外交防衛委員会
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会
会議録情報#0
平成十七年七月十二日(火曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
七月六日
辞任 補欠選任
松下 新平君 喜納 昌吉君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 林 芳正君
理 事
浅野 勝人君
三浦 一水君
山本 一太君
齋藤 勁君
榛葉賀津也君
委 員
岡田 直樹君
柏村 武昭君
桜井 新君
谷川 秀善君
山谷えり子君
犬塚 直史君
喜納 昌吉君
佐藤 道夫君
田村 秀昭君
白 眞勲君
荒木 清寛君
澤 雄二君
緒方 靖夫君
大田 昌秀君
国務大臣
国務大臣
(防衛庁長官) 大野 功統君
副大臣
防衛庁副長官 今津 寛君
外務副大臣 谷川 秀善君
大臣政務官
防衛庁長官政務
官 柏村 武昭君
事務局側
常任委員会専門
員 泊 秀行君
政府参考人
内閣法制局第二
部長 横畠 裕介君
防衛庁防衛局長 飯原 一樹君
防衛庁運用局長 大古 和雄君
防衛庁人事教育
局長 西川 徹矢君
外務大臣官房審
議官 中根 猛君
外務省国際法局
長 林 景一君
参考人
三菱重工業株式
会社航空宇宙事
業本部副事業本
部長 西山 淳一君
東洋英和女学院
大学国際社会学
部助教授 石川 卓君
─────────────
本日の会議に付した案件
○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
─────────────
この発言だけを見る →午前十時開会
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委員の異動
七月六日
辞任 補欠選任
松下 新平君 喜納 昌吉君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 林 芳正君
理 事
浅野 勝人君
三浦 一水君
山本 一太君
齋藤 勁君
榛葉賀津也君
委 員
岡田 直樹君
柏村 武昭君
桜井 新君
谷川 秀善君
山谷えり子君
犬塚 直史君
喜納 昌吉君
佐藤 道夫君
田村 秀昭君
白 眞勲君
荒木 清寛君
澤 雄二君
緒方 靖夫君
大田 昌秀君
国務大臣
国務大臣
(防衛庁長官) 大野 功統君
副大臣
防衛庁副長官 今津 寛君
外務副大臣 谷川 秀善君
大臣政務官
防衛庁長官政務
官 柏村 武昭君
事務局側
常任委員会専門
員 泊 秀行君
政府参考人
内閣法制局第二
部長 横畠 裕介君
防衛庁防衛局長 飯原 一樹君
防衛庁運用局長 大古 和雄君
防衛庁人事教育
局長 西川 徹矢君
外務大臣官房審
議官 中根 猛君
外務省国際法局
長 林 景一君
参考人
三菱重工業株式
会社航空宇宙事
業本部副事業本
部長 西山 淳一君
東洋英和女学院
大学国際社会学
部助教授 石川 卓君
─────────────
本日の会議に付した案件
○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
─────────────
林
林芳正#1
○委員長(林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る六日、松下新平君が委員を辞任され、その補欠として喜納昌吉君が選任されました。
─────────────
この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
去る六日、松下新平君が委員を辞任され、その補欠として喜納昌吉君が選任されました。
─────────────
林
林芳正#2
○委員長(林芳正君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、参考人として、三菱重工業株式会社航空宇宙事業本部副事業本部長西山淳一君及び東洋英和女学院大学国際社会学部助教授石川卓君に御出席いただいております。
この際、参考人の方々に対し、本委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の調査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
議事の進め方について申し上げます。
まず、参考人からお一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、正午までをめどに質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。
また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず西山参考人に御意見をお述べいただきます。西山参考人。
この発言だけを見る →本日は、参考人として、三菱重工業株式会社航空宇宙事業本部副事業本部長西山淳一君及び東洋英和女学院大学国際社会学部助教授石川卓君に御出席いただいております。
この際、参考人の方々に対し、本委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見をいただき、今後の調査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
議事の進め方について申し上げます。
まず、参考人からお一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、正午までをめどに質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。
また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず西山参考人に御意見をお述べいただきます。西山参考人。
西
西山淳一#3
○参考人(西山淳一君) 三菱重工の西山でございます。
現在は三菱重工の本社で営業を主体に活動しておりますけれども、大学で機械工学を専攻しまして、三菱重工に入社して以来ずっとミサイルの設計作業に携わってまいりました。
また、ミサイル防衛に関しましては、一九八八年の十二月から開始されました西太平洋戦域ミサイル防衛構想研究、通称WESTPACスタディーのときから担当しております。
本日は、弾道ミサイル防衛に関する技術的な課題について御説明させていただく機会を与えていただきましたことを誠に光栄に存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元に資料を配付してありますが、まず、弾道ミサイルとは何かということからお話ししたいと思います。
世界初の弾道ミサイルは、一九四〇年代にドイツによって開発されたV2号です。このミサイルは、フォン・ブラウン博士らによって開発されまして、全部で五千基生産されたと言われています。実戦で使用されまして、イギリスを恐怖に陥れました。フォン・ブラウン博士の夢は宇宙飛行でありましたが、兵器開発は最先端技術であり、これを行うことにより宇宙飛行の技術を確立しようと考えたと言われております。
一九九一年の中東湾岸戦争におきまして、イラクからスカッドミサイルが発射されたのは記憶に新しいところであります。イラクから発射されたスカッドは、ソ連が開発しましたスカッドBをベースに射程を延伸するよう改良されたものでした。スカッドBの直径はV2型の約半分で、射程は約三百キロメートル、そのペイロードは約一トンということで、これはV2型とほとんど同等であります。お手元の資料の図一にV2型とスカッドの比較を載せてありますので、まあ大きさの感じが分かると思います。
現在、日本への脅威と考えられているスカッドの発展型であるノドン、テポドンなどはスカッドの技術、すなわちV2型の技術をベースに更に改良を加えたものと考えられています。
次に、弾道ミサイルの定義とは何かということを整理してみたいと思っています。
一般的には射程三百キロメートル以上で弾道飛しょうするミサイルと言われています。最小射程の明確な定義はありませんけれども、射程百キロ程度のものも弾道ミサイルの分類に入れている例もあります。
野球のボールを遠くまで飛ばすには投げるスピードを速くすればよいというのは子供でも分かる理屈でありますけれども、弾道ミサイルの速度というのはロケットモーター、ロケットエンジンですが、この燃焼終了時の速度、これをバーンアウト速度と呼んでいますけれども、この速度で規定されています。これが速ければ速いほど遠くまで飛ぶということになります。射程三百キロメートルであれば約一・五キロメートル・パー・セック、一秒間に一・五キロメートルです。それから、射程千三百キロメートルになりますと、約三キロメートル・パー・セックということで、音速の約十倍、マッハ十相当というふうに言われています。
もっと遠くまで届く大陸間弾道ミサイル、ICBMと呼びますけれども、ICBMになりますと、このバーンアウト速度というのは六キロメートルから七キロメートル・パー・セックと、パー・セカンドになります。この速度が更に速くなりまして七・九キロメートル・パー・セカンドになりますと人工衛星になるということで、スピードをどんどん上げていくと最終的には人工衛星になるという形になります。この図二に速度と射程の関係ということを示してあります。
また、ちょっと話が戻りますが、一九五七年にソ連は世界で初めてスプートニク人工衛星を打ち上げました。いわゆるスプートニクショックと言われています。アメリカは、ソ連に大陸間弾道ミサイルができたということで大変なショックを受けたわけです。このときから世界は本格的な宇宙開発競争の時代に入りまして、また、これは同時にICBMが実用化に向け本格的に開発が開始された年だというふうにも認識しております。
図の三に弾道ミサイルと衛星の高度の関係を示しました。
地球の半径は約六千四百キロメートルで、日ごろ日常的にお世話になっているというか、こういう衛星に気象衛星、放送衛星等があります。これは高度三万六千キロメートルの赤道上空で地球を回っております。地球の自転速度と同じ速度で回っているものですから、いつも同じところに見えるということで静止衛星と呼ばれています。実際には一日掛けて地球を一回りしているということでございます。
それから、カーナビに利用されていますGPS衛星というのは高度二万キロメートルで飛行しておりまして、スペースシャトルなどは、そのときのミッションによって違うのですけれども、二百キロメートルから六百キロメートルの間を飛んでいます。
この弾道ミサイルの軌道なんですが、低高度の人工衛星軌道を横切って宇宙空間から落下してくると、こういうような飛しょう経路を通ることになっています。
今度は、兵器としての弾道ミサイルというのは、ペイロードとしまして弾頭を搭載しています。その弾頭の種類には、通常弾頭、これは火薬の入っている弾頭です、それから生物兵器弾頭、化学弾頭、核弾頭など、こういうような種類がございます。特に生物、化学、核弾頭は、ある高度より高い高度でその弾頭が起爆する前に破壊することがその弾頭を無力化するための条件ということになります。そのためには直撃ということで、直撃によって破壊をするということで大きなエネルギーが必要です。
図四には直撃の様相を示しておりますが、この図の左側から弾頭を示してありまして、これをキルビークルと言われる迎撃体が直撃し、破壊する例を示しています。右下の図は、小さな断片を放出するような弾頭では弾道ミサイルの弾頭を破壊することは困難ということで、例を示してあります。それから、同じくこの図には命中直前の赤外線画像を参考としてお示ししてあります。
次に、弾道ミサイル防衛の技術的な課題として問われるということで、まず当たるのか当たらないのかという話があると思います。
一般にはブレット・ツー・ブレット、弾丸を弾丸で撃つという表現で、非常に難しいとの印象を与えています。しかし、ここで思い起こしていただきたいのは、鉄砲あるいは大砲の弾丸というのは無誘導で、ただ真っすぐ飛ぶだけというものであるということです。ピッチャーがボールを投げます。これに対して、バッターはボールを見ながらバットが当たるようにコントロールするわけですが、それと同じことがこの迎撃ミサイルにも行われています。ミサイルに目がありまして、これはシーカーと呼んでいますけれども、この目が弾道ミサイルの像をとらえまして、これに向かって自分自身を制御して直撃に至るということになります。そのシーカーの目で見たのが先ほどお示ししました図四の赤外線画像ということになります。
アメリカにおきまして迎撃実験が何度か行われておりまして、これは一度命中に成功すれば技術的には直撃の可能性を実証したことということになります。つまり、一度成功すればもう一度同じことができるということで、もう既に弾道ミサイルを迎撃することが不可能ということは言えなくなったという状況にあると思います。
これからの課題としましては、運用に堪えるシステムを構築する、つまりシステムとしての信頼性を向上するということが課題となるということになります。表一にはペトリオットPAC3、SM3などの発射試験等の実績をお示ししてあります。
それから次に、全部を落とせないなら高いお金を払っての配備は無用であるという議論もありますが、軍事におきまして攻撃も防御も一〇〇%ということはないというふうに考えております。
これは、攻撃を受けたときにいかに被害を局限できるかとの観点で考える必要があるというふうに思います。そのために掛かるコストはどのぐらい許容できるかということだと思います。配備数、ミサイルの防衛に費やす妥当な費用規模については私が議論すべき内容だと思いませんのでこれ以上お話ししませんけれども、どんなシステムでも一〇〇%ということはないと、その中で現実的な解が求められているというふうに思います。
歴史的視点でもう一度整理してみますと、一九四〇年代に開発された弾道ミサイルV2、その現代版のスカッド、それを落とせるようになったのが一九九〇年代に入ってからです。つまり、弾道ミサイルを撃ち落とすことができるまで五十年掛かりました。防御というのは難しいということを証明していると思います。その難しい防御能力を持つということ、またそれを実証してみせるということは技術力の優位性を示すということだと思っています。
次に、日本の宇宙ロケット技術レベルはどの程度であるかということを見たいと思いますが、宇宙ロケット技術と言いましたけれども、基本的には弾道ミサイルの技術と同等のものだということです。日本は一九五五年にペンシルロケットの発射を行いました。今年でちょうど五十年になります。その後、一九七〇年にラムダロケット、これは固体のロケットですが、これで人工衛星を打ち上げに成功しました。世界で四番目の打ち上げということです。
これは、人工衛星を打ち上げたということは、地球上のどこにでも飛ばせる能力を実証したということになります。日本人のその当時の認識と関係なく、世界から日本に弾道ミサイルの技術ができたと見られたというふうに思います。
それから、液体ロケットのエンジンですけれども、一九七五年にアメリカから技術を導入したNⅠロケットというのを開発しまして人工衛星を打ち上げました。これが今のHⅡAロケットにつながっています。
今、弾道ミサイルとロケット技術を同じと言いましたけれども、人工衛星の打ち上げ能力ができたからといって、すぐに弾道ミサイルというものを造れるということではありません。技術的には同種のものですが、兵器としての要求事項はまた違うものであります。
先ほど来、迎撃する技術の方が打ち上げるより難しいということを申し述べましたが、それはより高い技術力を要求されているということだと思います。その弾道ミサイルを撃ち落とす技術能力を示すことが防衛技術の高さを示すということになると思っています。この迎撃実験による実証は技術の優位性を目に見える形で示すということだと思いますし、それは民間企業の技術、製造基盤に裏打ちされた技術の蓄積によってのみ可能というふうに思っております。
ミサイル防衛によって得られる技術は何かということを考えていきますと、目標を遠くで見付けるセンサーの技術とか目標を撃墜する技術、小さな目標に当てる誘導制御の技術、弾頭を無力化する技術などと、こういうのがあると思いますが、このような小さな目標に高速物体をぶつけてやるという精密誘導の技術。これは、この七月四日にアメリカのNASAがすい星に物体を衝突させました。ディープインパクトということでニュースになっていましたけれども、これは更に高度な精密誘導技術の成果だというふうに思っております。
