法務委員会
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会
会議録情報#0
令和六年四月二十六日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 武部 新君
理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君
理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君
理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君
理事 池下 卓君 理事 大口 善徳君
青山 周平君 東 国幹君
五十嵐 清君 井出 庸生君
稲田 朋美君 奥野 信亮君
勝目 康君 斎藤 洋明君
高見 康裕君 谷川 とむ君
中曽根康隆君 平口 洋君
藤原 崇君 三ッ林裕巳君
山田 賢司君 山田 美樹君
山本 左近君 おおつき紅葉君
鎌田さゆり君 鈴木 庸介君
寺田 学君 渡辺 創君
阿部 弘樹君 斎藤アレックス君
美延 映夫君 日下 正喜君
平林 晃君 本村 伸子君
…………………………………
参考人
(国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長) 是川 夕君
参考人
(法政大学名誉教授) 上林千恵子君
参考人
(上智大学法学部国際関係法学科教授) 岡部みどり君
参考人
(株式会社政策工房代表取締役) 原 英史君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 山田 賢司君
英利アルフィヤ君 勝目 康君
斎藤 洋明君 青山 周平君
中野 英幸君 山本 左近君
三ッ林裕巳君 土井 亨君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 斎藤 洋明君
勝目 康君 英利アルフィヤ君
山田 賢司君 井出 庸生君
山本 左近君 中野 英幸君
―――――――――――――
四月二十六日
国籍選択制度の廃止に関する請願(荒井優君紹介)(第一二八八号)
同(西村智奈美君紹介)(第一二八九号)
同(井出庸生君紹介)(第一三一三号)
民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(古川元久君紹介)(第一二九〇号)
同(泉健太君紹介)(第一三一四号)
元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(荒井優君紹介)(第一二九一号)
同(西村智奈美君紹介)(第一二九二号)
同(井出庸生君紹介)(第一三一五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
委員派遣承認申請に関する件
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
――――◇―――――
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 武部 新君
理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君
理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君
理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君
理事 池下 卓君 理事 大口 善徳君
青山 周平君 東 国幹君
五十嵐 清君 井出 庸生君
稲田 朋美君 奥野 信亮君
勝目 康君 斎藤 洋明君
高見 康裕君 谷川 とむ君
中曽根康隆君 平口 洋君
藤原 崇君 三ッ林裕巳君
山田 賢司君 山田 美樹君
山本 左近君 おおつき紅葉君
鎌田さゆり君 鈴木 庸介君
寺田 学君 渡辺 創君
阿部 弘樹君 斎藤アレックス君
美延 映夫君 日下 正喜君
平林 晃君 本村 伸子君
…………………………………
参考人
(国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長) 是川 夕君
参考人
(法政大学名誉教授) 上林千恵子君
参考人
(上智大学法学部国際関係法学科教授) 岡部みどり君
参考人
(株式会社政策工房代表取締役) 原 英史君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 山田 賢司君
英利アルフィヤ君 勝目 康君
斎藤 洋明君 青山 周平君
中野 英幸君 山本 左近君
三ッ林裕巳君 土井 亨君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 斎藤 洋明君
勝目 康君 英利アルフィヤ君
山田 賢司君 井出 庸生君
山本 左近君 中野 英幸君
―――――――――――――
四月二十六日
国籍選択制度の廃止に関する請願(荒井優君紹介)(第一二八八号)
同(西村智奈美君紹介)(第一二八九号)
同(井出庸生君紹介)(第一三一三号)
民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(古川元久君紹介)(第一二九〇号)
同(泉健太君紹介)(第一三一四号)
元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(荒井優君紹介)(第一二九一号)
同(西村智奈美君紹介)(第一二九二号)
同(井出庸生君紹介)(第一三一五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
委員派遣承認申請に関する件
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
――――◇―――――
武
武部新#1
○武部委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長是川夕君、法政大学名誉教授上林千恵子君、上智大学法学部国際関係法学科教授岡部みどり君、株式会社政策工房代表取締役原英史君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、是川参考人、上林参考人、岡部参考人、原参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず是川参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長是川夕君、法政大学名誉教授上林千恵子君、上智大学法学部国際関係法学科教授岡部みどり君、株式会社政策工房代表取締役原英史君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、是川参考人、上林参考人、岡部参考人、原参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず是川参考人にお願いいたします。
是
是川夕#2
○是川参考人 それでは、始めさせていただきます。
私は、国立社会保障・人口問題研究所で国際関係部長を務めております是川夕と申します。
本日は、参考人として意見を陳述する機会をいただき、感謝申し上げます。
私は、移民研究を専門にしています。グローバルな人の移動や日本における移民、外国人の受入れ状況などについて研究を行ってまいりました。また、経済協力開発機構、OECD移民政策専門家会合のメンバーを務めるほか、今般の制度改正に当たっては、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議のメンバーも務めました。本日は、こうした経験に基づき意見を申し述べたいと思います。
今般の制度改正の方向性として、三つのポイントを挙げたいと思います。
資料の二ページ目、表紙を一枚おめくりいただいたところを御覧ください。
一つ目は、人材確保と並び人材育成を目的とし、外国人がキャリアアップを図る仕組みをつくるとした点です。アジアは出稼ぎ、つまり国際労働市場が急速に発展を遂げている地域です。日本はその中で最大の移民受入れ国となっております。年間約五百九十万人の移民がアジアから外国に働きに出ています。日本はそのうち約四十八万人を受け入れており、これは韓国や米国を抑えて第一位となっております。
そうした中、二〇一九年に施行された特定技能制度に加え、今般、育成就労制度において人材確保の目的を正面から認めたことは、日本がこうした国際労働市場に本格的に参加する意思を明確にした点、大きな意義があります。
例えば、こうした動きを受け、インドネシア、フィリピン、ネパール及びインド政府が日本への送り出しを積極に進めています。こうしたことは、国際的な人材獲得競争が激化する中、日本が選ばれる国になる上で極めて重要なことです。
加えて、人材育成を目的に掲げたことも重要です。その理由は、現在、技能形成を通じた送り出し国への技能移転が世界的に大きく注目されているためです。
例えば、二〇一八年に国連総会で採択された安全で秩序ある正規移民に関するグローバルコンパクトでは、国際移住における能力開発及び技能、資格、適性の相互認証の推進の重要性を掲げています。また、OECDや世界銀行も、技能移転を通じた国際貢献の重要性を指摘しています。
少子高齢化が進む先進各国では、広範な技能レベルで外国人労働者の受入れが必要になっています。とりわけ、技能実習や特定技能がカバーするミドルスキル層への需要が強まっています。
もちろん、資格や経験を有するいわば即戦力となる労働者を受け入れる制度はこれまでもありました。しかし、それだけでは十分な供給が見込めず、働きながら学ぶエントリーレベルの労働者を受け入れること、つまり、就労だけではなく技能形成をセットにした受入れが、国際的に見ても有望な選択肢となりつつあります。
さらに、技能形成と就労を同時に追求することは、送り出し国や外国人一人一人から見ても重要です。
これまで国際労働移動で見られる人権侵害の多くは、労働者の技能レベルの低さに起因することが明らかにされています。そのため、外国人労働者の権利保護を推進するには、国際条約や法制度などの整備に加え、いかに高い技能を身につけることができるかが最大のポイントとされています。
例えば、技能実習制度で実習生が負担する手数料の高さは、労働者の技能水準が低い中、他の多数の応募者との競争に勝つため、現地の送り出し機関などが日本の雇用側に過剰な接待や営業あるいはキックバックを行うことが原因とされています。なぜなら、そういった競争に勝つためのコストが、一番立場の弱い実習生の手数料に転嫁されてしまうためです。仮に高い技能があれば、雇用者としても、労働者のパフォーマンスとは無関係な接待やキックバックなどに惑わされず、純粋に能力の高い人を採用するようになります。結果として、仲介手数料も安くなることが考えられます。
このことは、技能レベルの高い技術・人文知識・国際業務の在留資格で働く外国人については、このように技能実習生を雇う同じ会社も、そのために自分たちが手数料を払い、労働者から手数料を取っていない、外国人本人からは一切費用を取っていないといったような事例からも確認することが可能です。
逆に、幾らルールで縛ったところで、多少高い手数料を払ってでも海外に働きに行きたい、日本に働きに来たいという人たちが多数いる限り、幾らでも抜け穴を見つけてしまいます。これでは、いつまでたっても、高い借金を抱え、劣悪な職場に縛りつけられてしまう人たちをなくすことはできません。
さらに、技能形成は、外国人一人一人の希望とも一致するものです。よく、実習生はお金を稼ぎに来ているのであり、学ぼうなどという人はいないと言われますが、これはいずれもエピソードベースの印象にすぎません。
例えば、出入国在留管理庁が令和二年度から実施する在留外国人に関する基礎調査では、実習生の来日理由のうち、スキルの獲得、将来のキャリアのためと答えた者が三五・六%、お金を稼ぐ、仕送り、送金のためが五五・三%となっているなど、学ぶことと働くことは矛盾したものではありません。
また、私自身が二〇一七年度より継続的に実施している日本語学校で学ぶ留学生に対する大規模な全国調査においても、ベトナム人留学生の七%、インドネシア人留学生の四・九%が、留学前に技能実習生として日本で働いていたと答えています。
さらに、私が代表者として実施したアジアの送り出し国を対象とした調査によれば、技能実習修了者の技能は国際的にも高く評価されており、日本で経験を積んだ後、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパに行くことが多いといったような結果も得られています。
つまり、技能実習生は、お金を稼ぐためだけではなく、技能形成を通じて、留学や進学も含めたその後のキャリアアップを考えている人たちであると言えます。
以上のことから、技能形成の観点は、日本側から見ても、また外国人一人一人から見ても重要な要素であり、今般の制度改正において技能形成の観点が盛り込まれたことは極めて重要なことと言えます。
二つ目に、現行の監理団体に代わる監理支援機関や海外の送り出し機関など、移住仲介機能の役割を正面から認めた点について述べます。
この点については、監理団体などの移住仲介機能こそが中間搾取などの問題の温床であり、なくすべきではないかという声があるのも事実です。しかし、それは、国際労働移動の分野では非現実的であることが明らかにされています。もちろん、仲介機能を廃して、労働者個人と雇用企業を直接結びつけようとする試みは過去にも数多くなされてきましたが、ほぼ成功していません。
一例を挙げたいと思います。二〇一九年に導入した特定技能制度では、海外の求職者が日本の求人側と移住仲介機能を介さず直接契約できる仕組みを取り入れました。日本・インドネシア間では、インドネシア政府が管理する労働市場情報システム、IPKOLを導入し、特定技能分野での求人、求職のマッチングを試みています。しかし、うまく機能しておらず、駐日インドネシア大使館によれば、特定技能の施行から四年以上たった二〇二三年十月下旬時点で、利用実績は一件もないとのことです。
このことは、国際労働移動において移住仲介機能を廃することがいかに難しいかを示していると言えます。
仮に移住仲介機能を形式的に廃止した場合でも、実質的にこういったサービスへのニーズは残り続けることから、非合法なものも含め、様々なブローカーがばっこすることにつながり、外国人労働者の置かれた状況はかえって悪化する可能性が高いと言えます。既に、特定技能制度において、直接契約といいつつ、裏で非合法なブローカーが暗躍し、現場で深刻な人権侵害を生んでいるといったような報告もあります。
また、移住仲介機能を政府部門で担うべきという意見も少なくありません。
例えば韓国の雇用許可制は、国際的な労働あっせんのプロセスを全て政府間、つまりGツーGで行っている点が高く評価されているという意見もあります。しかしながら、その実態を見ると、失踪率は日本の約三倍から八倍とはるかに高く、また、外国人が実質的に負担する手数料も、韓国政府の調査によれば四十万円近くになる場合もあることが明らかになっています。また、公的部門が職業あっせんを担っていることから、採用までの待ち時間が長く、そもそも希望者の半数程度が採用に至らないなど、必ずしもうまくいっていないといったことが指摘されています。
つまり、移住仲介機能をなくすことや、あるいはそれを全て公的部門が担うことは、国際労働移動の実態を踏まえるならば、非現実的と言えます。
そうした中、厳格に管理しつつ、民間の移住仲介機能を活用することを目指した本改正案は、運用面での改善は常に求められるとしても、国際労働移動のスタンダードに沿ったものと言えると思われます。
最後に、三の、転籍を通じた人権保護について要点を整理しておきたいと思います。
人権保護については、本人の意向による転籍を認めるべきだという論点のみが注目されがちですが、転籍を実際の人権保護につなげるための仕組みは、以下のように多層的であるということを理解する必要があります。資料の三ページを御覧ください。
第一層は、現行制度が認めているやむを得ない事情がある場合の転籍です。現在、技能実習生の失踪は年間約九千件ですが、これは実習生全体の約三%に当たります。同値は、出入国在留管理庁の調査で、賃金が来日前に期待したより少ないとした実習生のうち、契約よりも少ない、来日前と契約が異なるといった何らかのトラブルを予想させる理由を挙げた者四・八%とほぼ同程度です。また、技能実習制度の下では、ハラスメントや暴行などの人権侵害が起こっていることも数々の訴訟によって明らかにされてきました。もし失踪の多くがこういった問題のある事業所で起きているとすれば、最初に取り組むべきなのはこうした人たちの救済です。
第二層は、必ずしも人権侵害と言えないまでも、経営不振など、受入れ企業側の都合による実習の中止によるものです。入管庁の資料によれば、こうした実習生たちのうち約八〇%は次の受入れ機関が見つかっています。
第三層が、現行制度では認められていない本人の意向による転籍です。今回の改正案では、受入先の企業で一、二年以上働いていること、一定の技能水準や日本語能力があること、転職先が一定の要件を満たすことなどを条件としています。また、元の受入れ企業が負担した初期費用などを、転籍後の企業が一定程度負担するといったことも想定されています。
適切な転籍を通じた人権保護を考える際、これら三つの層が有効に機能することが必要です。今回、第二層までに加え新たに第三層が加わったことで、外国人の人権保護をより確実なものとすることが期待されます。
最後に、今後の課題について述べます。最初のページを御覧ください。最初のページの一番下です。
今後の課題は、技能実習制度で蓄積してきた技能形成の機能をどのようにしてより高めるかという点です。特に、特定技能一号だけではなく、家族帯同や永住資格の申請にもつながる特定技能二号への合格にどうつなげていくか、これが最大のポイントになるでしょう。
また、今後、政府は、育成就労外国人が修得した技能が帰国後に生かされ、同国からの継続的な送り出しにもつながるよう、育成される技能の見える化を推進することが必要です。先ほど述べた国連のグローバルコンパクトに見られるように、資格の国際的な相互認証などの取組を国が積極的に進めていくことが肝要です。育成就労制度がそうした新たな取組の国際的なベストプラクティスとなることが期待されていると言えます。
以上で私の陳述を終えます。御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は、国立社会保障・人口問題研究所で国際関係部長を務めております是川夕と申します。
本日は、参考人として意見を陳述する機会をいただき、感謝申し上げます。
