海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会

2009-04-15 衆議院 全388発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成二十一年四月十五日(水曜日)
    午前九時四分開議
 出席委員
   委員長 深谷 隆司君
   理事 木村  勉君 理事 小池百合子君
   理事 後藤田正純君 理事 新藤 義孝君
   理事 中谷  元君 理事 長島 昭久君
   理事 鉢呂 吉雄君 理事 佐藤 茂樹君
      あかま二郎君    秋葉 賢也君
      新井 悦二君    石原 宏高君
      浮島 敏男君    江渡 聡徳君
      越智 隆雄君    大塚  拓君
      木原  稔君    北村 茂男君
      杉田 元司君    鈴木 馨祐君
      冨岡  勉君    中根 一幸君
      中森ふくよ君    永岡 桂子君
      葉梨 康弘君    橋本  岳君
      松浪健四郎君    松本 洋平君
      三原 朝彦君    矢野 隆司君
      安井潤一郎君   吉田六左エ門君
      大島  敦君    川内 博史君
      篠原  孝君    田嶋  要君
      武正 公一君    平岡 秀夫君
      松野 頼久君    三谷 光男君
      渡辺  周君    石井 啓一君
      冬柴 鐵三君    赤嶺 政賢君
      照屋 寛徳君    下地 幹郎君
    …………………………………
   外務大臣         中曽根弘文君
   国土交通大臣       金子 一義君
   防衛大臣         浜田 靖一君
   内閣官房副長官      松本  純君
   法務副大臣        佐藤 剛男君
   外務副大臣        橋本 聖子君
   国土交通副大臣      加納 時男君
   防衛副大臣        北村 誠吾君
   国土交通大臣政務官    岡田 直樹君
   政府参考人
   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       大庭 靖雄君
   政府参考人
   (内閣法制局第二部長)  横畠 裕介君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 甲斐 行夫君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 石川 和秀君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 宮川眞喜雄君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 香川 剛広君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長)            別所 浩郎君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    梅本 和義君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局アフリカ審議官)      秋元 義孝君
   政府参考人
   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      中原  徹君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長)            大口 清一君
   政府参考人
   (国土交通省海事局長)  伊藤  茂君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    岩崎 貞二君
   政府参考人
   (防衛省防衛参事官)   岩井 良行君
   政府参考人
   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君
   政府参考人
   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君
   政府参考人
   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君
   政府参考人
   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君
   衆議院調査局海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別調査室長           金澤 昭夫君
    —————————————
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  あかま二郎君     浮島 敏男君
  赤城 徳彦君     永岡 桂子君