あと、ミサイル防衛の技術としましては、効率よく運用する指揮統制の技術、短時間で意思を決定するための技術、大規模なシステムをまとめるためのシステム・オブ・システムの技術というものがあります。
これが民間に役に立つのかという疑問もあるわけですが、一つの例としましては、最近はタクシーに乗ってもカーナビを付けている車が多くなりましたけれども、軍事衛星であるGPSの利用が生活の一部になっていると。アメリカがこれを無償で世界じゅうで使うことを許しておりまして、いつの間にか軍事技術が生活の中に浸透しているということになっております。
この弾道ミサイルを迎撃する技術を開発するのにアメリカでも五十年掛かっているわけですけれども、これを日本独自でやるのは難しいと思いますので、やはりアメリカとの共同研究を更に拡大していくべきだというふうに思っております。
日本の構想としましては、二〇〇三年の十二月にBMDシステムの導入を政府が決定しましたので、それで導入するのがペトリオットシステムのPAC3、それから海上配備としましてはイージス艦等に搭載するSM3ミサイルということで、こういう地上配備、海上配備のシステムを導入するということで、この図を図五にお示ししてあります。
この装備に関しましては、日本が単独で開発していくのはなかなか困難だと思いますので、アメリカからの導入が現実的な解であるというふうに思っております。ライセンス生産をやることで日本に技術を導入し、防衛生産の基盤を維持することが効率的な運用になるというふうに思います。
あと、一九九九年から日米のBMD共同研究で四つの構成品の研究試作が開始されまして、これは今お手元の図六のところにお示ししてありますが、こういう日米共同研究に日本の技術者が参加することで最先端技術の開発に参加することができると。これは、我が国の防衛技術基盤の強化に貢献することができるというふうに考えております。
まとめますと、弾道ミサイル防衛には最先端技術が適用されており、それは民間技術への波及効果も期待できるということと、それからこの難しい技術開発に取り組むことで日本の技術立国たる技術の優位性を実証することになると思っています。この技術の優位性を示すことにより抑止が期待できまして、日本の安全保障のための大きな柱の一つになると信ずる次第であります。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →現在は三菱重工の本社で営業を主体に活動しておりますけれども、大学で機械工学を専攻しまして、三菱重工に入社して以来ずっとミサイルの設計作業に携わってまいりました。
また、ミサイル防衛に関しましては、一九八八年の十二月から開始されました西太平洋戦域ミサイル防衛構想研究、通称WESTPACスタディーのときから担当しております。
本日は、弾道ミサイル防衛に関する技術的な課題について御説明させていただく機会を与えていただきましたことを誠に光栄に存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元に資料を配付してありますが、まず、弾道ミサイルとは何かということからお話ししたいと思います。
世界初の弾道ミサイルは、一九四〇年代にドイツによって開発されたV2号です。このミサイルは、フォン・ブラウン博士らによって開発されまして、全部で五千基生産されたと言われています。実戦で使用されまして、イギリスを恐怖に陥れました。フォン・ブラウン博士の夢は宇宙飛行でありましたが、兵器開発は最先端技術であり、これを行うことにより宇宙飛行の技術を確立しようと考えたと言われております。
一九九一年の中東湾岸戦争におきまして、イラクからスカッドミサイルが発射されたのは記憶に新しいところであります。イラクから発射されたスカッドは、ソ連が開発しましたスカッドBをベースに射程を延伸するよう改良されたものでした。スカッドBの直径はV2型の約半分で、射程は約三百キロメートル、そのペイロードは約一トンということで、これはV2型とほとんど同等であります。お手元の資料の図一にV2型とスカッドの比較を載せてありますので、まあ大きさの感じが分かると思います。
現在、日本への脅威と考えられているスカッドの発展型であるノドン、テポドンなどはスカッドの技術、すなわちV2型の技術をベースに更に改良を加えたものと考えられています。
次に、弾道ミサイルの定義とは何かということを整理してみたいと思っています。
一般的には射程三百キロメートル以上で弾道飛しょうするミサイルと言われています。最小射程の明確な定義はありませんけれども、射程百キロ程度のものも弾道ミサイルの分類に入れている例もあります。
野球のボールを遠くまで飛ばすには投げるスピードを速くすればよいというのは子供でも分かる理屈でありますけれども、弾道ミサイルの速度というのはロケットモーター、ロケットエンジンですが、この燃焼終了時の速度、これをバーンアウト速度と呼んでいますけれども、この速度で規定されています。これが速ければ速いほど遠くまで飛ぶということになります。射程三百キロメートルであれば約一・五キロメートル・パー・セック、一秒間に一・五キロメートルです。それから、射程千三百キロメートルになりますと、約三キロメートル・パー・セックということで、音速の約十倍、マッハ十相当というふうに言われています。
もっと遠くまで届く大陸間弾道ミサイル、ICBMと呼びますけれども、ICBMになりますと、このバーンアウト速度というのは六キロメートルから七キロメートル・パー・セックと、パー・セカンドになります。この速度が更に速くなりまして七・九キロメートル・パー・セカンドになりますと人工衛星になるということで、スピードをどんどん上げていくと最終的には人工衛星になるという形になります。この図二に速度と射程の関係ということを示してあります。
また、ちょっと話が戻りますが、一九五七年にソ連は世界で初めてスプートニク人工衛星を打ち上げました。いわゆるスプートニクショックと言われています。アメリカは、ソ連に大陸間弾道ミサイルができたということで大変なショックを受けたわけです。このときから世界は本格的な宇宙開発競争の時代に入りまして、また、これは同時にICBMが実用化に向け本格的に開発が開始された年だというふうにも認識しております。
図の三に弾道ミサイルと衛星の高度の関係を示しました。
地球の半径は約六千四百キロメートルで、日ごろ日常的にお世話になっているというか、こういう衛星に気象衛星、放送衛星等があります。これは高度三万六千キロメートルの赤道上空で地球を回っております。地球の自転速度と同じ速度で回っているものですから、いつも同じところに見えるということで静止衛星と呼ばれています。実際には一日掛けて地球を一回りしているということでございます。
それから、カーナビに利用されていますGPS衛星というのは高度二万キロメートルで飛行しておりまして、スペースシャトルなどは、そのときのミッションによって違うのですけれども、二百キロメートルから六百キロメートルの間を飛んでいます。
この弾道ミサイルの軌道なんですが、低高度の人工衛星軌道を横切って宇宙空間から落下してくると、こういうような飛しょう経路を通ることになっています。
今度は、兵器としての弾道ミサイルというのは、ペイロードとしまして弾頭を搭載しています。その弾頭の種類には、通常弾頭、これは火薬の入っている弾頭です、それから生物兵器弾頭、化学弾頭、核弾頭など、こういうような種類がございます。特に生物、化学、核弾頭は、ある高度より高い高度でその弾頭が起爆する前に破壊することがその弾頭を無力化するための条件ということになります。そのためには直撃ということで、直撃によって破壊をするということで大きなエネルギーが必要です。
図四には直撃の様相を示しておりますが、この図の左側から弾頭を示してありまして、これをキルビークルと言われる迎撃体が直撃し、破壊する例を示しています。右下の図は、小さな断片を放出するような弾頭では弾道ミサイルの弾頭を破壊することは困難ということで、例を示してあります。それから、同じくこの図には命中直前の赤外線画像を参考としてお示ししてあります。
次に、弾道ミサイル防衛の技術的な課題として問われるということで、まず当たるのか当たらないのかという話があると思います。
一般にはブレット・ツー・ブレット、弾丸を弾丸で撃つという表現で、非常に難しいとの印象を与えています。しかし、ここで思い起こしていただきたいのは、鉄砲あるいは大砲の弾丸というのは無誘導で、ただ真っすぐ飛ぶだけというものであるということです。ピッチャーがボールを投げます。これに対して、バッターはボールを見ながらバットが当たるようにコントロールするわけですが、それと同じことがこの迎撃ミサイルにも行われています。ミサイルに目がありまして、これはシーカーと呼んでいますけれども、この目が弾道ミサイルの像をとらえまして、これに向かって自分自身を制御して直撃に至るということになります。そのシーカーの目で見たのが先ほどお示ししました図四の赤外線画像ということになります。
アメリカにおきまして迎撃実験が何度か行われておりまして、これは一度命中に成功すれば技術的には直撃の可能性を実証したことということになります。つまり、一度成功すればもう一度同じことができるということで、もう既に弾道ミサイルを迎撃することが不可能ということは言えなくなったという状況にあると思います。
これからの課題としましては、運用に堪えるシステムを構築する、つまりシステムとしての信頼性を向上するということが課題となるということになります。表一にはペトリオットPAC3、SM3などの発射試験等の実績をお示ししてあります。
それから次に、全部を落とせないなら高いお金を払っての配備は無用であるという議論もありますが、軍事におきまして攻撃も防御も一〇〇%ということはないというふうに考えております。
これは、攻撃を受けたときにいかに被害を局限できるかとの観点で考える必要があるというふうに思います。そのために掛かるコストはどのぐらい許容できるかということだと思います。配備数、ミサイルの防衛に費やす妥当な費用規模については私が議論すべき内容だと思いませんのでこれ以上お話ししませんけれども、どんなシステムでも一〇〇%ということはないと、その中で現実的な解が求められているというふうに思います。
歴史的視点でもう一度整理してみますと、一九四〇年代に開発された弾道ミサイルV2、その現代版のスカッド、それを落とせるようになったのが一九九〇年代に入ってからです。つまり、弾道ミサイルを撃ち落とすことができるまで五十年掛かりました。防御というのは難しいということを証明していると思います。その難しい防御能力を持つということ、またそれを実証してみせるということは技術力の優位性を示すということだと思っています。
次に、日本の宇宙ロケット技術レベルはどの程度であるかということを見たいと思いますが、宇宙ロケット技術と言いましたけれども、基本的には弾道ミサイルの技術と同等のものだということです。日本は一九五五年にペンシルロケットの発射を行いました。今年でちょうど五十年になります。その後、一九七〇年にラムダロケット、これは固体のロケットですが、これで人工衛星を打ち上げに成功しました。世界で四番目の打ち上げということです。
これは、人工衛星を打ち上げたということは、地球上のどこにでも飛ばせる能力を実証したということになります。日本人のその当時の認識と関係なく、世界から日本に弾道ミサイルの技術ができたと見られたというふうに思います。
それから、液体ロケットのエンジンですけれども、一九七五年にアメリカから技術を導入したNⅠロケットというのを開発しまして人工衛星を打ち上げました。これが今のHⅡAロケットにつながっています。
今、弾道ミサイルとロケット技術を同じと言いましたけれども、人工衛星の打ち上げ能力ができたからといって、すぐに弾道ミサイルというものを造れるということではありません。技術的には同種のものですが、兵器としての要求事項はまた違うものであります。
先ほど来、迎撃する技術の方が打ち上げるより難しいということを申し述べましたが、それはより高い技術力を要求されているということだと思います。その弾道ミサイルを撃ち落とす技術能力を示すことが防衛技術の高さを示すということになると思っています。この迎撃実験による実証は技術の優位性を目に見える形で示すということだと思いますし、それは民間企業の技術、製造基盤に裏打ちされた技術の蓄積によってのみ可能というふうに思っております。
ミサイル防衛によって得られる技術は何かということを考えていきますと、目標を遠くで見付けるセンサーの技術とか目標を撃墜する技術、小さな目標に当てる誘導制御の技術、弾頭を無力化する技術などと、こういうのがあると思いますが、このような小さな目標に高速物体をぶつけてやるという精密誘導の技術。これは、この七月四日にアメリカのNASAがすい星に物体を衝突させました。ディープインパクトということでニュースになっていましたけれども、これは更に高度な精密誘導技術の成果だというふうに思っております。
あと、ミサイル防衛の技術としましては、効率よく運用する指揮統制の技術、短時間で意思を決定するための技術、大規模なシステムをまとめるためのシステム・オブ・システムの技術というものがあります。
これが民間に役に立つのかという疑問もあるわけですが、一つの例としましては、最近はタクシーに乗ってもカーナビを付けている車が多くなりましたけれども、軍事衛星であるGPSの利用が生活の一部になっていると。アメリカがこれを無償で世界じゅうで使うことを許しておりまして、いつの間にか軍事技術が生活の中に浸透しているということになっております。
この弾道ミサイルを迎撃する技術を開発するのにアメリカでも五十年掛かっているわけですけれども、これを日本独自でやるのは難しいと思いますので、やはりアメリカとの共同研究を更に拡大していくべきだというふうに思っております。
日本の構想としましては、二〇〇三年の十二月にBMDシステムの導入を政府が決定しましたので、それで導入するのがペトリオットシステムのPAC3、それから海上配備としましてはイージス艦等に搭載するSM3ミサイルということで、こういう地上配備、海上配備のシステムを導入するということで、この図を図五にお示ししてあります。
この装備に関しましては、日本が単独で開発していくのはなかなか困難だと思いますので、アメリカからの導入が現実的な解であるというふうに思っております。ライセンス生産をやることで日本に技術を導入し、防衛生産の基盤を維持することが効率的な運用になるというふうに思います。
あと、一九九九年から日米のBMD共同研究で四つの構成品の研究試作が開始されまして、これは今お手元の図六のところにお示ししてありますが、こういう日米共同研究に日本の技術者が参加することで最先端技術の開発に参加することができると。これは、我が国の防衛技術基盤の強化に貢献することができるというふうに考えております。
まとめますと、弾道ミサイル防衛には最先端技術が適用されており、それは民間技術への波及効果も期待できるということと、それからこの難しい技術開発に取り組むことで日本の技術立国たる技術の優位性を実証することになると思っています。この技術の優位性を示すことにより抑止が期待できまして、日本の安全保障のための大きな柱の一つになると信ずる次第であります。
御清聴ありがとうございました。
林
石
石川卓#5
○参考人(石川卓君) 東洋英和女学院大学の石川卓と申します。よろしくお願いします。
本日は、ミサイル防衛につきまして、特にアメリカにとってのミサイル防衛の意義、その背景となります国際安全保障環境といったことを中心にお話ししまして、それを踏まえました上で、我が国のミサイル防衛に関しまして若干留意すべき点といったことを述べさせていただきたいと存じます。
簡単ではございますけれども、おおむねお手元のレジュメに沿って進めてまいりたいと存じます。
ミサイル、特に弾道ミサイルの拡散というのは冷戦終結の前後から加速度的に進んできておりまして、今日、その拡散と申しますのは、大量破壊兵器、WMDの拡散と並び国際社会全体にとっての主要な脅威の一つと広く考えられております。