私は、移民研究を専門にしています。グローバルな人の移動や日本における移民、外国人の受入れ状況などについて研究を行ってまいりました。また、経済協力開発機構、OECD移民政策専門家会合のメンバーを務めるほか、今般の制度改正に当たっては、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議のメンバーも務めました。本日は、こうした経験に基づき意見を申し述べたいと思います。
今般の制度改正の方向性として、三つのポイントを挙げたいと思います。
資料の二ページ目、表紙を一枚おめくりいただいたところを御覧ください。
一つ目は、人材確保と並び人材育成を目的とし、外国人がキャリアアップを図る仕組みをつくるとした点です。アジアは出稼ぎ、つまり国際労働市場が急速に発展を遂げている地域です。日本はその中で最大の移民受入れ国となっております。年間約五百九十万人の移民がアジアから外国に働きに出ています。日本はそのうち約四十八万人を受け入れており、これは韓国や米国を抑えて第一位となっております。
そうした中、二〇一九年に施行された特定技能制度に加え、今般、育成就労制度において人材確保の目的を正面から認めたことは、日本がこうした国際労働市場に本格的に参加する意思を明確にした点、大きな意義があります。
例えば、こうした動きを受け、インドネシア、フィリピン、ネパール及びインド政府が日本への送り出しを積極に進めています。こうしたことは、国際的な人材獲得競争が激化する中、日本が選ばれる国になる上で極めて重要なことです。
加えて、人材育成を目的に掲げたことも重要です。その理由は、現在、技能形成を通じた送り出し国への技能移転が世界的に大きく注目されているためです。
例えば、二〇一八年に国連総会で採択された安全で秩序ある正規移民に関するグローバルコンパクトでは、国際移住における能力開発及び技能、資格、適性の相互認証の推進の重要性を掲げています。また、OECDや世界銀行も、技能移転を通じた国際貢献の重要性を指摘しています。
少子高齢化が進む先進各国では、広範な技能レベルで外国人労働者の受入れが必要になっています。とりわけ、技能実習や特定技能がカバーするミドルスキル層への需要が強まっています。
もちろん、資格や経験を有するいわば即戦力となる労働者を受け入れる制度はこれまでもありました。しかし、それだけでは十分な供給が見込めず、働きながら学ぶエントリーレベルの労働者を受け入れること、つまり、就労だけではなく技能形成をセットにした受入れが、国際的に見ても有望な選択肢となりつつあります。
さらに、技能形成と就労を同時に追求することは、送り出し国や外国人一人一人から見ても重要です。
これまで国際労働移動で見られる人権侵害の多くは、労働者の技能レベルの低さに起因することが明らかにされています。そのため、外国人労働者の権利保護を推進するには、国際条約や法制度などの整備に加え、いかに高い技能を身につけることができるかが最大のポイントとされています。
例えば、技能実習制度で実習生が負担する手数料の高さは、労働者の技能水準が低い中、他の多数の応募者との競争に勝つため、現地の送り出し機関などが日本の雇用側に過剰な接待や営業あるいはキックバックを行うことが原因とされています。なぜなら、そういった競争に勝つためのコストが、一番立場の弱い実習生の手数料に転嫁されてしまうためです。仮に高い技能があれば、雇用者としても、労働者のパフォーマンスとは無関係な接待やキックバックなどに惑わされず、純粋に能力の高い人を採用するようになります。結果として、仲介手数料も安くなることが考えられます。
このことは、技能レベルの高い技術・人文知識・国際業務の在留資格で働く外国人については、このように技能実習生を雇う同じ会社も、そのために自分たちが手数料を払い、労働者から手数料を取っていない、外国人本人からは一切費用を取っていないといったような事例からも確認することが可能です。
逆に、幾らルールで縛ったところで、多少高い手数料を払ってでも海外に働きに行きたい、日本に働きに来たいという人たちが多数いる限り、幾らでも抜け穴を見つけてしまいます。これでは、いつまでたっても、高い借金を抱え、劣悪な職場に縛りつけられてしまう人たちをなくすことはできません。
さらに、技能形成は、外国人一人一人の希望とも一致するものです。よく、実習生はお金を稼ぎに来ているのであり、学ぼうなどという人はいないと言われますが、これはいずれもエピソードベースの印象にすぎません。
例えば、出入国在留管理庁が令和二年度から実施する在留外国人に関する基礎調査では、実習生の来日理由のうち、スキルの獲得、将来のキャリアのためと答えた者が三五・六%、お金を稼ぐ、仕送り、送金のためが五五・三%となっているなど、学ぶことと働くことは矛盾したものではありません。
また、私自身が二〇一七年度より継続的に実施している日本語学校で学ぶ留学生に対する大規模な全国調査においても、ベトナム人留学生の七%、インドネシア人留学生の四・九%が、留学前に技能実習生として日本で働いていたと答えています。
さらに、私が代表者として実施したアジアの送り出し国を対象とした調査によれば、技能実習修了者の技能は国際的にも高く評価されており、日本で経験を積んだ後、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパに行くことが多いといったような結果も得られています。
つまり、技能実習生は、お金を稼ぐためだけではなく、技能形成を通じて、留学や進学も含めたその後のキャリアアップを考えている人たちであると言えます。
以上のことから、技能形成の観点は、日本側から見ても、また外国人一人一人から見ても重要な要素であり、今般の制度改正において技能形成の観点が盛り込まれたことは極めて重要なことと言えます。
二つ目に、現行の監理団体に代わる監理支援機関や海外の送り出し機関など、移住仲介機能の役割を正面から認めた点について述べます。
この点については、監理団体などの移住仲介機能こそが中間搾取などの問題の温床であり、なくすべきではないかという声があるのも事実です。しかし、それは、国際労働移動の分野では非現実的であることが明らかにされています。もちろん、仲介機能を廃して、労働者個人と雇用企業を直接結びつけようとする試みは過去にも数多くなされてきましたが、ほぼ成功していません。
一例を挙げたいと思います。二〇一九年に導入した特定技能制度では、海外の求職者が日本の求人側と移住仲介機能を介さず直接契約できる仕組みを取り入れました。日本・インドネシア間では、インドネシア政府が管理する労働市場情報システム、IPKOLを導入し、特定技能分野での求人、求職のマッチングを試みています。しかし、うまく機能しておらず、駐日インドネシア大使館によれば、特定技能の施行から四年以上たった二〇二三年十月下旬時点で、利用実績は一件もないとのことです。
このことは、国際労働移動において移住仲介機能を廃することがいかに難しいかを示していると言えます。
仮に移住仲介機能を形式的に廃止した場合でも、実質的にこういったサービスへのニーズは残り続けることから、非合法なものも含め、様々なブローカーがばっこすることにつながり、外国人労働者の置かれた状況はかえって悪化する可能性が高いと言えます。既に、特定技能制度において、直接契約といいつつ、裏で非合法なブローカーが暗躍し、現場で深刻な人権侵害を生んでいるといったような報告もあります。
また、移住仲介機能を政府部門で担うべきという意見も少なくありません。
例えば韓国の雇用許可制は、国際的な労働あっせんのプロセスを全て政府間、つまりGツーGで行っている点が高く評価されているという意見もあります。しかしながら、その実態を見ると、失踪率は日本の約三倍から八倍とはるかに高く、また、外国人が実質的に負担する手数料も、韓国政府の調査によれば四十万円近くになる場合もあることが明らかになっています。また、公的部門が職業あっせんを担っていることから、採用までの待ち時間が長く、そもそも希望者の半数程度が採用に至らないなど、必ずしもうまくいっていないといったことが指摘されています。
つまり、移住仲介機能をなくすことや、あるいはそれを全て公的部門が担うことは、国際労働移動の実態を踏まえるならば、非現実的と言えます。
そうした中、厳格に管理しつつ、民間の移住仲介機能を活用することを目指した本改正案は、運用面での改善は常に求められるとしても、国際労働移動のスタンダードに沿ったものと言えると思われます。
最後に、三の、転籍を通じた人権保護について要点を整理しておきたいと思います。
人権保護については、本人の意向による転籍を認めるべきだという論点のみが注目されがちですが、転籍を実際の人権保護につなげるための仕組みは、以下のように多層的であるということを理解する必要があります。資料の三ページを御覧ください。
第一層は、現行制度が認めているやむを得ない事情がある場合の転籍です。現在、技能実習生の失踪は年間約九千件ですが、これは実習生全体の約三%に当たります。同値は、出入国在留管理庁の調査で、賃金が来日前に期待したより少ないとした実習生のうち、契約よりも少ない、来日前と契約が異なるといった何らかのトラブルを予想させる理由を挙げた者四・八%とほぼ同程度です。また、技能実習制度の下では、ハラスメントや暴行などの人権侵害が起こっていることも数々の訴訟によって明らかにされてきました。もし失踪の多くがこういった問題のある事業所で起きているとすれば、最初に取り組むべきなのはこうした人たちの救済です。
第二層は、必ずしも人権侵害と言えないまでも、経営不振など、受入れ企業側の都合による実習の中止によるものです。入管庁の資料によれば、こうした実習生たちのうち約八〇%は次の受入れ機関が見つかっています。
第三層が、現行制度では認められていない本人の意向による転籍です。今回の改正案では、受入先の企業で一、二年以上働いていること、一定の技能水準や日本語能力があること、転職先が一定の要件を満たすことなどを条件としています。また、元の受入れ企業が負担した初期費用などを、転籍後の企業が一定程度負担するといったことも想定されています。
適切な転籍を通じた人権保護を考える際、これら三つの層が有効に機能することが必要です。今回、第二層までに加え新たに第三層が加わったことで、外国人の人権保護をより確実なものとすることが期待されます。
最後に、今後の課題について述べます。最初のページを御覧ください。最初のページの一番下です。
今後の課題は、技能実習制度で蓄積してきた技能形成の機能をどのようにしてより高めるかという点です。特に、特定技能一号だけではなく、家族帯同や永住資格の申請にもつながる特定技能二号への合格にどうつなげていくか、これが最大のポイントになるでしょう。
また、今後、政府は、育成就労外国人が修得した技能が帰国後に生かされ、同国からの継続的な送り出しにもつながるよう、育成される技能の見える化を推進することが必要です。先ほど述べた国連のグローバルコンパクトに見られるように、資格の国際的な相互認証などの取組を国が積極的に進めていくことが肝要です。育成就労制度がそうした新たな取組の国際的なベストプラクティスとなることが期待されていると言えます。
以上で私の陳述を終えます。御清聴ありがとうございました。拍手
武
上
上林千恵子#4
○上林参考人 上林でございます。今は大学を定年退職して何もしておりませんで、肩書は名誉教授になっております。
二〇一六年、平成二十八年に現在の改正の基になる技能実習法がこの委員会で討議されましたとき、やはり参考人として意見を述べる機会がありました。また八年後の今日、ここで、同じ技能実習法の改正について意見を述べることができて、大変幸運に、しかし緊張してここに立っております。どうかよろしくお願いいたします。
二十八年、二〇一六年に技能実習法ができまして、約八年たっております。法ができてから五年後に見直しをするということが法成立時の要件でございましたから、本来ならばもう少し早く改正されるべきでしたが、コロナで事情が変わりましたので、現在この時点での改正になったものと思われます。
前回の法律について、以下の丸ポチをつけた部分が私の感想でございます。
元々、この制度は、平成三十年にできましたが、その根拠は法務大臣の告示でありまして、関係者はこの制度に関して意見とか査察する権限を持っておりませんでした。例えば、この当時は殺人事件などがあって大ごとだったんですが、じゃ、それを、技能実習制度を扱っているJITCOさんは何かできますかというと、私たちは何も権限がないので警察と入管が入るまで何もできませんということがあって、実際に行われている技能実習制度とそれを監督する機関の権限というのが乖離されていました。
それが初めて二〇一六年の技能実習法で法制化されましたので、制度としては非常に整ったものになったと思っています。
内容のポイントは、監理団体が許可制になり、技能実習計画が認可制になったということです。その結果、いろいろな受入れ基準、手続が明確化されまして、透明化されましたから、技能実習制度について知らない企業さんも、じゃ、そういう政府のバックアップがある制度なら使えるんじゃないかということで、利用が広まったと思います。
一方、手続が非常に煩雑になりまして、技能実習生を受け入れる企業から見ますと、申し込んだ後いつ認可が下りるか分からないというような事態が出ております。
今、受入れ技能実習生をここに書き抜きましたが、平成二十八年の法律ができた当時は二十二・九万人でした。現在、六月の時点では三十五・八万人と、非常に受入れ人数の伸びが顕著でございます。この伸びに応じていろいろなまた問題も起きているということを後で申し上げます。
今回の法改正について、一番問題になったことが転籍の要件です。
私は、基本的には、技能実習制度で三年間同一企業に勤めることを強制することは人権侵害になるという意見に賛成しております。じゃ、それを一年にするのか二年にするのか、どういう条件ならばというところがなかなか業界や企業によって違っていることなので、それは今後に委ねられているということですから、これからが大変だろうなというのが私の実感でございます。
その中の、今回の法律で、本人意向による転籍の要件となる同一の受入れ機関での就労期間を当分の間、一から二年の範囲とする、これは一年じゃなければいけないということはありませんので、緩めでもいいと思います。
そのときに、特にメディアの方などは御存じない方が多いんですけれども、受け入れる雇用主の方で、本人及び面接のために渡航する費用負担をしている、それから、職場に慣れるまで、送り出し機関に毎月安くて八千円、高くて二万、昔は三万円でしたが、送り出し管理費を一人につき一か月払っているわけですね。そういう費用があるときに、途中で転籍したら、じゃ、その費用分担は受け入れる先と最初に受け入れた先ではどういうふうになるのかという最もお金に関わる問題については、どうしても法律で決めることができないし、決める必要もないと思います。
そこで、理想的には、本人が三年間自分の意思で同じ場所で働けるというのが理想でございますが、転籍をしたいと言ったときに、それを阻むことはしない方がいいし、してはいけないというのは、今回の法律のとおりだと思います。
じゃ、これが現実に転籍可能な制度になっているかというとなかなか難しいだろう、予想以上に転籍をする人が少ないのではないかというのがその次のところです。
その理由は、二つ挙げました。
一つは、日本人を雇用する場合でも、新たに人を採用するときには、どういう理由で前の職を辞めたのかということを問題にします。これは外国人、日本人関係なく、トラブルがあったのか、いやいや雇主が悪かったのか、家庭の事情かとかいろいろありますが、今まで、技能実習生の転籍は、リーマン・ショック、東日本大震災、コロナといった、特例措置を適用した場合が多いのですが、ここの部分について、自分の意思で、嫌だからというので転籍するのはなかなか難しいだろうということです。
事例は、シンガポールの移民の支援団体のNPOにヒアリングに行ったことがあります。これは、やはり人権侵害があったときに、シェルターの役割で受け入れていたんですが、じゃ、受け入れた後どうしますかと聞くと、失踪したという方に次の雇主が見つからないとおっしゃるんですね。じゃ、どうしているんですかと聞いたら、自前で職業訓練校をつくって、自前で雇用機会をつくっていますと。そこまでしないとなかなか、現実に、人権のアビューズがあった場合、次の雇用機会を保障するのは難しいなというのが感じたことです。
それから、法律では、転籍する場合、新たに育成就労計画の認定を受けなければいけないというふうに法律に書いてありましたが、受け入れる側としては、その認定がいつか分からないというのは、実際には、新しく人を雇ったとしても生産計画が立てられないということになってしまって、雇う方の側にとっても、転籍を希望する技能実習生を新しく雇うのは、一から始めなきゃいけないし、今までの雇用期間の間の残りの期間しか雇えないとなると、少し受入れが滞るのではないかと思います。
二ページに参りますが、元々、技能実習生のような海外から来た労働者に対して、アメリカの事例を見ますと、雇用先を特定しない就労ビザを持った人は、フリーライダーによる雇用主が、自分のところの方がいい条件だから来ないかということを誘っていて、非常にここの部分が厄介になるということです。
それから、一方、アメリカのH―1Bのビザの、技術ビザの場合には、これははっきり就労目的で来ましたから、解雇されたら、二か月間の求職期間は猶予するけれども、見つからない限り、もう帰ってくださいというふうになっていて、非常に就労に関しての基準が明確に適用されている。
技能実習生の場合には、そもそもが国際貢献というふうに始まりましたから、労働力か否かというところの基準が非常に曖昧であるために、もう無職になったら帰れということも言えない。じゃ、訓練をしましょうというときに、訓練の内容はどうなのかということも余り詳しく見ることがなかなか難しくなっています。これが一点です。
それからもう一つ、技能実習生の地方圏での役割を申し上げます。
これは都会にいるとなかなか感じられないかもしれませんが、今、地方で若年人口が不足しているところでは、非常に労働力不足で、製造業、農業、建設業、介護などに技能実習生が来ていて、労働移動が事実上三年間禁止されていたので、そこに技能実習生がいてありがたい労働力になっていた。じゃ、これが、三年間が一年になったら困るかというと、これはまたちょっと別の問題、枠組みで考えなきゃいけないんですが、ここでのポイントで私が申し上げたいことは、技能実習生の地方圏での役割が非常に大きいということで、表一を掲げましたのは、特定技能に比べて、技能実習生の地方圏での割合が高いということです。
