文部科学委員会

2018-11-20 衆議院 全119発言

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会議録情報#0
平成三十年十一月二十日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 亀岡 偉民君
   理事 大見  正君 理事 神山 佐市君
   理事 馳   浩君 理事 村井 英樹君
   理事 義家 弘介君 理事 菊田真紀子君
   理事 城井  崇君 理事 鰐淵 洋子君
      池田 佳隆君    上杉謙太郎君
      小此木八郎君    尾身 朝子君
      大串 正樹君    大塚  拓君
      小林 茂樹君    繁本  護君
      下村 博文君    白須賀貴樹君
      高木  啓君    中村 裕之君
      根本 幸典君    鳩山 二郎君
      福井  照君    古田 圭一君
      穂坂  泰君    星野 剛士君
      三谷 英弘君    宮内 秀樹君
      宮川 典子君    宮路 拓馬君
      八木 哲也君    川内 博史君
      初鹿 明博君    道下 大樹君
      村上 史好君    吉良 州司君
      白石 洋一君    稲津  久君
      中野 洋昌君    中川 正春君
      高橋千鶴子君    畑野 君枝君
      杉本 和巳君    吉川  元君
      笠  浩史君
    …………………………………
   文部科学大臣政務官    中村 裕之君
   文部科学大臣政務官
   兼内閣府大臣政務官    白須賀貴樹君
   参考人
   (日本エネルギー法研究所理事長)         野村 豊弘君
   参考人
   (さくら共同法律事務所弁護士)          河合 弘之君
   参考人
   (東洋大学法学部教授)  大坂 恵里君
   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君
    —————————————
委員の異動
十一月二十日
 辞任         補欠選任
  船田  元君     穂坂  泰君
  宮内 秀樹君     繁本  護君
  川内 博史君     道下 大樹君
  牧  義夫君     白石 洋一君
  畑野 君枝君     高橋千鶴子君
同日
 辞任         補欠選任
  繁本  護君     星野 剛士君
  穂坂  泰君     船田  元君
  道下 大樹君     川内 博史君
  白石 洋一君     牧  義夫君
  高橋千鶴子君     畑野 君枝君
同日
 辞任         補欠選任
  星野 剛士君     三谷 英弘君
同日
 辞任         補欠選任
  三谷 英弘君     鳩山 二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  鳩山 二郎君     宮内 秀樹君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
     ————◇—————
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亀岡偉民#1
○亀岡委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 本日は、本案審査のため、参考人として、日本エネルギー法研究所理事長野村豊弘君、さくら共同法律事務所弁護士河合弘之君及び東洋大学法学部教授大坂恵里君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位から一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御了承ください。
 それでは、まず野村参考人にお願いいたします。
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野村豊弘#2
○野村参考人 それでは、レジュメに沿って意見を述べます。
 最初の「原子力損害賠償制度との関わり」というのは、私の発言の趣旨を正確に理解していただくというために、これまで私が原子力損害賠償制度とどのようにかかわってきたかを示すものでございます。
 ごらんのとおりですが、まず、前回の原賠法の改正のもとになりました検討会に座長として加わっておりましたほか、経済協力開発機構の原子力法委員会、それから国際原子力機関のINLEX会合にも専門家として加わっております。そしてもう一つは、民間の団体ですけれども、国際原子力法学会というところに理事として長い間運営に加わっております。特に福島事故以後は、これらの海外の諸機関において、日本における損害賠償の状況について報告してまいりました。
 次に、(2)基本的視点ですが、これは、私の陳述においてどのような視点から何を述べるかというものを示すものでございます。一言で言えば、これまでの原賠法の改正の経緯、CSCの条約への加入とこの問題に関する国際動向を踏まえて、今回の改正案を概括的に検討するということでございます。
 それでは次に、二に移りますが、まず、原子力損害賠償法の変遷ですが、昭和三十六年に原賠法が制定されました。この法律には、無過失責任、責任集中、無限責任の原則等、原賠制度の骨格が含まれておりまして、このときに損害賠償の措置額が五十億円に定められております。その後、政府補償契約と国の援助に関する規定の延長のために、おおむね十年ごとの改正が行われてまいりました。すなわち、昭和四十六年、五十四年、平成元年、平成十一年の改正ですが、主な改正点は、賠償措置額の引上げが中心でした。
 ところが、平成二十一年の改正では、そのために設置されたあり方検討会では、ジェー・シー・オー事故の経験を踏まえた議論がなされました。その結果、改正法では、損害賠償措置額が六百億円から千二百億円に引き上げられるとともに、紛争審査会の役割として原子力損害の範囲に関する指針の策定が追加されました。
 このような状況において福島事故が生じたのですけれども、円滑な賠償のために追加的な枠組みの整備が行われました。すなわち、原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じた事業者相互扶助の枠組み、紛争審査会のもとでの和解仲介実施体制、特例法によるADR手続中の時効中断及び時効期間の延長、政府による仮払金の立てかえ払い等の措置が講じられました。
 そして、実際の賠償実務では、紛争審査会の指針に基づいて東京電力が自主払いするということが中心でしたが、窓口体制と請求管理、処理体制の必要性、避難者等を対象とした仮払いの必要性が顕在化しました。そして、東京電力による仮払いも行われております。
