予算委員会

1962-08-27 参議院 全308発言

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会議録情報#0
昭和三十七年八月二十七日(月曜日)
   午前十一時開会
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  委員の異動
 八月二十四日
  辞任      補欠選任
   小柳  勇君  武内 五郎君
 八月二十五日
  辞任      補欠選任
   小林 篤一君  林   塩君
 八月二十七日
  辞任      補欠選任
   吉江 勝保君  豊田 雅孝君
   武内 五郎君  小柳  勇君
   向井 長年君  村尾 重雄君
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  出席者は左の通り。
   委員長     木内 四郎君
   理事
           大谷藤之助君
           川上 為治君
           平島 敏夫君
           米田 正文君
           藤田  進君
           松澤 兼人君
           小平 芳平君
           田畑 金光君
           大竹平八郎君
   委員
           井上 清一君
           太田 正孝君
           加藤 武徳君
           木村篤太郎君
           草葉 隆圓君
           小林 英三君
           小林 武治君
           小柳 牧衞君
           小山邦太郎君
           古池 信三君
           後藤 義隆君
           郡  祐一君
           斎藤  昇君
           杉原 荒太君
           鈴木 万平君
           館  哲二君
           豊田 雅孝君
           松野 孝一君
           安井  謙君
           湯澤三千男君
           稲葉 誠一君
           亀田 得治君
           小柳  勇君
           戸叶  武君
           豊瀬 禎一君
           成瀬 幡治君
           羽生 三七君
           山木伊三郎岩
           吉田 法晴君
           鈴木 一弘君
           村尾 重雄若
           林   塩君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   内閣総理大臣  池田 勇人君
   法 務 大 臣 中垣 國男君
   外 務 大 臣 大平 正芳君
   大 蔵 大 臣 田中 角榮君
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
   厚 生 大 臣 西村 英一君
   農 林 大 臣 重政 誠之君
   通商産業大臣  福田  一君
   運 輸 大 臣 綾部健太郎君
   郵 政 大 臣 手島  栄君
   労 働 大 臣 大橋 武夫君
   建 設 大 臣 河野 一郎君
   自 治 大 臣 篠田 弘作君
   国 務 大 臣 近藤 鶴代君
   国 務 大 臣 志賀健次郎君
   国 務 大 臣 宮澤 喜一君
  政府委員
   内閣官房長官  黒金 泰美君
   内閣法制局長官 林  修三君
   総理府総務長官 徳安 実蔵君
   経済企画庁調整
   局長      山本 重信君
   外務省欧亜局長 法眼 晋作君
   外務省経済局長 関 守三郎君
   外務省条約局長 中川  融君
   大蔵省主計局長 石野 信一君
   大蔵省主税局長 村山 達雄君
   大蔵省銀行局長 大月  高君
   大蔵省為替局長 村上  一君
   文部大臣官房長 宮地  茂君
   文部省社会教育
   局長      斎藤  正君
   厚生大臣官房長 熊崎 正夫君
   農林大臣官房長 林田悠紀夫君
   食糧庁長官   大沢  融君
   通商産業省企業
   局長      佐橋  滋君
   通商産業省鉱山
   保安局長    八谷 芳裕君
   運輸省海運局長 辻  章男君
   郵政省郵務局長 佐方 信博君
   建設省河川局長 山内 一郎君
   建設省住宅局長 関盛 吉雄君
   自治省選挙局長 松村 清之君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  説明員
   総理府特別地域
   連絡局長    大竹 民陟君
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 本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○予算の執行状況に関する調査