  石原 宏高君     安井潤一郎君
  伴野  豊君     篠原  孝君
  阿部 知子君     照屋 寛徳君
同日
 辞任         補欠選任
  浮島 敏男君     あかま二郎君
  永岡 桂子君     赤城 徳彦君
  安井潤一郎君     石原 宏高君
  篠原  孝君     伴野  豊君
  照屋 寛徳君     阿部 知子君
    —————————————
四月十五日
 自衛隊の海外派兵恒久法に反対することに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一九八九号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案(内閣提出第六一号)
     ————◇—————
この発言だけを見る →
深谷隆司#1
○深谷委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房総合海洋政策本部事務局長大庭靖雄君、内閣法制局第二部長横畠裕介君、法務省大臣官房審議官甲斐行夫君、外務省大臣官房審議官石川和秀君、外務省大臣官房審議官宮川眞喜雄君、外務省大臣官房参事官香川剛広君、外務省総合外交政策局長別所浩郎君、外務省北米局長梅本和義君、外務省中東アフリカ局アフリカ審議官秋元義孝君、文部科学省科学技術・学術政策局次長中原徹君、国土交通省総合政策局長大口清一君、国土交通省海事局長伊藤茂君、海上保安庁長官岩崎貞二君、防衛省防衛参事官岩井良行君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省運用企画局長徳地秀士君及び防衛省人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
深谷隆司#2
○深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
この発言だけを見る →
深谷隆司#3
○深谷委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
この発言だけを見る →
中谷元#4
○中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。
 これから、政府提出の海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案につきまして質疑させていただきます。この法案は、国際社会における海上交通の確保、海賊対処という、我が国の経済や海運、漁業に携わっている人々の命や財産を守るということのみならず、世界の海の安全保障に日本がどうかかわるのか、緊急かつ重要な問題への対処でありますので、各党、党派を超えた本質的な議論と建設的な修正の協議など、実のある審議をしていきたいと存じます。
 この法律の必要性は、第一に、今そこにある危機であります海の安全保障ということでありますが、この海の安全保障というのは日本の国の存立にかかわることでありまして、自国の船舶の安全を期するというのは国の当然の責務でございます。
 現在、ソマリア沖、これはヨーロッパとインド洋をつないでいるスエズ運河、そして紅海、その入り口のソマリア沖、ここを通過する船舶は二万隻あると言われておりますが、その一割が日本関係船舶でございます。年間約二千隻、一日平均四、五隻の日本に関係する船が通過して、いわゆる日本とヨーロッパ航路の大動脈、日本からの自動車輸出の全体の二割が貨物船で運ばれているということでございます。
 今、その海上航行が大変危機的な状況になっていると伺っておりますが、この海域の海賊の被害の状況につきまして、外務大臣から伺いたいと思います。
この発言だけを見る →
中曽根弘文#5
○中曽根国務大臣 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 ソマリア沖・アデン湾の海賊の事案につきましては、特に昨年の夏以降急増いたしておりまして、委員も御承知かと思いますが、昨年は百十一件で、全世界の約四割、一昨年の約二・五倍の事案が発生をいたしております。ことしに入りましても、この海賊事案は、四月十四日現在で七十四件発生をしておりまして、まだ三カ月半でございますが、昨年の約七割近く発生しているということでございます。ハイジャック船舶はそのうち十五隻もございます。そしてまた、十三隻が抑留をされておりまして、約二百三十名の乗員が人質となっております。
 昨年は日本人が人質になりました事件も発生をしておりまして、日本関係船舶への襲撃事件が三件、ことしに入りましてからも一件が発生をいたしております。
 現状は、いつ海賊の襲撃を受けてもおかしくない状況でありまして、大変懸念すべき状況でございます。
この発言だけを見る →
中谷元#6
○中谷委員 このような状況の中で各国が海賊対策に乗り出しておりますが、この海賊対処の根本にあるものが、国連海洋法条約であると思っております。
