文教委員会
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会
会議録情報#0
平成九年六月三日(火曜日)
午前十時二分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 清水嘉与子君
理 事
小野 清子君
鹿熊 安正君
石田 美栄君
日下部禧代子君
委 員
井上 裕君
釜本 邦茂君
世耕 政隆君
田沢 智治君
馳 浩君
菅川 健二君
林 久美子君
山下 栄一君
本岡 昭次君
阿部 幸代君
江本 孟紀君
堂本 暁子君
長谷川道郎君
国務大臣
文 部 大 臣 小杉 隆君
政府委員
文部大臣官房長 佐藤 禎一君
文部省教育助成
局長 小林 敬治君
文部省高等教育
局長 雨宮 忠君
文部省学術国際
局長 林田 英樹君
事務局側
常任委員会専門
員 青柳 徹君
説明員
人事院事務総局
給与局給与第一
課長 出合 均君
総務庁人事局参
事官 大西 一夫君
参考人
北陸先端科学技
術大学院大学長 慶伊 富長君
広島大学教授・
大学教育研究セ
ンター長 有本 章君
名古屋大学名誉
教授 沢田 昭二君
—————————————
本日の会議に付した案件
○大学の教員等の任期に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
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この発言だけを見る →午前十時二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 清水嘉与子君
理 事
小野 清子君
鹿熊 安正君
石田 美栄君
日下部禧代子君
委 員
井上 裕君
釜本 邦茂君
世耕 政隆君
田沢 智治君
馳 浩君
菅川 健二君
林 久美子君
山下 栄一君
本岡 昭次君
阿部 幸代君
江本 孟紀君
堂本 暁子君
長谷川道郎君
国務大臣
文 部 大 臣 小杉 隆君
政府委員
文部大臣官房長 佐藤 禎一君
文部省教育助成
局長 小林 敬治君
文部省高等教育
局長 雨宮 忠君
文部省学術国際
局長 林田 英樹君
事務局側
常任委員会専門
員 青柳 徹君
説明員
人事院事務総局
給与局給与第一
課長 出合 均君
総務庁人事局参
事官 大西 一夫君
参考人
北陸先端科学技
術大学院大学長 慶伊 富長君
広島大学教授・
大学教育研究セ
ンター長 有本 章君
名古屋大学名誉
教授 沢田 昭二君
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本日の会議に付した案件
○大学の教員等の任期に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
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清
清水嘉与子#1
○委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
大学の教員等の任期に関する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、参考人として、北陸先端科学技術大学院大学長慶伊富長さん、広島大学教授・大学教育研究センター長有本章さん及び名古屋大学名誉教授沢田昭二さんの三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の皆様方には、大変御多用のところを本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、大学の教員等の任期に関する法律案につきまして、皆様方から忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、本案の審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
つきましては、議事の進め方でございますけれども、まず、慶伊参考人、有本参考人、沢田参考人の順序で、お一人十五分以内で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は、参考人、委員の皆様方、着席のままでお願いいたしたいと思います。
それでは、まず慶伊参考人からお願いいたします。慶伊参考人。
この発言だけを見る →大学の教員等の任期に関する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、参考人として、北陸先端科学技術大学院大学長慶伊富長さん、広島大学教授・大学教育研究センター長有本章さん及び名古屋大学名誉教授沢田昭二さんの三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の皆様方には、大変御多用のところを本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、大学の教員等の任期に関する法律案につきまして、皆様方から忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、本案の審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
つきましては、議事の進め方でございますけれども、まず、慶伊参考人、有本参考人、沢田参考人の順序で、お一人十五分以内で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は、参考人、委員の皆様方、着席のままでお願いいたしたいと思います。
それでは、まず慶伊参考人からお願いいたします。慶伊参考人。
慶
慶伊富長#2
○参考人(慶伊富長君) お招きいただきました慶伊でございます。参考人として意見を述べさせていただく機会をお与えいただきまして光栄に存じます。
大学の教員等の任期に関する法律案に私は積極的に賛成するものでございます。
その理由はいろいろございますが、私、大学を卒業いたしましてから東京工業大学の教授になるまでに三つの大学を経験いたしました。その後二十数年間教職にあります間に、世界の研究先進国ほとんどに滞在をいたしました。つぶさに日本の研究のあり方と世界のあり方との違いを見聞いたしました。そういった経験を踏まえまして、日本の大学の活性化のためには教員の流動性を飛躍的に向上させる必要があるとかねがね考えておったところでございます。
幸い、御紹介いただきましたように、新設の北陸先端科学技術大学院大学のただいま運営の責任をとらせていただいておりますが、これの創設の準備に私は主査といたしまして関係いたしました。
その際に、先端科学技術分野に置かれる大学院レベルの大学におきましては、研究・教育の活性化は大学院レベルでなければならないということと、現在の科学技術における国際競争力の激しい中におきまして、日本の科学技術に対する基礎研究部門の中核としての実力を維持するためには、絶えず大学をそのレベルにもっておかなきゃならない、これは至上命令であると考えておりましたし、そのためには教員の流動化は欠かせない、そういうことでございまして、北陸先端科学技術大学院大学並びに奈良、二校ございますが、この両方の設立の趣旨は、国会の御審議をいただいて通過したわけでございますが、教員の流動化を確保すること、これは明文化してございます。そういうことでございまして、流動化は活性化に対して欠くべからざるものであると考えているところでございます。
この任期制の導入が流動化に対して大変有効であるという考え方でございまして、これは私的にかねがね京都大学の基礎研究所あるいは名古屋大学に一時ありました、最近は変わっていると思いますが、物理学教室においてあるいは東大の物性研究所において試行あるいは実施されつつあるところでございます。しかしながら、すべて紳士協定に基づくものでございます。私も北陸でもって現在助手諸公に対しては任期制を導入したところでございます。助教授、教授に関しましては、法律の制定のこの時期を経ました後でしかるべく考えたい、そういうふうに思っておるところでございます。
私的な紳士協定でやるならばどういうことが起こるか。非常にスムーズにいっているように見える場合もございますが、大学の全体の感じといたしましては、あくまでも紳士協定でございまして、事実、私が勤務しました某大学におきまして、ある助手の人がポストがありませんで、それに対して仕方がありませんので教授の人は無理してポストをほかの方から二年間だけ借りてきたんですが、その二年間でいいかということで本人も納得ずくで就任したんですけれども、二年後には案の定組合に駆け込みまして、法律違反であるということで大変教授あるいは貸した方の学科も困ったという事例を私は実際に見聞しております。
さて、法律的制定を得ますならば、これはパブリックになる。そういう点で、今までプライベートに私的に行われたものがパブリックになるということでございまして、この効果は例えば、御承知のように教授は現在、東大、東工大が六十歳定年、ほかの国立大学は六十三歳あるいは六十五歳という定年制をしいております。そういたしますと、例えば四十五歳で教授になりますと二十年間教授職を在職するわけでございまして、四十五歳の教授ができたときに助教授を非常に若く選んでも三十五歳あるいは三十七歳。そういう形になりますと、教授が二十年間在職いたしますと、やめたときにはちょうど助教授は五十歳を超えておるわけでございます。
それから助手の人は、例えば三十五歳の助教授をつくったときに、大学院を出まして二十七歳、あるいは一年浪人して二十八歳、そういうようなところでございますので、そこら辺で助手になりまして、それから教授がやめ、助教授が五十数歳、自分はやっぱり五十歳近く、五十歳を超えるということになりかねませんので、一般には教授が一代いる間に助教授は二代ぐらいかわるあるいは三代かわる、それから助手はそれぞれ数代、数人がかわるという格好になっております。
そういう形で、事実上は一カ所にいたくてもいられないということが起こりますが、これは大学としてその人間の適性を考えて、その中から選別が行われるということでは現状ありませんので、御承知のごとく、教員の人事権は教授会の専決事項でございます。教授会において審議をいたしましてそこで決定をいたしますが、実質的には各学科の専門家集団による決定でございまして、それを教授会としてはボーティングにかける、投票するという手続をいたします。
そういう点で、一般にうまくやっているところも多いわけでありますが、間々、教授の私的な判断あるいは少数集団による判断、これが間違うこともあるわけでございます。ハーバードといえども、ある助教授を選任するときにこれに反対でございまして、それが後にイギリスに帰ってノーベル賞をもらった例がございまして、いまだにハーバードでしまった、しまったと言っているのは有名な話でありますが、間違うこともあるわけであります。いずれにしましても、パブリックに本人も納得できる、そういった国際的な基準に従う、あるいは国内的な基準でもようございますが、専門家集団における専門家集団による専門性の判断、これが大学の自治権の尤たるものでございます。
そういう点で、教授会に専決事項が与えられておりますが、これがプライベート化する、ローカライズする、局所化することを避けなければならないわけでありますが、現在はやはり流動性を高めるためにいろいろやりますが、えてしてうまくいかない場合も多うございます。特に、これが大学の方針に従って採用し得る教員の任期制ということになりますと、これが施行された暁にはいわゆる大学人社会に対するパブリックな、公的な意味での流動性を支える任期制が定着をすることになります。
そういうことによって大学としては、若い人は若いときに研究のトライアルをやる、試行をやる。そういうところで実力を発揮して、それを学科のみではなくて大学学部あるいは大学全体の評価、こういったものにたえ得る、それをパスしたと、そういうことによって本人がそこに昇任の機会を得るなり、あるいはその機会が得られない場合にはしかるべく、それまで得られた知識、能力がございますから、その人に向いた職員ポストに、他大学あるいはいろいろの高等教育機関ございますので、そういうところに行ってもう一回磨き直す、そういった機会になると存じます。
特に私は、例えば現在私どもの方では助手に任期制をしいておりますが、任期制をしくことによって助手の方たちが、若い方たちが自分の能力を研究の成果によって問う、あるいは教育の成果によって問う、そういう機会を公的に大学として認めるということに相なります。これは大変大事なことであろうかと存じます。これがしかれた暁には、対象たる教員には研究あるいは教育に対する権利を当然大学としては保障する義務を生じますし、評価を公平にする、評価の公平性を高めるために大学として評価基準を教育研究において明らかにする必要がございます。明らかにする義務と権利を発生するという点で重要な意味を持っておると考えておるところでございます。
施行に関していろいろ不測のことも起こるかもしれませんが、世界の趨勢は、特に私ども理工系におきましては、例えば研究業績の評価基準は国際的にはっきりしております。日本の中で通用する、あるいは自分の大学の中だけで通用するというものではございませんので、そういう点で国際的な評価基準、これを大学の中に明らかに持ち込むことによって、それをクリアする、カバーする、ある時期において大いに実力を発揮する必要があると思います。
いろいろ申し上げましたけれども、時間が限られておりますので、私の意見は以上にいたしたいと存じます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →大学の教員等の任期に関する法律案に私は積極的に賛成するものでございます。
その理由はいろいろございますが、私、大学を卒業いたしましてから東京工業大学の教授になるまでに三つの大学を経験いたしました。その後二十数年間教職にあります間に、世界の研究先進国ほとんどに滞在をいたしました。つぶさに日本の研究のあり方と世界のあり方との違いを見聞いたしました。そういった経験を踏まえまして、日本の大学の活性化のためには教員の流動性を飛躍的に向上させる必要があるとかねがね考えておったところでございます。
幸い、御紹介いただきましたように、新設の北陸先端科学技術大学院大学のただいま運営の責任をとらせていただいておりますが、これの創設の準備に私は主査といたしまして関係いたしました。
その際に、先端科学技術分野に置かれる大学院レベルの大学におきましては、研究・教育の活性化は大学院レベルでなければならないということと、現在の科学技術における国際競争力の激しい中におきまして、日本の科学技術に対する基礎研究部門の中核としての実力を維持するためには、絶えず大学をそのレベルにもっておかなきゃならない、これは至上命令であると考えておりましたし、そのためには教員の流動化は欠かせない、そういうことでございまして、北陸先端科学技術大学院大学並びに奈良、二校ございますが、この両方の設立の趣旨は、国会の御審議をいただいて通過したわけでございますが、教員の流動化を確保すること、これは明文化してございます。そういうことでございまして、流動化は活性化に対して欠くべからざるものであると考えているところでございます。