 他方、三ですけれども、原子力損害賠償に関する国際的な枠組みに目を転じますと、パリ条約、ブリュッセル補完条約、両条約改定議定書というヨーロッパ中心の枠組みと、ウィーン条約、改定議定書という世界的な枠組みとが併存しております。そして、この二つを統合しようとするのが、一九八八年のジョイントプロトコール、それから原子力損害の補完的補償に関する条約、いわゆるCSC条約ですが、後者は日本の加入によって発効するに至りました。
 これらの国際的な条約に基づく枠組みにおいては、以下のような原子力損害に関する原則がとられております。すなわち、原子力事業者への賠償責任の集中、原子力事業者の厳格責任、原子力事業者の賠償責任の最下限、保険を中心とした損害賠償措置の義務、事故発生国の裁判所による専属裁判管轄、被害者の平等な取扱いなどです。
 日本の原賠法はこれらの諸原則を取り入れた内容になっていて、CSC条約に加入したときにも大きな改正はなされておりません。
 そしてさらに、諸外国では、国内法についてさまざまな動向が見られます。例えば、賠償措置額の引上げの模索については、保険市場における対応の困難さが指摘されるところです。また、米独において既に存在する事業者の相互扶助による追加的措置の枠組み、保険の機能にかわる代替措置又は追加的措置の議論、それから日本の取組を参考にする円滑な賠償金支払いのための方策の検討などが見られるところでございます。
 そして、今回の改正についてですけれども、今回の改正の主な内容としては、損害賠償実施方針の作成、公表の義務づけ、仮払い資金の貸付制度の創設、和解仲介手続の利用に係る時効中断の特例の三つが挙げられております。
 既に述べたように、東京電力福島原発事故の経験を踏まえて、今後の賠償対策に必要な措置としては、賠償措置額を超える損害について、原子力損害・廃炉等支援機構による支援、それから個別、多様な損害への対応として、ADRを安心して利用できる体制の整備、それから第三に、事業者自体の賠償への取組体制として、窓口の整備、賠償方針、事務処理方法等の事前検討、避難者への賠償などが考えられます。
 今回の改正内容は、こういった措置に必要な法整備を行うものと評価できるのではないかと考えております。
 最後に、今後の課題としては、既に専門部会で指摘されておりますように、賠償措置額及び賠償措置のあり方、原子力事業者の法的整理における課題の整理、クラスアクション制度の導入、ADRにおける仲裁制度の導入などがありますが、いずれも検討しなければならない多くの問題を含んでいると言わなければなりません。
 以上でございます。
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亀岡偉民#3
○亀岡委員長 ありがとうございました。
 次に、河合参考人にお願いいたします。
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河合弘之#4
○河合参考人 弁護士の河合でございます。
 私は、脱原発弁護団全国連絡会の代表といたしまして、日本全国の原発の差止めの裁判に直接、間接にかかわっており、損害賠償請求業務についてもかかわっておる実務家であります。
 意見を述べます。
 損害賠償額を一千二百億円に据え置くことについて。
 損害賠償額は、一次的責任主体である電力事業者が損害賠償義務の履行を確実にできるように定められています。それは原賠法第七条です。したがって、物価の上昇、実際に起きた事故によって発生した損害額の算定など、事情の変化によって逐次増額されてきました。現在の千二百億円という金額は、平成十一年のジェー・シー・オー事故の経験等を踏まえ、平成二十一年に六百億円から倍増されたものであります。一事故につき千二百億円を用意しておけば大体カバーできるという認識がありました。そして、万一それをオーバーしたときは、例外的に国が同法十六条により資金支援するというたてつけになっています。
 ところが、東京電力福島第一原発事故、以下福一事故と言いますが、それでは、損害賠償既払い額は既に八・六兆円になっています。これは東京電力のホームページによります。
 同法第六条は、原子力損害の賠償責任者は電力事業者だから、予想される原子力損害を賠償できる体制をとっておかなければ原発を運転してはならないとしております。したがって、賠償措置額は、福一事故によって現実に発生した八兆六千億円という金額に合わせることが当然であり、損害賠償額は少なくとも八兆六千億円とすべきであります。我々は福一事故に学ばなければなりません。
 賠償措置額を一千二百億円に据え置くと、現実に福島原発事故で発生した既払い額八・六兆円の一・四%しか電力事業者は用意しなくてよいことになります。これは、九八・六%、すなわち一千二百億円を八・六兆円で割った場合の割合ですが、要するに九九%です、九九%は国が面倒を見ると言っているのと同じであります。これは、原賠法の基本精神、すなわち、事故の損害賠償責任は電力事業者に負わせる、国の支援は例外的とするという基本精神に反します。資本主義経済、自由主義経済の大原則、自己責任原則に明らかに反するものであります。原則と例外を逆にしてしまうのであります。
 このようなことにすると、モラルハザードが必ず起きます。事故を起こしても国が面倒を見てくれる、それなら安全対策はなるべく低コストで最低限でいこうということになります。
 よって、賠償措置額は、少なくとも八兆六千億円にすべきであります。
 以上の論については、それでは保険料、補償料が高くなり過ぎて原発が採算に合わなくなるとの反論が考えられます。しかし、我が国の憲法が定める資本主義経済、自由主義経済のもとでは、それもやむを得ないのであって、電力事業者は、その条件のもとで企業努力によって採算が合うように努力すればよいのであります。それができない電力事業者は原発を断念すればよいのであります。国は、電力会社に原発の運転を強制することはできないのであります。現に、沖縄電力は原子力発電をしておりません。
 また、千二百億円に据え置いても、最終的には国が面倒を見るので、被害者救済には支障がないから据え置いてもよいのだという主張があり得ます。しかし、それは間違いであります。国民の被害救済にのみ着目するならば、原子力損害については電力事業者も免責し、国が全て賠償すると法律に定めればよいのであります。しかし、それでは、憲法が定める資本主義経済、自由主義経済の原則に反するので、原賠法は、一、被害者救済の確保、二、事業者の自己責任、すなわち事業を営む者はその事業によって発生する損害を賠償する責任を負うという、この二つの原則を法の主眼としているのであります。
 損害賠償額を千二百億円に据え置くことは、電力会社に対して九九%の責任を免除してやるのと同義であります。
 この議論に対しては、電力事業者は政府機関からの支援金については返済しなければならないのだから自己責任を負っているとの反論があり得ます。しかし、福一事故後の東電救済立法を見ても、その返済は、事実上の特別負担金によって長期的に薄く長くされるようになっており、いわば、あるとき払いの催促なしになっております。現に、東電はその恩恵により、毎年の決算において巨大な利益を計上しています。したがって、他電力会社も、事故を起こしても自己責任で倒産することはないと考えています。これこそモラルハザードであります。見直し立法担当者は、福島原発事故に学ぶことを忘れていると思います。
