商工委員会

1993-05-12 衆議院 全121発言

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会議録情報#0
平成五年五月十二日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
  委員長 井上 普方君
   理事 新井 将敬君 理事 井出 正一君
   理事 金子 一義君 理事 額賀福志郎君
   理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君
   理事 安田  範君 理事 遠藤 乙彦君
      浅野 勝人君    甘利  明君
      衛藤征士郎君    尾身 幸次君
      奥田 幹生君    小坂 憲次君
      古賀 一成君    高村 正彦君
      佐藤 信二君    田原  隆君
      谷川 和穗君    中島洋次郎君
      野田  実君    星野 行男君
      真鍋 光広君    増田 敏男君
      村田 吉隆君    渡辺 秀央君
      江田 五月君    遠藤  登君
      大畠 章宏君    後藤  茂君
      清水  勇君    鈴木  久君
      武藤 山治君    安田 修三君
      吉田 和子君    和田 貞夫君
      権藤 恒夫君    春田 重昭君
      小沢 和秋君    川端 達夫君
      小平 忠正君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  森  喜朗君
 出席政府委員
        通商産業大臣官 内藤 正久君
        房長
        通商産業大臣官 江崎  格君
        房総務審議官
        通商産業大臣官 石黒 正大君
        房審議官
        通商産業省産業 熊野 英昭君
        政策局長
        特許庁総務部長 姉崎 直己君
 委員外の出席者
        文化庁文化部著 伊勢呂裕史君
        作権課長
        商工委員会調査 山下 弘文君
        室長
    —————————————
委員の異動
四月二十三日
 辞任          補欠選任
  岩村卯一郎君      瓦   力君
  和田 貞夫君      田邊  誠君
同日
 辞任          補欠選任
  瓦   力君      岩村卯一郎君
  田邊  誠君      和田 貞夫君
五月十二日
 辞任          補欠選任
  岩村卯一郎君      浅野 勝人君
  古賀 正浩君      星野 行男君
  田辺 広雄君      野田  実君
  谷川 和穗君      高村 正彦君
  増岡 博之君      衛藤征士郎君
  渡辺 秀央君      小坂 憲次君
  清水  勇君      遠藤  登君
  川端 達夫君      小平 忠正君
同日
 辞任          補欠選任
  浅野 勝人君      岩村卯一郎君
  衛藤征士郎君      増岡 博之君
  小坂 憲次君      渡辺 秀央君
  高村 正彦君      谷川 和穗君
  野田  実君      田辺 広雄君
  星野 行男君      古賀 正浩君
  遠藤  登君      清水  勇君
  小平 忠正君      川端 達夫君
    —————————————
四月二十七日
 綿織物等の実効ある輸入秩序化対策の確立に関
 する請願(桜井新君紹介)(第一八四九号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 不正競争防止法案(内閣提出第六七号)(参議
 院送付)
     ————◇—————
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井上普方#1
○井上委員長 これより会議を開きます。
 参議院送付、内閣提出、不正競争防止法案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田和子君。
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吉田和子#2
○吉田(和)委員 日本の経済の大変な成長とともに、知的財産を守るさまざまな権利の付与、そしてその権利を守るということで重要性が増してきているわけでございます。これから二十一世紀に向けて、先端技術の発達で大変技術的に、内容的に大変細かく多様化し難しくなっていく中で、知的所有権の確保というものが注目をされ、ますますこれから問題になってくるだろうということが予想される中で、今回の不正競争防止法の改正が行われるわけでございます。昭和九年に制定されて以来大きな枠組みは変更されなかったということでございますけれども、近年の国際化に向けて、また国際化の中でその主導的な立場をとって国際的なハーモナイゼーションを進める上で日本は大変重要な位置にある、その中での改正ということで、これからの状況に適応した法の改正をやっていかなければならない、内容でなければならないというふうに考えるわけでございます。