 国連海洋法条約の第百条にこう書いております。「すべての国は、最大限に可能な範囲で、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所における海賊行為の抑止に協力する。」とあります。この条約は、一九九四年に発効して、日本は一九九六年に批准をしておりますが、もう批准をして十年以上たっております。批准されて以降、なぜ現時点まで法整備をしなかったのか、この理由につきまして海洋本部の方から説明をいただきたいと思います。
この発言だけを見る →
大庭靖雄#7
○大庭政府参考人 お答え申し上げます。
 国連海洋法条約は、海賊行為の抑止につきまして、ただいま委員御指摘のとおり、国内法令の範囲内で最大限に可能な範囲での協力義務について規定をいたしておりますが、これは、各国ができる限りの協力を行うことを義務づけるという趣旨でございまして、海賊行為の具体的な取り締まりを条約上の義務として課したものということではございません。そのようなものと承知いたしております。
 また、政策的にも、我が国が、国籍を問わず海賊行為を処罰し、抑止し、取り締まるという現実的な必要がなかったということもございます。
 したがいまして、この条約を批准する際に、海賊行為の処罰、取り締まりのための国内法を整備することが必ずしも求められていたわけではなかったことから、批准時点では法の整備をしなかったという経緯がございます。
 いずれにいたしましても、近時発生しております海賊行為は、海上における公共の安全と秩序の維持に対する重大な脅威となっております。日本国民の人命、財産の保護の観点から、我が国にとって喫緊の課題でございます。このため、今国会において本法案の早期成立に向けた御審議をお願いしたいと存じておるところでございます。
この発言だけを見る →
中谷元#8
○中谷委員 今説明をいただきましたが、この条約は義務はないということで、求められていなかったということでございます。しかし、私は、国家の戦略というか経営方針というものがこの国にあるのかと逆に問いたいわけでございます。
 というのは、やはり日本は海洋国家でありまして、同時に貿易立国でもございます。我が国の貿易に占める海上貿易量の割合は、九九%海上輸送に依存をしておりまして、金額ベースでも全体の七五%が海上輸送にかかわっております。海上輸送が途絶えたら国民生活は途端に大変なことになるわけでありまして、このことを再認識しなければならない。みずからの国民を守れないようでは、国としての求心力がもたないということで、海賊対処をするというのは当然のことでございます。自国民や自国船を守るということを逡巡するようでは、海洋国家として世界をリードする資格はないのではないか。いたずらに議論ばかり重ねて、国としての明確な方針が定まらない日本の現状を外国から見れば、異様な姿と映りまして、国としての責任放棄ともとらえられかねません。
 そして、伺いたいことは、この条約につきまして、公海上の船舶については旗国主義、これが原則でございました。しかし、この法律においては、外国船籍に対する海賊行為も法律の対象といたしておりますが、これはどういう理由であるのか、再び海洋本部から伺いたいと思います。
この発言だけを見る →
大庭靖雄#9
○大庭政府参考人 お答え申し上げます。
 国連海洋法条約におきましては、すべての国が最大限に可能な範囲で海賊行為の抑止に協力するとされておりまして、公海における旗国主義の原則の例外といたしまして、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所において行われる海賊行為、人類に対する犯罪行為であるとされておりますこの海賊行為につきまして、海賊船舶等の国籍を問わず、いずれの国も管轄権を行使することができると規定されているところでございます。
 また、海に囲まれ、かつ主要な資源の大部分を輸入に依存しております我が国にとりまして、船舶航行の安全確保は極めて重要でございますけれども、その担い手であります我が国の商船隊、約二千三百隻に占めます日本籍船は九十隻余りにとどまっておりまして、その他は外国籍の船でございます。
 貿易量の大部分を外国籍の船が輸送しているという現状、これを考慮いたしますと、我が国といたしましては、これらの外国籍船も保護すべき重要な利益を有しているということは明らかでございます。
 このような現状及び国連海洋法条約の趣旨にかんがみまして、海賊行為の処罰及び海賊行為への適切かつ効果的な対処について法整備をいたしたいと存じておるのでございます。
この発言だけを見る →
中谷元#10
○中谷委員 ただいまお話しいただきましたように、いずれの国も抑止に協力をするという観点で、すべての国の船を世界みんなが守りましょうということでございます。だれがやるのか、これは日本もやっていかなければならないということでございますが、最近の国際情勢を見ますと、米国の一国主義というものが終えんをしまして、世界の安全保障が今流動化をしている。そして、各国の自己主張というものの激しさが増しております。北朝鮮がミサイルを開発し、核放棄のための六カ国協議、これも脱会しようとしております。また、イランの核開発もとめられない状況でもございます。
