予算委員会公聴会

1981-02-12 衆議院 全115発言

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会議録情報#0
昭和五十六年二月十二日(木曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 小山 長規君
   理事 越智 通雄君 理事 金子 一平君
  理事 唐沢俊二郎君 理事 小宮山重四郎君
   理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君
   理事 川俣健二郎君 理事 坂井 弘一君
   理事 大内 啓伍君
      足立 篤郎君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    小渕 恵三君
      越智 伊平君    海部 俊樹君
      鴨田利太郎君    熊川 次男君
      始関 伊平君    白川 勝彦君
      瀬戸山三男君    原田  憲君
      藤本 孝雄君    細田 吉蔵君
      武藤 嘉文君    村山 達雄君
      阿部 助哉君    石橋 政嗣君
      稲葉 誠一君    岡田 利春君
      中村 重光君    野坂 浩賢君
      山田 耻目君    横路 孝弘君
      岡本 富夫君    草川 昭三君
      神田  厚君    林  保夫君
      寺前  巖君    松本 善明君
      三浦  久君    河野 洋平君
    ―――――――――――――
 出席公述人
        一橋大学教授  大川 政三君
        日本労働組合総
        評議会副事務局
        長       内山達四郎君
        大阪学院大学助
        教授      池田 勝彦君
        東京都青梅市教
        育委員会教育長 谷合 良治君
        横浜市立盲学校
        教諭      五十嵐光雄君
        経済評論家   高原須美子君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 瓦   力君
        総理府総務副長
        官       佐藤 信二君
        行政管理政務次
        官       堀内 光雄君
        防衛政務次官  山崎  拓君
        経済企画政務次
        官       中島源太郎君
        国土政務次官  大塚 雄司君
        法務政務次官  佐野 嘉吉君
        大蔵政務次官  保岡 興治君
        大蔵省主計局次
        長       矢崎 新二君
        文部政務次官  石橋 一弥君
        厚生政務次官  大石 千八君
        農林水産政務次
        官       志賀  節君
        通商産業政務次
        官       野田  毅君
        運輸政務次官  三枝 三郎君
        労働政務次官  深谷 隆司君
        建設政務次官  住  栄作君
        自治政務次官  北川 石松君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十二日
 辞任         補欠選任
  後藤田正晴君     熊川 次男君
  根本龍太郎君     白川 勝彦君
  矢野 絢也君     岡本 富夫君
  不破 哲三君     三浦  久君
同日
 辞任         補欠選任
  熊川 次男君     後藤田正晴君
  白川 勝彦君     根本龍太郎君
  岡本 富夫君     矢野 絢也君
  三浦  久君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
 昭和五十六年度一般会計予算
 昭和五十六年度特別会計予算
 昭和五十六年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
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金子一平#1
○金子(一)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長が所用のため、指名により私が委員長の職務を行います。
 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三件について公聴会を行います。
 この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 公述人各位には、大変御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。昭和五十六年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。
 次に、御意見を承る順序といたしましては、まず大川公述人、次に内山公述人、続いて池田公述人の順序で、お一人約二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。
 それでは、大川公述人にお願いをいたします。
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大川政三#2
○大川公述人 ただいま御紹介をいただきました大川でございます。
 初めに、本院予算委員会公聴会において、政府予算に関して私が日ごろ考えておりますことについて意見を申し上げる、そういう機会を与えられたことを大変光栄に存じております。
 私は財政学を専攻しておりますが、特にその中でも、財政的な問題を経済学的な立場から考えようとしている者でございます。経済学的立場から財政問題を考察するといいますと、財政を景気対策の手段として利用する、こういう立場としばしば混同されやすいのでありますが、私は、財政の景気対策機能の必要性を否定するものではありません。しかし、財政の最も基本的な機能が景気対策機能であるという考え方には必ずしも同意するものではございません。なぜなら、財政の基本的な機能は、近年の経済学の言葉で申しますれば、有限な経済資源の効率的配分機能にある、そういうふうに思うからであります。有限な国民経済資源の利用を図る場合の効率性を高めることに財政の基本的な機能があり、景気安定機能も所得再分配機能も、そのような効率的資源配分機能を侵さない限りにおいて、あるいはそれを尊重する条件のもとで遂行されるべきである、そういうふうに考えております。このことがしばしば、財政の機能の間の優先順位関係について、むしろ逆転したような関係で議論されることが多いように日ごろ考えております。
 このように、財政問題、その具体的表現である政府予算の決定に当たっては、経済的効率性という立場から判断し、取捨選択すべきである、また、そのようなことを容易にするような予算の仕組みに改善すべきであるというのが私の基本的な立場であります。とのように申しますと、しばしば遭遇する反論は、これこれの問題は経済理論どおりにはいかないんだよ、これこれの問題は経済問題の外にあることである、こういうような反論がございます。また、現実の社会は生き物である、だから、一般的な経済原理のみでは決定できないんだというような意見に遭遇することがあります。要するに、政府予算の決定は、経済的効率性によって律せられる以上に、非経済的あるいは非合理的な要因、もっと端的に申しますれば、経済原理とは別な目的を持つ政治的な要因によって動かされるべきであるといった意見によって反論されるわけでございます。
 政府予算の経済的効率性と申しましても、その判定尺度は必ずしも明確ではありませんから、政府予算の決定において政治的な要因が入ってくる余地が十分にあり、また、そのことが必要なことを否定するものではございません。むしろ、政府予算の決定に伴う政治的な責任が明確になるような、そういうような仕組みを考えるべきだとすら思っております。しかしながら、もし、政府予算の決定においては、経済的効率性といった要因など全く無視することができるとか、あるいは経済的効率性に関する議論に発言する自由も価値も認めないんだというようなことになってまいりますと、私としては強く反論しなければならないと思っております。
