法務委員会

1976-05-19 衆議院 全354発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
昭和五十一年五月十九日(水曜日)
    午前十時十九分開議
 出席委員
   委員長 大竹 太郎君
   理事 小島 徹三君 理事 小平 久雄君
   理事 田中  覚君 理事 保岡 興治君
   理事 横山 利秋君 理事 吉田 法晴君
   理事 諫山  博君
      福永 健司君  早稻田柳右エ門君
      井上  泉君    楢崎弥之助君
      野坂 浩賢君    八木  昇君
      和田 貞夫君    青柳 盛雄君
      正森 成二君    沖本 泰幸君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 稻葉  修君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房同和対策室長 今泉 昭雄君
        法務政務次官  中山 利生君
        法務大臣官房長 藤島  昭君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        法務省矯正局長 石原 一彦君
        文部省初等中等
        教育局長    諸沢 正道君
委員外の出席者
        警察庁刑事局参
        事官      三島  孟君
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   鎌倉  節君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  岡垣  勲君
        法務委員会調査
        室長      家弓 吉己君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十九日
 辞任         補欠選任
  中澤 茂一君     和田 貞夫君
  日野 吉夫君     野坂 浩賢君
  八百板 正君     八木  昇君
  山崎 始男君     井上  泉君
  山本 幸一君     楢崎弥之助君
  青柳 盛雄君     正森 成二君
  山田 太郎君     坂井 弘一君
同日
辞任          補欠選任
  井上  泉君     山崎 始男君
  楢崎弥之助君     山本 幸一君
  野坂 浩賢君     日野 吉夫君
  八木  昇君     八百板 正君
  和田 貞夫君     中澤 茂一君
  正森 成二君     青柳 盛雄君
  坂井 弘一君     山田 太郎君
    ―――――――――――――
五月十八日
 民法等の一部を改正する法律案(青柳盛雄君外
 四名提出、衆法第二二号)
 犯罪被害補償法案(原田立君外一名提出、参法
 第一九号)(予)
 刑事補償法の一部を改正する法律案(原田立君
 外一名提出、参法第二〇号)(予)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月十八日
 法務局職員の増員に関する陳情書
 (第二一九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政に関
 する件
     ――――◇―――――
この発言だけを見る →
大竹太郎#1
○大竹委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所岡垣刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
大竹太郎#2
○大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ————◇—————
この発言だけを見る →
大竹太郎#3
○大竹委員長 法務行政、検察行政及び裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。八木昇君。
この発言だけを見る →
八木昇#4
○八木委員 いわゆる狭山事件について若干の質問をいたしたいと思うのでございます。
