文教委員会

1982-07-29 参議院 全207発言

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会議録情報#0
昭和五十七年七月二十九日(木曜日)
   午後三時三分開会
    —————————————
   委員の異動
 七月七日
    辞任         補欠選任
     関口 恵造君     増岡 康治君
     大木 正吾君     宮之原貞光君
 七月八日
    辞任         補欠選任
     増岡 康治君     吉田  実君
 七月二十九日
    辞任         補欠選任
     小西 博行君     木島 則夫君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         片山 正英君
    理 事
                大島 友治君
                田沢 智治君
                小野  明君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                山東 昭子君
                内藤誉三郎君
                中西 一郎君
                仲川 幸男君
                降矢 敬義君
                松浦  功君
                粕谷 照美君
                藤田  進君
                宮之原貞光君
                柏原 ヤス君
                木島 則夫君
   国務大臣
       文 部 大 臣  小川 平二君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
   政府委員
       外務省情報文化
       局長       橋本  恕君
       文部大臣官房長  高石 邦男君
       文部省初等中等
       教育局長     鈴木  勲君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       外務省アジア局
       外務参事官    長谷川和年君
       外務省アジア局
       中国課長     畠中  篤君
       外務省国際連合
       局外務参事官   遠藤 哲也君
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  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (外交問題に発展した高校教科書の検定問題に
 関する件)
    —————————————
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片山正英#1
○委員長(片山正英君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小西博行君が委員を辞任され、その補欠として木島則夫君が選任されました。
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片山正英#2
○委員長(片山正英君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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小野明#3
○小野明君 私は教科書検定をめぐります問題につきまして質問を申し上げたいと思います。
 中国や韓国の新聞論調による批判あるいは中国政府の公式の抗議があったわけでありますが、これを受けて閣議でもいろんな議論が噴出をしたように承っているわけであります。これらがいずれもこの問題に火に油を注ぐというような結果になったことは否めない事実でありますが、特に松野国土庁長官などは内政干渉、こういった反発、発言があったと報道されております。
 しかしながら、わが国においても外国に対して教科書の訂正方をいろいろ申し入れておるわけであります。
 たとえば、本年四月一日の参議院外務委員会でわが党の松前議員の質問に対しまして橋本外務省情文局長が、外国の教科書の日本に対する間違いの記事については、外務省と国際教育情報センターとが協力をして目を光らせ、在外公館を通じて訂正方を申し入れる努力をしている、こういった答弁がなされておりますが、これについて事実関係は一体どうであるのか、外務省御説明をいただきたい。
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長谷川和年#4
○説明員(長谷川和年君) お答えいたします。
 ただいま先生お尋ねの件でございますが、外国の教科書等に記載されております日本についてのいろいろな記述に関しましては、外務省の補助団体である国際教育情報センター、こういった団体がございまして、この団体が海外諸国と教科書とかいろいろな資料を交換することによりまして日本からも正しい資料を提供する、こういった活動を通じまして外国における日本についての記述が正確になるよういろいろ措置をとっております。
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小野明#5