それから、実際に、岡山県美作市あるいは岐阜県飛騨市のように、若年人口が顕著に減っているところでは、市が自らの施策として技能実習生を雇用することを支援しているということで、例えば、最近の研究では、カナダのように大きな国でも、移民の方はモントリオール、トロント、バンクーバーといった三大都市圏に集中するので、何とか地方圏に移民を分散させたいという政策を取っております。
以上ですので、私は、短期的に、技能実習生の人権を守るという意味では、労働移動を禁止するというか、定着を促す期間、強制する期間を一年あるいは二年に短くすることは非常に重要だと思っております。
その上で、技能実習生というのが地方圏においては非常に重要な役割を担っているので、技能実習生を含む外国人労働者受入れの地方配分に対して、別の枠組みで考えていかなければいけない。
それから、もう一つは、技能実習生と近い技能レベルにまで就労許可が下りるようになった技人国、技術・人文知識・国際業務の内容です。ここは、この資格を得れば、基本的には雇用先がある限り更新可能なビザです。そこと技能実習生と、そしてその中間に位置づけられる特定技能者、これがはっきりと技能レベルで三層に分かれているならば、非常に移民政策としてはやりやすいと思いますが、実際には、職場も、技能レベルも、働き方も少しずつ混じり合っていて、同じ仕事をしながら違う在留資格があったり条件が適用されている。雇用主もまたそれを自覚して、混合状態を利用するというようなことがありまして、いずれこの三つをもう一度考え直す施策を長期的にはお考えいただきたいということです。
ですから、在留資格間の技能レベル、条件の比較、それから地方に外国人労働者を定住化するための施策というのを、今回の法律ができました後にもう一度、先生方にお考えいただきたいと思います。
以上です。拍手
この発言だけを見る →二〇一六年、平成二十八年に現在の改正の基になる技能実習法がこの委員会で討議されましたとき、やはり参考人として意見を述べる機会がありました。また八年後の今日、ここで、同じ技能実習法の改正について意見を述べることができて、大変幸運に、しかし緊張してここに立っております。どうかよろしくお願いいたします。
二十八年、二〇一六年に技能実習法ができまして、約八年たっております。法ができてから五年後に見直しをするということが法成立時の要件でございましたから、本来ならばもう少し早く改正されるべきでしたが、コロナで事情が変わりましたので、現在この時点での改正になったものと思われます。
前回の法律について、以下の丸ポチをつけた部分が私の感想でございます。
元々、この制度は、平成三十年にできましたが、その根拠は法務大臣の告示でありまして、関係者はこの制度に関して意見とか査察する権限を持っておりませんでした。例えば、この当時は殺人事件などがあって大ごとだったんですが、じゃ、それを、技能実習制度を扱っているJITCOさんは何かできますかというと、私たちは何も権限がないので警察と入管が入るまで何もできませんということがあって、実際に行われている技能実習制度とそれを監督する機関の権限というのが乖離されていました。
それが初めて二〇一六年の技能実習法で法制化されましたので、制度としては非常に整ったものになったと思っています。
内容のポイントは、監理団体が許可制になり、技能実習計画が認可制になったということです。その結果、いろいろな受入れ基準、手続が明確化されまして、透明化されましたから、技能実習制度について知らない企業さんも、じゃ、そういう政府のバックアップがある制度なら使えるんじゃないかということで、利用が広まったと思います。
一方、手続が非常に煩雑になりまして、技能実習生を受け入れる企業から見ますと、申し込んだ後いつ認可が下りるか分からないというような事態が出ております。
今、受入れ技能実習生をここに書き抜きましたが、平成二十八年の法律ができた当時は二十二・九万人でした。現在、六月の時点では三十五・八万人と、非常に受入れ人数の伸びが顕著でございます。この伸びに応じていろいろなまた問題も起きているということを後で申し上げます。
今回の法改正について、一番問題になったことが転籍の要件です。
私は、基本的には、技能実習制度で三年間同一企業に勤めることを強制することは人権侵害になるという意見に賛成しております。じゃ、それを一年にするのか二年にするのか、どういう条件ならばというところがなかなか業界や企業によって違っていることなので、それは今後に委ねられているということですから、これからが大変だろうなというのが私の実感でございます。
その中の、今回の法律で、本人意向による転籍の要件となる同一の受入れ機関での就労期間を当分の間、一から二年の範囲とする、これは一年じゃなければいけないということはありませんので、緩めでもいいと思います。
そのときに、特にメディアの方などは御存じない方が多いんですけれども、受け入れる雇用主の方で、本人及び面接のために渡航する費用負担をしている、それから、職場に慣れるまで、送り出し機関に毎月安くて八千円、高くて二万、昔は三万円でしたが、送り出し管理費を一人につき一か月払っているわけですね。そういう費用があるときに、途中で転籍したら、じゃ、その費用分担は受け入れる先と最初に受け入れた先ではどういうふうになるのかという最もお金に関わる問題については、どうしても法律で決めることができないし、決める必要もないと思います。
そこで、理想的には、本人が三年間自分の意思で同じ場所で働けるというのが理想でございますが、転籍をしたいと言ったときに、それを阻むことはしない方がいいし、してはいけないというのは、今回の法律のとおりだと思います。
じゃ、これが現実に転籍可能な制度になっているかというとなかなか難しいだろう、予想以上に転籍をする人が少ないのではないかというのがその次のところです。
その理由は、二つ挙げました。
一つは、日本人を雇用する場合でも、新たに人を採用するときには、どういう理由で前の職を辞めたのかということを問題にします。これは外国人、日本人関係なく、トラブルがあったのか、いやいや雇主が悪かったのか、家庭の事情かとかいろいろありますが、今まで、技能実習生の転籍は、リーマン・ショック、東日本大震災、コロナといった、特例措置を適用した場合が多いのですが、ここの部分について、自分の意思で、嫌だからというので転籍するのはなかなか難しいだろうということです。
事例は、シンガポールの移民の支援団体のNPOにヒアリングに行ったことがあります。これは、やはり人権侵害があったときに、シェルターの役割で受け入れていたんですが、じゃ、受け入れた後どうしますかと聞くと、失踪したという方に次の雇主が見つからないとおっしゃるんですね。じゃ、どうしているんですかと聞いたら、自前で職業訓練校をつくって、自前で雇用機会をつくっていますと。そこまでしないとなかなか、現実に、人権のアビューズがあった場合、次の雇用機会を保障するのは難しいなというのが感じたことです。
それから、法律では、転籍する場合、新たに育成就労計画の認定を受けなければいけないというふうに法律に書いてありましたが、受け入れる側としては、その認定がいつか分からないというのは、実際には、新しく人を雇ったとしても生産計画が立てられないということになってしまって、雇う方の側にとっても、転籍を希望する技能実習生を新しく雇うのは、一から始めなきゃいけないし、今までの雇用期間の間の残りの期間しか雇えないとなると、少し受入れが滞るのではないかと思います。
二ページに参りますが、元々、技能実習生のような海外から来た労働者に対して、アメリカの事例を見ますと、雇用先を特定しない就労ビザを持った人は、フリーライダーによる雇用主が、自分のところの方がいい条件だから来ないかということを誘っていて、非常にここの部分が厄介になるということです。
それから、一方、アメリカのH―1Bのビザの、技術ビザの場合には、これははっきり就労目的で来ましたから、解雇されたら、二か月間の求職期間は猶予するけれども、見つからない限り、もう帰ってくださいというふうになっていて、非常に就労に関しての基準が明確に適用されている。
技能実習生の場合には、そもそもが国際貢献というふうに始まりましたから、労働力か否かというところの基準が非常に曖昧であるために、もう無職になったら帰れということも言えない。じゃ、訓練をしましょうというときに、訓練の内容はどうなのかということも余り詳しく見ることがなかなか難しくなっています。これが一点です。
それからもう一つ、技能実習生の地方圏での役割を申し上げます。
これは都会にいるとなかなか感じられないかもしれませんが、今、地方で若年人口が不足しているところでは、非常に労働力不足で、製造業、農業、建設業、介護などに技能実習生が来ていて、労働移動が事実上三年間禁止されていたので、そこに技能実習生がいてありがたい労働力になっていた。じゃ、これが、三年間が一年になったら困るかというと、これはまたちょっと別の問題、枠組みで考えなきゃいけないんですが、ここでのポイントで私が申し上げたいことは、技能実習生の地方圏での役割が非常に大きいということで、表一を掲げましたのは、特定技能に比べて、技能実習生の地方圏での割合が高いということです。
それから、実際に、岡山県美作市あるいは岐阜県飛騨市のように、若年人口が顕著に減っているところでは、市が自らの施策として技能実習生を雇用することを支援しているということで、例えば、最近の研究では、カナダのように大きな国でも、移民の方はモントリオール、トロント、バンクーバーといった三大都市圏に集中するので、何とか地方圏に移民を分散させたいという政策を取っております。
以上ですので、私は、短期的に、技能実習生の人権を守るという意味では、労働移動を禁止するというか、定着を促す期間、強制する期間を一年あるいは二年に短くすることは非常に重要だと思っております。
その上で、技能実習生というのが地方圏においては非常に重要な役割を担っているので、技能実習生を含む外国人労働者受入れの地方配分に対して、別の枠組みで考えていかなければいけない。
それから、もう一つは、技能実習生と近い技能レベルにまで就労許可が下りるようになった技人国、技術・人文知識・国際業務の内容です。ここは、この資格を得れば、基本的には雇用先がある限り更新可能なビザです。そこと技能実習生と、そしてその中間に位置づけられる特定技能者、これがはっきりと技能レベルで三層に分かれているならば、非常に移民政策としてはやりやすいと思いますが、実際には、職場も、技能レベルも、働き方も少しずつ混じり合っていて、同じ仕事をしながら違う在留資格があったり条件が適用されている。雇用主もまたそれを自覚して、混合状態を利用するというようなことがありまして、いずれこの三つをもう一度考え直す施策を長期的にはお考えいただきたいということです。
ですから、在留資格間の技能レベル、条件の比較、それから地方に外国人労働者を定住化するための施策というのを、今回の法律ができました後にもう一度、先生方にお考えいただきたいと思います。
以上です。拍手
武
岡
岡部みどり#6
○岡部参考人 岡部でございます。
本日は、重要な法案の審議に際し、貴重な機会を与えていただき、本当にありがとうございます。
私は、上智大学の法学部で教鞭を執っておりまして、そちらでは国際政治や外交の方を教えております。研究面においては、まさに、国際政治経済や外交との関わりにおいて、いわゆる非伝統的安全保障問題として、人の越境移動問題を研究しております。これまでは、EU、欧州連合及びその加盟国や米国などの先進事例を対象としてまいりました。この経験に立って、本日は、今般の法案を評価し、また、その運用や関連政策形成の発展に向けて、思うところを申し述べたく存じます。
なお、これまで、私は、第七次出入国管理政策懇談会の委員などを務めた経験はございますが、今回は、主に学術的見地からの所感となります旨、御海容いただければと存じます。
まず、今般の法案は、国内外で人権侵害の可能性が指摘されていた技能実習制度を廃止し、転籍制限の緩和を含む新たな制度枠組みを設けた点、また、育成就労制度と特定技能制度の整合性に配慮しつつ、人材をめぐる国際競争の激化を踏まえたより戦略的な人材確保を目的に据えているという点において、日本の国際社会における信用の向上並びに日本経済の安定的発展につながるものという意味で高く評価します。
他方で、これは同時に、二〇一八年の法改正の本格的な執行、すなわち、中長期にわたり日本に滞在する外国人材をより大規模に、そして広い職種で受け入れるという抜本的な政策であるとも見受けます。この方向性自体はおおむね正しいとは思われますが、今回の法改正は終着点ではなく、むしろ出発点とみなすべきです。
すなわち、いわゆる狭い意味での出入国管理制度にとどまらず、雇用、労働、経済、財政、治安、教育そして外交政策など、関連するもろもろの政策を包括する組織体制の整備、またその実効的な執行が不可欠であるということが私の見解です。
そのために、結論から申し上げますと、一、外国人材の受入れは、国際社会における人材獲得競争と密接に結びついていること、二、その国際競争に日本が勝利するには、とりわけ日本の付加価値を高め、また日本人も含む全ての国内労働者が裨益するような緻密な戦略が必要となること、そして、三、そのような戦略形成を成功させるには、特に欧米諸国の過去の成功だけでなく失敗からもしっかりと学び、その学びを国際協力の発展につなげる必要があるという三点に照らして、御議論、御検討をいただければ幸いに存じます。なお、こちらは、事前に配付いたしました資料の一ページの下のスライドに記載がございます。
まず、昨今において、外国人材をめぐる国際競争は確かに激化しております。お手元の資料二ページの上段にあります資料一を御覧いただければと存じますが、こちらにありますとおり、民間の調査では、米国を含む多くの先進諸国において深刻な人手不足が生じています。IT関連などいわゆるSTEM分野の職種が主ですが、これに限らず、例えばヨーロッパでは、グリーン、つまり環境関連の産業分野やデジタル分野への国家それからEUレベルの産業移転促進政策に伴う人手不足が懸念されています。このほか、ASEAN諸国も、ポストコロナの時期における経済回復に向けては、まずは熟練技能を中心とする人材の確保というものが急務だというような報告をしています。
そして、御案内のように、日本は既にアジア諸国にとって最も魅力的な労働先ではなくなってきているという実態もあります。例えば、日本にとっての受入れ主要国であるベトナムや中国においては、労働者の海外への移動先として日本が占める相対的な順位が低下傾向にあります。ベトナムの送り出し先としては、二〇一八年時点では日本が半数近く、正確には四八・一%を占め第一位でしたが、二〇二二年の時点では、台湾が第一位の四一・五%となり、日本は第二位の三九・三%となっています。平均月給においても、日本はもはや韓国や台湾といったライバル国と比べて、職種によっては必ずしも魅力的とは言えない状況にあります。
このような国際環境における日本の立ち位置の変化を踏まえた上で、日本が選ばれる国になるためには何が必要でしょうか。今般の有識者会議では、この問題に一定の回答を示したものと思われます。特に、国内における人手不足を喫緊に解消するための、かつ有望な外国人材を導入することを目標に設定している点はすばらしいと思います。しかし、日本経済の活性化及び国内の労働者一人一人の待遇改善という目的に照らし合わせるならば、先ほども述べたように、今回の法改正は到達点ではなく、むしろ出発点であるという認識が必要です。
従来においては、外国人の暮らしやすさ、外国人の出身国の生活習慣に配慮する形での対応が検討され、また、政策などを通じて実施されてきたものと存じます。このこと自体は否定するものでは全くありませんが、それだけでは不十分です。外国人に寄り添う政策に加えて、むしろ外国人を引きつける日本の魅力そのものを高める必要があります。
それでは、いかにして日本の魅力を高めるか。まずは賃金です。アジアを含む他国との比較において、日本は決して魅力的な労働先ではありません。さらに、職種によっては日本で働くよりも外国で働く方が利益が出るという認識さえあります。日本人の給与が増えないことには、外国人を引きつける力も生まれないということです。
この点、育成就労制度では、育成就労計画に基づいて段階的に技能や日本語能力を修得させ、専門的、技術的分野の人材育成を目指すものとしていますが、この制度をほかの取組と有機的に連動させることで、生産性の向上、ひいては日本人労働者と外国人労働者の双方の待遇改善を目指していくべきだと思います。
そして、一般的な産業育成、成長分野促進戦略との整合性も図る必要があります。国際的に競争力の高い産業分野や各種先端技術の開発に向けた投資を増やすなどといった経済戦略と外国人材獲得戦略を意識的に連結させるということに配慮がなされるべきかと存じます。
最後の点といたしましては、他国の事例から学び、国際協力の発展につなげる意義について申し述べます。
欧米諸国は現在、ポピュリスト政党等による国民と外国人の分断工作を前に、左右中道政党が大きな政治コストを強いられています。これはなぜか。一般に、移民など越境労働者、越境移動者の受入れにおいては、経済界、つまり雇用主と外国人擁護派の主張が共鳴して政治に大きな影響力を与えます。これが移民問題の政治的な特徴です。しかしながら、外国人の受入れが国内経済にいかに有効であったか、国民にいかに裨益したかという点においては、欧米諸国は、結果として十分な説明責任を果たしてきませんでした。
このような悲劇を防ぐためにも、我が国では、政治の側が、継続的、緻密かつ包括的な政策運営を通じて、内外国民のバランスを行いつつ、経済成長を図り、その成果を十分な透明性を備えて国民に知らしめる努力が必要だと考えます。とりわけ、中長期的な未来を見据えるならば、外国人と日本人を一体的に捉えた上での労働政策の在り方をも考える必要が生じましょう。この意味で、外国人政策は、まさに経済政策、労働政策として捉えるべきです。
同時に、外国人政策は、当該国家の安定、公共の秩序を守るための政策でもあるべきです。永住者資格の失効要件に関する方針は、まさにこの点で重要です。この政策は、外国人を窮地に押しやるものではなく、むしろ守るものだという認識が必要です。多くの外国人は、日本で合法的に働き、国籍によらず、日本社会の一員として積極的に関与していく存在、またそういったことが期待される存在です。さらに、今後やってくる外国人がずっと外国人のままでいるという未来の想定は、余り現実的ではないということも考える必要があります。
その中で、永住許可の制度を仮に悪用するような事例が生じた場合、国内の日本から外国人、外国にルーツを持つ人たちが総じて偏見の目で見られるといったことが発生しないように、きちんとルールを整えておく必要があります。
