内閣委員会
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会
会議録情報#0
平成三十年五月十七日(木曜日)
午前八時十五分開議
出席委員
委員長 山際大志郎君
理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君
理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君
理事 稲富 修二君 理事 佐藤 茂樹君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
大隈 和英君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 加藤 鮎子君
門山 宏哲君 金子 俊平君
神谷 昇君 亀岡 偉民君
木村 哲也君 小寺 裕雄君
古賀 篤君 佐藤 明男君
繁本 護君 杉田 水脈君
高木 啓君 武井 俊輔君
中曽根康隆君 長坂 康正君
西田 昭二君 藤丸 敏君
藤原 崇君 三谷 英弘君
村井 英樹君 大河原雅子君
篠原 豪君 福田 昭夫君
森山 浩行君 山崎 誠君
今井 雅人君 源馬謙太郎君
森田 俊和君 中野 洋昌君
浜地 雅一君 濱村 進君
中川 正春君 笠井 亮君
塩川 鉄也君 浦野 靖人君
玉城デニー君
…………………………………
内閣総理大臣 安倍 晋三君
国務大臣
(経済再生担当) 茂木 敏充君
内閣府大臣政務官 村井 英樹君
内閣府大臣政務官 長坂 康正君
政府参考人
(内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官) 澁谷 和久君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局長) 河村 正人君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 村上 敬亮君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 林 禎二君
政府参考人
(財務省理財局次長) 富山 一成君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 天羽 隆君
参考人
(東京大学社会科学研究所教授) 中川 淳司君
参考人
(東京大学大学院農学生命科学研究科教授) 鈴木 宣弘君
参考人
(東京大学大学院農学生命科学研究科教授) 中嶋 康博君
参考人
(特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表) 内田 聖子君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
—————————————
委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
金子 俊平君 佐藤 明男君
高木 啓君 中曽根康隆君
武井 俊輔君 門山 宏哲君
三谷 英弘君 木村 哲也君
森田 俊和君 今井 雅人君
濱村 進君 中野 洋昌君
塩川 鉄也君 笠井 亮君
同日
辞任 補欠選任
門山 宏哲君 藤原 崇君
木村 哲也君 三谷 英弘君
佐藤 明男君 藤丸 敏君
中曽根康隆君 繁本 護君
今井 雅人君 森田 俊和君
中野 洋昌君 濱村 進君
笠井 亮君 塩川 鉄也君
同日
辞任 補欠選任
繁本 護君 高木 啓君
藤丸 敏君 金子 俊平君
藤原 崇君 武井 俊輔君
—————————————
五月十七日
ギャンブル等依存症対策基本法案(中谷元君外七名提出、衆法第二〇号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)
————◇—————
この発言だけを見る →午前八時十五分開議
出席委員
委員長 山際大志郎君
理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君
理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君
理事 稲富 修二君 理事 佐藤 茂樹君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
大隈 和英君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 加藤 鮎子君
門山 宏哲君 金子 俊平君
神谷 昇君 亀岡 偉民君
木村 哲也君 小寺 裕雄君
古賀 篤君 佐藤 明男君
繁本 護君 杉田 水脈君
高木 啓君 武井 俊輔君
中曽根康隆君 長坂 康正君
西田 昭二君 藤丸 敏君
藤原 崇君 三谷 英弘君
村井 英樹君 大河原雅子君
篠原 豪君 福田 昭夫君
森山 浩行君 山崎 誠君
今井 雅人君 源馬謙太郎君
森田 俊和君 中野 洋昌君
浜地 雅一君 濱村 進君
中川 正春君 笠井 亮君
塩川 鉄也君 浦野 靖人君
玉城デニー君
…………………………………
内閣総理大臣 安倍 晋三君
国務大臣
(経済再生担当) 茂木 敏充君
内閣府大臣政務官 村井 英樹君
内閣府大臣政務官 長坂 康正君
政府参考人
(内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官) 澁谷 和久君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局長) 河村 正人君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 村上 敬亮君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 林 禎二君
政府参考人
(財務省理財局次長) 富山 一成君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 天羽 隆君
参考人
(東京大学社会科学研究所教授) 中川 淳司君
参考人
(東京大学大学院農学生命科学研究科教授) 鈴木 宣弘君
参考人
(東京大学大学院農学生命科学研究科教授) 中嶋 康博君
参考人
(特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表) 内田 聖子君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
—————————————
委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
金子 俊平君 佐藤 明男君
高木 啓君 中曽根康隆君
武井 俊輔君 門山 宏哲君
三谷 英弘君 木村 哲也君
森田 俊和君 今井 雅人君
濱村 進君 中野 洋昌君
塩川 鉄也君 笠井 亮君
同日
辞任 補欠選任
門山 宏哲君 藤原 崇君
木村 哲也君 三谷 英弘君
佐藤 明男君 藤丸 敏君
中曽根康隆君 繁本 護君
今井 雅人君 森田 俊和君
中野 洋昌君 濱村 進君
笠井 亮君 塩川 鉄也君
同日
辞任 補欠選任
繁本 護君 高木 啓君
藤丸 敏君 金子 俊平君
藤原 崇君 武井 俊輔君
—————————————
五月十七日
ギャンブル等依存症対策基本法案(中谷元君外七名提出、衆法第二〇号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)
————◇—————
山
山際大志郎#1
○山際委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として東京大学社会科学研究所教授中川淳司君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授鈴木宣弘君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授中嶋康博君、特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター共同代表内田聖子君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
中川参考人、鈴木参考人、中嶋参考人、内田参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、中川参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として東京大学社会科学研究所教授中川淳司君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授鈴木宣弘君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授中嶋康博君、特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター共同代表内田聖子君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
中川参考人、鈴木参考人、中嶋参考人、内田参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、中川参考人にお願いいたします。
中
中川淳司#2
○中川参考人 おはようございます。中川と申します。
国際経済法を専攻しておりまして、貿易・投資に関する国際ルールを研究しております。本日は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、長いので、TPP11と、この後、略させていただきますけれども、TPP11の背景と意義ということについて、国際経済法の観点からお話をさせていただきます。
御案内のとおり、TPP11は、一昨年の十二月に国会承認されたTPP、それがもとになっております。昨年の一月にアメリカのトランプ大統領がTPPから離脱いたしました。それを受けて、残る十一カ国が、TPPをできるだけ早期に実現するために交渉を続けて取りまとめたというものであります。お手元の配付資料の二ページ目にその簡単な経緯を書いてあります。
そこで、まず、もとになっているTPPの背景と意義について振り返ってみることにいたします。
配付資料の三ページをごらんください。そこには、ボーイング787のサプライチェーンというものを置きました。
それを見ましても、ボーイング787というアメリカ製の飛行機が、実は世界じゅうから部品を取り寄せてそれを組み立てるという形でつくられていることがわかります。サプライチェーンあるいは供給網のグローバル化と呼ばれる現象であります。航空機に限らず、製造業全般にそういう供給網のグローバル化が進んでいるというのが今日の世界経済の特色であります。
資料の次、四ページ目をごらんください。
供給網のグローバル化をやるとなると、国境はありますけれども、シームレスに物を移動させて、ノウハウも移動させてつくっていくということが必要になります。そのために、個々の拠点をつなぐコストを下げる必要がありますし、個別の工程の生産コストをもちろん下げるということも必要ですけれども、それを実現しようと思いますと、さまざまな貿易・投資ルールが必要となります。ざっくりまとめてありますけれども、説明は、もし必要があれば、後で御質問があればいたします。
本来、こういうルールはWTOという世界貿易機関でつくるというのが本筋でありますけれども、御案内のとおり、ドーハ交渉を失敗いたしまして、WTOが機能しておりません。そこで、先進国、主要国は、たくさんの国が参加するFTA、いわゆるメガFTA、広域FTAを通じてそういう必要なルールをつくっていくという方針をとるようになりまして、その中で、TPPが最初にまとまった広域FTAであります。
五枚目の資料をごらんください。
TPPは、さまざまな先進的な貿易・投資ルールを盛り込んでおります。項目だけ挙げますと、貿易円滑化に関するルール、これは通関手続とかそういうところです。それから投資ルール、そこに書きましたのは、これは例えば、中国が実行していて、アメリカが問題にしているような、そういう実践ですけれども、それを禁止しております。電子商取引、さまざまなルールがございます。国有企業の規制という、これも中国を念頭に置いてつくられたルールですけれども、そういったものも含んでおります。知的財産についても、模倣品、海賊版を厳しく規制するという内容を持っております。
膨大な協定でありますけれども、TPPはそういう意味で、先進的な貿易・投資ルールを盛り込んだ二十一世紀のFTAということになりました。
以上がTPPの背景と意義であります。
次に、資料の六枚目をごらんください。
最初に申し上げた経緯でTPPからアメリカが離脱をして、残る十一カ国でTPP11をまとめたわけですね。TPP11はTPPのルールの大半を吸収しております。
御案内のとおり、凍結項目ということで、テキスト、附属書から二十二項目が今回凍結されましたけれども、全体として、条文数からいくと恐らく二千条ぐらいあると思うんですね。八千ページぐらいの膨大なTPPの協定のうちの二十二項目に絞り込んだということです。その中で、ルールにかかわる、私はルールのお話をしておりますので、ルールにかかわる主な凍結項目としてそこに書かせていただきました。
郵便独占に係る急送便サービスの義務を免除したことであるとか、それから、投資家と国の紛争解決、ISDSというものがございますけれども、その適用対象を少し絞り込む、そういう凍結が行われました。政府調達の参加条件についても、労働基準に関する部分の参加条件を緩和するというふうな規定が入りました。
その下に挙げましたのは、いずれも知的財産にかかわるものであります。これはアメリカがTPPの交渉で非常に強く要求をして、日本側も基本的に先端技術の保護を推進するという立場から同調していて盛り込んだ、TPPに盛り込んだルールですけれども、その一部が凍結されるということがあります。
しかし、戻って資料五ページ目に書きましたような、先進的な貿易・投資ルール、供給網のグローバル化に必要な先進的なルールは、全てTPP11でも引き継がれて、実現を見るということになったわけであります。
以上、非常に駆け足で申し上げましたけれども、国際経済法、ルールの観点から見たTPPの意義であります。つまり、今日の世界経済に必要な供給網のグローバル化に欠かせない新しいルールを、WTOにかわってTPP11が実現しようとしているということであります。
しかし、現在の世界情勢を見ますと、TPP11にはそれ以上の、加えての意義が二つあると考えています。
資料の七枚目をごらんください。
まず、今日的意義として、アメリカのトランプ政権との関係であります。
先月の十七日から十八日にかけてフロリダで日米首脳会談が行われました。経済面に関しては、そこに太字で書きましたけれども、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、新貿易協議とかFFRとか、いろいろな言い方をされていますけれども、そういう協議を日米間で開始するということで合意いたしました。早ければ六月の末にも最初の会合が開かれるというふうに聞いております。
資料に引用いたしましたのは、日米首脳会談後の記者会見からの引用であります。安倍総理の発言として、アメリカが二国間交渉に関心を持っている、それは承知はしているけれども、日本はTPPが両国にとって最善と考えているということを言われました。つまり、この新しく始まる日米協議でも、やはりアメリカに対してはTPPへの復帰を求めて粘り強く働きかけている、そういう意向を表明されたわけであります。
しかし、その直後に、これは私、テレビでその中継を見ておりましたけれども、トランプ大統領は発言されまして、参加国が、仮に我々が、アメリカが拒めないような非常にポジティブな、アメリカにとって都合のいい見直し案というものを出して、そういうディールを提示しない限りはTPPには戻らないと。中略しましたけれども、二国間協定を我々は望んでいるんだということで、あくまでも日米の二国間でのディールと。そういう言葉は出ませんでしたけれども、日米のFTAを結ぶことを目指している、そういったことを発言され、日米の間で、新協議に関しての思惑の違いといいますか方針の違いが明らかになったわけです。
他方で、アメリカのトランプ政権はTPP復帰の可能性を否定しているわけではありません。アメリカにとっていい条件が提示されればという条件付でありますけれども、一応そういう窓は開いております。
とはいえ、十一月の中間選挙に向けて、大統領としては、アメリカ側としては、有権者にアピールする、非常に、貿易赤字を減らすような提案を求めて圧力をかけてくることが予想されます。
そういう協議に当たって、TPP11が実現しているということは、アメリカ側に対して日本が従来からの立場をあくまでも主張して粘り強く対抗していく、そういう盾になると考えております。
最後のスライドをごらんください。八ページ目ですね。TPPの将来的意義ということで、二つ書かせていただきました。
今日の世界情勢は、自由貿易体制の持続可能性が非常に問われている危機的な状況にあると思います。トランプ政権の米国第一の通商政策、米中の貿易摩擦が非常に深刻化しておりますし、また、イギリスはEUから離脱するといったことで、自由貿易体制にまさに逆行する動き、保護主義的な動きが強まっているところであります。
そうした中で、TPP11は、自由貿易体制の堅持を世界にアピールしていく、そういう重要な意義があると考えています。
さらに、その先の世界に向けて、将来的な意義というものを強調しておきたいと思います。
一つは、TPP11の拡大であります。既にTPP11への参加意思を表明した国として、タイ、韓国、台湾、コロンビアそして英国がございます。また、もとになっているTPPへの参加意思を表明している国として、インドネシア、フィリピンがございます。TPP11が発効すれば、引き続いて、TPP11へのこれらの国を加える拡大交渉、そういうプロセスが始まるということが期待できます。
もう一つ、日本が交渉中の、TPP以外の広域FTAとして三つあります。EUとのEPA、これは交渉は妥結しまして、間もなく署名に至るという、実現に向けての動きが続いていると聞いています。それからRCEP、東アジア地域包括的経済連携がございます。また、日中韓のFTAもございます。TPP11に引き続いて、日本としては、こういった広域FTAの実現に向けて引き続き努力をしているということを期待しております。
こうした交渉がまとまれば、アメリカにとっては、TPPから離脱したということで、日本に対する貿易関係でますます不利に扱われるという、機会費用が増していくということになりまして、それがTPPへの復帰を促す強い圧力として作用するというふうに考えられます。
