予算委員会公聴会
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会
会議録情報#0
平成二十二年二月二十四日(水曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 鹿野 道彦君
理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君
理事 海江田万里君 理事 伴野 豊君
理事 松原 仁君 理事 山口 壯君
理事 富田 茂之君
石田 三示君 糸川 正晃君
打越あかし君 小野塚勝俊君
緒方林太郎君 岡本 充功君
加藤 学君 梶原 康弘君
金子 健一君 城井 崇君
工藤 仁美君 沓掛 哲男君
黒田 雄君 小泉 俊明君
古賀 一成君 田中 康夫君
平 智之君 津島 恭一君
豊田潤多郎君 中野 譲君
中林美恵子君 長島 一由君
萩原 仁君 橋本 博明君
畑 浩治君 平岡 秀夫君
三谷 光男君 森本 和義君
山田 良司君 山本 剛正君
吉田 泉君 吉田 公一君
若泉 征三君 渡部 恒三君
大口 善徳君 笠井 亮君
穀田 恵二君 阿部 知子君
山内 康一君 下地 幹郎君
…………………………………
公述人
(日本労働組合総連合会副事務局長) 逢見 直人君
公述人
(神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授) 二宮 厚美君
公述人
(慶應義塾大学経済学部教授) 駒村 康平君
公述人
(立命館大学国際関係学部教授) 高橋 伸彰君
公述人
(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授) 高橋 紘士君
公述人
(日本金融財政研究所所長) 菊池 英博君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
農林水産大臣政務官 舟山 康江君
予算委員会専門員 杉若 吉彦君
—————————————
委員の異動
二月二十四日
辞任 補欠選任
岡本 充功君 加藤 学君
奥野総一郎君 金子 健一君
城井 崇君 中野 譲君
黒田 雄君 石田 三示君
小泉 俊明君 橋本 博明君
田中 康夫君 萩原 仁君
長島 一由君 工藤 仁美君
畑 浩治君 吉田 泉君
笠井 亮君 穀田 恵二君
同日
辞任 補欠選任
石田 三示君 黒田 雄君
加藤 学君 平 智之君
金子 健一君 奥野総一郎君
工藤 仁美君 長島 一由君
中野 譲君 城井 崇君
萩原 仁君 田中 康夫君
橋本 博明君 小泉 俊明君
吉田 泉君 畑 浩治君
穀田 恵二君 笠井 亮君
同日
辞任 補欠選任
平 智之君 山本 剛正君
同日
辞任 補欠選任
山本 剛正君 岡本 充功君
—————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成二十二年度一般会計予算
平成二十二年度特別会計予算
平成二十二年度政府関係機関予算
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時一分開議
出席委員
委員長 鹿野 道彦君
理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君
理事 海江田万里君 理事 伴野 豊君
理事 松原 仁君 理事 山口 壯君
理事 富田 茂之君
石田 三示君 糸川 正晃君
打越あかし君 小野塚勝俊君
緒方林太郎君 岡本 充功君
加藤 学君 梶原 康弘君
金子 健一君 城井 崇君
工藤 仁美君 沓掛 哲男君
黒田 雄君 小泉 俊明君
古賀 一成君 田中 康夫君
平 智之君 津島 恭一君
豊田潤多郎君 中野 譲君
中林美恵子君 長島 一由君
萩原 仁君 橋本 博明君
畑 浩治君 平岡 秀夫君
三谷 光男君 森本 和義君
山田 良司君 山本 剛正君
吉田 泉君 吉田 公一君
若泉 征三君 渡部 恒三君
大口 善徳君 笠井 亮君
穀田 恵二君 阿部 知子君
山内 康一君 下地 幹郎君
…………………………………
公述人
(日本労働組合総連合会副事務局長) 逢見 直人君
公述人
(神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授) 二宮 厚美君
公述人
(慶應義塾大学経済学部教授) 駒村 康平君
公述人
(立命館大学国際関係学部教授) 高橋 伸彰君
公述人
(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授) 高橋 紘士君
公述人
(日本金融財政研究所所長) 菊池 英博君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
農林水産大臣政務官 舟山 康江君
予算委員会専門員 杉若 吉彦君
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委員の異動
二月二十四日
辞任 補欠選任
岡本 充功君 加藤 学君
奥野総一郎君 金子 健一君
城井 崇君 中野 譲君
黒田 雄君 石田 三示君
小泉 俊明君 橋本 博明君
田中 康夫君 萩原 仁君
長島 一由君 工藤 仁美君
畑 浩治君 吉田 泉君
笠井 亮君 穀田 恵二君
同日
辞任 補欠選任
石田 三示君 黒田 雄君
加藤 学君 平 智之君
金子 健一君 奥野総一郎君
工藤 仁美君 長島 一由君
中野 譲君 城井 崇君
萩原 仁君 田中 康夫君
橋本 博明君 小泉 俊明君
吉田 泉君 畑 浩治君
穀田 恵二君 笠井 亮君
同日
辞任 補欠選任
平 智之君 山本 剛正君
同日
辞任 補欠選任
山本 剛正君 岡本 充功君
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本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成二十二年度一般会計予算
平成二十二年度特別会計予算
平成二十二年度政府関係機関予算
————◇—————
鹿
鹿野道彦#1
○鹿野委員長 これより会議を開きます。
平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成二十二年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず逢見直人公述人、次に二宮厚美公述人、次に駒村康平公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、逢見公述人にお願いいたします。
この発言だけを見る →平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成二十二年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず逢見直人公述人、次に二宮厚美公述人、次に駒村康平公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、逢見公述人にお願いいたします。
逢
逢見直人#2
○逢見公述人 連合で副事務局長を務めております逢見です。よろしくお願いいたします。
本日は、このような発言の場を与えていただき、感謝申し上げます。
連合は、働く者の立場から、我が国の経済社会の閉塞状況を克服し、希望と安心の社会づくりに取り組んでおります。具体的には、景気・消費回復、雇用・生活防衛のための総合経済対策の効果的な実施、雇用の安定とセーフティーネットの整備拡充、安心して暮らせるための社会保障制度の確立の三本を政策課題として掲げております。
本日は、こうした考え方や問題認識を示し、予算委員会における審議の参考に供したいと思いますので、ぜひとも私どもの意見を反映していただくようにお願い申し上げます。
お手元に資料を配付しておりますので、これらを参照しながら発言をしたいと思います。
まず、底割れした日本社会という点でございます。
米国のサブプライムローンに端を発した世界同時金融危機とその影響による世界同時不況は、我が国の実体経済に大きな影響を及ぼしました。二〇〇二年から日本経済は戦後最長の景気拡大が続きましたが、今般の金融危機の影響は、当初は限定的と言われておりました。しかし、実際には、経済の落ち込みの大きさとスピードは主要先進国の中でも際立ったものがございます。
最近のGDP統計などを見ますと最悪期は脱しつつあるように思いますが、勤労者、国民は、雇用不安、所得不安、将来不安の中で、先行きの展望をなかなか見出せず、閉塞感に包まれております。これは、所得がふえない、あるいは仕事が見つからないといった現実、足元の問題もございますが、しかし、それだけではなくて、むしろ大きな問題は将来の安心が見通せないというところにあると思います。
自民党政権は、新自由主義による、効率と競争を最優先する政策を推し進めました。市場は万能であるという発想のもとで、社会は規律と制御を失いました。企業は、ステークホルダーの存在を無視して、株主利益中心、短期的利益最優先の経営を行い、モラルなき競争を繰り返した結果、公正や安心、安全といった我が国の社会の基盤を揺るがしました。社会に持続可能性をもたらさないこの新自由主義の発想に支配された経済は、暴走の末、リーマン・ショックに象徴される金融危機によって破綻しました。
この間、特に小泉政権のもとで、官から民へ、小さな政府、自己責任といったスローガンのもとに市場原理主義的な政策を推し進めてまいりましたが、その結果、雇用構造の変化、格差拡大、貧困層の増大など、我が国の経済社会に深刻な負の遺産を残したと言えると思います。
幾つかの事例を、統計的なデータをもってお示ししたいと思います。
まず、この十年余りで日本の雇用構造は大きく変わりました。
お手元の資料の図表一をごらんください。
一九九九年には正規労働者は三千六百八十八万人いたものが、二〇〇九年には三千三百八十六万人に減少しました。一方、パート、派遣社員等の非正規雇用は千二百二十五万人から千六百九十九万人に増加しました。およそ十年で、正規雇用が約三百万人減少し、非正規雇用が四百七十万人増加した結果、非正規雇用者は全雇用労働者の三分の一を占めるまでに至っております。
賃金は、十年前の水準、すなわち一九九八年から二〇〇八年の間に約八%も下落し、世帯所得は九八年から二〇〇七年までの間に約百万円減少しました。
図表二をごらんください。
年収二百万円以下の労働者が一千万人を超え、不安定雇用と低賃金のため、社会保険の適用もなく、生活保護基準以下で暮らすワーキングプアなども増大しております。
次のページに図表三を掲げてございますが、これは生活保護を受けている世帯数と人員の変化を見たものであります。二〇〇九年十一月時点で百二十九万世帯、人数にして百七十九万人と増加の一途をたどっており、十年前と比べて約一・八倍になっております。
政府は、昨年十月に、日本の相対的貧困率を初めて公式に発表し、二〇〇六年時点で一五・七%であることを明らかにしました。図表四に示したように、OECDは、二〇〇〇年代半ばのデータで、OECD加盟国中、日本の相対的貧困率は第四位であるということを明らかにしております。
資料には入れておりませんが、低所得者を中心に、国民健康保険料の未納が増大していることも深刻な問題であります。二〇〇八年度の保険料未納率は一割を超え、過去最高を上回る見通しとなっております。
これらのデータは、国民生活の実態を見る上で、大きな問題を投げかけていると言っていいと思います。
中間層の二極化、格差拡大や貧困問題、とりわけ若者、子育て中の女性、非正規労働者など、いわゆる社会的弱者にそのしわ寄せが行っております。家計の窮状ゆえに高校を中退するなどの報告も相次ぐなど、格差、貧困の問題が、次世代である子供たちにもその影響が及ぶとともに、出生率の低下、少子化に拍車をかけるなど、我が国社会の持続可能性をも脅かしております。
連合総研が二〇〇九年四月に首都圏、関西圏の勤労者を対象に実施したアンケート調査では、年収四百万円以下の世帯の約六割、また、非正規労働者がいる世帯の四六%が、将来の生活設計が立てられないと回答しております。
これまでの景気回復期においても、地域の中小企業、地場産業や農林水産業の衰退、人口流出、超高齢化など地域経済の疲弊も見られ、地域間の経済、財政力の格差が拡大しました。自民党政権は、こうした問題に対して、大企業が潤えばやがて中小企業、家計にも恩恵が及ぶというトリクルダウンの考え方をとってまいりました。しかし、結論から言えば、このトリクルダウン理論は機能せず、中小企業や家計には景気回復の恩恵は及ばなかったと言うべきであります。自民党政権下での新自由主義による政策のもとで、国民生活の安心、安全が崩壊し、日本の社会はまさに底割れの状況にあると言っても過言ではないと思います。
次に、厚みのある中間層を基盤とした社会構造の構築という点に触れたいと思います。
健全な市民社会は層の厚い中間層で成り立っております。この中間層が、雇用社会を支え、社会保障を支え、消費の主役でありました。もう一度日本を厚みのある中間層の国にしなければならないと思います。
そのためには、税、社会保障を通じた公正な所得再分配の強化、労働分配率の向上、教育の機会均等の保障、さらに、公正で透明な企業間取引などが不可欠であります。
図表五は、税、社会保険料による所得再分配の前と後を比較したものでございます。特にこの表の中で日本とスウェーデンに丸をつけて取り上げておりますが、日本とスウェーデンは、左側の市場所得、いわゆる所得再分配前の市場所得では大きな差はございません。しかし、所得再分配後の右端の数字でいきますと、大きな違いがあります。日本はこれまで所得再分配政策を軽視してきたことがこのような結果となってあらわれているのだと思います。
格差社会の是正、貧困問題の解決、尊厳ある労働の確立、社会的セーフティーネットの再構築、地方分権に向けた税財源の見直し、そして、ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けた抜本的な政策転換が求められております。
昨年九月に鳩山内閣が発足し、新しい政治の幕あけと同時に、新しい社会づくりがスタートしました。鳩山内閣への期待は、これまでの効率と競争最優先の格差社会から、公正と連帯を重んじる希望と安心の社会を構築することにあると思います。
鳩山内閣のこの間の経済政策を見ますと、公共事業依存の景気対策ではなく、また、企業への直接的な支援によるものでもなく、個人や家計部門を通じて景気対策をとろうとしております。また、新しい公共や社会的企業など、市場経済とは異なる分野の政策を取り込もうとしております。さらに、健康、環境、観光など、新産業育成による成長戦略によって新たな雇用機会をつくろうとしております。これらは連合が考える政策の方向とおおむね一致しているように思います。
次に、当面の政策課題について幾つか述べたいと思います。
今通常国会では、景気回復、デフレ脱却、雇用危機克服に向けた予算措置や、二〇一〇年度税制改正、労働者派遣法、雇用保険法の改正、政治主導を確立するための統治機構改革など、国民生活や日本経済にとって極めて重要な法案が審議されることになっております。その中から、特に重要と考える点について、私ども連合の問題認識を述べたいと思います。
まずは、景気回復、デフレ脱却に向けた二〇一〇年度予算の早期成立であります。国民生活にかかわりの深い子ども手当の創設、高校の実質無償化や緊急経済対策などが着実に実行されるよう、二〇一〇年度予算の早期成立、執行を求めたいと思います。
次に、雇用に関するセーフティーネットの強化であります。日本は就業者の八六%を雇用労働者で占める雇用社会であり、雇用の安定は、社会の安定、発展の不可欠な要素であります。政権交代後、政府が矢継ぎ早に雇用対策を打ち出していることは評価しております。特に、雇用調整助成金の支給要件緩和など、労使双方が求めてきた政策が平成二十一年度第二次補正予算などによって成立したことは歓迎したいと思います。
その上で、ここでは、第二のセーフティーネット、新卒対策及び最低賃金引き上げと中小企業支援について触れておきたいと思います。
第二のセーフティーネット、訓練・生活支援給付の点でございます。
雇用保険と生活保護の間を埋めるトランポリン型の第二のセーフティーネットは、労使が求めてきた施策であり、現状の緊急人材育成・就職支援基金制度との切れ目のない形で、早期かつ確実な施行をお願いしたいと思います。
雇用・能力開発機構を廃止してその機能を他の機構へ移管する際に当たりましては、職員のモチベーションを踏まえて行うべきであり、職員が今まで培ってきた知識、技能を生かすことが重要であると考えます。機構の見直しはその観点に立って考えるべきであります。
雇用・能力開発機構が行っている公的訓練は、セーフティーネットとしての訓練や物づくり分野の訓練の実施など、重要な職業訓練機能を担っております。職業能力開発は雇用のセーフティーネットの一つであり、国として、これまで以上に職業能力開発体制の充実と強化を図ることが必要ではないかと思います。その観点に立って、今後、制度の創設が予定されております求職者支援制度の根幹を担うことも踏まえまして、その受け皿としての機能が低下することのないよう、施策の充実を求めたいと思います。
新卒対策についてでありますが、ことしの一月二十六日に日本経団連と連合で、若年者の雇用安定に関する共同声明、お手元の資料Aというところでございますが、これを発表しました。ことし三月卒業予定者の内定率の水準は過去最悪のレベルであるなど、依然、課題が多くあります。第二のロストジェネレーションの抑止に向けた政労使の責任は大きいと思います。対策の着実な実行を求めたいと思います。
次に、最低賃金の引き上げと中小企業支援についてであります。
