予算委員会公聴会
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会
会議録情報#0
平成五年二月二十二日(月曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 粕谷 茂君
理事 石川 要三君 理事 小杉 隆君
理事 鴻池 祥肇君 理事 佐藤 信二君
理事 中川 昭一君 理事 串原 義直君
理事 中西 績介君 理事 松浦 利尚君
理事 草川 昭三君
相沢 英之君 愛野興一郎君
赤城 徳彦君 浅野 勝人君
粟屋 敏信君 臼井日出男君
内海 英男君 衛藤征士郎君
越智 通雄君 戸井田三郎君
村山 達雄君 谷津 義男君
柳沢 伯夫君 伊藤 忠治君
菅 直人君 関 晴正君
竹内 猛君 富塚 三夫君
堀 昌雄君 松原 脩雄君
松前 仰君 三野 優美君
水田 稔君 目黒吉之助君
元信 堯君 石田 祝稔君
二見 伸明君 宮地 正介君
小沢 和秋君 木島日出夫君
児玉 健次君 正森 成二君
中野 寛成君 柳田 稔君
出席公述人
静岡県立大学国 中西 輝政君
際関係学部教授
主婦連合会副会 和田 正江君
長
日本労働組合総 山田 精吾君
連合会事務局長
立教大学教授 和田 八束君
京都大学経済学 吉田 和男君
部教授
四日市大学教授 長谷田彰彦君
出席政府委員
北海道開発政務 北村 直人君
次官
防衛政務次官 三原 朝彦君
経済企画政務次 二田 孝治君
官
科学技術政務次 渡海紀三朗君
官
沖縄開発政務次 仲村 正治君
官
国土政務次官 杉浦 正健君
外務政務次官 柿澤 弘治君
大蔵政務次官 村上誠一郎君
大蔵省主計局次 武藤 敏郎君
長
文部政務次官 鈴木 恒夫君
厚生政務次官 木村 義雄君
農林水産政務次 石破 茂君
官
運輸政務次官 武部 勤君
郵政政務次官 斉藤斗志二君
建設政務次官 東 力君
自治政務次官 片岡 武司君
委員外の出席者
予算委員会調査 堀口 一郎君
室長
―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
辞任 補欠選任
石原慎太郎君 谷津 義男君
松永 光君 赤城 徳彦君
綿貫 民輔君 浅野 勝人君
宇都宮真由美君 松原 脩雄君
楢崎弥之助君 菅 直人君
正森 成二君 小沢 和秋君
中野 寛成君 柳田 稔君
同日
辞任 補欠選任
赤城 徳彦君 松永 光君
浅野 勝人君 綿貫 民輔君
谷津 義男君 石原慎太郎君
松原 脩雄君 宇都宮真由美君
小沢 和秋君 木島日出夫君
柳田 稔君 中野 寛成君
―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成五年度一般会計予算
平成五年度特別会計予算
平成五年度政府関係機関予算
―――――◇―――――
この発言だけを見る →午前十時開議
出席委員
委員長 粕谷 茂君
理事 石川 要三君 理事 小杉 隆君
理事 鴻池 祥肇君 理事 佐藤 信二君
理事 中川 昭一君 理事 串原 義直君
理事 中西 績介君 理事 松浦 利尚君
理事 草川 昭三君
相沢 英之君 愛野興一郎君
赤城 徳彦君 浅野 勝人君
粟屋 敏信君 臼井日出男君
内海 英男君 衛藤征士郎君
越智 通雄君 戸井田三郎君
村山 達雄君 谷津 義男君
柳沢 伯夫君 伊藤 忠治君
菅 直人君 関 晴正君
竹内 猛君 富塚 三夫君
堀 昌雄君 松原 脩雄君
松前 仰君 三野 優美君
水田 稔君 目黒吉之助君
元信 堯君 石田 祝稔君
二見 伸明君 宮地 正介君
小沢 和秋君 木島日出夫君
児玉 健次君 正森 成二君
中野 寛成君 柳田 稔君
出席公述人
静岡県立大学国 中西 輝政君
際関係学部教授
主婦連合会副会 和田 正江君
長
日本労働組合総 山田 精吾君
連合会事務局長
立教大学教授 和田 八束君
京都大学経済学 吉田 和男君
部教授
四日市大学教授 長谷田彰彦君
出席政府委員
北海道開発政務 北村 直人君
次官
防衛政務次官 三原 朝彦君
経済企画政務次 二田 孝治君
官
科学技術政務次 渡海紀三朗君
官
沖縄開発政務次 仲村 正治君
官
国土政務次官 杉浦 正健君
外務政務次官 柿澤 弘治君
大蔵政務次官 村上誠一郎君
大蔵省主計局次 武藤 敏郎君
長
文部政務次官 鈴木 恒夫君
厚生政務次官 木村 義雄君
農林水産政務次 石破 茂君
官
運輸政務次官 武部 勤君
郵政政務次官 斉藤斗志二君
建設政務次官 東 力君
自治政務次官 片岡 武司君
委員外の出席者
予算委員会調査 堀口 一郎君
室長
―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
辞任 補欠選任
石原慎太郎君 谷津 義男君
松永 光君 赤城 徳彦君
綿貫 民輔君 浅野 勝人君
宇都宮真由美君 松原 脩雄君
楢崎弥之助君 菅 直人君
正森 成二君 小沢 和秋君
中野 寛成君 柳田 稔君
同日
辞任 補欠選任
赤城 徳彦君 松永 光君
浅野 勝人君 綿貫 民輔君
谷津 義男君 石原慎太郎君
松原 脩雄君 宇都宮真由美君
小沢 和秋君 木島日出夫君
柳田 稔君 中野 寛成君
―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成五年度一般会計予算
平成五年度特別会計予算
平成五年度政府関係機関予算
―――――◇―――――
粕
粕谷茂#1
○粕谷委員長 これより会議を開きます。
平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算、平成五年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成五年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を承る順序といたしましては、まず中西公述人、次に和田公述人、続いて山田公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、中西公述人にお願いいたします。
この発言だけを見る →平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算、平成五年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成五年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を承る順序といたしましては、まず中西公述人、次に和田公述人、続いて山田公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、中西公述人にお願いいたします。
中
中西輝政#2
○中西公述人 中西でございます。
少し風邪を引いておりまして、お聞き苦しいところが途中あるかと思いますが、どうか御容赦いただきたいと思います。
私は、日本外交の背景になる条件等について、この九三年度という年を見通してみまして幾つかの問題、それから日本外交上、日本外交の選択として重要な問題点あるいは政策的な私の見地というものをお話しさせていただこう、こういうふうに思っております。
時間の方も限られておりますので、かなり大きな形でまず要点をお話しさせていただきまして、後ほど各点について御質問等をいただければというふうに思っております。
まず第一に、現在の国際情勢の全般的な認識というものが大事だろうというふうに思っております。特に、ベルリンの壁が崩壊してかれこれもう三年数カ月になるわけですけれども、冷戦後の世界が一体どういう世界になるのかということについて、この期間非常にいろいろな考え方が錯綜いたしまして、現在に至るまでクリアな、明瞭な将来像、世界秩序イメージといいますか、そういうものがまだ生まれていないということであります。これは、やはり非常に大きな世界秩序の構造が崩壊した、まさにベルリンの壁が崩壊しましたように、その他もろもろの、さまざまな秩序を支える有形無形の諸条件が崩壊していくという、そういう過程が今現在も続いておる、こういうふうに認識すべきかと思います。
したがいまして、現在、大きな外交上の背景といたしまして、流れ全般には国際情勢、まだこうしたさまざまな崩れといいますか、秩序構造の支柱になっておったようなものが、つまり古い秩序がすべて崩壊してその後に新しい秩序が生まれる、このようなわけではないのですけれども、しかし、やはり古いものが壊れなければ新しいものは生まれない、自明の原理であるかもしれません。しかしその中に、壊れては困るような安定化の要因も同時に壊れていくということで、現状を考えてみますと、冷戦後の新秩序の形成という、こういう大きな流れが今かなり不透明になっているということが一つの結論として申し上げられると思います。
ただ、私は、この九三年度という年を見通してみまして、恐らくことしの後半あるいは年末等にかけまして、世界情勢の大きな流れは、非常に微妙な形ではあっても、いわゆる引き潮が一つの底を打って満ち潮に転じてくるような、そういう変化の兆しというものを幾つかの点で予見しておるわけであります。
そういう意味で申し上げますと、現状というのは私は、幾つかの点で中くらいの均衡状態、中間状態というものが現在生じつつあるというように見ておるわけですが、どれもしかし安定化の大きな条件にはなっていない。
例えて申し上げますと、最近のロシアにおける改革の流れというものは非常に大きな不安定、潜在的不安定を伴っております。あるいは国連の平和維持活動等もさまざまな点で大きな問題点を抱えております。また、ヨーロッパの統合問題ということも、マーストリヒト条約で予想されたような画期的な統合というものが、今中間的な、中くらいの成果の中で均衡状態、一時的な均衡状態に置かれておるわけであります。あるいはガットのウルグアイ・ラウンドといたしましても、やはり妥結の見込みが少し先延ばしになっておる。ほかに、中東和平問題あるいは旧ユーゴスラビアのボスニアにかかわる国連とECのあの和平案、こういったものを見てみますと、国際情勢の現状が非常に典型的にあらわれておるように感じております。
したがいまして、こういう中間状態、中くらいの安定というような、安定と言えるかどうかわかりませんが、そういう均衡状態にひとつ向かっている。この中間状態をより大きな安定に至らしめ得るのかどうかというところが、私は日本外交にとってもこの九三年度、非常に重要な方向というふうに見ることができると思います。
幾つかの条件を考えておりますが、特に世界情勢とのかかわりで日本外交上重要な問題点というのは、やはり一つはアメリカの新政権が誕生いたしました。この新政権の方向、対外政策の方向と日米関係の新しい協力の構築がうまく進むかどうかというところが重要かというふうに考えます。
アメリカの政権につきましては、恐らく、いろいろな分析が出ておりますが、私といたしましては、このアメリカの政権の今後というものは非常に、これまでの政権と違って幾つかの点で、よく言えば幅があるといいますか、さまざまな考え方、いろいろな立場の政権関係者が政権に入っておるわけであります。それが、ただ、現状におきまして政権の基本的な方向が固まるのにはこれまでのような、つまり冷戦時代のような短期間で一つの方向性が見出せるということはなかなか難しいかもしれません。そういった意味で、やはりことしの後半にかけてアメリカの新政権の方向が見えてくる、そういう場合に、日本の対応ということが非常に難しくなる可能性は確かにあると思います。
ただ私は、この日米関係、また現在の状況の中で重要な点として二つほど挙げられると思いますが、一つは、日米のこれまでのより狭い意味合いで我々がとらえてきた二国間関係というものから、もっと広い多国間関係の中にこの日米関係を置くという方向性が重要になってこようかと思います。
二つ目の点として、私は、今後の日米関係は、幾つかの点で日本側の対応というものが非常に重要になるだろう。それは、恐らく通商貿易問題その他で、日本側の対応が、アメリカの新政権が政策が固まっていない状況の中で出てくる対日政策等に対して、過剰反応しないということが一つ重要な心得であろうかというように思っております。二つ目は、非常に要約して申し上げて恐縮でございますが、この二つ目の中の注意点ということで、今最初に過剰反応するなということを申し上げましたが、二つ目に、この日米の新しい相互主義、開放された、開かれた前向きの相互主義、お互いの市場をそれぞれの開放度に見合って開放していくという考え方が、どうしてもアメリカから出てくるわけであります。その場合に、これをいかに建設的な方向に向けていくかという努力が重要であろう。
三つ目には、アジアにおける日米関係という次元を考えていく必要があるだろう。通商貿易以外に、外交、安全保障その他、より広い意味でこれまでになかった日米関係の重要なタイメンション、次元といいますか、それはやはりアジア・太平洋という大きな枠組みの中にこの日米関係を置くということであります。私はその場合にアメリカのアジア化というような言葉を使っておりますが、やや端的な表現かもしれませんが、アメリカの利害の中にアジアという視点を一つ大きく築いていく、そういう方向に日本の日米関係のアプローチを見出すということの大切さであります。
アメリカ以外、日米関係以外に、もちろん日本外交を取り巻く重要な課題というものは、現在の世界、山積しておることは言うまでもありません。その中の大きな問題点はもちろんロシア情勢ということでありますが、先ほども申し上げましたとおり、非常に中間的な改革路線が宙ぶらりんの形で今大きな困難に直面しておるということは、皆様御承知のとおりであります。
ただ、このロシアの問題を考えるときに、支援の問題等含めましてさまざまな議論が昨年度から引き続いて行われておるわけでありますが、多分この九三年度、新しい次元として考えていかなければならないのは、ロシア外交が恐らく、従来の八〇年代末から進んできた新思考外交という考え方から、やや独自な路線に方向を変えてくる可能性があるということであります。その場合に、恐らく、日本の対日政策といたしましても、そのことをどのように取り込んでいくか、新しい考慮が必要になるかもしれません。
それ以外に、時間の関係がありますので、幾つかの問題、まだ列挙したい問題がありますが、例えばガットの行方、あるいは欧州情勢全般、さらには中東あるいはイスラム圏の動向というようなものも、世界情勢全般にますます大きな関心を持たざるを得ない日本外交といたしまして、決して過小評価できない要因であることは論をまたないわけでありますが、ごく簡単に申し上げて、最初の私の見方、つまり、この九三年度という年に世界情勢が一つの中間的な意味合いで一時的な安定状態に向かう可能性というものを、その兆しを指摘することはできるかと思うのですが、ただ、より大きく見ますと、幾つかの点で非常に大きな問題をもたらすような諸条件も依然として潜在している。それは、例えばイスラムの原理主義が中東地域に広がってくる可能性等々でありますが、こういった民族紛争、地域紛争的な問題では、また後ほど御質問等がございましたら敷衍さしていただきたいと思います。
最後に、こういった大きな流れの中で日本外交の対応ということになろうかと思いますが、私はこれを三つぐらいの大きな項目に分けて申し上げたいと思います。
まず第一は、やはり新秩序、世界の今申し上げたような中間的な状態で宙ぶらりんの形になって、きちんとした安定状態に移行するかどうかが非常に重要な踊り場の年としてのこの九三年、そういう中で日本の役割といたしまして、この新秩序の形成にいかに貢献するかということがとりわけ重要な意味合いを持ってくる、そういう年であろうと思います。したがって、この中間状態をより大きな安定に至らせるという上で、まず第一に、グローバルな秩序安定の枠組みに貢献していかなければならない。その一つは恐らく国連の枠組みであります。あるいはガット・ウルグアイ・ラウンド等を中心にした世界経済の新しい秩序をいかにして確立させるかという問題。この次元が、このレベルの問題として重要な課題だろうと思います。
二つ目に私が重視しておりますのは、やはりこのアジア・太平洋の協力関係を拡充していくこと。これもやはり、経済、政治、安全保障、各問題の分野が考えられるわけでありますが、このアジア・太平洋協力というものは、恐らくこの九三年度、アジア情勢全般、中国を含めましてこれまでにない新しい動きが出てくるだろう、あるいは、先ほどのアメリカの新政権が国内の経済改革に一段落つけたときに大きな新しいイニシアチブを発揮してくる可能性がある等々、このアジア・太平洋情勢も、これまで我々が見て、これまで経験しなかったような大きな動きが起こってくる可能性があると思います。