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木内四郎#1
○委員長(木内四郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、委員の変更について御報告いたします。
 去る二十四日、小柳勇君が辞任され、その補欠として武内五郎君が選任されました。
 さらに二十五日、小林篤一君が辞任され、その補欠として林塩君が選任されました。
 また、本日、吉江勝保君が辞任され、その補欠として豊田雅孝君が選任されました。
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木内四郎#2
○委員長(木内四郎君) 次に、理事の辞任についてお諮りしたいと思います。
 理事後藤義隆君から、去る十二日文書をもって、都合に上り理事を辞任したい旨の申し入れがありました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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木内四郎#3
○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、直ちに補欠互選を行ないたいと存じます。
 その互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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木内四郎#4
○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、私より大谷藤之助君を理事に指名いたします。
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木内四郎#5
○委員長(木内四郎君) 本日は予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
 質疑の通告がございますので、これより順次発言を許可いたします。羽生三七君。拍手
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羽生三七#6
○羽生三七君 きょうは主として経済問題を中心にお尋ねいたします。
 近年、日本経済の成長が世界的にもまれに見る高度なものであったわけでありますが、その反面にまた多くの矛盾を露呈いたしました。それは設備投資の行き過ぎとかあるいは国際収支の赤字、所得や企業の地域間の格差、あるいは農業や中小零細企業の立ちおくれ等々に現われております。しかし私は、これから質問するにあたって、次の前提を一応申し上げておきたいと思います。それは、この資本の蓄積や投資、あるいは設備の拡大等を否定するものではないということであります。蓄積や投資なしに経済が発展するはずはないし、また、経済の発展なくして国民生活の向上があり得るはずはありませんから、それを認めることは当然であります。しかし、そういう前提に立ちながらも、日本経済のこの高度成長が招来をした多くの矛盾というものを見のがすわけには参りません。しかしまた同時に、私はここで、この資本主義、自主主義の経済の体制にわたる原則論を述べる意思は毛頭ありません。問題は、今申し上げましたように、このような諸矛盾を拡大することなしに、今後とも高度経済成長を持続し得るかどうか、こういうことであります。そこで具体的にお尋ねいたします。
 第一番に、実質一三%をこすというような前年度のような異例な高度成長はとにかくとして、今後とも所得倍増計画に示された成長率を堅持し得るのかどうか。また、その方針に変わりはないのかどうか、まず最初にこれをお尋ねいたします。
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池田勇人#7
○国務大臣(池田勇人君) 十年あるいは十年以内の倍増計画は堅持して参る所存でございます。ただ、お話しのように予定を非常に越えた超高度の成長が行なわれましたので、その結果として調整政策をとっております。したがいまして、今までのような成長率を期待することはできません。また、期待することもかえって行き過ぎになりますので、調整を講じながら予定の十年倍増、あるいはできれば十年以内の倍増を続けていく方針でございます。
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羽生三七#8