 そして、このソマリアの海賊、現在どんどん活動範囲を拡大させまして、昨日は、人質を救出するために犯人を射殺したアメリカ、フランスに海賊側が報復を宣言したということがCNNでも報道をされました。
 これは四月の七日でございますが、アフリカのケニア向けの援助物資を積んでいてソマリア沖を航行していた米国の船籍、コンテナ船のマースク・アラバマ号、一万七千トンが海賊に乗っ取られ、その後、積み荷を含む船体は船員が自力で奪回しましたけれども、米国の船長が同船の救命ボートで海賊とともに連れ去られたということでございます。これに対して、アメリカの海軍特殊部隊シールズが派遣されて、逃亡する犯人を急襲、海賊四人のうち三人を射殺、残る一人を拘束しました。船長はけがなく健康で、海軍の強襲揚陸艦に収容されましたけれども、これは、海軍第五艦隊の司令官によりますと、オバマ大統領が船長の生命に危険が及ぶおそれが高まったために救出命令を出したということでございます。
 この米国のとった措置というのは、国際法上どう評価できるのか。国連海洋法条約百五条でも、いずれの国も、海賊によって奪取され、支配下にある船舶内にある人を逮捕し、財産を押収、刑罰を決定できるとありますし、国連決議の一八五一では、国連憲章第七章のもと、海賊との闘いに参加せよとありますけれども、今回の米国の人質救出の事例はどう判断されるのか、お伺いをいたします。
この発言だけを見る →
梅本和義#11
○梅本政府参考人 お答え申し上げます。
 米海軍の発表によりますと、ソマリア沖三百マイルの地点を航行中であった米国船籍の貨物船マースク・アラバマ号でございます。まさに今委員がおっしゃられたとおり、四名の海賊に乗っ取られたということでございます。
 同船に乗船をしておりました約二十名の米国人の船員が海賊に抵抗し、海賊のうち一名を拘束し、船を奪還したということでございますが、船長は残りの海賊三名が人質として連れて逃走したということのようでございます。同船からの連絡を受けた米海軍が救出に当たって、十二日、船長は無事に救出をされたということでございまして、海賊一名は米海軍によって拘束をされ、残る三名が死亡したというふうに米側は発表しておるところでございます。
 国際法上、海賊によって誘拐された人質に関する規定というものは特にあるわけではございませんけれども、公海上の海賊行為の防止、取り締まりのために、海賊の人質となった人の救出のため、旗国等が必要な措置をとることは当然認められているというふうに考えております。
この発言だけを見る →
中谷元#12
○中谷委員 先ほど質問で、国連決議一八五一があるのではないかということを申し上げました。この一八五一では、国連憲章第七章のもとに行動し、そして各国は、すべての軍隊及び機関を通じて海賊との闘いに参加せよ、また、ソマリア海域の中に入ってもよろしいというところまで決議をされていますが、この決議と米国の行動の関係はどう考えればよろしいですか。
この発言だけを見る →
梅本和義#13
○梅本政府参考人 お答え申し上げます。
 この国連決議は、あくまでも、ソマリア沖の海域において海賊がばっこしておるということについて、国連として、国際社会としてこれに共同で取り組むということを各国に求めているわけでございますが、その国連決議と今回の米軍の行動の具体的な対応については、特に国連決議がそこまで定めているというふうには考えておりません。
 いずれにしても、必要な措置をとるということ、その必要な措置をとる中で人質の救出のために米海軍が行動したということだというふうに理解をしております。
この発言だけを見る →
中谷元#14
○中谷委員 この米国の船は、ケニアのモンバサ港に陸揚げをされる予定の、国連の食糧計画、WFP、これに基づいて援助物資を積んで航行中だったわけですね。つまり、国連の活動の一環であるのにもかかわらず物資を奪われて、国連がこのような決議をしているわけでありまして、私は、これは容認ができることではないかと思っておりますし、先ほど御説明のあったように、海の上の人命尊重という点でも合理性があると考えております。
 しからば、もし日本船及び日本人が人質になったと考えたら、一体どうするかという話でございます。
 今回、新法が提出されておりますが、逃亡する犯人から人質を救出することができるのか、だれがどこまで救出をすることが可能になるのか、この点について法案の提出者から伺いたいと存じます。
この発言だけを見る →
大庭靖雄#15
○大庭政府参考人 提出いたしております海賊対処法案におきましては、人質にする目的で航行中の他の船舶内にある者を略取するという行為につきましても、海賊行為として処罰及び対処の対象ということにいたしております。したがいまして、お尋ねのような件についても、海賊行為として同法案の規定によりまして対処することが可能であるというように存じております。
 いずれにいたしましても、個別の事例において、御質問の事例を含めてどのような対処を行うべきか否かについては、その具体的な状況によって判断される事柄であり、あらかじめ一般的なこととしてお答えすることは難しいというふうに存じております。
この発言だけを見る →
中谷元#16
○中谷委員 あわせてお伺いをいたします。
