法務委員会
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会
会議録情報#0
令和元年十一月二十日(水曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 松島みどり君
理事 伊藤 忠彦君 理事 越智 隆雄君
理事 鬼木 誠君 理事 田所 嘉徳君
理事 葉梨 康弘君 理事 稲富 修二君
理事 山尾志桜里君 理事 浜地 雅一君
井野 俊郎君 上野 宏史君
奥野 信亮君 門山 宏哲君
黄川田仁志君 国光あやの君
小林 茂樹君 出畑 実君
中曽根康隆君 百武 公親君
藤井比早之君 古川 康君
宮崎 政久君 山下 貴司君
吉川 赳君 落合 貴之君
高木錬太郎君 日吉 雄太君
松田 功君 松平 浩一君
道下 大樹君 山川百合子君
竹内 譲君 藤野 保史君
串田 誠一君
…………………………………
法務大臣政務官 宮崎 政久君
参考人
(学習院大学大学院法務研究科教授) 神田 秀樹君
参考人
(日本大学教授・弁護士) 松嶋 隆弘君
参考人
(弁護士・株主の権利弁護団事務局長) 前川 拓郎君
法務委員会専門員 藤井 宏治君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十日
辞任 補欠選任
神田 裕君 百武 公親君
和田 義明君 上野 宏史君
逢坂 誠二君 道下 大樹君
同日
辞任 補欠選任
上野 宏史君 和田 義明君
百武 公親君 神田 裕君
道下 大樹君 逢坂 誠二君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会社法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一号)
――――◇―――――
この発言だけを見る →午前九時三十分開議
出席委員
委員長 松島みどり君
理事 伊藤 忠彦君 理事 越智 隆雄君
理事 鬼木 誠君 理事 田所 嘉徳君
理事 葉梨 康弘君 理事 稲富 修二君
理事 山尾志桜里君 理事 浜地 雅一君
井野 俊郎君 上野 宏史君
奥野 信亮君 門山 宏哲君
黄川田仁志君 国光あやの君
小林 茂樹君 出畑 実君
中曽根康隆君 百武 公親君
藤井比早之君 古川 康君
宮崎 政久君 山下 貴司君
吉川 赳君 落合 貴之君
高木錬太郎君 日吉 雄太君
松田 功君 松平 浩一君
道下 大樹君 山川百合子君
竹内 譲君 藤野 保史君
串田 誠一君
…………………………………
法務大臣政務官 宮崎 政久君
参考人
(学習院大学大学院法務研究科教授) 神田 秀樹君
参考人
(日本大学教授・弁護士) 松嶋 隆弘君
参考人
(弁護士・株主の権利弁護団事務局長) 前川 拓郎君
法務委員会専門員 藤井 宏治君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十日
辞任 補欠選任
神田 裕君 百武 公親君
和田 義明君 上野 宏史君
逢坂 誠二君 道下 大樹君
同日
辞任 補欠選任
上野 宏史君 和田 義明君
百武 公親君 神田 裕君
道下 大樹君 逢坂 誠二君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会社法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)
会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一号)
――――◇―――――
松
松島みどり#1
○松島委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、学習院大学大学院法務研究科教授神田秀樹さん、日本大学教授・弁護士松嶋隆弘さん及び弁護士・株主の権利弁護団事務局長前川拓郎さん、以上三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の皆様に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れば幸いにと存じます。よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、神田参考人、松嶋参考人、前川参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人の方から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず神田参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、学習院大学大学院法務研究科教授神田秀樹さん、日本大学教授・弁護士松嶋隆弘さん及び弁護士・株主の権利弁護団事務局長前川拓郎さん、以上三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の皆様に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れば幸いにと存じます。よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、神田参考人、松嶋参考人、前川参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人の方から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず神田参考人にお願いいたします。
神
神田秀樹#2
○神田参考人 おはようございます。神田と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、この委員会にお招きいただきまして、意見を述べさせていただく機会をいただき、まことにありがとうございます。
今回の会社法改正法案でございますけれども、法制審議会の会社法制部会において審議されたところに基づいて作成されているというふうに理解しております。
私は、御縁がありまして、その法制審議会の会社法制部会における審議に部会長として参加させていただいた者でございます。そういうこともありまして、今回の法案の内容に賛成をしており、この法案による会社法改正の成立を期待している者でございます。
今回の会社法改正ですけれども、会社法という法律は、平成の十七年に制定されまして、その後、平成二十六年にまとまった改正がされまして、それ以来、今回が二度目のある程度のまとまった改正ということになります。今回の改正も、平成二十六年の改正に続きまして、我が国の企業社会そして証券市場にとって重要な改正であると思います。
今回の会社法改正の理由ですけれども、これは法案の提出理由にあるのですけれども、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るということであります。
私の言葉で言いますと、我が国企業に対する信頼を高め、我が国企業の持続的な成長と繁栄を期待するために会社法を洗練化するというのが今回の改正の目的であると言っていいかと思います。会社法、どちらかというと地味な法律ですけれども、それをより洗練化することによって、日本の企業そして経済にプラスになるようにということではないかと思います。
平成二十六年に成立、公布されました会社法改正法の附則二十五条という規定がありまして、先生方既に御存じのことで、繰り返しになって恐縮ですけれども、次のような規定がございました。「政府は、この法律」、この法律というのは二十六年の改正なんですけれども、この「施行後二年を経過した場合において、社外取締役の選任状況その他の社会経済情勢の変化等を勘案し、企業統治に係る制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、社外取締役を置くことの義務付け等所要の措置を講ずるものとする。」
そこで、この、見直し規定と言っているんですけれども、に基づきまして、政府としましては、平成二十九年の、一昨年の二月九日に開催されました法制審議会の第百七十八回会議におきまして、当時の法務大臣から法制審議会に対して、次のような諮問がされました。
近年における社会経済情勢の変化等に鑑み、株主総会に関する手続の合理化や、役員に適切なインセンティブを付与するための規律の整備、社債の管理のあり方の見直し、そして社外取締役を置くことの義務づけなど、企業統治等に関する規律の見直しの要否を検討の上、当該規律の見直しを要する場合にはその要綱を示されたいというものでありました。
この諮問を受けまして、法制審議会では、会社法制、これには(企業統治等関係)とついていますけれども、その部会を設置しまして、この部会は、平成二十九年四月二十六日に第一回会議を開催して調査審議を開始しましたけれども、平成三十年、昨年の二月十四日の第十回会議におきまして中間試案というのを取りまとめまして、それで、法務省の民事局参事官室において、意見募集手続と言っておりますけれども、いわゆるパブコメ、パブリックコメントの募集手続が行われました。
この意見募集をした結果、この募集期間中に六十五の団体と百二十名の個人の方々から意見を寄せていただきました。その後、法制審の部会は、これらの意見も踏まえて引き続き調査審議を行いまして、平成三十一年、ことしでございますけれども、一月十六日の第十九回会議において、部会として要綱案と附帯決議というものを決定いたしました。この部会の要綱案と附帯決議は、平成三十一年、ことしの二月十四日の法制審議会の第百八十三回会議に付議、報告されまして、法制審議会において、要綱案と附帯決議のとおりの内容で、要綱が取りまとめられ、また附帯決議がされ、これが法務大臣に答申されました。これに基づいて今回の法案が作成され、国会に提出されたものと理解しております。
今回の改正法案も、会社をめぐる社会経済情勢の変化と会社法のもとでの実務経験等を踏まえまして、その中で指摘されてきましたさまざまな課題に対処し、会社法を洗練化しようとするものであります。法制審議会の会社法制部会での審議におきましては、個々の問題について、あるべき法改正の姿をめぐって意見が対立することもありましたけれども、活発な審議を経て、今回の改正法案にありますような内容の法改正を提言するに至りました。
そこで、以下では、お手元に配付させていただきました資料に沿って、主要な改正事項について、ごく簡単に、一言ずつ述べさせていただきます。既に御存じのことばかりかもしれませんが、お許しをいただければと存じます。
今回の改正法案ですけれども、大きく言って三つの柱というか分野に分けられます。一つは株主総会関係です。二つ目は取締役関係です。三つ目をその他と便宜上分類させていただいております。
そこで、まず、株主総会関係です。二つの課題について述べさせていただきます。
株主総会関係の第一の課題は、株主総会資料の電子化ということです。
現在の会社法のもとでは、株主総会資料というのは株主総会の招集通知と一緒に郵送されてくるというのが通常でして、原則として、したがって郵送するということになっています。
今回の改正法案ですけれども、ウエブサイトで株主総会資料を掲載すればいいということにします。これは、ITの時代なのである意味当然のことだと言えるのかもしれませんけれども、ただ、例外として、株主は、書面で下さいと言えば書面での提供を請求できることとしますので、そういう株主はそれを個別に請求すれば書面で受け取ることができるということになります。
今回の改正の趣旨ですけれども、このITの時代に、あるいはスマホの時代に当然のことかもしれませんけれども、時間の節約、そして費用、費用といっても社会的な意味での費用とお考えいただいた方がいいと思いますけれども、その節約、そして株主への情報提供の充実、これは、インターネットになれば、より多くの情報を提供することが可能になるし、容易になると考えられるからです。
株主総会関係の二つ目は、株主提案権です。
株主の提案権につきましては、現在の会社法は、いわゆる濫用的な行使に対処する規定として、数ですとか内容で制限するという規定は一切存在しておりません。
そこで、今回の改正法案ですけれども、数と内容の両方について濫用的な行使に対処する規定を設けるというものです。
趣旨ですけれども、これはこれまで、これまでといっても、若干、問題があったのが七年前とか八年前なので、やや冷めている感じはあるんですけれども、これまでの実務で過去に問題とされてきました株主提案権の濫用的な行使を防止するということになります。
次に、取締役関係です。取締役関係は五つ述べさせていただきます。
第一は、取締役の報酬等です。
現在の会社法では、取締役の報酬等を株主総会決議で定める場合の定め方など規律が非常に形式的になっておりまして、そこで、改正法案は、これを洗練化して、取締役の個人別の報酬等の決定方針というものを取締役会で定めることなどといたします。
趣旨は、抽象的に言いますと、取締役に対する適切な職務執行のインセンティブ付与ということになりますけれども、取締役の報酬等を決定する手続などの透明性を向上させるということ、そしてまた、会社が業績等に連動した報酬等をより適切かつ円滑に取締役に付与することができるようにするということであります。
二番目、会社補償制度です。
この言葉は日本語として非常にわかりにくくて、余り日本ではまだなじみがないのではないかと思います。補償という言葉なんですけれども、英語では、コンペンセーションではありませんで、インデムニフィケーションという英語です。これを日本語にすると同じ補償になるので、非常にわかりにくいです。一言で言えば、取締役が職務執行に関連して支出した費用などを一定の条件のもとで会社が支払うことを意味します。これは余り日本でなじみがありませんけれども、日本の現在の会社法には会社補償制度は存在しません。
そこで、会社法、今回の改正法案は、会社補償制度を新設することにしております。この制度は英米その他の諸外国では普通に利用されておりまして、こうした制度が整備されていないのは我が国ぐらいであります。この制度も、我が国の会社法を洗練化するものであると言っていいと思います。
三番目は、会社役員賠償責任保険です。
これはいわゆるDアンドO保険というので、DアンドO保険というのは、ディレクターズ・アンド・オフィサーズ・ライアビリティー・インシュアランスなどとも言われていますけれども、あるいは単にインシュアランスと英語で呼ばれているものです。この保険は日本でもかなり広く利用されておりますけれども、現在の会社法にはこれについての規定が存在しません。
