法務委員会

2017-06-07 衆議院 全336発言

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会議録情報#0
平成二十九年六月七日(水曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 鈴木 淳司君
   理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君
   理事 平口  洋君 理事 古川 禎久君
   理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君
   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君
      赤澤 亮正君    安藤  裕君
      井野 俊郎君    池田 佳隆君
      大野敬太郎君    奥野 信亮君
      門  博文君    金子万寿夫君
      神山 佐市君    菅家 一郎君
      城内  実君    國場幸之助君
      鈴木 貴子君    田所 嘉徳君
      辻  清人君    野中  厚君
      橋本 英教君    藤原  崇君
      古田 圭一君    宮川 典子君
      宮路 拓馬君    簗  和生君
      山田 賢司君    若狭  勝君
      阿部 知子君    枝野 幸男君
      階   猛君    山尾志桜里君
      大口 善徳君    吉田 宣弘君
      池内さおり君    畑野 君枝君
      藤野 保史君    木下 智彦君
      松浪 健太君    上西小百合君
    …………………………………
   法務大臣         金田 勝年君
   内閣府副大臣       石原 宏高君
   法務副大臣        盛山 正仁君
   内閣府大臣政務官     豊田 俊郎君
   法務大臣政務官      井野 俊郎君
   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君
   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君
   最高裁判所事務総局人事局長            堀田 眞哉君
   最高裁判所事務総局刑事局長            平木 正洋君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 大塚 幸寛君
   政府参考人
   (警察庁長官官房総括審議官)           斉藤  実君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 西川 直哉君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 高嶋 智光君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制部長)          小山 太士君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    林  眞琴君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  萩本  修君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           神山  修君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君
   政府参考人
   (スポーツ庁スポーツ総括官)           平井 明成君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           中井川 誠君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局児童虐待防止等総合対策室長)       山本 麻里君
   法務委員会専門員     齋藤 育子君
    —————————————
委員の異動
六月七日
 辞任         補欠選任
  赤澤 亮正君     田所 嘉徳君
  安藤  裕君     橋本 英教君
  國場幸之助君     金子万寿夫君
  辻  清人君     神山 佐市君
  藤原  崇君     簗  和生君
  山田 賢司君     池田 佳隆君
  枝野 幸男君     阿部 知子君
  藤野 保史君     池内さおり君
  松浪 健太君     木下 智彦君
同日
 辞任         補欠選任
  池田 佳隆君     山田 賢司君
  金子万寿夫君     大野敬太郎君
  神山 佐市君     辻  清人君
  田所 嘉徳君     赤澤 亮正君