○小野明君 さらに、北方四島をソ連領としておる外国の地図、これらにつきまして政府として在外公館を通じて訂正申し入れを行っておることが、昨年六月の小沢貞孝衆議院議員の質問主意書に対します政府の答弁書で明らかにされておるところであります。
 この政府の方針に基づいて外務省からの訓令によって在カイロ日本大使館がエジプト政府教育省に北方四島に関する教科書の記載を訂正するよう申し入れたところ、エジプト側がこれを受け入れ、エジプトの国定教科書の地図が改訂され、成果が上がったとの報道がされておるわけであります。
 これらが事実であるとすれば、外国の教科書で自国に関係をした記述に誤りがあれば、正式に是正方を申し入れるのはむしろ自然な姿です。わが国としても中国側から公式なルートを通じて申し入れがあっておるわけですが、これを謙虚に受けとめ、是正をすべきではないか、このように思いますが、外務省いかがですか。
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長谷川和年#6
○説明員(長谷川和年君) お答えをします。
 御指摘のとおり、中国の政府から日本側に態度の伝達があったわけでございますが、わが方としましてはこれを謙虚に受けとめ、これを文部省に伝達いたしまして、文部省の方に善処をお願いしておるところでございます。
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小野明#7
○小野明君 各国とも大体この訂正方を申し入れた場合にこれを友好的に受け入れている、このように判断をしてよろしいかどうか。
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長谷川和年#8
○説明員(長谷川和年君) お答えします。
 わが国が行っております国際教育情報センターを通じます教科書等に関する記載事項の訂正あるいはそれに関連した正確な資料の提供というのは事柄の性質上、原則として民間団体が行うことがいいということでございまして、民間レベルを通じまして可能な場合には友好裏に行っている、そう承知しております。
 ただ、先ほど先生が御指摘になりました北方領土の問題につきましては、昨年七月に外国の教科書とかあるいは地図等における誤った記述につきまして訂正するように訓令した次第がございますけれども、その際、おのおのの国の社会事情とかあるいは出版体制とか、いろいろ国内の社会体制も十分考慮した上で、任国の政府に適宜申し入れるように申したケースがございますけれども、民間ベースでもって原則として行っておりまして、友好裏に行っていると承知しております。
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小野明#9
○小野明君 民間ベースで行うということにあなたは力点を置いているが、そんなことはないじゃないですか。外務省と国際教育情報センターとが協力してエジプト政府に申し入れた、このように小沢貞孝君の答弁注意書に書いてあるんですよ。
 ここに国際教育情報センターの発行したものがございます。オーストラリア、西ドイツ、イギリス、フランス、それぞれある。オーストラリアの分をちょっと読みますと、「彼らは勤勉で、ヨーロッパ、アメリカそれにロシアから、多くの考えを模倣している。」、こういう記事がある。ところが、日本の訂正申し入れば、「日本人はヨーロッパ、アメリカの考え方を沢山模倣しているが、「ロシア」を除いた方がよい。」、こういうふうになっているわけですね。ですから、民間ベースではなくて、正式に政府ベースで申し入れ、しかも、その結果がそういうふうに全部冊子になって報告をされているじゃないですか。各国とも訂正申し入れについて、まあ韓国の分がないのは残念ですが、大体これを受け入れている、このように見てもよろしいんじゃないですか。
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長谷川和年#10
○説明員(長谷川和年君) お答えします。
 政府間で従来申し入れを行ったのは北方領土に関する場合のみと了解しておりまして、ほかの百科事典とか教科書等に関する記述については国際教育情報センターという民間の機関を通じましてそういった資料の提供等を行っていると承知しております。
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小野明#11
○小野明君 何かあなたの答弁はよくわからぬが、何かごまかしておるが、とにかく政府が、外務省が国際教育情報センターを通じて訂正方を申し入れて、相手国はこれを受け入れておる、それがどうかと、それにきちっと返事をしてくれ。
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長谷川和年#12
○説明員(長谷川和年君) 国際教育情報センターを通じまして民間レベルで、先ほど申しましたように、百科事典とかあるいは教科書等に関しまして正確な資料を提供しまして、先方の出版社とか本屋とか、そういうところに対してこういつた申し入れを行うとか資料の提供をやっておると承知しております。
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小野明#13
○小野明君 国際教育情報センターにあなたは重点を置いておるが、そうじゃないでしょう。橋本君の答弁によると、四月一日、参議院外務委員会、「外務省といま申し上げました国際教育情報センターとが協力いたしまして、再び在外公館を通じまして訂正方を申し入れる」、こういうふうに答弁されておるんですよ。橋本君が答えてくれ。
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橋本恕#14