また、TPP11が拡大し、アメリカがもし復帰しということになれば、TPPが大きなアジア太平洋のスタンダードになるわけで、そこには中国も加入を考えざるを得ない、そういう状況がつくられていくだろうと思います。そうした観点から考えても、TPP11の早期発効、実現が重要であると私は考えております。
以上で私の説明は終わります。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →国際経済法を専攻しておりまして、貿易・投資に関する国際ルールを研究しております。本日は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、長いので、TPP11と、この後、略させていただきますけれども、TPP11の背景と意義ということについて、国際経済法の観点からお話をさせていただきます。
御案内のとおり、TPP11は、一昨年の十二月に国会承認されたTPP、それがもとになっております。昨年の一月にアメリカのトランプ大統領がTPPから離脱いたしました。それを受けて、残る十一カ国が、TPPをできるだけ早期に実現するために交渉を続けて取りまとめたというものであります。お手元の配付資料の二ページ目にその簡単な経緯を書いてあります。
そこで、まず、もとになっているTPPの背景と意義について振り返ってみることにいたします。
配付資料の三ページをごらんください。そこには、ボーイング787のサプライチェーンというものを置きました。
それを見ましても、ボーイング787というアメリカ製の飛行機が、実は世界じゅうから部品を取り寄せてそれを組み立てるという形でつくられていることがわかります。サプライチェーンあるいは供給網のグローバル化と呼ばれる現象であります。航空機に限らず、製造業全般にそういう供給網のグローバル化が進んでいるというのが今日の世界経済の特色であります。
資料の次、四ページ目をごらんください。
供給網のグローバル化をやるとなると、国境はありますけれども、シームレスに物を移動させて、ノウハウも移動させてつくっていくということが必要になります。そのために、個々の拠点をつなぐコストを下げる必要がありますし、個別の工程の生産コストをもちろん下げるということも必要ですけれども、それを実現しようと思いますと、さまざまな貿易・投資ルールが必要となります。ざっくりまとめてありますけれども、説明は、もし必要があれば、後で御質問があればいたします。
本来、こういうルールはWTOという世界貿易機関でつくるというのが本筋でありますけれども、御案内のとおり、ドーハ交渉を失敗いたしまして、WTOが機能しておりません。そこで、先進国、主要国は、たくさんの国が参加するFTA、いわゆるメガFTA、広域FTAを通じてそういう必要なルールをつくっていくという方針をとるようになりまして、その中で、TPPが最初にまとまった広域FTAであります。
五枚目の資料をごらんください。
TPPは、さまざまな先進的な貿易・投資ルールを盛り込んでおります。項目だけ挙げますと、貿易円滑化に関するルール、これは通関手続とかそういうところです。それから投資ルール、そこに書きましたのは、これは例えば、中国が実行していて、アメリカが問題にしているような、そういう実践ですけれども、それを禁止しております。電子商取引、さまざまなルールがございます。国有企業の規制という、これも中国を念頭に置いてつくられたルールですけれども、そういったものも含んでおります。知的財産についても、模倣品、海賊版を厳しく規制するという内容を持っております。
膨大な協定でありますけれども、TPPはそういう意味で、先進的な貿易・投資ルールを盛り込んだ二十一世紀のFTAということになりました。
以上がTPPの背景と意義であります。
次に、資料の六枚目をごらんください。
最初に申し上げた経緯でTPPからアメリカが離脱をして、残る十一カ国でTPP11をまとめたわけですね。TPP11はTPPのルールの大半を吸収しております。
御案内のとおり、凍結項目ということで、テキスト、附属書から二十二項目が今回凍結されましたけれども、全体として、条文数からいくと恐らく二千条ぐらいあると思うんですね。八千ページぐらいの膨大なTPPの協定のうちの二十二項目に絞り込んだということです。その中で、ルールにかかわる、私はルールのお話をしておりますので、ルールにかかわる主な凍結項目としてそこに書かせていただきました。
郵便独占に係る急送便サービスの義務を免除したことであるとか、それから、投資家と国の紛争解決、ISDSというものがございますけれども、その適用対象を少し絞り込む、そういう凍結が行われました。政府調達の参加条件についても、労働基準に関する部分の参加条件を緩和するというふうな規定が入りました。
その下に挙げましたのは、いずれも知的財産にかかわるものであります。これはアメリカがTPPの交渉で非常に強く要求をして、日本側も基本的に先端技術の保護を推進するという立場から同調していて盛り込んだ、TPPに盛り込んだルールですけれども、その一部が凍結されるということがあります。
しかし、戻って資料五ページ目に書きましたような、先進的な貿易・投資ルール、供給網のグローバル化に必要な先進的なルールは、全てTPP11でも引き継がれて、実現を見るということになったわけであります。
以上、非常に駆け足で申し上げましたけれども、国際経済法、ルールの観点から見たTPPの意義であります。つまり、今日の世界経済に必要な供給網のグローバル化に欠かせない新しいルールを、WTOにかわってTPP11が実現しようとしているということであります。
しかし、現在の世界情勢を見ますと、TPP11にはそれ以上の、加えての意義が二つあると考えています。
資料の七枚目をごらんください。
まず、今日的意義として、アメリカのトランプ政権との関係であります。
先月の十七日から十八日にかけてフロリダで日米首脳会談が行われました。経済面に関しては、そこに太字で書きましたけれども、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、新貿易協議とかFFRとか、いろいろな言い方をされていますけれども、そういう協議を日米間で開始するということで合意いたしました。早ければ六月の末にも最初の会合が開かれるというふうに聞いております。
資料に引用いたしましたのは、日米首脳会談後の記者会見からの引用であります。安倍総理の発言として、アメリカが二国間交渉に関心を持っている、それは承知はしているけれども、日本はTPPが両国にとって最善と考えているということを言われました。つまり、この新しく始まる日米協議でも、やはりアメリカに対してはTPPへの復帰を求めて粘り強く働きかけている、そういう意向を表明されたわけであります。
しかし、その直後に、これは私、テレビでその中継を見ておりましたけれども、トランプ大統領は発言されまして、参加国が、仮に我々が、アメリカが拒めないような非常にポジティブな、アメリカにとって都合のいい見直し案というものを出して、そういうディールを提示しない限りはTPPには戻らないと。中略しましたけれども、二国間協定を我々は望んでいるんだということで、あくまでも日米の二国間でのディールと。そういう言葉は出ませんでしたけれども、日米のFTAを結ぶことを目指している、そういったことを発言され、日米の間で、新協議に関しての思惑の違いといいますか方針の違いが明らかになったわけです。
他方で、アメリカのトランプ政権はTPP復帰の可能性を否定しているわけではありません。アメリカにとっていい条件が提示されればという条件付でありますけれども、一応そういう窓は開いております。
とはいえ、十一月の中間選挙に向けて、大統領としては、アメリカ側としては、有権者にアピールする、非常に、貿易赤字を減らすような提案を求めて圧力をかけてくることが予想されます。
そういう協議に当たって、TPP11が実現しているということは、アメリカ側に対して日本が従来からの立場をあくまでも主張して粘り強く対抗していく、そういう盾になると考えております。
最後のスライドをごらんください。八ページ目ですね。TPPの将来的意義ということで、二つ書かせていただきました。
今日の世界情勢は、自由貿易体制の持続可能性が非常に問われている危機的な状況にあると思います。トランプ政権の米国第一の通商政策、米中の貿易摩擦が非常に深刻化しておりますし、また、イギリスはEUから離脱するといったことで、自由貿易体制にまさに逆行する動き、保護主義的な動きが強まっているところであります。
そうした中で、TPP11は、自由貿易体制の堅持を世界にアピールしていく、そういう重要な意義があると考えています。
さらに、その先の世界に向けて、将来的な意義というものを強調しておきたいと思います。
一つは、TPP11の拡大であります。既にTPP11への参加意思を表明した国として、タイ、韓国、台湾、コロンビアそして英国がございます。また、もとになっているTPPへの参加意思を表明している国として、インドネシア、フィリピンがございます。TPP11が発効すれば、引き続いて、TPP11へのこれらの国を加える拡大交渉、そういうプロセスが始まるということが期待できます。
もう一つ、日本が交渉中の、TPP以外の広域FTAとして三つあります。EUとのEPA、これは交渉は妥結しまして、間もなく署名に至るという、実現に向けての動きが続いていると聞いています。それからRCEP、東アジア地域包括的経済連携がございます。また、日中韓のFTAもございます。TPP11に引き続いて、日本としては、こういった広域FTAの実現に向けて引き続き努力をしているということを期待しております。
こうした交渉がまとまれば、アメリカにとっては、TPPから離脱したということで、日本に対する貿易関係でますます不利に扱われるという、機会費用が増していくということになりまして、それがTPPへの復帰を促す強い圧力として作用するというふうに考えられます。
また、TPP11が拡大し、アメリカがもし復帰しということになれば、TPPが大きなアジア太平洋のスタンダードになるわけで、そこには中国も加入を考えざるを得ない、そういう状況がつくられていくだろうと思います。そうした観点から考えても、TPP11の早期発効、実現が重要であると私は考えております。
以上で私の説明は終わります。どうもありがとうございました。拍手
山
鈴
鈴木宣弘#4
○鈴木参考人 おはようございます。
私の方からは、「TPP11はTPP12より悪い」というペーパーを見ていただきたいと思います。
アメリカ抜きのTPP11を進めるということは、これはセットで、TPP12のとき以上のアメリカからの対日要求に応えるということになります。そのつもりで日本もおりますから、このままいけば、TPP11を進めれば、TPP12のとき以上に日本は打撃を受けるということをそもそも最初から想定して受け入れていると言わざるを得ない。
なぜTPPをアメリカが否決したのかということについて、日本では全然議論がされていません。
アメリカ国民の八〇%が、TPPをやってもグローバル企業の経営陣がもうかるだけで、賃金は下がる、失業がふえる、それから、国家主権の侵害だ、食の安全性が脅かされるということで、大統領候補の全てがTPP反対と言わざるを得なくなった。保護主義との闘いではございません。アメリカは、こういうふうな自由貿易への反省からこれを否定せざるを得なくなったという国民の声があるわけです。
でも一方で、グローバル企業はもちろん違う。TPP、それから国内の規制改革もそうですが、これはいわばお友達への便宜供与です。アメリカのハッチ共和党議員がTPPを進めたのはどういうことか。製薬企業から二年で五億円の献金をもらって、患者さんが死んでもいいから、ジェネリック医薬品をつくれないように新薬のデータ保護期間を二十年に延ばしてくれと主張した。これがある意味TPPの本質だということは忘れてはいけない。
そもそも、二ページにありますが、TPP破棄で一番怒ったのはアメリカの農業団体です。何でか。日本にあんなにおいしい約束をさせたのに、できなくなると怒ったわけですね。だから、日本は相当なことをやってしまっていたということですけれども、アメリカの農業団体のすごいのは、ここの切りかえの速さです。そうか、TPPも不十分だったんだ、要はそれ以上のものを二国間で要求すればいいんだということになってきているというのが今の状況です。
それを見越して、日本はどんどん準備を当然進めています。アメリカへの要求に応えるためにどうやるかというリストも、もう全部できています。例えば、TPP枠でアメリカに七万トンの米の枠をつくりましたけれども、それが実現できなくなるかというと、実はもう日本は、SBS米という部分で、一万トンぐらいしかアメリカの米を買っていなかったのを六万トンまでふやしているわけですよ。いろいろな形でアメリカの要求に応える手だてをしている。
一つ、TPP11にするときに、先ほどありました、最初八十項目もの、もうこれはやめてほしいという項目が出てきたわけですよね、二十二まで絞り込みましたけれども。その中で、日本だけが、私は何も外したい項目はありませんと。ここまでアメリカと同調する姿勢をとったのに、今、ISDSについて何が起きたか。
あれだけ、グローバル企業が人の命や環境を痛めつけてでも自分たちの利益を損害賠償をしてとってやるというようなISDSはいかぬという議論があったのに、日本とアメリカだけが主張し、ほかの国は全部反対でした。EUは、こんなものは死んだものだと言っていました。ところが、その中で、日本はアメリカに追従してこれを絶対やらなきゃいけないと言ってきたけれども、今、アメリカが、世論に押されて、これは国家主権の侵害だということで、ISDSをNAFTAの交渉からアメリカはもうやりませんと言い始めたんです、入れないと。ISDSをアメリカが拒否し始めたんですよ。今、日本だけが宙に浮いて、ISDSに固執しているという異常な状況になっています。だから、TPP11から、ISDSは当然、凍結じゃなくて削除すべきなんですよ。
アメリカに追従して、はしごを外されて孤立するというこの繰り返しをやめないと非常に危険だということが、ここからもわかるということです。
それから、三ページの真ん中ですが、TPP11で、もう早く決めてしまおう、成果を出そうということで何をやったか。
アメリカを含めて、農林水産業についてこれだけ譲ると決めた内容を、アメリカはいなくなったのに、そのままほかの国に譲っちゃったわけですよ。オーストラリア、ニュージーランドは大喜び。乳製品の輸出、アメリカの分まで全部できるわと。それで、最強のオセアニアの農業国から我々は更に攻められなきゃいけないということにTPP11でもなっちゃった。
そうすれば、アメリカが黙っているわけはないから、おい、俺の分はどうしてくれるんだ、それ以上のものをやってくれというさっきの話になってくるわけだから、結局そういうふうに、TPP12以上の打撃を日本の農林水産業、食料が受けるということをわかっていて進めている。ここは本当に戦略を考えないといけないと思います。
日本は、チーズについても、TPPでアメリカから、ハード系のチーズが得意だからゴーダとかチェダーは関税を撤廃してくれと言われて、はい、わかりましたと。でも、カマンベールは守りましたと言っていたわけですよ。ところが、EUとの協定もTPPレベル以上でやっていいぞということになったものだから、EUからカマンベールの関税を撤廃してくれと言われたら、うん、そうですよねといって、今度はソフト系も実質関税撤廃しちゃった。気がついたら、チーズの関税は全面関税撤廃になっていた。何も考えていないじゃないか。
カナダは、米に匹敵する酪農を絶対死守するということで、TPPでも、それからEUとカナダとの協定でも、一切、乳製品の関税には手をつけていないですよ。こういうふうな戦略というものが日本にあるのかどうかということが問われている。
それから、四ページですが、影響と対策については、影響がないように対策するから影響はないと。いや、それはちょっと。それだったら、対策はどうなっているんですか。
TPP11で、加工原料乳はキロ八円下がる、でも、生産量も所得も影響ないと。いや、そんなことないでしょう。チーズ向けの奨励金をふやしただけで八円の差額がふえますか。畜産クラスター事業をやったら八円のコストが下がりますか。そうであるとすれば、そのことをきちんと説明する必要があるわけです。
ただ、牛肉、豚肉については、今回の法案にもありますように、マルキンという仕組みを九割補填にして、豚肉の方は生産者負担を二五%まで、牛肉と同じにすると。強化いたしました、法制化もする、これは評価される方向性だと思いますが、四ページの表一、表二を見ていただいたらわかりますように、だからといって、牛肉、豚肉の生産がそのまま減らずに、所得も維持されるというわけにはいかない。表一、和牛では、最大規模階層の二百頭以上だけが赤字を免れる。豚肉でも、最大規模階層の二千頭以上だけが赤字を免れる。そういう効果なんだということは押さえておかないといけない。
それから一方、酪農についてはそういうものは全くないわけですよ。
五ページ、国産牛乳がことしの夏から飲めなくなるかもしれないというこの危機、業界では大変なことになっているわけですよね。このことを国民が認識しなければいけない。チーズが安くなるからいいななんと言っているうちに、ことしの夏から、小売店頭から時々牛乳が消えるかもしれないというわけですよ。
酪農はトリプルパンチ。TPP11と日・EU・FTA、それから指定団体の解体、酪農協の解体が決まりました。世界で、牛乳については、これはきちんと量を把握して流通させないと消費者にきちんと届かないということで、全量出荷の原則を全ての国がとっているんです。それを日本は法律で、全量出荷は義務づけちゃいけない、二股出荷でも受け付けるという、世界で唯一、例のないことをやってしまったんですよ。このことは大変な事実なわけですね。そういうふうな不安もあって、もう都府県中心に酪農生産がどんどん減って、さっき言ったような、ことしの夏から足りなくなる。
だから、酪農については、牛肉、豚肉のような、せめてマルキンをきちんと入れなきゃいけないという議論があってしかるべきなのに、そういうものはないまま、五ページの下にありますが、この危機を乗り切るために何をするか。国産振興ではなくて、脱脂粉乳とバターの追加輸入で夏に還元乳をつくって、みんな飲んでくれという話になっているんですよ。国産を振興するというのをどう考えているんですか。自給率向上を放棄するんですかというのが今心配になってきている状況です。
それから、六ページの上にありますが、今回の自由化では酪農、畜産が影響が大きいということになっておりますが、それは米と関係ないわけじゃないということですね。
