予算委員会

1959-03-19 参議院 全388発言

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会議録情報#0
昭和三十四年三月十九日(木曜日)
   午前十時五十三分開会
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  委員の異動
本日委員小幡治和君、新谷寅三郎君、
吉江勝保君、岩沢忠恭君及び藤田進君
辞任につき、その補欠として紅露みつ
君、中野文門君、安井謙君、後藤義隆
君及び千葉信君を議長において指名し
た。
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 出席者は左の通り。
   委員長     木暮武太夫君
   理事
           小柳 牧衞君
           近藤 鶴代君
           塩見 俊二君
           西田 信一君
           堀木 鎌三君
           鈴木  強君
           松浦 清一君
           矢嶋 三義君
           森 八三一君
   委員
           石坂 豊一君
           泉山 三六君
           岩沢 忠恭君
           植竹 春彦君
           大沢 雄一君
           勝俣  稔君
           川村 松助君
           古池 信三君
           紅露 みつ君
           小山邦太郎君
           後藤 義隆君
           迫水 久常君
           下條 康麿君
           新谷寅三郎君
           館  哲二君
           鶴見 祐輔君
           苫米地英俊君
           中野 文門君
           安井  謙君
           横山 フク君
           吉江 勝保君
           荒木正三郎君
           占部 秀男君
           片岡 文重君
           北村  暢君
           栗山 良夫君
           坂本  昭君
           高田なほ子君
           田中  一君
           千葉  信君
           平林  剛君
           松永 忠二君
           山田 節男君
           田村 文吉君
           千田  正君
           八木 幸吉君
  国務大臣
   内閣総理大臣  岸  信介君
   法 務 大 臣 愛知 揆一君
   外 務 大 臣 藤山愛一郎君
   大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
   文 部 大 臣 橋本 龍伍君
   厚 生 大 臣 坂田 道太君
   農 林 大 臣 三浦 一雄君
   通商産業大臣  高碕達之助君
   運 輸 大 臣 永野  護君
   建 設 大 臣 遠藤 三郎君
   国 務 大 臣 青木  正君
   国 務 大 臣 伊能繁次郎君
   国 務 大 臣 世耕 弘一君
  国 務 大 臣 山口喜久一郎君
 政府委員
   内閣官房長官  赤城 宗徳君
   内閣官房副長官 鈴木 俊一君
   法制局長官   林  修三君
   法制局次長   高辻 正巳君
   総理府総務長官 松野 頼三君
   警察庁長官   柏村 信雄君
   行政管理政務次
   官       濱野 清吾君
   行政管理庁行政
   管理局長    岡部 史郎君
   北海道開発庁総
   務監理官    中平 榮利君
   北海道開発庁主
   幹       長谷 好平君
   自治庁財政局長 奧野 誠亮君
   防衛庁長官官房
   長       門叶 宗雄君
   防衛庁防衛局長 加藤 陽三君
   防衛庁経理局長 山下 武利君
   法務省保護局長 福原 忠男君
   外務省条約局長 高橋 通敏君
   大蔵省主計局長 石原 周夫君
   大蔵省主税局長 原  純夫君
   大蔵省理財局長 正示啓次郎君
   国税庁長官   北島 武雄君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤誉三郎君
   厚生省公衆衛生
   局長      尾村 偉久君
   厚生省社会局長 安田  巖君
   水産庁次長   西村健次郎君
   運輸大臣官房長 細田 吉藏君
   運輸省港湾局長 中道 峰夫君
   運輸省鉄道監督
   局長      山内 公猷君
   運輸省観光局長 岡本  悟君
   建設大臣官房長 鬼丸 勝之君
   建設省計画局長 美馬 郁夫君
   建設省道路局長 佐藤 寛政君
   建設省住宅局長 稗田  治君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 干冬君
  説明員
   宮内庁長官   宇佐美 毅君
   日本国有鉄道総
   裁       十河 信二君
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  本日の会議に付した案件