 この狭山事件につきましては、裁判の公正を求めるということで各地方自治体でも相当多数の決議等がなされ、そしてこの事件については多くの問題があるということで、私どもは問題にしておるのでございますけれども、一口に言えば、予断と差別による違法捜査を初めから警察当局がやっておると私は考えております。しかも、一、二審の判決は、そのような予断と差別による違法捜査の結果持ち出してきました起訴内容を全面的に支持し、擁護しておる。私は、憲法違反であると実は考えておるのでございます。事件の内容につきましては、すでに政府当局でも概要は御承知だと思いますので、あらかじめ余り多く説明する必要はないかと思うのでございますけれども、若干申し上げてみたいと思います。
 五月の一日の夕刻ごろ、狭山市におきまして中田善枝さんが殺害をされたという事件でございます。その後、死体が発見をされたのですけれども、中田善枝さんが通学をしていた入間川分校、それから未解放部落がございます菅原四丁目、江田昭二宅、佐野屋、そして石田養豚場、中田善枝さん宅、これがずっとほぼ一線につながっており、そして死体発見現場とも近い。そして中田善枝さんを殺害をしましてから、犯人が中田さんのお父さんに、金二十万円を持ってこい、五月二日の午前零時に佐野屋のところに持ってこいという脅迫状を送りまして、しかもそのときに警察当局は取り逃がしておる。その佐野屋のすぐ近くに石田養豚場があるというようなことから、もう最初からねらいを石田養豚場の三兄弟につけ、そしてその後そのアリバイが証明されるや、今度は石川兄弟にねらいをつけ、そうして予断と差別、偏見を持ってあらかじめ捜査をやった、こういうふうに言わざるを得ないのでございます。それはその当時の警察当局のいろいろな発表から私どもは判断をされるのでございまして、すでに犯人逮捕間近、もうちゃんと見当はついている、こういうようなことを事件発生後間もなく公然と警察当局は言っておるわけでございます。
 ところで、お伺いをいたしたいのでございますけれども、そういうような予断と偏見を持って捜査をやったと私どもは考えるのでございますが、石川一雄さんを逮捕いたしまして、そうしていろいろな形で自白を強要しておるという疑いはきわめて濃厚でございますが、その取り調べの中で殺人現場やその他を図面でもって示させておるわけです。図面をかかせておるわけでございます。その図面に筆圧痕がございます。後で申し上げますけれども、二枚ざら紙を重ねまして、上の方で図面をかいて、そうして二枚目に薄い筋が写りますが、その上をなぞらせておる、こういうことがあるのでございます。私は、一般論としてこの際はお伺いをいたしますが、要するに、一つの薄い筋なら筋を引きまして、その上を鉛筆でずっとなぞらせて図面等をかかせる、そのようなやり方をやることは、警察のやり方として正当であるかどうか、その点をまず、警察庁の方にお伺いをいたします。
この発言だけを見る →
鎌倉節#5
○鎌倉説明員 お答え申し上げます。
 本事件は三十八年に起こったわけでございますが、三十九年の三月に浦和地裁におきまして第一審判決がございまして、その後控訴されまして、四十九年の十月に東京高裁で二審の判決が下っております。ただいま御指摘のような点につきましても争点になりまして、種々論議されたわけでございますが、結論としまして二審の判示のとおりの事実で終わったわけでございます。さらに現在、最高裁で審理をされておりますので、裁判中でございますので、当事案について言及することは差し控えたいと思います。
この発言だけを見る →
八木昇#6
○八木委員 私の質問そのものは一般論として聞いておるのでございまして、いまのように、たとえばボールペンならボールペンのインクが出ないものならインクの出ないもので筋を引くという場合もありましょうし、紙を二枚重ねて、一枚目の紙に図面をかいて、二枚目のところに写った筋、これに筋を引かせるというような形で犯行現場やその他の図面をいわゆる容疑者に作製させるというようなやり方というものは正当であるかどうか、このことについてお答えをいただきます。
この発言だけを見る →
鎌倉節#7
○鎌倉説明員 ただいま御指摘のような事実というものは、捜査の過程では私どもはやっておりませんし、そういう方法は適当ではないということは自明のことでございます。
この発言だけを見る →
八木昇#8
○八木委員 であれば、当然これは証拠能力も無論ない。そのような場合は証拠能力も当然ないということを警察としてもお認めでございましょう。
この発言だけを見る →
鎌倉節#9