今日では、その資料記載の表一にもございますように、三十か国以上が弾道ミサイルを既に保有し、更に今開発を重ねていると言われるわけです。特に第三世界における旧ソ連製のスカッドミサイルというものをベースとした戦域ミサイルの拡散というものが顕著でございますけれども、特に途上国にとりましてはミサイルというのは高価で貴重な兵器であると。そのため、効用最大化をねらいまして弾頭にWMD、大量破壊兵器が使われる可能性が高いとも言われております。このこともミサイル拡散というものが深刻な脅威であるとみなされる一因になっていると考えられるわけです。
他方、安全保障に不安を抱えている国あるいは大国と良好な関係にない中小国にとりましては、近隣の敵国に対する軍事的優位というものだけではなく、域外の大国の干渉に対する政治的自立性というものを確保するためにもミサイルの魅力というのは大きくて、これがミサイル拡散が進む要因の一つになっていると言えます。また、例えば核兵器に比べまして必要となる技術や材料の入手というものがより容易であるということもその拡散を助長することになっていると言えるわけです。
これに対しまして、表二に簡単にまとめましたように、ミサイル不拡散の枠組みづくりというものも進められてきております。西側先進諸国の輸出規制枠組みにすぎないMTCRというものに加えまして、最近ではミサイルを否定する国際的な規範の形成というものも進みまして、二〇〇二年にはいわゆるハーグ行動規範というものも採択されております。翌〇三年にはアメリカの主導で拡散防止構想、PSIというものも立ち上がっておるわけです。
しかしながら、周知のように、ミサイル不拡散の枠組みというものにはいずれも限界がございます。MTCRやハーグ行動規範というのは法的拘束力がない云々ということもございますけれども、枠組みの外ですね、つまり非加盟国間における拡散に対してはほぼ無力であります。実際、拡散というのは主にその枠外で生じてきたわけでございます。
そのためもありましてアメリカが主導してつくられたのがPSIでございますけれども、PSIも、その独自開発とか垂直拡散ですね、つまり保有国が保有量を増加するとか質的向上を図る、主に射程を延ばすということですけれども、そういったことに対しては余り効果を持ち得ないという。ただ、一方ではPSIというのは不拡散枠組み外での拡散について一定の成果を上げてきてもおりますけれども、当然のことではございますけれども、すべての技術移転ということを阻止することはできないということがあるわけでございます。
そのため、アメリカはこうした不拡散枠組みの強化というものと並行しまして拡散対抗というものを打ち出し、その一環としてミサイル防衛というものを進めてきたわけでございます。拡散対抗というのはクリントン政権が九三年に打ち出したものでありますけれども、これは、大量破壊兵器及びミサイルの拡散というものが既に起こっているということを前提としまして、これに対処する能力を強化していくことによって既存の不拡散政策というものを補完しようというものであります。
ただし、そのアメリカのミサイル防衛というものは単にミサイルやWMDの拡散への対抗措置として進められてきただけというわけではございません。それは、むしろ冷戦後の脅威の変質に伴う抑止態勢というものの変更の一環として推進され、また同時に正当化されてきたと言えるものであります。
つまり、その主要な脅威というものが、冷戦期にはアメリカと相互確証破壊関係、MAD関係ですね、にありましたソ連であったわけですけれども、そのソ連から、冷戦後には、より小規模ではございますけれども、WMD及びミサイルというものを保有若しくは志向する、さらに既存秩序の変更を図ろうとするいわゆるログステーツ、ならず者国家へと変化したということがありまして、これを受けて、大規模な報復の威嚇を基軸とする抑止、いわゆる懲罰的抑止というものから、敵の目的達成を逐一阻止する態勢の強化というものを基軸とする拒否的抑止へと修正していく必要が生じまして、ミサイル防衛というのはミサイルを様々な形で活用した敵の目的達成というものを拒否する要素として極めて重視されるようになったと言えるわけであります。
ここでは、そのならず者国家というものがより合理性の低い主体であり、大規模報復の脅しというものが利きにくいということが一つの前提となっております。そのため、ならず者国家というものが現実に起こし得る秩序攪乱行為というものを逐一つぶしていく、拒否していくための能力が必要になる、それによってそういう行為を抑止するということが想定されているわけです。
そして、そうしたその拒否能力、拒否力の強化には、ミサイル防衛以外でいいますと、当然、巨大な核戦力ではなく、より使い勝手のいい通常戦力の拡充というものが必要になってくるわけです。精密爆撃能力というのが代表的ですけれども、同時に、そうした能力を使用する戦域に迅速に派遣する能力、戦力投射能力というものの向上が特に必要になるわけです。
とりわけ、そのミサイル防衛、精密爆撃能力、戦力投射能力の三点が重視されますのは、冷戦後の一極構造下におきましては、そのアメリカの武力行使の形態というものがほぼ排他的にいわゆる介入型の武力行使になるということが想定されているためであります。これには、例えば湾岸戦争のような地域紛争への介入、あるいはボスニア及びコソボ若しくはソマリアのような内戦、あるいはその中で展開される大量虐殺などのような非人道的行為への介入と、それから九八年、〇一年のイラク空爆のような拡散阻止のための攻撃といった形の武力行使、言わば国際秩序の維持、回復というものを図るための警察行動的な武力行使というのが冷戦後のアメリカの武力行使の典型的な形態となっているということがあるわけです。
いずれの場合にも、精密爆撃能力、戦力投射能力というものが重要になるということは容易に理解いただけると思うのですけれども、そこでミサイル防衛が重要になりますのは、相手がミサイル保有国である場合に、ミサイル防衛のシステムがないと介入そのものをちゅうちょせざるを得なくなる可能性が高まるということがあるわけです。
例えば、日本、我が国に関して考えていただければ簡単なんですけれども、日本がミサイル攻撃というものを受ける可能性が高い状況ではアメリカが北朝鮮の核開発施設を爆撃するということはより難しくなるといった、そういった論理がそこにはあるわけであります。
そして、もしそうなれば、秩序維持、回復の最終手段としての武力行使の威嚇というものの信憑性というものも低下してしまうと。その威嚇によって、侵略国の撤退あるいは非人道的行為の停止あるいはWMD開発の停止といった目標を達成できる可能性も当然低下してしまうということになるわけですね。そこでミサイル防衛というものが重視されるということになるわけです。
ちなみに、こうした拒否力の抑止効果というものを最大化するためには、時にそれを使用するということが必要にならざるを得ない場合もございます。抑止というのは、威嚇を実行できる能力だけではなく、威嚇を実施する意思というものも必要とするものだからであります。
よくアメリカによる軍事介入というものを批判して、振り上げたこぶしは振り下ろさなければならないというようなことが言われますけれども、結果は確かに同じなのかもしれませんけれども、事はそう単純ではないわけでございまして、威嚇を発した側としては、要求が十分に通っていない、受け入れられていないにもかかわらず威嚇を実行しないということが度重なっていけば、将来的にその威嚇の信憑性が低下するという可能性も考慮せざるを得ないということが言えるわけです。
非常に簡単ですけれども、おおむね以上のような、抑止態勢変容というものの重要な一要素として、アメリカはミサイル防衛を冷戦後特に力を入れて追求してきたということが言えるわけです。
しかしながら、こうした抑止態勢の変容というものには一つのジレンマというものが伴います。
確かに、ならず者国家、非人道的行為あるいはWMDの拡散というものに対処するためには、そのことだけを取れば拒否的抑止への移行というのは合理的な対応であると言えるわけです。しかし、それは、特にロシア、次いで中国といった既存の核保有国との戦略的な関係というものを若干動揺させる、場合によっては悪化させる可能性というものも持っているということがどうしても指摘せざるを得ないわけですね。
実際、冷戦終結後、米ロはしばしばミサイル防衛をめぐって衝突してきました。また、その米ロ関係の悪化を懸念して、西ヨーロッパ諸国がアメリカのミサイル防衛を牽制あるいは警戒するといった場面も見られてきたわけです。
言い換えますと、今日の主要脅威により効果的に対処しようとすることが、ロシアあるいは中国といったアメリカと、難しいんですけれども、微妙な関係にある国とアメリカとの関係というものを悪化させて、ひいてはアメリカとその同盟国との関係も緊張させ得るということにつながり得ると、そういった構図が冷戦後の国際システムには見られるということだろうと思います。
クリントン政権が、例えば戦域ミサイル防衛、TMDというものに比べて本土ミサイル防衛、NMDというものに消極的だったのも、部分的にはそうした背景があったわけです。ブッシュ政権ですらも政権発足後しばらくはロシアに対する配慮というものを示していたわけです。結局、ABM条約脱退という形でブッシュ政権が既存の一線というものを超えるきっかけになったのは、やはり九・一一事件というものであっただろうと考えられます。
ブッシュ政権は、対テロ戦争での米ロ協調というものができたわけですけれども、これを利用し、また、実は余り現実性のないテロ組織とミサイルの結び付きというものを強調するといった形でABM条約の脱退というものを非常に低コストで実現し、その公約どおり、本土防衛も含む大規模なミサイル防衛網の構築へと弾みを付けたと言っていいかと思います。
ただし、これまでのお話からも分かると思いますけれども、こうしたミサイル防衛も含めた拒否的抑止態勢への移行というのは、決してブッシュ政権によって始まったものではなく、冷戦終結前後から着実に進められてきたものでありまして、ブッシュ政権はこの変化を加速化させたにすぎないと言っていいものと思います。
また、ブッシュ・ドクトリン、いわゆる先制攻撃ドクトリンというものもこの変化の延長線上に位置付けるべきものであると考えております。
それは、よく言われますように、抑止の利かないテロ脅威の台頭というものを受けまして抑止を放棄したということでは決してなく、むしろ強化されてきた拒否的抑止態勢の発動というものを公言することによってこの抑止の態勢の抑止効果というものを高めようとするものであると言えます。
しかしながら、そうしたブッシュ政権の政策も、拒否的抑止への移行に伴う、先ほどから申し上げているジレンマというものと無縁であるわけではないわけですね。
確かに、ABM条約脱退というものは、ロシア、中国の反発というものが控え目であったこともありまして、アメリカとヨーロッパ、米欧関係にもさしたる緊張を生じることはなかったわけです。しかし、その延長線上にあると先ほど申しました先制攻撃ドクトリンというものがイラク問題をめぐって実践されそうになってくると、米ロ関係というのは非常に悪化しましたし、御存じのように、米欧関係にも深刻な亀裂が生じたわけです。
むろん、そうした関係悪化とか亀裂というのは永続するものではございませんけれども、拒否的抑止への移行に伴うジレンマそのものが消滅するということではございません。したがいまして、ミサイル防衛というものが能力的に高度化していくにつれてこのジレンマが表出してくる可能性というのは理論的には高くなるということが言えるわけです。
以上を踏まえまして、最後に、我が国にとってのミサイル防衛というものについて若干留意すべきことということを述べておきたいと存じます。
まず、我が国にとって拒否的抑止への移行に伴うジレンマというのはかなり深刻な問題になり得るということです。言い換えれば、そういう難しい環境に今我が国は置かれているということであります。
これはもう自明のことでありますけれども、拒否的抑止というものが必要とされる、北朝鮮のかなり顕在的な脅威に直面していると同時に、こちらは評価が大きく分かれるかと思いますけれども、中国という潜在的脅威というものも抱えているためであります。今般導入されるミサイル防衛システムではさほどそのジレンマが顕在化することはないかもしれませんけれども、日本若しくは日米の戦域ミサイル防衛能力、そしてアメリカの本土ミサイル防衛能力というものが高まっていけばこのジレンマを顕在化させることになっていくということも完全には否定できないということだろうと思います。
確かに、ミサイル防衛の推進というものは我が国に幾つかのメリットというものをもたらし得ると思います。
まず、アメリカがミサイル防衛協力への参加とかあるいはシステムの導入というものを日本を含め同盟国、友好国にずっと求め続けてきたということを踏まえれば、これを進めていくことは日米同盟を政治的な意味で強化するということにつながると言えるわけですし、今後の配備、運用における協力次第では、日米間のいわゆる相互運用性の強化、インターオペラビリティーの強化にもつながり得るわけです。そうなれば、北朝鮮あるいは中国に対する抑止効果の向上というものも望めることになるのかもしれません。たとえ今般配備されるミサイル防衛システムの能力が全体、総体的に見て十分ではないとしましても、日米同盟の緊密化というものが持つ政治的、象徴的意味合いというのも決して無視できるものではないだろうと考えられます。
また、かなり楽観的に考えれば、うまくいけば、東アジアにおける軍備管理、軍縮の契機というものを提供できるのかもしれない。さらに言えば、日米の技術協力の拡大ということにもつながっていき得るわけです。
しかしながら、いずれのメリットにも一定のリスクというものは伴うということも同時に指摘せざるを得ないというふうに思います。
例えば、相互運用性の強化というものは、情報面、軍事面における、言葉は余り私も気に入りませんけれども、対米従属性というものにつながるかもしれませんし、北朝鮮若しくは中国が対抗措置というものをとれば抑止効果も相殺されてしまうかもしれないということは完全には否定できない。
また、これは反対派が長く主張してきたことでございますけれども、軍備管理、軍縮ではなくて連鎖的な軍拡競争というものを促してしまう。これは、程度はともかくとして完全には否定できないかもしれないということですね。さらには、日米間の技術協力の拡大というのは、やはり日本の経済的利益ですね、特に知的財産面での損失というものにつながるおそれもなくはないということですね。さらに、その軍縮外交の理念といったことにももしかしたら傷が付くかもしれないということだと思います。
こういったことに関してはいろいろな意見があると思いますけれども、私個人としましては、学問的により正しいのは、いずれに転ぶかはだれにも断言できないと言わざるを得ないということだと思います。とは申しましても、まずミサイル防衛というものは万能薬ではないということは肝に銘じておくことが必要であろうというふうに考えております。
例えば、日米同盟の抑止効果を向上させるためには、単にミサイル防衛を導入すればいいということではなくて、それを含めて様々な努力が多方面で必要になるわけですし、そのミサイル防衛の導入やその運用をめぐる協力というのはその一つの契機になるにすぎませんと。軍縮、軍備管理効果みたいなものを発揮させたいと思うのであれば、相当に難しい交渉というものを東アジアにおいて展開していく必要があるといった形で、様々な課題がそこに待ち受けているということであります。
しかしながら、その配備というものを既に決めているわけですから、そうである以上は、その効用最大化を目指すべきであるということも当然考えなければいけないわけであります。シビリアンコントロールの確保など非常に難しい問題がありますけれども、例えば事故的発射というものが起こった際に、現場が撃墜をちゅうちょし、その結果国民に不要な被害が出るといったようなことは法制度上やはり最大限回避できるようにしておくことが必要であるというふうに考えられます。
ついでに申し上げますと、今回の法改正では、主として今般導入されるシステムの運用を想定していると考えるべきではないかと思われます。つまり、今後システムの能力というものが向上していった場合、具体的に言えば、ブースト段階迎撃というものが出てきた段階で更なる法改正の検討というものが必要になる。逆に言えば、今回はそういったことはある意味で考えておくことは必要ですけれども、切り離して今回の法改正というものを検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
