内閣委員会

1958-10-23 衆議院 全134発言

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会議録情報#0
昭和三十三年十月二十三日(木曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 内海 安吉君
   理事 岡崎 英城君 理事 高瀬  傳君
   理事 高橋 禎一君 理事 平井 義一君
   理事 前田 正男君 理事 飛鳥田一雄君
   理事 受田 新吉君 理事 木原津與志君
      今松 治郎君    植木庚子郎君
      小金 義照君    始関 伊平君
      田村  元君    富田 健治君
      橋本 正之君    船田  中君
      保科善四郎君   茜ケ久保重光君
      石橋 政嗣君    柏  正男君
      中原 健次君    西尾 末廣君
      八木  昇君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  岸  信介君
        国 務 大 臣 左藤 義詮君
 出席政府委員
        内閣官房長官  赤城 宗徳君
        内閣官房副長官 松本 俊一君
        法制局長官   林  修三君
        憲法調査会事務
        局長      武岡 憲一君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 三郎君
    —————————————
十月二十一日
 寒冷地手当増額に関する請願(猪俣浩三君紹
 介)(第七八九号)
 同(北山愛郎君紹介)(第七九〇号)
 同(櫻井奎夫君紹介)(第七九一号)
 同(下平正一君紹介)(第七九二号)
 同外二件(中澤茂一君紹介)(第七九三号)
 同外一件(山中吾郎君紹介)(第七九四号)
 同外一件(山本猛夫君紹介)(第七九五号)
 同(北山愛郎君紹介)(第八六八号)
 同(羽田武嗣郎君紹介)(第八六九号)
 同(柳谷清三郎君紹介)(第八七〇号)
 寒冷地手当及び薪炭手当増額に関する請願(堂
 森芳夫君紹介)(第七九六号)
 北海道の寒冷地手当及び石炭手当増額に関する
 請願外四件(永井勝次郎君紹介)(第七九七
 号)
 同(正木清君紹介)(第八七一号)
 建国記念日制定に関する請願(倉成正君紹介)
 (第七九九号)
 同(相川勝六君紹介)(第八五七号)
 恩給法等の一部を改正する法律の一部改正に関
 する請願(相川勝六君紹介)(第八六一号)
 同(櫻内義雄君紹介)(第八六二号)
 同(保科善四郎君紹介)(第八六三号)
 旧軍人関係恩給の加算制復元に関する請願(福
 井盛太君紹介)(第八六七号)
 岩手県の寒冷地手当引上げ等に関する請願(山
 本猛夫君紹介)(第八七二号)
の審査を本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 憲法調査会法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一号)
     ————◇—————
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内海安吉#1
○内海委員長 これより会議を開きます。
 憲法調査会法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。前田正男君。
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前田正男#2
○前田(正)委員 この際総理に対しまして、おもに防衛関係の問題について、数点にわたって質問させていただきたいと考えております。
 まず第一に、過般来問題になっておりますNBCのブラウン記者との会談に対しまして、総理大臣は、憲法九条の廃止というようなことは言明しなかった、こういうふうに言っておられるのでありますけれども、かくのごとき九条とかなんとかいう具体的な改正の事項については、政府においては、せっかく憲法調査会というものが検討中でありますので、私は、当然その憲法調査会の意見を聞いてから総理としても検討されるべきものではないか、こういうふうに考えるのであります。総理の御意見を一つ伺いたいと思います。
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岸信介#3
○岸国務大臣 もちろん憲法改正の問題は重大な問題でございますから、すでに憲法調査会が設けられ、その改正の要否や、改正するとしてどういうふうにするかというような点に関しまして、慎重に審議をいたしておるわけであります。結論は、その審議の結論を待って処置するべきものであることは当然であります。