そこで、改正法案は、手続等の規律を新設いたします。この改正も、我が国の会社法を洗練化するものと言えます。
四番目、社外取締役です。
平成二十六年改正の際にはさまざまな議論がございましたが、現在の会社法は、会社法としては社外取締役の設置を強制しておりません。
そこで、今回の改正法案は設置を強制いたします。これは、内外の投資家が社外取締役の設置を求めてきておりまして、我が国証券市場への信頼を高めるためにも、会社法としてこれに応えるというものでございます。
五番目、社外取締役への業務委託という項目がありますが、ちょっと時間の関係もあって省略させていただきます。
最後に、その他、二つ述べさせていただきます。
一つは、社債の管理です。
現在の会社法のもとでは、社債管理者を置かない社債については、社債権者がみずから権利の行使等をしなければならなくなっています。しかし、これは不便であります。
そこで、改正法案では、社債管理者を置かない社債について、社債管理者よりも裁量が限定された社債管理補助者という制度を新設いたします。改正の趣旨は、社債権者の保護と社債管理の充実ということになります。
もう一つ、株式交付制度と呼ばれている新しい名称の制度を新設いたします。
これは、私の配付資料でA社、B社と書いているんですけれども、Aという株式会社がBという株式会社をA社の子会社にするために、Bという会社の株主からB社株式を譲り受けて、対価としてA社の株式を交付する、こういう場面で、現在の会社法のもとでは、一〇〇%子会社にする場合には株式交換という手続があるんですけれども、その場合を除きますと、つまり、例えば五一%で子会社にする場合などは、B社株式を現物出資財産とする募集株式発行手続というのがA社側で必要になります。
今回の改正法案では、この場合に、A社側で組織再編手続をとることによって募集株式発行等の手続はしなくてよいということにし、それを株式交付と呼んで、新しい制度として新設するものです。改正の趣旨は、事業再編等の円滑化に資するというものです。
以上、今回の改正法案における主要な改正事項について述べさせていただきました。話が大変大ざっぱで申しわけございませんでしたけれども、以上で私の意見陳述を終えさせていただきます。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、この委員会にお招きいただきまして、意見を述べさせていただく機会をいただき、まことにありがとうございます。
今回の会社法改正法案でございますけれども、法制審議会の会社法制部会において審議されたところに基づいて作成されているというふうに理解しております。
私は、御縁がありまして、その法制審議会の会社法制部会における審議に部会長として参加させていただいた者でございます。そういうこともありまして、今回の法案の内容に賛成をしており、この法案による会社法改正の成立を期待している者でございます。
今回の会社法改正ですけれども、会社法という法律は、平成の十七年に制定されまして、その後、平成二十六年にまとまった改正がされまして、それ以来、今回が二度目のある程度のまとまった改正ということになります。今回の改正も、平成二十六年の改正に続きまして、我が国の企業社会そして証券市場にとって重要な改正であると思います。
今回の会社法改正の理由ですけれども、これは法案の提出理由にあるのですけれども、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るということであります。
私の言葉で言いますと、我が国企業に対する信頼を高め、我が国企業の持続的な成長と繁栄を期待するために会社法を洗練化するというのが今回の改正の目的であると言っていいかと思います。会社法、どちらかというと地味な法律ですけれども、それをより洗練化することによって、日本の企業そして経済にプラスになるようにということではないかと思います。
平成二十六年に成立、公布されました会社法改正法の附則二十五条という規定がありまして、先生方既に御存じのことで、繰り返しになって恐縮ですけれども、次のような規定がございました。「政府は、この法律」、この法律というのは二十六年の改正なんですけれども、この「施行後二年を経過した場合において、社外取締役の選任状況その他の社会経済情勢の変化等を勘案し、企業統治に係る制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、社外取締役を置くことの義務付け等所要の措置を講ずるものとする。」
そこで、この、見直し規定と言っているんですけれども、に基づきまして、政府としましては、平成二十九年の、一昨年の二月九日に開催されました法制審議会の第百七十八回会議におきまして、当時の法務大臣から法制審議会に対して、次のような諮問がされました。
近年における社会経済情勢の変化等に鑑み、株主総会に関する手続の合理化や、役員に適切なインセンティブを付与するための規律の整備、社債の管理のあり方の見直し、そして社外取締役を置くことの義務づけなど、企業統治等に関する規律の見直しの要否を検討の上、当該規律の見直しを要する場合にはその要綱を示されたいというものでありました。
この諮問を受けまして、法制審議会では、会社法制、これには(企業統治等関係)とついていますけれども、その部会を設置しまして、この部会は、平成二十九年四月二十六日に第一回会議を開催して調査審議を開始しましたけれども、平成三十年、昨年の二月十四日の第十回会議におきまして中間試案というのを取りまとめまして、それで、法務省の民事局参事官室において、意見募集手続と言っておりますけれども、いわゆるパブコメ、パブリックコメントの募集手続が行われました。
この意見募集をした結果、この募集期間中に六十五の団体と百二十名の個人の方々から意見を寄せていただきました。その後、法制審の部会は、これらの意見も踏まえて引き続き調査審議を行いまして、平成三十一年、ことしでございますけれども、一月十六日の第十九回会議において、部会として要綱案と附帯決議というものを決定いたしました。この部会の要綱案と附帯決議は、平成三十一年、ことしの二月十四日の法制審議会の第百八十三回会議に付議、報告されまして、法制審議会において、要綱案と附帯決議のとおりの内容で、要綱が取りまとめられ、また附帯決議がされ、これが法務大臣に答申されました。これに基づいて今回の法案が作成され、国会に提出されたものと理解しております。
今回の改正法案も、会社をめぐる社会経済情勢の変化と会社法のもとでの実務経験等を踏まえまして、その中で指摘されてきましたさまざまな課題に対処し、会社法を洗練化しようとするものであります。法制審議会の会社法制部会での審議におきましては、個々の問題について、あるべき法改正の姿をめぐって意見が対立することもありましたけれども、活発な審議を経て、今回の改正法案にありますような内容の法改正を提言するに至りました。
そこで、以下では、お手元に配付させていただきました資料に沿って、主要な改正事項について、ごく簡単に、一言ずつ述べさせていただきます。既に御存じのことばかりかもしれませんが、お許しをいただければと存じます。
今回の改正法案ですけれども、大きく言って三つの柱というか分野に分けられます。一つは株主総会関係です。二つ目は取締役関係です。三つ目をその他と便宜上分類させていただいております。
そこで、まず、株主総会関係です。二つの課題について述べさせていただきます。
株主総会関係の第一の課題は、株主総会資料の電子化ということです。
現在の会社法のもとでは、株主総会資料というのは株主総会の招集通知と一緒に郵送されてくるというのが通常でして、原則として、したがって郵送するということになっています。
今回の改正法案ですけれども、ウエブサイトで株主総会資料を掲載すればいいということにします。これは、ITの時代なのである意味当然のことだと言えるのかもしれませんけれども、ただ、例外として、株主は、書面で下さいと言えば書面での提供を請求できることとしますので、そういう株主はそれを個別に請求すれば書面で受け取ることができるということになります。
今回の改正の趣旨ですけれども、このITの時代に、あるいはスマホの時代に当然のことかもしれませんけれども、時間の節約、そして費用、費用といっても社会的な意味での費用とお考えいただいた方がいいと思いますけれども、その節約、そして株主への情報提供の充実、これは、インターネットになれば、より多くの情報を提供することが可能になるし、容易になると考えられるからです。
株主総会関係の二つ目は、株主提案権です。
株主の提案権につきましては、現在の会社法は、いわゆる濫用的な行使に対処する規定として、数ですとか内容で制限するという規定は一切存在しておりません。
そこで、今回の改正法案ですけれども、数と内容の両方について濫用的な行使に対処する規定を設けるというものです。
趣旨ですけれども、これはこれまで、これまでといっても、若干、問題があったのが七年前とか八年前なので、やや冷めている感じはあるんですけれども、これまでの実務で過去に問題とされてきました株主提案権の濫用的な行使を防止するということになります。
次に、取締役関係です。取締役関係は五つ述べさせていただきます。
第一は、取締役の報酬等です。
現在の会社法では、取締役の報酬等を株主総会決議で定める場合の定め方など規律が非常に形式的になっておりまして、そこで、改正法案は、これを洗練化して、取締役の個人別の報酬等の決定方針というものを取締役会で定めることなどといたします。
趣旨は、抽象的に言いますと、取締役に対する適切な職務執行のインセンティブ付与ということになりますけれども、取締役の報酬等を決定する手続などの透明性を向上させるということ、そしてまた、会社が業績等に連動した報酬等をより適切かつ円滑に取締役に付与することができるようにするということであります。
二番目、会社補償制度です。
この言葉は日本語として非常にわかりにくくて、余り日本ではまだなじみがないのではないかと思います。補償という言葉なんですけれども、英語では、コンペンセーションではありませんで、インデムニフィケーションという英語です。これを日本語にすると同じ補償になるので、非常にわかりにくいです。一言で言えば、取締役が職務執行に関連して支出した費用などを一定の条件のもとで会社が支払うことを意味します。これは余り日本でなじみがありませんけれども、日本の現在の会社法には会社補償制度は存在しません。
そこで、会社法、今回の改正法案は、会社補償制度を新設することにしております。この制度は英米その他の諸外国では普通に利用されておりまして、こうした制度が整備されていないのは我が国ぐらいであります。この制度も、我が国の会社法を洗練化するものであると言っていいと思います。
三番目は、会社役員賠償責任保険です。
これはいわゆるDアンドO保険というので、DアンドO保険というのは、ディレクターズ・アンド・オフィサーズ・ライアビリティー・インシュアランスなどとも言われていますけれども、あるいは単にインシュアランスと英語で呼ばれているものです。この保険は日本でもかなり広く利用されておりますけれども、現在の会社法にはこれについての規定が存在しません。
そこで、改正法案は、手続等の規律を新設いたします。この改正も、我が国の会社法を洗練化するものと言えます。
四番目、社外取締役です。
平成二十六年改正の際にはさまざまな議論がございましたが、現在の会社法は、会社法としては社外取締役の設置を強制しておりません。
そこで、今回の改正法案は設置を強制いたします。これは、内外の投資家が社外取締役の設置を求めてきておりまして、我が国証券市場への信頼を高めるためにも、会社法としてこれに応えるというものでございます。
五番目、社外取締役への業務委託という項目がありますが、ちょっと時間の関係もあって省略させていただきます。
最後に、その他、二つ述べさせていただきます。
一つは、社債の管理です。
現在の会社法のもとでは、社債管理者を置かない社債については、社債権者がみずから権利の行使等をしなければならなくなっています。しかし、これは不便であります。
そこで、改正法案では、社債管理者を置かない社債について、社債管理者よりも裁量が限定された社債管理補助者という制度を新設いたします。改正の趣旨は、社債権者の保護と社債管理の充実ということになります。
もう一つ、株式交付制度と呼ばれている新しい名称の制度を新設いたします。
これは、私の配付資料でA社、B社と書いているんですけれども、Aという株式会社がBという株式会社をA社の子会社にするために、Bという会社の株主からB社株式を譲り受けて、対価としてA社の株式を交付する、こういう場面で、現在の会社法のもとでは、一〇〇%子会社にする場合には株式交換という手続があるんですけれども、その場合を除きますと、つまり、例えば五一%で子会社にする場合などは、B社株式を現物出資財産とする募集株式発行手続というのがA社側で必要になります。
今回の改正法案では、この場合に、A社側で組織再編手続をとることによって募集株式発行等の手続はしなくてよいということにし、それを株式交付と呼んで、新しい制度として新設するものです。改正の趣旨は、事業再編等の円滑化に資するというものです。
以上、今回の改正法案における主要な改正事項について述べさせていただきました。話が大変大ざっぱで申しわけございませんでしたけれども、以上で私の意見陳述を終えさせていただきます。
どうもありがとうございました。拍手
松
松
松嶋隆弘#4
○松嶋参考人 おはようございます。
ただいま御紹介いただきました、日本大学教授で弁護士の松嶋隆弘と申します。
商事法のうち、会社法、特に中小会社に関する法律問題を中心に勉強しております。
このたびは、せっかく意見陳述の機会をいただきましたので、今回の会社法改正法案に関しまして、日ごろ思っていることを申し述べたいと思います。
私どもの意見書は、企業法実務研究会名義で法務省に提出した上、税務事例という雑誌に掲載させていただきましたので、それを参考資料としてお手元に御用意させていただきました。限られた時間ですので、それらの全てについて申し述べることはできません。この場では、中小会社法の観点から、気になっていることを数点指摘してみたいと思っております。よろしくお願いいたします。
まず最初に、今回の改正法案全体についての感想を申し述べたいと思います。
今回の改正法案は、株主総会の電子化、社外取締役の義務づけ、業績連動型報酬に対する報酬規制、社債管理者、株式交付等々、いずれも、専ら上場会社、大規模公開会社を念頭に置いた改正項目が中心ではないかと思われます。その意味では、前回の改正である平成二十六年改正も同様な側面がありました。とりわけ社外取締役に関する規制等は、平成二十六年改正の積み残しの側面があるようです。