○羽生三七君 きょうまでの日本経済発展の要因は、総理もよく言われることでありますが、戦後日本の特殊性とかあるいは後進性、あるいは豊富な労働力とか、その質、こういう幾つかの日本的な条件に、さらに技術革新による近代化、合理化、この動きを軸として設備投資が急速に拡大して、今日の発展の基礎を築いたと思います。しかし今日までこの高度成長を進めてきた設備投資中心の成長政策が頭打ちになったのではないかと思います。一部では日本経済の転換期と言っておりますが、言葉の問題はともかくとして、設備投資中心の成長政策は、先ほど私が述べたような諸矛盾をさらに拡大するのではないか。もちろん国際収支が一応改善されますれば、企業家はやはりやり残しの設備投資を継続したいでありましょうから、再びある程度の浮揚力が起こることは確実であります。しかし、それはまたすぐ国際収支の壁に突き当たって、その後の後退の時期は過去二、三回よりもその同期を早めるのではないかと思います。結局同じ矛盾を繰り返すことになるのではないかと思いますが、総理としてはどうお考えになりますか。
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池田勇人#9
○国務大臣(池田勇人君) 今までのような設備投資が今後行なわれるかということになりますと、これは私はスロー・ダウンしていくのではないかと思います。金額的に申しましても下がるし、また総生産に対しまして、あるいは国民総所得に対しましての設備投資の割合も、私は下がってくるのが当然だと思います。しかし、今までの設備投資による新規生産力の増加を何に求めるかということが問題になるのであります。それは御承知のとおり、われわれは輸出第一、新市場の拡大をはからなければならない。そうしてまた片一方では、国内の健全な消費が行なおれて生活水準の引き上げをしていく、こういうことになって参る。したがいまして、輸出増強と健全な国内の消費、その消費は個人消費もありましょうし、また政府の財政投資もございましょう。こういうことで新規生産力の増加と見合いながら生産の急激な下降というものを避け、そうしてモデレートな方法で進んでいきたい、その間に輸出がどうなるか、国内の消費がどうなるか、そうして設備投資が新たにどう行なわれるか、あるいは各設備投資によりまする新規生産の増がどうかというふうなことは、今後の成り行きによりまして現われて参りますが、それをどう調整していくかということが今後の財政金融政策のねらいであると思います。
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羽生三七#10
○羽生三七君 所得倍増計画は十カ年平均七・二%の成長率で、当初三カ年は平均九%となっております。これを具体的に検討しますと、この基準年次のとり方に問題がありますが、総理の国会答弁から推定して、三十五年度国民総生産十三兆六千億を基礎としたものであることは間違いないと思います。そこで三カ年平均九%ということでありますが、これでいくと、三十六年度は十四兆八千二百億円、それから三十七年度が十六兆一千五百億円、三十八年度が十七兆六千三十五億円、こういうことになります。そこで、三十五年の税抜き十三兆六千億は所得倍増計画の基礎として採用した数字でありますが、必ずしも現実に即したものでありません。各年度の実績見通しあるいは予想数字によって相当そのつど狂っております。詳細は略しますが、三十七年八月十日で計算してみまするというと、これでいくというと、三十五年は十四兆六千六百四十九億円、これは確定であります。三十六年は十七兆四千五百億円、三十七年は十八兆五千億、こうなります。池田総理の当初の構想が三十八年度で税抜き十七兆六千億達成にあるとしますならば、三十六年でほとんど達成したことになります。今後は三十七年度が予想水準より若干低下した場合でも、目標に関する限りは達成したというおかしな結果になります。もし三十五年度実績を基礎として九%成長の水準を計算してみまするというと、三十七年度で十八兆五千億になります。三十八年度は十八兆九千八百八十億になります。こういう結果になります。
 したがいまして、当初三カ年の最終年度の三十八年度は、どんなに成長を押えても、すでに目標をはるかに上回ったということになる。これは最初からあまりに高低があり過ぎはしないか。総理のおっしゃたように経済は動いておりますから、これは不断にいろいろな手を加えることは当然でありますが、それにしても最初からあまり高低があり過ぎはしないか。自由経済のもとでは、当然ある程度の波はありますが、これではあまりに振幅の幅がひど過ぎはしないか。国民の側から言えば、もっと均衡のとれたものと所得倍増計画を理解していたはずであります。これは計画ではなくて、経済の流れを、あとを追って数字を訂正していく、修正していくというだけに終わるのではないか。計画という名に値するのかどうか。この辺で所得倍増計画は根本的に再検討するか、あるいは修正すべき段階と思いますが、どうでありますか。
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池田勇人#11