 まず最初に、国際的な各国の動向というものがあろうかと思います。各国の国情に合わせた不正競争の防止の仕組みが各国それぞれにあり、そしてその国々が集まっていろいろな国際的なハーモナイゼーションを目指しているわけでございますけれども、まず各国の状況がどういうふうになっているかということを伺いたいわけでございますけれども、第一条の「目的」のところに「国際約束の的確な実施を確保する」というふうにございます。国際約束とは具体的に何を指しているのか、各国の情勢なども加えながら御説明をいただきたいというふうに思います。
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熊野英昭#3
○熊野政府委員 まず、ここの法律において「国際約束」と言っているわけでありますけれども、国際約束といいますのは、一般的に申し上げまして、国際的な取り決めでありますところの条約とか協定といったもので、我が国がその履行を国際的に約束したものを指しているわけであります。
 本改正案におきます不正競争に関する風際約束というのは、具体的に申し上げますと、工業所有権の保護に関するパリ条約、それからそのパリ条約の特別取り決めでありますところの、虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関するマドリッド協定というものがございます。こういった国際約束を踏まえまして、国際的ハーモナイゼーションの観点から不正競争の防止を図っていく必要性にもかんがみまして、この法案におきましてはこれら国際約束の的確な実施を確保することを法目的の一つとして掲げているものでございます。
 各国の動向というお尋ねがございましたので、若干その点について敷衍をさせていただきます。
 各国は、こういうパリ条約あるいはマドリッド協定等に基づきましてそれぞれ類似の不正競争防止のための法律を持っております。特に、最近におきましては、御案内のとおりガット・ウルグアイ・ラウンドにおいてTRIP協定という中でいろいろ不正競争防止の関連の議論が行われているわけでありますけれども、この中では、従来の先ほど申し上げましたパリ条約にないものといたしまして営業秘密の保護が義務とされているところがございます。これにつきましては既に我が国の不正競争防止法は平成二年の改正におきまして営業秘密の保護を導入しておりまして、いわばこのTRIP協定の発効に先駆けたものとなっているわけであります。
 さらに、こういう不正競争の防止に関する国際的な関心の高まりを背景といたしまして、WIPO、世界知的所有権機関という国際機関がございますが、このWIPOにおきましても昨年の七月から不正競争防止法の国際的なハーモナイゼーションに向けての作業が開始をされているところでございます。この中身はまだ議論を始めたばかりでございますので必ずしも明らかではありませんけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろな国際約束それから各国の動向等を踏まえて今回の改正に当たっても法制を整備いたしましたので、国際的ハーモナイゼーションの観点から十分対応したものというふうに考えているところでございます。
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吉田和子#4
○吉田(和)委員 まさに今国際化の中で、今回の改正が国内法の整備で国際化に向かってこれから大きく適用をされていかなければならない、そういった大幅な改正が望まれている状況だというふうにお答えの中で今伺ったわけでございます。
 お話に出ましたWIPO、世界知的所有権機関においての検討が始まっているというふうに伺いました。特に、その加盟国の中でも主導的な立場をとっていかなければならない経済大国日本の立場として、今回のこの改正がまだまだ踏み込んだものであってもいいのではないかという箇所もあるわけでございますけれども、今回のこの改正でこれから主導的な立場をとる日本の国内の法として十分に適合がなるか、この改正がなるかということで、いかがでございましょうか。
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熊野英昭#5
○熊野政府委員 国際的な関係につきましては、ただいま申し上げましたように国際約束は十分踏まえておりますし、それからただいまのTRIPのようにまだいろいろ議論中でありますけれどもほぼ方向が固まっているものについては、既にその内容を先取りしているところでございます。それから、ヨーロッパ各国あるいはアメリカ等の先進国における法制の状況、あるいはコモンローの動向等も十分踏まえまして対応しているので、そういう点では国際的に見ても全く遜色のないものになっていると思います。
 他方、国内的な実態との関係で申し上げますと、いろいろ現行法に基づく運用、具体的に申し上げますと、各種の判例があるわけでありますけれども、これらの判例等も十分踏まえて、産業構造審議会におきまして専門家の方々に集まっていただいて、十分な検討をしてそういうものを取り上げてまいりましたので、実態に対しても即応したものになっているのではないかというふうに考えております。