○鎌倉説明員 裁判の過程におきましては、そういう問題については非常に厳格に審理をされますので、個々具体的な問題について非常に厳格な判断が下されるわけでございます。供述につきましてはその任意性ということが非常に中心になりますので、いま御指摘のようなことはあるはずもございませんし、またそういうことが許されていいものでもないというふうに思っております。
この発言だけを見る →
八木昇#10
○八木委員 私も、当然そんなことはあろうはずもないと思うし、それはいわゆる自白の、あるいは供述の任意性を全く踏みにじるものでありまして、虚偽あるいは架空のものである、かように考えるのでございます。ところが事実あったわけですね。
 御承知だと思いますけれども、二審の裁判のほとんど終わり近く、最終弁論が始まるときに、地図は警察官がかいた下書きをもとにして石川さんがかいたものではないかという重大な問題提起が、弁護団からこの狭山事件についてあったわけでございます。ところが、そのときは、なるほどそういった筆圧痕があります、しかしそれは、この石川被告がかいたところの図面の写しをとるために、その鉛筆でかかれた図面の鉛筆の上を警察官が後からなぞって、そうして筆圧痕をつけたというようなことを検察側は主張をした。結果的に二審ではその主張が取り上げられたわけでございますけれども、この二審の有罪判決後、最高裁に石川さんのかいた地図を見に行った弁護団がさらに注意深くこの筆圧痕の問題を観察いたしましたところが、次のような事実に気づいたわけでございます。多くの図面に、濃い筆圧痕と並行をいたしまして全然別のもう一本の薄い筆圧痕があるということを発見したわけでございます。そのことは石川君本人が主張をしておるのでございますけれども、ざら紙二枚を敷いて上の方から遠藤警部が図面をかき、下の方の紙に写った薄い筆圧痕をなぞらされて図面をかかされたと本人は言っておるのですが、まさにそのとおり、ぴたりこれが裏づけられておるわけでございます。
 でございまするから、最初の濃いものは、検察当局が言いますように、かかれましたところのものを後でその鉛筆の筋の上を筆圧痕をつけたものといたしましても、もう一つの薄い筋、これが問題であって、その薄い筋をあらかじめ警察当局がつけて、そうしてその上を鉛筆でなぞらせた、こういうことが明らかであると私は思います。と言いますのは、今度最高裁に上告趣意書を弁護団が出しておりまするけれども、その中で荻野さんという人の鑑定書もつけて出しておるのでございますが、あらかじめつけられたそのような筆圧痕の上を鉛筆で筋をずっと引いていったということが明らかな証拠には、その鉛筆でずっとかいてあります筋の中が空白、白くなっている。要するに、あらかじめつけられたところのそういう筋、その上を後から鉛筆でなぞっていったということが歴然としている、こういうふうにこの荻野鑑定は言っておりますし、だれが考えてもそれはそのとおりだ、私はこういうふうに考えるわけでございます。
 そこで、この際最高裁にお伺いをいたしたいと思うのでございますけれども、そのような現在起訴をされておりますところの被告にとってはまさに決定的に重要なこの問題、その他にもたくさん問題がございますけれども、このような決定的に重大な問題が新たに提起をされておるわけでございます。これらにつきましてはやはり口頭弁論、そうして事実審理、これらを行うが当然である、このように私考えるのですが、最高裁の行政当局としてはどのようにお考えでございますか。
この発言だけを見る →
岡垣勲#11
○岡垣最高裁判所長官代理者 ただいま問題とされております狭山事件は、委員御承知のとおりに、昭和四十九年十一月十五日に上告になって、現に係属中の事件でございまして、これが将来どういうふうに審理が進められていくかというふうなことは、われわれの立場から申し上げる筋合いではないというふうに考えるわけであります。
この発言だけを見る →
八木昇#12
○八木委員 この事件そのものについて直接的にお答えはできないかもしれない。それは思います。しかし、参考までに私はいま狭山事件の一つの例を引いてここで説明をしたわけでございますが、たとえばこのような重要な、決定的な新しい事実が提起されておる、上告趣意書の中でもそのことが述べられ、そうして新しい鑑定書もそこに提起されておるというようなケースの場合、今回の狭山裁判について幾つかの疑惑に包まれておるし、しかももしいまのような自白の強要、そして殺人現場等についてあらかじめ筋を引いて、その上をなぞらしてかかせるなどというような憲法違反の行為があっておる疑いがあるという問題提起がされておる場合、今回の狭山事件に限らず、公正なる裁判を期するという最高裁の任務からして、単なる書面審理ではなくして口頭弁論、事実審理、これだけの手数を踏むのが当然であると考えるのだが、どうだということを聞いておるわけです。