○昭和三十四年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十四年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十四年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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木暮武太夫#1
○委員長(木暮武太夫君) ただいまから委員会を開会いたします。
 まず委員の変更について御報告いたします。藤田進君が辞任し、その補欠として千葉信君が、小幡治和君が辞任し、その補欠として紅露みつ君が、それぞれ選任されました。
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木暮武太夫#2
○委員長(木暮武太夫君) これより昭和三十四年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算を一括して議題といたします。
 本日は一般質疑ではございますが、本委員会において、先日来問題になっておりまする自衛力に関する憲法と安保条約との関連等について、総理、外務大臣、防衛庁長官、内閣官房長官、及び法制局長官に対し、ワク外六十分の時間でまず質疑を行います。
 なお一般質疑の残り時間がまだ相当にございますので、毎度繰り返してはなはだ恐縮ではございますが、理事会の申し合せもありますので、関連質問は努めて自粛していただきまして、やむを得ないときにおいてもきわめて簡潔になされるよう委員長として特に委員の方々にお願いをする次第でございます。
 それでは質疑に入ります。荒木正三郎君。
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荒木正三郎#3
○荒木正三郎君 私は、政府が憲法の解釈を非常に拡大して解釈している問題について初めに質問をいたします。
 特に岸内閣になってから憲法の拡大解釈が非常にひどい状態になってきた。特に伊能防衛庁長官は、先日のこの委員会におきまして、小型の核兵器は持っても憲法違反にならないのだ、これは従来の政府が言っていない、そういうところまで発展をし解釈をしてきておる。ですから、私はこの際、憲法解釈がその時の政府の御都合によって、勝手に解釈されるというふうなことでは、これは日本の基本をきめた憲法でありますので、そういうことはよろしくないという考えを持っておるわけであります。憲法というものが、特に憲法解釈において拡大解釈をされてきたのは第九条に関係をしております。この第九条は、申すまでもなく日本国憲法の非常に大きな支柱になっていることは申すまでもありません。この第九条がその時の政府によって拡大解釈されるというふうなことは、これははなはだ穏当を欠く点であるというふうに思うわけです。こういう点について、総理大臣はどのように考えておられるか、それをお伺いしたい。
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岸信介#4
○国務大臣(岸信介君) 憲法の解釈を、その内閣の都合によっていろいろと解釈を変えるというようなことが不当であることは、荒木委員の御指摘の通りであります。私ども憲法を解釈していく上におきましても、そういう点については十分に留意しておるつもりでございます。ことに憲法九条の解釈について、私の内閣なり、私が内閣の責任を負うてから、非常に解釈が拡大されておるというふうな御指摘でありますが、私ども従来前内閣あるいは前前内閣等からこの憲法九条に関するいろいろな論議は国会を通じてずいぶん行われたわけでございまして、その一貫した趣旨を曲げるような解釈は私どもはとっておらないという考えでございます。
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荒木正三郎#5
○荒木正三郎君 それではお伺いをいたしますが、岸内閣は自衛のために武力を持ってもよろしい、こういう表明をされておるわけであります。これには間違いございませんか。
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岸信介#6
○国務大臣(岸信介君) やや荒木委員のお言葉は不正確であると思います。私ども憲法九条は自衛権を否定しているものでなくして、しかして自衛権を持っている以上は、それを裏づけるに必要最小限度の実力を持ち得ることは、これは当然許されておると、かように解釈をいたしております。
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荒木正三郎#7
○荒木正三郎君 実力という問題ですね。自衛権は憲法では否定しておらない。そこで、自衛のための実力、あるいは総理大臣はよく自衛力と、こういう言葉を従来使っておりますが、この実力というのは、これは何をさしておるか。防衛庁長官等は、これは戦力というような言葉も時にはお使いになるように私は思う。あるいは武力。これは武力ではない、こういうお考えでございますか。
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岸信介#8
