国際経済・外交に関する調査会

2018-02-21 参議院 全106発言

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会議録情報#0
平成三十年二月二十一日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     藤田 幸久君     小林 正夫君
     伊藤 孝江君     里見 隆治君
 二月二十日
    辞任         補欠選任
     尾辻 秀久君     こやり隆史君
 二月二十一日
    辞任         補欠選任
     こやり隆史君     徳茂 雅之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         鴻池 祥肇君
    理 事
                三木  亨君
                宮本 周司君
                吉川ゆうみ君
                大島九州男君
               佐々木さやか君
                武田 良介君
                石井 苗子君
    委 員
                猪口 邦子君
                今井絵理子君
                小野田紀美君
                大野 泰正君
                こやり隆史君
                酒井 庸行君
                徳茂 雅之君
                藤川 政人君
                丸山 和也君
                宮島 喜文君
                小林 正夫君
                杉尾 秀哉君
                鉢呂 吉雄君
                熊野 正士君
                里見 隆治君
                木戸口英司君
                江崎  孝君
                伊波 洋一君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        松井 一彦君
   参考人
       防衛省防衛研究
       所地域研究部長  兵頭 慎治君
       岐阜女子大学南
       アジア研究セン
       ター客員教授   福永 正明君
       日本映画大学特
       任教授      熊岡 路矢君
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  本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
 (「アジア太平洋における平和の実現、地域協
 力及び日本外交の在り方」のうち、信頼醸成と
 永続的平和の実現に向けた取組と課題(日AS
 EAN、日ロ関係等)について)
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鴻池祥肇#1
○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、伊藤孝江君、藤田幸久君及び尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として里見隆治君、小林正夫君及びこやり隆史君が選任されました。
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鴻池祥肇#2
○会長(鴻池祥肇君) 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
 本日は、「アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方」のうち、「信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題」に関し、「日ASEAN、日ロ関係等」について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、防衛省防衛研究所地域研究部長兵頭慎治参考人、岐阜女子大学南アジア研究センター客員教授福永正明参考人及び日本映画大学特任教授熊岡路矢参考人に御出席をいただいております。
 先生方には、大変御多忙の中御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 忌憚のない御意見をいただきながら、私どもの調査の参考にさせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
 本日は、まず、各参考人からお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までを目途に質疑を行いたいと思います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず兵頭参考人からお願いを申し上げます。兵頭参考人。
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兵頭慎治#3
○参考人(兵頭慎治君) ただいま御紹介いただきました防衛研究所の兵頭と申します。
 この度は、参議院の調査会にお招きいただき発言をする機会を与えていただきましたことを、関係の先生方を始め皆様方に御礼申し上げます。
 私は防衛研究所という組織に属しておりますが、これは防衛省の一組織ではありますが、国立の唯一の安全保障シンクタンクということでございまして、東アジア全般の地域情勢、その他安全保障について研究をさせていただいております。国の研究機関に属しておりますが、今日は一ロシア研究者の個人的な見解ということでこれからお話をさせていただきます。
 お手元に配付資料がございます。これに従って御説明いたします。
 今日お話しする内容でございますけれども、まずは、来月にロシアで大統領選挙、これが予定されておりますので、次のプーチン政権、果たしてどういう状況になるのか、そして、そのプーチン政権と今、日本は領土問題も含めて平和条約締結交渉を進めているわけですが、この辺りの見通しについて私の研究者としての見解をお話し申し上げたいと思います。
 その前に、ちょっとロシアを我々日本の側から見る上で、なかなかロシアというのは捉えどころがないというところがございまして、なぜ捉えどころがないのかというところをちょっと簡単にお話をしますと、一つは、ロシアというのは世界最大の陸地面積を引き続き誇る国でございまして、モスクワというのは地理的にヨーロッパに属しておりますけれども、日本に近いウラジオストク、ロシア極東というのはアジアでございまして、ヨーロッパなのかアジアなのか、あるいはどちらの地域からロシアを見るのかによって大分この国の見え方が違ってくる部分がある。そして、ロシア自身は、ヨーロッパでもアジアでもない、自分たちはユーロアジア、ユーラシア国家であるという、こういうことをまたアイデンティティーとして主張する、そういう国でございます。
 それからもう一つは、非常にこのロシアというのはアンビバレントなところがございまして、経済規模でいうと実はGDPで韓国程度しかないと。そうすると、国際社会でこの程度の経済規模であればそれほど重要な国じゃないじゃないかという過小評価もあるんですけれども、他方で、核戦力も含む膨大な軍事力、これを有しながら、時としてそれを使うことがあり得る。それが御記憶の二〇一四年のクリミア編入であったり、シリアへの軍事介入であったりするということでございまして、非常にアンビバレントな、どの部分を見て評価するのか、ここも非常に見方が分かれるところでございます。
 それから最後に、日本からロシアをどう位置付けるのかということでありますが、冷戦時代は非常にクリアだったわけです。ソ連というのは日本の安全保障上の最大の関心であったということでありましたが、冷戦崩壊、ソ連崩壊後、果たしてロシアというのを日本の安全保障上どう位置付けていくのか。そこも、敵ではないんだけども、だからといって完全に価値を共有する味方かというとそうでもない、この辺りも非常に曖昧な状況が続いている、ここがロシアの分かりにくさではないかと思っております。
 それでは、来月三月十八日のロシア大統領選挙についてまず触れさせていただきます。
 もうこれはメディア等で御案内のとおり、現職のプーチン大統領、六十五歳でございますが、再選が確実視されています。ロシアの世論調査におきましても、プーチンの支持率は七割以上、高支持率でありまして、プーチンを含めまして八名の立候補者が出ていますが、事実上無風選挙ということで、プーチンの勝利、これが確実視されているわけであります。
 ただ、その三月十八日、これ何の日かといいますと、四年前の実はクリミアを編入した日でございまして、この日に大統領選挙をあえて設定しながら、ロシア国内でナショナリズムを意図的に鼓舞しながら、やはりプーチンじゃないと駄目だろうという選挙キャンペーンをやっているということであります。
 結果はプーチン勝利で見えているので安泰ではないかというふうに思われるかもしれませんが、実は今回の選挙というのは、プーチンにとっての国民からの信任投票という、こういう側面があります。プーチン陣営は投票率七割、得票率七割を課題に掲げていまして、これがクリアできると過半数の国民から信任を得たということになるわけであります。ただ、過去の得票率で七〇%を超えたのは一度しかプーチンございませんし、投票率に関しても大統領選挙で七割超えたことがないということで、実はこれはかなりぎりぎりの厳しい目標設定でもあるということであります。なぜ、プーチンがこのような目標設定するかというと、次のプーチンの六年間の政権基盤の強度、これに今回の選挙結果というのが直結するということになります。
 プーチン、勝利しますと二〇一八年から二〇二四年まで、ロシアの大統領任期六年ですから、まあ、プーチンさんは二〇〇〇年に大統領になって一度首相は退いていますが、事実上の最高実力者であって、何と二〇二四年まで二十四年間、ほぼ四半世紀ロシアのトップに君臨するということになりますが、しかしながら、次の六年間で事実上プーチン政権は最後であるというふうに見られています。