言うまでもないことですが、このような大規模公開会社におきましては、所有と経営の分離が徹底しておりまして、経営に関する事項は取締役会が広範な裁量的権限を有しております。株主総会を介した株主の経営への関与は、おのずから限定的なものとならざるを得ません。このような株式会社を念頭に、さきに述べました各項目に関する改正を行うのは、まことに時宜にかなったものと言えましょう。
ただ、世の中の大部分は、どちらかといいますと上場もしていない中小規模の会社でございます。このような中小会社におきましては、所有と経営の分離が必ずしも徹底しておらず、株主総会を介した株主の経営への関与は、経営権を有していない同族株主が経営権を有している同族株主に対する対抗手段としてなされるということが往々にしてあるようです。このような会社における株主は、会社の実質的所有者であることを忘れてはならないのであります。
そして、釈迦に説法ではございますが、平成十七年に制定された会社法典におきましては、所有と経営が一致した旧有限会社型の会社をベースとして、その上に制度を積み重ねる形で、大規模公開会社の機関設計に係る組合せもその一つとして置かれているわけであります。このような会社法典の想定する機関設計の基本に鑑みましても、株主の所有者性、これは株主総会の最高機関性としてあらわれますが、これを忘れてはならないと考えます。
また、今回の改正法案を通覧いたしますと、改正したいであろう本質的目標に到達するため、他の便宜的な方策を用いようとしている側面が目につくように思います。社会の変化に追いつくべく頻繁に改正されるのは会社法が持つ宿命でありますが、他方で、会社法は、資本主義のインフラである会社制度を規律する基本法典ですので、しっかりしたグランドデザインが必要でないかと考えております。
本日は、こうした観点から何点か指摘しておきたいと思います。
一つは、株主提案権の個数制限についてです。
改正法案は、株主提案権のうち、議案要領通知請求権につき、提案することができる議案の数の制限を十個に限定しようとしております。これは、提案されている理由によりますと、近時の濫用的な行使事例に鑑みての改正であるとのことであります。
しかしながら、巷間紹介されている事例は、よくよく見ますと、いずれもごく一部の特定の者、ここでは委員会の性質に鑑み名前を差し控えますが、その者による行使事例であるにすぎず、対象となった会社も、その者が創業者一族であったという特殊な背景事情があるようであります。このようなごく一部の者による特殊な行使事例を根拠に、株主の重要な権利である株主提案権の行使が限定されるというのは、立法事実としていささか不十分ではないかと考えている次第であります。
ここで、株主提案権の制度趣旨について考えてみますに、株主提案権は、昭和五十六年の商法の大改正に際し、株主総会の活性化の一環として導入されたものであります。そして、今話題としております議案要領通知請求権は、取締役会設置会社の場合、総株主の議決権の百分の一以上の議決権又は三百個以上の議決権を有する少数株主の権利とされております。
しかし、ここで言う少数株主は、かつての一株運動における株主などと異なり、実際には大株主であります。中小会社の場合に引きつけて申しますと、経営権を持っていない大株主であると言ってよいでしょう。ですので、これらの株主による株主提案権の行使は、経営権を持っていない株主が経営権を持っている株主に対し株主総会という公正かつ透明な土俵で議論をするという、コミュニケーションを求める訴えとして真摯に受けとめるという態度が、立法に当たっても必要とされるように思います。そして、このような態度こそが、昭和五十六年改正で議論された株主総会の活性化に資すると考えている次第です。
もちろん、濫用に対する懸念は理解できます。しかし、改正法案の提案は、余りにも制度の病理的側面にとらわれ過ぎなのではないかと思います。このような病理現象への懸念は、かつての株主代表訴訟の改正に際しましても、行為時株主の原則の導入に関する議論、これは結局見送られましたが、等々、時々浮上しては消えていくものでありますが、今回の提案はまさにその一環なのではないかと思います。
また、過日、平成二十六年改正で、株主名簿の閲覧請求権についても、閲覧拒絶事由について、会計帳簿閲覧請求権の行使に倣った閲覧拒絶事由があったのを削除したという背景がありますけれども、その事例も想起できるわけです。
濫用に対する懸念がどうしても無視できないのであれば、例えば、株主代表訴訟につき濫用的目的の訴えを否定する規定、会社法でいいますと八百四十七条一項ただし書きでありますが、これらの例に倣いまして濫用的目的に関する規定の創設を検討すべきでありまして、その代替的に、便宜的に個数で制限するといった態度は、制度の本質を損なうものであると言わざるを得ません。現に、改正法案は、名誉毀損的目的等、内容に着目した規制を既に用意しているのであります。
第二に、株式交付について取り上げたいと思います。時間の関係もございますので、こちらは少々はしょりつつの説明となります。
改正法案における株式交付は、買収会社がその株式を対価として対象会社を買収しようとしたいが、対象会社を完全子会社化することまでは望んでいないという場合における買収の手法を新たな組織再編として新設しようとするものです。対象会社を完全子会社にしたい場合の制度としては、既に組織再編の一環として株式交換制度が用意されておりますので、今回の株式交付はいわばミニ株式交換と言うことができます。
しかし、結合企業法制に関する一連の商法改正として株式交換制度ができた経緯と今回の株式交付の新設の理由を見比べますと、ここでは、組織再編制度を整備するといった観点よりも、組織再編制度に組み入れることにより、面倒な現物出資規制を外したいという思惑が強いように思います。
現物出資規制については、かつては資本充実規制の一環として重要な役割があったと思いますが、資本規制が空洞化しつつある中、その役割が変容しつつあるように思います。そして、実務では、現物出資規制が種々のニーズの桎梏となるようなケースが出てまいります。事業再生の際に利用されるデット・エクイティー・スワップにまつわる議論、出資される債権の評価が券面額か評価額かといった議論も、要は現物出資規制をどう回避していくかと言っていいことかと思います。
そのような観点から見ますと、現物出資規制に手をつけず、あえて大がかりな組織再編の一環として仕組むことで、現物出資に関する問題が残されたままになるのみならず、かえって新たな弊害が生じかねないように憂慮しております。こう言いますと、直ちに、会社分割制度の改正をきっかけに濫用的詐害分割が横行し、平成二十六年改正で是正された例が思い浮かびますが、このような轍を踏んではならないと考えます。私といたしましては、むしろ、現物出資規制に関し本格的なメスを入れる時期が来ているように思います。
最後に、三点目として、今回の改正項目に挙がっていない中小会社に関する改正についての要望を述べておきたいと思います。
前回の改正でも今回の改正でも、中小会社固有の問題点については本格的な検討の俎上にのせられなかったように思います。その幾つかをここで思いつくままに挙げ、注意喚起し、次回以降の改正につなげていただけたらと願っております。
一つは、相続人等に対する売渡し請求権を規定する会社法百七十四条に関してです。
本条に関しては、かねてから相続クーデターの可能性を生じ得ることが懸念されてまいりました。レジュメに掲げている鳥取地裁の裁判例は、まさにその懸念が現実化したものです。
ここに、相続クーデターは、制度の構造上、議決権に関し、たった一瞬生じるすき間を狙って起こすクーデターのことですが、このようなものが公平の見地から許容され得ないことは言うまでもありません。
幸いにして、鳥取地裁の事案では、特例有限会社に関する事案でありまして、特例有限会社を規定する整備法がこの点に関してのみ旧有限会社の規定を引き継がなかったところから、たまたま相続クーデターが不奏功に終わりました。これが通常の株式会社であれば、相続クーデターが成功しかねなかった事案であります。何らかの立法の手当てが必要であるように思っております。
また、会社法四百二十九条一項の取締役の対第三者責任に関しましても、極めて曖昧な規定がほぼ放置され、解釈に委ねられているため、何らかの対応が必要です。
第三者からの取締役に対する責任の追及は会社倒産時にされることが多いのですが、会社倒産時において、このような形で個別の債権者の保護を与えていくことは不適切なのではないかと思います。むしろ、今後は、倒産時における取締役の責任の査定制度、例えば破産法百七十八条等を介して、債権者全体の公平を図るスキームが模索されていくべきではないかと考えております。
最後に、反社規制を挙げたいと思います。
御存じのとおり、先般の民事執行法改正で、不動産競売における暴力団員による買受け規制が導入されました。このこと自体はまことに喜ぶべきことだと考えておりますが、近時、反社と言われる者が、不動産競売と並行し、企業の支配権の奪取を図り、それに成功したという事案が登場しました。レジュメに掲げている東京高裁の平成三十年の事案がまさにそれであります。
会社法におきましても、他の諸法、例えば数年前には古物法が改正され反社の規定が導入されたと記憶しておりますが、反社規制の導入を真剣に検討すべき段階に来ているのではないかと感じております。
私の意見は以上でございます。御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →ただいま御紹介いただきました、日本大学教授で弁護士の松嶋隆弘と申します。
商事法のうち、会社法、特に中小会社に関する法律問題を中心に勉強しております。
このたびは、せっかく意見陳述の機会をいただきましたので、今回の会社法改正法案に関しまして、日ごろ思っていることを申し述べたいと思います。
私どもの意見書は、企業法実務研究会名義で法務省に提出した上、税務事例という雑誌に掲載させていただきましたので、それを参考資料としてお手元に御用意させていただきました。限られた時間ですので、それらの全てについて申し述べることはできません。この場では、中小会社法の観点から、気になっていることを数点指摘してみたいと思っております。よろしくお願いいたします。
まず最初に、今回の改正法案全体についての感想を申し述べたいと思います。
今回の改正法案は、株主総会の電子化、社外取締役の義務づけ、業績連動型報酬に対する報酬規制、社債管理者、株式交付等々、いずれも、専ら上場会社、大規模公開会社を念頭に置いた改正項目が中心ではないかと思われます。その意味では、前回の改正である平成二十六年改正も同様な側面がありました。とりわけ社外取締役に関する規制等は、平成二十六年改正の積み残しの側面があるようです。
言うまでもないことですが、このような大規模公開会社におきましては、所有と経営の分離が徹底しておりまして、経営に関する事項は取締役会が広範な裁量的権限を有しております。株主総会を介した株主の経営への関与は、おのずから限定的なものとならざるを得ません。このような株式会社を念頭に、さきに述べました各項目に関する改正を行うのは、まことに時宜にかなったものと言えましょう。
ただ、世の中の大部分は、どちらかといいますと上場もしていない中小規模の会社でございます。このような中小会社におきましては、所有と経営の分離が必ずしも徹底しておらず、株主総会を介した株主の経営への関与は、経営権を有していない同族株主が経営権を有している同族株主に対する対抗手段としてなされるということが往々にしてあるようです。このような会社における株主は、会社の実質的所有者であることを忘れてはならないのであります。
そして、釈迦に説法ではございますが、平成十七年に制定された会社法典におきましては、所有と経営が一致した旧有限会社型の会社をベースとして、その上に制度を積み重ねる形で、大規模公開会社の機関設計に係る組合せもその一つとして置かれているわけであります。このような会社法典の想定する機関設計の基本に鑑みましても、株主の所有者性、これは株主総会の最高機関性としてあらわれますが、これを忘れてはならないと考えます。
また、今回の改正法案を通覧いたしますと、改正したいであろう本質的目標に到達するため、他の便宜的な方策を用いようとしている側面が目につくように思います。社会の変化に追いつくべく頻繁に改正されるのは会社法が持つ宿命でありますが、他方で、会社法は、資本主義のインフラである会社制度を規律する基本法典ですので、しっかりしたグランドデザインが必要でないかと考えております。
本日は、こうした観点から何点か指摘しておきたいと思います。
一つは、株主提案権の個数制限についてです。
改正法案は、株主提案権のうち、議案要領通知請求権につき、提案することができる議案の数の制限を十個に限定しようとしております。これは、提案されている理由によりますと、近時の濫用的な行使事例に鑑みての改正であるとのことであります。
しかしながら、巷間紹介されている事例は、よくよく見ますと、いずれもごく一部の特定の者、ここでは委員会の性質に鑑み名前を差し控えますが、その者による行使事例であるにすぎず、対象となった会社も、その者が創業者一族であったという特殊な背景事情があるようであります。このようなごく一部の者による特殊な行使事例を根拠に、株主の重要な権利である株主提案権の行使が限定されるというのは、立法事実としていささか不十分ではないかと考えている次第であります。
ここで、株主提案権の制度趣旨について考えてみますに、株主提案権は、昭和五十六年の商法の大改正に際し、株主総会の活性化の一環として導入されたものであります。そして、今話題としております議案要領通知請求権は、取締役会設置会社の場合、総株主の議決権の百分の一以上の議決権又は三百個以上の議決権を有する少数株主の権利とされております。
しかし、ここで言う少数株主は、かつての一株運動における株主などと異なり、実際には大株主であります。中小会社の場合に引きつけて申しますと、経営権を持っていない大株主であると言ってよいでしょう。ですので、これらの株主による株主提案権の行使は、経営権を持っていない株主が経営権を持っている株主に対し株主総会という公正かつ透明な土俵で議論をするという、コミュニケーションを求める訴えとして真摯に受けとめるという態度が、立法に当たっても必要とされるように思います。そして、このような態度こそが、昭和五十六年改正で議論された株主総会の活性化に資すると考えている次第です。