○国務大臣(池田勇人君) 所得倍増計画という計画についての判断でございますが、これはもう羽生先生も御存じのとおり、一応は計画と書いてありますが、こういう前提のもとにこうなるだろうという見通しだと心得えていただきたいということは、さきのさきの国会で申し上げたとおりでございます。われわれといたしましては、早いにこしたことはございませんが、とにかくモデレートな成長率でいきたいというので、私は一応七・二%ならば十年で倍になる、しかし過去の実績を見まして、まあ九%ぐらい三年間はいくのではないか、しかもそれが雇用の関係からいって、とるべき数字ではないかというので、最初の三カ年間を九先としたわけでございます。しかし実際は、過去の実績から申しましても、今お話のとおりに、お示しの数字は名目的のGNPの増加でございます。実質的に見ますとやはり相当下がってくるのでございますが、結論的にはお話のように名目的にはもう三十八年度の分を三十六年にあれした。実費的に申しますると、三十七年度の十八兆四千億というものは、まだ昭和三十五年の価値から申しますと十七兆六千億までいっていないと私は見ておるのであります。しかもその基準を三十五年度の実際にとりました実質的増加におきましては、大体三十七年度でようやくいくかという程度のことであります。したがいまして政府の計画というものは、自由主義経済のもと、しかも今のような体制におきましては、なかなかこれを押えようといってもそう抑えられるものではないのであります。ことに昭和二十八年とか、三十二年のときとは違いまして、わが国の経済はよほど力強く、底力がついてきております。それから財界の人なんかの考え方も、よほど前以上に積極的でございます。これを押えるということは、金融その他の措置でやりましても、なかなか押えにくい。これは私どもの過去の三年間の経験であれしたのでありますが、最近ようやくわかりました。私は大体過去の実績を各業界に見ながら、今度はモデレートにいくのではないかという、考えを持っておるのであります。ただ私が心配するのは、非常に行き過ぎる場合もありますが、逆に、あつものにこりてなますを吹くというようなことになっては困る、これが私の今心配しているところでございます。私はその点は、だんだん世界の情勢、日本の経済が世界的になって参りますこの機会に、政府もそうでございますが、民間におきましても、よほどお考えを願っていただければ、そう今までのようなことはなくていくのではないかと、こう考えております。
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羽生三七#12
○羽生三七君 この高度成長政策の矛盾は、先ほど述べたとおりであります。しかし、国際収支だけが問題であるとするならば、国内均衡を犠牲にして、いわゆる設備投資を引き締めて縮小均衡をやれば、国際収支はいつでも改善いたします。その意味で成長要因を再検討する必要があるのではないかと思います。今後の成長要因は、社会資本の充実とか、あるいは国内有効需要の拡大、あるいは立ちおくれた農業、中小零細企業の振興、社会保障の強化等々、いわゆる底辺部門の底上げ、一口に言えば国民生活環境の改善、これに役立つような国内均衡の諸政策を重点的に施行すべきではないかと思います。要は、成長率の高いだけが問題ではなしに、国民生活水準の向上が問題であることは当然だろうと思います。
 そこで私としては、今総理からお話のあったような、あまり手心を加え過ぎて、逆に成長率が非常に低くなってしまうということは、これは問題だと思います。私もまたそんなことは毛頭考えておりません。しかし、このような不均衡をどう是正するか、アンバランスをどう是正するかという問題、あるいは今申し上げたような設備投資重点だけではもういけない。いろいろな条件が日本経済の構造部門に出てきたのではないかと思います。
 そこでこの際総理に特にお尋ねしたいと思うことは、成長率は若干鈍化しても、これは二%、三%になったということでは因りますが、今の日本の現状から見て、成長率は若干鈍化しても、設備投資中心の成長政策の重点を、今私が述べたような国内均衡に転換するお考えはないか。そうかといって、私は設備投資をやめなさいということは毛頭言っているわけではありません。ただ、重点が設備投資中心だけでは、今総理からお話があったようなアンバランスが出るのですから、当然重点政策を転型というより私は政策を転換と申したほうがいいと思いますが、この政策転換の御意思はないか、これをお尋ねしたい。
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池田勇人#13
○国務大臣(池田勇人君) この政策転換と申しますると、所得倍増計画を変えるとか何とかという方針を変えるようにとられがちなんです。これは成長過程におきまして、一四、五%も伸びる、二、三年問続けて大体一〇%以上に伸びる。そのあとに来るものがこれはどの程度に伸びるかという問題、私は四、五%、五、六%伸びるのは当然だと思います。そしてそれが政策転換ではない、それが経済の実態なんです。それに沿うように倍増計画をアジャストしていく、これは転換ではございません。当然前から予想しなければならない。
