少子高齢社会に関する調査会
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会
会議録情報#0
平成十九年二月十四日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 清水嘉与子君
理 事
荻原 健司君
川口 順子君
中原 爽君
足立 信也君
島田智哉子君
鰐淵 洋子君
委 員
有村 治子君
岡田 広君
狩野 安君
沓掛 哲男君
坂本由紀子君
田浦 直君
山崎 力君
神本美恵子君
主濱 了君
松下 新平君
森 ゆうこ君
蓮 舫君
山本 香苗君
小林美恵子君
後藤 博子君
事務局側
第三特別調査室
長 岩波 成行君
参考人
立命館大学国際
関係学部教授 高橋 伸彰君
神戸大学大学院
経済学研究科教
授 小塩 隆士君
みずほ総合研究
所株式会社調査
本部政策調査部
主任研究員 野田 彰彦君
─────────────
本日の会議に付した案件
○少子高齢社会に関する調査
(「少子高齢社会への対応の在り方について」
のうち高齢期の生活保障基盤)
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この発言だけを見る →午後一時開会
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出席者は左のとおり。
会 長 清水嘉与子君
理 事
荻原 健司君
川口 順子君
中原 爽君
足立 信也君
島田智哉子君
鰐淵 洋子君
委 員
有村 治子君
岡田 広君
狩野 安君
沓掛 哲男君
坂本由紀子君
田浦 直君
山崎 力君
神本美恵子君
主濱 了君
松下 新平君
森 ゆうこ君
蓮 舫君
山本 香苗君
小林美恵子君
後藤 博子君
事務局側
第三特別調査室
長 岩波 成行君
参考人
立命館大学国際
関係学部教授 高橋 伸彰君
神戸大学大学院
経済学研究科教
授 小塩 隆士君
みずほ総合研究
所株式会社調査
本部政策調査部
主任研究員 野田 彰彦君
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本日の会議に付した案件
○少子高齢社会に関する調査
(「少子高齢社会への対応の在り方について」
のうち高齢期の生活保障基盤)
─────────────
清
清水嘉与子#1
○会長(清水嘉与子君) ただいまから少子高齢社会に関する調査会を開会いたします。
少子高齢社会に関する調査のうち、「少子高齢社会への対応の在り方について」を議題とし、高齢期の生活保障基盤について参考人から意見を聴取いたします。
本日は、立命館大学国際関係学部教授高橋伸彰さん、神戸大学大学院経済学研究科教授小塩隆士さん、みずほ総合研究所株式会社調査本部政策調査部主任研究員野田彰彦さんに参考人として御出席をいただいております。
この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、大変御多忙のところ、また足下の悪いところ本調査会に御出席いただきましてありがとうございます。
参考人の皆様方から、「少子高齢社会への対応の在り方について」のうち、高齢期の生活保障基盤について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、議事の進め方でございますけれども、参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、高橋参考人からよろしくお願いします。どうぞ。
この発言だけを見る →少子高齢社会に関する調査のうち、「少子高齢社会への対応の在り方について」を議題とし、高齢期の生活保障基盤について参考人から意見を聴取いたします。
本日は、立命館大学国際関係学部教授高橋伸彰さん、神戸大学大学院経済学研究科教授小塩隆士さん、みずほ総合研究所株式会社調査本部政策調査部主任研究員野田彰彦さんに参考人として御出席をいただいております。
この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、大変御多忙のところ、また足下の悪いところ本調査会に御出席いただきましてありがとうございます。
参考人の皆様方から、「少子高齢社会への対応の在り方について」のうち、高齢期の生活保障基盤について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、議事の進め方でございますけれども、参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、高橋参考人からよろしくお願いします。どうぞ。
高
高橋伸彰#2
○参考人(高橋伸彰君) ただいま御紹介にあずかりました立命館大学の高橋でございます。今日はお招きにあずかりまして、ありがとうございます。
本来であれば、先週も日野原先生が立ったままお話しされたということなんで、四十歳も若い私は立ったまま話すべきなんですが、先週ちょっと腰を痛めまして、ちょっと、二度と座れなくなるかもしれないので今のうちに着席させて報告させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日は、ほかの参考人のお二人がパワーポイントという大変IT化に富んだ報告ツールで御報告されるんですが、私はいまだにローテクで、授業アンケートを学生から取っても、情報化が後れているというところにいつも丸を付けられている立場なものですから、ちょっとレジュメの方で報告をさせていただければというふうに思います。
本日、報告をさせていただきたいテーマは大きく分けて三つございます。最初に各テーマごとの結論を一通り簡単に申し上げた上で、改めてその次に、その結論の論拠となる数字と背景について、大変ちょっと細かなレジュメで恐縮なんですが、数字と背景について説明をさせていただければというふうに思います。
報告をさせていただきたいテーマの第一点は、レジュメの第一にあります人口構造から見た高齢者の現状と見通しということであります。それから、第二点目がレジュメの二ページ目にあります高齢者の生活の現状と問題点、第三点目がレジュメの三ページ目の後半に少し書かせていただきました今後の高齢者への対応ということで、三点報告をさせていただきたいというふうに思います。
まず最初に、第一点目の人口構造から見た高齢者の現状と見通しということでございますが、昨年十二月に公表された国立社会保障・人口問題研究所の予測によりますと、日本の総人口に占める六十五歳以上の比率、すなわち人口統計上は高齢者比率ということになりますが、この数字は二〇〇五年で既に二〇%を超え、将来的には、二〇三〇年に三〇%、二〇五五年には四〇%を超えるという見込みであります。
本日、まず第一に私が強調しておきたいのは、この予測に示されている数字、この数字は大変急激な高齢化が進展するように見えますけれども、この数字以上に日本における高齢化の進展は深刻だという点であります。
先に結論を申し上げれば、これまでの日本では、高齢者の中でも比較的若い六十五から七十四歳と言われる前期高齢者を中心に高齢化が進展してきたというわけですけれども、今後、二十一世紀に入って進む高齢化というのは、七十五歳以上の高齢者、すなわち後期高齢者と呼ばれている方が増えていく、そういう形で高齢化が進展していくということでありますので、その結果、実は日本全体の人口構造がいわゆる逆ピラミッド化していくというのはよく言われているわけですけれども、日本全体の人口構造だけではなくて、高齢者の中でもより年齢の高い高齢者が増えていくということで、高齢者だけ取った人口構造も逆ピラミッド化していくと、そういう現象が起きていくということでありますので、いわゆる人口構造の面から見れば、まだ日本の人口構造は、二割を超えて大変だというふうに言われていますけれども、実質的な問題を考えればまだほんの入口の段階にあって、正に高齢化問題というのはこれから本格化していくということであります。
それから、第二点目のテーマは、二ページ目にある高齢者の生活の現状と問題点ということでありますが、これも先に結論を簡単に紹介さしていただければ、日本の高齢者はよく、一人当たりの平均所得であるとかあるいは高齢者世帯当たりの平均貯蓄率で見ると必ずしも弱者ではないというふうにこう言われておりますが、それはあくまでも平均の話ということであります。この平均というのは統計上の計算値にすぎません。つまり、高齢者一人一人の現実の生活を示す数字じゃないわけであります。改めて高齢者一人一人の生活の現状を見れば、それはほとんどの人が平均以上か平均以下で生活しているのであり、正に統計に表れる平均で生活しているという人は、実は人数を数えてみればほとんど皆無に近い、ゼロに近いというのが現状であります。
そこで、私どもが関心を持たなければいけないのは、この平均以下で暮らしている方の高齢者の生活の現状ということでありますが、その状況というのは、やはり他の世代と比較してかなり相対的な貧困者の割合が高い。相対的な貧困者というのは、後ほどもう一度説明をさせていただきますが、生存していく、生きていくというだけでは支障はないけれども社会に参加していくという上で支障が出てくる、つまり社会参加が十分にできない、そういうふうな状況に置かれている高齢者の割合が非常に高いということであります。しかも、加えて健康面、特に介護などの面、あるいは家族との接触、さらには住宅だとか交通のインフラの整備の面でも非常に日本は立ち後れており、この面で高齢者の生活は非常に厳しい状況に置かれているというふうに考えられるわけであります。
この問題は、先ほど指摘さしていただきましたように、今後、後期高齢者、つまり日本の高齢者の人口ピラミッドが逆三角形化していく、逆ピラミッド化していくという過程でこの問題もますます深刻化していくというおそれがあります。
第三のテーマは、いわゆるそれでは今後本格化する高齢社会の到来に備えてどのように対応するべきなのかということでありますが、私の結論を申し上げれば、やや逆説的のように聞こえるかもしれませんが、もはや高齢者対策の時代ではないというふうに私は考えております。既に五人に一人が六十五歳以上の高齢者、二十五年後には三人に一人、さらに四十五年後には五人に二人が六十五歳以上になるわけでありますから、つまり、もはや高齢者というのは特別な存在ではないというふうに考えられるわけであります。私どもの勤めている大学でも、大学の進学率が五割近くになれば、大学生は別に特別な存在ではなくて普通の学力しか持たない存在になるんだというのとほぼ同じような状況かというふうに思いますが、これだけ高齢者が増えてくれば、高齢者というのは特別な存在ではないと。
すなわち、そう考えるなら、高齢者だけではなくて、障害者であるとか子供も含めてすべての人が毎日の生活を安全にそして安心して送ることができるような環境を整備すること、それが結果的には高齢者にとっても暮らしやすい社会をつくるというふうになるわけであります。逆に言えば、高齢者だけを対象にした対策とか政策というのはむしろ社会的な合意が得にくくなる可能性があるということでありまして、むしろ、あえて高齢者対策というのではなくて、すべての人が普通に暮らせる環境をつくっていく、それが結果的には高齢者対策になるだろうというのが私の今日申し上げたい論点の、テーマの結論であります。
街頭の演説であればこれで話は終わるということでもよろしいかと思うんですが、本日は参考人として呼ばれておりますので、ただいま申し上げました結論の背景にある数字や実態について改めてレジュメに立ち戻って多少、少し詳しく残りの十分間で説明をさせていただきたいというふうに思います。
ちょっとしつこいようでありますが、第一の論点から復習も兼ねてお話をさせていただきたいというふうに思います。しつこいのはちょっとへび年の性格であります。家内もへび年ですし、息子も性格で、蛇がとぐろを巻いて家にいるもんですから、申し訳ございません、大変しつこくなります。
一ページ目でありますけれども、最初のレジュメに戻りますが、日本の人口構造が急速に高齢化した背景には二つの要因があるというふうに考えられます。
一つは、この(1)に示しました絶対的な高齢化という現象でありまして、簡単に申し上げれば長生きする人が増えてきたということであります。それぞれどういうふうに増えてきたかということに関しましては、平均寿命、六十五歳の平均余命、六十五歳から、になればあと何年平均して生きられるのか、それから六十五歳までの生存率、おぎゃあと生まれた赤ん坊が六十五歳まで生きれる生存的な確率は何%かと、そういったものを、それぞれ各数字を見ても、戦後日本の高齢者、日本の人たちが、より多くの人たちがより長生きできる状況が生まれてきたということは、各統計を見ても明らかなとおりであります。
この中で特に注目をしていただきたいのは、真ん中ほどのところにちょっと書かれていることでありますが、より長く生きる人がより多くなる。それは数字で見るとどういう現象かといいますと、二〇〇五年から二〇三〇年、ただいまから約二十五年後、この二十五年間の間に六十五歳以上と言われている高齢者の人は、ややちょっと数字が細かくて恐縮なんですが、この二十五年間の間に二千五百七十六万人から三千六百六十七万人という形で千九十一万人増えるというふうに予測をされております。
しかし、その中で特に八十歳以上の人がどういう形で増えていくかというのを見ると、六百二十一万人から千四百十八万人に約八百万人増えるわけであります。高齢者の方が一千百万人増える中で、うち八百万人は八十歳以上である。つまり、これからの二十五年間、高齢化は進んでいくんだけれども、その中で増えていく高齢者のうち四人に三人は八十歳以上の人であるというところが、いわゆる絶対的高齢化がこれから進んでいく上で非常にまず注目しておくべき点かというふうに思います。
それから、第二の高齢化の要因というのは相対的な高齢化ということでありまして、これは簡単に言えば、少子化による人口減少、それが結果的に総人口に占める高齢者の割合を上げていくんだということでありまして、それによる高齢化が実はこれからどんどん進展していくということであります。
総人口の予測、それからそこで用いられている合計特殊出生率等の数字についてはレジュメでお示ししたとおりでありますが、ここで一つだけ申し上げておきたい点は、合計特殊出生率という、一人の女性が将来何人の子供を産むかということを統計的に推計した値でありますが、この推計値が下がることによって、将来的な社会保障のビジョンの中でいわゆる一人当たりの将来世代の負担額が非常に増えていくということであります。
例えば、この十年間に合計特殊出生率は推計値で一・六一から一・二六に長期的に下がるというふうに見込まれていますが、こうした形で出生率が下がることによって、もしこれまでと同様の社会保障を提供していこうとすれば、一人当たりの負担額は将来世代三〇%増えざるを得ないということになりますので、三〇%をそのまま増やせというのは非常に無理な話でありますから、こうした増える分をどのように調整していくかというのが一つの課題になってくるということであります。
ですから、出生率を上げようというふうに私は申し上げるつもりは全くございませんで、出生率が高いか低いかということが問題ではなくて、子供を産み育てる上で障害が今の日本の経済社会の中にあるかどうかということが問題であります。その障害を取り除くということが課題であって、出生率がどうなるかということはその結果として出てくる問題であるということでありますので、この低下の背景にどういった問題があるのかということは改めて綿密に議論をしておく必要があるだろうというふうに思われます。
こうした結果として、いわゆる絶対的な高齢化と相対的な高齢化と組み合わされた形で、今後、実は日本の高齢化というのは正に本格的な高齢社会を迎えるようになってくるわけであります。
そうなると、ここで一点強調しておきたいのは、これまでの高齢者対策というと、どちらかといえば、日本の人口構造に占める高齢者も比較的若い高齢者が多かったものでありますから、六十五から七十四歳の比較的健康で就業率も高く、いわゆる高齢者は必ずしも弱者ではないと言われるような、そうした高齢者を対象に様々な高齢者対策が立てられてきたというふうに思うわけですけれども、これからはそうした発想を転換しなければいけない。やや過激なことを申し上げれば、これまでの対策はすべて白紙に戻した上で、どう高齢者対策を再設計していくのかということが、私は高齢者の今後の生活を考えていく上で非常に重要な課題になるんではないかというふうに思います。
それから、第二点目の高齢者の生活ということでありますが、ここもちょっとやや細かい数字を並べてしまって恐縮なんでありますが、二ページ目のレジュメのところで、よく言われている、高齢者は平均的に見れば必ずしも弱者ではないというのは、例えば高齢者の世帯の一人当たりの所得を見たときであるとか、あるいは高齢者の一世帯当たりの貯蓄金額を見たときとか、そういうふうに平均のいわゆる経済状況で見れば、このレジュメの真ん中ほどに書かせていただきましたが、確かに平均的に見れば高齢者は弱者ではありません。
しかし、すべての高齢者が裕福なわけでもないということも我々としてはしっかりと見詰めておく必要があるというふうに思います。特に、先ほど申し上げましたように、平均以下の高齢者というのは、非常に相対的に貧しい、つまり社会的な参加が難しい、周囲の人たちと同じように行動できないという人たちが非常に多くて、その世帯の割合は約三割というふうに推計されまして、全世帯の二割よりも大きいわけでありますから、その面で高齢者の方が全世帯の平均と比べて相対的に貧しい世帯が多いというふうに確認できるかというふうに思います。
よく、高齢者ほど経済格差が大きいのは当然であり、それは若いころの努力の成果であるとか、そういうものが累積的に反映されて、高齢者の間では経済格差が若い世代、現役世代よりも拡大するのは当然のように言われておりますが、実は欧米の先進諸国の状況を見ると、むしろ高齢者になるほど経済格差というのは縮小する傾向にあります。なぜなら、高齢者の間には平等な、比較的公平な年金制度だとか、そういうものがしかれておりますので、むしろ日本の高齢者の間で格差が拡大していくということには、単に若いころの格差だけではなくて、高齢者になってからの格差も非常に影響しているんではないかという点を一つ注目しておく必要があるんではないかというふうに思われます。つまり、高齢者になってからの格差というのは、正に年金の制度間の格差であり、いわゆる就業機会がある高齢者と就業機会がない高齢者といった、正に高齢者になってからの格差がこうした日本における高齢者の経済的格差に影響しているんではないかという点は一つ、一点注目しておく必要があるんだろうというふうに思われます。
ただ、経済的なことだけが高齢者の生活ではないわけでありまして、お金があっても不幸な人はたくさんおります。お金がなくても幸せな人は余りいないと思いますが、お金があっても不幸な人はたくさんいるわけで、その不幸と思われる一つの大きな要因はやはり健康問題だというふうに思われます。
この健康問題についても、今後の高齢化の中で一番懸念されるのは、当然医療の問題もそうなんでありますが、それ以上に懸念されるのはやはり介護の問題であります。なぜ介護の問題がいわゆる懸念されるかというと、在宅要介護者、つまり介護を要する人は実は高齢者になってからも、年を取るほど介護の割合が増えていくということであります。一般のいわゆる病気の場合には、高齢者になった時点でいわゆる体の不調を訴える人が急に増えるわけですけど、介護の場合には高齢者になった後も、実は七十五歳、八十歳、八十五歳と年齢を重ねていくに従ってこの割合が増えていくということで、いわゆる介護の問題が極めて深刻であるということであります。しかも、現状は、随分介護保険の普及によって介護サービスは行き届くようになりましたけれども、なお女性の負担というのが大変大きいという点は懸念されるところであります。
ちょっともう時間が参りましたので、あと二、三分で終わらせていただきます。