もちろん、濫用に対する懸念は理解できます。しかし、改正法案の提案は、余りにも制度の病理的側面にとらわれ過ぎなのではないかと思います。このような病理現象への懸念は、かつての株主代表訴訟の改正に際しましても、行為時株主の原則の導入に関する議論、これは結局見送られましたが、等々、時々浮上しては消えていくものでありますが、今回の提案はまさにその一環なのではないかと思います。
また、過日、平成二十六年改正で、株主名簿の閲覧請求権についても、閲覧拒絶事由について、会計帳簿閲覧請求権の行使に倣った閲覧拒絶事由があったのを削除したという背景がありますけれども、その事例も想起できるわけです。
濫用に対する懸念がどうしても無視できないのであれば、例えば、株主代表訴訟につき濫用的目的の訴えを否定する規定、会社法でいいますと八百四十七条一項ただし書きでありますが、これらの例に倣いまして濫用的目的に関する規定の創設を検討すべきでありまして、その代替的に、便宜的に個数で制限するといった態度は、制度の本質を損なうものであると言わざるを得ません。現に、改正法案は、名誉毀損的目的等、内容に着目した規制を既に用意しているのであります。
第二に、株式交付について取り上げたいと思います。時間の関係もございますので、こちらは少々はしょりつつの説明となります。
改正法案における株式交付は、買収会社がその株式を対価として対象会社を買収しようとしたいが、対象会社を完全子会社化することまでは望んでいないという場合における買収の手法を新たな組織再編として新設しようとするものです。対象会社を完全子会社にしたい場合の制度としては、既に組織再編の一環として株式交換制度が用意されておりますので、今回の株式交付はいわばミニ株式交換と言うことができます。
しかし、結合企業法制に関する一連の商法改正として株式交換制度ができた経緯と今回の株式交付の新設の理由を見比べますと、ここでは、組織再編制度を整備するといった観点よりも、組織再編制度に組み入れることにより、面倒な現物出資規制を外したいという思惑が強いように思います。
現物出資規制については、かつては資本充実規制の一環として重要な役割があったと思いますが、資本規制が空洞化しつつある中、その役割が変容しつつあるように思います。そして、実務では、現物出資規制が種々のニーズの桎梏となるようなケースが出てまいります。事業再生の際に利用されるデット・エクイティー・スワップにまつわる議論、出資される債権の評価が券面額か評価額かといった議論も、要は現物出資規制をどう回避していくかと言っていいことかと思います。
そのような観点から見ますと、現物出資規制に手をつけず、あえて大がかりな組織再編の一環として仕組むことで、現物出資に関する問題が残されたままになるのみならず、かえって新たな弊害が生じかねないように憂慮しております。こう言いますと、直ちに、会社分割制度の改正をきっかけに濫用的詐害分割が横行し、平成二十六年改正で是正された例が思い浮かびますが、このような轍を踏んではならないと考えます。私といたしましては、むしろ、現物出資規制に関し本格的なメスを入れる時期が来ているように思います。
最後に、三点目として、今回の改正項目に挙がっていない中小会社に関する改正についての要望を述べておきたいと思います。
前回の改正でも今回の改正でも、中小会社固有の問題点については本格的な検討の俎上にのせられなかったように思います。その幾つかをここで思いつくままに挙げ、注意喚起し、次回以降の改正につなげていただけたらと願っております。
一つは、相続人等に対する売渡し請求権を規定する会社法百七十四条に関してです。
本条に関しては、かねてから相続クーデターの可能性を生じ得ることが懸念されてまいりました。レジュメに掲げている鳥取地裁の裁判例は、まさにその懸念が現実化したものです。
ここに、相続クーデターは、制度の構造上、議決権に関し、たった一瞬生じるすき間を狙って起こすクーデターのことですが、このようなものが公平の見地から許容され得ないことは言うまでもありません。
幸いにして、鳥取地裁の事案では、特例有限会社に関する事案でありまして、特例有限会社を規定する整備法がこの点に関してのみ旧有限会社の規定を引き継がなかったところから、たまたま相続クーデターが不奏功に終わりました。これが通常の株式会社であれば、相続クーデターが成功しかねなかった事案であります。何らかの立法の手当てが必要であるように思っております。
また、会社法四百二十九条一項の取締役の対第三者責任に関しましても、極めて曖昧な規定がほぼ放置され、解釈に委ねられているため、何らかの対応が必要です。
第三者からの取締役に対する責任の追及は会社倒産時にされることが多いのですが、会社倒産時において、このような形で個別の債権者の保護を与えていくことは不適切なのではないかと思います。むしろ、今後は、倒産時における取締役の責任の査定制度、例えば破産法百七十八条等を介して、債権者全体の公平を図るスキームが模索されていくべきではないかと考えております。
最後に、反社規制を挙げたいと思います。
御存じのとおり、先般の民事執行法改正で、不動産競売における暴力団員による買受け規制が導入されました。このこと自体はまことに喜ぶべきことだと考えておりますが、近時、反社と言われる者が、不動産競売と並行し、企業の支配権の奪取を図り、それに成功したという事案が登場しました。レジュメに掲げている東京高裁の平成三十年の事案がまさにそれであります。
会社法におきましても、他の諸法、例えば数年前には古物法が改正され反社の規定が導入されたと記憶しておりますが、反社規制の導入を真剣に検討すべき段階に来ているのではないかと感じております。
私の意見は以上でございます。御清聴ありがとうございました。拍手
松
前
前川拓郎#6
○前川参考人 株主の権利弁護団の事務局長をしております弁護士の前川と申します。
我々の弁護団は、弁護士や会計士等の専門家三十名弱から成る団体で、これまで株主側の立場で活動してまいりました。
本日、議員の皆様に意見を申し述べる機会を頂戴し、大変光栄に存じます。
では、私から申し上げるのは、株主提案権の制限についてと会社補償の点の二点でございます。
第一に、株主提案権の制限について意見を申し述べます。
この点については、結論から申し上げますと、少なくとも現段階において、これを支える立法事実が不存在であるか極めて脆弱であると考えており、反対いたします。
第二百回国会法務参考資料五十五ページの中ほどに、株主提案権が濫用的に行使される事例が見られるとの記載があります。これが立法事実であろうと推測されます。そして、その脚注二十三には、少し長くなりますけれども、その中で、一人の株主が不当と認められるような目的で膨大な数の議案を提案する等の株主提案権の濫用的な行使事例、といって括弧書きで二つの事例が挙がっています、が見受けられるようになる一方で、会社と株主との間のコミュニケーションを図るという株主提案制度の導入当初の目的については大方達成されたという指摘がなされるようになりというような指摘があって、このあたりが立法事実なのかなというふうに思いますが、そこで、現在の株主提案の状況について御説明いたします。
株主提案を受けた会社の数から申し上げますと、平成二十九年六月総会までの一年間で五十二社、平成三十年六月総会までは五十八社、令和元年六月総会までは六十五社です。漸増の傾向にあるとは言えます。他方で、上場企業は全部で三千五百社あります。最も多い直近、令和元年六月総会までの一年間でも二%未満、わずか二%弱の会社しか株主提案というのは受けておりません。
このようなわずかに二%弱の割合で、会社と株主との間のコミュニケーションを図るという目的が大方達成されたというようなことになるのでしょうか。普通に考えれば、道半ばとすら言えないのではないかというふうに考えております。
次に、濫用的な行使事例というのがふえているという事実が現実に存在しているのかという点です。
先ほど記載のありましたあの二社の件については私も承知しております。ただ、これ以外にどのようなものがあるのか、もしこれ以外にはないというのであれば、この二つだけで株主提案権を制限する立法事実として十分なのか、この点について御議論いただきたいと思っています。
この点について、法制審の議論を拝見しましたけれども、立法事実については全くと言ってよいほど議論がなされていません。当然ですが、株主提案権というのは株主の重要な権利です。株主提案権を制限するに当たっては、立法事実の存在が不可欠です。濫用的に行使される事例が見受けられるなどというだけでは立法事実とは言えません。
お手元に、商事法務がまとめた株主提案権の事例分析、三年分をお配りしております。資料版商事法務の方です。資料版商事法務というのがあって、そこで毎年九月に株主提案権の事例分析というのを網羅的に行っています。ちょっとごらんいただけませんかね、この資料版商事法務、横長のものでございます。
ここで網羅的に実は株主提案の事例というのは分析されているんですけれども、この中で議論されるべきは、どれが濫用に当たって、株主提案権の制限を正当化するのかという具体的な議論なんだというふうに思っています。
最後に、仮に濫用的事案が増加しているとしても、これまでなされてきたような一般条項、権利濫用を用いることではなぜだめなのか。
昨日の法務省民事局長のお話ですと、どのような提案が権利濫用に該当するかが明確ではない、実務上、権利濫用に該当するか否かを的確に判断することが難しく、該当すると考えた場合でも、これを制限することにちゅうちょする場合があるとのことですが、どのような提案についてこのようなちゅうちょがなされたのかということについて、昨日のお話では全く明らかになっていません。ここについてきちんと話をするべきだというふうに思っています。
次に、具体的な改正法案、条項についても申し上げます。
我々が最も問題だと考えているのは、改正法案三百四条ただし書き三号、三百五条第六項三号です。
「株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、」という部分なんですけれども、規制のあり方というのは内容規制と内容中立規制というものがございます。内容に着目して規制するものが内容規制、内容以外に着目した規制を内容中立規制といいます。内容規制は、評価者によって判断が異なり得るものであり、かつ萎縮的な効果を生むので、慎重であるべきだというふうに一般に考えられています。三百四条ただし書き三号、三百五条六項三号というのは、株主提案により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合に、株主提案を拒絶できることになっています。この条項というのは内容規制に属するものです。
中間試案においては、この条項の表題が内容による議案の制限となっていましたけれども、要綱案以降は、目的等による議案の提案の制限というふうに表題が変わっています。ただし、名前を変えたからといって、内容規制の実質というのが変わるものではありません。
法制審でも議論がなされていますが、この条項が想定している具体例というのは第二百回国会法務参考資料六十二ページにあります。これを読むと、株主総会やその準備に時間的制約があることが、この条項を正当化する抽象的な根拠として挙げられていることがわかります。
しかしながら、このような内容規制を行うだけの立法事実があるのか、より具体的に言えば、株主提案によって株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されたという事実があったのかどうか、なかったのか、あったとしたらその程度、数についてきちんと議論がなされるべきです。これらは全く、現時点においては明らかになっていないというふうに考えております。
本日、また商事法務ですけれども、商事法務がまとめた過去三年分の株主総会の時間についての表をお配りしています。今度はこんな表の話です。三時間を超えている株主総会などほとんどありません。
また、本当に株主総会の時間が限られていることが問題なのであれば、一議案にかける時間を制限すれば足りる話です。一議案にかける時間を制限する方法ではなぜだめなのかについても全く明らかになっていません。
繰り返しになりますけれども、株主権に限りませんけれども、権利を制限する立法を行う場合、そのような制限を行う立法事実が現に存在しているのかどうかを具体的に検証することが必要です。これまでいろいろ出てきているように、株主提案権が濫用的に行使される事例が見受けられるというだけでは、立法事実とは言えません。濫用的な行使の時期、具体的内容、数を具体的に検証していただきたいというふうに思っています。それは、実はこういうふうにまとまっているものがあるので可能です。やっていただきたいなというふうに考えております。
本日お配りした資料以外にも、株主提案についての機関投資家の賛成率は実は上昇しているというレポートもございます。株主提案の果たす積極的意義や株主提案の賛成率、どれくらいの賛成率、株主提案についてどれくらい他の株主が賛成しているのかということについても、きちんと議論をしていただきたいというふうに考えています。
次、第二に、補償契約に関する意見を申し上げます。
補償契約、法案では、いわゆる防御費用、弁護士費用なんかが想定されていると思いますが、については、役員に悪意又はこれと同視すべき重過失がある場合でも補償が認められることになっています。重過失というのは普通、悪意と同視するような過失のことをいいますから、これから先は悪意と言うだけでまとめていきます。
そもそも、会社補償制度というのは、役員としての優秀な人材の確保や、役員が損害賠償責任を負うことを過度に恐れることにより職務執行が萎縮することがないようにするためのものです。
しかし、そもそも、悪意の役員というのは会社が確保すべき優秀な人材と言えるのでしょうか。悪意が認められるような行為を行ってはならないのは当然であって、損害賠償責任を恐れての萎縮も問題になりません。むしろ、悪意がある場合にまで補償が認められれば、違法行為に手を染めてでも目先の利益を上げようとする誘惑を引き起こし、職務の適正性が損なわれます。
この点、法案では、役員に図利加害の目的があった場合には補償した金額の返還請求ができるというふうにしており、一定の配慮はされたようですが、不十分であると考えております。
まず、図利加害目的という要件では、会社に対する特別背任が成立するような極めて限定的な場面でしか適用ができません。