なお、資料二、これは二ページの下の方ですが、こちらにありますように、これは国際社会の一つの動向であるということにも御留意いただきたく存じます。米国や欧州主要各国においても、各国の文化に応じ、永住や帰化の要件、その取消しや退去の要件を独自に設けています。永住者や帰化者が移住先の公共の秩序を乱す脅威となる場合などのほか、アメリカやドイツでは、納税義務の違反を行った場合などはその地位を剥奪し得るとし、フランスでは、フランス人と婚姻したものの早期に離婚した者や、共和国の原則に従う誓約を守らない、つまりフランスの価値観を遵守しない者などについては、永住資格を取り消し得る制度としています。
そして、欧州諸国を観察しておりますと、出入国管理に厳しいルール作りを望んでいるのは、むしろ外国にルーツのある方々であるという印象を受けます。これは、欧米社会の多様性が成熟してきていることの一つの証左であろうと思われます。外国人であった人々が次第に移住先の社会に溶け込み、社会の形成に主体的に関わろうとするという一連のプロセスの中で、外国人自らが、法を遵守し、社会で尊重される存在として生きていく姿勢を打ち出しているということです。また、そうすることで、社会生活を送る上で自らの利益にもつながるといった構造変化も併せて生じているということだと考えます。
実際、人の越境移動の量的、質的な変化に伴って規制が増えているというのが、各国での、また国際社会での昨今の潮流であります。先ほどの指摘にもありましたように、国連ですとか、それから地域国際機構での人の移動に関わる犯罪撲滅に向けた国際協力はもとより、二国間ベースでも関連の取決めが増加する傾向にあります。
今般、日本政府が、協力覚書、MOCを通じて、送り出し国とともに、監理団体への監視体制を強める方針を打ち出したことはよい傾向であると思いますが、今後更に進めていかれることを期待します。
総じて、今般日本が選ばれる国を目指したことは、時代の要請に応え、また日本の国益にも合致する望ましい在り方であろうと考えます。これを成功させるためには、従来の政策の在り方とは一線を画す抜本的かつ包括的な政策方針が必要です。今後、大規模に、かつ長期にわたり外国人がやってくる、また、中長期に日本の価値や利害を共有するようになっていく未来像を視野に入れた上で、とりわけ一般国民の側に立った政策形成が肝要です。
日本ならではの魅力や付加価値を高めることこそが、日本人、外国人双方の労働者に裨益すること、そして、日本の国益にも資するものとして御検討いただきますようお願い申し上げ、私の陳述を終わります。
御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、重要な法案の審議に際し、貴重な機会を与えていただき、本当にありがとうございます。
私は、上智大学の法学部で教鞭を執っておりまして、そちらでは国際政治や外交の方を教えております。研究面においては、まさに、国際政治経済や外交との関わりにおいて、いわゆる非伝統的安全保障問題として、人の越境移動問題を研究しております。これまでは、EU、欧州連合及びその加盟国や米国などの先進事例を対象としてまいりました。この経験に立って、本日は、今般の法案を評価し、また、その運用や関連政策形成の発展に向けて、思うところを申し述べたく存じます。
なお、これまで、私は、第七次出入国管理政策懇談会の委員などを務めた経験はございますが、今回は、主に学術的見地からの所感となります旨、御海容いただければと存じます。
まず、今般の法案は、国内外で人権侵害の可能性が指摘されていた技能実習制度を廃止し、転籍制限の緩和を含む新たな制度枠組みを設けた点、また、育成就労制度と特定技能制度の整合性に配慮しつつ、人材をめぐる国際競争の激化を踏まえたより戦略的な人材確保を目的に据えているという点において、日本の国際社会における信用の向上並びに日本経済の安定的発展につながるものという意味で高く評価します。
他方で、これは同時に、二〇一八年の法改正の本格的な執行、すなわち、中長期にわたり日本に滞在する外国人材をより大規模に、そして広い職種で受け入れるという抜本的な政策であるとも見受けます。この方向性自体はおおむね正しいとは思われますが、今回の法改正は終着点ではなく、むしろ出発点とみなすべきです。
すなわち、いわゆる狭い意味での出入国管理制度にとどまらず、雇用、労働、経済、財政、治安、教育そして外交政策など、関連するもろもろの政策を包括する組織体制の整備、またその実効的な執行が不可欠であるということが私の見解です。
そのために、結論から申し上げますと、一、外国人材の受入れは、国際社会における人材獲得競争と密接に結びついていること、二、その国際競争に日本が勝利するには、とりわけ日本の付加価値を高め、また日本人も含む全ての国内労働者が裨益するような緻密な戦略が必要となること、そして、三、そのような戦略形成を成功させるには、特に欧米諸国の過去の成功だけでなく失敗からもしっかりと学び、その学びを国際協力の発展につなげる必要があるという三点に照らして、御議論、御検討をいただければ幸いに存じます。なお、こちらは、事前に配付いたしました資料の一ページの下のスライドに記載がございます。
まず、昨今において、外国人材をめぐる国際競争は確かに激化しております。お手元の資料二ページの上段にあります資料一を御覧いただければと存じますが、こちらにありますとおり、民間の調査では、米国を含む多くの先進諸国において深刻な人手不足が生じています。IT関連などいわゆるSTEM分野の職種が主ですが、これに限らず、例えばヨーロッパでは、グリーン、つまり環境関連の産業分野やデジタル分野への国家それからEUレベルの産業移転促進政策に伴う人手不足が懸念されています。このほか、ASEAN諸国も、ポストコロナの時期における経済回復に向けては、まずは熟練技能を中心とする人材の確保というものが急務だというような報告をしています。
そして、御案内のように、日本は既にアジア諸国にとって最も魅力的な労働先ではなくなってきているという実態もあります。例えば、日本にとっての受入れ主要国であるベトナムや中国においては、労働者の海外への移動先として日本が占める相対的な順位が低下傾向にあります。ベトナムの送り出し先としては、二〇一八年時点では日本が半数近く、正確には四八・一%を占め第一位でしたが、二〇二二年の時点では、台湾が第一位の四一・五%となり、日本は第二位の三九・三%となっています。平均月給においても、日本はもはや韓国や台湾といったライバル国と比べて、職種によっては必ずしも魅力的とは言えない状況にあります。
このような国際環境における日本の立ち位置の変化を踏まえた上で、日本が選ばれる国になるためには何が必要でしょうか。今般の有識者会議では、この問題に一定の回答を示したものと思われます。特に、国内における人手不足を喫緊に解消するための、かつ有望な外国人材を導入することを目標に設定している点はすばらしいと思います。しかし、日本経済の活性化及び国内の労働者一人一人の待遇改善という目的に照らし合わせるならば、先ほども述べたように、今回の法改正は到達点ではなく、むしろ出発点であるという認識が必要です。
従来においては、外国人の暮らしやすさ、外国人の出身国の生活習慣に配慮する形での対応が検討され、また、政策などを通じて実施されてきたものと存じます。このこと自体は否定するものでは全くありませんが、それだけでは不十分です。外国人に寄り添う政策に加えて、むしろ外国人を引きつける日本の魅力そのものを高める必要があります。
それでは、いかにして日本の魅力を高めるか。まずは賃金です。アジアを含む他国との比較において、日本は決して魅力的な労働先ではありません。さらに、職種によっては日本で働くよりも外国で働く方が利益が出るという認識さえあります。日本人の給与が増えないことには、外国人を引きつける力も生まれないということです。
この点、育成就労制度では、育成就労計画に基づいて段階的に技能や日本語能力を修得させ、専門的、技術的分野の人材育成を目指すものとしていますが、この制度をほかの取組と有機的に連動させることで、生産性の向上、ひいては日本人労働者と外国人労働者の双方の待遇改善を目指していくべきだと思います。
そして、一般的な産業育成、成長分野促進戦略との整合性も図る必要があります。国際的に競争力の高い産業分野や各種先端技術の開発に向けた投資を増やすなどといった経済戦略と外国人材獲得戦略を意識的に連結させるということに配慮がなされるべきかと存じます。
最後の点といたしましては、他国の事例から学び、国際協力の発展につなげる意義について申し述べます。
欧米諸国は現在、ポピュリスト政党等による国民と外国人の分断工作を前に、左右中道政党が大きな政治コストを強いられています。これはなぜか。一般に、移民など越境労働者、越境移動者の受入れにおいては、経済界、つまり雇用主と外国人擁護派の主張が共鳴して政治に大きな影響力を与えます。これが移民問題の政治的な特徴です。しかしながら、外国人の受入れが国内経済にいかに有効であったか、国民にいかに裨益したかという点においては、欧米諸国は、結果として十分な説明責任を果たしてきませんでした。
このような悲劇を防ぐためにも、我が国では、政治の側が、継続的、緻密かつ包括的な政策運営を通じて、内外国民のバランスを行いつつ、経済成長を図り、その成果を十分な透明性を備えて国民に知らしめる努力が必要だと考えます。とりわけ、中長期的な未来を見据えるならば、外国人と日本人を一体的に捉えた上での労働政策の在り方をも考える必要が生じましょう。この意味で、外国人政策は、まさに経済政策、労働政策として捉えるべきです。
同時に、外国人政策は、当該国家の安定、公共の秩序を守るための政策でもあるべきです。永住者資格の失効要件に関する方針は、まさにこの点で重要です。この政策は、外国人を窮地に押しやるものではなく、むしろ守るものだという認識が必要です。多くの外国人は、日本で合法的に働き、国籍によらず、日本社会の一員として積極的に関与していく存在、またそういったことが期待される存在です。さらに、今後やってくる外国人がずっと外国人のままでいるという未来の想定は、余り現実的ではないということも考える必要があります。
その中で、永住許可の制度を仮に悪用するような事例が生じた場合、国内の日本から外国人、外国にルーツを持つ人たちが総じて偏見の目で見られるといったことが発生しないように、きちんとルールを整えておく必要があります。
なお、資料二、これは二ページの下の方ですが、こちらにありますように、これは国際社会の一つの動向であるということにも御留意いただきたく存じます。米国や欧州主要各国においても、各国の文化に応じ、永住や帰化の要件、その取消しや退去の要件を独自に設けています。永住者や帰化者が移住先の公共の秩序を乱す脅威となる場合などのほか、アメリカやドイツでは、納税義務の違反を行った場合などはその地位を剥奪し得るとし、フランスでは、フランス人と婚姻したものの早期に離婚した者や、共和国の原則に従う誓約を守らない、つまりフランスの価値観を遵守しない者などについては、永住資格を取り消し得る制度としています。
そして、欧州諸国を観察しておりますと、出入国管理に厳しいルール作りを望んでいるのは、むしろ外国にルーツのある方々であるという印象を受けます。これは、欧米社会の多様性が成熟してきていることの一つの証左であろうと思われます。外国人であった人々が次第に移住先の社会に溶け込み、社会の形成に主体的に関わろうとするという一連のプロセスの中で、外国人自らが、法を遵守し、社会で尊重される存在として生きていく姿勢を打ち出しているということです。また、そうすることで、社会生活を送る上で自らの利益にもつながるといった構造変化も併せて生じているということだと考えます。
実際、人の越境移動の量的、質的な変化に伴って規制が増えているというのが、各国での、また国際社会での昨今の潮流であります。先ほどの指摘にもありましたように、国連ですとか、それから地域国際機構での人の移動に関わる犯罪撲滅に向けた国際協力はもとより、二国間ベースでも関連の取決めが増加する傾向にあります。
今般、日本政府が、協力覚書、MOCを通じて、送り出し国とともに、監理団体への監視体制を強める方針を打ち出したことはよい傾向であると思いますが、今後更に進めていかれることを期待します。
総じて、今般日本が選ばれる国を目指したことは、時代の要請に応え、また日本の国益にも合致する望ましい在り方であろうと考えます。これを成功させるためには、従来の政策の在り方とは一線を画す抜本的かつ包括的な政策方針が必要です。今後、大規模に、かつ長期にわたり外国人がやってくる、また、中長期に日本の価値や利害を共有するようになっていく未来像を視野に入れた上で、とりわけ一般国民の側に立った政策形成が肝要です。
日本ならではの魅力や付加価値を高めることこそが、日本人、外国人双方の労働者に裨益すること、そして、日本の国益にも資するものとして御検討いただきますようお願い申し上げ、私の陳述を終わります。
御清聴ありがとうございました。拍手
武
原
原英史#8
○原参考人 原でございます。政策シンクタンクの代表を務めております。
本日は、貴重な機会を賜りまして、誠にありがとうございます。
大変済みませんが、けがをしてしまいまして、今日は座ったままでお話しすることを御容赦いただけましたらと思います。誠に申し訳ございません。
私は、外国人雇用協議会という一般社団法人の代表理事も務めております。この団体は、日本社会で存分に活躍できる質の高い外国人材を受け入れる、環境を整えるという理念の下運営している業界団体です。ただ、今日は、この団体の立場ではなく、個人として意見を申し上げたいと思います。
お話ししたいことが五点ございます。
まず、一点目でございます。外国人に選ばれる前に、外国人を選ぶことが重要だということです。
外国人に選ばれる国になるためにというフレーズが政府の説明でしばしば出てきます。マスコミの論調もそろって、このままでは日本は外国人に選ばれなくなってしまう、外国人に選ばれる国にならないといけないと唱えています。私はこれに若干違和感があります。
外国人の中には、日本文化を愛し、地域に溶け込み、経済社会に大いに貢献する、来てほしい外国人もいます。一方で、経済社会に貢献せず、犯罪を起こし、脱税や社会保障制度の悪用などを行う、来てほしくない外国人もいるわけです。後者の来てほしくない外国人に選んでもらっても、害悪でしかありません。
したがって、まず、日本国が外国人を選ぶということが決定的に重要だと思います。これが抜け落ちたままではいけないということだと思いますが、これが抜け落ちたまま選ばれる国を目指して頑張っても、来てほしくない外国人ばかりが日本を選び、来てほしい外国人は日本から逃げてしまうということにもなりかねません。
残念ながら、これまでの政府の外国人政策、また今後の見直し方針においても、外国人を選ぶという視点が欠落しがちであるように思います。ここがまず大きな問題ではないかと思います。
日本に限らず、諸外国においても、移民をめぐる議論、これは賛否が大きく分かれがちです。イデオロギー的な対立、感情的な対立にも陥りがちです。解決の道は、安易な受入れではなく、一方で、外国人を排斥するというようなことでもなく、日本にとって有用な外国人材を選び抜いて受け入れるということではないかと思います。詳しくは、資料でお配りいたしましたが、産経新聞の二〇二三年十二月十日付、私のコラム、「「選ばれる国」の前に」というのをお配りいたしました。御参照いただけましたら幸いでございます。
それから、二点目です。従来の外国人政策は、なし崩しの移民受入れだったと思います。
政府はこれまで、移民政策は取らないと言い続けてきました。実は、第二次安倍政権の初期に、一度、経済財政諮問会議の小委員会で毎年二十万人の移民を受け入れた場合にどうなるかという試算が示されたことがあります。これは、試算を示しただけで猛反発が起きました。それで、政府はそれ以降、移民政策は取りませんと言い続けることになりました。
しかし、その間に、実際に現実には何が起きたか。外国人労働者の数は、二〇一二年に六十八万人でしたが、二〇二三年には二百五万人です。十一年で三倍、百三十七万人増えました。実質的には毎年十二万人の移民受入れを行ってきたのに等しいということだと思います。
また、政府は、建前では、単純労働の外国人は受け入れないとも言っています。これも実態とは乖離しています。百三十七万人、十一年で増えたうちの相当部分は、技能実習と資格外活動です。
技能実習は、言うまでもなく、国際貢献のために技能水準の低い外国人を受け入れる仕組みです。これが二〇一二年の十三万人から二〇二三年に四十一万人に増えました。
それから、資格外活動は、主に留学生のアルバイトです。当たり前ですが、技能水準の低い外国人です。多くの国では、留学生は基本的にアルバイトは許されないというのが通常だと思いますが、日本では異例なことに、週二十八時間のアルバイトが認められているわけです。この資格外活動、二〇一二年に十一万人、二〇二三年には三十五万人に増えました。
要するに、過去十年ほどの間に起きたことは、実質的には、年間十二万人の移民を受け入れてきた、その相当部分は単純労働だったということです。しかも、建前上は移民政策は取らないと言いながら、なし崩しで移民受入れを行ってきたということです。
なぜ、こんなことになったかというと、安価な労働力を求める一部産業界の要望に政府が応えてきたからであります。
三点目です。技能実習制度の問題と解決策についてお話をします。
まず、技能実習制度の根本的な問題は、安価な労働力を求める一部産業界に悪用されてきたということだと思います。
もちろん、全てが悪用なわけではありません。制度が有効に活用されているよい事例もあります。例えば、私の存じ上げている群馬県の農業生産法人さん。ここは高い給料を出して、快適な寮を自前で建設して、経営者自らアジア各国に本人と家族のところに面談に赴いて、優秀な人材を受け入れ育て上げるということをやっています。ほかにも、技能実習生たちが地域社会に溶け込み、地域を活性化する、また、帰国後も日本との懸け橋になるといった事例もあります。
しかし一方で、悪用の事例も少なからずあります。生産性の低い業界や企業が高い賃金を払えないので人手不足に陥って、生産性を高めて賃金を上げる代わりに、安価な労働力としての外国人に頼るケースです。政府はこうした一部業界の要望に応えて対象業種を追加をして、悪用を黙認してきたということだと思います。
結果として、三つのことが起きました。一つ目は、安価な労働力を求める企業が利用するので、おのずと劣悪な労働環境、そういった人権問題が生じがちになりました。このため、失踪などの事案も生じました。二点目に、未熟練労働者を多く受け入れる中で、どうしても犯罪や社会的トラブルといったことが生じがちになるということも出てきます。三点目に、受け入れた企業にとっては、賃上げをせずに生き延びる道ができました。生産性を高めて賃金を上げる代わりに、外国人労働力を受け入れて、生き延びて、結果として賃金は低迷し、経済成長が阻害されました。