次に、その高齢者と家族の状況とか高齢者の暮らしということを少しレジュメで書かせていただいたんですが、これは私が申し上げるまでもなく、高齢者と家族の問題については、最近、高齢者の夫婦のみ、あるいは高齢者の独り暮らしという、そうした家族形態が増えているわけですが、この中で特に今後我々が注視しなければいけないのは、これまでは単身の高齢者の世帯というのは女性が多かったんですけれども、今後は、団塊の世代というのは、年上も年下も人口が少なかったものですから、友達結婚によっていわゆる夫婦間の年齢格差が非常に小さくなったということで、いわゆる妻に先立たれる夫がこれからどんどんどんどん増えていくということで、正に今後は、男性高齢者の単身世帯が足下でも非常に増えております。今後は更に増えていくということになると、いわゆる男性高齢者の単身世帯をどうするかということがこれからの高齢者の暮らしの中で重要になってくるのではないかというふうに思われます。
さらに、高齢者の暮らしを支えるインフラも日本では非常に立ち後れておりまして、住宅の設備も非常に貧弱でありますし、交通機関を見ても非常に高齢者が使いやすいような状況にはなっておりませんし、さらに、日常生活を考えれば、必ずしも高齢者が使いやすいような通信機器あるいは情報機器が少ない、つまり若い世代と高齢者の間でデジタルデバイドが生じている、情報格差が生じているということも今後の課題になってくるというふうに思います。
ただ、私は、高齢者が必ずしもこうした最新の情報機器を使いこなせないんではない、つまり使いこなせる能力は高齢者も十分あるんだというふうに思います。ただ、先ほど申し上げましたような家族形態の変化において、身近にこうした新しい通信機器、情報機器を使い方を教えてくれる人たちがいなくなったことによっていわゆる高齢者と若い世代のデジタルデバイドが広がっているというふうに考えられますので、そうした面での対応策ということも今後高齢者の暮らしを支える上で大変重要な課題になってくるだろうというふうに思われます。
最後に、高齢者の対策でありますけれども、先ほど申し上げましたように、正にその高齢者が普通に生活できる国づくりというのが最大の私は課題になってくるというふうに思います。
何回も申し上げますが、これほど人口の中に割合が増えた高齢者はもはや特別ではないわけでありますから、年齢を理由にしたような定年等の差別であるとか、あるいは社会保障面での優遇策は基本的には廃止すべきであろうと、改めて高齢者の年齢を再定義すべきであろうというふうに考えられます。私は、当面は七十歳、長期的には七十五歳以上にいわゆる高齢者の定義を再定義した上で年齢による優遇策を講じるのであれば、そうした年齢以上の高齢者に対策を講ずべきではないかというふうに思うわけであります。
あと、各論についてはそこに書いたとおりでありまして、一点だけ申し上げれば、これからは当然高齢社会を迎えて負担増ということが重要な課題になってきますが、最初に負担ありきという形でビジョンをつくっても国民には納得されないというふうに思います。そういう意味で、負担増を納得できるような信頼あるビジョンづくりというものが、これからの高齢者の生活あるいは政策を考えていく上で重要な課題になるんではないかというふうに思うわけであります。
以上、若干時間をオーバーして恐縮でございましたが、取りあえず私の報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →本来であれば、先週も日野原先生が立ったままお話しされたということなんで、四十歳も若い私は立ったまま話すべきなんですが、先週ちょっと腰を痛めまして、ちょっと、二度と座れなくなるかもしれないので今のうちに着席させて報告させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日は、ほかの参考人のお二人がパワーポイントという大変IT化に富んだ報告ツールで御報告されるんですが、私はいまだにローテクで、授業アンケートを学生から取っても、情報化が後れているというところにいつも丸を付けられている立場なものですから、ちょっとレジュメの方で報告をさせていただければというふうに思います。
本日、報告をさせていただきたいテーマは大きく分けて三つございます。最初に各テーマごとの結論を一通り簡単に申し上げた上で、改めてその次に、その結論の論拠となる数字と背景について、大変ちょっと細かなレジュメで恐縮なんですが、数字と背景について説明をさせていただければというふうに思います。
報告をさせていただきたいテーマの第一点は、レジュメの第一にあります人口構造から見た高齢者の現状と見通しということであります。それから、第二点目がレジュメの二ページ目にあります高齢者の生活の現状と問題点、第三点目がレジュメの三ページ目の後半に少し書かせていただきました今後の高齢者への対応ということで、三点報告をさせていただきたいというふうに思います。
まず最初に、第一点目の人口構造から見た高齢者の現状と見通しということでございますが、昨年十二月に公表された国立社会保障・人口問題研究所の予測によりますと、日本の総人口に占める六十五歳以上の比率、すなわち人口統計上は高齢者比率ということになりますが、この数字は二〇〇五年で既に二〇%を超え、将来的には、二〇三〇年に三〇%、二〇五五年には四〇%を超えるという見込みであります。
本日、まず第一に私が強調しておきたいのは、この予測に示されている数字、この数字は大変急激な高齢化が進展するように見えますけれども、この数字以上に日本における高齢化の進展は深刻だという点であります。
先に結論を申し上げれば、これまでの日本では、高齢者の中でも比較的若い六十五から七十四歳と言われる前期高齢者を中心に高齢化が進展してきたというわけですけれども、今後、二十一世紀に入って進む高齢化というのは、七十五歳以上の高齢者、すなわち後期高齢者と呼ばれている方が増えていく、そういう形で高齢化が進展していくということでありますので、その結果、実は日本全体の人口構造がいわゆる逆ピラミッド化していくというのはよく言われているわけですけれども、日本全体の人口構造だけではなくて、高齢者の中でもより年齢の高い高齢者が増えていくということで、高齢者だけ取った人口構造も逆ピラミッド化していくと、そういう現象が起きていくということでありますので、いわゆる人口構造の面から見れば、まだ日本の人口構造は、二割を超えて大変だというふうに言われていますけれども、実質的な問題を考えればまだほんの入口の段階にあって、正に高齢化問題というのはこれから本格化していくということであります。
それから、第二点目のテーマは、二ページ目にある高齢者の生活の現状と問題点ということでありますが、これも先に結論を簡単に紹介さしていただければ、日本の高齢者はよく、一人当たりの平均所得であるとかあるいは高齢者世帯当たりの平均貯蓄率で見ると必ずしも弱者ではないというふうにこう言われておりますが、それはあくまでも平均の話ということであります。この平均というのは統計上の計算値にすぎません。つまり、高齢者一人一人の現実の生活を示す数字じゃないわけであります。改めて高齢者一人一人の生活の現状を見れば、それはほとんどの人が平均以上か平均以下で生活しているのであり、正に統計に表れる平均で生活しているという人は、実は人数を数えてみればほとんど皆無に近い、ゼロに近いというのが現状であります。
そこで、私どもが関心を持たなければいけないのは、この平均以下で暮らしている方の高齢者の生活の現状ということでありますが、その状況というのは、やはり他の世代と比較してかなり相対的な貧困者の割合が高い。相対的な貧困者というのは、後ほどもう一度説明をさせていただきますが、生存していく、生きていくというだけでは支障はないけれども社会に参加していくという上で支障が出てくる、つまり社会参加が十分にできない、そういうふうな状況に置かれている高齢者の割合が非常に高いということであります。しかも、加えて健康面、特に介護などの面、あるいは家族との接触、さらには住宅だとか交通のインフラの整備の面でも非常に日本は立ち後れており、この面で高齢者の生活は非常に厳しい状況に置かれているというふうに考えられるわけであります。
この問題は、先ほど指摘さしていただきましたように、今後、後期高齢者、つまり日本の高齢者の人口ピラミッドが逆三角形化していく、逆ピラミッド化していくという過程でこの問題もますます深刻化していくというおそれがあります。
第三のテーマは、いわゆるそれでは今後本格化する高齢社会の到来に備えてどのように対応するべきなのかということでありますが、私の結論を申し上げれば、やや逆説的のように聞こえるかもしれませんが、もはや高齢者対策の時代ではないというふうに私は考えております。既に五人に一人が六十五歳以上の高齢者、二十五年後には三人に一人、さらに四十五年後には五人に二人が六十五歳以上になるわけでありますから、つまり、もはや高齢者というのは特別な存在ではないというふうに考えられるわけであります。私どもの勤めている大学でも、大学の進学率が五割近くになれば、大学生は別に特別な存在ではなくて普通の学力しか持たない存在になるんだというのとほぼ同じような状況かというふうに思いますが、これだけ高齢者が増えてくれば、高齢者というのは特別な存在ではないと。
すなわち、そう考えるなら、高齢者だけではなくて、障害者であるとか子供も含めてすべての人が毎日の生活を安全にそして安心して送ることができるような環境を整備すること、それが結果的には高齢者にとっても暮らしやすい社会をつくるというふうになるわけであります。逆に言えば、高齢者だけを対象にした対策とか政策というのはむしろ社会的な合意が得にくくなる可能性があるということでありまして、むしろ、あえて高齢者対策というのではなくて、すべての人が普通に暮らせる環境をつくっていく、それが結果的には高齢者対策になるだろうというのが私の今日申し上げたい論点の、テーマの結論であります。
街頭の演説であればこれで話は終わるということでもよろしいかと思うんですが、本日は参考人として呼ばれておりますので、ただいま申し上げました結論の背景にある数字や実態について改めてレジュメに立ち戻って多少、少し詳しく残りの十分間で説明をさせていただきたいというふうに思います。
ちょっとしつこいようでありますが、第一の論点から復習も兼ねてお話をさせていただきたいというふうに思います。しつこいのはちょっとへび年の性格であります。家内もへび年ですし、息子も性格で、蛇がとぐろを巻いて家にいるもんですから、申し訳ございません、大変しつこくなります。
一ページ目でありますけれども、最初のレジュメに戻りますが、日本の人口構造が急速に高齢化した背景には二つの要因があるというふうに考えられます。
一つは、この(1)に示しました絶対的な高齢化という現象でありまして、簡単に申し上げれば長生きする人が増えてきたということであります。それぞれどういうふうに増えてきたかということに関しましては、平均寿命、六十五歳の平均余命、六十五歳から、になればあと何年平均して生きられるのか、それから六十五歳までの生存率、おぎゃあと生まれた赤ん坊が六十五歳まで生きれる生存的な確率は何%かと、そういったものを、それぞれ各数字を見ても、戦後日本の高齢者、日本の人たちが、より多くの人たちがより長生きできる状況が生まれてきたということは、各統計を見ても明らかなとおりであります。
この中で特に注目をしていただきたいのは、真ん中ほどのところにちょっと書かれていることでありますが、より長く生きる人がより多くなる。それは数字で見るとどういう現象かといいますと、二〇〇五年から二〇三〇年、ただいまから約二十五年後、この二十五年間の間に六十五歳以上と言われている高齢者の人は、ややちょっと数字が細かくて恐縮なんですが、この二十五年間の間に二千五百七十六万人から三千六百六十七万人という形で千九十一万人増えるというふうに予測をされております。
しかし、その中で特に八十歳以上の人がどういう形で増えていくかというのを見ると、六百二十一万人から千四百十八万人に約八百万人増えるわけであります。高齢者の方が一千百万人増える中で、うち八百万人は八十歳以上である。つまり、これからの二十五年間、高齢化は進んでいくんだけれども、その中で増えていく高齢者のうち四人に三人は八十歳以上の人であるというところが、いわゆる絶対的高齢化がこれから進んでいく上で非常にまず注目しておくべき点かというふうに思います。
それから、第二の高齢化の要因というのは相対的な高齢化ということでありまして、これは簡単に言えば、少子化による人口減少、それが結果的に総人口に占める高齢者の割合を上げていくんだということでありまして、それによる高齢化が実はこれからどんどん進展していくということであります。
総人口の予測、それからそこで用いられている合計特殊出生率等の数字についてはレジュメでお示ししたとおりでありますが、ここで一つだけ申し上げておきたい点は、合計特殊出生率という、一人の女性が将来何人の子供を産むかということを統計的に推計した値でありますが、この推計値が下がることによって、将来的な社会保障のビジョンの中でいわゆる一人当たりの将来世代の負担額が非常に増えていくということであります。
例えば、この十年間に合計特殊出生率は推計値で一・六一から一・二六に長期的に下がるというふうに見込まれていますが、こうした形で出生率が下がることによって、もしこれまでと同様の社会保障を提供していこうとすれば、一人当たりの負担額は将来世代三〇%増えざるを得ないということになりますので、三〇%をそのまま増やせというのは非常に無理な話でありますから、こうした増える分をどのように調整していくかというのが一つの課題になってくるということであります。
ですから、出生率を上げようというふうに私は申し上げるつもりは全くございませんで、出生率が高いか低いかということが問題ではなくて、子供を産み育てる上で障害が今の日本の経済社会の中にあるかどうかということが問題であります。その障害を取り除くということが課題であって、出生率がどうなるかということはその結果として出てくる問題であるということでありますので、この低下の背景にどういった問題があるのかということは改めて綿密に議論をしておく必要があるだろうというふうに思われます。
こうした結果として、いわゆる絶対的な高齢化と相対的な高齢化と組み合わされた形で、今後、実は日本の高齢化というのは正に本格的な高齢社会を迎えるようになってくるわけであります。
そうなると、ここで一点強調しておきたいのは、これまでの高齢者対策というと、どちらかといえば、日本の人口構造に占める高齢者も比較的若い高齢者が多かったものでありますから、六十五から七十四歳の比較的健康で就業率も高く、いわゆる高齢者は必ずしも弱者ではないと言われるような、そうした高齢者を対象に様々な高齢者対策が立てられてきたというふうに思うわけですけれども、これからはそうした発想を転換しなければいけない。やや過激なことを申し上げれば、これまでの対策はすべて白紙に戻した上で、どう高齢者対策を再設計していくのかということが、私は高齢者の今後の生活を考えていく上で非常に重要な課題になるんではないかというふうに思います。
それから、第二点目の高齢者の生活ということでありますが、ここもちょっとやや細かい数字を並べてしまって恐縮なんでありますが、二ページ目のレジュメのところで、よく言われている、高齢者は平均的に見れば必ずしも弱者ではないというのは、例えば高齢者の世帯の一人当たりの所得を見たときであるとか、あるいは高齢者の一世帯当たりの貯蓄金額を見たときとか、そういうふうに平均のいわゆる経済状況で見れば、このレジュメの真ん中ほどに書かせていただきましたが、確かに平均的に見れば高齢者は弱者ではありません。
しかし、すべての高齢者が裕福なわけでもないということも我々としてはしっかりと見詰めておく必要があるというふうに思います。特に、先ほど申し上げましたように、平均以下の高齢者というのは、非常に相対的に貧しい、つまり社会的な参加が難しい、周囲の人たちと同じように行動できないという人たちが非常に多くて、その世帯の割合は約三割というふうに推計されまして、全世帯の二割よりも大きいわけでありますから、その面で高齢者の方が全世帯の平均と比べて相対的に貧しい世帯が多いというふうに確認できるかというふうに思います。
よく、高齢者ほど経済格差が大きいのは当然であり、それは若いころの努力の成果であるとか、そういうものが累積的に反映されて、高齢者の間では経済格差が若い世代、現役世代よりも拡大するのは当然のように言われておりますが、実は欧米の先進諸国の状況を見ると、むしろ高齢者になるほど経済格差というのは縮小する傾向にあります。なぜなら、高齢者の間には平等な、比較的公平な年金制度だとか、そういうものがしかれておりますので、むしろ日本の高齢者の間で格差が拡大していくということには、単に若いころの格差だけではなくて、高齢者になってからの格差も非常に影響しているんではないかという点を一つ注目しておく必要があるんではないかというふうに思われます。つまり、高齢者になってからの格差というのは、正に年金の制度間の格差であり、いわゆる就業機会がある高齢者と就業機会がない高齢者といった、正に高齢者になってからの格差がこうした日本における高齢者の経済的格差に影響しているんではないかという点は一つ、一点注目しておく必要があるんだろうというふうに思われます。
ただ、経済的なことだけが高齢者の生活ではないわけでありまして、お金があっても不幸な人はたくさんおります。お金がなくても幸せな人は余りいないと思いますが、お金があっても不幸な人はたくさんいるわけで、その不幸と思われる一つの大きな要因はやはり健康問題だというふうに思われます。
この健康問題についても、今後の高齢化の中で一番懸念されるのは、当然医療の問題もそうなんでありますが、それ以上に懸念されるのはやはり介護の問題であります。なぜ介護の問題がいわゆる懸念されるかというと、在宅要介護者、つまり介護を要する人は実は高齢者になってからも、年を取るほど介護の割合が増えていくということであります。一般のいわゆる病気の場合には、高齢者になった時点でいわゆる体の不調を訴える人が急に増えるわけですけど、介護の場合には高齢者になった後も、実は七十五歳、八十歳、八十五歳と年齢を重ねていくに従ってこの割合が増えていくということで、いわゆる介護の問題が極めて深刻であるということであります。しかも、現状は、随分介護保険の普及によって介護サービスは行き届くようになりましたけれども、なお女性の負担というのが大変大きいという点は懸念されるところであります。
ちょっともう時間が参りましたので、あと二、三分で終わらせていただきます。
次に、その高齢者と家族の状況とか高齢者の暮らしということを少しレジュメで書かせていただいたんですが、これは私が申し上げるまでもなく、高齢者と家族の問題については、最近、高齢者の夫婦のみ、あるいは高齢者の独り暮らしという、そうした家族形態が増えているわけですが、この中で特に今後我々が注視しなければいけないのは、これまでは単身の高齢者の世帯というのは女性が多かったんですけれども、今後は、団塊の世代というのは、年上も年下も人口が少なかったものですから、友達結婚によっていわゆる夫婦間の年齢格差が非常に小さくなったということで、いわゆる妻に先立たれる夫がこれからどんどんどんどん増えていくということで、正に今後は、男性高齢者の単身世帯が足下でも非常に増えております。今後は更に増えていくということになると、いわゆる男性高齢者の単身世帯をどうするかということがこれからの高齢者の暮らしの中で重要になってくるのではないかというふうに思われます。
さらに、高齢者の暮らしを支えるインフラも日本では非常に立ち後れておりまして、住宅の設備も非常に貧弱でありますし、交通機関を見ても非常に高齢者が使いやすいような状況にはなっておりませんし、さらに、日常生活を考えれば、必ずしも高齢者が使いやすいような通信機器あるいは情報機器が少ない、つまり若い世代と高齢者の間でデジタルデバイドが生じている、情報格差が生じているということも今後の課題になってくるというふうに思います。