表の三にありますように、米の生産も減ります。でも、米は消費の方が減り方が大きいので、十五年後にはまだ七十万トンも余る。やはり餌米をやらなきゃいけない。ところが、このまま酪農、畜産が減っていったら、五割も六割も牛や豚の生産が減って、誰が餌米を食べるんですかということになりかねないわけですよ。そういうことの整合性についてどう考えているのかということも問われる。
そして、これ以上安い輸入食品が入ってくる、食の安全基準が更に順番に緩められていくということを続けたら、一番最後の裏のページに、最近の検疫でどれだけの食料がひっかかっているかというのを出していますけれども、O157からいろいろな、あり得ないような化学薬品がいっぱい出てきているわけですよ。でも、検査率七%なんですよ。素通りして、みんな食べているわけです。日本人は安いものを食べたいからということで、現地に、コストを下げてくれと。一生懸命やると安全性のコストも下がっちゃって、どんどん安くなるけれども、どんどん危なくなっているという現実。
こういう中で、六ページに戻っていただいて、輸入農産物は、成長ホルモンの問題、成長促進剤の問題、除草剤、遺伝子組み換え、それから防カビ剤のイマザリル、こういう危機満載なわけですから、リスク満載なわけですから、安いと言っていたら本当に安いのか。必ず病気になって命が縮むんじゃないですか。
だったら、国内で頑張ってくれている、安全、安心な食料をつくってくれているたくさんの農家の皆さんをいかにみんなで支えるかということを今考えないと、牛乳でことしの夏から起こりそうな事態がどんどん波及していったら、気がついたときにはいろいろな病気がふえて、国産の安全、安心なものを食べたいといったら自給率一割になっていて選ぶこともできないという事態がもう目の前に来ているということであります。
六ページの下ですね。国民の命を守り国土を守るには、どんなときにも安全、安心な食料を安定的に国民に供給できること、それを支える自国の農林水産業が持続できることが不可欠なわけですが、その安全保障のかなめである農林水産業を国民全体で支え自給率を高く維持することは世界の常識なわけですが、それが日本では常識になっているかどうかが問われている。
七ページの真ん中ですけれども、日本の農業が過保護だというのはマスコミ的につくり上げられたうそです。
農業所得に占める補助金の割合は、日本は三割、スイス一〇〇%、イギリス、フランスでも九十数%。ヨーロッパは幾度の戦争で食料難と国境の危機にさらされて、命を守り、環境を守り、地域を守り、国土を守っている産業をみんなで支えるのは当たり前ということが認識されているのに、それが当たり前でないのが日本ではないか。だから、ここで、食料自給率を死語にしてしまうような流れを続けることに歯どめをかけないといけない。
八ページの真ん中ですけれども、今言ったように、欧米諸国が所得の一〇〇%近くを税金で支えてでも自分たちの食料と環境、地域、国土、国境を守るというふうに言っているときに、我が国は民間活力の最大限の活用だとか、企業参入が全てであるとか、自由貿易が全てであるという名目のうちに、気がついたら、安全性の懸念が大きい輸入農産物に一層依存して、国民の健康がむしばまれる、地域の資源、環境、地域社会、そして国民の主権さえも実質的に奪われていきかねないような状況をもたらす政策をあらゆる形で組み合わせて今進めようとしているのではないか、ここが問われている。
九ページ、最後になりますが、一番上ですね。
イタリアの水田地帯ではこう言われています。田んぼにはオタマジャクシもすめる、ダムのかわりに洪水もとめてくれる、水もろ過してきれいにしてくれる、こういうふうな機能にみんなお世話になっているけれども、それをきちんと値段に反映できているか。できていないんだったら、みんなでちゃんとお金を集めて払おうじゃないかということで、EUでは、農業の持つさまざまな多面的な機能、環境機能について指標化して、それを国民がどれだけ支えていくかという壮大な環境支払いシステムをつくり上げております。だから、国民は納得して払えるし、生産者は誇りを持ってつくっていける。
アメリカは、それに輪をかけてと言ったら変ですけれども、最低限の農業所得、価格は政府が五年間固定して、それとの差額は一〇〇%補填するわけですよ。これは、輸出向けもそうです。米は一俵四千円で売っている。でも、一万二千円との差額は一〇〇%払うんです。多いときには、輸出向けだけで一兆円ですよ。この差額補填で農業を支えている。だから、その指標になる最低限の所得、価格というものがわかっているから、それを目安にして生産者は頑張ってつくっていける。これが食料を支えるということです。
そういう意味で、日本の政策は、今、踏みとどまって、もう一度きちんと考え直さなきゃいけないんじゃないか。
特に、日本には緊急対策というのが多いですけれども、これは政治家の先生方にはある意味手柄になりますのでいいんですけれども、農家の皆さんにとっては緊急対策じゃいかぬのですよ。アメリカやヨーロッパのように、きちんとシステマチックに、これは最低限支えるから、この差額を補填するから、その発動される基準を目安にして頑張ってくださいということがわかるような、投資計画が立てられるような政策を、恒久的なものをつくらなきゃいけない。
そういう意味で、今回の、牛、豚のマルキンの強化と法制化は、一つの方向性として評価できる。だけれども、もっとそういうものを入れなきゃいけない農産物がほかにもあるのに、例えば今の酪農ですよね、酪農は、そういうふうな政策がないままに、それを補完するための生乳共販組織が弱体化されようとしている。こういう状況は非常に問題である。収入保険も、戸別所得補償制度にかわるものだというふうにいいながら、残念ながら、最低限のセーフティーネットを形成できない仕組みになっています。
こうした点の改善も含めて、食料を外国に握られることは国民の命を握られることなんだ、国の独立を失うことであるということをもう一度肝に銘じて、安全保障戦略の中心を担う恒久的な農林水産業政策を、政党の垣根を越え、省庁の垣根を越えた国家戦略予算として再構築するということについて、ぜひきちんと検討してから、TPP11をやっていいのかどうかと。TPP12以上に大変な状況なんですから、簡単に議論を終わらせるということは許されない、非常に大きな問題であるということを申し上げまして、私の話を終わらせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私の方からは、「TPP11はTPP12より悪い」というペーパーを見ていただきたいと思います。
アメリカ抜きのTPP11を進めるということは、これはセットで、TPP12のとき以上のアメリカからの対日要求に応えるということになります。そのつもりで日本もおりますから、このままいけば、TPP11を進めれば、TPP12のとき以上に日本は打撃を受けるということをそもそも最初から想定して受け入れていると言わざるを得ない。
なぜTPPをアメリカが否決したのかということについて、日本では全然議論がされていません。
アメリカ国民の八〇%が、TPPをやってもグローバル企業の経営陣がもうかるだけで、賃金は下がる、失業がふえる、それから、国家主権の侵害だ、食の安全性が脅かされるということで、大統領候補の全てがTPP反対と言わざるを得なくなった。保護主義との闘いではございません。アメリカは、こういうふうな自由貿易への反省からこれを否定せざるを得なくなったという国民の声があるわけです。
でも一方で、グローバル企業はもちろん違う。TPP、それから国内の規制改革もそうですが、これはいわばお友達への便宜供与です。アメリカのハッチ共和党議員がTPPを進めたのはどういうことか。製薬企業から二年で五億円の献金をもらって、患者さんが死んでもいいから、ジェネリック医薬品をつくれないように新薬のデータ保護期間を二十年に延ばしてくれと主張した。これがある意味TPPの本質だということは忘れてはいけない。
そもそも、二ページにありますが、TPP破棄で一番怒ったのはアメリカの農業団体です。何でか。日本にあんなにおいしい約束をさせたのに、できなくなると怒ったわけですね。だから、日本は相当なことをやってしまっていたということですけれども、アメリカの農業団体のすごいのは、ここの切りかえの速さです。そうか、TPPも不十分だったんだ、要はそれ以上のものを二国間で要求すればいいんだということになってきているというのが今の状況です。
それを見越して、日本はどんどん準備を当然進めています。アメリカへの要求に応えるためにどうやるかというリストも、もう全部できています。例えば、TPP枠でアメリカに七万トンの米の枠をつくりましたけれども、それが実現できなくなるかというと、実はもう日本は、SBS米という部分で、一万トンぐらいしかアメリカの米を買っていなかったのを六万トンまでふやしているわけですよ。いろいろな形でアメリカの要求に応える手だてをしている。
一つ、TPP11にするときに、先ほどありました、最初八十項目もの、もうこれはやめてほしいという項目が出てきたわけですよね、二十二まで絞り込みましたけれども。その中で、日本だけが、私は何も外したい項目はありませんと。ここまでアメリカと同調する姿勢をとったのに、今、ISDSについて何が起きたか。
あれだけ、グローバル企業が人の命や環境を痛めつけてでも自分たちの利益を損害賠償をしてとってやるというようなISDSはいかぬという議論があったのに、日本とアメリカだけが主張し、ほかの国は全部反対でした。EUは、こんなものは死んだものだと言っていました。ところが、その中で、日本はアメリカに追従してこれを絶対やらなきゃいけないと言ってきたけれども、今、アメリカが、世論に押されて、これは国家主権の侵害だということで、ISDSをNAFTAの交渉からアメリカはもうやりませんと言い始めたんです、入れないと。ISDSをアメリカが拒否し始めたんですよ。今、日本だけが宙に浮いて、ISDSに固執しているという異常な状況になっています。だから、TPP11から、ISDSは当然、凍結じゃなくて削除すべきなんですよ。
アメリカに追従して、はしごを外されて孤立するというこの繰り返しをやめないと非常に危険だということが、ここからもわかるということです。
それから、三ページの真ん中ですが、TPP11で、もう早く決めてしまおう、成果を出そうということで何をやったか。
アメリカを含めて、農林水産業についてこれだけ譲ると決めた内容を、アメリカはいなくなったのに、そのままほかの国に譲っちゃったわけですよ。オーストラリア、ニュージーランドは大喜び。乳製品の輸出、アメリカの分まで全部できるわと。それで、最強のオセアニアの農業国から我々は更に攻められなきゃいけないということにTPP11でもなっちゃった。
そうすれば、アメリカが黙っているわけはないから、おい、俺の分はどうしてくれるんだ、それ以上のものをやってくれというさっきの話になってくるわけだから、結局そういうふうに、TPP12以上の打撃を日本の農林水産業、食料が受けるということをわかっていて進めている。ここは本当に戦略を考えないといけないと思います。
日本は、チーズについても、TPPでアメリカから、ハード系のチーズが得意だからゴーダとかチェダーは関税を撤廃してくれと言われて、はい、わかりましたと。でも、カマンベールは守りましたと言っていたわけですよ。ところが、EUとの協定もTPPレベル以上でやっていいぞということになったものだから、EUからカマンベールの関税を撤廃してくれと言われたら、うん、そうですよねといって、今度はソフト系も実質関税撤廃しちゃった。気がついたら、チーズの関税は全面関税撤廃になっていた。何も考えていないじゃないか。
カナダは、米に匹敵する酪農を絶対死守するということで、TPPでも、それからEUとカナダとの協定でも、一切、乳製品の関税には手をつけていないですよ。こういうふうな戦略というものが日本にあるのかどうかということが問われている。
それから、四ページですが、影響と対策については、影響がないように対策するから影響はないと。いや、それはちょっと。それだったら、対策はどうなっているんですか。
TPP11で、加工原料乳はキロ八円下がる、でも、生産量も所得も影響ないと。いや、そんなことないでしょう。チーズ向けの奨励金をふやしただけで八円の差額がふえますか。畜産クラスター事業をやったら八円のコストが下がりますか。そうであるとすれば、そのことをきちんと説明する必要があるわけです。
ただ、牛肉、豚肉については、今回の法案にもありますように、マルキンという仕組みを九割補填にして、豚肉の方は生産者負担を二五%まで、牛肉と同じにすると。強化いたしました、法制化もする、これは評価される方向性だと思いますが、四ページの表一、表二を見ていただいたらわかりますように、だからといって、牛肉、豚肉の生産がそのまま減らずに、所得も維持されるというわけにはいかない。表一、和牛では、最大規模階層の二百頭以上だけが赤字を免れる。豚肉でも、最大規模階層の二千頭以上だけが赤字を免れる。そういう効果なんだということは押さえておかないといけない。
それから一方、酪農についてはそういうものは全くないわけですよ。
五ページ、国産牛乳がことしの夏から飲めなくなるかもしれないというこの危機、業界では大変なことになっているわけですよね。このことを国民が認識しなければいけない。チーズが安くなるからいいななんと言っているうちに、ことしの夏から、小売店頭から時々牛乳が消えるかもしれないというわけですよ。
酪農はトリプルパンチ。TPP11と日・EU・FTA、それから指定団体の解体、酪農協の解体が決まりました。世界で、牛乳については、これはきちんと量を把握して流通させないと消費者にきちんと届かないということで、全量出荷の原則を全ての国がとっているんです。それを日本は法律で、全量出荷は義務づけちゃいけない、二股出荷でも受け付けるという、世界で唯一、例のないことをやってしまったんですよ。このことは大変な事実なわけですね。そういうふうな不安もあって、もう都府県中心に酪農生産がどんどん減って、さっき言ったような、ことしの夏から足りなくなる。
だから、酪農については、牛肉、豚肉のような、せめてマルキンをきちんと入れなきゃいけないという議論があってしかるべきなのに、そういうものはないまま、五ページの下にありますが、この危機を乗り切るために何をするか。国産振興ではなくて、脱脂粉乳とバターの追加輸入で夏に還元乳をつくって、みんな飲んでくれという話になっているんですよ。国産を振興するというのをどう考えているんですか。自給率向上を放棄するんですかというのが今心配になってきている状況です。
それから、六ページの上にありますが、今回の自由化では酪農、畜産が影響が大きいということになっておりますが、それは米と関係ないわけじゃないということですね。
表の三にありますように、米の生産も減ります。でも、米は消費の方が減り方が大きいので、十五年後にはまだ七十万トンも余る。やはり餌米をやらなきゃいけない。ところが、このまま酪農、畜産が減っていったら、五割も六割も牛や豚の生産が減って、誰が餌米を食べるんですかということになりかねないわけですよ。そういうことの整合性についてどう考えているのかということも問われる。
そして、これ以上安い輸入食品が入ってくる、食の安全基準が更に順番に緩められていくということを続けたら、一番最後の裏のページに、最近の検疫でどれだけの食料がひっかかっているかというのを出していますけれども、O157からいろいろな、あり得ないような化学薬品がいっぱい出てきているわけですよ。でも、検査率七%なんですよ。素通りして、みんな食べているわけです。日本人は安いものを食べたいからということで、現地に、コストを下げてくれと。一生懸命やると安全性のコストも下がっちゃって、どんどん安くなるけれども、どんどん危なくなっているという現実。
こういう中で、六ページに戻っていただいて、輸入農産物は、成長ホルモンの問題、成長促進剤の問題、除草剤、遺伝子組み換え、それから防カビ剤のイマザリル、こういう危機満載なわけですから、リスク満載なわけですから、安いと言っていたら本当に安いのか。必ず病気になって命が縮むんじゃないですか。
だったら、国内で頑張ってくれている、安全、安心な食料をつくってくれているたくさんの農家の皆さんをいかにみんなで支えるかということを今考えないと、牛乳でことしの夏から起こりそうな事態がどんどん波及していったら、気がついたときにはいろいろな病気がふえて、国産の安全、安心なものを食べたいといったら自給率一割になっていて選ぶこともできないという事態がもう目の前に来ているということであります。
六ページの下ですね。国民の命を守り国土を守るには、どんなときにも安全、安心な食料を安定的に国民に供給できること、それを支える自国の農林水産業が持続できることが不可欠なわけですが、その安全保障のかなめである農林水産業を国民全体で支え自給率を高く維持することは世界の常識なわけですが、それが日本では常識になっているかどうかが問われている。
七ページの真ん中ですけれども、日本の農業が過保護だというのはマスコミ的につくり上げられたうそです。
農業所得に占める補助金の割合は、日本は三割、スイス一〇〇%、イギリス、フランスでも九十数%。ヨーロッパは幾度の戦争で食料難と国境の危機にさらされて、命を守り、環境を守り、地域を守り、国土を守っている産業をみんなで支えるのは当たり前ということが認識されているのに、それが当たり前でないのが日本ではないか。だから、ここで、食料自給率を死語にしてしまうような流れを続けることに歯どめをかけないといけない。
八ページの真ん中ですけれども、今言ったように、欧米諸国が所得の一〇〇%近くを税金で支えてでも自分たちの食料と環境、地域、国土、国境を守るというふうに言っているときに、我が国は民間活力の最大限の活用だとか、企業参入が全てであるとか、自由貿易が全てであるという名目のうちに、気がついたら、安全性の懸念が大きい輸入農産物に一層依存して、国民の健康がむしばまれる、地域の資源、環境、地域社会、そして国民の主権さえも実質的に奪われていきかねないような状況をもたらす政策をあらゆる形で組み合わせて今進めようとしているのではないか、ここが問われている。
九ページ、最後になりますが、一番上ですね。
イタリアの水田地帯ではこう言われています。田んぼにはオタマジャクシもすめる、ダムのかわりに洪水もとめてくれる、水もろ過してきれいにしてくれる、こういうふうな機能にみんなお世話になっているけれども、それをきちんと値段に反映できているか。できていないんだったら、みんなでちゃんとお金を集めて払おうじゃないかということで、EUでは、農業の持つさまざまな多面的な機能、環境機能について指標化して、それを国民がどれだけ支えていくかという壮大な環境支払いシステムをつくり上げております。だから、国民は納得して払えるし、生産者は誇りを持ってつくっていける。