 これを我々、二〇二四年の壁というふうに言っていますが、なぜ次の六年間、最後の任期になるかといいますと、ロシアの憲法規定上、三選は禁止されています、三期連続が禁止されています。ですから、これに従えば次回六年で最後ということになりますし、ただ、ロシアの場合は憲法修正もあり得るんじゃないかという、こういう指摘もあろうかと思うんですけれども、実はプーチンさん、今六十五歳でありますけれども、何とロシアの男性平均寿命というのは六十七でありまして、二〇二四年までプーチンさんが大統領任期満了して七十一歳、そこからもう一回出馬して六年というのはちょっとやっぱり考えにくいということで、多くの識者、それからロシアの中でも次が事実上プーチン政権最後というふうに見られます。
 また、プーチンさんが長年大統領をやっていますので、国民からはちょっとプーチン疲れのようなものもありますし、潜在的な反プーチン的な動きもロシアの中では見られると。ただ、主要国のリーダーの中で二〇〇〇年から国のトップを務めているという、これはやはりプーチンさん以外にほかに見られないということになりますので、主要国のリーダーの中では、やはり個人的な政治家としてのリーダーシップというのは優位性が残されるのではないかというふうに見ています。
 そうなりますと、次の六年間でプーチンさんのレームダック化がいつ始まるのか、実はこれが今後、日ロ関係、平和条約締結交渉を進めていく上で非常に重要なポイントになります。やはり最終的に政治決断、これをプーチンさんに行ってもらうということからしますと、いつ頃になるのか。これも今有識者の間でいろいろ議論されていますけれども、やはり六年間の後半三年は緩やかなレームダック化、ポストプーチン体制に向けた内向き傾向が強まるのではないかという見方が多いと見られますので、やはり二〇二一年頃、この辺りを目指してロシアとは交渉を進めていく必要があるんではないかと思っております。
 一枚おめくりいただきまして、続きまして、ロシアの世界観というのはどういうものかということなんですけれども、冷戦時代の二極、それからアメリカの一極世界というのは事実上終わって、多極世界が到来したというのが現在のロシアの世界観、あるいはプーチンさんの世界観ということになります。
 その中で、多極世界の中でいかにロシアが存在感を示し、そして一つの極として台頭していくのか、これがプーチンさんの外交課題、戦略課題というふうに言えると思います。この観点から、実はその多極世界、当然これはアメリカと中国も極の一つというふうにロシアは見ているわけでありますが、相対的にアメリカから中国にパワーシフトが展開していくというふうにロシアも認識しておりますので、やはり今後ロシアもアジアを重視せざるを得ない。こういうアジア重視、ロシアの東方シフトというのはこれからも更に強まっていくというふうに考えております。
 こうした中、次のプーチン政権の外交課題というのは何なのかということを考えていきますと、これはプーチンさんの本音の部分、まあ私が推測するところでありますけれども、行き過ぎた反米親中路線というのをいかに次の六年間で修正していくことができるのかというのがプーチンさんの本音の外交課題ではないかというふうに私自身は見ています。
 実は、この米ロ関係、ロシアゲートも含めて、非常にもう改善の兆しがないほど悪化してしまっている。これはロシアからしても非常に行き過ぎであって、何とかしてこの米ロ関係をもう少し改善していきたい、多分これが本音ではないかと。今選挙キャンペーンやっていますから、反米レトリックを前面に出しながら選挙戦っていますけれども、実はこれ以上やってしまってもどうかという思いがプーチンさんにあるのではないか。それから、中ロ関係に関しても、表面的には政治的蜜月というふうに言われていますが、しかしながら、ウクライナ危機後、国際社会でロシアが孤立する中、必要以上に中国傾斜、中国依存が進んでしまったというふうにプーチンさんは思っているんではないかというふうに私は推測をしております。
 この中ロ関係ですけれども、GDPでいいますと、中国の経済規模というのはもうロシアの六倍でありますので、もう対等な関係は失われつつあって、上下関係、このままいくとロシアというのは中国のジュニアパートナーになってしまう、更にいくと軍門に下る。それを本当にプーチンが腹をくくって覚悟しているかというと、私は、多極世界の中でロシアが生き残っていこうとした場合、やっぱり中国に更に依存するというこの選択肢はロシアにはないのではないかというふうに見ています。
 しかしながら、この米ロ関係の悪化、それから中ロ関係をよりロシアに有利な形で展開しようというふうにプーチンさんが考えていたとしても、なかなか今の状況からするといずれも難しいかなというふうに私自身は見ております。さらに、ロシアはウクライナ、それからシリアに介入をしまして、最近ではちょっと北朝鮮問題にも少しロシアが影響力を発揮しようという、こういう動きが若干見られるわけでありますけれども、しかしながら、ウクライナあるいはシリアに見られたような形で、ロシアが力を使った形で何か国際社会に介入する、その矛先というものはちょっと北朝鮮では難しい、それ以外にも、ちょっとロシアにとってもう見られないんじゃないかというふうに私自身は見ています。ですから、次の六年間のプーチン政権、対外強硬路線、今まで進めてはきたんですけれども、次の材料というのがなかなか見当たらないような感じがしております。
 次のページでございますけれども、最近、日ロ関係あるいは北方領土問題などで注目されていますのが、北方領土、国後、択捉島でのロシアの軍備増強、これもございますが、実は昨年の秋に、千島列島の中間地点、松輪島といいますけれども、こちらにロシアが新たな軍事拠点を設置し地対艦ミサイルを置くという、そういう報道がロシアの中で流れてきています。全体としてその千島列島、さらには千島列島の内側のオホーツクの軍事的あるいは戦略的な価値というのがロシアにとって高まりつつあるのではないか、それが極東のロシア軍の動きを見ていると観察されるということでございます。
 ただ、それが一体何を意味しているのか、あるいはどの国を念頭に置いてロシア軍がこの地域で軍備増強しているのかということでありますけれども、そこにロシアの影響圏的発想という地図、これを御用意しておりますが、ロシアは最近、北極海とかオホーツク海、ここを戦略的に重視する姿勢、これを強めている中、この両地域での軍事力増強というのを行っています。
 私の研究成果からしますと、ロシアは北極海とかオホーツク海というのをロシアの影響圏あるいは縄張、こういうふうに見ているところがありまして、やはりここで一つ外国の軍事的影響力を排除したい地域というふうに見ているのではないかというふうに分析をしております。
 その中で、北極という話になってきますと、実はロシアにとって今一番その北極海の問題、北極海航路の問題、ロシアも非常に関心を持っていますが、一番北極海に向かって進出している国はどこか。北極海に向かう場合はオホーツク海を通って千島列島を横切るんですけれども、実は中国であるということであります。ロシアは自らの安全保障、軍事政策に中国ファクターがあるということは表向き言わないわけでありますが、どうも中国を念頭に置いた軍事的な動きというのが、やはりロシア極東の軍事の動きを見ていますと一定程度あるのではないかというのが私の分析でございます。
 そして、次のページでございますけれども、最近、ロシアは北方領土問題に関して、安全保障面から様々な発言をこの一年間投げかけております。
 例えば、ロシアの安全保障会議のトップのパトルシェフという方は、二〇一六年十一月でありますけれども、島が引き渡された場合、米軍駐留があり得るのかという、こういう発言がありました。そして、十二月にプーチン大統領が訪日されたときも、共同記者会見の席上で、この地域というのは二つの大きな海軍の基地があって、ロシアの艦船が太平洋に出ていくんだという、こういう発言がありました。これは、国後島と択捉島の間を通っている国後水道、これを意味しているんだろうと思いますが。さらに、昨年六月の日本のメディア等との会見におきまして、島の非武装というオプションもあり得るという発言もされておりますし、また、十一月においては、日米安保条約が交渉にどのような影響を及ぼすのか見極めなくてはならないと、この課題解決は大きな作業で、一年間では終わらないかもしれないなど、ロシア側はこの領土問題というのは軍事、安全保障の面から議論をしようという、その動きが見られるわけであります。
 どちらかというと、日本側は今まで経済協力、資源協力、それとこの領土問題という、こういう発想がありましたが、ロシアの関心からすると国後、択捉島というのはロシア軍が駐留しておりますし、やはりこの問題というのはロシアにとって軍事、安全保障の問題であると。引き渡した場合に、それが安全保障上どういう取扱いになるのかという、この懸念をストレートに日本にぶつけてきているということであります。
 今後は、やはりこの問題、ロシア側の懸念をどう払拭するのかも含めて、安全保障の面から更に議論をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。
 最後に、日本側の対ロ戦略といいましょうか、対ロ政策の根幹が、二〇一三年十二月に日本が史上初めて策定しました国家安全保障戦略と呼ばれる国家戦略文書の中に記載されております。この中では、東アジア地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、安全保障及びエネルギー分野を始めあらゆる分野でロシアとの協力を進め、日露関係を全体として高めていくことは、我が国の安全保障を確保する上で極めて重要であるという、こういうことが実は書かれているということであります。
 ロシアとどう向き合うのかというのは、以前であれば日ロ関係だけを切り取って見ているところがありましたが、最近日本の視点というのが、より東アジア全体の安全保障環境、それが厳しさを増す中、少なくともロシアとは平和条約を締結して関係をより正常化しておいた方が望ましいのではないかという、東アジア全体を俯瞰しながらロシアとどう向き合うのかという、こういう発想に移ってきたのだろうと思います。これは非常に望ましいことではないかと思います。
 次のページ、おめくりいただきたいんですけれども、実はロシア側も、程度の差はあれ、最近こういう発想を見せ始めています。