ただ、私は、高齢者が必ずしもこうした最新の情報機器を使いこなせないんではない、つまり使いこなせる能力は高齢者も十分あるんだというふうに思います。ただ、先ほど申し上げましたような家族形態の変化において、身近にこうした新しい通信機器、情報機器を使い方を教えてくれる人たちがいなくなったことによっていわゆる高齢者と若い世代のデジタルデバイドが広がっているというふうに考えられますので、そうした面での対応策ということも今後高齢者の暮らしを支える上で大変重要な課題になってくるだろうというふうに思われます。
最後に、高齢者の対策でありますけれども、先ほど申し上げましたように、正にその高齢者が普通に生活できる国づくりというのが最大の私は課題になってくるというふうに思います。
何回も申し上げますが、これほど人口の中に割合が増えた高齢者はもはや特別ではないわけでありますから、年齢を理由にしたような定年等の差別であるとか、あるいは社会保障面での優遇策は基本的には廃止すべきであろうと、改めて高齢者の年齢を再定義すべきであろうというふうに考えられます。私は、当面は七十歳、長期的には七十五歳以上にいわゆる高齢者の定義を再定義した上で年齢による優遇策を講じるのであれば、そうした年齢以上の高齢者に対策を講ずべきではないかというふうに思うわけであります。
あと、各論についてはそこに書いたとおりでありまして、一点だけ申し上げれば、これからは当然高齢社会を迎えて負担増ということが重要な課題になってきますが、最初に負担ありきという形でビジョンをつくっても国民には納得されないというふうに思います。そういう意味で、負担増を納得できるような信頼あるビジョンづくりというものが、これからの高齢者の生活あるいは政策を考えていく上で重要な課題になるんではないかというふうに思うわけであります。
以上、若干時間をオーバーして恐縮でございましたが、取りあえず私の報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
清
小
小塩隆士#4
○参考人(小塩隆士君) 神戸大学の小塩です。よろしくお願いいたします。(資料映写)
私の報告は、三つの柱で構成されております。まず、新しい人口推計が昨年の十二月に厚生労働省から発表されたんですけれども、その政策的な意味合いを簡単に御説明いたします。
それから、二番目といたしまして、現行の社会保障制度の基本的な問題点を整理いたします。この点につきましては、先ほどの高橋先生の御意見と非常に共通する部分があります。それをあらかじめ御了解いただきたいと思います。
それから、三番目といたしましては、私が個人的に考えております社会保障制度の改革の在り方について簡単に意見を述べさせていただきます。
まず、新しい人口推計の意味合いなんですけれども、合計特殊出生率が足下、二〇〇五年の一・二六からどういうふうに変化するかという数字なんですが、これから若干この出生率は落ちまして、二〇一三年ごろをボトムにいたしまして回復するんですが、五十年後も現在の水準をようやく維持できるという、非常に深刻なシナリオが描かれています。
これがどういうふうな意味を持っているかということなんですけれども、一つ目は、これは皆さん十分御存じかと思いますけれども、現役層の負担が大きくなるということであります。
二〇〇五年では高齢者一人を大体現役層が三・二八人で支えるという形になっているわけですけれども、五十年後の二〇五五年には一・二六人で一人の高齢者を支えるという形になります。これは非常に大きな変化でありまして、現行のように若い層が高齢層を支えるというふうな社会保障の仕組みがなかなか維持できなくなるというふうなことが言えるかと思います。
もう一つ重要な点があります。それは、子供の数が少なくなるというのはよく少子化の大きな結果として指摘されるんですけれども、その一方で、子供を持たなくなる人も増えるということも重要かと思います。
今からお見せするグラフは厚生労働省が試算したものなんですけれども、女性の高齢者の未婚率がこれからどういうふうに変化するかという数字であります。二〇〇五年では大体五%ぐらいの高齢女性が未婚なんですけれども、五十年後にはそれが大体四分の一ぐらいに高まってしまうということですね。ここにはお見せしておりませんけれども、子供を産まないで亡くなるという女性も大体三割ぐらいというふうに言われています。
となると、子供が減るだけじゃなくて、家庭を持たない層が無視できないウエートを占めるようになるということです。今では子供世帯あるいは配偶者からいろんな支援、経済的な支援とか精神的な支援を受けていろんな社会的なリスクに備えるというふうな仕組みがあるわけなんですけれども、このまま人口減少が進むと、個人が様々な社会的なリスクに直面せざるを得ないというふうな深刻な状況になります。そういう状況に現在の社会保障の仕組みがちゃんと適応できるのかと言われると、いろんな問題があるのではないかというふうに思います。
以上、新しい人口推計について御説明しましたけれども、繰り返しますと、現役層からの所得移転に依存した現在の仕組みがなかなか維持できなくなる、これが一つ目の問題。もう一つ目の問題といたしまして、家族そのものが減少して、高齢時の貧困リスクが今以上に深刻な問題になると、この点が重要かと思います。こういうふうな状況は、現行の社会保障の仕組みが想定していない状況であろうかと思います。
それでは、現在の社会保障の仕組みにどういうところが問題になっているのかという点について御説明いたします。
全部で三つあるんですけれども、一番目は、将来世代に負担を先送りしているという点であります。
しばしば、社会保障の在り方をめぐっては、大きな政府であるべきかあるいは小さな政府であるべきかというふうな議論があります。普通は、なるべく小さな政府にしましょう、税とそれから社会保障負担を合わせた国民負担の国民所得に対する比率、これを国民負担率と申しますけれども、これも、この国民負担率をなるべく低い水準にとどめましょうというふうな議論を耳にするわけですけれども、その一方で、いやいや、日本は既に小さな政府なので、むしろこれから社会保障を充実する必要があるというふうな議論もあるわけです。
実際、数字を見ますと、確かに日本はほかの国に比べて、ここでは社会支出という概念を登場させておりますけれども、社会保障給付と見ていただいても大きな間違いではございませんけれども、そのGDPに対する比率はほかの先進国に比べて低めになっております。ですから、数字で見る限り日本は小さな政府であるというふうに言えるかと思います。
ただ、その一方で政府の純債務のGDPに対する比率が九〇%に達しております。つまり、小さな政府ではあるんですけれども、負担を将来世代にかなり先送りしているというふうな形になっています。これから日本は社会保障給付がどうしても増えていきます。そういうふうな意味で、大きな政府になるというのは仕方のないことだろうと思うんですけれども、その一方で、将来世代に負担を先送りすると非常に大きな問題が出てくるのではないかというふうに思います。これが現行制度の一つ目の問題点です。
もう一つは、社会保障給付の中身が高齢層向けに偏重しているというふうなことであります。社会保障給付全体に占める高齢層向けの給付のウエートは現在七割ぐらいに達しております。非常に高い水準であります。それで、いろんな問題が起こるわけなんですけれども、先ほどのグラフでお見せしましたように、マクロ的には日本の社会保障は少なめなんですけれども、ミクロ的に見ると財政運営が難しくなるという面があります。
今日は医療の御専門の先生方もいらっしゃるかと思いますけれども、日本の医療はほかの国に比べると非常に効率的に運営されているというふうなことがよく言われます。OECD諸国の中で比較しても日本の医療は非常にすばらしいというふうな高い評価をいただいているわけなんですけれども、その一方で国民健康保険あるいは組合健康保険、そういうふうな医療保険は軒並み財政が悪化しているというふうな状況になっております。これはどうしてかといいますと、やはり現役層が高齢層の医療費を負担しているというふうな財源構造に大きな問題があるのではないかというふうに思います。
それからもう一つ、高齢層向けの社会保障が充実するというのはいいんですけれども、その一方で子育て支援あるいは若い人の就業支援というふうな人生前半のセーフティーネットが手薄になっているというふうな問題があるかと思います。これが二点目の問題点です。
三点目の問題点は、先ほど高橋先生が御指摘されたことであります。平均的に見ると高齢層向けの給付は非常に充実しているわけなんですけれども、日本の高齢層は深刻な貧困問題に直面しているという点が大きな問題として指摘されます。
今、グラフにお見せしておりますのは相対的貧困率という数字です。これは所得の平均じゃなくて、真ん中辺の所得を得ている所得水準の五〇%を下回る世帯が何%いるか、そういう数字を示したものなんですけれども、青いグラフで示しておりますのは、日本の数字なんですが、OECDの平均と比べても高いですし、またその高い水準は高齢層で特に顕著になっているということが言えるかと思います。
その背景は何かということなんですけれども、いろんな要因があるわけなんですが、現在の公的年金がそういう格差拡大に全然機能していないという面であります。確かに、年金は高齢層の所得を平均的に引き上げますけれども、このグラフでお見せしておりますように、分布が非常に幅広いという形になっておりますので、高齢層の格差がそのまま残ってしまうというふうな問題があると思います。
これも高橋先生のお話をちょっと繰り返すようになってしまいますけれども、平均で見るといろんなところで問題が高齢層の場合出てまいります。細かく数字を見て、その高齢層の問題を調べる必要があるわけですけれども、総じて申しますと、日本の公的年金というのは中所得層以上には非常に手厚くて充実した仕組みになっているわけですけれども、低所得層向けには手薄になっているというふうなことが言えるのではないかと思います。
それから、皆さん、先生方の中でパラサイトシングルという言葉をお聞きになった方多いと思うんですけれども、最近はそのパラサイトシングルが高齢化いたしまして、中年のパラサイトシングルというのが増えております。しかも、その人たちのパラサイトしている、寄生しているのは親の年金だというケースも少なからずあります。そうすると、寄生している親が亡くなるとどうなるか。どうなると、非常に貧困問題が深刻化するというふうなことになります。
高齢化は、ただ単に人口の構成が高齢化するだけじゃなくて、貧困が高齢化するというふうな非常に深刻な問題も抱えているということですね。こういうふうな問題は現在の社会保障の仕組みが必ずしも想定していなかったものですので、これから制度改革を考える上で非常に重視していかなければいけない点かというふうに思います。
以上、現行制度について問題を述べましたけれども、改めてまとめますと、マクロ的に見ますと日本の政府は社会保障は小さい政府と言っていいんですけれども、負担を将来世代に先送りして持続可能性に問題がある、それから二番目として、給付の仕組みが高齢層向けに偏っている、それから、そうはいいながら、三番目として、高齢層内部の貧困問題が放置されていると、こういうふうな問題があります。人口減少が進むと、こうした問題が更に深刻化する危険性があるというふうに思います。
それではどうしたらいいかということなんですが、これについては研究者の中でも意見の一致がありませんし、政府の中でもいろいろ議論がなされておりますし、先生方の中でもいろんな御意見があるかと思いますけれども、取りあえず私の個人的な意見を申し上げます。
二つの方針を掲げさせていただきます。
一つは、できるだけ世代内で給付と負担をバランスさせるということが必要かというふうに思います。これから将来世代がだんだんと先細るわけですから、将来世代に負担を先送りするというのはなかなか物理的に難しくなるということです。なるべく次の世代におもしにならないような制度設計が必要です。それは、大きな政府を選ぶか、それとも小さな政府を選ぶかという選択の前にすべきことだろうというふうに思います。
そういう場合に、世代間の格差をどういうふうに考えるかという問題が出てまいります。
我々経済学者はよく年金の損得勘定というものを議論して、若い人は年金に入ると損をして、お年寄りは得をしているというふうなことをよく言うわけですね。そういうふうな世代間格差の存在を指摘すると、必ずしもそういうことだけで社会保障の問題を論じてはいけませんと、格差があったとしても、それ以外のところで若い人はお年寄り、高齢層からの貢献によって豊かな生活を送っているわけだから、余り年金の損得勘定、社会保障の損得勘定ばかり議論してはいけないというふうな議論もあるわけですね。
私はどういうふうに考えるかということなんですけれども、現在存在する、あるいはこれから広がっていく格差を一〇〇%、これはもう仕方がないということと思って是認することもいけないし、それから、全く駄目で、すべての世代が全部同じでないといけないということもまた非現実的だろうというふうに思います。
どういうふうに考えるかということなんですけれども、それぞれの世代が何となく納得できるなと、これだったら大丈夫だなというところで決着を付けるというふうな現実的な選択肢が必要ではないかというふうに思います。もうちょっと言葉を換えて言いますと、なるべく、若い世代に余り過剰な負担にならないような制度設計が必要だということであります。
その発想で出てきたのが二〇〇四年の厚生年金の改正におけるマクロ経済スライドという発想ですね。これは、マクロ経済成長あるいは人口動態に合わせて年金の給付の水準を自動的に調整するという仕組みなんですね。これにもいろんな問題点がありますけれども、若い世代の体力に合わせた形で年金の給付を調整するということで、お年寄りにはもちろん、今までの制度に比べると給付の減少という面があるんですけれども、若い人から見てみると、過剰な負担がなくなるというふうな面でプラスに評価される面があります。ただし、現行制度でも保険料それから税はこれから引き上げられるというふうなことが盛り込まれているわけですね。したがいまして、幾らその若い層の体力に合わせた制度になっているといっても、これからの若い層がそれに耐えられるかというのはちょっと問題があるということですね。
そこで、非常に大胆な試算を行ってみました。どういう試算かと申しますと、二〇〇四年改正時点から保険料の負担率それから税負担を一切引き上げなかったらどこまで年金を削らなければいけないかという、とんでもない試算であるわけですけれども、ラフに計算いたしますと、大体給付は三割カットということです。非常に大きなカットになるわけですね。もちろん、その一方で若い層の負担が減少されるわけですから、世代間格差は改善されるわけですけど、こういう試算を私が出したところ、各方面から非常に大きなおしかりを受けました。そんなことをすると年金制度が崩壊するじゃないかというふうなことになるわけですね。もちろん、そうでしょう。これはあくまでも極端なケースをお見せしたということなんですね。でも、もう全く非現実的で、そんなのは駄目だと言われると、やっぱり反論したくなるわけですね。やっぱり若い層になるべく負担の掛からないような形で制度を改革していくというのは考えておくべきテーマであろうというふうに思います。
でも、負担を抑制すると給付が不十分になるじゃないかという反論は当然あるわけですけれども、その場合どうしたらいいかということなんですけれども、それは、若いときに保険料を積み立てておいて、後でお年寄りになってからそれを取り崩すというふうないわゆる積立方式の発想で制度を一部改正するということもあり得るんじゃないかというふうに思います。
同じような問題の構造は医療や介護についても言えるかと思います。現役層の負担に今の制度は多くを依存しておりますので、何らかの形でそういうふうな現役層からの所得移転に依存する部分は規制を掛ける必要があるというふうに思います。
ただし、誤解していただくと困るんですけれども、それは必ずしも医療や介護の規模を縮小するということを意味しません。その負担と給付が世代内で均衡していたとすれば、どれだけの医療サービス、どれだけの介護サービスを必要とするか、それは国民の判断であるわけですね。ですから、ここでのポイントは、やはり世代内でできるだけ負担と給付をバランスさせるということだと思います。そのバランスさえできていれば、どういうふうな医療・介護サービスを選ぶかと、これは国民の選択にゆだねられるというふうに思います。
二番目の方針ですけれども、格差が高齢層で大きくなっているということでありますので、今まで以上に低所得層に支援をするということであります。貧困の高齢化を回避する手だてが必要かと思います。
ただ、問題は、社会保障改革だけではこれは無理です。と申しますのは、社会保障の中核は社会保険です。社会保険というのは保険料の拠出があって給付があるということでありますので、拠出をしていない人はなかなかその制度の内部で救済することは無理です。
それから、医療保険等の自己負担につきましても、高所得層ほど高くすべきだというふうな議論は当然あるかと思いますけれども、もう既に高齢層の自己負担は三割になっています。これよりも更に上げろというふうになると、いろんな問題が出てまいります。ですから、社会保障の範囲内で低所得層への支援というのはすることは難しいと思います。
では、どうしたらいいかということなんですけれども、税制を改める必要があるかというのが私の意見であります。
現在の税制は、高齢層に対してはむしろ逆進的に働いているという面があります。この図は出そうか出すまいかちょっと悩んだんですけれども、と申しますのは、ちょっと時点が古いんですね、二〇〇一年ということです。それ以降に公的年金等控除とか老年者控除の見直しがありましたので、今の仕組みはちょっと違っているかと思いますけれども、二〇〇一年時点で見ますと、むしろ税は高齢層においては低所得層に対して不利な形で働いているというふうな面があります。これを改める必要があるということですね。
じゃ、どうすればいいかということなんですけれども、これは高齢層向けじゃなくて、すべての年齢層に対して言えることなんですけれども、現行のように所得控除で低所得層を支援するというのは限界があります。むしろ税額控除にすべきである。さらに、税額控除も、税を所得の低い層には還付するというふうな形で直接的に低所得層を支援するというふうな仕組みが必要になろうかと思います。
さらに、ほかの国の例を見ますと、その還付した税額で社会保険料の負担を相殺するというふうな仕組みにします。そうすると、セーフティーネットから外れるという危険性も解除されるということになりますので、こういうふうな形で税制改革による再分配の仕組みが、改革をするということも必要になろうかと思います。
ただ、こういうふうに税制によって再分配を行う場合は、所得の捕捉というのが重要になると思いますね。ですから、まあいろんな議論があるかと思いますけれども、私としては納税者番号制度の導入等によって所得捕捉を向上させるということが制度改革の前提条件になるかと思います。
以上、まとめますと、制度改革におきましては、まず、将来世代にできるだけ負担をさせないような形にする、世代内で給付と負担をできるだけバランスさせるということが重要です。それと同時に、税制も含めて再分配政策の在り方を見直して貧困の高齢化を回避する、これが重要ではないかというふうに思います。
以上です。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →私の報告は、三つの柱で構成されております。まず、新しい人口推計が昨年の十二月に厚生労働省から発表されたんですけれども、その政策的な意味合いを簡単に御説明いたします。
それから、二番目といたしまして、現行の社会保障制度の基本的な問題点を整理いたします。この点につきましては、先ほどの高橋先生の御意見と非常に共通する部分があります。それをあらかじめ御了解いただきたいと思います。