これまで我々の弁護団で取り組んできた例えば株主代表訴訟なんかというのは、談合やカルテル、違法な政治献金、製品の性能偽装、本当に生命身体に危険が及ぶような性能偽装なんかを問題にしてきました。これらの行為に知って関与した取締役というのは、実はみずからの私的な利益を図るという目的ではありません。むしろ、目先の会社の利益を図るために長期にわたる会社の利益を犠牲にし、法令違反を行ってきた人たちです。これまで我々が提起した株主代表訴訟は、法に反してでも会社の利益を守ろうとし、短期的な利益なんですけれども、その結果、会社や社会に大きな損害を及ぼした事例です。
改正案では、故意の法令違反行為という悪質な行為の存在が認められたとしても、図利加害目的を欠くという理由によって、補償した金額の返還を求めることができないことになります。故意に法令違反に関与した場合ですら防御費用の補償が認められることになり、モラルハザードの問題が生じます。
また、改正法案では、図利加害目的があった場合には会社が役員に対して補償した金額の返還請求ができるとされているだけで、返還請求を義務づけてはいません。会社に委ねようというようなことなんですけれども、図利加害目的が認められる場合にまで、もはや会社が防御費用を負担すべき合理性があるとは言えないので、返還請求を行うことを義務づける規定とすべきだというふうに考えております。
以上が私の意見でございます。御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →我々の弁護団は、弁護士や会計士等の専門家三十名弱から成る団体で、これまで株主側の立場で活動してまいりました。
本日、議員の皆様に意見を申し述べる機会を頂戴し、大変光栄に存じます。
では、私から申し上げるのは、株主提案権の制限についてと会社補償の点の二点でございます。
第一に、株主提案権の制限について意見を申し述べます。
この点については、結論から申し上げますと、少なくとも現段階において、これを支える立法事実が不存在であるか極めて脆弱であると考えており、反対いたします。
第二百回国会法務参考資料五十五ページの中ほどに、株主提案権が濫用的に行使される事例が見られるとの記載があります。これが立法事実であろうと推測されます。そして、その脚注二十三には、少し長くなりますけれども、その中で、一人の株主が不当と認められるような目的で膨大な数の議案を提案する等の株主提案権の濫用的な行使事例、といって括弧書きで二つの事例が挙がっています、が見受けられるようになる一方で、会社と株主との間のコミュニケーションを図るという株主提案制度の導入当初の目的については大方達成されたという指摘がなされるようになりというような指摘があって、このあたりが立法事実なのかなというふうに思いますが、そこで、現在の株主提案の状況について御説明いたします。
株主提案を受けた会社の数から申し上げますと、平成二十九年六月総会までの一年間で五十二社、平成三十年六月総会までは五十八社、令和元年六月総会までは六十五社です。漸増の傾向にあるとは言えます。他方で、上場企業は全部で三千五百社あります。最も多い直近、令和元年六月総会までの一年間でも二%未満、わずか二%弱の会社しか株主提案というのは受けておりません。
このようなわずかに二%弱の割合で、会社と株主との間のコミュニケーションを図るという目的が大方達成されたというようなことになるのでしょうか。普通に考えれば、道半ばとすら言えないのではないかというふうに考えております。
次に、濫用的な行使事例というのがふえているという事実が現実に存在しているのかという点です。
先ほど記載のありましたあの二社の件については私も承知しております。ただ、これ以外にどのようなものがあるのか、もしこれ以外にはないというのであれば、この二つだけで株主提案権を制限する立法事実として十分なのか、この点について御議論いただきたいと思っています。
この点について、法制審の議論を拝見しましたけれども、立法事実については全くと言ってよいほど議論がなされていません。当然ですが、株主提案権というのは株主の重要な権利です。株主提案権を制限するに当たっては、立法事実の存在が不可欠です。濫用的に行使される事例が見受けられるなどというだけでは立法事実とは言えません。
お手元に、商事法務がまとめた株主提案権の事例分析、三年分をお配りしております。資料版商事法務の方です。資料版商事法務というのがあって、そこで毎年九月に株主提案権の事例分析というのを網羅的に行っています。ちょっとごらんいただけませんかね、この資料版商事法務、横長のものでございます。
ここで網羅的に実は株主提案の事例というのは分析されているんですけれども、この中で議論されるべきは、どれが濫用に当たって、株主提案権の制限を正当化するのかという具体的な議論なんだというふうに思っています。
最後に、仮に濫用的事案が増加しているとしても、これまでなされてきたような一般条項、権利濫用を用いることではなぜだめなのか。
昨日の法務省民事局長のお話ですと、どのような提案が権利濫用に該当するかが明確ではない、実務上、権利濫用に該当するか否かを的確に判断することが難しく、該当すると考えた場合でも、これを制限することにちゅうちょする場合があるとのことですが、どのような提案についてこのようなちゅうちょがなされたのかということについて、昨日のお話では全く明らかになっていません。ここについてきちんと話をするべきだというふうに思っています。
次に、具体的な改正法案、条項についても申し上げます。
我々が最も問題だと考えているのは、改正法案三百四条ただし書き三号、三百五条第六項三号です。
「株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、」という部分なんですけれども、規制のあり方というのは内容規制と内容中立規制というものがございます。内容に着目して規制するものが内容規制、内容以外に着目した規制を内容中立規制といいます。内容規制は、評価者によって判断が異なり得るものであり、かつ萎縮的な効果を生むので、慎重であるべきだというふうに一般に考えられています。三百四条ただし書き三号、三百五条六項三号というのは、株主提案により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合に、株主提案を拒絶できることになっています。この条項というのは内容規制に属するものです。
中間試案においては、この条項の表題が内容による議案の制限となっていましたけれども、要綱案以降は、目的等による議案の提案の制限というふうに表題が変わっています。ただし、名前を変えたからといって、内容規制の実質というのが変わるものではありません。
法制審でも議論がなされていますが、この条項が想定している具体例というのは第二百回国会法務参考資料六十二ページにあります。これを読むと、株主総会やその準備に時間的制約があることが、この条項を正当化する抽象的な根拠として挙げられていることがわかります。
しかしながら、このような内容規制を行うだけの立法事実があるのか、より具体的に言えば、株主提案によって株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益が害されたという事実があったのかどうか、なかったのか、あったとしたらその程度、数についてきちんと議論がなされるべきです。これらは全く、現時点においては明らかになっていないというふうに考えております。
本日、また商事法務ですけれども、商事法務がまとめた過去三年分の株主総会の時間についての表をお配りしています。今度はこんな表の話です。三時間を超えている株主総会などほとんどありません。
また、本当に株主総会の時間が限られていることが問題なのであれば、一議案にかける時間を制限すれば足りる話です。一議案にかける時間を制限する方法ではなぜだめなのかについても全く明らかになっていません。
繰り返しになりますけれども、株主権に限りませんけれども、権利を制限する立法を行う場合、そのような制限を行う立法事実が現に存在しているのかどうかを具体的に検証することが必要です。これまでいろいろ出てきているように、株主提案権が濫用的に行使される事例が見受けられるというだけでは、立法事実とは言えません。濫用的な行使の時期、具体的内容、数を具体的に検証していただきたいというふうに思っています。それは、実はこういうふうにまとまっているものがあるので可能です。やっていただきたいなというふうに考えております。
本日お配りした資料以外にも、株主提案についての機関投資家の賛成率は実は上昇しているというレポートもございます。株主提案の果たす積極的意義や株主提案の賛成率、どれくらいの賛成率、株主提案についてどれくらい他の株主が賛成しているのかということについても、きちんと議論をしていただきたいというふうに考えています。
次、第二に、補償契約に関する意見を申し上げます。
補償契約、法案では、いわゆる防御費用、弁護士費用なんかが想定されていると思いますが、については、役員に悪意又はこれと同視すべき重過失がある場合でも補償が認められることになっています。重過失というのは普通、悪意と同視するような過失のことをいいますから、これから先は悪意と言うだけでまとめていきます。
そもそも、会社補償制度というのは、役員としての優秀な人材の確保や、役員が損害賠償責任を負うことを過度に恐れることにより職務執行が萎縮することがないようにするためのものです。
しかし、そもそも、悪意の役員というのは会社が確保すべき優秀な人材と言えるのでしょうか。悪意が認められるような行為を行ってはならないのは当然であって、損害賠償責任を恐れての萎縮も問題になりません。むしろ、悪意がある場合にまで補償が認められれば、違法行為に手を染めてでも目先の利益を上げようとする誘惑を引き起こし、職務の適正性が損なわれます。
この点、法案では、役員に図利加害の目的があった場合には補償した金額の返還請求ができるというふうにしており、一定の配慮はされたようですが、不十分であると考えております。
まず、図利加害目的という要件では、会社に対する特別背任が成立するような極めて限定的な場面でしか適用ができません。
これまで我々の弁護団で取り組んできた例えば株主代表訴訟なんかというのは、談合やカルテル、違法な政治献金、製品の性能偽装、本当に生命身体に危険が及ぶような性能偽装なんかを問題にしてきました。これらの行為に知って関与した取締役というのは、実はみずからの私的な利益を図るという目的ではありません。むしろ、目先の会社の利益を図るために長期にわたる会社の利益を犠牲にし、法令違反を行ってきた人たちです。これまで我々が提起した株主代表訴訟は、法に反してでも会社の利益を守ろうとし、短期的な利益なんですけれども、その結果、会社や社会に大きな損害を及ぼした事例です。
改正案では、故意の法令違反行為という悪質な行為の存在が認められたとしても、図利加害目的を欠くという理由によって、補償した金額の返還を求めることができないことになります。故意に法令違反に関与した場合ですら防御費用の補償が認められることになり、モラルハザードの問題が生じます。
また、改正法案では、図利加害目的があった場合には会社が役員に対して補償した金額の返還請求ができるとされているだけで、返還請求を義務づけてはいません。会社に委ねようというようなことなんですけれども、図利加害目的が認められる場合にまで、もはや会社が防御費用を負担すべき合理性があるとは言えないので、返還請求を行うことを義務づける規定とすべきだというふうに考えております。
以上が私の意見でございます。御清聴ありがとうございました。拍手
松
松
国
国光あやの#9
○国光委員 ありがとうございます。衆議院議員の国光あやのでございます。
本日は、神田先生、そして松嶋先生、そして前川先生、貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。
会社法の改正、昨今の情勢も踏まえて、非常に重要な法案だと思っております。その点から、主要な論点につきまして、今それぞれの先生方が御提起いただいたことにつきまして、お尋ねをさせていただきたいと思います。
まず、神田先生にお尋ねさせていただきたいと思います。
先ほど、御自身の言葉として、会社法の洗練化、すばらしいお言葉だなというふうに深く感銘を受けた次第でございますけれども、ずっと会社法制部会の中で取りまとめの御苦労をなさった中で、今のお話に上がった論点も多々あったかと思います。
まず、株主総会関係で、きょうの資料も非常に簡潔にポイントをまとめていただいておりますけれども、部会の中で議論があった点といたしまして、まず電子提供制度の創設、これは非常にある意味当たり前というふうな時代になっているかと思いますけれども、この点につきまして、ウエブサイトに株主総会資料の情報をアップする、提供する、そのタイミングについて、かなり議論があったように承知をしております。
今の法案においては、株主総会の日の三週間前までに総会の資料について電子提供措置をするとありますけれども、これについて、より前、例えば四週間という案も、これは株主と企業との対話を重視するという思想のもと、四週間前ぐらいは資料を提供してはどうかという話がありました。片や、やはりなかなか、企業においての負担感等々も鑑みて、招集の通知が二週間前までに出すということになっておりますけれども、招集の通知と一緒に二週間というふうな案もあって、結論は三に落ちついたわけですけれども、四と二という案があったわけです。
これについて、どのような議論でこの三に部会の中で落ちつかれたかということを、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →本日は、神田先生、そして松嶋先生、そして前川先生、貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。
会社法の改正、昨今の情勢も踏まえて、非常に重要な法案だと思っております。その点から、主要な論点につきまして、今それぞれの先生方が御提起いただいたことにつきまして、お尋ねをさせていただきたいと思います。
まず、神田先生にお尋ねさせていただきたいと思います。
先ほど、御自身の言葉として、会社法の洗練化、すばらしいお言葉だなというふうに深く感銘を受けた次第でございますけれども、ずっと会社法制部会の中で取りまとめの御苦労をなさった中で、今のお話に上がった論点も多々あったかと思います。
まず、株主総会関係で、きょうの資料も非常に簡潔にポイントをまとめていただいておりますけれども、部会の中で議論があった点といたしまして、まず電子提供制度の創設、これは非常にある意味当たり前というふうな時代になっているかと思いますけれども、この点につきまして、ウエブサイトに株主総会資料の情報をアップする、提供する、そのタイミングについて、かなり議論があったように承知をしております。