 お示ししておりますのは、二〇一六年十一月、ロシア連邦の対外政策概念と呼ばれる外交政策、戦略を規定した文書なんですけれども、ここで日本についてこういうふうに書いてあります。アジア太平洋地域の安定、安全を確保するために、日本との善隣関係を建設し、互恵協力を実現するための方策を継続するということで、今までであると、どちらかというと、日本だけ切り取って経済協力あるいは平和条約締結交渉という表現だったのが、アジア太平洋全体の安定、安全、これを考えたときに、日本との善隣関係、これを建設するということがロシアにとっても重要だという表現がここ一、二年見え始めてきていて、どうもロシアもそういう感じで見始めているというのが私の認識でございます。
 つまり、アジア太平洋全体の安全保障、これは朝鮮半島の問題もあります、中国の問題もあります、それからアメリカの相対的な影響力低下の問題もありますが、この中でもう少し日本とロシアというのは距離を縮めておいた方がいいんじゃないかということに関しては、どうもロシア側もそういう発想を持ち始めているような感じがするわけであります。
 最後、結論でございますけれども、今後の日ロ関係、プーチン政権、次のプーチン政権の対日アプローチということでございますが、ロシアの相対的な日本重視というのは強まるのではないかというのが私の分析でございます。
 その背後には、多極世界が到来していて、そして行き過ぎた反米親中路線というのを修正していきたい、これはプーチンの本音の部分。それと同時に、やはり実利的、戦略的にもロシアというのはアジア重視、東方シフトを極めなくちゃいけない。対中依存、このまま依存をエスカレートしてしまうと完全にロシアは中国のジュニアパートナーになってしまいますが、そのバランスをうまく取るためにも、ロシアにとってインドとか日本との関係をやはり重視せざるを得ない、そういう側面があるんではないかという気がしております。
 今後、日ロ間でどういう対話をすべきかということなんですけれども、やはりヨーロッパサイドからするとクリミア編入などがあったロシアということになるんですけれども、やはり我々東アジアからロシアを見る者からすると、ロシアに、国際社会でより建設的な役割を果たすために、ロシアと更に安全保障面での対話、これを進めながら、東アジアの安全保障問題、北朝鮮問題、それから中国の問題、こういうところで両者の認識をより近づけていく、こういう努力をしていくべきではないかというふうに考えています。
 つまり、アジア太平洋全体の中でそれを安定化させるために、日本とロシアというのはもうちょっと協力した方がロシアにとってもそれは戦略的にメリットがあるんではないかという、この問いかけをしていくことによって、何とか平和条約締結あるいは領土問題交渉の前進、これにつなげていくことができるのではないかというふうに考えております。
 ちょうど二十分になりましたので、以上で冒頭の陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
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鴻池祥肇#4
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 次に、福永参考人、お願いをしたいと思います。福永参考人。
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福永正明#5
○参考人(福永正明君) 今日はお招きいただきまして、ありがとうございます。岐阜女子大学南アジア研究センターの福永でございます。よろしくお願いいたします。
 レジュメが小さな字で四ページ、ぎっしり詰まっておりまして申し訳ございません。全部を読み上げるつもりもございませんが、一応事実関係なども含めましてここに書き込んでございます。
 これに従いましてお話しさせていただくんですが、まず一つは、本年の一月十八日にインドがICBM、アグニ5という長距離のミサイルの核弾頭搭載可能なミサイル実験をやりまして、これを成功いたしました。これは、インドにとりましてはほぼ実験最終段階まで来て、現地報道によりますと年内実戦配備ができると。この五千キロという、あるいは六千キロというところを見ますと、ほぼ中国の北側のところまで射程距離にすることができる。インドは既に百二十発から百三十発の核兵器を、核弾頭を持っておりますので、更に強固な核兵器あるいはミサイル保有国ということになります。
 この実験成功というのは、インドにとりましては、やはり中国との全面戦争を抑止する、あるいは核戦争を抑止するという形において非常に大きな強化となるというふうに考えております。しかしながら、なかなかこの問題については報じるところがないんですけれども、これは非常に大きなインドの一歩であろうと思います。
 ところが、インドは核拡散防止条約あるいは包括的核実験禁止条約などなどには入っておりません。ということは、このミサイル実験に対して余りメディアが報じていないというのは、まさに特別扱いを受けているという、逆の意味で非常にインドに対する期待が強くなっているということでございまして、例えば、そこに書きましたけれども、ミサイル技術管理レジーム、これは自発的な参加国によるミサイル管理ですけれども、そういうものにも入っています。
 これはもう、ひとえに対中牽制策、中国を牽制するためのインドというところを重要視した国際社会が後押ししていくということがございます。当然のことながら、中印関係につきましては次に申し上げますけれども、この実験につきましては環球時報がもう速報で反発しました。それから、同日夜にかなり長い論評記事を出しまして、ICBMというのは八千キロ飛ばなきゃいけないんだけど、インドのはたかが五千キロ飛んだんだから、そんなものはICBMじゃないみたいな論評でしたけれども、やはり中国にとりましては全土がインドのミサイルの射程範囲となっていくということへの懸念と反発というのは非常に強くございます。
 そして、隣国パキスタンは九八年に核実験をやりまして、同時に、中国と密接な関係を持っているわけですけれども、核兵器、ミサイル開発というのを更に今後進めていくであろうと。隣国同士で敵対して、一九四七年から三回戦火を交えているインドとパキスタンの中で、こういう核兵器とミサイル開発の競争が続いている、そして、そこにプレーヤーとして中国が入ってきているということは、やはりインドをどのように考えていくか、あるいは南アジア全体地域をどのように考えていくかということにおいて非常に重要な問題であろうと思っております。
 二番目に参りまして、南アジアという、あるいは南アジアと中国というふうに考えますと、当然のことながら一帯一路あるいは真珠の首飾りという問題がずっと出てくるわけですけれども、もうはっきり端的に申し上げれば、インドを包囲するような形での中国海軍のプレゼンスが強化されている。この地図で申しますと、黒の線がいわゆる真珠の首飾りというところでございます。青がいわゆるシーレーン、オイルシーレーンというところでして、原油をマラッカ海峡を通って東アジアに運んでくるルートである。そこを中国が何とかして港湾拠点を造ってインドに包囲網を敷いていこうという。
 次のページでございます。
 幾つかの地点を確認いたしますと、バングラデシュにおきましては、チェッタゴンというところで中国が港湾工事、これは日本も積極的に関与を強めております。
 スリランカに関しましては、南部のハンバントゥータという港がもう既に完成しております。あるいは、首都のコロンボ港の改築工事というのに中国が巨額の借款を出しまして、既に中国の原子力潜水艦、あるいは通常型の潜水艦が寄港したということが過去三年間ぐらいにあります。しかしながら、政権が替わりまして、スリランカにおいては中国の対中負債、巨額の借金をどうするんだという問題が今一番大きくなっております。
 そして、最近、非常事態宣言でメディアで取り上げられておりますけれども、モルディブ、これはもう小さな島が数千ある小国ですけれども、小さな島を借り上げることによって中国専用の港湾を造る。これは、将来的に言えばどこの港も中国海軍の寄港地としたいということがございます。とりわけ、モルディブというのは中国人観光客の急増というのが非常に問題になっておりまして、昨年十一月統計で一年間で十二万人。モルディブの人口というのは四十万人ぐらいですので、物すごい数の中国人観光客が中国の直行便で入っております。それから、非常事態宣言が一月に出されまして、政権が非常に微妙な時期にあるんですけれども、中国あるいはインドの駆け引きの対象になっている。
 そして、パキスタンに関しましては、一帯一路の最終地点として、あるいは最重要基幹事業である中パ経済回廊というものに総額六百三十億ドルをパキスタンに出すということが計画として発表されております。カラコルム・ハイウエーでして、これは既にできているものを改修するということになりますが、新疆ウイグル自治区からグワダール港まで約三千キロを延ばしてアラビア海に抜けると。グワダール港につきましては、イラン国境から約百二十キロぐらいのところにありますホルムズ海峡の喉元と言われるところに港を造り、二〇一五年に既に中国が四十三年間借款を得ましてここを利用できるという、将来的には中国海軍が入るのではないかということが言われております。また、二〇一六年十月にはチャシュマ原発というのが稼働しまして、これは中国の合弁事業でして、中国が原発輸出をしているという。
 そうしますと、今までのお話ですと、お話しさせていただいたところでいいますと、中国とインドというのは、インド亜大陸あるいはインド洋をめぐってかなり長い国境線も接しておりますので緊張した関係にあるだろうという一つの認識があるんですけど、実は非常に緊密な経済関係がございます。
 まず一つは、インドは上海協力機構のフルメンバーになっております。それから、アジアインフラ投資銀行、AIIBのこれはもう理事メンバーとなっております。そして、インドにとりまして最大の貿易相手国は中国です。しかも、インドにとりましてはマイナス三百六十九・九億ドルの貿易赤字ということになっておりまして、あらゆるものが今中国から入っているのがインド。非常に密接な関係にある。輸出が中国は第四位、輸入は第一位。これは何が入っているかといいますと、非常に安価な日用品からヒンドゥー教で使いますお祭りの道具であるとか花火であるとか、そういう非常に安い日用品がどんどん入っていまして、今デリーのいわゆる高級ホテルに泊まりますと、石けんを裏返してみますとメード・イン・チャイナということがございます。ですから、そういうことが、非常に密接な関係が経済関係である。インド側にとりましては、当然、この貿易赤字を何とかしていかなければならないという重要な問題があるんですけれども、一方で、厳しい軍事的な対立というのもございます。