○政府委員(橋本恕君) ただいま小野先生御指摘のとおりでございまして、個々の具体的な教科書を一々細かくチェックするというような仕事は外務省所管の財団法人でございます海外教育情報センターにお願いをしております。これを実際に相手国にどういうふうに申し入れるかにつきましては十分外務省と協議をしております。
 それから、さらにもう一つつけ加えますと、外務省が国際教育情報センターではなくて、直接相手国政府に申し入れあった例といたしましては北方領土の問題がございます。北方領土問題につきまして諸外国の教科書の中で地図でございますとか記述に誤りがあるというような事実をかなり発見いたしましたので、これにつきましては外務省が独自で相手国政府に訂正方を申し入れた例はございます。
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小野明#15
○小野明君 その答弁は正しいと思います。
 そこで、これは文部大臣にお尋ねをいたしますが、本年七月十三日に喜屋武眞榮参議院議員から教科書検定に関する質問主意書が出されております。
 これは、第四項で沖繩戦の記述の誤りということが指摘をされているわけですが、「朝鮮半島や、中国大陸に関する記述で、〃侵略〃を〃進出〃に、〃出兵〃を〃派遣〃に、〃収奪〃を〃譲渡〃に、〃抵抗運動〃を〃暴動〃に、〃専制〃を〃統治〃に書き換えるように指示されている」、「この件に関しては、「東亜日報」や「朝鮮日報」等でも」云々と、このように質問主意書の第四項に書いてありまして、これに対する内閣総理大臣の答弁書第四項でありますが、第一項もけしからぬのですが、第一項は、教科書検定の経過についてはこれは答弁できない、検定の経過は相変わらず密室の中で検定をするという答弁がなされている。
 第四項が問題でありますが、「教科書の検定においては、その記述が、客観的かっ公正なものとなり、かつ、適切な教育的配慮が施されたものとなるよう求めているところであり、」——これまではまずまず。まあ事実と大分違いますが、この後が、「このことによつて我が国と他国との友好関係が損なわれることはないと考えている。」、こういう答弁書が政府から出されているわけですね。
 これは官房に聞きましたら、この答弁書は大体所轄庁が書く、文部省が書いたと、こういうことですから、大臣も御承知であろうと思います。にもかかわらず、「我が国と他国との友好関係が損なわれることはない」と、こういう甘い見方で答弁書は書かれているんですが、今日のように教科書検定問題が日中間の外交問題に発展をした、あるいは日韓間に不測の事態がある、こういう事態を惹起したわけですが、あるいは問題は香港やシンガポール等にも波及してアジア全体に波及をしておるわけですが、文部大臣は一体この事実をどう受けとめられておりますか。
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小川平二#16
○国務大臣(小川平二君) ただいま仰せのように、教科書の検定に際しましては、教科書の記述が公正で客観的であること、同時にまた、教科書でありますから当然でございますが、適切な教育的な配慮がなされておることを期待いたしまして、文部省は偏らないことを旨として綿密に検定を行っております。
 今回のことでございますが、日本における検定の仕組みあるいは検定に臨む文部省の基本姿勢あるいはまた問題点として指摘されておりまする個々の事項につきまして、文部省の真意を時間をかけて十分説明いたしますれば、終局において友好関係を損なうような結果にはならない、そのように考えておるわけでございます。
 したがいまして、すでに中国に対しましては今晩の九時から文部省の初中局長と王暁雲公使とが会談をいたしまして、中国からいただいておりまする御批判のよって来るゆえんにつきましても、あるいはその他、先方の御意見についても謙虚に時間をかけて十分承り、かたがた当方の立場、考え方も御説明を申し上げるつもりでございます。
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小野明#17
○小野明君 大臣の御答弁ですと、教科書の検定制度あるいは中国側の申し入れに対してこれを謙虚に受けとめる、こういうことで中国側の理解が得られるのではないか、このような御説明なんです。しかし、今日この教科書検定問題がこういうふうにアジア間、日中間における外交問題に発展をしてしまった、この事実をどう受けとめておられるかということをまずお尋ねをしたい。
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小川平二#18
○国務大臣(小川平二君) 中国と日本との間におきましては、友好関係あるいは相互の信頼関係をますます深めていかなければならない今日のこの時点において、不測の事態と申しますか、予期せざる事態が生じたことは非常に残念に思っております。したがいまして、繰り返しになりまするが、当方の真意を十分説明いたしまして理解を得たい、こう考えておるところでございます。
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小野明#19
○小野明君 中国側の申し入れにつきましては大臣もう御承知であろうと思いますが、正式に外交ルートを通じまして、検定の過程で日本軍国主義が中国を侵略した歴史的な事実について改ざんが行われておる、こういう指摘がございます、抗議がなされている。そして文部省の検定した教科書の誤りを正すよう切望する、こういう申し入れなんですね。だから歴史的事実について改ざんが行われておる、たとえば「侵略」を「進出」に書き直させたという問題、その他、例を挙げればたくさんあるわけですが、これを改めてもらいたい、ここに焦点を合わせて回答をしない限り、謙虚に受けとめるとか検定制度を説明するとかいうような態度では中国側の納得は得られないんじゃないですか、見方が甘いんじゃないですか。