 立法担当事務局は以下のように言っております。
 損害賠償額を高くすると保険会社の損害保険を引き受ける意欲、能力に問題が出ると言っています。そうだとすれば、資本主義的に合理的な確率計算を本旨とする損害保険の物差しに合わないということであるからやむを得ません。国が考えて対策をとれることであります。
 二番目に、総括原価方式の見直しなど事業環境の変化があるので、千二百億円据置きもやむを得ないと事務局は言っております。しかし、事業環境が変化しようと、原発重大事故によって八・六兆円以上の損害賠償債務の発生が強く予想されることには変わりないのですから、理由になりません。
 三番として、事務当局は、新規制基準により事故発生確率が減少したのだから千二百億円で据え置いてもよいと言っています。しかし、それは余りに定性的な話であって、科学的、定量的ではありません。新規制基準によって従来より何%重大事故確率が低下したのだから措置額は何%低くしてよいというのでしょうか。千二百億円を増額するか否かという定量的な問題を論ずる場合、理由は定量的でなければなりません。しかも、田中俊一前原子力規制委員会委員長は、適合性審査に合格したからといって安全とは申し上げないと数回も明言しております。
 次に、原賠ADRの改善について申し上げます。
 事務当局の案は、原賠ADRがよく機能しているので改善の必要性はないと言っていますが、間違いであります。
 私は、飯舘村の村民約六千人の半分のおよそ三千人の住民のADRの代理人をしていますが、初期被曝慰謝料十五万円から五十万円というADRからの和解案を東電は拒否しました。また、浪江町の一万五千人の避難慰謝料月五万円増額も拒否され、今月末には訴訟提起となります。
 ADRパネル側は、東電が受諾する見込みのない和解案は出せないと弱腰になっており、東電はそれにつけ込んで賠償金の出し渋りをするようになっています。これでは被害者の泣き寝入りがふえるばかりです。それを解決するには、パネルの和解案は東電に対して強制力を持つ、すなわち一定期間に東電が訴訟を提起しないのであれば和解案に服するという法改正をすべきであります。
 次に、原発メーカーの免責について申し上げます。
 原賠法のこの規定は廃止すべきであります。この規定のせいで、福一事故におけるメーカー、GEと東芝の行動は極めて無責任であり、他人事のようでありました。今や、メーカーを免責して原発製造に邁進させるという立法理由は消滅したのですから、資本主義の原則に戻って、メーカーにも事故の責任を負わせるべきであります。
 なお、賠償責任を電力事業者に絞ることにより、損害賠償請求の相手方が明確になるから被害者救済に役立つというのは詭弁であります。被害者からすれば、電力事業者、メーカー、建設業者をまとめて共同不法行為で訴える方が、ずっと確率、回収額においてプラスであります。
 次に、原発重大事故を起こした電力会社に最後まで責任をとらせ、かつ停電を起こさせない方法を述べます。
 これは極めて簡単であります。
 その電力会社の電力事業を他の電力会社に譲渡させ、残った旧会社は、原子力損害賠償債務がある限り破産、民事再生、会社更生の申立ての手続をとってはならないという立法をし、その旧会社に対して国が資金援助をすればよいのであります。そうすれば、電力供給につき不安はなくなりますし、被害者救済にも不安はなくなります。
 以上でございます。
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亀岡偉民#5
○亀岡委員長 ありがとうございました。
 次に、大坂参考人にお願いいたします。
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大坂恵里#6
○大坂参考人 東洋大学の大坂と申します。
 本日は、貴重な機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、民法及び環境法を専攻しておりまして、福島原発事故後は、事故賠償問題を中心に研究してまいりました。
 お手元の資料に沿って、原賠法改正について意見を述べさせていただきます。
 今回の原賠法改正案の趣旨は、簡単にまとめますと、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会における検討を踏まえ、原子力損害の被害者の保護に万全を期するため、所要の措置を講じると説明されています。
 しかしながら、私は、この改正により、将来の原発事故の被害者の保護に万全を期する内容となり得るのか、疑問に思っているところでございます。それぞれの改正事項につきましては、特段の異議はございません。しかしながら、被害者の保護に万全を期するためには、より抜本的な改正が必要だと考えております。
 こうした観点から、法案及び専門部会の最終報告書に関しまして、資料では五つの論点を挙げさせていただきました。
 一、専門部会の審議過程において、東電福島原発事故の被害実態は適切に把握されたか。二、原賠法の目的に、原子力事業の健全な発達に資するということはなお必要か。三、原子力事業者への責任集中及び求償権の制限は必要か。四、原子力事業者の無限責任の維持は支持しますが、損害賠償措置額は千二百億円のままで十分か。五、現行の被害者救済手続の問題、特に原発ADRをめぐる問題が見過ごされてはいないか。
 以下では、二つ目の原賠法の目的と、五つ目の被害者救済手続がおおむね現状維持されたことにつきまして、補足の意見を言わせていただきます。
 二ページ目の二番をごらんください。
 現行の原賠法には、目的が二つあります。一つは被害者の保護、もう一つは原子力事業の健全な発展に資することです。
 原賠法は、不法行為の特則と位置づけられておりますが、不法行為法の主たる目的が被害者の受けた損害の填補であることは一般に認識されていることであります。
 不法行為に関する特別法には、目的の中に、被害者の保護に加えて、何らかの健全な発達や発展に資することをうたうものがございます。ただ、原賠法のように、特定の事業の健全な発達に資するということをうたっているものはございません。
 原賠法が、日本が原子力開発を再開するに当たって、原子力関連法の一つとして制定されたという事情におきましては、その目的に被害者保護と原子力事業の健全な発達が併記されたということについては理解できます。
 しかしながら、原子力開発の黎明期をとうに過ぎ、そして未曽有の被害をもたらした東電福島原発事故を経て、なお原子力事業だけを特別視し続ける扱いにつきまして、私は合理的な説明があるか疑問に思っております。