この発言だけを見る →
岡垣勲#13
○岡垣最高裁判所長官代理者 一般的にどうこうということであれば、最高裁判所の審理の仕方というものは訴訟法の上告編に書いてございまして、そしてこういう条文があるということを申し上げるだけになるわけでございます。事件そのものについては、先ほど申し上げたとおりに、私たちの方では何とも申し上げられないということで御了解願いたいと思います。
この発言だけを見る →
八木昇#14
○八木委員 事件そのものについての判断を直截的に求めておるわけではないわけであります。それは無理なことは私も十分承知しておるのです。しかし、このような非常に重大な問題提起がなされておる場合に、最高裁判所としては当然口頭弁論、事実審理ということを行うべきではないのかという点を聞いておるのですが、再度お答えいただきたい。
この発言だけを見る →
岡垣勲#15
○岡垣最高裁判所長官代理者 先ほどから申し上げておるとおりのことを繰り返す以外にないわけでございますけれども……(八木委員「繰り返すというのは、趣旨がよくわからないからですか。もう一度言ってください」と呼ぶ)先ほど申し上げましたとおりに、具体的事件に関連して何も申し上げられないことは御承知のとおりでございますが、ごく一般的なことで申し上げますと、訴訟法の規定ではこうなっておるという訴訟法の条文を読み上げるぐらいのことしかできないということを申し上げておるわけでございますが、もし、ではその訴訟法の条文はどうかということになりますと、たとえば四百八条をごらんいただきますと、これは、上告裁判所は不適法な上告はその決定で棄却するわけでございますけれども、そうでないものは弁論を開くかどうかということが問題になりまして、「上告趣意書その他の書類によって、上告の申立の理由がないことが明らかであると認めるときは、弁論を経ないで、判決で上告を棄却することができる。」、こういうことになっております。ですから、上告趣意書その他の書類によって、上告の申し立ての理由がないことが明らかであるかどうかということの御判断になるだろう、こういうふうに考えます。
この発言だけを見る →
八木昇#16
○八木委員 まあ、押し問答をしてもいたし方ないと思いますから、くどく申し上げはいたしませんが、いまのような重大な決定的な問題提起等がなされておる場合、しかも、これが有罪ということになれば、これは非常な重大犯罪であって、その罪の重さにつきましても非常に重いものになる。その重大なる事件についてのこういった非常に決定的に重要な問題提起があっておるという場合、裁判は、その公正を期する意味でやはり十分に慎重な裁判をやってもらわなきゃならぬということを言いたいわけでございます。
 この荻野氏の鑑定書によれば、実に十三枚もの図面に二本以上の種類の違う筆圧痕がずっとついておるという。これは恐るべきことであると私どもは考えておりますので、あえて国会の場でこのことを言っておるわけでございますから、その点を十分にお考えおきいただきたい、かように思います。
 そこで、次の点でございますけれども、証拠を警察当局が作為の上でつくっているという疑いがこれまたきわめて濃厚である。で、私自身の判断からいたしますると、疑いではない、まさに虚偽の証拠を作成している、こう考えるのでございますけれども、これまでも多く言われておることでございますけれども、もう一度この場で明らかにしておきたいと思います。
 いわゆる万年筆の問題でございますが、私も、実際に現場に行って調査をした上でなければ責任を持った発言もなし得ないと考えまして、ごく最近改めて現場を見に行ったのでございます。この石川一雄さんの家はもう小さな家でございまして、屋根も低い。したがって天井も低い。
 それで、五月二十三日と六月十八日の二回、石川被告宅の捜索が行われております。そうして第一回目は、午前四時四十五分から午後七時二分に至るまで長時間にわたって十二名の警察官がくまなく家宅捜索をしております。そうして第二回目の六月十八日は、屋根裏までも捜索が徹底して行われたというふうに言われております。