今の法案においては、株主総会の日の三週間前までに総会の資料について電子提供措置をするとありますけれども、これについて、より前、例えば四週間という案も、これは株主と企業との対話を重視するという思想のもと、四週間前ぐらいは資料を提供してはどうかという話がありました。片や、やはりなかなか、企業においての負担感等々も鑑みて、招集の通知が二週間前までに出すということになっておりますけれども、招集の通知と一緒に二週間というふうな案もあって、結論は三に落ちついたわけですけれども、四と二という案があったわけです。
これについて、どのような議論でこの三に部会の中で落ちつかれたかということを、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
神
神田秀樹#10
○神田参考人 御質問ありがとうございます。
先生御指摘のとおりでございまして、部会の中では、もっと早くできるのではないか、おっしゃるように、四週間前からインターネットに掲載してはどうかという意見もございました。
結論としては、部会は、三週間ということで、招集通知は二週間前ということになったんですけれども、あわせて、実は、法案とは関係ありませんけれども、附帯決議というのがありまして、できるだけ早くやってほしい、そういうことを取引所の例えば上場規則等で上場会社に要請してはどうかというのを、部会の意見そしてまた法制審議会の意見として附帯決議がされております。
それで、その実質的な理由をちょっと一言申し上げたいんですけれども、実際に、もう現在、上場会社さんで任意にウエブサイトでの提供を一カ月ぐらい前からしている会社さんはそれなりにあります。他方、今回の法案は、上場会社には電子提供を義務づけようとするものですので、現在上場会社は三千七百社以上ありまして、これらの会社に義務づけられることになります。
ですから、今既に任意でやっておられるように、一部の上場会社さんはある意味十分対応できるんですけれども、ちょっと、小さい方と言うと失礼なんですけれども、その三千七百社全部が果たして例えば四週間前で対応できるのかどうかというところの見きわめの問題が必ずしもつきませんで、部会の中では両論あって、投資家の代表の方々は、できるだけ早く、三週間では物足りないということを強くおっしゃったんですけれども、最終的には三週間、それでいて附帯決議というところに落ちつきました。
この発言だけを見る →先生御指摘のとおりでございまして、部会の中では、もっと早くできるのではないか、おっしゃるように、四週間前からインターネットに掲載してはどうかという意見もございました。
結論としては、部会は、三週間ということで、招集通知は二週間前ということになったんですけれども、あわせて、実は、法案とは関係ありませんけれども、附帯決議というのがありまして、できるだけ早くやってほしい、そういうことを取引所の例えば上場規則等で上場会社に要請してはどうかというのを、部会の意見そしてまた法制審議会の意見として附帯決議がされております。
それで、その実質的な理由をちょっと一言申し上げたいんですけれども、実際に、もう現在、上場会社さんで任意にウエブサイトでの提供を一カ月ぐらい前からしている会社さんはそれなりにあります。他方、今回の法案は、上場会社には電子提供を義務づけようとするものですので、現在上場会社は三千七百社以上ありまして、これらの会社に義務づけられることになります。
ですから、今既に任意でやっておられるように、一部の上場会社さんはある意味十分対応できるんですけれども、ちょっと、小さい方と言うと失礼なんですけれども、その三千七百社全部が果たして例えば四週間前で対応できるのかどうかというところの見きわめの問題が必ずしもつきませんで、部会の中では両論あって、投資家の代表の方々は、できるだけ早く、三週間では物足りないということを強くおっしゃったんですけれども、最終的には三週間、それでいて附帯決議というところに落ちつきました。
国
国光あやの#11
○国光委員 神田参考人、大変ありがとうございます。
この、タイミングの点につきまして、先ほど松嶋参考人、そして前川参考人からも直接はちょっと今お話はなかったかと思いますが、このインターネット上の書類の公開につきまして、資料の情報提供につきまして、御意見ありましたらいただければと思います。
この発言だけを見る →この、タイミングの点につきまして、先ほど松嶋参考人、そして前川参考人からも直接はちょっと今お話はなかったかと思いますが、このインターネット上の書類の公開につきまして、資料の情報提供につきまして、御意見ありましたらいただければと思います。
松
松嶋隆弘#12
○松嶋参考人 御指名いただきましてありがとうございます。
私どもは、この問題、研究会の名義で意見書を提出させていただきまして、研究会の名義で意見を出させていただいたとおり賛成、先ほど神田参考人が述べましたこととほぼ同様の理由から賛成をしたいと考えております。
と申しますのも、この問題に限らず、IT化へどう対応していくかというのは、法律の世界で今、裁判のIT化というのが話題になっておりまして、会社法の問題に限らず、IT化については、日本は一周おくれているのではないかと思っておりまして、究極的には、株主総会の話に戻りますと、総会自体のバーチャル化も含めた方に向かっていただきたいと思っておりまして、今回のはそこに向かっての一里塚であるという意味で賛成をさせていただいている次第でございます。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →私どもは、この問題、研究会の名義で意見書を提出させていただきまして、研究会の名義で意見を出させていただいたとおり賛成、先ほど神田参考人が述べましたこととほぼ同様の理由から賛成をしたいと考えております。
と申しますのも、この問題に限らず、IT化へどう対応していくかというのは、法律の世界で今、裁判のIT化というのが話題になっておりまして、会社法の問題に限らず、IT化については、日本は一周おくれているのではないかと思っておりまして、究極的には、株主総会の話に戻りますと、総会自体のバーチャル化も含めた方に向かっていただきたいと思っておりまして、今回のはそこに向かっての一里塚であるという意味で賛成をさせていただいている次第でございます。
ありがとうございます。
前
前川拓郎#13
○前川参考人 私どもとしても、基本的には賛成しております。
ただ、先ほど、議論がありました、おっしゃっていましたように、請求できる時期の問題というのは残るので、条件付の賛成という意見をパブリックコメントで載せております。
以上でございます。
この発言だけを見る →ただ、先ほど、議論がありました、おっしゃっていましたように、請求できる時期の問題というのは残るので、条件付の賛成という意見をパブリックコメントで載せております。
以上でございます。
国
国光あやの#14
○国光委員 ありがとうございました。
続きまして、きのうの法務委員会でも非常に大きな議論になって、きょうも非常に御指摘が多かった株主提案権の制限についてお伺いをさせていただきたいと思います。
これは主に数の議論、そして内容の議論、前川参考人はそもそもこれ自体がどうかという全体的な、否定的な御意見だというふうに承知をしておりますけれども。
まず、何か数を決めるとなった前提での、十と落ちついたこの議論の過程でございますけれども、これも、私も会社法制部会の資料などもいろいろ拝見をさせていただいたんですが、かなりいろいろな、これに関しても御意見があって、やはり、例えば、パブコメではたしか、アメリカでは議案を一だけしか認めていないとかいうふうな意見を出されておられたり、非常に、あと、五以下にするべきだという意見があったり、またあるいは、特に制限をつけるべきでないというふうな御意見があったりとさまざまであったかと思います。
仮にこの数を何らか決めるという前提においての議論ということで、この十という数に、部会の中でそこに収れんされたというプロセスの背景をぜひ神田先生からお伺いをさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →続きまして、きのうの法務委員会でも非常に大きな議論になって、きょうも非常に御指摘が多かった株主提案権の制限についてお伺いをさせていただきたいと思います。
これは主に数の議論、そして内容の議論、前川参考人はそもそもこれ自体がどうかという全体的な、否定的な御意見だというふうに承知をしておりますけれども。
まず、何か数を決めるとなった前提での、十と落ちついたこの議論の過程でございますけれども、これも、私も会社法制部会の資料などもいろいろ拝見をさせていただいたんですが、かなりいろいろな、これに関しても御意見があって、やはり、例えば、パブコメではたしか、アメリカでは議案を一だけしか認めていないとかいうふうな意見を出されておられたり、非常に、あと、五以下にするべきだという意見があったり、またあるいは、特に制限をつけるべきでないというふうな御意見があったりとさまざまであったかと思います。
仮にこの数を何らか決めるという前提においての議論ということで、この十という数に、部会の中でそこに収れんされたというプロセスの背景をぜひ神田先生からお伺いをさせていただきたいと思います。
神
神田秀樹#15
○神田参考人 どうもありがとうございます。
数が最後に十になりましたのは、もっと多くてもいいのではないかという意見もございましたし、五つぐらいがいい、せいぜい二つか三つか、一だというような御指摘がありまして、そういういろいろな御意見があった中で、最終的には、部会としては十に集約されたということがあります。
ただ、それだけだと背景がわかりにくいと思うんですね。諸外国と違って、というか日本の制度と諸外国の制度は同じではありませんので。
例えばということで申しますと、アメリカですと、委任状合戦とか、委任状を勧誘するのは全く自由ですから。それは、ただ、自分の費用でやらなければいけません。
日本の株主提案権というのは、会社の費用で、例えば百提案したら百項目載せてもらえる。それだけ、招集通知のページの費用も会社の費用ということは、ほかの株主の費用ということです。それで、百個あるということは百個時間を使うということになりますので、先ほどのお話にも関係しますけれども、株主総会全体、例えば全体が二時間であれば、そのうち百個に例えば一時間とすればそれだけ時間を独占できる、そういう権利なんですね。
ただ、今回の部会も、株主提案権そのものを制限しようということではなくて、先ほど御指摘があったんですけれども、濫用的なものが見られたことがあるので、会社が実際の対応に苦慮しているというときに、数と目的の両方で何らかの規定を置くのがいいかどうかという全体像の中で数の議論ですので、その数の議論自体は、十では少な過ぎるという意見もありましたし、全然多過ぎるという意見もあったんですけれども、最後に実際の例等も見ながら十というところに落ちついたということでございます。
この発言だけを見る →数が最後に十になりましたのは、もっと多くてもいいのではないかという意見もございましたし、五つぐらいがいい、せいぜい二つか三つか、一だというような御指摘がありまして、そういういろいろな御意見があった中で、最終的には、部会としては十に集約されたということがあります。
ただ、それだけだと背景がわかりにくいと思うんですね。諸外国と違って、というか日本の制度と諸外国の制度は同じではありませんので。
例えばということで申しますと、アメリカですと、委任状合戦とか、委任状を勧誘するのは全く自由ですから。それは、ただ、自分の費用でやらなければいけません。
日本の株主提案権というのは、会社の費用で、例えば百提案したら百項目載せてもらえる。それだけ、招集通知のページの費用も会社の費用ということは、ほかの株主の費用ということです。それで、百個あるということは百個時間を使うということになりますので、先ほどのお話にも関係しますけれども、株主総会全体、例えば全体が二時間であれば、そのうち百個に例えば一時間とすればそれだけ時間を独占できる、そういう権利なんですね。
ただ、今回の部会も、株主提案権そのものを制限しようということではなくて、先ほど御指摘があったんですけれども、濫用的なものが見られたことがあるので、会社が実際の対応に苦慮しているというときに、数と目的の両方で何らかの規定を置くのがいいかどうかという全体像の中で数の議論ですので、その数の議論自体は、十では少な過ぎるという意見もありましたし、全然多過ぎるという意見もあったんですけれども、最後に実際の例等も見ながら十というところに落ちついたということでございます。
国
国光あやの#16
○国光委員 ありがとうございます。
今お話にもありました濫用といいますか、先ほど前川参考人からも立法事実があるのかないのかというふうな点も御指摘がありましたけれども、今の法案で、きのうも大きな議論になっておりますのが、その内容についての部分で、株主が提案権を行使することができないものとするという具体的な法令の文言が、「株主が、専ら人の名誉を侵害し、人を侮辱し、若しくは困惑させ、」、この点はきのうも大きな議論になっておりましたけれども、「又は自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で、」議場における議案提案権又は議案要領通知請求権を行使する場合というふうな法案の記載がございます。
これについて、実際、リアルワールドでこれを会社が判断をしていくというときに、かなりこの判断に裁量の余地が広く、なかなか具体的な基準等々がなければ判断に迷うのではないかというふうな意見もあったかと思いますけれども、この点につきまして、この書きぶりに関しての御意見を三人の参考人の方それぞれからお伺いをさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →今お話にもありました濫用といいますか、先ほど前川参考人からも立法事実があるのかないのかというふうな点も御指摘がありましたけれども、今の法案で、きのうも大きな議論になっておりますのが、その内容についての部分で、株主が提案権を行使することができないものとするという具体的な法令の文言が、「株主が、専ら人の名誉を侵害し、人を侮辱し、若しくは困惑させ、」、この点はきのうも大きな議論になっておりましたけれども、「又は自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で、」議場における議案提案権又は議案要領通知請求権を行使する場合というふうな法案の記載がございます。
