法務委員会

2016-05-24 参議院 全69発言

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会議録情報#0
平成二十八年五月二十四日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                西田 昌司君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                矢倉 克夫君
    委 員
                猪口 邦子君
                田中  茂君
                鶴保 庸介君
                牧野たかお君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                加藤 敏幸君
                真山 勇一君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     岩城 光英君
   副大臣
       法務副大臣    盛山 正仁君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  田所 嘉徳君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中村  愼君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   堀田 眞哉君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  菅野 雅之君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   平木 正洋君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   村田 斉志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       法務大臣官房司
       法法制部長    萩本  修君
       法務省訟務局長  定塚  誠君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○総合法律支援法の一部を改正する法律案(第百
 八十九回国会内閣提出、第百九十回国会衆議院
 送付)
    ─────────────
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魚住裕一郎#1
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務大臣官房司法法制部長萩本修君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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魚住裕一郎#2
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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魚住裕一郎#3
○委員長(魚住裕一郎君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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三宅伸吾#4
○三宅伸吾君 おはようございます。自由民主党の三宅伸吾です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 議題となっております法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を増加することなどを目的としたものでございます。
 まず、下級裁判所における過去の開廷状況についてお聞きをいたします。
 先月、最高裁判所事務総局は、ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する調査報告書を公表しております。報告書に至る経緯をごく簡単に御説明ください。
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中村愼#5
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 全国ハンセン病療養所入所者協議会外二団体から、平成二十五年十一月六日付けで、ハンセン病を理由とする開廷場所指定の正当性について検討するよう要請する旨の要請書の提出を受けました。事務総局は、これを契機に、平成二十六年五月十九日に調査委員会を設置して調査を開始いたしました。その後、広く有識者の意見を聴取し、調査の参考とするため、平成二十七年九月から本年三月まで六回にわたり有識者委員会を開催した上、本年四月に調査報告書を完成、公表した次第でございます。