 そこで、万年筆が発見されたという場所の問題でありますけれども、これは玄関の入り口ではなくて、玄関の横のふろ場がありますところの板敷きの部屋、そこに入る入り口のところでございますけれども、この入り口を入りますと、土間ではありませんので、高さ五十センチぐらいの板敷きになっております。板の間でございます。その板の間に上がりますと、板の間に続いてふろ場があるわけでございます。この入り口を上がって、そうしてこの入り口のかもいに万年筆が、第三回目の捜索をやった六月二十六日にあった、こういうのでございます。そのかもいの高さは、私の背よりもほんの二十センチ高いくらいでございますから一メートル九十センチ、二メートルまではないわけです。かもいと言いましても、その木がへこんでおるのではない。ただもう普通の小さな木が横にある。こういう形になっておるわけでございますが、私は、そこに自分の万年筆を置いてみました。そうしたらば、もうその場所で万年筆が見えるのです。そのかもいの木の奥行きは五センチぐらい。石川さんのお父さんの話を聞くと、その五センチぐらいの一番奥の方ではなかったそうですか、一番奥の方に置いて、そうして私の背の高さではっきりと万年筆が見えます。現場に行って見てみれば一番はっきりするのでございますが、前に二回もこのような厳重な捜索をしておって、だれが考えても、その万年筆が見えないということはもうあり得ないです。それが第三回目の捜索の際に発見をされたというのでございますが、まことに奇怪千万だと私は改めて思いました。そのかもいの横幅もわずか二メートルぐらいです。高さは、いま申し上げた程度の高さ。そうして、私の目で、そこに万年筆を置いてみますと万年筆が見えます。かような奇怪なことがあり得るのか。
 これは、もう長年仕事をしてこられた警察当局にお伺いをいたしますけれども、警察の家宅捜索というものはそんなものでしょうか。お考えをお述べいただきたい。
この発言だけを見る →
鎌倉節#17
○鎌倉説明員 ただいま御質問の万年筆の問題につきましても、控訴審等で非常に取り上げられました問題でございまして、明確な判示がございます。具体的なことは差し控えたいと思いますが、一般論としましては、捜索は徹底してやりまして一度で全部済むというのがベストでございますが、当該事案につきましては、結果的に御指摘のように、二度、三度とやらなければならなかったということについては、非常に遺憾に存じております。
この発言だけを見る →
八木昇#18
○八木委員 もう少し具体的に伺いたいのですけれども、われわれが常識的に考えまして、いまの土間の部屋と隣の部屋に二部屋しかない、そして天井の低い小さな家です。そこを十何時間も十何名もの警察官が捜索をして、そうしてその万年筆が発見できないなんということが警察当局の体制から見てあり得ると思いますか。しかもそのときに問題になりましたのは、そのかもいの端のところにこのぐらいの穴があります。むろんはっきりと見えるのですが、それはネズミ穴です。そのネズミ穴にかぶせてあった布きれを警察官がとって、そうして臭いと言っていやな顔をした。そしてもとのネズミ穴に入れた。そしてそのときに棧を手でなでて、こんなにごみがたまっておるぞということを言ったという事実も明らかになっておる。そのようなわずか二メートル幅のかもいで、そしてその二メートル幅の一番端っこのところにいまのネズミ穴があって、そしていまのような応答もなされている、警察官の発言があってというようなことから照らしましても、その万年筆が発見できなかった、そんなことが警察官としてあり得ることでしょうか。
この発言だけを見る →
鎌倉節#19
○鎌倉説明員 ただいま申し上げましたように、捜索が結果的に一度で徹底して終わらなかったという点については非常に残念に思いますが、内容につきましては判示のとおりでございまして、具体的なことは判決にあるとおりでございます。
この発言だけを見る →
八木昇#20
○八木委員 常識的に考えてそんな——事実その当時もその万年筆がそこにあったとするならば、発見できないなんというようなことは通常あり得ないというふうに警察当局もお考えになっておるというふうに理解していいですか。
この発言だけを見る →
鎌倉節#21
○鎌倉説明員 当該事案につきましては言及することを避けたいと思いますが、一般論としまして、捜索一般といたしましては徹底して一度で終わるというのが理想であるということを申し上げた次第でございます。
この発言だけを見る →
八木昇#22