これについて、実際、リアルワールドでこれを会社が判断をしていくというときに、かなりこの判断に裁量の余地が広く、なかなか具体的な基準等々がなければ判断に迷うのではないかというふうな意見もあったかと思いますけれども、この点につきまして、この書きぶりに関しての御意見を三人の参考人の方それぞれからお伺いをさせていただきたいと思います。
神
神田秀樹#17
○神田参考人 ありがとうございます。私から一言申し上げさせていただきます。
確かに、法文をどう書くかは非常に難しくて、ですから、今から見ると、じゃ、ほかの表現は何がいいのでしょうか、いっそのこと非常に一般的に、濫用的な場合というふうに条文に書いた方がいいんでしょうかというのもあると思うんですけれども、これは具体的な、会社にせよ株主にせよそうだと思うんですけれども、から見てどっちの文言がいいかという話だと思うんですね。
ですから、法制審の部会では、今ここに提案されているような文言の方がいいだろう、最終的にはそれは裁判所によって判断されることになるんですけれども、そういう基準としても、単に濫用的と書くよりはこういうふうに具体的に書いた方がいいのだろうということでこういうふうになっているわけでありまして、意見は分かれると思いますけれども、私は、これで特に不明確だということはなくて、ほかにもこういう表現の、抽象度の高い文言というのは法律にはたくさん書かれておりますので、そういう意味では、適切な解釈というのは、より一般的な文言がふわっとあったりあるいは全然ないよりはよほどいいというふうに思っております。
この発言だけを見る →確かに、法文をどう書くかは非常に難しくて、ですから、今から見ると、じゃ、ほかの表現は何がいいのでしょうか、いっそのこと非常に一般的に、濫用的な場合というふうに条文に書いた方がいいんでしょうかというのもあると思うんですけれども、これは具体的な、会社にせよ株主にせよそうだと思うんですけれども、から見てどっちの文言がいいかという話だと思うんですね。
ですから、法制審の部会では、今ここに提案されているような文言の方がいいだろう、最終的にはそれは裁判所によって判断されることになるんですけれども、そういう基準としても、単に濫用的と書くよりはこういうふうに具体的に書いた方がいいのだろうということでこういうふうになっているわけでありまして、意見は分かれると思いますけれども、私は、これで特に不明確だということはなくて、ほかにもこういう表現の、抽象度の高い文言というのは法律にはたくさん書かれておりますので、そういう意味では、適切な解釈というのは、より一般的な文言がふわっとあったりあるいは全然ないよりはよほどいいというふうに思っております。
松
松嶋隆弘#18
○松嶋参考人 私の意見を述べさせていただきます。
私は、先ほど述べましたとおり、数の規制については反対ですが、内容に関する規制については特段反対していないという立場の意見でございます。
この文言を、今、原案の文言を前提といたしますと、名誉毀損、困惑等ありますけれども、例えば、より具体化するのであれば、プライバシーみたいなものを、個人のセクシュアリティーだとかそういうような純粋な私事を開示するような形での行使事例というのも考え得るのかなという、より具体化する策はあろうかと思います。
他方で、私は、数の問題にも戻ってしまうのですが、濫用だったら、濫用というものについては会社としても正々堂々とこれは濫用だと立ち向かう、立ち向かうというのは、後日の訴訟リスクというものを恐れずにきっちり立ち向かうべきで、それを、特に数の話ですけれども、十個を超えているからだとか、別の客観的とされる、要するに、客観的といえば客観的ですが、それは自分の責任は負わずにシャットアウトしたいというような形のはいささかどうかという、こういうのが私の意見でございます。
この発言だけを見る →私は、先ほど述べましたとおり、数の規制については反対ですが、内容に関する規制については特段反対していないという立場の意見でございます。
この文言を、今、原案の文言を前提といたしますと、名誉毀損、困惑等ありますけれども、例えば、より具体化するのであれば、プライバシーみたいなものを、個人のセクシュアリティーだとかそういうような純粋な私事を開示するような形での行使事例というのも考え得るのかなという、より具体化する策はあろうかと思います。
他方で、私は、数の問題にも戻ってしまうのですが、濫用だったら、濫用というものについては会社としても正々堂々とこれは濫用だと立ち向かう、立ち向かうというのは、後日の訴訟リスクというものを恐れずにきっちり立ち向かうべきで、それを、特に数の話ですけれども、十個を超えているからだとか、別の客観的とされる、要するに、客観的といえば客観的ですが、それは自分の責任は負わずにシャットアウトしたいというような形のはいささかどうかという、こういうのが私の意見でございます。
前
前川拓郎#19
○前川参考人 書きぶりについての御質問がございましたので、その点についてお答えいたします。これはどちらかというと弁護士としてお答えしたいと思います。
まず、専ら人の名誉を侵害し、人を侮辱し、若しくは困惑させ、又は自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的でというのは、専ら要件がついておりますので、この点についての書きぶりといいますか規定ぶりは、特に問題ないのではないかなというふうに思っております。書きぶりの話に限りますけれども。
ただ、先ほどから申し上げております、当該議案の提出により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益を害されるおそれがあると認められる場合というのは、おそれという文言もついていますし、これは極めて不明確であると言わざるを得ません。
この条文を見て、普通、こんな場合がきっと拒絶されるんだろうなということについて予測がつく人というのはほとんどいないんじゃないかなというふうに思いますので、この点についての書きぶりというのは極めて問題であるというふうに考えています。
以上でございます。
この発言だけを見る →まず、専ら人の名誉を侵害し、人を侮辱し、若しくは困惑させ、又は自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的でというのは、専ら要件がついておりますので、この点についての書きぶりといいますか規定ぶりは、特に問題ないのではないかなというふうに思っております。書きぶりの話に限りますけれども。
ただ、先ほどから申し上げております、当該議案の提出により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ、株主の共同の利益を害されるおそれがあると認められる場合というのは、おそれという文言もついていますし、これは極めて不明確であると言わざるを得ません。
この条文を見て、普通、こんな場合がきっと拒絶されるんだろうなということについて予測がつく人というのはほとんどいないんじゃないかなというふうに思いますので、この点についての書きぶりというのは極めて問題であるというふうに考えています。
以上でございます。
国
国光あやの#20
○国光委員 ありがとうございます。それぞれのお立場からの貴重な本件に関する御意見、大変勉強になりました。
最後に、社外取締役の設置の義務づけの部分につきまして御意見をいただきたいと思います。
こちら、まず、よくある議論といたしまして、社外取締役なんですけれども、東証の上場企業の九八・四%がもう既に置かれているわけでございます。
まず、これを今法案で追認するような形で法律で義務づけるというふうな意義についてのお考えを、まず神田先生からお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →最後に、社外取締役の設置の義務づけの部分につきまして御意見をいただきたいと思います。
こちら、まず、よくある議論といたしまして、社外取締役なんですけれども、東証の上場企業の九八・四%がもう既に置かれているわけでございます。
まず、これを今法案で追認するような形で法律で義務づけるというふうな意義についてのお考えを、まず神田先生からお伺いしたいと思います。
神
神田秀樹#21
○神田参考人 ありがとうございます。
おっしゃるとおりでございまして、具体的には、義務づけるという意味は、残っている数%の会社さんに義務づけられるということにはなるんですね。
ただ、平成二十六年改正のときも実はこの法務委員会に私呼んでいただいたんですけれども、そのときには、先生方から非常に厳しく、義務づけるべきだという御意見を多数いただきまして、そのときには、やはり両論あって、当時の法制審の部会ではなかなか義務づけというところまでは至りませんでしたというお話をさせていただいたんですけれども。
その後、この数年間の間に、内外の投資家の声は、やはり義務づけを引き続き要求してこられているということがあります。そうだとしますと、投資家から見ればということにはなるんですけれども、制度として義務づけていない日本の証券市場とか企業社会というのは何なんだろうかということになります。
そうだとしますと、そういう声の中で、やはりより大きな意味で、なかなかいい表現がないんですけれども、日本への信頼というか、日本の証券市場、株式市場、企業社会への信頼ということからしても、基本法である会社法で義務づけますという、まあそういうことも重要かなということも恐らくあったと思います。今回の部会でも両論は分かれたんですけれども、最後は部会として義務づけるということで取りまとめに至ったというのは、そういう、より大きな歴史的な流れと背景というんでしょうか、ものもあるというふうに思っております。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →おっしゃるとおりでございまして、具体的には、義務づけるという意味は、残っている数%の会社さんに義務づけられるということにはなるんですね。
ただ、平成二十六年改正のときも実はこの法務委員会に私呼んでいただいたんですけれども、そのときには、先生方から非常に厳しく、義務づけるべきだという御意見を多数いただきまして、そのときには、やはり両論あって、当時の法制審の部会ではなかなか義務づけというところまでは至りませんでしたというお話をさせていただいたんですけれども。
その後、この数年間の間に、内外の投資家の声は、やはり義務づけを引き続き要求してこられているということがあります。そうだとしますと、投資家から見ればということにはなるんですけれども、制度として義務づけていない日本の証券市場とか企業社会というのは何なんだろうかということになります。
そうだとしますと、そういう声の中で、やはりより大きな意味で、なかなかいい表現がないんですけれども、日本への信頼というか、日本の証券市場、株式市場、企業社会への信頼ということからしても、基本法である会社法で義務づけますという、まあそういうことも重要かなということも恐らくあったと思います。今回の部会でも両論は分かれたんですけれども、最後は部会として義務づけるということで取りまとめに至ったというのは、そういう、より大きな歴史的な流れと背景というんでしょうか、ものもあるというふうに思っております。
ありがとうございました。
国
国光あやの#22
○国光委員 ありがとうございます。
もう一人、松嶋参考人にもお伺いしたいんですけれども、先ほどの御説明の中で、今回の法改正が、平成二十六年のときの積み残し的なものも幾つかあるのではないかというふうなお話があったかと思いますが、この点につきまして、特に社外取締役への御意見を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →もう一人、松嶋参考人にもお伺いしたいんですけれども、先ほどの御説明の中で、今回の法改正が、平成二十六年のときの積み残し的なものも幾つかあるのではないかというふうなお話があったかと思いますが、この点につきまして、特に社外取締役への御意見を伺いたいと思います。
松
松嶋隆弘#23
○松嶋参考人 御指名ですので、一言だけお話しさせていただきます。
基本的に反対はしておりません。と申しますのも、神田参考人が御指摘になられましたとおり、海外からの投資家の意見等を踏まえてというのは、それはそうだろうと思います。
ただ、他方で、私も社外監査役というものはやったことがあるのですが、監査役の場合、実査というものがありまして。要するに、倉庫だとかを見たり、現場を見たりとかする、そういう権限がない、単に取締役会だけを社外者が見ることにどういう意義があるのかということについては、非常にシニカルに思っております。
それを前提としての、投資家がそう言うのであればそうでしょうねという意味での賛成意見であります。
この発言だけを見る →基本的に反対はしておりません。と申しますのも、神田参考人が御指摘になられましたとおり、海外からの投資家の意見等を踏まえてというのは、それはそうだろうと思います。
ただ、他方で、私も社外監査役というものはやったことがあるのですが、監査役の場合、実査というものがありまして。要するに、倉庫だとかを見たり、現場を見たりとかする、そういう権限がない、単に取締役会だけを社外者が見ることにどういう意義があるのかということについては、非常にシニカルに思っております。
それを前提としての、投資家がそう言うのであればそうでしょうねという意味での賛成意見であります。
国
国光あやの#24
○国光委員 ありがとうございます。
社外取締役は、部会の中のパブコメでも、今まだ検証する時期であって、それによって、逆に形骸化するのであれば、というふうな御意見もあったかと思います。
非常に、社外取締役が実効性ある形で設置されるということは望ましいことだと私自身も思いますので、ぜひ、きょうの御意見その他も非常に前向きに捉えさせていただいて、審議に臨ませていただきたいと思います。
本日は、本当にありがとうございました。
この発言だけを見る →社外取締役は、部会の中のパブコメでも、今まだ検証する時期であって、それによって、逆に形骸化するのであれば、というふうな御意見もあったかと思います。
非常に、社外取締役が実効性ある形で設置されるということは望ましいことだと私自身も思いますので、ぜひ、きょうの御意見その他も非常に前向きに捉えさせていただいて、審議に臨ませていただきたいと思います。
本日は、本当にありがとうございました。
松
竹
竹内譲#26
○竹内委員 おはようございます。公明党の竹内でございます。
先生方、本当に、お忙しいところをきょうはありがとうございます。