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三宅伸吾#6
○三宅伸吾君 開廷場所の指定及び裁判の公開性につきまして、その違法性と違憲性について調査報告書はどのような結論を出しておりますか。
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中村愼#7
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 司法行政事務として開廷場所の指定の事務を行っていた事務総局は、基本的に当事者が現にハンセン病に罹患していることが確認できれば、科学的知見や他者への伝染可能性の有無及び程度、伝染可能性の低下の見込みの有無等の諸事情を具体的に検討することなく、裁判所外における開廷の必要性を認定して認可するとの定型的な運用を行っておりました。しかし、遅くとも昭和三十五年以降においてはハンセン病は確実に治癒する病気となっており、伝染のおそれについても他の疾病と区別して考えなければならない状況にあったとは認められないことから、このような定型的運用は遅くとも昭和三十五年以降は合理性を欠く差別的な取扱いであったことが強く疑われ、裁判所法六十九条二項に違反するものであったというのが結論でございます。
 また、開廷場所の選定と憲法の公開原則の関係につきましては、下級裁判所は、最高裁判所の指示に従い、裁判所の掲示場及び開廷場所の正門等において告示を行っていたこと、下級裁が指定された開廷場所において傍聴を許していたということが推認でき、このような運用は憲法の定める公開の要請を念頭に置いて行われていたものと認められるし、指定を受けた下級裁で行われた手続において、裁判所法六十九条二項が想定する公開の要請を満たさないと解される具体的形状を有する場所が開廷場所として選定された事例があったとまでは認めるには至らなかったというのが結論でございます。
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三宅伸吾#8
○三宅伸吾君 この報告書には有識者委員会の意見が添付されております。有識者委員会の指摘を、最高裁判所事務総局の見解との違いを中心に御説明いただけますか。
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中村愼#9
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 調査報告書は有識者委員会の意見を踏まえて作成したものでございまして、多くの意見が調査報告書に反映されております。それでもなお調査報告書の考え方と有識者委員会の意見が一致しなかった部分について説明いたします。
 まず、定型的な運用ということでございますが、先ほど答弁申し上げたとおり、調査報告書では、遅くとも昭和三十五年以降については合理性を欠く差別的な取扱いであったことが強く疑われ、裁判所法六十九条に違反するものであったというふうに結論付けました。これに対して、有識者委員会の意見においては、この運用は裁判所法違反であると同時にハンセン病患者への合理性を欠く差別であり、憲法十四条一項違反と言わざるを得ないという指摘がありました。また、昭和三十五年以前の例につきましても、ハンセン病患者への反省と謝罪の表明があってもしかるべきだという指摘もあったところでございます。
 また、開廷場所の選定と憲法の公開原則の関係につきましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、調査委員会の方は、裁判所法六十九条二項が想定する公開の要請を満たさないと解される具体的形状を有する場所が開廷場所として選定された事例があったとまで認定するには至らなかったと結論付けたところですが、有識者委員会の意見におきましては、療養所等ハンセン病患者の隔離、収容の場所で行われた裁判が憲法の要請する公開原則を満たしていたかどうか、違憲の疑いはなお拭い切れないという指摘があったところでございます。
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三宅伸吾#10
○三宅伸吾君 毎年、憲法記念日の前になりますと最高裁長官が記者会見をされます。本件に関し、今年の記者会見で最高裁の寺田長官は、特別法廷が憲法の法の下の平等に反すると有識者に指摘されたにもかかわらず最高裁事務総局の報告書でこの点を認めなかったことに関し、違法と結論付けたので、それ以上に憲法違反かどうかの判断は法律的には必要ないと説明をされておられます。そしてまた、記者会見で、憲法判断を事務総局がちゅうちょしたのは理解できるとも長官は述べられております。
 この長官の発言に対しまして記者から再質問が出まして、その答えの中で寺田長官は、報告書では定型的に行われた手続が正しくなかったと結論を出している、正しくない、繰り返してはならないということなので、法律的に必ずしも憲法判断に踏み込む必要性はないと回答されたそうでございます。