 この点、専門部会の最終報告書は、原子力事業の健全な発達を残すことにつきまして、原子力事業者が適切な賠償を行い、被害者の保護を確実に行うためには、原子力事業者の予見可能性の確保と事業の円滑な運営にも留意する必要があると説明しております。
 しかしながら、この原子力事業の予見可能性の確保という文言は、専門部会の審議においては、原子力事業者の責任の有限化に関する発言とたびたび結びつけて登場しておりました。
 私は、事故抑止の観点などから、原子力事業者の無限責任が維持されるということには強く賛成をしております。しかし、原子力事業の健全な発達が原賠法の目的に掲げられている限りは、原子力事業者の予見可能性の確保のための責任の有限化の議論が今後再燃するのではないかと懸念しております。
 原子力事業の健全な発展は、原子力利用を推進する原子力基本法そのほかの関連法令において語られるのはともかくとしまして、原賠法の目的として、被害者保護と並列的に語られるべきではないというふうに思っております。
 原賠法の目的に関する意見は、以上です。
 次に、三ページの五、被害者救済手続に関して補足意見を述べさせていただきます。
 専門委員会の最終報告書は、東電福島原発事故に係る原子力損害賠償が適切に行われているとの評価のもと、原子力損害賠償紛争審査会による指針の策定、和解の仲介、審査会の組織、運営等について現行規定を維持し、原子力損害賠償紛争解決センターについても現行どおりとしております。
 しかしながら、先ほど河合参考人もおっしゃっていたように、少なくとも和解の仲介に関しては、現在、適切に行われているとは言いがたい状況になっております。
 将来の原発事故被害者が損害賠償を請求する方法は、現行どおりといたしますと、原子力事業者への直接請求、原発ADR、そして訴訟という三ルートになると思われますが、これらは、いずれのルートをとっても、ほかのルートを排除しておりません。
 そして、現行の被害者救済手続において、東電は、国の支援を受けるに当たって、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で作成する特別事業計画の中で、和解仲介案の尊重を誓っております。
 しかしながら、東電は和解案を拒否するという事例が発生しております。東電社員及びその家族からの申立てに関する和解案受諾拒否は以前からございましたが、ことしに入ってから、集団申立てが次々と和解仲介手続を打ち切られるようになっております。浪江町住民の一万五千人による集団申立てにつきましては、多少詳しい経緯を載せておりますが、ほかの集団申立てにつきましても、センターの和解案提示後、東電の再三の受諾拒否に遭い、結局打ち切られるという結果になっております。現在進行中のものとしましては、相馬市玉野地区の集団申立てがございまして、つい先日、やはり東電が和解案の受諾拒否をしております。
 これら和解の仲介が成立しなかった被害者に残された道としましては、個別ADRをするか、あるいは訴訟をするか、はたまた諦めるかという選択になりますが、個別ADRを行う場合には、司法アクセスの問題がございます。センターへの申立てのうち弁護士が代理しているものは、二〇一七年末までの全期間合計で三七・六%、約四割にすぎません。訴訟を提起する場合であっても、事故から七年半を過ぎ、気力、体力が残っている被害者は少数であると思われます。実際、昨日、集団申立てが打切りとなった浪江町住民が、今月二十七日に提訴を予定しているというニュースが報道されておりましたが、まずは百人程度で開始するとのことでした。
 さらに、資料の四ページに進んでいただきますと、別のADR問題を報じた記事がございます。
 昨年、集団訴訟の判決が出始めたあたりから、ADRと裁判と並行して起こしている被害者らに対して、東電がADR手続を留保するようになっております。
 こうした対応が続いていけば、センターにも東電が受諾するような内容の和解案を提示するような意向が求められることになりまして、迅速かつ適正な紛争解決を提供するセンターの機能が損なわれていくことになると私は考えております。
 改正案では、原子力事業者に損害賠償実施方針の作成、公表を義務づけることとしておりますが、各原子力事業者が損害賠償実施方針の中で和解仲介案の尊重を誓うことにとどまっているのであれば、万が一、将来、原子力事故が起きたときに、同様の問題が起きることが懸念されます。
 専門部会の最終報告書では、仲裁手続の導入については将来的な検討課題とするとされておりますが、ほかのADR制度も参考にしつつ、原子力事業者に受諾義務を課すような制度設計を御検討いただければと思います。
 今回、改正が急がれているのは、原子力損害賠償補償契約の新規締結及び原子力事業者に対する政府の援助の適用期限の延長が必要だということが大きい理由かと思います。しかしながら、期限は来年の二〇一九年十二月三十一日でございます。ここは、しっかり御審議いただきまして、より実りの多い改正にしていただきたいと思っております。
 私の意見は以上でございます。御清聴どうもありがとうございました。
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亀岡偉民#7
○亀岡委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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亀岡偉民#8
○亀岡委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大見正君。
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大見正#9
○大見委員 おはようございます。自由民主党の大見正と申します。
 本日は、野村参考人、河合参考人、大坂参考人のお三方につきましては、お忙しい中、また急な参考人質疑ということで十分な準備の時間もなかったのではないかと思いますけれども、丁寧な御発言をいただきましたことを心から御礼申し上げたいと思います。
 私は最初の質問者だというふうに思っておりますので、いささか私のお尋ねすることが総括的な御質問になろうかというふうに思います。また、論点をそれぞれ同じ目線で見ていきたいということもありますので、お許しをいただきたいと思います。
 先ほど、野村参考人からは、原賠法の歴史あるいは国際的な位置づけ、今後の課題等のお話もいただきました。河合参考人からは、主に損害賠償措置額のことについてお話を承りました。また、大坂参考人からは、主に二点の今後の問題点についてもお触れをいただいたということであります。
 今回の原賠法の改正、御存じのとおり、大きく四つの改正点であります。一点目が損害賠償実施方針の作成及び公表の義務化、また二点目が仮払金の貸付制度の創設、三点目が和解仲裁手続の利用に係る時効中断の特例、そして四点目が原子力損害賠償の保険契約の適用期限の延長、この中で賠償額の千二百億円は据え置くということが副次的に言われておるということであります。
