法務委員会

2015-07-03 衆議院 全195発言

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会議録情報#0
平成二十七年七月三日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 奥野 信亮君
   理事 安藤  裕君 理事 井野 俊郎君
   理事 伊藤 忠彦君 理事 盛山 正仁君
   理事 山下 貴司君 理事 山尾志桜里君
   理事 井出 庸生君 理事 漆原 良夫君
      大塚  拓君    門  博文君
      門山 宏哲君    菅家 一郎君
      工藤 彰三君    小林 鷹之君
      今野 智博君    瀬戸 隆一君
      辻  清人君    冨樫 博之君
      豊田真由子君    藤原  崇君
      古田 圭一君    牧島かれん君
      宮崎 謙介君    宮澤 博行君
      宮路 拓馬君    簗  和生君
      山口  壯君    若狭  勝君
      黒岩 宇洋君    階   猛君
      鈴木 貴子君    柚木 道義君
      重徳 和彦君    大口 善徳君
      國重  徹君    清水 忠史君
      畑野 君枝君    上西小百合君
    …………………………………
   法務大臣         上川 陽子君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君
   内閣府副大臣       平  将明君
   法務副大臣        葉梨 康弘君
   法務大臣政務官      大塚  拓君
   最高裁判所事務総局刑事局長            平木 正洋君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  大原 一郎君
   政府参考人
   (警察庁長官官房総括審議官)           沖田 芳樹君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    三浦 正充君
   政府参考人
   (消費者庁次長)     川口 康裕君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 高嶋 智光君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    深山 卓也君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    林  眞琴君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  岡村 和美君
   法務委員会専門員     矢部 明宏君
    —————————————
委員の異動
七月三日
 辞任         補欠選任
  辻  清人君     小林 鷹之君
  宮川 典子君     豊田真由子君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 鷹之君     辻  清人君
  豊田真由子君     工藤 彰三君
同日
 辞任         補欠選任
  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君
同日
 辞任         補欠選任
  瀬戸 隆一君     牧島かれん君
同日
 辞任         補欠選任
  牧島かれん君     宮川 典子君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
     ————◇—————
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奥野信亮#1
○奥野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官大原一郎君、警察庁長官官房総括審議官沖田芳樹君、警察庁刑事局長三浦正充君、消費者庁次長川口康裕君、法務省大臣官房審議官高嶋智光君、法務省民事局長深山卓也君、法務省刑事局長林眞琴君及び法務省人権擁護局長岡村和美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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奥野信亮#2
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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奥野信亮#3
○奥野委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局平木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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奥野信亮#4
○奥野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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奥野信亮#5