それから、三番目といたしましては、私が個人的に考えております社会保障制度の改革の在り方について簡単に意見を述べさせていただきます。
まず、新しい人口推計の意味合いなんですけれども、合計特殊出生率が足下、二〇〇五年の一・二六からどういうふうに変化するかという数字なんですが、これから若干この出生率は落ちまして、二〇一三年ごろをボトムにいたしまして回復するんですが、五十年後も現在の水準をようやく維持できるという、非常に深刻なシナリオが描かれています。
これがどういうふうな意味を持っているかということなんですけれども、一つ目は、これは皆さん十分御存じかと思いますけれども、現役層の負担が大きくなるということであります。
二〇〇五年では高齢者一人を大体現役層が三・二八人で支えるという形になっているわけですけれども、五十年後の二〇五五年には一・二六人で一人の高齢者を支えるという形になります。これは非常に大きな変化でありまして、現行のように若い層が高齢層を支えるというふうな社会保障の仕組みがなかなか維持できなくなるというふうなことが言えるかと思います。
もう一つ重要な点があります。それは、子供の数が少なくなるというのはよく少子化の大きな結果として指摘されるんですけれども、その一方で、子供を持たなくなる人も増えるということも重要かと思います。
今からお見せするグラフは厚生労働省が試算したものなんですけれども、女性の高齢者の未婚率がこれからどういうふうに変化するかという数字であります。二〇〇五年では大体五%ぐらいの高齢女性が未婚なんですけれども、五十年後にはそれが大体四分の一ぐらいに高まってしまうということですね。ここにはお見せしておりませんけれども、子供を産まないで亡くなるという女性も大体三割ぐらいというふうに言われています。
となると、子供が減るだけじゃなくて、家庭を持たない層が無視できないウエートを占めるようになるということです。今では子供世帯あるいは配偶者からいろんな支援、経済的な支援とか精神的な支援を受けていろんな社会的なリスクに備えるというふうな仕組みがあるわけなんですけれども、このまま人口減少が進むと、個人が様々な社会的なリスクに直面せざるを得ないというふうな深刻な状況になります。そういう状況に現在の社会保障の仕組みがちゃんと適応できるのかと言われると、いろんな問題があるのではないかというふうに思います。
以上、新しい人口推計について御説明しましたけれども、繰り返しますと、現役層からの所得移転に依存した現在の仕組みがなかなか維持できなくなる、これが一つ目の問題。もう一つ目の問題といたしまして、家族そのものが減少して、高齢時の貧困リスクが今以上に深刻な問題になると、この点が重要かと思います。こういうふうな状況は、現行の社会保障の仕組みが想定していない状況であろうかと思います。
それでは、現在の社会保障の仕組みにどういうところが問題になっているのかという点について御説明いたします。
全部で三つあるんですけれども、一番目は、将来世代に負担を先送りしているという点であります。
しばしば、社会保障の在り方をめぐっては、大きな政府であるべきかあるいは小さな政府であるべきかというふうな議論があります。普通は、なるべく小さな政府にしましょう、税とそれから社会保障負担を合わせた国民負担の国民所得に対する比率、これを国民負担率と申しますけれども、これも、この国民負担率をなるべく低い水準にとどめましょうというふうな議論を耳にするわけですけれども、その一方で、いやいや、日本は既に小さな政府なので、むしろこれから社会保障を充実する必要があるというふうな議論もあるわけです。
実際、数字を見ますと、確かに日本はほかの国に比べて、ここでは社会支出という概念を登場させておりますけれども、社会保障給付と見ていただいても大きな間違いではございませんけれども、そのGDPに対する比率はほかの先進国に比べて低めになっております。ですから、数字で見る限り日本は小さな政府であるというふうに言えるかと思います。
ただ、その一方で政府の純債務のGDPに対する比率が九〇%に達しております。つまり、小さな政府ではあるんですけれども、負担を将来世代にかなり先送りしているというふうな形になっています。これから日本は社会保障給付がどうしても増えていきます。そういうふうな意味で、大きな政府になるというのは仕方のないことだろうと思うんですけれども、その一方で、将来世代に負担を先送りすると非常に大きな問題が出てくるのではないかというふうに思います。これが現行制度の一つ目の問題点です。
もう一つは、社会保障給付の中身が高齢層向けに偏重しているというふうなことであります。社会保障給付全体に占める高齢層向けの給付のウエートは現在七割ぐらいに達しております。非常に高い水準であります。それで、いろんな問題が起こるわけなんですけれども、先ほどのグラフでお見せしましたように、マクロ的には日本の社会保障は少なめなんですけれども、ミクロ的に見ると財政運営が難しくなるという面があります。
今日は医療の御専門の先生方もいらっしゃるかと思いますけれども、日本の医療はほかの国に比べると非常に効率的に運営されているというふうなことがよく言われます。OECD諸国の中で比較しても日本の医療は非常にすばらしいというふうな高い評価をいただいているわけなんですけれども、その一方で国民健康保険あるいは組合健康保険、そういうふうな医療保険は軒並み財政が悪化しているというふうな状況になっております。これはどうしてかといいますと、やはり現役層が高齢層の医療費を負担しているというふうな財源構造に大きな問題があるのではないかというふうに思います。
それからもう一つ、高齢層向けの社会保障が充実するというのはいいんですけれども、その一方で子育て支援あるいは若い人の就業支援というふうな人生前半のセーフティーネットが手薄になっているというふうな問題があるかと思います。これが二点目の問題点です。
三点目の問題点は、先ほど高橋先生が御指摘されたことであります。平均的に見ると高齢層向けの給付は非常に充実しているわけなんですけれども、日本の高齢層は深刻な貧困問題に直面しているという点が大きな問題として指摘されます。
今、グラフにお見せしておりますのは相対的貧困率という数字です。これは所得の平均じゃなくて、真ん中辺の所得を得ている所得水準の五〇%を下回る世帯が何%いるか、そういう数字を示したものなんですけれども、青いグラフで示しておりますのは、日本の数字なんですが、OECDの平均と比べても高いですし、またその高い水準は高齢層で特に顕著になっているということが言えるかと思います。
その背景は何かということなんですけれども、いろんな要因があるわけなんですが、現在の公的年金がそういう格差拡大に全然機能していないという面であります。確かに、年金は高齢層の所得を平均的に引き上げますけれども、このグラフでお見せしておりますように、分布が非常に幅広いという形になっておりますので、高齢層の格差がそのまま残ってしまうというふうな問題があると思います。
これも高橋先生のお話をちょっと繰り返すようになってしまいますけれども、平均で見るといろんなところで問題が高齢層の場合出てまいります。細かく数字を見て、その高齢層の問題を調べる必要があるわけですけれども、総じて申しますと、日本の公的年金というのは中所得層以上には非常に手厚くて充実した仕組みになっているわけですけれども、低所得層向けには手薄になっているというふうなことが言えるのではないかと思います。
それから、皆さん、先生方の中でパラサイトシングルという言葉をお聞きになった方多いと思うんですけれども、最近はそのパラサイトシングルが高齢化いたしまして、中年のパラサイトシングルというのが増えております。しかも、その人たちのパラサイトしている、寄生しているのは親の年金だというケースも少なからずあります。そうすると、寄生している親が亡くなるとどうなるか。どうなると、非常に貧困問題が深刻化するというふうなことになります。
高齢化は、ただ単に人口の構成が高齢化するだけじゃなくて、貧困が高齢化するというふうな非常に深刻な問題も抱えているということですね。こういうふうな問題は現在の社会保障の仕組みが必ずしも想定していなかったものですので、これから制度改革を考える上で非常に重視していかなければいけない点かというふうに思います。
以上、現行制度について問題を述べましたけれども、改めてまとめますと、マクロ的に見ますと日本の政府は社会保障は小さい政府と言っていいんですけれども、負担を将来世代に先送りして持続可能性に問題がある、それから二番目として、給付の仕組みが高齢層向けに偏っている、それから、そうはいいながら、三番目として、高齢層内部の貧困問題が放置されていると、こういうふうな問題があります。人口減少が進むと、こうした問題が更に深刻化する危険性があるというふうに思います。
それではどうしたらいいかということなんですが、これについては研究者の中でも意見の一致がありませんし、政府の中でもいろいろ議論がなされておりますし、先生方の中でもいろんな御意見があるかと思いますけれども、取りあえず私の個人的な意見を申し上げます。
二つの方針を掲げさせていただきます。
一つは、できるだけ世代内で給付と負担をバランスさせるということが必要かというふうに思います。これから将来世代がだんだんと先細るわけですから、将来世代に負担を先送りするというのはなかなか物理的に難しくなるということです。なるべく次の世代におもしにならないような制度設計が必要です。それは、大きな政府を選ぶか、それとも小さな政府を選ぶかという選択の前にすべきことだろうというふうに思います。
そういう場合に、世代間の格差をどういうふうに考えるかという問題が出てまいります。
我々経済学者はよく年金の損得勘定というものを議論して、若い人は年金に入ると損をして、お年寄りは得をしているというふうなことをよく言うわけですね。そういうふうな世代間格差の存在を指摘すると、必ずしもそういうことだけで社会保障の問題を論じてはいけませんと、格差があったとしても、それ以外のところで若い人はお年寄り、高齢層からの貢献によって豊かな生活を送っているわけだから、余り年金の損得勘定、社会保障の損得勘定ばかり議論してはいけないというふうな議論もあるわけですね。
私はどういうふうに考えるかということなんですけれども、現在存在する、あるいはこれから広がっていく格差を一〇〇%、これはもう仕方がないということと思って是認することもいけないし、それから、全く駄目で、すべての世代が全部同じでないといけないということもまた非現実的だろうというふうに思います。
どういうふうに考えるかということなんですけれども、それぞれの世代が何となく納得できるなと、これだったら大丈夫だなというところで決着を付けるというふうな現実的な選択肢が必要ではないかというふうに思います。もうちょっと言葉を換えて言いますと、なるべく、若い世代に余り過剰な負担にならないような制度設計が必要だということであります。
その発想で出てきたのが二〇〇四年の厚生年金の改正におけるマクロ経済スライドという発想ですね。これは、マクロ経済成長あるいは人口動態に合わせて年金の給付の水準を自動的に調整するという仕組みなんですね。これにもいろんな問題点がありますけれども、若い世代の体力に合わせた形で年金の給付を調整するということで、お年寄りにはもちろん、今までの制度に比べると給付の減少という面があるんですけれども、若い人から見てみると、過剰な負担がなくなるというふうな面でプラスに評価される面があります。ただし、現行制度でも保険料それから税はこれから引き上げられるというふうなことが盛り込まれているわけですね。したがいまして、幾らその若い層の体力に合わせた制度になっているといっても、これからの若い層がそれに耐えられるかというのはちょっと問題があるということですね。
そこで、非常に大胆な試算を行ってみました。どういう試算かと申しますと、二〇〇四年改正時点から保険料の負担率それから税負担を一切引き上げなかったらどこまで年金を削らなければいけないかという、とんでもない試算であるわけですけれども、ラフに計算いたしますと、大体給付は三割カットということです。非常に大きなカットになるわけですね。もちろん、その一方で若い層の負担が減少されるわけですから、世代間格差は改善されるわけですけど、こういう試算を私が出したところ、各方面から非常に大きなおしかりを受けました。そんなことをすると年金制度が崩壊するじゃないかというふうなことになるわけですね。もちろん、そうでしょう。これはあくまでも極端なケースをお見せしたということなんですね。でも、もう全く非現実的で、そんなのは駄目だと言われると、やっぱり反論したくなるわけですね。やっぱり若い層になるべく負担の掛からないような形で制度を改革していくというのは考えておくべきテーマであろうというふうに思います。
でも、負担を抑制すると給付が不十分になるじゃないかという反論は当然あるわけですけれども、その場合どうしたらいいかということなんですけれども、それは、若いときに保険料を積み立てておいて、後でお年寄りになってからそれを取り崩すというふうないわゆる積立方式の発想で制度を一部改正するということもあり得るんじゃないかというふうに思います。
同じような問題の構造は医療や介護についても言えるかと思います。現役層の負担に今の制度は多くを依存しておりますので、何らかの形でそういうふうな現役層からの所得移転に依存する部分は規制を掛ける必要があるというふうに思います。
ただし、誤解していただくと困るんですけれども、それは必ずしも医療や介護の規模を縮小するということを意味しません。その負担と給付が世代内で均衡していたとすれば、どれだけの医療サービス、どれだけの介護サービスを必要とするか、それは国民の判断であるわけですね。ですから、ここでのポイントは、やはり世代内でできるだけ負担と給付をバランスさせるということだと思います。そのバランスさえできていれば、どういうふうな医療・介護サービスを選ぶかと、これは国民の選択にゆだねられるというふうに思います。
二番目の方針ですけれども、格差が高齢層で大きくなっているということでありますので、今まで以上に低所得層に支援をするということであります。貧困の高齢化を回避する手だてが必要かと思います。
ただ、問題は、社会保障改革だけではこれは無理です。と申しますのは、社会保障の中核は社会保険です。社会保険というのは保険料の拠出があって給付があるということでありますので、拠出をしていない人はなかなかその制度の内部で救済することは無理です。
それから、医療保険等の自己負担につきましても、高所得層ほど高くすべきだというふうな議論は当然あるかと思いますけれども、もう既に高齢層の自己負担は三割になっています。これよりも更に上げろというふうになると、いろんな問題が出てまいります。ですから、社会保障の範囲内で低所得層への支援というのはすることは難しいと思います。
では、どうしたらいいかということなんですけれども、税制を改める必要があるかというのが私の意見であります。
現在の税制は、高齢層に対してはむしろ逆進的に働いているという面があります。この図は出そうか出すまいかちょっと悩んだんですけれども、と申しますのは、ちょっと時点が古いんですね、二〇〇一年ということです。それ以降に公的年金等控除とか老年者控除の見直しがありましたので、今の仕組みはちょっと違っているかと思いますけれども、二〇〇一年時点で見ますと、むしろ税は高齢層においては低所得層に対して不利な形で働いているというふうな面があります。これを改める必要があるということですね。
じゃ、どうすればいいかということなんですけれども、これは高齢層向けじゃなくて、すべての年齢層に対して言えることなんですけれども、現行のように所得控除で低所得層を支援するというのは限界があります。むしろ税額控除にすべきである。さらに、税額控除も、税を所得の低い層には還付するというふうな形で直接的に低所得層を支援するというふうな仕組みが必要になろうかと思います。
さらに、ほかの国の例を見ますと、その還付した税額で社会保険料の負担を相殺するというふうな仕組みにします。そうすると、セーフティーネットから外れるという危険性も解除されるということになりますので、こういうふうな形で税制改革による再分配の仕組みが、改革をするということも必要になろうかと思います。
ただ、こういうふうに税制によって再分配を行う場合は、所得の捕捉というのが重要になると思いますね。ですから、まあいろんな議論があるかと思いますけれども、私としては納税者番号制度の導入等によって所得捕捉を向上させるということが制度改革の前提条件になるかと思います。
以上、まとめますと、制度改革におきましては、まず、将来世代にできるだけ負担をさせないような形にする、世代内で給付と負担をできるだけバランスさせるということが重要です。それと同時に、税制も含めて再分配政策の在り方を見直して貧困の高齢化を回避する、これが重要ではないかというふうに思います。
以上です。
ありがとうございました。
清
野
野田彰彦#6
○参考人(野田彰彦君) みずほ総合研究所の野田と申します。(資料映写)
私は、これだけの国会議員の先生方を前にして話をするというのは本当に初めてでございまして、緊張はしておりますけれども、大変光栄に存じております。
本日の話ですけれども、私、昨年、リバースモーゲージについて論文、レポートをまとめましたので、その流れに沿って、前のお二方の先生は割と総論的なお話だったんですけれども、私はより各論的な話という位置付けになるかと思いますけれども、このリバースモーゲージについて現状と展望を述べさせていただきたいと思います。
まず、今回の話の流れを簡単に申し上げておきますと、まず、リバースモーゲージとは何ぞやというところをおさらいした上で、その活用が今後求められる背景について整理をいたします。その後、海外、アメリカ、イギリスのリバースモーゲージがどういうものかということを見た上で、日本ではどうかという状況も見てまいります。以上を踏まえまして、今後日本においてリバースモーゲージが普及していくためにはどのような課題があるのか、また、どのような普及経路をたどっていくのかということについて私なりの考え方を申し上げたいと思います。最後に、今、日本のリバースモーゲージ、ほとんどは一戸建て住宅だけが対象になっていてマンションは対象から外されているんですけれども、このマンションにも利用を広げていくためにはどういう道筋が考えられるのかなということについて、これも私なりの考え方を述べさせていただきたいと思います。
まず初めに、リバースモーゲージでございますけれども、これは住宅資産を担保とした高齢者向けの融資なんですけれども、返済を基本的に死亡時まで繰り延べることができるという点が大きな特徴でございます。したがいまして、一般の住宅ローンというのは毎月金利と元本の返済をしていくんですけれども、基本的に、リバースモーゲージというのは元本は少なくとも死亡時まで払わなくてもいいと、物によっては金利だけ毎月払ったり、あるいは金利も元加するような形で死亡時まで繰り延べるといったいろいろなパターンがあるんですけれども、そういう違いがあります。
こちら、図表に、これ、よく使われる図表なんですけれども、一般の住宅ローンが右側で、リバースモーゲージが左側なんですけれども、まず、右側の住宅ローンというのは、融資の残高というのが初めは大きいんですけれども、それを返済をしていくことによってどんどん残高が減っていくと、それに伴って住宅の持分も増えていくと。それに対して右側のリバースモーゲージというのは、融資の残高というのは返済が後に繰り延べられますのでどんどん増えていくと、基本的にこういう違いがあるということでございます。
なお、リバースモーゲージなんですけれども、契約をしたときに一括で融資をするというやり方と、もう一つは、年金のような形で毎月、あるいは三か月に一度というケースもありますけれども、分割して融資するといった二パターンが大きくあります。