三つ目の領域といたしまして、やはり日米関係の再構築という課題がどうしても重要だろうというふうに考えられます。
以上、三つのレベルに分けて申し上げたわけですが、もう少しこれを具体的に政策的な分野にブレークダウンして、分類して申し上げますと、多分このグローバルなレベルで、国連やガットという場で日本外交の選択というものは、今さまざまに議論がされておりますが、現在中間的な安定が得られるかどうかというぎりぎりのところに来ているこの世界情勢ということを踏まえて考えてみるならば、国連に対する一層の協力、それからガットのウルグアイ・ラウンドの早期妥結ということ、これは日米関係を含めてアメリカ議会の対応を働きかける必要等がございます。それから、アジア・太平洋協力にいたしましては、特にAPEC等を中心にした新しい協議の枠組みづくりということが非常に大切な選択になろうと思います。三つ目に、恐らく先進国の協力関係、いわゆるG7、東京サミットを控えまして、日本外交の一つの正念場がここに見出されるという気がいたします。
このように見てまいりますと、恐らく日本外交全体の構図がことし一年大きな分岐点に差しかかるさまざまな問題があるわけで、そのような観点から大きな視野で、恐らく冷戦後になかった初めての重要な選択の年になるのではないだろうか、そういうやや大きな視野で日本外交を考えていく、そういう必要性を強調して、私の公述とさせていただきたいと思います。拍手
この発言だけを見る →少し風邪を引いておりまして、お聞き苦しいところが途中あるかと思いますが、どうか御容赦いただきたいと思います。
私は、日本外交の背景になる条件等について、この九三年度という年を見通してみまして幾つかの問題、それから日本外交上、日本外交の選択として重要な問題点あるいは政策的な私の見地というものをお話しさせていただこう、こういうふうに思っております。
時間の方も限られておりますので、かなり大きな形でまず要点をお話しさせていただきまして、後ほど各点について御質問等をいただければというふうに思っております。
まず第一に、現在の国際情勢の全般的な認識というものが大事だろうというふうに思っております。特に、ベルリンの壁が崩壊してかれこれもう三年数カ月になるわけですけれども、冷戦後の世界が一体どういう世界になるのかということについて、この期間非常にいろいろな考え方が錯綜いたしまして、現在に至るまでクリアな、明瞭な将来像、世界秩序イメージといいますか、そういうものがまだ生まれていないということであります。これは、やはり非常に大きな世界秩序の構造が崩壊した、まさにベルリンの壁が崩壊しましたように、その他もろもろの、さまざまな秩序を支える有形無形の諸条件が崩壊していくという、そういう過程が今現在も続いておる、こういうふうに認識すべきかと思います。
したがいまして、現在、大きな外交上の背景といたしまして、流れ全般には国際情勢、まだこうしたさまざまな崩れといいますか、秩序構造の支柱になっておったようなものが、つまり古い秩序がすべて崩壊してその後に新しい秩序が生まれる、このようなわけではないのですけれども、しかし、やはり古いものが壊れなければ新しいものは生まれない、自明の原理であるかもしれません。しかしその中に、壊れては困るような安定化の要因も同時に壊れていくということで、現状を考えてみますと、冷戦後の新秩序の形成という、こういう大きな流れが今かなり不透明になっているということが一つの結論として申し上げられると思います。
ただ、私は、この九三年度という年を見通してみまして、恐らくことしの後半あるいは年末等にかけまして、世界情勢の大きな流れは、非常に微妙な形ではあっても、いわゆる引き潮が一つの底を打って満ち潮に転じてくるような、そういう変化の兆しというものを幾つかの点で予見しておるわけであります。
そういう意味で申し上げますと、現状というのは私は、幾つかの点で中くらいの均衡状態、中間状態というものが現在生じつつあるというように見ておるわけですが、どれもしかし安定化の大きな条件にはなっていない。
例えて申し上げますと、最近のロシアにおける改革の流れというものは非常に大きな不安定、潜在的不安定を伴っております。あるいは国連の平和維持活動等もさまざまな点で大きな問題点を抱えております。また、ヨーロッパの統合問題ということも、マーストリヒト条約で予想されたような画期的な統合というものが、今中間的な、中くらいの成果の中で均衡状態、一時的な均衡状態に置かれておるわけであります。あるいはガットのウルグアイ・ラウンドといたしましても、やはり妥結の見込みが少し先延ばしになっておる。ほかに、中東和平問題あるいは旧ユーゴスラビアのボスニアにかかわる国連とECのあの和平案、こういったものを見てみますと、国際情勢の現状が非常に典型的にあらわれておるように感じております。
したがいまして、こういう中間状態、中くらいの安定というような、安定と言えるかどうかわかりませんが、そういう均衡状態にひとつ向かっている。この中間状態をより大きな安定に至らしめ得るのかどうかというところが、私は日本外交にとってもこの九三年度、非常に重要な方向というふうに見ることができると思います。
幾つかの条件を考えておりますが、特に世界情勢とのかかわりで日本外交上重要な問題点というのは、やはり一つはアメリカの新政権が誕生いたしました。この新政権の方向、対外政策の方向と日米関係の新しい協力の構築がうまく進むかどうかというところが重要かというふうに考えます。
アメリカの政権につきましては、恐らく、いろいろな分析が出ておりますが、私といたしましては、このアメリカの政権の今後というものは非常に、これまでの政権と違って幾つかの点で、よく言えば幅があるといいますか、さまざまな考え方、いろいろな立場の政権関係者が政権に入っておるわけであります。それが、ただ、現状におきまして政権の基本的な方向が固まるのにはこれまでのような、つまり冷戦時代のような短期間で一つの方向性が見出せるということはなかなか難しいかもしれません。そういった意味で、やはりことしの後半にかけてアメリカの新政権の方向が見えてくる、そういう場合に、日本の対応ということが非常に難しくなる可能性は確かにあると思います。
ただ私は、この日米関係、また現在の状況の中で重要な点として二つほど挙げられると思いますが、一つは、日米のこれまでのより狭い意味合いで我々がとらえてきた二国間関係というものから、もっと広い多国間関係の中にこの日米関係を置くという方向性が重要になってこようかと思います。
二つ目の点として、私は、今後の日米関係は、幾つかの点で日本側の対応というものが非常に重要になるだろう。それは、恐らく通商貿易問題その他で、日本側の対応が、アメリカの新政権が政策が固まっていない状況の中で出てくる対日政策等に対して、過剰反応しないということが一つ重要な心得であろうかというように思っております。二つ目は、非常に要約して申し上げて恐縮でございますが、この二つ目の中の注意点ということで、今最初に過剰反応するなということを申し上げましたが、二つ目に、この日米の新しい相互主義、開放された、開かれた前向きの相互主義、お互いの市場をそれぞれの開放度に見合って開放していくという考え方が、どうしてもアメリカから出てくるわけであります。その場合に、これをいかに建設的な方向に向けていくかという努力が重要であろう。
三つ目には、アジアにおける日米関係という次元を考えていく必要があるだろう。通商貿易以外に、外交、安全保障その他、より広い意味でこれまでになかった日米関係の重要なタイメンション、次元といいますか、それはやはりアジア・太平洋という大きな枠組みの中にこの日米関係を置くということであります。私はその場合にアメリカのアジア化というような言葉を使っておりますが、やや端的な表現かもしれませんが、アメリカの利害の中にアジアという視点を一つ大きく築いていく、そういう方向に日本の日米関係のアプローチを見出すということの大切さであります。
アメリカ以外、日米関係以外に、もちろん日本外交を取り巻く重要な課題というものは、現在の世界、山積しておることは言うまでもありません。その中の大きな問題点はもちろんロシア情勢ということでありますが、先ほども申し上げましたとおり、非常に中間的な改革路線が宙ぶらりんの形で今大きな困難に直面しておるということは、皆様御承知のとおりであります。
ただ、このロシアの問題を考えるときに、支援の問題等含めましてさまざまな議論が昨年度から引き続いて行われておるわけでありますが、多分この九三年度、新しい次元として考えていかなければならないのは、ロシア外交が恐らく、従来の八〇年代末から進んできた新思考外交という考え方から、やや独自な路線に方向を変えてくる可能性があるということであります。その場合に、恐らく、日本の対日政策といたしましても、そのことをどのように取り込んでいくか、新しい考慮が必要になるかもしれません。
それ以外に、時間の関係がありますので、幾つかの問題、まだ列挙したい問題がありますが、例えばガットの行方、あるいは欧州情勢全般、さらには中東あるいはイスラム圏の動向というようなものも、世界情勢全般にますます大きな関心を持たざるを得ない日本外交といたしまして、決して過小評価できない要因であることは論をまたないわけでありますが、ごく簡単に申し上げて、最初の私の見方、つまり、この九三年度という年に世界情勢が一つの中間的な意味合いで一時的な安定状態に向かう可能性というものを、その兆しを指摘することはできるかと思うのですが、ただ、より大きく見ますと、幾つかの点で非常に大きな問題をもたらすような諸条件も依然として潜在している。それは、例えばイスラムの原理主義が中東地域に広がってくる可能性等々でありますが、こういった民族紛争、地域紛争的な問題では、また後ほど御質問等がございましたら敷衍さしていただきたいと思います。
最後に、こういった大きな流れの中で日本外交の対応ということになろうかと思いますが、私はこれを三つぐらいの大きな項目に分けて申し上げたいと思います。
まず第一は、やはり新秩序、世界の今申し上げたような中間的な状態で宙ぶらりんの形になって、きちんとした安定状態に移行するかどうかが非常に重要な踊り場の年としてのこの九三年、そういう中で日本の役割といたしまして、この新秩序の形成にいかに貢献するかということがとりわけ重要な意味合いを持ってくる、そういう年であろうと思います。したがって、この中間状態をより大きな安定に至らせるという上で、まず第一に、グローバルな秩序安定の枠組みに貢献していかなければならない。その一つは恐らく国連の枠組みであります。あるいはガット・ウルグアイ・ラウンド等を中心にした世界経済の新しい秩序をいかにして確立させるかという問題。この次元が、このレベルの問題として重要な課題だろうと思います。
二つ目に私が重視しておりますのは、やはりこのアジア・太平洋の協力関係を拡充していくこと。これもやはり、経済、政治、安全保障、各問題の分野が考えられるわけでありますが、このアジア・太平洋協力というものは、恐らくこの九三年度、アジア情勢全般、中国を含めましてこれまでにない新しい動きが出てくるだろう、あるいは、先ほどのアメリカの新政権が国内の経済改革に一段落つけたときに大きな新しいイニシアチブを発揮してくる可能性がある等々、このアジア・太平洋情勢も、これまで我々が見て、これまで経験しなかったような大きな動きが起こってくる可能性があると思います。
三つ目の領域といたしまして、やはり日米関係の再構築という課題がどうしても重要だろうというふうに考えられます。
以上、三つのレベルに分けて申し上げたわけですが、もう少しこれを具体的に政策的な分野にブレークダウンして、分類して申し上げますと、多分このグローバルなレベルで、国連やガットという場で日本外交の選択というものは、今さまざまに議論がされておりますが、現在中間的な安定が得られるかどうかというぎりぎりのところに来ているこの世界情勢ということを踏まえて考えてみるならば、国連に対する一層の協力、それからガットのウルグアイ・ラウンドの早期妥結ということ、これは日米関係を含めてアメリカ議会の対応を働きかける必要等がございます。それから、アジア・太平洋協力にいたしましては、特にAPEC等を中心にした新しい協議の枠組みづくりということが非常に大切な選択になろうと思います。三つ目に、恐らく先進国の協力関係、いわゆるG7、東京サミットを控えまして、日本外交の一つの正念場がここに見出されるという気がいたします。
このように見てまいりますと、恐らく日本外交全体の構図がことし一年大きな分岐点に差しかかるさまざまな問題があるわけで、そのような観点から大きな視野で、恐らく冷戦後になかった初めての重要な選択の年になるのではないだろうか、そういうやや大きな視野で日本外交を考えていく、そういう必要性を強調して、私の公述とさせていただきたいと思います。拍手
粕
和
和田正江#4
○和田(正)公述人 主婦連合会の和田でございます。
きょうは、消費者として関心の深いガット・ウルグアイ・ラウンドの特に米の問題と、それから食品などの規格や基準の国際平準化について発言させていただきたいと思います。
現在、日本では多種多様の食品があふれておりまして、飽食とまで言われておりますけれども、食べ物の自給率を考えますと、豊かと言われる食生活が非常に底の浅いものに見えてまいります。日本の食糧の自給率は、申し上げるまでもなく一九九〇年はカロリーベースで約四七%、九一年の速報ではさらに下がって四六%となっております。これは残念ながら先進国中最低の水準であり、一九七〇年ごろ日本と同じように自給率の低かったイギリス、西ドイツがそれぞれ七三%、九四%と自給率を上げているのに対して、日本は低下傾向にあるという現状でございます。
私たちはこのような現状を憂い、主婦連合会の運動方針に、「食料の国内自給率を高め、安全な食料を国内で生産し消費する運動をすすめよう」と明記して、さまざまな運動に取り組んでおります。その低い自給率の中で唯一一〇〇%自給しております米につきましては、今後も自給でというのが私どもの考えでございます。
主婦連合会では、一九七一年から毎年東京を中心に主婦千名を対象に米の消費動向調査を行ってまいりました。米の自由化については一九八七年から調査をしておりますが、その結果としては、始めました八七年は、「自由化してもよい」、これは条件をつける人を含めましてですけれども、「自由化してもよい」という人が「自由化すべきでない」という人よりも少し多うございましたけれども、八八年以降を見てみますと、「自由化してもよい」という人が大体三七%前後で同じような数字でございますのに対して、八八年は三八・五%、八九年は四二%、九〇年は四七%と、「自由化すべきでない」という人の数字がずっと多くなってきております。
九一年の調査では自由化についての設問は特に設けませんでしたけれども、自由意見のところに自由化について意見が多く書かれておりました。これは、設問に対する回答ではございませんので、単純に数で比較するのはいかがかと思いますけれども、参考までに申し上げますと、二百五十四人の人が自由化反対、七十八人が賛成意見を述べております。
そして、この毎年の特徴といたしまして、自由化反対の意見としての主な理由が、輸入に頼って天候異変や社会状況の異変事態のときに困る、自給率をこれ以上下げるのは問題である、日本の米が余って減反までしているのに輸入するのは納得できない、安全性の問題が心配である、水や緑など環境保全に果たしている役割は大きいなどと、非常に積極的な意見が書かれております。
これに対して、「自由化してもよい」という意見の理由を見てみますと、やむを得ない、少しくらいなら、あるいは現在の稲作に何らかの揺さぶりをかける意味でというような意見が大半を占めておりまして、外国の米が安いから入れてそれを食べたいという積極的な意見は毎年非常にわずかでございます。これが特徴と言えるだろうと思います。
以上、主婦連合会の調査から意見を述べましたけれども、私たちが米は自給でと考えている理由をもう一度整理してみたいと思います。