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前田正男#4
○前田(正)委員 次に、今回問題になっております安保条約の改正問題は、憲法の改正とは全然無関係である、こう思うのでありますけれども、一部の反対論者の中には、安保条約の改正やあるいは今度の警察官の職務執行法の改正は、戦争準備、憲法改正のために政府が努力しているように、ためにせんとする故意の誤まった議論が述べられておるように思うのであります。従いまして、この際総理の明確な所信を御表明願いたいと思うのであります。
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岸信介#5
○岸国務大臣 憲法改正の問題につきましては、すでに憲法が施行されましてから十年余になりまして、この間においていろいろと国内においても議論のあることは御承知の通りであります。従ってこれに対して慎重に有識者の意見をまとめ上げるという意味におきまして、調査会がすでに発足して、これは安保条約の改正とか警職法の改正とかいうこととは関係なしにスタートしておることは、御承知の通りであります。この問題はこの問題として、日本として非常に重大な問題として、われわれは十分な審議をし尽して慎重に処置すべき問題である、こういう見地から、憲法改正の問題が審議の対象となっておるわけであります。しこうして今回の警職法の問題は、もちろん全然別個の問題でありまして、われわれは警察法に定められておる警察官の本来の職務を最も正当に遂行するにはどうしたらいいかという見地から、これの改正を考えているのであります。また安保条約の改正の問題につきましては、これまたこれが成立した当時の事情と今日の事情が非常に変っており、非常に一方的な規定になっておる今の安保条約を、できるだけ平等の見地から、対等の見地から考えるべきであるということは、これまた日本国民の一つの願いであって、われわれとしてはかねて研究をし、アメリカにわれわれの考え方を述べてきておった問題でありまして、これらが何か関連しなにしておるというふうに私は考えるべきものではない、こう思っております。
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前田正男#6
○前田(正)委員 ただいまの御説明で明瞭になったように思うのであります。
 それでは次に、安保条約の改正問題について今言及されました。これは今回自主的、双務的にしよう、こういうふうに言っておられるようでありますけれども、そういうことの意味は、国際連合憲章の第五十一条における——日本とアメリカは、日本の防衛について集団的自衛関係である、こういうふうにしようという意味であるのか。すなわちそういうことは、在日米軍は日本の安全のためには当然義務を負う、言いかえれば安全保障条約的な意味を持たす、こういうようなことを今回は双務的ということであるいは自主的ということで表わそうとしているのか、その考え方をお聞かせ願いと思います。
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岸信介#7
○岸国務大臣 われわれがこの安保条約を論議する場合におきまして、その
根拠としては国連の憲章の今おあげになりました条文が根拠になると思いますが、ただ他の場合と非常に違うことは、日本の憲法が持っておるところの一つの特殊性であります。従ってわれわれが平等の立場であるとか、対等であるとか、あるいは相互援助であるとかいうふうな考え方を取り入れるとしましても、日本国憲法の制約というものが大前提になるわけであります。これは動かすべからざる一つの前提になるわけであります。この点をアメリカ側と今度の話を始めますにつきましても十分われわれは主張し、その点についての完全な了解のもとにあらゆる対等性、あるいは双務的な問題あるいは相互援助の問題をこの前提の範囲内において考えていく、こういうことでございます。
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前田正男#8
○前田(正)委員 今のお話によりますと、結局これは、現在の安全保障条約において、まず第一にアメリカ側は日本を防衛する義務というもの、安全に対する保障という義務は明確である、在日米軍を使用することができるというふうに書いてあるのでありますが、今度は当然使用される、こういうふうに、すなわちアメリカ側においては日本を守る義務があるというふうにまず第一になってくるのかどうか、そこを一つ明らかにしていただきたいと思います。
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岸信介#9