  橋本 英教君     安藤  裕君
  簗  和生君     藤原  崇君
  阿部 知子君     枝野 幸男君
  池内さおり君     藤野 保史君
  木下 智彦君     松浪 健太君
同日
 辞任         補欠選任
  大野敬太郎君     國場幸之助君
    —————————————
六月七日
 裁判所の人的・物的充実に関する請願(大口善徳君紹介)(第一七二五号)
 同(階猛君紹介)(第一八〇〇号)
 同(宮川典子君紹介)(第一八〇一号)
 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七九三号)
 同(階猛君紹介)(第一七九四号)
 同(篠原孝君紹介)(第一七九五号)
 同(福田昭夫君紹介)(第一七九六号)
 同(古川元久君紹介)(第一七九七号)
 同(真島省三君紹介)(第一七九八号)
 同(本村伸子君紹介)(第一七九九号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)
     ————◇—————
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鈴木淳司#1
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官大塚幸寛君、警察庁長官官房総括審議官斉藤実君、警察庁長官官房審議官西川直哉君、警察庁長官官房審議官高木勇人君、法務省大臣官房審議官高嶋智光君、法務省大臣官房司法法制部長小山太士君、法務省刑事局長林眞琴君、法務省人権擁護局長萩本修君、文部科学省大臣官房審議官神山修君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、スポーツ庁スポーツ総括官平井明成君、厚生労働省大臣官房審議官中井川誠君及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局児童虐待防止等総合対策室長山本麻里君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鈴木淳司#2
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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鈴木淳司#3
○鈴木委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局人事局長堀田眞哉君及び刑事局長平木正洋君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鈴木淳司#4
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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鈴木淳司#5
○鈴木委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。
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宮崎政久#6
○宮崎(政)委員 自由民主党の宮崎政久です。
 性犯罪を厳正に対処するための刑法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。
 明治四十年に現在の刑法が制定されて今日まで百十年が経過して、今回初めて、性犯罪の構成要件などを大幅に見直す改正となりました。何が罪となるのか、いかなる重さで処罰されるのか、これは国の意思でありまして、主権者である国民が定めるところであります。
 この委員会で刑法の理念を審議して、議論して、そしてその結果が議事録にも記載されることは、ここにいる私たち国会議員の大きな責務であると認識をしております。
 本日、私を含めまして十名の質疑者が立ちますが、この法案を速やかに成立させるべきであるという点では、与党も野党も共通した思いを持っているところであると思っております。充実した審議を求めて、まず私から先陣を切らせていただきたいと思います。
 今回の改正内容、どれも重要なのでありますけれども、私は、特に二点、評価をしたいと思っております。
 一つは、法定刑の下限を引き上げたという点であります。
 これまで強姦罪は、強盗罪と比較をされて、財物を奪う強盗と性的自由を奪う強姦とで、なぜ強姦の方が刑が軽いのか、こういう批判をされてきました。また、法定刑の下限が懲役三年以上であることから、検察官の求刑も低目になるということもあり、執行猶予つきの判決が出やすいという現実もあったことは事実であります。
 性犯罪の被害に遭いますと、被害に遭われた方は、学校や会社に行けなくなってやめてしまったり、異性と交際ができなくなって結婚を諦めてしまったり、その被害の結果は極めて甚大であります。