日本は、農産物の輸入に門戸を閉ざしているというのではなくて、次々と開放し緩和し、世界最大の食糧の輸入国となっております。その結果として、先ほども申し上げましたように、胃袋の半分以上を外国にゆだねている日本の消費者としては、唯一一〇〇%自給できる米、そして私どもの供給カロリーの四分の一を占めている米、そういう米をこれ以上、主食の米まで外国にゆだねるのは大変不安がございます。これは日本だけの問題ではなく、将来世界の食糧需給は逼迫するとの見通しの中で、各国が基礎的な食糧は自給するということを目指すのが本筋ではないかと考えております。
次に、米の貿易量は世界の生産量の三%にすぎず、小麦の一五%と比べて非常に低うございます。しかも、タイとアメリカがその貿易量の六割を占めておりまして、一部の国の米の作柄によって、過去の例を見ましても貿易量や国際価格が大きく変動するという事情を踏まえておかなければいけないと思います。
次に、安全性の不安ですが、安全性につきましては、国産も輸入品も同じように安全性を求めるのは当然ですが、輸入の場合には農薬などの規制方法や使い方というのが全く異なっております。そして、保管に関しましては、日本の米は低温管理が徹底しているのでポストハーベストなど必要ないというふうに思われますけれども、日本まで運んでくるための処置などを考えますと非常に不安が残ります。
それからさらに、先ほども申し上げましたけれども、水田が国土や自然環境の保全に役立っているという点も見逃すことはできないということでございます。
それから、米の値段について、日本の米は高い、外国の安い米をという声も耳にはいたしますが、米は一食分お茶わん二杯分として、精米百グラム、約四十円から五十五円というところでございます。これを高いと見るのかどうかというのはいろいろ見方があると思います。外国と比べますと、一九九一年の米の消費者価格はアメリカの二・五倍、タイの六・三倍と言われております。しかし、内外価格差は、申し上げるまでもなく為替相場の変動が大きく影響し、例えば一九八五年の為替レートで一九九一年の内外価格差を試算いたしますと、消費者価格はアメリカの一・四倍となりまして、円高による影響が非常に大きいということが明らかでございます。
このようにいろいろと考え合わせまして、今現在内外価格差が大きいとしてもやはり米は自給でと思う人の方が多いということになっております。
外国と日本の農地の規模の違い、それから農地の価格の違いを考えますと、この内外価格差をゼロにすることは困難かとも思われますけれども、今後もできるだけ縮小する努力を望んでいることは言うまでもありません。一九九〇年の家計調査報告によりますと、家計支出総額に対する米の支出は一・七%とわずかな数字にはなっておりますが、米の価格は単に高いとか安いとかという問題だけではなく、消費者として納得のできる価格なのか、それから生産、流通を通じ需給に応じた適正な競争が働いているのかという点にも関心を持っている消費者がふえてきているということを申し添えておきたいと思います。
次に、安全基準の国際平準化について申し上げます。
ガットの最終案によりますと、食糧、食品の検疫・衛生基準について、国際基準はFAO・WHOでのコーデックス・アリメンタリウス委員会が決定し、各国が国際基準よりもさらに厳しい基準を採用する場合には、有効な科学的根拠のあるものでなければならないとしております。この方針に沿って現在我が国では、食糧やその他食品添加物あるいは農薬などの基準がどちらかというと緩められる方向での作業が進められております。私たちは、国際基準は最低限の国際基準とし、各国はそれぞれの国の気候、風土、伝統それから食習慣、その国の衛生状態、いろいろなものを加味して自主的に設定することを認めるべきだというふうに考えております。日本では、ガットで決まったのだからこれを認めなければ日本は孤立する、国際化の中でこれを納得できない消費者は認識不足であるというようなことが言われております。しかし、私たちのような考え方は、日本だけではなく世界各国で、それぞれの国の、それから地域の規格なり基準が後退することに問題があると考えて運動に取り組んでいる消費者のグループがあることを申し上げておきたいと思います。
消費者といたしましては、所あるごとに今申し上げましたような意見を申し述べておりますけれども、最近の例で申し上げますと、一九九一年の十一月の十五日に全国四十九の消費者団体が参加して、これは毎年一回開いております消費者大会でございますが、一九九一年は第三十回に当たっております。この三十回の全国消費者大会において、「コメの輸入自由化に反対し食糧の自給率向上と食べものの安全を求める特別決議」を決議いたしております。また、一九九二年九月に来日されたガットのドンケル事務局長に対して、それぞれの国が適切と考える基礎的食糧の自給率を達成するための措置を認めること、それから今申し上げたような国際平準化の問題などについて、全国消費者団体連絡会、主婦連合会も賛同団体としてこの書面を提出いたしてございます。
さらに本年二月二日に、「コメ輸入の関税化」受入れを求める国民委員会が緊急アピールを発表されましたのに対しまして、全国消費者団体連絡会は次のような声明を発表いたしております。
二月二日、「「コメ輸入の関税化」受入れを求める国民委員会」が「「コメ輸入の関税化」受入れを決断しよう」との緊急アピールを発表しました。
このアピールは、輸出国の論理にたった所謂ドンケル・ぺーパーに基づく農業交渉決着を至上命題とするもので、到底認めることはできません。ガット・ウルグアイ・ラウンドは、農業分野だけでなく非農業分野においても主要国間の意見の対立があり、日本がコメ輸入の関税化を受け入れないことが交渉全体を壊すものではないはずです。
私たちは、全国消費者大会の決議にあるように、
1 基礎的食糧の自給と、歴史と風土に根ざした食生活、自立した食文化を確立することが、各国国民の責務である
2 食料の安全性の確保は最優先の課題である
3 農業、特に水田が環境保全等に果たしている多面的役割を維持する必要があるなどから、「コメ輸入の関税化」受入れに反対であることを改めて表明するものです。
今日、日本の食料、農業、農村をめぐる危機的状況は、深刻さの度合いをますます深めています。また、「自由貿易」の名による食品の安全基準の国際平準化もすすめられています。私たち消費者は、わが国食糧自給率の長期的な向上をめざし、安全性や環境への十分な配慮がなされた地域農業の健全な育成をはかり、国民共有の財産である地域資源と国土を守る国民的な合意を早急に形成し、何よりも食品の安全と健康を守ることを食料、農業政策の根幹に置くことを強く願うものです。
私たちは、政府がこれまでの国会決議に示された国民の意志を尊重し、毅然たる態度で引き続き交渉に臨むことを求めます。
これが私どもの出しましたアピールでございます。国会におかれましては、昭和五十五年、五十九年、六十三年の三回にわたりまして、食糧自給力強化に関する決議、米の需給安定に関する決議、米の自由化反対に関する決議がございます。この決議に沿いまして今後ともガット交渉に取り組んでいかれますよう強く希望いたしまして、私の公述を終わらせていただきます。拍手
この発言だけを見る →きょうは、消費者として関心の深いガット・ウルグアイ・ラウンドの特に米の問題と、それから食品などの規格や基準の国際平準化について発言させていただきたいと思います。
現在、日本では多種多様の食品があふれておりまして、飽食とまで言われておりますけれども、食べ物の自給率を考えますと、豊かと言われる食生活が非常に底の浅いものに見えてまいります。日本の食糧の自給率は、申し上げるまでもなく一九九〇年はカロリーベースで約四七%、九一年の速報ではさらに下がって四六%となっております。これは残念ながら先進国中最低の水準であり、一九七〇年ごろ日本と同じように自給率の低かったイギリス、西ドイツがそれぞれ七三%、九四%と自給率を上げているのに対して、日本は低下傾向にあるという現状でございます。
私たちはこのような現状を憂い、主婦連合会の運動方針に、「食料の国内自給率を高め、安全な食料を国内で生産し消費する運動をすすめよう」と明記して、さまざまな運動に取り組んでおります。その低い自給率の中で唯一一〇〇%自給しております米につきましては、今後も自給でというのが私どもの考えでございます。
主婦連合会では、一九七一年から毎年東京を中心に主婦千名を対象に米の消費動向調査を行ってまいりました。米の自由化については一九八七年から調査をしておりますが、その結果としては、始めました八七年は、「自由化してもよい」、これは条件をつける人を含めましてですけれども、「自由化してもよい」という人が「自由化すべきでない」という人よりも少し多うございましたけれども、八八年以降を見てみますと、「自由化してもよい」という人が大体三七%前後で同じような数字でございますのに対して、八八年は三八・五%、八九年は四二%、九〇年は四七%と、「自由化すべきでない」という人の数字がずっと多くなってきております。
九一年の調査では自由化についての設問は特に設けませんでしたけれども、自由意見のところに自由化について意見が多く書かれておりました。これは、設問に対する回答ではございませんので、単純に数で比較するのはいかがかと思いますけれども、参考までに申し上げますと、二百五十四人の人が自由化反対、七十八人が賛成意見を述べております。
そして、この毎年の特徴といたしまして、自由化反対の意見としての主な理由が、輸入に頼って天候異変や社会状況の異変事態のときに困る、自給率をこれ以上下げるのは問題である、日本の米が余って減反までしているのに輸入するのは納得できない、安全性の問題が心配である、水や緑など環境保全に果たしている役割は大きいなどと、非常に積極的な意見が書かれております。
これに対して、「自由化してもよい」という意見の理由を見てみますと、やむを得ない、少しくらいなら、あるいは現在の稲作に何らかの揺さぶりをかける意味でというような意見が大半を占めておりまして、外国の米が安いから入れてそれを食べたいという積極的な意見は毎年非常にわずかでございます。これが特徴と言えるだろうと思います。
以上、主婦連合会の調査から意見を述べましたけれども、私たちが米は自給でと考えている理由をもう一度整理してみたいと思います。
日本は、農産物の輸入に門戸を閉ざしているというのではなくて、次々と開放し緩和し、世界最大の食糧の輸入国となっております。その結果として、先ほども申し上げましたように、胃袋の半分以上を外国にゆだねている日本の消費者としては、唯一一〇〇%自給できる米、そして私どもの供給カロリーの四分の一を占めている米、そういう米をこれ以上、主食の米まで外国にゆだねるのは大変不安がございます。これは日本だけの問題ではなく、将来世界の食糧需給は逼迫するとの見通しの中で、各国が基礎的な食糧は自給するということを目指すのが本筋ではないかと考えております。
次に、米の貿易量は世界の生産量の三%にすぎず、小麦の一五%と比べて非常に低うございます。しかも、タイとアメリカがその貿易量の六割を占めておりまして、一部の国の米の作柄によって、過去の例を見ましても貿易量や国際価格が大きく変動するという事情を踏まえておかなければいけないと思います。
次に、安全性の不安ですが、安全性につきましては、国産も輸入品も同じように安全性を求めるのは当然ですが、輸入の場合には農薬などの規制方法や使い方というのが全く異なっております。そして、保管に関しましては、日本の米は低温管理が徹底しているのでポストハーベストなど必要ないというふうに思われますけれども、日本まで運んでくるための処置などを考えますと非常に不安が残ります。
それからさらに、先ほども申し上げましたけれども、水田が国土や自然環境の保全に役立っているという点も見逃すことはできないということでございます。
それから、米の値段について、日本の米は高い、外国の安い米をという声も耳にはいたしますが、米は一食分お茶わん二杯分として、精米百グラム、約四十円から五十五円というところでございます。これを高いと見るのかどうかというのはいろいろ見方があると思います。外国と比べますと、一九九一年の米の消費者価格はアメリカの二・五倍、タイの六・三倍と言われております。しかし、内外価格差は、申し上げるまでもなく為替相場の変動が大きく影響し、例えば一九八五年の為替レートで一九九一年の内外価格差を試算いたしますと、消費者価格はアメリカの一・四倍となりまして、円高による影響が非常に大きいということが明らかでございます。
このようにいろいろと考え合わせまして、今現在内外価格差が大きいとしてもやはり米は自給でと思う人の方が多いということになっております。
外国と日本の農地の規模の違い、それから農地の価格の違いを考えますと、この内外価格差をゼロにすることは困難かとも思われますけれども、今後もできるだけ縮小する努力を望んでいることは言うまでもありません。一九九〇年の家計調査報告によりますと、家計支出総額に対する米の支出は一・七%とわずかな数字にはなっておりますが、米の価格は単に高いとか安いとかという問題だけではなく、消費者として納得のできる価格なのか、それから生産、流通を通じ需給に応じた適正な競争が働いているのかという点にも関心を持っている消費者がふえてきているということを申し添えておきたいと思います。
次に、安全基準の国際平準化について申し上げます。
ガットの最終案によりますと、食糧、食品の検疫・衛生基準について、国際基準はFAO・WHOでのコーデックス・アリメンタリウス委員会が決定し、各国が国際基準よりもさらに厳しい基準を採用する場合には、有効な科学的根拠のあるものでなければならないとしております。この方針に沿って現在我が国では、食糧やその他食品添加物あるいは農薬などの基準がどちらかというと緩められる方向での作業が進められております。私たちは、国際基準は最低限の国際基準とし、各国はそれぞれの国の気候、風土、伝統それから食習慣、その国の衛生状態、いろいろなものを加味して自主的に設定することを認めるべきだというふうに考えております。日本では、ガットで決まったのだからこれを認めなければ日本は孤立する、国際化の中でこれを納得できない消費者は認識不足であるというようなことが言われております。しかし、私たちのような考え方は、日本だけではなく世界各国で、それぞれの国の、それから地域の規格なり基準が後退することに問題があると考えて運動に取り組んでいる消費者のグループがあることを申し上げておきたいと思います。
消費者といたしましては、所あるごとに今申し上げましたような意見を申し述べておりますけれども、最近の例で申し上げますと、一九九一年の十一月の十五日に全国四十九の消費者団体が参加して、これは毎年一回開いております消費者大会でございますが、一九九一年は第三十回に当たっております。この三十回の全国消費者大会において、「コメの輸入自由化に反対し食糧の自給率向上と食べものの安全を求める特別決議」を決議いたしております。また、一九九二年九月に来日されたガットのドンケル事務局長に対して、それぞれの国が適切と考える基礎的食糧の自給率を達成するための措置を認めること、それから今申し上げたような国際平準化の問題などについて、全国消費者団体連絡会、主婦連合会も賛同団体としてこの書面を提出いたしてございます。
さらに本年二月二日に、「コメ輸入の関税化」受入れを求める国民委員会が緊急アピールを発表されましたのに対しまして、全国消費者団体連絡会は次のような声明を発表いたしております。
二月二日、「「コメ輸入の関税化」受入れを求める国民委員会」が「「コメ輸入の関税化」受入れを決断しよう」との緊急アピールを発表しました。
このアピールは、輸出国の論理にたった所謂ドンケル・ぺーパーに基づく農業交渉決着を至上命題とするもので、到底認めることはできません。ガット・ウルグアイ・ラウンドは、農業分野だけでなく非農業分野においても主要国間の意見の対立があり、日本がコメ輸入の関税化を受け入れないことが交渉全体を壊すものではないはずです。
私たちは、全国消費者大会の決議にあるように、
1 基礎的食糧の自給と、歴史と風土に根ざした食生活、自立した食文化を確立することが、各国国民の責務である
2 食料の安全性の確保は最優先の課題である
3 農業、特に水田が環境保全等に果たしている多面的役割を維持する必要があるなどから、「コメ輸入の関税化」受入れに反対であることを改めて表明するものです。