 そこで問題は、たとえば三十二年、三十三年のあのときでも大体は三%程度いっていた。三%の成長率と申しますとイギリス、アメリカの普通の年の成長率、それが日本では非常に不景気だという成長率。よその不景気は生産が下がること、日本の不景気というのはよそでは非常に常態の場合が非常に不景気になる。私はそういう気持も考えながら、一応企画庁で試算いたしましたところの名目六%、実質四・五%程度の分が、まあ低く見た場合の成長率で適当ではないか。それは私は政策転換とか何とかという問題ではない。当然起こり得べき調整過程における状態だと考えているのであります。お話のとおり、何もこれは九%とか一〇%以上とか、そんな気持は私は持っておりません。これは前の国会でも申し上げましたように、成長率というものは長い目で見ていかなければならぬ。それで、私は転換というよりも当然起こり得る調整過程における成長率と考えているのであります。
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羽生三七#14
○羽生三七君 私の言うのは、調整過程における一つの現象の現われということをお尋ねしておるのではないのです。それはもう当然であります。問題は、総理が、私は前の国会で何回も申し上げましたように、所得倍増計画という名前はやめて、経済成長十カ年計画と呼ぶべきだという議論を出しておりますけれども、まあ転換ということは総理もおきらいのようでありますが、それはそれでいいとして、現象形態にしろ何にしろ、そういう傾向が起こってきて、その重点が一時的な調整ではなしに、基調としてそういう方向に移行を始めているのではないかと思いますが、その辺はどうですか。
 それからもう一つは、高度成長というと何%ぐらいを言うわけですか。総理のお考えだと、イギリスやアメリカその他西欧諸国に比べて日本の高度成長という場合、一体どの程度が高度成長というか、さっぱりわからないのですが……。これは抽象的な質問ですけれども。
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池田勇人#15
○国務大臣(池田勇人君) どの程度のものが高度成長かとおっしゃいますと、国によって違います。最近、イギリス、アメリカは三%前後でございます。それからまたOECD二十カ国の十年間五割増というのも高度成長の一つのあれと考えられます。そうすると四%程度ではないかと思う。これが高度成長のうちではございますまいか。また最近におきまして、イタリア、フランスは七%程度の上昇率をしておるようで、これは続けてではございません。ここ一年、一年半ぐらいがそういう傾向をとっている。日本のように一三%、一四%というものを三年も続けるというようなことは、これはもう高度ではない、超高度でもないし、驚異的数字というのでございます。大体所得倍増計画というのは、今から八、九年前にイギリスが二十五年間で倍増ということを言った。これだと二・七、八%か三%程度ではありますまいか。イタリアが五、六年前に、十年五割増しという案を立てたやに開いておりますが、大体五%程度でずっといけば、これは高度成長のうちに入る、四%、四・五%でも入るんじゃないかと思います。
 それから前の御質問は、この前お答えしたので私は尽きておると思いますが、再度御質問下されば、お答えいたします。
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羽生三七#16
○羽生三七君 ちょっとこれは時間外にして下さい。
 前のお尋ねは、調整過程における単なる現象形態ということでなしに、一応の基調変化が出てきておるのではないか。そういう方向へ政策転換を——転換という言葉がいやなら、どういうふうでもいいですが、重点を移行さしていく、そういうお気持はないか、単なる調整過程における現象形態とお考えになるのかどうかということです。
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池田勇人#17
○国務大臣(池田勇人君) たとえば実質四・五%というのは、閣議決定したわけでございますが、今の見通しが、企画庁の文ではこうだ、こう言っておるわけです。そうすると、四・五%を前提にするかどうかという問題でございます。私は、今の状態では四・五%くらいならば、調整過程のあれとして、みんなが納得する数字じゃないかと思います。前のこの一月ごろの分は、五・四%。五・四%なら実質も名目も同じ数字であったのであります。今度は名目は六・六%で、実質四・五%だ。それは、卸売は横ばいするが、消費者物価は少々上がるというのでやっておるのでございます。これもやはり見通しでございまして、四・五%が今年も来年も再来年も続くかという問題になると、私はわからぬと思います。これは、先ほど申し上げましたように、国内の社会資本、あるいは健全な国民消費、社会保障等を考えると同時に、輸出第一主義でやっていって、そして新たに加わった生産力と新たに生産せられた物資の消費が、どういうところにいくかということによって、来年の状況も私は変わってくるんじゃないか、いずれにいたしましても、四・五%がずっと続くとは思いません。あるいはそれが四・四%になるかもわからぬ、しかし私はそうしたくはない。これが七%くらいにいつかえるかという問題。