 例えば、昨年の五月は、一帯一路国際協力サミットというフォーラムというのがございましたが、インドは唯一この参加を拒否いたしました。実は、この四月にダライ・ラマ法王がアルナーチャル・プラデーシュというところを訪問したことに対する反発なんですけれども、それに対して、言いがかりを付けられたということに対するモディ側の、インド側の反発なんですけれども、公然と拒否する。
 そして、昨年、三枚目に参りまして、昨年の六月から二か月半、これはブータンを巻き込んで高地でインド軍と中国軍が対峙するということがございました。インド軍と中国軍は、ほぼ統計的に見ますと毎日一回ぐらい何かあるんですね。ですから、そんなに緊張関係が非常に高いというよりは、よく分からない実効支配線を踏み込んじゃったとか、あるいは間違えて道に迷っちゃったというような報告としてはもう年間四百件ぐらいあるんですけれども、この一七年六月、昨年の二か月半というのは非常に緊張いたしました。九月五日のBRICSサミットで一応の手打ちというのが行われております。
 最近の、先ほど申し上げましたけれども、アルナーチャル・プラデーシュというところが一番の紛争地点です。もちろん、カシミールの方にも中国は拠点を持っておりますけれども、一つ大きな地点はこのアルナーチャル・プラデーシュ州のタワンというところが争点となっております。この地図でいいますと赤いところです。左側のドクラム高地というところが、グーグルの地図でさえも点々々で破線で囲ってありまして、国境線は不明という状況になっているんですが。
 タワンがなぜ重要かといいますと、これはもう中印間の最大の問題の一つであるダライ・ラマ法王の問題と絡んでまいります。一六八二年にダライ・ラマ法王第六世がこのタワンというところで誕生、生誕いたしました。中国側の主張によれば、ダライ・ラマ法王というのは中国のダライ・ラマなのだから、その生誕地も中国に属するべきであると。だから、このタワンというのは中国のものであるという主張を行っております。
 一つの要件として、今後の中印関係では、このダライ・ラマ法王の、八十歳を超えられた法王の今後、つまり、その生まれ変わりを、既に中国側は規則を定めましてどのように探し出すかということは決めております。で、果たして、ダライ・ラマ法王が次にどういう形にするのかというのは様々な発言を、世界のどこかで生まれてくるかもしれないとか、女の人かもしれないとか、いろんなことをおっしゃっていますけれども、この中印間の中では、一つの大きな問題としてダライ・ラマ法王の将来、今後という問題がございます。
 インドの外交ということをぱあっと見ますと、とにかく世界の大国になりたいというのがインドの願望であり、それを目掛けて進んでまいりました。核武装であり、ミサイルであり、宇宙開発であり、そのために九一年以降の親米路線というものがございます。しかしながら、インドを見ますと、一言で申し上げて状況対応型の外交である。新しい国際外交を創造し発展するような力、つまり国際秩序を新しく形成していくような能力、それは、例えば一九五〇年代の非同盟外交のような、世界をリードするような外交というのはなかなか今見られていない。その大きな足かせになっているのが、独立後七十年を経過しますけれども、インドを取り巻く諸国とどことも仲よくできない、できていないという問題がございます。インドが諸外国となかなかうまくできていない、それがゆえにそこに中国が付け込んでいく隙がある。それが真珠の首飾りとしてなっていく。
 中国から見ますと、対インド外交というのはインドをとにかく南アジアに封じ込めるということですので、様々な問題があるんですけれども、周辺諸国に対する中国の真珠の首飾り、つまりバングラデシュ、スリランカ、モルディブ、パキスタンというインドを囲むような地域に拠点を持っていく。それに対して、インドが今まで周辺諸国となかなかいい関係をつくれてこなかったところで、諸国が中国になびいていってしまう、それをどう立て直すかというのは非常に重要な問題です。実質的に申し上げますと、中国とインドは九三年に国境問題は棚上げということになっておりまして、全く話合いは開かれておりません。
 では、どういう外交をすればいいのかというのがインドの識者の中でも分かれております。それが大きな四番の自由で開かれた太平洋戦略の問題とつながってくるわけですけれども、インド側は、次のページへ参りまして、こういうインド洋と太平洋を結ぶような構想というのを是非ともつくってほしい。ですから、米印日という形での協力関係というのを求めております。あるいは、逆に申し上げますと、南シナ海の問題ではベトナムと非常に友好な関係をつくっております。
 それに応じるかのように、日本とインドの間で申しますと、安全保障協力は非常に進んでおります。とりわけ海上自衛隊とインド海軍の間での協力関係というのは、これは緊密と言っていいと思います。八〇年代以降の海賊対策の問題から始まりまして、マラッカ海峡から向こうはほぼインド海軍しか頼るところがないという中で、二〇一五年からはマラバールという海上共同訓練に共同参加しております。このベンガル湾には中国海軍が拠点を持っておりまして、偵察を続けているということがありますので、このベンガル湾での共同訓練というのは非常に大きな意味がございます。
 では、日本はどうしたらいいのかというところですけれども、これは今日の御質問のあるお話だと思うんですけれども、まず一点は、日印関係というのは、一言で申しますと善意の相互誤解というふうに私申し上げているんですけれども、お互いが余りよく分からないんだけれども、相手の国は自分に親しく感じてくれている、あるいはいい国だと思っている。例えば、日本ではよく聞かれます、仏教であるとかお釈迦様の国で、カレーで、歴史的な、ネガティブな問題がないんだというようなことがあります。インド側からは、広島、長崎から復興して、こういう世界企業ができてきて日本はすごいという、そこから一歩抜けて、どういう真の友好連携国へつくっていくかというところで、やはり出発点になるのは、インドがサンフランシスコ平和条約を締結しないで単独講和として平和条約を結んだという歴史的事実というのは、やはりそこに立脚しなければならないというふうに思っております。
 そして、ステレオタイプでの、私、先ほど申しました幾つかの、カレーであるとか仏教とかというところに落とし込めないで、現実として日本とインドの関係というものを考えていく。そうしますと、日本にとりましては、インドをただ単に、あるいは南アジア全体を中国に対する牽制策として考えるというよりは、もっと広い意味で世界に対して協力できるような協力関係というものをつくっていった方がいいだろうと。
 これは二番目に移りますけれども、例えば、インドが中心になって近隣諸国と手をつないで、南アジア地域全体の発展であるとか民生向上に向かうような助力をしていくとか、あるいは貿易、域内貿易の拡大であるとか、あるいは、最近そういう発言がございましたけれども、インドは太平洋戦略と一帯一路の連携を図るであるとか、何よりも、いろいろなレベルで便宜的な友好関係という今の関係から、将来を見通した次なる関係というものへやっぱり発展させなければならないだろう。
 そのためには、様々なレベルでの対話が必要でしょうし、地球規模での大きな様々な問題についても共に解決する、そして、ただ称賛するだけではなくて苦言も呈するという、これは自由と民主主義という部分に関わるものは私の論考としてありますけれども、その中で成熟した関係へ進んでいくということが、目指すことができたらと思っております。
 今日はどうもありがとうございました。御清聴ありがとうございました。
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鴻池祥肇#6
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 次に、熊岡参考人からお伺いします。熊岡参考人。
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熊岡路矢#7
○参考人(熊岡路矢君) 本日のこの参議院の調査会にお招きいただきお話をする機会を与えていただいて、心から感謝申し上げます。
 私自身は、一九八〇年以降、日本のNGOの一員として、タイ、カンボジア国境のカンボジア難民、ラオス難民、ベトナム難民の救援から関わり、その後、約十二、三年、タイ、シンガポール、カンボジア、ベトナムなどで十二年、十三年ほど過ごしてきました。その後は訪問ベースで現地の状況を確認しておりますけれども、という立場で、NGOの働き手として、政府、政治、行政、それからあとは経済、ビジネスの方々とちょっと異なった視点で考えた、あるいはまとめたことを申し上げたいと思います。
 本日も、三番目にお話しする中で非常に感じたのは、今日、アジアのお話、アジア太平洋のお話であろうと、もっと遠くをお話ししようと、必ずやっぱり中国の要素が出てくることは避けられない、チャイナ・ファクターみたいな言い方あります。ASEANも全く同じです。おいおいというか後ほどお話ししていきたいと思います。
 本日は、ASEAN全体を見て、それから日本のASEAN外交、それから、私たちの場合は日本政府、外務省の国際協力ですね、援助と並行する形で民間で支援をしてきたので、その外交と、開発協力大綱といいますか、考え方との関係などもお話ししていきたいと思います。
 一九八〇年あるいはそれ以前ですと、ASEANといっても五か国で、ブルネイが参加するまでは五か国で、割と小さな地域の共同体、親米、アメリカに近い、それから反ベトナム、反ソ連という色彩の強い地域の共同体だったという感じで、必ずしも余り大きなプレゼンスは感じられませんでしたけれども、その後三十年以上、四十年近くがたつ中で、福田ドクトリン以後四十一年たつ中で、非常に大きなプレゼンス、つまり、インドとチャイナ、中国の間の国という受け身の定義ではなくて、積極的にそこに、もちろん十か国あるのでそれぞれの違いはあるんですけれども、かなり大きなどっしりした存在として認識されるようになったというふうに思います。
 国とか地域の力というのは、ある程度、人口、経済、それから政治力、それから文化の力ということの総合的なものだと思いますけれども、各数字、細かい数字は今日並べていませんけれども、どの数字を見ても、ASEANというのは一つの大きな地域の共同体になっているということは確認しておきたいと思います。
 少し古いところからお話ししてしまいますけれども、今日の二〇一八年の問題とつながる形でお話ししていきたいというふうに思います。