今日、日本の食料、農業、農村をめぐる危機的状況は、深刻さの度合いをますます深めています。また、「自由貿易」の名による食品の安全基準の国際平準化もすすめられています。私たち消費者は、わが国食糧自給率の長期的な向上をめざし、安全性や環境への十分な配慮がなされた地域農業の健全な育成をはかり、国民共有の財産である地域資源と国土を守る国民的な合意を早急に形成し、何よりも食品の安全と健康を守ることを食料、農業政策の根幹に置くことを強く願うものです。
私たちは、政府がこれまでの国会決議に示された国民の意志を尊重し、毅然たる態度で引き続き交渉に臨むことを求めます。
これが私どもの出しましたアピールでございます。国会におかれましては、昭和五十五年、五十九年、六十三年の三回にわたりまして、食糧自給力強化に関する決議、米の需給安定に関する決議、米の自由化反対に関する決議がございます。この決議に沿いまして今後ともガット交渉に取り組んでいかれますよう強く希望いたしまして、私の公述を終わらせていただきます。拍手
粕
山
山田精吾#6
○山田公述人 おはようございます。きょうはせっかくの機会をいただきましたから、何点かに絞りまして見解を申し上げたいと思います。
昨年の臨時国会は、国民の立場からいたしますと、佐川事件の徹底解明の問題と政治改革についてひとつ政治の信頼を取り戻す、そういう課題が一つ。もう一つは、当面する景気対策をどう具体化していくのかということで大変私ども期待をしておりました。政治改革については二十一項目、それから九増十減等の一歩改革は進められました。しかし、全体のとらまえ方としては、とてもじゃないが、ああいう解明の状況だとか政治改革の内容で政治の信頼が取り戻せるというような甘いものじゃありません。景気対策にしましても、公共事業を初めにしてかなり踏み込んだ大型の予算をつくられました。それはそれなりに私どもは評価をしてはおりますが、しかし、今日から振り返ってみて、果たしてあの補正予算で効果が具体的に相当あらわれているかどうかになりますと、政府発表の数字から見ても大変私どもとしては物足りないというのが正直言って国民のまた実感だろうというぐあいに思います。
いずれにしましても、努力をしていただきましたが中途半端に終わったということが一言で言えると思います。今度の通常国会に当たりまして、この二点がまだこの国会でも最大の課題になっておるということで、ゆうべも遅くまでいろいろ与野党の接触も私どもは新聞報道等聞いておりますが、ぜひこの国会でひとつそれこそけじめをつけていただきたいなと。政治改革についてもっともっと踏み込んだ、信頼回復のための改革をぜひひとつ与野党の話し合いで実現をしていただきたいという強い希望を申し上げておきたいと思います。
それから、今度の予算につきましては、それぞれ苦心をされたと思いますが、肝心かなめな景気対策の面からいいますと、消費回復が、むしろ回復どころか日に日に落ち込んでいるというところが大変気になります。何をやっても効果がない、何をやってもあれだこれだという、そのお話は結構ですけれども、やれることは思い切って何でもやってみるということが今非常に政治に求められているんではないかというぐあいに私は思っております。
個人消費につきましても、まあ耐久消費財程度かなと思っておったんですが、最近では生活必需品を含む非耐久消費財まで大きく陰りが出てきておるということを我々は大変心配をしております。いろんな考えられる施策は具体的に議論はされていますが、私は、即効的に一番効き目のあるのは、やっぱり当面は減税をどうするのかということが一番最大のものではないかなというぐあいに実は思っております。
私も政府税制調査会のメンバーの一人なんですが、昨年のいいかげんのころから大蔵省の方は、減税やっても効果がない、減税やっても効果がないという資料をいっぱいつくりましてあちらこちら走っておられましたが、ないと思えばありませんわ、こういうものは。商売というのはそんなもんですよ。売れぬから売れぬからと言ったら売れるわけないですわ。売れる売れると言えばそのうちに売れるようになる。景気も気からと言われておりますが、全く私はそのとおり。寄ってたかって経営者も経済界も含めて、減税の問題は別ですが、冷やすことに専念をしておられるということ。やっぱり大蔵省あたりももっと税収増があることを積極的に、営業的な発想も持たないと、ただ財布のひもをしっかりしておるだけが能じゃないと思うんですが、まあ大蔵省ですから余りいいかげんなことでは困ると思いますけれどもね。
そういうことで、とにかく減税については、私どもは、経済企画庁のいろんな試算を見ても、それなりにやっぱり効果があると。私は、労使の賃上げでも、嫌々出す回答なのか、すかっとして出す回答なのか、同じ一万円でも一万円の値打ちが違うと言っているんです。世はまさに今、付加価値の時代と言われておる。そういうことだろうと思うんですよね。そういうことで、一兆円の減税をすれば○・一%程度の成長率が高まるだろう、五兆やれば○・五、まあ○・四、五で個人消費は大体○・八から一・○ぐらいは支えるだろうということが民間の調査機関でもいろんな発表がされていますが、大方そういうような見方をされておりますね。
それからさらに、私どもは無責任にこんなことを言っているわけではないんです。一昨年、実は我々としては二兆円の減税をしてほしいと、昨年の通常国会、予算に向かってもお願いをしたんです。なぜ二兆円なのか。サラリーマンにとって最も不公平が痛感されているのは、物価上昇に対する是正措置が源泉徴収側にはないということなんです。何とか申告納税者と同じようなバランスをとってもらいたい。十五年さかのぼって計算をすると、言うならば、消費者物価上昇が四七%程度ありました、その問いろんな減税がありました、全部差し引いても物価調整分から見るとまだ所得税と住民税で二兆円ほどやはり不足をしている、どうぞその政策というよりも物価調整の面からも二兆円程度の減税を考えてほしいということを繰り返し私どもは言っておった。
それから、去年の賃上げで試算をしてみますと、大体八八年で、年収七百万円の人が今日では、ここ三年間の統計を見ますと、賃上げ一%やりますと所得税だけでも三・五%実は増税になっているんです。税率の刻みが七百万円というのが一つありますけれども、もうそういうことから見ましても大変な増税ですね。社会保障関係も年々我々の負担もふえております。
ですから、何か適正負担がどうだのこうだの言われますけれども、一番わかっているのは払っている人間が一番わかっているんです、そういうことは。ですから、国民の負担率についても行く行くの将来に向けてどうなくちゃならぬということは真剣に本当にみんな考えております。
話がちょっと横に行きましたが、その税率の関係からいいましても何とか見直してもらいたい、この際。もう数年間ほったままですから。ですから我々は、二兆円減税の内容としては、昨年ですか、通常国会が終わりがけにパート減税について与野党で話し合いましょうと聞いて、楽しみにしておったんですが、いまだに答えが出てないで、どうなっちゃったの、もう国会というところはああいうところなのかなというぐあいにまた不信感が高まる一方なんです。だめならだめとか、どうならどうとかやっぱり答えを出してもらわないと、何をここで決めてもらっても信用できないということになってしまうということを大変心配をしております。
そういう点では、パート減税というのは、私は、言葉で言うのはいいんですけれども、税制上からいうと幾分やっぱり問題があるのかなと。正確に言えば課税最低限度額の引き上げをどうするかと。ヨーロッパに比べて高いと言われるのですが、私は、社会制度が違う、例えば生活保護法の給付で生活をしていらっしゃる方がいるんですが、その収入よりも低くても、ほっといたら住民税がかかってくる。今、前回一万円に対して、水面下ぎりぎりですよ、水面上。ほっといたらそういうことになるんですよ。ぎりぎりのところへいっているんですね。ですから、余りよその国と比べて高い低いということじゃなしに、やっぱり社会制度の関係もかなり違う、そういう点も十分ひとつ考えながら税制問題をやらないと何か実態に合わないんじゃないかなと。そういうことで課税最低限度額の引き上げと、もう一つはやっぱり税率なり税額の見直しを急いでやってもらいたい。賃上げやっても何のためにやっているかわからぬです、生活のためか、大蔵省のためか、何のためか。そういうようなことのないように、ある率までいくともう賃上げしてもらうのが迷惑だと言う人も中にはおるんです、極端な言い方をしますと。
そういうことを繰り返し繰り返し言ったんですが、あれこれ理由をつけられて今日まで実現をしませんでした。去年の臨時国会がいよいよだということで同じことを持ち込んだんですが、まあ何か近い将来にというような雰囲気は徐々に出てきておりますけれども、景気対策その他一石何鳥を考えて私どもも急いでやってほしいということを言っているんですが、なかなか腰を上げてもらえなかった。何か言えば財源がない。それはないでしょう、ごみ一つないぐらいかき集めて予算を組んでおられるんですから。ないということはわかっておって、おまえたちは何か要るんだったら財源用意せい、そんなことを言われてもたまらないですよ、国民の立場から言うと。それをやるのが私は国会なり政治の責任だろうと思うし、政策の選択の問題だろうと思うのですね、何が大事なのか。
ですから、効果がないなのか財源がないなのか、その辺も非常に、どっちがないからだめなのか、それもあいまいな点がありますからどうも議論がしにくいというのが私どもの正直な気持ち。まあ十二月に宮澤総理にもお会いしてそんな話も実はしたわけなんです。
それから一月になりまして、私どもは二兆円を四、五兆円にひとつ拡大しようということになりました。それはなぜかといいますと、ちょうど今春闘が始まっているさなかですけれども、賃上げの要求、私どもが決めるときにやみくもに決めたんじゃないんです。今七%中心、二万円以上ということを申し上げておりますけれども、これは連合総研というシンクタンクがありまして、そこで詳しいシミュレーションをかけまして、七%の賃上げの場合、それから減税二兆円差し込んでみよう、それから一九九六年には千八百時間ということを政府自身も一つの生活大国の計画として出されたようですから、そういうことも全部織り込んでみてコンピューターではっとやってみると、大体三・七%というのが出てきたんです。ですから、政府は当面三・三、まあ五カ年計画は三・五で組んでおられますから、ほぼ見合うものだなということで実は要求を出したところです。
連合の方は、七%とか二万円以上というのは、これは連合としてのマクロ的な立場ですから、産業別の組合というのは、産業の実態、産業の賃金水準、こういうようなものを的確にとらえて、自分たちが自信の持てる要求を組んでくださいというのが実は労働側の賃上げの仕組みになっておるわけです。ですから、連合が七%と言ったから必ずしもみんなが七%にそろうわけではないし、既に倒産のさなか、合理化の真っただ中にあるところは賃上げ要求もできないところもいろいろあることは私どもは百も承知をしているわけです。
ところが、政府の方が昨年の未経済目標を立てられるときに、一九九二年度の実績見込みはどうなのかということで一・六。当初三・五。我々が去年の十月シミュレーションを出すときには二・八だったのです。それが一・六まですとんと落ち込みましたから、再計算をせにゃいかぬ。三・三ないし五を確保しようと思えば、何で確保するのか。今さら賃上げを一〇%、一五%と本気にしてくるものはない。何で埋め合わせるか。埋め合わせるとなれば、この際二兆円を倍か倍以上に持ち込んで、それから公共事業、これも四兆円ぐらいは少なくとも追加してもらって対応しなければ、とてもじゃないが政府が目標としている三・三%の実質成長率は絵にかいたもちに終わってしまうのじゃないか。今でも経済界ではほとんどが二%台。私はそれも気に入らないのです。宮澤総理にお会いしたときに、三・三は高くありませんと言ったのです。前年度が一・六まで落ち込んだのだから、発射台が落ち込んだのだから、三・三で、二年分見たって高いものじゃありませんよ、これで景気回復になりませんよ、三・三は確実なものにしてさらにそれに上乗せするくらいの積極政策を今とってもらわないと景気は回復しませんよということを言いました。総理はそのとき言われました。そういう視点から今までエコノミストが言ってくれないのです、あなたが言うのを初めてそういうぐあいに聞きました、私も全くそう思っていますということを宮澤総理もその席で言っておられましたが、私はそのとおりだと思っております。
そういう点で今回、五兆円を、私どもは減税として掲げていろいろお願いをしているさなかなのですね。財源はどうするか。その都度我々は我々なりに用意したのですが、もう全部かき集められて補正予算と本予算を組まれたわけですから、もうこの際、今から財源探しをやっておったらこれはもう何年たつかわからぬ。
我々は今日まで、私自身も第二臨調にも参加して嫌というほど赤字国債のことは知っております。辛抱に辛抱しておって絶対反対ときのうまで言ってきたのです。しかし、もうここではそれ以上頑張っておるわけにいかぬ。ある程度赤字国債についても柔軟に対応せざるを得ないだろうということで、泣く泣く実は割り切って、柔軟にやはり財源については赤字国債も充てることはやむを得ないだろうと。そうは言ったものの、しかし、何かまた財源がないかないかということについては、行政改革を初めとして何かできることについては精いっぱい努力をする中の赤字国債について考えてみたらどうかということを言っている。
それから、戻し減税が割と関西方の方から毎回出ることなんですけれどもね、あそこは即効性、現実的なところですから。私どもも本来は税制改正をやってほしいのです。しかし、これも財源によっては恒久的になるのか一過性的になるのか、財源との絡みがありますからね。やはりこれもただ税制改正だけにこだわらずに戻し税についても重要なテーマとして考えて検討してみたらどうか。これも幅を持ってひとつやってみようというような見解を早急にまとめまして、そして今日さらに検討を深めておるということなんです。
私がここでお願いをしたいのは、もうぜひ、言うならば予算をお決めになる際に与野党で減税をやろう、サラリーマン減税をやろうという合意を何とか取りつけていただきたいというのが、きょう最も私の方でお願いをしたい筋なんです。
政策減税の住宅減税を初めとするいろいろな話も出ております。しかし、景気対策になれば、即効的にはやっぱりサラリーマンの減税が一番中心になるでしょう。政策減税とか住宅減税、いろいろなことは否定はいたしませんが、そういうこともある程度は含みながらも、それぞれの主張の政策の立場があるし、時代もこれほど多様化した時代ですから、いろいろなことはひとつ話し合いで決めてもらえばそう難しい問題ではないというぐあいに見ておりますから、先の選挙を余り意識せずに、ざっくばらんにみんなの成果として国民から評価されるようにやってもらったら一番うれしいなと。ここでいろいろ苦労されてきました自民党が、この際考えてみようかとなれば、私は一遍に何か評価も高まるような感じもいたしますから、ぜひひとつお願いを、していただきたいなと思います。
それから景気対策では、さらにポイントだけ申し上げますと、公共事業の問題について相当努力をしていただいてそれなりの効果は出てきておりますが、私ども、産業の組合からどうだということをずっと調査して一カ月に一回くらいずつ実態を集めているのですが、どうもそこまでこないですね。ですから、できれば、通産省も最近いろいろなことで進められておられるようですが、ODAではありませんけれども、ハードだけではなしにソフトの面も十分織り込んで公共事業というのがいろいろな全体にしみわたるような方法も、時代も大きく変わってきているわけですから、ぜひひとつ御研究になって対応してもらいたい。ただ、そのことによって公共事業という性格がめちゃくちゃなものになるというのはこれは絶対困りますが、しかし、ソフトの面を十分にコンピューターを初めにして考える時期に入ってきているということを強調をさせていただきたい。
それからもう一点は、人と暮らしと環境にやさしい時代。これはどなたも否定できない今からの地球的な日本の将来だと思うのですけれども、まだまだ日本の場合は、考えていること、やっていることがブルドーザー的発想ですね。やさしさがないということです。ブルドーザー的なことも非常に大事なことなのですが、一番欠陥としてやさしさがないということ。日本の経済、産業の構造をシステムで見直せということがあるのですが、これは皆さんには釈迦に説法ですが、人口構造が根本的に変わるということです、若者中心から中高年、女性中心時代に入っていくということですから。ある作家が言いましたね、二十年ほど前に。今までは軍艦主義時代だけれども、今から客船主義時代に移りますよと。ですから、いや応なしにシステムを見直さなければいかぬ。