アメリカは、それに輪をかけてと言ったら変ですけれども、最低限の農業所得、価格は政府が五年間固定して、それとの差額は一〇〇%補填するわけですよ。これは、輸出向けもそうです。米は一俵四千円で売っている。でも、一万二千円との差額は一〇〇%払うんです。多いときには、輸出向けだけで一兆円ですよ。この差額補填で農業を支えている。だから、その指標になる最低限の所得、価格というものがわかっているから、それを目安にして生産者は頑張ってつくっていける。これが食料を支えるということです。
そういう意味で、日本の政策は、今、踏みとどまって、もう一度きちんと考え直さなきゃいけないんじゃないか。
特に、日本には緊急対策というのが多いですけれども、これは政治家の先生方にはある意味手柄になりますのでいいんですけれども、農家の皆さんにとっては緊急対策じゃいかぬのですよ。アメリカやヨーロッパのように、きちんとシステマチックに、これは最低限支えるから、この差額を補填するから、その発動される基準を目安にして頑張ってくださいということがわかるような、投資計画が立てられるような政策を、恒久的なものをつくらなきゃいけない。
そういう意味で、今回の、牛、豚のマルキンの強化と法制化は、一つの方向性として評価できる。だけれども、もっとそういうものを入れなきゃいけない農産物がほかにもあるのに、例えば今の酪農ですよね、酪農は、そういうふうな政策がないままに、それを補完するための生乳共販組織が弱体化されようとしている。こういう状況は非常に問題である。収入保険も、戸別所得補償制度にかわるものだというふうにいいながら、残念ながら、最低限のセーフティーネットを形成できない仕組みになっています。
こうした点の改善も含めて、食料を外国に握られることは国民の命を握られることなんだ、国の独立を失うことであるということをもう一度肝に銘じて、安全保障戦略の中心を担う恒久的な農林水産業政策を、政党の垣根を越え、省庁の垣根を越えた国家戦略予算として再構築するということについて、ぜひきちんと検討してから、TPP11をやっていいのかどうかと。TPP12以上に大変な状況なんですから、簡単に議論を終わらせるということは許されない、非常に大きな問題であるということを申し上げまして、私の話を終わらせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。拍手
山
中
中嶋康博#6
○中嶋参考人 おはようございます。
本日は、このような発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
私は、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会において、基本計画等の検討に携わってまいりました。そのような立場から、本日は、専ら農業、それから関連する農業政策にかかわる問題について、意見を陳述させていただきたいと思っております。
平成二十八年の十月、一年ほど前に開催されたTPP特別委員会におきましても、実は意見陳述させていただきました。その際に私は、農林水産分野の対策において不安を払拭して将来の展望に結びつく期待形成の構築が大事であり、それが再生産可能な条件を形成すると申し上げました。そのことに加えて、影響を遮断するだけの単なる中和策では頑強な対策とはならない、再生産から更に一歩進め、農業が持続可能となるための対策とするべきだと主張させていただいたわけであります。
この立場は、今回のTPP11の対策を考える上でも全く同じで、繰り返しになる点もございますが、御容赦いただければと存じます。
まず、再生産可能な条件の確認であります。
輸入枠の拡大やマークアップ引下げなどへの対策として、経営安定、安定供給のための備えが用意されておりまして、現段階で、この経営安定対策による収入補填や強い農林水産業の構築、体質強化対策による生産コストの引下げなどによって影響を遮断することで、現在の生産を維持できると私は考えております。
なお、TPP12と比べて、11ではアメリカが参加しないことから、農林水産物の重要品目が再生産可能とするための対策のハードルは低くなっておりますが、もちろん、将来アメリカが参加した場合においても、12について検討したときの結論から、この対策は有効だと考えます。
その上で、指摘したいことは、今回の対策では、重要品目が再生産可能であることを目指しているだけではなく、日本農業全体がこの後も持続可能な発展を遂げるための対策を展開しているということでございます。体質強化対策は、さきに述べたような、単にコストを削減するためのものではございません。攻めの農林水産業への転換を目指したものであり、既に三年間、補正予算を組んで実施されてきたところであります。
TPP12の対策が示された後、農林水産業をめぐる状況変化の中で、一つの象徴的現象として指摘したいことは、国産農林水産物、食品の輸出が伸びていることであります。政府は、平成三十一年に輸出額を一兆円にするという目標を定めています。二十七年は七千四百五十一億円、二十八年は七千五百二億円と、やや足踏みした感がございましたが、昨年の平成二十九年は八千七十一億円となり、対前年比七・六%と再び増加し始めております。
もう一つ、関連することとして取り上げたいのは、訪日外国人観光客の増加です。平成二十七年が千九百七十四万人で、二千万の大台の一歩手前でありましたけれども、二十八年にはそれを超えて二千四百万人、そして、昨年の平成二十九年は二千八百七十万人になっております。インバウンド観光は、目に見えて、日本社会や経済に大きなインパクトを与えております。
私は、このことが近い将来に海外での日本食の拡大につながっていく、それが国産農林水産物、食品の輸出を後押ししていくのではないかと期待をしております。
かつて、八〇年代から九〇年代に円高が大きく進んだとき、それまでにはないほど数多くの日本人が海外旅行に出かけ、さまざまな外国での体験をすることになりました。そのとき、現地の食に出会うことになったのだと思います。非常に多くの日本人が外国の本物の食を経験することになり、現在のSNS時代と同じというわけにはいきませんが、しかし、口コミでその経験は人々の間に広く伝播していったことは想像にかたくありません。
肌感覚でありますが、そのころを境にして、海外料理を出す本物のレストランが国内でふえていったように思っております。そうした実体験が、我が国で豊かな多様な食が更に展開していった背景にあるのだと思うわけであります。
ただし、その結果、その本物の料理を実現するべく、円高の後押しの中、海外の農産物や食品を輸入することになったのは、やや残念なことでありました。
それはともかく、海外からの観光客の皆さんに我が国の食を売り込んでいただくような仕掛けをつくれないでしょうか。そして、それをきっかけに、TPPや日・EU・EPAの後押しで輸出を拡大できないかと思う次第であります。更にTPPへの参加国を今後ふやし、それらの国の旺盛な食市場をもっと取り込んでいただきたいと思っております。
ただ、今までは、輸出をしようとハッパをかけても、なかなか進みませんでした。我が国には一億二千万人の豊かな人々が暮らし、食欲旺盛な巨大市場がそばにあるということならば、わざわざ海外に持っていくことはない、食は国内市場ファーストで対応するのがよいということであったと思います。
しかし、ここ数年の努力が積み重なり、ついに風穴が開きつつあります。一旦ルートが開拓されると、その後の取引はスムーズになります。好循環の歯車が回り始めたのかもしれません。
ところで、人口については、国内で減り始めているわけであります。一方、世界ではふえ続けているという非対称の状況にあります。このことにどのように対処していくのかが、我が国における現在の食料、農業をめぐる課題を解決していくポイントとなります。
御案内のとおり、人口減少は、消費者、マーケットの縮小という消費をめぐる課題と、生産者、担い手の減少という生産をめぐる課題をもたらしております。
三年前、閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画では、カロリーベースの食料自給率の目標を四五%と定めました。そこでは、まず、目標年次の平成三十七年までは、総供給熱量と呼ばれる需要量は、人口が減るなどの要因から、基準年に比べ一割ほど低下すると見込んでおります。一方、国産供給熱量と呼ばれる供給量は五%拡大する中で、この自給率目標というのは達成されると考えていたわけであります。
この基本計画の中でも明記しておりますけれども、農地は、計画期間に、荒廃農地の再生にも取り組みつつ、それでも七%ほど減少すると見通しております。あわせて、担い手不足、人手不足、これは御案内のとおりであります。こういった中で五%の生産向上を達成するためには、作物構成の変更に加えて、労働生産性、土地生産性そして全要素生産性の引上げが欠かせません。そのための振興のあり方が基本計画で示されていたわけであります。
このように発展していくために、その出発点である現在の生産の足場固めをすることが必要であり、今回の経営安定対策、体質強化対策が重要な役割を果たすということであります。
その上で、生産性の向上を現実のものにしていくためには、イノベーションが絶対に必要であるということです。
今や、生命科学、情報科学、ロボット工学の分野などで、基本計画策定時には明確に認識されていなかった新しい科学技術が次々に利用可能になってまいりました。それらが生産性向上に貢献してくると大いに期待しておりますけれども、現場でそれらの技術を導入するには、それに関する投資が行われなければいけません。
しかし、我が国農業は、長い間、投資を減らし続けました。実質投資額を確認してみると、平成元年の農業機械、施設、動物、植物などへ向けた投資額を一〇〇としたとき、その後、毎年のように低下し続け、東日本大震災の起こった平成二十三年には半分の五五しかございませんでした。このところ若干持ち直しているわけでありますが、それでも六〇程度の水準であります。
体質強化対策では、投資を促進するため、産地パワーアップ事業のような補助制度や金融、税制上の措置などがさまざま用意され、そのことは高く評価したいと思います。しかし、投資しやすい環境を用意したとしても、将来に対する確たる展望がなければ、最終的には農家の皆さんが思い切って投資には踏み切りません。生産振興は重要でありますけれども、加えて、バリューチェーンの構築、需要フロンティアの拡大という施策が決定的に重要になってまいります。
御存じのように、平成七年あたりを境に国全体の食料消費が減り始めています。平成七年は年間の支出額は八十三・一兆円でしたが、二十三年は七十六・三兆円になり、約十五年の間に七兆円近くが蒸発してしまったわけであります。この時期の景気動向は、消費の低迷に影響を与えている可能性はあります。ただ、あわせて国民の摂取カロリーの動向を確認してみると、先ほど自給率のところで指摘いたしましたとおり、毎年低下しています。今後、人口が減少するので、国内の食料消費額は低下せざるを得ません。
高齢化が更に進む社会において、健康食や介護食など新たな食のマーケットの開拓に取り組む動きがございます。そのような取組を成功させるためにも、核となる原料生産を振興するのは重要でありますが、それだけでは不十分です。原料農産物の集荷、流通、加工などを行う一次加工業を育成し生産性を向上させるため、業界再編や投資促進によるイノベーションの実現が求められます。また、新たな商品の創造には、規格や認証などソフトの開発も含めた多角的な取組が求められるわけです。そのような観点から、あわせて行われている農業競争力強化プログラムの意義を強調しておきたいと思います。
しかし、人口の低下が加速することを考えると、国内での食料消費拡大の取組にも限界があることを自覚すべきであります。頑張った生産者がしっかりと売り先を確保するためにも、さきに指摘した輸出市場の開拓が必須となります。
もう一つ留意しなければならないことは、今後、世界の食料需要が更に増大することです。世界の人口はふえ、途上国も所得をふやします。この状態が進んでいったとき、我が国はこれまでどおり必要な食料を海外から調達できるのか。一部の水産物では、既に買い負けがささやかれております。将来的には、輸入品を少しでも代替し、できるだけ国産品で国民の食料を賄える状態に向けて、生産性を向上させなければなりません。
TPP11発効後に発動する経営安定対策と、先行して取り組まれている体質強化対策を組み合わせることで、農業と関連する産業を含めた食料の供給体制がより筋肉質な力強い産業へ生まれ変わるような取組が進むことを期待しております。
そのためにも、体質強化対策が有効に機能しているかを常に確認しなければなりません。PDCAサイクルを回しながら問題を発見し、継続的に改善に取り組むことを希望する次第でございます。
以上で私の陳述を終えたいと思います。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、このような発言の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
私は、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会において、基本計画等の検討に携わってまいりました。そのような立場から、本日は、専ら農業、それから関連する農業政策にかかわる問題について、意見を陳述させていただきたいと思っております。
平成二十八年の十月、一年ほど前に開催されたTPP特別委員会におきましても、実は意見陳述させていただきました。その際に私は、農林水産分野の対策において不安を払拭して将来の展望に結びつく期待形成の構築が大事であり、それが再生産可能な条件を形成すると申し上げました。そのことに加えて、影響を遮断するだけの単なる中和策では頑強な対策とはならない、再生産から更に一歩進め、農業が持続可能となるための対策とするべきだと主張させていただいたわけであります。
この立場は、今回のTPP11の対策を考える上でも全く同じで、繰り返しになる点もございますが、御容赦いただければと存じます。
まず、再生産可能な条件の確認であります。
輸入枠の拡大やマークアップ引下げなどへの対策として、経営安定、安定供給のための備えが用意されておりまして、現段階で、この経営安定対策による収入補填や強い農林水産業の構築、体質強化対策による生産コストの引下げなどによって影響を遮断することで、現在の生産を維持できると私は考えております。
なお、TPP12と比べて、11ではアメリカが参加しないことから、農林水産物の重要品目が再生産可能とするための対策のハードルは低くなっておりますが、もちろん、将来アメリカが参加した場合においても、12について検討したときの結論から、この対策は有効だと考えます。
その上で、指摘したいことは、今回の対策では、重要品目が再生産可能であることを目指しているだけではなく、日本農業全体がこの後も持続可能な発展を遂げるための対策を展開しているということでございます。体質強化対策は、さきに述べたような、単にコストを削減するためのものではございません。攻めの農林水産業への転換を目指したものであり、既に三年間、補正予算を組んで実施されてきたところであります。
TPP12の対策が示された後、農林水産業をめぐる状況変化の中で、一つの象徴的現象として指摘したいことは、国産農林水産物、食品の輸出が伸びていることであります。政府は、平成三十一年に輸出額を一兆円にするという目標を定めています。二十七年は七千四百五十一億円、二十八年は七千五百二億円と、やや足踏みした感がございましたが、昨年の平成二十九年は八千七十一億円となり、対前年比七・六%と再び増加し始めております。
もう一つ、関連することとして取り上げたいのは、訪日外国人観光客の増加です。平成二十七年が千九百七十四万人で、二千万の大台の一歩手前でありましたけれども、二十八年にはそれを超えて二千四百万人、そして、昨年の平成二十九年は二千八百七十万人になっております。インバウンド観光は、目に見えて、日本社会や経済に大きなインパクトを与えております。
私は、このことが近い将来に海外での日本食の拡大につながっていく、それが国産農林水産物、食品の輸出を後押ししていくのではないかと期待をしております。
かつて、八〇年代から九〇年代に円高が大きく進んだとき、それまでにはないほど数多くの日本人が海外旅行に出かけ、さまざまな外国での体験をすることになりました。そのとき、現地の食に出会うことになったのだと思います。非常に多くの日本人が外国の本物の食を経験することになり、現在のSNS時代と同じというわけにはいきませんが、しかし、口コミでその経験は人々の間に広く伝播していったことは想像にかたくありません。
肌感覚でありますが、そのころを境にして、海外料理を出す本物のレストランが国内でふえていったように思っております。そうした実体験が、我が国で豊かな多様な食が更に展開していった背景にあるのだと思うわけであります。
ただし、その結果、その本物の料理を実現するべく、円高の後押しの中、海外の農産物や食品を輸入することになったのは、やや残念なことでありました。
それはともかく、海外からの観光客の皆さんに我が国の食を売り込んでいただくような仕掛けをつくれないでしょうか。そして、それをきっかけに、TPPや日・EU・EPAの後押しで輸出を拡大できないかと思う次第であります。更にTPPへの参加国を今後ふやし、それらの国の旺盛な食市場をもっと取り込んでいただきたいと思っております。
ただ、今までは、輸出をしようとハッパをかけても、なかなか進みませんでした。我が国には一億二千万人の豊かな人々が暮らし、食欲旺盛な巨大市場がそばにあるということならば、わざわざ海外に持っていくことはない、食は国内市場ファーストで対応するのがよいということであったと思います。
しかし、ここ数年の努力が積み重なり、ついに風穴が開きつつあります。一旦ルートが開拓されると、その後の取引はスムーズになります。好循環の歯車が回り始めたのかもしれません。
ところで、人口については、国内で減り始めているわけであります。一方、世界ではふえ続けているという非対称の状況にあります。このことにどのように対処していくのかが、我が国における現在の食料、農業をめぐる課題を解決していくポイントとなります。
御案内のとおり、人口減少は、消費者、マーケットの縮小という消費をめぐる課題と、生産者、担い手の減少という生産をめぐる課題をもたらしております。
三年前、閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画では、カロリーベースの食料自給率の目標を四五%と定めました。そこでは、まず、目標年次の平成三十七年までは、総供給熱量と呼ばれる需要量は、人口が減るなどの要因から、基準年に比べ一割ほど低下すると見込んでおります。一方、国産供給熱量と呼ばれる供給量は五%拡大する中で、この自給率目標というのは達成されると考えていたわけであります。