 福田ドクトリン、これは基本的に三項目、今でも生きているといいますか、大事な考え方だと思いますけれども、この前後、一応ベトナム、インドシナで大きな戦争は終わったとはいえ、難民がそろそろ出てきた時期で、一九七九年のカンボジアにおけるポル・ポト体制崩壊以後は、第三次インドシナ戦争という言葉を使わない先生の方が多いと思いますけれども、そういうような戦争、内戦が特にカンボジアを中心に入り乱れたといいますか、混じった地域というか、そういう時期になってしまいました。
 その中で日本は、日本政府あるいは民間も含めてですけれども、戦後初めて、このカンボジア和平、広く言えばカンボジア及びラオス、ベトナムを含むインドシナの和平、この和平は現在のASEAN十か国の全地域に関係している、直結する問題だったんですけれども、日本政府、イニシアティブを発揮して、もちろん単独ではないですけれども、国連、それから各超大国、大国などと協力してこの和平を導いたということで、カンボジア、あるいは広くインドシナ紛争というのは日本にとって非常に大事な体験であったというふうに思います。
 これは一つ成功例として日本政府が自負している部分でもありますし、その成功の中で、単にインドシナの紛争を解決したわけではなくて、ASEAN全体が、言わばASEAN六か国が敵対していた相手側のインドシナ三か国、それから後にミャンマーも含めてですけれども、参加して、非常に劇的な変化だったと思いますけれども、成ったというところを日本が、これは日本の民間のNGOの難民支援その他、あるいは現地での復興協力も含めて役に立ったというふうに思いますけれども、そういう大事なものとしてこの時期があったというふうに思います。その中で、現在、カンボジアを中心に政治状況はどうなっているかをお話ししたいと思います、後ほど。
 当時、非常に、皆さんも覚えていらっしゃるとは思うんですけれども、紛争、戦争絡みで本当、現地の人は疲弊し、たくさん亡くなり、けがをし、手や足を失いという状況の中で、いろんな日本を含めてアクターが動き出したんですけれども、タイの当時の首相の言葉が非常に印象的でした。インドシナを戦場から市場へという、マーケットプラス社会の相互扶助の地域というような主張であっても、NGO的にはそういう発言の方が合っているとは思いますけれども、少なくとも、戦争ではなくてマーケットで競うといいますか、助け合おうということで発言した。この発言した首相はその後間もなくクーデターでその席を追われてしまったんですけれども、この言葉は非常に印象的でした。長い二十年以上続く戦争、紛争の中でこの呼びかけがありました。
 そこから日本も本当に深く関与して、外交官でいえば今川幸雄さんとか、それから後にUNTACで総選挙を管理した明石先生なども含めて人材、それからエネルギー、人ですね、人材と人は同じですけれども、資金等々を投入して、もちろん、ほかの国連とか大国、それから地元の人々の力が大きかったと思いますけれども、一九九一年十月、パリにおけるカンボジア包括和平協定が成り立ちました。
 それから、その二年後、カンボジアでUNTACですね、国連のPKOの管理下での総選挙を経て現在の再生カンボジア王国といいますか、一九七〇年、一回クーデターで追われて途切れたカンボジア王国がそこでつながったという形になり、非常に自由、民主主義、人権に配慮した憲法が成立しました。
 個人の体験としては、非常に私自身こういう機会をいろんな形でいただいたと思うんですけれども、三十年以上、ビジネスということではなくて、NGO活動ということで相手の、言わば一般の人々、普通の人々と直接一緒に働ける立場に立てたことで、もう本当に何十冊、百冊の本に勝るような体験をさせてもらいました。もちろん、本を読むということも大事ですし、そういうところから学ぶことも大事なんですけれども、そこは非常に大きいところかなと思います。
 それから、そういう機会が、そういう意味では、ASEANに限らずですけれども、日本政府あるいは日本が、社会全体として、特に若い世代の人たちが、国際交流という形でもいいですし、国際協力という形でもいいですけれども、同じ立場で、福田ドクトリンでいう対等な立場で、相手側のいわゆる政治家と政治家の人間関係などから和平、紛争解決が生まれることもあるし、そういうことは非常に重要だと思いますし、ビジネスの間での人間関係でもプラスのものも生まれるというふうに思いますけれども、市民社会の活動から長期的な平和とか共同で助け合っていくというような形、精神がつくられていくという観点から、是非これからも、議会の中で、あるいは政治、行政の中で、このような形で日本の青年が外で多く国際協力、国際交流で働けるように、また、言い換えれば、結構日本で現在進んでいますけれども、ASEANの青年たちを含め、海外の青年を受け入れてということが進むことが一つ大きな、直接なかなか数字にはできないんですけれども、大きな力になるというふうに思います。
 福田ドクトリンの二番目、ASEANと心と心の触れ合う関係を構築するというところは、必ずしも目立つ言葉でないのかもしれませんし、普通、二番目辺りには経済の協力が来ると思うんですけれども、この一、二、三、日本は軍事大国にならない、ASEANと心と心の触れ合う関係を構築する、日本とASEANは対等なパートナーであるという文言が出てきたところを私なりに考えますと、その前に田中首相がタイやインドネシアを訪問したときに、当時ちょうど、現在中国の製品があちこちで広がっていたというか洪水のように売買されていたように、当時、日本の商品が日本のビジネスマンの力でたくさんタイ、インドネシアなどで使われていたという中で、カラワンとかカラバオというタイの歌い手たちの言う、朝歯を磨いてから昼間食事して、午後も、午前午後仕事して夜寝るまで日本製品に追われまくるといいますか、ずっと囲まれているというような皮肉な歌もあったんですけれども、そういう中で田中首相がかなり激しい学生のデモとか抗議集会に直面したという、そういう時期の後で福田ドクトリンができたということで、そこはつながっていて、この心と心のということで。
 あと、約九年前、十年前、バンコクでUNHCRの主催でタイ及びASEANの人と日本のNGOが対話をするという会合があったときに、自分たち、日本のNGOとしては考えていなかったんですけれども、一九八〇年前後以降、九〇年代も含めて、日本の青年、NGOなどがタイなどで活動したことで、タイの現地の知識人、チュラロンコンの先生とかネーションのスタッフライターの人とかが言ったのは、そうですね、一九四五年まで、非常に年を取った世代にとっては戦争あるいは兵士のイメージが近いイメージで語られる日本というのがあって、一九七五年を中心に七〇年代、非常に経済、ビジネスの戦士といいますか、日本の企業の激しい活動があるという中で、一九八〇年以降、そのどちらでもない、政治、軍事でもないし経済でもない形で日本の普通の青年、市民がタイに現れたというのは非常に新鮮な感じがしたというふうに言ってくれました。多少は私たちがいたのでリップサービスである部分もあるかもしれませんけれども。
 そういうことで、そういう心と心といいますか、経済指標と違ってなかなかそういう部分は定量化、数字化できないんですけれども、そういうことが国と国の関係の中で非常に大事であるんだということを過去三十五年の活動の中で感じてきました。
 それから、日本のASEAN外交、福田ドクトリンに関しては今申し上げたとおりです。
 それから、対ASEAN外交五原則、それぞれ大事な部分がありますけれども、一番目の自由や民主主義、基本的人権など普遍的価値の定着と拡大、時間の限りがありますのでこの一に集中しますけれども、ということが日本の外交及び日本の国際協力の中心になって明確にうたわれています。国際開発協力の大綱ということですね。一種の宣言された形になっています。それが後でどうなっているかという辺りをお話ししていきたいと思います。
 それから、ASEANへの評価という意味では、先ほど申し上げたように、もはやインドと中国の間というような受け身の定義ではない大きな存在になった日本の大事なパートナーであるということは、繰り返しになりますけれども、申し上げておきたいと思います。
 あと、今後どうなるか分からない部分はあることはありますけれども、地域内で、かつてのベトナム戦争、インドシナ戦争のような、複数の国々を巻き込むような大きな戦争が起こる可能性は当面は低いというふうに思っています。
 現在、政治的にはロヒンジャの難民問題が容易に解決しない問題としてASEAN諸国と南アジアの一部に広がっていますけれども、これを、日本政府にとってプライオリティーと言えるかどうか分かりませんけれども、このロヒンジャ問題なども日本政府が、あるいは議員の皆さんが、政治家の皆さんが積極的に対応して解決することでASEANとの結び付きが更にまた広がるといいますか、強まるのではないかというふうに思います。
 あと、言うまでもなくASEAN諸国も我が日本も非常に自然災害が多い国で、これは既に始まっていますけれども、いろんな形で日本とASEANの防災のための、防災あるいは起きたときの災害救援の共同化というか、そういうものがこれからも必要とされているというふうに思います。
 それから、ASEANの場合、市場経済部分の共通性はありますけれども、政治体制としてはかなり幅と違いがあります。一党支配の国が少なくとも二か国あります。その中で、先ほどのドクトリンの方で出ている自由、民主主義、基本的人権等、それから人治、人がですね、強い人が治める政治ではなくて、社会ではなくて法が治める社会、これをより実現していくという原則や価値観、日本は持って活動し関わっているんですけど、そこから遠ざかっている国もあると思います。野党あるいはメディア、NGOなど市民社会セクターが政府によって強硬に抑え込まれている国もあるということになります。
 それから、中国との距離の取り方もそれぞれであるけれども、全体としては、もう本当に中国の、ASEAN諸国だけではないんですけれども、ここではASEAN諸国への投資、援助、貿易、これは三つの要素一体でやっているだけではなくて、この辺は日本のかつてのODAその他もそういう時期があったと思いますけれども、中国は更にそこに中国の企業と中国の労働者を連れていくという点で四つのファクターを一緒にしてASEANに入るというか、影響を与えているということになります。
 日本のASEAN外交に関しては、先ほどASEANのところで申し上げたという中で、今後ASEANと協力して、一つの希望としては、両方とも太陽光、太陽熱、その他風力、あと潮の力ですね、自然エネルギーの強い地域なので、協力して一緒に行っていく構想が必要だろうというふうに思います。