ところが日本には、これだけの経済大国でありながら、言うなれば福祉産業というような言葉が当たるか当たらぬかわかりませんが、マーケットすらないということなのですね。何か福祉というと金を捨てるような錯覚がまだある。もっと福祉の面に思い切った技術革新なり積極的な技術開発というのを今求められているのじゃないかと思うのです。
寝たきり老人が多い。外に出れないから寝ておくしか仕方がないので寝ているだけであって、外にいろいろな面で出れるような、車いすを初めにしてそういうような環境があれば、何も希望して寝ているわけでも何でもないと思うのです。
そういう点について、生活大国というのは、まさに経済五カ年計画はそういう方向を出しておられるわけなので、私も経済審議会の一員としてあれには参加したが、基本的には賛成の立場です。そういうことでかなり思い切ったそういう面での開発に、税制の面それから金融の面、いろいろな面で見えるような形でやってもらいたい。
一つの例を挙げますと、電気自動車と言われて本当に長いです。今千三百台ぐらいですか、電気自動車。何でできないのですか。コストの面、リスクの面がある。何で手だてをしないのですか、応援しないのですか。こういう機会に一石何鳥、そういうことでやれることは山ほど、今からの時代を見据えながらございますから、今回の予算を通じて、いろいろな面を通じてひとつお願いをこの際しておきたいなと思います。
それから、その次に労働基準法の問題が非常に重要な課題になります。
これは幾つかに絞られますが、時間がないですから多くは申し上げませんが、一九四七年に施行されて、日本もあと二年で戦後五十年を迎えます。二十一世紀論も大事ですが、私はその前に戦後五十年という節目を日本としてはもっともっと大事にすべきではないかなと思います。
そういうような面で、五年前に皆さんに御協力いただきまして労働基準法もそれなりに改正をされてきました。そして、四十時間ということが明記をされまして段階実施を進めてきております。まだ猶予措置とかそれから特例措置というのがあって、今の状況でいけば来年の四月から四十時間ということが言われておりますけれども、しかし実態から見ますと大変厳しい内容であります。今猶予措置を適用されているのが百六十七万事業所ですか、二千百六十五万人、四九・六%ですよ。約五〇%の人が猶予措置で、言うならば四十六時間のところにおられる。それから、特例措置というのが六百十三万人、百九十七万事業所ですか、一四・一%。合計二千七百七十八万人、六三・七%で、約六五%の人が猶予か特例ですから、来年の四月からといっても三五%です。その大方が、大手企業、中堅企業はもう四十時間になっておりますから、別段余り関係なしにただ形だけが移行するというような形になるわけですね。
それから、どうして働く者の立場からこんなに差別があるのか。法の前には私はすべてが平等だと思うのです。この神聖なる原則というのはやはりきちっと受けとめないと、それは中小企業ということを言われますが、やはり中小企業で働いている人たちの立場も本当にしっかり考えてこの問題は議論しないと、中小零細だから、厳しいから当たり前だ、そんなもので労働とか労働者を物差しではかられたのではたまったものではないというのがそういう職場で働いている人たちの本当の実感だということをよくひとつ知っておいていただきたい。済まぬな、あんたたちはおくれて、そんな気持ちならまたそれなりのことでしょうけれども、本当に、当たり前だということはそれこそ当たり前でないということをこの際強調をさせていただきたい。もう早く撤廃してほしいということが私どもの願いです。
それで、今度、お話を聞きますと、ことしの四月一日からいよいよ待ちに待った四十六時間の人たちが四十四時間になる。もう目の先です。それが何かまた先に延長される。もうゴールの前に倒れ込むような状況で仕事をしてきて、目の前に来たらまたゴールが引き延ばされるというのはこれはもう理不尽もいいところだ。我々としては絶対にこれはもう認めるわけにはいかぬというのが私たちの正直な気持ちですから、みんなの悲痛な声を代表して私がここで申し上げるのだというぐあいにぜひ受けとめていただきたいなということを申し上げたいと思います。
そのほか、時間外の割り増しの問題もありますが、御質問の時間もあると思いますから言い足らない点はひとつその方に回したい。
最後に一言。政治改革については冒頭触れましたが、私どもは特に政治腐敗防止法的なものを早くつくってもらいたいということと、政治資金については、企業献金も我々が関係しておる団体献金も三年をめどにしてやめてもらいたいということを明確にしておりますし、それから選挙制度は小選挙区そして比例併用制というのがベターな選挙制度ではないかというようなことも今日まで主張しておりますから、そういうことも率直に申し上げたいと思います。
時間が来ましたから、この辺で一応打ちどめます。御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →昨年の臨時国会は、国民の立場からいたしますと、佐川事件の徹底解明の問題と政治改革についてひとつ政治の信頼を取り戻す、そういう課題が一つ。もう一つは、当面する景気対策をどう具体化していくのかということで大変私ども期待をしておりました。政治改革については二十一項目、それから九増十減等の一歩改革は進められました。しかし、全体のとらまえ方としては、とてもじゃないが、ああいう解明の状況だとか政治改革の内容で政治の信頼が取り戻せるというような甘いものじゃありません。景気対策にしましても、公共事業を初めにしてかなり踏み込んだ大型の予算をつくられました。それはそれなりに私どもは評価をしてはおりますが、しかし、今日から振り返ってみて、果たしてあの補正予算で効果が具体的に相当あらわれているかどうかになりますと、政府発表の数字から見ても大変私どもとしては物足りないというのが正直言って国民のまた実感だろうというぐあいに思います。
いずれにしましても、努力をしていただきましたが中途半端に終わったということが一言で言えると思います。今度の通常国会に当たりまして、この二点がまだこの国会でも最大の課題になっておるということで、ゆうべも遅くまでいろいろ与野党の接触も私どもは新聞報道等聞いておりますが、ぜひこの国会でひとつそれこそけじめをつけていただきたいなと。政治改革についてもっともっと踏み込んだ、信頼回復のための改革をぜひひとつ与野党の話し合いで実現をしていただきたいという強い希望を申し上げておきたいと思います。
それから、今度の予算につきましては、それぞれ苦心をされたと思いますが、肝心かなめな景気対策の面からいいますと、消費回復が、むしろ回復どころか日に日に落ち込んでいるというところが大変気になります。何をやっても効果がない、何をやってもあれだこれだという、そのお話は結構ですけれども、やれることは思い切って何でもやってみるということが今非常に政治に求められているんではないかというぐあいに私は思っております。
個人消費につきましても、まあ耐久消費財程度かなと思っておったんですが、最近では生活必需品を含む非耐久消費財まで大きく陰りが出てきておるということを我々は大変心配をしております。いろんな考えられる施策は具体的に議論はされていますが、私は、即効的に一番効き目のあるのは、やっぱり当面は減税をどうするのかということが一番最大のものではないかなというぐあいに実は思っております。
私も政府税制調査会のメンバーの一人なんですが、昨年のいいかげんのころから大蔵省の方は、減税やっても効果がない、減税やっても効果がないという資料をいっぱいつくりましてあちらこちら走っておられましたが、ないと思えばありませんわ、こういうものは。商売というのはそんなもんですよ。売れぬから売れぬからと言ったら売れるわけないですわ。売れる売れると言えばそのうちに売れるようになる。景気も気からと言われておりますが、全く私はそのとおり。寄ってたかって経営者も経済界も含めて、減税の問題は別ですが、冷やすことに専念をしておられるということ。やっぱり大蔵省あたりももっと税収増があることを積極的に、営業的な発想も持たないと、ただ財布のひもをしっかりしておるだけが能じゃないと思うんですが、まあ大蔵省ですから余りいいかげんなことでは困ると思いますけれどもね。
そういうことで、とにかく減税については、私どもは、経済企画庁のいろんな試算を見ても、それなりにやっぱり効果があると。私は、労使の賃上げでも、嫌々出す回答なのか、すかっとして出す回答なのか、同じ一万円でも一万円の値打ちが違うと言っているんです。世はまさに今、付加価値の時代と言われておる。そういうことだろうと思うんですよね。そういうことで、一兆円の減税をすれば○・一%程度の成長率が高まるだろう、五兆やれば○・五、まあ○・四、五で個人消費は大体○・八から一・○ぐらいは支えるだろうということが民間の調査機関でもいろんな発表がされていますが、大方そういうような見方をされておりますね。
それからさらに、私どもは無責任にこんなことを言っているわけではないんです。一昨年、実は我々としては二兆円の減税をしてほしいと、昨年の通常国会、予算に向かってもお願いをしたんです。なぜ二兆円なのか。サラリーマンにとって最も不公平が痛感されているのは、物価上昇に対する是正措置が源泉徴収側にはないということなんです。何とか申告納税者と同じようなバランスをとってもらいたい。十五年さかのぼって計算をすると、言うならば、消費者物価上昇が四七%程度ありました、その問いろんな減税がありました、全部差し引いても物価調整分から見るとまだ所得税と住民税で二兆円ほどやはり不足をしている、どうぞその政策というよりも物価調整の面からも二兆円程度の減税を考えてほしいということを繰り返し私どもは言っておった。
それから、去年の賃上げで試算をしてみますと、大体八八年で、年収七百万円の人が今日では、ここ三年間の統計を見ますと、賃上げ一%やりますと所得税だけでも三・五%実は増税になっているんです。税率の刻みが七百万円というのが一つありますけれども、もうそういうことから見ましても大変な増税ですね。社会保障関係も年々我々の負担もふえております。
ですから、何か適正負担がどうだのこうだの言われますけれども、一番わかっているのは払っている人間が一番わかっているんです、そういうことは。ですから、国民の負担率についても行く行くの将来に向けてどうなくちゃならぬということは真剣に本当にみんな考えております。
話がちょっと横に行きましたが、その税率の関係からいいましても何とか見直してもらいたい、この際。もう数年間ほったままですから。ですから我々は、二兆円減税の内容としては、昨年ですか、通常国会が終わりがけにパート減税について与野党で話し合いましょうと聞いて、楽しみにしておったんですが、いまだに答えが出てないで、どうなっちゃったの、もう国会というところはああいうところなのかなというぐあいにまた不信感が高まる一方なんです。だめならだめとか、どうならどうとかやっぱり答えを出してもらわないと、何をここで決めてもらっても信用できないということになってしまうということを大変心配をしております。
そういう点では、パート減税というのは、私は、言葉で言うのはいいんですけれども、税制上からいうと幾分やっぱり問題があるのかなと。正確に言えば課税最低限度額の引き上げをどうするかと。ヨーロッパに比べて高いと言われるのですが、私は、社会制度が違う、例えば生活保護法の給付で生活をしていらっしゃる方がいるんですが、その収入よりも低くても、ほっといたら住民税がかかってくる。今、前回一万円に対して、水面下ぎりぎりですよ、水面上。ほっといたらそういうことになるんですよ。ぎりぎりのところへいっているんですね。ですから、余りよその国と比べて高い低いということじゃなしに、やっぱり社会制度の関係もかなり違う、そういう点も十分ひとつ考えながら税制問題をやらないと何か実態に合わないんじゃないかなと。そういうことで課税最低限度額の引き上げと、もう一つはやっぱり税率なり税額の見直しを急いでやってもらいたい。賃上げやっても何のためにやっているかわからぬです、生活のためか、大蔵省のためか、何のためか。そういうようなことのないように、ある率までいくともう賃上げしてもらうのが迷惑だと言う人も中にはおるんです、極端な言い方をしますと。
そういうことを繰り返し繰り返し言ったんですが、あれこれ理由をつけられて今日まで実現をしませんでした。去年の臨時国会がいよいよだということで同じことを持ち込んだんですが、まあ何か近い将来にというような雰囲気は徐々に出てきておりますけれども、景気対策その他一石何鳥を考えて私どもも急いでやってほしいということを言っているんですが、なかなか腰を上げてもらえなかった。何か言えば財源がない。それはないでしょう、ごみ一つないぐらいかき集めて予算を組んでおられるんですから。ないということはわかっておって、おまえたちは何か要るんだったら財源用意せい、そんなことを言われてもたまらないですよ、国民の立場から言うと。それをやるのが私は国会なり政治の責任だろうと思うし、政策の選択の問題だろうと思うのですね、何が大事なのか。
ですから、効果がないなのか財源がないなのか、その辺も非常に、どっちがないからだめなのか、それもあいまいな点がありますからどうも議論がしにくいというのが私どもの正直な気持ち。まあ十二月に宮澤総理にもお会いしてそんな話も実はしたわけなんです。
それから一月になりまして、私どもは二兆円を四、五兆円にひとつ拡大しようということになりました。それはなぜかといいますと、ちょうど今春闘が始まっているさなかですけれども、賃上げの要求、私どもが決めるときにやみくもに決めたんじゃないんです。今七%中心、二万円以上ということを申し上げておりますけれども、これは連合総研というシンクタンクがありまして、そこで詳しいシミュレーションをかけまして、七%の賃上げの場合、それから減税二兆円差し込んでみよう、それから一九九六年には千八百時間ということを政府自身も一つの生活大国の計画として出されたようですから、そういうことも全部織り込んでみてコンピューターではっとやってみると、大体三・七%というのが出てきたんです。ですから、政府は当面三・三、まあ五カ年計画は三・五で組んでおられますから、ほぼ見合うものだなということで実は要求を出したところです。
連合の方は、七%とか二万円以上というのは、これは連合としてのマクロ的な立場ですから、産業別の組合というのは、産業の実態、産業の賃金水準、こういうようなものを的確にとらえて、自分たちが自信の持てる要求を組んでくださいというのが実は労働側の賃上げの仕組みになっておるわけです。ですから、連合が七%と言ったから必ずしもみんなが七%にそろうわけではないし、既に倒産のさなか、合理化の真っただ中にあるところは賃上げ要求もできないところもいろいろあることは私どもは百も承知をしているわけです。
ところが、政府の方が昨年の未経済目標を立てられるときに、一九九二年度の実績見込みはどうなのかということで一・六。当初三・五。我々が去年の十月シミュレーションを出すときには二・八だったのです。それが一・六まですとんと落ち込みましたから、再計算をせにゃいかぬ。三・三ないし五を確保しようと思えば、何で確保するのか。今さら賃上げを一〇%、一五%と本気にしてくるものはない。何で埋め合わせるか。埋め合わせるとなれば、この際二兆円を倍か倍以上に持ち込んで、それから公共事業、これも四兆円ぐらいは少なくとも追加してもらって対応しなければ、とてもじゃないが政府が目標としている三・三%の実質成長率は絵にかいたもちに終わってしまうのじゃないか。今でも経済界ではほとんどが二%台。私はそれも気に入らないのです。宮澤総理にお会いしたときに、三・三は高くありませんと言ったのです。前年度が一・六まで落ち込んだのだから、発射台が落ち込んだのだから、三・三で、二年分見たって高いものじゃありませんよ、これで景気回復になりませんよ、三・三は確実なものにしてさらにそれに上乗せするくらいの積極政策を今とってもらわないと景気は回復しませんよということを言いました。総理はそのとき言われました。そういう視点から今までエコノミストが言ってくれないのです、あなたが言うのを初めてそういうぐあいに聞きました、私も全くそう思っていますということを宮澤総理もその席で言っておられましたが、私はそのとおりだと思っております。