 この法律では、海賊行為への対処に係る活動海域としてどこまで想定をしておられるのか。つまり、公海上及び我が国の領海のみならず、他国の領域において自衛隊が活動できるのかどうか。国連の決議一八四六におきましてもソマリアの領域内での活動が国連としては容認をされておりますが、国連海洋法条約に照らしますとどうであるのか。
 そして、先ほどお話ししたケースでありますが、やはり人質を連れ去られたわけですね。それで、オバマ大統領が自国民を救出せよという指示を出されたわけでありますが、この追跡権というもの、これは国連海洋法条約では認められております。国連決議一八五一でもそれが可能になっております。この法律によりますと、どこまでこの追跡ということが認められているんでしょうか。
この発言だけを見る →
金子一義#17
○金子国務大臣 外国の領海におきまして、当該沿岸国が、その領域主権に基づき、みずから取り締まりを行っているのが常であります。したがって、我が国が警察行動のために立ち入ること、これは基本的に想定はしておりません。
 他方で、当該沿岸国の同意を得た場合または要請を受けた場合、公海などから海賊行為を行った者を追跡して当該沿岸国の領海内に立ち入ることは、先ほど答弁をさせていただきましたとおり、本法案の規定上も可能であります。
 国際法上は、公海または我が国領海等において行われた海賊行為への対処として、当該海賊船舶が他国の領海に逃げ込んだ場合には、当該国の同意あるいは要請、これを受けまして、もしくは関連の国連安保理決議、今御指摘の一八五一でありますが、これに従って我が国が当該国領海の中にまでこれを追跡して取り締まりを行うことは、国際法上は問題がないという理解、認識であります。
この発言だけを見る →
中谷元#18
○中谷委員 御答弁では、主権に基づき主権国が行うということでございますが、このソマリアのケースで考えますと、現在、ソマリアはほぼ無政府状態でありまして、大統領と議会と閣僚はいるようですが、首都の主導権は反政府勢力が握っているということでございますし、当該国の同意が得られたとしても、当該国はそれを取り締まりすることができない。すなわち、海賊がばっこしているわけでございます。
 したがいまして、日本人の人質がこの領域に入った場合に一体だれがこの日本人の救出をするのかなという気がいたしますが、先ほどの御答弁で、入れるのか入れないのか、少しあいまいな部分もあったと思いますが、これは領域まで追跡をしてもいいということでしょうか。政府委員でも結構ですが。
この発言だけを見る →
大庭靖雄#19
○大庭政府参考人 国連安保理事会は、決議第一八五一号主文六におきまして、ソマリア暫定政府、TFGが国連事務総長に事前通知をすることやTFGの要請に従うなどさまざまな条件を付した上で、ソマリア沖の海賊、武装強盗行為を抑止するために、ソマリアにおいてTFGに協力する各国等が適当なすべての必要な措置をとることができるというように決定をしていると承知をいたしております。
 他方また、先ほど大臣から御答弁ございましたように、この海賊対処法案において、基本的には、領海内においてはその当該沿岸国においてその主権の行使として取り締まりが行われることが原則でございますけれども、当該国からの要請等があった場合には、この法案としてはそういうことも可能であるというふうに措置しているというものでございます。
この発言だけを見る →
中谷元#20
○中谷委員 この可能性は海賊被害の十分の一だと私は思います、日本は。つまり、この海域を走っている、航行している船の十分の一は日本の船舶ですから、確率は十分の一であると。では、だれが親身になってくれるのかといいますと、やはり各国の協調と協力しかないと思います。
 また、IMO、これは国際海事機関でありますが、今、地域会議を主催して大変大きな役割を果たしています。周辺国が海上保安庁などの協力によってコーストガードという体制を強化していくということでございますが、現実に、IMOがソマリア周辺国会議を開催しておりますが、我が国として、この会議に出席をされまして、地域の安全を守るという観点で一体どのようなことを主張し、どのような貢献をしようとしているのか、外務省から伺いたいと思います。
この発言だけを見る →
宮川眞喜雄#21
○宮川政府参考人 本年一月、ジブチにおきまして、国際海事機関、IMOの主催によりまして、ソマリア周辺海域海賊対策地域会合が開催されまして、そこで、海賊防止のための協力や海賊情報共有センターの設置などを規定しました行動指針がソマリア海域の周辺十六カ国とソマリア暫定連邦政府によって採択されました。
 今御指摘のとおりでございますが、IMOは、こうした取り組みを通じて、海賊対策、海賊取り締まりのための地域協力の枠組みづくりに大きな役割を果たしております。我が国といたしましては、ソマリア沖の海賊の根絶に向けて、周辺沿岸国の海上取り締まり能力の向上、それから地域協力などの取り組みを一層進めてまいりたいと考えております。
 そのため、我が国は、IMOと緊密に連携することを重視しておりまして、ジブチの会合にも、これまで我が国が東南アジアにおいて行ってきました海賊対策に関する支援の経験を踏まえて積極的に参加いたしましたし、今後も、我が国としてIMOの活動に対していかなる貢献ができるのか、積極的に検討してまいりたいと思います。