 国民、とりわけ関係者は憲法の番人として憲法判断を最高裁判所に期待していたと私は思うのでございますけれども、長官は憲法判断に踏み込む必然性はないとおっしゃったそうでございます。これはどういう趣旨なのでございましょうか。
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中村愼#11
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 今回の調査におきましては、司法行政事務としての開廷場所指定の適法性、相当性を調査の対象事項といたしました。そして、調査の報告書におきましては、先ほど答弁いたしましたように、開廷場所指定は裁判所法六十九条二項に違反するものであったと結論付けるとともに、今後の開廷場所指定のあるべき運用について記載したところでございます。
 このように、過去に行われた司法行政事務としての開廷場所の指定について司法行政主体としての最高裁が司法行政事務として調査を行うというものですから、裁判所法違反であることが確認できれば過去の開廷場所指定が違法ということになりますので、それ以上に憲法判断に踏み込むことが必要であるかというふうに問われれば、必ずしもそうではないというふうに考えています。この趣旨を寺田長官の方は発言したものと理解しております。
 なお、調査報告書におきましては、我々事務総局といたしましては、憲法違反とまでは明記しておりませんが、この運用につきまして、裁判所法違反の評価を記載するにとどまらず、合理性を欠く差別的な取扱いであったことが強く疑われるというふうに記載しているところでございまして、この趣旨は、憲法違反かどうかということにつきましては、ハンセン病以外を理由とする開廷場所指定の運用についても詳細な調査の結果、それとの比較というのが必要でございますが、その関係も資料が足りず十分にできなかったことから、十四条違反ということまでは明記しなかったということでございます。ただ、表現としては、先ほど申し上げましたように、合理性を欠く差別的取扱いであったことが強く疑われると記載したところでございます。
 委員の方から、憲法の番人として憲法判断を期待されていたという御指摘がされました。今御説明いたしましたように、今回の調査は、憲法上違憲立法審査権を有します裁判体としての最高裁の判断ではないものでございますが、寺田長官からは、憲法価値の実現を担う裁判所が差別を助長する姿勢であったことは痛恨の出来事として重く受け止めており、患者や元患者の皆様、国民の皆様に深いおわびを申し上げたところでございます。
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三宅伸吾#12
○三宅伸吾君 有識者委員会の結論に対しまして、長官はこのように述べたそうでございます。純粋に法律的な観点を離れて結論を出されたと理解していると、このように長官は述べたそうでございます。
 有識者委員はほぼ全員が私は法律家ではなかったのかと記憶しているんですが、この点お聞きしたいと思います。それから、純粋に法律的な観点を離れて結論を出されたと長官は述べておられますけれども、法律以外のどのような視点を有識者委員会が考慮したとの趣旨なのか、改めてお聞きしたいと思います。
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中村愼#13
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 有識者委員会の委員五名のうち四名が弁護士ないし法学者でございまして、残る一名は報道関係者でございます。その方も長きにわたり司法関係の報道に携わっておられた方でございますので、全員が高い法律的知識や素養を有した方々であるということは委員御指摘のとおりでございます。
 委員は、このような法律的知識だけではなく、ハンセン病の隔離政策やハンセン病の患者、元患者の方々を取り巻く困難な社会状況について深い学識経験をお持ちの方、また、ハンセン病問題に関する検証会議にも参加された経験を持っている方ということでございまして、委員会におきましては、法律的な観点からではなく幅広い議論がなされたところでございます。
 公開の原則の関係で、有識者委員会の意見におきましては、ハンセン病療養所はそれ自体が激しい隔離、差別の場所であったと言わざるを得ない、療養所自体、一般の人々の近づき難い、許可なくして入り得ない場所であるから、その中で設けられた法廷は更に近づき難いものであったというふうにハンセン病療養所を取り巻く社会的状況を指摘の上、これを公開原則の関係で重要視され、違憲の疑いはなお拭い切れないと指摘されているところでございます。
 他方、調査委員会では、公開原則の関係では、一般論として言えば、傍聴人が入るのに十分な場所的余裕があり、開廷の告示などをする方法によってその場所で訴訟手続が行われていることを一般国民が認識可能で、かつ、一般国民が傍聴のために入室することが可能である場所であれば公開原則を満たすものと考えており、その意味で有識者委員会の意見と調査委員会の意見は、純粋に法律的なスタンスというよりは、高い次元の考慮もされた上で判断がなされたというところであります。