今、国光先生からもお話がありましたが、株主提案権の制限の問題は、私はかつて、議員になる前に、某金融機関に若いころ勤めておりまして、取締役会とか株主総会を支えることをやっていたものですから、その経験からいうと、今回の、時代が違うとはいえ、一定、バランスのとれた範囲内ではないかなというふうに思っておるんです。
確かに、株主の権利の行使というのは大事です、それできっちりいろいろな御意見、御要望を聞くということは大事だと思うんです。一方で、しかし、意思決定にはおのずと時間的あるいは物理的制約というのはどこかでありますから、上限はありますから、永遠にこれをずっと全部やり続けるということも不可能ですし、神田先生が先ほどおっしゃいましたが、他の株主の権利とのバランスとかそういうこともありますし、濫用という問題もありますし、確かに、そういう事例、私もよくわかっておりますから。
それともう一つ、最近私思うんですけれども、こんな議論はあったのかなかったのかわかりませんが、会社は経営者だけで成り立っているものではなくて、従業員の方々がいっぱい働いているわけですよね。そういう方々から情報を上げてもらって、正しい情報を集約して、そして株主総会でも説明をしなければならない。これは膨大な準備が必要でして、一定の制限がなかったら、無制限に質疑応答要領をつくらなければならない。官僚の皆さんも今、働き過ぎで大変な状況になっている。国会の質問に答えるために、無定限な、どんな質問が出てもぱっとメモを出せるように準備するというのは大変なことでございまして、そういう意味では、働き方改革という要素も多少考えないといかぬのじゃないかな。
そういうバランスの中で、改めて神田参考人に、その辺の、先ほどの点も含めて、少し御意見、お話、経緯等、ここは言っておいた方がいいということがあれば、どうぞ言っていただければと思います。
この発言だけを見る →先生方、本当に、お忙しいところをきょうはありがとうございます。
今、国光先生からもお話がありましたが、株主提案権の制限の問題は、私はかつて、議員になる前に、某金融機関に若いころ勤めておりまして、取締役会とか株主総会を支えることをやっていたものですから、その経験からいうと、今回の、時代が違うとはいえ、一定、バランスのとれた範囲内ではないかなというふうに思っておるんです。
確かに、株主の権利の行使というのは大事です、それできっちりいろいろな御意見、御要望を聞くということは大事だと思うんです。一方で、しかし、意思決定にはおのずと時間的あるいは物理的制約というのはどこかでありますから、上限はありますから、永遠にこれをずっと全部やり続けるということも不可能ですし、神田先生が先ほどおっしゃいましたが、他の株主の権利とのバランスとかそういうこともありますし、濫用という問題もありますし、確かに、そういう事例、私もよくわかっておりますから。
それともう一つ、最近私思うんですけれども、こんな議論はあったのかなかったのかわかりませんが、会社は経営者だけで成り立っているものではなくて、従業員の方々がいっぱい働いているわけですよね。そういう方々から情報を上げてもらって、正しい情報を集約して、そして株主総会でも説明をしなければならない。これは膨大な準備が必要でして、一定の制限がなかったら、無制限に質疑応答要領をつくらなければならない。官僚の皆さんも今、働き過ぎで大変な状況になっている。国会の質問に答えるために、無定限な、どんな質問が出てもぱっとメモを出せるように準備するというのは大変なことでございまして、そういう意味では、働き方改革という要素も多少考えないといかぬのじゃないかな。
そういうバランスの中で、改めて神田参考人に、その辺の、先ほどの点も含めて、少し御意見、お話、経緯等、ここは言っておいた方がいいということがあれば、どうぞ言っていただければと思います。
神
神田秀樹#27
○神田参考人 御質問ありがとうございます。
先ほどちょっと申し上げたこととやや重複する面もあるかもしれませんけれども、私も、先生がおっしゃるとおり、全体のバランスというか、それと、私の言葉で言う歴史の流れというものの中で、今回、株主提案権自体をどうこうというのでは決してなくて、濫用的と思われる事案があったものに対して、その後の実務で、会社が窓口でその対応に苦慮しているというところにどうしたらいいかということなんですね。
先ほどのところに少しつけ加える形になるかと思いますけれども、この制度自体は、昭和五十六年に入った制度ですので、その前はなかったわけです。
それから、私も株主提案権というのは非常に重要な制度だと思っていますけれども、最近、株主との対話というのは、提案権という形ではなく、スチュワードシップ・コードなどというのをお聞きになった先生方がいらっしゃるかもしれませんけれども、提案権というルート以外で、少数の株主というのは会社と対話している。特に、機関投資家の株主は、提案権も行使しますけれども、そうではなくて、会社とはそういう形での対話というものを促進しましょうというのが大きな流れになっているんですね。そういう流れは昔は存在しませんでした。
もう一つ、先ほどの繰り返しで恐縮ですが、株主提案権という制度は、自分が提案したものを招集通知に書いてもらえるので、そういう権利ですと三百五条で言っているんですけれども、その費用は会社持ちであり、いわばほかの株主持ち、自分ももちろんその一部は負担するんでしょうけれども、という状況なわけです。ですから、なかなかここが難しいところで、しかしどうなのかということになってくると思うんですね。
もう一つ、委任状勧誘というのがありまして、日本でも最近例があるんですけれども、自分で委任状を集めて、会社側の提案と、日本で問題になった場合は、自分も提案していますので、どちらかということになるんですけれども、アメリカは原則として、委任状を勧誘すれば何でもやれまして、ただ、全部自分の費用負担なんですね。日本はこの制度は会社の費用でというところがポイントになっているわけです。ですから、変な話ですけれども、委任状を日本で自費で勧誘して例えば会社提案に反対をするということは、否決投票ということなんですけれども、反対投票をするということは幾らでもできるわけです。
いずれにしても、いろいろな全体像の中で考えると、今回は、濫用的な提案が過去されたということはあるんですけれども、七、八年前が一番議論された時期なんですね。だから、今日の目から見ると、ちょっと私ども冷めているというか、今の目から見ると、いや、あれはそんなにどうこう言わなくても最近はないんじゃないのというようなこともあると思うんですけれども、会社は、毎回来るうち、取り上げないものは、リスクをとって取り上げていないので、やはり対応に、いい言葉かどうかわかりませんけれども、苦慮しているという実態は恐らくあると思います。
そのあたりのバランスが、先ほど御指摘があったように、不要だという御意見も当然あり得るとは思うんですけれども、今回の法制審での議論というのは、やはりそれは、過去の裁判例等も見ながら、こういう数、そして内容というか目的というのを置いた方が、結局、株主全体、企業社会にとって、これは決して個々の企業という意味ではないんですけれども、社会にとってプラスであろう、つまり、この改正はした方がいいのではないか、そういう全体的な判断もあったというふうに言ってよろしいかと思います。
長くなって申しわけございません。
〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕
この発言だけを見る →先ほどちょっと申し上げたこととやや重複する面もあるかもしれませんけれども、私も、先生がおっしゃるとおり、全体のバランスというか、それと、私の言葉で言う歴史の流れというものの中で、今回、株主提案権自体をどうこうというのでは決してなくて、濫用的と思われる事案があったものに対して、その後の実務で、会社が窓口でその対応に苦慮しているというところにどうしたらいいかということなんですね。
先ほどのところに少しつけ加える形になるかと思いますけれども、この制度自体は、昭和五十六年に入った制度ですので、その前はなかったわけです。
それから、私も株主提案権というのは非常に重要な制度だと思っていますけれども、最近、株主との対話というのは、提案権という形ではなく、スチュワードシップ・コードなどというのをお聞きになった先生方がいらっしゃるかもしれませんけれども、提案権というルート以外で、少数の株主というのは会社と対話している。特に、機関投資家の株主は、提案権も行使しますけれども、そうではなくて、会社とはそういう形での対話というものを促進しましょうというのが大きな流れになっているんですね。そういう流れは昔は存在しませんでした。
もう一つ、先ほどの繰り返しで恐縮ですが、株主提案権という制度は、自分が提案したものを招集通知に書いてもらえるので、そういう権利ですと三百五条で言っているんですけれども、その費用は会社持ちであり、いわばほかの株主持ち、自分ももちろんその一部は負担するんでしょうけれども、という状況なわけです。ですから、なかなかここが難しいところで、しかしどうなのかということになってくると思うんですね。
もう一つ、委任状勧誘というのがありまして、日本でも最近例があるんですけれども、自分で委任状を集めて、会社側の提案と、日本で問題になった場合は、自分も提案していますので、どちらかということになるんですけれども、アメリカは原則として、委任状を勧誘すれば何でもやれまして、ただ、全部自分の費用負担なんですね。日本はこの制度は会社の費用でというところがポイントになっているわけです。ですから、変な話ですけれども、委任状を日本で自費で勧誘して例えば会社提案に反対をするということは、否決投票ということなんですけれども、反対投票をするということは幾らでもできるわけです。
いずれにしても、いろいろな全体像の中で考えると、今回は、濫用的な提案が過去されたということはあるんですけれども、七、八年前が一番議論された時期なんですね。だから、今日の目から見ると、ちょっと私ども冷めているというか、今の目から見ると、いや、あれはそんなにどうこう言わなくても最近はないんじゃないのというようなこともあると思うんですけれども、会社は、毎回来るうち、取り上げないものは、リスクをとって取り上げていないので、やはり対応に、いい言葉かどうかわかりませんけれども、苦慮しているという実態は恐らくあると思います。
そのあたりのバランスが、先ほど御指摘があったように、不要だという御意見も当然あり得るとは思うんですけれども、今回の法制審での議論というのは、やはりそれは、過去の裁判例等も見ながら、こういう数、そして内容というか目的というのを置いた方が、結局、株主全体、企業社会にとって、これは決して個々の企業という意味ではないんですけれども、社会にとってプラスであろう、つまり、この改正はした方がいいのではないか、そういう全体的な判断もあったというふうに言ってよろしいかと思います。
長くなって申しわけございません。
〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕
竹
竹内譲#28
○竹内委員 ありがとうございました。
それでは、引き続き、個人別の報酬額の開示の問題についてちょっとお聞きしたいんですけれども、中間試案のときには、個人別の報酬の額の開示について、事業報告により開示しなければならないものとするかどうかは検討するとされておったんですが、最終的には法制審ではまとまらなかったということであります。このあたりの経緯とか理由とかにつきまして、神田参考人にお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →それでは、引き続き、個人別の報酬額の開示の問題についてちょっとお聞きしたいんですけれども、中間試案のときには、個人別の報酬の額の開示について、事業報告により開示しなければならないものとするかどうかは検討するとされておったんですが、最終的には法制審ではまとまらなかったということであります。このあたりの経緯とか理由とかにつきまして、神田参考人にお聞きしたいと思います。
神
神田秀樹#29
○神田参考人 ありがとうございます。
これは、会社法の見地からどうするかということで、今御指摘のとおり、提案はされていたんですけれども、余り部会では、これはぜひ会社法でやるべきだという御意見は私の理解では出なかったように思います。
その大きな一つの理由は、それを仮に義務づけるとして、どの範囲かということになりますと、上場会社を中心とした、いわゆる有価証券報告書提出会社になると思うんですね。これは、上場会社は約三千七百社なんですけれども、有価証券報告書提出会社は恐らく四千五百社ぐらいだと思います。ただ、その有報提出会社と呼んでいる会社については、既に今、金融商品取引法のもとで、年の総額一億円以上なんですけれども、その報酬等を受けている取締役等の個別開示というのが行われていますので、そうすると、それと全く同じにする必要はもちろんないわけであります。
ですから、会社法の方で個別報酬の開示というのを義務づけるとなると、それよりも広い範囲にするのか、あるいは金額を下げるとか、そういう議論になると思うんですけれども、まだ金商法の方も、そういう制度が始まって、それなりに年数はたっているんですけれども、それほどたっているわけではありませんので、何か会社法の方がここで出動して個別報酬の開示というところまでは、御意見としては多くは出なかったというふうに私は理解しております。
この発言だけを見る →これは、会社法の見地からどうするかということで、今御指摘のとおり、提案はされていたんですけれども、余り部会では、これはぜひ会社法でやるべきだという御意見は私の理解では出なかったように思います。
その大きな一つの理由は、それを仮に義務づけるとして、どの範囲かということになりますと、上場会社を中心とした、いわゆる有価証券報告書提出会社になると思うんですね。これは、上場会社は約三千七百社なんですけれども、有価証券報告書提出会社は恐らく四千五百社ぐらいだと思います。ただ、その有報提出会社と呼んでいる会社については、既に今、金融商品取引法のもとで、年の総額一億円以上なんですけれども、その報酬等を受けている取締役等の個別開示というのが行われていますので、そうすると、それと全く同じにする必要はもちろんないわけであります。
ですから、会社法の方で個別報酬の開示というのを義務づけるとなると、それよりも広い範囲にするのか、あるいは金額を下げるとか、そういう議論になると思うんですけれども、まだ金商法の方も、そういう制度が始まって、それなりに年数はたっているんですけれども、それほどたっているわけではありませんので、何か会社法の方がここで出動して個別報酬の開示というところまでは、御意見としては多くは出なかったというふうに私は理解しております。