最後に、安全保障環境の変質というものが起こっている以上、ミサイル防衛システムの開発というものはもはや避け難い課題であるということは指摘せざるを得ない。確かに、オフェンス、ディフェンスの競争というのはオフェンス有利であるということは完全には否定できないわけですけれども、だからといってその開発を初めからあきらめるというようなことはあってはならない。それが許されるような環境に今日我々は置かれていないということを認めることが非常に必要なことになっているというふうに考えております。
時間ですので、以上で終わらせていただきます。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、ミサイル防衛につきまして、特にアメリカにとってのミサイル防衛の意義、その背景となります国際安全保障環境といったことを中心にお話ししまして、それを踏まえました上で、我が国のミサイル防衛に関しまして若干留意すべき点といったことを述べさせていただきたいと存じます。
簡単ではございますけれども、おおむねお手元のレジュメに沿って進めてまいりたいと存じます。
ミサイル、特に弾道ミサイルの拡散というのは冷戦終結の前後から加速度的に進んできておりまして、今日、その拡散と申しますのは、大量破壊兵器、WMDの拡散と並び国際社会全体にとっての主要な脅威の一つと広く考えられております。
今日では、その資料記載の表一にもございますように、三十か国以上が弾道ミサイルを既に保有し、更に今開発を重ねていると言われるわけです。特に第三世界における旧ソ連製のスカッドミサイルというものをベースとした戦域ミサイルの拡散というものが顕著でございますけれども、特に途上国にとりましてはミサイルというのは高価で貴重な兵器であると。そのため、効用最大化をねらいまして弾頭にWMD、大量破壊兵器が使われる可能性が高いとも言われております。このこともミサイル拡散というものが深刻な脅威であるとみなされる一因になっていると考えられるわけです。
他方、安全保障に不安を抱えている国あるいは大国と良好な関係にない中小国にとりましては、近隣の敵国に対する軍事的優位というものだけではなく、域外の大国の干渉に対する政治的自立性というものを確保するためにもミサイルの魅力というのは大きくて、これがミサイル拡散が進む要因の一つになっていると言えます。また、例えば核兵器に比べまして必要となる技術や材料の入手というものがより容易であるということもその拡散を助長することになっていると言えるわけです。
これに対しまして、表二に簡単にまとめましたように、ミサイル不拡散の枠組みづくりというものも進められてきております。西側先進諸国の輸出規制枠組みにすぎないMTCRというものに加えまして、最近ではミサイルを否定する国際的な規範の形成というものも進みまして、二〇〇二年にはいわゆるハーグ行動規範というものも採択されております。翌〇三年にはアメリカの主導で拡散防止構想、PSIというものも立ち上がっておるわけです。
しかしながら、周知のように、ミサイル不拡散の枠組みというものにはいずれも限界がございます。MTCRやハーグ行動規範というのは法的拘束力がない云々ということもございますけれども、枠組みの外ですね、つまり非加盟国間における拡散に対してはほぼ無力であります。実際、拡散というのは主にその枠外で生じてきたわけでございます。
そのためもありましてアメリカが主導してつくられたのがPSIでございますけれども、PSIも、その独自開発とか垂直拡散ですね、つまり保有国が保有量を増加するとか質的向上を図る、主に射程を延ばすということですけれども、そういったことに対しては余り効果を持ち得ないという。ただ、一方ではPSIというのは不拡散枠組み外での拡散について一定の成果を上げてきてもおりますけれども、当然のことではございますけれども、すべての技術移転ということを阻止することはできないということがあるわけでございます。
そのため、アメリカはこうした不拡散枠組みの強化というものと並行しまして拡散対抗というものを打ち出し、その一環としてミサイル防衛というものを進めてきたわけでございます。拡散対抗というのはクリントン政権が九三年に打ち出したものでありますけれども、これは、大量破壊兵器及びミサイルの拡散というものが既に起こっているということを前提としまして、これに対処する能力を強化していくことによって既存の不拡散政策というものを補完しようというものであります。
ただし、そのアメリカのミサイル防衛というものは単にミサイルやWMDの拡散への対抗措置として進められてきただけというわけではございません。それは、むしろ冷戦後の脅威の変質に伴う抑止態勢というものの変更の一環として推進され、また同時に正当化されてきたと言えるものであります。
つまり、その主要な脅威というものが、冷戦期にはアメリカと相互確証破壊関係、MAD関係ですね、にありましたソ連であったわけですけれども、そのソ連から、冷戦後には、より小規模ではございますけれども、WMD及びミサイルというものを保有若しくは志向する、さらに既存秩序の変更を図ろうとするいわゆるログステーツ、ならず者国家へと変化したということがありまして、これを受けて、大規模な報復の威嚇を基軸とする抑止、いわゆる懲罰的抑止というものから、敵の目的達成を逐一阻止する態勢の強化というものを基軸とする拒否的抑止へと修正していく必要が生じまして、ミサイル防衛というのはミサイルを様々な形で活用した敵の目的達成というものを拒否する要素として極めて重視されるようになったと言えるわけであります。
ここでは、そのならず者国家というものがより合理性の低い主体であり、大規模報復の脅しというものが利きにくいということが一つの前提となっております。そのため、ならず者国家というものが現実に起こし得る秩序攪乱行為というものを逐一つぶしていく、拒否していくための能力が必要になる、それによってそういう行為を抑止するということが想定されているわけです。
そして、そうしたその拒否能力、拒否力の強化には、ミサイル防衛以外でいいますと、当然、巨大な核戦力ではなく、より使い勝手のいい通常戦力の拡充というものが必要になってくるわけです。精密爆撃能力というのが代表的ですけれども、同時に、そうした能力を使用する戦域に迅速に派遣する能力、戦力投射能力というものの向上が特に必要になるわけです。
とりわけ、そのミサイル防衛、精密爆撃能力、戦力投射能力の三点が重視されますのは、冷戦後の一極構造下におきましては、そのアメリカの武力行使の形態というものがほぼ排他的にいわゆる介入型の武力行使になるということが想定されているためであります。これには、例えば湾岸戦争のような地域紛争への介入、あるいはボスニア及びコソボ若しくはソマリアのような内戦、あるいはその中で展開される大量虐殺などのような非人道的行為への介入と、それから九八年、〇一年のイラク空爆のような拡散阻止のための攻撃といった形の武力行使、言わば国際秩序の維持、回復というものを図るための警察行動的な武力行使というのが冷戦後のアメリカの武力行使の典型的な形態となっているということがあるわけです。
いずれの場合にも、精密爆撃能力、戦力投射能力というものが重要になるということは容易に理解いただけると思うのですけれども、そこでミサイル防衛が重要になりますのは、相手がミサイル保有国である場合に、ミサイル防衛のシステムがないと介入そのものをちゅうちょせざるを得なくなる可能性が高まるということがあるわけです。
例えば、日本、我が国に関して考えていただければ簡単なんですけれども、日本がミサイル攻撃というものを受ける可能性が高い状況ではアメリカが北朝鮮の核開発施設を爆撃するということはより難しくなるといった、そういった論理がそこにはあるわけであります。
そして、もしそうなれば、秩序維持、回復の最終手段としての武力行使の威嚇というものの信憑性というものも低下してしまうと。その威嚇によって、侵略国の撤退あるいは非人道的行為の停止あるいはWMD開発の停止といった目標を達成できる可能性も当然低下してしまうということになるわけですね。そこでミサイル防衛というものが重視されるということになるわけです。
ちなみに、こうした拒否力の抑止効果というものを最大化するためには、時にそれを使用するということが必要にならざるを得ない場合もございます。抑止というのは、威嚇を実行できる能力だけではなく、威嚇を実施する意思というものも必要とするものだからであります。
よくアメリカによる軍事介入というものを批判して、振り上げたこぶしは振り下ろさなければならないというようなことが言われますけれども、結果は確かに同じなのかもしれませんけれども、事はそう単純ではないわけでございまして、威嚇を発した側としては、要求が十分に通っていない、受け入れられていないにもかかわらず威嚇を実行しないということが度重なっていけば、将来的にその威嚇の信憑性が低下するという可能性も考慮せざるを得ないということが言えるわけです。
非常に簡単ですけれども、おおむね以上のような、抑止態勢変容というものの重要な一要素として、アメリカはミサイル防衛を冷戦後特に力を入れて追求してきたということが言えるわけです。
しかしながら、こうした抑止態勢の変容というものには一つのジレンマというものが伴います。
確かに、ならず者国家、非人道的行為あるいはWMDの拡散というものに対処するためには、そのことだけを取れば拒否的抑止への移行というのは合理的な対応であると言えるわけです。しかし、それは、特にロシア、次いで中国といった既存の核保有国との戦略的な関係というものを若干動揺させる、場合によっては悪化させる可能性というものも持っているということがどうしても指摘せざるを得ないわけですね。
実際、冷戦終結後、米ロはしばしばミサイル防衛をめぐって衝突してきました。また、その米ロ関係の悪化を懸念して、西ヨーロッパ諸国がアメリカのミサイル防衛を牽制あるいは警戒するといった場面も見られてきたわけです。
言い換えますと、今日の主要脅威により効果的に対処しようとすることが、ロシアあるいは中国といったアメリカと、難しいんですけれども、微妙な関係にある国とアメリカとの関係というものを悪化させて、ひいてはアメリカとその同盟国との関係も緊張させ得るということにつながり得ると、そういった構図が冷戦後の国際システムには見られるということだろうと思います。
クリントン政権が、例えば戦域ミサイル防衛、TMDというものに比べて本土ミサイル防衛、NMDというものに消極的だったのも、部分的にはそうした背景があったわけです。ブッシュ政権ですらも政権発足後しばらくはロシアに対する配慮というものを示していたわけです。結局、ABM条約脱退という形でブッシュ政権が既存の一線というものを超えるきっかけになったのは、やはり九・一一事件というものであっただろうと考えられます。
ブッシュ政権は、対テロ戦争での米ロ協調というものができたわけですけれども、これを利用し、また、実は余り現実性のないテロ組織とミサイルの結び付きというものを強調するといった形でABM条約の脱退というものを非常に低コストで実現し、その公約どおり、本土防衛も含む大規模なミサイル防衛網の構築へと弾みを付けたと言っていいかと思います。
ただし、これまでのお話からも分かると思いますけれども、こうしたミサイル防衛も含めた拒否的抑止態勢への移行というのは、決してブッシュ政権によって始まったものではなく、冷戦終結前後から着実に進められてきたものでありまして、ブッシュ政権はこの変化を加速化させたにすぎないと言っていいものと思います。
また、ブッシュ・ドクトリン、いわゆる先制攻撃ドクトリンというものもこの変化の延長線上に位置付けるべきものであると考えております。
それは、よく言われますように、抑止の利かないテロ脅威の台頭というものを受けまして抑止を放棄したということでは決してなく、むしろ強化されてきた拒否的抑止態勢の発動というものを公言することによってこの抑止の態勢の抑止効果というものを高めようとするものであると言えます。
しかしながら、そうしたブッシュ政権の政策も、拒否的抑止への移行に伴う、先ほどから申し上げているジレンマというものと無縁であるわけではないわけですね。
確かに、ABM条約脱退というものは、ロシア、中国の反発というものが控え目であったこともありまして、アメリカとヨーロッパ、米欧関係にもさしたる緊張を生じることはなかったわけです。しかし、その延長線上にあると先ほど申しました先制攻撃ドクトリンというものがイラク問題をめぐって実践されそうになってくると、米ロ関係というのは非常に悪化しましたし、御存じのように、米欧関係にも深刻な亀裂が生じたわけです。
むろん、そうした関係悪化とか亀裂というのは永続するものではございませんけれども、拒否的抑止への移行に伴うジレンマそのものが消滅するということではございません。したがいまして、ミサイル防衛というものが能力的に高度化していくにつれてこのジレンマが表出してくる可能性というのは理論的には高くなるということが言えるわけです。
以上を踏まえまして、最後に、我が国にとってのミサイル防衛というものについて若干留意すべきことということを述べておきたいと存じます。
まず、我が国にとって拒否的抑止への移行に伴うジレンマというのはかなり深刻な問題になり得るということです。言い換えれば、そういう難しい環境に今我が国は置かれているということであります。
これはもう自明のことでありますけれども、拒否的抑止というものが必要とされる、北朝鮮のかなり顕在的な脅威に直面していると同時に、こちらは評価が大きく分かれるかと思いますけれども、中国という潜在的脅威というものも抱えているためであります。今般導入されるミサイル防衛システムではさほどそのジレンマが顕在化することはないかもしれませんけれども、日本若しくは日米の戦域ミサイル防衛能力、そしてアメリカの本土ミサイル防衛能力というものが高まっていけばこのジレンマを顕在化させることになっていくということも完全には否定できないということだろうと思います。
確かに、ミサイル防衛の推進というものは我が国に幾つかのメリットというものをもたらし得ると思います。
まず、アメリカがミサイル防衛協力への参加とかあるいはシステムの導入というものを日本を含め同盟国、友好国にずっと求め続けてきたということを踏まえれば、これを進めていくことは日米同盟を政治的な意味で強化するということにつながると言えるわけですし、今後の配備、運用における協力次第では、日米間のいわゆる相互運用性の強化、インターオペラビリティーの強化にもつながり得るわけです。そうなれば、北朝鮮あるいは中国に対する抑止効果の向上というものも望めることになるのかもしれません。たとえ今般配備されるミサイル防衛システムの能力が全体、総体的に見て十分ではないとしましても、日米同盟の緊密化というものが持つ政治的、象徴的意味合いというのも決して無視できるものではないだろうと考えられます。
また、かなり楽観的に考えれば、うまくいけば、東アジアにおける軍備管理、軍縮の契機というものを提供できるのかもしれない。さらに言えば、日米の技術協力の拡大ということにもつながっていき得るわけです。
しかしながら、いずれのメリットにも一定のリスクというものは伴うということも同時に指摘せざるを得ないというふうに思います。
例えば、相互運用性の強化というものは、情報面、軍事面における、言葉は余り私も気に入りませんけれども、対米従属性というものにつながるかもしれませんし、北朝鮮若しくは中国が対抗措置というものをとれば抑止効果も相殺されてしまうかもしれないということは完全には否定できない。
また、これは反対派が長く主張してきたことでございますけれども、軍備管理、軍縮ではなくて連鎖的な軍拡競争というものを促してしまう。これは、程度はともかくとして完全には否定できないかもしれないということですね。さらには、日米間の技術協力の拡大というのは、やはり日本の経済的利益ですね、特に知的財産面での損失というものにつながるおそれもなくはないということですね。さらに、その軍縮外交の理念といったことにももしかしたら傷が付くかもしれないということだと思います。
こういったことに関してはいろいろな意見があると思いますけれども、私個人としましては、学問的により正しいのは、いずれに転ぶかはだれにも断言できないと言わざるを得ないということだと思います。とは申しましても、まずミサイル防衛というものは万能薬ではないということは肝に銘じておくことが必要であろうというふうに考えております。