○奥野委員長 本日は、特に証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度等の創設について質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。
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階猛#6
○階委員 おはようございます。民主党の階猛です。
 本日は、司法取引という、全体の中で限られたテーマについてお尋ねしますし、また、根本的な、基本的なところをお尋ねしたいと思っていますので、参考人登録はしておりません。ぜひ両大臣から忌憚のない御意見を聞かせていただければと思います。
 最初にお尋ねしたいのは法務大臣に対してですが、今回、いわゆる司法取引によって犯罪者に恩典を与えることが正当化される根拠について御説明いただけますか。
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上川陽子#7
○上川国務大臣 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 現行の刑訴法の規定によりますと、検察官におきましては、広範な訴追裁量権が認められているところでございます。同法の二百四十八条におきまして、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」という規定でございますが、証拠上、犯罪事実が認定できる場合であっても、検察官の裁量によりまして公訴を提起しないことが認められている、こうした起訴便宜主義にのっとった規定であるというふうに理解をしているところでございます。
 また、審判対象であります訴因の設定につきましては、検察官の専権であるというふうに解されているということでございまして、判例におきましても、検察官が、事案の軽重、立証の難易等諸般の事情を考慮して、犯罪事実の一部により、または訴因事実を選択して訴追することができる旨を認めているところでございます。
 合意制度についてでございますけれども、こうした広範な訴追裁量権を背景といたしまして、被疑者、被告人の事件について処分の軽減等を行うことを可能にするものであるということでございます。被疑者、被告人が他人の刑事事件の捜査、公判に協力したことを、検察官が、同法の二百四十八条にも規定されております犯罪後の情況として被疑者、被告人に有利に考慮し、これを訴追裁量権の行使に反映させることができるということを根拠とするものでございます。
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階猛#8
○階委員 他人の事件を密告することが、犯罪後の情況として、訴追裁量権を行使する上で、被疑者、被告人に対してその罪を軽減する方向で考慮できるというお話でしたけれども、今読み上げていただいた刑訴法二百四十八条の条文の中には情状という言葉も出てきますね。
 情状ということでいえば、自己の事件について罪を認めて本当のことをしゃべった、それによって恩典を受けるということの方が、なおさら、起訴便宜主義のもとで被告人、被疑者にとって有利に考慮すべき事情に当たると思うんですけれども、今回は自己の事件についてはなぜ司法取引の対象に含まなかったのか、今の二百四十八条との関係では私は矛盾があるのではないかと思いますけれども、御説明いただけますか。
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上川陽子#9
○上川国務大臣 この合意制度につきましては、先ほど条文を挙げて御説明をさせていただきましたけれども、広範な訴追裁量権を検察官が有しているということにつきまして、被疑者、被告人の捜査、公判への協力を考慮して、事件について処分の軽減等を行うということを可能にする制度でございます。
 このような観点がございまして、今回の合意制度におきましては、協議、合意の要素を有する証拠収集方法の導入について、初めてということでございまして、対象犯罪につきましても、必要性が大変高い、その利用にも適している、また、国民の皆さんからも理解されやすい一定の類型の犯罪に限定をして取り組むということでございます。
 その意味で、合意制度につきましてはこの訴追裁量権が背景ということでございまして、先ほど申し上げた犯罪後の情況という記述に即した形での根拠というふうに理解しているところでございます。
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階猛#10
○階委員 御自身で何を答えているのかわかっていないような気がするので、もう一回お尋ねしますね。
 私が聞いたのは、今回、司法取引によって他人の事件を密告した人に恩典を与える根拠として、刑訴法の二百四十八条を挙げられました。その中の犯罪後の情況という言葉が根拠になるということをおっしゃられました。
 他方で、その条文の中には情状という言葉も出ているかと思います。情状という意味でいえば、自分の犯罪について自白して、それで恩典を受けるという自己負罪型の司法取引の方が、二百四十八条からの帰結としてより正当性があるのではないかと思います。しかし、二百四十八条を根拠としつつ、今回、自己負罪型を入れられなかったのはなぜかということを聞いているんです。
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上川陽子#11
○上川国務大臣 ただいま、合意制度の中に大きく二つある中で、御質問は、自己負罪型に係る部分についてむしろ取り組むべきではないかという御主張だというふうに理解しているところでございます。