日本は残念ながら、今、ほかの国々と比べて、相対的に賃金の低い貧しい国へと転落しつつあります。要因の一つが技能実習制度の悪用だと思います。賃金水準が低迷するので、日本は選ばれない国になるということだと思います。
本来の解決策は、安価な労働力を求める企業には制度を利用させないということだと思います。そうすれば、この三つの問題はいずれも解決に向かうはずです。例えば、その地域、業界の賃金水準よりも一定比率以上高い賃金を払う企業にしか制度を利用させない、こういった要件を設ければ、悪用の可能性は相当程度なくせると思います。
今回の改正案は、残念ながら、根本的な解決にはなっていないと思います。技能実習制度の廃止ということですが、名称を育成就労とする、名目が余りに実態と乖離してしまったので、人材確保、人材育成に改める。いわば看板のかけ替えに近いと思います。
転職を一部認める、これは労働環境の改善、人権問題の解決のために一定の効果があると思います。しかし、安価な労働力として悪用される可能性が残されている以上、根本的な解決にはならないと思います。また、政府が繰り返し唱えている外国人に選ばれる国に、これも果たされないと思います。安価な労働力の受入れを続けて、更に拡大していくことになれば、日本は更に相対的に貧しい国になります。むしろ、ますます選ばれない国になっていくということではないかと思います。
四点目です。個別制度の見直しの前に外国人基本法を制定すべきと考えます。
これまでの対応を振り返ると、なし崩しで移民受入れを行ってきた。その中で、特に技能実習について劣悪な労働環境などの問題が生じた。それに対処して、技能実習という名称を変えて、少し手直しをするということだと思います。こうやって、戦略性を欠いたまま、なし崩しとパッチワーク対応を続けているので、根本問題が解決しません。
技能実習などの個別制度の見直しを行う前に、まず、外国人受入れについて、国としての基本戦略が必要ではないかと思います。そして、そのために外国人基本法という枠組みが必要だと思います。外国人受入れは、国民にとって、また国の将来のありようにとって、重大な影響のある事柄です。したがって、行政の担当部局で検討して戦略を策定するといったことではなく、国民的議論を経て、国会での審議を行って外国人基本法を制定するということであるべきだと思います。
その中で、まず、何のために外国人を受け入れるのか、この目的を明確にすることが重要です。
目的は人手不足の解消と考えられがちなのですが、この考え方は私は危ういと思います。もちろん、業種によって深刻な人手不足が生じているということは認識しています。しかし、人手不足は安易に解消してしまったら、賃金が上がらないんです。日本をより貧しい国にしていくことになりかねないと思います。
そうではなくて、日本を豊かにすることを目的にすべきだと思います。生産性を高めて経済社会を発展させる。日本を豊かにすることに貢献できる質の高い外国人材を選んで受け入れていく。そうした考え方を明確にすべきでないかと思います。
その上で、具体的にどのような外国人をどう受け入れるのか。どんな人材は短期で受け入れ、どんな人材は中長期なのか。どこの国からどの程度の規模で受け入れるのか。そういった具体的な戦略を定める必要があります。
もちろん、経済政策や労働政策との整合性が求められます。経済政策の観点では、生産性を高めて日本経済を強くするために、どんな分野でどんな外国人を受け入れるのか。労働政策の観点では、賃上げを十分達成するために、どの程度の規模までなら外国人を受け入れてもいいのか。また、さらに、外交、安保政策の観点で、人的交流を強化すべき国から重点的に受け入れていく。そういったことも含めた戦略が必要だと考えます。
別紙の二でお配りをしておりますが、制度・規制改革学会、これは私も所属する学会なんですが、その有志による「外国人政策に関する意見書 「経済成長に貢献する外国人受入れ」への見直しを」という二〇二四年一月付の文書をお配りしております。実は、岡部参考人も有志のお一人なんですが、詳しくはこちらも御参照いただけましたらと思います。
最後に、五点目ですが、外国人受入れについての行政の体制強化につきお話ししたいと思います。
近時、在留資格審査の遅延がとても目立ちます。別紙の三で、外国人雇用協議会の要望書、東京出入国在留管理局管轄における就労関係在留資格の審査遅延に対する要望という二〇二三年十一月十五日付の文書をお配りしています。
二〇二二年十月の水際措置緩和以降、就労関係の在留資格申請が急増しました。その後、特に東京入管局において、審査の大幅な遅延が生じるようになりました。それまでは一か月から三か月程度だったものが、四か月から八か月、場合によってはそれ以上かかるということが常態化しました。就労を希望する外国人が何で待たされるのか分からないという状態で、もう待ち切れずに断念をしてしまう、また、企業側で人員確保の計画変更を強いられるといった、現場では大混乱が生じました。
この要望を申し上げた後、十二月に入管庁で急遽応援体制が組まれて、一旦問題は解消したんですが、今年二月頃から再び遅延が生じつつあるような印象を現場では持っています。
言うまでもなく、これは申請件数の急増に審査体制が追いついていないためです。人員の増強、また、デジタル化の推進によって人を介さず効率化できることは極力効率化するというこの両面で体制強化を緊急に行う必要があります。こんな状態が続けば、それこそ、本当は日本に来てほしい外国人、これが日本を選ばなくなってしまうという重大な要因になりかねません。
さらに、体制強化が必要なのは審査部門だけではありません。戦略的な外国人政策を進める上で、省庁横断的に戦略を策定し、実施する体制の創設も必要です。労働行政との連携強化も課題です。例えば不法就労防止、今回の改正案でも関係の事項が盛り込まれていますが、これは、警察と入管当局だけで取締りをやっても限界があって、やはり、労基署の役割の強化を検討すべきでないかと思います。
こういった、外国人政策についての包括的な体制整備を早急に行う必要があると考えます。
以上です。御清聴、大変ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、貴重な機会を賜りまして、誠にありがとうございます。
大変済みませんが、けがをしてしまいまして、今日は座ったままでお話しすることを御容赦いただけましたらと思います。誠に申し訳ございません。
私は、外国人雇用協議会という一般社団法人の代表理事も務めております。この団体は、日本社会で存分に活躍できる質の高い外国人材を受け入れる、環境を整えるという理念の下運営している業界団体です。ただ、今日は、この団体の立場ではなく、個人として意見を申し上げたいと思います。
お話ししたいことが五点ございます。
まず、一点目でございます。外国人に選ばれる前に、外国人を選ぶことが重要だということです。
外国人に選ばれる国になるためにというフレーズが政府の説明でしばしば出てきます。マスコミの論調もそろって、このままでは日本は外国人に選ばれなくなってしまう、外国人に選ばれる国にならないといけないと唱えています。私はこれに若干違和感があります。
外国人の中には、日本文化を愛し、地域に溶け込み、経済社会に大いに貢献する、来てほしい外国人もいます。一方で、経済社会に貢献せず、犯罪を起こし、脱税や社会保障制度の悪用などを行う、来てほしくない外国人もいるわけです。後者の来てほしくない外国人に選んでもらっても、害悪でしかありません。
したがって、まず、日本国が外国人を選ぶということが決定的に重要だと思います。これが抜け落ちたままではいけないということだと思いますが、これが抜け落ちたまま選ばれる国を目指して頑張っても、来てほしくない外国人ばかりが日本を選び、来てほしい外国人は日本から逃げてしまうということにもなりかねません。
残念ながら、これまでの政府の外国人政策、また今後の見直し方針においても、外国人を選ぶという視点が欠落しがちであるように思います。ここがまず大きな問題ではないかと思います。
日本に限らず、諸外国においても、移民をめぐる議論、これは賛否が大きく分かれがちです。イデオロギー的な対立、感情的な対立にも陥りがちです。解決の道は、安易な受入れではなく、一方で、外国人を排斥するというようなことでもなく、日本にとって有用な外国人材を選び抜いて受け入れるということではないかと思います。詳しくは、資料でお配りいたしましたが、産経新聞の二〇二三年十二月十日付、私のコラム、「「選ばれる国」の前に」というのをお配りいたしました。御参照いただけましたら幸いでございます。
それから、二点目です。従来の外国人政策は、なし崩しの移民受入れだったと思います。
政府はこれまで、移民政策は取らないと言い続けてきました。実は、第二次安倍政権の初期に、一度、経済財政諮問会議の小委員会で毎年二十万人の移民を受け入れた場合にどうなるかという試算が示されたことがあります。これは、試算を示しただけで猛反発が起きました。それで、政府はそれ以降、移民政策は取りませんと言い続けることになりました。
しかし、その間に、実際に現実には何が起きたか。外国人労働者の数は、二〇一二年に六十八万人でしたが、二〇二三年には二百五万人です。十一年で三倍、百三十七万人増えました。実質的には毎年十二万人の移民受入れを行ってきたのに等しいということだと思います。
また、政府は、建前では、単純労働の外国人は受け入れないとも言っています。これも実態とは乖離しています。百三十七万人、十一年で増えたうちの相当部分は、技能実習と資格外活動です。
技能実習は、言うまでもなく、国際貢献のために技能水準の低い外国人を受け入れる仕組みです。これが二〇一二年の十三万人から二〇二三年に四十一万人に増えました。
それから、資格外活動は、主に留学生のアルバイトです。当たり前ですが、技能水準の低い外国人です。多くの国では、留学生は基本的にアルバイトは許されないというのが通常だと思いますが、日本では異例なことに、週二十八時間のアルバイトが認められているわけです。この資格外活動、二〇一二年に十一万人、二〇二三年には三十五万人に増えました。
要するに、過去十年ほどの間に起きたことは、実質的には、年間十二万人の移民を受け入れてきた、その相当部分は単純労働だったということです。しかも、建前上は移民政策は取らないと言いながら、なし崩しで移民受入れを行ってきたということです。
なぜ、こんなことになったかというと、安価な労働力を求める一部産業界の要望に政府が応えてきたからであります。
三点目です。技能実習制度の問題と解決策についてお話をします。
まず、技能実習制度の根本的な問題は、安価な労働力を求める一部産業界に悪用されてきたということだと思います。
もちろん、全てが悪用なわけではありません。制度が有効に活用されているよい事例もあります。例えば、私の存じ上げている群馬県の農業生産法人さん。ここは高い給料を出して、快適な寮を自前で建設して、経営者自らアジア各国に本人と家族のところに面談に赴いて、優秀な人材を受け入れ育て上げるということをやっています。ほかにも、技能実習生たちが地域社会に溶け込み、地域を活性化する、また、帰国後も日本との懸け橋になるといった事例もあります。
しかし一方で、悪用の事例も少なからずあります。生産性の低い業界や企業が高い賃金を払えないので人手不足に陥って、生産性を高めて賃金を上げる代わりに、安価な労働力としての外国人に頼るケースです。政府はこうした一部業界の要望に応えて対象業種を追加をして、悪用を黙認してきたということだと思います。
結果として、三つのことが起きました。一つ目は、安価な労働力を求める企業が利用するので、おのずと劣悪な労働環境、そういった人権問題が生じがちになりました。このため、失踪などの事案も生じました。二点目に、未熟練労働者を多く受け入れる中で、どうしても犯罪や社会的トラブルといったことが生じがちになるということも出てきます。三点目に、受け入れた企業にとっては、賃上げをせずに生き延びる道ができました。生産性を高めて賃金を上げる代わりに、外国人労働力を受け入れて、生き延びて、結果として賃金は低迷し、経済成長が阻害されました。
日本は残念ながら、今、ほかの国々と比べて、相対的に賃金の低い貧しい国へと転落しつつあります。要因の一つが技能実習制度の悪用だと思います。賃金水準が低迷するので、日本は選ばれない国になるということだと思います。
本来の解決策は、安価な労働力を求める企業には制度を利用させないということだと思います。そうすれば、この三つの問題はいずれも解決に向かうはずです。例えば、その地域、業界の賃金水準よりも一定比率以上高い賃金を払う企業にしか制度を利用させない、こういった要件を設ければ、悪用の可能性は相当程度なくせると思います。
今回の改正案は、残念ながら、根本的な解決にはなっていないと思います。技能実習制度の廃止ということですが、名称を育成就労とする、名目が余りに実態と乖離してしまったので、人材確保、人材育成に改める。いわば看板のかけ替えに近いと思います。
転職を一部認める、これは労働環境の改善、人権問題の解決のために一定の効果があると思います。しかし、安価な労働力として悪用される可能性が残されている以上、根本的な解決にはならないと思います。また、政府が繰り返し唱えている外国人に選ばれる国に、これも果たされないと思います。安価な労働力の受入れを続けて、更に拡大していくことになれば、日本は更に相対的に貧しい国になります。むしろ、ますます選ばれない国になっていくということではないかと思います。
四点目です。個別制度の見直しの前に外国人基本法を制定すべきと考えます。
これまでの対応を振り返ると、なし崩しで移民受入れを行ってきた。その中で、特に技能実習について劣悪な労働環境などの問題が生じた。それに対処して、技能実習という名称を変えて、少し手直しをするということだと思います。こうやって、戦略性を欠いたまま、なし崩しとパッチワーク対応を続けているので、根本問題が解決しません。
技能実習などの個別制度の見直しを行う前に、まず、外国人受入れについて、国としての基本戦略が必要ではないかと思います。そして、そのために外国人基本法という枠組みが必要だと思います。外国人受入れは、国民にとって、また国の将来のありようにとって、重大な影響のある事柄です。したがって、行政の担当部局で検討して戦略を策定するといったことではなく、国民的議論を経て、国会での審議を行って外国人基本法を制定するということであるべきだと思います。
その中で、まず、何のために外国人を受け入れるのか、この目的を明確にすることが重要です。
目的は人手不足の解消と考えられがちなのですが、この考え方は私は危ういと思います。もちろん、業種によって深刻な人手不足が生じているということは認識しています。しかし、人手不足は安易に解消してしまったら、賃金が上がらないんです。日本をより貧しい国にしていくことになりかねないと思います。
そうではなくて、日本を豊かにすることを目的にすべきだと思います。生産性を高めて経済社会を発展させる。日本を豊かにすることに貢献できる質の高い外国人材を選んで受け入れていく。そうした考え方を明確にすべきでないかと思います。
その上で、具体的にどのような外国人をどう受け入れるのか。どんな人材は短期で受け入れ、どんな人材は中長期なのか。どこの国からどの程度の規模で受け入れるのか。そういった具体的な戦略を定める必要があります。
もちろん、経済政策や労働政策との整合性が求められます。経済政策の観点では、生産性を高めて日本経済を強くするために、どんな分野でどんな外国人を受け入れるのか。労働政策の観点では、賃上げを十分達成するために、どの程度の規模までなら外国人を受け入れてもいいのか。また、さらに、外交、安保政策の観点で、人的交流を強化すべき国から重点的に受け入れていく。そういったことも含めた戦略が必要だと考えます。
別紙の二でお配りをしておりますが、制度・規制改革学会、これは私も所属する学会なんですが、その有志による「外国人政策に関する意見書 「経済成長に貢献する外国人受入れ」への見直しを」という二〇二四年一月付の文書をお配りしております。実は、岡部参考人も有志のお一人なんですが、詳しくはこちらも御参照いただけましたらと思います。
最後に、五点目ですが、外国人受入れについての行政の体制強化につきお話ししたいと思います。
近時、在留資格審査の遅延がとても目立ちます。別紙の三で、外国人雇用協議会の要望書、東京出入国在留管理局管轄における就労関係在留資格の審査遅延に対する要望という二〇二三年十一月十五日付の文書をお配りしています。
二〇二二年十月の水際措置緩和以降、就労関係の在留資格申請が急増しました。その後、特に東京入管局において、審査の大幅な遅延が生じるようになりました。それまでは一か月から三か月程度だったものが、四か月から八か月、場合によってはそれ以上かかるということが常態化しました。就労を希望する外国人が何で待たされるのか分からないという状態で、もう待ち切れずに断念をしてしまう、また、企業側で人員確保の計画変更を強いられるといった、現場では大混乱が生じました。
この要望を申し上げた後、十二月に入管庁で急遽応援体制が組まれて、一旦問題は解消したんですが、今年二月頃から再び遅延が生じつつあるような印象を現場では持っています。
言うまでもなく、これは申請件数の急増に審査体制が追いついていないためです。人員の増強、また、デジタル化の推進によって人を介さず効率化できることは極力効率化するというこの両面で体制強化を緊急に行う必要があります。こんな状態が続けば、それこそ、本当は日本に来てほしい外国人、これが日本を選ばなくなってしまうという重大な要因になりかねません。
さらに、体制強化が必要なのは審査部門だけではありません。戦略的な外国人政策を進める上で、省庁横断的に戦略を策定し、実施する体制の創設も必要です。労働行政との連携強化も課題です。例えば不法就労防止、今回の改正案でも関係の事項が盛り込まれていますが、これは、警察と入管当局だけで取締りをやっても限界があって、やはり、労基署の役割の強化を検討すべきでないかと思います。
こういった、外国人政策についての包括的な体制整備を早急に行う必要があると考えます。
以上です。御清聴、大変ありがとうございました。拍手
武
武
中
中曽根康隆#11
○中曽根委員 自由民主党の中曽根康隆でございます。
今日は、参考人の皆さん、本当に、お忙しい中、貴重なお時間を割いていただきまして、ありがとうございます。
先ほど、緊張されているという話もありましたけれども、せっかくいらっしゃっていただいたので、思うことをどんどんと、率直な御意見をいただければというふうに思います。
今、皆さんのお話を伺っていて、まず思ったのは、やはり、この育成就労の新しい仕組みというのは、ただ単に労働力という問題ではなくて、これからの日本の形をつくっていく非常に大きな話であって、まさに、原参考人がおっしゃったように、戦略を持って、国家的な戦略を持って議論していく、そして、法律を作り、実行していく必要があるというのを、まず痛感をいたしました。