例えば、日米同盟の抑止効果を向上させるためには、単にミサイル防衛を導入すればいいということではなくて、それを含めて様々な努力が多方面で必要になるわけですし、そのミサイル防衛の導入やその運用をめぐる協力というのはその一つの契機になるにすぎませんと。軍縮、軍備管理効果みたいなものを発揮させたいと思うのであれば、相当に難しい交渉というものを東アジアにおいて展開していく必要があるといった形で、様々な課題がそこに待ち受けているということであります。
しかしながら、その配備というものを既に決めているわけですから、そうである以上は、その効用最大化を目指すべきであるということも当然考えなければいけないわけであります。シビリアンコントロールの確保など非常に難しい問題がありますけれども、例えば事故的発射というものが起こった際に、現場が撃墜をちゅうちょし、その結果国民に不要な被害が出るといったようなことは法制度上やはり最大限回避できるようにしておくことが必要であるというふうに考えられます。
ついでに申し上げますと、今回の法改正では、主として今般導入されるシステムの運用を想定していると考えるべきではないかと思われます。つまり、今後システムの能力というものが向上していった場合、具体的に言えば、ブースト段階迎撃というものが出てきた段階で更なる法改正の検討というものが必要になる。逆に言えば、今回はそういったことはある意味で考えておくことは必要ですけれども、切り離して今回の法改正というものを検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
最後に、安全保障環境の変質というものが起こっている以上、ミサイル防衛システムの開発というものはもはや避け難い課題であるということは指摘せざるを得ない。確かに、オフェンス、ディフェンスの競争というのはオフェンス有利であるということは完全には否定できないわけですけれども、だからといってその開発を初めからあきらめるというようなことはあってはならない。それが許されるような環境に今日我々は置かれていないということを認めることが非常に必要なことになっているというふうに考えております。
時間ですので、以上で終わらせていただきます。
ありがとうございました。
林
林芳正#6
○委員長(林芳正君) ありがとうございました。
以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日は、理事会の合意により、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行うことといたします。多くの委員が発言の機会を得られますよう、委員の一回の質疑時間は二分以内とし、答弁を含めてもおおむね五分以内となるようにお願いをいたします。
なお、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
この発言だけを見る →以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日は、理事会の合意により、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行うことといたします。多くの委員が発言の機会を得られますよう、委員の一回の質疑時間は二分以内とし、答弁を含めてもおおむね五分以内となるようにお願いをいたします。
なお、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
浅
浅野勝人#7
○浅野勝人君 西山参考人に伺います。
当たる当たらないですけれども、技術専門家の目から見て、PAC3とSM3の組合せによるBMDシステムは、ないよりましですか。二発に一発ぐらい当たりますか。十中八九は撃ち落とせると予測されますか。
それから、参考人の御意見は、アメリカとの共同開発を積極的に進めていくべきものというふうに受け止めましたが、日米間の共同研究はノーズコーン、赤外線シーカー、キネティック弾頭、第二段モーターに、四つの構成品に限定されているのはなぜだとお考えですか。全部一緒にすることについて日本を警戒しているからだと推測されますか。
それから、石川参考人にお尋ねしたいのは、参考人の指摘は、BMDシステムがもたらす一方的確証生存能力は結果として軍拡の要因を増大させるということと理解を、受け取りましたが、日本のBMDシステムの導入は攻撃用の弾道ミサイルを持つわけではありませんので、軍拡の要因にはならないのではないかと考えますが、いかがですか。
それからもう一点は、過日、参議院の本会議で私は、仮に北朝鮮からノドンが飛んできた場合、個別的自衛権を行使して迎撃できるけれども、グアムやハワイに向けてテポドンが発射され、日本の領空を通過する場合は、集団的自衛権は認められていないので一切手出しができない。同盟国のアメリカに向けて飛んでいくミサイルを見上げているだけで済むのかという、それでいいのだろうかと。弾道ミサイル対応を理論的に再構築していく必要を指摘しましたが、小泉総理からは木で鼻くくったような答弁でしたが、これは荒唐無稽な議論でしょうか。
以上です。一分三十秒。
この発言だけを見る →当たる当たらないですけれども、技術専門家の目から見て、PAC3とSM3の組合せによるBMDシステムは、ないよりましですか。二発に一発ぐらい当たりますか。十中八九は撃ち落とせると予測されますか。
それから、参考人の御意見は、アメリカとの共同開発を積極的に進めていくべきものというふうに受け止めましたが、日米間の共同研究はノーズコーン、赤外線シーカー、キネティック弾頭、第二段モーターに、四つの構成品に限定されているのはなぜだとお考えですか。全部一緒にすることについて日本を警戒しているからだと推測されますか。
それから、石川参考人にお尋ねしたいのは、参考人の指摘は、BMDシステムがもたらす一方的確証生存能力は結果として軍拡の要因を増大させるということと理解を、受け取りましたが、日本のBMDシステムの導入は攻撃用の弾道ミサイルを持つわけではありませんので、軍拡の要因にはならないのではないかと考えますが、いかがですか。
それからもう一点は、過日、参議院の本会議で私は、仮に北朝鮮からノドンが飛んできた場合、個別的自衛権を行使して迎撃できるけれども、グアムやハワイに向けてテポドンが発射され、日本の領空を通過する場合は、集団的自衛権は認められていないので一切手出しができない。同盟国のアメリカに向けて飛んでいくミサイルを見上げているだけで済むのかという、それでいいのだろうかと。弾道ミサイル対応を理論的に再構築していく必要を指摘しましたが、小泉総理からは木で鼻くくったような答弁でしたが、これは荒唐無稽な議論でしょうか。
以上です。一分三十秒。
西
西山淳一#8
○参考人(西山淳一君) お答えいたします。
まず、当たる当たらないの組合せの話ですけれども、SM3は上層、非常に高い高度のところのものを撃ち落とすことができます。それから、PAC3の方は低層ということで、大気圏内と。この二層構造で迎撃する確率を高くすると、信頼性を向上するということで選定されているというふうに認識しています。
二発に一発か、十中八九かという御質問ですけれども、これはかなり高い確率で迎撃することができるという表現ではお答えできますが、定量的なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
それから、日米共同でやっている四つの構成品、これにつきましては、我々の認識としましては、米国は独自に日本の技術力を調査して、その中からこういう四つの構成品が日本の技術を使うことでより良いものになるということで選定してきたのだろうというふうに認識しています。
それから、全体をやることを警戒しているのではないかということに関しましては、米国のこのSM、当時はまだSM3という名前は明確ではなかったと思いますけれども、開発計画がある程度進んでおりましたので、その中に参加するという形で提案してきて、それに日本も参加するということになったというふうに認識しております。
以上です。
この発言だけを見る →まず、当たる当たらないの組合せの話ですけれども、SM3は上層、非常に高い高度のところのものを撃ち落とすことができます。それから、PAC3の方は低層ということで、大気圏内と。この二層構造で迎撃する確率を高くすると、信頼性を向上するということで選定されているというふうに認識しています。
二発に一発か、十中八九かという御質問ですけれども、これはかなり高い確率で迎撃することができるという表現ではお答えできますが、定量的なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
それから、日米共同でやっている四つの構成品、これにつきましては、我々の認識としましては、米国は独自に日本の技術力を調査して、その中からこういう四つの構成品が日本の技術を使うことでより良いものになるということで選定してきたのだろうというふうに認識しています。
それから、全体をやることを警戒しているのではないかということに関しましては、米国のこのSM、当時はまだSM3という名前は明確ではなかったと思いますけれども、開発計画がある程度進んでおりましたので、その中に参加するという形で提案してきて、それに日本も参加するということになったというふうに認識しております。
以上です。
石
石川卓#9
○参考人(石川卓君) まず、軍拡要因になるのかどうかということですけれども、私が申し上げたことについて確認しておきますけれども、私はこれをやれば軍拡要因になるということを断言することはできないというのが立場でございまして、逆に起こらないということも断言できないという立場でございますけれども、そのときに、攻撃用ではないから軍拡要因にはならないというのはやはり、別に相手の味方をするつもりはまるでないんですけれども、客観的に見たときには、相手の立場からいえばアメリカとの同盟というのがまずあってそのことを、日本のミサイル防衛あるいは日米のミサイル防衛というものを眺めるわけでございますから、そのときにアメリカの持っている攻撃力というものを当然あちらは計算に入れて物事を考えるわけでございます。打撃力という面でいえばもう明らかに日米有利にあることは間違いないわけでございまして、そこに更に防御力を持ち込み、最悪の場合、人質に取れるはずの日本が人質に取れないということになった場合には一方的な脅威にさらされるという感覚を恐らくあちらは持つんだろうというふうに思いますので、その場合にはどうしても対抗措置というのが出てくる可能性というものがあると。ですから、一方で我々日米同盟の重要性というものを訴えていくわけですし、このミサイル防衛を語るときだけ日本単体で物事を言うというのが果たして妥当なことなのかということが、前々から私は考えていることであります。
それから、グアム、ハワイ等へのテポドン発射に関連しての集団自衛権ということですが、半分、かなり技術の絡む問題ですので私は完全にお答えできるか分かりませんけれども、要するに、グアム、ハワイに発射されるミサイルというものがどの程度のミサイルになるかだと思いますけれども、確かに、日本の上あるいは日本が撃ち落とせる範囲の上を通るということは恐らく考えられるわけですけれども、いわゆるブーストフェーズ段階迎撃というもの、ブーストフェーズ迎撃というものが出てこない限りは、恐らく今般導入するシステムで撃墜できる以上の高度を飛んでいくというものではないかというふうに考えられます。
ですので、最後の方で申し上げたことですけれども、今般導入するシステムについて言いますと、それを無理やりブーストフェーズ段階迎撃に使うという想定でもない限りは集団自衛権の問題というのは恐らく出てこないのではないか。だけれども一方では、将来的にはおっしゃったような事態が生じてくる。その場合には、集団自衛権というもの自体についていろいろな見直しと、はっきり言って、ある意味で思想的な、革命的な考え方というものを導入されていくと。つまり、ミサイル防衛というのはある種の普通の自衛権の行使とは違うのだというような考え方も何人かの先生方が表明されたりしておりますけれども、そういったことも含めて考えていくことは必要なんだろうと思いますけれども、最後に言いましたように、今回の法改正に関してはそのことは切り離して考えていい問題なのではないかというふうに考えております。
この発言だけを見る →それから、グアム、ハワイ等へのテポドン発射に関連しての集団自衛権ということですが、半分、かなり技術の絡む問題ですので私は完全にお答えできるか分かりませんけれども、要するに、グアム、ハワイに発射されるミサイルというものがどの程度のミサイルになるかだと思いますけれども、確かに、日本の上あるいは日本が撃ち落とせる範囲の上を通るということは恐らく考えられるわけですけれども、いわゆるブーストフェーズ段階迎撃というもの、ブーストフェーズ迎撃というものが出てこない限りは、恐らく今般導入するシステムで撃墜できる以上の高度を飛んでいくというものではないかというふうに考えられます。
ですので、最後の方で申し上げたことですけれども、今般導入するシステムについて言いますと、それを無理やりブーストフェーズ段階迎撃に使うという想定でもない限りは集団自衛権の問題というのは恐らく出てこないのではないか。だけれども一方では、将来的にはおっしゃったような事態が生じてくる。その場合には、集団自衛権というもの自体についていろいろな見直しと、はっきり言って、ある意味で思想的な、革命的な考え方というものを導入されていくと。つまり、ミサイル防衛というのはある種の普通の自衛権の行使とは違うのだというような考え方も何人かの先生方が表明されたりしておりますけれども、そういったことも含めて考えていくことは必要なんだろうと思いますけれども、最後に言いましたように、今回の法改正に関してはそのことは切り離して考えていい問題なのではないかというふうに考えております。
浅
榛
榛葉賀津也#11
○榛葉賀津也君 民主党の榛葉でございます。
西山参考人に一点お伺いしたいと思います。
北朝鮮のノドンでございますが、このCEP、命中精度ですね、これが実際、ノドンの命中精度というのは専門家から見てどれぐらいあるとお考えでしょうか。
そして、石川参考人に一点お伺いしたいのは、自衛隊行動と国会との関係でございます。
御承知のとおり、自衛隊が行動を起こす場合、防衛出動に始まりまして、事前、事後の違いはあるにせよ、常に国会の承認を必要としているというケースが多々ございます。他方、その反対に、海上警備行動であるとか領空侵犯措置、これは国会との関与は全く、報告も承諾も、無論承認も要らないということでございます。
この今回の弾道ミサイルの爆破措置、迎撃措置でございますが、政府はこれを国会への報告で対応しようということでございますが、私たちはこれを少なくとも承諾、報告よりも一段上の承諾にするべきであると。軍事行動ではないにせよ、武力行使でないにせよ、これは国民の目から見ても明らかな武器使用になるわけでございまして、この観点からも、この後の報告ではなくて少なくとも承諾にするべきではないかという提案をさせていただいているんですが、このミサイル防衛と国会とのかかわりについて、この報告のままで本当にいいのだろうかというお考えについて先生の御意見をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →西山参考人に一点お伺いしたいと思います。
北朝鮮のノドンでございますが、このCEP、命中精度ですね、これが実際、ノドンの命中精度というのは専門家から見てどれぐらいあるとお考えでしょうか。
そして、石川参考人に一点お伺いしたいのは、自衛隊行動と国会との関係でございます。
御承知のとおり、自衛隊が行動を起こす場合、防衛出動に始まりまして、事前、事後の違いはあるにせよ、常に国会の承認を必要としているというケースが多々ございます。他方、その反対に、海上警備行動であるとか領空侵犯措置、これは国会との関与は全く、報告も承諾も、無論承認も要らないということでございます。
この今回の弾道ミサイルの爆破措置、迎撃措置でございますが、政府はこれを国会への報告で対応しようということでございますが、私たちはこれを少なくとも承諾、報告よりも一段上の承諾にするべきであると。軍事行動ではないにせよ、武力行使でないにせよ、これは国民の目から見ても明らかな武器使用になるわけでございまして、この観点からも、この後の報告ではなくて少なくとも承諾にするべきではないかという提案をさせていただいているんですが、このミサイル防衛と国会とのかかわりについて、この報告のままで本当にいいのだろうかというお考えについて先生の御意見をお伺いしたいと思います。