○岸国務大臣 いろいろな点が論議になりますが、今御質問になりました日本防衛の点について、現行の安全保障条約であっては、アメリカの一方的な権利というか、一方的な考えになっておって、義務を負うておらないという状態になっておりますが、今後結ばれる新しい条約におきましては、その点は、やはり日本を防衛するアメリカが義務を負うということを明確にする必要があると思います。
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前田正男#10
○前田(正)委員 それで明らかになりました。
 次に、その在日米軍は、やはり従来の安保条約にあります通り、日本に対する防衛の義務と同時に、極東の平和と安全のためにも使用されるというふうにもなってくると考えられるのでありますが、もしそういう場合に、双務性ということから言いますと、日本は日本の軍事基地を提供する、こういうことで双務性ということは成り立つと思うのであります。しかしそういう場合には、当然日本は報復攻撃を受けて、日本の安全を守るという立場から、報復攻撃を受けますと、自動的に日米安全保障条約が発動されて、紛争に巻き込まれるという可能性もあると思うのであります。こういうふうなことで、そういう心配があるということからいろいろ議論があるようでありますけれども、しかしながらそういうふうなおそれがある在日米軍は、従来同様極東の平和と安全を守るためにも使われるということがありましても、やはりこの際日本の安全を守るためには、安保条約というものを改定して作っていく必要があるのではないか、私はこう考えるのであります。こういう点についても総理の御意見というものがありましたら一つお伺いしたいと思います。
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岸信介#11
○岸国務大臣 今日の日本の安全を保障していく、われわれが他から絶対に侵略を受けない、そしてわれわれの理想を追求していく、平和な生活ができるように安全を保障するということを考えてみますと、一国だけの力でもって完全にそれができないのが現在の国際情勢であり、また日本の実際のなにであると思います。そこにおいてわれわれとしては集団的な防衛の態勢を作っていかなければならぬ。一部の人には、そういう情勢のもとに一切の防衛力を持たずに、中立の立場を宣言すればいいではないかというような見解もありますけれども、私どもはその見解はとらない。それは国際の現在のこの事実は、そんななまやさしい事実ではないという見地に立っておるわけでございます。そうなりますと、そういう集団的な安全保障の立場に立って日本の安全をわれわれは維持していく、そして国民が安心しておれるという安全感を持たせるということが、政治の一つの要諦であります。そのために集団的な防衛態勢をとることが必要であり、その集団的な防衛態勢においては、できるだけ自主的な、また日本も独立国としてこれらの集団的な安全を確保する場合の、相手国に対して対等の地位を持とうという見地に立ちますと、私は、ある程度の日本の責任というものはやはり自覚し、これに対してはわれわれは向っていってその責任を果すという決意も必要だと思います。そこに今お話のような、一方においてはアメリカは日本を防衛する義務があると同時に、われわれがこの基地を提供する。これは現在においても提供しておるのは事実であります。現在以上にわれわれがこの危険にさらされるということではないと思います。ただそれを日本国民が自覚して、責任の上に立ってやるというところに、新しい条約の対等性なり自主性というものがあり得るのだ、こう思っております。
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前田正男#12
○前田(正)委員 今総理の決意によりまして、集団安全保障に対しますお考えとか、日本の義務とか決意というものが明瞭になったと思うのでありますが、ただこの安全保障条約につきましては、個々にいろいろと条約上の問題で交渉をしておられるようであります。しかし私は、その個々の条約上の問題は外交の問題でありますから、あまりこの際深く立ち入って質問をいたしたいとは思いませんけれども、ただ安全保障条約の改正というような問題は、単なる外交の折衝の問題ではありませんで、その内容というものは、わが国の国防の長期にわたる大方針をいかにするかということが、この条約の交渉の中心であると思うのであります。すなわち例をあげて申しまするならば、たとえば日本におきますところの全面戦争の場合はどうだとか、あるいは局地戦争の場合はどうだとか、あるいは間接侵略を伴う内乱の場合はどうだとか、こういうような国防の大方針というものが明らかにならなければ、この外交の折衝は進めにくいのではないか、こう思うのであります。