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吉田和子#6
○吉田(和)委員 今回、一般条項を導入をしなかったという点があるわけでございます。現行不正競争防止法は、不正競争を限定列挙しているという形になっているわけでございます。不正競争の内容が大変多種多様になっている、これからますます複雑になってくるものに対して、十分な対応をすることができるのだろうかというふうに思うわけでございます。限定列挙方式を維持をしたというふうな段階、どういうふうな考えであったのか、なぜ導入をしなかったのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
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熊野英昭#7
○熊野政府委員 ただいま委員御指摘のように、いわゆる一般条項方式、本法におきましては不正競争に当たる行為を限定列挙しているわけでありまして、したがいまして、その限定列挙されていないものでも、社会通念上不正競争になり得るようなものが規制の対象とならないから、そういうものもカバーするように一般条項を設けたらどうかという問題提起はかねてからあるわけであります。
 その点につきましても、先ほど申し上げましたように、産業構造審議会の場で大変熱心にかつ慎重な御審議をいただいたところであります。これについては、積極論もあれば、消極論の両方の御意見がございました。また、国際的にも両方の対応があり得るわけであります。結論的に申し上げますと、昨年十二月に出されましたこの審議会の中間答申におきまして、今後、さらにその必要性でありますとか、あるいは導入した場合の問題点について検討を行っていくことが望ましいということで、当面はその導入を見送るということで成っているわけであります。
 なお、最近いろいろな専門家の御報告もあるわけでありますけれども、一般条項を導入しておりますところのドイツにおいてその運用状況を見てまいりますと、裁判所の判断が下級審と上級審で異なるケースも多うございまして、一般条項のもとで必ずしも裁判所の判断が安定しているとは言えず、事業者の予測可能性を害しているといった弊害がいろいろ指摘されているところであります。これは、実は産業構造審議会の審議の過程でも非常に問題にされたわけでありますし、他方、我が国の法制がドイツの法制と違うとか、いろいろな専門的な理由もございます。不正行為法そのものに差しとめ請求を認めない立場をとっている我が国の法制と、それから不正行為法においても差しとめ請求を認めているドイツの法制との違いとか、そういうことも含めて、先ほど申し上げましたように、今後、勉強は続けていこう、いろいろ問題点も検討はしていこうということでありますけれども、さしあたりは一般条項を設けずに、むしろ社会通念上不正競争であるとコンセンサスが得られた行為につきましては、その都度、迅速に、機動的に本法の改正をお願いをいたしまして、そして個別条項を設けて対応していく方が、安定性と申しますか予測可能性と申しますか、それに対応できるのではないかというふうに考えて、そちらの方が適切ではないかというふうに考えている次第でございます。
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吉田和子#8
○吉田(和)委員 まだその状況に達していないというふうな御見解なのだろうというふうに思います。
 パリ条約では、「工業上又は商業上の公正な慣習に反するすべての競争行為は、不正競争行為を構成する。」というふうにうたっているわけでございますけれども、一般条項を有しないというふうな我が国の不正競争防止法は、パリ条約に当てはまっているのだろうか、違反をしていることになるのではないかという見解についてはどうでしょうか。
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熊野英昭#9
○熊野政府委員 パリ条約は、第十条の二におきまして、基本的に三つ言っております。
 第一は、「各同盟国は、同盟国の国民を不正競争から有効に保護する。」それから第二の点は、「工業上又は商業上の公正な慣習に反するすべての競争行為は、不正競争行為を構成する。」これがただいま御指摘の一般条項ではないかというところでございます。それから第三、「特に、次の行為、主張及び表示は、禁止される。」と言っております。そして三つ挙げておりまして、競争者の産品、活動との混同を生じさせる行為、これはいわゆる混同惹起行為でございます。それから第二が、競争者の産品、活動に関する信用を害する行為、信用棄損行為でございます。それから第三に、産品の性質等について誤認を生じさせる行為、誤認を起こす行為でございます。
 今申し上げましたように、第三の三つの行為の禁止については、これを最低限の義務ということで、義務としているわけであります。したがいまして、各同盟国においてこの三つは必ず守らなければいけないというものでありますが、それ以外にどのような行為が工業上または商業上の公正な慣習に反する行為、先ほど御紹介申し上げました第二項でございますけれども、それに当たるかは、それぞれの国の判断というか裁量にゆだねられているわけであります。