非正規労働者の増大やそれに伴う低所得者層の増大に対し、賃金の最低限を保障するセーフティーネットとしての最低賃金制度の役割はますます大きくなってきております。それは、最低賃金の影響を直接的に受ける多くの未組織労働者やパートタイム労働者が、労働条件決定にみずから関与することができないからであります。
地域別最低賃金は、二〇〇七年度に十四円、二〇〇八年度に十六円、二〇〇九年度は十円と、三年間で四十円の引き上げにつながりました。この地域別最低賃金の水準改善の流れをとめることなく、二〇一〇年度の地域別最低賃金の金額改定に当たっては、生活保護水準との乖離を速やかに解消した上で、より絶対水準を重視した審議を行う中で、生活できる最低賃金の実現を目指すことが極めて重要であると思います。
あわせて、最低賃金を引き上げる上で、中小企業、地場産業に対する政策的支援は不可欠であり、厚生労働行政に加えて、経済産業省、中小企業庁などの関係する省庁が一体となってその具体的な検討を早急に始めていただきたいと思います。
次に、社会保障改革と子供政策についてであります。
日本は、高齢化の率、速度とも世界に類を見ないレベルにあります。二〇五〇年には高齢化率が四〇%を超えることが見込まれております。一方、二〇〇五年から人口減少社会に突入しております。非正規雇用が三〇%を超えるなど、労働市場も大きく変化しております。
こうした社会の変化を見据えながら、私ども連合は、労働を中心とした福祉型社会を目指して取り組んでおります。就業が可能な世代は働くことを通じて経済的自立ができ、みんなで高齢化社会を支え、仕事と生活を両立しながら子育てが可能な社会をつくり上げたいと考えております。
社会保障は、人々の暮らしと安心、安全を支えるセーフティーネット機能であるとともに、社会経済の活力の基盤となります。福祉、介護、医療、子育て、年金、最低生活保障など、今後さらに進む高齢化や次世代育成のために、中長期的視野に立った社会保障政策とその戦略が必要であります。
一方、社会保障は、内需拡大につながる雇用創出分野であります。社会保障改革を国家戦略の柱と位置づけて、体系的かつ着実な社会保障改革と子供政策を推進していただきたいと思います。
安心して子供を生み育てることができるために、連合としては、資料にございますが、子育て基金というものを提案しております。資料Bでございます。次世代育成支援策をより効果的に進めていくために、現在、施策ごとに財源が異なる多様な財源を基金に一元化して、施策間の連携や多様なニーズへの対応、現金給付と現物給付の適切な組み合わせ、政策効果の向上など、切れ目のない体系的な仕組みが必要であると考えております。
最後に、持続的成長に向けた経済成長戦略の確立であります。
内需主導型経済成長の基盤は、雇用の安定と質の向上と生活不安の払拭にあります。G20ピッツバーグ・サミットで、「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」の中で、質の高い仕事を回復の中心に置くということをうたっております。すなわちディーセントワーク、人間らしい働きがいのある仕事の実現を中心に置くということであります。成長戦略を考える際には、雇用の量とあわせて、こうした雇用の質についても十分な配慮が必要であると思っております。
今国会は、生活の安定と不安解消を求める国民の期待に十分にこたえる必要があります。政府、そして与野党には、建設的な政策論争と国民の負託と信頼にこたえる国会運営を望みたいと思います。
以上で、私の発言を終わらせていただきます。拍手
この発言だけを見る →本日は、このような発言の場を与えていただき、感謝申し上げます。
連合は、働く者の立場から、我が国の経済社会の閉塞状況を克服し、希望と安心の社会づくりに取り組んでおります。具体的には、景気・消費回復、雇用・生活防衛のための総合経済対策の効果的な実施、雇用の安定とセーフティーネットの整備拡充、安心して暮らせるための社会保障制度の確立の三本を政策課題として掲げております。
本日は、こうした考え方や問題認識を示し、予算委員会における審議の参考に供したいと思いますので、ぜひとも私どもの意見を反映していただくようにお願い申し上げます。
お手元に資料を配付しておりますので、これらを参照しながら発言をしたいと思います。
まず、底割れした日本社会という点でございます。
米国のサブプライムローンに端を発した世界同時金融危機とその影響による世界同時不況は、我が国の実体経済に大きな影響を及ぼしました。二〇〇二年から日本経済は戦後最長の景気拡大が続きましたが、今般の金融危機の影響は、当初は限定的と言われておりました。しかし、実際には、経済の落ち込みの大きさとスピードは主要先進国の中でも際立ったものがございます。
最近のGDP統計などを見ますと最悪期は脱しつつあるように思いますが、勤労者、国民は、雇用不安、所得不安、将来不安の中で、先行きの展望をなかなか見出せず、閉塞感に包まれております。これは、所得がふえない、あるいは仕事が見つからないといった現実、足元の問題もございますが、しかし、それだけではなくて、むしろ大きな問題は将来の安心が見通せないというところにあると思います。
自民党政権は、新自由主義による、効率と競争を最優先する政策を推し進めました。市場は万能であるという発想のもとで、社会は規律と制御を失いました。企業は、ステークホルダーの存在を無視して、株主利益中心、短期的利益最優先の経営を行い、モラルなき競争を繰り返した結果、公正や安心、安全といった我が国の社会の基盤を揺るがしました。社会に持続可能性をもたらさないこの新自由主義の発想に支配された経済は、暴走の末、リーマン・ショックに象徴される金融危機によって破綻しました。
この間、特に小泉政権のもとで、官から民へ、小さな政府、自己責任といったスローガンのもとに市場原理主義的な政策を推し進めてまいりましたが、その結果、雇用構造の変化、格差拡大、貧困層の増大など、我が国の経済社会に深刻な負の遺産を残したと言えると思います。
幾つかの事例を、統計的なデータをもってお示ししたいと思います。
まず、この十年余りで日本の雇用構造は大きく変わりました。
お手元の資料の図表一をごらんください。
一九九九年には正規労働者は三千六百八十八万人いたものが、二〇〇九年には三千三百八十六万人に減少しました。一方、パート、派遣社員等の非正規雇用は千二百二十五万人から千六百九十九万人に増加しました。およそ十年で、正規雇用が約三百万人減少し、非正規雇用が四百七十万人増加した結果、非正規雇用者は全雇用労働者の三分の一を占めるまでに至っております。
賃金は、十年前の水準、すなわち一九九八年から二〇〇八年の間に約八%も下落し、世帯所得は九八年から二〇〇七年までの間に約百万円減少しました。
図表二をごらんください。
年収二百万円以下の労働者が一千万人を超え、不安定雇用と低賃金のため、社会保険の適用もなく、生活保護基準以下で暮らすワーキングプアなども増大しております。
次のページに図表三を掲げてございますが、これは生活保護を受けている世帯数と人員の変化を見たものであります。二〇〇九年十一月時点で百二十九万世帯、人数にして百七十九万人と増加の一途をたどっており、十年前と比べて約一・八倍になっております。
政府は、昨年十月に、日本の相対的貧困率を初めて公式に発表し、二〇〇六年時点で一五・七%であることを明らかにしました。図表四に示したように、OECDは、二〇〇〇年代半ばのデータで、OECD加盟国中、日本の相対的貧困率は第四位であるということを明らかにしております。
資料には入れておりませんが、低所得者を中心に、国民健康保険料の未納が増大していることも深刻な問題であります。二〇〇八年度の保険料未納率は一割を超え、過去最高を上回る見通しとなっております。
これらのデータは、国民生活の実態を見る上で、大きな問題を投げかけていると言っていいと思います。
中間層の二極化、格差拡大や貧困問題、とりわけ若者、子育て中の女性、非正規労働者など、いわゆる社会的弱者にそのしわ寄せが行っております。家計の窮状ゆえに高校を中退するなどの報告も相次ぐなど、格差、貧困の問題が、次世代である子供たちにもその影響が及ぶとともに、出生率の低下、少子化に拍車をかけるなど、我が国社会の持続可能性をも脅かしております。
連合総研が二〇〇九年四月に首都圏、関西圏の勤労者を対象に実施したアンケート調査では、年収四百万円以下の世帯の約六割、また、非正規労働者がいる世帯の四六%が、将来の生活設計が立てられないと回答しております。
これまでの景気回復期においても、地域の中小企業、地場産業や農林水産業の衰退、人口流出、超高齢化など地域経済の疲弊も見られ、地域間の経済、財政力の格差が拡大しました。自民党政権は、こうした問題に対して、大企業が潤えばやがて中小企業、家計にも恩恵が及ぶというトリクルダウンの考え方をとってまいりました。しかし、結論から言えば、このトリクルダウン理論は機能せず、中小企業や家計には景気回復の恩恵は及ばなかったと言うべきであります。自民党政権下での新自由主義による政策のもとで、国民生活の安心、安全が崩壊し、日本の社会はまさに底割れの状況にあると言っても過言ではないと思います。
次に、厚みのある中間層を基盤とした社会構造の構築という点に触れたいと思います。
健全な市民社会は層の厚い中間層で成り立っております。この中間層が、雇用社会を支え、社会保障を支え、消費の主役でありました。もう一度日本を厚みのある中間層の国にしなければならないと思います。
そのためには、税、社会保障を通じた公正な所得再分配の強化、労働分配率の向上、教育の機会均等の保障、さらに、公正で透明な企業間取引などが不可欠であります。
図表五は、税、社会保険料による所得再分配の前と後を比較したものでございます。特にこの表の中で日本とスウェーデンに丸をつけて取り上げておりますが、日本とスウェーデンは、左側の市場所得、いわゆる所得再分配前の市場所得では大きな差はございません。しかし、所得再分配後の右端の数字でいきますと、大きな違いがあります。日本はこれまで所得再分配政策を軽視してきたことがこのような結果となってあらわれているのだと思います。
格差社会の是正、貧困問題の解決、尊厳ある労働の確立、社会的セーフティーネットの再構築、地方分権に向けた税財源の見直し、そして、ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けた抜本的な政策転換が求められております。
昨年九月に鳩山内閣が発足し、新しい政治の幕あけと同時に、新しい社会づくりがスタートしました。鳩山内閣への期待は、これまでの効率と競争最優先の格差社会から、公正と連帯を重んじる希望と安心の社会を構築することにあると思います。
鳩山内閣のこの間の経済政策を見ますと、公共事業依存の景気対策ではなく、また、企業への直接的な支援によるものでもなく、個人や家計部門を通じて景気対策をとろうとしております。また、新しい公共や社会的企業など、市場経済とは異なる分野の政策を取り込もうとしております。さらに、健康、環境、観光など、新産業育成による成長戦略によって新たな雇用機会をつくろうとしております。これらは連合が考える政策の方向とおおむね一致しているように思います。
次に、当面の政策課題について幾つか述べたいと思います。
今通常国会では、景気回復、デフレ脱却、雇用危機克服に向けた予算措置や、二〇一〇年度税制改正、労働者派遣法、雇用保険法の改正、政治主導を確立するための統治機構改革など、国民生活や日本経済にとって極めて重要な法案が審議されることになっております。その中から、特に重要と考える点について、私ども連合の問題認識を述べたいと思います。
まずは、景気回復、デフレ脱却に向けた二〇一〇年度予算の早期成立であります。国民生活にかかわりの深い子ども手当の創設、高校の実質無償化や緊急経済対策などが着実に実行されるよう、二〇一〇年度予算の早期成立、執行を求めたいと思います。
次に、雇用に関するセーフティーネットの強化であります。日本は就業者の八六%を雇用労働者で占める雇用社会であり、雇用の安定は、社会の安定、発展の不可欠な要素であります。政権交代後、政府が矢継ぎ早に雇用対策を打ち出していることは評価しております。特に、雇用調整助成金の支給要件緩和など、労使双方が求めてきた政策が平成二十一年度第二次補正予算などによって成立したことは歓迎したいと思います。
その上で、ここでは、第二のセーフティーネット、新卒対策及び最低賃金引き上げと中小企業支援について触れておきたいと思います。
第二のセーフティーネット、訓練・生活支援給付の点でございます。
雇用保険と生活保護の間を埋めるトランポリン型の第二のセーフティーネットは、労使が求めてきた施策であり、現状の緊急人材育成・就職支援基金制度との切れ目のない形で、早期かつ確実な施行をお願いしたいと思います。
雇用・能力開発機構を廃止してその機能を他の機構へ移管する際に当たりましては、職員のモチベーションを踏まえて行うべきであり、職員が今まで培ってきた知識、技能を生かすことが重要であると考えます。機構の見直しはその観点に立って考えるべきであります。
雇用・能力開発機構が行っている公的訓練は、セーフティーネットとしての訓練や物づくり分野の訓練の実施など、重要な職業訓練機能を担っております。職業能力開発は雇用のセーフティーネットの一つであり、国として、これまで以上に職業能力開発体制の充実と強化を図ることが必要ではないかと思います。その観点に立って、今後、制度の創設が予定されております求職者支援制度の根幹を担うことも踏まえまして、その受け皿としての機能が低下することのないよう、施策の充実を求めたいと思います。
新卒対策についてでありますが、ことしの一月二十六日に日本経団連と連合で、若年者の雇用安定に関する共同声明、お手元の資料Aというところでございますが、これを発表しました。ことし三月卒業予定者の内定率の水準は過去最悪のレベルであるなど、依然、課題が多くあります。第二のロストジェネレーションの抑止に向けた政労使の責任は大きいと思います。対策の着実な実行を求めたいと思います。
次に、最低賃金の引き上げと中小企業支援についてであります。
非正規労働者の増大やそれに伴う低所得者層の増大に対し、賃金の最低限を保障するセーフティーネットとしての最低賃金制度の役割はますます大きくなってきております。それは、最低賃金の影響を直接的に受ける多くの未組織労働者やパートタイム労働者が、労働条件決定にみずから関与することができないからであります。
地域別最低賃金は、二〇〇七年度に十四円、二〇〇八年度に十六円、二〇〇九年度は十円と、三年間で四十円の引き上げにつながりました。この地域別最低賃金の水準改善の流れをとめることなく、二〇一〇年度の地域別最低賃金の金額改定に当たっては、生活保護水準との乖離を速やかに解消した上で、より絶対水準を重視した審議を行う中で、生活できる最低賃金の実現を目指すことが極めて重要であると思います。
あわせて、最低賃金を引き上げる上で、中小企業、地場産業に対する政策的支援は不可欠であり、厚生労働行政に加えて、経済産業省、中小企業庁などの関係する省庁が一体となってその具体的な検討を早急に始めていただきたいと思います。
次に、社会保障改革と子供政策についてであります。
日本は、高齢化の率、速度とも世界に類を見ないレベルにあります。二〇五〇年には高齢化率が四〇%を超えることが見込まれております。一方、二〇〇五年から人口減少社会に突入しております。非正規雇用が三〇%を超えるなど、労働市場も大きく変化しております。
こうした社会の変化を見据えながら、私ども連合は、労働を中心とした福祉型社会を目指して取り組んでおります。就業が可能な世代は働くことを通じて経済的自立ができ、みんなで高齢化社会を支え、仕事と生活を両立しながら子育てが可能な社会をつくり上げたいと考えております。
社会保障は、人々の暮らしと安心、安全を支えるセーフティーネット機能であるとともに、社会経済の活力の基盤となります。福祉、介護、医療、子育て、年金、最低生活保障など、今後さらに進む高齢化や次世代育成のために、中長期的視野に立った社会保障政策とその戦略が必要であります。
一方、社会保障は、内需拡大につながる雇用創出分野であります。社会保障改革を国家戦略の柱と位置づけて、体系的かつ着実な社会保障改革と子供政策を推進していただきたいと思います。
安心して子供を生み育てることができるために、連合としては、資料にございますが、子育て基金というものを提案しております。資料Bでございます。次世代育成支援策をより効果的に進めていくために、現在、施策ごとに財源が異なる多様な財源を基金に一元化して、施策間の連携や多様なニーズへの対応、現金給付と現物給付の適切な組み合わせ、政策効果の向上など、切れ目のない体系的な仕組みが必要であると考えております。
最後に、持続的成長に向けた経済成長戦略の確立であります。
内需主導型経済成長の基盤は、雇用の安定と質の向上と生活不安の払拭にあります。G20ピッツバーグ・サミットで、「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」の中で、質の高い仕事を回復の中心に置くということをうたっております。すなわちディーセントワーク、人間らしい働きがいのある仕事の実現を中心に置くということであります。成長戦略を考える際には、雇用の量とあわせて、こうした雇用の質についても十分な配慮が必要であると思っております。
今国会は、生活の安定と不安解消を求める国民の期待に十分にこたえる必要があります。政府、そして与野党には、建設的な政策論争と国民の負託と信頼にこたえる国会運営を望みたいと思います。
以上で、私の発言を終わらせていただきます。拍手
鹿
二
二宮厚美#4
○二宮公述人 神戸大学の二宮でございます。よろしくお願いします。
時間が限られておりますので、私の公述内容の要点、結論を先に述べておきたいと思います。