○国務大臣(岸信介君) 自衛権の本質は、他から急迫不正な侵害を受けた場合にそれを排除する、実力を行使して排除するということでございますから、それに必要な実力というのが、私の言う自衛力であり、自衛のために必要最小限度の実力を申しております。それは、その内容的に言って、一つのいろんな具体的の実力を武力と言ったり、あるいは戦力というような言葉で表現する人もあろうかと思いますが、私の言わんとするところは、そういう侵害があった場合に、侵略があった場合に、それを実力を行使して排除する、その力を言っておるわけであります。
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荒木正三郎#9
○荒木正三郎君 そうすると、総理大臣がおっしゃる自衛力、あるいは自衛のための実力というのは、具体的には、今作られている自衛隊をさすんじゃないかと私は思うんです。この自衛隊は、これが武力ではないんだ、戦力ではないんだ、こういうことになると、自衛隊は何になるんですか。ただ実力ということだけでは適切でないと思うんですね。あれは武力でない、戦力でないというならば、何になるのか、おっしゃっていただきたいと思う。
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岸信介#10
○国務大臣(岸信介君) 憲法九条の二項でいわれておる戦力ということではないと思いますが、その自衛隊が持っておる実力を、あるいは戦力という言葉で表わす人もありましょうし、あるいは武力という言葉で表わす人もあるかもしれませんが、それらは、私は言葉の用語であると思いますが、いわゆる憲法九条二項で持つことを禁止されておる戦力ではないと思います。
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荒木正三郎#11
○荒木正三郎君 それでは、岸総理は、政府によって憲法解釈を変えることはよろしくない、また、現実にそういう憲法解釈を変えておらないと、こういう先ほどのお話でありましたので、私は、憲法制定当時の政府の解釈をここに示しまして、お伺いしたいと思います。憲法制定当時において、当時は国務大臣であった吉田茂氏が、質問に答えて、「第九条第二項ニ於テ自衛権ノ発動トシテノ戦争モ、又交戦権モ拠棄シタモノデアリマス。従来近年ノ戦争ハ多ク自衛権ノ名ニ於テ戦ハレタノデアリマス。故ニ我国ニ於テハ戦争ノ拠棄ニ依ッテ全世界ノ平和ノ確立ノ基礎ヲ成ス決意ヲ此ノ憲法ニ於テ表明シタイト思フノデアリマス。」、こういう答弁をしておられます。こういう趣旨の答弁は、随所にしておられるわけであります。また、こういう表現。野坂参三君が、侵略戦争はいけないんだ、しかし、自衛のための戦争は肯定さるべきではないか、こういう質問に対しても、「正当防衛権ヲ認ムト云フコトソレ自身が有害デアル」、こういうふうに答えておる。自衛のための武力行使も、そういうことを考えることも有害である。この段階において、この憲法制定当時において、自衛権というものは認めるけれども、自衛のための実力行使、岸総理が言われる実力行使、あるいは、言葉をかえていえば、武力行使、こういうことを考えることすら、これは有害である、いわゆる憲法の趣旨ではない、こういうふうに答弁をしておるのであります。これは憲法制定当時の政府の見解である。言葉をかえていえば、自衛権は憲法が認めるところである、しかし、自衛のためといえども、武力行使、あるいは実力行使、あるいは戦力を行使することはできないのだ、これが憲法の精神である、第九条の趣旨である、こういうふうに、これはしばしば国会において答弁をしておるのであります。これについて岸政府も同様な考えを持っておる、こういうふうに解してよろしいかどうか。
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岸信介#12
○国務大臣(岸信介君) この憲法が制定されました当時、また、過去のわれわれの苦い経験から、いわゆる自衛の名のもとに戦争をするということは、これはわれわれは、いかなる意味においても、侵略はもちろんのことですが、他国の侵略でなしに、自衛の名のもとに、自衛のためという意味において戦争をすることに関しましても、これはやるべきものじゃない、ただ、九条のいわゆる戦争放棄ということは、国の自衛、独立国として持っておる自衛権というものを否認はしていない、そういう意味において、自衛権とはそれじゃ何だといえば、他から侵略された場合にその侵略を排除する、そうして自分の安全を守るということでなければならぬことは言うを待ちませんから、その限度において実力を行使するということは、もちろん私は自衛権を認めておる以上、当然のことでありまして、今、制定当時論議されたことは、過去の経験からいうと、自衛のためという名のもとに戦争がやられるというようなことは、これは一切やらないのだ、ということを私は言われたのであって、その後におけるいろいろのその点に関する解釈においても補足されておって、私が言うことは、決して制定当時から拡張して解釈するというような、後に解釈するというようなことではないのであります。それとちっとも矛盾しておらないと私は考えます。
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荒木正三郎#13