この任期制の導入が流動化に対して大変有効であるという考え方でございまして、これは私的にかねがね京都大学の基礎研究所あるいは名古屋大学に一時ありました、最近は変わっていると思いますが、物理学教室においてあるいは東大の物性研究所において試行あるいは実施されつつあるところでございます。しかしながら、すべて紳士協定に基づくものでございます。私も北陸でもって現在助手諸公に対しては任期制を導入したところでございます。助教授、教授に関しましては、法律の制定のこの時期を経ました後でしかるべく考えたい、そういうふうに思っておるところでございます。
私的な紳士協定でやるならばどういうことが起こるか。非常にスムーズにいっているように見える場合もございますが、大学の全体の感じといたしましては、あくまでも紳士協定でございまして、事実、私が勤務しました某大学におきまして、ある助手の人がポストがありませんで、それに対して仕方がありませんので教授の人は無理してポストをほかの方から二年間だけ借りてきたんですが、その二年間でいいかということで本人も納得ずくで就任したんですけれども、二年後には案の定組合に駆け込みまして、法律違反であるということで大変教授あるいは貸した方の学科も困ったという事例を私は実際に見聞しております。
さて、法律的制定を得ますならば、これはパブリックになる。そういう点で、今までプライベートに私的に行われたものがパブリックになるということでございまして、この効果は例えば、御承知のように教授は現在、東大、東工大が六十歳定年、ほかの国立大学は六十三歳あるいは六十五歳という定年制をしいております。そういたしますと、例えば四十五歳で教授になりますと二十年間教授職を在職するわけでございまして、四十五歳の教授ができたときに助教授を非常に若く選んでも三十五歳あるいは三十七歳。そういう形になりますと、教授が二十年間在職いたしますと、やめたときにはちょうど助教授は五十歳を超えておるわけでございます。
それから助手の人は、例えば三十五歳の助教授をつくったときに、大学院を出まして二十七歳、あるいは一年浪人して二十八歳、そういうようなところでございますので、そこら辺で助手になりまして、それから教授がやめ、助教授が五十数歳、自分はやっぱり五十歳近く、五十歳を超えるということになりかねませんので、一般には教授が一代いる間に助教授は二代ぐらいかわるあるいは三代かわる、それから助手はそれぞれ数代、数人がかわるという格好になっております。
そういう形で、事実上は一カ所にいたくてもいられないということが起こりますが、これは大学としてその人間の適性を考えて、その中から選別が行われるということでは現状ありませんので、御承知のごとく、教員の人事権は教授会の専決事項でございます。教授会において審議をいたしましてそこで決定をいたしますが、実質的には各学科の専門家集団による決定でございまして、それを教授会としてはボーティングにかける、投票するという手続をいたします。
そういう点で、一般にうまくやっているところも多いわけでありますが、間々、教授の私的な判断あるいは少数集団による判断、これが間違うこともあるわけでございます。ハーバードといえども、ある助教授を選任するときにこれに反対でございまして、それが後にイギリスに帰ってノーベル賞をもらった例がございまして、いまだにハーバードでしまった、しまったと言っているのは有名な話でありますが、間違うこともあるわけであります。いずれにしましても、パブリックに本人も納得できる、そういった国際的な基準に従う、あるいは国内的な基準でもようございますが、専門家集団における専門家集団による専門性の判断、これが大学の自治権の尤たるものでございます。
そういう点で、教授会に専決事項が与えられておりますが、これがプライベート化する、ローカライズする、局所化することを避けなければならないわけでありますが、現在はやはり流動性を高めるためにいろいろやりますが、えてしてうまくいかない場合も多うございます。特に、これが大学の方針に従って採用し得る教員の任期制ということになりますと、これが施行された暁にはいわゆる大学人社会に対するパブリックな、公的な意味での流動性を支える任期制が定着をすることになります。
そういうことによって大学としては、若い人は若いときに研究のトライアルをやる、試行をやる。そういうところで実力を発揮して、それを学科のみではなくて大学学部あるいは大学全体の評価、こういったものにたえ得る、それをパスしたと、そういうことによって本人がそこに昇任の機会を得るなり、あるいはその機会が得られない場合にはしかるべく、それまで得られた知識、能力がございますから、その人に向いた職員ポストに、他大学あるいはいろいろの高等教育機関ございますので、そういうところに行ってもう一回磨き直す、そういった機会になると存じます。
特に私は、例えば現在私どもの方では助手に任期制をしいておりますが、任期制をしくことによって助手の方たちが、若い方たちが自分の能力を研究の成果によって問う、あるいは教育の成果によって問う、そういう機会を公的に大学として認めるということに相なります。これは大変大事なことであろうかと存じます。これがしかれた暁には、対象たる教員には研究あるいは教育に対する権利を当然大学としては保障する義務を生じますし、評価を公平にする、評価の公平性を高めるために大学として評価基準を教育研究において明らかにする必要がございます。明らかにする義務と権利を発生するという点で重要な意味を持っておると考えておるところでございます。
施行に関していろいろ不測のことも起こるかもしれませんが、世界の趨勢は、特に私ども理工系におきましては、例えば研究業績の評価基準は国際的にはっきりしております。日本の中で通用する、あるいは自分の大学の中だけで通用するというものではございませんので、そういう点で国際的な評価基準、これを大学の中に明らかに持ち込むことによって、それをクリアする、カバーする、ある時期において大いに実力を発揮する必要があると思います。
いろいろ申し上げましたけれども、時間が限られておりますので、私の意見は以上にいたしたいと存じます。ありがとうございました。
清
有
有本章#4
○参考人(有本章君) きょうは参考人としてお招きいただきまして、ありがとうございます。
私は、任期制法案は、大学システムや組織の活性化を意図している点を評価いたしまして、法案には基本的には賛成でございます、問題点もございますけれども。そういった観点から申し述べさせていただきたいと思います。
三十年前に、一九六九年ですが、大学教授のキャリアに関する国際比較研究というものを社会学会に報告したことがございますけれども、それからこの間、大学のシステムや組織、人事制度に関して改革を提案してまいりました。しかし、今回の法案は、そういったシステムや組織、人事制度の限界を打開していくというような側面から非常に可能性を持っておるのではないかということでございます。何点か理由はございますけれども、そういったことを少し述べさせていただこうと思います。
まず一つは、任期制法案は縦型組織を横型組織にするという可能性があるのではないかというふうに思っております。伝統的な大学組織に風穴をあけまして流動化、活性化を促していく、そして多様な人材の交流を図っていくということによって学問的生産、これは研究生産性、教育生産性といったようなものがありますが、そういう学問の発展を図っていくというところにこの法案の契機を見出すことができるのではないかというふうに思っております。
日本の場合は、大学組織の閉鎖的構造については既にOECDの調査団とか内外の学者によって指摘をされてきておるわけでございます。社会とワンセット化した大学の終身雇用・年功序列制、これが我々のタームで言いますと競争異動よりも庇護異動型であったというふうになろうかと思います。つまり、十八歳で選抜をしました人材をできるだけ純粋培養しまして、三十歳前後で講師にいたしますと、三、四十年間はところてん式に定年まで庇護されるという構造でございます。
その結果、ピラミッドの上位校から人材をできるだけ確保していきまして、その結果いわゆる系列校、学歴主義、学閥、インブリーディング、たらい回し人事といったようなものが優勢になる傾向が見られます。これは大学版の学歴社会でございまして、世界的に見ましてやはり閉鎖的な構造を持っておったのではないかということでございます。
二番目に、日本の大学は現在、欧米のモデルをキャッチアップする構造から独自のリーダーシップを発揮するという構造に変えていく時期に来ていると思います。つまり、世界的に見て通用性や互換性を持ったそういう組織、人事制度もそうでございますが、といったものにしていかないといけない段階に来ておるわけでございます。
明治以来の百年間は、先進国の大学のモデルを移植して、それを日本の中で加工したり応用したりしていくという、基本的にはそういう構造を持っておったわけでございます。こういうキャッチアップ型の構造というのは歴史的な成果、使命というものを果たしてきたわけでございますが、現在はさらに学問の世界で国際的な競争も激しくなってまいっておるわけでございまして、そこを突破していくような、世界に通用するような組織、構造にしていかなければいけないということでございます。
お手元に資料をお配りしておりますが、資料一ページに、エポニミーという観点から世界の学問中心地の移動を調べております。従来のフランス、イギリス、ドイツから、二十世紀には学問中心地がアメリカに移ってまいっております。現在、日本の大学では、理工系や医学系を中心にしまして世界的にトップレベルに到達をいたしておるわけでございます。そういう意味では百年間のキャッチアップ型の構造というのは非常に効果を持ったということが言えると思うんです。しかし、科学引用索引、サイエンス・サイテーション・インデックスといったようなものを使って国際的に学者の学問的生産性を調べる、そういう研究などを参考にしますと、現在まだ日本は中心地をきわめるというところまで行っていない。ノーベル賞受賞者等もまだ少ないという現状がございます。ピークのところを上げていくと同時に、底上げをしていくという課題があるわけでございます。
やはり大学は学問をするところでございますので、組織の中心は人、物、金、情報でございますが、特に人が重要でございます。そういう意味で、今回の任期制というのは人の流れというものを非常に重視していく、人事の流動化を図っていくということでございまして、先ほどから申しておりますような、日本のシステムや組織の底上げをしていくということの根幹をなすというふうに考えられると思います。
三番目に、学問の論理に対応したような組織を構築していくという必要性がございます。これは法案の中でもうたっておりますが、先端的、学際的、総合的な学問領域、これは学問のフロンティアでございますが、ここに対応して創造的な学者や研究というものが要請される段階に参っております。
先ほどから申している日本のシステムの中心にあったのは講座制でございます。これは明治二十六年に昔の帝国大学に入れられたわけでございますが、その当時は学者が大学へ居つかないという傾向があったわけです。これをできるだけ確保して日本の学問を発展させるためにつくったわけでございます。これがかなり現在まで大きな大学では中心になってきた制度でございます。
しかし、その制度というのはやはり限界がございまして、三十歳前後で講師等を任用して、将来性にかけてやるわけですけれども、その人が必ずしも能力を発揮するとは限らないということが起こってくるわけです。定年まで三、四十年間、仮に生産性を上げない、非常に言葉は悪いですが無能であった場合には、その学問領域の発展が思わしくない、あるいは後継者養成が思わしくないというようなことも起こってくるわけでございます。
任期制というのはそれを五年程度、分野によっては、人文・社会科学系は十年程度でもいいと思うんですが、五年程度でそういうリスクを抑えていくという意味も持っているわけでございます。欧米のシステムというのは、若いときには任期制を設けて年をとってテニュアにしていくというふうにしておるのは、そういう観点からやっておるというふうに考えられるわけでございます。
四番目に、学問中心地をきわめました欧米のシステムにちょっと目を向けてみますと、全体的に終身雇用制、年功序列制の人事システムをとっておりません。そういう点で共通性がございます。任期制の原理によりまして、試補制度やテニュア制度といったものをしいております。それから、不偏主義の原理によりまして、庇護異動、特殊主義、身内主義、縁故主義、インブリーディング、こういったものをできるだけ抑制するようにしております。それから、競争主義の原理によりまして、業績の実績をもって評価をしていく。大体四十歳前後になってテニュアを与える、終身在職権を与えるというような構造にしておるわけでございます。
そういったようなシステムの特徴をデータ的に見てみますと、カーネギー財団の大学教授職の国際比較研究というものが最近発表されました。それの結果をちょっと参考にさせていただきますが、資料の二ページに書いておりますように、これは世界十四カ国、香港が入っておりますが、一応十四カ国の二万人の学者に対して調査をやったもので、世界最初の大規模なものでございます。
この調査の結果は、詳細は申し上げられませんが、三ページにありますように、性別では七六%が男性、平均年齢では四十五歳といったような特徴が見られますし、それから在籍した高等教育機関の数で見てみますと、大学や専門分野によって違いがある、国によって違いがある。こういうふうに大学教授の世界というのは非常に多様でございます。多様であるということを特徴にしております。それから雇用形態も国によってかなり違いがございます。南米では非常勤型が多くなっておるというようなこともございます。興味がございますのは、資料四、四ページでございますが、大学教員というのは大学に対してよりも自分の学問である専門分野に対して忠誠心が高いということでございます。こういう特徴を持っておるのが大学教授でございます。
問題は、資料五にありますように、世界平均〇・八回大学を移動しております。日本の教員は〇・五二回でございます。生涯では世界平均が一・六三であるのに対して日本は〇・七八でございます。つまり、欧米の国では大体二回程度大学をかわっておるわけでございますが、日本は一回就職をしますとその大学から動かないという傾向があるわけでございます。先ほどの終身雇用型でございます。こういった特徴が先ほどの任期制的なシステムを入れているところとそうでないところの違いとしてあらわれてきておるということでございます。つまり、日本では大学教員の大事に関しては流動性が乏しいという構造を呈しております。その辺を今度の法案では変えていくというところに特徴があろうかと思います。
今メリットの側面から申し上げましたけれども、問題点も多少ございますのでその辺を少し申し上げますと、まず一つは、大学教員というのは、流動性に関しては総論は賛成ですが、各論ではやや消極的でございます。資料六は、ちょっと古いですが、日本の理工系教員を対象にした全国調査でございます。これで見てみますと、流動化には大学教員はおおむね賛成をしておるんですけれども、専門分野によってはかなり否定的な側面もございます。医学系が一番流動化には賛成ですし抵抗が余りないということがございますが、分野によって三〇から五〇%程度が任期制に賛成で、問題点もいろいろあると。資料六のところ、六ページのところにありますような、弊害としては、細かな研究になってしまうとか、そういうような点が指摘をされておるわけでございます。