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小川平二#20
○国務大臣(小川平二君) 教科書におきましては、憲法の基本理念であります平和主義について十分説明をいたしておりますことはもとより、日中共同声明の趣旨につきましてもほとんどことごとくの教科書が記載をいたしております。過去において戦争を通じて中国に甚大な損害をかけた、その事実を厳しく反省をして日中の友好関係の促進に努めていくべきであるということについても多くの教科書は詳細に記述をしておるのでございます。この基本的な態度には今後もいささかも変わりはないわけでございまして、ただいま仰せになりました「侵略」を「進出」云々ということでございますけれども、細かくは申し上げませんが、問題は歴史の教科書でございます。歴史の教育におきましては史実に基づいた、信憑すべき資料に基づいた客観的な事実を客観的に考察し判断する、そういう能力を養うということを旨として歴史教育は行われるべきものでございますから、用語にいたしましても客観的なしかも統一した用語を使うことが望ましい、かような観点から中国との戦争について記述をした一、二の教科書におきまして、たとえば十九世紀における列強の中国に対する戦争を記述する際には「進出」という言葉を用い、日中の戦争については「侵略」という言葉を用いている、用語を統一なさってはいかがでございましょうか、その際、どちらかといえば「進出」という言葉の方が客観性のある用語ではございませんか、かような改善意見を出した結果、著作者はこの改善意見を入れてこれを「進出」と改め、あるいは「侵入」と改める、かようなことをやっておるわけでございまして、先ほど来申しておりまする基本姿勢にはいささかも変更を加えようとしておるつもりはございません。まして歴史の事実を改ざんする、軍国主義を復活しようとしておるというようなことは毛頭考えておらないわけでございます。
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小野明#21
○小野明君 大臣、「侵略」を「進出」と書き改めたことが歴史的事実である、こういうふうにおっしゃったわけですが、中国側はあの戦争について、日本の軍国主義の侵略戦争だと、こういうふうに受けとめているわけですよね。決して「進出」というような美化された言葉じゃない。これは南京大虐殺のところでも改善意見をつけているわけですが、教科書についても二、三である、こういうことを言っておられますが、調査官の意思あるいは文部省の意思、いわば政府の意思というのは、明らかにあの日中戦争、侵略戦争を「進出」だと、こういうふうに価値を置きかえて書こうとしている。それを中国側が歴史の改ざんだと、史実を誤って書いておる、こういう指摘がされているわけですよね。中国側の抗議はそこにある。日中共同声明におけるあるいは友好条約の精神もそこらに日本の反省というものがなければならぬ、ないといけない。そういうことに私は中国側の抗議の本旨があると思いますが、大臣は「侵略」を「進出」に変えることはあくまでも日中間の問題にはならない、このようにお考えですか。
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小川平二#22
○国務大臣(小川平二君) 一つの例でございますが、「日本の中国侵略」という見出しの部分を「満州事変・上海事変」というふうに改訂をした教科書がございます。しかし、この見出しのもとになされておる記述には一言一句も変更がないわけでございます。これを通読いたしまするならば、前回日本が中国に対してしかけた戦争が支持すべからざる戦争であったということは十分理解できると存じます。
 なお、教科書の全体を通読いたしますれば、先ほど申し上げましたように、日中共同宣言の趣旨についても明確に書いておるわけでございますし、前回の戦争を日本の国民あるいは日本の政府はきわめて厳しく反省をしておるという事実もはっきり書いておるわけでございますから、これらの点を私はただいまきわめて簡単に申し上げたわけですが、時間をかけて詳細に説明いたしますれば理解が得られることと、こう考えております。
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小野明#23
○小野明君 そういたしますと、中国側が「侵略」を「進出」に書き改めたことは歴史の改ざんである、こういう指摘をされているわけですが、大臣は「侵略」は「進出」でいいのだと、書き改める必要はない、日中友好関係を損なうおそれはない、こう断言なさるわけですか。大臣、答弁しなさい、大臣が。あなたの答弁だ。
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鈴木勲#24
○政府委員(鈴木勲君) ただいま大臣がお答えいたしましたとおり、わが国の教科書の検定の仕組みと申しますか、そういうものにつきましてただいま問題になりましたような「侵略」についての意見は強制力を伴わない、いわば指導、助言的な性格を持った改善意見でございまして、これをただいま大臣が申し上げましたような、表記の統一とか、そういう観点から変えてはどうであろうかというような意見を付しまして、それについて著者側が検討して改めてまいったというふうな性質のものでございまして、そのような点についての制度の仕組み自体がわが国の場合には他の国と違う点がございますので、そういう点も十分含めて御説明しなければ十分な理解が得られないのではなかろうかと、そういう観点から申し上げているわけでございます。