○荒木正三郎君 それではさらにお尋ねをいたします。昭和二十五年の一月二十五日の参議院における答弁において、吉田総理は、「武力がなくても自衛権は完全に、国家としては国家を護る力があると私は確信して疑わない」、こういう答弁をしておられます。武力がなくても国家を守ることができるのだ。先ほど岸総理は、他国から侵略をされた場合に、それを防ぐために実力が要るのだ、これは武力が要るのだということと同じ意味である、他国から侵略された場合には、これを守るために武力が必要なんだ、こういう見解であります。しかし、吉田政府のときには、武力がなくても国家を守ることができるのだ、こういう考え方を表明しておるわけであります。ここには私は非常に開きがあると思う。同じであるという解釈は、これは通らないと、こういうふうに思うのです。
 さらに同様なことを言っております。「武力なしと難も自衛権はあるのだ。武力なき自衛権を私は、想像し得る」、こう言っている。武力のない自衛権というものは十分考えられる、こういうふうに答弁している。これは明らかに私は今の岸総理の答弁と食い違いがあると考えるのです。この点いかがでありましょうか。
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岸信介#14
○国務大臣(岸信介君) 今の論議での吉田首相の答弁は、多分に政策的な意義を加味しておると私は考えます。現実にもちろん日本の安全を守るということ、他から侵略を受けないようにするためには、ただ実力を持ち、自衛隊を持っていればそれでいいというものではございませんで、その他のあらゆる外交の政策や、その他国際情勢等の緊張緩和の問題等に関してのあらゆるものを考え、他から侵略を受けないような態勢を国内において固めていくというようなことが、政策的に申せばあらゆる意味において必要であるということは言うを待たないのであります。ただ、しかしながら自衛権というもの自体には、やはり他から現実に侵略を受けた場合において、これを排除するところの何らかの実力を持たなければならぬということは、吉田内閣におきましてもその必要を認めており、今日の自衛隊に至るまでの実力を国情に応じつつ増強してきた経過をごらん下さいましても、このことは明瞭であると私は思います。
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荒木正三郎#15
○荒木正三郎君 私が先ほど申しましたように、憲法制定当時及びごくその近い期間においては、実力というもの、武力というものを完全に否定した答弁をしております。先ほど読み上げた通りであります。自衛のためで自衛権は認める、しかしそれは武力を考えていないのだ、これが政府の答弁であります。その後朝鮮事変が起り、警察予備隊が作られ、あるいは保安隊に発展をし、そうしてさらに自衛隊に発展した。それにつれて政府の解釈というものがだんだん拡大された。明らかに憲法制定当時は武力というものを持ってはならないと、明らかにこれはしている点であります。それから考えると、政府の今日の解釈というものは、非常な拡大解釈であると言わざるを得ないのであります。その点重ねてお尋ねをいたします。
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岸信介#16
○国務大臣(岸信介君) 私は憲法の解釈としての、憲法解釈という立場からいいますというと、私どもが今日とつておる解釈は、決していわゆる政策的の意味でもって憲法の内容を拡張して解釈するというのじゃなしに、客観的な、客観性を持った憲法解釈としては一貫しておると私は考えます。それよりも制定当時においては、多分にその当時の客観的情勢その他の情勢から政策的な意義を持って私は扱われたことが非常に多かったと思います。むしろその後において社会的な憲法解釈、社会的情勢というものもある程度安定をした後における憲法の客観的な解釈標準というものも冷静に検討されて、私どもが今日とっておるような解釈というものは、私は憲法解釈としてはそれは一貫して正しい解釈であるという考えに立っております。
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荒木正三郎#17
○荒木正三郎君 これは憲法制定当時の解釈が多分に政策的であるというふうに総理がお考えになっておられるということであれば、非常に大きな誤まりであると思う。この憲法制定当時は、やはり大東亜戦争の苦しい経験、なまなましい経験の上に立って、日本国民としては私はこのことを真摯に考えておると思います。これを政策的に考えるということは私はあり得ないと思う。腹の底からやはり真剣に考えて、むしろ今日こそ岸内閣が、冷静といいますが、そうでなくて政策的に憲法解釈を拡大してきた、こういうふうに言えるのじゃないかと思うのであります。むしろ私どもがこの際岸総理に要請したい点は、憲法制定当時のあの気持に立ち返って、憲法解釈というものをやり直すべきだ、憲法制定当時に返るべきだ、こういう考えを深く持っておる。それを政策的であるというふうな言い方で制定当時の憲法解釈をゆがめようとする、こういう考えこそ私は是正さるべきではないかというふうに考えるのですが、いかがでありましょうか。
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岸信介#18
○国務大臣(岸信介君) 先ほどお答え申し上げました通り、私は私どものとっている憲法の解釈は客観的に見て正しい解釈である、こう考えております。しこうして、それは単に岸内閣になってからの解釈ではございませんで、この問題についてさらに国会においてしばしば論議をされ、堀り下げて議論された結果到達しておる考え方である、私はかように思っております。
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荒木正三郎#19