 私の立場から具体的に申させていただくならば、福祉問題であれ、教育問題であれ、公共事業の問題であれ、さらには防衛問題であれ、すべて経済の問題として考えるべきだというふうに考えております。それらの諸問題は、経済的効率性の吟味から決して逃れ得る聖域ではないと思っております。すなわち、それら諸問題の決定に当たっては、経済的な費用と便益の分析並びにその比較が行われて、最大の便益の余剰が得られるように選択されるべきであると思います。けだし、それらの諸問題の解決には、多くの場合、有限であり、われわれの欲望に比較して希少な人的、物的資源の消費を伴うからであります。かくて、私は、経済的効率性を尊重し、その追求に厳しい経済的な政治原理といったものの重みが、政府予算の決定において増していくことを期待したいのであります。経済と政治にもし政策決定要因を分けるならば、経済を尊重する政治の結果として政府予算の決定が行われることを期待したいのであります。
 このようなことはあるいは当然過ぎることであるかもしれませんが、政府予算の決定をめぐる議論において、しばしば、ある提案事項の効用とか便益の一面のみが主張され、そのために要する費用とか、そのために一方で放棄される便益、犠牲といったものの面が明らかにされないうらみがあるからであります。すなわち、政府支出によって実現されるある政策の効用とか便益が、その政策効用を他のことから切り離して絶対的に評価されるにとどまり、その反面において生ずる放棄便益という意味での費用と比較して相対的に評価されることが少ないように思うからであります。私はかねがね、このことを費用意識が希薄な政府予算の決定というように表現しております。
 すでに先生方も御承知のように、「赤字の政治経済学」という翻訳名のジェームズ・ブキャナンの書物についてはしばしば引用されております。そのもともとの題名は「デモクラシー・イン・デフィシィット」という、赤字の中の民主主義といいますか、赤字に抱かれた民主主義といいますか、そういうタイトルでありますが、その中での言葉をここで引用させていただくならば、しばしば、サムシング・フォー・ナッシングというような態度あるいは姿勢の議論が多くなされる。サムシング・フォー・ナッシング、まあ何の代償なしにあるものが得られる、こういうような立場の議論が多いのではないか。現実にはそういうことはあり得ないのでありまして、サムシング・フォー・アザー・サムシング、やはり何かを得るためには他の何らかのものを放棄しなければならない、これは当然のことなのでありますが、しばしばそのようなことが忘れられがちである。したがって、私は、そういうサムシング・フォー・アザー・サムシング、こういうような考え方が政府予算の編成の中にもう少し浸透できないものであろうかということを考えております。
 御承知でもあると存じますが、アメリカ連邦政府並びに連邦議会におきましては、政府予算の効率化ということについて、PPBSとかあるいはZBBというような新しい予算方式の導入をめぐって真剣な議論が行われ、現実に実行の努力が行われておりますが、私も、わが国においてそのような努力がもう少しあってよろしいのではないかというふうに考えております。
 しかし、私も希望が全然ないわけではございませんで、最近の新聞報道などを見ましても、費用意識とか選択という言葉がしばしば使われるようになってまいりました。このことは、まさに政府予算を経済的に考察するそのことのあらわれというふうに私は解釈しております。したがって、かなりだんだんと、そのような経済的な考察というものが政府予算についても浸透してくる望みを持っておりますが、しかし、私としては、私の立場から申しましてまだ若干疑問に思い、あるいは不満に思っておることもないわけではございません。その幾つかを具体的に、五十六年度予算案の編成審議をめぐって具体的な問題を二つ三つ挙げさせていただきたいと思います。
 まず第一は、防衛予算に関することであります。
 五十六年度予算の編成過程において、政府部内においても、防衛予算が決定されるまでに非常な折衝が行われたように承知しております。そして、防衛予算の一般会計予算において占める構成比とか、対前年度伸び率とか、あるいはGNPに対する比率とかが議論されているようであります。これはまたそれなりの意味を持つと存じますが、少なくともわれわれ部外者として一般に入手し得る資料によって見たところでは、そのような巨額の防衛予算を使うことによって、一体いかなる防衛効果というものが得られ、一体それが一般の国民生活にとってどういうような関係を持つのであろうか、こういう面がよくわからないのであります。すなわち、防衛目的のためにいかなる人員とか機材とか艦船、航空機が投入されるか、大変威力のあるそういったものが投入されるかということについては若干の知識が得られるのでありますが、いわゆる防衛のためにどういう資源を投入するかということについてはある程度の資料や知識は得られるのでありますが、そういう機材とか人員を投入することによって、その結果においてどういう防衛効果がアウトプットとして出てくるのか、この点がわれわれにとっては非常にわかりにくいものであります。
 これは防衛予算の規模とかその配分について選択し判断する以前の問題として、もう少しわれわれ一般の国民に対して、防衛効果のわかりやすいようなそういう知識を提供してほしい。もしそういうことがなければ、先ほどわれわれが言ったような政府支出の便益といったものについての基準がございませんものですから、経済的な選択のしようがないことになります。
 先ほど申しましたアメリカ連邦政府のPPBSという新しい予算編成方式の導入が、まずこのような国防予算をアウトプット、産出本位にしていくということから始まったことをここで思い出さざるを得ないのであります。もちろん防衛予算につきましてはすべてを公表することはできにくい、そういう点が多々あることは十分承知の上でありますが、なお何らかの工夫が欲しいように思っております。
 あと時間がわずかでありますが、さらに第二に、福祉問題についてでありますが、私の立場から申しましても、やはり社会保障関係費といったものが近年目覚ましく増大してきておる。五十六年度予算においても増加額のほぼ五〇%近くは社会保障関係費によって占められておる、そういう数字を聞いております。そのことは社会保障あるいは社会福祉ということについて非常に政策の力点が置かれておることを反映するものではありますが、それだけに、そのように予算の中で重要な位置を占めているだけに、社会保障関係費予算は、特に予算の効率化については率先して努力する責任をまた一方で背負うものではなかろうか、そういうふうに思います。
 特に、簡単に申しますれば、いろいろ医療費とか年金とか保育所の経費等々の問題が議論されますが、やはりそのようなものの便益効果の面のみを説くのではなく、そのために必要な、ほかに放棄されるものの便益との比較において議論する必要がなおあろうかと思います。社会的弱者の救済という政策目的からはみ出ていながら、その政策の恩恵を得ている受益者の層は、社会的弱者救済政策の外にある単純な受益者として、すなわち、必要経費の負担能力を十分に持つ者として、社会福祉政策上位置づけられるべきではないか。そのような十分に経費負担能力を持つ者の負担増加による社会福祉効果のマイナスは、真の社会的弱者救済措置の充実強化によって相殺するのみならず、社会福祉効果の純計をむしろ増大させるようにすべきではないか、そういうふうに考えます。
 まだ言い尽くせないところがございますが、時間が参ったようでございますので、最初の私の公述をこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。拍手
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金子一平#3
○金子(一)委員長代理 どうもありがとうございました。
 次に、内山公述人にお願いをいたします。