続きまして、リバースモーゲージの活用が求められる背景なんですけれども、もうこれは、まず初めに、言うまでもなく高齢化がどんどん進んでいくということで、ここに挙げております表、私、大変お恥ずかしながら、昨年十二月の最新の推計ではございませんで、ちょっとこれ、データが古いものになっております。
昨年十二月の最新推計ですと、二〇五〇年で高齢化率というのは三九・六%ということなので、このグラフ、実は日本はイタリアとほぼ同じぐらいの高齢化率に二〇五〇年時点でなるという見通しになっていますけれども、最新の推計結果を踏まえるとイタリアをかなり上回っていくということでございます。ですから、ここのレジュメには国民の三人に一人が六十五歳以上の高齢者にと書いておりますが、より正確には五人に二人ぐらいが六十五歳以上になると、それが二〇五〇年の日本の姿であるということでございます。
そうした中、高齢者の生活意識なんですけれども、老後の備えが足りないと考えている高齢者は、内閣府の調査によりますと、ほぼ半分ぐらいに上るということでございます。こちらのグラフ、一番上に高齢者の総数が書いておりまして、老後の備えが十分か不足かということを聞いた結果なんですけれども、足りると思うが四四・八%に対して、足りないと答えた人が四五・二%、おおむね均衡しています。
続きまして、こうした中で、ここが私自身は肝だと思っているんですけれども、一般に日本は個人の金融資産が千四百兆とか千五百兆とか言われていますけれども、実は金融資産よりも住宅などの実物資産の方が、貨幣価値に仮に換算すると高齢者はたくさん持っているということで、これは総務省の全国消費実態調査という統計からグラフを作ったんですけれども、右側で七十歳以上の高齢者が大体平均で六千百四十五万円の資産、金融資産と実物資産を合わせて持っているんですけれども、これの内訳を見ると、上の方に金融資産ありますけれども、これが大体全体の三分の一ぐらいでして、残り三分の二は住宅などの実物資産になると。ただ、この実物資産というのはなかなか金銭化することがしにくいということもありまして、余り生活資金を得る手段としては活用されていないというのが現状でございます。
こちらのグラフは内閣府の高齢社会白書に挙げられているものなんですけれども、高齢期に生活費が不足したときにどう対応しますかという質問をしたのに対する答えなんですけれども、生活費を節約して間に合わせるとか、貯蓄を取り崩すとか、あるいは子供に世話してもらうといったようなのが主な対応方法として挙がっていまして、自宅などの不動産を処分したり担保にして借りたりするというのは非常に少ない、二%前後にとどまっております。
続きまして、リバースモーゲージをめぐりましては、日本の高齢者の遺産動機、子供世帯に、自分の子供に遺産を残してあげたいという気持ちが非常に強いということが昔から言われておりまして、それがために日本ではリバースモーゲージのような仕組みはなかなか普及しないんじゃないかというふうに言われているんですけれども、確かにそれは否定できないということかと思います。
この図表六なんですけれども、高齢者の遺産に対する考え方を聞いた結果なんですけれども、左側の青いところが自分のために使おうと答えた人の割合、それに対して右側のやや黄色いところが子供や孫に残してあげる方がいいと答えた人の割合なんですけれども、これ一番上が二〇〇一年の調査、その下が二〇〇六年の最新の調査なんですけれども、自分のために活用した方がいいと答える青いグラフなんですけれども、これが五年前に比べると大分増えているということがお分かりいただけるかと思います。まあ言ってみますと、遺産動機は確かに強いんですけれども、自分のために資産を活用したいとする高齢者も徐々に増加しているんではないかということでございます。
もう一つ、じゃ具体的にリバースモーゲージという仕組みについてそもそも御存じですか、あるいは知っていたとしてそれを利用したいですかという意識調査を二〇〇五年に内閣府がやっております。こちら、知っていると答えた人が二五・五%、四人に一人ぐらいにとどまっておりまして、さらに、それを活用したいと答える高齢者はより少なくて、全体からするとわずか五%の高齢者がリバースモーゲージを活用したいと答えるにとどまっております。
ただ、ここにはグラフ書いてないんですけれども、内閣府が二〇〇一年にも同じような調査をやっていまして、そのときは二・八%でしたので、リバースモーゲージを活用したいという人は少しずつ増えているということが言えるかと思います。
以上が背景なんですけれども、続きまして、大まかな量感をつかむという意味で、これは私の方でリバースモーゲージの潜在的な市場規模というのを試算してみたんですけれども、このグラフの赤いところが結果でございます。
まず、リバースモーゲージの潜在市場規模全体で見ると十兆円、内訳は、戸建てが圧倒的に多くて九・二兆円、マンションが〇・八兆円ということになっております。また、その住宅の資産価値が比較的高いものは民間の銀行なんかが取り扱うリバースモーゲージの適格物件であろうということで、住宅の資産価値によってちょっと公的プラン適格と民間プラン適格というふうに切り分けたんですけれども、この中で、民間プランに関しては戸建てが四兆円、マンションが〇・四兆円という大まかな量感でございます。
続きまして、海外の状況なんですけれども、まずよく紹介されるのがアメリカでございます。アメリカには大きく三つのリバースモーゲージがありまして、一番左がHECMというものでして、これは日本で言うと国土交通省のような省庁がやっているものでして、これがアメリカのリバースモーゲージ全体の相当な部分を占めているということでございます。
真ん中が、これも公的色彩が強い制度なんですけれども、ややHECMに比べると、より資産価値の高い住宅をターゲットにしているというものでございます。
一番右側が、ファイナンシャルフリーダム社という民間のモーゲージカンパニーが手掛けている純粋に民間ベースでのリバースモーゲージということで、より更に資産価値の高い住宅をターゲットにしているものでございます。
このように、アメリカでは大きく三つに分かれていて、それぞれにすみ分けができているということでございます。
一点ポイントなんですけれども、このHECMなんですけれども、この連邦住宅都市開発省がこのシステムを運営しているんですけれども、その傘下にあるFHAという官庁がこのリバースモーゲージにかかわるリスクを全部カバーする保険を掛けているんです。それによってHECMの市場が円滑に回って、最近、ここ数年契約の件数がかなり増えているという状況でございます。
もう一つ、イギリスなんですけれども、イギリスはアメリカと全く違って、やや乱暴な言い方をしますと民間が勝手にやっているということでございます。それに対して政府は後追いで規制をここ数年の間にしているということでございます。イギリスでは、リバースモーゲージのことをエクイティーリリースと呼んでいまして、これあえて日本語に訳しますと住宅持分を手放すとかいう意味になるかと思うんですけれども、そういう名前で存在していて、大きく二種類あります。
一つは、ライフタイムモーゲージということで、これは住宅を担保とした返済繰延べ型融資という、先ほどの定義に近い、あるいはアメリカや日本のリバースモーゲージと非常に近い商品でございます。イギリスでは、このライフタイムモーゲージがマーケット全体の九五%程度を占めているということでございます。もう一つがホームリバージョンと呼ばれているものでして、これは、高齢者が住宅の所有権を全部あるいは一部売却してその売却代金を一時金として受け取る、ただし住宅に住み続けることはできるという、そういうものでございます。
このライフタイムモーゲージ、ホームリバージョン双方について、業界の取決めによって担保割れを避ける保証というのが付けられているということで、アメリカの場合はFHAという公的な機関が保険を付けているんですけれども、イギリスは民間の事業者がそのリスクを負っていると、保証という形でコストを負担しているということでございます。
翻って日本なんですけれども、一番初めにできたのがかなり歴史は古くて一九八一年、武蔵野市が初めて日本でリバースモーゲージを導入しました。その後、バブルの時代に信託銀行を中心にしてリバースモーゲージを取り扱うところが出てきたんですけれども、バブルが崩壊したのに伴いまして新規の取扱いを中止したという状況でございました。
二〇〇〇年代に入りまして、ようやく地価の下げ止まりの傾向が見られたりとか、あるいは高齢化社会に対する検討、議論がより真剣になされてきたことなどを背景にしまして、厚生労働省が制度を創設いたしました。これについては後ほどまた御説明いたします。
また一方、民間におきましても、ここ数年の間に、数は少ないんですけれども、一部の銀行やハウスメーカーが取扱いを開始しているという状況でございます。
まず、地方自治体なんですけれども、現在約二十の自治体が制度を有している状況ですけれども、武蔵野市以外はほとんど取扱いがないという状況でございます。大きく二つ制度がありまして、自治体が直接貸付けを行うという方式、これは武蔵野市と中野区が採用しております。それに対して、融資あっせん方式というのがあって、これは、自治体は高齢者を銀行に紹介してあげると、それとともに自治体は金利について、これを利用者に無利子で融資してあげるというスキームもあります。こちらを取っている自治体が多いんですけれども、これは結局融資をするのは金融機関なので、金融機関がしり込みして実績が上がっていないというのが実態かと思います。
続きまして、今現在日本で最も多く利用されているのが厚生労働省が作った制度で、長期生活支援資金貸付制度というものがございます。これは二〇〇二年十二月に導入されたものでして、住民税が非課税程度の低所得世帯、これを対象とする仕組みです。実際には、社会福祉協議会というのが各自治体ごとにございまして、ここが審査して貸し付けると。戸建て住宅の土地評価額の七〇%が融資の上限でして、月三十万円が上限となります。元利ともに返済は死亡時まで繰り延べられるというものです。これはやや古いですけれども、二〇〇五年末時点で三百七十八件、足下では多分四百件を超えているんじゃないかと思われます。
この制度は、後でも述べますけれども、日本のリバースモーゲージ市場を牽引していく存在だと思っていまして、といいますのも、政府がこの制度を生活保護の代替手段として更に活用するという方針を打ち出しております。来年度からの施策として、要保護世帯向け長期生活支援資金貸付制度というのがもう予算案の中に盛り込まれておりまして、生活保護を受給したい世帯がいて、生活保護を申請しに来たときに五百万円以上の価値を有する住宅に住んでいれば、生活保護ではなくてこっちの制度に誘導していくということを来年度からの事業として、予算案が通れば動いていくということでございます。
続きまして、公的なリバースモーゲージとしましてはもう一つ住宅金融公庫の仕組みがありまして、これは生活資金を融資するものではなくて、そういう意味ではリバースモーゲージ、定義上のリバースモーゲージとはやや色彩が異なるんですけれども、これは、住宅を高齢者が建て替えるときに、その資金を、建て替えのための資金を融資するというものでございます。高齢住宅、マンションそれぞれについて存在するんですけれども、高齢者がこれを借りたときには返済を繰り延べてあげるというものでございます。この融資の限度額が担保評価額の四〇%ということで、やや掛け目が低いんですけれども、物件の評価額が百万円以上であれば利用可能ということで、ハードルは低いということが言えると思います。
他方、民間の取組なんですけれども、今銀行では中央三井信託銀行と東京スター銀行が取り扱っています。中央三井信託銀行は土地の評価額が四千万円以上の一戸建て住宅に限定して行っております。それに対して東京スター銀行はややハードルが低くて、戸建て住宅しか対象ではないんですけれども、土地評価額の九〇%以内で五百万円から利用できるというものを取り扱っております。
また、ハウスメーカーですね、住宅を建てるメーカーが自社の物件を保有している人に対してリバースモーゲージを用意しているという動きもあります。具体的には旭化成が、ヘーベルハウスに住んでいる人についてそれを借り上げると、家賃を保証してあげると、その高齢者はもうちょっと手狭でもいいから例えば都心の利便性の高いところに住み替えるということで、こういう住み替え型のリバースモーゲージというものを提供しております。
以上、ちょっと急ぎ足になりましたけれども、日本の現状でございました。
こうした背景や状況を踏まえまして今後の課題ということでございますけれども、まず、大きく二つあると思うんですが、一つ目は、リバースモーゲージに特有の三大リスクにいかに対処するかということでございます。
この三大リスクというのは、長生きのリスク、金利上昇リスク、住宅価格の下落のリスク、こうした三つによって住宅の担保価値を債務の額が上回ってしまうというリスクがリバースモーゲージの場合はありまして、これにどう対処するかというのが長年の課題でございます。
一つ、一番簡単な方法としましては、アメリカの例を紹介しましたけれども、公的な組織がもうまとめて保険を掛けてしまうということでございます。ただ、私のような民間の立場の人間からすると、それは余りにもちょっと、確かに簡単な解決法であるけれども、もうちょっと何か民間の取組で解決する道筋はないかというふうに考えまして、少なくとも理論上は金融技術を用いればリスクのカバーは可能なのではないかということを考えました。
この三つのリスク、切り分けて考えてみますと、まず長生きリスクについては、もうこれは生命保険が成り立つように統計上の対数の法則に乗るリスクですので、比較的その保険という仕組みでカバーすることがしやすいリスクだというふうに言えると思います。それに対して、金利上昇リスクとか住宅価格下落リスクというのはいわゆるマーケットリスクと言われているもので、本来的には保険になじまないものということでございます。
じゃ、どうすればいいかということなんですが、金利上昇リスクに関しては、上限付きの変動金利というのがアメリカでよく使われている仕組みなんですけれども、こういうものを用いて貸手と借り手の間でリスクをシェアすると。一方、住宅価格の下落については、市場でのリスクヘッジはやはりちょっと難しいのかなと。ここの部分に関しては何らかの公的な関与が不可避なんじゃないかなというふうに考えます。
課題のその二なんですけれども、建物の資産価値をいかに反映させるかということでして、今、日本のリバースモーゲージは土地の担保価値のみを考慮するために、より少ない融資しか得られない状況になっています。これを建物の資産価値も含めて評価してあげれば、より融資の金額も多く得られるんじゃないかということでして、この辺はアメリカやイギリスなんかでは実質築年数という考え方が用いられて、築年数が表面的に長くたっても、メンテナンス、リフォームを適切に行っていれば実質的な築年数はまだ短いということで、資産を多めにするというような評価がありますので、こういう資産査定が根付くかどうかというのがかぎです。そういう意味では、昨年、住生活基本法が日本でも策定しましたので、よりその住宅の質的な向上に対する具体的な施策が求められていると思います。
将来展望についてですけれども、私個人は、先ほども言いました厚生労働省の制度、これが牽引役となっていくんでしょうということでございます。ただ、先ほど見た二つの課題というのはなかなか短期的な解決は困難なので、リバースモーゲージが普及するペースはやや緩やかなのではないかなというふうに考えております。
最後に、簡単にマンションについて、多く認められてないんですけれども、これを対象に広げていくためにはどうすればいいかということで、基本的には、適切なメンテナンスを施すことが重要なんですけれども、技術的には百年もつマンションを造るのは今でも可能だということですので、性能基準をある程度満たして、かつマンションは管理を買えというふうにも言われますので、その管理体制が良好なマンションであれば、そこに一定の担保価値を見いだしてリバースモーゲージの対象にすることも可能なのではないかと思います。
これについてレジュメに反映させることできなかったんですが、厚生労働省の先ほど申し上げた来年度から導入される要保護世帯向けの制度、これではマンションも対象にしているということですので、この制度が動き出して、実際にマンションの取扱いがどれぐらいになるのかというのをひとつ個人的には注目して見ていきたいと思っております。
済みません。ちょっと時間を超過して申し訳ありませんでした。
以上で終わります。
この発言だけを見る →私は、これだけの国会議員の先生方を前にして話をするというのは本当に初めてでございまして、緊張はしておりますけれども、大変光栄に存じております。
本日の話ですけれども、私、昨年、リバースモーゲージについて論文、レポートをまとめましたので、その流れに沿って、前のお二方の先生は割と総論的なお話だったんですけれども、私はより各論的な話という位置付けになるかと思いますけれども、このリバースモーゲージについて現状と展望を述べさせていただきたいと思います。
まず、今回の話の流れを簡単に申し上げておきますと、まず、リバースモーゲージとは何ぞやというところをおさらいした上で、その活用が今後求められる背景について整理をいたします。その後、海外、アメリカ、イギリスのリバースモーゲージがどういうものかということを見た上で、日本ではどうかという状況も見てまいります。以上を踏まえまして、今後日本においてリバースモーゲージが普及していくためにはどのような課題があるのか、また、どのような普及経路をたどっていくのかということについて私なりの考え方を申し上げたいと思います。最後に、今、日本のリバースモーゲージ、ほとんどは一戸建て住宅だけが対象になっていてマンションは対象から外されているんですけれども、このマンションにも利用を広げていくためにはどういう道筋が考えられるのかなということについて、これも私なりの考え方を述べさせていただきたいと思います。
まず初めに、リバースモーゲージでございますけれども、これは住宅資産を担保とした高齢者向けの融資なんですけれども、返済を基本的に死亡時まで繰り延べることができるという点が大きな特徴でございます。したがいまして、一般の住宅ローンというのは毎月金利と元本の返済をしていくんですけれども、基本的に、リバースモーゲージというのは元本は少なくとも死亡時まで払わなくてもいいと、物によっては金利だけ毎月払ったり、あるいは金利も元加するような形で死亡時まで繰り延べるといったいろいろなパターンがあるんですけれども、そういう違いがあります。
こちら、図表に、これ、よく使われる図表なんですけれども、一般の住宅ローンが右側で、リバースモーゲージが左側なんですけれども、まず、右側の住宅ローンというのは、融資の残高というのが初めは大きいんですけれども、それを返済をしていくことによってどんどん残高が減っていくと、それに伴って住宅の持分も増えていくと。それに対して右側のリバースモーゲージというのは、融資の残高というのは返済が後に繰り延べられますのでどんどん増えていくと、基本的にこういう違いがあるということでございます。
なお、リバースモーゲージなんですけれども、契約をしたときに一括で融資をするというやり方と、もう一つは、年金のような形で毎月、あるいは三か月に一度というケースもありますけれども、分割して融資するといった二パターンが大きくあります。
続きまして、リバースモーゲージの活用が求められる背景なんですけれども、もうこれは、まず初めに、言うまでもなく高齢化がどんどん進んでいくということで、ここに挙げております表、私、大変お恥ずかしながら、昨年十二月の最新の推計ではございませんで、ちょっとこれ、データが古いものになっております。
昨年十二月の最新推計ですと、二〇五〇年で高齢化率というのは三九・六%ということなので、このグラフ、実は日本はイタリアとほぼ同じぐらいの高齢化率に二〇五〇年時点でなるという見通しになっていますけれども、最新の推計結果を踏まえるとイタリアをかなり上回っていくということでございます。ですから、ここのレジュメには国民の三人に一人が六十五歳以上の高齢者にと書いておりますが、より正確には五人に二人ぐらいが六十五歳以上になると、それが二〇五〇年の日本の姿であるということでございます。