 それから、水俣病など公害問題に関して、日本はそういう意味で体験した国として非常に教えてもらいたいという団体や地域、場合によっては政府があるので、そういうことでも日本がASEANとつながっていけると思います。
 時間が大分迫ってきたので、最後にカンボジアの部分をお話ししたいと思います。
 先ほど申し上げたように、日本が八〇年代以降、かなりの相当の力を入れて達成したカンボジア和平ですけれども、現在カンボジアでは、先にお届けした方の資料に詳しくありますけれども、二〇一三年の総選挙の結果、与党の人民党の議席が減って、二つの政党が一つになった野党がかなり追い上げたということから与党が危機感を持ったということがあって、政党法、それからメディア法、NGO法などで批判的勢力を包み込むだけではなくて、ここ六か月、非常に大きな変化といいますか状況が起きておりまして、昨年の九月に野党の党首、救国党の党首が国家転覆罪ということで逮捕され、それから、十一月十六日でしょうか、最高裁で、党首が逮捕され有罪になるようなところの政党は解散が命じられるということで、最高裁によって解散が命じられました。関連して、英字紙カンボジア・デーリー、その他FM局、政府に批判的なラジオ局、新聞等が廃刊、廃局に追い込まれました。
 あと、人権NGOのADHOCなどのスタッフが、通常の貧しい被告や証人、裁判に通わなきゃならない貧しい人たちへの通常の食費、それから交通費の支援を、これは偽証のための、偽証を呼び込むための賄賂として判断されて、逮捕、勾留されたということになります。
 ということで、最後に申し上げたいのは、二〇一八年七月二十九日に予定されているカンボジア総選挙、事実上、基本的に、国会内の唯一野党、五十五議席持っていた野党が解散に追い込まれたために、実質的に総選挙としては内容はなくなるといいますか、総選挙の形は取れるのかもしれませんけれども、それから複数政党の形は取れるのかもしれませんけど、内容的には全くそれを満たさない流れに今あります。残りの数か月で何かいい方の変化があるのかもしれませんけれども。
 カンボジアの民間の選挙監視団体等々があるわけです。それから、アジア全体を包むANFRELという選挙監視の団体があるんですけれども、ほぼ信頼し得る自由で公正な総選挙とならないのではないかという判断、見通しの中で、日本の外務省ともずっとお話ししてきましたけれども、日本政府、外務省としては、カンボジア政府に批判的、否定的なことを強く言うと、より中国寄りになってしまうので、それはしない、できない、それから広い意味で内政干渉に当たることはしないというふうに言っているんですけれども、片や、カンボジア政府の現トップは、パリ和平協定の精神、条項は既にゴースト、幽霊だと、死んだとまではっきり公的な場で言っています。
 それから、この総選挙をできない、あるいは野党を完全に追い込んで潰した等々のことで、もしヨーロッパ、EU、アメリカ、日本などが援助を止めるなら全く構わないと。止めても構わない、自分たちにはなぜかというと中国の援助があるからだというふうに相当強い言葉で言っていて、これで、このままで、もちろんいろんな対処の仕方はあると思うんですけれども、日本政府、外務省、それから議員の皆さんとして、そこをどう受け取るかお聞きしたいなというふうに思いましてこのプレゼンテーションを作成し、ここでカンボジアのことを最後にして、このプレゼンテーションを終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
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鴻池祥肇#8
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言くださいますようお願いをいたします。
 まず、大会派順に各会派一名ずつ指名をさせていただきたい。その後は、会派にかかわらず御発言をいただきたいと存じます。
 委員の一回の発言時間は答弁を含めて十分以内になるように、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願いをいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 猪口君。
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猪口邦子#9
○猪口邦子君 ありがとうございます。
 本日は、「アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方」のうち、「信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題」、とりわけ日本とASEAN、また日本とロシア関係等という観点から、大変有意義で参考になる御意見と分析をいただいたところでございます。三人の参考人に感謝申し上げます。
 それぞれにお伺いしたいのですが、まず共通にお伺いしたいことは、国家間における信頼醸成、つまり行動の予測可能性の大切さということでございます。
 信頼醸成及び信頼醸成措置、コンフィデンス・ビルディング・メジャーズ、CBM、これは安全保障の基本であり、平和の基本。私は、かつて軍縮大使をジュネーブで務めていたことがありますけれども、軍縮外交の第一歩は何といってもこの信頼醸成にほかなりません。つまり、主権国家平等を基本とする国際社会において、主権を持つ国民国家の行動の自由の幅は非常に広いので、互いに予測可能性を高め、互いに秩序と行動規範を共有するために国際法の発展があり、それこそが永続的平和の基礎を成すと考えられ、積み重ねられてきたわけでございますけれども、国際法の生成に至るかなり手前の段階でも、信頼醸成、様々な外交努力の方法はあります。
 例えば、首脳の定期的な往来、ホットラインの敷設、こういうことによる安定した連絡手段の確立、又は、ASEANのお話ありましたけれども、地域統合による経済的な交流や人の移動についての枠組みの推進、あるいは国際会議、国際交流の発展、そして人材育成、キャパシティービルディング、こういうことへの努力、この全ては信頼醸成につながるものであると思います。さもなければ、荒野のような国際社会において、主権国家同士が何とか互いに予測可能性を高めて合理的で安定して平和な環境を築いていく、こういう考えが平和を求めていくときの基本にあると思いますけれども、その場合に、外交ももちろんですが、政治も、あるいは専門家も、あるいは市民社会も、様々な観点から寄与することができる。
 この共通認識を持った上で、お一人お一人に伺いたいんですけれども、まず兵頭参考人には、日ロ関係、今後予測可能性を高めていく、このためにどういうことが必要か。例えば共同経済活動、これは、そういう予測可能性を高めるのに寄与するという考えをロシア側に分かってもらう、またそういうふうにロシアとしても発展してもらう。兵頭参考人はアンビバレントという言葉を使いましたが、それはまさに予測可能性が少ないという状況を意味するわけで、クリミア併合などはそういうことでやって、そういうことを超えて、大国、GDPの規模についておっしゃいましたけれども、そういうことを超えて、予測可能性が強い、率先垂範できるような、それはインドについても言えることなんですけれども、そういう国家でありたいというような働きかけをするべきであると思いますし、そういう理解をしてもらうにはどうしたらいいか。
 あとは、ロシアについては、選挙が、今後、プーチンさんは今回の選挙を越えたらないということで、場合によっては北方領土について少し妥協をする余地というのがあるのかということもちょっとお伺いしたいと思います。
 また、北極圏の航路ですね。これについての中国の分析、非常に興味深くお伺いしましたけれども、ロシア一国でそのような流れを防ぐことができないと考えたときに、そこは、じゃ、誰と結んでということを考えれば、北方領土について日本の求める解決を促すことにより、日本の関与ということも求める、こういうことについて何か御意見があればお伺いしたいと思います。
 それから、福永参考人、本当にありがとうございます。
 インドが新たなパワーとして台頭している中、まさに今ロシアについても述べました、自ら率先垂範して問題解決メカニズムをつくるとか、対話の枠組みをつくるとか、そういうふうにすることこそが常に大国を志向するという分析を福永参考人なさったわけですよ。まさにそれこそが大国への道であるというような交流を、知的交流をしてもらいたいなと。
 そして、次、熊岡参考人の話にもつながるんですけれども、本来、国家間の予測可能性を高めるという場合に、その国の中に住んでいる市民が予測可能性のある社会に住んでいないとなかなかうまくいかないだろうと思うので、インド自身の国内の社会発展、これをもっと市民にとって予測可能性高いものにする必要があるんじゃないかというのが私のコメントです。
 それから、熊岡参考人には、やはりソーシャルキャピタルのような教育の機会などを充実させることによって、今申し上げたような市民の社会における自分の予測可能性も高めることができるから、そういうことがその国の対外的な予測可能性を高める可能性もつくっていくんではないかなと思いますので、その観点からよろしくお願いします。
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鴻池祥肇#10
○会長(鴻池祥肇君) それでは、まず兵頭参考人からお願いします。
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兵頭慎治#11
○参考人(兵頭慎治君) 猪口先生、御質問ありがとうございます。
 今いただきました三点ほどの御質問、全て相互連関しているんだろうというふうに私自身は認識をしております。
 まず、CBM、信頼醸成措置、これを、ロシアのようになかなか行動予測が第三国からしにくいような国と、いかにこれを強化していくのかというのは非常に重要な問題だろうというふうに思っています。
 もちろん、これは様々な分野、経済分野、政治分野含めて、そして様々なレベル、上は首脳レベル、それから下はこの市民、国民レベルでの様々な交流や対話を積み重ねていくということなんでしょうけれども、やはりこの中でも私は一番重要なのは、やっぱり安全保障面での対話というものをこれからもう少しロシアとは進めていくべきではないかというふうに見ているわけであります。