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内山達四郎#4
○内山公述人 総評の内山でございます。
 たくさんのことを申し上げたいのですけれども、時間の制約がありますから、今後の予算の審議に当たって、労働団体の立場からどうしてもこれだけはという点にしぼって私の考えを申し上げたいと思います。
 いま日本の勤労者、労働者が一番大きな関心を持っているのは物価と税金、この二つであると言っても過言ではないと思うのです。昨年の秋、総評は百十一万人の組合員を対象にしてアンケート調査を行いましたけれども、制度、政策にかかわる問題でぜひ取り上げてもらいたいというのは、この二つがトップを占めました。したがって、五十六年度の予算の中でこの二つの動向いかんは、いま安定していると言われております企業の労使関係にもかなり大きな影響を及ぼすのではないかというふうに考えます。
 御承知のように実質賃金は、昭和二十七年以来初めてマイナスを記録いたしました。昨年の春の賃上げで、私どもは、物価春闘と言われるほど、物価問題を重視をいたしました。賃上げの要求基準を、かなりの反対があったにもかかわらず八%というふうに定めたことにも、それは反映をしていると思うのです。残念ながら、私どもの力が弱かったために、六・九%程度の賃上げしかとれませんでしたから、春闘が終わった後も、労働団体は政府に対して、何とか物価安定のために対策を強化をしていただきたいということを申し入れました。昨年の十一月二十六日に労働四団体の代表は直接総理にお会いをして、五十六年度予算編成に当たっての労働団体としての考え方をお話し申し上げたわけですけれども、その時点で総理は、五十五年度の消費者物価の上昇率を六・四%に抑えることは決して不可能ではないというふうに私どもに申されました。ところが、それから一月もたたないうちに政府は七%に修正をされ、さらに最近では七・七%とか七・八%という数字が出ておりますことは御承知のとおりだと思います。
 七五年の賃上げは、前年に比べますと半分以下、第二次石油危機の影響を受けて一三%程度になったわけですけれども、それでも七五年の実質賃金は前年に比べますと二・七%上昇しております。その当時の実質成長率は御承知のようにマイナスを記録しておりましたし、労働生産性も企業の利益も軒並み低下をしておりました。その中で二・七%実質賃金が上がっております。七六年から七九年までも、労働組合の立場に立ちますと賃上げはうまくいかなかったわけですけれども、それでも七七年の〇・五%増を除けば、大体二・五%程度は実質賃金はふえております。したがいまして、いまの経済情勢、景気にかげりは見えておりますけれども、実質成長率は五%程度の水準を維持しています。あるいは労働生産性も二けた台の上昇を示している。三月決算は多少落ち込むことはあるでしょうけれども、しかし、昨年の九月までは企業の経常利益は連続六期増収増益という状況の中で、〇・九%とはいえ実質賃金の低下を見ているということは異常なことではないかというふうに私どもは考えております。
 昨年の九月十六日に、臨時国会を前にして労働四団体は政府に対して、実質賃金の目減りが続いている状況の中では何とか臨時国会で物価調整減税をやってもらえないだろうかというふうに申し上げましたし、十一月二十六日の総理との会見のときにもそのことを申し上げたのですけれども、官房長官なり総理は、物価調整減税をやらないでも済むように物価対策を強化をするというふうに申されました。
 そうした状況を考えますと、物価問題について果たして政府の政治責任はないと言えるのかどうかということを、私どもは率直に申し上げなければならないと思うのです。したがって、五十六年度の予算編成に当たっては何よりも物価対策を重視をしていただきたい。もちろん政府もかなりの対応をされておりますけれども、たとえば私たちが繰り返し強調しております四月以降の公共料金の値上げについては何とか極力抑制をしていただけないだろうか、あるいは円高差益の社会的還元について何らかの方途を講ずることはできないものだろうか、あるいはまた、いま物価についてのモニター制度がありますけれども、これは行政管理庁が指摘をされましたように必ずしも効果を上げておりません。したがって、勤労者なり消費者が参加をする物価監視委員会を設置する、所定の調査権なり査察権を与えて国民全体が参加をして物価を抑制する、物価を安定するような制度的な措置もぜひとも講じていただく必要があるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 二番目は、税金の問題でございます。
 財政再建問題が大変に重要な問題になっていることは、私どもも十分に承知をしております。国会の予算審議の状況を聞いておりますと、やはり財政再建を理由にして、政府は減税要求について厳しく拒否をされております。しかし、財政再建が本当に国民が納得いくように行われるためには、不公平税制の是正であるとか、あるいは行政改革による歳出のカットというものが前提条件として必要だと私は思うのですけれども、これについての政府の対応は、外からの印象ですけれども、必ずしも明快なものがないように私どもは感じております。率直に申し上げまして、どうしても足りないから取り立てるんだ、しかも取りやすいところから取り立てるのだというような思想が、どうもいまの政府の答弁をお聞きいたしますと、私どもは感じられてならないのでございます。
 総理は、たしか施政方針演説に対する質問の御答弁の中で、総理が日ごろ強調されておられる和の政治というのは公平の政治でもあるというふうにおっしゃられましたけれども、果たして増税で公平の原則というものが貫かれていくのかどうかということについて、私はかなりの懸念を持っております。
 これも昨年の予算編成の前に、労働四団体の代表が渡辺大蔵大臣にお会いをして、減税問題についてお話をいたしました。そのとき、大蔵大臣は、所得減税をやることはいまの財政事情ではできない、一部では投資減税をやるべきだという意見も出ているけれども、所得減税をやらない以上投資減税もやることはできない、やらないというふうにお答えになったのですけれども、率直に言って、空前の大増税の一方で、所得減税はやられませんけれども、エネルギー対策上効果があるという理由で投資減税がやられている、このことについても、私は公平の原則から言って疑念を持つというふうに言わざるを得ないのです。
    〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
 詳しく申し上げる必要はございませんけれども、いま日本の勤労者の生活を苦しめているのは、実質賃金の低下と同時に税金や社会保険料の負担が増大をしている、いわゆる非消費支出の増大が勤労者の生活を圧迫していることは、もう詳しく申し上げる必要はないと思うのです。課税最低限が三年間据え置きになっていることからこの状況は生まれているわけですけれども、そういう状況の中で、夫婦子供二人の四人家族の場合には二百一万五千円という課税最低限ですから、この階層というのは最低生活すら維持できないような状態に置かれていると言っても過言ではないと思うのです。
 ことしの春闘で、いろいろ紆余曲折はありましたけれども、労働団体は一致して一〇%、大体二万円前後の賃上げを実現しようではないかということを申し合わせました。一〇%賃金が上がると、税金や社会保険料負担は一体どのぐらいふえるのかという計算をいまいろいろやっておりますけれども、たとえば十九万八千円の月収で四人家族の場合には、一〇%賃金が上がりますと、一万九千八百円賃金が上がるわけです。ところが、所得税と地方税で二千二百六十円引き上げられます。それから雇用保険、健康保険、厚生年金で千九百七十円の負担増になります。合わせると四千二百三十円、税金と社会保険料で持っていかれてしまいます。そうしますと、一万九千八百円賃金が上がっても、実際は一万五千五百七十円しか賃金が上がらない。つまり、一〇%の賃上げであっても、二・一三%は税金と社会保険料によって差し引かれてしまうというのが現実の状態になるのではないかと思うのです。そうしますと、先ほど申し上げましたように、物価の方は七%の線が崩れて七・七%とか七・八%というふうに言われているわけですから、これに二・一三%加えますと、果たして、一〇%の賃上げをやっても、勤労者の実質生活水準が維持できるのかどうかという疑問を持たざるを得ないのです。ただ、ボーナスを計算をいたしますと、ボーナスは厚生年金の掛金の対象になりませんから、五カ月程度のボーナスが出ると仮定をいたしますと、二・一三%は一・五六%ぐらいに下がるわけですけれども、これは年収大体三百二、三十万ぐらいの階層です。年収六百万円ぐらいの階層になりますと、四月から健康保険の報酬の上限が上がってしまいますから、一〇%賃金が上がってもやはり二%ぐらいは持っていかれてしまうのではないか。