 それなのに、被告人が裁判を経て執行猶予つきの判決を受けるということになれば、被害に遭われた方からすれば、言ってみれば無罪放免になったような印象を受けますので、それが司法に対する不信感になったり、被害の回復を阻害するという面があったわけであります。
 もう一つは、親告罪でなくしたという点であります。
 被害に遭われた方が警察に相談に行くということはその時点で相当な勇気を振り絞っているわけでありまして、警察に行きさえすれば、後は捜査をして、裁判になってくれるというふうに信じておられるわけであります。にもかかわらず、親告罪だということで、改めて、これを事件にするかどうかはあなたが決めてくれというようなことを言われるのは、被害者の方にとっては苦痛以外の何物でもないし、せっかく勇気を出して警察に行ったのに途中で心が折れてしまったり、悪い場合には、加害者からの逆恨みを恐れて告訴を断念するという事態もないわけではないわけであります。
 また、事件が進展する中で、告訴を取り下げるならば被害弁償を支払うという持ちかけを受けて、泣く泣く告訴を取り下げて示談金を受け取ることにならざるを得ないケースというものもあります。
 本来であれば、罪を犯した者は刑事責任を負って、さらに損害賠償という民事上の責任を負うのが当然であるはずなのに、親告罪であったがために刑事か民事か二者択一を迫られる、こういった被害に遭われた方もこれまで多かったわけです。
 こういったこと自体、言ってみれば二次被害という状況でありますし、その後の被害の回復をしていただくのに多大な悪い影響を及ぼした現実がありました。
 今回、このこと以外にも大きな前進となる本改正をすることには、性犯罪の被害に遭われた多くの皆さんが声を上げてくださったことが推進力となってきたことは事実であります。
 これは、与野党問わず、被害に遭われた皆さんの声を聞いたと認識をしておりますけれども、私ども自由民主党においても、私は事務局長をさせていただいておりますが、司法制度調査会において、性犯罪の被害に遭われた方、これを支援されている方、法改正の運動に取り組んでおられる方、また熱意を持ってこの問題に取り組んでいる弁護士さん、こういった多くの皆様から幾度となくヒアリングをさせていただいて、その声を聞かせていただきました。
 被害を声に出して人々に訴えるというのはとてもつらく苦しいことであることは、想像にかたくないわけであります。性犯罪の被害に遭われた皆さんが長い年月をかけて訴えてきた地道な取り組みの成果が今ここでようやく一旦結実しようとしていることに対して心から敬意を表して、また感謝の思いを胸にいたしまして、質疑に入りたいと思います。
 本改正の概要等大枠につきましては、先日の衆議院の本会議において金田法務大臣から丁寧に御答弁をいただいております。本日は、刑事実務にわたる部分、言ってみれば細目的、技術的な事項にわたる部分も多くありますので、政府参考人、主として刑事局長にお答えいただきたいと思っております。
 まず、今回の刑法改正に至る経緯と改正の趣旨を端的に御説明ください。
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林眞琴#7
○林政府参考人 近年、現行法の性犯罪に関する罰則は、必ずしも現在の性犯罪の実態に即したものになっていないという指摘がなされておりました。そこで、性犯罪の実情等に鑑みまして、事案の実態に即した対処をすることができるようにするため、今回の所要の法整備を行うものでございます。
 経緯でございますけれども、今回の改正に当たりましては、まず、平成二十六年十月から、刑事法研究者、法曹三者そして被害者支援団体関係者などから成ります性犯罪の罰則に関する検討会を開催して検討を行いました。その検討結果を踏まえまして平成二十七年十月に法制審議会に諮問を行いまして、平成二十八年九月に法制審議会から答申がなされましたので、この答申を踏まえまして法務省におきまして必要な検討、準備を行い、本法案の提出に至ったものでございます。
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宮崎政久#8
○宮崎(政)委員 ありがとうございます。
 それでは、ここから法文の具体的な構成要件等について質問をしてまいりたいと思います。
 まず、改正後の刑法第百七十七条でありますけれども、強姦罪を改め強制性交等罪は、実行行為について、性交、肛門性交または口腔性交をしたと定めておりますけれども、この三つ、性交、肛門性交、口腔性交のそれぞれの定義について御説明をお願いします。
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林眞琴#9
○林政府参考人 まず、性交とは、膣内に陰茎を入れる行為をいいます。肛門性交とは、肛門内に陰茎を入れる行為をいいます。また、口腔性交とは、口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。
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宮崎政久#10