そうした中、高齢者の生活意識なんですけれども、老後の備えが足りないと考えている高齢者は、内閣府の調査によりますと、ほぼ半分ぐらいに上るということでございます。こちらのグラフ、一番上に高齢者の総数が書いておりまして、老後の備えが十分か不足かということを聞いた結果なんですけれども、足りると思うが四四・八%に対して、足りないと答えた人が四五・二%、おおむね均衡しています。
続きまして、こうした中で、ここが私自身は肝だと思っているんですけれども、一般に日本は個人の金融資産が千四百兆とか千五百兆とか言われていますけれども、実は金融資産よりも住宅などの実物資産の方が、貨幣価値に仮に換算すると高齢者はたくさん持っているということで、これは総務省の全国消費実態調査という統計からグラフを作ったんですけれども、右側で七十歳以上の高齢者が大体平均で六千百四十五万円の資産、金融資産と実物資産を合わせて持っているんですけれども、これの内訳を見ると、上の方に金融資産ありますけれども、これが大体全体の三分の一ぐらいでして、残り三分の二は住宅などの実物資産になると。ただ、この実物資産というのはなかなか金銭化することがしにくいということもありまして、余り生活資金を得る手段としては活用されていないというのが現状でございます。
こちらのグラフは内閣府の高齢社会白書に挙げられているものなんですけれども、高齢期に生活費が不足したときにどう対応しますかという質問をしたのに対する答えなんですけれども、生活費を節約して間に合わせるとか、貯蓄を取り崩すとか、あるいは子供に世話してもらうといったようなのが主な対応方法として挙がっていまして、自宅などの不動産を処分したり担保にして借りたりするというのは非常に少ない、二%前後にとどまっております。
続きまして、リバースモーゲージをめぐりましては、日本の高齢者の遺産動機、子供世帯に、自分の子供に遺産を残してあげたいという気持ちが非常に強いということが昔から言われておりまして、それがために日本ではリバースモーゲージのような仕組みはなかなか普及しないんじゃないかというふうに言われているんですけれども、確かにそれは否定できないということかと思います。
この図表六なんですけれども、高齢者の遺産に対する考え方を聞いた結果なんですけれども、左側の青いところが自分のために使おうと答えた人の割合、それに対して右側のやや黄色いところが子供や孫に残してあげる方がいいと答えた人の割合なんですけれども、これ一番上が二〇〇一年の調査、その下が二〇〇六年の最新の調査なんですけれども、自分のために活用した方がいいと答える青いグラフなんですけれども、これが五年前に比べると大分増えているということがお分かりいただけるかと思います。まあ言ってみますと、遺産動機は確かに強いんですけれども、自分のために資産を活用したいとする高齢者も徐々に増加しているんではないかということでございます。
もう一つ、じゃ具体的にリバースモーゲージという仕組みについてそもそも御存じですか、あるいは知っていたとしてそれを利用したいですかという意識調査を二〇〇五年に内閣府がやっております。こちら、知っていると答えた人が二五・五%、四人に一人ぐらいにとどまっておりまして、さらに、それを活用したいと答える高齢者はより少なくて、全体からするとわずか五%の高齢者がリバースモーゲージを活用したいと答えるにとどまっております。
ただ、ここにはグラフ書いてないんですけれども、内閣府が二〇〇一年にも同じような調査をやっていまして、そのときは二・八%でしたので、リバースモーゲージを活用したいという人は少しずつ増えているということが言えるかと思います。
以上が背景なんですけれども、続きまして、大まかな量感をつかむという意味で、これは私の方でリバースモーゲージの潜在的な市場規模というのを試算してみたんですけれども、このグラフの赤いところが結果でございます。
まず、リバースモーゲージの潜在市場規模全体で見ると十兆円、内訳は、戸建てが圧倒的に多くて九・二兆円、マンションが〇・八兆円ということになっております。また、その住宅の資産価値が比較的高いものは民間の銀行なんかが取り扱うリバースモーゲージの適格物件であろうということで、住宅の資産価値によってちょっと公的プラン適格と民間プラン適格というふうに切り分けたんですけれども、この中で、民間プランに関しては戸建てが四兆円、マンションが〇・四兆円という大まかな量感でございます。
続きまして、海外の状況なんですけれども、まずよく紹介されるのがアメリカでございます。アメリカには大きく三つのリバースモーゲージがありまして、一番左がHECMというものでして、これは日本で言うと国土交通省のような省庁がやっているものでして、これがアメリカのリバースモーゲージ全体の相当な部分を占めているということでございます。
真ん中が、これも公的色彩が強い制度なんですけれども、ややHECMに比べると、より資産価値の高い住宅をターゲットにしているというものでございます。
一番右側が、ファイナンシャルフリーダム社という民間のモーゲージカンパニーが手掛けている純粋に民間ベースでのリバースモーゲージということで、より更に資産価値の高い住宅をターゲットにしているものでございます。
このように、アメリカでは大きく三つに分かれていて、それぞれにすみ分けができているということでございます。
一点ポイントなんですけれども、このHECMなんですけれども、この連邦住宅都市開発省がこのシステムを運営しているんですけれども、その傘下にあるFHAという官庁がこのリバースモーゲージにかかわるリスクを全部カバーする保険を掛けているんです。それによってHECMの市場が円滑に回って、最近、ここ数年契約の件数がかなり増えているという状況でございます。
もう一つ、イギリスなんですけれども、イギリスはアメリカと全く違って、やや乱暴な言い方をしますと民間が勝手にやっているということでございます。それに対して政府は後追いで規制をここ数年の間にしているということでございます。イギリスでは、リバースモーゲージのことをエクイティーリリースと呼んでいまして、これあえて日本語に訳しますと住宅持分を手放すとかいう意味になるかと思うんですけれども、そういう名前で存在していて、大きく二種類あります。
一つは、ライフタイムモーゲージということで、これは住宅を担保とした返済繰延べ型融資という、先ほどの定義に近い、あるいはアメリカや日本のリバースモーゲージと非常に近い商品でございます。イギリスでは、このライフタイムモーゲージがマーケット全体の九五%程度を占めているということでございます。もう一つがホームリバージョンと呼ばれているものでして、これは、高齢者が住宅の所有権を全部あるいは一部売却してその売却代金を一時金として受け取る、ただし住宅に住み続けることはできるという、そういうものでございます。
このライフタイムモーゲージ、ホームリバージョン双方について、業界の取決めによって担保割れを避ける保証というのが付けられているということで、アメリカの場合はFHAという公的な機関が保険を付けているんですけれども、イギリスは民間の事業者がそのリスクを負っていると、保証という形でコストを負担しているということでございます。
翻って日本なんですけれども、一番初めにできたのがかなり歴史は古くて一九八一年、武蔵野市が初めて日本でリバースモーゲージを導入しました。その後、バブルの時代に信託銀行を中心にしてリバースモーゲージを取り扱うところが出てきたんですけれども、バブルが崩壊したのに伴いまして新規の取扱いを中止したという状況でございました。
二〇〇〇年代に入りまして、ようやく地価の下げ止まりの傾向が見られたりとか、あるいは高齢化社会に対する検討、議論がより真剣になされてきたことなどを背景にしまして、厚生労働省が制度を創設いたしました。これについては後ほどまた御説明いたします。
また一方、民間におきましても、ここ数年の間に、数は少ないんですけれども、一部の銀行やハウスメーカーが取扱いを開始しているという状況でございます。
まず、地方自治体なんですけれども、現在約二十の自治体が制度を有している状況ですけれども、武蔵野市以外はほとんど取扱いがないという状況でございます。大きく二つ制度がありまして、自治体が直接貸付けを行うという方式、これは武蔵野市と中野区が採用しております。それに対して、融資あっせん方式というのがあって、これは、自治体は高齢者を銀行に紹介してあげると、それとともに自治体は金利について、これを利用者に無利子で融資してあげるというスキームもあります。こちらを取っている自治体が多いんですけれども、これは結局融資をするのは金融機関なので、金融機関がしり込みして実績が上がっていないというのが実態かと思います。
続きまして、今現在日本で最も多く利用されているのが厚生労働省が作った制度で、長期生活支援資金貸付制度というものがございます。これは二〇〇二年十二月に導入されたものでして、住民税が非課税程度の低所得世帯、これを対象とする仕組みです。実際には、社会福祉協議会というのが各自治体ごとにございまして、ここが審査して貸し付けると。戸建て住宅の土地評価額の七〇%が融資の上限でして、月三十万円が上限となります。元利ともに返済は死亡時まで繰り延べられるというものです。これはやや古いですけれども、二〇〇五年末時点で三百七十八件、足下では多分四百件を超えているんじゃないかと思われます。
この制度は、後でも述べますけれども、日本のリバースモーゲージ市場を牽引していく存在だと思っていまして、といいますのも、政府がこの制度を生活保護の代替手段として更に活用するという方針を打ち出しております。来年度からの施策として、要保護世帯向け長期生活支援資金貸付制度というのがもう予算案の中に盛り込まれておりまして、生活保護を受給したい世帯がいて、生活保護を申請しに来たときに五百万円以上の価値を有する住宅に住んでいれば、生活保護ではなくてこっちの制度に誘導していくということを来年度からの事業として、予算案が通れば動いていくということでございます。
続きまして、公的なリバースモーゲージとしましてはもう一つ住宅金融公庫の仕組みがありまして、これは生活資金を融資するものではなくて、そういう意味ではリバースモーゲージ、定義上のリバースモーゲージとはやや色彩が異なるんですけれども、これは、住宅を高齢者が建て替えるときに、その資金を、建て替えのための資金を融資するというものでございます。高齢住宅、マンションそれぞれについて存在するんですけれども、高齢者がこれを借りたときには返済を繰り延べてあげるというものでございます。この融資の限度額が担保評価額の四〇%ということで、やや掛け目が低いんですけれども、物件の評価額が百万円以上であれば利用可能ということで、ハードルは低いということが言えると思います。
他方、民間の取組なんですけれども、今銀行では中央三井信託銀行と東京スター銀行が取り扱っています。中央三井信託銀行は土地の評価額が四千万円以上の一戸建て住宅に限定して行っております。それに対して東京スター銀行はややハードルが低くて、戸建て住宅しか対象ではないんですけれども、土地評価額の九〇%以内で五百万円から利用できるというものを取り扱っております。
また、ハウスメーカーですね、住宅を建てるメーカーが自社の物件を保有している人に対してリバースモーゲージを用意しているという動きもあります。具体的には旭化成が、ヘーベルハウスに住んでいる人についてそれを借り上げると、家賃を保証してあげると、その高齢者はもうちょっと手狭でもいいから例えば都心の利便性の高いところに住み替えるということで、こういう住み替え型のリバースモーゲージというものを提供しております。
以上、ちょっと急ぎ足になりましたけれども、日本の現状でございました。
こうした背景や状況を踏まえまして今後の課題ということでございますけれども、まず、大きく二つあると思うんですが、一つ目は、リバースモーゲージに特有の三大リスクにいかに対処するかということでございます。
この三大リスクというのは、長生きのリスク、金利上昇リスク、住宅価格の下落のリスク、こうした三つによって住宅の担保価値を債務の額が上回ってしまうというリスクがリバースモーゲージの場合はありまして、これにどう対処するかというのが長年の課題でございます。
一つ、一番簡単な方法としましては、アメリカの例を紹介しましたけれども、公的な組織がもうまとめて保険を掛けてしまうということでございます。ただ、私のような民間の立場の人間からすると、それは余りにもちょっと、確かに簡単な解決法であるけれども、もうちょっと何か民間の取組で解決する道筋はないかというふうに考えまして、少なくとも理論上は金融技術を用いればリスクのカバーは可能なのではないかということを考えました。
この三つのリスク、切り分けて考えてみますと、まず長生きリスクについては、もうこれは生命保険が成り立つように統計上の対数の法則に乗るリスクですので、比較的その保険という仕組みでカバーすることがしやすいリスクだというふうに言えると思います。それに対して、金利上昇リスクとか住宅価格下落リスクというのはいわゆるマーケットリスクと言われているもので、本来的には保険になじまないものということでございます。
じゃ、どうすればいいかということなんですが、金利上昇リスクに関しては、上限付きの変動金利というのがアメリカでよく使われている仕組みなんですけれども、こういうものを用いて貸手と借り手の間でリスクをシェアすると。一方、住宅価格の下落については、市場でのリスクヘッジはやはりちょっと難しいのかなと。ここの部分に関しては何らかの公的な関与が不可避なんじゃないかなというふうに考えます。
課題のその二なんですけれども、建物の資産価値をいかに反映させるかということでして、今、日本のリバースモーゲージは土地の担保価値のみを考慮するために、より少ない融資しか得られない状況になっています。これを建物の資産価値も含めて評価してあげれば、より融資の金額も多く得られるんじゃないかということでして、この辺はアメリカやイギリスなんかでは実質築年数という考え方が用いられて、築年数が表面的に長くたっても、メンテナンス、リフォームを適切に行っていれば実質的な築年数はまだ短いということで、資産を多めにするというような評価がありますので、こういう資産査定が根付くかどうかというのがかぎです。そういう意味では、昨年、住生活基本法が日本でも策定しましたので、よりその住宅の質的な向上に対する具体的な施策が求められていると思います。
将来展望についてですけれども、私個人は、先ほども言いました厚生労働省の制度、これが牽引役となっていくんでしょうということでございます。ただ、先ほど見た二つの課題というのはなかなか短期的な解決は困難なので、リバースモーゲージが普及するペースはやや緩やかなのではないかなというふうに考えております。
最後に、簡単にマンションについて、多く認められてないんですけれども、これを対象に広げていくためにはどうすればいいかということで、基本的には、適切なメンテナンスを施すことが重要なんですけれども、技術的には百年もつマンションを造るのは今でも可能だということですので、性能基準をある程度満たして、かつマンションは管理を買えというふうにも言われますので、その管理体制が良好なマンションであれば、そこに一定の担保価値を見いだしてリバースモーゲージの対象にすることも可能なのではないかと思います。
これについてレジュメに反映させることできなかったんですが、厚生労働省の先ほど申し上げた来年度から導入される要保護世帯向けの制度、これではマンションも対象にしているということですので、この制度が動き出して、実際にマンションの取扱いがどれぐらいになるのかというのをひとつ個人的には注目して見ていきたいと思っております。
済みません。ちょっと時間を超過して申し訳ありませんでした。
以上で終わります。
清
清水嘉与子#7
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見聴取を終わります。
これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどとさせていただきます。
なお、質疑者及び各参考人にお願い申し上げます。質疑及び御答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願い申し上げます。
また、多くの方が御発言できますように、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べいただきたいと存じます。
それでは、質疑のある方は挙手をお願いします。
この発言だけを見る →以上で参考人からの意見聴取を終わります。
これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどとさせていただきます。
なお、質疑者及び各参考人にお願い申し上げます。質疑及び御答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願い申し上げます。
また、多くの方が御発言できますように、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べいただきたいと存じます。
それでは、質疑のある方は挙手をお願いします。
中
中原爽#8
○中原爽君 自由民主党の中原でございます。
小塩先生にお尋ねしたいんですが、今日いただきましたレジュメの九ページ、スライド番号で十七番でありますけれども、「厚生年金「マクロ経済スライド」の発想」ですが、これは国会では大騒ぎをしましてこのマクロスライドを導入したんですけれども、先生もおっしゃっておられるように、これが労働力人口の減少分と平均余命の延びということで、それに見合った分ということなんですが、労働人口が減るということは平均余命が延びるということにつながっているわけで、この辺りのところから、この見合った分を実質賃金から差し引いてもプラスにはならない、マイナスであります。あるいはプラスマイナス相殺して変わりがないという、この四年間そんな格好になっていると思うんですが。
今後、このことを踏まえて保険料率を一八・三%まで持ち上げると。これは今回、年金制度の一元化で厚生年金と共済年金を一元化するという過程の中で一八・三まで持ち上げるということになると思うんですが、特に民間の関係の私学共済などは一八・三になるのに二〇二〇年代ぐらいまで掛かるということになります。その間に経済どう変わるか分からないということですけれども、その一八・三%に持ち上げていくということが先生のおっしゃっておられる世代間の、一番最後の十二ページのところの二十三のスライドですけれども、将来世代に負担を先送りせず、世代内で給付と負担を均衡させるということにこの一八・三という数字が該当するのかどうかということをちょっとお聞きしたいと思うんです。長い間の経過で引き上げていくわけですから、しかし、現役の世代が一八・三を負担するわけですから、それはいずれ自分が年金をもらうときに見返りになってくるというふうに考えるのかどうかですね、そういう意味での世代間の均衡が取れるということなのかどうかですね。それが一つ。
それと、一番最後の十二ページのところで、税制も含めて再配分政策というふうにおっしゃっておられて、税制の問題については所得控除と税額控除の点を触れておられるんですけれども、これ、将来消費税を社会保障の関係費の財源として、特に年金関係の目的税化するということについて、パーセント、持ち上げるパーセントも含めて先生のお考えを伺いたいのと、それから、高齢者の預貯金に対する現在の相続税の在り方ですね、相続税、これを軽減するという方向で、相続する若年者層に対する給付という格好の考えがどうかと。所得あるいは税額のほかに消費税と相続税についてお考えを伺いたいと思います。