西
西山淳一#12
○参考人(西山淳一君) ノドンの命中精度というのは、弾道弾を撃って地上に落ちるところの範囲ということだというふうに思いますが、これは具体的なデータはございません。ただ、定性的には、ノドンに、ノドンなり弾道ミサイルに積んである慣性センサーそれからロケットモーター、そういうものの誤差の累積で、ねらったところからどのぐらいずれるかということになると思いますけれども、私どもとしましては具体的な数値は把握しておりません。
この発言だけを見る →石
石川卓#13
○参考人(石川卓君) 報告か承認かというお話で、その点で若干、国会内で議論がなされているということについては承知しておるわけですけれども、申し訳ありません、法制度上のことで、そこが報告と承諾で果たして実質的に何が違うのかということについていま一つ私自身が、何といいますか、理解できないというところもございまして、先ほども言ったように、原則としては、余りにもこれ現場を縛り過ぎるようなことになる場合というのはやはりどうしても避けなければいけないたぐいの法律であるという気がいたします。
その場合、報告というものが現場に持つ重みと、承諾というものが現場に持つ重みというのが果たしてどれだけ違うのかということが少々私にはちょっと想像の付かない世界ですので、厳密にはどちらというふうには私自身その定見を持ち合わせていないというのがお答えでございますけれども、ということでお答えにさせていただきます。
この発言だけを見る →その場合、報告というものが現場に持つ重みと、承諾というものが現場に持つ重みというのが果たしてどれだけ違うのかということが少々私にはちょっと想像の付かない世界ですので、厳密にはどちらというふうには私自身その定見を持ち合わせていないというのがお答えでございますけれども、ということでお答えにさせていただきます。
荒
荒木清寛#14
○荒木清寛君 まず、西山参考人にお尋ねいたします。
一つは、BMD構想を進めるに当たりまして、この命中精度を高めるにはやはり日本としても偵察衛星を持ちまして、やっぱり懸念国の発射の兆候をつかむ必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
もう一つは、共同研究につきまして、四つの構成品ということで、それが日本が技術的な優位性のある分野だというふうにお話がございましたが、中でもこの四つの分野の中で特に日本として優れている分野がどこなのかお聞きしたいと思います。
次に、石川参考人にお尋ねいたします。
参考人がおっしゃいましたとおり、このBMDを進めるとともに、日本として軍縮外交を同時に進めていくという必要があると思います。不拡散の、ミサイル不拡散の枠組みを強化をするためにいろんなことをしなければいけないと思いますが、特に我が国が外交的に行うべき事柄が何か先生のお考えであれば教えていただきたいと思います。
以上です。
この発言だけを見る →一つは、BMD構想を進めるに当たりまして、この命中精度を高めるにはやはり日本としても偵察衛星を持ちまして、やっぱり懸念国の発射の兆候をつかむ必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
もう一つは、共同研究につきまして、四つの構成品ということで、それが日本が技術的な優位性のある分野だというふうにお話がございましたが、中でもこの四つの分野の中で特に日本として優れている分野がどこなのかお聞きしたいと思います。
次に、石川参考人にお尋ねいたします。
参考人がおっしゃいましたとおり、このBMDを進めるとともに、日本として軍縮外交を同時に進めていくという必要があると思います。不拡散の、ミサイル不拡散の枠組みを強化をするためにいろんなことをしなければいけないと思いますが、特に我が国が外交的に行うべき事柄が何か先生のお考えであれば教えていただきたいと思います。
以上です。
西
西山淳一#15
○参考人(西山淳一君) まず、BMDの命中精度という御質問ですが、まずBM、弾道弾、弾道ミサイルをミサイルで迎撃する、この命中精度というのはこのミサイル相互間のことで決まりまして、偵察衛星というのが一日に一度とか二度とか同じ地点を観測すると、こういう衛星システムです。ですから、発射される兆候等を探知することはできるとは思いますが、そのとき、発射する瞬間を見ることは偵察衛星のミッションではありません。発射する瞬間を見付けるのは早期警戒衛星というのが別にありまして、これは今アメリカはそういうシステムを持っている、そういう衛星を持っているんですけれども、これで発射の瞬間を探知いたします。
そういう衛星はありますが、それは命中精度そのものには直接は関係しなくて、命中精度というのは、弾道ミサイルが飛んできて実際に迎撃のミサイルを撃ちます。ここでシーカーという、先ほども言いましたけれども、目を開いて、この目が見付けて、このときにどの程度、どの確率で当たるかということで規定されていまして、ちょっと御質問の趣旨と違うかと思うんですが、偵察衛星はそのままリンクしないというのがお答えでございます。
それから、四つの構成品のうちどれが優れているのかというのは、非常に、我々としましてはどれも日本の技術として優れているというふうに思いますので、甲乙付け難いということですが、その中で、研究の進展度合いによって、早いものが採用されていくことを期待しております。
この発言だけを見る →そういう衛星はありますが、それは命中精度そのものには直接は関係しなくて、命中精度というのは、弾道ミサイルが飛んできて実際に迎撃のミサイルを撃ちます。ここでシーカーという、先ほども言いましたけれども、目を開いて、この目が見付けて、このときにどの程度、どの確率で当たるかということで規定されていまして、ちょっと御質問の趣旨と違うかと思うんですが、偵察衛星はそのままリンクしないというのがお答えでございます。
それから、四つの構成品のうちどれが優れているのかというのは、非常に、我々としましてはどれも日本の技術として優れているというふうに思いますので、甲乙付け難いということですが、その中で、研究の進展度合いによって、早いものが採用されていくことを期待しております。
石
石川卓#16
○参考人(石川卓君) 軍縮外交の側面でどのようなことをやっていくべきかという御質問と御理解いたしますけれども、まず一つは、かなりやってきているということを一つ評価すべきことだろうというふうに思いますけれども、外務省を始め、相当に様々なことをやっているということだと思います。
それから、アメリカが、特にブッシュ政権が、いわゆる多国間の不拡散の枠組みというものに余り信頼を置いていないというようなこともありますけれども、唯一率先して気に入ってやっているのがPSIでありまして、と言ってもいいと思うんですけれども、そのPSIに関しましても日本は様々な、例えば東南アジア諸国に向けて、要するに移転阻止のための一定の教育のようなことを試みたりとか、いろいろかなり、地味ではございますけれども努力をしていると。そういった面で、アメリカが特に力を入れているこの枠組みというもののその有効性、有用性を高めていくというのが、こういった状況において、アメリカのいわゆるユニラテラリズムをある程度抑えるという意味においても非常に重要なことになるというふうに考えます。
それから、一般論になりますけれども、やはりどうしても不拡散というのは供給側のアプローチになりがちなわけですけれども、やはりディマンドサイドのアプローチということから考えましても、地域においてミサイルを保有しなければいけないような事情ということについてやはり対処していくということですね。ですから、軍縮そのものではない。逆に言うと紛争予防であったりということになっていくと思いますけれども、そういった活動を特定の地域、中東を含めやっていくことによって、内発的なミサイルに対する、あるいは大量破壊兵器に対する需要というものを低下させていくという間接アプローチになるかと思いますけれども、そういったことがますます重要になっていると。そうしたところで日本が果たすべき役割というのは、少々抽象的ではありますけれども、非常に大きくなっていると言えるのではないかという気がいたします。
この発言だけを見る →それから、アメリカが、特にブッシュ政権が、いわゆる多国間の不拡散の枠組みというものに余り信頼を置いていないというようなこともありますけれども、唯一率先して気に入ってやっているのがPSIでありまして、と言ってもいいと思うんですけれども、そのPSIに関しましても日本は様々な、例えば東南アジア諸国に向けて、要するに移転阻止のための一定の教育のようなことを試みたりとか、いろいろかなり、地味ではございますけれども努力をしていると。そういった面で、アメリカが特に力を入れているこの枠組みというもののその有効性、有用性を高めていくというのが、こういった状況において、アメリカのいわゆるユニラテラリズムをある程度抑えるという意味においても非常に重要なことになるというふうに考えます。
それから、一般論になりますけれども、やはりどうしても不拡散というのは供給側のアプローチになりがちなわけですけれども、やはりディマンドサイドのアプローチということから考えましても、地域においてミサイルを保有しなければいけないような事情ということについてやはり対処していくということですね。ですから、軍縮そのものではない。逆に言うと紛争予防であったりということになっていくと思いますけれども、そういった活動を特定の地域、中東を含めやっていくことによって、内発的なミサイルに対する、あるいは大量破壊兵器に対する需要というものを低下させていくという間接アプローチになるかと思いますけれども、そういったことがますます重要になっていると。そうしたところで日本が果たすべき役割というのは、少々抽象的ではありますけれども、非常に大きくなっていると言えるのではないかという気がいたします。
緒
緒方靖夫#17
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
両参考人にお伺いしたいんですけど、アメリカとの関係なんですけれども、これは研究開発も、それから指揮統制も訓練も、それから情報の共有も、やはりアメリカとの関係抜きにして語れない話だと思うんですけれども、その点で、そのアメリカの比重ですね、この関係での、それについてお伺いしたい。
それから、西山参考人に、非常に具体的にお伺いしますけれども、PAC3の迎撃範囲は限られているわけですけれども、それでも撃ち落とした場合、地上の住民に対する被害、これが実際どういうことが想定されるのか、それが一点。それから、民間飛行機が飛来している下でPAC3による迎撃を行った場合に、それがこの民間航空機に被害をもたらす可能性について、非常に具体的な話ですけどもお伺いいたします。
それから、最後に石川参考人にお伺いしたいんですけれども、結局、盾と矛の関係で、盾を強めれば矛を鋭くするという、もうそういう関係になってくると思うんですよね。そうすると結局、この問題というのは、やはり国際政治、外交という広い視野で考えたときに、それをどう処理するのかと。つまり、ロシア、中国との関係を悪化させる、あるいはヨーロッパ諸国との懸念強めていく、そういう問題と、それと、あとこれが一〇〇%完成し切れないという、そういうジレンマを持っている以上、結局、費用対効果ということを考えたとき、莫大な費用が掛かるだろうと。そうすると結局、政治と外交に依存していくということがかなりの現実的な問題になっていくと思うんですけども、その関係についてお伺いしたいと思います。
以上です。
この発言だけを見る →両参考人にお伺いしたいんですけど、アメリカとの関係なんですけれども、これは研究開発も、それから指揮統制も訓練も、それから情報の共有も、やはりアメリカとの関係抜きにして語れない話だと思うんですけれども、その点で、そのアメリカの比重ですね、この関係での、それについてお伺いしたい。
それから、西山参考人に、非常に具体的にお伺いしますけれども、PAC3の迎撃範囲は限られているわけですけれども、それでも撃ち落とした場合、地上の住民に対する被害、これが実際どういうことが想定されるのか、それが一点。それから、民間飛行機が飛来している下でPAC3による迎撃を行った場合に、それがこの民間航空機に被害をもたらす可能性について、非常に具体的な話ですけどもお伺いいたします。
それから、最後に石川参考人にお伺いしたいんですけれども、結局、盾と矛の関係で、盾を強めれば矛を鋭くするという、もうそういう関係になってくると思うんですよね。そうすると結局、この問題というのは、やはり国際政治、外交という広い視野で考えたときに、それをどう処理するのかと。つまり、ロシア、中国との関係を悪化させる、あるいはヨーロッパ諸国との懸念強めていく、そういう問題と、それと、あとこれが一〇〇%完成し切れないという、そういうジレンマを持っている以上、結局、費用対効果ということを考えたとき、莫大な費用が掛かるだろうと。そうすると結局、政治と外交に依存していくということがかなりの現実的な問題になっていくと思うんですけども、その関係についてお伺いしたいと思います。
以上です。
西
西山淳一#18
○参考人(西山淳一君) 米国との関係ということですが、我々といたしましては、共同研究、共同開発というところで一緒にやっていけば最先端の技術に日本も参加できるということで、重要であろうというふうに思っております。ただ、運用面等につきましては、これは企業として何か意見を言うことではないというふうに思っておりますので、御了承願いたいと思います。
それから、PAC3で迎撃したときに地上への影響ということでございますけれども、これは幾つか想定が考えられまして、迎撃しない場合にはその弾道弾が地上に落ちてきて非常に大きな被害をもたらすと。で、迎撃したときには破片が落ちてくるということで、破片による影響は出てきます。ただ、ですから、破片による小規模な被害が起こる可能性はあります。それは落ちるところによります。ただ、あくまでも弾道弾の弾頭そのものが落ちてくるのに対して、非常に被害は極小化されるというふうに認識しております。
それから、民間航空機との影響ということでございますが、まず運用上、こういうミサイルを撃つときに民間航空機が飛んでいるのか飛んでいないのかというのは、これは運用の話でございまして、まず運用面でどういうふうに考えるかということで、技術的な話ではまず一つはないということだと思います。
それから、ミサイルシステム、これは一般論でありますが、敵味方識別装置とか、あるいはねらったものに対して当てていくというような、そういう形でなっていますので、技術的には選別して誘導してやるという、そういうような方式を取っております。
以上です。
この発言だけを見る →それから、PAC3で迎撃したときに地上への影響ということでございますけれども、これは幾つか想定が考えられまして、迎撃しない場合にはその弾道弾が地上に落ちてきて非常に大きな被害をもたらすと。で、迎撃したときには破片が落ちてくるということで、破片による影響は出てきます。ただ、ですから、破片による小規模な被害が起こる可能性はあります。それは落ちるところによります。ただ、あくまでも弾道弾の弾頭そのものが落ちてくるのに対して、非常に被害は極小化されるというふうに認識しております。
それから、民間航空機との影響ということでございますが、まず運用上、こういうミサイルを撃つときに民間航空機が飛んでいるのか飛んでいないのかというのは、これは運用の話でございまして、まず運用面でどういうふうに考えるかということで、技術的な話ではまず一つはないということだと思います。
それから、ミサイルシステム、これは一般論でありますが、敵味方識別装置とか、あるいはねらったものに対して当てていくというような、そういう形でなっていますので、技術的には選別して誘導してやるという、そういうような方式を取っております。
以上です。
石
石川卓#19