予算案全体を通じた問題でありますけれども、財政には所得再分配機能というのがありますが、これまで小泉政権以来の構造改革では、さきにも御指摘がありましたように、所得の再分配機能を全体としては弱体化する、これが小泉構造改革の特徴であったと思います。今回の政府予算案は、この所得再分配機能について言うと、基本的には強化しなければいけない、そういう視点に立って組まれておると思いますが、この点については、私は評価したいと思います。
ただ、問題点は、所得の再分配機能を強化するという場合に、その再分配の財源をどこから確保していくのか。すなわち、水平型でやるのか、それとも垂直型でやるのか、これが問われるわけでありますけれども、予算案は全体としては水平型になっている、ここに問題点がある。垂直型の所得再分配の構造に徹していない、これが予算案の最大の問題点ではなかろうか、こういうことが私の話の中心です。
もうここにいらっしゃる方々は御存じかと思いますが、財政は一般的に、所得の再分配の機能、それから資源の効率的な配分、経済成長の安定化、この三つの機能が基本的にあるというのが通説でありますけれども、先ほど指摘しましたように、小泉構造改革というのは、その第一の所得再分配機能というのを弱めながら、かつ再分配の構造を水平型に徹底していく、したがっていわゆる小さな政府というのができ上がる、こういう構造であったわけであります。
さきに指摘しましたように、全体として財政の重要な所得再分配機能というものを強化するという、例えば子ども手当の創設、農家戸別所得補償制度、さらに公立高校の授業料の無償化、こういうものは全体としては所得再分配機能の強化ということでありますから積極的に評価できるのでありますが、例えば税制改革を取り出してみても、縦型の、いわゆる上層の富を、税や社会保障制度を通じて吸い上げて、垂直型でありますから下に回す、そういう構造には必ずしもなっていない。むしろ、後でも触れますけれども、流れとしては水平型の方に向かっている。
例えば、将来の消費税を、増税を前提にして、福祉目的税化するなりしながら財源の確保を図る、さらにまた、事業仕分け活動というのは、私は基本的にそういうものだというふうに理解しておりますが、全体としては水平型に傾斜をしている、これをやはり問題として予算案を評価しなければいけない、こういうふうに考えています。
なぜ垂直型の所得再分配が今問われているのか。さきの公述人の方の御指摘にもありましたけれども、およそ我々や日本社会に住む人間が今解決を迫られている難問でありますけれども、三つの大きな課題に私たちは直面をしている。
一つは、この数年間、社会全体で問題になってまいりましたいわゆる格差、貧困の深まりの問題です。さきには社会の底割れという表現が使われましたけれども、まさに底が割れるように格差が拡大をし貧困がのさばる、こういう状態。これを打開していかなければいけない。
第二番目は、経済的な不況の問題です。現在なお、二番底の可能性は遠のいたというふうに言われておりますけれども、基本的には内需の不振に基づいて、リーマン・ショック以来の日本の不況というのがまだ深刻な様相を解消していない。この経済的破綻にどう立ち向かっていくのか。
それから三番目は、もう言うまでもありませんが、財政の赤字、すなわち財政危機にどう立ち向かっていくのか。
社会問題と経済問題と財政問題、この三つの難問を同時に解決していかなければいけない。これが、予算案に限りませんけれども、現在の政治に問われている課題だ。
そういたしますと、この三つの難問をいわば三位一体的に解決しようと思うと、一つの突破口が必要になる。私は、その突破口が垂直的な所得再分配の再構築にある、こういうふうに考えています。なぜならば、垂直的な所得再分配をやって初めて、所得の分配のゆがみ、不公平、すなわち格差の広がりに対応することができる。
例えば、現在の格差といいますのは、雇用の格差、あるいはまた労働市場の自由化に伴う派遣労働の野放し、こういうところから進行したものでありますから、まずは、その労働市場の崩れに基づいて生み出されてくる所得の第一次分配上の格差を取り締まっていかなければいけない。
そのためには、この国会で予定されておりますけれども、そしてさきの公述人の方の発言にもあったように、労働者派遣法の徹底した見直し、すなわち日雇い派遣については禁止をする、それから製造業派遣についても原則的に禁止をする。ただ、もう国会でも問題になっておりますように、常用派遣については当面解禁の状態のまま。
こういう問題点を克服して、現在、民主党案では、例えば最低賃金の引き上げ、それから介護労働者についてはマニフェストで月額四万円の賃金改善ということをうたっておりますが、そういう方法を通じて第一次的な所得の分配の改善をまずやる。にもかかわらず、これだけでは、現在の日本では所得の格差というのはなお是正されない。
例えば、昨年だったと思いますが、政府はこの予算編成に当たって経済見通しというのを発表しておりますが、来年度の名目雇用者報酬については〇・七%減というのを見込んでいるわけですね。要するに、これは第一次の所得分配で、雇用者報酬の面でいうと実際上はマイナスが続く。ということは、政府の経済見通しでは雇用者報酬については改善されない。これが来年の経済見通しになっています。
したがって、個人消費も名目でマイナス〇・二%、つまり個人消費も伸びない。それから、実質では一・〇%、こういうことになっておりますが、全体としては、第一次の所得分配が改善されないという前提に立っているために十分に内需の回復も見込めない、こういう想定になっています。したがって、どうしても再分配の機能を強化して格差の是正を図る、これが第一に必要です。
同時に、その格差の是正というのが、実は、今触れましたけれども、家計の消費、大衆的な消費の拡充を通じて内需の回復を少なくとも呼び起こす、その刺激になり得る。現在予想されているような景気の二番底を回避するためにも、所得再分配の垂直型、これによって現在の経済的破綻に対してその進行を防止する、そういう機能を見通すことができるのではないか。
といいますのは、もともと私は経済学が専攻でありますので、この間の不況の分析をやってまいりましたけれども、大体、戦後最大の厳密な意味での過剰生産恐慌というのは、格差社会化というのが基本的な原因になって進行したものです。すなわち、格差社会といいますのは底辺で貧困が進行いたしますから、国内では大衆的な消費というものが伸びない。つまり、消費が立ちおくれてしまう。
ところが、格差社会の中では、上層の部分、あるいはまた大銀行や大企業に過剰なまでに富裕資金というのが集まってくる。これがアメリカ合衆国の証券住宅バブルを呼び起こす大きな要因になったというのはもう通説でありますけれども、この過剰資金というものが実はアメリカ発金融恐慌の引き金をつくった。だから、この過剰資金というものを吸い上げて、他方で格差社会の中であえぐ貧困層、低所得層にこれを回す。そうすれば、今までおくれてきた消費というものが何とか後追い的であっても回復をする。だから、垂直的な所得再分配を徹底するというのが、実は経済的破綻の進行に対する大きな歯どめの役割を果たす。そういう意味で、さきに挙げました不況打開のためにも垂直的な所得再分配の視点が今問われているんだ。
それから、三番目の財政危機についても、もう言うまでもありません。今この財政危機を打開しようと思えば、要するに過剰資金に課税をする、これがどうしても必要です。憲法で言うところの応能負担原則というものに立って、応益負担というのは水平的な所得再分配に向かいますから、応能型でもって税制改革を進めて、垂直的所得再分配の構造というものを再構築する。
そのためには、現在、これは皮肉なことに格差社会が生み出した過剰資金というのがありますから、この過剰資金に対して適切な課税をする。そこから上がった財源をもって、福祉の実現、社会保障の改善、医療であるとか、さきに御指摘のあった待機児童を解消して現行の保育制度を拡充していく、そういう方向に向かって改革を進めていけば、財政危機についても少なくともこれ以上の深化に対して歯どめをかけることができる。
そういう意味で、私は、今財政全体に求められている最大の課題は、水平的ではない、あくまでも垂直的な所得の再分配構造の再構築がどうしても必要だ、こういうふうな結論に到達したわけでありますが、その視点で、さきに触れました政府予算案が水平型に向かっているのではないか、この懸念を三つの事例で確かめておきたいと思います。
一つは、政府予算案の中では、言うまでもなく一部税制改革が行われたわけでありますけれども、税制の抜本的改革というのは基本的に先送り。この場合、抜本的改革をもし垂直的所得再分配の再構築という視点から進めるとすれば、これは、さきに触れましたように過剰資金を吸い上げる。すなわち、格差社会の中で生まれた膨大な富裕層、大企業、大銀行、これらのもとにため込まれた過剰な資金に課税する、この方向を徹底して模索する。これに、実は今回の予算案を眺めてみる限り向かっていない、むしろそれを回避している。これは大変大きな問題。
さらにまた、これは財政需要の分野ではかなり多くの方が指摘をしつつあり、政府の税制専門委員会の中でも議論される予定になっておりますけれども、租税特別措置というものを見直して課税ベースを広げる、とりわけ企業優遇型の租税特別措置については見直して課税ベースを広げる、そういう措置を十分なさっていない。これは、水平型に向かっている一つの事例ではないか。
それから二つ目は、さきに触れましたけれども、事業仕分け活動というのは、実は、国会議員の方でございますからもう周知だろうというふうに思いますが、もともとは小泉政権のときの構造改革の手法として小泉政権そのものが取り上げたやり方です。最初は幾つかの自治体でこれが進められました。私自身も幾つかの自治体を見て回って、例えば岡山市で構想日本のグループの方々が事業仕分け活動というのをやった。これはかなり乱暴な水平的所得再分配のやり方、しかも水平的所得再分配を徹底して縮小する、むしろ解体する、こういう流れになっているわけですね。
なぜそうか。要は、公的な事業であるとかサービスの提供について、それの必要性については挙証責任を行政の側に預けて、徹底して、これは議会が問題にするのであればまだしもなのでありますけれども、議会の外で専門家と称する人たちが、必要か不要か、これを短時間のうちに決めてしまう。必要性がほとんどあるというふうに従来であれば認められてしまう。
なぜかといいますと、行政がやっている仕事というのは、法律であるとかあるいは議会が決めた予算措置に基づいて行われているわけでありますから、何らかの存在理由があるわけですね。そこで持ち出されるのが、どちらで、つまり、公共機関が直接やるのが安上がりか、民間にゆだねるのが安上がりか、このいわゆる公民間のコスト比較というのをやります。
今の状況のもとでは、民営化した方が安上がりになるというのは一般的に認められる。なぜか。民間の方が、今、派遣労働なんかを使って低賃金でやるからです。だから民営化させる。民営化するということは、アウトソーシングするということでありますから、皆さん方が問題にした、外注化の結果、官僚の天下りがむしろふえてくる。つまり、小泉構造改革の事業仕分けそのものが、実は天下り先をふやしてきたんですね。だから、これをたたいて無駄を削減する、こういうふうにマスメディアは報道したわけでありますけれども、これはイタチごっこです。
すなわち、そういう民営化であるとか、例えば独立行政法人化、指定管理者制度を使って外注化する、そういうやり方そのものを実はもう一回、さきに言いました垂直的所得再分配の視点からすると、見直していかなければいけない、こういうふうに考えられるわけです。
時間がありませんので、最後、三点目。
さきに触れましたように、水平型に向かっているのではないかというふうに懸念されるのは、一つは、消費税の増税というのを自明のものとして、福祉目的型ないし年金目的型、これを想定した上での予算編成になっているということ。
それから、地域主権という名前でもって、基本的には地域単位の受益者負担主義というふうに言っていいかと思いますけれども、地域を単位にして、受益者負担の受け皿を自治体につくってしまう、そこに土建国家的機能であるとか福祉国家的機能を挙げてゆだねてしまえば、とりわけ福祉の分野では、地域を単位にした水平的な再分配あるいは地域間の水平的な再分配、これに終わってしまう、そういう懸念が大変強いわけであります。
そういう意味で、ぜひ今後、所得再分配の強化は水平型ではなくて垂直型で進めるべきだ、こういう視点に立って予算編成、行政改革、両方あわせて追求していただきたいという希望を申し上げまして、私の公述にしたいと思います。失礼いたしました。拍手
この発言だけを見る →時間が限られておりますので、私の公述内容の要点、結論を先に述べておきたいと思います。
予算案全体を通じた問題でありますけれども、財政には所得再分配機能というのがありますが、これまで小泉政権以来の構造改革では、さきにも御指摘がありましたように、所得の再分配機能を全体としては弱体化する、これが小泉構造改革の特徴であったと思います。今回の政府予算案は、この所得再分配機能について言うと、基本的には強化しなければいけない、そういう視点に立って組まれておると思いますが、この点については、私は評価したいと思います。
ただ、問題点は、所得の再分配機能を強化するという場合に、その再分配の財源をどこから確保していくのか。すなわち、水平型でやるのか、それとも垂直型でやるのか、これが問われるわけでありますけれども、予算案は全体としては水平型になっている、ここに問題点がある。垂直型の所得再分配の構造に徹していない、これが予算案の最大の問題点ではなかろうか、こういうことが私の話の中心です。
もうここにいらっしゃる方々は御存じかと思いますが、財政は一般的に、所得の再分配の機能、それから資源の効率的な配分、経済成長の安定化、この三つの機能が基本的にあるというのが通説でありますけれども、先ほど指摘しましたように、小泉構造改革というのは、その第一の所得再分配機能というのを弱めながら、かつ再分配の構造を水平型に徹底していく、したがっていわゆる小さな政府というのができ上がる、こういう構造であったわけであります。
さきに指摘しましたように、全体として財政の重要な所得再分配機能というものを強化するという、例えば子ども手当の創設、農家戸別所得補償制度、さらに公立高校の授業料の無償化、こういうものは全体としては所得再分配機能の強化ということでありますから積極的に評価できるのでありますが、例えば税制改革を取り出してみても、縦型の、いわゆる上層の富を、税や社会保障制度を通じて吸い上げて、垂直型でありますから下に回す、そういう構造には必ずしもなっていない。むしろ、後でも触れますけれども、流れとしては水平型の方に向かっている。
例えば、将来の消費税を、増税を前提にして、福祉目的税化するなりしながら財源の確保を図る、さらにまた、事業仕分け活動というのは、私は基本的にそういうものだというふうに理解しておりますが、全体としては水平型に傾斜をしている、これをやはり問題として予算案を評価しなければいけない、こういうふうに考えています。
なぜ垂直型の所得再分配が今問われているのか。さきの公述人の方の御指摘にもありましたけれども、およそ我々や日本社会に住む人間が今解決を迫られている難問でありますけれども、三つの大きな課題に私たちは直面をしている。
一つは、この数年間、社会全体で問題になってまいりましたいわゆる格差、貧困の深まりの問題です。さきには社会の底割れという表現が使われましたけれども、まさに底が割れるように格差が拡大をし貧困がのさばる、こういう状態。これを打開していかなければいけない。
第二番目は、経済的な不況の問題です。現在なお、二番底の可能性は遠のいたというふうに言われておりますけれども、基本的には内需の不振に基づいて、リーマン・ショック以来の日本の不況というのがまだ深刻な様相を解消していない。この経済的破綻にどう立ち向かっていくのか。
それから三番目は、もう言うまでもありませんが、財政の赤字、すなわち財政危機にどう立ち向かっていくのか。
社会問題と経済問題と財政問題、この三つの難問を同時に解決していかなければいけない。これが、予算案に限りませんけれども、現在の政治に問われている課題だ。
そういたしますと、この三つの難問をいわば三位一体的に解決しようと思うと、一つの突破口が必要になる。私は、その突破口が垂直的な所得再分配の再構築にある、こういうふうに考えています。なぜならば、垂直的な所得再分配をやって初めて、所得の分配のゆがみ、不公平、すなわち格差の広がりに対応することができる。
例えば、現在の格差といいますのは、雇用の格差、あるいはまた労働市場の自由化に伴う派遣労働の野放し、こういうところから進行したものでありますから、まずは、その労働市場の崩れに基づいて生み出されてくる所得の第一次分配上の格差を取り締まっていかなければいけない。
そのためには、この国会で予定されておりますけれども、そしてさきの公述人の方の発言にもあったように、労働者派遣法の徹底した見直し、すなわち日雇い派遣については禁止をする、それから製造業派遣についても原則的に禁止をする。ただ、もう国会でも問題になっておりますように、常用派遣については当面解禁の状態のまま。
こういう問題点を克服して、現在、民主党案では、例えば最低賃金の引き上げ、それから介護労働者についてはマニフェストで月額四万円の賃金改善ということをうたっておりますが、そういう方法を通じて第一次的な所得の分配の改善をまずやる。にもかかわらず、これだけでは、現在の日本では所得の格差というのはなお是正されない。
例えば、昨年だったと思いますが、政府はこの予算編成に当たって経済見通しというのを発表しておりますが、来年度の名目雇用者報酬については〇・七%減というのを見込んでいるわけですね。要するに、これは第一次の所得分配で、雇用者報酬の面でいうと実際上はマイナスが続く。ということは、政府の経済見通しでは雇用者報酬については改善されない。これが来年の経済見通しになっています。
