の非課税というのが果たして消費者にとってプラスなのかどうかということを考えるわけでございます。
 それからもう一つ、私たちはその何千万だかの減税分というものも、では消費者にとって本当に価格が下がるのだろうか、そこのところで静岡大学の先生方は一・四四%計算上は下がるという数字を出していらっしゃいます。しかし、そんなに下がらないんじゃないか。なぜかというと、末端非課税ですから、先ほどからもお話が出ていましたように内税になるわけです。ですから、一体我々の払った税金は幾らなのか、その流通段階でかかった税金をどうやってコスト転嫁するのかということははっきりしないわけです。そして、円高差益の還元というのは、なかなか時間をかけてもちっとも下がってこなかったわけですね。上がるときはすぐ上がるけれども、下がるときというのはなかなか下がらない。
 消費税導入の四月に、政府や大蔵省は総力を挙げて三%の税率は転嫁しろ、物価は上がるんだと繰り返しおっしゃいましたから、転嫁の方は実にスムーズにいきました。しかし私は、これを下げるということは非常に難しい。こういう不透明なやり方では物価が思うように下がらないのではないか。また、逆に転嫁できない小売商の方々も出てくるんじゃないか。今でも非課税業者の方で転嫁しないで頑張っている方もありますから、その方々は値下げはする必要もないということだと思います。そういうことを考えますと、これは大幅ではないんじゃないか。
 そしてもう一つは、小売非課税ということは内税ということでございます。ということは、大蔵省も政府もこれからは総額表示の問題で内税にしたいんだということをずっとおっしゃっていらっしゃいました。痛税感がなくなるということは税率アップにつながるのではないか。
 また、もう一つ危機感を持ちますのは、広く薄く、だから三%なのだということを繰り返し私どもは聞かされておりました。これが食品といろいろなもので狭くなるわけです。その分の減収率を結局厚くしなければ将来の消費税は成り立たないのではないか。そうすると、税率アップということが非常に心配になってきて、三%はいつまで続くのだろうかという気がいたします。
 それからもう一つ、複数税率が入ってきたわけでございます。食品を軽減するんだということですけれども、複数税率が入ってきた、しかもゼロ税率でなかったということは、ゼロは倍にしてもゼロですけれども、一・五は倍になり三倍になる可能性もあるわけでございます。ですから、ヨーロッパの諸国を見ておりますと、一六・五と一〇・三とか、一〇%と五%とか、さまざまな複数税率が入っておりますけれども、そういうところにもつながっていくんじゃないか。いろんな心配をしております。
 もう一つ、消費税の持つ基本的な欠陥ということで挙げられておりました簡易課税とか免税点とか帳簿方式とか、そういう問題については全く触れられなかった。学者の方のお話を伺うまでもなく、これでは本当に消費税を見直したとは言えないんじゃないか。もともと、これは売上税の反対のために、業界の方々に賛成を得るために簡素ということで、公平、公正は横に置いてちょっと簡素の方を広げたんだ、これは御説明を伺ったことがございますけれども、そういうところは手をつけなかったということも問題だと思います。自民党の見直し案は国民に幻想を与えて、そしていろんな期待を膨らませ、見直し案を支持するという統計の結果も出ておりました。しかし、最近になりまして、この見直し案が出てから、それからこの審議でなかなか見直し案が出てこないという時期にだんだんまた状況が変わってきたということも私は申し上げたいと思います。
 経済企画庁の外郭団体である日本リサーチ総合研究所が十月上旬に二千人の方たちの調査をいたしました。消費税を一たん廃止し税制改革をやり直すが四八・一%、見直し修正を行った上で存続が二九・五%、このままでいいと思わないがどうしたらよいかわからないが一五・五%、現状のまま続ける一・八%という結果が出ております。ほかの調査でもこういうような調査がまた出だしたということは、自民党の見直し案がなかなか出てこなかった時期に出たわけでございます。それから、この見直し案が出てから、私どもことしの初めに消費税一一〇番というのを設けまして、さまざまな声を皆様から受けました。それはもう終わったのでございますけれども、その一一〇番のつながりでいろんな方からお電話がございますが、やはり見直しを待っていたけれどもこれでは期待外れだった、これでは廃止しかないという声が、これで見直しができたという声よりも数倍多いということを申し上げたいと思います。