○参考人(石川卓君) アメリカの比重がどのくらいかということなんですけど、ちょっと、もしかしたらお答えになっていないかもしれませんけれども、よくそのミサイル防衛に関してアメリカの戦略に日本がますます組み込まれる云々という話が出てくるわけですけれども、確かにアメリカの戦略と日本とがある意味で一体化して、日本の安全保障のためにある抑止効果を高めようということだと思いますので、それをどのように呼ぶかということはいろいろあるかと思うんですけれども、私は常日ごろから言っているのは、組み込まれることの何がいけないんだということでございます。組み込まれてはいけない部分というのも確かにあるとは思いますけれども、同盟国として、よりその抑止効果を高めるために、それが日本の安全保障につながるということであるとすれば、よりアメリカの戦略と一体化した形で動けるようになっていくということ自体がそれほどマイナスかどうかということですね。言葉は確かに悪い言葉かもしれません、従属とかいろいろなイメージの悪い言葉が使われますけれども、目的は日本の安全保障を高めるということでございますので、そのための手段としてそれが有効であるという場合には、それが永続的になったりとか、ある不要な、ある意味で拘束になるといったことは慎重に避けていかなければならないとは思いますけれども、決して言葉がイメージさせるほどのマイナスだけではないというふうに私自身は考えております。
これは日本に限らずあらゆる国に関してそうで、今日のお話でも申しましたように、割とアメリカの警察行動的な武力行使、あるいはその武力行使の能力と意思というものに国際社会が広く依存している、いろいろ文句を言いながらも実は依存をしているという部分は、これは否定できないわけで、我々は今そういう非常に危険な安全保障環境に置かれているという以上、そういう、まあ、ある意味では怖い存在ではありますけれども、アメリカとより一体化した形で動けるようになっていくという選択は決して、何といいますか、賢明ではないということではないという気がいたします。
それから、盾矛の関係、政治、外交への依存というものがその費用対効果面でどうかということでございますけれども、それはもう確かに、私の話の中でもありましたように、とにかくこれをやればすべて解決するというわけではなくて、非常に様々なことをやっていかなければいけないと、やらなくてもいろいろやっていかなきゃいけないわけですけれども。
それこそ、先ほどの軍縮外交のお話もありましたけれども、特に、本当にこのミサイル防衛というものを配備して東アジアの戦略環境というものを良くしていくんだという、あるいは良くしていけるんだという議論がありますけれども、そうだとすれば、話の中でも若干簡単に触れましたけれども、北朝鮮あるいは中国というものを相手に非常に難しい交渉というものをしていかなければいけないということで、やはりその政治、外交の部分というものがなければ、これをやったところですべて丸く収まるという問題ではないということは確かだと思います。
しかしながら、そこで、ここは考えがいろいろ分かれるところだと思いますけれども、やはりその際に、丸腰でという言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、いくのかということですね。お話ししましょうといってお話ししてくれる相手かどうかということですね、まともに取り合ってくれるかどうかという。特に二国間あるいは三国間、あるいはほかの国を含めてでということにもなるかもしれませんけれども、相手の持っている兵器を減らす、あるいはなくすという交渉を行うときに、こっちは持っていないんだからなくしてくれよということをただ言ったところで通じる相手かどうかということはどうしても考えざるを得ない、そういう厳しい現実であると。だとすれば、政治、外交に依存する度合いが高いというのは間違いないと思いますけれども、そのためには一定の投資というものを行わざるを得ないということもあるかというふうに思います。
その意味で、その投資としてこのミサイル防衛というのが高過ぎるのかどうかというのは非常に難しい判断だと思いますけれども、しかしながら、当たる当たらないという問題ありますけれども、これ単体でもそれなりに効用というものは望めるわけでございますし、先ほども言ったように、将来的にその活用の仕方によって様々な効用を生み出していくことはできるということはありますので、一方で、それに伴って生じ得るリスクを政治、外交によって極小化しながらその効用を最大化していくという方向で考えるのが一番、最終的には費用対効果という面で一番得、得というか効果を取れるのではないかというように考えております。
この発言だけを見る →これは日本に限らずあらゆる国に関してそうで、今日のお話でも申しましたように、割とアメリカの警察行動的な武力行使、あるいはその武力行使の能力と意思というものに国際社会が広く依存している、いろいろ文句を言いながらも実は依存をしているという部分は、これは否定できないわけで、我々は今そういう非常に危険な安全保障環境に置かれているという以上、そういう、まあ、ある意味では怖い存在ではありますけれども、アメリカとより一体化した形で動けるようになっていくという選択は決して、何といいますか、賢明ではないということではないという気がいたします。
それから、盾矛の関係、政治、外交への依存というものがその費用対効果面でどうかということでございますけれども、それはもう確かに、私の話の中でもありましたように、とにかくこれをやればすべて解決するというわけではなくて、非常に様々なことをやっていかなければいけないと、やらなくてもいろいろやっていかなきゃいけないわけですけれども。
それこそ、先ほどの軍縮外交のお話もありましたけれども、特に、本当にこのミサイル防衛というものを配備して東アジアの戦略環境というものを良くしていくんだという、あるいは良くしていけるんだという議論がありますけれども、そうだとすれば、話の中でも若干簡単に触れましたけれども、北朝鮮あるいは中国というものを相手に非常に難しい交渉というものをしていかなければいけないということで、やはりその政治、外交の部分というものがなければ、これをやったところですべて丸く収まるという問題ではないということは確かだと思います。
しかしながら、そこで、ここは考えがいろいろ分かれるところだと思いますけれども、やはりその際に、丸腰でという言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、いくのかということですね。お話ししましょうといってお話ししてくれる相手かどうかということですね、まともに取り合ってくれるかどうかという。特に二国間あるいは三国間、あるいはほかの国を含めてでということにもなるかもしれませんけれども、相手の持っている兵器を減らす、あるいはなくすという交渉を行うときに、こっちは持っていないんだからなくしてくれよということをただ言ったところで通じる相手かどうかということはどうしても考えざるを得ない、そういう厳しい現実であると。だとすれば、政治、外交に依存する度合いが高いというのは間違いないと思いますけれども、そのためには一定の投資というものを行わざるを得ないということもあるかというふうに思います。
その意味で、その投資としてこのミサイル防衛というのが高過ぎるのかどうかというのは非常に難しい判断だと思いますけれども、しかしながら、当たる当たらないという問題ありますけれども、これ単体でもそれなりに効用というものは望めるわけでございますし、先ほども言ったように、将来的にその活用の仕方によって様々な効用を生み出していくことはできるということはありますので、一方で、それに伴って生じ得るリスクを政治、外交によって極小化しながらその効用を最大化していくという方向で考えるのが一番、最終的には費用対効果という面で一番得、得というか効果を取れるのではないかというように考えております。
緒
大
大田昌秀#21
○大田昌秀君 社民党の大田でございます。
まず、西山参考人にお願いいたします。
弾道ミサイル防衛についての日米共同技術研究費は日本側だけでも一九九九年から二〇〇五年度予算まで累積にしまして二百六十二億円掛かっているわけですが、共同開発に移行した場合、開発費と完成品の配備までの費用は、おおよそで結構ですけれども、大体どれぐらいになると見積もっておられますか。そして、そのうち日本側の負担はどれくらいになるというふうになるのか教えていただきたいと思います。
それから、石川参考人に一つお願いいたしますが、今年の二月の下旬、カナダのマーティン首相は、米国から打診されていたミサイル防衛構想に対して参加を断念する方針を明らかにしました。それは、国際的な軍拡競争への参加につながると懸念する国内世論を受けてのことであると報じられています。先ほどのお話で、軍拡競争へなるのかどうかというのはまあ必ずしもはっきり言えないという趣旨のお話だったと思いますが、我が国の防衛庁は、弾道ミサイル防衛、専ら専守防衛であると説明しているんですけれども、国際的に見て弾道ミサイル防衛が純粋に防衛的であると言えるのかどうか、お考えをお聞かせください。
この発言だけを見る →まず、西山参考人にお願いいたします。
弾道ミサイル防衛についての日米共同技術研究費は日本側だけでも一九九九年から二〇〇五年度予算まで累積にしまして二百六十二億円掛かっているわけですが、共同開発に移行した場合、開発費と完成品の配備までの費用は、おおよそで結構ですけれども、大体どれぐらいになると見積もっておられますか。そして、そのうち日本側の負担はどれくらいになるというふうになるのか教えていただきたいと思います。
それから、石川参考人に一つお願いいたしますが、今年の二月の下旬、カナダのマーティン首相は、米国から打診されていたミサイル防衛構想に対して参加を断念する方針を明らかにしました。それは、国際的な軍拡競争への参加につながると懸念する国内世論を受けてのことであると報じられています。先ほどのお話で、軍拡競争へなるのかどうかというのはまあ必ずしもはっきり言えないという趣旨のお話だったと思いますが、我が国の防衛庁は、弾道ミサイル防衛、専ら専守防衛であると説明しているんですけれども、国際的に見て弾道ミサイル防衛が純粋に防衛的であると言えるのかどうか、お考えをお聞かせください。
西
西山淳一#22
○参考人(西山淳一君) 日米共同研究、共同開発と、あるいは配備ということでございますけれども、これにつきましては、まず、共同開発で何を開発するのか、どこまで開発するのか。何をというのは、ミサイルそのものがあります。それから、レーダーがあります。それと、指揮統制装置とかですね。要は、BMDのシステムとしてどこまでを日米で一緒にやるんですかということがまず決める必要があります。それから、配備の方はもっと日本全体の話ですから、どのぐらいの数をミサイルでやれば何発という、そういう条件が決まらないとなかなか見積りができないというものでございます。
それから、もう一度共同開発の方に戻りますけれども、例えば、ミサイルを一緒にやりましょうと。今、日米では四構成品でやっているわけですけれども、四構成品だけでしょうか、もっと増やしましょうか、あるいは、そのときに日米の役割というか責任範囲をどちらがどれだけ持つかと、こういうことが決まらないと見積りができないということでございまして、今まで使ったお金にプラス開発費が掛かるということになるとは思いますけれども、まずは、見積りをする方、コスト見積りをする方からいいますと、条件をまず明確にする必要があります。それを日本政府あるいは日米間で決めていただければ、今度ちょっと企業の立場になってしまうんですが、企業としてはそれをベースに見積りを差し上げるということで、一概に簡単にこのぐらいですというのはちょっと言い難いということでございます。
この発言だけを見る →それから、もう一度共同開発の方に戻りますけれども、例えば、ミサイルを一緒にやりましょうと。今、日米では四構成品でやっているわけですけれども、四構成品だけでしょうか、もっと増やしましょうか、あるいは、そのときに日米の役割というか責任範囲をどちらがどれだけ持つかと、こういうことが決まらないと見積りができないということでございまして、今まで使ったお金にプラス開発費が掛かるということになるとは思いますけれども、まずは、見積りをする方、コスト見積りをする方からいいますと、条件をまず明確にする必要があります。それを日本政府あるいは日米間で決めていただければ、今度ちょっと企業の立場になってしまうんですが、企業としてはそれをベースに見積りを差し上げるということで、一概に簡単にこのぐらいですというのはちょっと言い難いということでございます。
石
石川卓#23
○参考人(石川卓君) 純粋に防衛的か否かということでカナダの例をお出しいただきましたけれども、一つ先に言っておきたいのは、そのカナダの場合はやはり置かれている戦略環境というものが随分違うということは一つあるのだろうというふうに思います。むしろ、米ソ間の核戦略の正に真っただ中に挟まれてきたという経験もございます。で、カナダの危惧しているのは、米ロ関係の悪化にそれがつながらないかということ、その被害、被害といいますか、緊張関係をある意味で強いられるということを避けてのことという、ある種特殊な状況というのがあるのかなという気がいたします。
それから、ミサイル防衛が純粋に防衛的か否かということですけれども、これは先ほども若干申し上げたわけですけれども、それは単体だけを取れば、それはこれどう考えたって攻撃には使えないと言ってもいいわけですから純粋に防衛兵器であるということは言えるのだろうというふうに思いますけれども、日米同盟というものがある中で日本がこれを配備していくといったときには、その相手から見れば、それはアメリカは日本の矛ですね、攻撃力というものと組み合わせて当然とらえるということになるということは、これはどんなに頑張っても否定できないと思いますので、そういう意味では、先ほども申し上げましたけれども、純粋に防衛兵器であるからどうこうという議論だけで、何というんですかね、乗り切ろうというのは、やっぱりそもそも、先ほど言った政治、外交努力がいろいろな意味で必要といったところを放棄していることにもなりかねないということですね。それはそれで認めた上で、だけれども、こういう効用があるんだということをきちっと説明し、相手方にも納得してもらいながら進めていかないと、それこそ論者のおっしゃるように妙に刺激してしまうことになるかもしれないということだろうと思います。
この発言だけを見る →それから、ミサイル防衛が純粋に防衛的か否かということですけれども、これは先ほども若干申し上げたわけですけれども、それは単体だけを取れば、それはこれどう考えたって攻撃には使えないと言ってもいいわけですから純粋に防衛兵器であるということは言えるのだろうというふうに思いますけれども、日米同盟というものがある中で日本がこれを配備していくといったときには、その相手から見れば、それはアメリカは日本の矛ですね、攻撃力というものと組み合わせて当然とらえるということになるということは、これはどんなに頑張っても否定できないと思いますので、そういう意味では、先ほども申し上げましたけれども、純粋に防衛兵器であるからどうこうという議論だけで、何というんですかね、乗り切ろうというのは、やっぱりそもそも、先ほど言った政治、外交努力がいろいろな意味で必要といったところを放棄していることにもなりかねないということですね。それはそれで認めた上で、だけれども、こういう効用があるんだということをきちっと説明し、相手方にも納得してもらいながら進めていかないと、それこそ論者のおっしゃるように妙に刺激してしまうことになるかもしれないということだろうと思います。
大
白
白眞勲#25
○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。
まず、西山参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、先ほど早期警戒衛星からの情報につきましてお話がありましたけれども、衛星がなくてもこのBMDシステムというのは作動するのかどうかというのと、作動しても実際に撃ち落とすまでに相当な、いわゆる衛星ですと本当に発射段階から見れるわけですから、まあ私も素人目に見ると、その分、時間的な余裕がなくなってくるという部分において、実際問題どの程度この早期警戒衛星の重要性というものが図られるのか、一点ちょっとお聞きしたいと思うんです。
それともう一つは、いわゆるシステムのバグの問題ですね、いわゆるそれからの誤射の可能性について、なかなかメーカーさんからは言いにくい部分があるかとは思いますけれども、正直におっしゃっていただけたらすごくうれしいなと思っております。