 もちろん、クリミア編入後、欧米とロシアの関係も悪い中、ロシアと安全保障対話をやるということに関してはなかなか難しい面もあろうかと思いますが、しかしながら、ロシアはロシアなりのロジックで行動を取っているのであって、それが我々からするとちょっとなかなか理解しづらい、読みにくいというところがあるわけですが、しかし、何をロシア側が考えて、どういう認識の下でこういう行動を取るのかというのは、やはり対話をしながら、交流をしながら、そこを共有していく努力というのを進めていくべきだろうと思います。
 実際、日ロ間では外務・防衛閣僚協議、2プラス2というのが昨年の三月に行われておりますし、また、ロシア軍のトップのゲラシモフ参謀総長が昨年十二月に訪日されたりしておりまして、いろんなレベルでロシアの行動様式を日本側が理解する、こういう機会というのは増えつつあるんだろうと思います。
 そうした中で、先ほど北極海の話が出ましたけれども、ここで実は日本とロシアで安全保障上の認識というものがどの程度近づけることができるのか。先ほどお話ししたように、一番北極海に進出しているのは中国ということになって、ロシアもそれは気にしているんだろうというふうに見られるわけでありますが、そうすると、この辺りで、北東アジアの安全保障、特に北の方に向かえば向かうほど、実は中国抜きには語ることできませんよねという、ここで日本とロシアがどの程度議論がこれからできるのかということが今後私は重要ではないかと。
 以上です。
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福永正明#12
○参考人(福永正明君) ありがとうございました。
 日本とインドが飛躍的にやはり二〇〇〇年代に入って関係が良好化してきたのは、まさに小泉内閣時代から始まった、毎年相互に首脳が訪問して、とにかく一度は必ず毎年行ってお互いに話をしようという、その原則がずっと続けられてきているというのは非常に重要な発展になっていると思います。
 そして、プラスして、マルチの様々な形での、アメリカを含めて、オーストラリアを含めて、いろんな形の首脳会談が様々な場を借りて行われているということは、これはもう非常にいいと思っております。
 そして、実生活の部分で、我々の生活で考えれば、インド料理屋さんがたくさんあり、かつIT技術者が今飛躍的に、一つの会社で今もう二百人、三百人の方が勤めている、インドのITの方が勤めているというのはごく普通の話になってきていますので、そういう中で、やはりお互いの実際の姿を知りながらお互いにフランクに話ができる、かつインドに対しては、やはり南アジア地域の全体を考えながら、一緒に日本とインドで南アジア地域全体の民生向上を図っていこうという、あるいはインド社会を発展させていこうという手を、あるいはアドバイスをしていくことが重要だろうなと思っております。
 ありがとうございました。
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熊岡路矢#13
○参考人(熊岡路矢君) 予測可能性という意味では、やはり猪口先生がおっしゃったように、教育、メディアが非常に大事だと思います。
 それで、ASEAN全体で見ると、そこの教育の部分、メディアの部分は良い方向に進展しているというふうに思います。
 それから、先ほど申し上げたカンボジアにおいても、この過去二十五年、何度も言いますが日本も含めて、大きな力を、エネルギーを注ぎ込んでつくったこのパリ和平及び人権、民主主義が確保されるという中で、一般の人も人権、民主主義、自由、公正な選挙という概念をかなりしっかり受け止めてくるようになってきていました。
 ただ、ここへ来て、カンボジアだけではないと思うんですけれども、幾つかの国ではやはりある程度政府・与党が、つまり、一党支配に近いところですと一般の人々がやっぱり発言をすごく怖がるといいますか、物言えば唇寒しみたいなことになって、それが続くと予測可能性のつながる源泉、源自体がだんだん枯渇していくのではないかと思います。
 以上です。ありがとうございました。
    ─────────────
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鴻池祥肇#14
○会長(鴻池祥肇君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、こやり隆史君が委員を辞任され、その補欠として徳茂雅之君が選任されました。
    ─────────────
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鴻池祥肇#15
○会長(鴻池祥肇君) 鉢呂君。
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鉢呂吉雄#16
○鉢呂吉雄君 民進党の鉢呂吉雄と申します。
 今日は、参考人のお三人の方、大変御苦労さまでございます。
 私は北海道選出でございますので、少しロシアの問題深めていきたいと思います。
 兵頭先生は、日米同盟について、必ずしもロシアは東アジアの要因として全面的に否定していないと、こういうお話がございました。しかしながら、一昨年の日ロ首脳会談、大変国民は期待しました。残念ながら進展なしという形の一番の大きな要因は何であったか。この安全保障問題、先ほどもお話ありました返還後のアメリカ軍事的なプレゼンスが北方四島等にできて、ロシアと軍事的な緊張関係が出るのではないかと、こういうお話も定かではありませんけどもありますが、それをどのように見ておるか。
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兵頭慎治#17
○参考人(兵頭慎治君) ありがとうございます。
 まず、ロシアの対米観ということでございますけれども、実はこれ、ヨーロッパとアジアで、ロシアのアメリカあるいはアメリカの軍事同盟に対する認識というのは少し温度差があるというのが私の認識でございまして、ヨーロッパに関しては、アメリカ率いる巨大な軍事機構であるNATOというのがありまして、その拡大、そしてアメリカ率いるミサイル防衛システムのヨーロッパ配備というのはもう全否定に近い形で厳しく非難をしているわけでありますが、このアジアに関して言うと、ロシアの公式見解からすると日米同盟に関しては必ずしも全否定をしていないと。ヨーロッパとアジアの安全保障環境が異なる中、もちろん積極的に肯定もしていないんですけれども、やはり全くアメリカの軍事プレゼンスがなくなってもよいかというと、必ずしもそう思っていない部分というのがあるということであります。
 それから、プーチンが訪日されたときに進展がなかったということでありますけれども、私は、大きな問題としましては、北方領土問題というのは最終的に、これはやっぱりロシアからすると軍事、安全保障の問題であって、そこの部分のやはり交渉というか切り込みというのが十分にまだ間に合わなかったと。交渉の入口からすると、経済協力、資源協力というのは極めて有効であり、ロシアと交渉を行う上での環境整備ということでは大事なんですが、ただ、そこでは最終的な妥結のところまではやっぱり行かないと。安全保障面のロシア側の懸念をいかに払拭させるのかという、そこまでの交渉、議論が行って初めて交渉の出口が見えてくるということだろうと思うんですね。
 ようやくそこは、ここ一、二年、ロシア側の発言、先ほど御紹介しましたし、様々な日ロ間の安全保障上の対話というのが始まる中、私は始まりつつあるんだろうというふうに考えています。ですから、残り、プーチンさんのレームダック化する前までに、いかに日本とロシアの間で安全保障の面から領土問題について議論していくのかというのが今後の交渉の鍵になろうかというふうに考えております。
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鉢呂吉雄#18
○鉢呂吉雄君 その関係で、私は、二〇〇一年の三月、イルクーツク声明が出されたとき、あのときが北方四島領土問題解決の一番接近したときだったと思っています。あのときも、やはり日米同盟の安保条約、日米安保条約の関係があったと思っています。
 ですから、今先生が言われた安全保障対話、こういった中に、日米同盟のアメリカ軍との関係、これをどういったふうに対話をし、ロシアの懸念、不安というものを取り除いていくのか、もう一度お答え願いたいと思います。
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兵頭慎治#19
○参考人(兵頭慎治君) ありがとうございます。
 ロシアの米軍に対する認識ということをお話ししますと、実は九・一一事件直後というのは、アメリカとロシアの間で対テロ協調というのが一時的に成立をしていたという過去の経緯がございます。さらに、ロシアが自らの影響圏と考える中央アジアにプーチンが自ら米軍の駐留を認めるという、こういうこともあったということでありまして、実は非伝統的安全保障とかテロの問題、イスラム過激勢力のところでは、実はアメリカの軍事力、これもうまく活用しながら共にやっていきたいという思いが、今でもそこは多分ロシア側の中にあるんだろうと。
 なので、シリアに軍事介入していましたけれども、これもシリアでの利権擁護とかロシアの影響力拡大というのがありますが、実はテロとかの分野でアメリカと協力関係を復活させていきたいという、こういう部分もいまだにやっぱりプーチンはあるんではないかというふうに見ています。
 ですから、そういう辺りから、この日米同盟に対する、あるいはアメリカの軍事プレゼンスに対するロシア側のこの批判というか懸念みたいなものをいかに低減させていくのかという、この辺りを今後ロシアとは議論していく必要があろうかというふうに思います。
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鉢呂吉雄#20
○鉢呂吉雄君 最近、北方四島の軍備強化がロシア側からなされておると。これは、日本の固有の領土ですから抗議することは当たり前で、ミュンヘンでの外相会談でも河野外相は抗議をしたというふうに言われております。
 ただ、先生のお話からいけば、ロシアがオホーツク海、あるいは北極圏、中国との関係等々もあると、こういう中で、余り大きな問題として見ることは必要ないのかどうか。どういう意図で最近ロシアは、北方四島だけではありませんけれども、千島列島といいますか、そこに軍事的なものを強化しておるのか。地対艦ミサイル等の問題も含めて、もう少し御説明いただきたいと思います。
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兵頭慎治#21