 この消費税導入が四月でございましてちょうど七カ月、今日ほど消費者が税制について関心を持っている時期はございません。みんな実感して、そしてみんな廃止論とか見直し論とか一人一人がはっきりした意見を持って行動するようになっております。こういうときにぜひ国会の先生方、与党も野党も一緒になって二十一世紀に向けて一体税制はどうあるべきなのか、私は一応廃止してそれを検討していただきたい。そして、本当に消費者の声を聞くとおっしゃるならば、国民の声を聞いて、そして納得のいく、合意できる税制を改めてつくり上げる、そういう行動に出ていただきたいということをお願いいたしまして、私の意見陳述を終わります。
この発言だけを見る →
中村太郎#9
○委員長(中村太郎君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人各位の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →
宮澤弘#10
○宮澤弘君 まず、河野参考人に伺いたいと思います。
 先ほど河野参考人は、消費税を廃止する法律等九法案反対の立場、政治論と税制論ということをまず最初にお述べになったわけでございますが、最近の国民世論の動向をマスコミ等が調査いたしました結果によりますと、廃止論よりも見直し論の方が次第に多くなってきております。その辺の国民の心理というものをどう分析なさるか、まずそれから承りたいと思います。
この発言だけを見る →
河野光雄#11
○参考人(河野光雄君) 簡単にお話ししたいんですけれども、きのう日本経済新聞が、今、宮澤先生おっしゃったことに関連しますけれども、世論調査をやったならば見直し論対廃止論は二対一の比率になってどんどん開いているということがありました。政党支持率もどんどん変わっているということがありました。私は、業者の人とかいろんな方、何百人の方とここ二年間随分この議論をやりましたけれども、明らかに税制の中で間接税というのはやっぱり必要なのかもしれないなという判断が少しずつわかってきている。消費税は天下の悪税だというのはひょっとすると間違っているかもしれない。もしそれが正しいならば、ヨーロッパ、アメリカの全国民はもっと高い税率の下で呻吟しなくちゃならぬはずなんですね。全然そんなことは起こっていないんですよ。だから、宣伝はいろいろあったかもしれないけれども、考えてみればこれは必要なのかもしれないということが少しずつ行き渡ったかもしれない。
 それから現実に毎日毎日の、八百屋さんに行く、魚屋さんに行く、デパートに行く、スーパーに行く、いろんな行動を通しながら、一つは僕は明らかになれだと思いますけれども、三%を家計簿でいろんな調査されている御婦人方が随分いらっしゃって、しかし同時に、よくよく考えてみれば、今度の年末調整でよくわかりますけれども、減税もあるんですよ。それを全部棚上げで議論をやっているんですよ。それもおかしいじゃないかということが、家庭の中で、おやじさん、サラリーマン、主婦、パートの間でも少しは議論されるようになったのではないかという気がします。
 やっぱり七月二十三日という時点は、今から考えてみれば異常な時点だったんですよ。あれが国民の最終審判なんだということは絶対ありません。もしそうだとすれば、今の世論調査の変化というのをどう考えるのか。次の衆議院選挙でどうなるか知りませんけれども、仮に自民党が勝ったら国民の総意は見直しにあったという判定でおしまいになるわけでしょう。本当はそうではなくて、その時点でいろんな感情的な起伏その他があるけれども、毎日毎日の生活の中で少しずつ理解が深まっていくプロセスが今進行中だと考えるのが、特定のイデオロギーに偏らないで広く税制を考えながらいけば、それが一番ごく普通の解釈なのではないかと私は思います。
この発言だけを見る →
宮澤弘#12