この基本計画の中でも明記しておりますけれども、農地は、計画期間に、荒廃農地の再生にも取り組みつつ、それでも七%ほど減少すると見通しております。あわせて、担い手不足、人手不足、これは御案内のとおりであります。こういった中で五%の生産向上を達成するためには、作物構成の変更に加えて、労働生産性、土地生産性そして全要素生産性の引上げが欠かせません。そのための振興のあり方が基本計画で示されていたわけであります。
このように発展していくために、その出発点である現在の生産の足場固めをすることが必要であり、今回の経営安定対策、体質強化対策が重要な役割を果たすということであります。
その上で、生産性の向上を現実のものにしていくためには、イノベーションが絶対に必要であるということです。
今や、生命科学、情報科学、ロボット工学の分野などで、基本計画策定時には明確に認識されていなかった新しい科学技術が次々に利用可能になってまいりました。それらが生産性向上に貢献してくると大いに期待しておりますけれども、現場でそれらの技術を導入するには、それに関する投資が行われなければいけません。
しかし、我が国農業は、長い間、投資を減らし続けました。実質投資額を確認してみると、平成元年の農業機械、施設、動物、植物などへ向けた投資額を一〇〇としたとき、その後、毎年のように低下し続け、東日本大震災の起こった平成二十三年には半分の五五しかございませんでした。このところ若干持ち直しているわけでありますが、それでも六〇程度の水準であります。
体質強化対策では、投資を促進するため、産地パワーアップ事業のような補助制度や金融、税制上の措置などがさまざま用意され、そのことは高く評価したいと思います。しかし、投資しやすい環境を用意したとしても、将来に対する確たる展望がなければ、最終的には農家の皆さんが思い切って投資には踏み切りません。生産振興は重要でありますけれども、加えて、バリューチェーンの構築、需要フロンティアの拡大という施策が決定的に重要になってまいります。
御存じのように、平成七年あたりを境に国全体の食料消費が減り始めています。平成七年は年間の支出額は八十三・一兆円でしたが、二十三年は七十六・三兆円になり、約十五年の間に七兆円近くが蒸発してしまったわけであります。この時期の景気動向は、消費の低迷に影響を与えている可能性はあります。ただ、あわせて国民の摂取カロリーの動向を確認してみると、先ほど自給率のところで指摘いたしましたとおり、毎年低下しています。今後、人口が減少するので、国内の食料消費額は低下せざるを得ません。
高齢化が更に進む社会において、健康食や介護食など新たな食のマーケットの開拓に取り組む動きがございます。そのような取組を成功させるためにも、核となる原料生産を振興するのは重要でありますが、それだけでは不十分です。原料農産物の集荷、流通、加工などを行う一次加工業を育成し生産性を向上させるため、業界再編や投資促進によるイノベーションの実現が求められます。また、新たな商品の創造には、規格や認証などソフトの開発も含めた多角的な取組が求められるわけです。そのような観点から、あわせて行われている農業競争力強化プログラムの意義を強調しておきたいと思います。
しかし、人口の低下が加速することを考えると、国内での食料消費拡大の取組にも限界があることを自覚すべきであります。頑張った生産者がしっかりと売り先を確保するためにも、さきに指摘した輸出市場の開拓が必須となります。
もう一つ留意しなければならないことは、今後、世界の食料需要が更に増大することです。世界の人口はふえ、途上国も所得をふやします。この状態が進んでいったとき、我が国はこれまでどおり必要な食料を海外から調達できるのか。一部の水産物では、既に買い負けがささやかれております。将来的には、輸入品を少しでも代替し、できるだけ国産品で国民の食料を賄える状態に向けて、生産性を向上させなければなりません。
TPP11発効後に発動する経営安定対策と、先行して取り組まれている体質強化対策を組み合わせることで、農業と関連する産業を含めた食料の供給体制がより筋肉質な力強い産業へ生まれ変わるような取組が進むことを期待しております。
そのためにも、体質強化対策が有効に機能しているかを常に確認しなければなりません。PDCAサイクルを回しながら問題を発見し、継続的に改善に取り組むことを希望する次第でございます。
以上で私の陳述を終えたいと思います。どうもありがとうございました。拍手
山
内
内田聖子#8
○内田参考人 私は、アジア太平洋資料センターと申しますNPO法人で共同代表をしております内田聖子です。きょうは、よろしくお願いいたします。
私どもは、小さなNPO団体、NGOなんですが、WTOの時代から、通商交渉それから貿易協定の問題に取り組んできました。先進国の政府や、特にやはり大企業、グローバルな大企業の声が非常に交渉の現場では強いわけですけれども、そういう立場からではなく、世界の特に途上国、新興国の人々、それから、もちろん日本の国民一人一人、一般消費者、主権者、そういう草の根の立場の人たちから、貿易協定のやはり負の側面というのもあるわけですから、そうしたことをずっと指摘してまいりました。きょうも、その立場からお話をしたいと思います。
私の資料は、文章で恐縮なんですが、つけさせていただいています。
まず冒頭に申し上げたいのは、二年前にも国会でTPP12の審議が行われたわけです。私も衆参で参考人、公述人として、その際も出ましたけれども、まずもって今回の11の審議では前回のような特別委員会というものが設けられず、この内閣委員会そして外務委員会で、比較すれば非常にわずかな時間での審議が、我々から見ればとても拙速に行われているように感じております。これから申し上げるように、このTPP11そのものにも検証すべき点はまだたくさんありますし、それから国内への影響というのもあるかと思います。そしてさらには、日米の二国間交渉への対応もあったりします。ですから、決して拙速な審議をするのではなくて、十分な時間をとって慎重に議論していただきたいというふうに切に願っております。
その理由の大きな一つは、やはり、二年前のTPPを審議した際と現在では、激変と言ってもいいほど、貿易交渉をめぐる状況は変わったわけです。
この一ページに挙げておきましたけれども、アメリカのTPP脱退はもちろんのこと、イギリスがEUを離脱したり、それから昨今ではアメリカと中国の貿易紛争のようなことも起こりつつあります。
それから、貿易協定、日本がかかわるものでいえば、確かに日・EU経済連携協定というのは合意に一旦至りましたが、これは当初の予定どおりの完全合意ではなくて、先ほども鈴木先生から御指摘があったように、投資家と国家の紛争解決メカニズム、ISDS、この部分が全く決着をしない。日本はISDSを主張しましたが、EUは、もう完全にISDSを否定していまして、別な仕組みを提案しています。ですから、この部分は協定から切り離して合意せざるを得ないという問題も出ています。
それから、中国、インドを含め、ASEAN諸国含め、アジアの国々と交渉しているRCEP、これもTPPと同じころ、二〇一三年ごろから交渉しているわけですが、妥結に至っていません。ここには、後で述べますが、いわゆるTPPレベルの強い規律、自由化の規律が決して受け入れられない途上国の声というものがあります。
そして、この間、WTOの閣僚会合というのも昨年の末にあったわけです。もちろんWTOは停滞していますが、基本的な前提として、今議論しているTPPないしはほかのメガFTAも、WTOの体制を基礎にして、その一部例外を認めるというような形で、FTA、EPAというものは成り立っているわけです。ですから、決してWTOを我々は無視するわけにはいかず、今後どういう形でWTOに向き合っていくのかということも、まさに今問われているわけです。
ですから、いわばTPP11だけを早期批准すればいいというだけの話ではなくて、あえて言えば、朝鮮半島の和平というか、非核化に向けた動きというものが今急速に起こっていますが、これも、中国、ロシア含めて、朝鮮半島含めて、今後の日本の貿易、経済に必ずかかわってくるわけですから、この激動するアジア情勢の中で、一体日本がどういう通商体制をとるのか、どういう戦略をとるのか、そして、どういう規律を埋め込んでいくことが国民にとっていいのか、国益なのかということを議論するのは、まさに今この国会だというふうに思っております。ですから、TPP11という問題だけに押し込めずに、ぜひ広くて深い議論をしていただきたいと思っております。
さて、私が挙げたい点としては、TPP11、この二ページの一番というところに書きました。
TPP11の戦略的な意義という議論はあります。それはそれで重要です。ただ、そもそも貿易協定の目的は何かといえば、当然、経済的な利益を得るという重要な目的があるわけです。当然、分野によってはメリット、デメリットというのがあろうかと思います。
TPP12から11に変わりましたというときに何が大きく変わったかというと、この二ページ、三ページの図で示しましたが、アメリカが抜けたことで、経済規模そして経済効果が激減しているわけですね。これは政府試算でもはっきりと出ています。
ですから、改めて、私は、二年前のTPP審議、決して十分ではなかったと思っていますが、TPP11になって一体どういう産業、どういう分野でメリットが生まれるのか、そしてデメリットがあるのか、規模が激減した中でなぜ11をこんなに急いで批准する必要があるのかということは、改めて考える必要があると思っています。
政府の試算の出し方にはいろいろな議論があって、決して使われている経済モデルだけが私は正しいと思っていないんですが、それにしても、ここに出したように、当初、経済効果は、アメリカを含む12では十三・六兆円、GDPでいえば二・五九%アップすると言われていたものが、11になれば、ほぼ半分に近いような、七・八兆円、一・四九%にしかならない。これを国民にどういうふうに説明しているのかという話です。
このときに、いやいや、TPPは、経済規模、経済効果は減ったけれども、戦略的な意味があるんだというふうに言われても、国民の実感レベルとしては到底、遠過ぎる話です。わかりません。
農業に関しては、11のころから影響が大きいということで、対策という話もされてきましたが、なぜか、この何がメリットかということに関しては非常に曖昧なんです。グロスで数字は出ますけれども、じゃ、どういう業種がどういう形でメリットを得るのかということは、政府の試算でも具体的には出せないということなんですね。そのような11というものをこんなに早急に批准してしまうということには、やはり大変疑問を感じます。
そして、四ページ以降ですけれども、11そのものは12の協定をほとんどそのまま引き継いだ上で、二十二項目の凍結項目で一部停止をしているという形になっています。
テクニカルに幾つか指摘すると、テクニカルにというか、11に限って評価すると、たくさん疑問はあるんですが、ここに挙げたような、例えば四点ほどの疑問、これは国会でもぜひ議論をいただきたい部分です。
一つは凍結項目。これは、日本政府は特に何も主張しなかったというふうに言っています。
他国は、アメリカの市場アクセスができるということの引きかえに、いろいろなものを譲歩したわけです、医薬品の特許の延長とか知的財産とか。しかし、アメリカが出た後は、メリットがないならこちらも譲らないよということで、停止を求めたわけです。これは、国益という観点からいえば当然だと思います。どの国も、やはり国内的な声との調整をしながら、ぎりぎりの交渉をしてきた。ですから、アメリカがいなくなれば、これは嫌だよと。
そのことを日本政府がしなかったということは、やはり素朴になぜなのか。たくさん譲ってきた部分もあるんだろうと思います。であるならば、この交渉の時点で言うべきだったと思っています。この問題が一つ。
それから、特に農産品のセーフガードの問題などで、アメリカが抜けたのに変わっていないという問題がいろいろと指摘をされていまして、それに対して政府としては、このTPP第六条では見直し条項があるんだと。
これは、アメリカが戻ってこないと見込まれる場合には、改めて十一カ国の中で協議をして、いろいろ見直せるんだということを説明されているんですが、この見直し条項の実効性ということについては非常に疑問です。これは、今回の審議の中でも、外務委員会等々でもほかの議員が指摘されている点です。
それから、新規加入国をどんどんふやしたいという方針でタイや韓国などなどが名乗りを上げているような状況で、これは望ましいというのが日本政府の姿勢なんですが、果たしてそうだろうかという疑問はあります。
例えば、タイに関して言えば、工業品の関税というのはもうタイ側もほぼ撤廃していますので、輸出のメリットは日本にありません。逆に、農産品の分野で言えば、タイの安いお米が今後入ってくるという懸念があります。こういう新しい国が入ればまた影響は変わってくるということは当たり前にあるわけです。
このことを政府は、例えば国会の皆さんに対して、どのタイミングでどういう提起をして、そしてその影響をどうはかり、そしてそれをどう承認していくのかという手続的なプロセスですね、もちろんそれは国民にも説明は必要だというあたりも今のうちからきちんと詰めておかないと、知らない間に、どんどんいろいろな国が入ってよかったねという話になってしまったら、実は、その国が日本にたくさんいろいろなものを、農産品であれ工業品であれ輸出をして、影響があるとかということにもなりかねません。ですから、11の議論の際に、このあたりも詰めていただきたい。
それから、対策予算というものも、この間、この二年で、アメリカがいるという前提で既に巨額のものが使われているわけですね。これはおかしな話で、発効もしていない条約、これに対策をするということで、既に多額の、税金ですけれども、出されている。
二年前に私も調べたところ、他国でこのように批准もしていない条約の対策として予算を出して使っているという事例は、少なくともTPP参加国の中では見つかりませんでした。これは極めて異例な措置であり、改めて評価していただきたいと思います。
そして、日米FTAの問題なんですね。これは、正式なFTAになるのかどうかとか、二国間の協議がどこまで動いたかという質問を皆さんがされているのを承知しておりますが、政府としては明確にお答えになっていない。むしろ、大丈夫ですとか、TPP維持は譲りませんという見解が来ています。
ただ、私もいろいろな情報収集をしている中でいえば、もう交渉は始まっているのかどうかとか、大丈夫です、そういう状況ではなくて、先ほど鈴木先生も指摘されていましたが、既にいろいろな要求は来ていて、そして具体的に交渉する場というのはもう六月にセットされているという状況です。ですから、その枠組みがFTAとか新協議とかそういう問題ではなくて、アメリカが今何を日本に要求してきているのか、これをまずきちんと把握して、分析をして、じゃ、具体的にどうするのかということが早急に議論されなければいけません。これはTPP11と分かちがたく結びついています。
なぜならば、日本政府はTPPを一方で推進しつつ、アメリカにはTPPに戻ってくるように説得をするというふうに言っています、これは日本のプランですけれども。ところが、アメリカはそのプランというのはほとんど無視して二国間でやっている。この三つの課題というのは分けて考えられないわけですね。
ですから、ここに挙げました、具体的には四ページ以降に、今後アメリカが何を要求してくるのかということを、いろいろあるんですけれども、わかる範囲で記述をしています。
六ページ以降に具体的に書きましたけれども、農産物の輸出というのはもちろんのことです。それから、私が気になっているのは製薬業界ですね。
この間、アメリカの業界団体、製薬団体は、日本が二〇一七年に行った薬価制度改革、これは日本として、主権国家として普通にやったわけですが、これに対して非常に激しく批判をしています。けしからぬと言っています。
それから、日本が例えばジェネリック薬をできる限り保険の中で適用していくとか、高額なバイオ医薬品を少しでも価格を下げようという話を進めると、アメリカの製薬業界というのはとことん批判をしてきています。
そして、この上の方に書きましたが、これを日米経済対話の中で議論していくということをもう明言しているわけですね。ですから、早ければ六月にもこの問題は出されてくる。それを見直さなければ日本から投資を引き揚げるぞということまで、アメリカの製薬業界の方は言っている。
それから、韓米FTA、これは再交渉していました、アメリカと韓国。ここで、結果的には韓国がかなりアメリカに譲歩をした形だったと思っています。この経験は、今後、日本がアメリカから突きつけられる内容というものに、非常に参考になるものだと思っています。自動車に関する要求は、もちろんあるでしょう。
それから、八ページに書きましたが、為替操作禁止条項、これはTPPの中でも入るんじゃないか。アメリカは、常に、日本の円安誘導政策のようなことを為替操作だと批判して、これを貿易協定で禁止させると言ってきました。韓国はこれをのんでしまったんですね、この条項を入れることを。ですから、日本にとっても危機。
それから、鉄鋼、アルミとか、いろいろな問題があります。ですから、このことにどう対応するかということを含めて議論しない限り、TPP11の批准というふうにはできない、してはいけないというふうに思っています。
そして、気になるのは、つい二日前の報道で、八ページの下の方にありますが、日経新聞の報道にこういうことがありました。
読み上げますが、TPP11では、発効まで米国との二国間交渉に進まない、そういう申合せがある。もし合意を主導した日本がこの約束を破って、批准もしていないのにアメリカと二国間交渉をすれば、一気に信頼を失いかねないと。
私は、これを見て驚きました。こんな合意があったのかと。これは政府に真偽をぜひお尋ねしたいところですが。もしこれが本当だとすれば、日本は今、大変な袋小路に陥ってしまっているわけです。11の側には、発効するまでアメリカとは交渉しないと申し合わせておきながら、一方では、アメリカからどんどん要求が来て、もう来月には交渉が始まっちゃう、一体どうするんでしょうという話で、これからアメリカを説得するんだとか、TPPのルールを世界に広げていくんだとか、そういう展望というのは、私からすれば極めて非現実であり、そして楽観的であり、日本の今の置かれている状況、この危機等からすれば、かなり乖離していると言わざるを得ません。
国内関連法に関しては、知財の問題を挙げたかったんですが、ちょっと……
この発言だけを見る →私どもは、小さなNPO団体、NGOなんですが、WTOの時代から、通商交渉それから貿易協定の問題に取り組んできました。先進国の政府や、特にやはり大企業、グローバルな大企業の声が非常に交渉の現場では強いわけですけれども、そういう立場からではなく、世界の特に途上国、新興国の人々、それから、もちろん日本の国民一人一人、一般消費者、主権者、そういう草の根の立場の人たちから、貿易協定のやはり負の側面というのもあるわけですから、そうしたことをずっと指摘してまいりました。きょうも、その立場からお話をしたいと思います。