過日われわれの党におきましても、外交部会、国防部会の合同会議を開きました。そのときの結論といたしましても、こういう外交折衝に対しては、ぜひ国防の長期の大方針というものを早く固めて外交折衝に入るべきではないか、それがために、政府には国防会議というものがあるわけでありますから、この機会に国防会議を開くなり、あるいは国防会議の議員の懇談会を開くなりいたしまして、この方針というものをよく検討されて外交の折衝に臨むべきではないか、こういうことがこの間の合同部会の結論でありました。私もその代表として総理に、こういうふうな会議を早く開かれて、あるいはまた懇談会でも開いて、そうして早く日本におきます国防の長期にわたる大方針というものをきめて外交折衝に移られる、こういうようなお考えがあるかどうかをお聞きしたいと思います。
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岸信介#13
○岸国務大臣 日本の国防の根本方針につきましては、すでに昨年国防会議におきましてその基本方針をきめております。またこの防衛力の増強につきましても一つの計画をわれわれは立てております。私は一応これによって日本の国防方針というものは決定されておると思いますが、さらにこういう問題は、いろいろな国際情勢の変更なり、あるいは重要なる国策を遂行し樹立するという場合におきまして、常にその問題に振り返ってみる必要がある問題である。従いまして今後安保条約の改定の問題に関しましても、十分そういう点を頭に置き、これを進めていかなければならぬことは言うを待ちません。適当な方法におきまして、十分国防の根本方針と安保条約の改定の問題というものを調和せしめ、一致せしめるように努めるつもりでおります。
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前田正男#14
○前田(正)委員 今総理が言われました国防の方針というものは、なるほど国防会議で一応きめておられますけれども、この条約改定に伴うところの具体的な国防の大方針というものが出てくる。たとえば適用範囲をどうするとか、あるいは事前協議をどうするとか、いろいろ具体的な問題が出てくると思うのでありますが、こういうものを単なる外交折衝ではなくして、やはり国防の基本方針に基くところの国防の大方針というものを考えてやっていただかなければならぬと思います。それがためには、今適当な方法ということを言っておられましたけれども、せっかく国防会議があることでありますから、ぜひ早期に開催して政府としての意見をきめて進んでいただきたいというのが、これはわれわれ党側のみな一致した希望でありますので、お考え願いたいと思います。
 次に総理にお聞きしたいと思います点は、日本は当然自衛権を持っておりますので、防衛の責任を持っております。それがために国力に応じて自衛力も増強すべきでありますけれども、財政上の問題もあって、初めに総理が言われましたような計画通りになかなか増員ができていないのであります。また昨年総理がアメリカに行かれましたときのお話の関係もあって、アメリカの陸兵は現在ほとんど日本から撤退しておる、こういうような状態でありまして、この際日本が責任を持っております自衛の立場から、だんだんと責任がふえてくるばかりじゃないかと思うのであります。ところが現在の防衛庁はどういうふうになっているかといいますと、これは単なる総理府の外局でありまして、外局としての権限以外は持っておりません。従いまして自衛隊を育成し維持し管理するという責任、こういうものは不明確でありますし、また同時に非能率的であります。この際私たちはぜひこれを独立の省にいたしまして、もっと明確な責任を持たせ、それからだんだんふえてきますところの責任体制を合理的にするために、来年度から省に昇格すべきではないか、こういうふうな考え方でありますが、総理はいかにお考えであるか。
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岸信介#15
○岸国務大臣 行政機構の問題につきましては、すでに政府部内にその委員会を作り、また自由民主党内におきましても、この問題を取り上げて特に研究いたしております。私は行政機構改革の問題の方針として、できるだけ簡素な形で責任を明確にし、能率を上げるような意味において、現在の行政機構全般についての検討をこれらの機関にお願いしております。その結論を待って、行政機構の問題には手を触れたいと実は思っております。今の防衛の点に関して、現行の制度の上におきましてもいろいろな欠陥があることも私承知いたしております。しかし今直ちにそういうものを別の省に独立せしめてこれをやるということが、果して行政機構全般から見て適当であるかどうかということは、もう少し私は検討いたしたい、こう思っております。