それから二番目には、任期制というのはどうも研究重視になる傾向があるということです。教育を軽視してしまう傾向が起こるんではないかという危惧がございます。研究の方は比較的評価方法が確立されております。ですから、任期制を五年とか十年というふうに入れていきますと、短期間の間に実績の上がる研究評価が中心になっていく傾向がある、教育の方は等閑に付されるという問題が起こってくるんではないかということでございます。
これから日本の大学で大事なのは、研究も非常に大事なんですが、高等教育が大衆化をしてきておりますので、教育をどういうふうにしていくかということが非常に大事なわけですね。そういうときに教育の方へ力を入れないということになってきますと、これは非常に大きな問題が出てくるわけでございまして、この点は考慮しないといけない。だから、任期制を入れると同時に、評価のやり方を研究一辺倒でやらないで、教育とかサービスとか管理運営とか、こういったようなものを考慮しながら考えていくということが非常に重要になってくるわけでございます。
それから三番目に、持てる大学等がだんだん強くなって、持たざる大学や持たざる教員が弱くなっていくようなマタイ効果が起こるんではないかなということがございます。ですから、これも先ほどの評価方式を一元的なモデルにしないで多様なモデルにして、考えていくということによって改善を図っていかないといけないということではないかと思います。
それから四番目に、それと関連しますが、画一的な任期制の実施は問題があるわけでございます。選択的任期制ということを法案ではうたっておりますが、これは私は賛成でございまして、できるだけ柔軟にソフトランディングをしていくということが少なくとも当面は大事なんではないかなと思います。専門分野、セクション、セクターによって大学人の世界というのは非常に多様性を持っている、先ほど申しましたような構造を持っておりますので、これを無視していくということはできないということでございます。それから、学問の自由ということを大学人は非常に大事にいたしますので、ここのところをきちっと担保してやっていくということが大事だろうと思います。そういったような問題点というものがあろうかと思います。
大体そういうようなことでございますので、一応結論的には、問題点はありますけれども、この日本の組織、システムを活性化していくという点で重要な法案であるし、基本的には賛成できるということでございます。
以上であります。
この発言だけを見る →私は、任期制法案は、大学システムや組織の活性化を意図している点を評価いたしまして、法案には基本的には賛成でございます、問題点もございますけれども。そういった観点から申し述べさせていただきたいと思います。
三十年前に、一九六九年ですが、大学教授のキャリアに関する国際比較研究というものを社会学会に報告したことがございますけれども、それからこの間、大学のシステムや組織、人事制度に関して改革を提案してまいりました。しかし、今回の法案は、そういったシステムや組織、人事制度の限界を打開していくというような側面から非常に可能性を持っておるのではないかということでございます。何点か理由はございますけれども、そういったことを少し述べさせていただこうと思います。
まず一つは、任期制法案は縦型組織を横型組織にするという可能性があるのではないかというふうに思っております。伝統的な大学組織に風穴をあけまして流動化、活性化を促していく、そして多様な人材の交流を図っていくということによって学問的生産、これは研究生産性、教育生産性といったようなものがありますが、そういう学問の発展を図っていくというところにこの法案の契機を見出すことができるのではないかというふうに思っております。
日本の場合は、大学組織の閉鎖的構造については既にOECDの調査団とか内外の学者によって指摘をされてきておるわけでございます。社会とワンセット化した大学の終身雇用・年功序列制、これが我々のタームで言いますと競争異動よりも庇護異動型であったというふうになろうかと思います。つまり、十八歳で選抜をしました人材をできるだけ純粋培養しまして、三十歳前後で講師にいたしますと、三、四十年間はところてん式に定年まで庇護されるという構造でございます。
その結果、ピラミッドの上位校から人材をできるだけ確保していきまして、その結果いわゆる系列校、学歴主義、学閥、インブリーディング、たらい回し人事といったようなものが優勢になる傾向が見られます。これは大学版の学歴社会でございまして、世界的に見ましてやはり閉鎖的な構造を持っておったのではないかということでございます。
二番目に、日本の大学は現在、欧米のモデルをキャッチアップする構造から独自のリーダーシップを発揮するという構造に変えていく時期に来ていると思います。つまり、世界的に見て通用性や互換性を持ったそういう組織、人事制度もそうでございますが、といったものにしていかないといけない段階に来ておるわけでございます。
明治以来の百年間は、先進国の大学のモデルを移植して、それを日本の中で加工したり応用したりしていくという、基本的にはそういう構造を持っておったわけでございます。こういうキャッチアップ型の構造というのは歴史的な成果、使命というものを果たしてきたわけでございますが、現在はさらに学問の世界で国際的な競争も激しくなってまいっておるわけでございまして、そこを突破していくような、世界に通用するような組織、構造にしていかなければいけないということでございます。
お手元に資料をお配りしておりますが、資料一ページに、エポニミーという観点から世界の学問中心地の移動を調べております。従来のフランス、イギリス、ドイツから、二十世紀には学問中心地がアメリカに移ってまいっております。現在、日本の大学では、理工系や医学系を中心にしまして世界的にトップレベルに到達をいたしておるわけでございます。そういう意味では百年間のキャッチアップ型の構造というのは非常に効果を持ったということが言えると思うんです。しかし、科学引用索引、サイエンス・サイテーション・インデックスといったようなものを使って国際的に学者の学問的生産性を調べる、そういう研究などを参考にしますと、現在まだ日本は中心地をきわめるというところまで行っていない。ノーベル賞受賞者等もまだ少ないという現状がございます。ピークのところを上げていくと同時に、底上げをしていくという課題があるわけでございます。
やはり大学は学問をするところでございますので、組織の中心は人、物、金、情報でございますが、特に人が重要でございます。そういう意味で、今回の任期制というのは人の流れというものを非常に重視していく、人事の流動化を図っていくということでございまして、先ほどから申しておりますような、日本のシステムや組織の底上げをしていくということの根幹をなすというふうに考えられると思います。
三番目に、学問の論理に対応したような組織を構築していくという必要性がございます。これは法案の中でもうたっておりますが、先端的、学際的、総合的な学問領域、これは学問のフロンティアでございますが、ここに対応して創造的な学者や研究というものが要請される段階に参っております。
先ほどから申している日本のシステムの中心にあったのは講座制でございます。これは明治二十六年に昔の帝国大学に入れられたわけでございますが、その当時は学者が大学へ居つかないという傾向があったわけです。これをできるだけ確保して日本の学問を発展させるためにつくったわけでございます。これがかなり現在まで大きな大学では中心になってきた制度でございます。
しかし、その制度というのはやはり限界がございまして、三十歳前後で講師等を任用して、将来性にかけてやるわけですけれども、その人が必ずしも能力を発揮するとは限らないということが起こってくるわけです。定年まで三、四十年間、仮に生産性を上げない、非常に言葉は悪いですが無能であった場合には、その学問領域の発展が思わしくない、あるいは後継者養成が思わしくないというようなことも起こってくるわけでございます。
任期制というのはそれを五年程度、分野によっては、人文・社会科学系は十年程度でもいいと思うんですが、五年程度でそういうリスクを抑えていくという意味も持っているわけでございます。欧米のシステムというのは、若いときには任期制を設けて年をとってテニュアにしていくというふうにしておるのは、そういう観点からやっておるというふうに考えられるわけでございます。
四番目に、学問中心地をきわめました欧米のシステムにちょっと目を向けてみますと、全体的に終身雇用制、年功序列制の人事システムをとっておりません。そういう点で共通性がございます。任期制の原理によりまして、試補制度やテニュア制度といったものをしいております。それから、不偏主義の原理によりまして、庇護異動、特殊主義、身内主義、縁故主義、インブリーディング、こういったものをできるだけ抑制するようにしております。それから、競争主義の原理によりまして、業績の実績をもって評価をしていく。大体四十歳前後になってテニュアを与える、終身在職権を与えるというような構造にしておるわけでございます。
そういったようなシステムの特徴をデータ的に見てみますと、カーネギー財団の大学教授職の国際比較研究というものが最近発表されました。それの結果をちょっと参考にさせていただきますが、資料の二ページに書いておりますように、これは世界十四カ国、香港が入っておりますが、一応十四カ国の二万人の学者に対して調査をやったもので、世界最初の大規模なものでございます。
この調査の結果は、詳細は申し上げられませんが、三ページにありますように、性別では七六%が男性、平均年齢では四十五歳といったような特徴が見られますし、それから在籍した高等教育機関の数で見てみますと、大学や専門分野によって違いがある、国によって違いがある。こういうふうに大学教授の世界というのは非常に多様でございます。多様であるということを特徴にしております。それから雇用形態も国によってかなり違いがございます。南米では非常勤型が多くなっておるというようなこともございます。興味がございますのは、資料四、四ページでございますが、大学教員というのは大学に対してよりも自分の学問である専門分野に対して忠誠心が高いということでございます。こういう特徴を持っておるのが大学教授でございます。
問題は、資料五にありますように、世界平均〇・八回大学を移動しております。日本の教員は〇・五二回でございます。生涯では世界平均が一・六三であるのに対して日本は〇・七八でございます。つまり、欧米の国では大体二回程度大学をかわっておるわけでございますが、日本は一回就職をしますとその大学から動かないという傾向があるわけでございます。先ほどの終身雇用型でございます。こういった特徴が先ほどの任期制的なシステムを入れているところとそうでないところの違いとしてあらわれてきておるということでございます。つまり、日本では大学教員の大事に関しては流動性が乏しいという構造を呈しております。その辺を今度の法案では変えていくというところに特徴があろうかと思います。
今メリットの側面から申し上げましたけれども、問題点も多少ございますのでその辺を少し申し上げますと、まず一つは、大学教員というのは、流動性に関しては総論は賛成ですが、各論ではやや消極的でございます。資料六は、ちょっと古いですが、日本の理工系教員を対象にした全国調査でございます。これで見てみますと、流動化には大学教員はおおむね賛成をしておるんですけれども、専門分野によってはかなり否定的な側面もございます。医学系が一番流動化には賛成ですし抵抗が余りないということがございますが、分野によって三〇から五〇%程度が任期制に賛成で、問題点もいろいろあると。資料六のところ、六ページのところにありますような、弊害としては、細かな研究になってしまうとか、そういうような点が指摘をされておるわけでございます。
それから二番目には、任期制というのはどうも研究重視になる傾向があるということです。教育を軽視してしまう傾向が起こるんではないかという危惧がございます。研究の方は比較的評価方法が確立されております。ですから、任期制を五年とか十年というふうに入れていきますと、短期間の間に実績の上がる研究評価が中心になっていく傾向がある、教育の方は等閑に付されるという問題が起こってくるんではないかということでございます。
これから日本の大学で大事なのは、研究も非常に大事なんですが、高等教育が大衆化をしてきておりますので、教育をどういうふうにしていくかということが非常に大事なわけですね。そういうときに教育の方へ力を入れないということになってきますと、これは非常に大きな問題が出てくるわけでございまして、この点は考慮しないといけない。だから、任期制を入れると同時に、評価のやり方を研究一辺倒でやらないで、教育とかサービスとか管理運営とか、こういったようなものを考慮しながら考えていくということが非常に重要になってくるわけでございます。
それから三番目に、持てる大学等がだんだん強くなって、持たざる大学や持たざる教員が弱くなっていくようなマタイ効果が起こるんではないかなということがございます。ですから、これも先ほどの評価方式を一元的なモデルにしないで多様なモデルにして、考えていくということによって改善を図っていかないといけないということではないかと思います。
それから四番目に、それと関連しますが、画一的な任期制の実施は問題があるわけでございます。選択的任期制ということを法案ではうたっておりますが、これは私は賛成でございまして、できるだけ柔軟にソフトランディングをしていくということが少なくとも当面は大事なんではないかなと思います。専門分野、セクション、セクターによって大学人の世界というのは非常に多様性を持っている、先ほど申しましたような構造を持っておりますので、これを無視していくということはできないということでございます。それから、学問の自由ということを大学人は非常に大事にいたしますので、ここのところをきちっと担保してやっていくということが大事だろうと思います。そういったような問題点というものがあろうかと思います。
大体そういうようなことでございますので、一応結論的には、問題点はありますけれども、この日本の組織、システムを活性化していくという点で重要な法案であるし、基本的には賛成できるということでございます。
以上であります。
清
沢
沢田昭二#6
○参考人(沢田昭二君) 私は二年前に名古屋大学を退職した者です。それまで物理学の研究をやっていました。きょうは、この委員会にお招きいただきまして、どうもありがとうございます。
この大学の教員等の任期に関する法律案の目的には、学問的交流とそれから教育研究の活性化ということがうたってあるわけですけれども、この任期制法案が通りますと、従来の民主的な研究者の間で自主的に行われていた、紳士協定で行われていた任期制とはかなり質が違っていまして、これが実施されますと我が国の研究や教育にとってレベルが低下するんではないかというふうに非常におそれております。それが我が国のいろんな産業とか経済の発展にはね返りまして、ずっと先になりますと、あのとき任期制を導入しなきやよかったということになるんではないかというふうに非常に心配しております。