○宮崎(政)委員 この強制性交等罪の条文、定めた定義は今のような形でありますが、この形態で、女性が加害者となって男性に性交等を強いる場合も含まれているということが明らかになっているのかどうか、御説明をお願いします。
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林眞琴#11
○林政府参考人 本条におきましては、誰の陰茎を誰の膣内、肛門内、口腔内に入れるかについては文言上限定しておりませんので、自己の膣内等に被害者の陰茎を入れる行為を含むと解することができると考えて用いておるところでございます。
 したがいまして、今回の法案における性交、肛門性交または口腔性交とは、相手方の膣内、肛門内もしくは口腔内に自己の陰茎を入れる行為のほかに、自己の膣内、肛門内もしくは口腔内に相手方の陰茎を入れる行為を含むものであると考えております。
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宮崎政久#12
○宮崎(政)委員 さまざまな態様にも対応していくような形で今回の法改正がされておりますので、この辺の趣旨は法務当局でも十分周知を図っていただきたいと思っております。
 次に、法定刑の下限の引き上げについて伺いたいと思います。
 強姦罪の法定刑の下限を懲役三年から五年に、被害者が死傷した場合についてはその法定刑の下限を懲役五年から六年にそれぞれ引き上げるという内容になっております。
 まず、その趣旨を御説明ください。
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林眞琴#13
○林政府参考人 強姦罪の法定刑については、例えばその下限が引き上げられました平成十六年の刑法改正に係る国会審議及び公訴時効等が改正されました平成二十二年の刑法等改正に係る国会審議の際にも、衆参両議院における附帯決議におきまして他の罪の法定刑との均衡や被害の重大性を踏まえたさらなる検討が求められているなど、さまざまな指摘がなされてまいりました。
 そして、平成二十六年十月から当省において開催いたしました性犯罪の罰則に関する検討会における検討、あるいはその後の法制審議会における調査審議におきましても、強姦罪の法定刑の下限を引き上げるべきであるという意見が多数を占めたところでございます。
 平成十八年から平成二十七年までの実際の量刑を見ましても、法定刑の下限が懲役五年とされておりますところの強盗罪及び現住建造物等放火罪よりも強姦罪の方が重い量刑がなされる事件の割合というものが高くなっております。
 このように、法定刑の引き上げを求める指摘が多くなされ、現に重い量刑がなされている状況を踏まえますれば、強姦罪の悪質性、重大性に対する現在の社会一般の評価は、少なくとも強盗、現住建造物等放火の悪質性、重大性に対する評価を下回るものではないと考えられ、現時点において強姦罪の法定刑の下限は低きに失して、国民の意識と大きく異なることとなっていると言わざるを得ないわけでございます。
 そこで、強制性交等罪についての法定刑の下限を、強盗罪、現住建造物等放火罪と同様に懲役五年に引き上げることが適当であると考えたものでございます。
 また、その結果的加重犯である強制性交等致死傷罪につきましても、強制性交等罪の法定刑の下限との均衡を図る観点から、懲役六年に引き上げることが適当であると考えたものでございます。
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宮崎政久#14
○宮崎(政)委員 冒頭、一番に指摘をさせていただきましたけれども、法定刑の下限を引き上げる、これによって裁判実務のあり方なども影響を受けることは間違いありません。ですから、そういったことを、一つ一つの裁判に対して立法府が注文をつけるというわけではありませんけれども、ぜひ十分に配慮した形での訴訟の運営がなされるべきであるということも指摘したいと思います。
 あわせて、ちょっと刑事局長にお聞きしたいのは、現行法の百七十八条の二、集団強姦罪等につきましては今回の法改正に合わせて廃止をするというような形になっております。その趣旨を御説明ください。
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林眞琴#15
○林政府参考人 現在、集団強姦等の罪の法定刑の下限は四年、同罪に係る強姦等致死傷の罪の法定刑の下限は六年とされております。
 今回の法改正では、強姦罪を改正する強制性交等罪の法定刑の下限を懲役五年に、強姦等致死傷罪を改正する強制性交等致死傷罪の法定刑の下限を六年にそれぞれ引き上げることとしておりまして、集団強姦等の罪及び同罪に係る強姦等致死傷の罪を廃止したといたしましても、集団強姦等の罪については、現在の法定刑より下限が引き上げられることになります。