○荒木正三郎君 この問題について、憲法制定当時の考えと憲法解釈についての考えは変っていないのだということについての答弁は私は不十分であると思います。従ってこれは時期を見てさらに確めたいと考えます。
 第二点の問題は、先日の委員会において伊能防衛庁長官の答弁について私どもは重大な疑義を持っております。その点について総理大臣並びに外務大臣から所見を伺いたい、かように考えるわけです。
 この間の伊能防衛庁長官の答弁は、日本に駐留しているアメリカ軍の装備の内容については日本政府の関知するところではない。であるからアメリカ軍が原爆、水爆を日本に持ち込んでも憲法上の問題にはならない、こういう答弁であります。そこで私がお伺いしたい点は、岸総理も伊能防衛庁長官と同じような考えを持っておられるのかどうかです。第一点にお伺いしたい点は、日本に留駐しているアメリカ軍はどういう装備を持っておろうと、これは日本政府の関知したところでない。これは私は今まで国会になかった答弁であると思います。そういうことがあり得るかどうか。あるいは原爆、水爆を持ち込んでもこれは憲法に抵触しないのだ、こういう答弁ですね。これはどうしても納得できない。岸総理大臣からこの点を伺いたい。
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岸信介#20
○国務大臣(岸信介君) 御質問の第一点であるアメリカの日本に駐留しておる軍隊の装備については、政府は関知しないという点でありますが、これは私は日本憲法のいわゆる九条の規定の範囲外の問題であって、憲法とは関係のない事項であるということを述べたことであると思います。なお、実際の問題として、現在の安保条約におきましては、米軍の装備についてはアメリカが一方的になし得るので、日本のあらかじめ同意を得なければならぬというようなことは規定されておらないことも御承知の通りであります。しかし、問題になるのは、いわゆる憲法の規定において、われわれが憲法九条の解釈として先ほど来問題になっておる自衛権を裏づけるこの自衛のために必要最小限度の実力という中に、一体原水爆を持つというようなことが入っておるのかということに対しては、従来もこれを否定して、私ども答弁いたしております。そういうものは、憲法上日本の自衛権の内容としての実力として持つべきものでない、また持てないのだということを申しております。しかし、それは日本みずからが持っておるところの自衛権についての、限られたる自衛権というものについての規定であり、憲法九条はそういう規定であって、他の外国の軍隊が日本との条約の関係において駐留するとか、いろ、いろな日本の安全を保障するために働いてもらうという場合における、この持っておる武力等に関して、憲法九条が適用されるものでないという意味において、アメリカ軍の装備については憲法の関知するところでないということを答弁したと思いますし、私はそれが正しいと思います。
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荒木正三郎#21
○荒木正三郎君 憲法九条の規定によって日本は核武装できないのだ、原水爆を持つことができないのだということは、今も御答弁もありましたし、しばしば答弁のあったところであります。そういう憲法を持っている日本とアメリカとの間に安保条約が結ばれ、そうしてこの安保条約は、日本の安全を保障するためにアメリカ軍が日本に駐留することになっている。そのアメリカ軍は憲法の規定に関係なしに、いかなる兵器をも持ち得るのだということになれは、こういう条約を結んだ、安保条約と憲法との関係は一体どうなるのかという問題が私は起つてくると思うのです。日本の憲法は、これは原水爆は持てないのだ、核兵器は持てないのだということは、政府も明らかにしている。その日本の憲法のもとにおいて、アメリカの駐留している軍隊は核兵器を持ってもいいのだ、原水爆を持ってもいいのだということになれば、この駐留している軍隊の趣旨というのは、日本の安全を保障する、言いかえれば日本の自衛といいますか、そういうために駐留している、そういうものは何を持ってもよろしいのだという条約を結ぶということは、これは結んだ日本政府が、私は憲法の趣旨を乗り越えて条約を結んでおるということになると思うのです。少くともこういう憲法を持っている日本政府としては、無制限な装備を許すようなアメリカ軍の駐留というのを許すような条約、そういうものは結び得ないというふうに私どもは考える。この点を総理大臣並びに外務大臣から御答弁願いたいと思います。
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岸信介#22