 したがいまして、これはどういうものをそれぞれの国においてそういう行為とするかということで、一般条項を持たないということは、パリ条約の違反にはならないというふうに考えております。
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吉田和子#10
○吉田(和)委員 次に、知的所有権を守る規制の態様や目的が違うものに、工業所有権法、著作権法、独占禁止法等があるわけでございます。
 不正競争のこの法案の検討に入らせていただいて、それらのほかの法との兼ね合い、実態、どういうふうに運用されているのだろうかということにつきまして、私自身が大変わかりにくい状況であったわけでございます。特に、独占禁止法と不正競争防止法との関係はどのようであるか。独禁法も公正な競争を維持する上での大変大きな法でございます。これから不正競争防止法とあわせて施行される両輪として、守っていかなければならない法だというふうに考えておりますけれども、この独禁法と不正競争防止法の関係、それを伺いたいわけでございます。
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森喜朗#11
○森国務大臣 お答えを申し上げます。
 不正競争防止法は、独占禁止法とともに競争秩序の維持を図る法律でございます。独禁法は、カルテル、私的独占などの自由競争を制限する行為を禁止するとともに、公正な競争を阻害する行為を不公正な取引方法として禁止し、もって公正かつ自由な競争秩序の維持を図ることを目的とするものでございます。
 これに対しまして、本法は、不正競争の防止により事業者の営業上の利益の保護を図るとともに、これを通じて公正な競争秩序の維持を図ることを目的といたしておるものでございます。また、目的達成のための規制手段におきましては、独禁法が公正取引委員会の排除命令等行政規制を中心とするのに対しまして、本法は事業者間の民事的規制を中心とするものでございます。
 このように、不正競争防止法と独占禁止法は互いに相補って公正な競争秩序の維持を図るものでございまして、不正競争防止法の今回の改正によりまして右目的はさらに効果的に達成されるものではないかと考えているところでございます。
 不正競争防止法につきましては、今後も適時適切な見直しを図りながら、独占禁止法とともに公正な競争秩序の維持に遺漏なきを期してまいりたい、このように考えております。
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吉田和子#12
○吉田(和)委員 大臣の方から明確にお答えをいただきました。独禁法とともにこれからますます重要性を帯びてくる、両輪として不正競争防止法を充実をさせるというふうなお答えをいただいたわけでございます。
 そのほかの工業所有権四法というのがございます。それから著作権法、それらの法との関係はどういうふうになっておりますでしょうか。
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熊野英昭#13
○熊野政府委員 不正競争防止法は、いわゆる特許法等の知的財産権法とともに知的財産保護の一翼を担うものでございます。
 特許法等のいわゆる知的財産権法は、客体に権利を付与するという方法によりまして知的財産の保護を図るというのが基本でございます。これに対しましてこの不正競争防止法は、保護されるべき一定の事実状態を前提にいたしまして、その行為に着目して規制を行うという方法によって知的財産の保護を図っているものでございます。そういう意味で、異なる観点からいわば相補って知的財産の保護の充実を図ろうとするものでございます。
 具体的に申し上げますと、本法の規定する不正競争の類型のうち、例えば他人の商品または営業と混同を生じさせる行為は商標法によっても保護されるわけでありまして、そういう意味で営業上の信用を保護するものでございますし、それから、例えば他人の商品の形態を模倣する行為、第二条第一項第三号でございますけれども、これは意匠法とともにそういう人間の開発成果を保護するものというふうになっているわけであります。
 そういう意味におきまして、一般に、ある事実が法律の複数の規定、ただいま申し上げました例で申し上げますと、不正競争防止法と商標法といったふうな複数の規定の要件を満たす場合には、それぞれの規定の適用について特段の調整規定がない限りにおきましては、各規定が重畳的に適用が可能となるというのが一般的な建前でございます。そういう意味におきまして、本法と工業所有権四法等との両方の要件を満たす場合には、両方のいずれかの法律によって、その中身にもよりますけれども対応が可能であり得るということになります。
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吉田和子#14
○吉田(和)委員 今度の改正で、営業者同士の問題だけではなくて、消費者保護の観点からも意義があるべきではないかなというふうに考えているわけでございます。おとり広告とか比較広告の中の悪質なものもこの法で規制をされるべきではないかというふうに思いますけれども、その点についてはどうでしょうか。