どのように任期制が弊害を及ぼすかということについてお話しようと思うんですが、先ほどもちょっとお話がありましたが、これまでも幾つかの大学で紳士協定による任期制というのは経験があります。よく引き合いに出されるのは京都大学の基礎物理学研究所の例であります。この京都大学の基礎物理学研究所は一九五三年に発足したわけですが、全国で初めての共同利用研究所というわけです。その発足に当たっていろんな新しい試みをやりました。全国の理論物理学の研究者たちは、この京都大学の基礎物理学研究所というのは自分たちがそこで研究をしていくんだという、そういう意識でこの研究所を大事に思ってきました。
この研究所に研究部員会というのがあります。これは全国の研究者の中から選挙で選んで、この研究所でどういう研究会を開くか、どういうプログラムをつくるかということをそこで議論して、そして全国の研究者が一緒になって研究を発展させるという、そういう議論をする場であります。
私も広島大学の助手のときにこの研究部員会に選ばれまして、名古屋大学に移ってからもこの研究部員会で一緒に議論に参加いたしました。この部員会には湯川秀樹先生、朝永振一郎先生、坂田昌一先生というそうそうたる先生方も参加されて一緒に議論してきたわけです。そこでは、全国の研究のアクティビティーをどう上げていくか、それから、その研究所のアクティビティーをどう上げていくかということを一体のものとして議論してきました。この研究所の所員、スタッフは、自分の研究ももちろんやりますけれども、そういう全国の研究をサポートするという重要な役割も担ってこられました。その研究部員会では任期制についてもいろいろと議論をしてまいりました。
お手元にお配りしてある資料がありますが、これは、かつて東京大学の原子核研究所の所長を長く務められた、そして最近まで、国際的な基礎的及び応用的な物理学の組織、IUPAPというのがありますが、その会長をされていた山口嘉夫さんが一九八一年ごろに書かれたものです。
この「談話室」に書かれた山口さんの注のところを見ていただきますと、この京都大学基礎物理学研究所で任期制を定めたときの年齢構成が書いてあります。素粒子論グループの年齢構成は、四十代のところに湯川、朝永、坂田というような指導的な先生方がいらっしゃいまして、あとは全部二十代の若い研究者たち。そういう中で、特に若手の研究者はほとんどが独身でしたから、そういう研究者たちは任期制というのをやっていこうと。というのは、実はこの研究所のスタッフの教授、助教授、助手は湯川先生を除いたら全部二十代なわけです。そういう若い研究所でしたから、教授まで一律に任期をつけるということについては全く違和感がありませんでした。
しかし、指導的な先生方は意見が違っていました。それは、「任期があると、次の職を確保するため小さな仕事で論文を乱作する傾向を生じよう。それでは息の長い大きな仕事をするのに妨げとなろう。即ち、学問の一大山脈を形成することは出来なくなろう。それは、素粒子論という若い学問にとって由々しいことである。」という反論をされていました。しかし、先生方は反対だったんですけれども、大変度量が広くて、若い者がそういうことを言うんならひとつやってみたらということで、渋々でしたけれども任期制を黙認してくださいました。
こういうことがこの山口さんのものに書いてありますから、ぜひ読んでいただきたいというふうに思います。
三人の先生方はいずれも理論物理学の研究で大きな学問の流れを築かれた方々ばかりです。その先生方が御自身の体験も踏まえて任期制について懸念されていたということには大変大きな重みがあると思いますし、実際に先生方の予想どおり、この任期制というのは困難にぶつかってきました。
この基礎物理学研究所の任期制がそういう困難の中でもまあまあうまくいったというのは、渋々懸念され黙認されていた先生方が、任期の切れそうな基礎物理学研究所のスタッフの次の職を探してくださったということがあります。山口さんはこう書いていらっしゃいます。「言い出しっぺの昔の若者たちは内心忸怩たるものがある。近頃のように、ゼロ成長期で空きポストが少なくなれば、任期制をうまく機能させることはむずかしい。」と書いていらっしゃいます。指導的な先生方の努力もあったわけですけれども、この基礎物理学研究所の共同利用を支えてくださった任期のついた研究所のスタッフ、その方々の能力を生かせるようなポストを全国の研究者が協力して探しました。そして、それが見つかるまではその任期制というのを非常に柔軟に人間的に温かく見守ってやってきた、こういう経過があります。
私の所属していた名古屋大学の物理学教室でも、一時、人事交流を活発にしようという理想を掲げまして、一九六〇年代の理工系ブームで新しいポストがどんどんふえているような状況の中で任期制がスタートいたしました。七〇年代からは原則として全部のスタッフに任期をつけました。しかし、一九九二年にこの任期制は廃止になりました。
教員の間に任期のついた教員と任期のついていない教員という差別がありますと、任期のついた教員は再任拒否ということを恐れまして批判的な発言を控えるようになってしまいます。そうしますと、大学の研究や教育にとって最も大事な自由に相互批判するという雰囲気が失われて、アカデミックフリーダムが大学の内部から失われていくということになりました。
任期のついた教員には、研究に集中してもらわなきゃいけないということで教育負担を軽減するという配慮をしていました。しかし、学生がどんどんふえてきますと、それに見合った教員の方の増員がありませんから、セミナーとか演習、実習、実験などの少人数教育というのが非常に大事なわけで、それを重視しようとしますとスタッフの数が足りなくなります。こうして、任期がついている教員も結局そういう教育負担もやっていただくというふうになってしまいました。
理工系ブームが過ぎ去っていきますと、やがてこの任期制はうまくいかなくなりました。任期が切れそうになると周りの研究者が一生懸命協力して次のポストを探すんですけれども、その人にぴったりはまるようなポストというのはなかなか見つからないわけです。その研究者の研究・教育能力を発揮できるようなことがなかなかできない。この紳士協定の任期制も、任期がついたそういう研究者の精神的な負担というのはなかなか大変なものでした。したがって、研究にも身が入らないということになっていきました。
それから、任期がついている教員が次のポストを探すまで少し余裕を持って再任を認めるか、それとも任期を延長するかというような、そういう議論をしなきゃいけないんですが、全員のスタッフに任期をつけていますと、しょっちゅうそういう議論をしなきゃいけなくなって、次々に任期が切れたスタッフができますと物理的にそういう議論をすることが不可能になってきました。結局、弊害の方が大きいということで任期制度というのは廃止になってしまいました。
研究活動というのはその人によって千差万別で、一人一人状況が違っています。今申し上げましたように、研究の環境、社会的な環境などが欠けていますと、こういう任期制というのは研究の進展に沿った状況に合わせて幾ら柔軟な運用をやってもうまくいかないということが起こってきました。
今度の任期制法案による任期制というのはこうしたモラルによる任期制とは全く異質のものでありまして、かなり機械的で血も涙もないと言っていいんじゃないかと思うんですが、時間が来たら物理的に首になってしまうというものです。この任期制が制定されますと、さまざまな外的環境を考慮して紳士的に人間味を持って研究状況に合わせて運用できるような実質的な任期制がもし可能な状況が生まれたとしても、そうした試みを実際に行うというのはかえって難しくなるんじゃないかというふうに心配しております。
どうしても任期制というのをやっていかなきゃいけないということになるんでしたら、任期が切れてポストが見つからない研究者がその研究者にふさわしいポストを見つけるまで首をつないでその研究者の研究能力を生かすような、そういう別の定員枠をつけなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。せっかく大学院まで長い努力によって研究能力を鍛えて、そして難しい審査を経て教員になった有能な人材というのを使い捨てにするというのは、国にとっても損失ですし人類社会にとっても大きな損失だというふうに思います。
ゼロ成長で任期制がうまくいかなかったのは任期制が紳士協定だったからという、今度の法案のように法的拘束力を持たせて、任期が切れたら即首になるような任期制にすれば任期制はうまくいくんではないかという議論がありますけれども、私はこれはかなり乱暴な議論ではないかというふうに思います。これは研究とか教育の本当の発展を考えて、そして研究者の能力をどう発揮してもらうかという観点よりも、任期制という制度の方を自己目的にしているような考え方だというふうに思います。
坂田昌一先生は常々こうおっしゃっていました。人事交流のための制度というのは形式あるいは表面的に見える現象であって、人事交流というのも研究の発展という本質を背後に考えておかなきゃならないと常々おっしゃっていました。紳士協定の任期制でも、それを行う条件がないときには、任期制を厳格に守るということだけを優先させようとしますと研究や教育の発展にとって本末転倒になって、極めて深刻な害悪をもたらすことになってしまいます。それを法律でもって機械的に実現させようとすれば事態はもっと深刻になるのではないかというふうに心配しております。
ユネスコでは高等教育教員の地位に関する勧告を近く採択する予定になっていますが、その中でテニュア制度、つまり終身在職権というのはアカデミックフリーダムを保障するために必要不可欠であるというふうにしております。任期制というのはこうした世界の大勢にも逆行するものであると思います。
ここにこういうごつい本があるんですが、これはアメリカのブランダイス大学の物理学教授のシユウェーバーが書いた「量子電磁力学とそれをつくった人々」、ダイソン、ファイマン、シュビンガー、そして朝永という現代の最先端の力学理論の形成とそれに貢献した人々を科学の歴史としてまとめたすばらしい本であります。これは、シュウェーバーが一九七〇年代から構想を練りまして、そして資料を集め始めて二十年余りたった一九九四年に出版したものです。
この本の謝辞の中にこういうことが書いてあります。この仕事ができたことが、アメリカの大学のテニュア制度、つまり終身身分保障制度が正当であったということを証明していると信じますというふうに書いております。謝辞の中にこういうことを書くというのは非常に珍しいことじゃないかというふうに思います。
まさにこういう大河小説のようなすばらしい仕事というのはこうした息の長い努力の積み重ねでやっと可能になるということで、強制的で柔軟性のない、再任拒否が原則になるような法的任期制度ではこうした研究の芽を摘んでしまうのではないかというふうに恐れております。
この法案についてはマスコミは余り報道してくれていませんから、まだ大学教員の中でも具体的に法案の中身を十分検討しているとは言えません。それでも最近になって、任期制について研究や教育の現場で実際の経験を踏まえて多くの懸念が出始めております。
それで、ぜひお願いしたいと思うんですけれども、参議院の良識を発揮していただいて、この任期制法案というのが日本の未来の産業とか経済を含めて国民の未来をひょっとして台なしにするんじゃないかという心配をしておりますので、ぜひ廃案にしていただいて、これにかわって大学の研究や教育の本当の発展を図ってくださるようないろんな施策を実現してくださるようにお願いして、私の発言を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →この大学の教員等の任期に関する法律案の目的には、学問的交流とそれから教育研究の活性化ということがうたってあるわけですけれども、この任期制法案が通りますと、従来の民主的な研究者の間で自主的に行われていた、紳士協定で行われていた任期制とはかなり質が違っていまして、これが実施されますと我が国の研究や教育にとってレベルが低下するんではないかというふうに非常におそれております。それが我が国のいろんな産業とか経済の発展にはね返りまして、ずっと先になりますと、あのとき任期制を導入しなきやよかったということになるんではないかというふうに非常に心配しております。
どのように任期制が弊害を及ぼすかということについてお話しようと思うんですが、先ほどもちょっとお話がありましたが、これまでも幾つかの大学で紳士協定による任期制というのは経験があります。よく引き合いに出されるのは京都大学の基礎物理学研究所の例であります。この京都大学の基礎物理学研究所は一九五三年に発足したわけですが、全国で初めての共同利用研究所というわけです。その発足に当たっていろんな新しい試みをやりました。全国の理論物理学の研究者たちは、この京都大学の基礎物理学研究所というのは自分たちがそこで研究をしていくんだという、そういう意識でこの研究所を大事に思ってきました。
この研究所に研究部員会というのがあります。これは全国の研究者の中から選挙で選んで、この研究所でどういう研究会を開くか、どういうプログラムをつくるかということをそこで議論して、そして全国の研究者が一緒になって研究を発展させるという、そういう議論をする場であります。
私も広島大学の助手のときにこの研究部員会に選ばれまして、名古屋大学に移ってからもこの研究部員会で一緒に議論に参加いたしました。この部員会には湯川秀樹先生、朝永振一郎先生、坂田昌一先生というそうそうたる先生方も参加されて一緒に議論してきたわけです。そこでは、全国の研究のアクティビティーをどう上げていくか、それから、その研究所のアクティビティーをどう上げていくかということを一体のものとして議論してきました。この研究所の所員、スタッフは、自分の研究ももちろんやりますけれども、そういう全国の研究をサポートするという重要な役割も担ってこられました。その研究部員会では任期制についてもいろいろと議論をしてまいりました。
お手元にお配りしてある資料がありますが、これは、かつて東京大学の原子核研究所の所長を長く務められた、そして最近まで、国際的な基礎的及び応用的な物理学の組織、IUPAPというのがありますが、その会長をされていた山口嘉夫さんが一九八一年ごろに書かれたものです。
この「談話室」に書かれた山口さんの注のところを見ていただきますと、この京都大学基礎物理学研究所で任期制を定めたときの年齢構成が書いてあります。素粒子論グループの年齢構成は、四十代のところに湯川、朝永、坂田というような指導的な先生方がいらっしゃいまして、あとは全部二十代の若い研究者たち。そういう中で、特に若手の研究者はほとんどが独身でしたから、そういう研究者たちは任期制というのをやっていこうと。というのは、実はこの研究所のスタッフの教授、助教授、助手は湯川先生を除いたら全部二十代なわけです。そういう若い研究所でしたから、教授まで一律に任期をつけるということについては全く違和感がありませんでした。
しかし、指導的な先生方は意見が違っていました。それは、「任期があると、次の職を確保するため小さな仕事で論文を乱作する傾向を生じよう。それでは息の長い大きな仕事をするのに妨げとなろう。即ち、学問の一大山脈を形成することは出来なくなろう。それは、素粒子論という若い学問にとって由々しいことである。」という反論をされていました。しかし、先生方は反対だったんですけれども、大変度量が広くて、若い者がそういうことを言うんならひとつやってみたらということで、渋々でしたけれども任期制を黙認してくださいました。