この発言だけを見る →小塩先生にお尋ねしたいんですが、今日いただきましたレジュメの九ページ、スライド番号で十七番でありますけれども、「厚生年金「マクロ経済スライド」の発想」ですが、これは国会では大騒ぎをしましてこのマクロスライドを導入したんですけれども、先生もおっしゃっておられるように、これが労働力人口の減少分と平均余命の延びということで、それに見合った分ということなんですが、労働人口が減るということは平均余命が延びるということにつながっているわけで、この辺りのところから、この見合った分を実質賃金から差し引いてもプラスにはならない、マイナスであります。あるいはプラスマイナス相殺して変わりがないという、この四年間そんな格好になっていると思うんですが。
今後、このことを踏まえて保険料率を一八・三%まで持ち上げると。これは今回、年金制度の一元化で厚生年金と共済年金を一元化するという過程の中で一八・三まで持ち上げるということになると思うんですが、特に民間の関係の私学共済などは一八・三になるのに二〇二〇年代ぐらいまで掛かるということになります。その間に経済どう変わるか分からないということですけれども、その一八・三%に持ち上げていくということが先生のおっしゃっておられる世代間の、一番最後の十二ページのところの二十三のスライドですけれども、将来世代に負担を先送りせず、世代内で給付と負担を均衡させるということにこの一八・三という数字が該当するのかどうかということをちょっとお聞きしたいと思うんです。長い間の経過で引き上げていくわけですから、しかし、現役の世代が一八・三を負担するわけですから、それはいずれ自分が年金をもらうときに見返りになってくるというふうに考えるのかどうかですね、そういう意味での世代間の均衡が取れるということなのかどうかですね。それが一つ。
それと、一番最後の十二ページのところで、税制も含めて再配分政策というふうにおっしゃっておられて、税制の問題については所得控除と税額控除の点を触れておられるんですけれども、これ、将来消費税を社会保障の関係費の財源として、特に年金関係の目的税化するということについて、パーセント、持ち上げるパーセントも含めて先生のお考えを伺いたいのと、それから、高齢者の預貯金に対する現在の相続税の在り方ですね、相続税、これを軽減するという方向で、相続する若年者層に対する給付という格好の考えがどうかと。所得あるいは税額のほかに消費税と相続税についてお考えを伺いたいと思います。
清
小
小塩隆士#10
○参考人(小塩隆士君) どうもありがとうございます。今の先生の御質問に簡単にお答えいたします。
まず一番目の、一八・三%まで保険料率を上げることで世代間格差はどのように変化するかということです。これは私が個人的に試算したわけではなくてほかの研究者による試算なんですけれども、そういうのを見ますと、二〇〇四年改正の前と比べてそれほど大きな形で世代間格差が是正されているというわけではないようです。非常に大ざっぱに計算いたしますと、二〇〇〇年生まれぐらいの人たちですね、若い世代の人たちですと、生涯を通じて見ますと、大体生涯賃金の一〇%ぐらいはネットで見て損になるというふうな形になっておるようです。それをどういうふうに判断するかはまた別の判断基準があるかと思いますけれども、必ずしも二〇〇四年改正で大きな形で世代間格差が是正されたというわけではないというのが一番目のお答えです。
それから二番目ですけれども、消費税等々がこれから福祉目的税化される可能性もあるとは私は思います。ただ、そういう場合に、消費税の持っている逆進性という問題をどういうふうに解決すべきかという問題が必ず出てくるわけですね。そのときにやはり低所得層に対して、所得税以外のところで支援する必要があろうかというふうに思います。その一つの方法が、先ほど申しましたような所得税ですね、消費税じゃなくて所得税サイドで支援するというふうなことがこれから更に必要になるのではないかというふうに思います。
三番目に、相続税のお話をなさいました。確かに現在、先ほど資産においても格差があるというお話がありましたけれども、高齢層の資産のその分布を見ますと非常に格差が大きいというふうなことが言えますし、それから年金の受給状況を見ますと、貯蓄あるいは資産の大きい世帯ほど年金をたくさんもらっているというような傾向もあるわけですね。今まで相続税の改革をずっと見ますと、なるべく薄くしましょうというふうな形で進んできて、それが世界的な潮流でもあるわけですけれども、世代間で格差も継承されていくということはやはり政策的に危惧すべきことだろうというふうに思いますので、私は個人的には相続税の在り方については見直す必要があるのではないかというふうに思います。
以上です。
この発言だけを見る →まず一番目の、一八・三%まで保険料率を上げることで世代間格差はどのように変化するかということです。これは私が個人的に試算したわけではなくてほかの研究者による試算なんですけれども、そういうのを見ますと、二〇〇四年改正の前と比べてそれほど大きな形で世代間格差が是正されているというわけではないようです。非常に大ざっぱに計算いたしますと、二〇〇〇年生まれぐらいの人たちですね、若い世代の人たちですと、生涯を通じて見ますと、大体生涯賃金の一〇%ぐらいはネットで見て損になるというふうな形になっておるようです。それをどういうふうに判断するかはまた別の判断基準があるかと思いますけれども、必ずしも二〇〇四年改正で大きな形で世代間格差が是正されたというわけではないというのが一番目のお答えです。
それから二番目ですけれども、消費税等々がこれから福祉目的税化される可能性もあるとは私は思います。ただ、そういう場合に、消費税の持っている逆進性という問題をどういうふうに解決すべきかという問題が必ず出てくるわけですね。そのときにやはり低所得層に対して、所得税以外のところで支援する必要があろうかというふうに思います。その一つの方法が、先ほど申しましたような所得税ですね、消費税じゃなくて所得税サイドで支援するというふうなことがこれから更に必要になるのではないかというふうに思います。
三番目に、相続税のお話をなさいました。確かに現在、先ほど資産においても格差があるというお話がありましたけれども、高齢層の資産のその分布を見ますと非常に格差が大きいというふうなことが言えますし、それから年金の受給状況を見ますと、貯蓄あるいは資産の大きい世帯ほど年金をたくさんもらっているというような傾向もあるわけですね。今まで相続税の改革をずっと見ますと、なるべく薄くしましょうというふうな形で進んできて、それが世界的な潮流でもあるわけですけれども、世代間で格差も継承されていくということはやはり政策的に危惧すべきことだろうというふうに思いますので、私は個人的には相続税の在り方については見直す必要があるのではないかというふうに思います。
以上です。
中
清
森
森ゆうこ#13
○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。今日は三人の先生方、大変ありがとうございます。
まず、今ほどリバースモーゲージについて非常に専門的に御指導いただきました野田先生にお聞きしたいんですけれども、要するに不動産価格の下落リスクというものが、例えばもっと民間がこれをやって将来的にリスクを回避しつつ利益が上がるものであればもっと積極的に参入すると思うんですね。
私、要するに人口減少になるわけですから、当然、不動産価格というのは長期的に見るとどうしても減少傾向は避けられないのかなというやはり見込みがあって、それで民間からの参入というものは非常に遅れている。また、もう少し公的な支援が確立してからじゃないと積極的には参入できないなというふうに皆さんが思われているのかなというふうに思うんですけれども、それについてちょっと見解をいただきたいのと、アメリカそれからイギリスではもうある程度進んでいるようですけれども、アメリカ、イギリスの例でどのようなこのリバースモーゲージについて問題点、克服すべき問題点が現れているのか、もし御存じでしたらお聞きしたいと思います。まず、その質問をさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →まず、今ほどリバースモーゲージについて非常に専門的に御指導いただきました野田先生にお聞きしたいんですけれども、要するに不動産価格の下落リスクというものが、例えばもっと民間がこれをやって将来的にリスクを回避しつつ利益が上がるものであればもっと積極的に参入すると思うんですね。
私、要するに人口減少になるわけですから、当然、不動産価格というのは長期的に見るとどうしても減少傾向は避けられないのかなというやはり見込みがあって、それで民間からの参入というものは非常に遅れている。また、もう少し公的な支援が確立してからじゃないと積極的には参入できないなというふうに皆さんが思われているのかなというふうに思うんですけれども、それについてちょっと見解をいただきたいのと、アメリカそれからイギリスではもうある程度進んでいるようですけれども、アメリカ、イギリスの例でどのようなこのリバースモーゲージについて問題点、克服すべき問題点が現れているのか、もし御存じでしたらお聞きしたいと思います。まず、その質問をさせていただきたいと思います。
清
野
野田彰彦#15
○参考人(野田彰彦君) どうもありがとうございます。
まず、一つ目の御質問、不動産価格が長期的に下落する趨勢にあるんじゃないかという御見解には私も正直同感でございまして、そういう意味も含めると、なかなか、マーケットでこのリスクというのをどうヘッジしていくのかというのは、実は私、レポートの中で二つぐらい可能性があるということで検討しまして、まず一つは、アメリカにおいて、つい最近なんですけれども、住宅価格指数というのがシカゴの取引所で上場したんですけれども、これは要はマーケットで取引される指標になるので、一つこういうものがあり得るんじゃないかなというふうにしてちょっと検討してみたんですけれども、このアメリカの市場に上場されたものをよく見ると、やっぱり数年程度の中期的な価格下落リスクをヘッジするための手段、まあ投資にかかわる住宅価格の下落リスクをヘッジする手段としてこういう指標が作られて上場したというのが実態らしくて、リバースモーゲージというのは契約期間が長ければ二十年とか三十年掛かるわけですよね。その三十年間の住宅の価格、これがどう変動するかということについてヘッジするほどのものにはちょっとなり得ないんじゃないかなというのが私のレポートの中での結論でした。
もう一つ、これもアメリカの事例なんですけれども、アメリカのニューヨーク州の中にシラキューズという割と小さな町がありまして、そこで住宅価格保証保険というのを、これはパイロットプロジェクトとして、たしか二〇〇一年ぐらいから始めていたと思うんですけれども。こちらには連邦政府が一定のファンドを拠出して、保険という仕組みでシラキューズという町に限定して何年間かにわたる住宅価格の下落リスクをヘッジすると。利用者は家を買ったりしたときにその保険に入る、保険料を払うわけですね。それがコストになるんですけれども、それで例えば五年後に売却したときに実際に損が出たら、実際に損が出たらじゃないですね、そのシラキューズ市の住宅価格指数というのがあって、それの下落率というのが実額で補てんされるわけなんですね。
そうすると、実際の売却損とは乖離が出てくるんですけれども、ここに何かみそがあって、その住宅を買った人がメンテナンスをできるだけ力を入れてやって、で、市場の実勢、実際にはそのシラキューズの町全体としては例えば不動産価格が二〇%下落していたという状況の中で、でもその人の家はメンテナンスをちゃんと行っていたので一〇%の下落にとどまったというときには、その保険金がもらえる金額というのは二〇%の下落分丸々もらえるわけで、すなわち一〇%得をするわけなんですよね、損をした人にとっては。これが要は住宅のメンテナンスを契約者に促すインセンティブになるんじゃないかということで、非常にこの住宅価格保証保険というのは高く評価された仕組みなんですけれども、ただこの仕組みも、先ほど言いましたけども、連邦政府が基金を拠出しているという意味で、公的な仕組みなんですね。
ですから、翻ってみると、日本ではこういう仕組みの検討自体がまだほとんどなされてないですし、よしんばやるとしても、なかなか民間の自助努力で保険会社が、損害保険会社がどこまでこういうものを引き受けるかというと、ややちょっと限界があるんじゃないかなというのが個人的な見解で、この住宅価格の下落リスクをヘッジするためには、先ほどの繰り返しですが、何らかの公的な関与が必要なんじゃないかというのが、先ほど言ったその二つの可能性ですね、を検討した結果の結論でございます。
アメリカとイギリスの、もう一つの御質問で克服すべき問題点ということなんですけれども、アメリカの場合はここ数年件数が非常に伸びていて、私の知る限りそんなに大きな問題というのは見聞きしていないんですけれども、イギリスにおいては二つの大きな仕組み、ホームリバージョンとライフタイムモーゲージ、この二つがあるという御紹介申し上げましたけれども、政府の規制が後追いになっていまして、今現在、イギリスのFSAという金融当局なんですけれども、そこが規制しているのはライフタイムモーゲージだけでして、このホームリバージョンについては今その規制の在り方を検討しているということで、ちょっと民間の創意工夫で市場が先に動き出していて、それに適切な規制というのがややちょっと後れているという問題がよく指摘されてはいます。イギリスの場合ですね。
この発言だけを見る →まず、一つ目の御質問、不動産価格が長期的に下落する趨勢にあるんじゃないかという御見解には私も正直同感でございまして、そういう意味も含めると、なかなか、マーケットでこのリスクというのをどうヘッジしていくのかというのは、実は私、レポートの中で二つぐらい可能性があるということで検討しまして、まず一つは、アメリカにおいて、つい最近なんですけれども、住宅価格指数というのがシカゴの取引所で上場したんですけれども、これは要はマーケットで取引される指標になるので、一つこういうものがあり得るんじゃないかなというふうにしてちょっと検討してみたんですけれども、このアメリカの市場に上場されたものをよく見ると、やっぱり数年程度の中期的な価格下落リスクをヘッジするための手段、まあ投資にかかわる住宅価格の下落リスクをヘッジする手段としてこういう指標が作られて上場したというのが実態らしくて、リバースモーゲージというのは契約期間が長ければ二十年とか三十年掛かるわけですよね。その三十年間の住宅の価格、これがどう変動するかということについてヘッジするほどのものにはちょっとなり得ないんじゃないかなというのが私のレポートの中での結論でした。
もう一つ、これもアメリカの事例なんですけれども、アメリカのニューヨーク州の中にシラキューズという割と小さな町がありまして、そこで住宅価格保証保険というのを、これはパイロットプロジェクトとして、たしか二〇〇一年ぐらいから始めていたと思うんですけれども。こちらには連邦政府が一定のファンドを拠出して、保険という仕組みでシラキューズという町に限定して何年間かにわたる住宅価格の下落リスクをヘッジすると。利用者は家を買ったりしたときにその保険に入る、保険料を払うわけですね。それがコストになるんですけれども、それで例えば五年後に売却したときに実際に損が出たら、実際に損が出たらじゃないですね、そのシラキューズ市の住宅価格指数というのがあって、それの下落率というのが実額で補てんされるわけなんですね。
そうすると、実際の売却損とは乖離が出てくるんですけれども、ここに何かみそがあって、その住宅を買った人がメンテナンスをできるだけ力を入れてやって、で、市場の実勢、実際にはそのシラキューズの町全体としては例えば不動産価格が二〇%下落していたという状況の中で、でもその人の家はメンテナンスをちゃんと行っていたので一〇%の下落にとどまったというときには、その保険金がもらえる金額というのは二〇%の下落分丸々もらえるわけで、すなわち一〇%得をするわけなんですよね、損をした人にとっては。これが要は住宅のメンテナンスを契約者に促すインセンティブになるんじゃないかということで、非常にこの住宅価格保証保険というのは高く評価された仕組みなんですけれども、ただこの仕組みも、先ほど言いましたけども、連邦政府が基金を拠出しているという意味で、公的な仕組みなんですね。
ですから、翻ってみると、日本ではこういう仕組みの検討自体がまだほとんどなされてないですし、よしんばやるとしても、なかなか民間の自助努力で保険会社が、損害保険会社がどこまでこういうものを引き受けるかというと、ややちょっと限界があるんじゃないかなというのが個人的な見解で、この住宅価格の下落リスクをヘッジするためには、先ほどの繰り返しですが、何らかの公的な関与が必要なんじゃないかというのが、先ほど言ったその二つの可能性ですね、を検討した結果の結論でございます。
アメリカとイギリスの、もう一つの御質問で克服すべき問題点ということなんですけれども、アメリカの場合はここ数年件数が非常に伸びていて、私の知る限りそんなに大きな問題というのは見聞きしていないんですけれども、イギリスにおいては二つの大きな仕組み、ホームリバージョンとライフタイムモーゲージ、この二つがあるという御紹介申し上げましたけれども、政府の規制が後追いになっていまして、今現在、イギリスのFSAという金融当局なんですけれども、そこが規制しているのはライフタイムモーゲージだけでして、このホームリバージョンについては今その規制の在り方を検討しているということで、ちょっと民間の創意工夫で市場が先に動き出していて、それに適切な規制というのがややちょっと後れているという問題がよく指摘されてはいます。イギリスの場合ですね。
森
森ゆうこ#16
○森ゆうこ君 そうしますと、今のお話に続いてなんですけれども、長期的な不動産価格下落リスクの克服というのは非常に難しいけれども、一つの手段としてこのリバースモーゲージというのを私もある程度活用ができれば、例えば低所得の高齢者の生活保障という面で新たな展開が切り開けると思うんですけども、じゃ先生のお考えとしては、イギリスのように政府の規制が後回しになってばらばらになってしまうよりは、ある程度方向付けを政策的に行った方がよいというふうなお考えでしょうか。それだけちょっと。
この発言だけを見る →野
野田彰彦#17
○参考人(野田彰彦君) リスクという観点からしていくと、やはりこの住宅価格の下落リスクという部分が一番のネックになってくるということで、アメリカみたいに三つのリスク丸抱えで保険を掛けるという方法もあり得ると思うんですけれども、そこは何とか切り分けて、民間で負うべき、カバーできるリスク、コストというのは市場にゆだねて、どうしてもやはりマーケットベースでのヘッジというのが難しいこの住宅価格の下落リスクの部分に関しては限定的に公的な関与を認めるべきではないかというのが、これは具体的なスキームがどういうものかというイメージまでは必ずしもできているわけじゃないですけれども、そういうふうに切り分けた上で、限定的に関与すべき部分についてコミットするというのが望ましい在り方なんじゃないかなというのが個人的な見解です。
この発言だけを見る →清
森
森ゆうこ#19
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
それでは、続いて小塩先生にお聞きしたいんですけれども、先ほどマクロ経済スライドについての言及がございましたので、私自身も〇四年の年金改正のときには厚生労働委員会の理事も務めさせていただいた関係で、相当先生方と様々なやり取りをした経緯がございますので、若干、少し見解をお聞きしておきたいんですけれども。