私の資料は、文章で恐縮なんですが、つけさせていただいています。
まず冒頭に申し上げたいのは、二年前にも国会でTPP12の審議が行われたわけです。私も衆参で参考人、公述人として、その際も出ましたけれども、まずもって今回の11の審議では前回のような特別委員会というものが設けられず、この内閣委員会そして外務委員会で、比較すれば非常にわずかな時間での審議が、我々から見ればとても拙速に行われているように感じております。これから申し上げるように、このTPP11そのものにも検証すべき点はまだたくさんありますし、それから国内への影響というのもあるかと思います。そしてさらには、日米の二国間交渉への対応もあったりします。ですから、決して拙速な審議をするのではなくて、十分な時間をとって慎重に議論していただきたいというふうに切に願っております。
その理由の大きな一つは、やはり、二年前のTPPを審議した際と現在では、激変と言ってもいいほど、貿易交渉をめぐる状況は変わったわけです。
この一ページに挙げておきましたけれども、アメリカのTPP脱退はもちろんのこと、イギリスがEUを離脱したり、それから昨今ではアメリカと中国の貿易紛争のようなことも起こりつつあります。
それから、貿易協定、日本がかかわるものでいえば、確かに日・EU経済連携協定というのは合意に一旦至りましたが、これは当初の予定どおりの完全合意ではなくて、先ほども鈴木先生から御指摘があったように、投資家と国家の紛争解決メカニズム、ISDS、この部分が全く決着をしない。日本はISDSを主張しましたが、EUは、もう完全にISDSを否定していまして、別な仕組みを提案しています。ですから、この部分は協定から切り離して合意せざるを得ないという問題も出ています。
それから、中国、インドを含め、ASEAN諸国含め、アジアの国々と交渉しているRCEP、これもTPPと同じころ、二〇一三年ごろから交渉しているわけですが、妥結に至っていません。ここには、後で述べますが、いわゆるTPPレベルの強い規律、自由化の規律が決して受け入れられない途上国の声というものがあります。
そして、この間、WTOの閣僚会合というのも昨年の末にあったわけです。もちろんWTOは停滞していますが、基本的な前提として、今議論しているTPPないしはほかのメガFTAも、WTOの体制を基礎にして、その一部例外を認めるというような形で、FTA、EPAというものは成り立っているわけです。ですから、決してWTOを我々は無視するわけにはいかず、今後どういう形でWTOに向き合っていくのかということも、まさに今問われているわけです。
ですから、いわばTPP11だけを早期批准すればいいというだけの話ではなくて、あえて言えば、朝鮮半島の和平というか、非核化に向けた動きというものが今急速に起こっていますが、これも、中国、ロシア含めて、朝鮮半島含めて、今後の日本の貿易、経済に必ずかかわってくるわけですから、この激動するアジア情勢の中で、一体日本がどういう通商体制をとるのか、どういう戦略をとるのか、そして、どういう規律を埋め込んでいくことが国民にとっていいのか、国益なのかということを議論するのは、まさに今この国会だというふうに思っております。ですから、TPP11という問題だけに押し込めずに、ぜひ広くて深い議論をしていただきたいと思っております。
さて、私が挙げたい点としては、TPP11、この二ページの一番というところに書きました。
TPP11の戦略的な意義という議論はあります。それはそれで重要です。ただ、そもそも貿易協定の目的は何かといえば、当然、経済的な利益を得るという重要な目的があるわけです。当然、分野によってはメリット、デメリットというのがあろうかと思います。
TPP12から11に変わりましたというときに何が大きく変わったかというと、この二ページ、三ページの図で示しましたが、アメリカが抜けたことで、経済規模そして経済効果が激減しているわけですね。これは政府試算でもはっきりと出ています。
ですから、改めて、私は、二年前のTPP審議、決して十分ではなかったと思っていますが、TPP11になって一体どういう産業、どういう分野でメリットが生まれるのか、そしてデメリットがあるのか、規模が激減した中でなぜ11をこんなに急いで批准する必要があるのかということは、改めて考える必要があると思っています。
政府の試算の出し方にはいろいろな議論があって、決して使われている経済モデルだけが私は正しいと思っていないんですが、それにしても、ここに出したように、当初、経済効果は、アメリカを含む12では十三・六兆円、GDPでいえば二・五九%アップすると言われていたものが、11になれば、ほぼ半分に近いような、七・八兆円、一・四九%にしかならない。これを国民にどういうふうに説明しているのかという話です。
このときに、いやいや、TPPは、経済規模、経済効果は減ったけれども、戦略的な意味があるんだというふうに言われても、国民の実感レベルとしては到底、遠過ぎる話です。わかりません。
農業に関しては、11のころから影響が大きいということで、対策という話もされてきましたが、なぜか、この何がメリットかということに関しては非常に曖昧なんです。グロスで数字は出ますけれども、じゃ、どういう業種がどういう形でメリットを得るのかということは、政府の試算でも具体的には出せないということなんですね。そのような11というものをこんなに早急に批准してしまうということには、やはり大変疑問を感じます。
そして、四ページ以降ですけれども、11そのものは12の協定をほとんどそのまま引き継いだ上で、二十二項目の凍結項目で一部停止をしているという形になっています。
テクニカルに幾つか指摘すると、テクニカルにというか、11に限って評価すると、たくさん疑問はあるんですが、ここに挙げたような、例えば四点ほどの疑問、これは国会でもぜひ議論をいただきたい部分です。
一つは凍結項目。これは、日本政府は特に何も主張しなかったというふうに言っています。
他国は、アメリカの市場アクセスができるということの引きかえに、いろいろなものを譲歩したわけです、医薬品の特許の延長とか知的財産とか。しかし、アメリカが出た後は、メリットがないならこちらも譲らないよということで、停止を求めたわけです。これは、国益という観点からいえば当然だと思います。どの国も、やはり国内的な声との調整をしながら、ぎりぎりの交渉をしてきた。ですから、アメリカがいなくなれば、これは嫌だよと。
そのことを日本政府がしなかったということは、やはり素朴になぜなのか。たくさん譲ってきた部分もあるんだろうと思います。であるならば、この交渉の時点で言うべきだったと思っています。この問題が一つ。
それから、特に農産品のセーフガードの問題などで、アメリカが抜けたのに変わっていないという問題がいろいろと指摘をされていまして、それに対して政府としては、このTPP第六条では見直し条項があるんだと。
これは、アメリカが戻ってこないと見込まれる場合には、改めて十一カ国の中で協議をして、いろいろ見直せるんだということを説明されているんですが、この見直し条項の実効性ということについては非常に疑問です。これは、今回の審議の中でも、外務委員会等々でもほかの議員が指摘されている点です。
それから、新規加入国をどんどんふやしたいという方針でタイや韓国などなどが名乗りを上げているような状況で、これは望ましいというのが日本政府の姿勢なんですが、果たしてそうだろうかという疑問はあります。
例えば、タイに関して言えば、工業品の関税というのはもうタイ側もほぼ撤廃していますので、輸出のメリットは日本にありません。逆に、農産品の分野で言えば、タイの安いお米が今後入ってくるという懸念があります。こういう新しい国が入ればまた影響は変わってくるということは当たり前にあるわけです。
このことを政府は、例えば国会の皆さんに対して、どのタイミングでどういう提起をして、そしてその影響をどうはかり、そしてそれをどう承認していくのかという手続的なプロセスですね、もちろんそれは国民にも説明は必要だというあたりも今のうちからきちんと詰めておかないと、知らない間に、どんどんいろいろな国が入ってよかったねという話になってしまったら、実は、その国が日本にたくさんいろいろなものを、農産品であれ工業品であれ輸出をして、影響があるとかということにもなりかねません。ですから、11の議論の際に、このあたりも詰めていただきたい。
それから、対策予算というものも、この間、この二年で、アメリカがいるという前提で既に巨額のものが使われているわけですね。これはおかしな話で、発効もしていない条約、これに対策をするということで、既に多額の、税金ですけれども、出されている。
二年前に私も調べたところ、他国でこのように批准もしていない条約の対策として予算を出して使っているという事例は、少なくともTPP参加国の中では見つかりませんでした。これは極めて異例な措置であり、改めて評価していただきたいと思います。
そして、日米FTAの問題なんですね。これは、正式なFTAになるのかどうかとか、二国間の協議がどこまで動いたかという質問を皆さんがされているのを承知しておりますが、政府としては明確にお答えになっていない。むしろ、大丈夫ですとか、TPP維持は譲りませんという見解が来ています。
ただ、私もいろいろな情報収集をしている中でいえば、もう交渉は始まっているのかどうかとか、大丈夫です、そういう状況ではなくて、先ほど鈴木先生も指摘されていましたが、既にいろいろな要求は来ていて、そして具体的に交渉する場というのはもう六月にセットされているという状況です。ですから、その枠組みがFTAとか新協議とかそういう問題ではなくて、アメリカが今何を日本に要求してきているのか、これをまずきちんと把握して、分析をして、じゃ、具体的にどうするのかということが早急に議論されなければいけません。これはTPP11と分かちがたく結びついています。
なぜならば、日本政府はTPPを一方で推進しつつ、アメリカにはTPPに戻ってくるように説得をするというふうに言っています、これは日本のプランですけれども。ところが、アメリカはそのプランというのはほとんど無視して二国間でやっている。この三つの課題というのは分けて考えられないわけですね。
ですから、ここに挙げました、具体的には四ページ以降に、今後アメリカが何を要求してくるのかということを、いろいろあるんですけれども、わかる範囲で記述をしています。
六ページ以降に具体的に書きましたけれども、農産物の輸出というのはもちろんのことです。それから、私が気になっているのは製薬業界ですね。
この間、アメリカの業界団体、製薬団体は、日本が二〇一七年に行った薬価制度改革、これは日本として、主権国家として普通にやったわけですが、これに対して非常に激しく批判をしています。けしからぬと言っています。
それから、日本が例えばジェネリック薬をできる限り保険の中で適用していくとか、高額なバイオ医薬品を少しでも価格を下げようという話を進めると、アメリカの製薬業界というのはとことん批判をしてきています。
そして、この上の方に書きましたが、これを日米経済対話の中で議論していくということをもう明言しているわけですね。ですから、早ければ六月にもこの問題は出されてくる。それを見直さなければ日本から投資を引き揚げるぞということまで、アメリカの製薬業界の方は言っている。
それから、韓米FTA、これは再交渉していました、アメリカと韓国。ここで、結果的には韓国がかなりアメリカに譲歩をした形だったと思っています。この経験は、今後、日本がアメリカから突きつけられる内容というものに、非常に参考になるものだと思っています。自動車に関する要求は、もちろんあるでしょう。
それから、八ページに書きましたが、為替操作禁止条項、これはTPPの中でも入るんじゃないか。アメリカは、常に、日本の円安誘導政策のようなことを為替操作だと批判して、これを貿易協定で禁止させると言ってきました。韓国はこれをのんでしまったんですね、この条項を入れることを。ですから、日本にとっても危機。
それから、鉄鋼、アルミとか、いろいろな問題があります。ですから、このことにどう対応するかということを含めて議論しない限り、TPP11の批准というふうにはできない、してはいけないというふうに思っています。
そして、気になるのは、つい二日前の報道で、八ページの下の方にありますが、日経新聞の報道にこういうことがありました。
読み上げますが、TPP11では、発効まで米国との二国間交渉に進まない、そういう申合せがある。もし合意を主導した日本がこの約束を破って、批准もしていないのにアメリカと二国間交渉をすれば、一気に信頼を失いかねないと。
私は、これを見て驚きました。こんな合意があったのかと。これは政府に真偽をぜひお尋ねしたいところですが。もしこれが本当だとすれば、日本は今、大変な袋小路に陥ってしまっているわけです。11の側には、発効するまでアメリカとは交渉しないと申し合わせておきながら、一方では、アメリカからどんどん要求が来て、もう来月には交渉が始まっちゃう、一体どうするんでしょうという話で、これからアメリカを説得するんだとか、TPPのルールを世界に広げていくんだとか、そういう展望というのは、私からすれば極めて非現実であり、そして楽観的であり、日本の今の置かれている状況、この危機等からすれば、かなり乖離していると言わざるを得ません。
国内関連法に関しては、知財の問題を挙げたかったんですが、ちょっと……
山
内
山
山
中
中川正春#13
○中川委員 おはようございます。中川正春です。
参考人の先生方には、それぞれの観点から、非常に深く掘り下げて御意見をいただきまして、ありがとうございます。
改めて、内田先生からも御指摘ありましたけれども、お話を聞けば聞くほど、しっかり時間をかけて、そして、国民自体も、この問題についてしっかり理解をした上で、いろいろな対策を考えていく、あるいはこれからの日本の将来を考えていくということが定まってくるような、そういうところまでこの問題はしっかり議論をしていかなければならないということ、これを改めて感じた次第でございます。
その上で、少し質問をしていきたいというふうに思うんですが、まず、頭というか冒頭のところで、アメリカが離脱をして11になった、その上で、アメリカをどうするかという問題があるんだと思うんです。
先ほども、二国間で交渉していくのか、あるいは、どこまでもこの11の中に戻すということを日本としてやっていくんだということか、これは実は、我々ここで議論をしていて茂木大臣に質問をしても、そこのところは両建てなんです。はっきりしない。はっきりしないままこの問題を進めようとしているという意図というのは、私は今理解をしています。その上に立って、先生方から見られて、この問題をどう整理したらいいか、今の政府の対応でいいのかどうかということ、これをお聞きをしたいと思うんです。
私も、連休にアメリカに行ってUSTRの関係者とも会ってきましたけれども、あるいは政治家も含めて、TPPには戻らない、二国間でやっていくんだというアメリカの意思表示はかたいように思います。また、トランプ政権の中間選挙を控えた体制から見て、それが現実なのではないかということなんですが、そういうアメリカの体制に対しても、日本の政府というのは、今、さっきのようなことでおさまっているということです。
それぞれ四人の先生方に、このスタンスについて評価をいただきたいのと、どうすればいいかということ、どうすべきかということ、それの根拠も含めてお話をいただければありがたいと思います。順番に、よろしくお願いします。
この発言だけを見る →参考人の先生方には、それぞれの観点から、非常に深く掘り下げて御意見をいただきまして、ありがとうございます。
改めて、内田先生からも御指摘ありましたけれども、お話を聞けば聞くほど、しっかり時間をかけて、そして、国民自体も、この問題についてしっかり理解をした上で、いろいろな対策を考えていく、あるいはこれからの日本の将来を考えていくということが定まってくるような、そういうところまでこの問題はしっかり議論をしていかなければならないということ、これを改めて感じた次第でございます。
その上で、少し質問をしていきたいというふうに思うんですが、まず、頭というか冒頭のところで、アメリカが離脱をして11になった、その上で、アメリカをどうするかという問題があるんだと思うんです。
先ほども、二国間で交渉していくのか、あるいは、どこまでもこの11の中に戻すということを日本としてやっていくんだということか、これは実は、我々ここで議論をしていて茂木大臣に質問をしても、そこのところは両建てなんです。はっきりしない。はっきりしないままこの問題を進めようとしているという意図というのは、私は今理解をしています。その上に立って、先生方から見られて、この問題をどう整理したらいいか、今の政府の対応でいいのかどうかということ、これをお聞きをしたいと思うんです。
私も、連休にアメリカに行ってUSTRの関係者とも会ってきましたけれども、あるいは政治家も含めて、TPPには戻らない、二国間でやっていくんだというアメリカの意思表示はかたいように思います。また、トランプ政権の中間選挙を控えた体制から見て、それが現実なのではないかということなんですが、そういうアメリカの体制に対しても、日本の政府というのは、今、さっきのようなことでおさまっているということです。
それぞれ四人の先生方に、このスタンスについて評価をいただきたいのと、どうすればいいかということ、どうすべきかということ、それの根拠も含めてお話をいただければありがたいと思います。順番に、よろしくお願いします。
中
中川淳司#14
○中川参考人 お答えいたします。
私の用意しました配付資料の七ページ目をちょっとごらんいただけますでしょうか。日米でこれから始まる新貿易協議についての日本とアメリカのスタンスの違いというものがここで出ているわけですね。
今、中川先生の方からも御発言がありましたけれども、アメリカは、あくまでも二国間で日本に対してはいろいろな要求を出していきたいというふうに言っているわけです。これは、しかし、二国間で、単に貿易赤字の削減につながるような、例えば農産物の米をもっと売らせろとか、自動車をもっと売らせろとか、そういう話になるのか、それともFTAを二国間で結びたいという話になるのかはいささか不明確なところがありますけれども、私は、現実的には、二国間のFTAをアメリカが結ぶということを、日本に対して、今時点では本気で考えていないと思っています。
というのは、アメリカが通商交渉を結ぶ権限となる貿易促進権限法、TPA法がありますけれども、ことしの六月の末で失効します。新しい交渉権限を議会との間で認めてもらわない限り、日米のFTAの交渉は始められないということであります。