こういうことがこの山口さんのものに書いてありますから、ぜひ読んでいただきたいというふうに思います。
三人の先生方はいずれも理論物理学の研究で大きな学問の流れを築かれた方々ばかりです。その先生方が御自身の体験も踏まえて任期制について懸念されていたということには大変大きな重みがあると思いますし、実際に先生方の予想どおり、この任期制というのは困難にぶつかってきました。
この基礎物理学研究所の任期制がそういう困難の中でもまあまあうまくいったというのは、渋々懸念され黙認されていた先生方が、任期の切れそうな基礎物理学研究所のスタッフの次の職を探してくださったということがあります。山口さんはこう書いていらっしゃいます。「言い出しっぺの昔の若者たちは内心忸怩たるものがある。近頃のように、ゼロ成長期で空きポストが少なくなれば、任期制をうまく機能させることはむずかしい。」と書いていらっしゃいます。指導的な先生方の努力もあったわけですけれども、この基礎物理学研究所の共同利用を支えてくださった任期のついた研究所のスタッフ、その方々の能力を生かせるようなポストを全国の研究者が協力して探しました。そして、それが見つかるまではその任期制というのを非常に柔軟に人間的に温かく見守ってやってきた、こういう経過があります。
私の所属していた名古屋大学の物理学教室でも、一時、人事交流を活発にしようという理想を掲げまして、一九六〇年代の理工系ブームで新しいポストがどんどんふえているような状況の中で任期制がスタートいたしました。七〇年代からは原則として全部のスタッフに任期をつけました。しかし、一九九二年にこの任期制は廃止になりました。
教員の間に任期のついた教員と任期のついていない教員という差別がありますと、任期のついた教員は再任拒否ということを恐れまして批判的な発言を控えるようになってしまいます。そうしますと、大学の研究や教育にとって最も大事な自由に相互批判するという雰囲気が失われて、アカデミックフリーダムが大学の内部から失われていくということになりました。
任期のついた教員には、研究に集中してもらわなきゃいけないということで教育負担を軽減するという配慮をしていました。しかし、学生がどんどんふえてきますと、それに見合った教員の方の増員がありませんから、セミナーとか演習、実習、実験などの少人数教育というのが非常に大事なわけで、それを重視しようとしますとスタッフの数が足りなくなります。こうして、任期がついている教員も結局そういう教育負担もやっていただくというふうになってしまいました。
理工系ブームが過ぎ去っていきますと、やがてこの任期制はうまくいかなくなりました。任期が切れそうになると周りの研究者が一生懸命協力して次のポストを探すんですけれども、その人にぴったりはまるようなポストというのはなかなか見つからないわけです。その研究者の研究・教育能力を発揮できるようなことがなかなかできない。この紳士協定の任期制も、任期がついたそういう研究者の精神的な負担というのはなかなか大変なものでした。したがって、研究にも身が入らないということになっていきました。
それから、任期がついている教員が次のポストを探すまで少し余裕を持って再任を認めるか、それとも任期を延長するかというような、そういう議論をしなきゃいけないんですが、全員のスタッフに任期をつけていますと、しょっちゅうそういう議論をしなきゃいけなくなって、次々に任期が切れたスタッフができますと物理的にそういう議論をすることが不可能になってきました。結局、弊害の方が大きいということで任期制度というのは廃止になってしまいました。
研究活動というのはその人によって千差万別で、一人一人状況が違っています。今申し上げましたように、研究の環境、社会的な環境などが欠けていますと、こういう任期制というのは研究の進展に沿った状況に合わせて幾ら柔軟な運用をやってもうまくいかないということが起こってきました。
今度の任期制法案による任期制というのはこうしたモラルによる任期制とは全く異質のものでありまして、かなり機械的で血も涙もないと言っていいんじゃないかと思うんですが、時間が来たら物理的に首になってしまうというものです。この任期制が制定されますと、さまざまな外的環境を考慮して紳士的に人間味を持って研究状況に合わせて運用できるような実質的な任期制がもし可能な状況が生まれたとしても、そうした試みを実際に行うというのはかえって難しくなるんじゃないかというふうに心配しております。
どうしても任期制というのをやっていかなきゃいけないということになるんでしたら、任期が切れてポストが見つからない研究者がその研究者にふさわしいポストを見つけるまで首をつないでその研究者の研究能力を生かすような、そういう別の定員枠をつけなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。せっかく大学院まで長い努力によって研究能力を鍛えて、そして難しい審査を経て教員になった有能な人材というのを使い捨てにするというのは、国にとっても損失ですし人類社会にとっても大きな損失だというふうに思います。
ゼロ成長で任期制がうまくいかなかったのは任期制が紳士協定だったからという、今度の法案のように法的拘束力を持たせて、任期が切れたら即首になるような任期制にすれば任期制はうまくいくんではないかという議論がありますけれども、私はこれはかなり乱暴な議論ではないかというふうに思います。これは研究とか教育の本当の発展を考えて、そして研究者の能力をどう発揮してもらうかという観点よりも、任期制という制度の方を自己目的にしているような考え方だというふうに思います。
坂田昌一先生は常々こうおっしゃっていました。人事交流のための制度というのは形式あるいは表面的に見える現象であって、人事交流というのも研究の発展という本質を背後に考えておかなきゃならないと常々おっしゃっていました。紳士協定の任期制でも、それを行う条件がないときには、任期制を厳格に守るということだけを優先させようとしますと研究や教育の発展にとって本末転倒になって、極めて深刻な害悪をもたらすことになってしまいます。それを法律でもって機械的に実現させようとすれば事態はもっと深刻になるのではないかというふうに心配しております。
ユネスコでは高等教育教員の地位に関する勧告を近く採択する予定になっていますが、その中でテニュア制度、つまり終身在職権というのはアカデミックフリーダムを保障するために必要不可欠であるというふうにしております。任期制というのはこうした世界の大勢にも逆行するものであると思います。
ここにこういうごつい本があるんですが、これはアメリカのブランダイス大学の物理学教授のシユウェーバーが書いた「量子電磁力学とそれをつくった人々」、ダイソン、ファイマン、シュビンガー、そして朝永という現代の最先端の力学理論の形成とそれに貢献した人々を科学の歴史としてまとめたすばらしい本であります。これは、シュウェーバーが一九七〇年代から構想を練りまして、そして資料を集め始めて二十年余りたった一九九四年に出版したものです。
この本の謝辞の中にこういうことが書いてあります。この仕事ができたことが、アメリカの大学のテニュア制度、つまり終身身分保障制度が正当であったということを証明していると信じますというふうに書いております。謝辞の中にこういうことを書くというのは非常に珍しいことじゃないかというふうに思います。
まさにこういう大河小説のようなすばらしい仕事というのはこうした息の長い努力の積み重ねでやっと可能になるということで、強制的で柔軟性のない、再任拒否が原則になるような法的任期制度ではこうした研究の芽を摘んでしまうのではないかというふうに恐れております。
この法案についてはマスコミは余り報道してくれていませんから、まだ大学教員の中でも具体的に法案の中身を十分検討しているとは言えません。それでも最近になって、任期制について研究や教育の現場で実際の経験を踏まえて多くの懸念が出始めております。
それで、ぜひお願いしたいと思うんですけれども、参議院の良識を発揮していただいて、この任期制法案というのが日本の未来の産業とか経済を含めて国民の未来をひょっとして台なしにするんじゃないかという心配をしておりますので、ぜひ廃案にしていただいて、これにかわって大学の研究や教育の本当の発展を図ってくださるようないろんな施策を実現してくださるようにお願いして、私の発言を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
清
清水嘉与子#7
○委員長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
なお、参考人の皆様方にお願いを申し上げます。各委員の質疑時間が非常に限られておりますので、恐れ入りますけれども、お答えはできるだけ簡潔にお願いいたします。
それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
なお、参考人の皆様方にお願いを申し上げます。各委員の質疑時間が非常に限られておりますので、恐れ入りますけれども、お答えはできるだけ簡潔にお願いいたします。
それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
馳
馳浩#8
○馳浩君 自由民主党の馳浩と申します。
本日は、大変貴重な御意見をありがとうございました。
まず、慶伊参考人に御質問いたします。
紳士協定という形で任期制を採用されているということでありますが、私は本案に賛成の立場から、より多くの大学にこの任期制を採用していただく場合に、その基盤整備といいますか、国として必要な政策あるいは研究環境の整備などでどういったことをすればこの任期制を各大学が採用するようになるだろうかという御意見がありましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →本日は、大変貴重な御意見をありがとうございました。
まず、慶伊参考人に御質問いたします。
紳士協定という形で任期制を採用されているということでありますが、私は本案に賛成の立場から、より多くの大学にこの任期制を採用していただく場合に、その基盤整備といいますか、国として必要な政策あるいは研究環境の整備などでどういったことをすればこの任期制を各大学が採用するようになるだろうかという御意見がありましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
慶
慶伊富長#9
○参考人(慶伊富長君) お答え申し上げます。
大学にはそれぞれ目的がございます。教育を主とするところ、研究を主とするところ、いろいろございますが、その目的に応じて任期制をしく場合には評価されるべきであると存じます。したがって、その場合には当然、例えば若き研究者がその任務に適しているかどうかという点での自己評価をはっきりしていただけるようなことが必要でございまして、そのための条件としては、十二分に本人の能力を発揮できる条件を当然整備すべきである、そういうふうに考えております。
以上です。
この発言だけを見る →大学にはそれぞれ目的がございます。教育を主とするところ、研究を主とするところ、いろいろございますが、その目的に応じて任期制をしく場合には評価されるべきであると存じます。したがって、その場合には当然、例えば若き研究者がその任務に適しているかどうかという点での自己評価をはっきりしていただけるようなことが必要でございまして、そのための条件としては、十二分に本人の能力を発揮できる条件を当然整備すべきである、そういうふうに考えております。
以上です。
馳
馳浩#10
○馳浩君 本案は選択制ということでありますから、昇任あるいは転任の場合に、異動しようとするそのポストに魅力がなければ、やはり本人が納得しなければこれは任期制も本来の意味を発揮しないわけでありますね。
と考えますと、今回、この国会で総務庁所管の法律として国立の試験研究所においての研究者に対する任期制の法案が通っておりますけれども、それでは給与の面あるいは手当あるいは裁量勤務制、というのはフレキシブルな時間帯で研究にどうぞ頑張ってくださいという、そういったインセンティブを付与しておるわけでありますが、私は、この法案が通りました後にそういった面においての魅力というものを持たなければ、本当の意味でこの任期制が各大学に採用され、あるいは若手の研究者あるいは本来の大学教員の流動化というものが促進できないのではないかという懸念を持っておりますが、その点についての御意見があれば、慶伊参考人、お願いいたします。
この発言だけを見る →と考えますと、今回、この国会で総務庁所管の法律として国立の試験研究所においての研究者に対する任期制の法案が通っておりますけれども、それでは給与の面あるいは手当あるいは裁量勤務制、というのはフレキシブルな時間帯で研究にどうぞ頑張ってくださいという、そういったインセンティブを付与しておるわけでありますが、私は、この法案が通りました後にそういった面においての魅力というものを持たなければ、本当の意味でこの任期制が各大学に採用され、あるいは若手の研究者あるいは本来の大学教員の流動化というものが促進できないのではないかという懸念を持っておりますが、その点についての御意見があれば、慶伊参考人、お願いいたします。
慶
慶伊富長#11
○参考人(慶伊富長君) 例えば私どもの大学は大変な設備をお国からちょうだいいたしまして、今、日本最高あるいは世界でも超一流と存じますが、そういう場所に座っている若い方、現在助手をしている。ところが、そこの助手に希望があるけれどもなれなかった方もいる。こういう方たちがかなりいるという状況の中で、たまたま先に入った人が入ったら最後までいられるというのは社会的公平さを欠く、そういうふうに考えておりますし、私どもとしては、若い方々の将来の研究、訓練の場としても非常にすぐれた条件をつくる、そういうことによってそこに優秀な方々が集まっていただく、そして表にいる人も同様にチャンスがあればその場所を使えると、そういう状況にすべきであると考えております。
それから、実際に任期制がついてそこに座っている場合には、当然やはり本人としての十二分な実力が発揮できるような研究設備の個人に対するいろいろなケアが必要であると思いますし、流動させる場合にも、研究費あるいは機械、そういったことについてのいろいろ手配も考えないといけない、そういうふうに考えております。
この発言だけを見る →それから、実際に任期制がついてそこに座っている場合には、当然やはり本人としての十二分な実力が発揮できるような研究設備の個人に対するいろいろなケアが必要であると思いますし、流動させる場合にも、研究費あるいは機械、そういったことについてのいろいろ手配も考えないといけない、そういうふうに考えております。
馳
馳浩#12
○馳浩君 続けて慶伊参考人にお伺いいたしますが、北陸先端科学技術大学院大学というのは大変若い大学院大学でありますけれども、その立ち上げに当たりまして、慶伊参考人は多分御自身の人脈等を通じまして優秀な研究者、教授などを各企業あるいは全世界の各大学からお集めになったと思うんです。この任期制法案が通りました後に、こういった意味では、慶伊学長が頑張られたというふうな意味ばかりではなくて、全世界的な、横断的な労働市場が形成されるべきであると考えますが、そうでない限りは、学長は、任期が終わった、次のポストにだれをといったときに大変な努力をしなきゃいけないわけですよね。そういった点について、御自身のこれまでの御苦労やあるいは御意見がありましたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →慶