○八木委員 そこで、先ほどのような御答弁をされると最高裁当局に非常に質問がしにくいのですけれども、やはりそれはいろいろな法律論で、最高裁の立場とかあるいは議会の立場、議会での言論の限界、最高裁の答弁の限界なんというようなことをいろいろしちめんどうくさく言えば、それはいろいろ議論はあるかもしれません。しかしこれだけ疑惑に包まれており、たくさんの問題点を含んでおるというこの狭山事件でございまして、この場でわれわれは意見を言う以外にないと考えて発言もしておるのですけれども、いまのような重大なる疑惑、警察当局が作為的に証拠をつくっておるのではないか。もしそうだとすればこれは大問題でございますが、そういうことについて、これは裁判としては実地検証、石川さん宅の現場検証といいますか、これをするのが当然だと私は思います。しかる上で裁判所というものは決断を下すのが当然であると思います。と申しますのは、私も実際一週間ほど前に——前に一度行ったことがあるのですが、改めて行ってみまして、本当にこれは現場検証をしてそこで裁判官が見れば、これはもうどんな人でもこれはおかしいということがわかるということを改めて私は感じましたので、どうでしょうか。そういった重大な問題が提起されておるときに、裁判所としては現場検証をやるのが当然だというふうに考えるのですけれども、その点、御見解を述べていただけましょうか。
この発言だけを見る →
岡垣勲#23
○岡垣最高裁判所長官代理者 これはやはり進行中の事件でございますので、どういうふうにするのがいいのか悪いのか、そういうことはここでは申し上げられないと思っております。
この発言だけを見る →
八木昇#24
○八木委員 これは具体的に現場検証を狭山事件について石川宅についてやるかどうか、どういうお考えかと、こう聞いておるわけじゃないのです。いま申し上げたようなケース、これはたくさんの裁判ではあるのでございましょうが、当然裁判の常識として、そういう場合に裁判所は現場検証をやるべきものではないかという、そういう問いをしておるのであって、それに対して答弁を逃げられるというのはけしからぬと思います。
この発言だけを見る →
岡垣勲#25
○岡垣最高裁判所長官代理者 具体的事件から離れますと、訴訟法で上告審はこういう手続でやるべきであるということは決めてございまして、訴訟法によりますと、上告審、最高裁判所というものは、憲法に違反しているかどうか、それから判例違反があるかどうかという点を審査するのが本来でございまして、証拠調べというふうなことは、訴訟法は原則として前提にはしておらないわけでございます。
 ただ、ここに特別の場合としまして四百十一条に、四百五条というのが憲法違反あるいは判例違反の事由でございますけれども、それ以外の問題であっても、次のような「事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。」というわけで一号から五号までの事由が規定してございます。たとえば「判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。」とか、そういうふうにその各号に当てはまるかどうかということを、それを確かめるためにある程度の事実の取り調べということはあり得るわけでございまして、よく言われている松川事件で諏訪メモなんかを法廷へ顕出したというふうなああいう形の事実の取り調べはございます。しかし、検証だとか証人尋問だとかそういうことは、現在の訴訟法は予定していないと思います。
この発言だけを見る →
八木昇#26
○八木委員 最高裁の場合のことを言っておられると思いますが、たとえば地方裁判所あるいは高等裁判所、一審、二審の場合についてはいかがでございましょう。
この発言だけを見る →
岡垣勲#27
○岡垣最高裁判所長官代理者 それはその事件を担当する裁判所の裁量によりまして、これは事案の解明上必要であるということになれば当然検証いたすでありましょうし、必要がないとすればしない、そういうことだろうと思います。
この発言だけを見る →
八木昇#28
○八木委員 それはわかった上で質問をしておるので、裁判所の裁量であるとか、それはわかっておるのです。当然いまのような、たとえば狭山事件のこの万年筆の問題のような——ほかにもたくさんあるでしょう、こういう重大なる決定的な問題提起がある場合に現場検証はやるべきものではないのかということについての見解を聞いておるわけです。
この発言だけを見る →
岡垣勲#29
○岡垣最高裁判所長官代理者 これは先ほどから申し上げているとおりでございまして、その事件を担当する裁判官の判断というのはいろいろな事情を考えた上で決めるものでございますから、その前提として、これは必要なものであるから取り調べるべきであると言われる場合に、裁判所が必要であると思えば取り調べる、こういうお答えをするほかないと思います。
この発言だけを見る →
← 戻る