そういう点で今回、五兆円を、私どもは減税として掲げていろいろお願いをしているさなかなのですね。財源はどうするか。その都度我々は我々なりに用意したのですが、もう全部かき集められて補正予算と本予算を組まれたわけですから、もうこの際、今から財源探しをやっておったらこれはもう何年たつかわからぬ。
我々は今日まで、私自身も第二臨調にも参加して嫌というほど赤字国債のことは知っております。辛抱に辛抱しておって絶対反対ときのうまで言ってきたのです。しかし、もうここではそれ以上頑張っておるわけにいかぬ。ある程度赤字国債についても柔軟に対応せざるを得ないだろうということで、泣く泣く実は割り切って、柔軟にやはり財源については赤字国債も充てることはやむを得ないだろうと。そうは言ったものの、しかし、何かまた財源がないかないかということについては、行政改革を初めとして何かできることについては精いっぱい努力をする中の赤字国債について考えてみたらどうかということを言っている。
それから、戻し減税が割と関西方の方から毎回出ることなんですけれどもね、あそこは即効性、現実的なところですから。私どもも本来は税制改正をやってほしいのです。しかし、これも財源によっては恒久的になるのか一過性的になるのか、財源との絡みがありますからね。やはりこれもただ税制改正だけにこだわらずに戻し税についても重要なテーマとして考えて検討してみたらどうか。これも幅を持ってひとつやってみようというような見解を早急にまとめまして、そして今日さらに検討を深めておるということなんです。
私がここでお願いをしたいのは、もうぜひ、言うならば予算をお決めになる際に与野党で減税をやろう、サラリーマン減税をやろうという合意を何とか取りつけていただきたいというのが、きょう最も私の方でお願いをしたい筋なんです。
政策減税の住宅減税を初めとするいろいろな話も出ております。しかし、景気対策になれば、即効的にはやっぱりサラリーマンの減税が一番中心になるでしょう。政策減税とか住宅減税、いろいろなことは否定はいたしませんが、そういうこともある程度は含みながらも、それぞれの主張の政策の立場があるし、時代もこれほど多様化した時代ですから、いろいろなことはひとつ話し合いで決めてもらえばそう難しい問題ではないというぐあいに見ておりますから、先の選挙を余り意識せずに、ざっくばらんにみんなの成果として国民から評価されるようにやってもらったら一番うれしいなと。ここでいろいろ苦労されてきました自民党が、この際考えてみようかとなれば、私は一遍に何か評価も高まるような感じもいたしますから、ぜひひとつお願いを、していただきたいなと思います。
それから景気対策では、さらにポイントだけ申し上げますと、公共事業の問題について相当努力をしていただいてそれなりの効果は出てきておりますが、私ども、産業の組合からどうだということをずっと調査して一カ月に一回くらいずつ実態を集めているのですが、どうもそこまでこないですね。ですから、できれば、通産省も最近いろいろなことで進められておられるようですが、ODAではありませんけれども、ハードだけではなしにソフトの面も十分織り込んで公共事業というのがいろいろな全体にしみわたるような方法も、時代も大きく変わってきているわけですから、ぜひひとつ御研究になって対応してもらいたい。ただ、そのことによって公共事業という性格がめちゃくちゃなものになるというのはこれは絶対困りますが、しかし、ソフトの面を十分にコンピューターを初めにして考える時期に入ってきているということを強調をさせていただきたい。
それからもう一点は、人と暮らしと環境にやさしい時代。これはどなたも否定できない今からの地球的な日本の将来だと思うのですけれども、まだまだ日本の場合は、考えていること、やっていることがブルドーザー的発想ですね。やさしさがないということです。ブルドーザー的なことも非常に大事なことなのですが、一番欠陥としてやさしさがないということ。日本の経済、産業の構造をシステムで見直せということがあるのですが、これは皆さんには釈迦に説法ですが、人口構造が根本的に変わるということです、若者中心から中高年、女性中心時代に入っていくということですから。ある作家が言いましたね、二十年ほど前に。今までは軍艦主義時代だけれども、今から客船主義時代に移りますよと。ですから、いや応なしにシステムを見直さなければいかぬ。
ところが日本には、これだけの経済大国でありながら、言うなれば福祉産業というような言葉が当たるか当たらぬかわかりませんが、マーケットすらないということなのですね。何か福祉というと金を捨てるような錯覚がまだある。もっと福祉の面に思い切った技術革新なり積極的な技術開発というのを今求められているのじゃないかと思うのです。
寝たきり老人が多い。外に出れないから寝ておくしか仕方がないので寝ているだけであって、外にいろいろな面で出れるような、車いすを初めにしてそういうような環境があれば、何も希望して寝ているわけでも何でもないと思うのです。
そういう点について、生活大国というのは、まさに経済五カ年計画はそういう方向を出しておられるわけなので、私も経済審議会の一員としてあれには参加したが、基本的には賛成の立場です。そういうことでかなり思い切ったそういう面での開発に、税制の面それから金融の面、いろいろな面で見えるような形でやってもらいたい。
一つの例を挙げますと、電気自動車と言われて本当に長いです。今千三百台ぐらいですか、電気自動車。何でできないのですか。コストの面、リスクの面がある。何で手だてをしないのですか、応援しないのですか。こういう機会に一石何鳥、そういうことでやれることは山ほど、今からの時代を見据えながらございますから、今回の予算を通じて、いろいろな面を通じてひとつお願いをこの際しておきたいなと思います。
それから、その次に労働基準法の問題が非常に重要な課題になります。
これは幾つかに絞られますが、時間がないですから多くは申し上げませんが、一九四七年に施行されて、日本もあと二年で戦後五十年を迎えます。二十一世紀論も大事ですが、私はその前に戦後五十年という節目を日本としてはもっともっと大事にすべきではないかなと思います。
そういうような面で、五年前に皆さんに御協力いただきまして労働基準法もそれなりに改正をされてきました。そして、四十時間ということが明記をされまして段階実施を進めてきております。まだ猶予措置とかそれから特例措置というのがあって、今の状況でいけば来年の四月から四十時間ということが言われておりますけれども、しかし実態から見ますと大変厳しい内容であります。今猶予措置を適用されているのが百六十七万事業所ですか、二千百六十五万人、四九・六%ですよ。約五〇%の人が猶予措置で、言うならば四十六時間のところにおられる。それから、特例措置というのが六百十三万人、百九十七万事業所ですか、一四・一%。合計二千七百七十八万人、六三・七%で、約六五%の人が猶予か特例ですから、来年の四月からといっても三五%です。その大方が、大手企業、中堅企業はもう四十時間になっておりますから、別段余り関係なしにただ形だけが移行するというような形になるわけですね。
それから、どうして働く者の立場からこんなに差別があるのか。法の前には私はすべてが平等だと思うのです。この神聖なる原則というのはやはりきちっと受けとめないと、それは中小企業ということを言われますが、やはり中小企業で働いている人たちの立場も本当にしっかり考えてこの問題は議論しないと、中小零細だから、厳しいから当たり前だ、そんなもので労働とか労働者を物差しではかられたのではたまったものではないというのがそういう職場で働いている人たちの本当の実感だということをよくひとつ知っておいていただきたい。済まぬな、あんたたちはおくれて、そんな気持ちならまたそれなりのことでしょうけれども、本当に、当たり前だということはそれこそ当たり前でないということをこの際強調をさせていただきたい。もう早く撤廃してほしいということが私どもの願いです。
それで、今度、お話を聞きますと、ことしの四月一日からいよいよ待ちに待った四十六時間の人たちが四十四時間になる。もう目の先です。それが何かまた先に延長される。もうゴールの前に倒れ込むような状況で仕事をしてきて、目の前に来たらまたゴールが引き延ばされるというのはこれはもう理不尽もいいところだ。我々としては絶対にこれはもう認めるわけにはいかぬというのが私たちの正直な気持ちですから、みんなの悲痛な声を代表して私がここで申し上げるのだというぐあいにぜひ受けとめていただきたいなということを申し上げたいと思います。
そのほか、時間外の割り増しの問題もありますが、御質問の時間もあると思いますから言い足らない点はひとつその方に回したい。
最後に一言。政治改革については冒頭触れましたが、私どもは特に政治腐敗防止法的なものを早くつくってもらいたいということと、政治資金については、企業献金も我々が関係しておる団体献金も三年をめどにしてやめてもらいたいということを明確にしておりますし、それから選挙制度は小選挙区そして比例併用制というのがベターな選挙制度ではないかというようなことも今日まで主張しておりますから、そういうことも率直に申し上げたいと思います。
時間が来ましたから、この辺で一応打ちどめます。御清聴ありがとうございました。拍手
粕
粕
浅
浅野勝人#9
○浅野委員 冷戦時代の国連はアメリカの影響力が強く、国連に協力することはアメリカに肩入れして旧ソビエトと対立することを意味しかねませんでしたので、国連中心の平和主義といっても必ずしも額面どおりに受け取れない側面のあったことは否めませんでした。冷戦の終結によって東西対立が解消して、国連の決定はおおむね世界の総意となってまいりました。日本の国際貢献が現実のものとなり、さらにさまざまな論議の対象となっているのは、背景にこうした国際関係の変化があったからだろうと思います。
そこで、現行憲法の枠内での日本の国際貢献の限界を中西公述人はどうお考えか。それと関連して、PKFの凍結解除についてどんなお考えを持っておられるか、伺いたいと存じます。
この発言だけを見る →そこで、現行憲法の枠内での日本の国際貢献の限界を中西公述人はどうお考えか。それと関連して、PKFの凍結解除についてどんなお考えを持っておられるか、伺いたいと存じます。
中
中西輝政#10
○中西公述人 お答えいたします。
冷戦後の国連のあり方というものは、まさに今おっしゃられたとおりだろうというふうに私も認識しております。その上で先ほどの私の公述の中で申し上げましたとおりさまざまな問題がそういう状況にありますが、今冷戦が終わって数年たった状況の中で宙ぶらりんの形ですべての秩序の枠組みが十分な安定をしない、そういう現状でございます。そういった意味で、こういうさまざまな安定化をもたらす枠組みに対して我が国がどのようにその役割を果たしていくか、非常に重要な瀬戸際といいますか分岐点にあるという認識が非常に重要だろうという気がいたします。
そういう上に立って、現状のこの世界各地のさまざまな地域紛争、民族紛争その他の噴出状況というものを見てみますと、やはり各国さまざまな事情はあろうかと思いますけれども、私といたしましては、日本がどういう選択をするかということに非常に大きく世界全体の流れがかかってきている。ましていろいろな国が今よく言われますとおり内向きに志向を強めているという時代に日本の対応というものが実は非常に重要でありまして、各国押しなべて深刻な国内問題を抱えている状況の中で日本の国内問題というものを比較相対的に見てみますと、これはそれほど深刻なものではない、つまり我々は余裕のある立場に立っているという認識が非常に重要だろうと思います。
こういう認識の上で私なりの考えを申し上げますと、恐らく現行の憲法の中で我が国がどれだけの平和維持活動に参加できるかという問題、憲法解釈、さまざまな解釈の仕方があろうかと思いますが、私は国連という存在に関してはやはり現在の憲法の中で特別な地位を与えられているという認識が非常に重要だろうと思います。
したがいまして、恐らく例えば湾岸戦争の際に行われた多国籍軍という試み、この中で後方支援という日本の役割というものを考えますと、私はやはり軍事力あるいは軍隊機能というものは指揮権の問題が非常に重要なメルクマールであろうかというふうに思います。そういった場合に例えば多国籍軍の指揮権の中に入って日本が後方支援を行うということは、これは現行憲法の中ではできないだろうというふうに思っております。したがって、自発的協力としての後方支援というものは可能であったと思います。ここのところが非常に重要だろうというふうに私は考えておりました。
現在、多国籍軍型の日本の平和維持活動の協力というものは恐らく求められているといいますか先ほどの浅野先生の質問の中では恐らくもっと国連が中心になった平和維持活動の側面だろうと思います。そういった面では私は、国連が指揮権を持つ、恐らく憲章四十三条あるいは事務総長がPKO活動の中で指揮権あるいは指揮権に似た権限を持つ、そういう状況の中では我が国の憲法は、我が国の決定として、選択としてこれに協力するということは、軍事力の使用の態様いかんにかかわらず禁止していないだろうというふうに見ております。
それから、PKFの解除という問題に関しましては、これは法律の中に期限が設けられているわけでありますが、その中で法律上の手続等が論じられるべきだろうとは思いますけれども、私といたしましては、現状の、先ほど申し上げましたような世界秩序の状況を考えてみますと、恐らくこの問題は早期に、日本として昨年の立法の過程で論じられた前提が変わったという形の論議が起こってくる、起こってきて当然だろうというように見ております。現在の国連のさまざまな平和維持活動全体が、先日のガリ事務総長の訪日の中でもさまざまに論じられましたとおり、前提そのものが大きく変わっているという認識の中で考えていく必要があろうかと思います。
この発言だけを見る →冷戦後の国連のあり方というものは、まさに今おっしゃられたとおりだろうというふうに私も認識しております。その上で先ほどの私の公述の中で申し上げましたとおりさまざまな問題がそういう状況にありますが、今冷戦が終わって数年たった状況の中で宙ぶらりんの形ですべての秩序の枠組みが十分な安定をしない、そういう現状でございます。そういった意味で、こういうさまざまな安定化をもたらす枠組みに対して我が国がどのようにその役割を果たしていくか、非常に重要な瀬戸際といいますか分岐点にあるという認識が非常に重要だろうという気がいたします。
そういう上に立って、現状のこの世界各地のさまざまな地域紛争、民族紛争その他の噴出状況というものを見てみますと、やはり各国さまざまな事情はあろうかと思いますけれども、私といたしましては、日本がどういう選択をするかということに非常に大きく世界全体の流れがかかってきている。ましていろいろな国が今よく言われますとおり内向きに志向を強めているという時代に日本の対応というものが実は非常に重要でありまして、各国押しなべて深刻な国内問題を抱えている状況の中で日本の国内問題というものを比較相対的に見てみますと、これはそれほど深刻なものではない、つまり我々は余裕のある立場に立っているという認識が非常に重要だろうと思います。
こういう認識の上で私なりの考えを申し上げますと、恐らく現行の憲法の中で我が国がどれだけの平和維持活動に参加できるかという問題、憲法解釈、さまざまな解釈の仕方があろうかと思いますが、私は国連という存在に関してはやはり現在の憲法の中で特別な地位を与えられているという認識が非常に重要だろうと思います。
したがいまして、恐らく例えば湾岸戦争の際に行われた多国籍軍という試み、この中で後方支援という日本の役割というものを考えますと、私はやはり軍事力あるいは軍隊機能というものは指揮権の問題が非常に重要なメルクマールであろうかというふうに思います。そういった場合に例えば多国籍軍の指揮権の中に入って日本が後方支援を行うということは、これは現行憲法の中ではできないだろうというふうに思っております。したがって、自発的協力としての後方支援というものは可能であったと思います。ここのところが非常に重要だろうというふうに私は考えておりました。