 今回は、被疑者、被告人が、他人の刑事事件についての協力行為を提供することに合意をする捜査・公判協力型ということで取り組むということでございます。一般的に、この捜査・公判協力型につきましては、主として組織的な犯罪等の解明について目的とするものでございまして、また、今委員御指摘の自己負罪型につきましては、主として事件処理の効率化を目的としているというふうに考えられるところでございます。
 我が国の刑事司法制度におきましては、検察官と被疑者、被告人がやりとりをした上で、互いに相手方の求めるものを提供し合うという、協議、合意の要素を有する手段であるということで、今回は初めての取り組みになるということでございまして、先ほどちょっと説明いたしました、証拠の収集方法として特に必要性が高いと考えられる捜査・公判協力型の制度の導入からスタートするということが相当ではないかということでございます。
 自己負罪型の制度につきましても、捜査・公判協力型の制度を導入した上で、その運用状況等も踏まえながら、必要に応じて、そのような制度が我が国の刑事司法制度にどのような影響を与え得るかということも十分に見きわめながら検討を行っていく、そういう意味で、段階的に取り組んでいく必要があるのではないかという認識に立っているところでございます。
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階猛#12
○階委員 全然かみ合わないですね。
 政策的な合理性を聞いているのではなくて、二百四十八条の解釈の帰結として、他者負罪型よりも自己負罪型の方がより整合するのではないかということを言っているんです。それについてまともに答えられないということであると、納得できませんね。(葉梨副大臣「自由裁量なんだから、優先じゃない」と呼ぶ)不規則発言はやめてください。(葉梨副大臣「不規則じゃないよ、事実を言っているんだよ」と呼ぶ)不規則発言ですよ。
 委員長、不規則発言をやめさせてください。委員長。
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奥野信亮#13
○奥野委員長 ちょっと、階君、落ちついて。ヤジちょっと待ってください。
 もし質問の趣旨がしっかりと理解できていないとあなた方はおっしゃるならば、こっちは質問の趣旨が違っているよということを言っているわけだから、副大臣は細かいことをよく知っているようですから、もし副大臣に答弁を許してくれるならば、副大臣に答弁させますが。(階委員「いえ、大臣で結構です」と呼ぶ)大臣でいい。だけれども、それだったらかみ合わないかもしれないよ。(階委員「かみ合わないということは、大臣として説明義務を果たしていないということになります」と呼ぶ)
 では、もう一度やってください。
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階猛#14
○階委員 はい、わかりました。
 二百四十八条、先ほど文言を読み上げられました。その中の犯罪後の情況という文言が根拠となって、今回、他者負罪型の司法取引を導入されるんだということを最初に答弁されました。しかし、二百四十八条の文言を根拠とするのであれば、犯罪者の情状というものも考慮して訴追裁量権を行使すべきというたてつけになっているわけですから、なおさら、自己負罪型については導入する正当化根拠が認められるのではないかということを申し上げたんです。
 そのことについて、なぜ自己負罪型が二百四十八条のもとで入れられなかったのかということをお聞きしています。
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上川陽子#15
○上川国務大臣 前の質問でお答えをさせていただきましたけれども、合意制度には二つの類型があるということでございます。これはいずれも検察官の訴追する権利に基づいて行われるということでありますけれども、大別して、捜査・公判協力型と自己負罪型ということであります。もちろん、二百四十八条に照らして、今委員御指摘の自己負罪型がそれに合致しないということを申し上げているわけではございませんで、そちらの方も当然入るということではございます。
 しかし、今回は、日本の国で初めて取り入れるということもございまして、そういう意味で、証拠の収集方法として特に必要性が高いと考えられる捜査・公判協力型の制度の導入ということが相当ではないか、こうした判断の上で、まず捜査・公判協力型の制度を導入した上で、その運用状況も踏まえながら、必要に応じて、今御指摘のありました自己負罪型制度につきましても検討を行っていくことが適当ではないか、こういうことでございます。
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階猛#16
○階委員 まず、二百四十八条の文言に照らしてみても、あと、後ほど述べます冤罪の可能性という点に照らしてみても、自己負罪型ではなく、最初に他者負罪型をやるのはおかしいのではないかということを最初に申し上げておきます。
 その上で、自己負罪型ではなく他者負罪型の司法取引を導入されたということなんですが、犯罪後の情況として、事実解明に協力したということを恩典を与える根拠にするとすれば、事実解明に協力するという意味では、重大な事件であればあるほど、その解明に協力した人にはより大きな恩典が与えられるというのが筋だと思います。
 先般こちらに見えられた参考人も、地下鉄サリン事件のときの林被告の例を挙げられていました。ああいう重大事件の事実解明に協力した人には恩典を与えていいんだというようなこともおっしゃっていましたけれども、今回は、あえて対象事件を限っている、しかも重大事件については外している。