たとえば四・五%の説明を聞きますというと、 GNPが三〇五、六、三〇七をピークにいたしまして、そしてこの下半期にだんだん下降していく。前の見積りは、三〇七、八が二九〇程度にまで落ちるというあれであったと思います。しかし今度は、それが三〇〇程度が下のピークでいくんじゃないかという見通しのようです。そういたしますと、はたしてそれが三〇〇なのか、三〇〇でとまるか、二九五までいくか、あるいは三〇三くらいで続けていくかということは、これからの問題です。そしてまた、その生産が続いていった場合、あるいは輸入がどうなるか。輸入は大体見越し輸入が三十二年のときほどもちろんございません。しかし貿易収支で、物資の輸入は大体十億ドル赤字できているわけです。それが原材料か、機械か、とにかくそれだけ日本に財産がふえた、この財産のふえたのが、原材料のふえ方か設備投資になってしまっているかということは問題でございます。したがいまして、今後の四・五%というのは、今の一応の見通しでございますが、これが来年も再来年も続いていくということは、なかなか考えられないんじゃないか。したがって、四・五%が三年も続くという前提なら、これは転換で、それがずっと続くと、こういう結論になりましょうが、私は、そうはいきませんぞ、単なる今の見通しであるのでございます。したがいまして、転換とは言い得られないので、調整過程の一つの現象だと、こう申し上げたのであります。
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羽生三七#18
○羽生三七君 いや、私は必ずしもそうは思いませんが、これはもう一度あとで触れますから……。そこで、ちょっと問題が横へそれて恐縮でありますが、二十二日に答申になった社会保障制度審議会の結論を尊重して、特に高度成長の谷間にあえぐ人たちの対策として、これを具体化するお考えがあるかどうか、これは私が今述べてきた問題と相当重要な関連性がありますので、特にこの際お聞きをしておきます。これは厚生大臣というより、むしろ総理から一応聞いてみたいと思います。
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池田勇人#19
○国務大臣(池田勇人君) 答申は四十七ページにわたりまして、相当大部のものであります。まだ読んでおりません。私は大内会長と三、四十分話をいたしました。大体の考え方は直接聞きました。しかし、今までのずっと積み上げ的のものを、今度は調整していかなければならぬ段階であることは、意見が一致しておるのであります。その調整の仕方をどうするかという問題でございますが、いずれにいたしましても、所信表明で申し上げましたごとく、社会保障制度の拡充強化ということは、組閣以来の一つの大きい柱でございますので、、せっかく答申もありますので、十分善処いたしたいと考えております。
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羽生三七#20
○羽生三七君 厚生大臣に。
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西
西村英一#21
○国務大臣(西村英一君) お答えします。
 大体ただいま総理からおっしゃったとおりでございまするが、御承知のように日本の社会保障制度は、一応国民皆保険、国民皆年金と、制度上も出そろってはおるけれども、内容が整っていない、そういうような意味もありまして、この際、やっぱり総合調整をしなければならぬということも考えておりましたが、やはり今度の答申にも、そういう点に向かって総合調整すべきであるということでございます。
 もう一つは、やはり社会保障を進めていかなければならぬ。日本の社会保障は、戦後非常に急速な進歩をしたけれども、まだ西欧の諸国に比べて非常に進んでいないから、ある目標を持ってやらなければならぬ。それから年金等は別にいたしましても、社会福祉あるいは公衆衛生と、そういう面もあの答申の中に基本方針が示されておるのでございます。非常に貴重な御意見でございまするから、今後、具体策につきましては十分研究していきたいと、かように考えておる次第でございます。
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羽生三七#22
○羽生三七君 先ほど私が申し上げた、いわゆる国内均衡という立場からいっても、ぜひただいまの点は、十分具体化するよう配慮されることを特に要望いたしたいと思います。
 次に、三十七年度の経済白書は、日本経済の最近の動向を転型と呼んでおります。言葉の問題はとにかくとして、企画庁長官はどういうふうに理解されておるのか、少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