現在、多国籍軍型の日本の平和維持活動の協力というものは恐らく求められているといいますか先ほどの浅野先生の質問の中では恐らくもっと国連が中心になった平和維持活動の側面だろうと思います。そういった面では私は、国連が指揮権を持つ、恐らく憲章四十三条あるいは事務総長がPKO活動の中で指揮権あるいは指揮権に似た権限を持つ、そういう状況の中では我が国の憲法は、我が国の決定として、選択としてこれに協力するということは、軍事力の使用の態様いかんにかかわらず禁止していないだろうというふうに見ております。
それから、PKFの解除という問題に関しましては、これは法律の中に期限が設けられているわけでありますが、その中で法律上の手続等が論じられるべきだろうとは思いますけれども、私といたしましては、現状の、先ほど申し上げましたような世界秩序の状況を考えてみますと、恐らくこの問題は早期に、日本として昨年の立法の過程で論じられた前提が変わったという形の論議が起こってくる、起こってきて当然だろうというように見ております。現在の国連のさまざまな平和維持活動全体が、先日のガリ事務総長の訪日の中でもさまざまに論じられましたとおり、前提そのものが大きく変わっているという認識の中で考えていく必要があろうかと思います。
浅
浅野勝人#11
○浅野委員 それでは、地域情勢の問題を一つ。
アメリカの歴代の政権の中でブッシュ・ベーカー・コンビの中東政策は、イスラエルとアラブ諸国を対等に扱う珍しい政権だったと私はずっと見ていたのです。湾岸戦争のような内ゲバは別にいたしまして、中東和平に期待が持てた大きな理由の一つだったのですが、クリントンの選挙戦は明らかに、例えばエイパック、アメリカ・イスラエル広報委員会や、通称ジンサと言っておりますけれども安全保障問題ユダヤ研究所の影響が極めて強かったことは、よく知られていることであります。したがって、クリントン新政権の中東政策というのは、時とともにイスラエル重視に傾いて新たな中東紛争の火種になりはしないかなというような懸念も持つのですけれども、先ほど中西公述人は中東動向について安定に向かうだろうという御指摘だったものですから、簡単に感想を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →アメリカの歴代の政権の中でブッシュ・ベーカー・コンビの中東政策は、イスラエルとアラブ諸国を対等に扱う珍しい政権だったと私はずっと見ていたのです。湾岸戦争のような内ゲバは別にいたしまして、中東和平に期待が持てた大きな理由の一つだったのですが、クリントンの選挙戦は明らかに、例えばエイパック、アメリカ・イスラエル広報委員会や、通称ジンサと言っておりますけれども安全保障問題ユダヤ研究所の影響が極めて強かったことは、よく知られていることであります。したがって、クリントン新政権の中東政策というのは、時とともにイスラエル重視に傾いて新たな中東紛争の火種になりはしないかなというような懸念も持つのですけれども、先ほど中西公述人は中東動向について安定に向かうだろうという御指摘だったものですから、簡単に感想を伺いたいと思います。
中
中西輝政#12
○中西公述人 中東問題に対しまして私は先ほど三点ほど触れたと思いますが、アラブ、イスラエルのパレスチナ問題等をめぐる中東和平交渉、それから湾岸情勢、つまりイラクのフセイン政権の今後を含めまして湾岸の安全保障あるいはイランの動向というような問題があろうかと思います。それから、先ほど少し繰り返して触れましたが、原理主義運動がエジプトあるいはトルコといった国々に広がっている。
今、時間の関係もございますので簡単に中東和平問題だけについて私なりの見方を……(浅野委員「感想だけで結構です」と呼ぶ)では、感想を申し上げたいと思います。
私は、中東和平問題については中期的な安定、中くらいの安定があり得るというふうに申し上げたのは、やはり今回のパレスチナのハマス、原理主義運動の団体の追放問題が今の交渉を若干障害に乗り上げたような格好にさせておりますけれども、PLOがこの問題に関して、むしろ自分よりさらに左といいますか、過激な原理主義運動が出てきたということに関して、恐らく、ここで妥結に向かって動かなければむしろ自分たちの運動そのものが大きく足元を崩される、こういう意識を強めたことは、私はいろいろな意味で中東和平交渉にやわらかい対応をしてくるだろうというふうに見ております。
この発言だけを見る →今、時間の関係もございますので簡単に中東和平問題だけについて私なりの見方を……(浅野委員「感想だけで結構です」と呼ぶ)では、感想を申し上げたいと思います。
私は、中東和平問題については中期的な安定、中くらいの安定があり得るというふうに申し上げたのは、やはり今回のパレスチナのハマス、原理主義運動の団体の追放問題が今の交渉を若干障害に乗り上げたような格好にさせておりますけれども、PLOがこの問題に関して、むしろ自分よりさらに左といいますか、過激な原理主義運動が出てきたということに関して、恐らく、ここで妥結に向かって動かなければむしろ自分たちの運動そのものが大きく足元を崩される、こういう意識を強めたことは、私はいろいろな意味で中東和平交渉にやわらかい対応をしてくるだろうというふうに見ております。
浅
浅野勝人#13
○浅野委員 お米の市場開放問題については自民党の和田公述人の主張と同じ立場に立っていますが、消費者団体としては外国から安いお米が輸入されれば家計の上からも歓迎すべきことではないかなというふうに私単純に思いますけれども、そこのところの整合性をどうお考えでございますか。
この発言だけを見る →和
和田正江#14
○和田(正)公述人 お答えいたします。
今お話のありましたように、確かにこれは米に限らず、できることなら安いものを購入したいというのは当然でございますけれども、先ほどいろいろ申し上げましたような貿易量が少ないとか安全性の面とかいろいろなことを考え合わせて、今現在内外価格差がこれだけあるということであっても、私どもとしては、今輸入して、安い米をとにかく入れてほしいという人の方が少ないということでございます。
それから、先ほど申し上げました調査の中で、米に対して消費者がどのようなことを期待しているかという調査を例年いたしておりますけれども、やはり味と品質が一位であり、それから二番目が安全性の問題であり、それから価格というのは三番目に来ておりますのがここ数年の変わらない順位でございます。
お答えになりましたかどうかわかりませんけれども、以上でございます。
この発言だけを見る →今お話のありましたように、確かにこれは米に限らず、できることなら安いものを購入したいというのは当然でございますけれども、先ほどいろいろ申し上げましたような貿易量が少ないとか安全性の面とかいろいろなことを考え合わせて、今現在内外価格差がこれだけあるということであっても、私どもとしては、今輸入して、安い米をとにかく入れてほしいという人の方が少ないということでございます。
それから、先ほど申し上げました調査の中で、米に対して消費者がどのようなことを期待しているかという調査を例年いたしておりますけれども、やはり味と品質が一位であり、それから二番目が安全性の問題であり、それから価格というのは三番目に来ておりますのがここ数年の変わらない順位でございます。
お答えになりましたかどうかわかりませんけれども、以上でございます。
浅
浅野勝人#15
○浅野委員 ありがとうございます。
その安全性の問題ですけれども、和田公述人の指摘は、衛生系基準を国際基準と合わせるために緩めるのは好ましくないという御指摘で、基本的には理解できます。ポストハーベスト農薬の残留の心配などからだろうと存じますけれども、まあそうはいっても、国際基準というのはガットないしはガットの関連機関が安全性を確認した上で決めていくことでございましょうから、そんなに神経質になることもないのではないかという気もいたしますが、いかがですか。
この発言だけを見る →その安全性の問題ですけれども、和田公述人の指摘は、衛生系基準を国際基準と合わせるために緩めるのは好ましくないという御指摘で、基本的には理解できます。ポストハーベスト農薬の残留の心配などからだろうと存じますけれども、まあそうはいっても、国際基準というのはガットないしはガットの関連機関が安全性を確認した上で決めていくことでございましょうから、そんなに神経質になることもないのではないかという気もいたしますが、いかがですか。
和
和田正江#16
○和田(正)公述人 確かに、その場におきまして一つの物差しをつくっているわけですから、それが一つの物差しになるというのは妥当なことだと思いますけれども、それ以外に、各国が、先ほど申し上げましたような食習慣とか気候とかそういうもので、それぞれの特徴があるものについてお互いに認め合うということが必要ではないかな。今までどちらかというと日本の基準が厳しくて、それが緩められるようなことが多く事例としてございますけれども、それぞれ今まで日本として科学的な根拠があるからということで定められております根拠が、さらに緩められるなり、国際整合化ということで緩和の方向にある。それをすべて国際平準化だからやむを得ないのだ、認めなければだめなんだということには納得しがたい面があるということでございます。
以上でございます。
この発言だけを見る →以上でございます。
浅
浅野勝人#17
○浅野委員 山田公述人は、総評華やかなりしころから、労使協調を基本とする穏健な路線を貫く先見性に富み、今日の連合の土台を築いた先駆者だと私は理解をさせていただいております。
減税の財源論について、赤字国債やむなしということですけれども、もう一歩踏み込んで、直間比率の見直しによる所得税減税に踏み込んだ税制改正についてはどうお考えでございますか。
この発言だけを見る →減税の財源論について、赤字国債やむなしということですけれども、もう一歩踏み込んで、直間比率の見直しによる所得税減税に踏み込んだ税制改正についてはどうお考えでございますか。
山
山田精吾#18
○山田公述人 やはり本格的な税制改正をやって財源をどうするかということになれば、私は直間比率の問題は避けて通れないだろうというぐあいに実は思っております。
たまたま消費税の議論をしました際に、参議院段階で野党としての一つの見解をまとめました。そのときに、直間比率をどう見るのかということについて、あの際、社公民連では七、三くらいでどうなんだというところが一応の確認をされた経過がございますから、今の時点から見ましてどこが一番妥当なのかなかなか難しいですね、この線の引き方というのが。しかし、難しい難しいと言っておってもしようがありませんし、特に税制に対する不満が最も強いのはやはりサラリーマンですし、生活者という言葉がありますが、私はむしろ賃金生活者、そういう立場から、どういう税制が一番妥当なのか、公平なものなのかということで、さらに我々としても踏み込んだ議論をしてみよう。ただ、それが何か即消費税だということに結びたがる人がいるものですから、議論がどうもやりにくいのです。
ですから、あくまでも直間比率は直間比率で見直してみて、検討してみて、それからやはり所得と資産と消費とバランスのとれた税制をどうするかということは、これは与野党どなたも反対はないと思いますから、具体的にはそれはどういうことをすれば全体の合意ができるのかということは、相談すれば私は道は開けるというぐあいに思います。
この発言だけを見る →たまたま消費税の議論をしました際に、参議院段階で野党としての一つの見解をまとめました。そのときに、直間比率をどう見るのかということについて、あの際、社公民連では七、三くらいでどうなんだというところが一応の確認をされた経過がございますから、今の時点から見ましてどこが一番妥当なのかなかなか難しいですね、この線の引き方というのが。しかし、難しい難しいと言っておってもしようがありませんし、特に税制に対する不満が最も強いのはやはりサラリーマンですし、生活者という言葉がありますが、私はむしろ賃金生活者、そういう立場から、どういう税制が一番妥当なのか、公平なものなのかということで、さらに我々としても踏み込んだ議論をしてみよう。ただ、それが何か即消費税だということに結びたがる人がいるものですから、議論がどうもやりにくいのです。
ですから、あくまでも直間比率は直間比率で見直してみて、検討してみて、それからやはり所得と資産と消費とバランスのとれた税制をどうするかということは、これは与野党どなたも反対はないと思いますから、具体的にはそれはどういうことをすれば全体の合意ができるのかということは、相談すれば私は道は開けるというぐあいに思います。
浅
粕
水
水田稔#21
○水田委員 公述人の皆さん、御苦労さまでございます。
まず、山田公述人にお伺いしたいのですが、私は本会議の代表質問でもやったのですが、今の複合不況といいますか、そういう中でやれることは何でもやる、政府は政府、民間は民間、いろいろなことをやらなければ、今まで経験したことのない状況だろう、そういうことで申し上げたのですが、もちろんこれは基本的には賃金問題というのは労使の決めるべきものです。しかし、いわゆるGNPでいえば六〇%を占める個人消費の主力をなしておるわけですから、そこの一%の賃金がどう決まるかというのは、今の景気の動向の中では一兆円の減税とかあるいは公共事業以上の効果があるわけですね。
そういう点で現実に取り組んでおられるわけですが、私ども見ておりまして、どうも経営側はそういう点で、もちろん一つ一つの企業が倒産しそうなところまでやれといったってそれは無理ですけれども、そういう点での取り組みがどうも、今全体で、もちろん政府もやらなきゃならぬ、あるいは労働組合も努力しなきゃならぬこともあるでしょうが、そういう点、ちょっと取り組みが違うんじゃないかという感じがしますが、労働側の立場で、私、今どういうぐあいに状況がなって、そして賃金問題に対する全体的な景気動向の中で、景気回復の中で、労働組合側としてそれを景気対策の一環として、先ほどもちょっと御意見ありましたが、どういうぐあいにごらんになっておるかということも含めて、御意見をまず聞かせていただきたいと思うのです。
それから、もう一つは減税問題で、たくさん言われましたから。ただ、例示されました年収七百万のところで事実上賃金を上げても、いわゆる税金と、一%上げれば三・五%と言われましたが、実際上がっても社会保険料、それから事実上は全体的に残業が減ってきておるとか、あるいはまた一時金とか賞与の段階では横ばいかもしくは下がるというようなそういう状況からいえば、実質的にはそこのところでは実質収入が減ってくる、マイナスになっておるというそういうこともあるだろうと思うのですが、そういうことも今の景気動向に影響があると思うので、減税問題でもうちょっとそこのところをお伺いしたいと思うのです。
それからもう一つは、これはお答えにくいことかもしれませんが、労働組合としては現実に組織されておる人たちのことですが、私ども政党の立場から見ますと、例えば所得税を払わなくてもいい三百十九万八千円以下の標準のところでいえば、所得減税だけやりますと、ここへは全く減税分は返ってこないわけですから、一番問題があるのはこの不況の中でそこですから、そういう問題についても、ちょっとお答えにくければそれはお答えは結構ですが、ただ、組織的にはやはり論議として私ども減税の中ではそこらも政党として考えれば大事な問題だという受けとめ方をしておりますので、ちょっと御意見があればそこも聞かせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →まず、山田公述人にお伺いしたいのですが、私は本会議の代表質問でもやったのですが、今の複合不況といいますか、そういう中でやれることは何でもやる、政府は政府、民間は民間、いろいろなことをやらなければ、今まで経験したことのない状況だろう、そういうことで申し上げたのですが、もちろんこれは基本的には賃金問題というのは労使の決めるべきものです。しかし、いわゆるGNPでいえば六〇%を占める個人消費の主力をなしておるわけですから、そこの一%の賃金がどう決まるかというのは、今の景気の動向の中では一兆円の減税とかあるいは公共事業以上の効果があるわけですね。