トランプ政権のこれまでの振る舞いを見ていますと、そうではなくて、十一月の中間選挙に向けてアピールできるような、対日交渉でこれだけのものをとったという、具体的な貿易赤字の削減策につながるようなものを言ってくるんだろうということになると思います。
日本側としては、そういう要求を出してくるのであれば、トランプさんはディールが好きだということなので、その見返りを下さいということを日本は当然言うべきだと思います。見返りが欲しければ、TPPに復帰していただければ直ちにそれは実現しますということを日本は言えるわけですね。
それに対してアメリカは当然今はノーだと言ってくると思いますけれども、他方で、TPP11のプロセスが進んでいけば、日米で膠着している間に、じりじりと、アメリカにとってはTPPから離脱したことの不利益というものが顕在化していって大きくなっていくという、今非常に、そういう意味でいうとクリティカルな交渉局面ですけれども、あくまでも、アメリカが用意した、アメリカにとって都合のいい土俵には乗らないで、TPPへの復帰を求めるという、日本側がこれまで堅持してきた土俵を貫き続けるということが最善手であるというふうに考えております。
この発言だけを見る →私の用意しました配付資料の七ページ目をちょっとごらんいただけますでしょうか。日米でこれから始まる新貿易協議についての日本とアメリカのスタンスの違いというものがここで出ているわけですね。
今、中川先生の方からも御発言がありましたけれども、アメリカは、あくまでも二国間で日本に対してはいろいろな要求を出していきたいというふうに言っているわけです。これは、しかし、二国間で、単に貿易赤字の削減につながるような、例えば農産物の米をもっと売らせろとか、自動車をもっと売らせろとか、そういう話になるのか、それともFTAを二国間で結びたいという話になるのかはいささか不明確なところがありますけれども、私は、現実的には、二国間のFTAをアメリカが結ぶということを、日本に対して、今時点では本気で考えていないと思っています。
というのは、アメリカが通商交渉を結ぶ権限となる貿易促進権限法、TPA法がありますけれども、ことしの六月の末で失効します。新しい交渉権限を議会との間で認めてもらわない限り、日米のFTAの交渉は始められないということであります。
トランプ政権のこれまでの振る舞いを見ていますと、そうではなくて、十一月の中間選挙に向けてアピールできるような、対日交渉でこれだけのものをとったという、具体的な貿易赤字の削減策につながるようなものを言ってくるんだろうということになると思います。
日本側としては、そういう要求を出してくるのであれば、トランプさんはディールが好きだということなので、その見返りを下さいということを日本は当然言うべきだと思います。見返りが欲しければ、TPPに復帰していただければ直ちにそれは実現しますということを日本は言えるわけですね。
それに対してアメリカは当然今はノーだと言ってくると思いますけれども、他方で、TPP11のプロセスが進んでいけば、日米で膠着している間に、じりじりと、アメリカにとってはTPPから離脱したことの不利益というものが顕在化していって大きくなっていくという、今非常に、そういう意味でいうとクリティカルな交渉局面ですけれども、あくまでも、アメリカが用意した、アメリカにとって都合のいい土俵には乗らないで、TPPへの復帰を求めるという、日本側がこれまで堅持してきた土俵を貫き続けるということが最善手であるというふうに考えております。
鈴
鈴木宣弘#15
○鈴木参考人 私は、先ほども触れましたけれども、二国間の日米FTAのような形にしろ、TPPにアメリカが戻るかどうかにしろ、アメリカからはTPP12のとき以上の内容を日本に要求し、それを受け入れてもらうということをアメリカは求めているわけで、それに対して日本は、アメリカからの要求に応える姿勢を既に続けている。ですから、TPPに復帰するにせよ、アメリカは、TPP12のとき以上の要求を日本にしてくるし、それから、日米FTAになるにしろ、これまで以上の要求をしてくる。
だから、形はどうあれ、日本が譲り続けなきゃいけないという状況が今できていて、そもそも、日米経済対話等の形で、日本はわざわざ、我が国から、アメリカを訪問したときにそういうものを提案して、日本としてはアメリカの要求に応えますからよろしくお願いしますというような形の外交になってしまっているというところが問題だ。
例を挙げれば、既に、例えばBSE、狂牛病の輸入条件は、二十カ月齢から三十カ月齢まで、TPPの事前の入場料で緩めさせられました。次、アメリカはBSEの清浄国であるからしてこれを完全になくしてくれというふうに言ってくるのを見越して、日本は、食品安全委員会が既に二年前から、言われたらきょうにでもやめられるように、完全に準備してスタンバイしています。国民には、TPP等を進めることで食の安全性は影響を受けないというふうに言っていますから、これは言えませんけれども、そういうふうにして準備万端整えて、アメリカの要求にいかに応えていくかと。
先ほどの、米の輸入枠がもう既に六万トンを消化しているというのもそうですし、それから、この間、遺伝子組み換えでないという表示を実質できなくなる方向を日本は示しましたが、これもアメリカから要求されていることと整合性がとれている、その要求に対応するものであるというような形で進んでいる。
要点は、いずれの形でも、今のような戦略では、アメリカからの要求を受け入れ続けることで、日本の政治、行政の皆さんが自分たちの立場を守るとか、そういうことには役に立っても、国民の利益になっているかどうかが問われている。ここに歯どめをかけられるかどうか、アメリカの要求を聞き続けるだけの外交でいいのかどうかが問われているということではないかと思います。
この発言だけを見る →だから、形はどうあれ、日本が譲り続けなきゃいけないという状況が今できていて、そもそも、日米経済対話等の形で、日本はわざわざ、我が国から、アメリカを訪問したときにそういうものを提案して、日本としてはアメリカの要求に応えますからよろしくお願いしますというような形の外交になってしまっているというところが問題だ。
例を挙げれば、既に、例えばBSE、狂牛病の輸入条件は、二十カ月齢から三十カ月齢まで、TPPの事前の入場料で緩めさせられました。次、アメリカはBSEの清浄国であるからしてこれを完全になくしてくれというふうに言ってくるのを見越して、日本は、食品安全委員会が既に二年前から、言われたらきょうにでもやめられるように、完全に準備してスタンバイしています。国民には、TPP等を進めることで食の安全性は影響を受けないというふうに言っていますから、これは言えませんけれども、そういうふうにして準備万端整えて、アメリカの要求にいかに応えていくかと。
先ほどの、米の輸入枠がもう既に六万トンを消化しているというのもそうですし、それから、この間、遺伝子組み換えでないという表示を実質できなくなる方向を日本は示しましたが、これもアメリカから要求されていることと整合性がとれている、その要求に対応するものであるというような形で進んでいる。
要点は、いずれの形でも、今のような戦略では、アメリカからの要求を受け入れ続けることで、日本の政治、行政の皆さんが自分たちの立場を守るとか、そういうことには役に立っても、国民の利益になっているかどうかが問われている。ここに歯どめをかけられるかどうか、アメリカの要求を聞き続けるだけの外交でいいのかどうかが問われているということではないかと思います。
中
中嶋康博#16
○中嶋参考人 先ほど申し上げましたように、私は、農業に焦点を絞ってお話をさせていただきたいと思います。
アメリカが離脱したときに、私は非常に残念だと思いました。それは、アメリカが非常に大きなマーケットを持っているからでございます。その可能性を絶たれたということは、今後もう少し考えていきたいなというふうに思っております。
そういう意味では、復帰をしてもらう方がいいところがあるんですけれども、ただ、その条件として、今の輸入枠とか、それを譲歩しなければならないということについては、私は賛成いたしかねます。当初の12で設定された条件のもとで戻るならば、ぜひとも戻っていただきたいというふうに考えている次第です。
この発言だけを見る →アメリカが離脱したときに、私は非常に残念だと思いました。それは、アメリカが非常に大きなマーケットを持っているからでございます。その可能性を絶たれたということは、今後もう少し考えていきたいなというふうに思っております。
そういう意味では、復帰をしてもらう方がいいところがあるんですけれども、ただ、その条件として、今の輸入枠とか、それを譲歩しなければならないということについては、私は賛成いたしかねます。当初の12で設定された条件のもとで戻るならば、ぜひとも戻っていただきたいというふうに考えている次第です。
内
内田聖子#17
○内田参考人 先ほどの説明の中に多くのこと、見方ということは申し上げましたので、この状況は確かに、袋小路という表現をしましたが、そのとおりだろうと思っています。
じゃ、その中でどういうふうにしていくかということなんですが、やはり気になるのは、この間、アメリカがWTO違反とほぼ思えるような措置を次々出してきているということです、鉄鋼、アルミの問題にせよ。これに対して日本は、どちらかというと、特に強硬な姿勢はとっていません。そのことはどうなのかという問題はあります。
つまり、一応というか、WTO体制というもので多くの国が、世界百六十カ国以上が合意をしている。これは基本的なルールなわけですね、今、貿易体制の。そこさえも逸脱するような行為に関しては、やはり厳しく言っていくような必要もあるということが一点。
TPP12にアメリカが戻るかどうか、FTAが始まるかどうか、これはいろいろな解釈、見方があり、断定的なことはできません。
ただ、一つ備えておかなければいけないなと思うのは、仮にアメリカがTPPに戻ってくるという判断をした際に、トランプ大統領が言っているように、今のまま受け入れて戻ってくるとは到底思えないということです。追加的な交渉、アメリカにとってより有利になれば戻るよと言っていることが実現される危険性です。
これが、いわゆるTPP11、過去の12以上の要求、再交渉がなされてきたときに日本はどう対応するか。断ればいいよということを政府の方もおっしゃるんですが、せっかく戻ってきてくれるんだったらこのぐらいはちょっと譲歩してあげようかとか、そういう議論に流れていくということを懸念しています。
だから、ここは、私は九ページに書きました。
では、国会として、あるいは国民の議論として何が必要かということですが、交渉はするとかしないとか、そういう話じゃなくて、やはり具体的に、ここで挙げたのは、かつての衆参農林水産委員会で決議を出したと記憶しています。これは、日本の国益にとって譲れない線というものを幾つかの項目で、全てではありませんが、一応、レッドラインといって、どの国もやっていますが、交渉に臨むときは、これ以上の線は絶対譲らないよという項目を先に示して国民に理解を得るわけです。
これは、TPPの審議、基本的に秘密交渉でよくわからなかった時期も、不十分とはいえ、この決議があったことで、国会の議論ということも、いわゆる政府の歯どめということで機能したと思いますし、後でそれがどういう交渉だったのかということを検証することもできます。
ですから、ぜひこの国会で、来るべき日米FTAないしは日米協議に当たって、じゃ、日本としてはどこまでを最低ラインとしてやるのか、関税の問題はどうなのか、為替条項は受け入れるのか、医薬品の問題はどうなのかというぐらいの項目に落として、やはりしっかりと確認をするということが必要だろうと思っています。
この発言だけを見る →じゃ、その中でどういうふうにしていくかということなんですが、やはり気になるのは、この間、アメリカがWTO違反とほぼ思えるような措置を次々出してきているということです、鉄鋼、アルミの問題にせよ。これに対して日本は、どちらかというと、特に強硬な姿勢はとっていません。そのことはどうなのかという問題はあります。
つまり、一応というか、WTO体制というもので多くの国が、世界百六十カ国以上が合意をしている。これは基本的なルールなわけですね、今、貿易体制の。そこさえも逸脱するような行為に関しては、やはり厳しく言っていくような必要もあるということが一点。
TPP12にアメリカが戻るかどうか、FTAが始まるかどうか、これはいろいろな解釈、見方があり、断定的なことはできません。
ただ、一つ備えておかなければいけないなと思うのは、仮にアメリカがTPPに戻ってくるという判断をした際に、トランプ大統領が言っているように、今のまま受け入れて戻ってくるとは到底思えないということです。追加的な交渉、アメリカにとってより有利になれば戻るよと言っていることが実現される危険性です。
これが、いわゆるTPP11、過去の12以上の要求、再交渉がなされてきたときに日本はどう対応するか。断ればいいよということを政府の方もおっしゃるんですが、せっかく戻ってきてくれるんだったらこのぐらいはちょっと譲歩してあげようかとか、そういう議論に流れていくということを懸念しています。
だから、ここは、私は九ページに書きました。
では、国会として、あるいは国民の議論として何が必要かということですが、交渉はするとかしないとか、そういう話じゃなくて、やはり具体的に、ここで挙げたのは、かつての衆参農林水産委員会で決議を出したと記憶しています。これは、日本の国益にとって譲れない線というものを幾つかの項目で、全てではありませんが、一応、レッドラインといって、どの国もやっていますが、交渉に臨むときは、これ以上の線は絶対譲らないよという項目を先に示して国民に理解を得るわけです。
これは、TPPの審議、基本的に秘密交渉でよくわからなかった時期も、不十分とはいえ、この決議があったことで、国会の議論ということも、いわゆる政府の歯どめということで機能したと思いますし、後でそれがどういう交渉だったのかということを検証することもできます。
ですから、ぜひこの国会で、来るべき日米FTAないしは日米協議に当たって、じゃ、日本としてはどこまでを最低ラインとしてやるのか、関税の問題はどうなのか、為替条項は受け入れるのか、医薬品の問題はどうなのかというぐらいの項目に落として、やはりしっかりと確認をするということが必要だろうと思っています。
中
山
玉
玉城デニー#20
○玉城委員 おはようございます。自由党の玉城デニーと申します。
きょうは、四人の参考人の方々に御参加をいただき、御礼申し上げます。ありがとうございます。
では、早速ですが、先ほどお話を伺った、それぞれの参考人のお話の内容、それから、お持ちいただいた貴重な資料をもとに、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
その前に、昨日から、このTPP11に関する関係法令の整備に関する議論が始まっています。しかし、けさの、この委員会が始まる前の理事会でも、きのう、きょう、あしたという方向性の提案はされていますけれども、参考人の中からも話がありますように、昨日、私は、十分議論するべきである、参考人からの意見も聞き、そしてさらには、関係する所管の委員会でもしっかり議論をし、必要であれば、公聴会も開き、合同審査などもして、TPP12のときでさえ足りなかった中身、それをしっかり国民に説明をするというのは政府の責務であるということもあわせて申し上げた次第です。
しかし、昨日の質問の中でも、茂木大臣それから堀井外務大臣政務官からは、今まで説明されている以上の説明はありませんでしたし、日米のFTAについては、これは、非公式、公式を問わず、そのような事前協議を持ったことはあるのかということについてもつまびらかにしませんでした。ですから、非常に説明が足りないままこの議論が収束するということは、私からはとても考えられないことなんですね。
ですから、きょうは、参考人の皆様方には、本当に忌憚のない御意見、お話を聞かせていただきたく、質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まずは、中川参考人にお伺いいたします。
TPP11の拡大、TPP11のその先の世界へということで、将来的な意義についてお話をしていただきました。
例えば、日本が交渉中の広域FTAですが、EUとのEPA、これは交渉妥結いたしました。そして、今並行して進められていますのはいわゆるRCEPですね、ASEAN十カ国プラス日本、中国、韓国、さらにはオーストラリア、ニュージーランド。こういう交渉がまとまれば、米国へのTPP復帰を求める圧力になるということと、中国もTPP11への参加を検討する流れが生まれるかもしれないというふうにおっしゃっていますが、より自由度の高い、より広範囲に取り組んでいこうとするRCEPとTPP11は、私は相入れるものではないというふうな認識ですが、その件について少し中川参考人のお話を聞かせていただければと思います。
この発言だけを見る →きょうは、四人の参考人の方々に御参加をいただき、御礼申し上げます。ありがとうございます。
では、早速ですが、先ほどお話を伺った、それぞれの参考人のお話の内容、それから、お持ちいただいた貴重な資料をもとに、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
その前に、昨日から、このTPP11に関する関係法令の整備に関する議論が始まっています。しかし、けさの、この委員会が始まる前の理事会でも、きのう、きょう、あしたという方向性の提案はされていますけれども、参考人の中からも話がありますように、昨日、私は、十分議論するべきである、参考人からの意見も聞き、そしてさらには、関係する所管の委員会でもしっかり議論をし、必要であれば、公聴会も開き、合同審査などもして、TPP12のときでさえ足りなかった中身、それをしっかり国民に説明をするというのは政府の責務であるということもあわせて申し上げた次第です。
しかし、昨日の質問の中でも、茂木大臣それから堀井外務大臣政務官からは、今まで説明されている以上の説明はありませんでしたし、日米のFTAについては、これは、非公式、公式を問わず、そのような事前協議を持ったことはあるのかということについてもつまびらかにしませんでした。ですから、非常に説明が足りないままこの議論が収束するということは、私からはとても考えられないことなんですね。
ですから、きょうは、参考人の皆様方には、本当に忌憚のない御意見、お話を聞かせていただきたく、質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まずは、中川参考人にお伺いいたします。
TPP11の拡大、TPP11のその先の世界へということで、将来的な意義についてお話をしていただきました。