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宮澤喜一#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど羽生さんのおっしゃいました御質問の意味、私にはよくわかったと思います。つまり先刻おっしゃいましたことは、各所において転型期と言っておる、それの内包しておることは、要するに設備投資がここまでふえてきて、それがある程度限界に来た。したがってこれからの国民経済の動きの重点というものは、財政支出、これは先ほど御指摘の先行投資、社会投資になると思うのです。また、ただいまおっしゃいました社会福祉的な支出にもなると思います。それから輸出、これはもう説明を加える必要はありません。さらには先刻総理が指摘しました健全な国民生活の充実、こういうほうに国民経済全体の重点が移っていくのじゃないか、こういう御質問であったように私は了解いたします。そこで、白書が転型期という言葉で景気環境の一つの形態としてあれをとらえましたとらえ方には、私も多少の——必ずしもそれが唯一の見方でなかろうかという考え方を持っております。その点を国民経済全体の重点の転換というふうに言ってもいいではないかと、こうおっしゃるならば、まさしくそういう感を私も持っております。白書が転換期と申しましたのは、そういった意味での国民経済の重点が、多少設備投資のほうから政府の社会投資、先行投資、それから輸出の増進、国民生活、消費生活の充実、こういうほうに移りつつある、こういうことを指摘したものと了解をいたしております。
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羽生三七#24
○羽生三七君 今お話しの御要旨は大体私の考えているところと大差ないようでありますが、ただ問題は、先ほど総理からお答えがあったと同じ問題に関連するわけですが、当面の単なる現象形態のごらんになるのか、やはり日本経済の一つの——これは永久なんという言葉を私は使いませんが、少なくとも今後近い将来における一つの基調変化、そういう意味で単にスケッチされただけなのか、あるいはもっと何らかの観測も含めてそういうことをお認めになるのか。その辺は、長官は単なるスケッチというようにおっしゃったようですが、その辺一つと、それからもう一つは設備投資改定計画では、設備投資を千四百億円減を見込んで、個人消費支出の一三%増として初めてこれは十兆円の大台に乗ったわけですが、こういうようなことは、今お話しのように、成長への大きな変化と思いますけれども、それとともに個人消費支出の一三%増は可能かどうかということです。さきの私の質問にあわせてお答えをいただきたいと思います。
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宮澤喜一#25
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済白書そのものはスケッチであるか、あるいは政策を織ん込んでおるかとおっしゃれば、私はスケッチであると考えます。しかしながら、御承知のように数年前に策定されました基本になります所得倍増十カ年計画においても、十カ年の後半においてはだんだんと国民経済全体の姿が、後半と申しますか、中段からでございますが、先行投資あるいは消費生活の充実、そういうほうに移ってくるであろうという大きな見通しをすでに述べ、おります。そこで御質問でありますから申し上げるならば、白書が提起いたしました問題も、やや所得倍増十カ年計画に最初に見通しましたそういう方向に向かって経済が動きつつあるのではないか、こういう指摘をいたしたものと考えております。
 それから消費が十兆円台に乗せた、こういうことが可能であるかというお尋ねであります。先ほど総理がお答えいたしましたように、このたびの見通しは、私どものほうでこれこそスケッチ風にきわめて事務的にいたしましたわけでもありまして、一月十六日の閣議決定にかかわるものではございません。そこで、作業の過程におきましてGNPはこのくらいになりそうである、したがってその配分の面において財政支出、輸出、国民消費、設備投資、在庫投資、それらに配分をいたして参りますと、どうしても消費のところにあれだけのウエートをかけて見ませんと全体の素描というものが成り立たない。現実に消費が十兆円をこえるかこえないかという予想そのものは非常に困難で、ありますが、設備投資はこれ以上いかないであろうとか、在庫投資はこれ以上無理だとか、輸出はこのくらいであろうとかいう財政支出ははっきりしております。そういう見通しはおのおのはっきりいたしますので、したがって、しからば国民消費がこのくらいになるのではなかろうか、そういうことを素描をいたしたというように御了解願いたいと思います。
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羽生三七#26
○羽生三七君 これは全く私の意見でなしに、わからぬからお尋ねをするのですが、この経済見通しの改定案では、設備投資が当初見通しより千四百億円下回っておる。しかし生産水準はその割に落ちないともいわれておる。実は毎日のいろいろな新聞その他で指標を見ておるんですが、生産水準が落ちたというときもあるし、その割に落ちないというときもある、あるいはまた調整策が浸透しておるとも言われるし、なかなかそうでないということも言われて、この間の正確な現状分析というか、把握が非常にむずかしいわけです、僕らのようなしろうとには。ですから、そういう意味で、今企画庁としてそういう一応の改定見通しを立てられたわけですから、そういう現実のしに立って少しその問の動向をわかるようにひとつお示しをいただきたい。