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熊野英昭#15
○熊野政府委員 おとり広告とかあるいは比較広告とか悪質なものかどうか、こういうことだと思います。
 おとり広告といいますのはどういうものをいうかといいますと、実は不当景品類及び不当表示防止法それから同法の告示に基づきまして、公正取引委員会がおとり広告とはこういうものだというのを説明しております。三つございます。
 第一に、実際には取引することができない商品または役務が広告されているもの。要するに取引することができない商品。それから第二が、実際には取引する意思がない商品または役務が広告されているもの。取引する意思がないにもかかわらず広告している。それから第三が、商品または役務の供給量でありますとか供給の時期でありますとか、あるいは供給の相手が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されてないような広告というふうになっておりまして、こういうものにつきましては公正取引委員会により排除命令等のいわば行政規制の対象になっているところでございます。
 他方、本法におきましても、例えば商品の数量について誤認させる行為につきましては第二条第一項第十号に規定があるわけでありますし、それから競争者の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布するような行為は、これも第二条第一項第十一号において規制の対象としているところでございます。こういう意味におきまして、先ほど申し上げましたようないわゆるおとり広告がこれらに該当する場合には、当然のことに規制の対象となり得るわけであります。
 事実、既に現行法のもとにおきましても、裁判所の判決の中に、広告に表示された商品の供給量等が著しく限定されているにもかかわらず、限定されていることが明瞭に記載されてない場合に、商品の数量について誤認させる行為として民事的請求の対象となり得るものを述べたものがございます。
 それからまた、販売の意思がない商品を広告に使用して、広告した商品について虚偽の説明をする行為を行った場合に、これらを一体としてとらえて、競争者の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布する行為として民事的請求を認めた事案もございます。
 こういうふうに、おとり広告に関しましては、既存の不正競争類型に該当する場合には、この不正競争防止法におきまして民事規制の対象ともなり得まずし、それから他方、最初に申し上げましたように、公正取引委員会の広範な行政規制の対象とするというふうになっていることにかんがみますと、新たな不正競争類型として位置づけるかどうかにつきましては、なお判例の蓄積あるいは取引社会の実態を踏まえつつ、今後の検討課題とさせていただきたいというふうに思っております。
 それからもう一点、比較広告について申し上げますと、比較広告の中には真実の情報に基づく比較広告もございます。この真実の情報に基づく比較広告は需要者に対して商品や役務の選択の情報を幅広く提供するというプラスの面もあるわけでありますから、これを一概に規制することは適当でないわけであります。したがって、比較そのものが問題なのではなくて、内容が虚偽であったりあるいは欺瞞性がある場合には悪質であるわけでありますから、こういうものについては内容等の誤認惹起行為、この第二条第一項第十号の規定あるいは信用棄損行為、第二条第一項第十一号の規定でございますけれども、この規定によって対応していくことが可能であるというふうに考えているところでございます。
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吉田和子#16
○吉田(和)委員 次に、二重価格の表示についてお伺いをいたします。
 消費者も大変いろいろな情報を得ておりますので、大体価格の見方というものをわりかた正確なものを身につけているのではないかと思うのですけれども、この二重価格表示がこのごろ当たり前のような使われ方をしているところに悪質性を感じるというか、不正なのではないかというふうに思うことが本当に多いわけでございますけれども、やはり虚偽の表示であり商道徳上許されない。何らかの規制をきちっと与えるべきではないか。今度の改正法においてこの二重価格表示というものはどういうふうな扱いになりますでしょうか。
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石黒正大#17
○石黒政府委員 お答えを申し上げます。
 先生御指摘の二重価格表示の本法案における取り扱いという点でございますが、結論から先に申し上げますと、本法案の規制対象になるというふうに考えております。例えば、実際より高い虚偽の価格を市価として表示をいたしまして、それより安い価格を販売価格として表示をするというようないわゆる二重価格表示と申しますか、この行為は需要者をだます虚偽の表示であるという観点から、本法案の二条一項十号で規定されております品質内容に関する誤認惹起行為というのに該当するのではないかというふうに考えております。