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内海安吉#16
○内海委員長 前田君、あと三分ばかりで制限時間が参ります。
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前田正男#17
○前田(正)委員 士気の高揚という点から、ぜひお考えを願いたい。時間も迫っておりますので、最後の質問を一つしておきます。これで質問を打ち切りたいと思います。
 最近ソ連は、いろいろな情報によりますと、極東にミサイルの基地を作ったり、あるいは核兵器を持ち込んできておるというようなうわさもございます。また核兵器を持ったところの潜水艦とか軍艦等の配置もしておるというようなうわさもあるのでございます。また八月二日の人民日報によりますと、中共の、名前はむずかしいのでありますけれども、副総理の方が、中共は核兵器及びロケットの技術を修得するというふうな記事も人民日報に載っておるのであります。またこれはうわさでございますけれども、中共はソ連の援助で核武装をするというようなことも出ておるのであります。こういうふうに日本をめぐりますところの情勢において、核武装をされていくというふうな形勢が非常に強いのでありますが、総理はかねてから日本は核武装をしない。核兵器の持ち込みをしないというふうな考えを持っておられまして、われわれの党もこれには賛成でありますけれども、しかし日本をめぐる情勢が緊迫して参る、こういうふうなことでありますと、日本の近辺を初め世界の核武装の廃止という、総理がかねてから努力しておられることが、なかなかむずかしいような情勢になっておるのであります。そこで総理とされましては、かねてからのお考えのように、この日本の近辺とか世界の核武装を廃止することについて、今後どういうふうな所信で進まれようとしておるか、これを最後に質問いたしたいと思います。
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岸信介#18
○岸国務大臣 核武装の問題、核兵器の問題につきましては、すでに御承知のように私は日本の自衛隊を核武装しない、また核兵器の持ち込みはこれを認めないという方針を言明いたしております。これを貫くつもりであります。同時にその前提として、この原子力というものは人類の平和のために用いらるべきものであって、これを破壊兵器に用いることは人類の不幸であり、また考えようによっては滅亡を意味するものであるがゆえに、これを世界の良識に訴えて禁止すべきものであるという考えのもとに、あるいは核実験の停止の問題、あるいは核兵器の製造、使用、貯蔵をやめる問題について、あらゆる機会を通じて私は世界に訴えて参っております。最近の情勢から見ますると、あるいはジュネーヴ会議における探知機構の問題に関する専門家会議の問題、さらに大国の間における核実験の停止の問題に関する会議が開かれようとしておる。また国際連合におけるところの今回の総会におきましても、この問題に関して日本は独自の立場から核兵器の、今私の申し上げた理想を実現するような決議案を出そうとして、いろいろ研究をいたしております。こういうようなあらゆる方面を通じて、今後といえども私は熱心にわれわれの考えを世界に訴えたいと思っております。そして国際的条約の力によって、これが停止されるようにいたしたい、今後とも努力するつもりであります。
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内海安吉#19
○内海委員長 次は石橋政嗣君。
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石橋政嗣#20
○石橋(政)委員 非常に時間が限られておりますので、簡潔にお伺いいたします。
 先日総理がブラウン記者と会談をなさいました。その内容というものは国民に非常に大きな衝撃を与えておるわけです。それはまず第一に金門、馬祖を中心にして大きな紛争が起っておる時期であり、それからまた現在安保条約の改定の話し合いを進めておられる時期である。こういうときにああいう会談の内容が発表されたということで、どうしても結びつけて考えざるを得ない、そういう点から非常に危険なものを感じておるわけであります。会談の内容については総理が全面的に否定されておりますので、この点は今後さらに追及されなくちゃならない問題だと私ども思うわけでありますが、総理が、少くとも国民の面前において総理大臣として、自分は憲法改正論者であるということを強く示したのは、今度が初めてじゃないかというように私どもは印象を受けているのであります。こういった安保条約の交渉の時期において、ことさらに憲法改正という問題を大きく打ち出したところに、やはり一つの意図があったのじゃないかと私ども思うわけであります。