したがって、個人消費も名目でマイナス〇・二%、つまり個人消費も伸びない。それから、実質では一・〇%、こういうことになっておりますが、全体としては、第一次の所得分配が改善されないという前提に立っているために十分に内需の回復も見込めない、こういう想定になっています。したがって、どうしても再分配の機能を強化して格差の是正を図る、これが第一に必要です。
同時に、その格差の是正というのが、実は、今触れましたけれども、家計の消費、大衆的な消費の拡充を通じて内需の回復を少なくとも呼び起こす、その刺激になり得る。現在予想されているような景気の二番底を回避するためにも、所得再分配の垂直型、これによって現在の経済的破綻に対してその進行を防止する、そういう機能を見通すことができるのではないか。
といいますのは、もともと私は経済学が専攻でありますので、この間の不況の分析をやってまいりましたけれども、大体、戦後最大の厳密な意味での過剰生産恐慌というのは、格差社会化というのが基本的な原因になって進行したものです。すなわち、格差社会といいますのは底辺で貧困が進行いたしますから、国内では大衆的な消費というものが伸びない。つまり、消費が立ちおくれてしまう。
ところが、格差社会の中では、上層の部分、あるいはまた大銀行や大企業に過剰なまでに富裕資金というのが集まってくる。これがアメリカ合衆国の証券住宅バブルを呼び起こす大きな要因になったというのはもう通説でありますけれども、この過剰資金というものが実はアメリカ発金融恐慌の引き金をつくった。だから、この過剰資金というものを吸い上げて、他方で格差社会の中であえぐ貧困層、低所得層にこれを回す。そうすれば、今までおくれてきた消費というものが何とか後追い的であっても回復をする。だから、垂直的な所得再分配を徹底するというのが、実は経済的破綻の進行に対する大きな歯どめの役割を果たす。そういう意味で、さきに挙げました不況打開のためにも垂直的な所得再分配の視点が今問われているんだ。
それから、三番目の財政危機についても、もう言うまでもありません。今この財政危機を打開しようと思えば、要するに過剰資金に課税をする、これがどうしても必要です。憲法で言うところの応能負担原則というものに立って、応益負担というのは水平的な所得再分配に向かいますから、応能型でもって税制改革を進めて、垂直的所得再分配の構造というものを再構築する。
そのためには、現在、これは皮肉なことに格差社会が生み出した過剰資金というのがありますから、この過剰資金に対して適切な課税をする。そこから上がった財源をもって、福祉の実現、社会保障の改善、医療であるとか、さきに御指摘のあった待機児童を解消して現行の保育制度を拡充していく、そういう方向に向かって改革を進めていけば、財政危機についても少なくともこれ以上の深化に対して歯どめをかけることができる。
そういう意味で、私は、今財政全体に求められている最大の課題は、水平的ではない、あくまでも垂直的な所得の再分配構造の再構築がどうしても必要だ、こういうふうな結論に到達したわけでありますが、その視点で、さきに触れました政府予算案が水平型に向かっているのではないか、この懸念を三つの事例で確かめておきたいと思います。
一つは、政府予算案の中では、言うまでもなく一部税制改革が行われたわけでありますけれども、税制の抜本的改革というのは基本的に先送り。この場合、抜本的改革をもし垂直的所得再分配の再構築という視点から進めるとすれば、これは、さきに触れましたように過剰資金を吸い上げる。すなわち、格差社会の中で生まれた膨大な富裕層、大企業、大銀行、これらのもとにため込まれた過剰な資金に課税する、この方向を徹底して模索する。これに、実は今回の予算案を眺めてみる限り向かっていない、むしろそれを回避している。これは大変大きな問題。
さらにまた、これは財政需要の分野ではかなり多くの方が指摘をしつつあり、政府の税制専門委員会の中でも議論される予定になっておりますけれども、租税特別措置というものを見直して課税ベースを広げる、とりわけ企業優遇型の租税特別措置については見直して課税ベースを広げる、そういう措置を十分なさっていない。これは、水平型に向かっている一つの事例ではないか。
それから二つ目は、さきに触れましたけれども、事業仕分け活動というのは、実は、国会議員の方でございますからもう周知だろうというふうに思いますが、もともとは小泉政権のときの構造改革の手法として小泉政権そのものが取り上げたやり方です。最初は幾つかの自治体でこれが進められました。私自身も幾つかの自治体を見て回って、例えば岡山市で構想日本のグループの方々が事業仕分け活動というのをやった。これはかなり乱暴な水平的所得再分配のやり方、しかも水平的所得再分配を徹底して縮小する、むしろ解体する、こういう流れになっているわけですね。
なぜそうか。要は、公的な事業であるとかサービスの提供について、それの必要性については挙証責任を行政の側に預けて、徹底して、これは議会が問題にするのであればまだしもなのでありますけれども、議会の外で専門家と称する人たちが、必要か不要か、これを短時間のうちに決めてしまう。必要性がほとんどあるというふうに従来であれば認められてしまう。
なぜかといいますと、行政がやっている仕事というのは、法律であるとかあるいは議会が決めた予算措置に基づいて行われているわけでありますから、何らかの存在理由があるわけですね。そこで持ち出されるのが、どちらで、つまり、公共機関が直接やるのが安上がりか、民間にゆだねるのが安上がりか、このいわゆる公民間のコスト比較というのをやります。
今の状況のもとでは、民営化した方が安上がりになるというのは一般的に認められる。なぜか。民間の方が、今、派遣労働なんかを使って低賃金でやるからです。だから民営化させる。民営化するということは、アウトソーシングするということでありますから、皆さん方が問題にした、外注化の結果、官僚の天下りがむしろふえてくる。つまり、小泉構造改革の事業仕分けそのものが、実は天下り先をふやしてきたんですね。だから、これをたたいて無駄を削減する、こういうふうにマスメディアは報道したわけでありますけれども、これはイタチごっこです。
すなわち、そういう民営化であるとか、例えば独立行政法人化、指定管理者制度を使って外注化する、そういうやり方そのものを実はもう一回、さきに言いました垂直的所得再分配の視点からすると、見直していかなければいけない、こういうふうに考えられるわけです。
時間がありませんので、最後、三点目。
さきに触れましたように、水平型に向かっているのではないかというふうに懸念されるのは、一つは、消費税の増税というのを自明のものとして、福祉目的型ないし年金目的型、これを想定した上での予算編成になっているということ。
それから、地域主権という名前でもって、基本的には地域単位の受益者負担主義というふうに言っていいかと思いますけれども、地域を単位にして、受益者負担の受け皿を自治体につくってしまう、そこに土建国家的機能であるとか福祉国家的機能を挙げてゆだねてしまえば、とりわけ福祉の分野では、地域を単位にした水平的な再分配あるいは地域間の水平的な再分配、これに終わってしまう、そういう懸念が大変強いわけであります。
そういう意味で、ぜひ今後、所得再分配の強化は水平型ではなくて垂直型で進めるべきだ、こういう視点に立って予算編成、行政改革、両方あわせて追求していただきたいという希望を申し上げまして、私の公述にしたいと思います。失礼いたしました。拍手
鹿
駒
駒村康平#6
○駒村公述人 慶應義塾の駒村でございます。
こういう機会をいただきまして、大変ありがとうございます。私は、経済学、社会保障論を専門にする立場から、一般会計予算について意見を申し上げたいと思います。
お手元に私の資料が配られていると思いますので、これに基づいてお話しさせていただきたいと思います。何分、資料は三十ページ近い大量なものでございますので、大変細かくお話しすると一学期分の授業に相当するようになってしまいますので、大変速くお話ししますけれども、御容赦いただければと思います。よろしくお願いいたします。
まず最初に、予算もしくは政策に対しての全般的な評価をさせていただきたいと思います。
最初に、現在、グローバル経済の中、あるいは雇用規制緩和、小さい政府、社会保障カットへの圧力強化という中で、世界的にも、企業あるいは資本の国際移動が非常に激しくなっていく、そういった動きを背景に、企業側に良好な社会資本にフリーライドしようという動きがあったわけです。これに応じてしまった前政権によって、社会保障制度はかなり圧縮された傾向に向かっていたわけですけれども、そういう流れをとめていくということが今回の予算では一つ重要なことではないか、こういうふうに思っております。
もう一つは、日本全体が高齢化が進んでいきます、そして、社会保障制度のうちの年金制度も極めて不安定になり、貧困高齢者も増加傾向にあるということ。それから、非正規労働者の増加によって格差の拡大がある。それから、格差の拡大がさらなる世代間の連鎖、低所得者に生まれた子供がさらに不利な状態に置かれるという格差の連鎖というものも世代間で起きているのではないか。
さらに、団塊ジュニアというグループ、これは三十代半ばまで来ているわけですけれども、このグループが非常に経済的には不利な状態に置かれたまま今日まで来てしまって、出生率も低く、家族も形成できない状態のまま今日を迎えてしまった。このボリュームの多い人口に対してサポートして出生率の逆転上昇を図るラストチャンスが近づいてきているのではないか、こういうふうに思うわけです。
こういった中で、今回の予算については、与党の中の選挙公約でもありました、人や生活保障に重点を置くということで、社会保障分野に資源配分が強化されたということは大変評価できるのではないか、こういうふうに思っております。グローバル経済、少子高齢化社会への対応を明確にするということも、これは、政権交代があってからわずか数カ月でありますので、完全とは私も評価できませんけれども、そういう方向が出てきたのではないか。小さい政府路線の弊害への対応、それから未来への投資としての社会保障の位置づけ、そして新しい社会保障制度へ向けての方向性というものは一定出ているのではないかと私は評価しております。
一方で、社会保障制度をどのように設計していくのか、どのような社会モデルをつくっていくのか、これは後ほど少し触れたいと思いますけれども、そういう理念についてはまだ不明確な部分もあるだろう。社会保障、雇用、税制の一体改革というものが余りまだ明確になってはいない。これは、国家戦略室というものに私は大変期待をしていきたいと思います。
さらには、高齢化社会を迎えるに当たっては負担がどうしても不可避になりますので、これに対する説明、説得、それがきちんと実行できるような、歳入庁、社会保障、税関連の共通番号による所得捕捉というもののシステム設計もこれからますます重要になるのではないか、こういうふうに思います。
人口減少、高齢化社会に向けての新しい社会システムの開発、あるいは、日本が工夫する社会システムの発明みたいなものもこれから必要になってくるのではないか、こういうふうに思っております。
次のページをざっと。
これは数字の問題でございますけれども、OECD各国の年金と生活扶助と課税最低限と最低賃金の上下関係でございます。縦軸は平均賃金に対する比重、次のページに細かい注は出ておりますけれども、これがそれぞれどういう位置にあるのか。
ポイントとしては、日本が、最低賃金が先進国の中では相対的にかなり低い位置にいますねということと、最低賃金と公的扶助と課税最低限と基礎年金が非常にごっちゃにくっついてきている、中には逆転現象が生まれているものもありますという点も、これからこれをどう整合性のあるような形に見直していくのかというのが大変重要になってくるだろう、こういうふうに思うわけです。
次のページはそれの説明、出典でございますので、これは省かせていただきたいと思います。
次に、非常に暑苦しい表がございますけれども、これは、先ほど、どういう社会モデルを目指すのかということを申し上げたわけでありまして、先進国の社会モデルというのは、大きく、コーポラティズム型、それから北欧普遍型、アメリカのような自由主義型というものがございます。日本は、どちらかというと、今まではコーポラティズム型と自由主義型の中間型をとっていたわけですけれども、このグローバル経済、高齢化社会の中で、日本は、それぞれこういう特徴を持った社会システムのうちのどれに近い社会システムを選んでいくのかというのを決めなければいけない時期に近づいたのではないか、こういうふうに思います。
そういう意味で、そういう理念、社会モデルを明確にしていただいて、今後の予算の議論もしていただきたい、こういうふうに思うわけです。
次に、雇用を中心にした社会保障の議論に入らせていただきたい、こういうふうに思います。
従来型雇用というのは、図として出ておりますけれども、学校を卒業したら働いて、そして女性は一部家庭に入る。男性は、一部、失業した人が労働市場に出入りするということがあって、最後には退職していく。こういう非常に単線型の雇用システムだったと思いますけれども、これが大きく変わってきているということだと思います。
諸外国は、雇用の不安定化が進む一方で、しかし社会保障制度はきちんとつくろう、あるいは、教育システム、雇用、職業訓練システムをきちんとつくるということで、デンマーク型のような、黄金の三角形と言われていますけれども、労働市場は柔軟化を進めていく一方で、所得保障制度はきちんと行う、積極的労働政策で訓練給付はきちんと行うという、相互補完的につくっていくというモデルをつくっている国もございます。これはデンマーク型。次のフレキシキュリティーモデルというのもデンマーク型でございまして、こういうスタイルを選ぶという選択肢もあろうかと思います。
ただ、これもなかなか難しい問題があると思います。後ほどこれもお話しさせていただきたいと思いますけれども、結局、新しい雇用システムというのはどういう構造になり得るのかというのが、次の、「新しい雇用システムと教育、社会保障制度」の関連というものがございます。
私は、この図を見ながら、一番左に職業と教育の連携システム、仕事と暮らしを両立させるようなシステム、退職時の所得保障システム、それから失業時所得保障システム、この四つのシステムが人間の生活を支えるんだと。このそれぞれのシステムから要請されていく、真ん中に雇用システムを置いてありますけれども、そのすき間を、それぞれの政策、例えばジョブカードというものもあるかもしれませんし、訓練・生活支援給付、あるいはこれを諸外国では失業扶助というのかもしれませんけれども、求職者支援の制度を恒久化するような仕組みをこれから考えていく必要があるのではないか、あるいは失業した人に対する住宅手当、これが今後必要になっていくのではないか、こういうふうに思っています。
こういう雇用を中心とした社会システムをどのようにつくっていくのか、このすき間をどうやって埋めていくのかというのは今後重要であり、予算においてもそういう視点で議論をしていただきたいなと思っております。
次に、具体的な数字を見ながら、日本の社会保障、所得保障の問題点を見ていきたいと思います。「所得保障制度(格差・貧困問題)について」というところの次のページを見ていただきたいと思います。
これは、全国消費実態調査、二〇〇四年のデータでございます。最新データでございます。四万世帯ほどのサンプルを使って、一戸一戸、世帯に、生活保護の水準を下回っていながら生活保護を受けていない人が何%いるのか、これを世帯主年齢を横軸にとって分析した結果でございます。生活保護水準としては、一級地の一を一応目安として置いているわけです。
これを見てわかるように、九九年から二〇〇四年の間も、貧困率は特に若い人を中心に上昇傾向にある。つまり、貧困、格差の現象が、高齢化社会によって高齢者のウエートが上がったから貧困、格差がふえているんだという話ではなくて、実際、水平方向に貧困率が上がっているということがこれによってわかるわけです。これは個票データという四万ものデータを詳細に分析した結果ですので、こういう結果がわかるわけです。
次のページは、これにさらに、世帯主が就労しながら生活保護水準を下回っている世帯がどのぐらいいるのか、しかも生活保護をもらっていないのはどのぐらいいるのか。これも世帯単位の、ワーキングプア世帯というものです。
日本の政策のタームの中には、ワーキングプアという言葉はございません。ワーキングプアという言葉がないから、統計もございません。そこで、私がその統計をかわりにつくったということでございまして、これは若干、先ほども少し触れられたOECDの国際比較のためにつくられた貧困率とは数字が異なっております。
そういう意味で、こちらは、真ん中の人の何%の生活というよりは、生活保護という国が定めたミニマム保障を下回っていながら生活保護にたどり着けない人がどのぐらいいるのかというのを見た数字でございます。かなり深刻な状態だと思います。特に若い世帯主のところが厳しい状態になっているということを押さえておかなければいけない、こういうふうに思っております。
この次のページが世帯類型別貧困率でございます。これも世帯類型別に、先ほどと同じデータ、こちらの方は一応推計でございますので、一級地の一、つまり都市レベルの生活保護制度を適用した場合と、三級地の二、地方都市のを適用した場合で二通りの数字が出ておりますので、若干の差がありますけれども、これは恐らく半分、ちょうど真ん中あたりが真実だと思いますけれども、母子世帯の貧困率は非常に高いということで、生活保護水準を下回っていながら生活保護をもらっていない母子世帯が約四〇から六〇%近くいる。
さらに、これとは別に生活保護をもらっている方がいるわけですけれども、その生活保護をもらっている母子家庭の方というのは、障害があったり傷病を持ったり、さらに二重のハンディを持っていて初めて生活保護を使えるようになっているということでございます。極めて深刻な状況が起きているというのが現状だと思います。