○参考人(兵頭慎治君) ありがとうございます。
 先ほどお配りした資料の中でもロシアの影響圏という地図がございましたが、やはり北極海、オホーツク海というのはロシアの影響圏であって、外国の軍事的な影響力を排除したいというふうに思っている場所であると。こういう広いコンテクストの中で、北極海、オホーツク海、これは千島列島含まれますが、軍事プレゼンスの強化をやっているというのが私の認識でございます。ですから、そこには当然、国後、択捉島も含まれますし、千島列島の中間地点の松輪島というところに新たな軍事的拠点を置こうとしているというのもその中で説明されることだろうというふうに考えます。
 もちろん、ロシアの表向きの説明は、それは当然アメリカに向けられたものだというふうに言うんですけれども、しかしながら、北極海航路でここを通って一番北極に進出しているのはやっぱり中国だということになると、中国の要素もあるんではないかと。なので、そこが全く、日米対ロシアということの構図をつくってしまうとなかなか北方領土問題も含めて日ロ間の安全保障の対話というのは進展しない部分がありますので、いかにその部分、ロシア側の中国に対する潜在的な不信みたいなところ、この辺りを今後安全保障対話の中で議論していく必要があるんではないかというふうに認識をしております。
 以上です。
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鉢呂吉雄#22
○鉢呂吉雄君 今、日ロ間は、北方領土の問題で共同経済活動、主権を害さない法的な立場、これをどういうふうにやって、五項目で今双方で協議をして、河野外相もロシアに行き、安倍総理も五月に行くと。これが領土問題解決につながるのか。先生の専門外かも分かりませんが。
 一昨年のあの十二月の日ロ首脳の中身を見ますと、安倍総理は領土問題を解決して平和条約と、これは何回も言っています。ただ、領土を返還してというのは一切使っていない。ある面では、こういう共同経済活動で、何か相互にここで経済的な入会地のようなものをつくって、主権というものは、あるいは領土返還というものがないがしろにされるのではないか。もう非常に、七十数年たっていますから、北海道の旧島民始め非常な危機感を持っています。そういう関係で、この共同経済活動が領土返還に通ずる方向というのをどういうふうにお考えになっておるか。
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兵頭慎治#23
○参考人(兵頭慎治君) これに関しましても、先ほど少しお話し申し上げましたように、共同経済活動も含めた経済協力、資源協力、これだけで最終的にこの領土問題の妥結というところはやっぱり難しいんだろうと思います。
 もちろん、入口としてロシアを交渉のテーブルに着かせるためにこれは必要な私は動きであろうと思いますが、最終的にロシア側が島を返す場合には、安全保障上、軍事上の懸念をいかに払拭するのかということになりますので、最終的には安全保障、軍事の問題、この議論をしていく必要があろうかというふうに認識をしております。
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鉢呂吉雄#24
○鉢呂吉雄君 お二人に質問できませんでした。
 時間が来ましたので終わります。
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鴻池祥肇#25
○会長(鴻池祥肇君) 次に、里見君。
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里見隆治#26
○里見隆治君 ありがとうございます。
 公明党の里見隆治でございます。
 今日は三人の参考人の先生方から貴重な御意見、お考えをいただきまして、本当にありがとうございます。
 私からは、まず熊岡参考人にカンボジアの関係でお伺いをしたいと思います。
 先ほどのお話の中にも、海外メディアの追放という件がございました。昨年、英字紙カンボジア・デーリーが発行停止、また米国系放送局ラジオ自由アジアのプノンペン支局閉鎖といった自由なメディア活動が制約されているという報道、私も大変懸念をしております。
 思い出しますのは、一九九二年以降のカンボジア国家再建の過程で、当時、国連カンボジア暫定行政機構が民主的選挙の方法を知らない市民への教育、広報のため、識字率が低いという環境下で独自のラジオ局を設置したことを受けて、日本も含めまして海外から不要になったラジオを集めカンボジアに送るといった草の根の運動が展開をされておりました。私も、当時、友人からその話を伺い、賛同してラジオを送り、非常に小さなことではありましたけれども、当時のカンボジアの民主化を国際社会で支えているということを実感した一人でございます。そうした意味でも、今のカンボジアの状況を大変残念に思っております。
 こうした中で、今後総選挙も控えているという中で、まさにカンボジア国内の状況分析、政策判断の基礎となる状況を客観的に認識をし分析するという意味で、またこれをカンボジア国内の国民の皆さんが知り、そして国際社会にもありのままに伝えるという意味で、メディアの機能、またそれを国際社会でどのように開いていくか。
 これはなかなか、内政干渉になるかどうかという観点で非常に難しい、先ほど外務省とも対話を重ねて、熊岡参考人も外務省の対話を重ねてきているということですけれども、ちょっと最後の方は問題提起だけでしたので、熊岡参考人としては日本政府にどのようなことを求めるか。あるいは、政府がダイレクトにでなくともNGO、国際社会でどのようなことができ、それを日本政府としてどういうふうに後押しできるかということについて詳しく教えていただければと思います。
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熊岡路矢#27
○参考人(熊岡路矢君) メディアに関してですけれども、カンボジア側のメディアは現在残念ながら萎縮していますが、他方、日本の各メディア、テレビ、新聞などは、いわゆるUNTAC総選挙から二十五年ということでいわゆる周年でイベントというようなことも幾らかあるでしょうけれども、この二十五年を振り返る特集を考えている新聞社、テレビが随分あるようです。これは日本以外のメディアも含めてあると思います。
 あと、日本政府、外務省に求めるのは、外務省とお話しして、確かに、何というか、非常にアメリカ的というか、強力に弾劾するようなことを目の前でというのはできない、しないというのは理解できます。日本の外務省としては、従来の静かな外交から直接に話し合うという二国間協議もありますし、それから、九月には人権理事会での、日本がまとめ役なんですけれども、カンボジア問題のということで動いていますけれども、この総選挙に関しては、是非、少なくとも即時支援停止ということではなくても、この総選挙のどういう点がどのようにプラスになったら、例えば野党が改めて出られる可能性があるとかというところまでサスペンドといいますか、支援を一回止めるとか抑えるというようなことも含めて、カンボジア政府と是非話し合ってほしいなと思います。
 それから、本日も全くこの同じ時間でカンボジアのNGOと日本のNGO、JANICが話し合う機会を持っているんですけれども、そのようにNGO間、それから政府とNGO、例えば日本政府、外務省とカンボジアのNGO、日本のNGO、それからカンボジアの政府と、難しいところですけれども、カンボジアNGOなどは、声明を発表したり交渉を、表向きそれからいわゆるカーテンの内側も含めて交渉をやっているようなので、そういう市民社会の、何というんですか、生き残れるというか発展できる余地を残すような措置を日本政府は考えるというか、カンボジア政府に働きかけ、話しかけてほしいなというふうに思います。
 以上です。
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里見隆治#28
○里見隆治君 どうもありがとうございます。
 今日はカンボジアだけではなくてアジア太平洋における平和の実現、地域協力ということですのでもう少し総論的になってしまいますけれども、今御答弁をいただいた政府とNGOとの対話、協力、協調というのは非常に大事な動きではないかというふうに考えております。
 実は私、ODAの調査関係で、この調査会にもお見えの藤川政人先生を団長として、昨年九月、太平洋の、大洋州のパプアニューギニアとソロモンに参議院のODA派遣で行ってまいりました。そして、先週、ODA特別委員会で御報告もさせていただいたところでございます。
 このODAというのは、政府ではございますけれども、経済協力そのものは他に民間資金やNGOの活動と相まって行われているとすれば、このNGOと政府の連携協力というのは不可欠だと思います。言うまでもないことであろうと思います。そうした中で、先ほど御紹介もありました、これまでのNGOと外務省との定期協議会、連携推進委員会や、あるいはODAの関係で政策協議会を定期的にされているということは、これ非常に重要なことであろうと思います。私も、つぶさに議事録を拝見したのは今回初めてでございました。
 先ほどのお話のとおり、なかなか、NGOサイドから御要請、御要望を伝えられると、政府もそれは聞きおくこともあれば政策に反映させることもあるということで、一定の制約はあるんでしょうけれども、こうした定期協議を更に一歩深めていくために政府にあるいは国に対して求めるべき点、お考えがあれば教えていただきたいと思います。
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熊岡路矢#29
○参考人(熊岡路矢君) 今、形にはなっていなくてアイデアのレベルですけれども、カンボジアを中心にASEANの問題、当面はカンボジアの問題、この日本のODAでいかに人権、民主主義、自由というものを生かした社会状況をつくるかということで、是非特別に、外務省とかJICA、NGOを含めた、既にある程度できていると思うんですけれども、このカンボジアの案件では非常に、時間を非常に、何というんですか、近いものなので、特別にでもそういう話し合う場をつくりたい。それから、そこでいえば、当然ですけど、議員の方々にも絡んでいただいて、少なくともまず自由な討議と、現状がどうなっているかという事実確認のところまでは共同でやっていくような仕組みを持ちたい、持ってほしいというふうに思っています。
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