○国務大臣(岸信介君) 日本の憲法は、先ほど来論議されているように、これを持ち得る限度というものにつきましては、最小限度のものであることは、従って原水爆のごとき、もっぱら他を攻撃するような用途に使われるものを装備することができないということは、当然に解釈できると思います。しかし、日本の安全を、今の国際情勢に応じて安全を保障し、日本が他から侵略を一切受けないということにつきまして、日本の自衛権だけでできるかどうかということは、これはまた別個の問題であろうと思います。その場合に、日本はすでに憲法の前文にもございますように、諸国民の公正と信頼に期待して日本の平和と安全を守っていく、すなわち、国際連合等において一つのそういう力ができ、武力が持たれて、そうして世界の平和、安全が、侵略というものが排除されるという希望ができれば、これは一番望ましいことだと思います。それがまだできない場合においては、この国連の憲章の精神に従って、あるいは二国間、あるいは数カ国間においてお互いに安全を保障するところのことを作るということは、これは私は憲法の精神に反しているわけではございませんし、またいわんや憲法九条の規定の関知するところでもないことは当然であると思うのであります。その場合において、今他国とそういうふうな相互的にもしくは共同して日本の安全を保障するという条約を結ぶ場合において、それでは日本と同じような憲法を持っている国とだけしかできないかといえば、そんなことは私はないと思います。従って、そういう意味においてアメリカとの日本の安全を保障するために安保条約を結び、そうしてアメリカ軍がどういう装備をするかということは、これは日本憲法がこれを制約すべきものでないことは言うまでもないことであります。従って、それが憲法違反であるというようなことは、私どもは解釈上としてとるべきものでない、こう思います。
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荒木正三郎#23
○荒木正三郎君 私が質問をしている要点には触れておられないと私は思うのです。私は、アメリカ軍がどういう装備をするかということは、これはアメリカの自由であり、日本の憲法がこれを規制するなどといっているのではないのです。そうでなしに、日本の原水爆保有を禁止している、核兵器保有を禁止している憲法を持っている政府が、アメリカと、アメリカでなくてもいいのですが、アメリカと防衛条約、安保条約を結び、しかもそのアメリカ軍が日本の国土に駐留する場合、いかなる装備を持っても差しつかえないのだというふうな条約が政府に結ぶことができるかどうか、そういうことはこの憲法の規定からいって政府にそういう権限は、憲法上できない、そういうことを私は申しているのです。
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岸信介#24
○国務大臣(岸信介君) 憲法の九条で規定しているところのこと、従って、原水爆を持たないということは、日本の自衛隊、いわゆる自衛権の内容として日本みつからそういうものを持たない、持ってはならぬということを意味しておりますけれども、これを、他の軍隊が持ち込んではならぬという規定でないことは、読んできわめて明瞭であるごとく、私はそれが直ちに憲法九条の違反になると、こういうふうな解釈はどうしてもとるべきものではない、かように思います。
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矢嶋三義#25
○矢嶋三義君 ちょっと関連。今の荒木君の質問は非常に重要なポイントです。日米が安保条約を結んで、その条約に基いて米国の軍隊が日本に駐留しているわけです。その米駐留軍はたとえ核兵器を持ち込んでも、日本の憲法の制約は受けないというんでしょう。そうなりますと、安保条約は日本の憲法に優先するじゃないですか、安保条約はそれに関する限り日本の憲法に優先するじゃないですか。そういうことは許されますか。
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岸信介#26
○国務大臣(岸信介君) 先ほど来答弁しているように、憲法九条は日本の持っている自衛権の内容として、原水爆を持ってはならぬということを意味しているだけでありまして、それ以上のことは何ら規定していないのであります。従って、アメリカとの間の安保条約は、持ち込ますかどうかという——優先するとか何とかいうことほ、同じものがどちらが先に適用されるかという問題でありますが、憲法九条は、全然、いわゆる問題にしていない。目的としてこれが違っておるのでありまして、九条は、日本の自衛隊の装備について、かりに何か条約上日本の自衛隊をどういう装備をするということを、憲法に違反するような規定をするなら、どちらが優先するかということは問題になりますけれども、全然規定外の問題でありますから、私は、どちらが優先するというような問題は生じないと思います。
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矢嶋三義#27
○矢嶋三義君 もう一回。それは総理、どうしても納得できぬですよ。憲法九条は、あなたの解釈で原水爆は持てないというのでしょう。ところが、安保条約で米駐留軍が原水爆をたとえ持ってきても憲法の制約は受けないというのですよ、あなたは。あなた方の解釈は、それに関する限り安保条約は憲法に優先することになるんじゃないですか。赤城官房長官は、この前のこの委員会で、私の質問に対して、憲法は条約に優先する。そういう二国間の条約を結ばなくちゃならぬと明確に答弁している。はっきりその点に関する限り食い違うじゃないですか。はっきり答えて下さい。
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木暮武太夫#28
○委員長(木暮武太夫君) 林法制局長官。
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矢嶋三義#29
○矢嶋三義君 いやいや総理です。あなたはいつも曲学阿世の答弁をする。
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