こういった上で、先ほどのフィンランドのようなモデル、フレックスとセキュリティーを混合するような一つのモデルを御紹介しましたけれども、では、日本ではどうするのか。
日本では、一方では、コーポラティズム、正社員という形の日本型雇用システムというのが一部ではきちんと、非常に面積は小さくなって対象者も小さくなっていますけれども、残っています。
そして、次第にふえている非正規の労働者の方をどういうふうに処遇するのかというのは、これからの大きなテーマになってくると思います。こういう方たちもきちんとした、安心した生活ができるような仕組みをつくっていかなきゃならない。こういう人たちも安定して家族を形成できるような社会保障システムをつくっていかなきゃならない。
そのためには、一つは雇用保険の適用の拡大、あるいは雇用保険が切れた後の失業扶助的なもの、さらには、流動性はあるんだけれども、経験がきちんと評価されて、キャリアが評価されながら賃金に上乗せされるような新しい雇用システム、これを専門職労働市場と言っていますけれども、これを規制をきちんとしない状態で単に市場に任すと小泉改革のような結果になりますので、ここにきちんとしたルールをつくって、新しい雇用システムをセットでつくっていくということを行って、部分的なフレキシキュリティーみたいなものを日本でも考えていったらどうなのかというふうに提案したいと思います。
次に、年金の問題に入りたいと思います。
これも、年金記録の問題、それから年金機構の問題等、非常に大きな問題を抱えております。今回は年金制度については大きな議論が行われない、財源としては、基礎年金の二分の一の部分の問題、この安定財源確保の問題が今後出てくると思いますけれども、一方では制度改革というのも非常に重要になっている。
ここで年金についてポイントを申し上げておきたいと思いますけれども、年金制度改革の評価のポイント、どういう点で今の年金制度がいいか悪いかを評価するのかというのは、三つのポイントがあります。これは世界で共通した切り口でございます。
一つは、制度の持続可能性。経済的、財政的、政治的に安定するのかということ。すべての国で高齢化が進むため、この問題はいずれの国も共通して大きな課題になっている。二つ目は、社会状況の変化に対応できているのかどうか。職業形態の変化、特に非正規労働のような形によって厚生年金から抜けてくる人はふえている、この結果、空洞化につながったという問題がございますので、こういう社会構造の変化に対して年金制度は対応できているのかどうか。それから、最低の保障というものも絶対必要だということ。
この三点から、日本の年金制度はよくできているのかどうなのかということを評価しなきゃならない。となると、今の年金制度はいずれも大きな問題を抱えているだろうと言うべきだろうと思います。
この三点は私が別にオリジナルで考えたわけではございませんで、次のページに「諸外国の年金改革の目標」というのがございます。
これは、世界銀行が各国の、先進国の年金改革を行った専門家に対してアンケート調査した結果、あなたの国では何を一番重視しましたかというのに答えた結果でございます。一番重点を置かれたのが財政的安定性、二番目が低所得者の生活安定、それから三番目が労働者保護の適用拡大、多くの労働者をなるべくカバーするというのがございますので、こういうのがこれから重要な改革になるだろうと思います。
その上で、日本の年金制度が諸外国の年金との関係でどういう位置にあるのかというのを見たのが、次の「各国の年金制度のイメージ図」というものでございます。
十文字の絵が出ておりまして、諸外国の年金制度が相対的に位置づけられておりますけれども、縦軸には、賦課方式の所得比例年金、いわゆる厚生年金の大きさ、横軸には、税方式をとっているか、一階部分の保険方式をとっているかという位置づけでございます。
日本は保険方式で所得比例の厚生年金を持っていた国ですけれども、これが若干、二〇〇四年改革で小さくなっている。もう一方、フィンランド、スウェーデンというのはどういうスタイルをとっていたかというと、全額税方式の基礎年金を持っていましたけれども、九〇年代後半からの改革によって、全額税方式の年金はやめて最低保障年金に動いているということで、この第二象限にある日本を右の方に持ってくるというのはかなり大きな改革になってくると思います。
そういう意味では、次のページで、最後の年金改革であるということであるならば、今後も長期的に信頼される年金改革を目指す。ただ、それをやった場合、軸を大きく解体することになりますので、世界最大級の改革になりますので、これは人口と規模、計算も含めてかなり大きい改革になりますので、拙速な議論というのは回避しなきゃならない。最初に問題点の洗い出し、なぜ改革するのかというコンセンサス、新制度に向けての基本理念、哲学、社会的な合意の形成に向けてのプロセスの整備といったものも重要かと思います。
最後に、残された時間で、次世代育成について若干の意見を申し上げたいと思います。
次世代育成の役割というのは、政策目的としては、子育て世帯の経済支援と少子化、それから仕事と暮らしの両立支援というものがあるかと思います。その背景としては、子供、人々の可能性、生き方の可能性を広げていく、社会保障制度を維持するというものがあろうと思います。政策手段としては、現金、保育、両立支援、雇用政策というものがあると思います。複数の政策目的を達成するためには、当然、複数の政策手段が必要でありまして、現金給付とともに現物給付が必要になってくるだろうと思います。
次のページに、諸外国で現金給付を行うことによってどういう政策効果があるかを紹介しております。
これはOECD各国のデータでございますけれども、横軸に現金給付の対GDP比をとっております。つまり、これが大きい国であればあるほど、子ども手当等の現金給付が大きい国ということです。縦軸は子供の貧困率をとっております。日本はこれが小さかったわけですけれども、これが小さい国は子供の貧困率が高くなるということになります。子ども手当を充実することによって子供の貧困率を下げるという政策効果が期待できてくるのではないかと思います。
先ほど申し上げたように、勤労世帯、特に若い世帯で子供を持つような世帯の貧困率が上昇しておりますので、そういう世帯へ向けてこういう支援を行うというのは有効な政策だ、こういうふうに思っております。
この一方で、もう一つ、現物給付というものも充実して、保育サービスを充実していくという必要があると思います。
社会保障制度が持続可能であるためには、出生率の上昇と女性の就業率の上昇というのが前提となってきますので、それをどう引き上げていくのか。これができなければ、社会保障給付は不安定になり続けて、人々は不安にさいなまれることが続くわけでございます。そういう意味では、今後、次世代育成支援の強化をしていただきたいと思っております。
最後に、次世代育成支援政策強化のポイントを申し上げさせていただきたいと思います。
子供たちに良好な育成環境を、特に不利な世帯の子供への保障というのは、再分配政策上も成長政策上も大変コストパフォーマンスのよい政策であるということが確認されています。投資収益率で一五%から一七%あるんだという研究もございます。出生率の回復と両立の確保こそが、社会保障の維持にも不可欠でございます。
この上で、国と地方の役割分担が今後進んでいくと思いますけれども、重要な点を四点ほど申し上げさせていただいて、終わりにさせていただきたいと思います。
一つは、やはり人口政策、社会保障政策にかかわる点でございますので、長期的な国家戦略の視点が必要かと思います。目の前の待機児童だけではなくて、本来であったらば働きたいというお母さんたちがいて、それが八十万人近い待機児童を潜在的に持っているわけですから、それにいかに取り組んでいくのかというのは国の責任で行うべきだと思います。
それから、地方分権に任す部分も大事だとは思いますけれども、しかし、有権者の中に判断のバイアスがあるというのも気をつけなければいけないと思います。子育て期間というのは過ぎてしまえば関心が終わってしまって、次は介護だ、医療だ、こういうところに重点が移っていきます。結局、子供への関心は有権者の中の一部の人しか持てなくなり、後手後手に回るということになります。しかし、子育て支援がきちんとできなければ、高齢者は不安になるという悪循環が実は続くわけですね。そういう意味では、この有権者のバイアスをどう回避するかというのも大事。これは政治家の説明力を求めたいと思います。
それから、地域間格差の問題もあるかと思います。特定の自治体が頑張っていくということを行っても、結局、サービスに地域差が生まれてしまえば、子育て世帯の地域間移動が発生するだけで、日本全体の底上げにはなりません。
そういう意味では、分権化とともに、国がきちんと関与していく新しい保育システム、これは先ほど新しい社会システムを発明、発展させなければいけないと申し上げて、先ほど連合の方から子供基金というアイデアも出されたと思いますけれども、こういう仕組みを今後考えていく。そこには当然、安定財源というものもつながってくるだろうと思います。
大変早口で恐縮でございます。また後ほど質疑でお答えしたいと思います。
どうもありがとうございます。拍手
この発言だけを見る →こういう機会をいただきまして、大変ありがとうございます。私は、経済学、社会保障論を専門にする立場から、一般会計予算について意見を申し上げたいと思います。
お手元に私の資料が配られていると思いますので、これに基づいてお話しさせていただきたいと思います。何分、資料は三十ページ近い大量なものでございますので、大変細かくお話しすると一学期分の授業に相当するようになってしまいますので、大変速くお話ししますけれども、御容赦いただければと思います。よろしくお願いいたします。
まず最初に、予算もしくは政策に対しての全般的な評価をさせていただきたいと思います。
最初に、現在、グローバル経済の中、あるいは雇用規制緩和、小さい政府、社会保障カットへの圧力強化という中で、世界的にも、企業あるいは資本の国際移動が非常に激しくなっていく、そういった動きを背景に、企業側に良好な社会資本にフリーライドしようという動きがあったわけです。これに応じてしまった前政権によって、社会保障制度はかなり圧縮された傾向に向かっていたわけですけれども、そういう流れをとめていくということが今回の予算では一つ重要なことではないか、こういうふうに思っております。
もう一つは、日本全体が高齢化が進んでいきます、そして、社会保障制度のうちの年金制度も極めて不安定になり、貧困高齢者も増加傾向にあるということ。それから、非正規労働者の増加によって格差の拡大がある。それから、格差の拡大がさらなる世代間の連鎖、低所得者に生まれた子供がさらに不利な状態に置かれるという格差の連鎖というものも世代間で起きているのではないか。
さらに、団塊ジュニアというグループ、これは三十代半ばまで来ているわけですけれども、このグループが非常に経済的には不利な状態に置かれたまま今日まで来てしまって、出生率も低く、家族も形成できない状態のまま今日を迎えてしまった。このボリュームの多い人口に対してサポートして出生率の逆転上昇を図るラストチャンスが近づいてきているのではないか、こういうふうに思うわけです。
こういった中で、今回の予算については、与党の中の選挙公約でもありました、人や生活保障に重点を置くということで、社会保障分野に資源配分が強化されたということは大変評価できるのではないか、こういうふうに思っております。グローバル経済、少子高齢化社会への対応を明確にするということも、これは、政権交代があってからわずか数カ月でありますので、完全とは私も評価できませんけれども、そういう方向が出てきたのではないか。小さい政府路線の弊害への対応、それから未来への投資としての社会保障の位置づけ、そして新しい社会保障制度へ向けての方向性というものは一定出ているのではないかと私は評価しております。
一方で、社会保障制度をどのように設計していくのか、どのような社会モデルをつくっていくのか、これは後ほど少し触れたいと思いますけれども、そういう理念についてはまだ不明確な部分もあるだろう。社会保障、雇用、税制の一体改革というものが余りまだ明確になってはいない。これは、国家戦略室というものに私は大変期待をしていきたいと思います。
さらには、高齢化社会を迎えるに当たっては負担がどうしても不可避になりますので、これに対する説明、説得、それがきちんと実行できるような、歳入庁、社会保障、税関連の共通番号による所得捕捉というもののシステム設計もこれからますます重要になるのではないか、こういうふうに思います。
人口減少、高齢化社会に向けての新しい社会システムの開発、あるいは、日本が工夫する社会システムの発明みたいなものもこれから必要になってくるのではないか、こういうふうに思っております。
次のページをざっと。
これは数字の問題でございますけれども、OECD各国の年金と生活扶助と課税最低限と最低賃金の上下関係でございます。縦軸は平均賃金に対する比重、次のページに細かい注は出ておりますけれども、これがそれぞれどういう位置にあるのか。
ポイントとしては、日本が、最低賃金が先進国の中では相対的にかなり低い位置にいますねということと、最低賃金と公的扶助と課税最低限と基礎年金が非常にごっちゃにくっついてきている、中には逆転現象が生まれているものもありますという点も、これからこれをどう整合性のあるような形に見直していくのかというのが大変重要になってくるだろう、こういうふうに思うわけです。
次のページはそれの説明、出典でございますので、これは省かせていただきたいと思います。
次に、非常に暑苦しい表がございますけれども、これは、先ほど、どういう社会モデルを目指すのかということを申し上げたわけでありまして、先進国の社会モデルというのは、大きく、コーポラティズム型、それから北欧普遍型、アメリカのような自由主義型というものがございます。日本は、どちらかというと、今まではコーポラティズム型と自由主義型の中間型をとっていたわけですけれども、このグローバル経済、高齢化社会の中で、日本は、それぞれこういう特徴を持った社会システムのうちのどれに近い社会システムを選んでいくのかというのを決めなければいけない時期に近づいたのではないか、こういうふうに思います。
そういう意味で、そういう理念、社会モデルを明確にしていただいて、今後の予算の議論もしていただきたい、こういうふうに思うわけです。
次に、雇用を中心にした社会保障の議論に入らせていただきたい、こういうふうに思います。
従来型雇用というのは、図として出ておりますけれども、学校を卒業したら働いて、そして女性は一部家庭に入る。男性は、一部、失業した人が労働市場に出入りするということがあって、最後には退職していく。こういう非常に単線型の雇用システムだったと思いますけれども、これが大きく変わってきているということだと思います。
諸外国は、雇用の不安定化が進む一方で、しかし社会保障制度はきちんとつくろう、あるいは、教育システム、雇用、職業訓練システムをきちんとつくるということで、デンマーク型のような、黄金の三角形と言われていますけれども、労働市場は柔軟化を進めていく一方で、所得保障制度はきちんと行う、積極的労働政策で訓練給付はきちんと行うという、相互補完的につくっていくというモデルをつくっている国もございます。これはデンマーク型。次のフレキシキュリティーモデルというのもデンマーク型でございまして、こういうスタイルを選ぶという選択肢もあろうかと思います。
ただ、これもなかなか難しい問題があると思います。後ほどこれもお話しさせていただきたいと思いますけれども、結局、新しい雇用システムというのはどういう構造になり得るのかというのが、次の、「新しい雇用システムと教育、社会保障制度」の関連というものがございます。
私は、この図を見ながら、一番左に職業と教育の連携システム、仕事と暮らしを両立させるようなシステム、退職時の所得保障システム、それから失業時所得保障システム、この四つのシステムが人間の生活を支えるんだと。このそれぞれのシステムから要請されていく、真ん中に雇用システムを置いてありますけれども、そのすき間を、それぞれの政策、例えばジョブカードというものもあるかもしれませんし、訓練・生活支援給付、あるいはこれを諸外国では失業扶助というのかもしれませんけれども、求職者支援の制度を恒久化するような仕組みをこれから考えていく必要があるのではないか、あるいは失業した人に対する住宅手当、これが今後必要になっていくのではないか、こういうふうに思っています。
こういう雇用を中心とした社会システムをどのようにつくっていくのか、このすき間をどうやって埋めていくのかというのは今後重要であり、予算においてもそういう視点で議論をしていただきたいなと思っております。
次に、具体的な数字を見ながら、日本の社会保障、所得保障の問題点を見ていきたいと思います。「所得保障制度(格差・貧困問題)について」というところの次のページを見ていただきたいと思います。
これは、全国消費実態調査、二〇〇四年のデータでございます。最新データでございます。四万世帯ほどのサンプルを使って、一戸一戸、世帯に、生活保護の水準を下回っていながら生活保護を受けていない人が何%いるのか、これを世帯主年齢を横軸にとって分析した結果でございます。生活保護水準としては、一級地の一を一応目安として置いているわけです。
これを見てわかるように、九九年から二〇〇四年の間も、貧困率は特に若い人を中心に上昇傾向にある。つまり、貧困、格差の現象が、高齢化社会によって高齢者のウエートが上がったから貧困、格差がふえているんだという話ではなくて、実際、水平方向に貧困率が上がっているということがこれによってわかるわけです。これは個票データという四万ものデータを詳細に分析した結果ですので、こういう結果がわかるわけです。
次のページは、これにさらに、世帯主が就労しながら生活保護水準を下回っている世帯がどのぐらいいるのか、しかも生活保護をもらっていないのはどのぐらいいるのか。これも世帯単位の、ワーキングプア世帯というものです。