 このことを長官の方はそういう趣旨で発言されたものでございまして、決して有識者委員会の検討が法律的に間違っているとか、考慮すべきでない要素を加えて検討したという評価を加えた趣旨ではないというふうに理解しているところでございます。
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三宅伸吾#14
○三宅伸吾君 ありがとうございました。
 有識者委員会が、憲法問題を含めて法律判断を下すに当たって、リーガルマインドがなかったのではないかというふうに受け取られるような報道を私は目にしたわけでございます。今の御説明ですと、いや、そうではないんだと、有識者として高い見地から法的事項以外のことも検討したと、これは今お聞きして分かりましたけれども、ただ、こういう誤解というか、私がそういう認識を持った一つの理由は、やはり生の肉声を聞いていないからだと思うんであります。
 最高裁長官、年に一度記者会見されているわけですから、是非、インターネット等を使って長官の憲法記念日前の記者会見は公開をされてはいかがでしょうか。
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中村愼#15
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) これまで憲法記念日に当たっての最高裁判所長官の記者会見につきましては、冒頭の長官による談話の発表と記者からの代表質問については録音及びカメラ撮影が行われてきたところでございまして、報道機関はこの録音ないしカメラ撮影による音声又は映像を報道するに当たって利用することが可能な状況になっております。また、長官による談話は裁判所のウエブサイトにも掲載しているところでございます。
 肉声をという委員の御指摘でございました。この記者会見の情報発信の在り方につきましては、御指摘の点も踏まえまして、報道機関による報道の実情なども踏まえながら今後更に検討してまいりたいと考えているところでございます。
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三宅伸吾#16
○三宅伸吾君 有識者委員会は、その意見をこのように結んでおります。「今回の問題は、ひとり最高裁判所・司法府の責任を問えば済むものではない。検事、弁護士等の法曹、法学研究者等法学界の人権感覚と責任が厳しく問われていることも強調しておきたい。」と、このようにして有識者委員会は意見を結んでおります。
 ハンセン病隔離政策については、国会も既に責任を認めた上、謝罪決議をしていることを申し添えて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
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小川敏夫#17
○小川敏夫君 民進党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 今日は裁判所の方にお尋ねいたしますけれども、今度のこの判事の増員でありますけれども、去年もありました、おととしもありました、今年もあって、私の予想では来年も再来年もあるんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょう、そうすると、まず裁判所として、この全体像といいますか増員をしていった目標点といいますか、判事の構成、判事補含めて、裁判官の人員の在り方についての、何といいますか、長期的な展望といいますか、そこら辺のところを御説明いただけたらと思いますが。
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中村愼#18
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 長期的展望という御質問でございます。
 御承知のとおり、今後も一定期間、判事の人員の増加が見込まれているところでございます。今後の判事定員の増加につきましては、このような充員見込みも考慮しつつも、あくまでも、繁忙と言える裁判官の負担を軽減し、充実した審理を可能とし、各種事件の適正、迅速な判断をするための人的な充実を行っていきたいと考えております。
 裁判所は、平成十三年の司法制度改革審議会の際に、適正、迅速な裁判を実現すべく、民事訴訟の合議率一〇%、民事第一審の人証調べが実施された判決による終局事件の平均審理期間十二か月以内という目標を掲げたところでございまして、具体的には、訴訟の迅速化、専門化の対応のためにその時点で四百五十人程度の裁判官の増員が必要と見込み、その後、裁判員制度の導入もありまして、その対応分百五十人を合わせまして、平成十三年から平成二十三年までの十年間で判事四百十二人、判事補百九十五人、合計約六百人の増員を認めていただいたところでございます。