○宮澤弘君 もう一つ承りたいんですが、先ほど税制論という立場から現行の税制、これまでの税制というのは直接税偏重であった、こういうお話がありまして、私どももまことにそのとおり考えているものでありますが、そこで直間比率の問題について伺いたいんです。
 この特別委員会におきましても、直間比率について幾つかの論議が行われました。発案者の方からのお話は、直間比率というのはあらかじめ何%と設定するものではなくて結果として出てくるものである、そういうお答えがあったと記憶いたしておりますし、またこれまでの歴代の政府の財政当局者の答弁も大体そういう答弁が多かったというふうに私も思っております。しかしながら、今伺いたいのは、そういうように余り先験的に何%ということを決めて税制をいじるのではなくして、税制をいじった結果こうなったということでも結構なのでありますけれども、大体どのぐらいが結果として出てくるものとして適当であるのか。外国の諸制度等も御研究になっておられると思いますので、そういうことも頭に置いた上で、我が国の直間比率としては結果として大体どのぐらいのものがいいのか、こういうことについて御所見を承りたいと思います。
この発言だけを見る →
河野光雄#13
○参考人(河野光雄君) 私は六、四ぐらいがいいんじゃないかと思います。それはもう最終的なお答えみたいなものなんですけれども、一番私がこの議論で不思議に思うのは、間接税体系を入れないで直接税を中心にこれからもやっていくということになったときに、だれがその負担を背負うんですかという議論は、例えば労働組合の支持を受けている社会党も民社党もあり得るわけだけれども、そこに一番いくんです、だれがどう考えたって長い目で見れば。そこのところの議論を全部外してやっていることは不思議でしようがないですね。
 実はサラリーマン諸君はわかっているんですよ。わかっているけれども女房を抑えることができないとかいろんなことがあるんです。家庭の中で今は亭主の権威は全く地に落ちていますよ、社会において、企業の中において、家庭において。だから、ますますこの議論が混迷しているわけですよ。よくよく考えてみれば、直接税中心で企業とサラリーマンから取るしか話はないんですよ。だって、労働組合の中でだってわかっている人は全部わかっているんですから。私はたくさん知っていますけれども、自動車労連を含めて。とすれば、長い目で見ればいろんないきさつがありますよ、政治手続論のことをちょっと別にすれば。だれが選択しようと、野党の改革の中で出ている協議会でだれがどういう先生を五十人集めて協議されようと、この議論を抜きにした議論はあり得ませんよ。それは大まかに言えば六、四ぐらいがいいんではないかというふうに感じとしては思っています。
この発言だけを見る →
宮澤弘#14
○宮澤弘君 もう一つ、きょうの公述をされました中で伺いたい点は、資産課税の適正化をやるべきである、こういう御趣旨の話があったと思いますが、それについて少し具体的に御所見を承りたいと思います。
この発言だけを見る →
河野光雄#15
○参考人(河野光雄君) 二つあると思うんです。一つは、税収を増加するのに消費税をやめたってこちらで金は取れるよという発想が一つあるでしょう。これも一つの考え方だと思います。もう一つは、土地基本法案が間もなくここを通過すると思いますけれども、土地というものの利用をなるべく公的な枠の中で決めるんだという方向がはっきりするならば、その方向に向かって土地を動かすのに税制は側面からどれだけの援助ができるかという、これは増収論ではないんです。税制をてこにして土地政策を進める観点からの税制論は、今の議論は二つ混在していると思います。しかし、私はどちらの議論もそれぞれ理があって、それを全部勘案しながら、若干時間がかかるかもしれませんけれども、話をどんどん詰めるべきだと思うんです。ただ増収論だけで議論をやったならば、現実的には固定資産税の話をやったって、すぐに反対論だけがちまたにあふれるんです。相続税もそうです。それだけ簡単にはできないんです。企業から取れという議論はありますけれども、これをやるなら、税の理屈からきっちりと組み立てなければ僕はだめだと思いますよ。
 いずれにしても、二つのアプローチの仕方があって、両方をあわせてやらなければ土地を中心にした資産課税論というのは正当性を欠くんではないか。どちらかに暴走すれば結果はよくないのではないかと思っております。