 同罪に係ります強姦等致死傷の罪につきましては、現在の法定刑の下限と同じこととなるわけでございますが、これにつきましては、前科等のない犯人が被害者に対して最善の慰謝の措置を尽くすなどしたにもかかわらず、酌量減軽をしてもなお、およそ執行猶予を付し得ないことには問題があるとの観点から、法定刑の下限について、酌量減軽をした場合において、執行猶予を付することができる限界である懲役六年を超えるものとすることは相当ではないと考えられます。
 集団による強姦という悪質性については、引き上げられた法定刑の範囲内で量刑上適切に考慮することによって適切な科刑が可能となります。したがいまして、強姦罪及び強姦等致死傷の罪の法定刑の下限を引き上げることに伴い、集団強姦等の罪及び同罪に係る強姦等致死傷の罪については廃止することとしたものでございます。
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宮崎政久#16
○宮崎(政)委員 次に、強姦罪の暴行、脅迫要件について伺いたいと思います。
 まず、強姦罪の成立に必要な暴行、脅迫の程度であります。これは判例で確立されておりまして、強盗罪のように相手方の反抗を抑圧する程度のものであることを要せず、反抗を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りると解されてきたところでありますけれども、今回の改正後の強制性交等罪についてもこの点については変更がないのか、刑事局長にお尋ねをします。
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林眞琴#17
○林政府参考人 強制性交等罪における「暴行又は脅迫を用いて」との文言は、改正前の強姦罪における「暴行又は脅迫を用いて」との文言と同じ意味であると考えて用いております。
 したがいまして、これまでの強姦罪等における解釈の変更を意図するものではございませんで、暴行、脅迫の程度は、委員御指摘のとおり、相手方の反抗を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りると解されるところでございます。
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宮崎政久#18
○宮崎(政)委員 それでは、現在の実務において、今御説明のあった強姦罪の成立に必要な暴行、脅迫について具体的にどういった事情を考慮して事実認定をしていくのか、刑事局長に御説明いただきたいと思います。
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林眞琴#19
○林政府参考人 暴行、脅迫が相手方の反抗を著しく困難ならしめる程度のものであるかどうか、これにつきましては、判例等によりまして、被害者の年齢、精神状態、行為の場所、時間等諸般の事情を考慮して、社会通念に従って客観的に判断されなければならないものと解されているところでございます。
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宮崎政久#20
○宮崎(政)委員 今概要を御説明いただいたわけでありますが、要はさまざまな事情をあわせ考慮するということですが、被害者の方々のお話を伺っていると、処罰すべきものが処罰できていない、激しい抵抗をしなければ暴行、脅迫が認定されないじゃないか、こういったことから、この暴行、脅迫要件については撤廃をしてほしい、緩和をしてほしいという意見がたくさん寄せられています。
 実は、きょうもこの法務委員会の席に、これまで多大にこの改正に向けて活動されていただいた皆さん、いろいろな団体があるんですけれども、学者の先生、それぞれの団体の皆さんが来ておられます。わけても「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」というのを進めておられた四団体の皆さんは、出版物も出したりとかいろいろなことをして御尽力されてこられました。きょう、委員会も傍聴していただいております。皆さんの取り組みに心から敬意を表したい、そして感謝を申し上げたいと思います。
 実は、この暴行、脅迫要件、私も弁護士として二十年仕事をしている中でさまざま事件に出会ったときに、加害者側から、合意があったと思った、こういう弁解とも関連する場合が非常に多いんです。
 例えば、具体的なケースでいいますと、被害者が行きずりの被害に遭ったような場合、加害者が被害者に暴力を振るったり刃物を突きつける、こういうようなことがあれば暴行、脅迫というのは認められやすいわけでありますけれども、では、そこまでいかなかったケースはどうなるのか。人けのない夜道でいきなり声をかけられて腕をつかまれる、普通の女性であれば、驚いて、恐怖で固まってもう声も出ない状況になります。よほど訓練を受けているとか、日ごろから、何かあったときにはきちっと対処しようというイメージトレーニングを重ねているような人でない限りは、逃げたり抵抗したりすることはできないわけです。まさに反抗を著しく困難にされた状態と言えるわけでありまして、被害者の方のこの状況は、例えばフリーズとか解離、こういったように言われる、言ってみれば正常な反応であります。