 その最初の三点については、被害者保護の点では非常に新しい踏み出しをしていただいたのではないかなというふうに私自身は思っております。特に仮払金の制度の創設とADRの時効の中断については、議員立法から特例的にまとめたものを法律的にしっかりと位置づけていただいたというところでは、大きな変化ではなかったかなと思います。
 特に、この議員立法については、ちょうど亀岡委員長が御地元だということもあって、被災者の声、被災者の本当に苦しんでいる様子というのをいち早くまとめて、議員立法として実行ができるように前に進むようにということで大変御努力をされたという経緯がございまして、それが今回、この改正案の中で制度としてしっかりと一般的な原発の事故についても当てはめることができるようにしていただいたというのは、私どもとしては非常に前進ではないかなというふうに思っておりますけれども、それぞれの御意見がおありになろうかというふうに思っておりますので、まず、その一点目の作成、公表の義務化、仮払金の貸付制度の創設、時効の中断、この三点について、それぞれの参考人の皆さん方がどのように評価をされているか、お伺いをさせていただきたいというふうに思います。順番の方は、野村参考人からという発言の順番でお願いをさせていただきたいと思います。
 以上です。
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野村豊弘#10
○野村参考人 それでは、私の意見を述べたいと思います。
 まず、第一の損害賠償実施方針の作成、公表の義務づけにつきましては、実際の損害賠償実務では紛争審査会の指針を活用した自主的な賠償が中心になりますので、事業者がそれにどう対応するかというのが重要であります。短期間に多数の被害者からの損害賠償請求が出るということで、全ての被害者を一方で平等に扱い、他方で個別的な事情をしんしゃくしながら紛争解決のために迅速、円滑な対応をするためには、事業者において事前に事務処理や紛争解決の方針を定めておくということは必要であり、この改正は実効性があるというふうに判断しております。
 ただ、今後、その方針の中にどういった項目を盛り込むのかということをきちっと定めていくという必要があるのではないかと考えております。
 それから、二番目の仮払い資金の貸付制度の創設につきましては、避難者、特にすぐにお金が必要になるわけですので、仮払いの必要性というのは非常に高いというふうに考えております。
 ただ、一方で必要性はあるんですけれども、他方で未確定の賠償を先払いするということになりますので、将来何らかの形で賠償額を確定して精算させるということになりますので、その場合の権利義務関係が余り複雑になるということは避けた方がいいというふうに考えております。つまり、複雑さを回避するために更に複雑なルールをつくるということになると、現実には仮払いが遅延して動かなくなるというおそれがありますので、事業者に支払い窓口を一本化して支払いの円滑化を図った上で、保険金等によって資金を貸し付けた者への返済を確保するという改正案の仕組みは合理的ではないかというふうに考えております。
 それから、三番目の和解仲介手続の利用に係る時効中断の特例につきましては、福島事故では、ADR手続利用期間中に時効中断をするという必要が出てきまして、特例法が制定されました。この制度も、今後も同様の事故があれば、それは不可欠でありますので、これは必要な改正であるというふうに考えております。
 以上です。
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河合弘之#11
○河合参考人 私は、まず、損害賠償対策、そういう体制を確立することを電力会社に義務づけるということについては賛成でございます。結構なことだと思います。
 実際、福島原発事故のときは、東京電力は非常にばたばたしておりまして、損害賠償担当者は疲弊をして、むしろそれ自身が原発被害だみたいなことがあって、うつになられたり、退職したりする人が相次いだということを聞いております。そのことは被害者にも反射的に不利益となって返ってきていると思いますので、あらかじめ、そういう体制をきちんと決めておいて、今言ったようなことがないようにしておくことは必要です。
 そしてまた、そういう体制をきちんと築いておくことを検討することによって、原発事故が起きたら大変なことになるんだなということを、あらかじめ電力会社に自覚させる効果があるというふうに思います。
 それから、仮払金のことについてですが、これも私は賛成でございます。大変結構なことだというふうに思います。
 ただ、確かに、今、野村先生がおっしゃったような後での精算という問題がありまして、後で返してもらうのには大変なあつれきがあると思います。したがって、そういうことがないように、今までも公害で、仮払いになったものの、返してもらうという問題で大変深刻な問題があって、被害者の方から、返す義務に心労をして自殺者が出たというような例もありますので、そこはよく注意しなきゃいけないと思います。
 私が一番関心があるのは、ADRと損害賠償債権の時効の問題でございます。
 これは、単純に、ADRの申立てをしたら時効が中断されるというふうに、ぴしっとしていただきたいと思います。ADRの結果が出た、若しくは取下げになった、打切りになった、そこから一定期間内に訴訟を起こさないと時効になるというような間接的な救済方法ではだめで、とにかくADRを申し立てたら時効は中断されるんだというふうにしておくことが極めて明確になり、かつ、被害者の救済に役に立つと思います。
 以上です。
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大坂恵里#12
○大坂参考人 私も、三つの点につきましては、基本的に全て賛成をしております。
 多少補足いたしますと、まず、一つ目の損害賠償実施方針の作成、公表の義務づけでございますが、ちょっと懸念いたしますのは、先ほども申し上げましたけれども、紛争解決を図るための方策というものを書き込むことになってはおりますが、和解仲介への対応方針において尊重するという形に書き込んだことについて、それが実際にどうなるのかということにつきましては、やはり受諾義務というか、ほかの制度が必要ではないかというふうには思っております。
 二つ目の仮払い資金の貸付制度の創設につきましても、これも私も賛成しております。
 被害者の方たちは、当面帰れないということをわからずに避難をされるという状況になってしまいまして、本当に、現金というか、当日のお金にも困るという状況でございましたので、このたび、議員立法で仮払いということを行っていただいたのは非常によかったことだと思っておりますが、こういったことが法制度化される、原賠法の中に取り込まれるということで、私も賛成をしております。
 もっとも、既にお二人の先生が御指摘いただいたように、精算のことについては、少し考えていかなくてはいけないなというふうに思っております。