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小野明#25
○小野明君 宮之原委員が関連質問を申し出ておりますから私も言いますが、これは改善意見だと、こういうふうにおっしゃる。文部省の改善意見というのは、これは限りなく修正意見に近い。そういう修正意見と同じなんですよ。しかも「侵略」というのは、これは五十三年に修正意見としてつけられておるんですよ。そういう歴史的な事実がある。それをしもあなたは、改善意見である、拘束力を持たない、そんな口先のごまかしでは了承できません。
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鈴木勲#26
○政府委員(鈴木勲君) ただいま小野先生から御指摘の昭和五十三年度の問題でございますが、これは世界史の検定におきまして「侵略」という用語についての修正意見を付したという経過はございます。この例は五十三年度の世界史の検定におきまして、目次の表記におきまして、「十字軍とモンゴル軍の侵入」、「オスマン帝国のヨーロッパ進出」、「西アジアの民族運動とアフリカ・太平洋の分割」、「日本の中国侵略と抗日運動」というように、本文の見出しとなります目次の表記に不統一が見られまして、これらの表記の統一を図るように、これは例外的なケースといたしまして修正意見を付したものでございまして、特殊なケースでございます。その他は改善意見として従来からやっているわけでございます。
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宮之原貞光#27
○宮之原貞光君 関連。
 先ほど大臣が答弁しておられたところの「進出」という言葉と関連をしての話ですが、さきの大臣の御答弁によりますと、客観性のある表現にみんな統一をしたと、こういうことですが、これはそもそも従来戦後ずっと一貫して「進出」という言葉が使われておるなら、それもまた一つの答弁でしょう。しかし、教科書によっては明確に「侵略」、あるいは先ほど五十三年度の行政指導の中にもあった、それをまたこの段階に来て「進出」に変えなきゃならなくなった、ここに大きなやはり問題点があるんじゃないですか。皆さんが強力な行政指導をした。しかもその時期というのが、やはり一昨年以来の自民党内部に出たところの教科書の偏向攻撃の中から出てきておるところの問題ですよ、これ。そういう一つの政治的なバックというものがあってこの問題は出ておるんですよ、これは。そのことは全然皆さんは何にも言わないでおって、ただ客観性のあるところの言葉の表現に変えたと、こう幾ら強弁をされても、これは私どもさえ納得できないんですから、ましてや外交ルートを通じて訂正の申し入れをしたところの中国はこの問題について了解するということ、これ常識で考えられないんじゃないですか。
 そこで聞きますが、一体「進出」という言葉の意味はどういう意味ですか。恐らく私は、それ聞かれたら、これは初中局長といえども中国大使館に行ってどういう答弁をされるか見ものだと思いますよ。ちょっと私も広辞林を引っ張ってみたんですがね、「進出」というのは「進み出ること。」と書いてある。それからまた、研究社出版の新和英大辞典が「アドバンス、マーチ」と、こう書いてある。言うならばこれは進み出るということなんですよね。それで、いままで常識的に通常的に「進出」という言葉が日本で使われておるのは、たとえば婦人が政界に進出する者が多くなったとか、日本の企業がアメリカに多く進出をしているとか、言うなら若干好意的な目で見て評価の意味も込めて「進出」という言葉が使われておるんですよ。これが常識的な日本語の通用語なんですよ。そういう立場から、今度は「侵略」を変えて、華北に「進出」と、こう書かれてみたって、受けるところの国から見ればそれは素直に見られますか。あるいは私ども日本人が見て、日本の客観的な歴史的な戦前の事実、それを知っておる者から見れば、幾ら皆さんが取りつくろおうとも、この言葉がきわめて客観性のある言葉と言えるでしょうかね、大臣。まず私は大臣に聞きますけれども、どうなんですか、いま普通日本語で使われておるところの「進出」という言葉、私が言ったとおりなんでしょう。まず大臣から聞きたいね、これ。その次に僕は初中局長に聞くから。
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小川平二#28
○国務大臣(小川平二君) 「進出」という言葉は価値判断を伴わない客観的な用語だと理解いたしております。
 繰り返しになりますが、中国と諸外国との戦争を記述した部分で「進出」という言葉を使っており、日本と中国との戦争に関しては「侵略」という言葉を使っておる教科書はございますので、用語を統一してはどうかという改善意見を出した。これだけの問題でございます。「進出」という言葉、別に特によい感じを与える言葉とも考えておりません。
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小野明#29
○小野明君 大臣の御見解を承ると、あくまでも中国に対しては「進出」でよろしいと。いま宮之原委員が言ったような説明、多少「侵略」を——「侵略」と「進出」というのは格段の違いがありますよ、格段の違いがある。大臣はこれは「進出」でよろしいんだと言い張られるわけですね。
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