 たしか、この三年ぐらいの間に家計支出に占める非消費支出の割合は、八・七%から一三・一%ぐらいに上がっていますけれども、所得減税が行なわれないで、あるいは社会保険料の負担がいまの政府原案のままに通りますと、五十六年度の家計支出に占める非消費支出の割合は恐らく一五%を超すことになるのではないかというふうに私どもは考えています。
 そうしたところから、労働団体の一〇%、二万円前後の要求は低過ぎるという批判、不満が職場から起こっております。総評のアンケートの結果では三万円以上の賃上げというのが六〇%近くを占めていたわけですけれども、率直に言って、そういうものを含めて全部企業の側に要求をしていいのかどうかという問題点も残ります。
 そういう状況を考えますと、政府は厳しく拒否をされていますけれども、何とか課税最低限を上げるという措置が必要ではないだろうか。それと同時に、俗にトーゴーサンとかクロヨンと言われておるような税制上の不公平の問題について何とか改善することはできないだろうか、率直に言って、私どもはこの考え方を持っております。
 一昨日、労働四団体は政策委員会を開きまして、現在四人家族で二百一万五千円の課税最低限を二百十八万円程度に引き上げられないものか、自民党を含めて各政党にお願いしようということになりましたけれども、ぜひ今後の国会審議の過程で、この所得減税の問題についてはひとつ真剣に取り上げていただきたいということをお願いいたしたいと思うのでございます。
 率直に言いまして、七五年以降労働組合は、賃上げの面でもあるいは減量経営、合理化の面でも大変な譲歩をしてきたと思うのでございます。したがって、いま申し上げましたような物価やあるいは税制上の対策が講じられませんと、どうしても賃金闘争の方向にそれが向けられてしまいますから、いままで安定していると言われていた労使関係がこの春闘を契機にして基盤が揺らぐようなことになるのではないか。そういう立場に立ちますと、多くを申し上げたいんですけれども、一番大切なことは、一人一人の勤労者が将来に希望を持って生き生きとして働いていく環境をどうやってつくっていくのか。そのための予算的措置をどうするのか。このことを今後の予算審議に当たってぜひとも最大の焦点にしていただきたい。その面では、防衛費を別枠に扱うというような今度の政府原案に対しては、私どもは率直に言って不満を持っていることを申し述べまして、簡単ではございますけれども、私の公述を終わらしていただきます。拍手
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小山長規#5
○小山委員長 どうもありがとうございました。
 次に、池田公述人にお願いいたします。
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池田勝彦#6
○池田公述人 大阪学院大学の池田と申します。
 私は、昭和五十六年度予算の性格と財政再建と税制の問題について述べさせていただきたいと思います。
 昭和五十六年度政府予算案は、一口に申しますと、財政再建の道を歳出の徹底的な見直しによる経費の節減合理化によるよりは、むしろ増税、しかも戦後史上空前と言われる増税路線を選択したことにあるというふうに思います。
 そう申し上げても、一般会計規模の伸び率が九・九%といった一けたにおさまったのは二十二年ぶりでございますし、そのことから財政規模縮減に相当の考慮が払われているということが認められると思います。また、二兆円の特例公債発行額減額により、公債依存度は二六・二%と四年ぶりに二〇%台になったわけです。
 先ほど増税路線を選んだと申し上げましたが、税制改正による増税は、先生方御存じのごとく、直接税では法人税率の二%上昇、間接税の増税につきましては酒税、たとえばビール、ウイスキーの二五%、清酒は一五%になっております。物品税における課税対象の拡大、これは新たに課税対象を二十四品目拡大する、それから有価証券取引税の税率アップ、印紙税の引き上げを内容とするものでございます。
 法人税の税率アップ、それから有価証券取引税、それから印紙税率の引き上げ等は、財政再建のためには企業にも応分の負担を負わせることを志向したものであるというふうに言えます。法人税の基本的仕組みの改革による負担増加ではなく、つまり配当軽課、受取配当免税引き上げ等といったふうな現行企業税制の問題となっている点につきましては触れられずに、税率の操作によって増収を図ったというふうに考えられると思います。この法人税率二%上昇で基本税率は四二%となりまして、実効税率は五二%台となったわけです。これは欧米の水準並みになったわけでございます。例を挙げますと、西ドイツの実効税率は五六%でございますし、イギリスは五二%でございます。以上のごとく、税制改正による増税額は、御承知のごとく一兆三千九百六十億円でございます。法人税が六千三百四十億円で増税のうち約四五%、間接税が約五五%となっています。
 法人税の上昇で問題となるのは、次の二点であろうかと思います。
 一つは、税率上昇が法人の競争力を弱体化させるのではないかという点。この点につきましては、西ドイツの実効税率は五六%でありますから、そう著しく企業の競争力弱体化の作用はないというふうに見られております。
 もう一つは、軽減税率も二%一緒に引き上げられたわけでございますけれども、そうしますと、軽減税率適用企業による税負担もまた比例的に二%直に増加するわけです。これは法人税の転嫁が可能な大企業においては恐らく企業負担とはならないかもしれませんが、軽減税率適用企業においては実質的な企業負担となるのではないかというふうに考えるわけであります。
 次は、所得税の問題でございます。昭和五十五年の消費者物価上昇率は七%から八%の間だというふうに認められておりますが、所得税は減税なし、課税最低限据え置きということになっております。課税最低限は、昭和五十三年度以来据え置かれたままになっているわけです。
 御承知のごとく所得税は累進税率をとっていますから、貨幣価値の下落による名目所得の上昇は税負担の増大をもたらしまして、実質的には増税と同じ効果を持つわけでございます。また、所得税納税人口の下方への一層の拡大を意味しますから、たとえばある統計では、この四年の課税最低限の据え置きによりまして納税人口は六百二万人増加するということになっております。これは昭和五十六年度の納税人口の約二〇%に当たるというふうになっております。したがって、実質的な増税、しかも低所得層ほど負担の増大を強いられるということになるかと思います。
 住民税の課税最低限は所得税のそれよりもかなり低く決められているのは先生方御承知のとおりでございますが、そのため、今回の政府案におきまして生活保護の扶助基準額が引き上げられましたから、これが住民税の課税最低限を上回ってしまった事例が生じてしまっております。これは東京都の標準家族の例でございますが、そのため昭和五十六年だけ、ごく小規模の減税をしなければならないというぐあいになっております。生活保護基準が、元来、生活するのにぎりぎりの線で考えられていることを考えますと、課税最低限の引き上げは必要であろうかというふうに私ども国民は考えます。
 さて、今度は公共料金の問題でございますが、公共料金の値上げが昨年度に相続いてなされておりまして、しかも、昭和五十六年度政府予算においても、消費米価、それから麦価、それから国鉄運賃、それから国立学校入学料、それから塩、それから郵便料金の値上げ、それが盛り込まれております。これらは消費者物価を押し上げ、国民の家計を圧迫します。その上、物品税の増徴がございます。こういうことは、言うまでもなく物価上昇の要因となるわけです。こうして租税負担の増大と物価上昇の双方から国民生活を圧迫するようになるのではないかというふうにいまから予想されるわけでございます。