それはどういうことかといえば、われわれ社会党といたしましてはもちろん安保条約を全面的に解消しろ、こう言っているわけでありますが、政府与党といたしましては、そういうことは現在困難である、少くとももう少し自主性のあるもの、あるいは双務性を強く出す、そういう意味での改定をやろうということでやっているのだけれども、これには一つのワクがはまってくるわけであります。どういうワクかというと、現行憲法のワクがはまってくる。アメリカにもヴアンデンバーグ決議といったようなワクがある程度あるようでありますが、そういう意味で改定交渉をやっていく場合には、何としても最大の制約を受ける現行憲法があるというところに問題がひそんでいるのであって、そこで憲法改正の必要性を十分自分たちは痛感しており、それもやりたいということをアピールすることによって、何らか有利な形でこの交渉を進めようというような、そういう意図があったのじゃないかというようにすら考えられるわけでございますが、この点はいかがでございますか。
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岸信介#21
○岸国務大臣 私が憲法改正論者であることは、しばしばいろいろな機会に私に質問が発せられ、またそういうことを答弁して参っております。しかしこれはもちろん、先ほど申しましたように私が憲法改正論者であるということで、私の意思でどうすることのできる問題でないことは言うを待ちませんので、憲法調査会という権威ある調査会を作って検討させております。また憲法にそれぞれこれの改正するに必要な詳細な規定が設けられておりますから、こういうことを考えてみるというと、私がそういうことを申したからといってそれがすぐ実現するものでないので、そういうある種の意図を持って何かするというようなことはもちろんないのであります。私は、従来私が公けの場所その他においてお答えしていると同様なことを申しただけでありまして、別に特殊の意図を持って発言したわけでは全然ないということを明確に申し上げます。
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石橋政嗣#22
○石橋(政)委員 今も申し上げたのですが、日本側の立場は、この改定交渉に当ってあくまでも自主性と双務性を確保するにあるのだ、こういうことになりますと、時間がございませんから私の方で指摘いたしますが、具体的な問題の提起の仕方としては、大体六つばかりあるのではないかと思います。まず第一に米軍の平時駐留をやめさせることができれば一つの進歩であります。それから日本国内における内乱騒擾に米軍をわずらわさないということが明確になるということも一つの進歩でありましょう。それから核装備を含めまして、装備とか配備とかいうような問題について、すべて事前に日本側と協議をする態勢をとられる、しかもこれは権威のある日本側の拒否権のような形のものでなければならない、こういうことが生かされてきても一つの進歩になるでしょう。それから在日米軍の使用、これは従来日本区域における使用の場合には事前協議をなすようなことになっているようですが、これをさらに広げて、あらゆる場合に在日米軍の使用はこれまた事前に日本政府と協議してもらいたい、こういうことが生かされてくることも一つの進歩でしょう。それから条約に期限を設ける、これも一つの条件であり、もう一つは今の条約で不明瞭でありますところの米軍による日本防衛の義務をはっきりさせるということも一つの方法でございましょう。洗っていきますと大体こういうふうな要求が日本側から出されてこなくちゃならぬ。自主性を確保しよう、双務性を確保しようということになれば、今指摘したような問題が当然日本側から提起されておると私は理解いたします。さらにそのほかにもございましたら、ここではっきり国民の前にお示しを願いたいと思うわけであります。それが第一点でございます。
 ところで日本側から、以上私が申し上げたようなことを、あるいはそのほかにあるかもしれませんが、そういうようなものが持ち出されて参りますと、今度はアメリカの側から逆に、それではあまり日本側に都合がよ過ぎるじゃないか、こういう逆の提案がなされてくることも想像できるわけです。そうしますと、米側ではそういうことを日本側が持ち出していけば、当然どんな問題を持ち出してくるだろうかということを考えなくてはなりません。そしてそれについての政府の見解をやはり聞いておかなくては、安心がいかぬと実は私は考えるわけです。そこで考えてみるわけですが、アメリカがそのかわりにそれではおれたちの方も要求があると言って持ってくる第一の問題は何だろうか、こう考えていった場合に、やはり共同防衛地域を広げる、防衛の範囲を広げる、こういう問題になってくるのじゃないか。