我が国は、御案内のとおりで、どうやったって人口は減っていく、それに伴って労働力が減っていく、この事実はもう変えられないわけであります。そういった中で、昨今言われている、女性の活躍とかシニアの活躍とか、又はデジタルを使って生産性を高めていくとか、AI、ロボットを活用する、そういったことも大事なんですけれども、やはり、現実的に、外国人の皆さんに本当にこの労働市場を助けていただいているというのは紛れもない事実であります。
引き続き、我が国として、外国人に活躍をしてもらう必要、そして、その先の、選ばれる国になる必要があるというふうに思います。
御案内のとおりで、これまでの技能実習は、人材育成を通じた国際貢献というものが目的でありました。
先週の日曜日、私も、地元の群馬県で、キャベツの収穫の手伝いをしてきました。日曜日だったので、パートさんも少ない、人手不足。そこで、是非ちょっと手伝ってくれというので行ってきたんですけれども、そこにベトナム人の技能実習生の兄弟、二十歳と二十二歳の男の子たちがいました。黙々と働いて、汗を流して、本当にすばらしい活躍をしているのを見ました。
彼らにちょっと話を聞いてみたら、仕送りもしている、そしてお金もためていると。これから一旦、お兄ちゃんの方はベトナムに帰って、結婚するんだと。その結婚資金もためている。結婚したら、今度は、日本で培ったそういった技術を持って、経験を持って、カナダで働くんだということを、さっきカナダという話がありましたけれども、まさに、そういうパターンの技能実習生の男の子でした。
その農家さんも、やはり、こんなに働いてくれる、日本人の若者にも是非ともこういうのを参考にしてもらいたいと言うぐらい、外国人の皆さんには本当に頑張っていただいています。
重要な担い手であることはもちろんなんですけれども、一方で、私、そのときに思ったのは、キャベツの根元の部分をがんがん切っていって箱に詰めるんですけれども、これが技能実習になっているのかな、そしてこれが国際貢献になっているのかなという疑問はやはり同時に持ちました。こういった疑問が多分世の中でもどんどん広がってくる中で、今回の新制度の創設という流れになっているというふうに認識をしております。
今回の育成就労は、育成と確保がポイントであって、育成と就労を両立させていくのが目的であります。明確に労働力として日本社会に寄与してもらうと同時に、特定技能の仕組みと併せて、外国人の皆さんがしっかりキャリアアップをできる、そしてその形成の道を明確化していくのが、今回のこの新制度の大きなポイントだというふうに思います。
そういった中で、早速質問に移りたいと思うんです。
是川参考人がお話しされている中で、外国人の皆さんは、ただ単にお金を稼ぎに来ているだけじゃないんだ、スキルをしっかりと獲得しに来ている、技能形成をしに来ているんだという話が大変印象に残りました。
これすなわち、受け入れる側も、ただ単に安い労働力としてではなくて、この子にどういうスキルを与えてあげられるかな、どういうスキルを伸ばすような環境を提供できるかなという視点を受け入れる側も持たなきゃいけないんだなというのを非常に痛感しましたし、それを更に見える化していく、そして送り出し国においても、日本に行くとこういうスキルが身につくんだ、それによって、また更にそこの国から人がまた来てくれる、そういういい循環を生んでいかなきゃいけないんだなというのを非常に感じました。これは、ちょっと、私の意見でとどめておきます。
質問なんですけれども、やはり、これまでの技能実習においては、長時間労働とか、賃金の不払いのトラブルとか、失踪者が多数出るとか、労働者の権利を守る仕組みが不十分だった。これに対して、今回、転職制限の緩和というのは、一つの新制度の目玉になるというふうに言われております。
先ほどから話があるとおりで、新制度では、当面最長二年の転職が可能になったわけですけれども、この期間についても、政府・自民党、有識者の中でいろいろ議論されたわけであります。その中で多く聞こえたのが、地方から都市への人材移動を懸念するという声であります。雇用条件のよりよい地域、特に都市部へ人材が流出するのではないかという心配があった。
先ほど、上林参考人からも転籍は実は難しいんだという話がありました。その理由も二つ明確にいただきました。是川参考人におかれましては、御自身の書かれた記事において、人材移動の懸念というのは当てはまらないよという主張をされております。転籍者が発生するとはなかなか考えにくいというお話をされています。いま一度、この理由とか真意についてお伺いをしたいというふうに思います。
この発言だけを見る →今日は、参考人の皆さん、本当に、お忙しい中、貴重なお時間を割いていただきまして、ありがとうございます。
先ほど、緊張されているという話もありましたけれども、せっかくいらっしゃっていただいたので、思うことをどんどんと、率直な御意見をいただければというふうに思います。
今、皆さんのお話を伺っていて、まず思ったのは、やはり、この育成就労の新しい仕組みというのは、ただ単に労働力という問題ではなくて、これからの日本の形をつくっていく非常に大きな話であって、まさに、原参考人がおっしゃったように、戦略を持って、国家的な戦略を持って議論していく、そして、法律を作り、実行していく必要があるというのを、まず痛感をいたしました。
我が国は、御案内のとおりで、どうやったって人口は減っていく、それに伴って労働力が減っていく、この事実はもう変えられないわけであります。そういった中で、昨今言われている、女性の活躍とかシニアの活躍とか、又はデジタルを使って生産性を高めていくとか、AI、ロボットを活用する、そういったことも大事なんですけれども、やはり、現実的に、外国人の皆さんに本当にこの労働市場を助けていただいているというのは紛れもない事実であります。
引き続き、我が国として、外国人に活躍をしてもらう必要、そして、その先の、選ばれる国になる必要があるというふうに思います。
御案内のとおりで、これまでの技能実習は、人材育成を通じた国際貢献というものが目的でありました。
先週の日曜日、私も、地元の群馬県で、キャベツの収穫の手伝いをしてきました。日曜日だったので、パートさんも少ない、人手不足。そこで、是非ちょっと手伝ってくれというので行ってきたんですけれども、そこにベトナム人の技能実習生の兄弟、二十歳と二十二歳の男の子たちがいました。黙々と働いて、汗を流して、本当にすばらしい活躍をしているのを見ました。
彼らにちょっと話を聞いてみたら、仕送りもしている、そしてお金もためていると。これから一旦、お兄ちゃんの方はベトナムに帰って、結婚するんだと。その結婚資金もためている。結婚したら、今度は、日本で培ったそういった技術を持って、経験を持って、カナダで働くんだということを、さっきカナダという話がありましたけれども、まさに、そういうパターンの技能実習生の男の子でした。
その農家さんも、やはり、こんなに働いてくれる、日本人の若者にも是非ともこういうのを参考にしてもらいたいと言うぐらい、外国人の皆さんには本当に頑張っていただいています。
重要な担い手であることはもちろんなんですけれども、一方で、私、そのときに思ったのは、キャベツの根元の部分をがんがん切っていって箱に詰めるんですけれども、これが技能実習になっているのかな、そしてこれが国際貢献になっているのかなという疑問はやはり同時に持ちました。こういった疑問が多分世の中でもどんどん広がってくる中で、今回の新制度の創設という流れになっているというふうに認識をしております。
今回の育成就労は、育成と確保がポイントであって、育成と就労を両立させていくのが目的であります。明確に労働力として日本社会に寄与してもらうと同時に、特定技能の仕組みと併せて、外国人の皆さんがしっかりキャリアアップをできる、そしてその形成の道を明確化していくのが、今回のこの新制度の大きなポイントだというふうに思います。
そういった中で、早速質問に移りたいと思うんです。
是川参考人がお話しされている中で、外国人の皆さんは、ただ単にお金を稼ぎに来ているだけじゃないんだ、スキルをしっかりと獲得しに来ている、技能形成をしに来ているんだという話が大変印象に残りました。
これすなわち、受け入れる側も、ただ単に安い労働力としてではなくて、この子にどういうスキルを与えてあげられるかな、どういうスキルを伸ばすような環境を提供できるかなという視点を受け入れる側も持たなきゃいけないんだなというのを非常に痛感しましたし、それを更に見える化していく、そして送り出し国においても、日本に行くとこういうスキルが身につくんだ、それによって、また更にそこの国から人がまた来てくれる、そういういい循環を生んでいかなきゃいけないんだなというのを非常に感じました。これは、ちょっと、私の意見でとどめておきます。
質問なんですけれども、やはり、これまでの技能実習においては、長時間労働とか、賃金の不払いのトラブルとか、失踪者が多数出るとか、労働者の権利を守る仕組みが不十分だった。これに対して、今回、転職制限の緩和というのは、一つの新制度の目玉になるというふうに言われております。
先ほどから話があるとおりで、新制度では、当面最長二年の転職が可能になったわけですけれども、この期間についても、政府・自民党、有識者の中でいろいろ議論されたわけであります。その中で多く聞こえたのが、地方から都市への人材移動を懸念するという声であります。雇用条件のよりよい地域、特に都市部へ人材が流出するのではないかという心配があった。
先ほど、上林参考人からも転籍は実は難しいんだという話がありました。その理由も二つ明確にいただきました。是川参考人におかれましては、御自身の書かれた記事において、人材移動の懸念というのは当てはまらないよという主張をされております。転籍者が発生するとはなかなか考えにくいというお話をされています。いま一度、この理由とか真意についてお伺いをしたいというふうに思います。
是
是川夕#12
○是川参考人 御質問いただき、ありがとうございます。
今の地方から都市部への流出という点について、私が考えていることについてお話ししたいと思います。私といたしましては、大規模な流出が起こるとは考えにくいと考えています。理由は四点ございます。
一点目といたしましては、まず、やはり、育成就労、一年超働いた段階ではまだスキルレベルが低いということです。実際、労働市場で非常に魅力的な人材として映るほどのスキルレベルになっていない。これは、実際、実習の現場でいろいろと指導されている方にお伺いしますと、やはり一人前になるには二年、三年とかかる。そういった人が多く雇われるということは考えにくいというのが一点目。
二点目といたしましては、雇用サイド、転籍者を受け入れる事業者の側にも今般の改正では要件を課すということにしているということです。費用負担の問題、手続等も課せられており、いわば簡単に引き抜けるという状況ではないというのが二点目。
三点目といたしましては、本人たちのサイドから見てもそうなんですが、今回、育成就労は三年になりました。技能実習が五年あったときは、いわば自分たちが費用を払ってそれを取り返して、ある意味利益を生むまでの期間、五年最長で取れたわけですが、三年しかございません。先ほど上林先生のお話にもありましたが、転職、転籍に伴って中断する期間が出てしまいますと、その分給与がなくなってしまうわけですから、より損益分岐点がシビアになるということが考えられます。これは本人から見ても得になりにくいという状況がございます。
あと、最後、四点目、非常に重要な点といたしましては、安い使い捨てになるのではないかという懸念、こちら、既に特定技能がある現在においては当てはまりにくいと思います。いわば期限付でスポットベースで雇いたいという事業者の方は、特定技能一号を使えばいいということになります。わざわざ育てて使うというたてつけに乗る必要はないという状況がございますので、こうした点から、地方部から都市部への流出というのが大規模に起こるとは考えにくいというふうに見ております。
以上です。
この発言だけを見る →今の地方から都市部への流出という点について、私が考えていることについてお話ししたいと思います。私といたしましては、大規模な流出が起こるとは考えにくいと考えています。理由は四点ございます。
一点目といたしましては、まず、やはり、育成就労、一年超働いた段階ではまだスキルレベルが低いということです。実際、労働市場で非常に魅力的な人材として映るほどのスキルレベルになっていない。これは、実際、実習の現場でいろいろと指導されている方にお伺いしますと、やはり一人前になるには二年、三年とかかる。そういった人が多く雇われるということは考えにくいというのが一点目。
二点目といたしましては、雇用サイド、転籍者を受け入れる事業者の側にも今般の改正では要件を課すということにしているということです。費用負担の問題、手続等も課せられており、いわば簡単に引き抜けるという状況ではないというのが二点目。
三点目といたしましては、本人たちのサイドから見てもそうなんですが、今回、育成就労は三年になりました。技能実習が五年あったときは、いわば自分たちが費用を払ってそれを取り返して、ある意味利益を生むまでの期間、五年最長で取れたわけですが、三年しかございません。先ほど上林先生のお話にもありましたが、転職、転籍に伴って中断する期間が出てしまいますと、その分給与がなくなってしまうわけですから、より損益分岐点がシビアになるということが考えられます。これは本人から見ても得になりにくいという状況がございます。
あと、最後、四点目、非常に重要な点といたしましては、安い使い捨てになるのではないかという懸念、こちら、既に特定技能がある現在においては当てはまりにくいと思います。いわば期限付でスポットベースで雇いたいという事業者の方は、特定技能一号を使えばいいということになります。わざわざ育てて使うというたてつけに乗る必要はないという状況がございますので、こうした点から、地方部から都市部への流出というのが大規模に起こるとは考えにくいというふうに見ております。
以上です。
中
中曽根康隆#13
○中曽根委員 是川参考人、大変分かりやすい御回答ありがとうございました。
次の議論に移りたいと思いますけれども、先ほど原参考人からもありましたが、岡部参考人と原参考人は、同じ有志の会で提言を出されております。法務省の有識者の最終報告書に対しても、幾つかの問題を提起されているというふうに認識をしております。
そこで、岡部参考人にお伺いしたいと思います。
先ほどのこれは出発点だという言葉、非常に印象に残りました。人材獲得の国際競合が一層激しくなる中で、日本全体の魅力とか底上げをすることが大前提になってくるという非常に示唆に富んだお話をいただきました。ありがとうございました。
岡部参考人は、この最終報告書に対して、人権問題を改善するという観点においては高く評価できるという言葉をいただいております。御案内のとおりで、支援体制を強化するとか送り出し機関の適正化とか監理支援機関への厳格な審査基準の設定とか、人権を守っていく、ここは評価されている一方で、単純労働者に従事する外国人の数を増やすという政策につながる可能性があるとか、また、国外からの労働力を安定的に確保するという雇用者側の期待を反映させたものであるようとも述べられております。
その上で、これが我が国の経済や社会の発展につながるのかという問題意識をされている、これは非常に大事なことだというふうに思います。また同時に、選ばれる国になるには、単に外国人の人権に配慮するというだけでは不十分であるというふうにおっしゃっております。
ここでお伺いしますけれども、選ばれる国になるため、そして我が国の経済や社会の発展につながる、そういった制度にするためにはどういう視点が必要なのか。御指摘の、人権上の問題について受入れ側が重視すべきはどのようなものなのかを踏まえて、是非ともお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →次の議論に移りたいと思いますけれども、先ほど原参考人からもありましたが、岡部参考人と原参考人は、同じ有志の会で提言を出されております。法務省の有識者の最終報告書に対しても、幾つかの問題を提起されているというふうに認識をしております。
そこで、岡部参考人にお伺いしたいと思います。
先ほどのこれは出発点だという言葉、非常に印象に残りました。人材獲得の国際競合が一層激しくなる中で、日本全体の魅力とか底上げをすることが大前提になってくるという非常に示唆に富んだお話をいただきました。ありがとうございました。
岡部参考人は、この最終報告書に対して、人権問題を改善するという観点においては高く評価できるという言葉をいただいております。御案内のとおりで、支援体制を強化するとか送り出し機関の適正化とか監理支援機関への厳格な審査基準の設定とか、人権を守っていく、ここは評価されている一方で、単純労働者に従事する外国人の数を増やすという政策につながる可能性があるとか、また、国外からの労働力を安定的に確保するという雇用者側の期待を反映させたものであるようとも述べられております。
その上で、これが我が国の経済や社会の発展につながるのかという問題意識をされている、これは非常に大事なことだというふうに思います。また同時に、選ばれる国になるには、単に外国人の人権に配慮するというだけでは不十分であるというふうにおっしゃっております。
ここでお伺いしますけれども、選ばれる国になるため、そして我が国の経済や社会の発展につながる、そういった制度にするためにはどういう視点が必要なのか。御指摘の、人権上の問題について受入れ側が重視すべきはどのようなものなのかを踏まえて、是非ともお伺いしたいと思います。
岡
岡部みどり#14
○岡部参考人 御質問ありがとうございました。
まず、原参考人の述べられたように、確かに、私も同じ学会に入っておりまして、将来的な問題提起という点では共鳴するところがありまして名前を連ねましたが、今般の改正案自体の評価については、私の方は基本的にこれは十分あるべきだと思っております。その上で、これでは不十分だというのが私の主張でございます。
その上で、先ほど申し上げた、労働者の受入れに当たっては、大規模な雇用主の希望とそれから外国人を擁護するという団体の希望というものがどうしても合致する傾向にある。これは日本だけの問題ではなくて、欧米の先進事例、あるいは欧米に限らずとも、どこの国でも受入れを経済目的でしようとすると構造的に発生する問題だと思っています。ですので、これは致し方ない。
なんですけれども、そのまま放置してしまい、ともすると、一般の人々の目には、外国人にだけ優遇をして、かつ一部の大企業だけがもうかってしまうような仕組みをどうも労働のグローバル化のような形でつくっているんじゃないかという懸念を一般の欧米の国民が抱くようになった。これが私はポピュリストの台頭の一番大きな原因ではないかと思っているわけです。