日本の政策のタームの中には、ワーキングプアという言葉はございません。ワーキングプアという言葉がないから、統計もございません。そこで、私がその統計をかわりにつくったということでございまして、これは若干、先ほども少し触れられたOECDの国際比較のためにつくられた貧困率とは数字が異なっております。
そういう意味で、こちらは、真ん中の人の何%の生活というよりは、生活保護という国が定めたミニマム保障を下回っていながら生活保護にたどり着けない人がどのぐらいいるのかというのを見た数字でございます。かなり深刻な状態だと思います。特に若い世帯主のところが厳しい状態になっているということを押さえておかなければいけない、こういうふうに思っております。
この次のページが世帯類型別貧困率でございます。これも世帯類型別に、先ほどと同じデータ、こちらの方は一応推計でございますので、一級地の一、つまり都市レベルの生活保護制度を適用した場合と、三級地の二、地方都市のを適用した場合で二通りの数字が出ておりますので、若干の差がありますけれども、これは恐らく半分、ちょうど真ん中あたりが真実だと思いますけれども、母子世帯の貧困率は非常に高いということで、生活保護水準を下回っていながら生活保護をもらっていない母子世帯が約四〇から六〇%近くいる。
さらに、これとは別に生活保護をもらっている方がいるわけですけれども、その生活保護をもらっている母子家庭の方というのは、障害があったり傷病を持ったり、さらに二重のハンディを持っていて初めて生活保護を使えるようになっているということでございます。極めて深刻な状況が起きているというのが現状だと思います。
こういった上で、先ほどのフィンランドのようなモデル、フレックスとセキュリティーを混合するような一つのモデルを御紹介しましたけれども、では、日本ではどうするのか。
日本では、一方では、コーポラティズム、正社員という形の日本型雇用システムというのが一部ではきちんと、非常に面積は小さくなって対象者も小さくなっていますけれども、残っています。
そして、次第にふえている非正規の労働者の方をどういうふうに処遇するのかというのは、これからの大きなテーマになってくると思います。こういう方たちもきちんとした、安心した生活ができるような仕組みをつくっていかなきゃならない。こういう人たちも安定して家族を形成できるような社会保障システムをつくっていかなきゃならない。
そのためには、一つは雇用保険の適用の拡大、あるいは雇用保険が切れた後の失業扶助的なもの、さらには、流動性はあるんだけれども、経験がきちんと評価されて、キャリアが評価されながら賃金に上乗せされるような新しい雇用システム、これを専門職労働市場と言っていますけれども、これを規制をきちんとしない状態で単に市場に任すと小泉改革のような結果になりますので、ここにきちんとしたルールをつくって、新しい雇用システムをセットでつくっていくということを行って、部分的なフレキシキュリティーみたいなものを日本でも考えていったらどうなのかというふうに提案したいと思います。
次に、年金の問題に入りたいと思います。
これも、年金記録の問題、それから年金機構の問題等、非常に大きな問題を抱えております。今回は年金制度については大きな議論が行われない、財源としては、基礎年金の二分の一の部分の問題、この安定財源確保の問題が今後出てくると思いますけれども、一方では制度改革というのも非常に重要になっている。
ここで年金についてポイントを申し上げておきたいと思いますけれども、年金制度改革の評価のポイント、どういう点で今の年金制度がいいか悪いかを評価するのかというのは、三つのポイントがあります。これは世界で共通した切り口でございます。
一つは、制度の持続可能性。経済的、財政的、政治的に安定するのかということ。すべての国で高齢化が進むため、この問題はいずれの国も共通して大きな課題になっている。二つ目は、社会状況の変化に対応できているのかどうか。職業形態の変化、特に非正規労働のような形によって厚生年金から抜けてくる人はふえている、この結果、空洞化につながったという問題がございますので、こういう社会構造の変化に対して年金制度は対応できているのかどうか。それから、最低の保障というものも絶対必要だということ。
この三点から、日本の年金制度はよくできているのかどうなのかということを評価しなきゃならない。となると、今の年金制度はいずれも大きな問題を抱えているだろうと言うべきだろうと思います。
この三点は私が別にオリジナルで考えたわけではございませんで、次のページに「諸外国の年金改革の目標」というのがございます。
これは、世界銀行が各国の、先進国の年金改革を行った専門家に対してアンケート調査した結果、あなたの国では何を一番重視しましたかというのに答えた結果でございます。一番重点を置かれたのが財政的安定性、二番目が低所得者の生活安定、それから三番目が労働者保護の適用拡大、多くの労働者をなるべくカバーするというのがございますので、こういうのがこれから重要な改革になるだろうと思います。
その上で、日本の年金制度が諸外国の年金との関係でどういう位置にあるのかというのを見たのが、次の「各国の年金制度のイメージ図」というものでございます。
十文字の絵が出ておりまして、諸外国の年金制度が相対的に位置づけられておりますけれども、縦軸には、賦課方式の所得比例年金、いわゆる厚生年金の大きさ、横軸には、税方式をとっているか、一階部分の保険方式をとっているかという位置づけでございます。
日本は保険方式で所得比例の厚生年金を持っていた国ですけれども、これが若干、二〇〇四年改革で小さくなっている。もう一方、フィンランド、スウェーデンというのはどういうスタイルをとっていたかというと、全額税方式の基礎年金を持っていましたけれども、九〇年代後半からの改革によって、全額税方式の年金はやめて最低保障年金に動いているということで、この第二象限にある日本を右の方に持ってくるというのはかなり大きな改革になってくると思います。
そういう意味では、次のページで、最後の年金改革であるということであるならば、今後も長期的に信頼される年金改革を目指す。ただ、それをやった場合、軸を大きく解体することになりますので、世界最大級の改革になりますので、これは人口と規模、計算も含めてかなり大きい改革になりますので、拙速な議論というのは回避しなきゃならない。最初に問題点の洗い出し、なぜ改革するのかというコンセンサス、新制度に向けての基本理念、哲学、社会的な合意の形成に向けてのプロセスの整備といったものも重要かと思います。
最後に、残された時間で、次世代育成について若干の意見を申し上げたいと思います。
次世代育成の役割というのは、政策目的としては、子育て世帯の経済支援と少子化、それから仕事と暮らしの両立支援というものがあるかと思います。その背景としては、子供、人々の可能性、生き方の可能性を広げていく、社会保障制度を維持するというものがあろうと思います。政策手段としては、現金、保育、両立支援、雇用政策というものがあると思います。複数の政策目的を達成するためには、当然、複数の政策手段が必要でありまして、現金給付とともに現物給付が必要になってくるだろうと思います。
次のページに、諸外国で現金給付を行うことによってどういう政策効果があるかを紹介しております。
これはOECD各国のデータでございますけれども、横軸に現金給付の対GDP比をとっております。つまり、これが大きい国であればあるほど、子ども手当等の現金給付が大きい国ということです。縦軸は子供の貧困率をとっております。日本はこれが小さかったわけですけれども、これが小さい国は子供の貧困率が高くなるということになります。子ども手当を充実することによって子供の貧困率を下げるという政策効果が期待できてくるのではないかと思います。
先ほど申し上げたように、勤労世帯、特に若い世帯で子供を持つような世帯の貧困率が上昇しておりますので、そういう世帯へ向けてこういう支援を行うというのは有効な政策だ、こういうふうに思っております。
この一方で、もう一つ、現物給付というものも充実して、保育サービスを充実していくという必要があると思います。
社会保障制度が持続可能であるためには、出生率の上昇と女性の就業率の上昇というのが前提となってきますので、それをどう引き上げていくのか。これができなければ、社会保障給付は不安定になり続けて、人々は不安にさいなまれることが続くわけでございます。そういう意味では、今後、次世代育成支援の強化をしていただきたいと思っております。
最後に、次世代育成支援政策強化のポイントを申し上げさせていただきたいと思います。
子供たちに良好な育成環境を、特に不利な世帯の子供への保障というのは、再分配政策上も成長政策上も大変コストパフォーマンスのよい政策であるということが確認されています。投資収益率で一五%から一七%あるんだという研究もございます。出生率の回復と両立の確保こそが、社会保障の維持にも不可欠でございます。
この上で、国と地方の役割分担が今後進んでいくと思いますけれども、重要な点を四点ほど申し上げさせていただいて、終わりにさせていただきたいと思います。
一つは、やはり人口政策、社会保障政策にかかわる点でございますので、長期的な国家戦略の視点が必要かと思います。目の前の待機児童だけではなくて、本来であったらば働きたいというお母さんたちがいて、それが八十万人近い待機児童を潜在的に持っているわけですから、それにいかに取り組んでいくのかというのは国の責任で行うべきだと思います。
それから、地方分権に任す部分も大事だとは思いますけれども、しかし、有権者の中に判断のバイアスがあるというのも気をつけなければいけないと思います。子育て期間というのは過ぎてしまえば関心が終わってしまって、次は介護だ、医療だ、こういうところに重点が移っていきます。結局、子供への関心は有権者の中の一部の人しか持てなくなり、後手後手に回るということになります。しかし、子育て支援がきちんとできなければ、高齢者は不安になるという悪循環が実は続くわけですね。そういう意味では、この有権者のバイアスをどう回避するかというのも大事。これは政治家の説明力を求めたいと思います。
それから、地域間格差の問題もあるかと思います。特定の自治体が頑張っていくということを行っても、結局、サービスに地域差が生まれてしまえば、子育て世帯の地域間移動が発生するだけで、日本全体の底上げにはなりません。
そういう意味では、分権化とともに、国がきちんと関与していく新しい保育システム、これは先ほど新しい社会システムを発明、発展させなければいけないと申し上げて、先ほど連合の方から子供基金というアイデアも出されたと思いますけれども、こういう仕組みを今後考えていく。そこには当然、安定財源というものもつながってくるだろうと思います。
大変早口で恐縮でございます。また後ほど質疑でお答えしたいと思います。
どうもありがとうございます。拍手
鹿
鹿
緒
緒方林太郎#9
○緒方委員 民主党の緒方林太郎でございます。
この伝統ある予算委員会中央公聴会で発言の機会をいただきまして、委員長並びに理事各位には御礼を申し上げたいというふうに思っております。
そして、この予算委員会での審議も終盤に入ってまいりまして、貴重な公述人の皆様方からの意見を聞く機会に一部野党の方が出席をされていないということは、一国会議員として非常に残念な気持ちでございます。
本日は、三人の公述人の方々から貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。時間も限られておりますので、テーマを絞って御質問させていただければというふうに思っております。
労働者派遣法の関係でございまして、昨今、過度の自由化によって非正規労働者の増大であるとか雇用の不安定化ということがございまして、政権交代後、今、労働者派遣法の改正ということで議論が進んでいるところでございます。その中では、答申も既に出ておりまして、登録型派遣、さらには製造業派遣、日雇い派遣といったものの原則禁止とか、違法派遣に対する直接雇用促進とか、そういったことが盛り込まれるのではないかと言われております。
そういった中におきましても、私が若干懸念をいたしますのは、現代社会においては雇用の形態がかなり多様化をしているということもありまして、余り厳格に過ぎる対応というのは、結果的には雇用のミスマッチにつながることがあったりとか、かえって雇用の喪失につながるということもあるのかなと思っておりまして、制度設計においては慎重を期すべきであるという意見でございます。
その中でも、私が非常に懸念を持っているのは、実は私は出身が北九州という町でございまして、一九〇一年、官営八幡製鉄所ができて以来、日本の物づくりを支えてきた町であると自負をしているわけでございますけれども、では、製造業派遣というものが物づくりにどういう影響を及ぼすのかということについて強い懸念を持つところがございます。
我が町北九州には、官営八幡製鉄所におきましては、宿老という言葉がございまして、非常に技術の高い熟練工をそういうふうに指定して、会社として守り立てていくというような古い制度があるわけでございますけれども、余り製造業に派遣業の方がわあっと入ってくるようになると、技術の伝承ということがうまくいかなくなるんじゃないかということに懸念を強く抱きます。やはり日本の産業の基礎というのは物づくりでありまして、それを支えてきた技術、そこが失われることに対して強い懸念がある。
ミタル・スチールという会社が新日鉄を買収しようとしたことがありました。これは何が欲しかったかというと、まさに日本の企業が持っている技術が欲しいからということだったわけでありますが、この日本の誇る技術というのを製造業派遣という形が損なわしめていくのであれば、製造業派遣について厳しい姿勢をとることは当然のことではないかなと思います。
今いろいろ申し上げさせていただきましたが、今後の労働者派遣法改正のあり方について、逢見公述人、さらには二宮公述人に思いのところを述べていただければと思います。
この発言だけを見る →この伝統ある予算委員会中央公聴会で発言の機会をいただきまして、委員長並びに理事各位には御礼を申し上げたいというふうに思っております。
そして、この予算委員会での審議も終盤に入ってまいりまして、貴重な公述人の皆様方からの意見を聞く機会に一部野党の方が出席をされていないということは、一国会議員として非常に残念な気持ちでございます。
本日は、三人の公述人の方々から貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。時間も限られておりますので、テーマを絞って御質問させていただければというふうに思っております。
労働者派遣法の関係でございまして、昨今、過度の自由化によって非正規労働者の増大であるとか雇用の不安定化ということがございまして、政権交代後、今、労働者派遣法の改正ということで議論が進んでいるところでございます。その中では、答申も既に出ておりまして、登録型派遣、さらには製造業派遣、日雇い派遣といったものの原則禁止とか、違法派遣に対する直接雇用促進とか、そういったことが盛り込まれるのではないかと言われております。
そういった中におきましても、私が若干懸念をいたしますのは、現代社会においては雇用の形態がかなり多様化をしているということもありまして、余り厳格に過ぎる対応というのは、結果的には雇用のミスマッチにつながることがあったりとか、かえって雇用の喪失につながるということもあるのかなと思っておりまして、制度設計においては慎重を期すべきであるという意見でございます。
その中でも、私が非常に懸念を持っているのは、実は私は出身が北九州という町でございまして、一九〇一年、官営八幡製鉄所ができて以来、日本の物づくりを支えてきた町であると自負をしているわけでございますけれども、では、製造業派遣というものが物づくりにどういう影響を及ぼすのかということについて強い懸念を持つところがございます。
我が町北九州には、官営八幡製鉄所におきましては、宿老という言葉がございまして、非常に技術の高い熟練工をそういうふうに指定して、会社として守り立てていくというような古い制度があるわけでございますけれども、余り製造業に派遣業の方がわあっと入ってくるようになると、技術の伝承ということがうまくいかなくなるんじゃないかということに懸念を強く抱きます。やはり日本の産業の基礎というのは物づくりでありまして、それを支えてきた技術、そこが失われることに対して強い懸念がある。
ミタル・スチールという会社が新日鉄を買収しようとしたことがありました。これは何が欲しかったかというと、まさに日本の企業が持っている技術が欲しいからということだったわけでありますが、この日本の誇る技術というのを製造業派遣という形が損なわしめていくのであれば、製造業派遣について厳しい姿勢をとることは当然のことではないかなと思います。
今いろいろ申し上げさせていただきましたが、今後の労働者派遣法改正のあり方について、逢見公述人、さらには二宮公述人に思いのところを述べていただければと思います。
逢
逢見直人#10
○逢見公述人 御質問をいただきました労働者派遣法の問題について、私の考えを述べさせていただきます。
一九八六年にこの労働者派遣制度がスタートいたしまして、この間、何度か制度改正が行われてまいりました。全体として見ると、規制緩和を推進する、労働者派遣の数をふやしていくという方向での改正が行われてきた。この規制緩和の考え方の背景には、外部労働力をどんどん労働市場流動化という形でふやしていくということが労働市場政策としてあるべき姿なんだ、そういう考え方に基づいてやってきたんでしょうが、一方でこれは、短期的な契約、そして低賃金労働をふやすという形になってまいりました。その結果、いろいろな弊害が出てきたと思います。