この点についても、総理のブラウン記者との対談の内容、あれが事実であるとするならば、非常に広げられるおそれがあるような感じがするわけです。ひょっとしたら、台湾や韓国にまで広げられるのじゃなかろうかというような気持もするわけですが、これは憲法上の制約もありますし、なかなか困難だということにもなるかもしれませんけれども、最小限度見積った場合に、沖縄と小笠原を共同防衛地域に指定いたしまして、この地域における攻撃は、日本に対する攻撃とみなすという、かつての総理の言明があるのを幸いに、これを共同防衛地域の中に含めていってもらいたい、こういう強い要求が出てくるのじゃないか。昨日の外務委員会におきます藤山外務大臣の答弁を聞いておりましても、あるいは適用範囲というものが広げられて、沖縄、小笠原が含まれる可能性なきにしもあらずというような答弁がなされておるのでございますが、これは私ども非常に重大だと思う。なぜ重大かといいますと、まず第一に、今アメリカは韓国との間に相互防衛条約を持っている。それから台湾との間に持っている。これと同じような形が今度は日本との間にとられる。そういたしますと沖縄というものをかなめにして、実質的ないわゆるNEATO結成というものに発展していく。沖縄が攻撃された場合には、韓国もみずからの国が攻撃されたものと考え、台湾もそう思う、日本もそう思う、こういうような形になってくる。直接沖縄に攻撃が先にきたのではなくて、かりに韓国に攻撃が加えられる、台湾に攻撃が加えられる場合にも、結果的には沖縄から米軍が動き出した場合には、ここが攻撃されてきて、実質的にまた日本も共同防衛という立場で動かざるを得ないような状態になってくる。これでは日・韓・台の三国の間に一つの条約機構というものが作られたと同じ働きをなす。今まで総理は再三否定しておられたけれども、かりにNEATOというものが作られなくても、今言ったような意味で沖縄を含めた共同防衛地域でもって、そういう日本とアメリカの間の相互防衛援助条約というものが作られれば、NEATOが作られることと一つも変らぬじゃないか、これが第一なんです。これにわれわれは危険を感ずるわけです。
 それから第二は、これも総理の従来の発言をお聞きいたしておりますと、核兵器は絶対に日本の自衛隊は持ちません、在日米軍にも持ち込みません、こう言ってきておるけれども、沖縄については事前に相談がない限りやむを得ない、これはどうすることもできないという言明をあえてしておられる。そうしますと共同防衛地域に沖縄が含まれてきたときに、ここに核兵器が来ておる。今後来るというような事態になって参りましたら、従来の政府の核兵器持ち込み反対、核装備反対という基本線がぐらついてくる。大きな問題をあげてみただけでも、この二つの問題で非常に重大な影響を与える。ここに国民の最大の関心と危険だという気持があるわけでございますが、一体アメリカがこの沖縄、小笠原というものを共同防衛地域に入れてもらいたいと言ってきたときに、これをはっきりとお断わりするつもりであるかどうか、ここのところを一つ明確に日本政府の態度を明示して、国民の不安を一掃してもらいたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
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岸信介#23
○岸国務大臣 今日まだ安保条約の問題につきましては、藤山・ダレス会談において基本的に日本の自主性と対等性を持った、できるだけ双務的なものにする。ただしそれは日本憲法の制約の範囲内である。こういう基本の話が藤山・ダレスの間にまとまりまして、その具体的な話は東京で交渉しようということで、昨日まで二回の会見をいたしております。まだ具体的の内容にまで入っておりません。今おあげになりました諸点につきましては、これはやはり話し合いの題目になる問題であると私は思っております。そうして特に適用範囲といいますか、防衛の範囲といいますか、沖縄、小笠原を入れるか入れないかということは、きわめて重大な意義を持っていると思います。今一面の理由を石橋委員が御指摘になりました。そういう点も頭に置いて考えなければならぬと思います。同時にわれわれ自身がここに潜在主権を持っているところであります。アメリカも、私とアイゼンハワー大統領との共同コミュニケにおいて再確認をいたしております。沖縄住民の人々が祖国日本と運命をともにする。そういう強い決意を表明されていることも頭に入れて考えなければなりません。これらを十分慎重に検討して、今後の交渉をしたいと思っておりますが、今日の段階におきまして今おあげになりました点について、私がまだ意見を申し上げる時期でない、かように思っております。
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石橋政嗣#24