 三番目の和解仲介手続の利用に係る時効中断の特例につきましても、こちらも被害者保護に資するものだというふうに思っております。
 もっとも、これも先ほど申し上げました弁護士アクセスの問題が日本にはございまして、一月の間に訴訟を提起するということについて、もともと弁護士がついている形でADRをしていれば、それはそれほど難しくはないのかもしれませんが、改めて弁護士に相談をしたいというような被害者であれば、なかなか、こちらの一カ月というものは困難なのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。
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大見正#13
○大見委員 それぞれ御見解をいただきまして、ありがとうございました。
 総じて言うならば、三点については、課題もあるけれどもいいのではないか、賛成ができるのではないかというお話だったというふうに受けとめさせていただきたいと思います。
 もう一つ、もう時間がございませんので、大変申しわけないんですけれども、一番肝心なところと言うかもしれませんが、四つ目の問題で、特に損害賠償措置額の千二百億円、これを据え置いたことについてもお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 それぞれ、河合参考人の方のお話の中で、保険会社の引受けがなかなか難しいのではないか、あるいは、新しい、世界最高と言われる安全基準の中で必要性があるのかないかというところも触れていただいたわけでありますけれども、さまざまな視点を考慮した上で今回は据置きとなったと。野村参考人の資料では、数次の改正の中ではその都度上げていたということも御指摘をいただいたわけでありますけれども、今回は据置きになったということ。
 その点についてそれぞれの参考人がどう受けとめておられるか、既に開陳をされた方もお見えになりますけれども、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。
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野村豊弘#14
○野村参考人 それでは、最初に申し上げたいと思いますが、賠償措置額を引き上げるというのは、保険市場が保険の上限額を許容しなければなかなか難しい問題であります。現に、保険市場の能力との関係で事業者の責任限度額を上げられない国も見られるところであります。
 平成二十一年改正では、当時、改正パリ条約の、これは二〇〇四年につくられているんですけれども、賠償措置額を七億ユーロにしているということを参考にしております。ところが、この議定書はいまだ発効しておりませんで、フランスやスイスなど、七億ユーロの措置額を国内的に導入したところはありますけれども、体制を整えられない国が多くて、国際水準としては達成されておりません。
 それから、今月初めにアブダビで開催された国際原子力法学会に出席しましたけれども、その折、この保険の上限額の引上げについて保険プール側は否定的な説明をしていたので、保険市場の現状からすると難しいのではないかということであります。
 ただ、賠償措置額を引き上げるということは原賠制度の課題であるということは言うまでもありませんで、今後もできる限り上げられるように追求していくという努力は必要ではないかというふうに思っております。
 以上です。
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河合弘之#15
○河合参考人 千二百億円に据え置くということは、実際に既に福一事故で発生している損害賠償額の一%強しか積まなくていいということなんですよね。逆に言うと、九九%は、国が責任を、尻を引き受けてやるよというのと同じなんです。九九%を引き受けてやる、九九%面倒を見てやるというのは、全部面倒を見てやるというのと同義です。
 これは、前は違ったと思います。それは、損害賠償額の予想がずっと低かったからです。大体一千億かそこらだろうな、じゃ、一千二百億、保険会社で、電力会社が保険で用意しておけよということだった。そういう立法趣旨だった。
 ところが、それが、何とそれの百倍近い損害賠償額が発生するんだということがわかってしまったのに、その保険額、損害賠償措置額を上げないというのは、それは、ただ上げないじゃなくて、決定的にほぼ全部を免除してやるという立法にするというのと同じことです。損害賠償措置額をゼロにするのと同じです。十兆円のうちの一千億用意してどうするんですか。それで用意したと言えるんですか。本当に、福島原発事故を踏まえて、福島原発事故が発生して膨大な損害賠償額が発生したという事実を踏まえていての立法作業なんですかということを私は言いたい。
 保険会社が受けない云々の問題がありますが、それは次の課題であります。とにかく、そういう備えをして、そして保険会社がどうしても受けないというのであれば、それは国で損害賠償補償措置というのを変えてやるという方法もあると思います。保険金額と損害賠償補償額を変化させる、変えるという方法もあり得ます。
 そこを工夫しないでおいて、保険会社が受けるところがないから、若しくは保険プールが受けないからこのままでいいんだというのは、非常に立法者としては怠惰であるというふうに考えます。
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大坂恵里#16
○大坂参考人 私は、千二百億円、やはり足りないというふうに思っておりますが、では、具体的に幾らまで上げればいいのかというところにつきましては、正直わかりません、お答えできません。ただ、ここまで引き上げたので有限責任になるというふうな形の議論には持っていかれたくないなというふうに思っております。
 今回、専門部会におきましては、第十八回におきまして、賠償資力確保のための新たな枠組みということで、現状の損害賠償措置額の、そして国の支援の間に差し込むような形の御提案がされましたけれども、結局、四カ月ほど審議が中断しまして、その後出てきた見直し案の原案、素案ですかには載っていなかった。やはり非常に調整が難しい問題だというふうに思っております。
 ただ、河合参考人もおっしゃっていただいていたように、そこで中止というかやめるのではなく、今後も、どこまで引上げをしていくべきかということについてはやはり御検討いただけるというふうに専門委員会の部会の報告書にも書かれておりましたし、続けていただきたいというふうに思っております。
 以上です。
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大見正#17
○大見委員 時間が参りました。終わりたいと思いますけれども、被災をされた皆さん方、地元の皆さん方にとりましては、これからどうなっていくのか、不安しかないという状況の中でありますので、長い議論より一つの実行、これができるような制度設計、早く成立をしていくことを期待いたしまして、三人の参考人の皆さん方に改めて御礼を申し上げて、終わりにさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