一つは、先般の不況の際に出てきた、いわゆる派遣切りの多発、あるいは雇用の安定性に欠ける派遣形態が横行したということ。その中で、派遣労働者が非常に大きな生活不安にさいなまれたということ。それから、派遣労働者の不透明な待遇、低い待遇、それが固定化するという問題が起こってきたこと。そして、偽装請負など違法派遣が横行したということ。
これらについて、先般の労働政策審議会の答申では、事業規制の強化であるとか、あるいは派遣労働者の無期の雇用化や待遇の改善への方向を示すとか、あるいは違法派遣に対する迅速な対応を図るということがなされました。基本的には、私ども連合の考え方が反映されたものと受けとめております。
御指摘の製造業派遣の問題については、従来、直接雇用または請負、請負というのは、それぞれの技能レベルを持った人たちがその企業の一つの生産工程のあるラインを責任を持って受け持つという形で、そこには技能の伝承がなされていたわけです。しかし、製造業に派遣を入れたことによって、技能の伝承ができなくなってきている、あるいは現場力が低下するという問題が起こってきました。
そういう意味で、今般、原則禁止という形にしたわけですが、日本の持っている物づくりの強さというのは、現場力にあると思います。その現場力で技能を伝承していくということがきちんと行われるような改正になってほしいということを願っております。
この発言だけを見る →一九八六年にこの労働者派遣制度がスタートいたしまして、この間、何度か制度改正が行われてまいりました。全体として見ると、規制緩和を推進する、労働者派遣の数をふやしていくという方向での改正が行われてきた。この規制緩和の考え方の背景には、外部労働力をどんどん労働市場流動化という形でふやしていくということが労働市場政策としてあるべき姿なんだ、そういう考え方に基づいてやってきたんでしょうが、一方でこれは、短期的な契約、そして低賃金労働をふやすという形になってまいりました。その結果、いろいろな弊害が出てきたと思います。
一つは、先般の不況の際に出てきた、いわゆる派遣切りの多発、あるいは雇用の安定性に欠ける派遣形態が横行したということ。その中で、派遣労働者が非常に大きな生活不安にさいなまれたということ。それから、派遣労働者の不透明な待遇、低い待遇、それが固定化するという問題が起こってきたこと。そして、偽装請負など違法派遣が横行したということ。
これらについて、先般の労働政策審議会の答申では、事業規制の強化であるとか、あるいは派遣労働者の無期の雇用化や待遇の改善への方向を示すとか、あるいは違法派遣に対する迅速な対応を図るということがなされました。基本的には、私ども連合の考え方が反映されたものと受けとめております。
御指摘の製造業派遣の問題については、従来、直接雇用または請負、請負というのは、それぞれの技能レベルを持った人たちがその企業の一つの生産工程のあるラインを責任を持って受け持つという形で、そこには技能の伝承がなされていたわけです。しかし、製造業に派遣を入れたことによって、技能の伝承ができなくなってきている、あるいは現場力が低下するという問題が起こってきました。
そういう意味で、今般、原則禁止という形にしたわけですが、日本の持っている物づくりの強さというのは、現場力にあると思います。その現場力で技能を伝承していくということがきちんと行われるような改正になってほしいということを願っております。
二
二宮厚美#11
○二宮公述人 簡単にお答えしたいと思います。
おっしゃるとおりでございまして、日本経済、とりわけ製造業の基本というのは、例えば、電機、自動車にしてもすべて大田が出発だというふうに言われておりますように、基本的に、技術だけではなくて技能の蓄積、とりわけ長い経験を通じた知的熟練を伴うようなスキルであるとかクラフトであるとか、こういったものが、日本の製造業、さまざまな分野の産業を支えてきた基本でありますので、派遣労働を無原則に製造業の中に導入していくとこれらが壊れてしまう、その懸念は全くそのとおりでございまして、その視点から見ても、製造業の派遣というのは大きな問題だというふうに思います。
この発言だけを見る →おっしゃるとおりでございまして、日本経済、とりわけ製造業の基本というのは、例えば、電機、自動車にしてもすべて大田が出発だというふうに言われておりますように、基本的に、技術だけではなくて技能の蓄積、とりわけ長い経験を通じた知的熟練を伴うようなスキルであるとかクラフトであるとか、こういったものが、日本の製造業、さまざまな分野の産業を支えてきた基本でありますので、派遣労働を無原則に製造業の中に導入していくとこれらが壊れてしまう、その懸念は全くそのとおりでございまして、その視点から見ても、製造業の派遣というのは大きな問題だというふうに思います。
緒
緒方林太郎#12
○緒方委員 十分というのはなかなか短いものだなというのが率直な感想なわけです。時間がもうあと残っていないわけですけれども、もう一点だけ、子ども手当について簡単にお伺いさせていただきます。
少子化担当大臣というのが初めて選任されてもう七年ぐらいになるんですが、私も浪人の時代からずっと見ておりまして、省庁間の枠を超えて全体で統一的な政策を練るというのはなかなか難しいんだなということを感じました。
そういった中、今回、一万三千円の子ども手当が導入をされまして、現物支給の方がいいんじゃないかとかいろいろな御指摘があるわけですけれども、これから生まれてくる世代へのサポート、そして、既に子育てをしておられる方へのサポートということで、インセンティブを提供することは非常に意味の大きいことだと思っています。
ただ、働く環境をしっかりと整備しないと、これは単にお金を出すだけではだめだ、そういう御指摘があるわけでございまして、最後に、簡潔で結構でございますので、雇用の安定、さらには、女性が働く環境、子供を育てる環境整備まで、そういったことを含めて、逢見公述人から御意見を賜れればと思います。
この発言だけを見る →少子化担当大臣というのが初めて選任されてもう七年ぐらいになるんですが、私も浪人の時代からずっと見ておりまして、省庁間の枠を超えて全体で統一的な政策を練るというのはなかなか難しいんだなということを感じました。
そういった中、今回、一万三千円の子ども手当が導入をされまして、現物支給の方がいいんじゃないかとかいろいろな御指摘があるわけですけれども、これから生まれてくる世代へのサポート、そして、既に子育てをしておられる方へのサポートということで、インセンティブを提供することは非常に意味の大きいことだと思っています。
ただ、働く環境をしっかりと整備しないと、これは単にお金を出すだけではだめだ、そういう御指摘があるわけでございまして、最後に、簡潔で結構でございますので、雇用の安定、さらには、女性が働く環境、子供を育てる環境整備まで、そういったことを含めて、逢見公述人から御意見を賜れればと思います。
逢
逢見直人#13
○逢見公述人 民主党が子ども手当をマニフェストに掲げて今度の中で予算を措置されたということは、大変大きな意味があると思います。これは、子供を社会が育てるということをはっきり政治的なメッセージとして伝えたということだと思います。
ただ、実際に子育てをしている人たちの声を聞きますと、現金給付だけではなかなか安心して子育てすることができない、やはり現物給付的なサービス、特に保育環境の整備ということについてもしっかりした政策を立ててほしいという声がございます。
また、さまざまな保育サービスがあるわけですが、これがそれぞれ省庁縦割りになっておりまして、そこにいろいろな切れ目がある。そういう切れ目のないサービスをつくっていく、そのためにも、私どもは、子育て基金という形で財源を一つにして、その中で切れ目のないサービスを、現物給付と現金給付とのバランスをとりながら提供していくということが望ましいのではないかと思っております。
この発言だけを見る →ただ、実際に子育てをしている人たちの声を聞きますと、現金給付だけではなかなか安心して子育てすることができない、やはり現物給付的なサービス、特に保育環境の整備ということについてもしっかりした政策を立ててほしいという声がございます。
また、さまざまな保育サービスがあるわけですが、これがそれぞれ省庁縦割りになっておりまして、そこにいろいろな切れ目がある。そういう切れ目のないサービスをつくっていく、そのためにも、私どもは、子育て基金という形で財源を一つにして、その中で切れ目のないサービスを、現物給付と現金給付とのバランスをとりながら提供していくということが望ましいのではないかと思っております。
緒
鹿
阿
阿部知子#16
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日は、早朝から大変内容のある陳述をいただきまして、勉強になりました。私にいただきましたお時間が十分ですので、恐縮ですが、お三方にそれぞれちょっと違う質問を投げ、そしてお答えをお聞かせいただきたいと思います。
まず冒頭、逢見公述人にお願いをいたします。
いただきましたレジュメを見ましても、また私どもの社民党としての考えでも、やはり最低賃金の引き上げというのはやっていかなければいけない、いわゆる可処分所得をふやすためにもと思いますが、それが一方で、事業主の皆さん、特に中小企業の皆さんにはなかなか全体に負担になる。
先ほど、いろいろな施策で、例えば企業がいろいろな技術力をアップできるように等々の施策はあろうかと思いますが、私が現場で伺いますと、やはり社会保険料負担が大変に大きいというふうに御意見を聞きます。ドイツなどでは、環境税をいただきまして、その一部をこうした事業主の社会保険料負担に入れ込んで、社会保険料負担を軽くすることで、しかし逆に、保険料をしっかり納めてセーフティーネットを張るという方策をとっているやに思います。
この点について、公述人の御意見を伺いたいと思います。
それから、二宮公述人には、私どもの政党でも、確かに、垂直的な分配、所得税の累進をもっと引き上げること、あるいは、法人税の租税特別措置法等を外していくこと、そして、金融・証券課税等ももっと、一〇%ではなく二〇%に戻す、相続税の問題などもこれあると思います。
そして、この政権でもやっていきたいと思いますが、それらをやった上で、しかし、少子高齢社会を迎えておるので、間接税に頼らざるを得ない部分は出てくるのではないか。その一つが消費税だったり環境税であることも、社会構成の年齢分布、勤労層の減少そして高齢者の増加、そして、子供たちは育てていかなきゃいけないという社会の中で、ある程度負担を担い合っていくということは不可欠になってくるのかなと。もちろん前者の垂直分配をやった上でありますが、これについてはどうお考えであるかということを伺います。
そして、駒村公述人には、いただきましたこの分厚いまとめの中でも、フレキシキュリティモデル、北欧型のモデルで、ある程度、労働市場の流動化と、そしてそれをカバーすべくさまざまな社会保障政策の充実ということを相伴ってやっていくことも道ではないかというお考えでありましたが、私は実は小児科医で、この場合一番問題になるのは何かというと、子供たちなんだと思うんですね。
働く当事者は、失業保険とか長期のカバレッジがあったとして、次の仕事にトランポリンのように戻っていけたとしても、今の日本の施策のように、子供が親御さんの仕事の形態にくっついていて、例えば、常用雇用の親御さんを持つお子さんはやはり守られている度合いが高いし、非正規であれば、どうあったってその親御さんの状況に応じて非常に影響を受けるわけですね。ここに、日本が貧困の次世代送りをどうあっても断ち切れていない大きな問題があろうかと私は思うんです。
ですから、こういう流動化を進めるに際しては、徹底して、フランスのように、非婚の女性でも、あるいは就労形態にかかわらず、子供は社会が育てるんだという強い決意を示さないと、子供が抜けてしまうというか、今のような少子化が来るんだと思うのですが、その点についての御意見をお聞かせください。
この発言だけを見る →本日は、早朝から大変内容のある陳述をいただきまして、勉強になりました。私にいただきましたお時間が十分ですので、恐縮ですが、お三方にそれぞれちょっと違う質問を投げ、そしてお答えをお聞かせいただきたいと思います。
まず冒頭、逢見公述人にお願いをいたします。
いただきましたレジュメを見ましても、また私どもの社民党としての考えでも、やはり最低賃金の引き上げというのはやっていかなければいけない、いわゆる可処分所得をふやすためにもと思いますが、それが一方で、事業主の皆さん、特に中小企業の皆さんにはなかなか全体に負担になる。
先ほど、いろいろな施策で、例えば企業がいろいろな技術力をアップできるように等々の施策はあろうかと思いますが、私が現場で伺いますと、やはり社会保険料負担が大変に大きいというふうに御意見を聞きます。ドイツなどでは、環境税をいただきまして、その一部をこうした事業主の社会保険料負担に入れ込んで、社会保険料負担を軽くすることで、しかし逆に、保険料をしっかり納めてセーフティーネットを張るという方策をとっているやに思います。
この点について、公述人の御意見を伺いたいと思います。
それから、二宮公述人には、私どもの政党でも、確かに、垂直的な分配、所得税の累進をもっと引き上げること、あるいは、法人税の租税特別措置法等を外していくこと、そして、金融・証券課税等ももっと、一〇%ではなく二〇%に戻す、相続税の問題などもこれあると思います。
そして、この政権でもやっていきたいと思いますが、それらをやった上で、しかし、少子高齢社会を迎えておるので、間接税に頼らざるを得ない部分は出てくるのではないか。その一つが消費税だったり環境税であることも、社会構成の年齢分布、勤労層の減少そして高齢者の増加、そして、子供たちは育てていかなきゃいけないという社会の中で、ある程度負担を担い合っていくということは不可欠になってくるのかなと。もちろん前者の垂直分配をやった上でありますが、これについてはどうお考えであるかということを伺います。
そして、駒村公述人には、いただきましたこの分厚いまとめの中でも、フレキシキュリティモデル、北欧型のモデルで、ある程度、労働市場の流動化と、そしてそれをカバーすべくさまざまな社会保障政策の充実ということを相伴ってやっていくことも道ではないかというお考えでありましたが、私は実は小児科医で、この場合一番問題になるのは何かというと、子供たちなんだと思うんですね。
働く当事者は、失業保険とか長期のカバレッジがあったとして、次の仕事にトランポリンのように戻っていけたとしても、今の日本の施策のように、子供が親御さんの仕事の形態にくっついていて、例えば、常用雇用の親御さんを持つお子さんはやはり守られている度合いが高いし、非正規であれば、どうあったってその親御さんの状況に応じて非常に影響を受けるわけですね。ここに、日本が貧困の次世代送りをどうあっても断ち切れていない大きな問題があろうかと私は思うんです。
ですから、こういう流動化を進めるに際しては、徹底して、フランスのように、非婚の女性でも、あるいは就労形態にかかわらず、子供は社会が育てるんだという強い決意を示さないと、子供が抜けてしまうというか、今のような少子化が来るんだと思うのですが、その点についての御意見をお聞かせください。
逢
逢見直人#17
○逢見公述人 最低賃金とかかわって社会保険料負担の点について御質問がございました。
まず、最低賃金については、駒村公述人の発言にもございましたけれども、ワーキングプアが非常にまだまだ日本で多いわけです。就労していながら生活保護水準にも満たないという現在の最低賃金の水準は、早急に直していく必要がある。その上でも、今後も継続して最低賃金の大幅な引き上げということが必要だと思います。
ただ、その上で、中小企業の人たちにとってそれが大きな負担になっているということも認識しなければいけないと思います。
協会けんぽの財政事情について、私も運営委員の一人としてこの問題にかかわりましたけれども、標準報酬月額が、三千五百万人いる協会けんぽの人たちで下がってしまったということがありまして、中小企業をめぐる賃金の厳しさということが、この不況の中で大きく出てきているんだと思います。
そういう意味で、この人たちの社会保険料負担をどのようにしていくかという中で、今、ドイツの環境税の使途の問題が指摘されましたけれども、これから平成二十三年度に向けて環境税についての検討がなされる。その中で、税の使途をどうするかということが議論されると思いますが、その際に、ドイツのケースも十分参考にすべきだというふうに思っております。
この発言だけを見る →まず、最低賃金については、駒村公述人の発言にもございましたけれども、ワーキングプアが非常にまだまだ日本で多いわけです。就労していながら生活保護水準にも満たないという現在の最低賃金の水準は、早急に直していく必要がある。その上でも、今後も継続して最低賃金の大幅な引き上げということが必要だと思います。
ただ、その上で、中小企業の人たちにとってそれが大きな負担になっているということも認識しなければいけないと思います。
協会けんぽの財政事情について、私も運営委員の一人としてこの問題にかかわりましたけれども、標準報酬月額が、三千五百万人いる協会けんぽの人たちで下がってしまったということがありまして、中小企業をめぐる賃金の厳しさということが、この不況の中で大きく出てきているんだと思います。
そういう意味で、この人たちの社会保険料負担をどのようにしていくかという中で、今、ドイツの環境税の使途の問題が指摘されましたけれども、これから平成二十三年度に向けて環境税についての検討がなされる。その中で、税の使途をどうするかということが議論されると思いますが、その際に、ドイツのケースも十分参考にすべきだというふうに思っております。
二
二宮厚美#18
○二宮公述人 ただいまの御指摘の前段の話はよくわかります。
といいますのは、財政では量出制入という言葉がありますけれども、出る方をはかって、つまり社会保障など出す方をまず計算して、その必要な財源を、入る方を後でコントロールする、これが原則でありますから、前段おっしゃった、これから少子高齢化社会の中で社会保障がとりわけ多くの財源を必要とする、こういう考え方で税源を考えていく。