 私が持っている問題意識は、ターゲットとされる人の事件の範囲ですよ。本人の事件ではないですからね。本人の事件は、私は、るる大臣も説明されていますけれども、本人の事件、重い事件について、捜査に協力したから簡単に罪を免れるということは余り認めるべきではないと思います。しかし、他者の事件については、むしろ重大な事件であればあるほど、捜査に協力したら恩典を与えるのは筋ではないかと思うんですが、なぜ今回、他者の事件についても狭い範囲、しかも比較的罪が軽い範囲に限定されているのかということをお尋ねします。法務大臣。
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上川陽子#17
○上川国務大臣 先般の参考人の質疑の折にそうした御指摘があったということについては承知をしているところでございます。
 今回、合意制度につきまして、捜査協力型の合意制度に取り組むということにつきましては、判断としては、この制度の対象とすべき必要性が高い、そしてその利用にも適している、そしてまた、被害者を初めとして国民の理解も得られやすいと考えられる一定の類型の犯罪に政策的に限定をするということが相当ではないか、こういう判断のもとで、一定の財政経済犯罪、そして薬物、銃器犯罪に政策的に限定することとしているところでございます。その意味では、一番初めにスタートするということでありますので、政策的にそうした二つの類型に限定をするということで始めていくことが適当ではないかというふうに考えております。
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階猛#18
○階委員 私の問題意識は、他者の事件と自己の事件とで、今回は別に、自分と関連のない事件についても事実解明に協力すれば刑の減免などの恩典が受けられるわけですから、何も一致させる必要はないのではないかと。一致させずに、むしろ、重い犯罪であればあるほど、事実解明に協力したら恩典を与えるべきではないかということを言っているんですが、あえて一致しなくちゃいけない合理的な根拠というのはあるんですか。大臣、お願いします。
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上川陽子#19
○上川国務大臣 委員の問題意識そのものにつきましてはよく理解をさせていただきました。問題意識そのものは大変重要な御指摘だというふうに思っております。
 今回の合意制度、我が国で初めて取り入れられる制度ということでございまして、その意味では、この制度そのものを、必要性の高い部分、そして国民の皆さんからも理解を得やすいということで、政策的な判断ということで対象を絞っているということでございますが、その後、さまざまな運用の段階の中でさらに検証を深めながら、そのことにつきましても検討していく余地は私はあろうかというふうに思っております。
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階猛#20
○階委員 何か、このあたりの説明も十分煮詰まっていないような気がします。
 次に、司法取引により得られた他人の事件に関する供述、これに証拠能力を与えることが正当化される根拠について聞きたいと思います。
 先日の参考人質疑でも、従来は、約束ないし利益誘導による自白の証拠能力が否定されるという法理があったわけですけれども、今回は、まさに約束とか利益誘導による、典型的には共犯者の自白の証拠能力を認めるということで、百八十度証拠能力の考え方が変わってきていると思います。
 しかも、その背景で説明されていたのは、まず、恩典が与えられることによって必ずしも虚偽のことは言わないんだ、あるいは、仮に虚偽のことを言ったとしたら処罰されるんだということあたりから、証拠能力が認められることも問題ないんだということを言っていましたけれども、果たしてそれが想定どおり機能するのかどうか。むしろ、罪を免れるということであれば、安易に他人のことについてうそのことも言いかねないだろうし、覆したら処罰されるということであれば、一回うそのことを言ってしまったらその後もずっとうそを言い続けなくてはいけないということで、むしろ、今回の制度には、証拠能力について否定するような事情すらあるのではないか。
 そういったことを考えると、なぜ司法取引により得られた他人の事件に関する供述に証拠能力を与えることが正当化されるのかということを疑問に思うわけです。
 この点について、法務大臣、納得できる説明をお願いします。
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上川陽子#21
○上川国務大臣 委員御指摘がございました、判例によりましても、約束による自白、約束自白ということにつきまして任意性を否定したものということでございます。
 その理由についてでありますけれども、これは、虚偽供述のおそれが類型的に高いということを中心に理解するというのが通説的な見解であるというふうに思われるところでございます。約束による自白は虚偽供述のおそれが高いということでございます。
 一方、合意制度におきましては、協議の開始から合意の成立に至るまで、弁護人の関与ということを規定しているところでございますので、被疑者、被告人といたしましても、弁護人の助けを得ながら、合意に応じるか否か、つまり、自己に有利な取り扱いを受ける、恩典を受けるということと引きかえに供述をするか否かにつきまして、検察官と一対一で対峙するという形ではなく、弁護人の同席とその援助を十分に得ながら任意に判断することができる、こういう仕組みでございます。