慶伊富長#13
○参考人(慶伊富長君) お答えします。
私どもの大学は新しい大学でございまして、当然優秀な研究者が集まらなきゃいけませんし、特に北陸というところでございますので、大きな柱をかなり強く立てる必要がございました。関東あるいは関西と違って立地に恵まれていないところにおきましてはなかなか困難がございましたが、大変設備その他を整えていただきまして人を集めることができました。しかし、これもやはり国際的な労働市場、教育者、研究者、国際的なレベルがたくさんおりますので、外国からも私どもは平等に応募させて、これはインターネットで募集して採用いたしております。
それから、先ほど言いましたように、国際的にも国内的にもやはり優秀な方々をうちとしては確保いたしたい。そのために、優秀であるということを絶えず研究者は教育面におきましても発揮する必要がある。そういう点での緊張感は中にございます。その一環として若い方々に今任期制をしいておりますが、これはもともとは、任期任期でもってチェックポイントをはっきりつける、評価をみずからし、それから大学としてもそれを確認し得る、そういう状況を絶えず続けていくという趣旨にほかならないわけでございます。
そこで若い方は育って表へ出ていただく、表へ行ってまた新しい場所で自分の学風を立てていただく、これが大学たるものの使命で、学生を卒業させるということのほかに、すぐれた独立研究者を養成するというのも大学の非常に重要な使命であることは言うまでもないと考えているところでございます。
この発言だけを見る →私どもの大学は新しい大学でございまして、当然優秀な研究者が集まらなきゃいけませんし、特に北陸というところでございますので、大きな柱をかなり強く立てる必要がございました。関東あるいは関西と違って立地に恵まれていないところにおきましてはなかなか困難がございましたが、大変設備その他を整えていただきまして人を集めることができました。しかし、これもやはり国際的な労働市場、教育者、研究者、国際的なレベルがたくさんおりますので、外国からも私どもは平等に応募させて、これはインターネットで募集して採用いたしております。
それから、先ほど言いましたように、国際的にも国内的にもやはり優秀な方々をうちとしては確保いたしたい。そのために、優秀であるということを絶えず研究者は教育面におきましても発揮する必要がある。そういう点での緊張感は中にございます。その一環として若い方々に今任期制をしいておりますが、これはもともとは、任期任期でもってチェックポイントをはっきりつける、評価をみずからし、それから大学としてもそれを確認し得る、そういう状況を絶えず続けていくという趣旨にほかならないわけでございます。
そこで若い方は育って表へ出ていただく、表へ行ってまた新しい場所で自分の学風を立てていただく、これが大学たるものの使命で、学生を卒業させるということのほかに、すぐれた独立研究者を養成するというのも大学の非常に重要な使命であることは言うまでもないと考えているところでございます。
馳
馳浩#14
○馳浩君 もう時間がないので最後になりますが、要は、この任期制を採用しました場合に、任期が切れました、さあ異動先のポストが決まらないということは、研究あるいは教育の業績評価がなされた上での異動先のポストが決まらないのか、あるいは異動先のポストが少ないから決まらないのかという観点があると思いますが、それはあなたの自業自得だと言ってほっておくのか、あるいはその場合、継続的に一年ぐらいは任用しておきますよというふうに温情措置をとった方がいいと考えるのか。先端大学院大学においてはもう任期が切れる助手が出たかどうか私はわかりませんが、そういった意味での温情措置といった部分が、やっぱり問題点が出てくると思うんですね。その点についてのお考えをいただければありがたいと思います。
この発言だけを見る →慶
慶伊富長#15
○参考人(慶伊富長君) 私どもでは二つの専門で違いますので、実験系の方は七年、それから理論系の方は五年、それを一応のチェックポイントにしてやっておりまして、再任を認めるというところで出発をいたしております。将来もっといろいろ考える必要があるかもしれませんが、現状では再任を認めるのを前提に、ただしそこで評価による教授会の審査を必要とする、そういう形になっております。
そこで認められないということも起こり得るわけでございます。その場合にどうするか。もうあなたは任期だからすぐにやめなさいと、学者仲間ではそういうことはございません。当然本人がその前から、大体において研究業績と教育業績、これをうちでは毎年毎年発表しております、自己申告で。それでもって大体のところは見当がついておりますので、本人にも心構えもございましょうし、それから周りといたしましても、本人にもっと適したポスト、これを用意し得なければ異動させることはできないわけでございます。その場合には大学内で若干の余裕を見て臨時再任をするとか、その他いろいろ手配をいたしまして不満が起こらないように、そういうふうにする必要は十二分にあると考えておりますし、そういう皆さんの共通認識を得ております。
この発言だけを見る →そこで認められないということも起こり得るわけでございます。その場合にどうするか。もうあなたは任期だからすぐにやめなさいと、学者仲間ではそういうことはございません。当然本人がその前から、大体において研究業績と教育業績、これをうちでは毎年毎年発表しております、自己申告で。それでもって大体のところは見当がついておりますので、本人にも心構えもございましょうし、それから周りといたしましても、本人にもっと適したポスト、これを用意し得なければ異動させることはできないわけでございます。その場合には大学内で若干の余裕を見て臨時再任をするとか、その他いろいろ手配をいたしまして不満が起こらないように、そういうふうにする必要は十二分にあると考えておりますし、そういう皆さんの共通認識を得ております。
馳
石
石田美栄#17
○石田美栄君 平成会の石田美栄でございます。
いろいろ貴重な御意見、ありがとうございました。私も二つほど三人の先生にそれぞれ御意見を伺いたいんです。
まず第一番目、大学の女性の先生は本当に閉鎖性の中で差別を受けてきたということを私も議員になる前ずっと実感してきた者の一人ですが、先ほどの有本先生の資料でもありますように、国際比較をしましても、大学の先生は女性が日本は非常に低い。これは多分私学も入れてのデータだと思いますけれども、これが国立となりますとより一層低いと思います。
今回の任期制がしかれた場合、人事もプライベートなものからもっとパブリックになる。そして、いろいろなそれぞれのお立場でおっしゃいましたが、そういう中で、任期制は女性の先生の場合どういうふうに影響していくのか。いい方向にいくのか、実力を持ってそれが認められ公正に評価されてよくなるのかどうか、それぞれの先生、現場で女性の立場というのはいろいろ見てこられたと思いますので、それぞれの立場で任期制がしかれたときの女性教員のことについて予測をお伺いしたいと思います。
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まず第一番目、大学の女性の先生は本当に閉鎖性の中で差別を受けてきたということを私も議員になる前ずっと実感してきた者の一人ですが、先ほどの有本先生の資料でもありますように、国際比較をしましても、大学の先生は女性が日本は非常に低い。これは多分私学も入れてのデータだと思いますけれども、これが国立となりますとより一層低いと思います。
今回の任期制がしかれた場合、人事もプライベートなものからもっとパブリックになる。そして、いろいろなそれぞれのお立場でおっしゃいましたが、そういう中で、任期制は女性の先生の場合どういうふうに影響していくのか。いい方向にいくのか、実力を持ってそれが認められ公正に評価されてよくなるのかどうか、それぞれの先生、現場で女性の立場というのはいろいろ見てこられたと思いますので、それぞれの立場で任期制がしかれたときの女性教員のことについて予測をお伺いしたいと思います。
慶
慶伊富長#18
○参考人(慶伊富長君) お答えします。
任期制は私どもの方では女性男性関係なしと考えております。任期制によって新たにまたそのポストがあくと、その場合には公募いたしますので、女性男性を問わず最もすぐれた人間を選ばせていただく、そういうふうに考えております。それから、もちろん全体的なバランスといたしまして女性が少ないというのはよくないことである、そういうふうに考えております。
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有
有本章#19
○参考人(有本章君) 先ほどのデータは質問紙調査でございまして、日本で九%ぐらいの数字が出ていたと思います。日本のもう少し体系的な調査ですと一〇%ぐらいです。比率は同じでございます。
それで、世界的に見ますと、四年生の大学については日本の女性教員は非常に低いという結果が出ました。ただし、短期大学では四〇%ぐらいございますので、これを平均しますとかなりその辺は変わってくるということはございます。
四年生大学に関しましては今申されたとおりでございまして、これから任期制を導入した場合どうなるかということですが、フェアサイエンスという言葉がございまして、公平、公正にやっていくということが任期制の原理でございますので、属性にかかわらず、属性で見ていくということはプレジュディスでございます。ジャッジする前に偏見が入るわけですが、そういうことをできるだけ排除していくというのが不偏主義の原理でございますので、任期制というのは基本的にはそういう方向で運営されないといけないということでございます。客観的な業績によって見ていく。ただし、研究だけで見ていきますと問題がございますので、教育とかほかの要因で見ていく。先ほどの国際調査では大体女性の方が教育が熱心でございますので、これからそういう物差しの当て方によってその辺が考慮されて、女性が不利にならないということが起こってくるんじゃないかなというふうに思います。
この発言だけを見る →それで、世界的に見ますと、四年生の大学については日本の女性教員は非常に低いという結果が出ました。ただし、短期大学では四〇%ぐらいございますので、これを平均しますとかなりその辺は変わってくるということはございます。
四年生大学に関しましては今申されたとおりでございまして、これから任期制を導入した場合どうなるかということですが、フェアサイエンスという言葉がございまして、公平、公正にやっていくということが任期制の原理でございますので、属性にかかわらず、属性で見ていくということはプレジュディスでございます。ジャッジする前に偏見が入るわけですが、そういうことをできるだけ排除していくというのが不偏主義の原理でございますので、任期制というのは基本的にはそういう方向で運営されないといけないということでございます。客観的な業績によって見ていく。ただし、研究だけで見ていきますと問題がございますので、教育とかほかの要因で見ていく。先ほどの国際調査では大体女性の方が教育が熱心でございますので、これからそういう物差しの当て方によってその辺が考慮されて、女性が不利にならないということが起こってくるんじゃないかなというふうに思います。
沢
沢田昭二#20
○参考人(沢田昭二君) 私の物理学の分野でも女性の研究者にはすぐれた研究者がたくさんいまして、キュリー夫人の例もありますし、マイトナーなんというのもすばらしい研究をしていますし、それから今日本の物理学会の会長は米沢さんという女性の方なわけですね。ですから、そういう意味では女性研究者というのが特にというか、むしろすぐれている面も持っているだろうと思いますし、今、有本さんがおっしゃったように、教育という面では女性がすぐれた側面を持っているんじゃないかなというふうに思っています。
ただ、今日本の社会では、女性がそういう研究とそれから自分の回りの、子供の世話とかいろんなことを両立させようとするのはかなり苦しいことになりますよね。そうしますと、どうしてもじっくりと時間をかけてやる仕事の方にウエートがかかってくるような気がいたします。短期間で業績を上げなきゃいけないというふうになってしまいますと、逆に女性にとっては、一般的には日本の社会の現状では不利になってくるんじゃないかというふうに、その点ではちょっと心配をしております。
この発言だけを見る →ただ、今日本の社会では、女性がそういう研究とそれから自分の回りの、子供の世話とかいろんなことを両立させようとするのはかなり苦しいことになりますよね。そうしますと、どうしてもじっくりと時間をかけてやる仕事の方にウエートがかかってくるような気がいたします。短期間で業績を上げなきゃいけないというふうになってしまいますと、逆に女性にとっては、一般的には日本の社会の現状では不利になってくるんじゃないかというふうに、その点ではちょっと心配をしております。
石
石田美栄#21
○石田美栄君 次に、この制度の中で私が一番懸念していることの一つは給与のことなんです。この法律ができれば、それを準用する一般職の任期つき研究員については採用とか給与とか勤務時間の特例がもうきちっと定められていて、特にこの給与表ですね、年齢によってあれに当てはめるとかなりいい給与かな、あるいは業績を上げればそれに報奨金も一カ月がつくとか、そういう規定まで入っておるんですけれども、大学の先生の場合にはそういう規定が全然なくて、特に国立大学ですと給与、人件費というのは枠がありますね。一番その点を懸念しておりまして、特に給与の点ですね、お三人の先生、この点でどういう御意見をお持ちか、お伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →慶
慶伊富長#22
○参考人(慶伊富長君) 給料は多けりゃ多いほどいいわけですが、大学の先生、特に国立の方は低くなっております。しかし、私だけではなくてかなりの数の人間の意見では、給料にまさるものがある、それは研究条件でございます。
私個人のことを申し上げてあれですが、私は旧帝大でございます。大学に入りましたのは、旧制中学校の先生になるために入りました。お金をもうけるということの希望はございませんで、教師になりたいと。それはやはり自分が考える仕事ができるという魅力でございます。大学に戻っている研究者はすべてそうでございます。企業研究者の場合には目的のために集中いたしますが、大学の場合は自分の自由な発想による学問へのインパクト、そういう点をやりますので、給料の方は多ければ多いほどいいと思いますけれども、それ以上に研究条件がいいか悪いかということで流動性はかなり動きます。
この発言だけを見る →私個人のことを申し上げてあれですが、私は旧帝大でございます。大学に入りましたのは、旧制中学校の先生になるために入りました。お金をもうけるということの希望はございませんで、教師になりたいと。それはやはり自分が考える仕事ができるという魅力でございます。大学に戻っている研究者はすべてそうでございます。企業研究者の場合には目的のために集中いたしますが、大学の場合は自分の自由な発想による学問へのインパクト、そういう点をやりますので、給料の方は多ければ多いほどいいと思いますけれども、それ以上に研究条件がいいか悪いかということで流動性はかなり動きます。