 それから今度、歳出面における特徴は、第一に、軍事費の伸び率が社会保障のそれを上回ったということ。それから第二には、公債依存度が四年ぶりに二〇%台になった。第三に、公共事業の伸び率が昭和五十五年度に引き続きましてゼロになった。その他エネルギー対策費、経済協力費の伸び率が非常に大きいということが特徴とされます。
 まず第一の点でございますが、伸び率において軍事費が社会保障費を上回るという事態は戦後初めてのことであり、このことが国民に防衛か社会福祉かということを考えさせる事態を生ぜしめます。
 そこで、防衛費についてもう少し述べさせていただきますと、一般会計から公債費と地方交付税交付金を除いた一般歳出に占める防衛費の割合というのは前年度は七・二六%であり、今回の政府予算案では七・四%となっています。今回の防衛予算はそういった意味で優遇されておるわけでございますけれども、その優遇措置によりまして、中期業務計画はすでに二年目にして約四〇%の達成率を示すのではないかというふうに言われております。
 今回の予算案では、先生方御承知のごとく、防衛費に占める正面装備、艦艇とか航空機それから戦車等の割合が昨年度よりも大きくなっております。昭和五十六年度の政府予算案で新規調達の認められた兵器の総額は七千五百二十五億円であり、そのうち本年度に計上された金額は約四百五十億円ということになりますから、残りは継続費または国庫債務負担行為という今後何年かにわたって支払っていかなければならないということになっておるわけでございます。そういうことですから、防衛費の伸びは昭和五十七年度以降は大幅に上昇するのではないかというふうに考えられます。一説によりますと二けたの伸びになるのではないかというふうになっております。
 もっとも、防衛費の伸び率が大きいということにつきましては、防衛費の絶対額がそもそも小さいこと及び諸外国との比較において、GNPに占める比率ですが、これが小さいということから、必ずしも防衛予算を優先したわけではないという説もございます。しかしながら、これらの点につきましては、わが国の防衛費は、たとえばNATO諸国の軍事費に含まれている日本の海上保安庁費、それから旧軍人恩給費、遺族、留守家族援護費などというものが、わが国の防衛費では除かれております。それをNATO基準に合わせて計算しますとGNP比が一・五六%になります。そういたしますと、絶対額においてもフランス、イギリス並みの水準ではないかというような指摘もなされております。
 次は、社会保障費の問題に入りたいと思います。
 社会保障費は、昭和四十九年までは著しい伸び率を見せていた費目なんですが、昭和五十年度以降鈍化の兆しを見せ、一般会計における構成比においても低下傾向を示している費目であります。そして昭和五十六年度においては、伸び率において軍事費に抜かれたわけでございます。
 昭和五十六年度予算におきましては、厚生年金、国民年金の物価上昇分のアップ、これは従来どおりでございますけれども、原爆被災者手当、障害福祉年金等、従来よりも、福祉の面から申しますと前進を見ている費目もございます。しかし、その反面、健康保険掛金の引き上げ及び健康保険自己負担金の引き上げ、これは初診料と入院料でございますが、それから児童手当制度における所得制限の強化等、福祉的に言えば後退とも言える改変がなされております。児童手当の場合、昭和五十六年度の改正によりまして約十万人以上が対象がら外されるようになるという指摘もございます。
 第三の公共事業費でございますが、昭和五十六年度予算においてはこれは横ばいであります。従来優先された道路整備、港湾等のいわゆる産業基盤整備がマイナスに抑えられ、住民対策、下水道、環境整備等の生活基盤整備に重点が置かれているのが特徴であると思います。もっとも、道路につきましては財政投融資計画に回されております。わが国の公共事業政策というのは、高度成長期においては道路、これは産業道路でございますけれども、これの中心の時期から、昭和四十年代後半より生活基盤の整備に重点を置くように変化してまいりましたが、その傾向は、本年度予算においてもずっと続いているというふうに思われます。
 それから最後に、財政再建計画と税制の問題について申し上げます。
 財政再建の方法というのは、結局は経費の削減とそれから増税との二つしかございません。財政再建にはその双方が必要であるというふうに考えます。
 経費削減について申し上げますと、歳出構造及び歳出規模というのは、そのときどきの政治経済情勢を反映しながら積み重ねられてきておるものでございますから、一朝一夕にこれをすぐ変えるというわけにはまいらないと思います。しかし、今日のように財政が肥大化しているような状況にあるときには、財政の合理化、効率化は徹底的にやる必要があるように思われます。
 考えますと、なぜこのように肥大化したのかということなんでございますが、よく言われておりますのは予算の方式の問題、つまり、従来の予算方式は前年度の実績をもとに予算を増分する、いわゆる増分主義と呼ばれているものでありますが、これは各グループの利害の調整という点ではメリットがありますが、総花主義になりやすく、したがって財政規模を大きくさせる要因になる、そういうデメリットを持つとされています。財政再建を図っていくには効率的な観点から歳出項目を徹底的に洗い直す必要があるというふうに主張されておりますが、この点については賛成でございます。そして財政再建の問題になりますと、これは短期間に達成できるというようなものではございませんし、数年間にわたる長期的な計画が必要になろうかというふうに考えられますが、そのためには従来の予算編成の方式を改める必要も出てこようかというふうに考えられます。先ほど大川先生がお話しくだすったPPBSなどというのもございますし、それからイギリスの例もございます。しかし私は、予算編成を合理化するという点については賛成でございますけれども、行政府主導の予算改革というのは、たとえばアメリカの例におきますように失敗するというふうに考えております。むしろ議会が主導権を持って改革を進めていく必要があるように思われます。
 それから次に、財政再建と増税の関係でございますが、比較的短期間のうちに大量の国債を減らし、さらに償還していくというためには、前にも申し上げましたように、経費の合理化、節減のほかに大規模な増税を必要とするわけでございますが、今回は法人税、間接税の増徴という形、つまり既存の税目で増徴するという形になったわけでございます。しかし、これだけでは、昭和五十七年度以降さらに一層の増税が必要であるにもかかわらず、それが十分には期待できないということから、たとえば新聞、雑誌等では、新しい形の一般消費税なるものが準備されているというふうにうかがえます。しかし、それには、何か新税を考える前に、いわゆる不公平税制、たとえば利子配当の軽減措置、それから所得捕捉の問題などというような、そういった不公平税制に対する税制措置が先決ではないかというふうに思います。
 以上でございます。拍手
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小山長規#7
○小山委員長 どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
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小山長規#8
○小山委員長 これより各公述人に対する質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊川次男君。
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熊川次男#9
○熊川委員 大川公述人に対してお伺いいたしたいと存じます。
 先ほど、予算編成に当たっては経済的効率性、こういうものを大きな基準にすべきだという趣旨に拝聴いたしたわけで、戦後私どもがややもすれば権利意識が非常に強い中で、費用意識とでも申しましょうか、そういうものに留意しつつ配慮するという反省の材料を与えたというふうにも私なりに受けとめて、感銘深く拝聴したわけでありますけれども、他面において、戦後このようにわが国が民主的にあるいは文化的に成長したその基底には、何といっても憲法の精神、趣旨、そういう枠組みがあったからだと存じます。