この発言だけを見る →
中谷元#22
○中谷委員 IMOとかの国際協力というのは当然やるべきでありまして、大いにこれからも進めていただきたいと存じます。
 しかし、問題なのは、いざとなったときに、ではIMOとかほかの国が日本人を救出してくれるかということでありますが、やはり日本人が人質になった場合には救出するのは祖国日本じゃないかと思います。
 まして、世界はまさに、暴力の抑止とか法秩序、これを失いつつありまして、このような時代は沈黙する国家は新たな国際社会の谷間に埋没をしてしまうのではないか。同時に、コストを負担するだけでは国際社会の中で存在感を持ち得ない。発言権はリスクを共有して、分担して初めて得られるもので、まさに世界の中で何ができるのかと問われている時代でありまして、日本は行動しなければなりません。
 日本は、戦後六十年間、日米同盟のもと、アメリカの後方支援に徹すれば、経済大国とかODA大国としてそれなりの安定感と存在感を示しましたけれども、今日、この手法は通用しなくなりました。
 シーファー前駐日大使は、離任に先立つメディアとの懇談会で、海賊は国家ではなく犯罪者の集団であり、集団的自衛権の問題や憲法九条とは別だと述べまして、日本が国際社会の海賊対策に積極的に参加するように求めました。日本がみずからを守る用意がなければだれが守るのかと離任時に疑問を投げかけております。
 また、ゲーツ国防長官も、せんだっての北朝鮮のミサイル案件の時期に、アメリカに飛んでくるミサイルは撃ち落とすとしか発言をしませんでした。暗に、日本に飛んでくるミサイルぐらい日本で対処しろと言っているようでございますが、米国でさえ、やはり自国の関心というものがありまして、国益や関心の低い地域から逐次撤退をしてまいります。
 好むと好まざるとにかかわらず、日本が独自で対応せざるを得ない地域、分野は拡大をしており、まして、グローバル化の進行で、海外の企業で活動している日本人もたくさんいます。国として、海外で活動している日本の企業や人々の安全はどう考えているのでしょうか。自国民や自国船が現実の脅威にさらされているときにどう守るかということを真っ先に考えるというのが国際常識でございますが、この考え方につきまして、閣僚の方から御意見を伺いたいと存じます。
この発言だけを見る →
中曽根弘文#23
○中曽根国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、自国の船舶等が航行している、それが海賊等によって襲われるということは、その船に乗っている船員やあるいは船舶、我が国の国民の人命あるいは所有する船舶、これにかかわることでありますから、当然、我が国自身がこれにしっかりと対応するということが大事でありますが、同時に、そこを通過する船には多くの商品等も載っておるわけでありまして、そういう経済的観点からも、いろいろな観点からも、自国でしっかりと対応するということが大事だ、そういうふうに思っております。
この発言だけを見る →
中谷元#24
○中谷委員 政府としても全力を挙げていただきたいと思います。
 しかし、政府には限界、足かせがあるわけですね。それは憲法でございまして、これまで、こういった邦人救出に際しまして、いろいろな法案を通しましたけれども、常に憲法九条の制約というものが問題になっていました。しかし、この問題に対処しないと命は守れないということと同時に、国際社会というものは容認をしないという状況になっております。
 日本が憲法の制約をどう説明しようと、各国から見れば、しょせん自分たちと関係のない、日本の特殊事情にすぎないわけでありまして、懸命に取り組んでいる国から見れば、汗もかかないで金もうけだけやっているんじゃないかと映ります。まして、日本は世界で一番海運の船を有している国家でありまして、便宜置籍船や、外国人の乗組員を雇用しております。日本はこういった外国の人たちの命も守らなければならないということでございますが、そのことについて、ちょっと現実論から質疑をさせていただきます。
 四月四日でございます。午前三時四十分、「さざなみ」は、タンカーから七キロ離れた地点で無線を受け、十分後に約五・五キロまで接近したところ、小型ボート三隻と母船のような船の計四隻が確認をされました。そこで、真夜中でありましたので、約十分間サーチライトを照射したり、長距離音響発生装置を用いて、大音量で、現地語を使い、こちらは海上自衛隊だと呼びかけ、海賊らしき大型船舶を追い払いました。
 タンカーに近づいた船は、はしけの後ろに三隻の小型船をつなげて航行していたが、武器を持っているかどうかということについては不明でございますが、その後、この船舶が何だったのかということを確認したかということをお伺いしたいと思います。
 また、無線を発してきたタンカーが海上警備行動による護衛の対象外であるシンガポールの船籍であったにもかかわらず、不審船を撃退したのは、私は、助けを求められて対処した指揮官の判断としては的確であったと思いますが、この根拠についてお伺いをさせていただきます。