○石橋(政)委員 それはおかしいと思う。総理は憲法上の制約があるということをはっきりおっしゃっている。現在沖縄、小笠原の施政権に全部アメリカが持っている。こういう形の地域を日本が共同防衛の建前をとらなくてはならない地域に含まれて、憲法上をそれでいいのだろうか、こういう疑問を私どもは持っている、総理が、それは憲法上差しつかえございませんとおっしゃるならば別でございますが、その点支障はないというふうにお考えになっているのですか。
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岸信介#25
○岸国務大臣 私は防衛の範囲としてそういうものがかりに拡張されたといたしましても、憲法そのものの規定というものの問題はもちろんあると思いますが、それを憲法上、当然入れることのできない憲法であるというふうには、私は解釈いたしておりません。もし何らかの共同行為がとれるようなことになりますならば、アメリカがそれだけ施政権を引っ込ませて日本に返すという問題につながる問題であって、憲法上これを入れることはできないというふうには、私は解釈いたしてはおりません。
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石橋政嗣#26
○石橋(政)委員 そこが重要なんです。私どもは沖縄、小笠原は全面的にこの際施政権を返還してもらえ、こういう要求をこそ強く出すべきだ、こういう主張をいたしているわけであります。本年三月の本委員会における岸総理の答弁を聞いてみましても、そこにちょっと微妙なものがあるように感じるわけです。施政権を全部アメリカが持っているから、沖縄に対する攻撃は日本に対する攻撃とみなしても、直ちにそれだけをもって日本の自衛隊が出かけて行って守ることはできない。かりにその一部でも日本が持っておれば別だけれどもと言わぬばかりの答弁をされている。私はここに今度の交渉のねらいがあるのではないか。たとえば一つの例でございますが、アメリカが施政権のほんの一部、たとえば教育権といったものですが、そたでは日本に返そう、施政権の一部を日本に返すのだから、共同防衛地域にしてもいいじゃないか、こう提案をするのではないかと実は考えているわけではございまいますが、そういう場合ならば、自衛隊も出て行って守っていい、こういうお考えなのでございますか。
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岸信介#27
○岸国務大臣 私は沖縄及び小笠原については、かねてお答えをいたしておるように、日本が潜在的主権を持っておる。そうして施政権は条約によってアメリカにまかされておる、こういう状況が今沖縄、小笠原についての法律的の地位であると思う。しこうして問題は、この防衛に関してアメリカと日本との条約によりまして——もちろんその条約の内容にもよりますけれども、アメリカが日本の行動というものを沖縄、小笠原で認めるということになれば、それだけの範囲内において、アメリカがすでに施政権についての——施政権というものは全体の包括だと思うのです。教育権とかなんとかいう問題でなしに、そういう範囲内において日本に施政権を返してくれる、日本の施政権を認める、こういうことに法律的には解釈すべきものであると思います。
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石橋政嗣#28
○石橋(政)委員 そこのところがはっきりわからないのですが、共同防衛地域として指定されても、憲法上何ら差しつかえないような条件というものは何なんですか。
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岸信介#29
○岸国務大臣 憲法上に認められている自衛権という本質は、これは独立の国家として、国民及び主権の及ぶ範囲内におけるところのものに対して、われわれがみずから守るということであると思います。しこうしてこの潜在主権が認められておりますけれども、それだけでは今までのところ施政権が全部包括的に他にまかされておるわけですから、自衛権の範囲にいかないということになると思います。しかしながらこの条約において、施政権を渡しているということは、日本とアメリカとの条約によってできているわけですから、その条約上のアメリカの持っている権利を、新たな条約でもって日本にこれを譲るといいますか、日本に返すといいますか、するならば、その範囲内においては私は日本の自衛権というものが及んでいくのだ。これを認めるということをアメリカの方ですれば、それだけわれわれの自衛権の範囲が広がっていく、こういうふうに解釈すべきものであると思います。
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