 経済的効率の名のもとに、少なくとも憲法が保障している最低基準というようなものを下回ってはならないと思うのですが、先ほどの話を聞いていますと、経済的効率を十分考えるならば、場合によっては、先般大変問題になりました義務教育に関するところの教科書無償配付というようなことも当然俎上に上るかと思うのですが、このような点についてはどうお考えでしょうか。とりあえずは簡潔にお願いしたいと思います。
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大川政三#10
○大川公述人 ただいまの御質問の第一点は、費用意識とはいっても、それに対する権利意識に支えられて、わが国の国民の権利、生活の内容を向上する上において十分な効果があったのではないかという点でございますが、私は、費用意識ですべて割り切れとは申しません。すなわち、国民の権利についての社会的認識が低い状況の場合においては、国民の権利という理解のもとに最優先課題にするような、そういう準備なり手続は当然必要だろうと思います。
 ただ、私が申したことは、いろいろなことが権利意識に支えられて、あちらからもこちらからも出てくる。権利意識に支えられて、これは絶対に重要なことなんだという形で絶対的に主張される考え方に対して疑問を投じたということで、絶対的な主張同士がぶつかり合った段階では力で解決するほかはないと思います。もちろん、最終的にはそういうような政治的な要因によって決定されることは、先ほど申したとおりでありますが、そこに至るまでは、それぞれの経済的費用なり経済的効果、便益といったものを明らかにしながら選択していく、めんどうではありますがそういう手続が必要ではないか、そういうふうに考えたわけであります。
 それから、先ほど具体的な問題として、義務教育の教科書無償給付の問題でありますが、これは御指摘にありましたように、確かに憲法の条文に義務教育は無償とするという規定が明文であるわけでございますが、私の申し上げたい真意は、義務教育を本当に充実するためにはどういう方途があるのか。教科書を無償で給付することが最善の、またそれだけが義務教育拡充の効果的な手段であるのか、そういう問題について、義務教育を本当によくするためには一体どういう手段があるか、もう少し複数の手段を考えた上で、そしてその中での優先順位を考えるべきではないか。私は、やはり財政といいますか、政府支出がまずめんどうを見るべきことは、一般的な利益を与えること、公共的利益と申しても結構でございますが、そのようなものを最優先課題とした上で処理すべきである。すなわち、校舎とか運動場とか講堂であるとか、そちらをまずやるべきではないか、私見としてはそのように考えております。
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熊川次男#11
○熊川委員 義務教育が無償であるというのは、他の憲法の条文と比べて、たとえば国民は文化的な生活を営む権利があるというような抽象的規定とは異なっておりますので、義務教育に直接関係のある義務教育の授業料とか教科書とか、こういうものは、いま御指摘のありましたような、あるいは共用されるであろう講堂とか教室というようなものよりはむしろ先に無償化が強く要請されるべきものではないでしょうか。経済的効率、経済的判断よりは、日本の民主化のためには、何といっても国民の幅広い、最低限度の教養が前提になっておると思うのです。そういうことも考えあわせ、また他面、ワイマール憲法あたりでも学用品等に至るまで無償にするという精神が盛られておりますけれども、そのような配慮からするならば、講堂とかそういった共用的なもののブルドーザーの前に教科書無償配付が押し流されてはならないと思いますが、いかがでしょうか。
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大川政三#12
○大川公述人 先ほども申しましたように、教科書の無償給付そのものだけを独立に取り上げれば結構なことでございまして、これに対して異論はございません。ただ私は、そのほかに、義務教育を充実する手段と比較しての相対的な評価を加える余地がある。そうしてどちらを選ぶかは、私は政治的決定の立場にはございませんのでそこまでは言いませんが、考え方のプロセスとしては、そのような比較対照の上で、そうして、先ほど申しましたように、義務教育無償ということをとれば他の方をがまんする、足踏みをしなければならないわけでありますから、そのような足踏みをさせている費用を払っておるということの上に立って政治的に決定すべきである。そうして、教科書無償給付の効果の反面においてそのような経済的費用を払ったということに対する政治的な責任を明らかにしていただければ幸いと思っております。
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熊川次男#13
○熊川委員 他面、今度は義務教育と離れて高等教育になると、その経済的効率性あるいは国立、私立の両大学の研究内容といい、あるいは教育条件といい、最近はきわめて類似しておると思うのです。同時にまた、卒業生としても、その社会的な働き、先生御指摘の効用というか機能というか、卒業生の社会に及ぼす効果というものもかなり類似しておるかと思います。にもかかわらず、国立大学においてはきわめて恵まれた条件のもとできわめて低い授業料負担、強いて言えば学生及び父兄の負担もきわめて低い中でやっておるわけですが、法のもとの平等の配慮からしても、私立学校に対する補助を充実すべきか、あるいは国立大学の学生及び父兄に費用負担の増額を図るべきかという結論が導かれるような気がするのですが、いかがでしょうか。
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大川政三#14
○大川公述人 高等教育は、先ほどの義務教育問題と多少問題のレベルを異にすると思います。
 国立大学と私立大学の類似性という御指摘でございましたが、これは、私が日ごろ申しておりますことをまさにそのまま言っていただいたような気がいたします。つい最近も、ある雑誌にそういうようなことについて書いたばかりでございます。ただし、ただいまの御質問を、余り条件なしに述べますとしばしば誤解を受けることになるかと存じますが、国立大学と私立大学、日本の高等教育の現状を見ますと、卒業生の進路の問題あるいは教育の内容の点においては基本的に異なるところがなくなってきておるのではないか、そういうふうな基本的な立場を持っております。ただし、費用負担問題についてはなおまた、もう少し詳しく述べなければいけませんが、基本的な点においては一応、先生の御指摘のような類似性ということについては考えております。これは欧米の高等教育とはかなり違っておるところだと思っております。
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熊川次男#15
○熊川委員 一点だけ。参考で結構ですけれども、国立大学に対する学生の負担を増加するか、あるいは私立の方に逆に、実質的公平を図るために、学生の負担を軽くするために国庫補助をすべきか、そのどちらがベターか、御意見ないでしまうか。
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大川政三#16
○大川公述人 いま言った国立大学と私立大学との間の教育の内容、あるいは卒業生がどういうような仕事につくかという点については基本的に相違はないということからすれば、現状の個人の、両親あるいは学生の費用負担の相違というものは縮められるべきである。そのような奨学金制度の充実あるいは助成金制度というようなものを活用してその格差を縮めるべきである。しかし、同時に、やはり高等教育の内容を本当に質的によくする努力を重ねるべきだろうと思います。
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熊川次男#17
○熊川委員 貴重な御意見ありがとうございました。これをもって終わります。
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小山長規#18