有
有本章#23
○参考人(有本章君) 私も給料は多ければ多い方がいいというのは賛成でございます。
ですけれども、日本の国立大学は一律の俸給表になっておりますので、職階が上がっていきますと同じように上がるわけでございます。ですから、研究業績が非常に多い人もそうでない人も同じでございます。そういう意味では、先ほど言いました講座制をつくったときに、大学教授職というものを安定させていくという、あるいはそこの人材を確保していくということがございましたのでそういうふうにしたんだと思います。
しかし現在、世界的に見ますと、アメリカとか中国なんかもそうですが、かなりそういう格差を入れてきているということは間違いないことでございます。ですから、基本的には現在のやり方にして、より業績を上げた人は少し何らかのプレミアをつけるとか、そういうことはあってもいいかなというふうに思います。
ただし、大学人は、この国際調査でも出ておりますが、もう一回職業を選ぶとしたらどうしますかというと、大学人にまたなると言っておるわけですね。ですから、日本の先生も含めて給与に対しては非常に不満を持っています。だから、これは上げてほしいんですが、それを差し引いても、やはり大学人という職業に対して、やらないといけないという使命感というものを非常に持っているということでございます。
ですから、給与を上げていただきますともっとやるということにはなると思うんですが、それと同時にその辺のインセンティブを、研究しやすいとか教育しやすいとか、そういう環境整備、条件整備というものをきちっとしていただく。やっぱり二十一世紀に大学教授職が魅力のないものになりましたら若い世代が来ませんので、これは日本の将来にとって非常に問題になるわけですね。ですから、いい学生さんや若い人が来ていただけるように何とか条件整備をしていただきたいと思っています。
この発言だけを見る →ですけれども、日本の国立大学は一律の俸給表になっておりますので、職階が上がっていきますと同じように上がるわけでございます。ですから、研究業績が非常に多い人もそうでない人も同じでございます。そういう意味では、先ほど言いました講座制をつくったときに、大学教授職というものを安定させていくという、あるいはそこの人材を確保していくということがございましたのでそういうふうにしたんだと思います。
しかし現在、世界的に見ますと、アメリカとか中国なんかもそうですが、かなりそういう格差を入れてきているということは間違いないことでございます。ですから、基本的には現在のやり方にして、より業績を上げた人は少し何らかのプレミアをつけるとか、そういうことはあってもいいかなというふうに思います。
ただし、大学人は、この国際調査でも出ておりますが、もう一回職業を選ぶとしたらどうしますかというと、大学人にまたなると言っておるわけですね。ですから、日本の先生も含めて給与に対しては非常に不満を持っています。だから、これは上げてほしいんですが、それを差し引いても、やはり大学人という職業に対して、やらないといけないという使命感というものを非常に持っているということでございます。
ですから、給与を上げていただきますともっとやるということにはなると思うんですが、それと同時にその辺のインセンティブを、研究しやすいとか教育しやすいとか、そういう環境整備、条件整備というものをきちっとしていただく。やっぱり二十一世紀に大学教授職が魅力のないものになりましたら若い世代が来ませんので、これは日本の将来にとって非常に問題になるわけですね。ですから、いい学生さんや若い人が来ていただけるように何とか条件整備をしていただきたいと思っています。
沢
沢田昭二#24
○参考人(沢田昭二君) 日本の大学の教員の給与というのは諸外国に比べてすごく低くて、私がスイスのジュネーブにありますCERNの国際共同研究所に行きまして、アパートを借りようと思ったんですけれども、自分の日本での給料を書いたら、これでは貸してもらえませんよ、二倍にしておきなさいなんで言われて書き直しましたけれども、それほど諸外国に比べて日本の大学の教員の給与は低いわけです。
私が一番心配しているのは、若い優秀な人たちが大学に魅力を持って集まってほしいと思っているんですけれども、例えば、特にこれは工学部系の方がそういう傾向が強いと思いますが、企業の研究所の方に入りますと、大学院を途中から出てもすぐ研究職でたくさんの給料をもらえるわけですけれども、大学院の方に残りますと、たくさんの授業料を払わなきゃいけないし、それから行き先、今度は任期制のあるようなポストにつくようになるのは嫌だというふうに、若い人はそういう方向に走ってしまうんではないか、その点を随分心配していて、任期制というのをやって、それからさらに給料は低いという状況がありますと優秀な人はかえって大学に集まらなくなる。そうすると、後継者がいなくなってということで、大学の教育にもすごく悪影響を及ぼすんではないかと、そういう点を随分心配しております。
この発言だけを見る →私が一番心配しているのは、若い優秀な人たちが大学に魅力を持って集まってほしいと思っているんですけれども、例えば、特にこれは工学部系の方がそういう傾向が強いと思いますが、企業の研究所の方に入りますと、大学院を途中から出てもすぐ研究職でたくさんの給料をもらえるわけですけれども、大学院の方に残りますと、たくさんの授業料を払わなきゃいけないし、それから行き先、今度は任期制のあるようなポストにつくようになるのは嫌だというふうに、若い人はそういう方向に走ってしまうんではないか、その点を随分心配していて、任期制というのをやって、それからさらに給料は低いという状況がありますと優秀な人はかえって大学に集まらなくなる。そうすると、後継者がいなくなってということで、大学の教育にもすごく悪影響を及ぼすんではないかと、そういう点を随分心配しております。
日
日下部禧代子#25
○日下部禧代子君 きょうはお三人の先生方、ありがとうございます。
お三人の先生にお聞きしたいと思います。
今日本の大学で求められているもの、さまざまございますけれども、一つの言葉で言えば、いかにして魅力ある大学であるかということではないかというふうに思っております。
私は、たまたま外国での学生生活も経験をいたしましたけれども、日本と一番違う点というのをもし三つ申し上げるとすれば、一つは、いわゆるチュートリアルあるいはスーパーバイズの制度というのが非常に私にとっては外国での大学生活を送ったときに魅力あるものでございました。一対一で担当教官と議論をし合うということ、そのためにはもちろん学生として大変な勉強をしなければなりません。三千ワードで一週間に一本ずつ論文を書くということはかなり大変なことでございます。平気で十冊ぐらいの本を読んでこいというふうなこともやっぱり大変でございました。しかしながら、そこで魅力ある教師と一対一で討論するということ、これは大変にやはりすばらしい経験だったというふうに思います。
それから二つ目には、やはりゼミナールでした。なぜゼミナールが楽しかったかというのは、これはさまざまな国籍の人、さまざまな人種、さまざまな年齢の学生たちが、それぞれさまざま異なった考え方を述べ合う。つまり学問というのは、異なった考え方というもの、異質なものの中からいかに創造的なもの、独自性というものを見つけ出すかということが学問、研究の基本だろうというふうに思うわけでございます。そういう基本的な条件というのがかなり私は経験できたように思います。
それから三つ目というのは、やはり外国人教師の割合が高かったということもあると思うんです。例えば、私が学んだのでは、イギリスのロンドン大学のLSEなんですけれども、そのときの学長は世界的に著名な経済学者ダーレンドルフ、御承知のようにドイツ人でいらっしゃいます。ドイツ人がイギリスのそういった大学の学長というふうなこともございました。
この三つのような観点を日本の大学に当てはめますと、今の現状では、このようなことを実行するというのはかなり難しいんではないかというふうに思うんですね。
私、このような経験を踏まえましてお三方にお尋ねしたいのは、この短い時間では大変恐縮でございますが、では、日本の大学に求められている魅力ある大学であるためには、今、一体最低どのような条件が必要になってくるのか、そのために今回のこの任期制という法律というのがどのように有効に働くのかということも含めまして第一点。
そしてまた二点目は、これは学生にとってだけではなくて、教師にとって魅力ある大学ということも必要ではないか、条件ではないかと思いますが、今、日本の高等教育改革が求められておりますけれども、そのためにやはり施策として、任期制ということも含めまして、最低条件として先生方はそれぞれにどういうことをお挙げになりたいのか、非常に限られた時間で恐縮でございますが、お三方に要約してお答えをいただければと存じます。御意見をいただきたいと存じます。
この発言だけを見る →お三人の先生にお聞きしたいと思います。
今日本の大学で求められているもの、さまざまございますけれども、一つの言葉で言えば、いかにして魅力ある大学であるかということではないかというふうに思っております。
私は、たまたま外国での学生生活も経験をいたしましたけれども、日本と一番違う点というのをもし三つ申し上げるとすれば、一つは、いわゆるチュートリアルあるいはスーパーバイズの制度というのが非常に私にとっては外国での大学生活を送ったときに魅力あるものでございました。一対一で担当教官と議論をし合うということ、そのためにはもちろん学生として大変な勉強をしなければなりません。三千ワードで一週間に一本ずつ論文を書くということはかなり大変なことでございます。平気で十冊ぐらいの本を読んでこいというふうなこともやっぱり大変でございました。しかしながら、そこで魅力ある教師と一対一で討論するということ、これは大変にやはりすばらしい経験だったというふうに思います。
それから二つ目には、やはりゼミナールでした。なぜゼミナールが楽しかったかというのは、これはさまざまな国籍の人、さまざまな人種、さまざまな年齢の学生たちが、それぞれさまざま異なった考え方を述べ合う。つまり学問というのは、異なった考え方というもの、異質なものの中からいかに創造的なもの、独自性というものを見つけ出すかということが学問、研究の基本だろうというふうに思うわけでございます。そういう基本的な条件というのがかなり私は経験できたように思います。
それから三つ目というのは、やはり外国人教師の割合が高かったということもあると思うんです。例えば、私が学んだのでは、イギリスのロンドン大学のLSEなんですけれども、そのときの学長は世界的に著名な経済学者ダーレンドルフ、御承知のようにドイツ人でいらっしゃいます。ドイツ人がイギリスのそういった大学の学長というふうなこともございました。
この三つのような観点を日本の大学に当てはめますと、今の現状では、このようなことを実行するというのはかなり難しいんではないかというふうに思うんですね。
私、このような経験を踏まえましてお三方にお尋ねしたいのは、この短い時間では大変恐縮でございますが、では、日本の大学に求められている魅力ある大学であるためには、今、一体最低どのような条件が必要になってくるのか、そのために今回のこの任期制という法律というのがどのように有効に働くのかということも含めまして第一点。
そしてまた二点目は、これは学生にとってだけではなくて、教師にとって魅力ある大学ということも必要ではないか、条件ではないかと思いますが、今、日本の高等教育改革が求められておりますけれども、そのためにやはり施策として、任期制ということも含めまして、最低条件として先生方はそれぞれにどういうことをお挙げになりたいのか、非常に限られた時間で恐縮でございますが、お三方に要約してお答えをいただければと存じます。御意見をいただきたいと存じます。
慶
慶伊富長#26
○参考人(慶伊富長君) 理工系の方は、先生は文科系でいらっしゃいますからセミナーとかチュートリアルシステムでの教師との相互作用を御経験のようですが、日本は独特でございまして、理工系は学部の四年生から研究をいたします。研究室に入りますので、そこで十二分に教師とのコンタクトがございます。これは、アメリカはマスターでもまだやっておりませんので、日本が独特でございます。これは日本の理工系大学の強さと言われておりますが、そういう点でのチュートリアルにまさる、あるいは劣らない制度がございます。そういう形で進行しております。
今度の任期制の導入は何か規制をするとか何か画するための手段という、そういうニュアンスを強く受け取られる方もおられますが、日本の社会においては、実はほかの大学に移りたくても、この大学にずっといられるのに移ったという人間は落ちこぼれと言われるんですね。私は一匹オオカミと言われていました。ほめ言葉だと思っておりましたが、最近わかりましたが、根なし草で落ちこぼれのことだそうでございまして、ちょっと私は錯覚を持っておりましたが、そういった雰囲気がございまして、これは終身雇用が社会の主流、風潮になっている中でございますので、大学でも、特に某大学は入って卒業してずっとそこにいるのが嫡男主義で一番偉い、そこを出るのはだめだ、ほかから来たらおまじりだとか、実はいろいろございます。
今度これになりますと、任期があるので堂々と動けるというメリットがあります。そういう点は私は特に申し上げたいと存じます。
この発言だけを見る →今度の任期制の導入は何か規制をするとか何か画するための手段という、そういうニュアンスを強く受け取られる方もおられますが、日本の社会においては、実はほかの大学に移りたくても、この大学にずっといられるのに移ったという人間は落ちこぼれと言われるんですね。私は一匹オオカミと言われていました。ほめ言葉だと思っておりましたが、最近わかりましたが、根なし草で落ちこぼれのことだそうでございまして、ちょっと私は錯覚を持っておりましたが、そういった雰囲気がございまして、これは終身雇用が社会の主流、風潮になっている中でございますので、大学でも、特に某大学は入って卒業してずっとそこにいるのが嫡男主義で一番偉い、そこを出るのはだめだ、ほかから来たらおまじりだとか、実はいろいろございます。
今度これになりますと、任期があるので堂々と動けるというメリットがあります。そういう点は私は特に申し上げたいと存じます。
有
有本章#27
○参考人(有本章君) 今申されましたように、チュートリアルというような制度はイギリスで非常に発展しておりまして、チューターがきちっとマンツーマンで教育をするわけでございます。これをやるためには学寮型というか、かなり大学の規模が小さいということ、それから教育に比重を置くということでございます。リベラルアーツを中心にしてイギリスからアメリカのカレッジあたりに継承されてきた流れでございますので、日本は旧制の高校あたりではあったと思うんですが、今は非常に大衆化しておりますので、ここのところをきちっとやっていこうとすれば、先ほどの話じゃありませんが、かなり大学にお金をかけて、それで規模を小さくして教員をふやしてやっていくということが必要になろうかと思います。
これが難しいということになりますと、先ほど言いましたように、教育というところにできるだけ比重を置いて考えるという発想の転換をある程度やらないといけないんじゃないかというふうに思います。