 さらに、合意制度におきましては、自白をすることではなく、あくまで真実の供述をする、真実の供述につきましては、自己の記憶に従った供述をすることを約束するということになるわけでございます。自白は反対尋問にさらされないということでありますが、この合意に基づく供述につきましては第三者の公判で徹底した反対尋問にさらされるということでございますので、その信用性につきましては厳しく吟味をされるということになるわけであります。
 虚偽の自白につきまして、基本的に処罰の対象とならないということでありますが、合意をした者による捜査機関に対する虚偽の供述等につきましては、新設いたしました罰則によりまして処罰の対象になる、こうした制度をつくっているところでございます。
 また、検察官といたしましても、合意に基づき供述が得られた場合に、その供述が公判におきましても十分に信用され得るものかどうかということについて判断をするために、徹底的に裏づけ捜査を行うことになるわけでございます。
 その結果、仮にその供述が虚偽であるということが明らかにされるということになりますと、これは合意から離脱するということが可能となるということでありまして、被疑者、被告人として有利な取り扱いを受けられないということになる上、さらに虚偽供述罪によりまして処罰され得るということにもなるということになります。
 したがいまして、合意に基づく供述につきましては、たとえ虚偽であったといたしましても、特定の供述をしようというような誘因が必ずしも強いというふうに言えないのではないかということでありまして、言いかえて申し上げますと、虚偽供述のおそれが類型的に高いということは言えず、むしろ真実を供述する誘因が働き得るというふうに考えているところでございます。
 したがいまして、合意制度のもとでの合意に基づく供述につきましては、任意性が否定された判例の事案におきます、いわゆる約束に基づく自白とは異なるものということでありまして、現行法のもとでの考え方と矛盾をしない、証拠能力を認めることに問題はないというふうに考えられるところでございます。
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階猛#22
○階委員 今、大きく分けると三つ、証拠能力を与える根拠を述べられました。一つは弁護人の関与があるということ、それから、自白ではない供述だから反対尋問のチェックを受けるということ、それから、裏づけ捜査によって問題があれば証拠から排除されるということ、三つのことをお話しされたということで理解しましたが、それでよろしいですね。端的に。ほかに何か言いましたか。
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上川陽子#23
○上川国務大臣 ただいまの御質問に対しまして、主な内容として今の三つの視点ということでまとめていただきましたけれども、そのように申し上げたところでございます。
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階猛#24
○階委員 そこで、三つについてお尋ねしますけれども、司法取引の協議に弁護士が立ち会うから虚偽の供述というものがなされる可能性が少ないと言いましたけれども、そこで問題となってくるのは、弁護士の能力とか倫理観がちゃんとしていなければ、今お話しになったことは絵に描いた餅になるわけですね。
 実は、弁護士以前に検察官の問題として、先日の参考人の中で高井さんという方が、最近、被疑者の供述が得られにくくなっている理由として、若い検察官の取り調べ能力が落ちているという指摘もあったところです。そうすると、安易に司法取引で事件を処理しようという検察官もふえてくるかもしれない。
 他方で、先ほどの弁護人の関与ということが重要なわけですけれども、弁護人としては、真実を見きわめる高い能力も要求されるだろうし、他方で、取引に応じれば、依頼者は不起訴等の恩典が得られて、弁護人も労せずして報酬が得られるということですから、安易に司法取引に応じるインセンティブもあるわけです。
 そこで、司法取引が導入されると、今まで以上に検察官や弁護士に高い能力と倫理観が求められるというふうに考えております。これは確認ですけれども、同意していただけますか。
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上川陽子#25
○上川国務大臣 この間の参考人質疑の折にもそのような御指摘があったということでございますが、そもそも、そうした裁判にかかわる法曹の皆さんの倫理観ということにつきましては、極めて高い能力が必要とされるものというふうに考えております。
 冤罪をなくしていくというこの法律の当初の目的から照らしてみても、その意味で、高い高い倫理観を持って、それぞれが役割を果たしながら、真実の究明とそれに基づく処罰ということについても、国民の皆さんからしっかりと理解され、信頼されるものとしなければいけないという意味では、これはどの状況におきましても限りなく追求していくべき課題ではないかというふうに考えます。
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階猛#26
○階委員 そこで、現在の法曹養成制度がそういう高い能力と倫理観を養うものに資するものかどうかということを議論したいんです。
 私もこの委員会で何度も指摘していますけれども、現行の法曹養成制度のもとで、年々志願者が減っている。昨年は、合格ラインを前年より大幅に引き下げたにもかかわらず、合格ラインを超えた人数は、前年より二百人も減って千八百人ぐらいになっている。また、今の制度になってから弁護士人口が急増したこともあって、年々就職環境が悪化していて、新人弁護士の収入が減る、あるいはOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを受ける機会も減っているということも指摘されています。