 しかしながら、これが事件化されていって、例えば事情を聞く段階になったりすると、何で大声を出さなかったのかとか、通りかかった人がいたのに何で助けを求めなかったのかというふうに聞かれることも多くて、それをもって合意があったと言い張る加害者の側もおるわけであります。
 しかし、通りがかりの人に声をかけるといってみても、その人が助けてくれる保証はありませんし、面倒なことに巻き込まれたくないという人もいるでしょう。また、助けを求めたけれどもその人に聞こえなかったという場合には、加害者が今度は激高して、もしかしたら殺されるんじゃないか、こういう恐怖心を被害に遭われている方が抱くのはある意味当然であります。相手は行きずりで強姦をしてくるような人間なのであります。
 さらに、事案によっては、被害に遭われている方が服を脱がされているという場合もあるでしょうから、恥ずかしくて声をかけられない場合もあるでしょう。それをもって、自分から声をかけなかった、助けを求めなかった、だから加害者が合意と思っても仕方がない、こういうようなことになっているのではないか、そんな声も上がっています。
 法務当局の考えを刑事局長に聞きたいと思います。
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林眞琴#21
○林政府参考人 暴行、脅迫の認定が厳し過ぎる、あるいは激しく抵抗しなければ暴行、脅迫があると認定されないといった声、そういった批判の声があることは十分に承知しております。
 その上で、暴行、脅迫の程度につきましては、先ほども申し上げましたが、諸般の事情を考慮して、社会通念に従って客観的に判断されるべきものであると解されるところでございまして、これは、具体的な状況によりますれば、単にそれのみを取り上げて観察すれば反抗を著しく困難ならしめる程度には達していないようなものでありましても、例えば行為の時間、場所等諸般の事情によっては反抗を著しく困難ならしめる程度の暴行、脅迫が認められ得る、こういうふうにされているところでございます。
 したがいまして、真に強姦罪等により処罰されるべき事案について、暴行、脅迫要件のみが障害となって処罰されていないという状況にはないのではないかと認識しているところでございます。
 例えば、被害者が、加害者との人間関係や恐怖感から抵抗できない場合において抵抗していなかった、このことのみをもって暴行、脅迫が認められないというものではなく、こういった場合につきましても、先ほどのような客観的な事情、状況を考慮してその暴行、脅迫というものが認定され得ると考えております。
 反抗を著しく困難ならしめる程度の暴行、脅迫の立証が足りないとして無罪となった事案の中においても、暴行、脅迫の要件のみが認められないということを理由としているものではなくて、そのような場合には、被害者の供述の信用性がその事案において認められなかったものでありますとか、被害者が性交に同意していた可能性が否定できないことを理由として無罪とされているものもあると考えております。
 なお、暴行、脅迫の認定に当たりまして、犯罪被害に直面した被害者が反射行動により抵抗できなくなるような場合があるということ、そういった心理状態を適切に考慮する必要があるということはまことにそのとおりでございまして、それは重要な指摘であろうかと考えております。
 法務・検察におきましても捜査、公判に携わる検察官に対して経験年に応じた各種の研修をしておるわけでございますけれども、そういった中におきましても、こういった被害者の心理状態といったものについての理解について、今後も引き続きその研修の充実というものを図ってまいりたいと考えております。
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宮崎政久#22
○宮崎(政)委員 今、刑事局長が答弁された点、それでも多くの方々から、必死に抵抗しなかったら暴行、脅迫要件が認められないんだという厳しい御指摘があることは事実なんです。どうかこれは重く受けとめていただいて、さまざま研修等の言葉も今ありましたけれども、受け手がどう受けとめるか、事件に遭われて被害を申し出ている人がどう受けとめるかということも重要な観点でありますので、ぜひこの辺の周知はしっかり図っていただきたいと思います。
 同様の趣旨で、最高裁判所にもお尋ねをいたします。裁判所においても、性犯罪に直面した被害者の心理であるとか、フリーズであるとか解離といった反応が生じることなど、事情を十分に考慮した上で暴行、脅迫要件の認定をしていくことが絶対に必要であると考えておりますが、最高裁のこの点についての見解を伺います。
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平木正洋#23