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亀岡偉民#18
○亀岡委員長 次に、初鹿明博君。
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初鹿明博#19
○初鹿委員 立憲民主党の初鹿明博です。
 済みません、ちょっと風邪を引いていてお聞き苦しい声ですけれども、お許しをいただきたいと思います。
 まずは、きょう参考人としてこちらで御意見を承りました野村参考人、河合参考人、大坂参考人、ありがとうございました。急な呼びかけにもかかわらずお時間の調整をしていただき、我々に貴重な御意見をいただいたこと、本当に感謝を申し上げます。
 時間もないので、早速質問に入らせていただきますが、先ほど大坂参考人の方から、この原賠法の目的規定に「原子力事業の健全な発達に資すること」という文言が入っている、これはもう必要ないのではないか、被害者の保護や救済に特化する、そういう法律にするべきじゃないかというような御示唆がございました。
 この点について、野村参考人、河合参考人はどのように考えているのか、それぞれのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
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野村豊弘#20
○野村参考人 私は、余りこの点について意見を持っておりません。
 ただ、この規定があることによって、具体的に法律の二条以下の部分でどのように変わってくるのかという、その辺を明らかにしないと、入っていることの意味がなかなかわからなくて、それに対して意見を申し上げるということはできないのではないかというふうに考えております。
 以上です。
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河合弘之#21
○河合参考人 私も、大坂参考人と同じで、「原子力事業の健全な発達」という目的を第一条から削除すべきだと思っております。
 理由は、原子力事業はもう日本では十分に発達し過ぎて、衰退期に入っております。それを、わざわざ今発達させる必要はないのであります。
 そしてもう一つは、この原子力損害賠償法という名前でもわかるように、これは被害者保護のための法律の名前をしておりますし、それに法の目的を純化すべきであります。原子力事業の発達ということを入れると、発達させなきゃいけないから有限責任の方がいいだろうとか、そういうことになっていく。それから、損害賠償措置額も低目に抑えて負担を少なくしてやろうとか、そういう余計な配慮が働く、余計な配慮の口実にされるというふうに私は思います。
 それは、今から約五十年前にこの原賠法がつくられたわけですけれども、そのときの社会情勢と明らかに変わっておりますし、また、国民の認識も変わっているわけです。
 原子力産業をこれからうんと国民で育てていかなきゃいけないとみんなが思っていた時期と、福島原発事故を経てひどい損害を国がこうむった、国民がこうむった後の今とでは認識が違ってしかるべきで、私は、この原賠法の法律の目的を被害者の救済の確保ということに純化すべきだというふうに考えております。
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初鹿明博#22
○初鹿委員 ありがとうございます。特に、河合参考人から非常に的確な御指摘をいただいたというふうに思っております。
 今回の法改正は、福島の第一原発の事故が発生して、それを受けての改正ですので、やはり福島第一原発の事故の教訓というものをしっかりこの改正に反映させなければいけないというふうに思っております。
 しかし、残念ながら、その点については、損害賠償措置額の件を見ても十分に反映されているとは思えないわけでありますし、今お話がありましたとおり、この「健全な発達に資すること」という文言が入っていることによって、やはり有限責任になるのではないかとか、また、賠償措置額が低く抑えられる口実に使われるのではないかというのは、そのとおりではないかというふうに思っております。
 今回改正の中でやはり一番心配をされていたことは、無限責任が外されて有限責任になるのではないかということだったというふうに思います。この点はとりあえず、有限責任ではなく無限責任の原則が貫かれているわけですけれども、今、河合参考人が御指摘いただいたように、この「健全な発達に資すること」というものが入っている限りはいつ再燃するかわからないということは、本当におっしゃるとおりだなというふうに思わせていただきました。
 あともう一つ、福一の事故の教訓ということを考えると、今行われているADRのあり方について、やはりもう一度ちゃんと見直す必要があるんじゃないかというふうに思います。
 先ほど、河合参考人そして大坂参考人双方からこのADRについて、今非常に問題だという御指摘がありました。特に河合参考人からは、現在実際に代理人を務めているということで、多くの和解案が東電に拒否をされているという状況にあるというお話でありましたが、この状況を改善していくためにはどのような対策が必要であると考えているのかを、改めて河合参考人、大坂参考人にお聞かせいただきたいと思います。
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河合弘之#23
○河合参考人 私は、ADRに仲裁機能を持たせる、仲裁というのは強制力があるという意味でございます、べきだと思いますし、仲裁機能を持たせるのが究極ですが、少なくとも、先ほど申し上げましたように、ADRの和解案が出たら、東京電力はそれを原則としてのむ、拘束力を受ける、ただし、裁判を受ける憲法上の権利を侵害するわけにいかないので、例えば、一カ月以内に訴訟を起こしなさい、そうすればその拘束力から免れることができます、そうでない限り和解案は拘束力を持ちます、こういう制度で、これは実は、ほかの自動車損害賠償についての仲裁組織とかほかの公害とか、そういうものでもそういう制度があります。極めて奇異な制度ではありません。したがって、そういうふうにすべきだというふうに思っております。
 参考までに、今ADRがどういう状況になっているかというと、東京電力の側の代理人がすごく元気です。元気で、ばんばん拒否してきます。そして、ADRを突き上げます。そんな和解案を受け入れられるわけないだろう、そうしたらこんなに膨れ上がっちゃうぞとかいろいろなことを言って、それこそ、因果関係を立証してみろとか証拠がないとかいろいろなけちをつけて、受けないんです。