 こういう状況で、果たして司法取引にたえられるような高い能力と倫理観を持った弁護士は育つものだろうかということについて私は疑問に思っていますけれども、大臣の所見を伺います。
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上川陽子#27
○上川国務大臣 高い能力と倫理観を持った法曹の養成ということについて、これはもう最大の目標として法曹養成の理念に掲げているところでございます。
 今回、さまざまな法曹養成教育をしながらということで、新しく導入されたこの制度につきまして、目標としていたものに対して、先ほど御指摘のあるように、法曹になりたいと思っている若い世代の皆さんが、現状が大変厳しいという中で、本来、やりたいと思っていて使命感の高い方たちが、魅力のある場所としてこの法曹養成のコースになかなか乗りにくくなっている。このことを踏まえて、今回、改革ということでの道筋をつけようということで、新たな取り組みをこれからするところでございます。
 まさに、こうした刑事訴訟法の改正において新しい制度ということについて導入されるわけでありますので、そこの質の部分についての極めて高い倫理観そして能力を養成することができるようなものにしていくということも極めて大事なことであると思いますし、現在携わっている法曹の皆さんにおきましても、いかなる状況であろうとも、絶えず自己改革、自己研さんをしながら高い能力を身につけ、また、倫理観をしっかりと持って取り組んでいくということ、これは、理想的過ぎるのではないかというふうに思われるかもしれませんけれども、そうした目標の中で、まさに改革をし続けていかなければいけないと思っているところでございます。
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階猛#28
○階委員 まさにその法曹養成制度改革について、先日会議で決定がされましたね。その中で、例えば、当面、すなわち五年間、千五百人の合格者を輩出するよう必要な取り組みを進めるだとか、あるいは、予備試験については、法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度の理念を損ねることがないよう配慮するということで、これはどちらかというと予備試験についてネガティブな考え方が示されているかと思います。あと、司法試験については、選択科目の廃止の是非について引き続き検討というようなことがあります。
 私が考えるに、当面、千五百人を五年間維持するということは、純増という意味でいいますと毎年千人ぐらいになって、五年間やると五千人もふえちゃうわけですね。先ほど言ったような就職状況の悪化、OJT環境の低下、こういったことを考えると、これで果たして質の向上につながるのだろうか。
 また、予備試験というのは、御案内のとおり、いかなる法科大学院よりもこれまで高い合格実績を上げてきた。合格率が高かったわけですね。そういったところを経て司法試験を通る人を減らすということが質の向上につながるのだろうか。
 あるいは、司法試験も、選択科目を廃止して受かりやすくするということは、逆に言うと、今までより楽に司法試験に受かるようになるということですから、これも果たして質の向上につながるのだろうか。
 ということで、質の向上ということを目指していかなくてはいけない、司法取引の導入を議論している状況下において、それとちょっとベクトルが違うのではないかという気もするんですが、この点についての大臣の御見解をお聞かせください。
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上川陽子#29
○上川国務大臣 ことし六月三十日でありますけれども、法曹養成制度改革推進会議におきまして、今後の法曹養成制度改革の取り組み内容ということで決定をいたしました。御指摘いただいたような内容も盛り込まれているところでございます。
 この決定の目標としては、まさに、高い能力を持った法曹を輩出していこうという大きな目標に基づいて、その上で、法曹養成制度そのものを抜本的に改革すべく、法科大学院全体としても、司法試験の合格率について、現状では十分ではない、むしろ期待されていた目標に達していないという状況を踏まえた上で、志願者自身も減少しているのではないか。こうした問題があるということを真摯に受けとめた上で、法曹志願者数を回復させる。
 法曹志願者数を回復させるということは、そもそも、法曹の分野に若い世代の皆さんがどんどんチャレンジしていただくことができるように、魅力のある、また新たな時代にふさわしい制度にしていこうということでございまして、まさに質の高い法曹が要請されていることを受けて、これから、千五百名ということで当面の目標を掲げながらも、法科大学院の修了者につきましては相当程度合格をしていくことができるような充実した教育ということについては、組織の見直しを初めとして、教育の質そのものも向上していただくということを織り込んだ形でそれぞれが努力をしていかなければいけないということで、今、法科大学院の場合には三十年を目標に改革を進めていただくということで、法務省といたしましても、こうした各機関の協力を得ながら着実に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
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