まず一つには、このたび政府が出されました新たな人口動態に基づいた年金の試算についての先生の評価をまずお聞きしたいのと、もう一つは、マクロ経済スライドが、基礎年金の部分にまでこれが入っている、このマクロ経済スライドの考え方というのが。これは非常に我々も年金の議論のときに、これはひどいんじゃないかという、マクロ経済スライドと、言葉はいいですけれども、もちろん、負担と給付のバランスというものを取らなければいけないということは分かっておりますが、しかし基礎部分までといいますと、非常に厳しい、厳し過ぎるのではないか、許せないという気持ちが非常にあのときありましたし、今も持っておりますが、その点について先生の御見解をひとつ伺わせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →それでは、続いて小塩先生にお聞きしたいんですけれども、先ほどマクロ経済スライドについての言及がございましたので、私自身も〇四年の年金改正のときには厚生労働委員会の理事も務めさせていただいた関係で、相当先生方と様々なやり取りをした経緯がございますので、若干、少し見解をお聞きしておきたいんですけれども。
まず一つには、このたび政府が出されました新たな人口動態に基づいた年金の試算についての先生の評価をまずお聞きしたいのと、もう一つは、マクロ経済スライドが、基礎年金の部分にまでこれが入っている、このマクロ経済スライドの考え方というのが。これは非常に我々も年金の議論のときに、これはひどいんじゃないかという、マクロ経済スライドと、言葉はいいですけれども、もちろん、負担と給付のバランスというものを取らなければいけないということは分かっておりますが、しかし基礎部分までといいますと、非常に厳しい、厳し過ぎるのではないか、許せないという気持ちが非常にあのときありましたし、今も持っておりますが、その点について先生の御見解をひとつ伺わせていただきたいと思います。
清
小
小塩隆士#21
○参考人(小塩隆士君) 今の森先生の御質問、非常に耳の痛いといいますか、御回答しにくい点かと思うんですけれども、まず一点目、マクロ経済スライドと、それから新しい人口推計における新しい年金受給見通しについてということなんですけれども、私は、ある程度マクロ経済スライド的な考え方を年金全体に対して取るべきだというふうな立場を取っているんですね。
二〇〇四年改正ですと、一八・三%まで保険料を引き上げる、それでその範囲内でやりましょうと言いながら、その一方で、所得代替率、現役層の所得に対して年金の給付額、その比率を所得代替率といいますけれども、それを五〇%を切らないようにいたしましょうと言っていたわけですけれども、これはどう考えても両立しない話でありまして、どちらかを固めればどちらかがそれに応じて調整される、そういう性格のものなんですね。だから、どっちを選ぶかということなんです。
私は、これはまあ判断が分かれるところだろうと思うんですけれども、超長期の人口減少ということを考えると、若い人たちの体力にある程度合わせた方がいいんじゃないかというふうに思います。それが一つ目のお答えなんですね。
そうすると、当然ながら、新しい人口推計をベースにしますと数字が悪くなるんですね。所得代替率が五〇%を割り込むというのも仕方がないことになります。じゃ、それはほっておいたらいいかというと、そういうわけでは決してないというふうに思います。もしそれで老後の生活保障ができないということであれば上乗せする必要があるわけですね。その上乗せする部分を、先ほどもちょっと言いましたけれども、次の世代になるべく負担の掛からないような形で何とかできないかというふうな、そういう工夫は必要だと思うんですね。
よく日本の年金改革を議論する場合、スウェーデンの例がよく挙げられるわけですけれども、スウェーデンも一部積立方式の部分を持っているわけですね。そういうふうな形でなるべく世代内でお金のやりくりをいたしましょうと、そういう政策努力が必要ではないかというふうに思います。これが一点目の御質問に対するお答えです。
二点目なんですけれども、さはさりながら、老後のナショナルミニマムまでマクロ経済スライドの考え方を適用すべきかという問題があるわけですね。これは非常に判断の迷うところだろうというふうに思います。
年金以外のところで、例えば生活保護とかあるいは医療、介護のそういう年金以外の社会保障の部分で十分な手当てがあるんだったら、私は、マクロ経済スライド的な考え方を基礎年金の部分に掛けてもいいかもしれませんけれども、そうでなければ、これは、基礎年金部分はぎりぎりのところですから、余りがっちりとマクロ経済スライドの考え方を適用すべきでないという御意見も当然あると思います。
正直申し上げて、私も個人的にどちらがいいかと迷うところなんですけれども、どちらかというと、セーフティーネットの根幹にかかわるところは余り、入ってくるお金で制限するという、そういう制限の掛け方というのは余り厳密にする必要はないんじゃないかというふうに思います。
この発言だけを見る →二〇〇四年改正ですと、一八・三%まで保険料を引き上げる、それでその範囲内でやりましょうと言いながら、その一方で、所得代替率、現役層の所得に対して年金の給付額、その比率を所得代替率といいますけれども、それを五〇%を切らないようにいたしましょうと言っていたわけですけれども、これはどう考えても両立しない話でありまして、どちらかを固めればどちらかがそれに応じて調整される、そういう性格のものなんですね。だから、どっちを選ぶかということなんです。
私は、これはまあ判断が分かれるところだろうと思うんですけれども、超長期の人口減少ということを考えると、若い人たちの体力にある程度合わせた方がいいんじゃないかというふうに思います。それが一つ目のお答えなんですね。
そうすると、当然ながら、新しい人口推計をベースにしますと数字が悪くなるんですね。所得代替率が五〇%を割り込むというのも仕方がないことになります。じゃ、それはほっておいたらいいかというと、そういうわけでは決してないというふうに思います。もしそれで老後の生活保障ができないということであれば上乗せする必要があるわけですね。その上乗せする部分を、先ほどもちょっと言いましたけれども、次の世代になるべく負担の掛からないような形で何とかできないかというふうな、そういう工夫は必要だと思うんですね。
よく日本の年金改革を議論する場合、スウェーデンの例がよく挙げられるわけですけれども、スウェーデンも一部積立方式の部分を持っているわけですね。そういうふうな形でなるべく世代内でお金のやりくりをいたしましょうと、そういう政策努力が必要ではないかというふうに思います。これが一点目の御質問に対するお答えです。
二点目なんですけれども、さはさりながら、老後のナショナルミニマムまでマクロ経済スライドの考え方を適用すべきかという問題があるわけですね。これは非常に判断の迷うところだろうというふうに思います。
年金以外のところで、例えば生活保護とかあるいは医療、介護のそういう年金以外の社会保障の部分で十分な手当てがあるんだったら、私は、マクロ経済スライド的な考え方を基礎年金の部分に掛けてもいいかもしれませんけれども、そうでなければ、これは、基礎年金部分はぎりぎりのところですから、余りがっちりとマクロ経済スライドの考え方を適用すべきでないという御意見も当然あると思います。
正直申し上げて、私も個人的にどちらがいいかと迷うところなんですけれども、どちらかというと、セーフティーネットの根幹にかかわるところは余り、入ってくるお金で制限するという、そういう制限の掛け方というのは余り厳密にする必要はないんじゃないかというふうに思います。
清
森
森ゆうこ#23
○森ゆうこ君 ありがとうございました、率直に答えていただきまして。
私もやはり、当然、だれかが給付を受ければだれかが負担しなければいけないということで、それは、ないそでは振れないわけですし、また若い人たちの負担も限度があるわけですし、そもそも私もこの政治の世界に入ったその最大の動機は、この人口減少社会でどうやってだれもが納得でき、安心できるのかと、そういう新しい制度をつくることができるのかというのが最大の動機でございまして、今の先生の御意見もまた参考にさせていただきながら、更に研さんをというか、闘い続けていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →私もやはり、当然、だれかが給付を受ければだれかが負担しなければいけないということで、それは、ないそでは振れないわけですし、また若い人たちの負担も限度があるわけですし、そもそも私もこの政治の世界に入ったその最大の動機は、この人口減少社会でどうやってだれもが納得でき、安心できるのかと、そういう新しい制度をつくることができるのかというのが最大の動機でございまして、今の先生の御意見もまた参考にさせていただきながら、更に研さんをというか、闘い続けていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
清
岡
清
岡
岡田広#27
○岡田広君 ごめんなさい。高橋参考人にお尋ねをいたします。
先ほどいろいろ説明をいただきまして、大変分かりやすく理解をしましたけれども、これからが本格的な高齢化社会であると、これにどう対応するというのが大変重要な問題であるというお話でしたけれども、そういう中で、高齢者は特別な存在ではない、したがって高齢者対策ではないというお話がありました。安全、安心の環境整備が大事であり、それが高齢者対策となるという、そういうお話でした。私も全くそのとおりだろうと思っています。
働く人たちの環境整備というのは非常にこれも大事で、今国会に仕事と生活の調和が大事だということで労働基準法の改正を出しています。労働時間制度の見直しを行うということですけれども、時間外労働の削減ということで割増賃金の改正とか、こういう法案を出しているわけです、あるいは最低賃金法の改正とか。
そういうことで、私は、特に高齢者の問題というのは、医療とか介護とか言われますが、まず、とにかくこの数字見ても長寿社会になると。寿命が延びていくという中で正に健康寿命が大事なんだと思っているんですけれども、高齢者の人たちもそれなりに元気で、それぞれの地域でできることで地域社会に奉仕をするとか貢献をすると、こういうことが大事だと思っています。
私、特に独り暮らしの高齢者ですけれども、例えばペンダント、愛のペンダントという事業をやっていまして、高齢者に、独り暮らしの人にペンダントをあれして、夜、深夜でも何か用事があるときはボタンを押すと消防に通報が行くようになって消防が出ていくんですけれども、消防が出ていくと、半分以上が独り暮らしで話し相手が欲しいという、そういう、非常災害ではないという、そういうデータも出ているんですけれども。
もう一つ、愛の定期便というのを例に挙げたいと思いますが、これは独り暮らしの高齢者に二日に一回ヤクルトや牛乳を配達するんですが、これも正に、そのヤクルトや牛乳をもらいたいということではなくして、安否の確認とか激励ということが主でこういう事業を地方公共団体でやっているんですけども、やっぱりそうなってくるとなかなかその高齢者の人たちがもう話し込んでしまうということで能率が上がらないと、こういう問題点もあるんですけども、こういうことで、私は、高齢者の人たちはまず話をする相手が欲しいという。
今、先ほど普通に生活できる国づくりが必要というお話も先生からありましたけれども、住宅をバリアフリーにするとか、あるいは交通、そして、私最も大事なのは情報だと思うんです。高齢者に今IT時代ですからたくさん情報入ってきますけども、自分の、それぞれの人がどの情報が自分の仕事や生活に生かすことのできるかという、そういう情報を取捨選択する、これがとても大事である。そういうためには私は情報交換する場所づくりが必要なんだと、そういうふうに思うんです。
昨年、教育基本法改正されまして、生涯学習の考え方、理念が新しく書き加えられたんですけども、生涯学ぶ環境をつくるということは私とてもこの高齢化対策の中で大事だと思うんですが、生涯学習の考え方について高橋参考人にお尋ねしたいと思います。
この発言だけを見る →先ほどいろいろ説明をいただきまして、大変分かりやすく理解をしましたけれども、これからが本格的な高齢化社会であると、これにどう対応するというのが大変重要な問題であるというお話でしたけれども、そういう中で、高齢者は特別な存在ではない、したがって高齢者対策ではないというお話がありました。安全、安心の環境整備が大事であり、それが高齢者対策となるという、そういうお話でした。私も全くそのとおりだろうと思っています。
働く人たちの環境整備というのは非常にこれも大事で、今国会に仕事と生活の調和が大事だということで労働基準法の改正を出しています。労働時間制度の見直しを行うということですけれども、時間外労働の削減ということで割増賃金の改正とか、こういう法案を出しているわけです、あるいは最低賃金法の改正とか。
そういうことで、私は、特に高齢者の問題というのは、医療とか介護とか言われますが、まず、とにかくこの数字見ても長寿社会になると。寿命が延びていくという中で正に健康寿命が大事なんだと思っているんですけれども、高齢者の人たちもそれなりに元気で、それぞれの地域でできることで地域社会に奉仕をするとか貢献をすると、こういうことが大事だと思っています。
私、特に独り暮らしの高齢者ですけれども、例えばペンダント、愛のペンダントという事業をやっていまして、高齢者に、独り暮らしの人にペンダントをあれして、夜、深夜でも何か用事があるときはボタンを押すと消防に通報が行くようになって消防が出ていくんですけれども、消防が出ていくと、半分以上が独り暮らしで話し相手が欲しいという、そういう、非常災害ではないという、そういうデータも出ているんですけれども。
もう一つ、愛の定期便というのを例に挙げたいと思いますが、これは独り暮らしの高齢者に二日に一回ヤクルトや牛乳を配達するんですが、これも正に、そのヤクルトや牛乳をもらいたいということではなくして、安否の確認とか激励ということが主でこういう事業を地方公共団体でやっているんですけども、やっぱりそうなってくるとなかなかその高齢者の人たちがもう話し込んでしまうということで能率が上がらないと、こういう問題点もあるんですけども、こういうことで、私は、高齢者の人たちはまず話をする相手が欲しいという。
今、先ほど普通に生活できる国づくりが必要というお話も先生からありましたけれども、住宅をバリアフリーにするとか、あるいは交通、そして、私最も大事なのは情報だと思うんです。高齢者に今IT時代ですからたくさん情報入ってきますけども、自分の、それぞれの人がどの情報が自分の仕事や生活に生かすことのできるかという、そういう情報を取捨選択する、これがとても大事である。そういうためには私は情報交換する場所づくりが必要なんだと、そういうふうに思うんです。
昨年、教育基本法改正されまして、生涯学習の考え方、理念が新しく書き加えられたんですけども、生涯学ぶ環境をつくるということは私とてもこの高齢化対策の中で大事だと思うんですが、生涯学習の考え方について高橋参考人にお尋ねしたいと思います。
清
高
高橋伸彰#29
○参考人(高橋伸彰君) お答え申し上げます。
生涯学習ということですが、やはり今の高齢者の方はどうしても、人生八十五年とか、あるいはこれから二〇五五年になれば女性の平均寿命は九十歳を超えるといいますが、人生九十年という自覚を持って今の高齢期を迎えられていないと思うんですね。ですから、そういう意味では、今もう成人を迎えている、あるいは今四十、五十の人間は人生八十五年という自覚を持っております。そうすると、ちょうど今はいわゆる本格的な高齢社会への移行期だと思いますので、そういう意味では、移行期に具体的にどのぐらいの時間が掛かるかといえば、例えば年金一つとらえると、二十歳のときに払い始めて八十五で給付を終わるとしても、二十歳から八十五ですから六十五年間も掛かってしまうわけですね。六十五年間というのは余りにも長いですから、それを北欧諸国等はやはり三十年掛けて本格的な高齢社会への対応ということを考えております。
ですから、生涯学習も、年を取ってから急に何かを学ぼうと思っても学べません。やはり若いときから文化だとか趣味だとか、そうした教養に関心を持っているから、年を取っても絵筆を握ったり、あるいは絵画を鑑賞したり、そういうことが、あるいは音楽を鑑賞したりすることができるようになりますので、生涯学習というのはやっぱり年寄りを対象とするんではなくて、若い人からいわゆる生涯持てるそうした文化だとか教養だとかそのチャンスをまず教育していく、若い人に。そして年寄りの方には、今先生がおっしゃられたように、すぐには身に付けることができませんからその情報交換の場で、今のあと向こう三十年ぐらいはやはりかなり公的な支援、そういう交換の場をつくる公的な支援を通してやっぱり積極的にそうした機会を保障していくというようなことが大事だというふうに思います。
最後に、生涯学習の私は一番の重要な点は、今、これもアメリカでは、ではと言うと出羽守になったみたいで私は余り好きではないんですけれども、やっぱり学校のキャンパスの中にいわゆる老人ホームを造って、そこで生活をして、そして教育を学べるような、そういうシステムを今アメリカの私立大学はどんどんどんどん整えております。これから大学はどんどんどんどん子供が減っていくということでありますので、少しそういう、もし生涯学習ということであれば、これまでの学校の敷地だとか、今京都では少しチャレンジをしていますが、それから大学の敷地だとか、そういうところにいわゆるお年寄りの生活と教育もできる、両方できる空間整備みたいなものを少しパイロット的に、試験的にチャレンジしていくということが一つ生涯学習を普及させていく上で重要な課題かなというふうに考えます。
以上です。
この発言だけを見る →生涯学習ということですが、やはり今の高齢者の方はどうしても、人生八十五年とか、あるいはこれから二〇五五年になれば女性の平均寿命は九十歳を超えるといいますが、人生九十年という自覚を持って今の高齢期を迎えられていないと思うんですね。ですから、そういう意味では、今もう成人を迎えている、あるいは今四十、五十の人間は人生八十五年という自覚を持っております。そうすると、ちょうど今はいわゆる本格的な高齢社会への移行期だと思いますので、そういう意味では、移行期に具体的にどのぐらいの時間が掛かるかといえば、例えば年金一つとらえると、二十歳のときに払い始めて八十五で給付を終わるとしても、二十歳から八十五ですから六十五年間も掛かってしまうわけですね。六十五年間というのは余りにも長いですから、それを北欧諸国等はやはり三十年掛けて本格的な高齢社会への対応ということを考えております。
ですから、生涯学習も、年を取ってから急に何かを学ぼうと思っても学べません。やはり若いときから文化だとか趣味だとか、そうした教養に関心を持っているから、年を取っても絵筆を握ったり、あるいは絵画を鑑賞したり、そういうことが、あるいは音楽を鑑賞したりすることができるようになりますので、生涯学習というのはやっぱり年寄りを対象とするんではなくて、若い人からいわゆる生涯持てるそうした文化だとか教養だとかそのチャンスをまず教育していく、若い人に。そして年寄りの方には、今先生がおっしゃられたように、すぐには身に付けることができませんからその情報交換の場で、今のあと向こう三十年ぐらいはやはりかなり公的な支援、そういう交換の場をつくる公的な支援を通してやっぱり積極的にそうした機会を保障していくというようなことが大事だというふうに思います。
最後に、生涯学習の私は一番の重要な点は、今、これもアメリカでは、ではと言うと出羽守になったみたいで私は余り好きではないんですけれども、やっぱり学校のキャンパスの中にいわゆる老人ホームを造って、そこで生活をして、そして教育を学べるような、そういうシステムを今アメリカの私立大学はどんどんどんどん整えております。これから大学はどんどんどんどん子供が減っていくということでありますので、少しそういう、もし生涯学習ということであれば、これまでの学校の敷地だとか、今京都では少しチャレンジをしていますが、それから大学の敷地だとか、そういうところにいわゆるお年寄りの生活と教育もできる、両方できる空間整備みたいなものを少しパイロット的に、試験的にチャレンジしていくということが一つ生涯学習を普及させていく上で重要な課題かなというふうに考えます。
以上です。