 実際、判例の取り扱いにおきましても、例えば東京高裁で五十三年に判例が出ておりますけれども、原石ベルギーダイヤモンド事件という判例がありましたけれども、そこでは市価百万円、当店販売価格五十万円というような表示で販売をしたという事例でございましたけれども、本案件につきまして高裁の判決では、二重価格表示を「需要者をだます虚偽の表示として商品の品質内容に関する誤認惹起行為による規制の対象となる」というふうに判断をしているところでございます。
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吉田和子#18
○吉田(和)委員 次に、平成二年の改正で盛り込まれました営業秘密の保護について、その後の経過を伺いたいわけでございます。二年に近い経過があるわけでございますけれども、営業秘密の保護についての改正で問題点は起きていないか、しかるべき実績が上がっているかどうか、そのことについてまずお伺いをいたします。
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熊野英昭#19
○熊野政府委員 ただいま委員御指摘のように、平成二年に改正を行いまして、それを契機といたしまして企業におきましても営業秘密の保護の重要性ということについての認識が高まってまいりまして、例えば、営業秘密の社内管理体制の整備のために組織をつくるとか、あるいは規定を充実するとか、あるいは具体的なマニュアルを作成するといったふうな対応がなされてきているものと承知しているところでございます。
 前回のこの改正法施行後、これは平成三年六月十五日に施行しておりますけれども、施行後平成五年の三月までにこの営業秘密に係る訴訟件数というのは二十七件というふうに出ております。うち二件は裁判が済んでおる、二件は和解、一件は取り下げ、残り二十二件は係属中ということのようでございますけれども、そういう状況でございます。
 ただ、実態を申し上げますと、この具体的に訴訟になっているもの以上に、専門の弁護士の方等に聞きますと、訴訟にまで至らなくても、この規定を前提に当事者間の話し合いによる解決がいろいろふえているということのようでございますので、そういう意味でこの改正は経済社会の運営に役立っているものというふうに考えているところでございます。
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吉田和子#20
○吉田(和)委員 大企業と格差のある中小企業、組織的にも人材面でも非常に力量の違いがある中小企業においで秘密管理という体制を十分にとるということは本当に難しいのではないかというふうに思われるわけでございますけれども、その点についてはどういうふうに経過が出ておりますでしょうか。
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熊野英昭#21
○熊野政府委員 平成二年の改正を機にそれぞれの企業でいろいろな対応がなされたことについては先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
 その後、特に中小企業の方々にもよく理解をしていただくために、私どももこの改正法の趣旨の周知徹底を図る努力をしてきているわけであります。例えば、解説書の発行とか全国各地における説明会の開催といったふうな地道な積み重ねも行ってきております。そういう意味で、今回の改正後も当然そういうことをやる必要はあると思っておりますけれども、そういう状況であります。
 それから、中小企業との関係で、特に営業秘密がどうかということでございますけれども、中小企業におきましては、当然大企業と違って管理の仕方とかそれぞれのやり方がありますので、中小企業にとってもこの営業秘密の保護の規定というのは有効なものではないかというふうに私ども考えておるところでございます。
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吉田和子#22
○吉田(和)委員 中小企業内の労務管理強化という観点で弊害が生じていないか、労働者の転職の自由をも妨げるようなことになっているんではないかというふうに懸念されるわけでございますけれども、その点についてはどうでしょうか。
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熊野英昭#23
○熊野政府委員 まず企業内における労務管理強化につながるんではないかというふうな御指摘だと思いますけれども、そもそも行き過ぎた就業規則でありますとかあるいは労働に関する管理規則といったものは、言うまでもありませんけれども労働基準法あるいは労働組合法その他の労使関係の基本を律する法律の問題であると認識しております。
 この法律におきます営業秘密の保護につきましては、企業の有するあらゆる情報の保護を図るということではなくて、企業の事業活動の中核的な役割を担うような、生産方法でありますとか販売方法といったふうな技術上、営業上有用性を有する情報に限定して法的保護の対象とするものであります。したがいまして、営業秘密として認められるためには秘密として管理されていることが要件とされているわけであります。したがって、従業員がこの情報は営業秘密であると認識できるように特定して管理されていることが必要でございます。例えて言えば、金庫の中に保管してあるとか、したがって一般の従業員は自由には閲覧できない、そういうことでございます。したがって、その従業員に対して必要以上に漠然と広範な範囲の情報について守秘義務を課しているだけではこの営業秘密には該当しないことになります。