なので、その同じ過ちを繰り返さないためには、この構造があることは致し方ないとしても、これに加えて、できるだけ日本人の労働者が、外国人を受け入れたことによって、自分も働きやすくなった、自分のお給料も上がった、あるいはもっと魅力あるほかの職種にトランスファー、移ることができるようになった、そういうような何らかの労働市場におけるイノベーションといいますか改革というか、そういった仕組みが必要になるんじゃないかというふうに思います。
もう一点は、皆さんが日本人になる必要はないと思うんです。国籍を取得する必要もないと思う。ですけれども、日本で働き日本を発展させることが自分にとっても得だというようなベネフィットの観点から日本で働くことをよしとする外国人が増えていけば、自然と日本の付加価値というものが高まっていくのではないか。
なので、そういった、皆さんがわくわくする方向に経済を伸展させていく、そういうソフト面での拡充というものも必要なんじゃないかというふうに思います。
以上です。
この発言だけを見る →まず、原参考人の述べられたように、確かに、私も同じ学会に入っておりまして、将来的な問題提起という点では共鳴するところがありまして名前を連ねましたが、今般の改正案自体の評価については、私の方は基本的にこれは十分あるべきだと思っております。その上で、これでは不十分だというのが私の主張でございます。
その上で、先ほど申し上げた、労働者の受入れに当たっては、大規模な雇用主の希望とそれから外国人を擁護するという団体の希望というものがどうしても合致する傾向にある。これは日本だけの問題ではなくて、欧米の先進事例、あるいは欧米に限らずとも、どこの国でも受入れを経済目的でしようとすると構造的に発生する問題だと思っています。ですので、これは致し方ない。
なんですけれども、そのまま放置してしまい、ともすると、一般の人々の目には、外国人にだけ優遇をして、かつ一部の大企業だけがもうかってしまうような仕組みをどうも労働のグローバル化のような形でつくっているんじゃないかという懸念を一般の欧米の国民が抱くようになった。これが私はポピュリストの台頭の一番大きな原因ではないかと思っているわけです。
なので、その同じ過ちを繰り返さないためには、この構造があることは致し方ないとしても、これに加えて、できるだけ日本人の労働者が、外国人を受け入れたことによって、自分も働きやすくなった、自分のお給料も上がった、あるいはもっと魅力あるほかの職種にトランスファー、移ることができるようになった、そういうような何らかの労働市場におけるイノベーションといいますか改革というか、そういった仕組みが必要になるんじゃないかというふうに思います。
もう一点は、皆さんが日本人になる必要はないと思うんです。国籍を取得する必要もないと思う。ですけれども、日本で働き日本を発展させることが自分にとっても得だというようなベネフィットの観点から日本で働くことをよしとする外国人が増えていけば、自然と日本の付加価値というものが高まっていくのではないか。
なので、そういった、皆さんがわくわくする方向に経済を伸展させていく、そういうソフト面での拡充というものも必要なんじゃないかというふうに思います。
以上です。
中
中曽根康隆#15
○中曽根委員 ありがとうございます。
外国人が入ってくることによって、日本人もある意味いい刺激を受けて、よりしっかりとした仕事ができる、結果的に経済や社会も発展していくというウィン・ウィンの関係をつくっていくということが非常に重要なんだというふうに思います。
次に、原参考人にお伺いしたいと思います。
なし崩しで、質を問わず、量だけでどんどん外国人を入れてくるというのはなかなかいかがなものかという、大変貴重な、また厳しい御意見をいただきました。私の地元群馬の農業生産法人のいい事例も出していただきまして、ありがとうございます。恐らく、どこのところかは私は頭では分かっておりますけれども。
その上で、まさに新聞の記事にも書かれている選ばれる国、これは岸田総理も小泉法務大臣もよく口にされているキーワードでありまして、間違いなく重要ではあるんですけれども、まさに原参考人がおっしゃっている、その前に自分たちが選ぶことが大事だろうと、この非常に重要な指摘なんですけれども。
さっきもおっしゃったとおりで、国際貢献という建前で、一部の産業界の安価な労働力として外人が入ってきている、ここに欠けていたこの視点、我々が選ぶんだということなんですけれども、ちょっといま一度、これについての真意、来てほしい外国人に来てもらうためにはどういう具体的な方策が必要なのか。
原参考人がおっしゃっていることというのは要するに、我々が選んだ人に選ばれる国になるという、なかなかマッチングが完璧にならないと人が入ってこないという状況になりますので、そういった意味で、労働力が不足しているところを充足できるのかという、ある意味、狭い観点からいえば、そこら辺の問題も出てくるでしょうし、そこら辺をどうお考えか、教えてください。
この発言だけを見る →外国人が入ってくることによって、日本人もある意味いい刺激を受けて、よりしっかりとした仕事ができる、結果的に経済や社会も発展していくというウィン・ウィンの関係をつくっていくということが非常に重要なんだというふうに思います。
次に、原参考人にお伺いしたいと思います。
なし崩しで、質を問わず、量だけでどんどん外国人を入れてくるというのはなかなかいかがなものかという、大変貴重な、また厳しい御意見をいただきました。私の地元群馬の農業生産法人のいい事例も出していただきまして、ありがとうございます。恐らく、どこのところかは私は頭では分かっておりますけれども。
その上で、まさに新聞の記事にも書かれている選ばれる国、これは岸田総理も小泉法務大臣もよく口にされているキーワードでありまして、間違いなく重要ではあるんですけれども、まさに原参考人がおっしゃっている、その前に自分たちが選ぶことが大事だろうと、この非常に重要な指摘なんですけれども。
さっきもおっしゃったとおりで、国際貢献という建前で、一部の産業界の安価な労働力として外人が入ってきている、ここに欠けていたこの視点、我々が選ぶんだということなんですけれども、ちょっといま一度、これについての真意、来てほしい外国人に来てもらうためにはどういう具体的な方策が必要なのか。
原参考人がおっしゃっていることというのは要するに、我々が選んだ人に選ばれる国になるという、なかなかマッチングが完璧にならないと人が入ってこないという状況になりますので、そういった意味で、労働力が不足しているところを充足できるのかという、ある意味、狭い観点からいえば、そこら辺の問題も出てくるでしょうし、そこら辺をどうお考えか、教えてください。
原
原英史#16
○原参考人 ありがとうございます。
まず、どんな外国人に来てほしいのかということを日本の側が、私たちの国の側が明確にするということが重要なんだと思います。どの人たちは来てほしくて、どこからは来てほしくないのかという線引きは、これは実際上、相当難しいと思います。
極端なところで両側を申し上げれば、例えばトップレベルのデジタル人材、AI人材、日本のこれからのデジタル化や発展を牽引してくれるような人ということであれば、相当外国人排斥的な人たちであっても、まあ、それはいいんじゃないかと言われることが多い、一方で、逆の側で、犯罪を起こすような人、これはさすがにやめてくださいというのも、余り反対される方はいないということだと思うんですが、そこの間でどこを線を引くのかというのは、これはもう、それこそ国として、国民的な議論を経て、基本戦略をつくるという中で確定していくべきことだと思います。
ただ、一つ明らかに言えることは、安価な労働力を求めるような企業に外国人受入れを認めない、させないということは、一つの有用な基準になり得るかと思っています。
この発言だけを見る →まず、どんな外国人に来てほしいのかということを日本の側が、私たちの国の側が明確にするということが重要なんだと思います。どの人たちは来てほしくて、どこからは来てほしくないのかという線引きは、これは実際上、相当難しいと思います。
極端なところで両側を申し上げれば、例えばトップレベルのデジタル人材、AI人材、日本のこれからのデジタル化や発展を牽引してくれるような人ということであれば、相当外国人排斥的な人たちであっても、まあ、それはいいんじゃないかと言われることが多い、一方で、逆の側で、犯罪を起こすような人、これはさすがにやめてくださいというのも、余り反対される方はいないということだと思うんですが、そこの間でどこを線を引くのかというのは、これはもう、それこそ国として、国民的な議論を経て、基本戦略をつくるという中で確定していくべきことだと思います。
ただ、一つ明らかに言えることは、安価な労働力を求めるような企業に外国人受入れを認めない、させないということは、一つの有用な基準になり得るかと思っています。
中
中曽根康隆#17
○中曽根委員 ありがとうございます。
いずれにしても、やはり、戦略というものがあった上で、どういった人に来てもらいたいかというのを考える、戦略なくしては、これはちょっと本末転倒になるということはまたよく分かりました。
次に、上林参考人にお伺いしたいというふうに思います。
今回、非常に重要なテーマになっているもう一つのものが、やはり共生社会だというふうに思います。
上林参考人は、昨年書かれた御自身のレポートにおいて、公共政策としての技能実習制度という項目、ちょっと何か、ああっという顔をされていますけれども、それを私、拝読して、すごく納得をしたんですね。どういう労働者をどういう基準でどの業種に、どの地域に配置するかというのは、国の政策としてやはりあるべきだという主張をされていて、さらには、国として、日本語教育とか医療サービスとか住宅提供などの支援を行うべきであると。
要するに、それが人権を守ることにもつながるし、やはり公共政策の一環として制度設計をする、国がしっかりとその役割を果たしていく、先ほどもおっしゃっていた、やはり地方の役割というのが非常に大きいという意味でも、国とか地方とかやはり行政側がちゃんとその外国人の受入れを包括的に受け止めて制度設計をする、これが真の共生社会につながるという話をされていたというふうに思います。
そういった意味で、この公共政策という視点、そしてこの共生社会の実現という意味において、この受け入れる側の企業でも自治体でも、国でもいいんですけれども、その受け入れる側のあるべき姿について何か御意見があれば、是非とも教えていただきたいというふうに思います。
この発言だけを見る →いずれにしても、やはり、戦略というものがあった上で、どういった人に来てもらいたいかというのを考える、戦略なくしては、これはちょっと本末転倒になるということはまたよく分かりました。
次に、上林参考人にお伺いしたいというふうに思います。
今回、非常に重要なテーマになっているもう一つのものが、やはり共生社会だというふうに思います。
上林参考人は、昨年書かれた御自身のレポートにおいて、公共政策としての技能実習制度という項目、ちょっと何か、ああっという顔をされていますけれども、それを私、拝読して、すごく納得をしたんですね。どういう労働者をどういう基準でどの業種に、どの地域に配置するかというのは、国の政策としてやはりあるべきだという主張をされていて、さらには、国として、日本語教育とか医療サービスとか住宅提供などの支援を行うべきであると。
要するに、それが人権を守ることにもつながるし、やはり公共政策の一環として制度設計をする、国がしっかりとその役割を果たしていく、先ほどもおっしゃっていた、やはり地方の役割というのが非常に大きいという意味でも、国とか地方とかやはり行政側がちゃんとその外国人の受入れを包括的に受け止めて制度設計をする、これが真の共生社会につながるという話をされていたというふうに思います。
そういった意味で、この公共政策という視点、そしてこの共生社会の実現という意味において、この受け入れる側の企業でも自治体でも、国でもいいんですけれども、その受け入れる側のあるべき姿について何か御意見があれば、是非とも教えていただきたいというふうに思います。
上
上林千恵子#18
○上林参考人 公共政策と申し上げましたのは、実は、韓国人で日本で研究している方の本から引用したんですが、韓国の雇用許可制度はうまくいっているというふうに言われています。実際、うまくいっているのは、物すごいお金がかかっているんです。ミャンマーとか、あるいはベトナムに事務所を置いて、そこで求人を、求職者を受け付け、そして母国に、韓国に紹介するわけです。
国際機関、ILOや国連は、非常にいい事例だというふうに見たんですが、韓国国内で見ますと、それは特定の素材産業、いわゆるプリインダストリーと韓国語で言うんですが、鋳造や、そういう中小企業の人手不足を補うものであって、そこの業種の人だけが、しかも中小企業の人たちだけが利益を受けているんじゃないかと。政府はどういうふうに説明するかというと、そこの鋳造は、韓国の産業を、リーディングインダストリーとしている自動車産業の基本であるから、この中小企業分野を助けることが韓国全体の経済発展につながるという言い方をしているんです。
そこに、国内で、人材のために、いい人材を獲得するための仕組みそのものを維持していくというところに、業界や企業規模間で利益の相反が起きている、納得ができないということで、じゃ、いい人材を公正に配分していくには公共的な部分が不可欠だと思うんですが、それにはお金がかかります、そのお金を支出することが、利益を直接には受けない人も納得してもらわないと制度維持が難しいなというふうに思って、それで公共政策という言葉を使いました。
以上です。
この発言だけを見る →国際機関、ILOや国連は、非常にいい事例だというふうに見たんですが、韓国国内で見ますと、それは特定の素材産業、いわゆるプリインダストリーと韓国語で言うんですが、鋳造や、そういう中小企業の人手不足を補うものであって、そこの業種の人だけが、しかも中小企業の人たちだけが利益を受けているんじゃないかと。政府はどういうふうに説明するかというと、そこの鋳造は、韓国の産業を、リーディングインダストリーとしている自動車産業の基本であるから、この中小企業分野を助けることが韓国全体の経済発展につながるという言い方をしているんです。
そこに、国内で、人材のために、いい人材を獲得するための仕組みそのものを維持していくというところに、業界や企業規模間で利益の相反が起きている、納得ができないということで、じゃ、いい人材を公正に配分していくには公共的な部分が不可欠だと思うんですが、それにはお金がかかります、そのお金を支出することが、利益を直接には受けない人も納得してもらわないと制度維持が難しいなというふうに思って、それで公共政策という言葉を使いました。
以上です。
中
中曽根康隆#19
○中曽根委員 ありがとうございます。
日本の社会の在り方を大きく左右するこの新制度です。やはり、戦略と、ウィン・ウィンと、そういったキーワードを持って共生社会を実現して、同時に、我が国の発展にもつながる。非常に重要なものですので、引き続き、皆様含めて、有識者の皆さんから御意見をいただいて、ブラッシュアップをしていきたいというふうに思います。
本日は本当にありがとうございました。
この発言だけを見る →日本の社会の在り方を大きく左右するこの新制度です。やはり、戦略と、ウィン・ウィンと、そういったキーワードを持って共生社会を実現して、同時に、我が国の発展にもつながる。非常に重要なものですので、引き続き、皆様含めて、有識者の皆さんから御意見をいただいて、ブラッシュアップをしていきたいというふうに思います。
本日は本当にありがとうございました。
武
平
平林晃#21
○平林委員 公明党の平林晃と申します。
参考人の先生方におかれましては、非常にお忙しい中、国会まで足をお運びいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。おけがの中で、本当にありがとうございます。
私の質問は是川参考人中心にさせていただければと思っておりますけれども、ほかの先生方もどうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず冒頭、選ばれる国なのかそうでないのかというところに関して、ちょっとここを是非、是川参考人にお聞きさせていただきたいと思います。
この点を理解するために、是川参考人は、国際移住が生じるメカニズムが大事であって、経済格差だけでは理解し切れない事象が繰り返し指摘されている、そこを説明できる理論が意欲潜在能力モデルである、このように、私どもの党の講演もしていただいたり、月刊誌にも寄稿していただいたり、そういった中でもお話をしていただいております。
この理論は、要するに、意欲は大事なんだけれども、それとともに、能力、要するに経済的に移住できるかどうかということだと思うんですけれども、この両方の要素が掛け合わさって移住というのが発生するんだと。結局、その掛け合わせた結果、あるピークがあって、そこまでは上るけれども、そこから下がるということをおっしゃっておられる。そのピークが、大体一人当たりのGDP二千ドル、大体約三十万円ぐらいになるまで上昇し、その後は低下する。これは出る方の国の話で、受け入れる方の国に関しては、七千ドルぐらいまでは、例えば日本に来たいということであれば、七千ドル、約百万ぐらいまでは高まる。こんなようなことがこの理論に基づけば出てくる、このように言っておられるわけであります。
この理論に基づくと、今後も日本に向けた外国人労働者は増加し続けて、二〇四〇年には年間百万人に達する、こういうようなことを是川参考人は言っておられて、結論的に、日本は選ばれない国ではなく、今後ますます選ばれる国になっていく可能性が高い、このように言っておられます。
これは本当に、ほかの先生方もそうですし、委員会での、僕の印象もそうなんですけれども、選ばれる国にならなきゃいけないんじゃないか、そういう危惧を持っている中で、少し相反する意見に感じておりまして、この点に関しまして是川参考人の御見識を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →参考人の先生方におかれましては、非常にお忙しい中、国会まで足をお運びいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。おけがの中で、本当にありがとうございます。
私の質問は是川参考人中心にさせていただければと思っておりますけれども、ほかの先生方もどうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず冒頭、選ばれる国なのかそうでないのかというところに関して、ちょっとここを是非、是川参考人にお聞きさせていただきたいと思います。