○小山委員長 次に、横路孝弘君。
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横路孝弘#19
○横路委員 三人の公述人の皆さんには、お忙しいところ大変それぞれに貴重な御意見、ありがとうございました。
 二、三お尋ねしたいと思いますが、初めに内山公述人に幾つかの点をお尋ねをしたいと思います。
 先ほど、総評が百十万の人に対するアンケートをやったところ、物価と税金の問題が一番大きな関心であったという御発言がありました。各新聞社の世論調査を見ても、大体国民の関心はやはり物価問題、税金問題にあるようであります。
 この物価問題なんですが、石油ショック以降の物価状況というものを国際的に比較をいたしますと、日本というのは、物価はきわめて落ちついている模範的な国だとよく言われるわけです。霞が関かいわい、このかいわいでは、したがって物価問題というのはもう何か、あたかもわが国のいまの課題からは消え去ってしまったかのような発言が往々にして見受けられるわけですけれども、世論調査の結果とのずれ、国民の方から言うとやはり物価が大変だ。先ほども、実質賃金が昨年マイナスになったというお話がありましたけれども、この辺のところを、そのアンケート調査を踏まえて、内山さんはどのようにお考えでしょうか。
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内山達四郎#20
○内山公述人 確かにほかの先進国と比較をすれば、日本は一けた台でほかは二けた台ですから、その意味からすれば日本の物価上昇は高くないではないかという主張はされていますけれども、私どもは、単に為替レート上の物価の比較というのは余り意味がないのじゃないか。つまり、実質賃金という観点から見ますと、むしろ賃金の購買力を中心にして比較をしなければならないのじゃないか。そうしますと、この点は経営者側の主張と労働側の主張はかなり共通性があるのですけれども、たとえば住宅取得に要する費用あるいは子供の教育に要する費用あるいは老後生活保障のための費用、勤労者の生活の中で一番お金のかかるこの三つの生活課題に対する支出は、結局日本の場合にはかなり高いものですから、そういうものを計算すれば、やはり実際の賃金の購買力は低くなってしまうのじゃないか。そういうものがありますから、現実の労働者、勤労者の生活実感から言うと、一けたではあってもかなり高いという認識が生まれるのではないかと思うのです。
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横路孝弘#21
○横路委員 大川公述人、いまの問題なんですが、先ほどの、経済効率を重点に考えなきゃいけないというお話を承っておりまして、私も、先ほど大川さんがこういう反論が予想されるとおっしゃいましたけれども、確かに、毎日毎日生活している人間の姿というものがそういう経済効率中心に処理をされた場合に、どうもコンピューターに数字を入れて出てくるときには、そういう生きた人間の姿というのがなくなってしまうのじゃないかなという感じがいたすのです。いま内山さんから、物価問題についての国民の生活レベルの実感というものが御発言ありましたが、確かに西欧との数字で言うと低い数字は出てくるのですけれども、そういう数字と実際の生活とのずれというのは、これは経済の御専門のお立場から言いますとどのようにお考えでしょうか。
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大川政三#22
○大川公述人 政府予算の編成に当たって経済的効率性を重視すべきだという場合、私は決して政府予算の編成がコンピューターでたちどころにできるというような考えは毛頭持っておりませんし、先ほど言いましたように、最終的な決定はやはり政治家の先生方の判断によって決められると思います。ただ、そこへ至るまでにもう少し判断の材料といいますか、選択の資料を整備するような努力が、政治家の先生方にとっても、あるいはまた、われわれ一般国民にとっても判断の材料として必要だということを申しております。したがって、理屈で考えたことが生活の実感と距離があるということは、私の考え方から言えば、本当に社会的に弱者である人を見出す努力が足りなければそういうことになるわけで、そういう努力をせずに一律にやれということは、むしろ社会福祉政策なり社会保障政策が非効率化するわけで、同じお金を投入するならば、やはり社会的弱者を本当に救済できるような、そういう効果を上げるという意味で効率化を図っていただきたい、そういう意味であります。
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横路孝弘#23
○横路委員 内山公述人に、減税に関連して賃金の問題についてお尋ねしたいと思います。
 いまヨーロッパ諸国と日本との間の貿易摩擦が大変大きな問題になっていますが、その中で、ヨーロッパの方から見ると、日本というのはどうしてあんなに労働生産性がよく上がるのだろうか、しかも賃金を上回って伸びている、大変労使関係が安定しているということが、最近、ヨーロッパの方で日本に対する関心の一つになっていますが、同時に、私、昨年ヨーロッパに行ったときに、西ドイツの労働組合の人が、もうちょっと日本の労働組合はしっかりしないといかぬのではないか、どうもきちんと労働者の要求を出して獲得するものをしていないのじゃないか、それが日本の企業がヨーロッパにどんどん進出してくる一つの要素になっているのではないかということで、賃金の問題とそれから週休二日制、時間短縮というものを、もうちょっと日本の労働組合はしっかりして獲得するようにしてもらいたいという大変強い考え方が、ヨーロッパやあるいはオーストラリアあたりの労働組合にもあるようであります。
 先ほど、今春闘の一〇%アップというのも、たとえば減税措置をとらなければ、税金であるとかあるいは年金等の負担で二%以上、実は一〇%が実現しても持っていかれるのだというお話がございましたけれども、この一〇%というのは、ある意味で言うと、一つは減税措置を行うということが前提になって一〇%、しかもこれはぎりぎりの最低の要求じゃないかというふうに思うのですが、この一〇%を決められた経過をお話しいただければと思います。
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内山達四郎#24
○内山公述人 先ほど私が二・一三%という数字を挙げましたけれども、これはいろいろな計算の仕方があるものですから、年収比較をした場合には二・一三が一・五ぐらいになるんじゃないかという推計もありますが、この点については、さらに私どもの方でも中身について精密な検討を進めなければならないと思っています。
 ただ、労働団体がことしの春の賃上げで一〇%要求基準というのを決めたのは、何といっても労働組合全体が共同歩調をとらない限りは、過去数カ年の賃金交渉を振り返ってみますと、どうしても低いところに抑えられてしまう、そういった全体の労働組合の共同歩調、結束を大事にしなければならない、そこにやはり最大の重点が置かれて一〇%という要求基準が決められたわけであって、もちろん、いまいろいろな職場、地域の段階で討議をしていますけれども一〇%、まあ総評の場合には、二万円というものが最低のリミットになるのではないか。したがって、物価の動向なりあるいは税金の動向によっては、先ほど申し上げましたように、一〇%で果たして実質生活水準が維持できるのかどうかということについては、率直に言って、私どもはやはり深い危惧を持っておるというのが現状でございます。
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横路孝弘#25
○横路委員 今春闘の要求の中に、ぺースアップのほかにも幾つかの問題があるので、ちょっと基本的なことについてお尋ねをしたいと思のです。
 やはり働いている人たちの関心は、一つは雇用問題です。雇用の中では高齢者対策がこれから大変大きな柱になっていくだろうと思うのですが、今年度予算のシルバー人材センターであるとか、雇用開発委員会というようなものについてどうお考えであるのかという点が第一点です。