 それから、よく言われるのは、退職従業員の行為が規制対象となって、その転職とか何かが問題ではないかということがあるわけでありますけれども、これも不正の利益を得る目的またはその保有者に損害を加える目的がある場合に限られておりますので、その目的の有無につきましては、単に営業秘密の保有者でありますところの企業側の利益のみならず、その元従業員でありました人の生活権の確保の問題でありますとか職業選択の自由といった観点からも十分に勘案されなければいけないということであります。
 こういうふうに考えますので、この規定の趣旨にかんがみまして、従業員の行動の自由に不当な影響を与えるようなことは全くないと考えているところでございます。事実、法律改正後、これまでそういった意味での問題が生じたというケースは聞いておりません。
 いずれにいたしましても、当省としてはこういった趣旨を常に周知徹底させる努力をしてまいりたい、その上でこの法律の適正な運用が図られるように遺漏なきを期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
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吉田和子#24
○吉田(和)委員 時間が迫ってきておりますので、特にお伺いをしておきたかったことを最後に伺わせていただきます。
 損害賠償についてなんですけれども、推定規定の適用ということを導入された。どういうふうな基準で、何を取り入れてその基準としたかということをお伺いをしたいわけでございます。
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熊野英昭#25
○熊野政府委員 一般的に申し上げまして知的財産侵害に係る損害賠償請求におきましては、その損害額の立証が大変困難でございます。そこで、いわゆる工業所有権四法でありますとか、著作権法等におきましては既に損害額の推定規定が設けられておるところでございます。現行の不正競争防止法にはこういった推定規定が実は存在しないわけでありますけれども、不正競争に係る損害賠償請求においても先ほど申し上げましたような工業所有権四法と同じように損害額の立証は大変困難でございますので、現行法のもとでは判例も苦労をしておりまして、例えば商標法等の規定を類推適用するといったふうな形で被害の実効的な救済を図る努力をしているところでございます。
 今回の改正におきましては、こういった判例を明文化いたしまして、不正競争による被害者に対する救済手続の充実を図るために損害額の推定規定を入れたわけであります。
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吉田和子#26
○吉田(和)委員 この改正が、文章も平仮名化されるということでわかりやすい法律に一歩近づいていくんだろうなというふうに思うわけでございますけれども、内容は大変把握しにくい。一般の人たちがどういうものの範囲でデッドコピーとされるのか、とらえ方によっては非常に難しい問題のある内容でございます。今度の改正を含めましても、積極的に周知に努めていくべきだろうというふうに思うわけでございます。その周知に向けましての決意を最後に伺いたいというふうに思います。
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熊野英昭#27
○熊野政府委員 ただいま委員御指摘のとおり、本法は法律的にも大変難しいところがございます。したがいまして、法律に書いてある内容について十分に趣旨を御理解いただくようにする必要性が高いと思っております。
 前回の改正の際にも、解説書を発行いたしましたり、あるいは全国各地で説明会を開催したりする努力を行ったところでありますけれども、今回のこの全面改正を機に、改めて解説書も全面的につくり直して、さらにこれまで使ってきた過程でいろいろ御疑問があった点でありますとかあるいは御質問があった点等も踏まえて、内容を充実したものをつくって周知徹底を図ると同時に、本をつくるだけじゃなくて、地方にも参りまして、中小企業の方々にも関心のある方には十分御理解をいただけるように説明会を開催したり、あるいは業界団体等を通じてそういう解説のパンフレット等をできれば機関誌に掲載していただくといったふうな努力もしてまいりたいと思います。
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吉田和子#28
○吉田(和)委員 ありがとうございました。終わります。
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井上普方#29
○井上委員長 安田範君。
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