 近時、事件数自体は落ち着いていますものの、社会情勢を反映した民事紛争の複雑困難化、少子高齢化の急速な進行、家庭の問題解決機能の低下等を背景とした家事事件の解決困難化、累積的に増加している成年後見関係事件の処理の適正化といった、審議会当時では想定していなかった問題にも対応していかなければならない状況にございます。そのため、当時の目標というのはなお現在も達成できていない状況にございまして、現状では、全既済事件に占める合議事件の割合は四・七%でございますし、人証調べが実施された判決による終局事件の平均審理期間は全体で見ると二十・一か月ということでございます。また、裁判官の手持ち事件数も東京地裁で約百八十件以上ということの状況が続いております。
 裁判所といたしましては、引き続き司法制度改革審議会当時の目標を実現したいというふうに考えておりまして、そのため、相応の規模の増員を継続的に行っていく必要があるというふうに考えております。
 具体的に今後どれぐらいの人数が必要となるかということにつきましては、今後の事件動向、またその質の変化ということに大きく左右されるところでなかなか明確に算定することは難しいところでございますが、平成二十四年の定員法の審議におきまして、先ほど御説明いたしました目標を達成するためには、当時の事件動向を踏まえて更に四百人規模の増員が必要であるというふうに説明申し上げたところでございます。
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小川敏夫#19
○小川敏夫君 司法制度改革等の沿革を今御説明いただきました。司法制度改革で具体的に目標に掲げた六百人ですか、それはもう既に達成しておるわけであります。
 それで、毎年ここ数年出ている定員法の背景を見ますと、結局、裁判官の増員といっても、裁判官を増やすためには司法修習を終えた判事補を採用するという形が圧倒的な部分を占めておるわけでございます。そういうことで、裁判官の増員というものは、基本的には新たに採用する判事補というものを増やして、それで徐々に徐々に長期間掛けて、十年ですか、掛けて裁判官を増やしてきたと思うんですけれども、結局今の仕組みは、裁判官というものは、任官して最初の十年が判事補、その後、これは年齢によって違いますけれども、二十年とか三十年が判事と、こんな構造になっております。
 それで、判事補が十年終わりますと判事になるんですけれども、判事補は定員を増やしたわけであります。しかし一方、判事の方は、まだ少ない採用人数の頃の方が定年を迎えるといいますか、ですから三十年とかそのぐらい前に少ない人数で採用した方が定年を迎えると。そうすると、判事補が増えた人数が、判事補が判事になるときにその人数だけの判事の椅子が空くわけじゃなくて、判事を定年なりして退官される方の人数は少ない、そこへ増員した方の判事補の数が今度は判事にしなくちゃいけない、そうすると、どうしても計算上判事の椅子がなくなってしまう、だから、判事補を判事にするために、その枠を広げるために増員しているんじゃないかと、こんなような形になっていると思うんです。
 ですから、いろいろ、もちろん裁判を充実する、これだって非常に重要なことだと思うんですけれども、どうも現象的には、増やした判事補を判事にするために、しかし辞める判事はまだ少ないから判事の枠を広げるんだと、言わば判事補を増やした玉突き現象で毎年判事の数が増えていくのかなと、こんなような現象が起きていると私は思っているんですけれども。
 仮にそういうような理解をしますと、これ毎年毎年、数を増やした判事補が十年たって判事になるという数は多いけれども、しかし一方で退官していく判事の数は少ないという現象がまだ十年や二十年続くんですよね。だから、そうすると、判事補が判事になるときに判事の枠がないからといって広げ続けると、何か来年もある、再来年もあるというだけじゃなくて、これから十年、二十年ずっと判事の数を増やし続けるんじゃないかと、そうすると最終的にどれだけの数になっちゃうんだろうと、こんな疑問があったものですから、裁判所、私の方としては長期的にどのくらいの数を念頭に置いているのかなと。もちろん、将来の状況において、司法の役割、裁判所の役割とか、あるいは事件数とか不確定な要素があるから、ここで具体的数字はもちろん言えないことはよく分かっておりますけれども、そこら辺の全体像ですね。
 じゃ、今の御答弁ですと、司法制度改革で六百人というのは達成したと、しかしなお状況の変化で四百人ぐらいを増やしたいというお話だということもちょっと答弁の中でございましたが、じゃ、本当にその四百人で終わるのか、そこら辺のところをもう少し具体的に御説明いただけたらと思っております。
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中村愼#20
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 今御指摘にありましたように、判事の主たる給源というのは判事補でございますので、判事補の採用数というのが将来の判事の人員ということを確定していくという要素になるところでございます。
 今後十年間の判事の人員の見込みにつきましては、退官される人の数や出向ポストの数といった変動要素がありますので正確な見込みはなかなか難しいものではございますが、判事補の採用数の直近十年の間で見ますと九十一人から百十八人の間で推移しているというところでございまして、これと退官動向から単純に計算いたしますと、判事の数というのが二千二百人程度までは増加する可能性があると、これは今後十年間ということでございますが、そういうふうに見込んでいるところでございます。