この発言だけを見る →
宮澤弘#16
○宮澤弘君 その点についてもう一度承りますけれども、土地政策としての課税という側面、それから税制自体としての側面、現在の議論は土地政策としての税制の方に少し偏り過ぎているのではないかと、そういうお気持ちでございましょうか、そこを承りたいと思います。
この発言だけを見る →
河野光雄#17
○参考人(河野光雄君) 最近、建設省が十一月の末に案を公表して、これからどう扱うか問題だと思いますが、あれは土地政策論、住宅政策論、大都会における勤労者に対する住宅供給論にウエートを置いたものですね。それは建設省の役割がそうですからそれは構わないんですけれども、私はどちらかといえば国民の要請というのはやっぱり半々ぐらいじゃないかと思うんです。
 土地政策を真っ当に進めるために、税制をてこにどれだけ有効に使えるかという観点と、それから、資産格差がこれだけ開いて、地方から志を抱いて東京に来て、役人になっても何になっても構いませんけれども、女房が都会人でなければ、社長になろうと今の状態では恐らく都会では生涯家一軒建てられませんよ。こんなばかばかしい世の中というのは考えられないんですね。数は少ないです、二割ぐらいの人ですけれども、あとはみんな相続でいずれ来るというふうに思っている人がたくさんいるわけです、持っている人にプラス。ですから、そういうことを考えてみれば、やはり所得再分配という観点も入ってこざるを得ない。やっぱり半々ぐらいだと思います。むしろ今の議論は、人によって随分立場があって違いますけれども、今猛然と沸き上がっているのは、後の方の議論の方がパワーを、マグマをどんどん国民の間に蓄えつつあるという気が私はしています。
この発言だけを見る →
宮澤弘#18
○宮澤弘君 次に、井上参考人に承ります。
 ある新聞でございますが、これはちょっと三カ月ぐらい前でございますので、あるいはお考えがお違いになっておられればそう言っていただきたいのでありますけれども、ある新聞で、井上参考人の御発言ですが、「消費税を廃止した場合の財源確保は可能か。」、こういう質問に対して「複雑に考えるのではなく、法人税減税と物品税等の間接税廃止をやめて、元に戻せばよい。」、こういう発言をしておいでになりますけれども、このお考えは今でもそのとおりでございましょうか。
この発言だけを見る →
井上隆司#19
○参考人(井上隆司君) お答えいたします。
 今でも変わりはございません。
この発言だけを見る →
宮澤弘#20
○宮澤弘君 そういたしますと、法人税の減税を戻せ、それから物品税等の間接税廃止もやめろ、こういう御意見でございますけれども、現在の法人税というものについて、諸外国に比べて高いというような議論がございますけれども、それについてどうお考えでございますか。
この発言だけを見る →
井上隆司#21
○参考人(井上隆司君) お答えいたします。
 確かに今先生のおっしゃったような意見もあることはあるわけですが、私はことしの三月まで長年税理士などをやってきたわけですが、私の今までやってきた経験からいいますと、実際問題、法人税が高過ぎたからといって倒産した会社は皆無だと思います。逆に所得税が高いからといって首つり自殺したというか、そういう人もいないはずでございます。いろいろな方に聞いてみますと、例えば所得税等については、むしろ自分はこれだけ払っているんだという自慢話ですね、ステータスシンボル的な方が非常に多かったというか、そういうことを考えているわけです。
 物品税の復活については、先ほど古岡参考人からもお話がありましたように、昭和十二年から五十数年実施されていたわけです。これは、言ってみれば、政府・与党の傘の中で実施されたわけで、もしこの物品税がそんなに時代錯誤だというか、そういうことでしたら、むしろ糾弾されるべきは政府・与党ではないか、そう思っているわけです。それで、野党の方も、この物品税復活については、一応代替財源案の柱になっているわけですが、これも二年をめどにして抜本的に、自民党の見直し案じゃございませんけれども、全体のバランスをとってということでございますので、いわば緊急避難的なことだと私は理解しているわけでございます。