この点を理解するために、是川参考人は、国際移住が生じるメカニズムが大事であって、経済格差だけでは理解し切れない事象が繰り返し指摘されている、そこを説明できる理論が意欲潜在能力モデルである、このように、私どもの党の講演もしていただいたり、月刊誌にも寄稿していただいたり、そういった中でもお話をしていただいております。
この理論は、要するに、意欲は大事なんだけれども、それとともに、能力、要するに経済的に移住できるかどうかということだと思うんですけれども、この両方の要素が掛け合わさって移住というのが発生するんだと。結局、その掛け合わせた結果、あるピークがあって、そこまでは上るけれども、そこから下がるということをおっしゃっておられる。そのピークが、大体一人当たりのGDP二千ドル、大体約三十万円ぐらいになるまで上昇し、その後は低下する。これは出る方の国の話で、受け入れる方の国に関しては、七千ドルぐらいまでは、例えば日本に来たいということであれば、七千ドル、約百万ぐらいまでは高まる。こんなようなことがこの理論に基づけば出てくる、このように言っておられるわけであります。
この理論に基づくと、今後も日本に向けた外国人労働者は増加し続けて、二〇四〇年には年間百万人に達する、こういうようなことを是川参考人は言っておられて、結論的に、日本は選ばれない国ではなく、今後ますます選ばれる国になっていく可能性が高い、このように言っておられます。
これは本当に、ほかの先生方もそうですし、委員会での、僕の印象もそうなんですけれども、選ばれる国にならなきゃいけないんじゃないか、そういう危惧を持っている中で、少し相反する意見に感じておりまして、この点に関しまして是川参考人の御見識を伺いたいと思います。
是
是川夕#22
○是川参考人 御質問いただき、ありがとうございます。
今の点ですが、おっしゃるとおりでして、現状を申し上げますと、選ばれる国になっているのかなっていないのか、これは定性的評価であってなかなか難しいところはありますが、量的に見てまいりますと、例えば九〇年代からの三十年間を見てまいりましても、アジア諸国と日本の経済格差は著しく縮まりました。にもかかわらず、アジアから日本に来る外国人はむしろ急増しております。これは中国からの移動においても見られる現象です。それを説明するのが、先ほど言及されました意欲潜在能力モデルというものです。
こちらは、移住意欲は経済発展とともに最初はむしろ高まっていく。本当に貧しい状態よりは、少し豊かになる中で海外に行きたいと思うようになる。ただ、それはある程度豊かになると減っていきます。一方、移住能力というのは、経済発展とともに高くなる。この両者が重なったところで実際の移住が起きると考えますと、日本のような先進国に向けた移動は、大体、一人当たりGDPが七千ドルになるぐらいまでは高まり続けるということが、IMF、国際通貨基金の研究によっても明らかになっています。
アジアで日本に多くを送り出している国、現在、一人当たりGDPが千ドル台から四千ドル台ぐらいのところが多うございます。今後成長していきましても、まさに日本に向かう流れが加速する今レーンに乗っている。そういうことを申し上げた次第です。
以上です。
この発言だけを見る →今の点ですが、おっしゃるとおりでして、現状を申し上げますと、選ばれる国になっているのかなっていないのか、これは定性的評価であってなかなか難しいところはありますが、量的に見てまいりますと、例えば九〇年代からの三十年間を見てまいりましても、アジア諸国と日本の経済格差は著しく縮まりました。にもかかわらず、アジアから日本に来る外国人はむしろ急増しております。これは中国からの移動においても見られる現象です。それを説明するのが、先ほど言及されました意欲潜在能力モデルというものです。
こちらは、移住意欲は経済発展とともに最初はむしろ高まっていく。本当に貧しい状態よりは、少し豊かになる中で海外に行きたいと思うようになる。ただ、それはある程度豊かになると減っていきます。一方、移住能力というのは、経済発展とともに高くなる。この両者が重なったところで実際の移住が起きると考えますと、日本のような先進国に向けた移動は、大体、一人当たりGDPが七千ドルになるぐらいまでは高まり続けるということが、IMF、国際通貨基金の研究によっても明らかになっています。
アジアで日本に多くを送り出している国、現在、一人当たりGDPが千ドル台から四千ドル台ぐらいのところが多うございます。今後成長していきましても、まさに日本に向かう流れが加速する今レーンに乗っている。そういうことを申し上げた次第です。
以上です。
平
平林晃#23
○平林委員 ということは、ちょっと更問いで恐縮ですけれども、今後も増えていくと。ほかの、私も含めて持っている、選ばれる国にならなきゃいけないんじゃないかという、その危惧との矛盾というか、そことの整合性というか、そこはどのように考えればよろしいでしょうか。
この発言だけを見る →是
是川夕#24
○是川参考人 ありがとうございます。
選ばれる国になるための努力をするという点について、その方向性は、どの認識から立っても、そこは共通だと思っております。ただ、現状、どこに立っているかというところに関しては、より正確な理解が必要だという意味で申し上げているところです。
ですので、日本がもう選ばれない国になる、経済格差も縮まっていて魅力がないというのであれば、そろそろ誰も来なくなっているはずなんですね。この三十年間、アジアと日本の経済格差が著しく縮まる中で、どんどん減っていって、もう今年、来年あたり来なくなるかなという状況だと思いますが、昨年、一昨年と年間三十万人の在留外国人の増加、過去最高を更新し続けております。
私としては、やはりこれだけ増えている中、選ばれなくなっているという説明をするのは、アカデミアとしては非常に難しいなと思っております。
以上です。
この発言だけを見る →選ばれる国になるための努力をするという点について、その方向性は、どの認識から立っても、そこは共通だと思っております。ただ、現状、どこに立っているかというところに関しては、より正確な理解が必要だという意味で申し上げているところです。
ですので、日本がもう選ばれない国になる、経済格差も縮まっていて魅力がないというのであれば、そろそろ誰も来なくなっているはずなんですね。この三十年間、アジアと日本の経済格差が著しく縮まる中で、どんどん減っていって、もう今年、来年あたり来なくなるかなという状況だと思いますが、昨年、一昨年と年間三十万人の在留外国人の増加、過去最高を更新し続けております。
私としては、やはりこれだけ増えている中、選ばれなくなっているという説明をするのは、アカデミアとしては非常に難しいなと思っております。
以上です。
平
平林晃#25
○平林委員 現状認識が大事ということで、理解をさせていただきました。
続いて、再び是川参考人の御意見に基づきますけれども、質問自体は四人の先生方にさせていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
先ほどちらっと申し上げた寄稿の中で、是川参考人は、先ほどの意見陳述の中にもありましたが、日本は有数の労働移民受入れ国となっていると述べられた上で、今後も更にこういう傾向が強まる、その際、移民社会としての日本の在り方が問われることになるとして、最終的に、外国人を受け入れるということを意味するのではなくて、私たちの社会に内在する課題を改めて見直して、より幅広い人が生きやすくなる社会に変えていく、このことを訴えておられる。これは、対談形式で、リクルートワークスの孫さんという方と話もされていて、孫さんも同じようなことを言っておられて、外国人労働者が活躍できる環境整備を日本の職場や労働市場の問題解決につなげていく、この視点が、外国人労働者、企業、社会それぞれに望ましい状況を実現していく上で重要である、こんなふうにも述べておられまして、これは本当にごもっともだなと感じているところでございます。
ここで皆様にお聞きできればと思っておりますことなんですが、是川参考人もそうなんですけれども、孫さんが、日本の職場や労働市場の問題、このように言っておられるわけです。この表現から、それぞれの参考人が、この部分がやはり該当するんじゃないかと御自身の中でおありであれば、なければなしでいいんですけれども、是非ちょっとその部分を御指摘いただきたいのと、想起される内容に関しまして今後どう対処をしていけばいいかみたいなことも、もしおありであれば、順にお聞きできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →続いて、再び是川参考人の御意見に基づきますけれども、質問自体は四人の先生方にさせていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
先ほどちらっと申し上げた寄稿の中で、是川参考人は、先ほどの意見陳述の中にもありましたが、日本は有数の労働移民受入れ国となっていると述べられた上で、今後も更にこういう傾向が強まる、その際、移民社会としての日本の在り方が問われることになるとして、最終的に、外国人を受け入れるということを意味するのではなくて、私たちの社会に内在する課題を改めて見直して、より幅広い人が生きやすくなる社会に変えていく、このことを訴えておられる。これは、対談形式で、リクルートワークスの孫さんという方と話もされていて、孫さんも同じようなことを言っておられて、外国人労働者が活躍できる環境整備を日本の職場や労働市場の問題解決につなげていく、この視点が、外国人労働者、企業、社会それぞれに望ましい状況を実現していく上で重要である、こんなふうにも述べておられまして、これは本当にごもっともだなと感じているところでございます。
ここで皆様にお聞きできればと思っておりますことなんですが、是川参考人もそうなんですけれども、孫さんが、日本の職場や労働市場の問題、このように言っておられるわけです。この表現から、それぞれの参考人が、この部分がやはり該当するんじゃないかと御自身の中でおありであれば、なければなしでいいんですけれども、是非ちょっとその部分を御指摘いただきたいのと、想起される内容に関しまして今後どう対処をしていけばいいかみたいなことも、もしおありであれば、順にお聞きできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
是
是川夕#26
○是川参考人 ありがとうございます。
簡潔にお答えしたいと思います。
日本社会の内在する問題として今後どうしていくかということですが、例えば、日本の労働市場ということで私がいつも申し上げておりますのが、資格の見える化ということも共通しておりますが、やはり技能の見える化ということです。
外部労働市場、転職市場などが日本は弱いと言われております。これがまさに、例えば、女性が一旦育児等で職業を中断した際に再就職しにくいとか、あるいは、男性の場合であってもライフステージの変化による転職等が難しいとか、そういった問題につながっています。
外国の方を受け入れることによって、我々がある意味暗黙知としていたようなスキル、あるいは内部のルール、こういったものをしっかりと可視化して、共有していく。それは、既にこの社会に暮らす我々にとっても決してマイナスになるものではなくて、むしろ住みやすく暮らしやすくなる、そういったものだと思っております。そういった契機にするということは非常に重要だと思っております。
以上です。
この発言だけを見る →簡潔にお答えしたいと思います。
日本社会の内在する問題として今後どうしていくかということですが、例えば、日本の労働市場ということで私がいつも申し上げておりますのが、資格の見える化ということも共通しておりますが、やはり技能の見える化ということです。
外部労働市場、転職市場などが日本は弱いと言われております。これがまさに、例えば、女性が一旦育児等で職業を中断した際に再就職しにくいとか、あるいは、男性の場合であってもライフステージの変化による転職等が難しいとか、そういった問題につながっています。
外国の方を受け入れることによって、我々がある意味暗黙知としていたようなスキル、あるいは内部のルール、こういったものをしっかりと可視化して、共有していく。それは、既にこの社会に暮らす我々にとっても決してマイナスになるものではなくて、むしろ住みやすく暮らしやすくなる、そういったものだと思っております。そういった契機にするということは非常に重要だと思っております。
以上です。
上
上林千恵子#27
○上林参考人 日本の職場慣行の中で、外国人の方に入っていただいて一番の問題は、問題というか違いは、職種別賃金ではないということで、いずれ賃金が上がっていくということで、大卒も専門技術の人も低いんですね。ところが、長期にあるいは短期に日本に来ようと思う人に、大卒の賃金は国際相場に比べて非常に低いです。
これから高度人材を受け入れるという政策をもちろん政府は取っていますけれども、この人たちを採用していくには、今までの日本社会の賃金格差をどういう形で広げて、広げないと上のトップ層は来ない。
私は、技術開発を中心としている企業に聞きましたら、いや、その人たちを特別に上げると、日本人の技術者の人が意欲喪失すると。じゃ、どうするんですかというと、外国人で採用したい人だけの特別の会社をつくって、賃金体系はまるっきり別にして、それで欲しい人材を獲得するということをやっています。
ですので、今までとは違う、日本人よりも高度の人が来るということを前提にしたときに、賃金格差の問題というのは企業内の問題を超えて大きいのではないかと思っています。
以上です。
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私は、技術開発を中心としている企業に聞きましたら、いや、その人たちを特別に上げると、日本人の技術者の人が意欲喪失すると。じゃ、どうするんですかというと、外国人で採用したい人だけの特別の会社をつくって、賃金体系はまるっきり別にして、それで欲しい人材を獲得するということをやっています。
ですので、今までとは違う、日本人よりも高度の人が来るということを前提にしたときに、賃金格差の問題というのは企業内の問題を超えて大きいのではないかと思っています。
以上です。
岡
岡部みどり#28
○岡部参考人 御質問ありがとうございます。
私が思うところは、今の日本に限らず多くの先進国の問題は、選ばれる国といっても、どんな人にどのように選ばれるかというプロセスのところで、恐らく、労働需要側と供給側の不具合が生じている、たまにはマッチングしないという状況が起こっているということだと思います。なので、定量的分析というのは全体の趨勢を測る上では必要だとは思うんですけれども、それに加えて定性的なところも追っていく必要がある。
一つの例としては、私、去年の夏にブリュッセルで、向こうの経団連に当たるビジネスヨーロッパのところを訪れてインタビューをしてきたんですけれども、向こうには、今、不幸な偶然ですが、ウクライナから多くの人が来ている。彼らは非常に職業能力が高いということで、EUの国に受け入れられやすいということで、今のところは人手不足の解消に役立っていると。
ところで、欧州委員会の側が、いや、ところで、EUにはシリアからの難民も今多くいる、この人たちも何とか労働力として使ってもらえないかというような相談をしたようなんですが、それに対しては、やはり職業訓練コストが非常に高いということで財界側も渋っているようだというような話も伺っています。
ですので、一定の人数がその領域内にいるからといって、それが全て有効な形で生産性の向上につながるかどうかという話は、また分けて考える必要があるんじゃないかなというふうに思います。
以上です。
この発言だけを見る →私が思うところは、今の日本に限らず多くの先進国の問題は、選ばれる国といっても、どんな人にどのように選ばれるかというプロセスのところで、恐らく、労働需要側と供給側の不具合が生じている、たまにはマッチングしないという状況が起こっているということだと思います。なので、定量的分析というのは全体の趨勢を測る上では必要だとは思うんですけれども、それに加えて定性的なところも追っていく必要がある。
一つの例としては、私、去年の夏にブリュッセルで、向こうの経団連に当たるビジネスヨーロッパのところを訪れてインタビューをしてきたんですけれども、向こうには、今、不幸な偶然ですが、ウクライナから多くの人が来ている。彼らは非常に職業能力が高いということで、EUの国に受け入れられやすいということで、今のところは人手不足の解消に役立っていると。
ところで、欧州委員会の側が、いや、ところで、EUにはシリアからの難民も今多くいる、この人たちも何とか労働力として使ってもらえないかというような相談をしたようなんですが、それに対しては、やはり職業訓練コストが非常に高いということで財界側も渋っているようだというような話も伺っています。
ですので、一定の人数がその領域内にいるからといって、それが全て有効な形で生産性の向上につながるかどうかという話は、また分けて考える必要があるんじゃないかなというふうに思います。
以上です。
原
原英史#29
○原参考人 ありがとうございます。
外国人の話とは別に、労働市場改革の議論としても、日本型の雇用慣行とか日本型の会社システムとか、そういった問題は長く取り組まれてきていると思います。
この問題は、外国人を雇うときに実際に現場で問題になることが多々ございます。例えば、能力、実績が十分に反映されないとか、あるいは年功序列がまだ残っていて、三十年たたないと給料が上がりませんとか、これじゃ外国人は困っちゃうわけですね。それからあとは、仕事の範囲が暗黙の合意で決まっていて明確には決まっていないとか、そういった様々な問題が現場レベルでも問題になって、外国人を雇うことに伴って合理化を進めていくというようなことがなされるケースがあります。
これは、こういった外国人を雇うことをきっかけにして、より合理的な仕組みに変えていくということができるとよい課題ではないかと思っています。
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この問題は、外国人を雇うときに実際に現場で問題になることが多々ございます。例えば、能力、実績が十分に反映されないとか、あるいは年功序列がまだ残っていて、三十年たたないと給料が上がりませんとか、これじゃ外国人は困っちゃうわけですね。それからあとは、仕事の範囲が暗黙の合意で決まっていて明確には決まっていないとか、そういった様々な問題が現場レベルでも問題になって、外国人を雇うことに伴って合理化を進めていくというようなことがなされるケースがあります。
これは、こういった外国人を雇うことをきっかけにして、より合理的な仕組みに変えていくということができるとよい課題ではないかと思っています。