そういう点で現実に取り組んでおられるわけですが、私ども見ておりまして、どうも経営側はそういう点で、もちろん一つ一つの企業が倒産しそうなところまでやれといったってそれは無理ですけれども、そういう点での取り組みがどうも、今全体で、もちろん政府もやらなきゃならぬ、あるいは労働組合も努力しなきゃならぬこともあるでしょうが、そういう点、ちょっと取り組みが違うんじゃないかという感じがしますが、労働側の立場で、私、今どういうぐあいに状況がなって、そして賃金問題に対する全体的な景気動向の中で、景気回復の中で、労働組合側としてそれを景気対策の一環として、先ほどもちょっと御意見ありましたが、どういうぐあいにごらんになっておるかということも含めて、御意見をまず聞かせていただきたいと思うのです。
それから、もう一つは減税問題で、たくさん言われましたから。ただ、例示されました年収七百万のところで事実上賃金を上げても、いわゆる税金と、一%上げれば三・五%と言われましたが、実際上がっても社会保険料、それから事実上は全体的に残業が減ってきておるとか、あるいはまた一時金とか賞与の段階では横ばいかもしくは下がるというようなそういう状況からいえば、実質的にはそこのところでは実質収入が減ってくる、マイナスになっておるというそういうこともあるだろうと思うのですが、そういうことも今の景気動向に影響があると思うので、減税問題でもうちょっとそこのところをお伺いしたいと思うのです。
それからもう一つは、これはお答えにくいことかもしれませんが、労働組合としては現実に組織されておる人たちのことですが、私ども政党の立場から見ますと、例えば所得税を払わなくてもいい三百十九万八千円以下の標準のところでいえば、所得減税だけやりますと、ここへは全く減税分は返ってこないわけですから、一番問題があるのはこの不況の中でそこですから、そういう問題についても、ちょっとお答えにくければそれはお答えは結構ですが、ただ、組織的にはやはり論議として私ども減税の中ではそこらも政党として考えれば大事な問題だという受けとめ方をしておりますので、ちょっと御意見があればそこも聞かせていただきたいと思います。
山
山田精吾#22
○山田公述人 先週も私どもと日本経営者連盟との間で会談を実は持ちまして、今御質問ありましたような内容を中心に大いに意見を闘わしてみたのですがね。一番が、私どもは先ほどもちょっと触れましたように、何かつかみで物を言っているのじゃありませんよと。一定の方式に基づいて賃上げとか減税とかそういう絡みと日本の経済、広く言えば経済収支にわたる全体が一体どうなるのかということを詳しく実は分析をした上で出したものです。
経営側は、政治は三流とか四流とか、経済は一流だなんということをよく言われますが、せんだっても私申し上げたのですが、この景気対策に当たって経済界は一体みずからは何をやろうとしているのか、これについての答えがないじゃないか。それからもう一つは、一番迷惑しているのは国民なんです、今の景気の問題で。こんな状況にだれがしたのか、こういうこともほとんど議論されないといいますか、明らかにされないまま従来型の、言うならば延長線でこの景気対策をやられたのでは、またぞろ下手するとバブルの再来といいますか、それがやって来るんじゃないかということを大変私どもは一方ではまた気にしているということ。そういうことで、政府の方も従来から、経済、産業優先から生活を重視するという生活重視型の予算を組むということを強調しておられます。その考え方は私ども全く賛成なんですが、どうもまだ具体的に余り見えないものですから、見えるものもありますけれども、先ほどいろんな問題を具体的に出したりしました。
そういう視点から、経済界は口を開くと賃金抑制、定期昇給だけでいい。定期昇給だけで仮にやったら、日経連が、二・三%程度、そして七千円ぐらいだろうと、こう言っているのですね。定期昇給だけでいいということを盛んに言っているのです。定期昇給というのは、私流に言えば、初任給で入ってきます、安い賃金。それでとんとんと階段を毎年上りながら定年退職で高い賃金でやめていく。これは言うならばエスカレートで循環しているのですね。縦と底辺の三角形の面積が実は労務費、人件費の総額というのがあるのですから、ベースアップというのはまさに一人一人の階段の高さを高める、全体の面積を広げるというのが実は賃上げ、ベースアップというのですが、それに一切寄与しないのです、定期昇給だけですから。そんなことで、これだけ時間外労働も相当やはり不況のせいで落ち込みました。ある産業界も言っています。連合も計算しました。二〇%ぐらい仮に時間外が落ち込んでおるとすれば、大体三兆二千億円ぐらい落ち込んでいるだろうというぐあいに私ども見ている。これは相当消費に響いていることは間違いがないことなんだと思うのです。そういうことで、口を開くと賃金抑制論、定期昇給だけと言う。
それから一方では、人が余った、人が余った、雇用か賃金がというようなことを言い出す。一遍に言いますと長くなりますからまたお答えしますが、そんなことは、一言で言いますと雇用問題も心配しています、我々は。しかし、今〇・九三です。有効求人倍率が〇・九三。昭和四十九年のときに〇・九七になりまして、翌年から〇・六ぐらいに落ち込みまして、十三年間実は有効求人倍率は〇・六から〇・七の間で私たちは労使関係の中で賃上げをやってきた。そういう長い長い体験を持っていますから、今の程度のところでもう賃上げはできないとか何だかんだという大騒ぎすること自体が私はナンセンスだ、言いがかりだということを言っていますから、私は何が言いたいのかといえば、何か自民党と経済団体との会合でも賃上げをめぐってやりとりがあったとお聞きしていますが、やはり経営側として、経済界として応分の、血を流してでも応分の対応をこの景気対策でやるべきだ。具体的には、やはり厳しくとも賃上げには応じてできるだけのことはするという姿勢がそれこそそれぞれの立場で精いっぱい景気対策に立ち向かうことではないかなというぐあいに実は私は思っております、
それからもう一点は、負担の問題でしたか。
この発言だけを見る →経営側は、政治は三流とか四流とか、経済は一流だなんということをよく言われますが、せんだっても私申し上げたのですが、この景気対策に当たって経済界は一体みずからは何をやろうとしているのか、これについての答えがないじゃないか。それからもう一つは、一番迷惑しているのは国民なんです、今の景気の問題で。こんな状況にだれがしたのか、こういうこともほとんど議論されないといいますか、明らかにされないまま従来型の、言うならば延長線でこの景気対策をやられたのでは、またぞろ下手するとバブルの再来といいますか、それがやって来るんじゃないかということを大変私どもは一方ではまた気にしているということ。そういうことで、政府の方も従来から、経済、産業優先から生活を重視するという生活重視型の予算を組むということを強調しておられます。その考え方は私ども全く賛成なんですが、どうもまだ具体的に余り見えないものですから、見えるものもありますけれども、先ほどいろんな問題を具体的に出したりしました。
そういう視点から、経済界は口を開くと賃金抑制、定期昇給だけでいい。定期昇給だけで仮にやったら、日経連が、二・三%程度、そして七千円ぐらいだろうと、こう言っているのですね。定期昇給だけでいいということを盛んに言っているのです。定期昇給というのは、私流に言えば、初任給で入ってきます、安い賃金。それでとんとんと階段を毎年上りながら定年退職で高い賃金でやめていく。これは言うならばエスカレートで循環しているのですね。縦と底辺の三角形の面積が実は労務費、人件費の総額というのがあるのですから、ベースアップというのはまさに一人一人の階段の高さを高める、全体の面積を広げるというのが実は賃上げ、ベースアップというのですが、それに一切寄与しないのです、定期昇給だけですから。そんなことで、これだけ時間外労働も相当やはり不況のせいで落ち込みました。ある産業界も言っています。連合も計算しました。二〇%ぐらい仮に時間外が落ち込んでおるとすれば、大体三兆二千億円ぐらい落ち込んでいるだろうというぐあいに私ども見ている。これは相当消費に響いていることは間違いがないことなんだと思うのです。そういうことで、口を開くと賃金抑制論、定期昇給だけと言う。
それから一方では、人が余った、人が余った、雇用か賃金がというようなことを言い出す。一遍に言いますと長くなりますからまたお答えしますが、そんなことは、一言で言いますと雇用問題も心配しています、我々は。しかし、今〇・九三です。有効求人倍率が〇・九三。昭和四十九年のときに〇・九七になりまして、翌年から〇・六ぐらいに落ち込みまして、十三年間実は有効求人倍率は〇・六から〇・七の間で私たちは労使関係の中で賃上げをやってきた。そういう長い長い体験を持っていますから、今の程度のところでもう賃上げはできないとか何だかんだという大騒ぎすること自体が私はナンセンスだ、言いがかりだということを言っていますから、私は何が言いたいのかといえば、何か自民党と経済団体との会合でも賃上げをめぐってやりとりがあったとお聞きしていますが、やはり経営側として、経済界として応分の、血を流してでも応分の対応をこの景気対策でやるべきだ。具体的には、やはり厳しくとも賃上げには応じてできるだけのことはするという姿勢がそれこそそれぞれの立場で精いっぱい景気対策に立ち向かうことではないかなというぐあいに実は私は思っております、
それからもう一点は、負担の問題でしたか。
水
山
山田精吾#24
○山田公述人 時間があれば詳しく、実はこれも実態を計算をしたものがございますから。本当に賃上げはこれはもう自分たちのためにもあるのですが、社会保障面の負担とそれから税制負担で相当生活が窮屈になっていることはそのとおりだと思います。また必要であれば、資料はいつでも発表していますから。
この発言だけを見る →水
山
山田精吾#26
○山田公述人 それは、所得税に関係していないところはそれこそ政策減税でいろいろまた相談をしながら、全体が何か減税に関係をするような、影響を受けるような方法を考えたらいいんじゃないかと思います。
この発言だけを見る →水
水田稔#27
○水田委員 最後の点は、所得税を払っていない、所得三百十九万八千円以下の層のところを、所得減税をやっても全く何も返ってこないわけですから、そういう点我々は我々で政党間の論議もいたしますが、組織された労働者の組織としてそういう問題もあるということを一つとらまえて御検討いただければありがたいと思います。
それでは、時間がありませんから次の問題で、基準法の問題について御意見がありましたが、三月十九日閣議決定、国会に提出、こういうことになりました。ただ、いろいろ聞いていまして、今お話もありましたけれども。中央基準審議会ですか、三者構成で、そういう中で提言とかあるいは意見が出て、そういう中でのやはりある程度の三者の合意というのがあっただろうと思うのです。そういう点からいえば、今度具体的に出てきた案というのは、今ちょっと御意見もありましたけれども、経緯からしてお互い何か信頼関係を損なうという問題もそこにあるんじゃないかと思いますので、この経緯と、それから閣議決定して国会へ出されたものについての御意見をもう一遍お伺いしたい。
それからもう一つは、時間の関係でお話しになりませんでしたが、それと時間外手当の関係とは密接な関係があります。これも、これまでの中央基準審議会の論議とかあるいはこれまでのやりとりの中で、今度の場合はいわゆる政令にゆだねられるわけでございますけれども、やはりヨーロッパの工業先進国あるいはアジアにおける時間外手当の現実、現状がどうなっておるかということもできれば一緒にお伺いしたい。御意見と両方お伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →それでは、時間がありませんから次の問題で、基準法の問題について御意見がありましたが、三月十九日閣議決定、国会に提出、こういうことになりました。ただ、いろいろ聞いていまして、今お話もありましたけれども。中央基準審議会ですか、三者構成で、そういう中で提言とかあるいは意見が出て、そういう中でのやはりある程度の三者の合意というのがあっただろうと思うのです。そういう点からいえば、今度具体的に出てきた案というのは、今ちょっと御意見もありましたけれども、経緯からしてお互い何か信頼関係を損なうという問題もそこにあるんじゃないかと思いますので、この経緯と、それから閣議決定して国会へ出されたものについての御意見をもう一遍お伺いしたい。
それからもう一つは、時間の関係でお話しになりませんでしたが、それと時間外手当の関係とは密接な関係があります。これも、これまでの中央基準審議会の論議とかあるいはこれまでのやりとりの中で、今度の場合はいわゆる政令にゆだねられるわけでございますけれども、やはりヨーロッパの工業先進国あるいはアジアにおける時間外手当の現実、現状がどうなっておるかということもできれば一緒にお伺いしたい。御意見と両方お伺いしたいと思います。
山
山田精吾#28
○山田公述人 労基法の問題については、一つは来年の四月から四十時間の実施に入る、これは私どもはそれなりに評価をさしてもらう。ただ、先ほど言いましたように、猶予措置とそれから特例措置の、六五%の人たちが該当していないわけですから、全労働者の人たちが一日も早く四十時間に移行する、そういうことについてもっともっと私は国会でも議論してほしいなというぐあいに思っております。それからもう一点は、割り増し賃金について今御質問がございました。二五%、日本の場合は。戦後焼け跡の時代から据え置いたままですね。そういうところはありません。アジアでもフィリピンだけです、二五%。そのフィリピンも祭日はまだそれに割り増しする。だから、最低の最低は日本ということはもう皆さんも御承知のとおりなんですね。公益委員側から出されました建議というのがあるのですけれども、あれからいえばやはり五〇%を中心に考えなさいよというのが出たにもかかわらず、極めて残念なことに、当分は時間外は二五で据え置き、休日だけ二五から五〇以内でひとつ政令で検討しましょう、こんなことですから、これじゃ本当に私どもとしては困るというのが基本的な考え方です。
それから、猶予と特例については撤廃してくれというのが私たちの基本だということ。ましてやことしの四月一日からもう予定されている四十四時間移行については、絶対にこれはやはり方針どおりやるべきだ。
それから、年休の問題それから変形労働、ありますが、また別な機会にお願いしたい。
この発言だけを見る →それから、猶予と特例については撤廃してくれというのが私たちの基本だということ。ましてやことしの四月一日からもう予定されている四十四時間移行については、絶対にこれはやはり方針どおりやるべきだ。
それから、年休の問題それから変形労働、ありますが、また別な機会にお願いしたい。
水
水田稔#29
○水田委員 ありがとうございました。
それじゃ、お話がありましたように、中小企業だから――働いておる立場からいえば大企業も中小企業も一緒ですね、企業としてはいろいろ条件は違うかもしれませんが。そこで、下請企業の労働時間について、短縮するために九一年の二月に通産省が下請振興基準を改正して、納期や発注方法、下請単価などの改善の方向を打ち出して、業界団体や企業へPRしてきたわけですね。これは、今度の法改正の中でも、なかなか中小企業が対応しにくいということで意見が相当出たようでありますが、ここらについてです。
これは、やはりそれが成果を上げておれば、法改正といってもそれほどの抵抗もなく進むのだろうと思いますが、労働側から見て、こういう通産省などが今までやってきたことがどういうぐあいに成果として出てきておるのか、現状についておわかりでしたら御意見を聞かしていただきたいと思います。
この発言だけを見る →それじゃ、お話がありましたように、中小企業だから――働いておる立場からいえば大企業も中小企業も一緒ですね、企業としてはいろいろ条件は違うかもしれませんが。そこで、下請企業の労働時間について、短縮するために九一年の二月に通産省が下請振興基準を改正して、納期や発注方法、下請単価などの改善の方向を打ち出して、業界団体や企業へPRしてきたわけですね。これは、今度の法改正の中でも、なかなか中小企業が対応しにくいということで意見が相当出たようでありますが、ここらについてです。
これは、やはりそれが成果を上げておれば、法改正といってもそれほどの抵抗もなく進むのだろうと思いますが、労働側から見て、こういう通産省などが今までやってきたことがどういうぐあいに成果として出てきておるのか、現状についておわかりでしたら御意見を聞かしていただきたいと思います。