 私が調べましたら、これは船員法第十四条に基づいた、きちんとした根拠による全く正当な行為ではないか。この船員法第十四条は、「船長は、他の船舶又は航空機の遭難を知つたときは、人命の救助に必要な手段を尽くさなければならない。」と定めておりまして、まさに突発的な異常事態の発生、SOSに関して定めた船員法第十四条が、これは特別法でありますが、一般法、これは自衛隊法八十二条でございますが、それに優先するという一般原則に従って、今回このような事態に適用されるというふうに考えております。しかも、不審船の行動と護衛艦の対処に著しい不均衡があったわけでもないし、厳しい制約のもとで適切に対処した海上自衛隊には惜しみない称賛を送るべきでございます。
 しかし、この海上自衛隊の行動と法律が一致しているのかというと、私は、やはり過度の気遣いを海上自衛隊に与えているという気がいたしまして、この状況を一刻も早く正さなければなりません。
 防衛大臣に伺いたいと思いますが、これの警護をした、また救出した根拠と、この船の確認について伺いたいと思います。
この発言だけを見る →
徳地秀士#25
○徳地政府参考人 お答え申し上げます。
 四月四日の日本時間で二時四十分ごろ、護衛活動を実施中の護衛艦「さざなみ」が、護衛対象外の船ではございますが、シンガポール船籍のタンカーから、小型船舶が接近しているという旨の通報を受信いたしまして、これに対しまして、サーチライトを照射するですとか、先生御指摘の指向性大音響発生装置、LRADによる呼びかけを実施いたしております。
 それで、相手方の小型船舶、これは確かに小型ボート三隻を曳航していたということは現場で確認をいたしておりますけれども、海賊船であったかどうかということの確認は今のところとれておりません。
 それから、この活動につきましては、護衛対象外の船舶から国際VHFで通報を受けましたので、人道的な観点から、強制力の行使を伴わない行為といたしまして、先ほどのLRADによる呼びかけでありますとかいうようなものを実施しておりまして、法的な根拠ということで申しますと、船員法の十四条ということになろうかと考えております。
この発言だけを見る →
中谷元#26
○中谷委員 根拠は、先ほど言った根拠でよろしいですか。
 それも加えて伺いますが、非常に苦労しながら対処しているという現実でございますが、そのためにも海賊対処法案の迅速な可決が強く求められますが、防衛大臣、いかがお考えでしょうか。
この発言だけを見る →
浜田靖一#27
○浜田国務大臣 根拠につきましては、先生のおっしゃるとおりだというふうに思っておるところでございますが、今先生から御指摘のありました対処、特に気遣いという点については、やはりこの新法に基づいて考え、対処できればというふうに思っておるところであります。
 それは、今回の対象については、日本関係の船舶のみならず、我が国と関係のない外国船舶についても海賊行為からの防護が可能となりますし、また、海賊船による民間船舶への接近を阻止するための武器使用権限が付与されることになりますから、自衛隊がより適切かつ効果的に海賊対処を行うことが可能になるというふうに考えておりますし、自衛隊による海賊対処については、新法を整備した上で対応するのが基本であるというふうに私ども一貫して申し上げてきたところでございますので、法案の早期成立を心からお願いするところであります。
この発言だけを見る →
中谷元#28
○中谷委員 そこで、大変苦労しながら海上警備行動で任務をしている海上自衛隊について伺います。
 三月三十一日からこのオペレーションを開始しておりますが、これまでの活動実績、成果はどうなっていますか。実施海域の距離とか海路を通過する時間、またこれまで護衛をした隻数について伺います。
この発言だけを見る →
徳地秀士#29
○徳地政府参考人 お答え申し上げます。
 ソマリア沖・アデン湾における海賊対処のために、新法整備までの応急措置といたしまして、三月十三日に海上警備行動が発令をされまして、護衛艦二隻、「さざなみ」「さみだれ」が派遣をされております。そして、三月三十日からアデン湾において日本関係船舶の護衛が開始されております。
 この派遣されております護衛艦二隻は、これまで、本日の朝までの状況でございますけれども、合計七回の護衛を実施しております。アデン湾において、西側に向けて航行したり東側に向けて航行するということを繰り返しておるわけですが、けさまでで七回実施をしております。そして、七回の合計で、日本関係船舶合計二十一隻の護衛を実施しておるところでございます。
 それから、先生も先ほど御指摘ございましたけれども、四月四日それから十一日には、護衛対象外の船舶から国際VHFで通報を受けましたので、人道的観点から、強制力の行使を伴わない行為ということで一定の対応をいたしました。
 それから、護衛艦が護衛を実施している海域の距離でございますけれども、約九百キロメートルでございます。この海域を通過するのに要する具体的な時間ということでございますけれども、これはその時々の速度によって異なるわけではございますけれども、大体十数ノットというようなことでございますと、一日から二日程度ということで大体通過するというふうなところでございます。
この発言だけを見る →
← 戻る