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宮澤喜一#27
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どももある程度以上の正確度をもっては申し上げ得ないわけでございますが、ただいま御指摘の点でございますが、まず鉱工業生産の動向につきましては、先ほど総理が答弁を申し上げましたように、六月において季節変動を修正いたしまして、三〇九、何がしというかなり高いところに達しました。それからあとの動向がどうなるかということを私ども議論をいたしましたときに一番考えましたのは、やはり機械受注の動きでございます。私どもの見通す限り、機械受注というものは急速に減りつつある。これは業界の報告を集計いたしましてもかなり減りつつあるのでありますが、元来機械受注に対する業界の見方は常に現状維持的であります。つまり受注がふえるときにはそれほどはふえないような見通しを出しておりますし、減るときにはそれほどは減らないという見通しを出している傾向がございます。そこで業界の見通しよりはより機械受注が減るであろうということを当時考えたわけであります。実際その後の様子を見ますと、確かに業界の見通しよりも機械受注が減りつつございます。中には既契約のキャンセルを行なったりしておるものもあるようでございます。機械受注と鉱工業生産の指数は大体二カ月なり三カ月なりの間隔を置いてかなりきれいに同じカーブをとりますので、そこで私どもは鉱工業生産は落ちるであろう、こう考えたわけでございます。そうして先ほど総理が答弁を申し上げましたように、十月で大体三〇〇ぐらいまでいくのではなかろうか、こう考えておりまして、七月の集計がただいまのところ出ておりますが、六月の三〇九・何がしから三〇四・四ぐらいまで落ちております。これはかなり顕著な下落であります。八月は本来季節的に鉱工業生産の落ちる月でございますが、おそらく季節変動を加味いたしましても、電力消費の状況から見ますと、さらに落ちるであろうということがほぼ明らかと思います。鉱工業生産の有様は現在そのような状況でございます。
 それからそれとの関連で……それでよろしゅうございますか。そういうような状況でございます。
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羽生三七#28
○羽生三七君 ちょっとあとのほうの質問でありますが、ちょうど今長官からお話しがあった際でありますので、質問の順序を変えますけれども、この統計を見ますと、いろいろでこぼこがあるが、大まかに言って生産財の生産と消費財生産とがだいぶアンバランスがあるようです。特に生産財生産は下がっておる。消費財生産はおおむね上がっておる。これはもちろん大まかな言い方であります。その中にそれぞれでこぼこがあることは当然でありますが、この場合政府としては、これを生産財生産を消費財生産の方向にさや寄せといいますか、持っていくのか、あるいは逆に生産財生産の方向に消費財生産を持っていくのか、つまり全般的不況に持っていくのかどうかという問題もあると思います。しかし生産財生産を消費財生産にさや寄せする場合には国際収支の関係がどうなるか、こういう問題があると思いますが、これはちょっと順序があと先になって恐縮ですけれども、この辺はどういうふうに判断をされておるのか、お尋ねいたします。
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宮澤喜一#29
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府としてどういうふうに持っていくのかという御質問に対してはちょっとお答えがしにくいのであります。現実にどういうふうに動きそうかということでございますと、確かに耐久消費財の生産というものはかなり堅調でございます。しかし、これもやや想像が入りますけれども、冷蔵庫でありますとかテレビジョンでありますとか、そういうものでございますが、この夏を境にして少し耐久消費財の生産にも多少弱含みの傾向が出てきておるのではないか。それまで強含みであったものは経済見通しの中でどう処理されておるかと申しますれば、それが先ほど申し上げました消費が十兆円に乗せるであろうかどうかというところと関連をいたしておるわけであります。いずれにいたしましても、鉄鋼とか繊維とかいうようないわゆる輸入原材料に頼るような種類の生産というものはいずれにしても落ちぎみでございますので、どう動きましても、国際収支に大きな影響があろうというふうには考えなくてよかろうかと思っております。
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