それともう一つ、複数のミサイル発射の場合に、例えば一気に発射する場合、それから時間を置いて発射する場合のその対応ですね、金掛ければもちろんできますよと言うこともできると思うんですけれども、実際に今のシステムではどの程度それに対する有効性があるのかというのがお聞きしたいところです。
それから、石川参考人にお聞きしたいのは、先ほどブースト段階等においてのこれからの技術開発においては今の法体系のより見直しも必要であるようなお話をされていましたけれども、それは大体いつごろに見直しをしたらいいんだろうかとか、あるいは実際に見直しというものをすぐにでもできるような体制にした方がいいのかどうかについて御意見をお聞きしたいと思います。
以上です。
この発言だけを見る →まず、西山参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、先ほど早期警戒衛星からの情報につきましてお話がありましたけれども、衛星がなくてもこのBMDシステムというのは作動するのかどうかというのと、作動しても実際に撃ち落とすまでに相当な、いわゆる衛星ですと本当に発射段階から見れるわけですから、まあ私も素人目に見ると、その分、時間的な余裕がなくなってくるという部分において、実際問題どの程度この早期警戒衛星の重要性というものが図られるのか、一点ちょっとお聞きしたいと思うんです。
それともう一つは、いわゆるシステムのバグの問題ですね、いわゆるそれからの誤射の可能性について、なかなかメーカーさんからは言いにくい部分があるかとは思いますけれども、正直におっしゃっていただけたらすごくうれしいなと思っております。
それともう一つ、複数のミサイル発射の場合に、例えば一気に発射する場合、それから時間を置いて発射する場合のその対応ですね、金掛ければもちろんできますよと言うこともできると思うんですけれども、実際に今のシステムではどの程度それに対する有効性があるのかというのがお聞きしたいところです。
それから、石川参考人にお聞きしたいのは、先ほどブースト段階等においてのこれからの技術開発においては今の法体系のより見直しも必要であるようなお話をされていましたけれども、それは大体いつごろに見直しをしたらいいんだろうかとか、あるいは実際に見直しというものをすぐにでもできるような体制にした方がいいのかどうかについて御意見をお聞きしたいと思います。
以上です。
西
西山淳一#26
○参考人(西山淳一君) まず、早期警戒衛星の件ですが、まず早期警戒衛星がなくてもBMDは機能するかということに関しましては、早期警戒衛星なしでも機能いたします。
これは、早期探知のレーダー、あるいは自分自身の持っているレーダーで探知して、それでミサイルを発射して誘導していくということで、システムとしては単独で成立しているものです。ただ、早期警戒衛星があれば、早めに情報を得られるので、それを撃つタイミングがもう少し早くなるということです。
つまり、弾道弾を発射するとき、早期警戒衛星は上から見ていますので、発射する、ロケットモーターに、弾道弾のロケットモーターに点火した途端に赤外線が見えますので発射したことが分かります。こちら側、日本から見ていますと地上は、地球は丸いですから、水平線の下なので最初は見えないと。水平線を越えてきてから見えるようになるわけですから、ここの部分の時間だけ早めに探知できると。ただ、ロケットモーターが燃えているときにはまだどちらに行くか分かりませんので、燃えて、燃え尽きたときから初めて、どちらに来る、日本に来るのか違うところへ行くのかというのが分かるということで、この辺の時間関係は分のオーダーのところで多少改善されるというふうに思います。
ですから、あった方がいいことは確かなんですが、ないからといってシステムが成立しないということではありません。
それから、システムのソフトウエアのバグについては、これは非常にお答えしにくいというか、難しい御質問でございまして、やはりソフトウエアにはいろんな形でバグが付き物だと、それが致命的であるかどうかということだと思いますが、これについては、発射試験なりあるいは地上のシミュレーションで何度もいろんなケースをやりまして、極力つぶしていくというのが一般的な手法です。この今導入するシステムについてどうかということはお答えできないんですが、一般にはシミュレーション、それから発射試験等で何度も何度もいろんなケースをやって、運用上不具合のないところまでバグをつぶしていくというのが開発手法でございます。
それから、同時に何発も撃てるかという話につきまして、まず発射ですが、発射の仕方につきましては、単射といいまして、一発撃つと。ターゲットが飛んできたら一発撃つというのが単射といいます。それから、サルボといいまして、二発同時に撃つ。同時といってもほんのちょっとずれているんですが、こういうように撃つのがサルボと、二発同時。それから、リップルといって、ちょっと撃って、その間ある時間を空けて撃つというような、何種類かの発射の方法があります。これは、一般的な発射のやり方です。こういうような機能。
それから、SM3、イージス艦に搭載するSM3なりペトリオットのPAC3なり、空中に同時に飛んでいられるミサイルの数というのは決まっています。これは数値的にはちょっとお答えできないんですけれども、空中に飛んでいる数は一発ではなく複数同時に飛んでいることができるというのがこの種のシステムの特徴になっております。
この発言だけを見る →これは、早期探知のレーダー、あるいは自分自身の持っているレーダーで探知して、それでミサイルを発射して誘導していくということで、システムとしては単独で成立しているものです。ただ、早期警戒衛星があれば、早めに情報を得られるので、それを撃つタイミングがもう少し早くなるということです。
つまり、弾道弾を発射するとき、早期警戒衛星は上から見ていますので、発射する、ロケットモーターに、弾道弾のロケットモーターに点火した途端に赤外線が見えますので発射したことが分かります。こちら側、日本から見ていますと地上は、地球は丸いですから、水平線の下なので最初は見えないと。水平線を越えてきてから見えるようになるわけですから、ここの部分の時間だけ早めに探知できると。ただ、ロケットモーターが燃えているときにはまだどちらに行くか分かりませんので、燃えて、燃え尽きたときから初めて、どちらに来る、日本に来るのか違うところへ行くのかというのが分かるということで、この辺の時間関係は分のオーダーのところで多少改善されるというふうに思います。
ですから、あった方がいいことは確かなんですが、ないからといってシステムが成立しないということではありません。
それから、システムのソフトウエアのバグについては、これは非常にお答えしにくいというか、難しい御質問でございまして、やはりソフトウエアにはいろんな形でバグが付き物だと、それが致命的であるかどうかということだと思いますが、これについては、発射試験なりあるいは地上のシミュレーションで何度もいろんなケースをやりまして、極力つぶしていくというのが一般的な手法です。この今導入するシステムについてどうかということはお答えできないんですが、一般にはシミュレーション、それから発射試験等で何度も何度もいろんなケースをやって、運用上不具合のないところまでバグをつぶしていくというのが開発手法でございます。
それから、同時に何発も撃てるかという話につきまして、まず発射ですが、発射の仕方につきましては、単射といいまして、一発撃つと。ターゲットが飛んできたら一発撃つというのが単射といいます。それから、サルボといいまして、二発同時に撃つ。同時といってもほんのちょっとずれているんですが、こういうように撃つのがサルボと、二発同時。それから、リップルといって、ちょっと撃って、その間ある時間を空けて撃つというような、何種類かの発射の方法があります。これは、一般的な発射のやり方です。こういうような機能。
それから、SM3、イージス艦に搭載するSM3なりペトリオットのPAC3なり、空中に同時に飛んでいられるミサイルの数というのは決まっています。これは数値的にはちょっとお答えできないんですけれども、空中に飛んでいる数は一発ではなく複数同時に飛んでいることができるというのがこの種のシステムの特徴になっております。
白
西
西山淳一#28
○参考人(西山淳一君) 相手の、何発か飛んでくるとこちらは、こちらに一発なり二発なり、それからこちらにまた何発なりということで、地上側の、迎撃する側のミサイルの空中に飛んでいる制限はありますけれども、同時に対処は可能です。
この発言だけを見る →石
石川卓#29
○参考人(石川卓君) ブースト段階迎撃に関してということですけれども、今のお話と若干関連するわけですけれども、やはりミッドコース段階、ミッドコースあるいはターミナル段階での迎撃というものはどうしてもその限界が出てこざるを得ないだろうというふうに私自身は思っております。
ブースト段階迎撃という方が、もし技術ができるのであれば、より確率の高いあるいは迎撃が恐らく可能になるんだろうということをひとつ考えているわけです。特に日本の場合、PAC3でノドンという千三百程度の射程を持つミサイルを、撃ち漏らしを撃つということでございますけれども、非常に防衛範囲の限られたシステムでございます。そもそもはスカッドという三百から六百キロ射程のミサイルというものを対象につくられてきたものでございまして、これは相当広く広範に配備しないと到底、幾ら撃ち漏らしとはいっても、速度の速いノドンにどこまで対応できるかということはどうしても私自身かなり気に掛かっていることであります。
そうだとすると、やはりブースト段階迎撃に、ある意味で技術開発面においても力を入れていくというのがひとつ日本としては重要なことなのではないかというように考えるわけでございますけれども、その際、その法体制の見直しというものが当然必要になると申しましたのは、現行の改正案というのが領土及び公海上というところに限られておりますので、だとするとブースト段階迎撃というのは場合によってはできないということになりますので、そこから必然的にブースト段階迎撃のシステムというものが出てくれば、その部分については見直さなければいけなくなるだろうということを申し上げたわけです。
それに絡めて、どうしてもそうなってくると、私、本当にこの議論が法律家としては致し方ないことだというふうに理解はするんですけれども、どっちに飛んでいく云々という、それを撃ち落としていいのか云々という議論は、政治学者の目から見ると非常に、もう少しほかにやることがあるだろうという感じもいたすわけですけれども、どうしてもそれは集団的自衛権の話に絡んでこざるを得ないんだろうというふうに思いますけれども、それを今から議論をしておくことはもちろん必要であるとは思いますけれども、法体制の見直しについてどのぐらいの時期を見越して、今からなのか何年後からなのかというのは、やはりちょっと難しいところだと思うんですけれども、私、特に今すぐにどうこうという必要はないのであろうと、今の法改正とはやはり切り離して考えて構わないのではないかというふうに考えております。
ブースト段階の技術というのは果たしていつできるのかというのは技術的な問題でございまして、私は確答できないわけでございますけれども、昔は二〇一〇年か一二年ごろと言われていたわけですけれども、ミサイル防衛はすべて後ろ倒しになってきていますので、どのぐらいになるかどうかも分からない。一方で、ブースト段階用の技術でなくても、先ほども少しちらっと申し上げましたけれども、本来はミッドコース用のシステムをブースト段階に無理に使うと、無理なのかどうかも私はちょっと完全には分からないんですけれども、日本が配備するような、あるいは共同研究しているようなシステムですね、一段階ベースアップしたものをそういった形で使うということも考えられるのかもしれないということですので、どういったシステムの使い方をするのか、ブースト段階迎撃を可能なシステム、それ用でなくてもというのがいつ出てくるかということ、それがかなり現実的な段階になったところでやればいいのではないかというふうに実は考えております。
と申しますのは、理由はただ一つでございまして、集団的自衛権の問題は、どちらにしても恐らくこの四、五年の間に何かしら憲法の問題との絡みにおいても進んでいくでしょうということがありますので、その中でこの問題については当然のことながら考慮されながら議論されていくということではないかというように思っておりますので、今この段階でその方向性を規定するようなことというのは、どちらの立場からしても若干危険があるのかなという気がいたしております。
以上です。
この発言だけを見る →ブースト段階迎撃という方が、もし技術ができるのであれば、より確率の高いあるいは迎撃が恐らく可能になるんだろうということをひとつ考えているわけです。特に日本の場合、PAC3でノドンという千三百程度の射程を持つミサイルを、撃ち漏らしを撃つということでございますけれども、非常に防衛範囲の限られたシステムでございます。そもそもはスカッドという三百から六百キロ射程のミサイルというものを対象につくられてきたものでございまして、これは相当広く広範に配備しないと到底、幾ら撃ち漏らしとはいっても、速度の速いノドンにどこまで対応できるかということはどうしても私自身かなり気に掛かっていることであります。
そうだとすると、やはりブースト段階迎撃に、ある意味で技術開発面においても力を入れていくというのがひとつ日本としては重要なことなのではないかというように考えるわけでございますけれども、その際、その法体制の見直しというものが当然必要になると申しましたのは、現行の改正案というのが領土及び公海上というところに限られておりますので、だとするとブースト段階迎撃というのは場合によってはできないということになりますので、そこから必然的にブースト段階迎撃のシステムというものが出てくれば、その部分については見直さなければいけなくなるだろうということを申し上げたわけです。
それに絡めて、どうしてもそうなってくると、私、本当にこの議論が法律家としては致し方ないことだというふうに理解はするんですけれども、どっちに飛んでいく云々という、それを撃ち落としていいのか云々という議論は、政治学者の目から見ると非常に、もう少しほかにやることがあるだろうという感じもいたすわけですけれども、どうしてもそれは集団的自衛権の話に絡んでこざるを得ないんだろうというふうに思いますけれども、それを今から議論をしておくことはもちろん必要であるとは思いますけれども、法体制の見直しについてどのぐらいの時期を見越して、今からなのか何年後からなのかというのは、やはりちょっと難しいところだと思うんですけれども、私、特に今すぐにどうこうという必要はないのであろうと、今の法改正とはやはり切り離して考えて構わないのではないかというふうに考えております。
ブースト段階の技術というのは果たしていつできるのかというのは技術的な問題でございまして、私は確答できないわけでございますけれども、昔は二〇一〇年か一二年ごろと言われていたわけですけれども、ミサイル防衛はすべて後ろ倒しになってきていますので、どのぐらいになるかどうかも分からない。一方で、ブースト段階用の技術でなくても、先ほども少しちらっと申し上げましたけれども、本来はミッドコース用のシステムをブースト段階に無理に使うと、無理なのかどうかも私はちょっと完全には分からないんですけれども、日本が配備するような、あるいは共同研究しているようなシステムですね、一段階ベースアップしたものをそういった形で使うということも考えられるのかもしれないということですので、どういったシステムの使い方をするのか、ブースト段階迎撃を可能なシステム、それ用でなくてもというのがいつ出てくるかということ、それがかなり現実的な段階になったところでやればいいのではないかというふうに実は考えております。
と申しますのは、理由はただ一つでございまして、集団的自衛権の問題は、どちらにしても恐らくこの四、五年の間に何かしら憲法の問題との絡みにおいても進んでいくでしょうということがありますので、その中でこの問題については当然のことながら考慮されながら議論されていくということではないかというように思っておりますので、今この段階でその方向性を規定するようなことというのは、どちらの立場からしても若干危険があるのかなという気がいたしております。
以上です。