 二十年後という御指摘もありましたが、二十年後につきましては、今後の判事補の採用数に起因するところが出てまいりますので更に見込みを立てることは難しいということになりますが、退官動向等を踏まえますと、その後もやや判事の人員は増加する可能性が高いように思われるというふうに考えているところでございます。
 このような判事の人員の増加ということは、先ほど答弁申し上げましたように、充員可能性ということで、充員見込みということで考慮しつつ、やはり増員ということをお願いするに当たりましては、判事を増員する必要性ということについて、事件処理をきちっとやっていくという観点からその増員の理由を御説明させていただいて増員を認めていただくということで努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
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小川敏夫#21
○小川敏夫君 毎年同じ議論になるものですから、もう同じ議論をしなくて、長期的な計画というものをしっかり説明していただければ、むしろ議論は一回で済むのかなとも思っております。
 少し話題を変えまして、いわゆる裁判所の事件の審理時間が短縮をされているというような説明もいただいておるところでありますけれども、これは一部の声、まあ一部かどうか分からないけれども、私の耳に入ってきた声で、審理時間が短くなったのは、裁判官が増えたということよりも、むしろ一つ一つの事件で証拠調べが以前に比べて少し薄くなったという声があります。裁判官が、真実をしっかり見極めるためにいろいろな証人、証拠を十分に調べるということよりも、事件処理を急ぐ方を優先して十分な証人調べ、証拠調べをしないというような声も入ってきております。これは、そうだと断定しているわけじゃありません。
 それで、そういう声について、検討するについて、一つの指標として、では民事裁判なら民事裁判で、裁判所全体で、いわゆる裁判全体で、証人調べ、あるいはその中には本人尋問もあるかもしれませんが、そうした尋問の実施回数が過去と比べて減ってはいないか、もし減っていれば、事件数が増えているのにそうした尋問が減っているとなると、少し審理が薄くなったという声にも一応の根拠があるんじゃないかとも思うんですけれども、そこら辺のところの事実関係としてはいかがでございましょう。その尋問の総件数の推移ということについてちょっと御説明していただけたらと思います。
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菅野雅之#22
○最高裁判所長官代理者(菅野雅之君) お答えいたします。
 ただいま御指摘いただきました民事裁判における人証調べ、証人尋問あるいは当事者本人尋問の件数についてまずお答えいたします。
 全地方裁判所における第一審通常訴訟の既済事件のうち人証調べが行われた事件は、平成十八年には二万七千五十五件であったものが、十年後の平成二十七年には二万二千一件と、減少しております。また、取調べが行われた証人及び当事者本人の数を見ますと、平成十八年には証人が三万六百十人、当事者本人が四万四千八十三人であったものが、平成二十七年には証人が二万千八百三十七人、当事者本人が三万九千四百一人と、いずれも減少しており、特に証人尋問の実施数が減少しているということが言えようかと思っております。
 以上でございます。
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小川敏夫#23
○小川敏夫君 証人を採用するかどうかは個々具体的な事件によってその必要性が決まるわけですから、ここで具体的にいいかどうかということを議論できるわけではありませんけれども、事件数が増えたと言うけれども尋問の数が減っているというと、やはり当事者が希望するだけは裁判所も採用していないんじゃないかというような気もいたします。これは、なぜ減ったかということは、理由は一概に言えませんので断定はいたしませんけれども。
 是非、そういう声もあるということも含めて、そういう声が出ないような、といっても、個々具体的な裁判の審理はこれは具体的な裁判官が行うことですからそこに立ち入ることはできないでありましょうけれども、しかし、事件の処理を優先するよりも真相の探求というものをより重視して行うような、そうした姿勢で司法全体が取り組んでいただけるような、そうした司法の在り方というものを目指していただきたいと要望いたします。
 次に、刑事訴訟の関係で少し質問が、毎回お呼びしながら質問ができていなかったことがございました。それで、質問させていただきます。
 通信傍受令状の関係なんですけれども、警察庁の方に対しては、通信傍受令状を請求した件数は何件かというふうなことが国会に報告する義務があります。それで、そうした趣旨に鑑みて、私は、特に法律に決められているわけではありませんけれども、裁判所の方でも、では何件の傍受令状の請求を受けて、発付したのが何件か、あるいは却下とか取下げがあればということについての統計的な資料、数字を、その件数を統計的な資料としてずっと残していただきたいと思っておるんですが、その点はいかがでございましょうか。