○平木最高裁判所長官代理者 どのような場合に強姦罪の暴行、脅迫を認定するかは、個別の事件におきまして各裁判体が判断すべき事項ではございますが、一般論として申し上げますと、昭和三十三年六月六日の最高裁判決は、「当裁判所判例は、刑法百七十七条にいわゆる暴行脅迫は相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであることを以つて足りると判示している。しかし、その暴行または脅迫の行為は、単にそれのみを取り上げて観察すれば右の程度には達しないと認められるようなものであつても、その相手方の年令、性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲の環境その他具体的事情の如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきである。」と判示しておりまして、各裁判体は、このような判例の趣旨も踏まえながら暴行、脅迫の存否を適切に判断しているものと承知しておるところでございます。
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宮崎政久#24
○宮崎(政)委員 最終的に裁きを下す裁判所においても、今回の法改正の、冒頭刑事局長が説明してくれた経緯、そして今回のこの国会審議の中で出ている、被害に遭われた方、またこれを支援している方、さまざまな方々からこの暴行、脅迫要件については意見が出ていることが研修等で十分に伝わるように配慮していただきたい、そして適正な裁判が進められるようにお願いをするものであります。
 次に、強盗・強制性交等罪について伺いたいと思います。
 今回の法案では、強盗が強姦をした場合に重く処罰する規定である強盗強姦罪、刑法の二百四十一条でありますけれども、この構成要件を見直して強盗・強制性交等罪に改めるというふうになっております。
 まず、この趣旨を簡潔に御説明ください。
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林眞琴#25
○林政府参考人 現行法上、強盗犯人が強姦をした場合には強盗強姦罪が成立いたします。他方で、強盗と強姦の双方を行った場合でありましても、例えば強姦行為の後に強盗の犯意を生じて強盗をした場合には、強盗強姦罪は成立せず、強姦罪と強盗罪の併合罪が成立するにとどまりまして、法定刑は強盗強姦罪と大きく異なる結果となっております。
 これは、同じ機会にそれぞれ単独でなされてもなお悪質な行為でありますところの強盗行為と強姦行為すなわち改正後は強制性交等の行為の双方を行うことの悪質性、重大性に鑑みますと、その先後の関係の違いをもって科すことのできる刑に大きな差異があることは合理的に説明が困難でございます。
 そこで、今回、法改正によりまして、同一の機会に強盗行為と強制性交等の行為とが行われた場合につきまして、その行為の先後関係を問わず、強盗・強制性交等罪といたしまして、現行の強盗強姦罪と同様の法定刑で処罰することとしたものでございます。
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宮崎政久#26
○宮崎(政)委員 確認ですけれども、この強盗・強制性交等罪というのは、強盗の罪と強制性交等の罪に同時に着手した場合であるとか、この先後が明らかでない場合も成立するという理解でよろしいでしょうか。
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林眞琴#27
○林政府参考人 強盗・強制性交等罪は、強盗行為と強制性交等の行為との先後関係等にかかわりなく、同一の機会に強盗行為と強制性交等の行為とを行った場合を処罰しようとするものでございます。
 したがいまして、この強盗・強制性交等の罪は、強盗の罪また強制性交等の罪の両方の罪に同時に着手した場合であっても、またどちらが先に行われたか不明な場合におきましても、同一の機会に行われたことが認められる場合には成立をいたします。
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宮崎政久#28
○宮崎(政)委員 改正後の二百四十一条の一項の条文では、強盗・強制性交等罪は、強盗の罪または強制性交等の罪の一方を犯した者が他の一方をも犯した場合に成立するという、「をも」という表現を使っているわけでありますが、今御説明があった点がこの「をも」という表現の中に入っているという理解でよろしいかどうか、御説明をお願いします。
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林眞琴#29
○林政府参考人 今回の法改正により、強盗強姦に関する解釈を変更しようとするものではありません。したがいまして、現行法の強盗強姦罪について、判例上、強姦は強盗の機会に行われれば足りるものと解されていることを踏まえまして、改正後の二百四十一条第一項におきましては、強盗の罪と強制性交等の罪が、その先後関係を問うことなく、同一の機会に行われた場合にはこの強盗・強制性交等罪が成立するものと考えております。
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