任期制というのはそういう点とどういうふうにかかわってくるかということになりますが、先ほど言いましたように研究のところに比重を置きやすい傾向がありますので、それはやはり評価システムというようなものを入れて、そこの中で総合的に考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
それから、教師にとって魅力のあるということは、やはり自分にとって専門分野の研究ができ、そして若い人たちに教育ができるということでございますので、教育研究がきちっとできるということでございますので、任期制というのはそういう点で、先ほど講座制の話をしましたけれども、一つの大学にずっと初めから終わりまでいて純粋培養ですから、できるだけ同じ属性の者が多数を占めるようにしていくわけでございます。だから異質な要素をできるだけ排除するわけです。外国人の教師とか、それからほかの大学の出身とか、そのほかいろいろ、さっき女性も出ましたが、こういったようなものを今まではできるだけ少なくしたと思うんです。そうじゃなくて、今からは多様な組み合わせの中でやっていくということで、これはそういう風土ができておりませんから、これを切りかえるというのは非常に難しいところがあります。
だから、任期制というのはある意味で先導的にそういうものを活性化していくという意味で評価をしているわけでございます。これが中ができてそれを入れるということになりますと、百年河清を待つごとし、もう百年かかっておるわけですから、これから百年たってもできないわけです。
だから、欧米では少なくともそういうことをきちっとやってきたわけですから、そういう国際化が非常に今から進んでいく段階では、今言ったように通用性、互換性というものを持たせていくということが、大学教員にとっても将来的には長い目でみれば非常にやりがいがある、魅力があるものになっていくということじゃないかなというふうに思います。学生にとってもその方がいいし、教員にとってもその方がいいと。ちょっと意識のギャップがございますから時間がかかると思いますけれども、私はそういうふうに今からはしていかないと、やはり日本は今までのようなパターンで終始していくということになるんじゃないかなというふうに思います。
この発言だけを見る →これが難しいということになりますと、先ほど言いましたように、教育というところにできるだけ比重を置いて考えるという発想の転換をある程度やらないといけないんじゃないかというふうに思います。
任期制というのはそういう点とどういうふうにかかわってくるかということになりますが、先ほど言いましたように研究のところに比重を置きやすい傾向がありますので、それはやはり評価システムというようなものを入れて、そこの中で総合的に考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
それから、教師にとって魅力のあるということは、やはり自分にとって専門分野の研究ができ、そして若い人たちに教育ができるということでございますので、教育研究がきちっとできるということでございますので、任期制というのはそういう点で、先ほど講座制の話をしましたけれども、一つの大学にずっと初めから終わりまでいて純粋培養ですから、できるだけ同じ属性の者が多数を占めるようにしていくわけでございます。だから異質な要素をできるだけ排除するわけです。外国人の教師とか、それからほかの大学の出身とか、そのほかいろいろ、さっき女性も出ましたが、こういったようなものを今まではできるだけ少なくしたと思うんです。そうじゃなくて、今からは多様な組み合わせの中でやっていくということで、これはそういう風土ができておりませんから、これを切りかえるというのは非常に難しいところがあります。
だから、任期制というのはある意味で先導的にそういうものを活性化していくという意味で評価をしているわけでございます。これが中ができてそれを入れるということになりますと、百年河清を待つごとし、もう百年かかっておるわけですから、これから百年たってもできないわけです。
だから、欧米では少なくともそういうことをきちっとやってきたわけですから、そういう国際化が非常に今から進んでいく段階では、今言ったように通用性、互換性というものを持たせていくということが、大学教員にとっても将来的には長い目でみれば非常にやりがいがある、魅力があるものになっていくということじゃないかなというふうに思います。学生にとってもその方がいいし、教員にとってもその方がいいと。ちょっと意識のギャップがございますから時間がかかると思いますけれども、私はそういうふうに今からはしていかないと、やはり日本は今までのようなパターンで終始していくということになるんじゃないかなというふうに思います。
沢
沢田昭二#28
○参考人(沢田昭二君) チュートリアル制度のように一対一でやれるというのは本当にうらやましいなと思うんですけれども、例えば私のいた物理学教室は、一学年大体百人の学生です。ですけれども、少人数教育というのを重視しないと、それまでの受験競争でやってきたそういう発想から抜け出せないで、自分で疑問を持つということをやろうとしますと、やっぱり少人数教育でのセミナーなどでお互いにいろんな違った考え方を議論し合うということがすごく大事になってきます。
そういうことをやっていこうとしますと、百人の学生で、本当は理想的には五、六人以下に抑える方がいいんだと思いますけれども、十人ぐらいになってしまうわけですね。そうすると、それに今度は十人のスタッフを割り振らなければいけないわけですし、そういう意味でスタッフの負担というのはすごく過重になりますけれども、しかしそれによって教育効果が上がるということで、みんなで議論して、負担にはなるけれども、やっぱりそういう学生を育てなきゃいけないということで、そういうことをやってきました。ですから、本当は学生数に見合った教員の数をどんどんふやしていくということがどうしてもそういうことをやっていこうとしたら必要だと思います。
実は、私の物理学教室には教育委員会というのがありまして、そこには学生も一緒に正式なメンバーとして委員として入って、学生と一緒になって教育改革をずっと議論してまいりました。私も定年になるまでその教育委員会の委員長をずっとやってきましたけれども、やはりそういう学生の要求も踏まえながら、しかし今のスタッフの人数ではなかなかここまでできないけどということを議論し合って、教育改革を進めていくということはすごく大事なわけですけれども、そういう中で学生も、それからこれから仕事がどんどんふえていくという感じのスタッフも、ある程度了解していただいていろんな教育改革を進めていくことができました。
そういうことができるわけですけれども、そういう学生ともコンタクトをとりながらやろうとしますと、やっぱり事務組織のサポートがないとできません。教授が一生懸命学生を全部回っていろいろやるということはできませんから、そういうこともやっていこうとしますとサポートするという体制が必要だと思います。そういうサポート体制があれば大学教員というのはすごくやりがいを感じてやってくださるというふうに思います。
この発言だけを見る →そういうことをやっていこうとしますと、百人の学生で、本当は理想的には五、六人以下に抑える方がいいんだと思いますけれども、十人ぐらいになってしまうわけですね。そうすると、それに今度は十人のスタッフを割り振らなければいけないわけですし、そういう意味でスタッフの負担というのはすごく過重になりますけれども、しかしそれによって教育効果が上がるということで、みんなで議論して、負担にはなるけれども、やっぱりそういう学生を育てなきゃいけないということで、そういうことをやってきました。ですから、本当は学生数に見合った教員の数をどんどんふやしていくということがどうしてもそういうことをやっていこうとしたら必要だと思います。
実は、私の物理学教室には教育委員会というのがありまして、そこには学生も一緒に正式なメンバーとして委員として入って、学生と一緒になって教育改革をずっと議論してまいりました。私も定年になるまでその教育委員会の委員長をずっとやってきましたけれども、やはりそういう学生の要求も踏まえながら、しかし今のスタッフの人数ではなかなかここまでできないけどということを議論し合って、教育改革を進めていくということはすごく大事なわけですけれども、そういう中で学生も、それからこれから仕事がどんどんふえていくという感じのスタッフも、ある程度了解していただいていろんな教育改革を進めていくことができました。
そういうことができるわけですけれども、そういう学生ともコンタクトをとりながらやろうとしますと、やっぱり事務組織のサポートがないとできません。教授が一生懸命学生を全部回っていろいろやるということはできませんから、そういうこともやっていこうとしますとサポートするという体制が必要だと思います。そういうサポート体制があれば大学教員というのはすごくやりがいを感じてやってくださるというふうに思います。
本
本岡昭次#29
○本岡昭次君 民主党・新緑風会の本岡でございます。
参考人の先生方、きょうは御多忙の中御苦労さまです。三人の参考人の御意見を興味深く拝聴し、いろいろ勉強させていただきました。
それで、私は有本参考人のお考えに近いなと思います。というのは、何でもかんでも任期制を導入せにゃいかぬという立場には私も立ちたくないわけでして、もし今の大学が閉鎖的であり、その閉鎖的であることが大学の教育研究にいろいろ阻害をしているというならば、これは流動化をせにゃいかぬということになるわけで、そのことが各大学の判断で任期制を導入するということと結びつくというレベルにおいて、私はやってみたらと、こう思うんです。
そして、有本参考人もおっしゃったように、そういう意味で画一的な任期制は問題がある、ソフトランディングでやれ、そして学問、研究の自由を担保しながらやるべきだという重要な点を指摘され、そして教育研究とそれから教育活動というこの分野についても評価基準をきちっと点検をして不安のないようにすべきだという重要な指摘をされました。私はそのとおりだと思います。
そこで、質問は沢田参考人にしたいのであります。沢田参考人は反対の立場でお述べになりました。その中で幾つかお聞きしたいんです。
任期制をとると、再任拒否を恐れて自由な研究なり発言を控えるようになるとか、あるいはまた研究に身が入らないとか、次の職のことばかり考えるようになるとかということをいろいろおっしゃいましたが、しかしある意味では、研究の自由というのは、制度的に保障されるということもあるけれども、これは大学人、研究人がみずから獲得していくという側面もなければいけないんじゃないかと私は思います。
たとえ任期制というものが大学の判断によって任意に、これは選択制ですが、したとしても、今先生のおっしゃるようなことになっていくような、そんな事なかれ主義のそういう人こそが大学の質を低め、そして教育研究というものの活性化ということを妨げることになるんではないかというふうに私は思うんです。だから、大学の中から任期制に対してそういうふうな発言が出てくるということは、私は大学の自殺行為ではないかと思います。だから、任期制はあくまでこれは大学の判断で、選択制になっているんだから、そういう心配がある大学は導入しなけりゃいいわけです。
私は小学校の教員ですけれども、勤評導入に大反対しました。そのときに、勤務評定は戦争への一里塚なんというようなことを言う人たちがおって、冗談じゃない、何で戦争と勤務評定が結びつくんだと。勤務評定はもちろん教職員の人事を拘束し、賃金を拘束し、変えがたいものですから、私たちはストライキを何回もやってたたきつぶしました。
だけれども、特にこういう問題が出てきたときに何か飛躍した論理みたいなものが先行して、そしてその中にある、ある種の現状を打破する上の、何か抑圧して、抑えつぶしていくということが起こるんではないかというようなことを私は常々思うわけで、沢田先生、要するに選択制でやろうとしているものですから、押しなべて全部の方向に、強制的に文部省は権力でもってやっているんじゃないんだという点において、この任期制の有為性というんですか、その持っておる現状打破の積極性みたいなものはお認めになりませんか。
この発言だけを見る →参考人の先生方、きょうは御多忙の中御苦労さまです。三人の参考人の御意見を興味深く拝聴し、いろいろ勉強させていただきました。
それで、私は有本参考人のお考えに近いなと思います。というのは、何でもかんでも任期制を導入せにゃいかぬという立場には私も立ちたくないわけでして、もし今の大学が閉鎖的であり、その閉鎖的であることが大学の教育研究にいろいろ阻害をしているというならば、これは流動化をせにゃいかぬということになるわけで、そのことが各大学の判断で任期制を導入するということと結びつくというレベルにおいて、私はやってみたらと、こう思うんです。
そして、有本参考人もおっしゃったように、そういう意味で画一的な任期制は問題がある、ソフトランディングでやれ、そして学問、研究の自由を担保しながらやるべきだという重要な点を指摘され、そして教育研究とそれから教育活動というこの分野についても評価基準をきちっと点検をして不安のないようにすべきだという重要な指摘をされました。私はそのとおりだと思います。
そこで、質問は沢田参考人にしたいのであります。沢田参考人は反対の立場でお述べになりました。その中で幾つかお聞きしたいんです。
任期制をとると、再任拒否を恐れて自由な研究なり発言を控えるようになるとか、あるいはまた研究に身が入らないとか、次の職のことばかり考えるようになるとかということをいろいろおっしゃいましたが、しかしある意味では、研究の自由というのは、制度的に保障されるということもあるけれども、これは大学人、研究人がみずから獲得していくという側面もなければいけないんじゃないかと私は思います。
たとえ任期制というものが大学の判断によって任意に、これは選択制ですが、したとしても、今先生のおっしゃるようなことになっていくような、そんな事なかれ主義のそういう人こそが大学の質を低め、そして教育研究というものの活性化ということを妨げることになるんではないかというふうに私は思うんです。だから、大学の中から任期制に対してそういうふうな発言が出てくるということは、私は大学の自殺行為ではないかと思います。だから、任期制はあくまでこれは大学の判断で、選択制になっているんだから、そういう心配がある大学は導入しなけりゃいいわけです。
私は小学校の教員ですけれども、勤評導入に大反対しました。そのときに、勤務評定は戦争への一里塚なんというようなことを言う人たちがおって、冗談じゃない、何で戦争と勤務評定が結びつくんだと。勤務評定はもちろん教職員の人事を拘束し、賃金を拘束し、変えがたいものですから、私たちはストライキを何回もやってたたきつぶしました。
だけれども、特にこういう問題が出てきたときに何か飛躍した論理みたいなものが先行して、そしてその中にある、ある種の現状を打破する上の、何か抑圧して、抑えつぶしていくということが起こるんではないかというようなことを私は常々思うわけで、沢田先生、要するに選択制でやろうとしているものですから、押しなべて全部の方向に、強制的に文部省は権力でもってやっているんじゃないんだという点において、この任期制の有為性というんですか、その持っておる現状打破の積極性みたいなものはお認めになりませんか。