例えば、日本が交渉中の広域FTAですが、EUとのEPA、これは交渉妥結いたしました。そして、今並行して進められていますのはいわゆるRCEPですね、ASEAN十カ国プラス日本、中国、韓国、さらにはオーストラリア、ニュージーランド。こういう交渉がまとまれば、米国へのTPP復帰を求める圧力になるということと、中国もTPP11への参加を検討する流れが生まれるかもしれないというふうにおっしゃっていますが、より自由度の高い、より広範囲に取り組んでいこうとするRCEPとTPP11は、私は相入れるものではないというふうな認識ですが、その件について少し中川参考人のお話を聞かせていただければと思います。
中
中川淳司#21
○中川参考人 お答えいたします。
RCEPは、日本の企業にとっては非常に重要なASEANを含んでいますし、中国、インドも含んでいる大事な協定ですけれども、ルールづくりということに関しては、TPPほどの成果は期待できないということは明らかであります。
したがいまして、RCEPの交渉に加わっている国の中でも、例えばタイであるとかインドネシアであるとかフィリピンはTPP11への参加も同時に求めてきているということであれば、やはりルールに関しては、TPP11の拡大、最終的にアメリカの復帰、さらには中国の参加という形で、ルールのスタンダードセッターとしては、RCEPではなくてTPPを目指すべきだというふうに考えております。
この発言だけを見る →RCEPは、日本の企業にとっては非常に重要なASEANを含んでいますし、中国、インドも含んでいる大事な協定ですけれども、ルールづくりということに関しては、TPPほどの成果は期待できないということは明らかであります。
したがいまして、RCEPの交渉に加わっている国の中でも、例えばタイであるとかインドネシアであるとかフィリピンはTPP11への参加も同時に求めてきているということであれば、やはりルールに関しては、TPP11の拡大、最終的にアメリカの復帰、さらには中国の参加という形で、ルールのスタンダードセッターとしては、RCEPではなくてTPPを目指すべきだというふうに考えております。
玉
玉城デニー#22
○玉城委員 既にTPPに参加している国々にとって、例えば中国は、RCEPの協議はもっと慎重でいい、TPPの方向性を見てからでいいと。つまり、アジアの経済全体を中国がこれから一路一帯政策で更に拡充していこうという中にあっては、TPPの様子は十分見る余裕があるというふうに受け取れる発言をしています。
さらには、例えば、RCEPに参加する予定でもありますオーストラリアは、このTPPによって、日豪EPAよりも、いわゆる牛肉の関税の削減が大きくなっておりますので、有利になっております。そして、ニュージーランドは、競争力の強い乳製品の対日輸出の拡大も当然、もうこの中では、TPP11の中では十分見込まれるわけですから、いわゆるRCEPが、よりTPP以上のハイレベル、ハイスタンダードな交渉で進んでいくかということは、私はその中にはないのではないかと思うんですね。
今度は中嶋参考人にお伺いいたします。
TPP12のときに、TPPが発効された場合、これは農林水産省の試算で出たのは、いわゆる現在の食料自給率三九%よりも格段に落ちるということが発表されておりました。
しかし、きょうの中嶋参考人の資料の中では、平成三十七年度食料自給率目標四五%ということもあり、その中には、労働生産性、土地生産性、全要素生産性の引上げが必須であるということが述べられていますが、TPP11でもまだ日本の農業全体についての不安は払拭されていない状況にあると思いますが、その中にあってこの食料自給率を上げていくという方策が果たして日本にとれるのかどうかについてお伺いいたします。
この発言だけを見る →さらには、例えば、RCEPに参加する予定でもありますオーストラリアは、このTPPによって、日豪EPAよりも、いわゆる牛肉の関税の削減が大きくなっておりますので、有利になっております。そして、ニュージーランドは、競争力の強い乳製品の対日輸出の拡大も当然、もうこの中では、TPP11の中では十分見込まれるわけですから、いわゆるRCEPが、よりTPP以上のハイレベル、ハイスタンダードな交渉で進んでいくかということは、私はその中にはないのではないかと思うんですね。
今度は中嶋参考人にお伺いいたします。
TPP12のときに、TPPが発効された場合、これは農林水産省の試算で出たのは、いわゆる現在の食料自給率三九%よりも格段に落ちるということが発表されておりました。
しかし、きょうの中嶋参考人の資料の中では、平成三十七年度食料自給率目標四五%ということもあり、その中には、労働生産性、土地生産性、全要素生産性の引上げが必須であるということが述べられていますが、TPP11でもまだ日本の農業全体についての不安は払拭されていない状況にあると思いますが、その中にあってこの食料自給率を上げていくという方策が果たして日本にとれるのかどうかについてお伺いいたします。
中
中嶋康博#23
○中嶋参考人 お答えいたします。
まず、予測に関しましては、私の承知しているところでは、自給率は同じである、平成二十八年度の値で見たときに同じであるということが政府から出されているのではないかと思います。
今回の対策、経営安定対策に関しては、ある種の足場固めをして、これ以上は自給率は落とせない、そこから体質強化対策によって自給率を上げていく道筋に乗せていくということが、私は一つのストーリーではないかなと思っております。
TPP対策はかなり複雑でございますけれども、その合わせわざで日本農業の体質改善、そして自給率の向上を図っていくと理解しております。
この発言だけを見る →まず、予測に関しましては、私の承知しているところでは、自給率は同じである、平成二十八年度の値で見たときに同じであるということが政府から出されているのではないかと思います。
今回の対策、経営安定対策に関しては、ある種の足場固めをして、これ以上は自給率は落とせない、そこから体質強化対策によって自給率を上げていく道筋に乗せていくということが、私は一つのストーリーではないかなと思っております。
TPP対策はかなり複雑でございますけれども、その合わせわざで日本農業の体質改善、そして自給率の向上を図っていくと理解しております。
玉
玉城デニー#24
○玉城委員 このTPP11の参考資料、これは政府が出してきた参考資料ですが、TPP11協定の法整備内容は、TPP12協定の場合と実質的に同一であることを踏まえ、TPP12協定の国内担保法である環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律、TPP整備法、平成二十八年十二月成立を、TPP11協定にも対応できるよう一部改正を行うことで対応しているということで、つまり、二十二項目、この凍結されている現在のさまざまな項目も、アメリカが戻ってくるとすぐTPP12に戻すことができるということが前提になっている書きぶりです。
先ほど鈴木参考人からは、TPP11は実は12よりも質が悪い、たちが悪いというふうなお話を伺いました。もうかるのはグローバル企業の経営陣だけで、国民にとって、賃金は下がり、失業がふえ、国家主権が侵害され、この国家主権はISDSのところでもお話がありましたが、食の安全が脅かされるとの全国民のTPP反対の声は、これは日本でのTPP反対の主張と同じであるということですね。
つまり、TPP11はさも12よりも非常に日本にとっては安心である、安全であるというふうに政府は喧伝しているわけですが、しかしそうではないという点について、改めて鈴木参考人からお話を伺えればと思います。
この発言だけを見る →先ほど鈴木参考人からは、TPP11は実は12よりも質が悪い、たちが悪いというふうなお話を伺いました。もうかるのはグローバル企業の経営陣だけで、国民にとって、賃金は下がり、失業がふえ、国家主権が侵害され、この国家主権はISDSのところでもお話がありましたが、食の安全が脅かされるとの全国民のTPP反対の声は、これは日本でのTPP反対の主張と同じであるということですね。
つまり、TPP11はさも12よりも非常に日本にとっては安心である、安全であるというふうに政府は喧伝しているわけですが、しかしそうではないという点について、改めて鈴木参考人からお話を伺えればと思います。
鈴
鈴木宣弘#25
○鈴木参考人 御指摘ありがとうございます。
一つは、先ほども申し上げましたが、アメリカを入れて譲った譲歩内容を、アメリカが抜けても同じ内容を譲っている。ですから、アメリカよりも強いオーストラリア、ニュージーランドのような農業国が、アメリカの輸入枠も含めて、乳製品でどんどん日本を攻められる。日本の打撃は更に増すというような状況があるというのが一つ。
もう一つは、これは波及効果である。TPP11をやるということは、先ほど来議論になっているように、アメリカが、それならば自分のTPP12で約束させた内容を更に上乗せして日本にやってもらうという要求は、これはセットになっている。ですから、TPP11は単独で見るのではなくて、アメリカがいろいろな形で対日要求を上乗せしてくる、それを何らかの形でセットで受け入れざるを得ないという、この波及効果を含めたものに対してどう考えるか。
それは、当然の結果として、日本の打撃は、もちろん農林水産業だけじゃないですが、大きくなるということを踏まえて、我々はTPP12のとき以上に対策を考えなきゃいけないということだというふうに認識しております。
この発言だけを見る →一つは、先ほども申し上げましたが、アメリカを入れて譲った譲歩内容を、アメリカが抜けても同じ内容を譲っている。ですから、アメリカよりも強いオーストラリア、ニュージーランドのような農業国が、アメリカの輸入枠も含めて、乳製品でどんどん日本を攻められる。日本の打撃は更に増すというような状況があるというのが一つ。
もう一つは、これは波及効果である。TPP11をやるということは、先ほど来議論になっているように、アメリカが、それならば自分のTPP12で約束させた内容を更に上乗せして日本にやってもらうという要求は、これはセットになっている。ですから、TPP11は単独で見るのではなくて、アメリカがいろいろな形で対日要求を上乗せしてくる、それを何らかの形でセットで受け入れざるを得ないという、この波及効果を含めたものに対してどう考えるか。
それは、当然の結果として、日本の打撃は、もちろん農林水産業だけじゃないですが、大きくなるということを踏まえて、我々はTPP12のとき以上に対策を考えなきゃいけないということだというふうに認識しております。
玉
玉城デニー#26
○玉城委員 ありがとうございます。
まさに、これまでも対日年次改革要望書を始めとして、アメリカからの要求は高まる、強まる一方。他方、では日本からはどういうふうな要求をしているのかというふうなことになると、いや大丈夫です、安心です、安全ですと。具体的な話がない中で、きのう茂木大臣は、実はこのTPP11が、アメリカが離脱した後、その経済圏が失われてもアジアに向かって我々は進んでいくんだという話をしていました。
内田参考人にお伺いいたします。
資料の中に、アジア諸国へのサプライチェーン形成や金融機関、コンビニ出店などの規制緩和による日本企業のメリット論が辛うじて語られているということですが、これは、鈴木参考人の資料の中にもありますけれども、かつてのアメリカのにぎわった一帯が現在ラストベルトになっているという状況、つまり、国内企業の空洞化を、外に外に向かっていくことによって、日本の中にも日本版ラストベルトが生じてしまうという懸念は、私は非常に大きいと思います。そのことについて内田参考人にお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →まさに、これまでも対日年次改革要望書を始めとして、アメリカからの要求は高まる、強まる一方。他方、では日本からはどういうふうな要求をしているのかというふうなことになると、いや大丈夫です、安心です、安全ですと。具体的な話がない中で、きのう茂木大臣は、実はこのTPP11が、アメリカが離脱した後、その経済圏が失われてもアジアに向かって我々は進んでいくんだという話をしていました。
内田参考人にお伺いいたします。
資料の中に、アジア諸国へのサプライチェーン形成や金融機関、コンビニ出店などの規制緩和による日本企業のメリット論が辛うじて語られているということですが、これは、鈴木参考人の資料の中にもありますけれども、かつてのアメリカのにぎわった一帯が現在ラストベルトになっているという状況、つまり、国内企業の空洞化を、外に外に向かっていくことによって、日本の中にも日本版ラストベルトが生じてしまうという懸念は、私は非常に大きいと思います。そのことについて内田参考人にお伺いしたいと思います。
内
内田聖子#27
○内田参考人 御指摘ありがとうございます。
おっしゃるとおり、日本の中でも既に起こっている事態というふうにも見れるわけですが、都市に投資や経済活動が集中し、人口も減ってくる中で、地域、地方、農林水産業を営む農山村というのは既に疲弊しつつあると言ってもいいと思います。これがやはり、このTPPのような、やはり大企業に有利なルールづくりが行われたというふうに私は基本的に評価していますが、このルールが導入されることで、地域経済の空洞化、そして、もう人が住めなくなるんじゃないかというようなレベルにまで地域が傷んでいく危険性は非常にあると思います。
投資が拡大するということ自体はまだ言われておりますが、実際に、都道府県別などで見てみれば、例えば外国の企業が投資をする先というのは、基本的には大都市圏それから中都市であって、例えば人口十万、二十万ぐらいの中核市に今後外国企業がどんどん投資をしてくるということは余り想定できないわけですね。ですから仮に、全体としての投資がふえたとしても、それは都市部に集中するだけの話であって、地域に隅々まで行き渡るような効果には決してならないだろう。
かつ、加えて、先ほど来指摘があるような、農林水産業、これは非常にTPPで日本が最大譲った分野だと思いますが、ここが持続可能でなくなれば、本当に地域経済は持続可能でなくなるということを懸念しています。
この発言だけを見る →おっしゃるとおり、日本の中でも既に起こっている事態というふうにも見れるわけですが、都市に投資や経済活動が集中し、人口も減ってくる中で、地域、地方、農林水産業を営む農山村というのは既に疲弊しつつあると言ってもいいと思います。これがやはり、このTPPのような、やはり大企業に有利なルールづくりが行われたというふうに私は基本的に評価していますが、このルールが導入されることで、地域経済の空洞化、そして、もう人が住めなくなるんじゃないかというようなレベルにまで地域が傷んでいく危険性は非常にあると思います。
投資が拡大するということ自体はまだ言われておりますが、実際に、都道府県別などで見てみれば、例えば外国の企業が投資をする先というのは、基本的には大都市圏それから中都市であって、例えば人口十万、二十万ぐらいの中核市に今後外国企業がどんどん投資をしてくるということは余り想定できないわけですね。ですから仮に、全体としての投資がふえたとしても、それは都市部に集中するだけの話であって、地域に隅々まで行き渡るような効果には決してならないだろう。
かつ、加えて、先ほど来指摘があるような、農林水産業、これは非常にTPPで日本が最大譲った分野だと思いますが、ここが持続可能でなくなれば、本当に地域経済は持続可能でなくなるということを懸念しています。
玉
玉城デニー#28
○玉城委員 時間も迫ってきましたので、最後に一点、お話をお伺いいたします。
鈴木参考人の資料の一番後ろに、「「食の安全」新基準」ということで入っていますが、「TPP参加各国からの輸入食品の主な食品衛生法違反」ということで、おびただしい違反の内容が論じられています。
このことについて、TPPの食の安全、いわゆる食料自給もそうですが、食の安全保障に関するTPPによる懸念について、最後にお聞かせいただければと思います。
この発言だけを見る →鈴木参考人の資料の一番後ろに、「「食の安全」新基準」ということで入っていますが、「TPP参加各国からの輸入食品の主な食品衛生法違反」ということで、おびただしい違反の内容が論じられています。
このことについて、TPPの食の安全、いわゆる食料自給もそうですが、食の安全保障に関するTPPによる懸念について、最後にお聞かせいただければと思います。
鈴
鈴木宣弘#29
○鈴木参考人 お答え申し上げます。
この表を見ていただきましたらわかりますように、TPP12もTPP11もそうですが、まず、食の安全基準が緩められるという問題が一つ大きい。それは特にアメリカなどから、日本の検疫の基準などが非常に厳し過ぎる、極端に言えば、少々大腸菌が入っていても食べろというような形で、日本の世界一厳しい安全基準というものをいかに緩めるか、そういうふうな要求リストがアメリカなどからたくさん出ております。
それに順番に応えていく、そういうものを小出しにしていくのが日本の戦略になってしまっていますので、食の安全基準は、貿易協定を進めることによって、あるいは二国間交渉、二国間の対応を進めることによって必ず緩められていくという構造になってしまっているということが一つと、もう一つ重要な点は、この表にありますように、今輸入している農産物、今の基準でも非常に危険性が高いものがこんなに入ってきて、検査率が七%で、素通りして我々が食べているということでございます。
それが、更に貿易自由化を進めれば、もっともっとこういうものがふえて、自給率が下がる。今の自給率が、目標は四五%、それは上げる努力はしていかなきゃいけませんが、実際にはもう三八%まで……
この発言だけを見る →この表を見ていただきましたらわかりますように、TPP12もTPP11もそうですが、まず、食の安全基準が緩められるという問題が一つ大きい。それは特にアメリカなどから、日本の検疫の基準などが非常に厳し過ぎる、極端に言えば、少々大腸菌が入っていても食べろというような形で、日本の世界一厳しい安全基準というものをいかに緩めるか、そういうふうな要求リストがアメリカなどからたくさん出ております。
それに順番に応えていく、そういうものを小出しにしていくのが日本の戦略になってしまっていますので、食の安全基準は、貿易協定を進めることによって、あるいは二国間交渉、二国間の対応を進めることによって必ず緩められていくという構造になってしまっているということが一つと、もう一つ重要な点は、この表にありますように、今輸入している農産物、今の基準でも非常に危険性が高いものがこんなに入ってきて、検査率が七%で、素通りして我々が食べているということでございます。
それが、更に貿易自由化を進めれば、もっともっとこういうものがふえて、自給率が下がる。今の自給率が、目標は四五%、それは上げる努力はしていかなきゃいけませんが、実際にはもう三八%まで……