 最大の理由は、それをすると損害賠償額がほかにも同じ理屈になって広がるから、大きくなって収拾がつかなくなるからお断りだということなんですね。そして、結局打切りになってしまう例が続いているので、ADRの方が逆に萎縮して、東電さんが受け入れないような和解案を出したって無駄じゃないですか、だから私たちは和解案を出しませんという反応になってきているんです。非常に萎縮しているのは、東電ではなくてADRなんです。非常にこれは問題だと思います。
 それを打ち破るには、先ほど言った片面的な拘束力、強行性というものを持たせる必要がぜひともある。これは、このADR立法のときに日弁連はそこまで考えたんですが、強力な抵抗に遭って、とにかくではADRをつくろうということで、妥協の産物なんです。でも、その妥協の弊害が今もう出てきているんです。
 ですから、ぜひ、片面的強行性という法改正をしていただきたい。これは、憲法上の裁判を受ける権利とか財産権、東電のそういうものを侵害するものではありませんので、ぜひ、立法当局においてもそれから国会においても、その方向での検討をしていただかないと、皆さんが考えるように、裁判を起こすことは簡単ではないんです。私たちだって大変なんだけれども、頼む方ももっと大変です。
 福島県の人たちはおとなしいんです。おとなしいから、頼むよ裁判なんて言えないんですよ。裁判を起こせない人がほとんどです。皆さんも自分の身になって考えてください。では、百万円請求する、一千万円請求する、弁護士、はい、すぐ頼めると思いますか。すごく大変なんですよ。だから、司法というのは最後の最後の救済手段で、もっと簡単で庶民が気軽に利用できて実効性のある制度をぜひか弱い庶民のために考えていただきたい。お願いします。
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大坂恵里#24
○大坂参考人 ほぼもう河合参考人の回答に私も乗りたいと思いますけれども、レジュメの四ページに少し説明がございますが、今、河合参考人がおっしゃっていた交通事故紛争処理センターによる和解あっせんでしたり、また金融ADRと言われております金商法上の裁判外紛争処理制度がございまして、そちらは受諾義務というものを金融機関に課すと。やはりこれも消費者保護の観点から導入されております。ということで、金融機関としては、裁判を提起しないとこの受諾義務があるという形になっておりまして、裁判を受ける権利は担保されているんですから、こういった方法もあるというふうに思っております。
 ADRにおきましては、東電の方は必ず代理人がつくということになりますけれども、一方で、先ほど、福島の方からなかなか物が言いにくいというふうにおっしゃっておりましたけれども、そういったことでも、ADR、中立な立場ではございますけれども、実際には現在そうなっていないということをよく踏まえていただきますと大変ありがたく存じます。
 以上です。
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初鹿明博#25
○初鹿委員 どうもありがとうございました。
 片面的な強行性をしっかり持つような改正にしていただきたいというお話でありましたが、今の参考人お二人の御意見を聞いて、野村参考人も、最後ちょろっと本当に触れただけだったので、野村参考人の御意見もお聞かせいただきたいというふうに思います。
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野村豊弘#26
○野村参考人 ADRで福島事故については二万件を超える事件を処理されておりまして、その役割は非常に大きくて、もしこれが全て訴訟に流れていたら多分裁判所は立ち行かなくなるということなんですね。だから、問題はADRをどのように仕組んでいくかということで、これはADR法制と別の組織ですので、もう少し改革すべきところはいろいろあるのかなというふうには思っております、具体的にどこをということではないんですけれども。
 それから、仲裁を入れ込むというのは、ほかの分野でもちょっと、仲裁制度を入れながら訴訟できる道はないかという、仲裁というのはワンチャンスで、仲裁を選んだら、そこの仲裁判断が出たらそれに拘束されるということなので、かなりリスキーなところがあるんですね。事業者間の取引であればそういうこともきちっと考えてやるからいいんですけれども、被害者と東電みたいな電力会社とか、こういうような仕組みの中に仲裁というのはちょっとなかなか難しいのではないかというふうに考えているところであります。
 以上です。
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初鹿明博#27
○初鹿委員 もう時間がなくなってきたので、最後に皆さんにお聞かせいただきたいんです。
 先ほども大見委員からもお話がありましたが、今回の改正の中で一番私が気になっているというか問題だなと思っているのは、賠償措置額が一千二百億円で据え置かれたことだというように思います。福島第一原発の事故があって、実際に八・六兆円も損害賠償を既にしているわけであって、今のお話にありましたように、ADRの手続、和解などが進んでいくと、河合参考人が指摘したように、損害賠償額が更に広がる可能性もあるということもあるわけですから、そういうことを考えると、一千二百億円というのは余りにも低過ぎるということは私もそのとおりだと思います。
 そこで、野村参考人は、今後検証をしていかなければいけないというお話もありましたが、おおむねどれぐらいの額は最低限押さえておかなければいけないというように考えているのかということを最後にお聞かせいただきたいと思います。
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野村豊弘#28
○野村参考人 具体的な金額はちょっと考えておりませんけれども、むしろ保険以外の方法というのを今諸外国では考えているということですね。福島事故が世界に与えたインパクトというのは、保険が役に立たないじゃないかということだったんですね。
 だからといって、保険を上げられるかというと、そこはおのずから限界がある。だから、上げる努力というのはすごく必要なんですけれども、やはりそこは恐らく限界があるので、保険以外の方法ということで、よく出てきているのは事業者間の相互扶助みたいなものですね。
 それから、先ほど河合委員もありましたけれども、政府補償契約というのも、今でも一部分、保険でない部分をカバーしているわけです。それから、パリ条約にも国際的な援助の仕組みというのはあって、日本が入ったCSC条約もそういうことなわけですけれども、保険だけという発想でいるとなかなか難しいのではないかというふうに思っております。
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初鹿明博#29
○初鹿委員 参考人の皆様、ありがとうございました。時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。
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