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平木正洋#24
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 通信傍受令状の請求数、発付数等につきましては特別法上の令状という項目でまとめて集計しておりますので、通信傍受令状の請求数等を独立に統計として集計してはおりません。また、既に関係書類の保存期間を経過しているものもありますので、通信傍受法施行当初からの請求件数等を把握してはおりません。
 委員の御指摘を踏まえまして、今後報告を求めて集計するか否かにつきまして検討してまいりたいと考えておるところでございます。
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小川敏夫#25
○小川敏夫君 一つ一つの事件の記録は廃棄してしまう、分かるけれども、要するに統計的な資料として、今後のこの通信傍受に関する議論の一つの資料ともなるものですので、是非統計的な資料として残していただきたいと思っております。
 同様に、裁判所が通信傍受の原記録を保管するということがございました。この原記録の保管に関しても統計的な処理はしていないというふうにお伺いしているわけでありますけれども、これについても、原記録の保管とかあるいは聴取請求を受けた数とか、その聴取請求の根拠条文別の数とか、そうしたことを統計的に記録を残して今後の議論の参考資料として用いられる状態にしていただきたいと思っておるんですが、この点もいかがでございましょうか。
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平木正洋#26
○最高裁判所長官代理者(平木正洋君) 委員の御指摘を踏まえまして、今後集計するかどうかにつきまして検討してまいりたいと考えております。
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小川敏夫#27
○小川敏夫君 ここでは検討としかお答えできないでしょうけれども、是非そうしたことを行うようによろしくお願いいたします。
 では、私の質問を終わります。
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矢倉克夫#28
○矢倉克夫君 おはようございます。
 今日は、裁判所職員定員法、一部を改正する法律案の質疑でございます。私からは、主に裁判所の方にお尋ねをしたいと思います。
 先日の大臣の趣旨説明で、今回の法案の説明、内容をるるいただいたわけですが、まず裁判所書記官等を四十人増員する、この内訳は、事前にお伺いしている限り、書記官については三十九名で事務官については一名という内訳であると理解しております。昨年と同じ数値であるわけですけど、まず、書記官について三十九名増員ということですが、一般的にこの書記官というものの仕事をどのような意義として捉えられているのか、そしてまた、今回の増員の背景について最高裁の方から御答弁いただきたいと思います。
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中村愼#29
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 書記官の活用についてのお尋ねということでございます。
 まず、裁判所書記官という職種は、法律の高度な専門職種といたしまして裁判手続を公証する事務のほか、裁判官と連携、協働して裁判手続を行っていくということで、その手続進行において極めて重要な役割を果たす職種だというふうに考えております。
 最近の事件動向からいたしますと、家庭事件については成年後見事件が累積的に増加しております。民事訴訟事件については、事件数は昨年に比べてやや増加という程度でございますが、事件の複雑困難化が進んでいることから、これらの分野についての充実強化が重要であるというふうに考えておりまして、裁判所書記官についてはこの二つの分野を中心に活用することを考えております。
 もう少し具体的に御説明申し上げますと、成年後見関係事件については、後見関係事件の増加に伴いまして近年後見人等による横領等の不正事案が増加しているということから、裁判所による後見事務の監督を大幅に強化するために、各手続段階における後見人等の提出書類の一次審査や事件関係者に制度を理解するための説明を行うといった役割を果たしていくということになりますし、民事訴訟事件につきましては、審理の充実促進を図るために、事件に適した解決方法を選択するための必要な情報収集、裁判所から訴訟関係人への求釈明事項の伝達、準備書面や基本的な書証提出に係る期限管理を行うといった役割を果たしていくということになると考えております。
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