 それからもう一つは、定年制の延長という大変大きな問題について、これを法制化するかどうかということが議論になっておるわけでありますが、労働省は行政指導でできるだけ定年制の延長を図っていきたいという話なんですが、実質的にこれは労使の話し合いですべて解決することができるのか。皆さんいろいろ具体的におやりになっていて、そこのところをどう考えておられるのかという点が二点目です。
 それから週休二日制、時間短縮についてどう考えているか。何か聞くところによりますと、総評の本部も週休二日制に踏み切るのだそうですけれども、全体的にこの週休二日制をどうやって実現をしていくのか。これは銀行法の改正等いろいろな問題がございますし、特に最近、経済摩擦の中で西ヨーロッパの方から提起されている問題でもあるわけでございまして、その辺のお考えを内山公述人からお伺いできればと思います。
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内山達四郎#26
○内山公述人 急速な高齢化社会への移行の中で、高齢者の雇用問題というのは、景気がある程度よくなって雇用全般の指標が改善をされても、高齢労働者の雇用条件というのは必ずしも改善をされていないのが現状だと思うのです。したがって、今度の予算に当たっても、高齢労働者に対する対策あるいは身障者に対する雇用対策をぜひ重視をしてもらいたい。そして高齢労働者に関して言えば、これはいろいろ経過はありましたけれども、昨年からシルバー人材センターが全国百カ所で設置をされ、今年度これがさらに百カ所ふえたわけですけれども、一カ所当たりの国の補助金というのは七百万程度にとどまっているわけですね。したがって、実情を見ますと、積極的に取り組んでいる地方自治体では何とかこれをふやしてもらいたい。そうふう面では、私どもとしては、少なくとも一カ所二千万円ぐらいの国の補助を出していただけないだろうか。あるいは地方雇用開発委員会は、これも労働組合がかなり強くお願いをして全国で十カ所、今度の予算では五カ所ふえることになっていますけれども、これに対する国の補助は年間四百五十万円なんですね。したがって、もちろん自治体も負担をしていますけれども、やはり地域の経済開発等と結びつけてこの地方雇用開発委員会の活動を強化するということになれば、これもやはり、去年も五千万円程度は出していただけないだろうかという要請をしたわけですけれども、いま四百五十万円では、ああもしたい、こうもしたいと思っても、なかなかその活動ができない現状ではないだろうか、したがって、何とかこの面については、高齢者対策強化という観点から国の補助というものをふやすことが必要ではないだろうかというふうに私は考えております。
 定年制延長については、御承知のように、雇用審議会で一年近く討議をしてまいりました。一月の初めに雇用審議会の答申が出されたわけですけれども、これは御承知のように、法制化については、労使双方の意見が異なるために、定年延長の状況を見て引き続き検討をするという内容になっております。もちろん、定年延長問題を法律によってやるということはなじまないという経営者の意見も理解できるわけですけれども、しかし、率直に言って、いまのこの労使交渉の現状の中で、政府が考えておりますように昭和六十年までに定年制六十歳が一般化するかというと、私どもはきわめて悲観的な見解を持っています。したがって、罰則規定を伴うような法制化については問題があると思うのですけれども、現行の雇用対策法なりあるいは高齢者雇用促進法ですか、そういった法律の一部手直しをやって、制度的に労使の自主交渉が促進をするような措置はぜひとっていただく必要があるのではないかというふうに考えております。
 それから、三番目の労働時間の短縮の問題については、労働時間問題についてはもう多くを申し上げる必要はないと思うのです。この点についても、いままでかなり労働団体として取り組んでまいりましたけれども、ことしは労働団体が一致をして、年間実労働時間を何とか二千時間以内に短縮をしていく、そのために週休二日制の一般化あるいは残業の規制、あるいは年次有給休暇の消化率がいま六割から七割にとどまっていますけれども、これを今年度からは完全に消化をしていく、その三点を中心にしてひとつ労働組合も積極的に運動を起こしていこう、労使交渉の大きな課題としてこの問題を据えようということになっております。この点については労働省も積極的に推進計画に取り組まれていますけれども、やはりそういった労使交渉を側面から援助するための行政指導の強化というものは、現状よりももっと強化をされる必要があるのではないかというふうに考えております。
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横路孝弘#27
○横路委員 大川公述人にお尋ねしたいのですが、先ほど防衛予算について、国民生活との関連で防衛効果はどうなのかということをしっかり検討された方がいいのではないかという御発言がありましたが、つい先日の委員会でもそんな議論をいたしまして、防衛庁の方はどうも余り十分やっていないということが明らかになったばかりなんですが、この防衛効果というもの、このメルクマールが一体何かということは大変むずかしい問題なんですね。特に国民生活との関連で先ほどちょっとお話がございました。関連で防衛効果はどうかということを検討された方がいいのじゃないかというお話があったのですが、その中身をもう少し、一体何をメルクマールにしてお考えになっておられるのか、先生の頭の中にあることをちょっとお話しいただきたい。
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大川政三#28
○大川公述人 防衛効果と申しても、私、先ほど言いましたように専門家でないものですから、そういう防衛効果を一体どういうふうにあらわすのがよろしいか、これはむしろ先生方にお伺いしたいところなんですが、少なくとも防衛予算に限りませんで、政府の予算というのは、戦前なんかの政府の予算は大体投入物本位の予算の立て方だったのですね。人件費幾ら幾らとか物件費幾ら幾らだとか、こういうようなやり方から漸次、戦後は、もう少し経費の使用目的を明示するようなそういう分類の仕方で国民にも知らせ、国会でも議論される。そういう意味では、戦前に比べるとかなりアウトプット本位になってきたというふうに、改善の効果を考えておるわけであります。したがって、防衛効果をどういうふうに表現するか。少なくともアメリカの国防省でやったときには、陸軍の予算がこうだとか海軍の予算がこうだ、空軍の予算がこうである、それはB29を何機だとかなんとか、こういうような立て方に対して非常に反省が行われ、一体どういう戦術的な効果がこういうものから出てくるのか、あるいはどういう戦略的な効果がこれらのいろいろな兵器体系、人員の組み合わせによって出てくるのか、そういうふうなあらわし方であれば、そういう経費が社会的に本当に必要なのかどうか、あるいは国民生活、と言っても必ずしも消費生活だけではなくて、われわれ国民にとってその必要性なるものがいかなる形で生まれてくるのか、そのようなアウトプットと言っても、防衛費などは特にアウトプットの表示の仕方がむずかしいのでありますけれども、いろいろ国際情勢の中でいかなる防衛の必要性をいま抱えておるのか、持っておるのかという方面からの表現の工夫をすれば、国民の判断を非常に助けるのではないか、そういう意味では大変具体性を欠きますが、以上のお答えでお許しいただきたいと思います。
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横路孝弘#29
○横路委員 確かに防衛予算というのは、兵器が古くなったと称して次々と新しい、いまの国際技術水準に合ったものにかえていくから高くなるばかりなわけです。御指摘の点はよくわかるわけです。
 最後に、内山公述人に行政改革について、財政再建の一つの柱、行政改革の推進ということで今度第二臨調も出発するわけですが、総評の皆さんの基本的立場というのはどうなのか。世間では、官公労が中心だから、どうも総評というのは行政改革にさっぱり熱心じゃないじゃないか、こういう意見もあるようでございますので、この際、内山さんの基本的なお立場というものを明らかにしていただきたい。
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