 むしろ、現在自民党の方で見直し案、それに対しての減税案というのはまだ出てきませんが、どだい、この見直しか廃止かというか、論議する上においては、全部法案とか代替財源案とかが出た上で、どちらがいいか悪いかということになろうと思いますが、現時点では、自民党の方から法案も減税財源案も出ておりませんので、なかなか比較対照というのが難しいというか、そういう現状ではないかと思うわけでございます。
この発言だけを見る →
宮澤弘#22
○宮澤弘君 物品税の非常に不合理な点等は、先ほど古岡参考人がおっしゃって、今それを井上参考人も援用されたわけでございますね。こうなったのは、大体、自民党が今まで何十年とやってきたことではないかと。そういうお答えは、私どもずっとこの委員会室でやった場合に提案者の方から常にそういうお答えがございました。たまたま軌を一にしているのか、同じようなお答えがございました。
 私どもは、先ほど古岡参考人もおっしゃいましたように、物品税体系に大変不合理な点が多いということも頭に置いた上で消費税というものを導入する考えをまとめたわけなんでございます。でありますから、そういうことから申しますと、経緯は経緯として、私どもはやはりいろいろ問題点があるからこそ新しい税体系に移るという決断をいたしたわけでありますが、先ほどの私が読みました井上参考人のお考えも、物品税をもとに戻すべきであるということであり、野党案も一応二年をめどでありますけれども、ということについては、これはもう非常に不合理なものをもとに戻すということについて、何らお気持ちの中に抵抗をお感じになりませんでしょうか。
この発言だけを見る →
井上隆司#23
○参考人(井上隆司君) お答えいたします。
 私自身の個人的な見解ですが、一応ことしの三月までは実施されたわけでございまして、本来今御指摘の不合理な点があったとしたら、政府・与党は責任政党でございますから、それに基づいて直すべきだったのではないかと思うわけですよ。それをそのまま放置しておいたということはいろいろ問題もあろうかと思います。
 それで、実際問題、この消費税法の廃止法案が国会で通ったと仮定した場合、野党の方も、御承知のように物品税等についてはいろいろ問題点というのが山積しているというか、ある程度承知の上だと私は思うんですが、ただ、いわゆる来年の三月廃止ということで緊急避難的に仮に物品税を復活させるというか、その上で、先ほどもお話が出ましたように、二年後をめどに二十一世紀を目指した税制再改革ですか、それを行うというのは、私は何ら不合理な点はなかろうと私自身理解しているわけでございます。
この発言だけを見る →
宮澤弘#24
○宮澤弘君 もう一つだけ承りたいのでありますけれども、いろいろ野党のお話を承りますと、とにかくどういうものになるかは、国民税制改革協議会でございますか、そこで十分議論をしてもらって決めるんだ、こういうお答えなんでありますが、井上参考人はとりあえず法人税と物品税をもとに戻すべきだと、こういうお考えをしておいてになりますが、そういたしますと、二年後か三年後かわかりませんが、どういう税制というものを頭に描いておいでになりましょうか、それを承りたいと思います。
この発言だけを見る →
井上隆司#25
○参考人(井上隆司君) お答えいたします。
 二年後、三年後には、これはあくまでも私の個人的な見解ですが、いわゆるEC諸国等と比べて、日本の場合は、御承知のように生産から販売までの流通機構が非常に複雑煩瑣でございます。それで、我が国のいわゆる商慣習もしくは流通機構などを当てはめた場合は、現行の消費税法というのはやはり実情に合わないというか、そう見ているわけです。
 それで、私自身思いますには、いわゆる二年後以降の税制改革ということでございますが、行政改革とかそのほか法人関係の特別措置、そういうものを徹底的に整理統合して、もしも財源が足らないというか、そういう段階になりましたら、いわゆるアメリカの州税として実施されている単段階の小売売上税、あれが一番適切、適当なんではないかというので、個人的には十数年そう念じておる次第でございます。
この発言だけを見る →
宮澤弘#26