その際に、これは憲法上といいますか税法上の大原則なんですけれども、税法学では、憲法上は税というのは応能負担しかない。つまり、憲法上許される税制の原則というのは応能負担であって、応益負担ではあり得ない。応益というのは税金を集めるときの根拠にはなるんですけれども、負担をかぶせるときにはあくまでも応能負担でなければいけない。したがって、課税対象は、この場合は所得と資産。資本主義社会でありますから、所得か資産か、どちらかを課税対象にする、課税ベースにする。
それから、消費税について。
例えば奢侈品税のような個別的な間接税というのは、これはいわゆる一般財源を調達するということ以上に、別の、例えば環境なんかは特別の目的を持った税ですね。だから、そういう目的税型の、例えば個別的間接税、酒税なんかそうなんですけれども、そういうものについては別途考えられると思いますが、日本の現在の一般消費税、これに依存することは憲法上はできない相談であって、やってはならないと私は思います。
この発言だけを見る →といいますのは、財政では量出制入という言葉がありますけれども、出る方をはかって、つまり社会保障など出す方をまず計算して、その必要な財源を、入る方を後でコントロールする、これが原則でありますから、前段おっしゃった、これから少子高齢化社会の中で社会保障がとりわけ多くの財源を必要とする、こういう考え方で税源を考えていく。
その際に、これは憲法上といいますか税法上の大原則なんですけれども、税法学では、憲法上は税というのは応能負担しかない。つまり、憲法上許される税制の原則というのは応能負担であって、応益負担ではあり得ない。応益というのは税金を集めるときの根拠にはなるんですけれども、負担をかぶせるときにはあくまでも応能負担でなければいけない。したがって、課税対象は、この場合は所得と資産。資本主義社会でありますから、所得か資産か、どちらかを課税対象にする、課税ベースにする。
それから、消費税について。
例えば奢侈品税のような個別的な間接税というのは、これはいわゆる一般財源を調達するということ以上に、別の、例えば環境なんかは特別の目的を持った税ですね。だから、そういう目的税型の、例えば個別的間接税、酒税なんかそうなんですけれども、そういうものについては別途考えられると思いますが、日本の現在の一般消費税、これに依存することは憲法上はできない相談であって、やってはならないと私は思います。
駒
駒村康平#19
○駒村公述人 お答えします。
先ほど紹介しましたデンマークモデルというのは、先ほども議論にございましたように、日本の現状とは若干違いがありまして、日本は物づくりの部分も重要でございまして、長期雇用は年功的な処遇という労働者もおりますので、部分的にこういうものが入ってくるのはいいのじゃないか。
ただ、部分的に入れたとしても、先生おっしゃるとおり、安定的な雇用にいる方と、私は専門労働と申し上げましたけれども、こういう方でおのずと社会保障の方に差があるということになります。そうすると、子供がそれに巻き込まれる。親の労働条件が社会保障にもつながっている。ここがまず問題でございまして、当然、社会保障の一体化、特に所得あるいは応能負担の社会保険システムに統一するというのが大事かと思います。
そういう意味では、仕事をかえても年金や医療保険や雇用保険に全く影響がないような仕組みにしなきゃいけない。ただ、すぐにそれができないとしても、例えば、今の問題であると、国保、国民健康保険においては応益負担、子供の頭数に応じて負担がありますけれども、その部分は子供の頭数はカウントから外すとかいう工夫があってもいいのじゃないかと思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →先ほど紹介しましたデンマークモデルというのは、先ほども議論にございましたように、日本の現状とは若干違いがありまして、日本は物づくりの部分も重要でございまして、長期雇用は年功的な処遇という労働者もおりますので、部分的にこういうものが入ってくるのはいいのじゃないか。
ただ、部分的に入れたとしても、先生おっしゃるとおり、安定的な雇用にいる方と、私は専門労働と申し上げましたけれども、こういう方でおのずと社会保障の方に差があるということになります。そうすると、子供がそれに巻き込まれる。親の労働条件が社会保障にもつながっている。ここがまず問題でございまして、当然、社会保障の一体化、特に所得あるいは応能負担の社会保険システムに統一するというのが大事かと思います。
そういう意味では、仕事をかえても年金や医療保険や雇用保険に全く影響がないような仕組みにしなきゃいけない。ただ、すぐにそれができないとしても、例えば、今の問題であると、国保、国民健康保険においては応益負担、子供の頭数に応じて負担がありますけれども、その部分は子供の頭数はカウントから外すとかいう工夫があってもいいのじゃないかと思います。
以上でございます。
阿
鹿
富
富田茂之#22
○富田委員 公明党の富田茂之でございます。
三人の公述人の先生方、きょうは本当にありがとうございます。
私からは、まず駒村先生にちょっとお尋ねしたいんですが、先生の先ほどのお話の中で、保育制度は社会保障制度のかぎだ、特に年金財政の前提となっている有配偶女性の就業率、ここをアップさせる。これは、団塊世代が定年を迎えて、団塊ジュニアがあと何年かでお子さんを産める世代を通り過ぎてしまう。そういった意味で、ここをきちんと国の施策として対応しないと、本当に大変なことになるなというふうに私自身も感じています。
調査室の方等でいろいろ資料を用意していただいて、先生の論文を幾つか読ませていただいたんですが、日経新聞の「経済教室」に御投稿されたものを見ますと、「保育所軸に抜本改革急げ」という論文を投稿されました。
この中に本当に大事な視点、きょうもお話があった中で幾つかあったんですが、その中で、保育所サービスをきちんと充実させるための財源をどうするかというところで、先生の方から、児童手当拠出金と雇用保険から出ている育児休業給付とを統合してそういう財源にしたらどうだ、ワーク・ライフ・バランス拠出金制度というものをつくったらどうだろうという御提言がありました。
政府の方で、今後、毎年五万人分ふやしていくというふうに数値目標を出しましたけれども、残念ながら、財源が明示されていません。また、国と地方の分担をどうするかという点もきちんとされていません。今、保育所の運営費、国と地方を合わせると約一兆円程度出ているようですが、数値目標を達成するために三千億必要なのに、この部分についてもきちんとした明示がされていません。そういった意味で、やはりこういう財源はどうだろうという提言が大事だと思うんですね。
先生がこのようにワーク・ライフ・バランス拠出金というような制度はどうだろうと提言されている。ここのところをもう少し詳しく教えていただければと思います。
この発言だけを見る →三人の公述人の先生方、きょうは本当にありがとうございます。
私からは、まず駒村先生にちょっとお尋ねしたいんですが、先生の先ほどのお話の中で、保育制度は社会保障制度のかぎだ、特に年金財政の前提となっている有配偶女性の就業率、ここをアップさせる。これは、団塊世代が定年を迎えて、団塊ジュニアがあと何年かでお子さんを産める世代を通り過ぎてしまう。そういった意味で、ここをきちんと国の施策として対応しないと、本当に大変なことになるなというふうに私自身も感じています。
調査室の方等でいろいろ資料を用意していただいて、先生の論文を幾つか読ませていただいたんですが、日経新聞の「経済教室」に御投稿されたものを見ますと、「保育所軸に抜本改革急げ」という論文を投稿されました。
この中に本当に大事な視点、きょうもお話があった中で幾つかあったんですが、その中で、保育所サービスをきちんと充実させるための財源をどうするかというところで、先生の方から、児童手当拠出金と雇用保険から出ている育児休業給付とを統合してそういう財源にしたらどうだ、ワーク・ライフ・バランス拠出金制度というものをつくったらどうだろうという御提言がありました。
政府の方で、今後、毎年五万人分ふやしていくというふうに数値目標を出しましたけれども、残念ながら、財源が明示されていません。また、国と地方の分担をどうするかという点もきちんとされていません。今、保育所の運営費、国と地方を合わせると約一兆円程度出ているようですが、数値目標を達成するために三千億必要なのに、この部分についてもきちんとした明示がされていません。そういった意味で、やはりこういう財源はどうだろうという提言が大事だと思うんですね。
先生がこのようにワーク・ライフ・バランス拠出金というような制度はどうだろうと提言されている。ここのところをもう少し詳しく教えていただければと思います。
駒
駒村康平#23
○駒村公述人 申し上げます。
保育政策というのは、現物と現金と、それから働く支援というものがきちんとマッチしていかなきゃならない。現金だけでもだめですし、保育所だけでもだめですし、働き方の支援も同時に必要なんだということです。
その論文は、現状においては、子ども手当という議論がまだそのときはなかったわけでございますので、ちょっと状況は違いますけれども、子ども手当に、今、児童手当拠出金の位置づけが問題になってきております。私は、もう一つの選択肢としては、当然、子ども手当は国の財源として中心部分を担いつつ、児童手当拠出金は地方と企業が負担しておりますけれども、これと育児休業給付金を一体のものとして財源化して、これを保育所サービスの安定財源としておく。
きちんとゼロ歳児保育をとらせている、ちゃんと弾力的雇用を行っている企業はこの拠出金を低くする。つまり、保育システムに負担をかけていないんですから低くする。そして、きちんととらせていないんだというところは高い拠出金を払っていただくというメリット制みたいなもの、これは障害者雇用でもいろいろ入っておりますけれども、メリット制みたいなものを入れて、結局それをやった方が企業にとっても得なんだという方に誘導できるシステムをつくったらどうなのかということでございます。
そういう意味でワーク・ライフ・バランス拠出金というものを提案しましたけれども、これはもしかしたら、先ほどの連合のおっしゃった基金とかに似ているかもしれません。
以上でございます。
この発言だけを見る →保育政策というのは、現物と現金と、それから働く支援というものがきちんとマッチしていかなきゃならない。現金だけでもだめですし、保育所だけでもだめですし、働き方の支援も同時に必要なんだということです。
その論文は、現状においては、子ども手当という議論がまだそのときはなかったわけでございますので、ちょっと状況は違いますけれども、子ども手当に、今、児童手当拠出金の位置づけが問題になってきております。私は、もう一つの選択肢としては、当然、子ども手当は国の財源として中心部分を担いつつ、児童手当拠出金は地方と企業が負担しておりますけれども、これと育児休業給付金を一体のものとして財源化して、これを保育所サービスの安定財源としておく。
きちんとゼロ歳児保育をとらせている、ちゃんと弾力的雇用を行っている企業はこの拠出金を低くする。つまり、保育システムに負担をかけていないんですから低くする。そして、きちんととらせていないんだというところは高い拠出金を払っていただくというメリット制みたいなもの、これは障害者雇用でもいろいろ入っておりますけれども、メリット制みたいなものを入れて、結局それをやった方が企業にとっても得なんだという方に誘導できるシステムをつくったらどうなのかということでございます。
そういう意味でワーク・ライフ・バランス拠出金というものを提案しましたけれども、これはもしかしたら、先ほどの連合のおっしゃった基金とかに似ているかもしれません。
以上でございます。
富
富田茂之#24
○富田委員 今、先生の方からお話がありました。連合の逢見さんの方からもお話がありましたけれども、逢見さんの資料を見ていて、資料Bの「「子育て基金」の運営体制」というところを見ますと、同じように児童手当拠出とか雇用保険の育児休業給付分を子育て基金の原資にするというようなシステムを考えられています。
これはなかなかよく考えた案だなと思うんですが、今の政権の子ども手当を前提とすると、ここがちょっとなくなっちゃうんだと思うんですね。そうすると、子ども手当の部分は何か全部国費で負担しなきゃならない。それを前提としても、この子育て基金という方がいいというふうに逢見さんの方はお考えでしょうか。
この発言だけを見る →これはなかなかよく考えた案だなと思うんですが、今の政権の子ども手当を前提とすると、ここがちょっとなくなっちゃうんだと思うんですね。そうすると、子ども手当の部分は何か全部国費で負担しなきゃならない。それを前提としても、この子育て基金という方がいいというふうに逢見さんの方はお考えでしょうか。
逢
逢見直人#25
○逢見公述人 お手元の資料の中に、子育て基金の財源を国と事業主と被用者で、三者で賄うというイメージを出しておりますが、私ども、現在の児童手当の枠組みそのものを壊す必要はないと思っておりまして、子供を社会で育てるという中で、事業主にも一定の負担をお願いするということは論理的には十分成り立ち得るというふうに思っておりまして、こうした国だけではなくて事業主や被用者も出した中での子育て基金を、現物給付や現金の給付に充てていくという考え方でございます。
この発言だけを見る →富
富田茂之#26
○富田委員 駒村先生、もう一点お尋ねしたいんですが、先ほどの日経新聞の記事の中で、「新しい保育サービスとともに、低所得世帯への対応も不可欠である。」というふうにされまして、「非正規労働者のカップルでも家族形成・子育てができるよう、就労所得に応じて児童手当を上乗せする給付付き税額控除型の所得保障制度を導入すべきだ。」と。まだこのときは子ども手当が出ていなかったからこういうふうな表現をされたんだと思うんですが、給付つき税額控除というのは、民主党の皆さんも言っていますし、私たち公明党もそういう制度を今後考えていくべきだというふうに考えております。
ここの点はどんな観点で書かれたのか、詳しく教えていただければと思います。
この発言だけを見る →ここの点はどんな観点で書かれたのか、詳しく教えていただければと思います。
駒
駒村康平#27
○駒村公述人 この時点では、子ども手当というユニバーサルな、一種社会賃金というものがない状態でございました。先ほども少し申し上げましたけれども、専門的労働市場、つまり、日本型雇用から外れてしまったけれども、しかしきちんとした社会保険は使える、そして賃金もしかるべき、そしてその経験も全部評価されるような新しい労働市場をつくりましょうというのが前提としてあります。
その上で、しかし、それでも賃金が不安定でありますので、夫婦で家族を形成できるような賃金があればいいんですけれども、それができない場合は、ここで言う所得制限つきな子ども手当か、もしくは逆に子供に着目した給付つき税額控除というものの形で、非正規カップルでも家族が持てるような所得保障制度を形成すべきではないかという問題意識で作成しました。
この発言だけを見る →その上で、しかし、それでも賃金が不安定でありますので、夫婦で家族を形成できるような賃金があればいいんですけれども、それができない場合は、ここで言う所得制限つきな子ども手当か、もしくは逆に子供に着目した給付つき税額控除というものの形で、非正規カップルでも家族が持てるような所得保障制度を形成すべきではないかという問題意識で作成しました。
富
富田茂之#28
○富田委員 ありがとうございます。
もう一点、駒村先生にお尋ねしますが、年金制度の改革のお話をいただきました。きょう、ちょっとお話がなかったんですが、先生の論文の中で、年金制度をやはり持続的に考えていくためには、各政党が同じテーブルにきちんと着いて、みんなできちんと考えていくべきだという提言をされていました。本当に大事な話だと思います。
政権がかわって年金制度が変わるというのは、先ほど逢見さんの方からもありましたけれども、将来不安につながってしまいますので、そういった意味で、きちんとしたラウンドテーブルというのが必要じゃないかと思うんですが、その点について、ちょっと先生の御意見がありましたら教えていただきたいと思います。
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政権がかわって年金制度が変わるというのは、先ほど逢見さんの方からもありましたけれども、将来不安につながってしまいますので、そういった意味で、きちんとしたラウンドテーブルというのが必要じゃないかと思うんですが、その点について、ちょっと先生の御意見がありましたら教えていただきたいと思います。
駒
駒村康平#29
○駒村公述人 先ほどの資料でも申し上げましたように、もし民主党が出されたような年金改革となりますと、第二象限から第一象限ということで、また非常に大きな改革になるかと思います。こういう改革を行うときには当然社会的合意が不可欠でございまして、しかし、年金というのは超長期の問題でございますので、一回一回の選挙で高齢者が有利か若年者が有利かというのを問うものでもないと思います。
こういう意味では、各政党が年金についてかなり精通した方を中心にきちんと議論をするルール、とにかく合意はまず行うと。ただし、途中で気に入らないから席を投げるのではなくて、まず、何かしら途中でパフォーマンス的におりるということはない形で行っていく。そこにはかなり専門的な議論も出てくるとは思いますけれども、粘り強く議論をやっていただきたいというプロセスづくり、会議のルールづくりが実は重要なのではないかな、こういうふうに思っております。
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