○宮澤弘君 次に古岡参考人に承りますが、先ほど来個別間接税の問題点をるるお挙げになって、今度、野党案がもし日の目を見るようなことになればこれは非常に問題であるという御趣旨のお話がありましたんですが、そこで、個別物品税から消費税になりました。そのときにも、いろいろ事務手続、事務負担、経費でございますね、大変いろいろ問題があったんだというお話がありました。そして、今度さらにまた野党案のようになればそういうことをもう一度重ねていかなければならない、そういうお話でありましたが、少し今の事務負担、経費負担ということについてもう少し具体的なお話が承れれば幸いだと思います。
この発言だけを見る →
古岡勝#27
○参考人(古岡勝君) お答え申し上げます。
 一番身近な私の会社から、企業機密じゃないんですけれども、ひとつ申し上げさしていただきたいと思います。
 私どもの会社ではコンピューターもIBMの一番超大型を使っておりますが、そうしてコンピューターの要員も二百名ほどおります。これを動員してかなり時間をかけまして、お金としては二億五千万かかりました。そして、もう一つ申し上げますと、私ども決算をやっと終わったばかりなんですが、三月決算じゃなくて途中決算をしておりますので、八月決算を終わったばかりでございますが、残念ながら、その決算が毎年の決算よりも三日おくれました。その三日間とは何かといいますと、この消費税のためにおくれた、こういうことでございます。
 これは来年になりますと恐らくもうなれておりますから、もうだんだんそんなむちゃな、自分自身を苦しめることはなく、それを毎月毎月にならしていってうまくやるつもりでおりますが、今回は初めてでございましたので、要するに移り変わりだからそうなったということで、これからやっとなれようとしておるときに、またそれがもう一回やられますと、それがもとに返っちゃう。
 私いろいろな民間団体の会長、役員をやっておりますが、その人たちの集まりでいろいろ話しておりますと、皆さん全部そうおっしゃっています。もしももう一回これをやられたら一体おれのところはどうなるのか、おれはもう知らないよ、早い話がもう税金を納めないよと。これは発言としては私が言っているんじゃありません。それほど皆さんがもうあきらめたというか、情けないというか、そんなもの一体おれたちに何でそんな負担をかけるのか。要するに、もうここまで安定してきた、皆さん安定している安定していると言っております。ここまで安定してきたのにこれをまたひっくり返して、そしてまた負担をかけるというのは、ちょっと野党の先生方もおかしいんじゃなかろうかと、これは私じゃありませんが、皆さんがそうおっしゃっていますということを申し上げておきます。
この発言だけを見る →
宮澤弘#28
○宮澤弘君 次に中村参考人に承りたいと思いますが、これから高齢化社会を迎えまして社会福祉関係の費用が大変かかっていくということはもう御案内のとおりだろうと思いますが、そこで、そういう将来の福祉社会ということを考えまして、財源をどこに求めていったらいいのかということについてまずお考えを承りたいと思います。
この発言だけを見る →
中村紀伊#29
○参考人(中村紀伊君) お答えいたします。
 そういう議論はこの消費税論議の中でたくさん出ておりますけれども、私どもは、税金を納めないとか納めたくないとかというので女どもは騒いでいると先ほどお話がございましたけれども、そういうことではなくて、やはり納得してそして納めたい、そしてその納めた税金がちゃんと国庫に納まる、透明性が確保されている、そういうことも考えますし、いろいろな意味で高齢化社会が来ることは事実でございます。しかし今すぐに、これだけ自然増もありますし、いろいろな税収が豊かなときに、何かもう目の前に高齢化社会が来るから今消費税をやらなければという非常におどかしのような形で消費税導入を急がれたということは納得がいかない。やっぱりみんなに納得させて税制のあり方をやるべきじゃないか。それから、高齢化社会のために必要だと言いながら、一番弱いお年寄り、年金生活者、年金生活者といってもお金持ちの年金生活者もいらっしゃいますけれども、弱いお年寄りや母子世帯やそういう人たちを直撃する逆進性の強い消費税で高齢化社会の税収の増加を図るというその考え方は、私どもは納得がいかないということを申し上げているわけです。
この発言だけを見る →
← 戻る